アルダワ魔王戦争8-BⅡ〜其は世界を渡らんとするモノ
「アルダワ魔王戦争への参戦に感謝します。リムは戦況を報告します」
グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は迷宮を表した大きな地図を広げると、淡々とした口調で語りだした。
「皆様の奮戦によって『大魔王』は討たれ、無限災群(インフィニット・ホード)も停止。これにより戦争は猟兵の勝利が確定しました――ですが禍根がひとつ残っています」
彼女が指差したのは『8-B』とナンバリングされたエリア。元は大量の射出式トラップが仕掛けられていた区画だが、ここで戦略級殺人鬼『グラン・ギニョール』の秘密の宝物庫が発見されたのだ。
「この宝物庫にはグラン・ギニョールが密かに開発していたオブリビオン『宝石災魔』が貯蔵されています。彼女らは今だ未完成状態ですが、完成の暁には『世界を移動する能力』を獲得するとか」
そんな能力を持った災魔をグラン・ギニョールが作り出そうとしていた目的は、猟兵の本拠地――すなわちグリモアベースの探索だと考えられている。元凶たる殺人鬼は撃破されたものの、これを放置すれば後々の猟兵にとって大きな禍根となることは間違いない。
「幸いにもグラン・ギニョールを早期撃破できたことで、世界移動能力が完成する前に宝物庫への侵入が可能となりました。貯蔵されている宝石災魔を大至急撃破してください」
宝石災魔は『万能宝石』を移植された特殊な災魔で、今だ未完成であるにも関わらずその戦闘能力は高い。大魔王以上とまでは言わずとも、これまでの戦争の幹部クラスの実力はあるだろう。
「宝石災魔は複数体が存在しますが、皆様に戦ってもらうのはそのうちの一体です。赤、青、緑の三色の『首』を操るユーベルコードは何れも強力なため、対策を怠らないようにしてください」
基本的にはこれまでの強敵達と戦い方は同じだ。敵の攻撃をいかにして凌ぎ、どう反撃するか。魔王との戦争を戦い抜いた猟兵達であれば充分に勝機はあるだろうとリミティアは語る。
「刻限は3月1日。それまでに一定数の宝石災魔を撃破すれば宝物庫を制圧できます」
逆に刻限を過ぎてしまった場合――生き残った宝石災魔は『世界移動能力』を完成させ、この世界から逃げてゆくだろう。それまでに倒し尽くさなければならない。
「将来の脅威を未然に防ぎ、この戦争を完全勝利で終えるためにお力添えを願います」
そう言ってリミティアは手のひらにグリモアを浮かべると、宝物庫への道を開く。
大魔王なき今、これがアルダワ魔王戦争における猟兵達の最後の戦いとなるだろう。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
ラスボスの後には隠しボスが待っているのはお約束。今回の依頼は隠し宝物庫のオブリビオン『宝石災魔』の撃破が目的となります。
このシナリオでは下記のプレイングボーナスに基づいた行動を取ると判定が有利になります。
プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』。
宝石災魔は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります。今は不完全体ですが、完成体になると『世界移動能力』を得る脅威です。
3/1の期限までにこの系列のシナリオが20シナリオ程成功すると、この戦場を制圧し、世界移動を阻止できます。なお本シナリオで戦う宝石災魔は複数体の中の1体のみです。
面倒な置き土産を駆逐して、戦争の結末を完全勝利で飾りましょう。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『宝石災魔』
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POW : 龍脈✕女神✕断龍剣
【喰らった者に活力を与える『赤の首』】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【ユーベルコードを吸収する剣】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD : 瘴気✕屍王✕模倣死者
【敵の肉体をコピーする『青の首』】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【首から下の肉体形状】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ : 霊紋✕鬼霊✕地獄絵図
レベル×5体の、小型の戦闘用【高速飛翔する『緑の首』】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
イラスト:大希
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フォルク・リア
「一難去ってまた一難とは正に此の事か。
しかし、これを倒してこその勝利というものか。」
敵の動きや緑の首の配置や数を見て警戒。
壁面を背にして襲われる方向を前面に限定。
デモニックロッドの闇の魔弾を【範囲攻撃】で展開し
自分周辺に弾幕を張って首の接近を防ぎ更に【2回攻撃】で
