●
ダークセイヴァー、辺境。そのマツ科によく似た針葉樹の森はただただ深く、異世界の知識を持つ者ならば、黒き森(シュヴァルツヴァルト)という言葉が脳裏に浮かぶだろう。
この暗き森はただただ深く、迷い込む者を阻む。この世界の支配者であるヴァンパイアでさえ、この森がどこまで深いのか正確に把握しているのはほんの極々一部だとも言われている、難攻不落の森だ。
――オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ。
その暗く深い森の奥から、今日もその咆哮が届く。獅子のそれがごとく、低くよく通る咆哮に誰も黒き森に近づこうという者はいらなかった。極稀に、ヴァンパイアの圧政に絶望した者が逃げ込んでも帰ってきた者は一人としていない。
実はこの森の向こうには楽園があって、森に踏み込んだ者は残らず幸せに暮らしている。だから帰って来ないのだろうか? ……そんな御伽噺を信じるには、この世界の人々は絶望に慣れていた。
そして、それが正しい事を誰もが心の底で確信していた……。
●
「このダークセイヴァーの辺境を、おぬしらに開放してもらいたいのじゃ」
ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)はそう切り出すと、説明を続けた。
「ダークセイヴァーの辺境の殆どは、「異端の神々」と呼ばれる超存在がうごめく未開の地での。ヴァンパイアどもの支配していない地なのじゃ」
過去、ダークセイヴァーではヴァンパイアがオブリビオンの軍勢を率いて辺境制圧に乗り出し、数々の神々を屠った歴史がある。だが、殺されたはずの神々は次々とオブリビオンに憑依。その魂と肉体を奪い取ってしまったのだ。
「こうしてヴァンパイアどもは辺境から手を引き、現在は手つかずとなっておるのだが……」
この魂と肉体を奪われた「狂えるオブリビオン」を倒せば、ヴァンパイアから支配されていない土地が入手できる――そうすれば、圧政に苦しむ人々が移住する事も出来るのだ。
「危険だが、やってみる価値はあるじゃろう。ただ、この森は深い未開の地じゃ。ただでは進めぬ上に、進んだ先にはオブリビオンどもが潜んでおるだろう。心して挑んでくれい」
波多野志郎
放置される土地には、放置される理由があるものです。どうも、波多野志郎です。
今回はダークセイヴァー世界で人々の移住の地を作るため、狂えるオブリビオンが潜む深い森に挑んでいただきます。
第一章に関しては、ひたすら森を奥へと進んでいただきます。しかし、ヴァンパイアどもも侵攻に苦労した森、一筋縄ではいかないでしょう。皆様のアイデアをお待ちいたしております。
それでは、深き暗い森にてお会いしましょう……。
第1章 冒険
『迷い森の夜鳴き』
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POW : 灯りをともして進む。
SPD : 暗闇をみとおし進む。
WIZ : 耳をすまして進む。
👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
鍋島・小百合子
SPD重視
暗い森じゃのう
まさに物の怪が飛び出してこんといわんばかりであるぞ
「夜の目が効くわらわならばこの程度など朝飯前じゃ」
UC「無明瞑想術」発動
気配を完全に消しつつ(目立たない、忍び足、闇に紛れるも併用にて隠密性を高める)も周囲の警戒を怠らず、暗視と視力を用いて視界を確保しながら森の中を進む
道中小太刀で森の木に矢印の傷を付けたりや地面の草木を円形に刈り取って木の枝を刺しておく等で自分が進んだ道の痕跡を残しておき、後に来る者達の道標とする
野生動物の姿が確認されたらその周辺の木々に動物の顔絵を刻んでおく
うむ…こんびにのおでんは美味であるの
肌寒き世界に温かさが身に染みるぞ
牛すじの串も刺しておこうか
リーヴァルディ・カーライル
…ん。辺境の地を解放した事は幾度かあるけれど、
どれも神の狂気の影響で一筋縄ではいかなかった…。
…この咆哮にも精神を揺さぶる何かしらの可能性がある以上、
とれる対策は十全にして赴くべきね。
事前に自身や他の猟兵に精神力を溜めて増幅する“調律の呪詛”を付与
狂気耐性を強化するオーラで精神攻撃を防御して、
第六感が殺気や危険を捉えたら退避するように心掛けUCを発動
肉体の存在感を残像のように薄めて霧になり、
障害をすり抜けつつ怪力の踏み込みから弾丸のように一直線に森の奥を目指すわ
…この森を解放すれば、それだけ人々の安住の地が増える。
必ず、為し遂げてみせるわ。人類に今一度の繁栄をもたらす為にも…。
御剣・刀也
POW行動
ヴァンパイアが侵攻を諦めた森か
果たしてどんなものが待っているのか、楽しみだな
俺の心を満足させてくれる強いやつと闘えると嬉しいね
灯りをともして恐れることなく堂々と正面から進む
第六感をフル活用して何が来ようと冷静に対応するようにする
森の木が動いているようだったら、殺気で森の木々に脅しをかけながら、動いた奴を一刀で斬り捨てて、脅しをかけつつ、堂々と進む
「動く木か。まぁ、何であれ、邪魔するなら斬り捨てて進む。俺の道の邪魔はさせねぇ」
セルマ・エンフィールド
【SPD】
どこに行ってもオブリビオン。いくら倒してもきりがない……ですが、この世界に人の住む場所を作るためであれば、いくらであろうと倒すだけです。
ドローン「ペレグリーネ」を上空に飛ばして自分の位置を見失わないようにしつつ、ナイトビジョンの『暗視』機能を頼りに進みます。
森の浅いところにはオブリビオンはいないにしても、狂える神の声や魔獣の妨害がある可能性はあります。
この世界やUDCアースの邪神との戦いを経てついた『狂気耐性』で狂える神の声に惑わされないようにしつつ、魔獣の襲撃は【絶望の福音】で察知、フィンブルヴェトによる氷の弾丸の『クイックドロウ』で撃ち抜き、倒しながら進みます。
フリージア・カットラス
(絡み・アドリブOK)
【POW】
「灯りは、これでいいだおう」
そういって自分の手のひらから【ブレイズフレイム】で炎を出し【ルーンダガー】の刀身を燃やす。
これなら任意で消すこともできるしすぐに戦闘にも移れるから便利だ。
灯りを頼りに森の奥へと進むが咆哮が聞こえたのなら【覚悟】を決め聞こえた方向へと進む。
オブリビオンとの戦いは避けられないのだからこちらから出向いてやろうじゃないか。
ルナリリス・シュヴァリエ
暗く深い、黒き森……ですか。
皆の未来のため、切り拓かせてもらいます。
#バックパックを使い、水と保存食をに詰めて出発!
