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魅惑の工場制圧ツアー

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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「各々方、討ち入りの時間でござる!」
 シャイニー・デュール(シャイニングサムライ・f00386)がテンション高くそう叫んだ。
「戦場はアポカリプスヘル、攻め入るは工場が改造された要塞! 工場で攻城戦でござるな!」
 腕組みしてうんうんと一人うなずくシャイニー。どうやら今のは凄くうまいこと言ったつもりらしい。

「まずは敵の一の丸、工場部分を攻略していただきたい。ここは元は鉄製品を扱う工場のだったらしく、巨大なプレス機や電動工具、さらには溶鉱炉まで休むことなく稼働しており申す」
 つまりそこにいるレイダーを倒せばいいのか、という言葉に、シャイニーは首を横に振って答える。
「否、皆様に仇なすのは、この工場そのものにござる。この工場はオブリビオン・ストームによって誰の手も借りずとも機械が融合、変化を繰り返すようになり、設備を罠として使って侵入者を撃退する鋼鉄の迷宮と化してしまっているのでござるよ」
 物を作るためでなく敵を壊すために動き続ける狂った工場。これをどうにかして壊し、あるいは躱して突破する。あるいは本質が機械であることは変わっていないので、そこを突けば機能を停止させることもできるかもしれない。

「そして二の丸、広い整備所でござる。ここには多くの小型戦車が格納されておりますが、侵入者を見つけ次第、自動で動いて襲い掛かってきます。皆様にはこれを駆逐していただきたい。ですが一つ問題がありまして」
 そう言ってシャイニーは指を立てる。
「ここには一般の人々が囚われ、戦車の整備役として働かされております。戦車たちは戦闘になれば、世話してくれた恩も忘れ整備士殿もろともこちらを攻撃してくるという、全くけしからん不忠者にござる。それ故、戦うときは彼らをかばう、あるいは逃がすなどして守りながら戦う必要が出てきますな」
 格納庫に忍び込んでこっそり逃がす、自分が囮になりながら戦う、あるいは火力に物を言わせ攻撃させる間もなく一気に倒すなど、自分の能力や適性に合った方法を選んで戦車軍団を制圧して欲しいとシャイニーは言う。

「最後に本丸、大型格納庫ですな。ここにはこの工場を支配している、巨大戦車のオブリビオンが鎮座しており申す。こやつは戦車でありながらオブリビオン化によって知能をつけ、この工場を拠点に戦車王国を築こうとしている野心家にござる」
 それは野心家というより夢想家か妄想家では……というツッコミはシャイニーには聞こえない。
「こやつは多数の戦車砲から様々な砲弾を撃ちだし攻撃してきます。かなりの強敵ですが、前の戦いで救出した整備士殿たちはこやつの整備もやらされていたらしく、その特徴や弱点を知り尽くしており申す。きっと的確なアドバイスを授けてくれましょう。また頼めば倒した小型戦車を応急修理し、それに乗って援護射撃を行ってくれるかもしれません。もちろん主力にできるような戦力ではござらぬが、頼もしい味方となってくれることでしょう」
 それまでの展開にもよるが、整備士たちも解放が近いと分かれば士気も上がり積極的に協力してくれるだろう。彼らとうまく連携し、この狂気の工場を制圧して欲しい。

「巨大戦車を倒せば工場も小型戦車もオブリビオンとしての機能を失い、あとは壊れた機械として残り申す。この整備士殿たちならばこれらを修理し、ここを新たな拠点として復活させてくれることでしょう」
 こうした活動が、いつかアポカリプスヘルを復興へと導いていくのだと、シャイニーは力強く言う。
「それではいざ、出陣にござる!」
 勇ましい掛け声とともにグリモアを起動し、シャイニーは猟兵たちを戦場へと送り出すのであった。


鳴声海矢
 初めまして、もしくはこんにちは、新参マスターの鳴声海矢でございます。

 2本目のシナリオはアポカリプスヘルでの工場強襲。
 危険な工場を突破してからの戦車型オブリビオン2連戦となります。

 第1章は暴走する工場の突破。具体的に何の工場かは不明で、そもそも内部も変化を繰り返しているのでどんな機械がどう襲ってくるかもわかりません。
『こんなのが来たらこう返す!』と書いていただければ、割とその通りになるかもしれません。
 内部は迷路のように複雑ですが、躱しながら出口を探すも、全てぶち壊して道を作っていくも自由です。

 第2章は小さめの戦車が大量に出てきます。
 整備士さんたちは戦車の整備をしていたり、詰所という名の牢屋に閉じ込められてたりするので、それぞれ得意な技能を使ってうまく救出あるいは護衛してください。
 よほど無茶な要求でなければ言うことは効いてくれるので、誘導は比較的容易です。

 第3章はボス戦。
 整備士さんたちがボスの弱点を教えてくれたり、戦車で援護してくれたりします。それを活用して思う存分大技を叩き込んでください。
 ただし彼らの戦闘力は猟兵とは比ぶべくもないので、ダメージソースとしては当てにしないでください。

 基本的には軽めなノリの活劇になると思いますが、プレイング次第では別方向に行くかもしれません。
 それでは、よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『迷宮工場を攻略せよ!』

POW   :    物理的に破壊し、攻略する

SPD   :    技術や身体能力で攪乱し、攻略する

WIZ   :    魔術やハッキングで干渉し、攻略する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 働く者のない工場の中、機械だけが忙しなく動いている。
 丸鋸が床すれすれに振り回され、ドリルが床から飛び出す。
 巨大なプレス機は巨人の顎のように開閉を繰り返し、炉の中で煮えたぎった鉄は犠牲者に飛び掛かる瞬間を待っている。
 作るためでなく殺すために動く機械たちが待ち受ける狂った作業場。
 この奥にある敵本陣を目指し、猟兵たちは迷宮工場へと挑むのであった。
藤宮・華澄
※アリス、エルーゼ、ジェイクと行動

「この奥に……」
奥へと進むには危険な個所を抜けないと。
上には溶けた鉄が入った容器が動いてる。
「人影……?あれって」
ジェイクさんですよね?この間買ったチョコを渡さないと。
「え……」
近づいたら振り向きざまに吹き飛ばされて……目に入ったのは宙に舞うチョコ。
それが溶けた鉄に……。
「チョコ……せっかく選んだのに……」
今は先に進むのが先ですよね。
捕まってる人たちを助けないと。

アドリブOK


ジェイク・リー
※アリス、エルーゼ、華澄と行動

(ほんとに誰もいねえな)
【第六感】で罠を回避しながら探索。先に進む道を模索する。
「ん?」
呼ばれて振り返ると、上から溶けた鉄が落とされそうになるのを見て【念動力】による【衝撃波】で吹き飛ばす。
「チョコが何だって?」
話を聞いて溜息を吐く。
「いまやる事忘れんなよ。いくぞ」
先導する形で進む。『狼の覇気』を解放して飛んでくる丸鋸を蹴りで破壊する。
怪しいところは【破壊工作】で壊してみる。

アドリブOK


アリス・スラクシナ
※エルーゼ、華澄、ジェイクと行動

「ふむ……たしかに危険そうだ」
上もそうだが他にも危険な場所らしい。警戒を怠らないようにしなければ。
にしても……罠が悉く破壊されているな。どうなってる?
「ここは溶鉱炉か?」
そこらで鉄が溶かされているな。空調は利いてないのか暑いな。
「華澄、それは?」
聞けばチョコらしい。
「いればいいのだがな」
噂をすれば影が差す、いたな。
「あぶない!」
突き飛ばされた華澄は私とエルーゼでキャッチできたが、チョコは……。
「今は探索だな」
そして罠を破壊した奴も解ったが……。
「せめて武器をだな」

