#アルダワ魔法学園
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ぴょこん、ぺたん。 ぴょこん、ぺたん。 ぴょこん、ぺたん。 迷宮内に、奇妙な音が響く。
このまま進めば、怖いアイツから逃げ切れる。
ぴょこん、ぺたん。 ぴょこん、ぺたん。 ぴょこん、ぺたん。 気の抜ける音が、更に響く。
逃げ切って、いつか大きくなって見返すんだ。
ぴょこん、ぺたん。 ぴょこん、ぺたん。 ぴょこん、ぺたん。 迷宮内に、奇妙な音が響く。
ぼくらを追い出した、あのおっきな石のかたまりに。 いつかかならず、仕返しをするんだ。
ぴょこん、ぺたん。 ぴょこん、ぺたん。 ぴょこん、ぺたん。
迷宮でよく見られる一般的なモンスター、フラスコスライムが何故か群れをなしている。
彼らはとある場所に、辿り着く。 その場所は静かで栄養に満ちているのに、誰の姿もも存在しない。 力をつけるには、うってつけの環境だ。
だけれど、彼らは知らないのだ。 彼らを追いかける、『おっきな石のかたまり』が。 執念深く、彼らを追いかけてきているのだと言う事を。
●
「先日、皆さんに解決して頂いた事件。 ご存知の方はいらっしゃるでしょうか?」
集まる猟兵達に銀髪のグリモア猟兵、ヴィクトリア・アイニッヒ(陽光の信徒・f00408)が語りかける。
先日の事件とは、『アルダワ魔法学園』世界で発生した、蒸気の迷宮、その先の『温室』に巣食うオブリビオンの討伐に関する案件である。
もしかしたらこの場に集う者の中に、現場にいた者がいたかもしれない。
「その事件の舞台となった『温室』に、新たな『災魔』……オブリビオンが出現したのを、確認しました」
皆さんにはその討伐をお願いしたいのです、とヴィクトリアは語る。
現れたのは、『フラスコスライム』と呼ばれる迷宮ではよく見られる一般的なモンスター。 個体の能力は強くなく、一般的な学生でも対処が可能な程だという。
複数集まれば強くなったり、経験を積めば強力な存在に進化したり……色々と言われているが、まぁそれは置いておいて。
「ただこのフラスコスライム、『温室』で自然発生した訳ではなく、よそから流れてきた群れのようでして……」
野生の生物であれば、より強力な存在に住処を追われて……というのは間々ある話ではある。
このフラスコスライム達も同じ様に、元の住処を追われて『温室』まで流れ着いてしまったそうな。 ある意味では被害者であるが、見過ごす訳にはいかない。
……いかないが、一般学生でも対処出来る案件だろう。 わざわざ猟兵を引っ張り出す程の事だろうか?
「実は、フラスコスライムを追い出した『災魔』の一体が、彼らを追いかけて『温室』に現れる姿が、私には視えたのです」
フラスコスライムがいくら弱かろうが、彼らも一応オブリビオンである事に変わりはない。 それを一方的に追い散らせる存在となれば、それなりの強さの存在となるだろう。
そんな存在とかち合う危険性があるのなら、一般学生に任せる訳にはいかない。 先んじて、危険の芽を摘んでおく必要があるだろう。
「今回現れる『災魔』は、明確にフラスコスライムの群れを追ってきている様なのですが……スライムを放置した場合、他の『災魔』がスライムを狙って『温室』に出現する可能性は否定できません』
故に、出来る限りフラスコスライムも討伐して欲しいと、ヴィクトリアは語る。
……今回の依頼、要約すれば『スライムを掃討し、後に現れる『災魔』を討つ』という事になるようだ。
「『温室』を今後も学生達が使える様に、出来る限り危険の芽は摘んでおきたい所です。 出来ましたら、皆さんのお力をお貸し下さい」
そう言ってヴィクトリアは皆に向かって頭を下げ……た所で、何かを思い出した様に顔を上げる。
「そう言えば、先日の依頼で確保出来た原料を用いて、薬品作りが行われるそうです」
飛び込み参加自由、材料持ち込みも自由との事なので、是非参加してみると良いだろう。
そこまで告げて、改めて。 ヴィクトリアは深く礼をして、皆を現地へ送り届けるのだった。
月城祐一
東京オフ会、お疲れ様でした。 月城祐一です。
本文中で触れられた『以前の事件』とは ↓こちら↓ になります。
( https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=1711 )
読まずに参加していただいても大丈夫ですが、宜しければ是非ご一読ください。
さて、補足です。
1章では温室内に潜むフラスコスライムを討伐して頂きます。
スライムの戦闘力は大したことはありませんが、温室内は薄い霧に包まれ木々も多く、視界が通りません。
どの様に見つけ出すか。 そこに力を入れて見るのも面白いかもしれません。
なお、『温室』に足を踏み入れた所からリプレイは始まる予定です。 『温室』までの道中を考える必要はありませんので、お気になさらず。
2章はボス戦です。
スライムを元の住処から追い立てた存在が相手です。 なぜコイツはスライムを追いかけてきたのか……多分イジワルしたかっただけなのでその辺は気にしないで大丈夫です。
3章はお楽しみのお時間です。
学園側から供される原料の他、持ち込みの原料も大歓迎。 どんな薬品を作ってみるか、色々考えてみて下さい。
3章ではヴィクトリアもこっそり現場にお邪魔しております。 お声掛け頂きましたらお相手致しますので、ご遠慮無くお声掛け下さい。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております!