近隣に村でもあれば、森について軽く#情報収集しておきます。
そして冒険と言えば松明!灯して森を進みます。
不測の事態には間に合わせの武器にもなりそう。
私の作戦はこう――
昼に行動、夜は#天幕を使い野営。
森を直進、障害物は#ダッシュと#ジャンプで躱し、
#地形を利用した#空中戦感覚でバランスをとって#空中浮遊で着地。
定期的に太陽や星座の位置を確認、進行方向を確かめる。
ある程度進む毎に周囲をUCセレスティアル・フレアで切り拓いて休憩・野営場所とする。
――そのように森を切り拓きながら進みます。
音海・心結
アレンジ・絡み可
久々のダークセイヴァー
みゆの故郷なのです
(――でも、あの頃とは違うのですよ)
惑う道でも灯りを頼りに進むのです
やっぱり光があると、落ち着くとかゆいますし
マイくんと一緒に道を進みましょか
【情報収集】は怠らず、意識高めにゆくのですよーっ
ちなみにマイくんは盾になってくれる
強くて優しい動くくまぬいなのです
みゆの大事なパートナーなのですっ!
もし動物さんがいたら【動物と話す】で
ねぇ
この先の道を教えてくれませんか?
視線を合わせ、【優しく】問いかけるように
怖がっている人(動物可)がいたら、
【歌唱】で励ましましょうか
こうやって歌ってるだけで
元気が出る気がしませんか?
さぁ、あなたも一緒に
●黒き森へと
果てしなく続く森、そこに猟兵達は足を踏み入れていく。
(「久々のダークセイヴァー、みゆの故郷なのです――でも、あの頃とは違うのですよ」)
自身の故郷でありながら、初めて踏み込む地を音海・心結(ゆるりふわふわ・f04636)は見る。あるいは、それは世界を渡らずとも目にする事の出来る『異世界』と言えたかもしれない。
「どこに行ってもオブリビオン。いくら倒してもきりがない……ですが、この世界に人の住む場所を作るためであれば、いくらであろうと倒すだけです」
「ヴァンパイアが侵攻を諦めた森か、果たしてどんなものが待っているのか、楽しみだな」
セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は確かな決意を持って、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)はこの地に強者がいるという自分の勘に笑みをこぼし言う。二人の対象的な言葉に、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は呟いた。
「……ん。辺境の地を解放した事は幾度かあるけれど、どれも神の狂気の影響で一筋縄ではいかなかった……」
その時、森の奥から声が響いた。
――オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ。
獅子のそれがごとく、低くよく通る咆哮。その声に、リーヴァルディは続けた。
「……この咆哮にも精神を揺さぶる何かしらの可能性がある以上、とれる対策は十全にして赴くべきね」
リーヴァルディが使用したのは、調律の呪詛だ。自我を増幅する事で呪詛や狂気等の精神攻撃に対する耐性を付与、鎮静化する呪術を自身や仲間達へと施していく。
「暗い森じゃのう。まさに物の怪が飛び出してこんといわんばかりであるぞ。夜の目が効くわらわならばこの程度など朝飯前じゃが……」
無明瞑想術で気配を消した鍋島・小百合子(朱威の風舞・f04799)には暗視がある。濃厚な闇が絡み合うこの地でも、さほど不自由はない。そんな小百合子の懸念と目の前の闇を消したのは、フリージア・カットラス(人狼のブレイズキャリバー・f06651)だ。
「灯りは、これでいいだろう」
フリージアはそう言うと自身の掌から吹き出させたブレイズフレイムの炎を、ルーンダガーへとまとわせ松明代わりに掲げた。
「暗く深い、黒き森……ですか。皆の未来のため、切り拓かせてもらいます」
バックパックを背負い直し、ルナリリス・シュヴァリエ(変態殺しの聖剣士・f25397)も松明片手に歩き出した。
決して一筋縄ではいかない探索が、始まりを告げた。
●ただただ、奥へと
ドローン「ペレグリーネ」が、森の上空を飛ぶ。そのナイトビジョン越しに見える映像を見て、セルマは目を細めた。
「……豊かな自然ですね」
その黒き森は、美しさがあった。雄大な自然、全てを飲み込む懐の広さをもった地だ。状況が状況であれば、ただ見惚れる事も出来ただろう――しかし、セルマにそんな油断は一切ない。
「森の浅いところにはオブリビオンはいないにしても、狂える神の声や魔獣の妨害がある可能性はあります」
絶望の福音による十秒先の未来を確認しながら、セルマは慎重に仲間達を誘導していった。とはいえ、森は深くただただ暗い。上空からだけでは、情報が足りなくなるのも無理はない。
森の中を限定解放・血の変生(リミテッド・ブラッドヴァンプ)によって吸血鬼化したリーヴァルディが自身を霧に変え、第六感を働かせて進んでいた。豊かな森だ、地には実りがあり見回しただけでも動物の気配も少なくない。普通の世界であれば人が住まうのに十分な――ヴァンパイアの手中にない、貴重な生存権だった。
「必ず、開放しないと……ね」
リーヴァルディが、そうこぼす。この世界で生まれ育ったのならば、この自然がどれだけ価値があるか、理解しているからだ。
「……マイくん、どうしたです?」
不意に立ち止まった水色のくまのぬいぐるみ、マイくんに心結が小首を傾げる。マイくんは心結を振り返ると、小さく首を左右に振った。なんでもないよ、と伝えてくるその仕草に、リーヴァルディは霧の一部を飛ばし――悟った。
(「……ああ」)
マイくんがそれとなく避けた場所にあったのは、木陰に座り込むように息絶えた人の遺体だった。おそらくは、この森の奥に夢を見て踏み込んだ者のなれの果てだろう。それを心結に見せたくなかった……マイくんの優しさなのだろう。
「…………」