呪装銃「カオスエンペラー」を使用。
【マヒ攻撃】の効果を持った【呪詛】を緑の首に与え
動きの鈍ったところで生命を喰らう漆黒の息吹を発動。
自分の周囲を花びらで満たし、接近する首の生命を吸い取る。
首の数が少なくなったら
【残像】を発生させ攪乱し、宝石災魔に接近。
射程に入ったら花びらを集中して攻撃。
「空飛ぶ首ではなく。今度はその首、貰い受ける。」
メイスン・ドットハック
【WIZ】
宝石災魔とは厄介なものじゃのー
残さず殲滅せんと僕等が枕を高くして眠れんから止むを得んのー
先制対策
二足歩行戦車KIYOMORIに搭乗して出陣
飛んでくる緑の首の大軍に対し、3つのAIをそれぞれビーム機銃、レーザー砲ユニット、長距離プラズマレーザーの攻撃制御を任せて、近・中・遠距離自動迎撃する
自身は電脳魔術の【ハッキング・情報収集】で軌道を解析し、【操縦・第六感】で回避
先制後はUC「電磁力もまた自然の摂理」で電脳ミサイル属性の砂嵐を発生させ、自身はミサイルを弾く電磁フィールドを発生させて回避
ミサイル渦巻く世界で敵の攻撃ごと殲滅を図る
悪いけど、グリモアを守るためじゃけーのー
アドリブ絡みOK
「一難去ってまた一難とは正に此の事か。しかし、これを倒してこその勝利というものか」
「宝石災魔とは厄介なものじゃのー。残さず殲滅せんと僕等が枕を高くして眠れんから止むを得んのー」
秘匿されていた迷宮の宝物庫に足を踏み入れたフォルク・リア(黄泉への導・f05375)とメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)。
彼らがそこで見たものは、孔雀にも似た美しい宝石の翼を持つ人型の災魔だった。
「宝物庫×侵入者×確認……。
飛翔×完成×あと少し……」
戦略級殺人鬼グラン・ギニョールの遺した『宝石災魔』は、予知されていた通り今だ不完全。猟兵を認識した其れは即座に、自らの周囲に緑色の『首』を浮かべた。
「優先×課題×時間稼ぎ……。
霊紋✕鬼霊✕地獄絵図……」
女性的な面影を持った無数の『緑の首』が、高速で飛翔し猟兵達に襲い掛かる。
物量に物を言わせたその攻撃は明らかに足止めを意図したもの。宝石災魔はここで猟兵を撃破する必要はなく『世界移動能力』を完成させて逃げ延びれば勝利なのだ。
「時間稼ぎに逃げの一手か。戦略としては正しいが、それで俺達を止められるか?」
災魔の動きや『緑の首』の配置を警戒しながら、フォルクは宝物庫の壁面を背に布陣する。物量に勝る敵の攻撃が襲ってくる方向を、前面のみに限定するためだ。
「数が多いのー。じゃが、このくらいならもっとヤバい魔王とかおったしのー」
二足歩行戦車「KIYOMORI」に搭乗したメイスンは、搭載された3機のO-Ⅴ型ソフトウェアAIと共に敵の大軍の行動分析を開始。最適な行動プランを解析しながら、武装のロックを解除する。
「右翼は任せる」
「了解、では左翼は任せたからのー」
嵐のように飛来する無数の首に対して、ふたりの猟兵は同時に迎撃行動を開始した。
フォルクは黒杖「デモニックロッド」を掲げると、自らの周囲に闇の魔弾による弾幕を張る。濃密なる闇の力に近付いた緑の首は、悲鳴を上げて一撃で消滅していく。
その反対側ではメイスンが「KIYOMORI」の光学兵器を距離に応じて使い分け、ビーム機銃、レーザー砲ユニット、長距離プラズマレーザーの連射で敵を撃墜している。
「『STARGAZER』『DIABLO』『ANGEL』、その調子だのー」
それぞれの武装の制御を行っているのはメイスンではなくAI。3機の連携による自動迎撃システムに攻撃を任せ、メイスン本人は歩行戦車の機動制御と情報収集に専念。弾幕をすり抜けた首の軌道を解析し、巧みな操縦テクニックで着弾を回避する。
「死霊達よ、贄の時間だ。好きなだけ喰らうがいい」
その一方でフォルクは闇の弾幕を展開したまま呪装銃「カオスエンペラー」を抜き放ち、顕現させた幾多の死霊を銃弾として撃ち出す。喰らいつくように『緑の首』に命中した死霊はマヒの効果を持った呪詛を与え、標的の動きを鈍らせていく。
「猟兵×戦力×予想外……。
鬼霊×戦力×激減……」
闇と光の弾幕によって、宝石災魔を守る『緑の首』の地獄絵図に綻びが生じる。
攻勢が緩んだ機を逃さずに、ふたりの猟兵はユーベルコードによる反撃に転じた。
「よく見ておけ。これが、お前の命を刈り取る手向けの花だ」
「電脳魔術でもこいつは一際厄介じゃけーのー」
吹き荒れるのは黒き冥界の鳳仙花と、電脳魔術により実体化したミサイルの嵐。
【生命を喰らう漆黒の息吹】と【電磁力もまた自然の摂理】。ふたりの魔術により編み出された死と破壊の大渦に巻き込まれた『緑の首』の群れは、花弁に生命力を吸い取られ消滅するか、ミサイルが直撃し爆散するか、そのどちらかの末路を辿る。
「危険×危険×危険……」
大禍から逃れようと宝石災魔が後退する。それを逃すまいと駆けるのはフォルク。
ゆらり、と残像を生じさせながら花弁とミサイルの嵐の中をかいくぐり、敵に近付いていく姿はさながら幽鬼か死神か。フードの下から覗くのは冷たい紫の眼光。
「空飛ぶ首ではなく。今度はその首、貰い受ける」
射程に入った瞬間に、彼は舞い散らせていた冥界の鳳仙花を手元に集中。死神の大鎌のような刃を形作った漆黒の花弁を、ありったけの呪詛と魔力を込めて一閃する。