第1章 集団戦
『フラスコスライム』
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POW : スライムブレス
【ねばつく液体のブレス】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : スライムバイト
自身の身体部位ひとつを【奇妙な獣】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : フラスコアブソープション
小さな【自分のフラスコ】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【フラスコ空間】で、いつでも外に出られる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●霧の『迷宮』、再び。
蒸気に包まれた迷宮を抜けて、猟兵達は『温室』へ足を踏み入れた。 かつて激しい戦闘の舞台となったこの場所だが、その爪痕はそれほど強く残っていない。
だが、かつてこの地を訪れた猟兵なら、その差異に気付いたかも知れない。 足元に、以前は見受けられなかった青い影がいる事を。
当の青い影の方……フラスコスライムは、やってきた侵入者達の姿に驚いたのか。 ぴょこんぴょこんと跳ねて、木々の間に消えていく。
……この視界の悪い中、どのようにして青い影を追い詰め、仕留めていくか。 猟兵達の知恵と機転が試されようとしていた。
フェリス・シー
霧が濃くて視界が悪いなら視界に頼らなくても良いようにしたらいいのなの。
バッタならきっと大丈夫なの
約束の刻で相変異したバッタいっぱい呼び出すなの、でバッタに攻撃してもらうのなの
所でスライムのフラスコに吸い込むのって戦いの今にはきっと無意味なの
でももし、入れる事があったら内部から轟音のクラリオン吹き鳴らして吹っ飛ばしてみるのなの
●集まれ、(喚び出した)昆虫の森
深い霧(正確には蒸気だが)に包まれた森。 猟兵達がいる『温室』と呼ばれる地下迷宮の一角は、まさにそんな環境であった。 その上、木々やその下で茂る草花もあって、視界は非常に劣悪であった。
……そんな森の中を、青っぽい影がぴょんぴょこぴょんぴょこ跳ねては消える。 真正面から追いかけてもいずれは追いつけそうだが、あまり疲弊するのも、この後を考えるとどうだろうか……
「なら、視界に頼らなくても良いようにしたらいいなの」
フェリス・シー(ちっちゃなプレインズウォーカー・f00058)は考える。
人の手で探すに難儀をする環境であるのなら、他の生き物の手を借りれば良いではないか、と。
「バッタなら、きっと大丈夫なの」
そんなこんなで喚び出したるは、相変異した蝗……バッタの群れ。 その数、実に100に迫ろうかという数である。
群れを為した蝗・バッタというと、歴史好きな面々には『蝗害』の様なイメージが脳裏を過ったりもするだろうが、一応その辺りのコントロールは出来ているようで。 下生え茂る草花を掻き分けて、バッタの群れが青い影にだけ襲い掛かっていく。
……襲われたフラスコスライムはというと、自身のフラスコに襲い来るバッタを吸い込もうと目論んだ様だが、それが有効なのは『抵抗しない対象』……つまり、敵対的な存在には無意味、ともとれる訳で。
無抵抗にタカられるモノ、体当たりや液体を飛ばして必死の迎撃行動を取るモノ、反応は個体によって様々。
……バッタ塗れになるスライム、免疫塗れになるバッタ。 何というか、虫系がダメな方はそれぞれ想像図にフィルターを掛けて頂きたい絵面であるのだが……
「やっぱりフラスコに吸い込むのって、無意味だったなの」
この幼女、そんな絵面もどこ吹く風。 相手のユーベルコードも冷静に読み切っての余裕の表情である。
……まぁ、戦闘が終われば消えてくれる訳ではあるのだが。 大人としては、ほんの少しだけこの子の将来が不安になる一幕ではあった。
大成功
🔵🔵🔵
秋月・信子
シグルドさんから聞いた「温室」は…ここ、みたいね。
!
い、今何か青い塊が……
もしかしたら、あれがヴィクトリアさんが言っていた「フラスコスライム」、なのかな?
でも、結構素早いし、温室の中も緑が生い茂ってるし……でも、奇妙な音はなんだか規則性ある音みたいだね。
そうだ、「ROSETTA」の自動翻訳機能を使えば…。
彼らが何か言語を持っていれば、会話を分析して何処に集まるか分かるかも知れないし、もし分かれば追跡できるかも…
かわいい姿をしてるけど、あれも…オブリビオン、なんだよ、ね。
……可哀想だけど、ただの銃弾じゃ効果はなさそうだし……紅蓮の魔弾で燃やすしかない、か。
(動物と話す1、情報収集1、追跡1使用)
●見なかった方が良い、という事も時にはあるという話
(ここが、シグルドさんから聞いた『温室』……)
友人からこの地の事を聞いていた為、この地の状況について知識では知っていたという秋月・信子(魔弾の射手・f00732)。
とは言え、知ると見るでは大違い。 想像していた以上に視界が通らない現状に、どうしたものかと思案顔である。
(あの青い塊……『フラスコスライム』、だっけ。 結構素早いし、足元は緑も生い茂ってるし……?)
