●UDCアースにて
とんでもないものを見てしまった。住宅街から少し裏に入った、さほど人の通らない道。
「人」が、人を喰っていた。
しかも、喰っている「人」も喰われている人もまるで鏡合わせのようによく似ている。
(ここにいてはいけない)
本能がそう言っているのに、目は勝手に異様な食事の光景へと吸い寄せられていく。
腹が満たされ満足したのか「人」は人をポイと投げ捨てた。傷一つついていないのに、人は魂が抜けたように空っぽになって死んでいた。「人」は軽く息を吐くと、顔を上げた。
目が合った。
「人」は口角を上げると、形を崩し揺らいで、また「人」の姿になった。相手は、自分と同じ姿をしていた。
(殺される)
そう思った時には走り出していた。心臓が高鳴り、息が荒くなった。
後ろからは同じ歩幅と速度の足音が聞こえてくる。怖かった。ただひたすらに怖かった。悲鳴すらあげることが出来ないまま、大通りまで駆け抜けて行った。
(撒いたか……?)
流石に人の多い通りでは仕掛けてこないだろうと、後ろを振り返る。
(…………あれ?)
後を追っていたはずの「人」は、跡形もなくいなくなっていた。
●グリモアベースにて
「あなたは、過去に辛い経験をしたことがありますか」
こちらを見据えながら、桐島院・師走(シザーレッグズ・f20989)は問いかけた。
「もしそうならば、今回の事件は少し酷かもしれません」
一体どういうことなのか。猟兵達が首を傾げると、師走は少し考えてから事態を説明し始めた。
「今回皆さんには、UDCアースに向かってもらいます。『感染型UDC』というのはご存知ですか」
聞いたところによると、人間の「噂」によって増殖する新種のUDCであるのだという。
「実際にUDCを見た人だけでなく、その噂を広めた人や、見聞きした人にまで影響を及ぼし、食らった『精神エネルギー』で更に配下を増やすのだそうです」
このまま放置していると、ねずみ算式に配下が増えていき、多くの人に危害を加えることは間違いないだろう。
「これ以上の被害が出る前に、皆さんには現場へ向かい、『感染型UDC』とその配下を撃破してもらいます」
ただし、と申し訳なさそうに師走は付け加えた。
「僕の予知の範囲では、元凶であるUDCの居場所までは特定出来ませんでした」
どうやらUDCは神出鬼没であり、それが更に噂を誘発する要因となっているようだ。
「なので、まずは皆さんに配下の討伐をお願いしたいと思います」
師走は敵の特徴について説明した。
「配下は額縁の姿をしており、近くにいる人をキャンバスに閉じ込めてしまいます。幸い防御力はさほど高くないので、壊せば囚われた人は救い出すことが出来ますが、一定時間経つと手遅れになってしまいます。迅速に撃破してください」
次に、と師走は続けた。
「噂というのは、広まるごとに話に尾ひれがついてくるものです。そのため、皆さんには現地で情報収集をし、UDCの正しい居場所を探ってもらいたいと思います。こうすることで、相手を刺激しておびき寄せることにも繋がるはずです」
情報収集については、現地の人に危害を加えない方法であれば問題ないと師走は言った。
「足で稼ぐのが得意な人ならば、虱潰しに現地を歩いたり、人から話を聞いてみたりするのも良いと思います。もしくは、UDCアースにはテレビや新聞、インターネットといった情報源がありますから、そういったメディアから情報を集めるのも手ですね」
そして最後に、と師走は言った。
「問題のUDCなのですが、鏡の姿をしています。しかもただの鏡ではなく、対峙した者の内面を映し出す特性があります。叶うことの無い理想や辛い過去といったものを具現化し、対峙した者と同じ姿で攻撃を仕掛けてくるようです」
冒頭で投げかけられた師走の問いが、猟兵達の頭をよぎった。
「……自分との戦いになるかもしれません。ですが、あくまでも相手は皆さんの姿を模した偽物です。それを決して忘れないでください」
説明を一通り終えると、師走はグリモアを展開した。
「それでは、転送を開始します。後のことはよろしくお願いしますね。皆さんに、神の加護がありますように」
柔らかい光が、猟兵達を包んでいった。
はんぺん
はじめまして。はんぺんと申します。これが初シナリオです。お手柔らかにお願いします。以下は、シナリオの補足です。
●第一章(集団戦)
増えまくったUDCの配下が街で暴れているので、迅速に撃破してください。不幸にもUDCの第一発見者となってしまった青年もその場にいるようです。
●第二章(冒険)
現地で情報収集を行い、身を潜めているUDCの居場所を探ってください。師走の説明通り、現地の人に危害を加えなければ手段は問いません。
●第三章(ボス戦)
内面を映し出す厄介なUDCと戦闘し、撃破してください。
この章では、過去に起こったトラウマや悩みなど、猟兵さんの内面もプレイングに記載してください。心情まで書いてくださると嬉しいです。
公開された時点でプレイングの受付を開始します。 〆切等の連絡はマスターページやTwitterをご確認ください。それでは、よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『呪いの額縁』
|
POW : 待ち伏せ擬態状態
全身を【霊的にも外見的にも一般的な額縁】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : 作品モデルの複製
自身が【破壊される危険】を感じると、レベル×1体の【肖像画に描かれている存在】が召喚される。肖像画に描かれている存在は破壊される危険を与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ : 無機物の芸術家
【額縁の中心】から【対象を急速に引き寄せる魔力】を放ち、【キャンバスに取り込み肖像画に変える事】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●UDCアースにて
「人喰いのドッペルゲンガーがいる」
噂はあっという間に伝播し、今では噂を聞かない日などない。「俺が見たんだ」と言っても信じてもらえるわけがなく、仮に信じてもらえたとしても、あの日のことを口にする勇気もない。
ちょっとした息抜きのつもりで訪れた公園で、深いため息を吐いた。
「なんだあれ」
そんな声を聞き視線を上に向けると、突如何もない地面から無数の額縁が飛び出してきた。キャンバスに描かれた少女は、あの日会った「人」と同じように、口角を上げる。
ああ、なんてツイてないんだろう。
リアン・ブリズヴェール
【アドリブOK】【WIZ判定】
「えっと、まずは敵をひきつけて周囲を安全にしないと……」
まずは【オルタナティブ・ダブル】でファムを召還して、その後【魅了変化】で20代前半の姿になって周囲の呪いの額縁をひきつけます。
逃げながら【ドレスアッププリンセス】で飛翔能力を得ながらリアンもファムも【一撃必殺】で攻撃します。
【無機物の芸術家】を食らってもファムもリアンも【ソウルマリオネット】を使って攻撃を続けますけど、数が多くて2人とも魂までも肖像画にされそうです
佐藤・非正規雇用
擬態状態になると、ほぼ無敵!?
そんなの倒せるわけ……倒せるわけ……
いや! 俺にはできる!
ユーベルコード「雲の上の存在」を使用し、
巨人の圧倒的なパワーで破壊してみせる!!
剣が効かないようなら、敵を持ち上げて
板チョコを割るように力を加える。
「むおおーっ!! バレンタインデー、滅ぶべし!!」
チョコに対する圧倒的な執念で敵を叩き割る。
また、救助できた市民や、第一発見者の青年に対して
避難誘導を行う。
「さぁ! ここは俺に任せろ!!