アドリブOK


エルーゼ・フーシェン
※アリス、華澄、ジェイクと行動

「これ、破壊されてない?」
警戒しろ、と言われたけど来る途中の罠とか全部破壊されてるわ。
「相当なパワーで破壊したみたいね」
まあ楽に進めるからいいか。
ここで会えるとはね。まあいいけど。
「っと」
吹き飛ばされた華澄は無事みたいね。まあ、チョコは残念だけど。
「まったく、生身で丸鋸壊す?」
こいつ、左腕以外も変えてるんじゃ……。
まあおかげで道の探索できそうだし、アシストに専念できそうね。
【第六感】や【野生の勘】で危険予知や隠し通路を模索してみるわ。
アリスと華澄は援護を任せたいわね。

アドリブOK



(ほんとに誰もいねえな)
 最初に工場へと踏み入れた男、ジェイク・リー(鋼の豪傑・f24231)は、声に出さず心の中だけでそうつぶやく。
 目の前には牙を研ぐようにうなりを上げる、狂気の殺戮機械たち。
 ジェイクは持ち前の勘の良さで罠の動きを察すると、その隙を見つけながら安全な道を探し始めた。

 そして少し遅れて工場入口に現れた三人の女。
「この奥に……」
 藤宮・華澄(戦医師・f17614)は緊張した面持ちで工場を見上げるが、その手にはこの場に、そしてこの時期に似つかわしくない可愛らしいものが握られていた。
「華澄、それは?」
 アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)がそれを見つけ問いかけると、華澄は少し恥ずかし気にしながらチョコだと答えた。
「ああ、あの時の……」
 エルーゼ・フーシェン(魔剣使い・f13445)はそれが何か心当たりがあるのか、分かったように頷く。アリスもその様子を見てそれが何か、そして何のために持ってきたのかを察し、工場へと視線を向ける。
「いればいいのだがな」
 アリスの言葉に、華澄はきっといるはず、と心の中で思いながら、工場の中へと歩を進めていった。

 ジェイクは、襲い掛かる罠を回避しながら安全な道を見つけては進んでいった。
 落ちてくる天井は受け止め、床から飛び出すドリルは躱し、避けるのが面倒そうなものは近づかない。それは第六感という名の、経験と実力に裏打ちされた瞬時の判断力であった。
 そしてそのジェイクの姿を、藍色の瞳が捕らえていた。
「人影……? あれって」
 その瞳の主、華澄は探し人の姿を見て駆け寄る。
「ジェイクさん!」
 華澄の声に、ジェイクは足を止めて振り返る。
 だが次の瞬間、ジェイクは手を突き出し、そこから念動力による衝撃波を放ち、華澄を吹き飛ばした。
 予想外のことに無防備なまま直撃を受け、華澄は後ろに跳ね飛ばされる。と同時に手の力が緩み、チョコが手からこぼれて宙を舞った。
 そしてそれと同時に、上から溶けた鉄が降り注ぎ、たった今華澄がいた……今はチョコだけが残された場所を焼き尽くした。
「あぶない!」
「っと」
 後ろからエルーゼとアリスが駆け寄り、倒れ込む前に華澄を受け止める。
「ここは溶鉱炉か?」
 そこら中で溶かされている鉄と、空調等存在しない暑さにアリスがそう言った。
 だが華澄はそれには答えず、今しがた溶鉄に飲み込まれた場所を見て小さな声で呟く。
「チョコ……せっかく選んだのに……」
「チョコが何だって?」
 前方にいたジェイクが戻ってきてぶっきらぼうにそう言う。
「ああ、この間ちょっとね……」
 華澄を支えながら、エルーゼが過日UDCアースであった騒動と、その最後に行われた季節外れの買い物の顛末を語った。
 それを聞いたジェイクは大きく溜息をつき、
「いまやる事忘れんなよ。いくぞ」
 それだけ言い捨てると、再び工場の奥へとむけて歩き出した。
「……今は先に進むのが先ですよね。捕まってる人たちを助けないと」
 華澄はそう言うと立ち上がり、彼の後を追うように先に進み始める。
 その声がどこか固く取り繕うようだったのは、彼女が今しがた死の淵を掠めたからだけではないだろう。
「今は探索だな」
 アリスは華澄の背を軽くたたき、前へと進むよう促した。残酷なようでもあるが、ここがオブリビオン・ストームの影響下にある危険地帯である以上、余計な感傷に浸っている暇はないのだ。

 三人がそのまま前に進むと、前方から巨大な破壊音が響き渡った。
 巨大なものを破壊する、どがん、ばぎん、という轟音が絶え間なく聞こえてくる。
 何事かと足を速めると、そこではジェイクが『狼の覇気』を解放、徒手空拳にて迫りくる巨大な機械を次々と破壊していた。
 迫る丸鋸を蹴り壊し、粉砕機は殴って止め、下から突き出すドリルは纏めてへし折る。さらに【暗殺者の戦術】を用いることで一度壊した罠のパターンを把握し、同型の罠は二度目以降より効率的に壊していく。
「まったく、生身で丸鋸壊す?」
 その様子を見たエルーゼは呆れたようにそう言い、
「せめて武器をだな」
 アリスも困ったように頭に手を当てた。
「まあおかげで道の探索できそうだし、アシストに専念できそうね」
 エルーゼはそう言うと、壊れ果てた機械の裏側を調べ、隠し通路や危険を探す。
 何かがあれば自身も地形を破壊するほどの一撃で粉砕するつもりでいたが、それを放つ必要がある程の危険は前方の男がすべて先んじて破壊していっている。
 アリスと華澄もその後ろで壊れていない機械の襲撃に備え構えるが、やはりジェイクの通った後にはそのようなものは一切残されておらず、まるで先導されているようにその後ろをついていくしかなかった。
「ジェイクさん……」
 一人の時は躱していた罠を壊しつくして進んでいくその意味は。
 それを華澄が量れていたかどうか、そしてそれが正解なのかどうかは、誰も知らない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎

■行動
暴走中とはいえ、この世界で稼働している工場は貴重ですねぇ。
何とか収めたいところですぅ。

内部は迷路状とのことですし、【饒僕】を召喚して[情報収集]、適切なルートを探しましょう。
『FBS』を四肢に嵌めて飛行しておけば「落穴(溶鉱炉行)」等の罠はほぼ無効化出来ますし、[情報収集]で罠の場所を判別出来れば「『FRS』で撃ち抜く」「『FSS』で受け流す」等、無効化する方法は色々ありますので。

後の利用を考え無駄な破壊は避けますが、整備士さん達を逃がさない様にしていること、避難時に罠に掛からない様にする準備等を考えますと、整備所近くの罠は確実に壊しておきたいですねぇ。