思案しつつ、ふと信子は気付く。 あのスライム、なんだか妙な音がするが、規則性のある音がしていないか、と。
思い立ったが吉日、試して見る価値はある、と。 自動翻訳機能付きの小型端末を手元に取り出してみる。 何か言語を持っているなら、会話を分析して情報を得ることも出来るかも知れない。
そうして端末を操作してみるが……表示された画面を見て、頭を抱える事になる。 その内容とは……
『なんかきた!』『でも石のかたまりよりはおっきくない?』『っていうかやわらか?』『ぼくたちでもやれそう?』『粘液でネバネバにしてやれば視聴率もとれる?』
……最後のヤツは『躯の海』でなんか変なのでも混じったんではなかろうか。 まぁそれは置いておいて。
どうやら知性は低く、力量差という物も理解は出来ていない様子である。 いっそ無邪気、そう呼んでもいいかもしれない。 最後のヤツは、置いておいて。
(ちょっとかわいいかも……でも、オブリビオン、なんだよ、ね)
若干情が湧いてしまいそうになるが、そこはグッと我慢。 オブリビオンを過去に反し、世界を未来へ繋げていくのが、猟兵足る者の使命なのだ。
(普通の銃弾じゃ効果は薄そうだから……『紅蓮の魔弾』で燃やすしかない、よね)
会話(?)の通りに、一般人然とした風体の信子を甘く見て。 茂みから飛び出してくる数体の『フラスコスライム』。
放たれた粘液を撃ち抜くように、信子は『紅蓮の魔弾』を発砲するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィサラ・ヴァイン
フラスコスライム……災魔でさえなければ可愛いのに……でも敵ですから、討伐しないといけませんよね
それにしても霧が濃いです……人を石化させたり、姿を見られる心配が無いのは助かりますが……このままでは襲われてしまいそうです
ですが、私の体内を流れる【ゴルゴンの血】は猛毒です。それを噛み付いて吸い出そうとすれば……無事な保障はありませんよ?
その後は毒で動きが鈍った所を【隠された恐怖】で1匹ずつ確実にとどめを刺します
(目立たない9、マヒ攻撃1、毒使い10、暗殺1)
「ごめんね。多分わたし……あなた達より怪物なんだ」
●可憐な花には、毒がある
霧の中に佇む、一人の少女。
ヴィサラ・ヴァイン(人見知りなゴルゴン少女・f00702)の緑の髪は、霧の中でも良く映えていた。
とは言え、それは本人にはあまり関係の無い事で。
(それにしても、霧が濃いです……)
人を石化させたり、自身の姿を見られる心配が薄いのは助かるけれど、と心中で呟く。
……ヴィサラの眼には、神話に謳われるとある魔獣の様な、見つめた相手を石に変えてしまう力があるのだという。
それ故に、彼女は普段は人と視線を合わせようとしない。 『友達が欲しい』と思っていても、力が邪魔してしまうのだ。
そんな彼女だからこそ、この霧の中での探索はある意味気が楽なのだろう。 何せ、視界が通りづらいのだから。
(でも、これだけ霧が深いとこっちが襲われてしまいそうです)
人に視線を向ける心配は、薄い。 だが彼女は別にこの森にただ散策に来た訳ではない。
猟兵の務めとして、オブリビオンを打ち倒す。 彼女はその為に、此処にいるのだ。
だが、現状の捜索状況は空振り続き。 そしてそれだけ空振りが続くという事は、相手もこちらの存在に気付くという事で。
ガサガサッ! と茂みが揺れる音がする。 ハッと振り返るヴィサラの前には、フラスコの口を奇妙な生物の牙に変えたスライムの姿。
慌てて回避しようとするも、草木に足を取られて僅かに反応が遅れてしまう。 せめて防御を、と腕を振り上げるヴィサラのその腕を、スライムの牙が捉える。 皮膚の裂ける鋭い痛み、ジワリと感じる血の熱さ。
……常人なら、その痛みに声を上げるだろう。 だが、ヴィサラは叫ばない。 逆に……
「私の血を、吸いましたね?」
その口の端に笑みを浮かべる余裕を見せる。 傷を受けるのは確かに、痛いのだ。
だが、その傷を受ける……血に触れさせる行為が、彼女の利になるのなら?
「私の血は、猛毒です。 ……ほら、力が抜けてきた」
攻撃したのはこちらのはず。 だが今、優位に立っているのは相手の方。 ……ヴィサラを噛んだ『フラスコスライム』には、何が起きたか判らなかっただろう。
そして何が起きたか理解出来ぬまま、『フラスコスライム』はその意識を『躯の海』に還される事になった。
「災魔でさえなければ可愛いのに……ごめんね」
多分わたしは、あなた達より怪物だから。 胸の内でそう呟く。
……『フラスコスライム』を噛み砕いたのは、緑色の蛇。 蛇は何事も無かったかのように、ヴィサラの髪を纏める帽子の中へ戻るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
トゥール・ビヨン
視界が悪いね、これは敵を見つけるのに苦労しそうだ
いくよ、パンデュール!