フリージアが、霧となったリーヴァルディに視線でうなずく。これも貴重な情報源だ、だからこそ確認しない訳にもいかない。光源は松明を片手に先に進むルナリリスに任せ、フリージアは遺体を確認した。
「そう、古いものでも……?」
そこまで呟き、フリージアはおかしな事に気付く。この森には、動物が豊富だ。言い方は悪いかもしれないが雑食や肉食の屍肉喰らいがいてもおかしくない――だというのに、その遺体は綺麗なままだったのだ。
「今は、時間がない……ごめんなさい」
確認を終え、フリージアは遺体を燃やし弔いとした。その弔いの炎から上がった煙を見て、リーヴァルディは決意を新たにする。
(「……この森を解放すれば、それだけ人々の安住の地が増える。必ず、為し遂げてみせるわ。人類に今一度の繁栄をもたらす為にも……」)
それは救えなかった者との、確かな誓いであった……。
●森に住まうモノたち
小百合子が暗視を頼りに、森の中を駆けていく。そうして暗闇の中を進めば、これがただの暗闇ではない事が理解できた。密集した木々がただでさえ太陽の見えないダークセイヴァーの日中で、いくつもいくつも影を重ねた上で生まれた暗闇なのだ。
ただ、小百合子の暗視があればほんの僅かな光があれば動くのに不自由はない。その上で無明瞑想術で気配を完全に断っているのだ。森の動物達でさえ、小百合子が間近を通っても感じ取る事は困難だった。
「お?」
ふと小百合子は木々の上から自分を見下ろす、小さな視線に気付いた。それを確認すると、白石局の切っ先を器用に使って木の幹へ矢印と共に似顔絵を残しておく。
「んー、今度はたぬきさんです?」
(「今回ははずれじゃな、リスじゃ」)
自分の後から聞こえてくる心結の回答に、小百合子はそう答え合わせをする。そんなクイズが何回も出来てしまう程度には、この森は動物で溢れていた。それだけ自然が豊かであり、命を支えられるだけの実りがあるという証拠だ。
だが、だからこそおかしいとも小百合子は思う。
「人への警戒が、強すぎるの……」
そう、動物達は決して猟兵達の目の前に姿を現そうとしない。見つけられるのは気配や、こちらを警戒している姿だけだ――人が度々踏み入る事があるとはいえ、あまりにもその警戒は強かった。
「むしろ、人を見慣れておるのか?」
そう小百合子は、慎重に先行しながら呟く。あるいは――。
「――人の形をしたモノを、見慣れておる、か」
その可能性は、捨てきれない。小百合子は木の枝から木の枝に飛び移り、ふと背後でルナリリスが振っていた松明の明かりに気付いた。
「そろそろ夜です。夜営できる場所を見つけましょう」
「ああ、悪くないな」
ルナリリスの提案に、刀也がうなずく。ルナリリスの準備は万端だ。ただでさえ暗いこの森が夜になればとても進めるものではない、と事前に予想して準備を整えていたのだ。
「あ、リスさん。ねぇ、この先の道を教えてくれませんか?」
ふと視線があったリスに、心結が優しく微笑みかける。リスは子供なのだろう、尻尾を揺らして警戒していた。そんなリスに、心結がくすりと笑みをこぼす。そして、励ますような明るい歌声が響いた。
「こうやって歌ってるだけで、元気が出る気がしませんか? さぁ、あなたも一緒に」
心結の歌に合わせ、リスの尻尾が揺れる。段々と警戒を解いたのか近づいてきたリスは、心結の肩に乗ってくると頬にすりよった。
『たべない? たべない?』
「ええ、そんな事しませんよ」
『うん! ちがう、こわいあれとにてるけどちがう!』
「こわいあれ?」
野営できる場所を探し歩き出した猟兵達は、知る。心結の通訳で伝えられた、この森に潜む脅威の一つを……。
●黒き夜に潜むモノ
――パチン、と焚き火が小さく爆ぜた。
「うむ……こんびにのおでんは美味であるの。肌寒き世界に温かさが身に染みるぞ。牛すじの串も刺しておこうか」
上機嫌で小百合子は、温めたおでんを食べていく。無視できない肌寒さの中で食べる熱々のおでんは、胃の中から体を温めてくれる――それは胃を満たす感覚と共に、安堵をくれるものだった。
「これだけの広さがあれば、警戒も楽ですね」
光と化した聖剣で薙ぎ払う聖剣技、セレスティアル・フレアで野営地を確保したルナリリスはそう笑みを見せた。実際、自分の手元さえ確認する事も出来ない夜の闇の中だ。間近に忍び寄られては、対処も厳しかっただろう。
「ああ、実際――な」
刀也は、座った状態から時間を消し飛ばしたような速度で立ち上がり、獅子吼を居合一閃振るった。夜の闇からこちらを伺っていた『何か』――それが、ずるりと上半身と下半身が断ち切られ、崩れ落ちた。
「これが、あのリスが言っていたヤツか」
刀也は面白くもなさそうに見下ろす。そこに転がっていたのは、人間の死体だ――ただし、刀也が斬る前から『そう』だったのだが。
「集まって来ています。どうやら、あのリスが言った通りのようです」
セルマがフィンブルヴェトを手に、ドローン「ペレグリーネ」でその光景を確認する。セルマにはドローン越しに、森の中を進んでくる無数の人影が見えていた。
上空から見たからこそわかる――まさにパニックゾンビ映画さながらも光景だった。
『あのね、あのね! そらがくろくなるとね、こわいのがいっぱいでるの!』
リスは幼いながら、必死に伝えようと頑張ってくれた。その結果理解できたのは、この森には動く死体が大量に潜んでいるというものだった。
(「……遺体に動物が近寄らない訳ね」)
フリージアは、一つの疑問が解けたと納得した。当然だ、動物達に動く死体と動かない死体の区別など付かない――ならば、あやゆる人の死体に近づかないようにするのが最善の選択なのだから。
――オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ。
更に森の奥深くから、その咆哮が届く。それはまるで、獲物の気配を察した飢えた肉食獣のような吼え声だった……。
大成功
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第2章 集団戦
『満たされることは無い飢餓者』