あと女の子はチョコよろしく!!」
●花のような二人
「えっと、まずは敵をひきつけて周囲を安全にしないと……」
転送された直後、配下達によってパニック状態となっている公園の様子を見て、リアン・ブリズヴェール(微風の双姫・f24485)は呟いた。
臆病なリアンは、口の端を歪めて笑う肖像画の数々に恐怖を感じたものの、やがて決心したように小さく拳をキュッと握った。
「……ファム!」
震える声で呼びかけると、もう一人の自分であるファムが、リアンを守るようにして現れる。そしてそのまま、二人は美しい20代前半の女性の姿へと変身した。
「敵さん、よろしければリアン達と遊びませんか?」
日で照らされた若草のような髪を揺らし、透き通った肌を見せつけて魅了すると、額縁たちはあっという間に二人の方へと吸い寄せられていく。それを確認すると、二人は身を翻して反対方向へと走り出した。
「……皆さんは、今のうちに逃げてください!」
突如現れた美しい女性に人々は呆然としたものの、すぐさま我に返ってリアンの指示通りに逃げ始めた。
二人は逃亡を続けながらも、【ドレスアップ・プリンセス】によって華やかなドレスを身に纏い、空へと駆け出した。繊細な装飾のフリルをひらめかせ、散る花と共に舞う姿は、まるで春の蝶のようである。
だが、二人はただ美しいだけではない。
「……行きます!」
「……っ!」
息の合ったコンビネーションで相手に強力な一撃を浴びせた。額縁はめきめきと音を立て、真っ二つに割れる。
しかし、相手も数の暴力で二人に迫ってくる。
「……!」
相手の攻撃を咄嗟にかばったファムが額縁の中へと吸い込まれてしまった。
「きゃっ!」
続けてリアンも肖像画へと取り込まれていく。
「……まだっ、終わりません!」
【ソウルマリオネット】を発動し、魂となった二人は飛び交いながら反撃を試みるが、相手の数は一向に減る気配がない。
更なる攻撃が、二人の眼前まで迫っていった。
●くたばれバレンタイン
一方そのころ、佐藤・非正規雇用(ハイランダー・f04277)は、リアンの指示によって逃げる人々を、安全な場所まで誘導していた。
親子連れ、カップル、カップル、カップル、親子連れ、カップル。
偶然にも休日であるせいか、公園の利用者には若い男女のカップルの姿が多いように感じる。佐藤は「こいつらUDCに喰われないかな」という邪念をどうにか押し込み、誘導を続けていた。
その時、近くから悲鳴が聞こえた。
「……何!?」
悲鳴がした方角を見てみると、額縁がケタケタと笑いながら向かって来ている。リアンの誘導からはぐれた額縁が、人を求めてこちらまで来てしまったようだ。
「くらえ!」
【雲の上の存在】を発動し、上空から巨大な剣による一撃を与えたが、敵は無敵状態に変化することで、佐藤の攻撃をどうにか凌いだ。
「ほぼ無敵だと……!?」
佐藤がどうするべきか考えていると、背後から人の声がした。どうやら逃げ遅れたカップルのようだ。
「このまま、私達は死ぬのかしら」
「例え絵になってしまったとしても、僕は君を愛している」
「……私もよ」
熱い口付けを交わす音を聞いた瞬間、佐藤の中で、何かが壊れる音がした。
「ああああああああああああ!!!!!!!」
佐藤は狂ったように額縁へと飛び掛かり、板チョコの要領で額縁を粉砕した。次々と素早く的確に攻撃が与えられることで、額縁はただの木屑へと変わっていく。
「バレンタイン!滅ぶべし!」
突撃を続ける佐藤の目に、今にも攻撃されそうなリアンとファムの魂が映る。
「リア充爆発しろ!!!!!!!」
佐藤は額縁を持ち上げると、力強い膝蹴りをお見舞いした。額縁にひびが入って割れると、閉じ込められていたリアンとファムは脱出に成功する。
「あっ、あの、ありがとうございます」
リアンは丁寧にお辞儀をした。ファムもそれを見て軽く頷く。
「あ!女の子だ!チョコください!」
「えっ……えぇ……?」
女の子からのチョコに飢えた佐藤を見て、リアンは困惑の表情を浮かべた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
コルチェ・ウーパニャン
ひえーーーっ ちょ、ちょっと待ったぁーっ!!
ここで暴れるのはコルチェがゆるしませーん!!
えーとえーと、(loading)……キラキラシールを召喚!
……キラキラニコニコぱー😊のシール…………これはどう使うのか…(nowloading...)
えっえと、とりあえずシールを肖像画さん達へピカリブラスターから射出!ペタペターン!!
肖像画の中の人はニコニコ😊シールさんにへんしーん!
まずはアイデンティティを破壊して、怯ませて『制圧射撃』!
キラキラニコニコぱー😊😊😊のシールさん達は、なかよし属性を付与されてるから攻撃もしてこない……と良いな!
してきてもゆるめでかんべんしてくださーい!
●100均で売ってるぷくぷくのやつ
「ひえーーーっ ちょ、ちょっと待ったぁーっ!!」
少しずつ数を減らしてはいるものの、依然として額縁は周囲を漂い続けている。
「ここで暴れるのはコルチェがゆるしませーん!!」
魔法光ファイバーの髪をピカピカ光らせながら、コルチェ・ウーパニャン(マネキンドールのピカリガンナー・f00698)はビシッと指を立てた。
それに反応したのか、額縁はゆらゆらとコルチェの元へと向かってくる。
「あわわわわ、えーと」
宣言はしたものの、後のことを考えていなかったコルチェは、頭上に読み込みマークをぐるぐるさせる。この間にも、じわじわと敵はコルチェへ迫る。
「えーと、こういうときは、シールにおまかせー!!」
コルチェが腕を掲げると、キラキラしたシールが光を放ちながら掌に収まった。腕を下ろし、召喚されたシールを見てみる。
「😊」
それは、無駄に光ってぷくぷくするニコニコぱーなシールだった。なぜか色のバリエーションが多い。それを見たコルチェはまた頭上に読み込みマークをぐるぐるさせる。
コルチェが「nowloading」をしている間に、目前までやってきた肖像画は、自らの四角い身体からするりと人の形を抜き出した。口角が三日月のように尖る。
「うわ、うわー!射出ー!」
目と鼻の先にいる肖像画達に驚いたコルチェは、咄嗟の判断でブラスターを発射した。ブラスターを通してぺたぺたとシールが貼られていく。
「😊」「😊」「😊」「😊」「😊」
恐ろしい顔をした肖像画は、たちまちニコニコぱーな表情へと上書きされた。事態が呑み込めないニコニコぱー達は、互いの顔を見合わせながらその場を右往左往し始める。恐れられ「噂」となることで増えた額縁は、自らのアイデンティティを壊されたことで半ば動きを封じられた状態となったのだ。
「い、今だー!」
絶好のチャンスを逃すまいと、コルチェはブラスターを撃ちまくり、制圧射撃を行った。最短経路で狙いを撃ち抜いていくと、肖像画達はニコニコぱーな表情のまま、光となって消えていった。
成功
🔵🔵🔴
アリシア・マクリントック
いかにオブリビオンとはいえ肖像画を斬るというのは心が痛みますね……
擬態すると無敵とは厄介ですね。中にいるオブリビオンを引きずり出せればいいんですが……なんでしたっけ、似たような話を聞いたような。ビョーブに潜む虎を追い出すとかなんだとか……詳しくは思い出せないので置いておきましょう。
様子をうかがって敵の攻撃にあわせて反撃というスタイルで戦うとすか。チャンスを逃さないようルシファーで壁に縫い止めて動きを封じ、暁で両断してやります!