パンデュールに搭乗して戦うよ
まずは、温室内を井戸に集中して動き回りながらフラスコスライムがいる辺りに当たりを付ける
敵の攻撃は武器受けや盾受けで凌ぎながら、敵を見つけたら敵を中心にその周りをグルグルと動き、渦を作るように動く
その時木や草に足を取られないように気を付けるつつ、上手く地形を利用していく
パンデュールの動きによって霧がかき分けられてきて、敵が見やすくなったらパンデュールの武装ドゥ・エギールでプログラムド・ジェノサイドを行い攻撃を決めるよ
よしっ、これで一丁上がりだ
アドリブ歓迎
●機械鎧が往く
『フラスコスライム』捜索に苦労した猟兵もいた。
トゥール・ビヨン(時計職人見習い・f05703)はスライムの居そうないくつかの茂みに当たりを付けていたが、当のスライムがトゥールの操る超常機械鎧『パンデュール』の姿に怯え、一目散に逃げ出したからだ。
そうして始まったのは、『温室』を舞台にした鬼ごっこである。 ぴょこんぴょこんと逃げ回る『フラスコスライム』は速くは無いが、トゥールが足元を警戒しつつ追う為に中々いい勝負となっていた。 だがその勝負も、いずれは終わりの時が来る。
温室は広大だが、無限の広さがある訳ではない。 端に追い立てられ、『温室』内の空気が搔き乱された事で霧も薄れて、絶体絶命の危機に陥る『フラスコスライム』達に、精強無比な鎧兵が迫る!
だが、このまま終わって良いものか。 ぼくたちにも、意地があるぞ! 眼の前の大きいのは、『石のかたまり』よりは大きくない!
……そう、自らを鼓舞したのかどうかは知らないが。 追い詰められたスライム達が、ある者は粘液を飛ばし、ある者は体当たり、そしてある者は牙を生やして、鎧兵に立ち向かう!
だが、鎧兵はその尽くを武器で、盾で、装甲で受け流し、その手に携えた巨大な武器……両端に刃の付いた薙刀『ドゥ・エギール』を斬り、突き、薙ぎ、払い、舞い踊るように、振り回す。 一太刀振るう毎に、『フラスコスライム』が討ち倒され……
「……よしっ、これで一丁上がりだ!」
連続攻撃を締めくくるように、鎧兵……『パンデュール』を操るトゥールは残心の構えを取る。 その背に残った『フラスコスライム』は、存在しなかった。
……当初の目論見とは若干違う形になったが、彼は立派に戦果を挙げたのだ。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『ストーンゴーレム』
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POW : ゴーレムガード
全身を【硬質化して超防御モード】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : ゴーレムパンチ
単純で重い【拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ : ゴーレム巨大化
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【岩石】と合体した時に最大の効果を発揮する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「アルル・アークライト」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●『おっきな石のかたまり』
『温室』に蔓延っていた『フラスコスライム』の群れを、猟兵達はそれぞれのやり方で駆除する事に成功した。
だが、任務はまだ終わりではない。 予知によれば、この地にそろそろ新たな侵入者がやってくるはずだ。
……感覚の鋭い猟兵は、気付いたかもしれない。
足元が、ズシン、ズシンと。 規則正しいリズムで揺れている事を。 その揺れが、少しずつ大きく……いや、音の主が、近づいてくる事を。
やがて、猟兵達は目の当たりにするだろう。
蒸気の霧を掻き分けて現れる、5メートル程の巨大なヒト型の存在を。
全身を岩で作られたその存在こそが、『フラスコスライム』達を追い掛けてきた『おっきな石のかたまり』であろう。
『おっきな石のかたまり』……『ストーンゴーレム』は、猟兵達の姿をみとめると、まるで新たな玩具を見つけた子供の様に挑みかかってくる!
押し寄せる、岩の塊。 猟兵達は、打ち砕くことが出来るだろうか。
秋月・信子
あれが…あの子達が言っていた『おっきな石のかたまり』…?
確かに大きいけど、動きは…緩慢。
けど、あの巨躯から出される一撃は…先手必勝、あるのみ、ね。
拳銃から背負っていたボルトアクションライフルに持ち替え、静かに構える。
しかしながら、コレではせいぜい岩の表面を僅かに削る程度だろう。
だが…彼女は「魔弾の射手」の猟兵(イェーガー)である。
「――形象(イメージ)。対象、岩塊……骨子形成、形象完了。魔銃……解凍。」
構えたライフルが異形の魔銃に変容する。
「岩を砕き、内部で爆ぜ、風化させる」死のイメージを込めた魔弾を、岩の巨人に撃ち込みます。
(先制攻撃2、スナイパー8、鎧砕き8、鎧無視攻撃2、傷口をえぐる8)
ヴィサラ・ヴァイン
ゴーレムさん……私の天敵みたいなのが来ましたね……元々石だから石化も効果無いでしょうし、毒も効くか不明。石で何か創り出しても下手すれば体の一部に取り込まれるだけ
……困りましたね……この戦いが終わったら私、新しい魔法を編み出すんだー。……よく分からない事を口走ってしまうくらい困りました
……フラスコスライムの死体から体液を集めて、床に巻いてスリップでも狙ってみようかな
【ハデスの隠れ兜】で姿を消して、目立たないよう足元に罠を仕掛けます
(目立たない10)
ティエル・ティエリエル
「ようし、こんな石ころなんてボクが全部砕いてやるよ!」
【ライオンライド】で体長40cm程度の子ライオンを呼び出して「騎乗」するよ。
ふふーん、ズシンズシンとのろまだね。ゴーレムパンチなんて華麗に「見切って」回避するよ!