「攻撃×回避×失敗……」
ざっくりと斬り裂かれた宝石災魔の身体から鮮血が散る。即座にその場からフォルクが離脱した直後、飛来するのは数え切れないほどの電脳ミサイルの嵐。
「悪いけど、グリモアを守るためじゃけーのー」
コンソールを操りながら淡々と告げるのはメイスン。電磁フィールドで機体をカバーした彼女を除き、制御の外れたミサイルは範囲内にあるすべてのターゲットを破壊し、蹂躙し、殲滅する――。
「攻撃×防御×不能……」
ミサイル渦巻く世界に巻き込まれた宝石災魔が、爆炎に呑まれて吹き飛ばされる。
その無機質な表情や言葉から、一切の感情を読み取ることはできない。しかし彼女が負ったダメージが、少なからぬものであることは間違いなかった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
別府・トモエ
「普通のテニスプレイヤー、別府・トモエ見参」
おっと宝石災魔選手、早速無慈悲な緑首千本ノック戦法でくる模様
「うおりゃ!回避だぜ!」
無数の首を【視力】で【見切り】
【ダッシュ】で逃げる
下からのは【ジャンプ】して空中で来るのは体を捻って躱す【空中戦】
それでも無理なのは【オーラ防御】
しっかし、みればみるほど、貴女が打ってくるその緑首……
「テニスボール、なんだよなあ」
そもそも飛んでくるモノは大体テニスボールだよねー
テニスボール打っていいのは打ち返される覚悟があるってことだ
「別府ゾーン……」
思うままのコースに引き付けて
「食らえー!」
ラケット武器受けから【誘導弾ショット】【カウンター】
大魔王に比べりゃまだまだ
「普通のテニスプレイヤー、別府・トモエ見参」
愛用のテニスラケットを片手に宝物庫にやって来た別府・トモエ(人間のテニスプレイヤー・f16217)。普通とは、そしてテニスプレイヤーとは何ぞやという疑問を、迷宮内で生まれたばかりの宝石災魔が抱くことは無かった。
「猟兵×追撃×接近……。
全力×迎撃×急務……」
彼女に与えられた使命は、この世界から飛翔しグリモアの発生源を探索すること。
目の前にいるのがそれを妨げる敵だと分かっていれば、それ以上のことを知る必要は無いと、即座に無数の『緑の首』を召喚する。
(おっと宝石災魔選手、早速無慈悲な緑首千本ノック戦法でくる模様)
審判も実況もいない地下の迷宮で、トモエはそんなナレーションを思い浮かべる。
ちょうどテニスコート一つ分程度の距離から飛来するのは、飛翔する緑首の大軍。
そのスピードは並外れているが――高校時代、全日本選手権で対峙した魑魅魍魎たちの放つ打球に比べれば、まだまだ遅い。
「うおりゃ! 回避だぜ!」
無数の首が描く軌道を鍛えられた動体視力で見切り、カモシカのような俊足で逃げる。バウンドして下から迫るものはジャンプで避け、空中で襲ってくるものはくいっと身体を捻って躱す。テニスプレイヤーには危険球を避ける技術も必要なのだ。
「追撃×追撃×追撃……。
先制×徹底×殲滅……」
しかし四方八方から襲って来る無数の敵を、全てを避け切ることは流石にできない。トモエは一流テニスプレイヤー特有のオーラで防御を固め、反撃の隙を窺う。
「しっかし、みればみるほど、貴女が打ってくるその緑首……」
飛来する首をじぃっと見つめながら彼女は思う。程よく丸みを帯びた形態に若干イエロー寄りとも言えなくもないカラー、そして適当な重さに打ちやすそうなサイズ、これはまさしく――。
「テニスボール、なんだよなあ」
「疑問×理解×不可能……。
テニスボール×わたしたち×知らない……」
宝石災魔の困惑をよそに、トモエは『緑の首』をテニスボールだと認識した。
「そもそも飛んでくるモノは大体テニスボールだよねー」
あくまで個人の感想である。たぶん彼女の生きる世界はテニスを中心に回っている。
だから、彼女の前に立ちはだかるものは全て、テニスから逃れることはできない。
そう。かのアルダワの大魔王ウームー・ダブルートゥですら、逃れられなかったのだ。
「テニスボール打っていいのは打ち返される覚悟があるってことだ」
それまで防戦一方だったトモエがラケットを構える。すると周囲を飛び交っていた『緑の首』が、見えない力に引っ張られるように彼女の元に吸い寄せられていく。
「別府ゾーン……」
それは、テニスボールと認識したあらゆるものを思うままに引き付けるユーベルコード。強制的にコースを変更させられた首が打ちごろの位置に飛んできた瞬間、彼女はラケットをスイングし――。
「食らえー!」
タァンッ! と快音と共に打ち出された"テニスボール"は、まっすぐに宝石災魔目掛けて飛んでいった。
「脅威×回避×緊急……」
結晶状の翼を動かして回避機動を取る宝石災魔。だがトモエの打球は誘導弾のようにターゲットを追尾し決して逃さない。一発の"ボール"が命中した直後、立て続けに打ち返された何発、いや何十発もの"ボール"が、彼女の全身に打ちつけられる。
「テニス×理解×危険……
テニス×理解×恐ろしい……」
「大魔王に比べりゃまだまだ」
アルダワで2番目にもなれやしない、と笑いながらトモエは打球の手を緩めない。
逃げるように飛び回る緑首を無理やり引き寄せ、打って、打って、打ちまくる。
今度は宝石災魔が、無慈悲な緑首千本ノックの洗礼を受ける番だった。