「暴走中とはいえ、この世界で稼働している工場は貴重ですねぇ。何とか収めたいところですぅ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は工場に入ると、闇雲に進もうとはせず、まずは入り口付近の安全な場所を確保した。
「さて、それでは……大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、女神の僕達よ、私の元へ」
 その上で【豊乳女神の加護・饒僕】を用い、女神の僕である小動物たちを呼び出す。
 情報収集に長けたその小さな僕たちは、るこるの指示を受け工場内に一斉に散った。
 ややあって、散らばった僕たちが戻ってくる。
 僕たちはめいめいが得た罠の情報をるこるに伝えた。
 まっすぐ進めば丸鋸が襲ってくる、それを迂回しようとすれば旋盤が挟み込んでくる。逆側に回り込めば上からプレス機が落ちてきて、それから逃げるにちょうどいい横道は溶鉱炉直通の落とし穴である……
 いずれも殺意に満ちた、偏執的ともいえる罠の数々であった。
 だが元より侵入者を生かして返す気などない場所、危険な罠が敷き詰められているなど百も承知のことである。
 僕たちから得た情報を整理し、るこるは出口まで抜ける算段をつける。
「よし、これで行きましょうかぁ」
 一通り考えがまとまると、るこるはその計算に従って進み始めた。

 るこるが選んだのは、プレス機が待ち構える迂回路であった。
 踏み入れてしばらくは何もなかったが、やがて頭上から轟音を立て、巨大な鉄板が下りてきた。恐らくは逃げも進みもできない場所まで追い込んでから、確実に潰すためであろう。
 それを確認すると、るこるは素早く左右を見回す。
 ─あった。
 鉄で作られた壁の隙間にある、身を隠すのにちょうどいい隙間。それを見つけたるこるは、迷わずそこに飛び込んだ。
 そして次の瞬間、轟音と共にプレス機が床についた。
「情報通り、ですねぇ」
 るこるは壁の隙間の中、下り切ったプレス機の真横でそう呟く。
 その足元には深い穴が開き、その底では煮えたぎった鉄がごぼごぼと音を立てていた。
 るこるは四肢につけた戦輪『FBS』によってその穴の上に浮き、熱気に炙られながら汗を垂らす。
 しばらくしてプレス機が上がったのを確認し、再び下がって来ないうちに急ぎその下を通り過ぎるのであった。

 そのまま集めた情報に従い、罠を躱し、飛び越え進み続けたるこる。
 やがてその眼前に、壁につけられた一枚の簡素な扉が現れた。恐らくはあれが整備場への入り口であろう。
 もちろんゴール地点と言えるここにも、多数の罠が仕掛けられているのは分かり切っていることである。
「それじゃあここは……えいっ!」
 今まで極力破壊を抑えてきたるこるは一転、操作可能な遠隔装備を全て展開し、扉周りの罠を一気に壊し始めた。
「整備所近くの罠は確実に壊しておきたいですからねぇ」
 ここの罠は侵入者を阻むと同時に、奥で働かされている整備士たちを逃がさない役目も担っているのだろう。そう判断したるこるは、これから整備士たちを脱出させるときに備え、ここの罠だけは全て壊しておかねばと、念入りな破壊行為に臨んだのだ。
 今まで避け続けてきた鬱憤を晴らすかの如く、派手な破壊音があたりに響き渡る。
「さて、これくらいでいいでしょうかぁ」
 やがてあたりの罠は壊しつくされ、スクラップの山と成り果てた。
 るこるは扉前の瓦礫を撤去して通り道を確保し、次の脱出作戦の準備を整えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴェロニカ・アイアンサイズ
【POW】※アドリブ・連携歓迎

廃工場…、本来なら文明再興に必要なリソースだけど、オブリビオン化しているなら壊しても問題ねえな?(【GAU-127】をこれ見よがしに構える)

(工場のドアを蹴り飛ばしてエントリー)さーて、工業機械が.50キャリバーにどれだけ耐えられるかな?(【GAU-127】で手当たり次第に【2回攻撃】【制圧射撃】しながら侵入ルートをこじ開けていく)

お、工作ライン制御用コンソール…の周りを丸鋸が囲んでやがる。まあ関係ねえけどな。(丸鋸は踏みつぶして強制停止。コンソールは前蹴りで粉砕)…ビンゴ!楽勝だぜ!戦車砲が直撃でもしない限り、パワードスーツは止められねえぜ!(フラグ)



「廃工場……本来なら文明再興に必要なリソースだけど、オブリビオン化しているなら壊しても問題ねえな?」
 ヴェロニカ・アイアンサイズ(コモンウェルスのミラクルサバイバー・f25587)はそう言って、自慢げにガトリングガン『GAU-127』を構える。その眼前には閉ざされた工場の扉。
「そんじゃまあ……お邪魔しますだオラァ!」
 ヴェロニカは豪快に工場の扉を蹴り飛ばし、一気に中へと踏み込んだ。
 既に何人かの侵入者を確認している故か、機械たちは隠れることもなくヴェロニカに対して牙をむく。
「おーおーご丁寧な歓迎だなこりゃ。さーて、工業機械が.50キャリバーにどれだけ耐えられるかな?」
 構えられた『GAU-127』が火を噴き、迫る機械たちをなぎ倒す。
 回転して迫るフライス盤は銃弾で形を歪められ、過剰な火力を持ったガスバーナーはノズルを断ち切られて燃料を垂らしながら床へと転がる。うなりながら台ごと突っ込んできたベルトサンダーが細切れになって散らばり、スパークをまき散らしていた放電機は電極を打ち砕かれ沈黙する。
 生き延びるために磨き上げられた火力は、殺すことを覚え本分を忘れた機械たちを次々と沈黙させていった。

 迫る機械たちを次々と制圧、強引に道を切り開いていくヴェロニカは、しかし無目的に進んでいるわけではなかった。
 ラインを逆走するように進み、その先にあった機械……制御用コンソールである。
「お、あったあった。こういうのが絶対あると思ったんだよ」
 早足にコンソールへ近づくヴェロニカ。だがそれを阻むかのように、大量の丸鋸がヴェロニカに向けられた。
「こりゃ厳重に囲んでやがる。まあ関係ねえけどな」
 ヴェロニカは自身の着用するパワードスーツを操作、その出力を上げる。
「出力リミッターを戦闘モードへ……システム全て正常。行くぞ、戦争の時間だ」
 装甲パワードスーツPS60-Dがうなりを上げ、強化された機動力で一気にコンソールへと詰め寄る。
 それを切り裂かんと丸鋸の大群が迫るが、ヴェロニカは足を上げ、虫でも潰すかの如く纏めてそれらを踏み潰した。刃をぐにゃぐにゃに曲げ、床に無様に重なる丸鋸の束。
 さらに足が届かない高い位置のものは無造作につかんで引きちぎり、他の丸鋸に噛ませてその動きを止める。
 その蹂躙の様は正しく【Show No Mercy】……情け無用、という言葉そのものであった。
 足止めにもならなかった丸鋸たちを文字通り踏み越え、コンソールの前に立つヴェロニカ。そしてそれを操作し……
「うらぁ!!」
 もとい、前蹴り一発で粉砕した。パネルから煙を吹き、機能を停止させるコンソール。
 どんなに凶悪に変化しようとも、そのの本質は変わっていなかった工場のラインは、脳ともいえる部分を破壊されたことでその動きを停止する。
 うなりを上げていた周囲の機械はすべて停止し、最早凶器も殺意も消えたただの鉄屑と成り果てた。
「ビンゴ! 楽勝だぜ!」
 先ほどまでの轟音が嘘のように静まり返った工場内を、意気揚々とヴェロニカは進んでいく。
「戦車砲が直撃でもしない限り、パワードスーツは止められねえぜ!」
 矢でも鉄砲でも持ってこい、と言わんばかりに言うヴェロニカ。フラグを籠めたそのセリフは、果たしてこの先回収されるのか……
 その答えは、いま彼女が通らんとしている整備場への扉の先にある。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『いぬせんしゃ』