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POW : 分解作業
【手に持った武器】が命中した対象を切断する。
SPD : 捕縛行動
【獲物を押えつける為の死角からの攻撃】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 共食い
戦闘中に食べた【死体の肉】の量と質に応じて【さらに上質な肉を求め】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
イラスト:森乃ゴリラ
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●満たされること無き飢餓
「アア、ア……ア、ア……」
満たされることは無い飢餓者達が、夜の森を進んでいく。動くモノは餌だ、動かぬモノはたやすく取れる餌だ。何でもいい、何でもいい、この飢えさえ満たしてくれるなら何でもいい――。
死者の群れにとって、だからこそその明かりの元にいる者達は至上のご馳走に思えた。ひとかけらでもいい、この飢えをわずかでも満たせるのならば……殺して、バラして、食い尽くそう。
――オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ。
その咆哮に追い立てられるように、満たされることは無い飢餓者達が猟兵達へと集っていった……。
鍋島・小百合子
WIZ重視
森で朽ちた者達の無念が長く留まっておったのじゃな…
すぐにでも楽にしてしんぜよう
「かかれ!彼奴等を生の執念から解放せよ!」
UC「聖尼守護陣」発動
召喚した70名の神官騎士を戦闘知識込みで指揮
盾とメイス装備の兵を前衛に40名、聖魔術使いの兵を後衛に35名と配し明かりを中心に円形に布陣
前衛には迎撃と後衛の盾役、後衛には聖魔術による他の猟兵達の回復と倒した飢餓者の浄化(=飢餓者の共食い防止)をそれぞれ指示
わらわは視力・暗視・隠密(目立たない、闇に紛れる併用)を利かせつつ、薙刀で飢餓者の群れに突撃をかける(なぎ払い、範囲攻撃、鎧砕き、破魔、咄嗟の一撃併用)
兵達並びに他の猟兵との連携を意識す
御剣・刀也
死してなお飢えに苦しむか
見るにたえんな
お前らを繋ぎ止めているのが何なのかはわからないが、後腐れなくあの世に送ってやる
手に持った武器で攻撃してきたら第六感、見切り、残像を駆使して避け、カウンターの一撃で斬り捨てる。タイミングが悪く、避けるのが間に合わないのであるならば、武器受けで受け流して、そのまま返しの一撃で斬り捨てる
相手との間に距離があるならば、ダッシュで一気に間合いを詰めて、攻撃の間を与えず、捨て身の一撃で斬り捨てる
「お前らの飢えを満たしてやることはできないが、せめて安らかに眠りにつけ」
リーヴァルディ・カーライル
…ん。死した後まで闇をさ迷い苦しんで…憐れな。
待っていて。今、その呪わしき命運から解放してあげる。
…私が貴方達に出来る事は、もうそれぐらいしか無いから…。
空中戦を行う“血の翼”を広げ上空に飛翔して、
第六感が捉えた精霊の残像を暗視して心の中で祈りを捧げ、
吸血鬼化して限界突破した魔力を溜めてUCを発動
…闇の娘が光の精霊に誓願する。
彼の者達に救済の光を…!
吸血鬼が光の力を使う傷口を抉るような反動は、
気合いと激痛耐性で耐え自身の生命力を吸収して治癒し、
光属性攻撃のオーラで防御を無視して浄化する“光の風”を放つ
…っ。だけど…此処で手をゆるめる訳には…っ。
…もう苦しむ必要は無い。眠りなさい、安らかに…。
サジー・パルザン
ほう。アポカリプスヘルでもゾンビといった怪物もいたが、こいつはお仲間かな?まぁいい、俺1人でやるのも悪くねぇが。
暴れたりねえやつはまだまだいるんだ。
全員出ろ!ヴァイキングの行進を見せつけてやれ!
喰らわれる前に食らいつくせ、慈悲無く、凄惨に、苛烈に奴等をあるべき姿に戻してやれ!
まずは一発、ヴァイキング共が接敵する前に一発、ルーンアックスを『投擲』してやる!
この冷気が生み出す寒さは敵等にとって動きにくい環境に変わるだろうが俺達は違う!この寒さこそが俺達に相応しい。
さぁ、俺も行くぜ!デーンアックスを『怪力』で振り回し奴等を木ごとなぎ払ってやるぜぇ!はっはぁー!
セルマ・エンフィールド
元は何を思って森に来た人であったか……というのはここに至っては関係ありません。私にできることは、撃つことだけです。
どうすれば「死ぬ」のかは分かりませんが……頭を潰せば視界が消え、腕を飛ばせば武器が振るえず、足を凍てつかせれば動くことはできないでしょう。後方からフィンブルヴェトによる【氷の狙撃手】で『部位破壊』することで他の猟兵の『援護射撃』を。
他に猟兵もいますし、そうそう死角を取ることはできないと思いますが、警戒はしておきましょう、足音や『第六感』で敵の接近を察知したなら銃剣による斬り付け、『串刺し』、氷の弾丸の『零距離射撃』で仕留めます。
このくらいの相手であれば、問題ありません。
ルナリリス・シュヴァリエ
遺体とはいえ、倒さねば彼らはずっと彷徨い続けてしまう
それは、あまりにも哀れです。
私は、彼らに救いを――
と、片手で鼻をつまんで腐臭に耐えながら戦います。
囲まれて押さえつけられさえしなければ怖い相手ではないと#見切りそうなものですが
腐肉や返り血を浴びると致命的、と潔癖症ゆえの苦戦が予想されます。
ゆえに対人なら#部位破壊で無力化すれば済むところですが、相手が相手
と、聖剣による聖#属性攻撃で木っ端微塵に#吹き飛ばし粉砕しようと思います。
しかし、彼らは本当に救われるのか――
これで良いの?そんな迷いからUC#神器具現化で神器を召喚します。
彼らに浄化ではなく救いをもたらすような、そんな『何か』を求めて。
フリージア・カットラス
(絡み・アドリブOK)
【POW】
「こいつらをどうにかしないと人が住むどころの話ではないな」
武器を構えそう言います。