相手がこちらを吸い寄せるなら逆にそれを利用して突撃、勢いを乗せた突きで仕留めましょう。
●このはし渡るべからず
「いかにオブリビオンとはいえ肖像画を斬るというのは心が痛みますね……」
アリシア・マクリントック(旅するお嬢様・f01607)は悲しげに呟いた。お嬢様であるアリシアは、芸術に関する教養も身に着けている。画家が積み重ねてきた技術や、描かれたモデルの心情に思いを馳せ、青い瞳を伏せた。
しかし、悲しんでばかりではより良い為政者となることは出来ない。アリシアは決意を固めると、敵へと目を向ける。
「とはいえ、擬態すると無敵になるのは厄介ですね。中にいるオブリビオンを引きずり出せればいいんですが……なんでしたっけ、似たような話を聞いたような。ビョーブに潜む虎を追い出すとかなんだとか……」
薄っすらとした頭の形状までは浮かんだが、これ以上は思い出せない。アリシアは一旦置いておこうとしたが、ふとその考えを止めた。
「……いや、これは使えるかもしれません」
アリシアは笑みを浮かべると、敵へと向かっていった。
額縁の群れはアリシアを認知すると、一斉に顔を向けた。なぜか表情がニコニコぱーなものも一部混ざっている。
「見とれていると怪我ではすみませんよ!」
アリシアは鳳刀『暁』と凰剣『ルシファー』を携え、敵陣の中心で連撃の舞を披露した。『ルシファー』が額縁を壁に刺し飾りつけると、『暁』がそれを真っ二つにしていく。夜明けを告げる光の如き攻撃は、額縁を次々と薙ぎ倒した。
危機を感じたのか、額縁の一つがアリシアを引き寄せようと魔力を放つ。
「……かかりましたね!」
アリシアは動じず、むしろ剣の切っ先を魔力の中心へと向ける。
「実体のないビョーブを倒すなら、逆に相手を利用すれば良いのです!」
アリシアの身体能力と相手の強い吸引力。二つの力が合わさり勢いのついた刺突は、額縁の中心を的確に貫き破壊した。
「確かビョーブの話もこんな感じだった気がします!」
「一〇さんは刺突しねえよ」
消える瞬間、額縁はそう訴えかけたが、その言葉がアリシアに届くことはなかった。
成功
🔵🔵🔴
草野・千秋
人の噂は七十五日だそうで
365日を日本五季の5で割って75と聞きます
しかしこの噂は可及的速やかになんとかせねばなりませんね
人が人を喰らう、だなんて今この時もこの世界は狂っている
まずは配下をなんとかせねば
UCは命中率重視
この戦いに勇気で立ち向かいましょう
額縁の配下は近くに寄るのは危なそうですね
僕は本当は接近戦向きなんですけどね!と思いつつ
スナイパー、2回攻撃、一斉発射で攻撃し
額縁の中心の部位破壊を目指しつつ
遠隔射撃戦に持ち込む
敵が攻撃してくるなら第六感と戦闘知識でかわす
戦闘が終わったら第一発見者の男性の元に駆けつけ具合を確認しつつ声掛け
大丈夫でしたか!?
脈を診たり可能な範囲で応急処置を試みる
クロード・キノフロニカ
鏡写しの自分。
いかにも怪談、都市伝説の王道といった筋書きじゃないか
だが、ただの物語と実体験では話が違うというものだろう
「怖かったかい? もう大丈夫だよ」
仲間が戦っている様子を【学習力】で観察し、【指定UC】をタイミングよく放つよ
敵そっくりな影絵の額縁を生成し、魔力に魔力をぶつけるように相殺
「よく出来た贋作だろう?」
敵が怯んだ隙に、弱そうなところを狙って【傷口をえぐる】ように攻撃
もしうっかり敵のUCをまともに食らってしまったら……
最大限かっこいい決め顔で肖像画になってみたいものだね
「あぁ、何たる失敗……!(メガネキラーン」
●ナイスメガネ
「鏡写しの自分。いかにも怪談、都市伝説の王道といった筋書きじゃないか。だが、ただの物語と実体験では話が違うというものだろう」
クロード・キノフロニカ(物語嗜好症・f09789)が、どこか客観的に目の前で起こっている事態を口にする。
「人が人を喰らう、だなんて今この時もこの世界は狂っている」
対照的に、草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)は邪神への怒りを顕わにした。邪神に家族を殺された過去のある千秋は、未だに憎しみの気持ちが消えていないようだ。
「ですが、まずは配下をなんとかせねばなりませんね」
「そのようだね、ほら」
クロードが指し示した先には、逃げ遅れて行き場を失った青年がいる。
「彼はあのままだと肖像画にされてしまうだろうね」
「そんなこと、絶対にさせませんよ!」
「僕もそう思うよ。考えがあるんだ、君は少し時間を稼いでくれるかい」
「わかりました、おまかせください!」
千秋は額縁の群れをキッと睨みつけると、慣れた手つきで『ordinis tabes』を向けた。こちらを引き寄せてくる攻撃を使う以上、接近戦は避けるべきと判断したのだ。
(僕は本当は接近戦向きなんですけどね!)
命中を重視した正確な攻撃は、次々と肖像画の中心を撃ち抜いていく。
額縁の方も負けじと魔力を放とうとする。
「例の攻撃か……!」
千秋がじわりと身体が引き寄せられるのを感じたその時。
「台本は綴られた」
背後から声がしたかと思うと、額縁に魔力の塊がぶつかった。額縁はふらふらとよろめいて動きを止める。
後ろを振り返ると、クロードが額縁の姿を模した幻像を呼び寄せていた。
「クロードさん!」
「僕が相手の妨害をする、君はこのまま攻撃を続けて」
「はい!」
千秋を攻撃しようと迫る額縁は、クロードの幻影に邪魔され、自由に動くことが出来ない。
「よく出来た贋作だろう?」
そのまま幻像が肖像画を傷つけると、額縁はかたかたと震えて悲鳴を上げた。
「撃ち抜く!」
そして千秋の精密な射撃が相手にとどめを刺していく。
千秋の攻撃とクロードの支援で、敵は順調に数を減らしていった。
しかし、もうすぐ敵がいなくなろうかという時だった。
(……速い!)
額縁の一つが、千秋の横を猛スピードですり抜け、クロードの元へと迫っていった。そのままクロードに魔力を放ち、取り込もうとする。
「まさか本体を叩きに来るとは、あぁ、何たる失敗……!」
そのままクロードは輝かしい銀縁眼鏡を光らせた肖像画へと姿を変えた。
「ナイスメガネ……じゃなかった、クロードさん!」
千秋は即座に額縁を撃ち、破壊することでクロードを救出した。
「……クロードさん、大丈夫ですか?」
また目の前で人が邪神に襲われた、その事実が千秋を動揺させていた。
「いやぁ、まさか生きていて肖像画そのものになる経験をするとは思わなかったな」
クロードはひょっこり起き上がると、興味深そうに呟いた。
千秋はがっくり肩を落とした後、
「……無事で良かったです」
と、安心したように柔らかい笑みを浮かべた。
「どうやら今のが最後だったみたいだね」
「そうだ、さっきの人は大丈夫でしょうか」
「あそこにいるね、死んではいないみたいだけど……」
二人は急ぎ足で青年の元へと向かっていく。
「お怪我はありませんか?」
「怖かったかい? もう大丈夫だよ」
「……あぁ、すみません」
二人が呼びかけると、青年は震えながらも感謝の言葉を述べた。
別所で攻撃や避難誘導をしていた他の猟兵たちも集まり、ひとまずは互いの健闘を称える。皆で青年の手当てをしていると、彼はぼそりと呟いた。
「……俺、見たんです。二週間前にこの先の裏道で。さっきの絵と同じ顔をしたやつを」
猟兵達が顔を見合わせると、青年は怯えた表情でこちらを見た。
「俺、あいつに殺されるんでしょうか」
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
第2章 冒険
『噂の深層』
|
POW : 現場を虱潰しに調査し、情報収集を行います。
SPD : 目撃情報の提供者などから詳しい話を聞き、情報の収集を行います。
WIZ : 新聞・書籍・ネットなどの情報媒体から、情報の収集を行います。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●噂の路地裏
猟兵達は、手当てを終えた青年に案内され、目撃証言のあった通りまでやってきた。一見すると、特に不審な点のない住宅街の裏道である。
通り自体に人の姿はないが、道は真っ直ぐ大通りに繋がっているため、そこで人から話を聞くことも可能だろう。
元凶であるUDCの居場所を突き止めるため、猟兵達は情報収集を始めた。
コルチェ・ウーパニャン
【POW】
よーし調査だーっ! でもコルチェはムズかしいことはムズかしいぞーっ!