POW   :    きゅらきゅら
【キャタピラを全速力で稼働させた】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【他のいぬせんしゃ】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    むれのきずな
自身が【自身や仲間の危機】を感じると、レベル×1体の【いぬせんしゃ】が召喚される。いぬせんしゃは自身や仲間の危機を与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ   :    いぬせんしゃキャノン
単純で重い【いぬせんしゃキャノン】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。

イラスト:くずもちルー

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 殺人機械の巣窟となった工場を抜けた先、整備場では多数の犬の顔の形をした戦車が整備を受けていた。
 整備しているのは全て普通の人間だが、一日中作業に従事させられているためか、いずれも顔色は悪く痩せこけている。
 ようやく自分の作業が終わっても、できるのは詰所という名の牢屋に戻り、どこから調達されているのか分からない粗末な食事を取ることだけという有様だ。

 幸いにしていぬせんしゃ達は戦闘になるか侵入者や脱走者を発見しない限り、自分の周り以外のことに興味を持つことはない。
 また罠としての工場によほど自信があるのか、出入り口や詰所にも警備は敷いていない。
 ただし奥に控える巨大戦車の命令があればその限りではないので、彼らを放置してボスを叩きに行くのは得策ではないだろう。
 この地獄から整備員たちを救い出し、いぬせんしゃの大群を駆逐すべく、猟兵たちは整備場へ侵入するのであった。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
問題はここですねぇ。
参りましょうかぁ。

【紘器】を使用、『F●S』3種を大量に複製し展開しますねぇ。
『FSS』は「本体」を私自身の防御に、「複製」を発見した整備員の方々の周囲に展開し、戦車や範囲攻撃から[かばう]ことが出来る状態にした上で、護衛に着けて一カ所に集め「バリケード」を形成しますぅ。
元々「8枚」から「Lv×5台」の複製ですから不足することは無いでしょう。

『FRS』と『FBS』の複製は全て攻撃に、『FRS』は主力として攻撃に、『FBS』で履帯や砲台の破壊を狙いますねぇ。
此方の砲撃で障害物を展開すれば、突撃も難しいでしょう。

ボスが来る前に、確実に仕留めましょうねぇ。


ヴェロニカ・アイアンサイズ
【POW】※アドリブ・連携歓迎

…出てきたよ戦車。それも可愛らしいのが。ま、戦車としての強さはどうだかな?

(整備員に向かって)おーい!こっちだ!生き残りたきゃ死ぬ気で走れ!(整備員たちを【かばう】ように【制圧射撃】しながらいぬせんしゃの群れに突入)
よーしよしよし、たっぷり可愛がってやるぜ犬っころ!(砲撃を装甲と【激痛耐性】で凌ぎ、突進してきたいぬせんしゃを【怪力】で受け止め、持ち上げて地面に叩きつける。)

フン、可愛さって点はお前らに譲ってやるよ。でも、兵器としてはこっちの方が優秀みたいだな…!(ヘルメットのHUDに映るダメージや温度の警告を意識しないよう精一杯の強がり)



「……出てきたよ戦車。それも可愛らしいのが。ま、戦車としての強さはどうだかな?」
 工場の扉をくぐった先、整備場の光景を見たヴェロニカ・アイアンサイズ(コモンウェルスのミラクルサバイバー・f25587)は、そこに並べられたいぬせんしゃの群れを見て呟いた。
「問題はここですねぇ。参りましょうかぁ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)もそれに続く。
 無理矢理労働に従事させられている整備員たちを助けるべく、二人は整備場内へと踏み、行動を開始した。

「おーい! こっちだ! 生き残りたきゃ死ぬ気で走れ!」
 ヴェロニカは真っ先にいぬせんしゃの群れの中へ突撃し、大声を上げた。その声に整備員たちは驚いて手を止め、ヴェロニカの方を見る。突然のことにほとんどの者が状況を飲み込めていなかったが、構わずヴェロニカはいぬせんしゃ達に向かって制圧射撃を繰り出す。
「オレたちは猟兵でお前らを助けにきた! 出口は抑えてあるから死ぬ気で逃げろ!」
 簡潔に状況を説明しながら、ヴェロニカはさらに目立つよういぬせんしゃに攻撃を加える。整備員たちも徐々に状況を理解し始め、めいめいに出口へ向かって逃げ始めた。
 いぬせんしゃ達は突然の侵入者に向かい、戦車砲での攻撃を加え始める。制圧射撃が効いているのか、逃げる整備士たちより攻撃してくるヴェロニカの方を優先的に攻撃しているようだ。
「大いなる豊饒の女神、その『祭器』の真実の姿を此処に」
 さらにるこるがそれを援護するべく、【豊乳女神の加護・紘器】を発動。元より複数ある浮遊装備たちを大量複製し、それらを一気に展開した。
 同時に一部のいぬせんしゃが整備員の脱走に気づきそちらへと砲を撃つが、射線上に割り込んだビームシールドがそれを受け止める。
 さらにそのままシールドを護衛として着け、一か所に集めることでバリケードを構築していく。そこへと逃げ込む警備員が増える程バリケードの素材も増えていくことになるため、結果として防衛と誘導を同時に行う形になっていた。

 整備員が逃げる程に、前に立つヴェロニカをターゲットとするいぬせんしゃは増えていく。砲弾を分厚い装甲とそこから来る痛みへの耐性で耐えていたヴェロニカをいぬせんしゃ達は取り囲み、きゅらきゅらとキャタピラを鳴らし一斉に突進した。
「よーしよしよし、たっぷり可愛がってやるぜ犬っころ!」
 ヴェロニカはそう言うと、避けることなく突っ込んできたいぬせんしゃを真正面から抱きとめた。激しい衝突音がしてヴェロニカの脚が火花を噴きながら後退する。が、ヴェロニカは決してその手を離すことなく、小型とは言え相当な重量があるはずのいぬせんしゃを力尽くで持ち上げた。
「おらよ、『伏せ』だワン公!」
 そのまま地面に叩きつけられたいぬせんしゃは、砲身を曲げ、装甲をひしゃげさせて動かなくなった。
 他のいぬせんしゃ達はその様子にも怯むことなく、妙に軽い駆動音を立てながら一斉に突進する。
 が、その直後いぬせんしゃ達は一斉にスピンや横転、滅茶苦茶に動いては衝突し、共倒れとなっていった。
 るこるが展開した戦輪『FBS』がいぬせんしゃ達の履帯を切断、その機動力を奪っていた。
 さらにその上から砲台『FRS』の一斉射撃が降り注ぎ、とどめを刺していく。
「これで突撃も難しいでしょう」
 るこるの言葉通り、いぬせんしゃの残骸は新たな障害物となり、他の戦車の進軍を邪魔していた。