●分解作業 に対しては攻撃を見切り相手の武器の届かない範囲に下がって対応し、相手の攻撃後の隙きを狙ってカウンターを狙います。(見切り、カウンター)
「燃えろ!!」
攻撃時には【ブレイズフレイム】を使用、そのまま【ルーンダガー】を敵に突き刺し、そのまま炎で体の内側を燃やそうとします。(属性攻撃)
音海・心結
アレンジ・絡み可
ぴくり
あいつたちがリスさんの言ってた敵でしょうか
なんというか……
あまり近づきたくない敵ですねぇ
みゆが選んだ武器は『射止める』
遠距離から味方をフォローしながら、
【スナイパー】【2回攻撃】で確実に仕留めるのですよ
「この武器にも慣れたものなのです」
敵が残り僅かになったら、
【誘惑】でこちらに集めて
攻撃しようものなら、
マイくんから【シールドバッシュ】で守ってもらうのです
その間にUC『Storm of cherry tree』発動
出来る限りたくさんのゾンビを蹴散らすのですよ
「せめて、最後に素敵な光景を」
みゆの大切な友達(リスさん)を困らす奴は許さないのですよ(びし)
●満たされることは無い飢餓者
「アア、ア……ア、ア……」
夜の森から姿を見せた者達に、猟兵達は即座に身構える。
「こいつらをどうにかしないと人が住むどころの話ではないな」
ルーンダガーを引き抜き、フリージア・カットラス(人狼のブレイズキャリバー・f06651)は言い捨てる。亡者、そう呼ぶのにふさわしい者達の姿に、サジー・パルザン(ヴァイキングの生き様・f12550)はデーンアックスを肩に担ぐように構え、笑みをこぼした。
「ほう。アポカリプスヘルでもゾンビといった怪物もいたが、こいつはお仲間かな? まぁいい、俺1人でやるのも悪くねぇが」
ザジーの表現は正しい。ゾンビ、確かにそう呼ぶのがふさわしいだろう。死してなお飢餓に満たされる者達へ、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が告げる。
「……ん。死した後まで闇をさ迷い苦しんで……憐れな。待っていて。今、その呪わしき命運から解放してあげる……私が貴方達に出来る事は、もうそれぐらいしか無いから……」
「遺体とはいえ、倒さねば彼らはずっと彷徨い続けてしまう。それは、あまりにも哀れです」
同意したのは、ルナリリス・シュヴァリエ(変態殺しの聖剣士・f25397)だ。しかし、その慈悲は満たされることは無い飢餓者に届く事はない――死さえ凌駕する飢餓を前に、あまりにも無力と言えた。
「森で朽ちた者達の無念が長く留まっておったのじゃな……すぐにでも楽にしてしんぜよう」
鍋島・小百合子(朱威の風舞・f04799)の凛とした声と同時、飢餓者達はその手に握った肉断ち包丁を手に生者へと襲い掛かった。
●倒して進む――それだけが……
「あいつたちがリスさんの言ってた敵でしょうか。なんというか……あまり近づきたくない敵ですねぇ」
音海・心結(ゆるりふわふわ・f04636)が手にしたのは、ロングボウだ。素早く引いた一矢が先頭の飢餓者の胸を貫き動きが鈍ったところを、マイくんの一撃が群れの方へと吹き飛ばす。
「ア……アア、ア……」
堰き止められたように勢いが殺された飢餓者達に、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)はフィンブルヴェトを構え銃口を『敵』へ向けた。
「元は何を思って森に来た人であったか……というのはここに至っては関係ありません。私にできることは、撃つことだけです」
ダン! と体勢を立て直そうとした飢餓者の右足が、撃ち抜かれる。セルマの氷の狙撃手(アイシクル・スナイパー)は、正確無比に狙い通りに命中した。
「どうすれば「死ぬ」のかは分かりませんが……頭を潰せば視界が消え、腕を飛ばせば武器が振るえず――」
セルマの呟きの直後、足を撃ち抜かれた飢餓者の動きが止まる。
「――足を凍てつかせれば動くことはできないでしょう」
――正解だ。欠損しても張ってでも動くゾンビ相手への対処法として、最善の答えの一つと言えた。
そして、だからこそその光景も繰り広げられた。
「ア、ガ、ア――」
骨が砕け、肉がひしゃげる音が響く。凍って動けなくなった同族を、飢餓者の群れは文字通り踏み越えて共食いし、迫ってくるのだ。飢餓に飲まれた、あるいは亡者だからこその対抗手段――だが、その侵攻が著しく速度が堕ちたのも確かだ。
「死してなお飢えに苦しむか。見るにたえんな」
その群れの中へ、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)が駆け込む。切り分けようと振り下ろされる肉断ち包丁は、ただ刀也の残像と空を切るのみ――その刹那、獅子吼が横一線に薙ぎ払われた。
「お前らを繋ぎ止めているのが何なのかはわからないが、後腐れなくあの世に送ってやる」
剣刃一閃――刀也の一撃に胴を断たれてなお、飢餓者達は上半身と下半身でもがいて前へ出る。その光景に、小百合子が声を張り上げた。
「かかれ! 彼奴等を生の執念から解放せよ!」
「暴れたりねえやつはまだまだいるんだ。全員出ろ! ヴァイキングの行進を見せつけてやれ!」
小百合子の聖尼守護陣(カミニツカエシオトメノエイレイタチ)が召喚せし七十名の神官騎士と、ザジーの張り上げた声に気炎を上げて盾と剣、大斧を持ったバーサーカー達が飢餓者達へと襲い掛かった。
一気に数で勝る猟兵側に、次々に飢餓者達は森の奥から駆けてくる。
「喰らわれる前に食らいつくせ、慈悲無く、凄惨に、苛烈に奴等をあるべき姿に戻してやれ!」
ヴォン! とザジーが投擲したルーンアックスが吹き荒れる冷気を生み出す! ビキビキビキ……! と地面を凍らせるその一投に飢餓者達の侵攻が、ついに止まった。
「左右から挟撃するのじゃ!」
ヴァイキング達が我先にと飛びかかり、こぼれる敵を小百合子の指示を受けた神官騎士達が鶴翼の陣で包囲していく。剛と柔、力と技、それぞれが特性を活かして飢餓者達を押し返していく!