……。
……えーと……大通りに出ると追っかけてこないんだったよね、確か。
大通りとこの裏道とで何か違うところがあるのかな。
境目でなんか、こーだな、あーだな、っていう違いがあればいいんだけど……
人目があったかなかったかの違いとかかな…?
くんくん嗅いだり、地面を触ったり(お砂遊びじゃないよ!ガラスの破片を探してるんだよ!!!)
暗かったり怪しかったりしないかなーっていっしょうけんめい探します!!
誰か通りかかったらカガミのウワサのこと、聞きこんだり…
…チャレンジしてシゲキするのがだいじだって、師走のおにーさんも言ってたもんね!!
アリシア・マクリントック
正体の不確かなものを探るというのは難しいですね……まずは地道に聞き込みをしましょうか。
あまり仰々しいのもなんですし……マリアの散歩中の世間話といった体で情報を集めます。噂話ならこういう形の方が生の話が聞けるはず。ノイズも多いでしょうがそのぶん漏れも少なくなるでしょう。
集めた情報の共通点を纏めてある程度絞り込んだら現地へ向かいます。現地についたらマリアの出番です!街にいるはずのないものがいたのなら、きっとその匂いも残っているでしょう。証言とは違う形で場所の絞り込みができるはずです。頑張りましょうね、マリア!
●もふもふぴかぴかぐーるぐる
「まずは地道に聞き込みをしましょうか」
アリシアが意気込むと、
「よーし調査だーっ!」
コルチェも魔法光ファイバーの髪をぴかぴかと光らせた。
「でもコルチェはムズかしいことはムズかしいぞーっ!」
「それなら、私と一緒に調査しませんか?」
アリシアが手に持っていた犬笛を吹くと、
「わふ!」
マンホールの蓋がポンと外れ、中から狼のマリアが飛び出してきた。
「おいでマリア、ちゃんと良い子にしてた?」
マリアは器用に前脚で蓋を閉めてから、アリシアの元へと駆け寄ってすりすりをする。
「あまり仰々しいのもなんですし……マリアの散歩中の世間話といった体で情報を集めようと思うんですが、コルチェさんも一緒にどうでしょうか」
「わかったー!コルチェ、マリアちゃんを散歩させるアリシアちゃんについてくるマネキンやるね!」
「逆に怪しくないですかそれ!?」
「えーと、じゃあマネキンを散歩させるマリアちゃんを散歩させるアリシアちゃん?」
「一回マネキンから離れてください!」
こうして、一体と一匹と一人の探索珍道中が幕を開けた。
「こんにちは、最近何だか物騒ですね」
「コルチェもそう思います!」
コルチェとアリシアは、リードで繋いだマリアを歩かせつつ、買い物帰りのご婦人に声をかけてみた。アリシアの意図を汲んだマリアは、一生懸命シベリアン・ハスキーの振りをしている。
「あらワンちゃんのお散歩?お利口さんね」
「はい、ハスキーです」
「でも、ハスキーにしては随分大きい気が」
「おっきいハスキーだよ!」
「いややっぱりそれにしたって大き」
「とっても大きいハスキーです!」
二人の圧に屈したご婦人は、これ以上の詮索はしないことにした。代わりに、近頃話題の「噂」について話し出す。
「……お散歩なら、裏の通りは気をつけた方が良いわよ」
ご婦人は、先程青年が案内してくれた通りを指し示した。
「変な噂の場所ってあそこでしょ?人通りが少ないからかしらねえ」
「他に、ここらへんで人の通りが少ない場所ってありますか?」
「あったとしたら、同じような噂って聞いてたりするかな?」
二人が問いかけると、ご婦人は必死に記憶を掘り返して返答した。
「他にも何ヶ所かあるけど、噂が出ているのはあそこだけだねえ」
「ありがとうございました、奥さんも気をつけてくださいね」
あんた達も気をつけなよー、そう言うとネギの刺さった買い物かごを抱え、ご婦人は立ち去って行った。
その後も聞き込みを続けて証言を集めた二人は、裏通りまで戻ってきた。
「えーと、つまりどういうこと?」
コルチェは頭上に読み込みマークをぐるぐるさせている。
「裏通り以外に目撃証言がないということは、例の敵もこの通りのどこかに潜んでいる可能性が高そうですね」
「なんかすごい発見!」
「マリア、嗅ぎなれない匂いがあったら教えて」
リードを外され、晴れて自由の身となったマリアは、周囲の匂いをくんくんする。
「コルチェも探すー」
なぜかコルチェも四つん這いになって地面の匂いを嗅ぎ始めた。
「コルチェさん!そういうのはマリアがやってくれるから!」
「コルチェも手伝う!」
「ま、待ってください!見えちゃいますよ!」
アリシアが慌てていると、マリアがワンと一つ吠え、通りの奥を鼻先で示した。
「ん、何か見つけたのかな?」
「行ってみましょうか」
マリアに先導されて進んでいくと、そこには空きテナントがあった。元はブティックだったのだろうか。本来マネキンを飾るであろうショーケースには誰もおらず、ほこりが積もっている。
「おそらくはこの中、でしょうね」
「うわー、緊張してきたぞー」
二人はこの先にいるであろう敵に備え、各々の武器を呼び寄せておいた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
佐藤・非正規雇用
【SPD】青年から話を聞く
人の姿そっくりに化けるUDCか……。
しかも、自分と同じ姿に……。
話は大体わかったぜ。
UDCは、俺達の中にいるッ……!!
この路地裏には誰もいないし、
さっきの乱戦で、俺達の中に紛れ込んだんだ!!
ヤツが鏡なら、きっと心臓の位置も普通と逆のはず……
今から1人ずつ、胸を触って確認す
うそです。女の子は女の子同士で確認すればいいんじゃないかな……。
もしかしたら、UDCは心臓の音すらしないかもしれない。
草野・千秋
感染型UDCの調査ですよね
師走さんの言う通り噂に尾ひれはつきがちです
とは言うものの一般人さんとかの間ではどうなっていて
どこまで話が広まっているのでしょうか?