 さらにそこから前線を押し上げるように、ヴェロニカが弾幕を張っての制圧を進めていく。
「フン、可愛さって点はお前らに譲ってやるよ。でも、兵器としてはこっちの方が優秀みたいだな……!」
 兵器としての最重要事項である武力、それを体現するヴェロニカの姿は【Show No Mercy】、情け無用そのものであった。
 熱量上昇、損傷拡大、ヘルメットのHUDに移るその文字から目を反らしながら、ヴェロニカは敵にも己にも情け無用の制圧を続けていく。例え強がりであっても、スーツの外にそれが漏れることはきっとないから。
「……ボスが来る前に、確実に仕留めましょうねぇ」
 後方から戦場を見るるこるの言葉は、果たして誰のために呟かれたものか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジェイク・リー
※アリス、エルーゼ、華澄と行動

「囮役だろ?潜入なら慣れてる」
義手となった左腕『豪傑の腕』に仕込んだワイヤーで移動。
気を引きつける為に『ジョーカー・リゾート』で銃撃しながら絶えず動く。
逃がしている逆方向に降りたら『七星天狼刃:陰』を剛刀に形成して斬る。
【敵を盾にする】等数を減らしつつ身を護ったりもする。
攻撃を【見切り】で避けて【カウンター】で斬り返す。


絡み・アドリブOK


藤宮・華澄
※アリス、エルーゼ、ジェイクと行動

【救助活動】で捕らわれてる人たちを助けましょう。
三人が気を引きつけている内に助けないと。
『ヴァナディース』は何時でも使えるようにしておきます。
回復による援護も行います。
【地形の利用】で隠れられそうな場所を使うのもありかも。

絡み・アドリブOK


アリス・スラクシナ
※エルーゼ、華澄、ジェイクと行動

「よし、私とエルーゼも分散して攻撃する」
太刀に形成した『イザナギの覚悟』と剣に形成した『白銀の魂』を持ち、戦車に挑む。
【地形の利用】で地の利を生かしつつ攻撃。
【残像】を残す【ダッシュ】で間合いを詰めて、【属性攻撃】による電撃を纏わせた刀剣で攻撃する。
鞭に再形成して【ロープワーク】で動くのもありかもしれないな。
とにかく陽動が最優先なのを忘れない様に。

絡み・アドリブOK


エルーゼ・フーシェン
※アリス、華澄、ジェイクと行動

「OK、任せたわよ」
【空中浮遊】と【ダッシュ】で攪乱しながら攻撃を仕掛けるわ。
『ヤヌス』を一対の柄にして薄紫色の光刃を形成して攻撃するわ。
【ダンス】の応用で相手の攻撃を回避して【見切り】からの【カウンター】を決めるわ。
にしても変な戦車ね。親玉も変なやつなんだろうけど。

絡み・アドリブOK



 放火の乱れ飛ぶ整備場に、今また4人の猟兵が踏み込んだ。
「囮役だろ?潜入なら慣れてる」
 その中で真っ先に前に出たのはジェイク・リー(鋼の豪傑・f24231)。左腕の義手『豪傑の腕』に仕込んだワイヤーを射出し、それを支えにしていぬせんしゃのひしめく整備場内へと飛び込んでいく。幸いにしてここは大小問わず多数の機械が据え付けられている場所、ワイヤーをひっかける場所などいくらでもあった。
 空中を飛び回りながら、大型拳銃『ジョーカー・リゾート』を乱れ打ち、眼下のいぬせんしゃ達を銃撃していく。目論見通りいぬせんしゃ達は新たな敵であるジェイクに砲塔を向け、撃墜すべく戦車砲を乱射する。

「よし、私とエルーゼも分散して攻撃する」
「OK、任せたわよ」
 敵の注意がジェイクに向いたのを確認し、アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)とエルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)もまたそれぞれの武器を構え、放火乱れ飛ぶ戦場へと踏み込んだ。
 まずはアリスが太刀となった『イザナギの覚悟』と剣となった『白銀の魂』を構え駆け寄る。
 ジェイクに気を取られていたいぬせんしゃ達は、反対側からの次なる攻撃に対応しきれず、その曝け出した背にまともに攻撃を浴びた。
「出来損ないと言えど邪神の力は侮れんぞ」
 電撃を帯びた二つの武器による斬撃が、金属製のボディを切り裂く。【血の覚醒】によってさらに攻撃力を強化されたその一撃は、鉄の装甲を軽く引き裂き中の機構をショートさせた。
 お返しとばかりに、いぬせんしゃ達がきゅらきゅらと音をを鳴らしてアリスへと突っ込む。
 が、そのキャタピラが轢き潰したのはアリスの残した残像だけであり、アリス本人は既に別の戦車に向かって離脱していた。
「元素を交差させてより強く」
 目標を見失ったいぬせんしゃの群れに、今度はエルーゼの『ヤヌス』が迫る。
 一対の柄になり【クロス・エレメント】により強化された光刃が、空中から戦車たちを襲い切り裂いていった。
 次はこちらかといぬせんしゃは群れを成して突進をかけるが、エルーゼはくるりと回りながら横に動き、その軌道から逸れる。
 そしていぬせんしゃが横を通り過ぎていくとき、その回る刃が横の装甲を撫でた。
 踊るように決められたカウンター攻撃に、通り過ぎた先で車体が二つに割れ、爆発を起こす。エルーゼはそのままアリスが動いたのとは逆方向へと動いていき、そちらでまた美しい剣舞を踊った。

「皆さん、大丈夫ですか!?」
 三人がそれぞれにいぬせんしゃ達を攪乱する中、藤宮・華澄(戦医師・f17614)は一人整備士たちの救出にあたっていた。
 捕らわれている詰所を探し出し、扉をこじ開けて中の整備士たちに声をかける。
 外から聞こえる大きな破壊音に不安を募らせていた整備士たちに状況を説明し、同時に全員の健康状態を簡単に診察した。
「歩けますか? 脱出路は確保されています。動けない方は、これで……!」
 脱出を促しつつ、疲労がひどく迅速に動けない者には【ノーブルラウンド】での治療を施して逃げられるだけの体力を回復させる。
 詰所から整備士を連れ出す途中で整備場奥を見ると、そこではなお三人がいぬせんしゃ達と激しい戦いを続けていた。
 機動力、破壊力に優れる三人は総じて戦いを有利に進めていたが、思考は単純なものの数が多いいぬせんしゃ達を全滅させるにはまだ至っていない。
(私も手助けすれば多少は……)
 そう思いいつでも使えるようにしていた『ヴァナディース』に手を伸ばす。
『いまやる事忘れんなよ』
 その手を止めさせたのは、先刻工場でかけられた言葉だった。
 三人が今戦っているのは、自分が救護活動を行う時間を作るため。ただ殲滅すればいいだけではないこの戦いの要の部分を、今自分は任されているのだ。
 この銃を使うのは救護の障害を除く時だけ。そう思い直して、華澄は整備士を機械の陰に隠しながらの誘導を続けた。