「……闇の娘が光の精霊に誓願する。彼の者達に救済の光を……!」
その上空、血の翼を広げ吸血鬼化したリーヴァルディが、光の風を巻き起こした。だが、吸血鬼が光の力を使うのは諸刃の刃だ。己さえも焼く光に食いしばり、リーヴァルディはつぶやく。
「……っ。だけど……此処で手をゆるめる訳には……っ」
飢餓者達が、光に吹かれ風の前の塵のように崩れていく。そこに浮かんだ、久しく感じていなかった暖かさに緩む表情を見れば、リーヴァルディにとって苦痛も耐えきれた。
「彼らに救いを――」
包囲網を避けた飢餓者に、ルナリリスは片手で鼻をつまんで腐臭に耐えながら聖剣アストライアを振り下ろす。潔癖症のルナリリスにとって、腐肉や返り血を浴びると致命的だ。だからこそ、より慎重に動いていた。
その背中を守るように、フリージアが動く。肉断ち包丁には下がって間合いをあけ、振り下ろした瞬間に、ルーンダガーをカウンターで叩き込む。
「燃えろ!!」
ゴォ! とフリージアが繰り出したルーンダガー越しのブレイズフレイムが、飢餓者の内側から燃やした。火の点いた枯れ木のように倒れる飢餓者、しかし、フリージアは一瞥もしない。
「次が来る!」
「はい!」
フリージアの声に、ルナリリスは振り返りざまに放った聖剣アストライアの一撃で、粉々に襲いかかる直前だった飢餓者を粉砕した。
●例え、満たされる事はなくとも
戦い、そう呼ぶには一方的な戦況が続いた。セルマや心結の遠距離攻撃、リーヴァルディの上空からの光の風。それに合わせる小百合子の統率された神官騎士の軍勢とただ蹂躙する事を良しとするザジーのヴァイキングの一団――そこからこぼれようと、刀也やルナリリス、フリージアが的確に各個撃破していく。
飢餓者達は、戦士ではない。ただの飢えた亡者の群れだ。それと把握して対処を間違わなければ、猟兵達の敵ではなかった。
(「これで良いの?」)
しかし、彼らは本当に救われるのか――ルナリリスは神器具現化(プレミアムガチャ)によって、神器を召喚する。そこに生まれたのは、暖かな光だ。飢餓を、肉体ではなく心を癒やす施しの光――ルナリリスが願った、救いの形がそこにはあった。
「アア、ア、あ……あ」
崩れ落ちていく飢餓者達。しかし、後から後に、その救いを求めて飢餓者達は集ってきた。
「させないよ」
まるですがりつくようにルナリリスへ手を伸ばす飢餓者達に、フリージアはルーンダガーを振るっていく。決して触れさえはしない、その決意を持って迎撃した。
「お前らの飢えを満たしてやることはできないが、せめて安らかに眠りにつけ」
そして、フリージアの隙間を埋めるように回り込んだ刀也が獅子吼を捨て身で繰り出した。振り下ろされる渾身は、飢餓者達を断ち切っていく。それでも、痛みではなく光の安らかさで朽ちていける――それは、救いだっただろう。
「囲むのじゃ! 数はもう少ない!」
小百合子の声に、神官騎士達が動く。それと同時、小百合子がセマを見た。
「――頼む!」
「はい、お任せを」
包囲され追い詰められた飢餓者達を、セマの氷の狙撃手(アイシクル・スナイパー)が撃ち抜いていく! 正確に足を、動きを止めるその冷気はザジーが生み出した冷気と共に、地面を凍てつかせていった。
「この寒さこそが俺達に相応しい」
懐かしくさえある冷気へヴァイキング達と共にその身を投じ、ザジーが吼えた。
「さぁ、俺も行くぜ! はっはぁー!」
デーンアックスを振り回すザジーの一撃は、手近な木の幹ごと飢餓者達を薙ぎ払っていく! 氷の足場でも、ザジーは止まらない。対して、完全に機動力を奪われた飢餓者達は、草か何かのように薙ぎ払われていった。
「せめて、最後に素敵な光景を」
マイくんが盾となって防いでいる中、心結のStorm of cherry tree(ストームオブチェリーツリー)の桜の花びらが舞い踊る。その桜吹雪の上を、リーヴァルディは飛んだ。
「……もう苦しむ必要は無い。眠りなさい、安らかに……」
心結の桜吹雪を巻き上げるように、リーヴァルディの光の風が渦巻く。それは荒々しくではなく、優しく亡者達を包んでいった。
「ああ、あ……ああ……」
飢餓者達が、光の中で塵と帰っていく。これで終われるのだ、満たされる事はなくとも最後の最後、光の暖かさを感じられた……その事は、間違いなく彼らにとって幸福な終わりだった。
「みゆの大切な友達を困らす奴は許さないのですよ」
ビシっとポーズを決めた心結の肩に、その友達であるリスが駆け上がる。むにむに、と心結の頬を小さな手で押すと、リスは慌てたようにまくし立てた。
『くるよ、くるよ! こわいのたべに、あれがくるよ!』
「……あれ?」
心結がそう問い返した、その時だ。
「――オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
獰猛な咆哮が、夜の森を揺らす。それはまさに、憤怒に飲まれた猛獣のそれだった……。
大成功
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第3章 ボス戦
『暴食のマンティコア』
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POW : 刈り取り喰らう
【強靭な牙や爪による引き裂き】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 魔獣の威圧
【強い衝撃波、聞く者を恐怖で竦ませる咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 猛毒を持つ鋼鉄の尾針
【放たれる針、穿たれる尻尾】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【が腐敗し毒が広がり猟兵達を沈める】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:井渡
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「フィーナ・ステラガーデン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●死者を食らう暴食
「――オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
暴食のマンティコアは、怒り狂っていた。屍を食らう暴食のマンティコアにとって、ここは楽園だったからだ。
その楽園に、踏み入ったモノがいる。自身が食らうはずだった餌を、台無しにしたモノがいる! ならば、殺さねば嘘だ。殺して喰らわねば嘘だ――その翼で森の上を飛び、暴食のマンティコアはそう決めた。
異端の神によって狂わされた魔獣は、気付かない。その行いこそがこの辺境の森を守り、異端の神の願いを果たす事になるのだ、と。
しかし、構わない。構う理由がない。殺す、殺して屍肉を食らう――それだけで、この魔獣は満足なのだから……。
御剣・刀也
おーおー、マンティコアか
獅子の体に蠍の尾、鷲の翼をもった怪物だったか?
まぁいい。伝説上の怪物と斬り合える幸運。それに感謝して、この死合いを楽しもうか
牙や爪で引き裂こうとしてきたら、第六感、見切り、残像で避けてカウンターで斬り捨てる
相手が距離を取ったら、勇気で恐れずダッシュで踏み込んで捨て身の一撃で斬り捨てる
蠍の尾にも注意を払い、間合いは相手のほうがあると考える
相手が空中に逃げたら森の木を蹴って駆け上がって飛び掛かる
「ははは。流石の魔獣も鬼とやり合ったことはないか?今感じた感情、人間はそれを恐怖っていうんだよ。わかったか?三下」
ルナリリス・シュヴァリエ
何という歪み……。これが神の御業というのですか、異端の神よ!