精神エネルギー喰らうとかまた恐ろしいです
情報収集+コミュ力
もしかしてもうエネルギーを喰らわれた人がフラフラしてたり
その噂を聞いた方がいるのではないのでしょうか
脚で稼ぐように
あの、突然すみません、お尋ねしたいことがあるのですが?と尋ねる
休憩のカフェでも人々の声に耳を傾けつつ
ネット検索を試みる
ちょっとSNSの検索とか割と侮れないんですよね
●異形の心臓
「あの、突然すみません、お尋ねしたいことがあるのですが?」
アリシアとコルチェが犬の散歩(仮)をしていた頃、千秋と佐藤は二手に分かれて情報収集をしていた。千秋は大通りで噂を、佐藤は青年からより詳しい話を聞き、後で意見の擦り合わせをする手筈になっている。
「佐藤さん、どうでしたか?」
程よく人のいるカフェで合流すると、千秋は問いかけた。佐藤は、路地裏の入り口が見える窓際の席を確保していた。
「例のUDCを見たのは一度だけらしい。大通りに出たらいなくなっていたそうだ」
「そうでしたか。僕も聞いてきたのですが、大通りにUDCが出たという話は聞きませんでしたね」
「なるほどな、話は大体わかったぜ」
「本当ですか佐藤さん!?」
佐藤は得意げに頷くと、指をビシッと指した。
「UDCは、俺達の中にいるッ……!!」
「僕たちの中に!?」
「路地裏には誰もいないし、さっきの乱戦で、俺達の中に紛れ込んだんだ!!」
「な、なんだってー!!」
「ヤツが鏡なら、きっと心臓の位置も普通と逆のはず……今から一人ずつ、胸を触って確認す」
佐藤が伸ばしかけた手を、千秋はガシッと掴んだ。
「佐藤さん」
「止めないでくれ草野くん、男にはやらねばならない時もあるんだ」
「佐藤さん」
「……冗談!冗談だから草野くん!その顔怖いからやめて!」
説明しよう。正義のヒーロー、断罪戦士ダムナーティオーである千秋は、たとえ味方であろうと不審者には容赦しないのである。
「……ですが確かに、相手と瓜二つになれるからといって、身体の構造まで模倣が出来るとは限りませんよね」
「だろ?だからそのためにも、胸を触って確認す」
「佐藤さん」
「草野くんわかった!俺が悪かったから!」
説明しよう。正義のヒーロー、断罪戦士ダムナーティオーである千秋は、たとえ冗談とわかっていても不審者には容赦しないのである。
「……とにかく、敵が路地裏にしか出ないことがわかったのは収穫ですね」
見てください、と千秋はスマートフォンを取り出す。佐藤が覗き込むと、それはSNSのスクリーンショットであることがわかる。
「一応調べてみたんです。案外侮れないものですから」
話に多少の尾ひれや誇張はあるものの、噂の情報がいくつか並んでいる。
「やっぱり、目撃証言は路地裏なんだな」
「敵が路地裏にいるのは間違いないですね」
二人が確信を得た時だった。
「草野くん」
「どうしました?」
佐藤が指した先を目で追うと、路地裏に人が入っていくのが見えた。
「あの人、さっきの戦闘で見たかもしれない」
「佐藤さんが避難誘導していた方ですか?」
佐藤は頷いた。
「あんな目に遭ったのに、わざわざ元凶のいる路地裏に行く奴がいるか?」
「確かに怪しいですね」
二人は精算を済ませると、路地裏へと向かった。
「すみません、ちょっといいですか?」
千秋が優しく話しかけると、呼びかけられた男性はゆっくり振り向いた。生気のない顔をしており、こっちを向いているのに目の焦点が合わない。
「この先は最近物騒ですから、行かない方が良いですよ」
千秋が目配せをすると、佐藤が前に出てきた。
「ちょっと失礼」
佐藤は、手を伸ばすと男性の左胸に手を当てた。
鼓動はなく、手をヒヤリと冷気が包み込んだ。
バレた、とでも言うかのように男性は口の端を歪ませると、形を揺るがせながら奥へと駆けて行った。
「待て!」
二人が後を追い続けると、男性はガラス戸をするりと抜けて消えていく。顔を上げると、そこには空き店舗になったブティックがあった。
別行動をしていた他の猟兵達も続けてこのブティックに集まってくる。決戦の時は近いことを告げていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
クロード・キノフロニカ
では僕は、人々の噂から「UDCが何をしてくるのか」をもう少し詳しく調べようか
この街で出回っている噂の内容を聞き、細かい部分を確かめていくよ
「彼は普段からその裏路地を通るのかな?」
「なるほど。それで、怪我人はひとりで済んだのかい?」
たまたま目に付いた相手を狙うのか、何か誘い込む能力でもあるのか
敵の攻撃対象が狙った相手だけなのか、無差別に人間を手にかけるのか
それを探るだけでも、対処のしようが出てくるからね
怪しい人物のいるブティックに駆け付けたら、すかさず【指定UC】を
「さぁ、正体を答えてくれないか?」
半ば強制なわけだけど……UDC相手なら別に構わないかな
弦月・宵
話は聞かせてもらったよっ
この怪しげなブティックを調査すればいいんだね!
洋服とかも売っているなら、お店の中の鏡が怪しい!
(ここはなにかな?って感じで近づいて調査)
なーんて、単純な話じゃないか…
えっと…その、なんだか不安になったときに、力をくれるようなものが、欲しくて?
(人見知りで店員にはたどたどしく話す。
物品は商品を見ながら、場に合うものに話しを合わせる)
子供が場に合わない店なら、「迷っちゃった!んのお店?」路線に切り替え。
この場所がビンゴなら、この近くで犠牲になったヒトとか、いるかもしれない。
浮かばれずに漂っている霊に、そっと近づいて何がったのかを聴くよ。
出現が確定すれば、猟兵スイッチオン!
●サミシイワタシ
「なるほど、怪しい奴がこの中に入っていったんだね」
クロードが言うと、
「話は聞かせてもらったよっ この怪しげなブティックを調査すればいいんだね!」
後から合流した弦月・宵(マヨイゴ・f05409)が胸を張った。
空き店舗となったブティックの前には、既に他の猟兵達も集まっている。
「オレ達で先に様子を少し見てくるから、みんなはちょっと待ってて」
「中で噂のより細かいところを確かめてくるよ。その方が後々役立つからね」
宵がガラス戸に手を掛けて引っ張ると、それを望んでいたかのように戸はすんなりと開き、猟兵達を迎え入れた。
「……あれ?」
「……おや」
店内を覗き込んだ二人が驚きの声を漏らした。
空き店舗であるはずのそこには、多くの服が陳列され、店員が熱心に働いていた。
「いらっしゃいませ」
二人を見た若い女性の店員がこちらに向かってくる。
「何かお探しでしょうか?」
「あっ、えっと」
人見知りが発動した宵は慌ててクロードの後ろに隠れる。
「クロード、これどういうことだろう?」
「おそらくはUDCの能力だね。この店がまだやっていた時の様子を映しているのだと思う」
二人は店員に聞こえないよう小声で会話をしている。店員はそれを見て首を傾げた。
「とりあえずは話を合わせておいてくれるかな、僕はその間に奴を探してみる」
「うーん、わかった。自信はないけどやってみる」
作戦会議を終えると、宵は勇気を出してクロードの一歩前に踏み出した。
「あの、お姉さん、『きゅろっとぱんつ』ってやつ、あったりする?」
辛うじて知っている用語を絞り出しながら、宵はたどたどしく問いかけた。
「それなら、こんなのはいかがですか。ブラウスに合わせるだけでも春っぽくなりますよ」
「……すごい」
素直に感心する宵をよそに、クロードは店の奥へと進んでいく。
「……君は店員さんには見えないね」
店の奥、「Staff Only」と掲げられた看板の前に、形の揺らいだ男性が佇んでいた。
「さぁ、正体を答えてくれないか?」
クロードが問いを投げかけると、小瓶から砂糖菓子の怪物が飛び出し、真っ直ぐに男性の元へと突っ込んでいった。
ワタシハ。
砂糖菓子が鋭いカラメルの牙で男性の身体を貫くと、パリンと甲高い音が鳴り、男性は粉々に砕けて散った。それと同時に空間が揺らぎ、辺りが黒く染まっていく。店の風景はあっという間に黒に飲み込まれて消えていった。
「……クロード、これは」
「これも奴の能力だろうね」
「……そっか。あ、ちょっと待って、何か感じる」
宵が手をかざすと、小さな人魂がゆらゆらと現れ、宵の掌の上に止まった。
「これ、多分さっきのお姉さんだ」
「やはり、ここで何かあったようだね」
人魂は震えると、小さな声で語り始めた。
「ワタシ、ビョウキ、シンダ」
「ミセ、トジタ」
「カガミ、ヒトリ」
「……つまり、店主を失い孤独になった鏡に自我が宿った結果、今回のUDCが生まれたというところだろうね」
「人を襲うのは寂しいから、なのかな」
二人が推測を語ると、人魂は満足したかのように消えていった。
サミシイ。
サミシイ。サミシイ。
サミシイ。サミシイ。サミシイ。
呼応するかのように、黒い空間が泣き言を重ねていく。大切なものを失い、孤独になった過去のある二人の心を影がかすめていく。
サミシイ。サミシイ。サミシイ。
サミシイ。サミシイ。
サミシイ。
次第に黒は薄れていき、目の前にはほこりの積もった空き店舗が戻っていく。それと同時に「Staff Only」の看板がぱたりと落ち、関係者用の扉が開かれる。扉は猟兵達を招くようにぽっかりと口を開けていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『『貴方の魔性を映す鏡の女神・スペクルム』』
|
POW : 『アナタは、私(アナタ)の過去に囚われ続ける』
【対象自身の過去のトラウマを抱えた姿】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 『欲望に素直になりなさい、"私(アナタ)"』
質問と共に【対象の理性を蕩けさせる甘い香りと囁き】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
WIZ : 『アナタが"私"を認めるまで、躾てあげる』
【従属の首輪】【躾の快楽触手】【欲に堕落する媚薬の香】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠風雅・ユウリ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●かつてブティックであった空き店舗
猟兵達が慎重に関係者用扉の奥へと進むと、そこには異空間が広がっていた。周囲が割れた鏡のようになっており、万華鏡の仕組みで微かな光が乱反射する。
UDCは猟兵達の姿を確かめると、三日月のように口角をギュッと上げ、薄気味悪い笑い声を出した。
サミシイ。イッショ。ズット。イッショ。
草野・千秋
――ああ『お前』は『僕』だな
鏡写しのような自分を見て忌まわし気に
殺戮人形のカタチをした狂戦士
鋼と肉の中途半端な混ぜ物の
寂しい?