 華澄が整備士を連れ出していくのを目の端で捉えながら、群れを挟んで反対側にいるジェイクは『七星天狼刃:陰』を剛刀に形成していぬせんしゃを切り捨てた。
 切ったいぬせんしゃの後ろから別の戦車が飛び出してくるが、今しがた倒した相手の残骸を盾にその突撃を防ぎ、そのままカウンターで後続をも破壊する。
「なるほどな」
 恐らくはあまり複雑な思考回路は搭載されていないのだろう、戦えば戦う程、いぬせんしゃたちの行動パターンは手に取るように理解できた。
 敵がいたら砲撃する。やられたら仲間を呼ぶ。強そうなら群れで跳ね飛ばす。単純かつ強力なパターンではあるが、それは相手が正面にいて、かつ自分たちの戦力が十全にある時のみ。
 武器を鞭に形成し直し、それを使って縦横に飛び回るアリスには、砲撃も当たらなければ群れで囲むこともできない。
 エルーゼの踊るような動きは直線で跳ね飛ばすには余りにも複雑すぎるし、無暗に突っ込めばカウンターで破壊されるばかり。
 そんな動き回る敵に三方を囲まれた状況に対処できるほど、いぬせんしゃの思考は柔軟ではなかった。
 最初に現れ豪快な攻撃を繰り出すジェイクに引き付けられ、陽動を最優先にするアリスに惑わされ、攪乱しながらの攻撃を放つエルーゼに破壊される。
 役割を分け、それぞれが己のなすべきことを全うする知恵ある連携の前に、動けるいぬせんしゃの数はついに底をつき始めていた。
 やがて最後の一台がうなりを上げ、最後の突撃をかける。ジェイクはそれにカウンターを取り仕留めようとするが、その間合いに入る前に、いぬせんしゃはその動きを停止した。
「整備士さんたちは、全員救出しました!」
 工場につながる扉の近く、主戦場となっていた場所の反対側で、華澄は『ヴァナディース』を構えた状態でそう声を上げた。
 それを見たジェイクは黙って武器を納める。あるいは攻撃に参加したことを叱責しないのが、彼なりの賛辞だったのか。
「にしても変な戦車ね。親玉も変なやつなんだろうけど」
 エルーゼはいぬせんしゃの残骸を見ながら呟き、
「だろうな。まあ、どうせすぐに会える」
 アリスはそう言って整備場のさらに奥、格納庫へ続く大きな扉をみやる。
 戦車達のボスは、その先にいるのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『暴走戦車』

POW   :    オーバーキャノン
自身の【戦車砲のうち1本】を代償に、【ビルを消し飛ばす程の爆発力】を籠めた一撃を放つ。自分にとって戦車砲のうち1本を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    全門発射
【何本もの戦車砲から砲弾の連射】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    セメント弾
【主砲】から【速乾性セメントを詰めた特殊砲弾】を放ち、【空中で炸裂した砲弾から降り注ぐセメント】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:8mix

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 いぬせんしゃの群れを駆逐した猟兵たちは、踏み込む前に整備士たちからボスである巨大戦車の情報を聞き出す。
「あいつは強力な戦車砲を何本も備え、滅多矢鱈にそいつを撃ちたがるんだ。中には砲弾じゃなく相手を固めるためのセメント弾を撃てるものもある。さらに砲塔を一本ぶっ壊すのと引き換えに、建物一つを吹き飛ばしちまうほどまで出力を上げた一撃をぶっ放すこともできる」
 猟兵たちの問いに、座り込んでいた中年の整備士が答えた。
 やはりというか、火力に関してはいぬせんしゃの比ではないらしい。ならば弱点はないのか、と問うと
「まず、あいつはでかいだけに旋回性能に難がある。あと上部を回せるタイプじゃないこともあって、後ろや間近が死角になりやすい。それから……」
 男はそこで言葉を切り、頭を掻きながら続けた。
「あの野郎戦車の癖に妙に自信家で、しかも頭に血が上りやすいんだ。ちょっとつついてやれば割かし思う通りに動いてくれるんじゃないかな。キレさせて砲弾をぶちこまれなきゃ、だけどな」
 そう言って整備士の男は立ち上がる。
「あんたたちにゃ感謝してる。俺たちにできることがあれば何でも言ってくれ。大したことはできないが、あの犬コロどもを直してぶつけるくらいはなんとかなりそうだ」
 おそらくは整備士の中でもリーダーに近い立ち位置だったのだろう、男の言葉に後ろにいた他の整備士たちも立ち上がり協力の意思を示す。

 俄かに活気づく整備場。そこから大扉を隔てた所で、一台の戦車が合成音のうなりを上げていた。
「我ガ戦車王国建国ノ野望、邪魔ハサセヌゾ……!」
藤宮・華澄
※アリス、エルーゼ、ジェイクと行動

今回も援護に回ります。
『ヴァナディース』による【援護射撃】を行います。
「あの……無理しないでくださいね」
あの時のお礼がまだなので……。
【ハッキング】でなにかできないかも試しましょう。

絡み・アドリブOK


アリス・スラクシナ
※エルーゼ、華澄、ジェイクと行動

「奴に接近するチャンスがあれば」
あのいぬせんしゃを利用できればなんとかできそうだ。
接近できれば『イザナギの覚悟』を柄と雷刃を形成する。
【二回攻撃】で袈裟と逆袈裟で斬りつけ、続けて連撃を繰り出す。
「まさか……おい無茶だ!」
ジェイクの奴、あれと一騎打ちするつもりか?
「あれの破壊力は知っているが」
ワイルド・ハントの砲撃の威力は知っているが……。
エルーゼに諭され、賭けるが……。

絡み・アドリブOK


エルーゼ・フーシェン
※アリス、華澄、ジェイクと行動

『ヤヌス』を一組の柄と雷刃に形成して【空中浮遊】と【ダッシュ】で背後から一気に接近して斬りつけるわ。
「でかい分、動きも悪いわね」
少し浮いた状態で【ダンス】を応用した連撃を叩き込むわ。
ジェイク、まさか一騎打ちを?
「……しょうがないわね」
アリスを連れて下がるわ。
「大丈夫でしょ。なんかさ、不思議とあいつに似てて……」
私達を置いて先に逝っちゃったあいつにね……。

絡み・アドリブOK


ジェイク・リー
※アリス、エルーゼ、華澄と行動

中折れ帽に黒の背広、ロングコート姿に両腕に途切れた鎖付きの拘束具と眼の部分が白いピンポイントアイマスク姿の狩人、ワイルド・ハントを呼び出す。
「こいつの火力を一点に集めれば……」
一騎打ちに持ち込む必要もあると考え、二人を引かせる。
「負けるのが怖えのか?」
持ち込めれば、【封印を解く】と同時に【限界突破】により、リミッターを外す。
空中に現れた六つの魔法陣を一つに纏めて魔力の破壊光線を撃つ。