縦横無尽に駆け回りながら「フェイント」も駆使してゴーレムパンチを無駄うちさせるね♪
それで、バランスを崩したらチャンス!後から「カウンター」で体当たりしてずどーんと転がしちゃうよ☆
向坂・要
ちっと出遅れちまったかと心配しましたがこりゃご丁寧に
お出迎えまでしてもらっちまって
生み出した分体と共に相手を撹乱し狙いを定めにくいように
また味方が攻撃する隙を生み出せる様に攻撃を誘ったり、と立ち回り
あちらさんの攻撃で飛び散る破片などにも注意しねぇと
岩石のより少ない方は誘導を試ようかと
そこらへんも含め視野を広く意識
なにかありゃ、すぐに声掛けさせてもらいますぜ
こいつはたしかに
おっきな石のかたまり
ですねぃ
●
「あれが、あの子達が言っていた『おっきな石のかたまり』……?」
蒸気を掻き分け現れた『ストーンゴーレム』。 その姿を見上げながら、信子が呟く。
全身が岩で構築されたその巨体は、見るからに頑健そう。 一歩動く度に揺れる地面を考えると、質量も相当な物になる……その質量を支えるパワーも、相当な物になるはずだ。
正面から向き合えば、強敵となるだろう事は想像に難くない。
(けれど、動きは緩慢……)
だが、信子の目にはその特徴も弱点に見えた。 勝負の分かれ目は、まともに攻撃を食らう前に相手を叩けるか……先手必勝あるのみだ。
「ようし、こんな石ころなんてボクが全部砕いてやるよ!」
同様に、先手必勝と動き出す猟兵は他にもいる。 ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)だ。
小さな妖精姫は友である子ライオンの背に跨って、『ストーンゴーレム』を翻弄するように地を駆ける。 自身の10分の1程度の小さな存在に纏わり付かれたゴーレムは鬱陶しげに手を振り回すが……
「ふふーん! ズシンズシンと、のろまだね!」
ドヤァ、という効果音が聞こえてきそうな見事なドヤ顔を披露するティエルに対し、言葉は通じずともバカにされている事は伝わったのか。 ゴーレムはこの小さく小生意気な存在を押し潰そうと一層激しく手足をバタつかせる。
激しく振られた手は、ティエルの予想した軌道を僅かに違えてその身に迫る。 ラッキーヒットが生まれるか……
「おっと、そうはさせねぃよ、っと」
そう思った瞬間に響く声。 そして直後、高い音が『温室』に響く。 ティエルに迫った腕を、また別の鉱物が迎え撃ち軌道を変えたのだ。
剣の主は、向坂・要(黄昏刻・f08973)。 ゴーレムの腕を迎撃した物は、彼のヤドリガミとしての本体、その複製品だ。
要の表情が、ほんの一瞬険しくなる。 仲間の危機は救えたが、ゴーレムは意にも介さずと言った風情のままである。 自らの攻撃では有効打が狙いづらい事を、瞬時に悟ったのだ。
だが、その表情も次の瞬間には飄々とした物に変わる。 相手の狙いを絞らせぬ様に撹乱したり、味方の動く隙を生み出す様に自身に狙いを誘ったり……やれる事は、他にもあるのだ。
……それに。
「お二人さん、あっちの方に誘導をお願い出来ませんかねぇ?」
要の提案に、信子とティエルが顔を合わせる。 要が指差す方向は、温室の中でも比較的開けた空間だ。
開けているという事は、巨大な相手にとっても動きやすい場所という事である。 特にメリットがあるようには思えないが……?
「ちょいっと気になる動きをしているのがいましてね。 乗ってみようかね、と」
そう言ってニヤリと口の端を曲げる要に、信子は一瞬考えを巡らせる。 自身の攻撃も、あの硬い岩の前では表面を僅かに削る程度に終わるかもしれない。
……勿論、切り札はある。 だがその為には、相手の足が止まってくれた方が、確実性が増す。 その為の助けになるのなら……
「考えが、あるんですね? でしたら……やってみましょう」
「ボクも協力するよ!」
信子が銃を構え、ティエルが地を疾駆する。
3人が誘引しようとする地には、何があるというのだろうか……?