成功
🔵🔵🔴
黒川・闇慈
「万能宝石という物がどんな物体なのか……興味深いですねえ。じっくりとその力を見せていただきましょうか。クックック」
【行動】
SPDで対抗。
私自身の肉体は頑強でも剛力でもありませんが……魔術的な能力までコピーされていると厄介です。ホワイトカーテンの魔術障壁を起動し、炎での攻撃には火炎耐性、氷での攻撃には氷結耐性、死霊での攻撃には呪詛耐性、といった具合に相手の攻撃に合わせ臨機応変に技能を活用して対処です。
先制攻撃をしのいだら反撃です。高速詠唱、呪詛の技能で死霊人形師を召喚。全力魔法の技能で死霊人形師をフル稼働させてたたみかけましょう。
「この戦いもカーテンコールの時間ですねえ。クックック」
アドリブ歓迎
「万能宝石という物がどんな物体なのか……興味深いですねえ。じっくりとその力を見せていただきましょうか。クックック」
不吉な笑みを浮かべながら、現れたのは黒川・闇慈(魔術の探求者・f00672)。
傷ついた宝石災魔を見つめるその眼は、研究者としての知的好奇心と収集欲で爛々と輝いている。今だ未知の存在である『万能宝石』から作られた災魔とは、彼にとって大いに興味をそそられる対象のようだ。
「わたしたち×力×行使……。
瘴気✕屍王✕模倣死者……」
新たに宝石災魔が召喚したのは、厳しい男性的な面影のある『青の首』。
おぞましい屍の瘴気を纏ったそれは、勢いよく闇慈目掛けて襲い掛かった。
「ふむ……」
闇慈は黒衣の内側から白いカードを取り出し、防御魔術「ホワイトカーテン」を起動する。淡い輝きと共に展開された魔術障壁が、屍王の首級の攻撃を阻む。
しかし、あえなく弾かれた『青の首』から溢れだす屍の瘴気は、その接触で敵の肉体形状を学習し、朧げに闇慈の肉体を模倣したボディを形作りはじめた。
「ほほう。私自身の肉体は頑強でも剛力でもありませんが……」
外見的な要素だけではなく、魔術的な能力までコピーされていると厄介だ。
彼の危惧は果たしてその通りとなり、『青の首』の身体から魔力が溢れ出す。
「あなた×味わう×自身の力……」
闇慈の身体を得た『青の首』が手をかざすと、球状になった紅蓮の炎が放たれる。
火球は障壁に衝突し、爆音と共に火の粉を散らして炸裂する。肌で感じるその灼熱の王威は、なるほど紛れもなく己の魔術だと闇慈は確信する。
「なるほど面白い力です。ですが、それが私の模倣に過ぎないのであれば……」
自分の扱う魔術は誰よりも己が熟知している。闇慈は己が研究した魔術の全てを記した「黒川式魔導大全」を片手に、『青の首』の魔術に対する対抗呪文を唱える。
氷の槍が降り注げば氷結への耐性を。死霊の集積体が襲いかかれば呪詛への耐性を――臨機応変に魔術障壁に術式を付加することで、敵の攻撃に対処してのける。
「既知の魔術ばかり見せられてもつまらないですね。では今度はこちらの番です」
敵の魔術を凌いだ闇慈は反撃に転ずる。魔導大全のページを捲り、指に嵌めた18式呪念集積宝珠・ゲヘナダイヤモンドを輝かせて、唱えるは【死曲・髑髏割り人形】。
「踊りましょう、骨が砕けるまで。踊りましょう、魂が割れるまで。オーバーチュア・スカルクラッカー」
黒いダイヤの中から凄まじい怨念と呪詛があふれ出し、大鎌を担いだ死霊人形師が現れる。其は闇慈の収集した魔術のひとつにして、敵対者に死をもたらす忠実なる傀儡である。
「検知×呪詛×危険……。
屍王×即時×対応……」
新たな脅威を認識した宝石災魔の命令の下、『青の首』が再び炎の魔術を放つ。
だが、死霊人形師は魔力でできた大鎌をぶおんと一閃し、その魔術を"刈った"。
「大魔王やあなたを作り出した殺人鬼に比べれば、手緩いものですね」
闇慈はさらなる魔力や呪怨を注ぎ込んで死霊人形師をフル稼働させる。彼の意のままに人形師は踊るように敵に飛び掛かると、目にも留まらぬ速さで大鎌を振るった。
ざん、と音を立てて『青の首』が刎ね落とされる。狂ったように舞う死霊人形師は、そのまま守り手を失った宝石災魔に迫り――切って、刻んで、裂いて、抉る。
「危険×危険×危険……」
無機質な声を上げながら血飛沫を散らす災魔を、闇慈は笑いながら見つめていた。
「この戦いもカーテンコールの時間ですねえ。クックック」
長きに渡ったアルダワ魔王戦争における最後の脅威。大魔王と殺人鬼の置き土産とも言えるこの災魔を駆逐すれば、今度こそ後顧の憂いは無くなる――そしてその瞬間は遠からぬところまで来ていると、彼は確信していた。
成功
🔵🔵🔴
イリス・アンリリンキッシュ
【芋煮艇】でチームを組みます【WIZ】
いよいよ最後の相手ですか…グリモアベースには行かせません!
緑の首は【オーラ防御】で身を包み、突破されても【激痛耐性】で耐えます!
では反撃です!ミラリアさんのUCを受けて回復、天道さんのUCを私の武器、【FN P90[Y-A-C]】を構えて【制圧射撃】と【範囲攻撃】で【援護射撃】させて頂きます!
そして武器を【FN F2000[R-Us]】に持ち替えて私のUCを兵庫くんに併せて発動、本体を攻撃します!
もし防がれようと【迷彩】と【忍び足】で接近、UCの効果で戦闘力を高めて再発射です!
これでアルダワ魔王戦争を終わらせるんですよ…!!
黒影・兵庫
【芋煮艇】で参戦します!
大魔王を倒したと思ったら
まさかの隠し玉が残っていたとは!