絡み・アドリブOK



 整備場から鉄扉を隔てた場所にある大型格納庫。そこへと踏み込んだ猟兵たちを、合成音声が出迎えた。
「我ガ野望ヲ阻マントスル不届キ者メ、貴様ラ生キテ帰レルト思ウナヨ!」
 声の主は6門の主砲を持つ巨大な戦車。本来自分の意思など持たぬ単なる兵器に過ぎなかったものだが、オブリビオン・ストームの影響で知性を得た結果、自らの王国を築こうという野望まで持ったまさに暴走した戦車である。
「奴に接近するチャンスがあれば……よし、あいつを使ってみるか」
 アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)は敵の威容を見て、初撃をいかに打ち込むかを思案し、何事かを思いついた。
「私は今回も援護に回ります」
 藤宮・華澄(戦医師・f17614)は『ヴァナディース』を構え、狙いをつける。
 そしてそのまま、暴走戦車のボディに向け一発の射撃を放った。
「ナンダソノ豆鉄砲ハ? 効カンナア!?」
 放たれた弾丸は暴走戦車の装甲にあっさりと防がれる。さらに華澄は続けて射撃を行うが、そのいずれも傷一つつけることなく弾かれていった。
「ナンダナンダ、ソンナモノナライクラデモ喰ラッテヤルゾ?」
 機械の合成音のはずが、明らかに余裕を含んで聞こえる声で暴走戦車が言う。喋っている間に反撃も出来ただろうに、ダメージがないからとあえて余裕を示しているのだろう。
「ああ、そうだな。じゃあ今度はこいつを喰らってもらおうか」
 アリスの声と共に華澄が下がる。そしてその代わりに現れたのは、整備士たちによって応急修理を施されたいぬせんしゃの群れであった。
「オ、オ前タチ、ナニヲ!? マサカ謀反カ!?」
 暴走戦車の慌てた声に応えず、いぬせんしゃはキャノンを撃ちながらひたすらに前進する。
 思考回路をハッキングし、まっすぐ進みながらひたすら撃つ、という単純なプログラムを積み込ませておいたいぬせんしゃたち。華澄はそれらを修理する時間を稼ぐため、あえて効果の薄い所を狙い撃って暴走戦車を足止めしていたのだ。
「エエイ、是非モナシ!」
 反逆者と化したいぬせんしゃに、暴走戦車の砲撃が炸裂する。避けることもなく前進するいぬせんしゃ達は次々と砲撃を喰らって爆散、辺りがもうもうとした煙に包まれた。
「我ニ逆ラウカラコウナルノダ、愚カ者メ!」
「本当、愚かよね」
 そして煙の中、暴走戦車の後ろからまた別の声が聞こえた。
 エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)が砲撃の煙に紛れ、空中を駆けて暴走戦車の後ろに回り込んでいたのだ。
「イ、イツノ間ニ!?」
 暴走戦車が慌ててエルーゼに戦車砲を向けようとするが、過剰な増設の影響か方針が上手く回らず、キャタピラもうまく回らないのか後ろを向こうと無暗に切り返しを繰り返す。
「でかい分、動きも悪いわね」
 エルーゼはそのまま踊るように連撃を叩き込み、自身を攻撃範囲に捕らえられない暴走戦車を滅多打ちにした。
 さらに後ろに気を取られる暴走戦車に、今度は前からアリスが迫る。
「出来損ないと言えど邪神の力は侮れんぞ」
 雷刃を持った『イザナギの覚悟』を交差するように二連続で振るい、さらにそこからの連撃で装甲を切り裂いていく。知能と感情を持ったとはいえ鉄の塊であることに変わりはない暴走戦車は、全身に電撃を流され内部機構にもダメージを受けていった。
 そしてまたもう一人。
「来い!」
 ジェイク・リー(鋼の豪傑・f24231)が己の人格の一人、ワイルド・ハントを呼び出し暴走戦車へと向かう。中折れ帽に背広、ロングコートという紳士的ないでたちに、拘束具とアイマスクという特殊な装飾を纏ったその男は、狩人の技を持ってジェイクと共に暴走戦車へ詰め寄り、それぞれの火器を戦車の正面へ連続で撃ち込んだ。
「マタ増エタカ、小癪ナァァァァッ!!」
 暴走戦車はさらなる追撃に怒りを露にし、ジェイクとワイルド・ハントに向かって戦車砲を滅茶苦茶に撃ちまくる。頭に血が上った砲撃はジェイクたちを捉えることはなかったが、狙いが定まっていないからこそ完全に弾道を予測するのが難しく、前にいる三人はもちろん、後ろの華澄にまで流れ弾が届きかけていた。
 一旦砲弾の雨が止んだ瞬間、ジェイクはエルーゼとアリスを見て、自分の後方を指さした。
「まさか……おい無茶だ!」
 それが『下がれ』という合図だと見て取ったアリスは血相を変えてジェイクに詰め寄る。
「ジェイク、まさか一騎打ちを?」
「……あれとか?」
 ワイルド・ハントの砲撃力は知っているが、それにしたって無茶すぎる。アリスはそのジェイクの判断に承服しかねていた。
「……しょうがないわね」
 だがエルーゼは、軽く息をつくと、肩をすくめそう言った。
「お、おい、エルーゼ……」
「大丈夫でしょ。なんかさ、不思議とあいつに似てて……」
 誰を思ってか少し遠い目をしながら言うエルーゼの様子に、アリスも仕方ない、という風に後方へと下がる。
 二人が華澄のいる場所まで下がると、華澄はジェイクへと声をかけた。
「あの……無理しないでくださいね」
 あの時のお礼がまだだから。最後の言葉は飲み込んで、無言で敵に向かうジェイクを見送る。
 会話の間に暴走戦車も再装填を終えたのか、6つの砲門を全方位に向けた。
「負けるのが怖えのか?」
 ジェイクの言葉に砲撃を放とうとしていた戦車の動きが一瞬止まる。
「わざわざこっちはサシでやりに来てやったんだ。あのままじゃ弱い者いじめで終わっちまいそうだったからな」
「オノレ、言ワセテオケバ……!」
 ジェイクの挑発にあっけなく乗る暴走戦車。攻撃手段を切り替え、砲塔の一本に過剰なまでにエネルギーを集中させ始めた。
 瞬く間に砲塔が赤熱していき、明らかに許容量を超えたエネルギーが蓄えられているのが見て取れる。これの直撃を喰らえば、いかに猟兵とはいえただでは済まないだろう。
「こいつの火力を一点に集めれば……」
 ジェイクはワイルド・ハントの持つ火力の封印を解き、その威力を限界を超えて上げる。奇しくも相手が取っている戦法と同様の技だ。
 暴走戦車の砲塔が真っ赤に染まり、エネルギーが限界まで溜まる。同時にジェイクも空中に現れた六つの魔法陣をまとめ、その威力を合算させた。
「オーバーキャノン、ファイア!」
「くたばりな、鉄屑野郎」
 限界を超えた二つの力が同時に放たれ、真正面から衝突する。凄まじい閃光と轟音があたりに満ち、その場にいる全員の視覚と聴覚を一瞬奪った。
 そして……
「ま、こんなもんだろ」
 砲塔の一本がはじけ飛んだ暴走戦車を背に、ジェイクが仲間の下へと戻る。
 後ろにいた三人が彼を迎えるが、その中で華澄だけが僅かに目を潤ませていたのは、果たしてあたりに漂う煙のせいだったのか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
情報有難う御座います、何とかなりそうですねぇ。
近くに「罠を全て破壊した場所」が有りますので、其方に隠れて下さいませ。

『FBS』を四肢に嵌め飛行、『FRS』『FSS』を通常通りの攻防に用い「上からの射撃戦」を行いますぅ。
砲門を向けられたら、『FRS』『FSS』をエネルギー供給に回し【耀衣舞】を使用、『光速の突撃』を「移動手段」に使い相手後方に回り込むか、[カウンター]で「砲門」の横へ突撃し、向きを変えつつ破壊しますねぇ。
砲撃の爆風程度であれば『光の結界』で問題なく防げますので。

性格上「中々捉えられない」となればムキになってくれそうですから、誘導しつつ確実に仕留めましょう。


ヴェロニカ・アイアンサイズ
【POW】※アドリブ・連携歓迎

…勘弁してくれ。戦車がいるとは聞いてたけどあの主砲は反則だぜ…。でも、屋内ならこっちに分がある!絶対に負けねえ!Ad Victoriam!