●
「……困りましたね。 私の天敵みたいなのが来ました……」
ヴィサラは困った表情で、考えを巡らせていた。
彼女の言葉通り、『ストーンゴーレム』とヴィサラの相性はハッキリ言って最悪に近い。 彼女の特性は元々石である相手には通じないであろうし、蛇の牙、毒が通じるかも未知数。 何かを創り出したとして、下手を打てば相手に取り込まれかねないのだ。
……あれ? これ詰んでない? と、そう思ったかは定かではないが。
「……この戦いが終わったら、私新しい魔法を編み出すんだー……」
現実逃避に良く分からない事を呟いてみる。 それくらい、ヴィサラは困っていたのだ。
……ともあれ、いつまでも現実逃避に興じている訳にもいかない。 さりとて、攻撃の手は殆ど通じないのは目に見えている。
「……フラスコスライムの体液を撒いて、スリップでも狙ってみようかな」
煮詰まりそうになる思考で考えついたのは、そんな小手先の罠だった。
……だがその罠を準備する光景が、要の目に入り……この後、戦闘を決める大きな一手となる事を、ヴィサラはまだ知らない……
●
「ふふーん!! そんな大振りな攻撃、当たらないもんね♪」
地を割るような大振りな拳の一撃を、ティエルと相棒の子ライオンは華麗なステップで回避する。
直後、ゴーレムの頭部に火花が散る。 信子の放つ銃弾が弾かれ、甲高い音を立てたのだ。
(やっぱり、普通の銃弾じゃ……!)
予想通りとは言え、有効打を与えられない事に信子は小さく落胆。 切り札を切ればダメージを与えられるだろうが……最大の効力を得るには、相手の動きを止めたい所だ。
「うぅーっ! まだ逃げなきゃダメなの?」
「焦りなさんなって、もう少し……っと、ここだ、ここだ」
駆け走りながら不満の声を上げるティエルを宥める要。 足元を確認すると、満足げに小さく頷きを見せて……
「二人共、飛び越えろ!」
「えっ!?」「わ、わっ!?」
声を掛けながら、足元の液体……『フラスコスライム』の体液で作られた、滑り罠を飛び越える要。 信子とティエルも声に従い慌てて跳躍し罠を超える。
罠を準備していたヴィサラはと言うと、三人が現れた途端に驚き慌てて目を見開き、ユーベルコードで姿を消してしまう。 目立たぬように、その気配すらも断つ構えである。
……時をそう待たずして、その場に到着する『ストーンゴーレム』。 小さな存在たちを追い掛け、鈍足ながら可能な限りのスピードで突き進んだ勢いのままに罠に足を踏み入れ……
追いついたぞ! と拳を振り上げながらの姿勢だったから、堪らない。 足元のヌルヌルに足を取られ、踏ん張りがつかずに慌てて手を泳がせてバランスを取る間抜けな姿を晒すではないか!
そしてこの場にいる者達……猟兵は、そんな好機を逃すような間抜けでは無い!
「――形象(イメージ)。 対象、岩塊……骨子形成、形象完了。 魔銃……解凍!」
手に構える武器を背負っていたボルトアクションライフルに持ち直し、信子が狙いを定める。
銃はたちまち異形へと変じ、人類の生み出した無骨な武器から、禍々しい魔銃へと姿を変えていくではないか。
……これが、信子の『切り札』。 手に持つ武器を触媒として変異させた魔銃。 その内部込められた魔弾は……
(岩を砕き、内部で爆ぜ、風化させる……!)
鉱物にとっての、ある種の『死』。 それを強くイメージした物。 たたらを踏む岩塊の巨人に筒先を向け……
「……撃ちます!」
ズドン、と。 ただのライフルでは生じぬ、重低音が『温室』に響く。 衝撃波が駆け抜け、木々がざわめく。
……決まった、と。 そう思った……だが、耳を劈く様な高音に、信子は目を疑う事になる。
放たれた鉱物を殺す銃弾、それは確かに命中した。 だが『ストーンゴーレム』は倒れない。 銃弾を受けた部分を大きく削られたが、未だその場で立っている! どうやら、全身を硬質化する事で間一髪、死を免れたと見える。
己の切り札が決定的な一打とはならなかった事に、信子の心中は信じられない、と。 その思いで満たされた。
……だが、そこで足を止めない者が、後に続いた。
「まだまだ! いくよ、ライオンくん!」
相棒に一声、ティエルがゴーレムへ突撃。 小さな体に勢いを乗せて、「どーんっ☆」っと、巨兵に体当たりをお見舞いする!
すると、どうしたことだろうか。 フェアリーの中でも小柄なティエルの体当たりを受けて。 グラリ、と。 『ストーンゴーレム』がバランスを崩して、そのまま仰向けに倒れ込んでいくではないか!