……僕だって寂しい
好きな人や愛する人はいるはずなのにいつだって人恋しい
僕の心はまるで穴の開いたバケツ
(周りの人を思い出し)
いや違う!
(怪力で鏡を割ろうと)
お前は僕の偽物に過ぎない!
僕には今が、現実がある!
人々が優しくしてくれるのなら
その人たちに僕も優しくしなければ
彼らへの無礼にあたる
堕落にも心の傷にも僕は屈しない
人々の信頼に応えてこそ、ヒーローだからだ!
Judgement you onlyで攻撃力アップ
怪力、2回攻撃、グラップルで敵と戦う
痛みは盾受け、激痛耐性で耐える
●千秋と『僕』
「……どうして」
武装した千秋の目の前に現れたのは、髪が白く染まったもう一人の自分だった。足元には、血だまりが広がっている。
「『お前』も、一人でサミシイよな」
もう一人の自分が、ゆっくりと口を開いた。
「あいつを倒して清々しただろ?そんなことしたって妹は帰ってこないのに」
「黙れ!」
「どれだけ足掻こうとあの日の平穏は戻らない。結局のところ、お前は人間の振りをした『偽物』のままなのさ。『僕』と何が違うっていうんだ」
「……っ!」
千秋は拳を握ると、目の前にいる『僕』を見つめた。思わず自嘲的な笑みが零れる。
「……ああ『お前』は『僕』だな」
正義をかざし、殺戮を行う鋼の人形。何にもなれない空っぽの人形。
「サミシイだろ?早く家族のところへ行かせてくれと、そうは思わないか?」
『僕』はニタニタと不快感を覚える笑みを浮かべると、素早い攻撃を千秋の正面に叩き込んできた。
「……!」
攻撃をかわすことが出来ず、千秋はヘルメットが壊れるほどの一撃をもろにくらった。
ぐるぐると今までの記憶が脳裏に浮かんでいく。これが走馬灯というやつだろうか。意識が遠退いていき、目を閉じるその瞬間だった。
愛しいあの人の姿が思い浮かんだ。
そうだ。今日帰ったら一緒にご飯を食べる約束をしているんだ。あの人のおいしそうにご飯を食べる顔が、僕はとても好きだ。
それを機に、次々と温かい記憶が千秋の空っぽの心を満たしていく。
「違う!」
意識を繋いだ千秋は歯を食いしばると、『僕』を睨みつけた。
「どうして立っていられるんだ」
「お前は僕の偽物に過ぎない!僕には今が、現実がある!」
「現実だと……?」
「人々が優しくしてくれるのなら、その人たちに僕も優しくしなければ
彼らへの無礼にあたる!堕落にも心の傷にも僕は屈しない、人々の信頼に応えてこそ、ヒーローだからだ!」
かつて孤独になった青年を、今は優しい仲間と愛しい人が囲んでいる。千秋はもう一人ではなかった。
「僕は負けられないんですよ、僕を信じてくれた人の為に!」
千秋のアーマーが黒く変化し、赤い翼が生える。痛みなどどうでもよかった。ただ目の前の悪を駆逐するため、断罪戦士ダムナーティオーは敵へと向かっていく。
「はあああああ!!」
狂いのない真っ直ぐな攻撃を敵に叩き込む。相手はガードをし、それを防いだかのように見えた。
「まだだ!」
もう一つの拳が、敵の顔面を直撃する。力強い攻撃は相手の身体にひびを入れた。
「…………なぜ!」
「これが僕の正義だ!!」
敵は姿を揺るがせながら、遠くへと吹っ飛んでいった。
成功
🔵🔵🔴
コルチェ・ウーパニャン
コルチェ、おしゃれ大好き。
それは、長いこと自分のことをマネキンだと思って、ショーケースにいたから。……だと思う。
みんなコルチェの着てる服しか見てなくて、コルチェには気づかないの。
ロップちゃんが見つけてくれなかったら、ずっと、あのまま……?
って思うと、すごくこわい。おむかえが来ないのが、こわい。
カガミさん、あなたはわたし。おむかえがこなかったコルチェ。
コルチェには、カガミさんがさみしいの、とーっても、よーくわかる。
でも、でも、コルチェはカガミさんのロップちゃんにはなれないから……だから、ごめんね!
コルチェはもう、コルチェじゃなくなりたくないの。
クビワとかも、受けてあげるわけにはいかないよ!
●コルチェと『コルチェ』
いきなり吹っ飛ばされてダメージを負ったUDCは、標的を変えると再び姿を模倣する。目の前には、コルチェの姿があった。
もう一人の『コルチェ』は、水晶のようなワンピースを身に纏い、地面へと降り立つ。
「ねえ、きれいでしょ。『コルチェ』はマネキン。お洋服を見せるためのおまけ。誰も『コルチェ』のことは見てくれないの」
「そんなことないよ!コルチェにはロップちゃんがいるもん!」
恩人の名を口にすると、もう一人の『コルチェ』はカツンとヒールの音を鳴らした。
「違う、おむかえが来ないの!サミシイよ!『コルチェ』ならわかるでしょ!」
「わかるよ、わかるけど……」
「なら、一人ぼっちにしないでよ!」
もう一人の『コルチェ』は重い鎖で繋がれた首輪を振り回す。半ば八つ当たりのような攻撃は、周囲を抉って傷つけていく。
「うわっ、危ないよ!」
「どうして!『コルチェ』と『コルチェ』はイッショなのに、どうして『コルチェ』にはロップちゃんがいないの!」
もう一人の『コルチェ』はがっくりと項垂れた。髪が切れた電球のように明滅する。
「カガミさんダメだよ。そうやってぶんぶん攻撃したら、みんな逃げちゃう。ロップちゃんも来てくれないよ」
サミシイ、そう口にしながら、もう一人の『コルチェ』は来たものを傷つけ、むしろ自分から遠ざけていた。
「カガミさん、あなたはわたし。おむかえがこなかったコルチェ」
コルチェは優しく微笑んだ。
「コルチェには、カガミさんがさみしいの、とーっても、よーくわかる。でも、でも、コルチェはカガミさんのロップちゃんにはなれないから……だから、ごめんね!」
コルチェが手をかざすと、いかにも危なそうな爆弾がデザインされたシールが掌に収まった。
「逃げないとどうなっちゃうか、コルチェにも分かんないぞー!」
コルチェがシールをブラスターに装着して射出すると、コルチェの周囲に火柱が立ち上り、周囲を燃やしながらカガミさんへと飛んでいく。
「認めない!絶対に認めないんだから!」
カガミさんは鎖を引きずりながら首輪を飛ばし、万華鏡の地面から触手を伸ばして盾にした。
「コルチェはもう、コルチェじゃなくなりたくないの!いっけー!」
「……いやっ!」
火柱は首輪や触手を焼き尽くすと、花火のように爆発した。花火はパレードのように何度も弾けては万華鏡の地面に反射し、きらきらと美しい模様を描いていった。
「いつかきっと、カガミさんにもサミシイがなくなる時が来るよ」
コルチェはブラスターをぎゅっと握り、終わらないパレードの様子を眺めていた。
成功
🔵🔵🔴
佐藤・非正規雇用
■内面:叶うことのない理想
モテモテの自分。客観的にイケメンの佐藤が現れる。
(実際に女の子に囲まれて現れるとダメージ大)
性格も嫌味がなく、春風のように爽やか。
■心情
くっ!? ダメだ……女の子に囲まれている奴を見ると
何をやっても勝てない気がする……!!