見つけたからには完全に消しましょう!
せんせー!
(頭の中の教導虫に話しかける)
●攻撃の対処
『衝撃波』を『念動力』で球状に圧縮したものを
俺たちの周りに無数に浮かばせておくことで
見えない機雷となって敵の攻撃を邪魔します!
抜けようとしても来る方向が予測できるので
『衝撃波』で迎撃します!
●反撃
天道さんが敵を止めている間にイリスさんと一緒に
本体を攻撃するとしましょう!
(UC発動)
強襲兵の皆さん!鋼すら噛砕する皆さんの牙で
宝石災魔を木っ端みじんに砕いてください!
ミラリア・レリクストゥラ
【芋煮艇】の皆さんと、協同での戦いに臨みます!
【WIZ】
天道さんと分担し、【存在感】と【おびき寄せ】で緑の首の誘導をいたします!【カンテラ】を点灯!
私は【宝石の体】。物理的にはもちろん、精神的にも皆さんよりタフです!
アンリリンキッシュさんと黒影さんが攻撃に転じる隙が作れる程度に、耐える事はできます!
とはいえ、そのままではジリ貧なだけ…でも、私には!《全身の震動で唄える、唄があるんです!》
…失礼、気が高ぶって本当に全身で喋ってしまいました。
この特性をもって、唄いやすい【地母の恵み】を!攻撃を受けながらでも唄って、皆さんを回復します!
私自身?…唄に込めている感情に本人が共感できないで何が唄ですか!
天道・あや
【芋煮艇】の皆と
今度こそ本当にラスト!アルダワの為に皆の未来や夢の為にも倒す…!
右よし!左よし!…あたしよしっ!それじゃ勝負!
まずはあっちが召喚してきた緑の首をどうにかしないとだよね!あたしとミラリアさんで敵を【挑発】して【存在感】をアピールして敵を【おびき寄せ】!これで黒影さんイリスさんへのダメージをなるべく減らす!
そして誘き寄せた首達の攻撃を避けたり、籠手で防いだりしながら…反撃のチャンスを待つ!頑張って…何時も以上に耐える!【見切り、激痛耐性、限界突破】
そして反撃のチャンス、ミラリアさんが歌を歌い始めたらあたし達のターン!すかさずUC発動!【歌唱、楽器演奏】
黒影さん!イリスさん!今だっ!
「大魔王を倒したと思ったら、まさかの隠し玉が残っていたとは!」
「いよいよ最後の相手ですか……グリモアベースには行かせません!」
意気込みと共に隠し宝物庫にやって来たのは、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)やイリス・アンリリンキッシュ(私は「いつも笑顔」です!・f21317)ら、【芋煮艇】のメンバー4人。この戦争における最後の脅威を倒すため、みな気合は充分だ。
「今度こそ本当にラスト! アルダワの為に皆の未来や夢の為にも倒す……!」
「ええ。皆さんと共同で戦いに臨むのなら、誰にも負けはしませんわ!」
天道・あや(未来照らす一番星!・f12190)がヘッドマイクのスイッチを入れ、ミラリア・レリクストゥラ(目覚めの唄の尖晶石・f21929)がカンテラに灯りを点す。彼女らの揺らがぬ決意と仲間への信頼は、どんな宝石よりも眩く煌めいている。
「右よし! 左よし! ……あたしよしっ! それじゃ勝負!」
一同を代表してあやが叫ぶと、4人の猟兵はいっせいに前線へと飛び出した。
「わたしたち✕使命✕継続……。
霊紋✕鬼霊✕地獄絵図……」
傷ついた宝石災魔は無機質な声でそう呟きながら『緑の首』を次々と召喚する。
例えこれで猟兵を倒せずとも、完全体となるための時を稼げれば充分ということか。
高速飛翔する鬼霊の大軍はさながら嵐のように、猛然と猟兵達に襲い掛かった。
「見つけたからには完全に消しましょう! せんせー!」
兵庫は頭の中に宿る教導虫「スクイリア」に話しかけながら、念動力で球状に圧縮した衝撃波の塊を、自分と仲間たちの周囲に浮かべる。言わば見えざる機雷であるそれは、飛来する『緑の首』と接触した瞬間、甲高い破裂音を立てて炸裂した。
「こうすれば数が多くても、迂闊に攻撃して来れないでしょう!」
たとえ機雷の隙間を抜けて来られても、そのコースは限定されたものになる。
予め機雷の配置を知っている兵庫と仲間達なら、そこから敵の動きを予測できる。
四方八方から敵が飛んでくるよりも、よほど防御や回避は容易になるだろう。
「まずはこの緑の首をどうにかしないとだよね!」
「私たちが誘導をいたします。さあ、こっちですわよ!」
反撃に転じるチャンスを作るために、あえて矢面に立ったのはあやとミラリア。
あやがアイドル志望としての存在感をアピールし、ミラリアがカンテラの灯りをかざして自らを照らせば、敵はまんまと彼女達のほうにおびき寄せられていく。
「こんなものじゃあたし達は倒せないよ!」
飛来する『緑の首』の攻撃を避け、あるいは「鋼と炎の神の籠手」でガードしながら敵を挑発するあや。一体でも多くの敵を引き付けて仲間の――特にアタッカーの兵庫とイリスの負担を減らすのが彼女の役割だ。そのためなら少々の負傷も覚悟の上。
(痛っ……くない! 頑張れあたし!)