在りし日の姿を取り戻せるよう、今ここに正義を示しましょう。
飛行する相手に対し、木々や枝を足場にして#ジャンプで移動
#空中浮遊で位置を保ち、#空中戦で応じます。
敵のフィールドでの戦いゆえ、著しいダメージは覚悟の上
UC#超絶美少女を発揮して耐えながら
狙うはその翼を#部位破壊する為の一瞬の隙……!
全て終わった後――
今となっては確かめる術も無いですが、異端の神とは豊穣を司る神……なのではないでしょうか?
アストレア……いえ、女神アストライアの名に於いて、この地に安んじられるよう#祈りを捧げます。
願わくは、移住してくるであろう者達に豊穣を……。
鍋島・小百合子
SPD重視
森に迷い込んだ者が朽ち果てその血肉を魔獣が喰ろうていく
闇に隠れた地獄そのものじゃな
「獣の怒声如きでわらわは屈せぬ!今こそ見せようぞ!」
咆哮への対抗策として予め耳栓を着けて戦に臨む
長弓にて矢劇薬を塗布した毒矢で敵の口腔内を狙い射貫く(暗視、視力、スナイパー、マヒ攻撃、毒使い、鎧無視攻撃併用)
口腔内を狙いにくい場合は他の猟兵の援護射撃に従事し、敵の攻撃部位に対して毒矢を数本番いての乱れ撃ち、部位破壊を狙う
攻撃には残像を纏いつつの見切り回避、もしくは懐の小太刀にて武器受け防御
機を見てUC「心火焔硝矢」発動
己が勇気から生み出した火矢を敵にお見舞いしてやろうぞ(属性攻撃、焼却、吹き飛ばし併用)
セルマ・エンフィールド
オブリビオンだから。死者とはいえ人を喰うから。この森を安全にするため。
色々と理由はありますが……要はこの世界で人が生きるため、撃たせてもらいます。
フィンブルヴェトによる氷の弾丸で他の猟兵の援護射撃をしながら敵の観察を。尻尾や尻尾に付いた針を振るうための予備動作を見切り回避します。
回避すれば地形を腐敗させる毒が広がりますが、それに対しては氷の弾丸の属性攻撃で地形を凍らせれば毒が広がり沈むことはないでしょう。
何度も放たれれば全てを抑えることはできませんが……避けるだけが選択肢ではありません。
放たれた針や振るわれる尻尾に【イージスの弾丸】を。針は撃ち落とし、尻尾は凍結させることで攻撃を防ぎます。
リーヴァルディ・カーライル
…ん。光の力の反動が…思いの外、強い。
もうあまり保ちそうにない…かな。
負傷を自身の生命力を吸収する事で強引に治療して、
全身を圧縮魔力のオーラで防御し限界突破してUCを発動
…お前が守護する神域は、今を生きる人達の為に使わせてもらう。
…全魔解放。出し惜しみはしない。全て持っていきなさい…!
過去の戦闘知識から敵の殺気を見切り銃撃の2回攻撃で牽制し、
残像が生じる早業で大鎌を怪力任せになぎ払う先制攻撃の後、
武器改造で変形した魔力を溜めた双剣の乱れ撃ちで傷口を抉り、
更に変形した手甲剣で敵を貫き、体内で呪詛を爆発させる闇属性攻撃を行う
…この一撃で最後、砕け散れ、暴食の魔獣…!
…っ、ん。後は、任せた…わ。
フリージア・カットラス
(絡み・アドリブOK)
【SPD】
「大物が出てきたようだな」
連戦になるが泣き言を言ってはいられない、【ルーンダガー】を構え臨戦態勢に入る。
「これでも喰らえ!」
戦闘では相手と距離を取り、攻撃の隙を伺う。
流石に相手も攻撃直後なら隙が出るはずなのでそれを狙い、敵に駆け出し【シーブズ・ギャンビット】で【ルーンダガー】を勢いよく敵の躰に突き刺す。
致命傷にはならないかもしれないが着実にダメージを与え続ければ必ず倒せるはず。
「これでこの森は解放されるのだろうか」
戦闘後は今後のことを考える、これでこの森は人が住む事のできる場所になるのだろうかと。
●暴食のマンティコア
「大物が出てきたようだな」
ルーンダガーを手に、フリージア・カットラス(人狼のブレイズキャリバー・f06651)が呟く。こちらへ向かってくる気配は、遠くにあっても察せられるほどの圧を持っていた。
「おーおー、マンティコアか。獅子の体に蠍の尾、鷲の翼をもった怪物だったか?」
その姿を眺め、差異はあるもののよく似た特徴を持つ存在に御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)が呟く。唸りを上げて頭上に静止した暴食のマンティコアの威風に、ルナリリス・シュヴァリエ(変態殺しの聖剣士・f25397)は小さくこぼした。
「何という歪み……。これが神の御業というのですか、異端の神よ! 在りし日の姿を取り戻せるよう、今ここに正義を示しましょう」
「――オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
上空で放たれた魔獣の威圧による衝撃波が、ドォ! と森の一角を押し潰した。その日、遠くからその辺境の黒き森を眺めていた者がいれば、高々と上がる土柱を見る事が出来ただろう。
「まぁいい。伝説上の怪物と斬り合える幸運。それに感謝して、この死合いを楽しもうか」
衝撃波を一足蹴りの跳躍でかわした刀也が、言い捨てる。巻き上がった巨大な土柱の中から悠然と進むマンティコアに、鍋島・小百合子(朱威の風舞・f04799)も静かに言った。
「森に迷い込んだ者が朽ち果てその血肉を魔獣が喰ろうていく、闇に隠れた地獄そのものじゃな」
耳栓越しでもかすかに届いた咆哮に、凛と小百合子は告げた。
「獣の怒声如きでわらわは屈せぬ! 今こそ見せようぞ!」
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ!!」
猟兵達の異端の神に狂わされた暴食の獣の、生存競争がここに幕を上げた。
●喰らい合うがごとく――
「オブリビオンだから。死者とはいえ人を喰うから。この森を安全にするため――色々と理由はありますが……要はこの世界で人が生きるため、撃たせてもらいます」
土砂や瓦礫が降ってくる中、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は後ろ走りで駆け抜けていく。視線は暴食のマンティコアから外さない、フィンブルヴェトのスコープ越しに狙いを付け――引き金を引いた。
「ガ、ア――!」
ギン! とマンティコアの尻尾、その先端に正確にセルマの射撃が命中する。銃弾の勢いに、泳ぐ尻尾――その刹那、小百合子の鹿島弓による一矢が放たれた。
「ギィイ!!」