……信子の魔弾は、無駄では無かった。 表面上のダメージは、確かに抑え込まれていたのだろう。 だが、その衝撃は『ストーンゴーレム』の内部を蝕み、確かな爪痕を残したのだ。
「……いやはや。 確かにこいつは、『おっきな石のかたまり』、ですねぃ」
ズズゥン、と。 地に崩れ落ち動かなくなった『ストーンゴーレム』。 動かぬ巨岩を眺めながら、要が呟く。
冷静に状況を見た要の判断力、無駄と思いつつも動いたヴィサラの応用力、相手の特性を見極めた信子の火力、巨体にも怯まなかったティエルの勇気が、この瞬間に見事に結実し。
猟兵達は、見事に勝利を収めたのだった。
大成功
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第3章 日常
『回復薬の作成』
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POW : 鍋をひたすらかき混ぜる.重い材料を運搬する等
SPD : 薬の素材を集める.調理技術で味を整える等
WIZ : 作り方を指示する.魔法で回復力を高める等
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●体験、魔法薬作り!
『温室』を巡る一連の戦いは、猟兵達の勝利として幕を閉じた。
これで今後もあの『温室』で魔法薬を求める学生達の安全は、保たれる事だろう。
……現時点では、という但し書きは付くけれども。
ともあれ、『温室』はこれからも学生達の原料採集の場として使われる事となった。
その御礼も兼ねて、学生たちから猟兵達を魔法薬作りの場に招待したいと誘いがあったらしい。
各種原料は揃っているが、持ち込みも可。 大抵の薬品は作れる程度に、環境も整っているのだとか。
……ちょっとした息抜きや、知的好奇心を満たす為に。 参加してみるのも、面白いのでは無いだろうか?
ティエル・ティエリエル
「へぇー、ポーションってこうやって作るんだね♪あっ、色が変わったよ!」
【WIZ】で判定。
好奇心旺盛な妖精姫、学生たちの魔法薬作りを興味津々で見ているよ。
途中からは一緒に作業して、どんな地味な手順も一喜一憂して楽しむよ☆
そうだ!ハチミツ混ぜたら甘くて美味しくなるよ!
えっ、余計なもの混ぜたら危ない?大丈夫大丈夫、ハチミツは凄いんだよ!ボクの分けてあげるね!
いつも通り、何の根拠もなくドヤドヤして勝手にUDCアース産のハチミツを放り込んじゃうよ☆
●ポーション(新味)を作ってみよう!
「へぇー、ポーションってこうやって作るんだね♪ ……あっ、色が変わったよ!」
学生達のポーション製作に交じる様に、猟兵達もそれぞれ輪に交じる。 その輪の一つから、少女の楽しそうな声が聞こえる。
声の主は小さな妖精姫、ティエル。 好奇心旺盛な彼女の目には、学生達の手慣れた様子がまるで魔法のように視えたのだろう。
輝く瞳で作業を見つめられる学生達の方も心なしか恥ずかしげだが、悪い気分では無いらしく。 ティエルの相手をしてくれる。
そんなティエルの明るく楽しげな声が響く中、作業は順調に進んでいく。
出来上がるのは、ベーシックな疲労回復用のポーション。 アルダワ魔法学園の学生なら誰もが一度はお世話になる代物だが、味の方はお世辞にも良いとは言えない代物である。
「うぇぇ……ニガそうだね?」
濃い緑色をしたその薬品を見て、ティエルも思わず言葉を零す。 飲んでもいないのに、その顔はまさに苦虫を噛んだという様な表情だ。
そんなティエルの声に、学生達も思わず苦笑い。 まぁ実際苦いしねぇ、コレ。 と言う声も聞こえる。
良薬口に苦しという言葉もあるし、学生達はそういう物だと諦め顔であるのだが……
「……そうだ! ハチミツ混ぜたら甘くて美味しくなるよ!!」
イイコト思いついた! とティエルの声が響く。 慌てる学生達、完成品に混ぜ物をしたら、何が起こるか判らないという不安の声も聞こえてくる。
だがそんな声はどこ吹く風。 いつもの自信に溢れたドヤッとした表情を浮かべながらティエルは語る。
「大丈夫、大丈夫! ハチミツは凄いんだよ! ボクの分けてあげるね!」
根拠? そんな物は存在しない。 強いて言えば、苦いんなら甘いものを混ぜれば良いじゃない、程度だろうか。
だが新しい物を生み出すのは、いつだって子供っぽい空想、自由な発想である。 理論・理屈はそれを補強する材料に過ぎないのだ。
……ティエルのこの思い付きが、後に『ポーション味覚革命』と呼ばれる現象へと繋がる……かどうかは、定かではないが。
だが学生達の発想に、小さな変化を齎した事だけは、確かであった。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィサラ・ヴァイン
……先程のゴーレムさんとの戦いは何とか乗り切りましたけど……次もこう上手くいくとは限りません
何か新しい魔法のヒントになるかもしれませんし、魔法薬作りに参加します
薬の材料として、私からは【ゴルゴンの血】を提供させていただきます。……え? こんなものどこで手に入れて来たかって? それはその、あれですよ。この前怪しい商人さんが譲ってくれたんです(実際は自身への輸血用にストックした血を持って来た)
その後は私の血……ごほん、【ゴルゴンの血】をどう使うのか皆さんの薬作りを見学します
精製して霊薬を作るのかな?
霧状にして散布するのかな?
「ふむふむ……なるほど……私の血にこんな使い方が……」
アドリブ歓迎
●新素材(爆弾)を提供して(炸裂させて)みよう!