捌き切れなかった攻撃がクリーンヒットしても、痛みを堪えてぎゅっと拳を握る。
アイドルは戦場(ステージ)の上では笑顔を絶やさないもの。特に今回はみんなが見ているのだ――どんなに敵の攻撃が激しかろうと、いつも以上に耐えてみせる。
「辛抱ですわ天道さん……っ!」
一方のミラリアも、あやと分担して『緑の首』の攻撃の多くを引き受けていた。
クリスタリアンである彼女の「宝石の体」は他の仲間達よりも頑丈で、なおかつ精神的にもタフだった。何十という敵に襲われようとも、容易く膝を屈しはしない。
猛攻を耐え忍びながら他の仲間達の様子を見れば、作戦通り兵庫とイリスに向かった敵は少数のようだ。誘導しきれなかったそれも迎撃可能な程度に収まっている。
「作戦とはいえこの状況は少し歯がゆいですね……」
「ふたりとも、無理はしないでくださいね!」
身を包むオーラの防壁で攻撃を弾くイリスに、衝撃波で敵を吹き飛ばす兵庫。
今のところこの2人に大きな負傷は無く、反撃のための余力を充分に残している。
「とはいえ、そのままではジリ貧なだけ……」
絶え間なく続く『緑の首』の波状攻撃は、猟兵達に反撃の好機をなかなか与えてくれない。今は耐えられてもダメージは徐々に蓄積していく上、あまり時間をかけ過ぎれば宝石災魔が完全体になってしまう。戦況は決して芳しいものとは言えなかった。
「……でも、私には! 《全身の震動で唄える、唄があるんです!》」
劣勢を吹き飛ばすようにミラリアは叫んだ。喉だけではなく全身から発する声で。
音叉のように震える宝石の体から放たれる大音声は、戦場いっぱいに木霊する。
「……失礼、気が高ぶって本当に全身で喋ってしまいました。ですが……」
この特性を活かして、高揚感のままに彼女が唄い上げるのは【地母の恵み】。
大地への賛美の想いを宿したその歌声は、共感する者達に癒やしを与える。
「♪ Ahーーーーー.........」
たとえ敵の攻撃に晒される真っ只中でも、彼女の歌が止まることは無い。唄に込めている感情に本人が共感できないわけが無く、傷を負ってもすぐに回復してみせる。
「ありがとうミラリアさん。ここからはあたし達のターンだね!」
傷が癒えた身体に活力が戻ってくる。今こそ反撃のチャンスだと確信したあやは、すかさずミラリアの歌に合わせて【サンダー! ミュージック!】を奏で始める。
「心が痺れるようなあたしの思い! 聴かせてあげる! いぇ~い!」
サウンドウェポンを介して増幅された彼女の歌声は、種族や生まれた世界を問わず、オブリビオンの心さえ震わせる。戦場に響き渡る魂の演奏を聞いた『緑の首』の大軍は、まるで雷に打たれたかのようにピタリと動きを止めた。
「黒影さん! イリスさん! 今だっ!」
敵の攻勢が止んだこの瞬間、満を持しての好機を、猟兵達が見逃すはずが無い。
ミラリアの歌声によって蓄積した負傷・疲労も回復し、気力体力ともに充実。
あやの叫びに応えて飛び出した兵庫とイリスの攻撃準備は、すでに整っていた。
「では反撃です!」
愛用のPDW「FN P90[Y-A-C]」を構えたイリスがトリガーを引く。軽快な発砲音と共に放たれた銃弾は、動けない『緑の首』の群れを撃ち抜き宝石災魔への道を開く。
「強襲兵のみなさーん! こちらでーす!」
制圧された戦場に兵庫が喚び寄せるのは【蝗害】。鋼鉄をも噛砕する戦闘力と、鋼よりも固い忠誠心を備える、戦いのために進化した恐るべき軍隊虫の大軍である。
「これでアルダワ魔王戦争を終わらせるんですよ……!!」
PDWの残弾が尽きた瞬間、イリスは武装を改造アサルトライフル「FN F2000[R-Us]」に交換。断固たる決意を胸に、兵庫の蝗害に併せてユーベルコードを放つ。
「これは心の姿、貴方への姿。弾けた焔は、夜空を凍らせる!」
銃口を向けられ、身構える宝石災魔。しかし彼女が発砲の瞬間を見ることは無い。
宝物庫に銃声が木霊した時にはもう、無慈悲なる銃弾は発射された後であった。
「脅威×感知×防御……」
咄嗟に宝石災魔が防御を固めたことで、銃弾は貫通せずに標的の体勢を崩す。
その直後、耳障りな羽音を立てながら、軍隊虫の大群が一斉に襲い掛かった。
「強襲兵の皆さん! 皆さんの牙で宝石災魔を木っ端みじんに砕いてください!」
兵庫の命令を至上の喜びとする羽虫達は、好物であるオブリビオンに雲霞のごとく飛びつくと、その腕に、脚に、腹に、胸に、首に、頭に、所構わず牙を突き立てる。
たとえ獲物の身体が宝石のように硬かろうが関係はない。一度牙を剥いた軍隊虫の止まるのは、自軍の全滅か、命令の終了か、さもなくば敵が消滅した時だけだ。
「蝗害×一掃×困難……。
脅威×脅威×脅威……」
どうにか羽虫の群れを払い除けようと暴れる宝石災魔。己を喰らい尽くさんとする大群に気を取られた彼女は、視界から猟兵がひとり減っているのに気付いていない。
ミラリアとあやの歌声が響き渡り、兵庫の強襲兵が飛び回る戦場。その動乱の最中でイリスは迷彩コートで姿を隠し、音もなくターゲットの傍に近付いていた。
そこは先程防がれた銃弾が跳弾した位置。初撃は止められたが今度はそうはいかない、絶対に標的を撃ち抜かんとする二段構えこそ彼女のユーベルコードの真価――。
「ユーベルコード:貴方を射ち堕とす蒼い焔(フォールン・ラヴァーズ)!」
初撃よりも戦闘力を強化されたうえで、再発射されたイリスの銃弾。
強襲兵に手を焼かされていた宝石災魔に、それを防御する暇は無い。
「被弾×損傷×深刻……」
胸の中心を撃ち抜かれ、力なくふらふらと墜落していく宝石災魔。
その無機質な表情に変化は無いが――無惨に食い千切られた肉体と刻まれた銃創を見れば、その負傷の重さは一目瞭然であった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
イリーツァ・ウーツェ
私を模倣すると?