口内めがけた放たれた矢を、マンティコアは噛み砕くことで止める。直後、瓦礫を足場に跳んでいたルナリリスが、聖剣アストライアを暴食の獣へと振るった。
(「――浅い!」)
翼を狙った一撃は、切っ先をかすめるに留まった。理由はマンティコアが、その巨体で横回転して回避したからだ。その巨体から想像もできない機敏さを見せた暴食の獣は、即座にルナリリスに爪を放った。
「させるか!」
その爪の一撃を、フリージアのルーンダガーが受けとめ、火花を散らして軌道を反らす。マンティコアはすかさず尾の鋼鉄の尾針を放とうとするも、セルマのイージスの弾丸に弾かれた。
「今のうちに」
「が、あああああああああああああああああああああああ!!」
ルナリリスとフリージアが瓦礫を蹴って散開すると、マンティコアは急降下。地面へと落下する。墜落寸前で体勢を制御、降り立つと同時に加速するマンティコアに、刀也が並走した。
「どうした? 追いかけっこなら付き合うぞ?」
マンティコアの牙が、ガキン! と空を噛む。刀也の残像に噛み付いたマンティコアへ、懐に潜り込んだ刀也は獅子吼を薙ぎ払った。
地上を、上空を、目まぐるしく戦場を変え、猟兵とマンティコアは激突していく。スピードは加速さえすれど、落とさない――ただ、激しさだけを増していった……。
●刹那、暴食の終わりに
リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が軋む体で身構える。仲間達とマンティコアの攻防、それから目を離さずじっと『その時』を待っていた。
(「……ん。光の力の反動が……思いの外、強い。もうあまり保ちそうにない……かな」)
体が軋む。視界が揺れる。体制が崩れる。吸血鬼の弱点である光の力を使いすぎた、その反動はリーヴァルディの体を確かに蝕んでいた。
だからこそ、放てる全力は一度のみ――否、全力以上を、絞り出す。
「……見せてあげる。吸血鬼狩りの覚悟を」
吸血鬼狩りの業・絶影の型(カーライル)――リーヴァルディは己自身の生命力を喰らい全身を圧縮魔力のオーラで包み決戦状態へ変身、跳んだ。
「が、あああああああああああああああああ!!」
マンティコアが、リーヴァルディを警戒した。獣の本能が告げたのだ、アレは危険だ、と。
「……お前が守護する神域は、今を生きる人達の為に使わせてもらう……全魔解放。出し惜しみはしない。全て持っていきなさい……!」
マンティコアの咆哮が、リーヴァルディを迎撃した。その衝撃波を、リーヴァルディは過去を刻むものの薙ぎ払いで両断する!
ドォ! と遠くで二つの爆発音が轟く。マンティコアは間合いを開けようとするも、リーヴァルディの吸血鬼狩りの銃・改の二発の銃弾にその動きを止めさせられた。
すかさず過去を刻むものを双剣形態へ――マンティコアの背に突き立て、切り刻む。その傷口に更に変形させた手甲剣を打ち込み、呪詛を爆発させた。
「……この一撃で最後、砕け散れ、暴食の魔獣……!」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
苦痛に、マンティコアがのけぞる。その瞬間、タイミリミットが来たリーヴァルディが崩れ落ちた。
「……っ、ん。後は、任せた……わ」
リーヴァルディの視線の先、ルナリリスがうなずく。聖剣アストライアを大きく振りかぶり――薙ぎ払う!
「墜ちなさい!」
苦痛にもがいていたマンティコアの反応が一瞬遅れ、両翼がルナリリスの一撃によって断ち切られた。そのまま、ルナリリスはリーヴァルディを抱きかかえると間合いを離した。
「オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオ――!?」
そこへ咆哮を放とうとしたマンティコアが、不意に動きを止める。声が、かすれて出ないのだ。その様子に、小百合子が微笑んだ。
「矢の毒、ようやく聞いてきたようじゃな?」
咆哮を放つには、声帯を大きく震わせる必要がある――しかし、度重なって口内を狙った小百合子の矢には神経毒が塗られていたのだ。巨体であり、毒を持つからこそ耐性があったマンティコアにようやく効いた。
しかも、これ以上無い絶妙のタイミングで、だ。
「我は燃やす己が胸の内にある勇炎の心……貫け!」
心火焔硝矢(ココロニトモシビユラメクホムラノヤ)――小百合子の勇気の発現にて生みだした火矢が、落下するマンティコアに突き刺さり、爆発した。吹き飛ばされ、地面を転がるマンティコア――その四肢を狙って、フリージアがルーンダガーを振るった。
「致命傷にはならないかもしれないが、着実にダメージを与え続ければ必ず倒せる」
マンティコアが、必死に立ち上がる。その尾が唸りを上げ、フリージアの胴を狙った瞬間、再びセルマのイージスの弾丸が弾いた。
それだけではない、尾の先が凍てつき、その重みで傷を負ったマンティコアが大きくのけぞった。
「――今です」
セルマの声に、刀也が走る。マンティコアと視線が合い、刀也は笑みで言ってのけた。
「ははは。流石の魔獣も鬼とやり合ったことはないか? 今感じた感情、人間はそれを恐怖っていうんだよ。わかったか? 三下」
格は決まった、ならば後は決着をつけるのみ――刀也は、大上段に振り上げた獅子吼を全力で振り下ろした。
「この切っ先に一擲をなして乾坤を賭せん!!」
渾身の一閃が、マンティコアを両断した。縦一文字に断たれた暴食の獣は、そのまま崩れ落ちるように地面へと倒れた……。
●そして、未来へ繋ぐために
「これでこの森は解放されるのだろうか」
フリージアは呟く。この豊かではあるが厳しい森に、人が住む事のできる場所になるのだろうか、と。
その疑問を聞いて、ルナリリスは呟いた。
「今となっては確かめる術も無いですが、異端の神とは豊穣を司る神……なのではないでしょうか?」
この森には、確かな恵みがある。獣が住んでいる事から、それは確かだ。だとすれば、そこから先はここに住みたいと思う人々の努力の結果ではないだろうか? そう思えてならなかった。
ただ、ルナリリスは静かに祈りを捧げる。
「願わくは、移住してくるであろう者達に豊穣を……」
女神アストライアの名に於いて、この地に安んじられるように……その祈りの答えは、未来へと託された。
大成功
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