(整備員に向かって)おっさん達!オレがあいつの注意を引くから、履帯に向かっていぬせんしゃをぶつけてくれ!
来いよデカブツ!屋内でパワードスーツと殴り合おうなんて、その程度のオツムで廃工場の主人気取りか!?戦車王国?寝言が言いたきゃ寝かせてやるよ!(【2回攻撃】【制圧射撃】で戦車を挑発しながら、【第六感】と機動力で攻撃を回避)
履帯さえ壊せば戦車なんてただのデカい的だ!喰らえクソッタレ!(戦車に飛び乗り蹴る殴る撃つ)



「……勘弁してくれ。戦車がいるとは聞いてたけどあの主砲は反則だぜ……」
 ヴェロニカ・アイアンサイズ(コモンウェルスのミラクルサバイバー・f25587)は目の前で放たれた戦車の主砲の威力に息をのむ。
 一本は失ったとは言え大威力の砲があと五本。もしそれを全て全力で叩き込まれたら、猟兵とはいえひとたまりもないだろう。
 だが本来屋外での運用を想定されている戦車に対し、今は屋内での戦い。分はこちらにあると確信できる。
「絶対に負けねえ! Ad Victoriam!」
 勝利の為に、ヴェロニカは銃を構え暴走戦車へと立ち向かった。
「情報有難う御座います、何とかなりそうですねぇ」
 その後ろで、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が整備士たちに礼を言う。
「近くに「罠を全て破壊した場所」が有りますので、作業が終わりましたら其方に隠れて下さいませ。くれぐれも無茶はなさらないでください」
 そう言ってるこるも浮遊兵器を展開、自身に纏い空中から暴走戦車へと向かっていった。

「次ハオ前ラカ、コノ狼藉者!」
 二人の猟兵を前に、暴走戦車は怒りの合成音を上げる。それに負けず、ヴェロニカが大声を張り上げた。
「来いよデカブツ! 屋内でパワードスーツと殴り合おうなんて、その程度のオツムで廃工場の主人気取りか!?」
 相手を罵倒しながら制圧の弾丸をばらまき前進するヴェロニカ。さらに上方からはるこるの展開した『FSS』と『FRS』が弾の雨を降らせていた。
「廃工場ノ主人? 否! 我ハ戦車王国ノ王デアル! ココヲ手始メニ戦車ノ国、戦車ノ世界ヲ作ルノダ!」
 妄言にしか聞こえないような野望を言いながら、暴走戦車がどかんどかんと戦車砲を撃ちまくるが、前進を続けるヴェロニカは研ぎ澄まされた勘で素早く避けていく。
 さらに宙を舞うるこるには狙いがそれてなかなか命中には至らず、それでムキになったか連射速度を速め、結果的には狙いが荒くなり余計に当たらないという悪循環に陥っていた。
 業を煮やした暴走戦車は、二人にそれぞれ一本ずつ砲を向け、そこにエネルギーを集中させ始める。瞬く間に過剰なエネルギーが供給され、砲が赤熱していくのが見て取れた。
 これを発射すれば暴走戦車は砲の半分を失うこととなる。だがそれでも敵を撃滅さえできれば、壊れた砲は後でいくらでも直せばいい。鉄の体を持つ戦車なればこその、自身の損耗を厭わぬ発想であった。
 だが、この瞬間こそが猟兵たちの魔っていた瞬間でもあった。
「今だ! おっさん達! オレがあいつの注意を引いたから、履帯に向かっていぬせんしゃをぶつけてくれ!」
「了解だ! 任せとけ!」
 ヴェロニカが後ろに向かって叫ぶ。それを合図として、整備士たちが一斉に修理したいぬせんしゃを起動、暴走戦車に向けて突撃させた。いぬせんしゃたちはきゅらきゅらとキャタピラを鳴らし、一斉に暴走戦車へ突っ込んでいく。
「ヌウウッ、コヤツラノ謀反ハオ前ラノ差シ金カ!」
 自らに突っ込んでくるいぬせんしゃに、チャージ中でない残り3本戦車砲を向けて発射する。何台かはそれに巻き込まれて爆発するが、元より数の多かったいぬせんしゃ、その大部分は砲撃を掻い潜り、指示通りに暴走戦車のキャタピラへと衝突した。そのまま履帯を破壊され、暴走戦車は移動能力のほとんどを失う。
「ありがとうございます、あとはお任せくださいませぇ」
 るこるが整備士たちに再度退避するよう促す。彼らが戦闘区域から離脱したのを確認すると、るこるは展開していた射撃兵器を自らの周囲に戻し、そのエネルギーを自身へと転化させ始めた。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて舞を捧げましょう」
 ユーベルコード【豊乳女神の加護・耀衣舞】で光の結界を纏うるこる。そのまま光弾と化し、浮遊兵器から供給されたエネルギーも乗せてチャージ中の砲へと体当たりした。
「グオオオオオオオオオオッ!?」
 光速、大質量の体当たりにエネルギー過剰になっていた砲は簡単にひしゃげ、そのまま暴発、爆散した。るこるも至近距離からその爆風を浴びることとなったが、身に纏う結界がそれを防ぎ、大きなダメージは受けていない。
「出力リミッターを戦闘モードへ……システム全て正常。行くぞ、戦争の時間だ!」
 続けてヴェロニカもパワードスーツの出力を解放、近接攻撃力と機動力を高め、そのまま暴走戦車へと飛び乗った。
「履帯さえ壊せば戦車なんてただのデカい的だ! 喰らえクソッタレ!」
 砲が届かぬ至近距離から殴る蹴る撃つ、情け無用の猛攻がもう一本のチャージ中であった戦車砲を爆発させ、さらには他の砲までひん曲げ、へし折っていく。
「グアアアアア!! 我ガ国、我ガ戦車王国ノ野望ガアアアアア!!」
 連撃を受けながら暴走戦車が絶叫する。スピーカーの部分が壊れたのか、最後の叫びは声ではなくただのノイズとなっていた。
「戦車王国? 寝言が言いたきゃ……寝かせてやるよ!」
 ヴェロニカの最後の鉄拳が、暴走戦車のど真ん中の装甲を貫通する。同時にるこるの体当たりも、逆側から中央に向かって大きくその車体を陥没させた。
「ガアアアアアア! ギャアアアアアアア!!」
 最早完全に雑音と化した絶叫を上げ、暴走戦車はその機能を停止。そのまま弾薬が誘爆したか、内側から大爆発を起こした。
 その轟音に避難していた整備士たちが恐る恐る様子を見に来る。全員が不安げな表情で爆炎を見守るが、中からパワードスーツと光の結界により直接の被害を免れた二人が現れると、一斉に歓喜の声を上げた。
 ここに戦車王国は潰え、拠点として人の手に奪還されたのである。





 暴走戦車が倒れたことにより、迷宮工場もいぬせんしゃもオブリビオンとしての機能を失い、そのままでは動くことのできないジャンクと化した。
 だが、ここには傷ついた機械を直し、命を吹き込む整備のプロたちがいる。無理矢理ではなく自分の意思で、彼らはこの工場と戦車を修理し、荒れ果てた世界を生きる人々の仲間として再び蘇らせてくれるだろう。
 変わった戦車を扱う整備拠点としてこの工場が名を馳せるのも、そう遠くない日のことなのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年03月10日


挿絵イラスト