其れは好都合
構造解析も手早く済むだろう
模倣するのは肉体
と為れば
武具は模倣されない?
為らば手立ては過ぎる程有る
私の体は力が強い
殴るだけで、大抵を殺せる
だが、私は知っている
猟兵は、其れだけでは殺せない
技だ
ヒトは技で、竜の首を獲る
UCを使用
能く視て、弱点を覩て
竜穿ちの矢(短槍)で貫く
私を模倣しているならば、能々効く筈だ
「使命×継続×困難……。
猟兵×脅威×想定以上……」
無機質な振る舞いは変わらぬまま、宝石災魔は己の劣勢をひしひしと感じていた。
大魔王すら打ち破った猟兵に対抗するには彼女では役者不足。力の差を少しでも埋めるために、彼女は屍王のごとき『青の首』を喚ぶ。
「私を模倣すると? 其れは好都合、構造解析も手早く済むだろう」
その標的となったのはイリーツァ・ウーツェ(虚儀の竜・f14324)。宝石災魔が放った『青の首』の攻撃を、彼は真っ向から平然と受け止めてみせる。
ダメージは大したことは無いが、その一撃で『青の首』はイリーツァの肉体形状を学習し、その首から下をコピーする。恐るべき怪力を含めた身体能力もそのままに。
人の姿をしていても、イリーツァの本質は竜。その力を不完全とはいえ模した『青の首』は、凄まじい威圧感を放ちながらオリジナルの前に立ちはだかる。
――だが、姿をコピーされた程度のことでイリーツァが恐れをなすはずが無い。
「模倣するのは肉体と為れば、武具は模倣されまい? 為らば手立ては過ぎる程有る」
徒手のままの『青の首』に対し、彼は「竜穿ちの矢」を構える。古には巨鬼の矢、神の棄物とされ、竜滅の力を宿したその錫杭は、今は短槍として彼の手にある。
その穂先から発せられる剣呑な凶気を感じているのかいないのか。イリーツァの肉体を得た『青の首』はぐっと拳を握り締めると、真っ向から襲い掛かって来た。
(私の体は力が強い。殴るだけで、大抵を殺せる)
己の肉体の性能をイリーツァは把握している。並みの生命を超越する強靭さと剛力は、ただ力任せに拳を振るうだけでも他を圧倒し、鎧袖一触とばかりに命を奪う。
(だが、私は知っている。猟兵は、其れだけでは殺せない)
鋭く細められた眼光が、振り下ろされる『青の首』の拳の軌道を見切る。
動くのはほんの半歩。たったそれだけの動作で、必殺の一撃は空振りに終わる。
「技だ。ヒトは技で、竜の首を獲る」
どれほど精緻に肉体を模倣しようとも、武器と技巧までは完全に真似できまい。
イリーツァは鋭敏な五感と独自の感官を活かし、目の前にいる獲物を把握する。
体内構造から魔素の流れに至るまで、能く視て、弱点を覩て、"芯"を見抜き、一打で穿つ。それが彼が修めた必殺の技巧――『玉穿ち』。
「私を模倣しているならば、能々効く筈だ」
猛然と繰り出された「竜穿ちの矢」が、竜の肉体を得た『青の首』の芯核を貫く。
竜滅の力を受けた屍王は跡形もなく消滅し、守り手を失った宝石災魔は無防備となる。
「竜×肉体×脅威……。
人×技術×脅威……。
複合×危険×回避……」
力と技を兼ね備えし竜人を畏れるように、宝石災魔はその場から後退する。
だが、もう遅い。イリーツァの目はすでに彼女の弱点も見抜いている。
逃げる間もなく再度突き放たれた短槍が、災魔の"玉"と"芯"を深々と抉り抜いた。
成功
🔵🔵🔴
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
大魔王を倒した後にノコノコ出てくるとはな
フン、全く空気の読めん奴だ
UCを発動
デゼス・ポアを飛び回らせ宝物庫の壁や床に操り糸を張り巡らし即席のワイヤートラップを作成する
この糸は切れ味が非常に鋭い…触れたらタダでは済まんが、相手は剣で糸を断ち切っていくだろう
そして私の眼前まで迫るだろうが…それが狙いだ
迫りくる剣をナガクニの武器受けで一瞬だけ動きを止める
UCでないなら吸収は出来まい
それと同時に念動力で辺りに散乱した操り糸を操作
剣以外を狙い敵に叩き込む
触れたらタダでは済まんと言ったはずだな
敵が怯んだら宝物庫の財宝に埋もれさせたデゼス・ポアから再度操り糸を放ち攻撃
連携するように追撃を行う
「大魔王を倒した後にノコノコ出てくるとはな。フン、全く空気の読めん奴だ」
冷たい眼差しを敵に向けて、キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は呟く。
すでに大魔王は討たれアルダワ世界の平和は取り戻された。多くの猟兵達の戦いによって手にした勝利に水を差すような輩は、徹底的に叩き潰してやらねばなるまい。