俺が奴より優れている点はあるのか!?
なんか性格も良さそう!
……だが! そんなことで諦めていたらキリがねェ!!
勝てない試合は諦めるっていうのか?
答えは『ノー』だ!!
べつに『思いは俺の方が強い』とか言うつもりはねぇ。
例え、何一つ勝っている部分が無いとしても、
俺は戦う前から諦めたりしない!!
可能性だけが、俺の味方だァーーーッ!!
(女の子に花束を渡す)
●佐藤と『俺』
「どういうことだ……?」
動揺する佐藤の目の前にはもう一人の『佐藤』が立っている。それだけではない。もう一人の『佐藤』は、複数人の女の子を侍らせていたのだ。女の子はそれぞれ個性はあれどみなかわいく、佐藤を動揺させた。
「ダメだ……女の子に囲まれている奴を見ると何をやっても勝てない気がする……!!」
先程、配下に対してバレンタイン撲滅運動をしたばかりの佐藤は、劣等感を顕わにした。その時、もう一人の『佐藤』と目が合う。
「なんだ!やるのか!」
佐藤が突っかかると、もう一人の『佐藤』は少し困惑したような、それでいて爽やかな笑みを向けた。
「性格も良さそうじゃねえか……」
更に追い打ちをかけるように、女の子の一人がもう一人の『佐藤』へと言った。
「佐藤さん、運転免許の更新も忘れたことないってホント!?」
「ん゛っっっ!!!!」
女の子の何気ない一言が、佐藤を傷つけた。
「くそっ……!免許の更新も忘れてないなんて……!」
佐藤はがっくりと膝をついた。どうあがいても勝てない。絶望感が佐藤を包んだ。
しかし。
「そんなことで諦めていたらキリがねェ!!」
佐藤は足を踏ん張らせ、気合で立ち上がった。
「勝てない試合は諦めるっていうのか?答えは『ノー』だ!!」
全てがもう一人の『佐藤』の「味方」のように見える。しかしそれは、全てが佐藤の「敵」であることを意味しているわけではなかった。
「べつに『思いは俺の方が強い』とか言うつもりはねぇ。例え、何一つ勝っている部分が無いとしても、俺は戦う前から諦めたりしない!!」
佐藤は自身の装備武器の封印を解き、その切っ先を敵へと向けた。それと同時に、佐藤の周囲を水が散り、風が吹き荒れていく。
「貴様にはちょっと勿体無いが、くれてやる!!」
佐藤の武器は光り輝くと、季節の花をあしらった大きな花束へと変化した。佐藤の周囲を舞っていた水と風は色とりどりの花びらに変わっていく。
「可能性だけが、俺の味方だァーーーッ!!」
佐藤は花束を抱え、敵陣へと突っ込んでいく。
「よろしくお願いしまーーーーーす!!」
花びらの竜巻がもう一人の『佐藤』を巻き込んでいく。もう一人の『佐藤』はどうにか対抗しようとしたが時既に遅く、竜巻は天まで高く上がって軽々と相手を吹き飛ばしていった。本当に可能性だけで勝ってみせたのだ。流石佐藤さん。さすさと。
「どうか……」
息を切らしながら、佐藤は花束を女の子に差し出した。本体がダメージを受けたことでひび割れた女の子の幻影は、優しく微笑むと、崩れて消えていった。
成功
🔵🔵🔴
アリシア・マクリントック
貴方が『私』であると言うならば、その在り方を存分に示しなさい!
文字通り、自身と向き合えるとはまたとない好機。私が知らない『私』あるいは……私が封じている『私』。その全てを糧に私は前に進みましょう。
……変身!
私は私になるためにここに立っているのです。たとえ為政者として義姉達に劣るとしても……私が私として、誇りを持ってマクリントックを継げるように!
(トラウマは何者でもない自分。優秀なメイド達に全ての仕事を任せても表向き立派な領主にはなれるだろう。メイド達は父と養子縁組をしているので法律上は姉妹。自信を持って勝っていると言えるのは血筋くらい)
なにか、掴んだような気がします。後はこれを形にできれば……
●アリシアと『私』
「…………!」
想定外の攻撃を受けたUDCは、体勢を立て直すと今度はアリシアの元へと向かっていく。
アリシアの目の前に現れたのは、優秀なメイドが慌ただしく働く中、立派な装飾の施された椅子に腰掛け、その様子をただ見つめるもう一人の『アリシア』だった。
「『私』は恵まれているのだから、それに甘んじれば良いのです」
「……それは違います、環境を享受するだけでは立派な為政者とはなれません」
「なら、『貴方』の言う『立派な為政者』とは何ですか?メイドに全て任せれば、楽して領主になれるのに、なぜ自ら危険な外へと赴くのですか?」
「それを今、あなたの前で証明してみせます!」
アリシアはセイバーギアを取り出すと、それを腰に当てて固定した。
「……変身!」
「Gate open!」の音声が流れると、光の扉が出現し、万華鏡の戦場に乱反射した。
「貴方が『私』であると言うならば、その在り方を存分に示しなさい!」
アリシアは扉をくぐってセイバークロスを身に纏い、セイバーエッジを構える。一方、もう一人の『アリシア』が腕を振り上げると、メイド達が息を合わせて攻撃を仕掛けてきた。
メイド達は法律上はアリシアの姉妹。学問の勉強から身の回りの世話まで、一族と共に過ごしてきた存在だ。
(偽物とはいえ、同じ姿の者を斬るのは心が痛みますが……)
「私は私になるためにここに立っているのです。たとえ為政者として義姉達に劣るとしても……私が私として、誇りを持ってマクリントックを継げるように!」
アリシアは偽物のメイドの攻撃をかわし、次々と倒していく。その目は、もう一人の自分を真っ直ぐに見据えていた。
「貴方は自分の立場の維持に目が眩んで、民のことをきちんと見れていないようですね。我が一族の誇り高きメイドの強さはこんなものではありませんよ!」
「……そんな」
椅子に一人取り残されたもう一人の『アリシア』は動揺し、椅子から立ち上がった。それを見たアリシアは再び武器を構える。
(血筋だけで頂点に君臨する私、ですか)
もしかすると、目の前にいるのは外に出ないまま長となった自分の未来なのかもしれない。だが、本物のアリシアは知っていた。触れたもの全てが未来になっていくと。
「セイバーホールド!」
セイバーエッジの剣先から放たれた拘束光線が、もう一人の『アリシア』の動きを封じた。
「フィニッシュ!」
そのまま突進しながらの斬撃を相手にお見舞いすると、敵のひびが更に深くなっていった。
「……なにか、掴んだような気がします」
崩れていく椅子を見ながら、アリシアは広い空の色の目を輝かせた。
成功
🔵🔵🔴
弦月・宵
キミはオレ?