明るく賑やかな輪もあれば、静かに冷静に実験を進める輪も存在する。 ヴィサラが参加したグループが、そんなグループだった。
……今回の戦いで、ヴィサラは相性の悪い相手に対する選択肢の無さを痛感した。 幸い、機転を以て戦闘に貢献は出来たが、次の戦場でもそう上手く行くとは限らないのだ。
見識を広げる事で、何か新しい魔法のヒントを掴めるかもしれない。 そう考え、ヴィサラはこの場に参加し……爆弾を、学生達に投下してしまう事になる。
「あの、材料なんですけど。 私からは、コレを……」
ヴィサラが提供した物は、瓶詰めの液体。 赤黒いソレを見て、学生の一人が「血液?」と呟く。 だが何の血液なのかまでは、思い至らぬ様子。
「これは、【ゴルゴンの血】……毒にも薬にもなる、魔獣の血液、です」
ヴィサラの声に、ポカンする学生達。 だが直後、伝承に伝わるレベルの素材という事実を認識し、ざわつき騒ぎ出す。
「こ、こんな物をどこで!?」「っていうかどうやって!?」「いやそもそもゴルゴンって実在してたのか!」
興奮し騒ぎ出す学生達。 詰め寄り入手経路を尋ねられれば、「怪しい商人さんが譲ってくれたんです」と帽子で視線を隠しながら答えるヴィサラ。
……実際には、この【ゴルゴンの血】はヴィサラ本人の血であり、自身への輸血用のストックであるのだが。 その辺りの真実を学生達に語る必要は無いだろう。
「と、とにかく! まずは成分調査を……」「薬草との相性のチェックも必要よ!」「やっべぇテンション上がってきた!」
大騒ぎしながら動き出す学生達を眺めながら、ヴィサラは額から流れる冷や汗を拭う。
精製して霊薬とするのか、霧状にして毒薬として散布するのか。 彼らの発想を見てみたかったのだが……思いもよらない方向で大騒ぎになってしまいそうだ。
……この騒動の結果、ある種の素材への理解を学園生徒達は深める事になるのだが、それはしばらく後の話。
今のヴィサラは、ちょっとやりすぎてしまったかも知れないとほんの少しだけ後悔してしまうのだった。
成功
🔵🔵🔴
秋月・信子
「世界が違っても…学校と、生徒の賑わいは変わらないんだね」
異なる世界の学生服姿である彼女は、生徒から「転校生」のような待遇を受ける。
魔法薬作りで彼女はある事ををやろうとする。
(『災魔』じゃない、今を生きて未来に進む「フラスコスライム」を作れない…かな?)
猟兵の使命として手をかけ、翻訳機越しで知った本来は無邪気な存在であろう彼らを思い出す。
償いとして生まれ変わった彼らと共に歩みたい、そんな思いを巡らせながらこっそり持ち帰ったフラスコスライムの体液を魔法薬の原料に混ぜる。
しかし、彼女は知らなかった。
その体液は翻訳機で読み取った個体群の『最後のヤツ』の物であったことを…
(コミュ力1、言いくるめ3)
●他とは違う事を、やってみよう!
(世界が違っても……学校と、生徒の賑わいは変わらないんだね)
実験素材を囲み、時に賑やか、時に静かに集中して、実験する。 そんな光景に、信子は懐かしい物を見て、感慨深い思いを抱いていた。
アルダワ魔法学園の制服とは違う、彼女の纏う学生服。 それだけが、彼女がかつて通っていた学園との関係を示す物。
かつての賑やかで懐かしい日々が脳裏を過り寂しげな表情を浮かべた信子を、学生達は暖かく輪に迎え入れてくれた。
学生達にとって、猟兵である信子は転入生であり、困難を打ち破る希望の一つだ。 学生達が信子を迎え入れるのに、否は無いのだ。
学生達の輪に加わり、賑やかな時間を体験する。 だがその中で、ふっと信子は考える。
(『災魔』じゃない、今を生きて未来に進む『フラスコスライム』を、作れない……かな?)
自らが手を掛けた、あの無邪気なスライム達に思いを馳せる。
猟兵として、信子は当然の事をした。 そこに、罪悪感を覚える必要は、無い。 だがそれでも、無邪気であった存在を手に掛けたという事実に、信子は罪を感じていた。
……出来るなら、その罪を償いたい。 再び生まれ変わった彼らと共に、未来を歩んでみたい。 そんな思いを、巡らせて……信子はこっそり持ち込んだ、『フラスコスライム』の体液を、魔法薬の原料に混ぜ込んで見る。
だが、信子は知らない。 彼女の持ち帰った体液は、あの個体群で異質を放ちまくっていた『最後のヤツ』の物であった事を。 製薬結果がどうなったのかは……ここで語る必要は、無いだろう。
賑やかな時間は続く。 その賑やかな時間、未来へ繋がって行く今は、猟兵達が守った『温室』と、その地で採集された原料があってこそ。
猟兵達の、世界と繋がる未来を守る戦いは、これからも続くのだ……
成功
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