じゃあ、オレは誰???(首をかしげてじっと鏡を覗き込む)
(映る過去は最近のもの
鏡の間を友達と手を繋いで駆け抜けて
2丁拳銃の敵と戦っているところ
倒れた友達を助け起こして、敵に攻撃をするも返り討ちにあって飛ばされる自分の姿)
勝てなかったのが悔しいんじゃない…
分かり合えなかった事が切なかった…
キミがあの時のオレ?
じゃあ、遠慮はいらないね(にこっと)
弱い自分は必要ないんだ。
痛いところは、もう二度と見なくていいように、
痛くても今ちゃんと見つめて、気持ちに決着をつける事にしてるんだ。
【UC:ブレイズフレイム】を太刀に侍らせて、
自分の姿を真っ向から叩き斬る!
キミ(自分)にごめんねは言えないなぁ…
●宵と「オレ」
「キミはオレ?じゃあ、オレは誰???」
宵が不思議そうに首を傾げると、万華鏡と化した周囲がキラキラと変わっていき、宵の過去を映し出した。
魂を見送り、安息をもたらすために死を与える宵。白い手は離されていき、手には冷たい感触が残る。
倒れた友達を助け起こし、敵に刃を向けようとしたその瞬間、宙を舞っていく自分。苦しそうな友達。胸の奥が締め付けられ、切なくなる感覚。
「分かり合えなかった」
もう一人の『宵』が、万華鏡の隙間からするりと抜けてくる。その身体には深いひびが入り、もう先が長くないことを告げていた。
「『キミ』のせいで、友達は傷ついた。ずっと一人でいるのがお似合いだったのに、その手を伸ばしてしまった」
「……キミが、あの時のオレ?」
宵は念入りに確かめるようにして問いかけた。
「『オレ』は『キミ』、一人ぼっちでサミシイ『オレ』」
「そっか、じゃあ」
宵は子どもとは思えない力で自分の背に近い長さの太刀を振りかぶった。
「遠慮はいらないね」
宵は幼い表情で微笑む。孤独を知っているからこそ、彼女は他者を思いやり自分に厳しくあれるのだ。
「どうして?『キミ』は一人であるべきなのに?サミシイから、『オレ』がずっと傍にいてあげられるのに?」
「弱い自分は必要ないんだ。痛いところは、もう二度と見なくていいように、痛くても今ちゃんと見つめて、気持ちに決着をつける事にしてるんだ」
振りかぶった太刀に、紅蓮の炎が纏わっていく。強くならねば、大切な人を守らねば。信じてくれた手を、もう二度と離さないためにも。
「弱い自分を乗り越えてみせる!」
地獄の業火をまとった太刀は、万華鏡に映る風景をかき消し、真っ赤に書き換えていく。
「そんなことしても『キミ』の罪は消えない、なかったことにはならない!」
「なかったことにはしないよ、過去があるから今があるんだ。『キミ』の方こそ、店員だったお姉さんが心配していたよ。さっさと成仏した方が良いんじゃないかな」
「サミシイ。サミシイ。サミシイ。」
燃え上がる炎は、怨嗟の声と共に万華鏡の世界を溶かしていき、次第に世界はぼろぼろと崩れ始めた。溶けて落ちていくガラスの雫は、まるで涙のようだった。
「地獄より来たりし、紅蓮の業火よ」
宵は振りかぶっていた太刀を一思いに振り下ろした。周囲は砕け散り、炎はもう一人の『宵』を容赦なく燃やしていく。ガラスは溶けて塊となり、宵の周囲に結晶を形作った。
「『自分』にごめんねは言えないなぁ……」
苦しむもう一人の『宵』を、宵は見届けるようにして呟いた。
成功
🔵🔵🔴
クロード・キノフロニカ
鏡から現れたのは、少し前の僕
戦うことが怖くて、困難に立ち向かうことが怖くて、いつも皮肉ばかり言っては本心を隠していた
かつての相棒を失ったトラウマが……なんて尤もらしく言ってたのは半分嘘だ
実は彼のことは僕の中で折り合いはついていて
踏み出せなかったのは、命を懸けた状況への恐怖のせいだった
そんな自分が目の前に現れるとは
心の奥底に残っている臆病風を、見事に見透かされてしまったというわけかな
本音は
「正直、まだ戦うのは怖いよ。すぐにでも逃げ出してしまいたいくらいに」
だけど
「これが臆病者の戦い方だ」
敵UCを拘束具で封じ【傷口をえぐる】ように刀で攻撃
君と彼女の記憶を物語に綴らせてくれないか
それが僕の「欲望」だ
●クロードと『僕』
万華鏡の世界は崩壊をはじめ、致命傷を負ったUDCは溶けながらどうにか形を保っていた。
「サ……ミシイ」
終わりが近づく世界を見届けていたクロードの前に、もう一人の『クロード』がゆっくりと現れた。もう一人の『クロード』は、こちらに攻撃するわけでもなく、手を後ろに組むと困ったように笑った。
「『キミ』ならわかってくれるだろう?大切な人を失った悲しみも、一人ぼっちのサミシサも。だから、こんなことはやめようじゃないか」
クロードは、目の前にいる自分が手を後ろに組んだ理由を察していた。
「『キミ』は、怖いんだね」
「そうさ、だから悲しいんじゃないか」
「違うよ、僕が言ったのはそっちじゃない」
クロードはゆっくりと口を開いた。
「『キミ』は、戦うことが怖いんだろう?」
もう一人の『クロード』は観念したように手を下ろす。その手は小さく震えていた。
相棒のことを忘れたわけではない。だが、そのことにクロードはきちんと折り合いをつけていた。本当に自身を怯えさせるもの、それは命を懸けた状況に立ち向かわねばならないことだった。
「『キミ』は本当によくできているね。こんなことまで見透かされるなんて」
「…………」
「正直、まだ戦うのは怖いよ。すぐにでも逃げ出してしまいたいくらいに」
クロードは自身に言い聞かせるように言うと、刀を持ち出した。
「でも、こんなことは繰り返されるべきではない。もう終わりにしようじゃないか」
心の奥底で望んでいる悲劇を覆す奇跡を、もし自分の手で掴むことが出来るのなら。
クロードが手をかざすと、敵へ拘束具が飛んでいった。もう戦うだけの力もないUDCは、あっさりとそれに捕らえられ、元の姿に変わっていく。
「本当に、それでいいの?欲望のままに生きれば、あなたは楽になれるのに」
少女のシルエットがクロードにそう問いかけた。
「いや、そうさせてもらうさ」
クロードは刀で少女のシルエットを貫いた。
「君と彼女の記憶を物語に綴らせてくれないか、それが僕の『欲望』だ」
少女は少し間を置いてから頷くと、粉々に割れて消えていった。それと同時に、崩壊する世界から記憶の数々が零れていく。
何か文句を言われ、頭を下げる彼女。
スタッフルームでため息をつく彼女。
そして、嬉しそうに笑う彼女。
猟兵達が気がつくと、そこは元の何もない空き店舗だった。スタッフルームの扉の前には、割れて使い物にならない鏡が倒れている。
クロードは鏡の前に行き、かがんで縁をそっと撫でると、満足したように立ち上がった。
「どうやらこれにて終幕、のようだね」
大成功
🔵🔵🔵