「損傷×段階×危険……。
龍脈✕女神✕断龍剣……」
完全体となる暇もなく深手を負った宝石災魔は、新たに『赤の首』を召喚する。
燃え盛る炎のようなそれを代償として自ら喰らうことで、彼女が得るものはふたつ。
活力の付与による肉体の回復と、ユーベルコードを吸収する魔剣の生成である。
「狂え、デゼス・ポア。死を与える歓喜と共に」
敵が先制攻撃の構えを見せた瞬間、キリカは【マリオン・マキャブル】を発動する。
キャハハハハと無邪気な哄笑を上げながら、飛び回るのは呪いの人形「デゼス・ポア」。その躯体から伸びる操り糸を宝物庫の壁や天井に張り巡らせることで、彼女の周囲には即席のワイヤートラップが出来上がる。
「この糸は切れ味が非常に鋭い……触れたらタダでは済まんぞ」
そのまま何処かへ飛んでいってしまった人形をよそにキリカは警告するが、果たして宝石災魔はそれを無視して、断龍剣を振りかざしながらまっすぐに襲い掛かる。
「糸×切断×可能……。
障害×排除×突破……」
断龍剣が鮮やかな真紅の軌跡を描き、強靭な操り糸を生糸のように切断する。
ユーベルコードで生成された物質には、災魔の剣を止めることはできない。
キリカは短刀「ナガクニ」を抜き放つと、迫りくる断龍剣の刃を受け止める。
「ユーベルコードでないなら吸収は出来まい」
龍の骨粉を混ぜ込んだ特殊鋼鉄で作られたその刀は、尋常ではない強度を誇る。
一気に敵を両断せんとした宝石災魔の思惑は外れ、一瞬ながら動きが止まる。その機を逃さずキリカは念動力を行使し、辺りに散乱した操り糸の断片を手繰り寄せた。
「確かにその剣は厄介だが、お前自身に吸収能力が備わったわけでは無い」
ひらりと宙を舞う糸片が、極細にして無数の刃となって宝石災魔に叩き込まれる。
その瞬間、災魔の肌がすっぱりと切り裂かれ、真っ赤な鮮血がほとばしった。
「触れたらタダでは済まんと言ったはずだな」
血塗られし呪い人形デゼス・ポア。その操り糸がただの糸である筈がなく。
異常な切れ味に思わず宝石災魔が怯んだ直後、背後から追撃の糸が襲い掛かる。
「奇襲×回避×不能……」
最初のワイヤートラップを仕掛けてから、姿を見せなかったデゼス・ポア。
彼女は宝物庫の財宝に埋もれながら、不意をつくタイミングを待っていたのだ。
「ヒヒヒヒヒャハハハハハ」
その笑い声はいつしか老婆のようにしわがれた不気味なものに変わっている。
踊り狂う人形に合わせてキリカもまた短刀を振るい、糸を操り、敵を切り刻む。
憎むべき異形に死をもたらすその時まで、彼女と人形の舞踏が終わることは無い。
大成功
🔵🔵🔵
シノギ・リンダリンダリンダ
宝石。災魔。あぁなるほどなるほど
お前のドコを壊せば綺麗な宝石が出るのですか?
お前のドコを削れば膨大な宝石を奪う事ができますか?
世界移動能力?それは今は関係ない
お前はここで、私に奪われなさい
飛来する緑の首に、【強欲の右腕】の掌を向ける
一撃で倒せるのなら話は早い
飛翔し、「空中戦」と「戦闘知識」で敵を躱しつつ数多の黄金の弾丸で撃ち落としていく
時に「敵を盾にして」、多少のダメージは「激痛耐性」で耐え、宝石を前に己を「鼓舞」して
時折宝石災魔自体にも攻撃し、数が減ったら災魔に移植された宝石を「失せ物探し」。それは私の失せ物です
そこ以外を「呪詛」「呪殺弾」で「蹂躙」する
略奪完了。強欲の右腕を終了します。
「宝石。災魔。あぁなるほどなるほど」
隠し宝物庫にやって来たシノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)は、一見すると落ち着いているように見えた。だがそれは、目の前にいるお宝を絶対に逃さないための冷静さなのだと、彼女をよく知る者であればすぐに察しただろう。
「お前のドコを壊せば綺麗な宝石が出るのですか? お前のドコを削れば膨大な宝石を奪う事ができますか?」
宝石災魔の生成に使われたという「万能宝石」の収奪、それが彼女の目的である。
無論、災魔にとっては脳や心臓に等しいものの在り処を、当人が明らかにする筈が無い。
「飛翔✕完成✕あと少し……。
急務×猟兵×時間稼ぎ……」
「世界移動能力? それは今は関係ない」
足止めとして現れた無数の『緑の首』に、シノギは【強欲の右腕】の掌を向ける。
世界の命運や将来の禍根など二の次である。この戦争の最後にして最高のお宝に比べれば。
「お前はここで、私に奪われなさい」
瞬間、彼女の右腕は目もくらむほどの輝きに包まれ、黄金の弾丸が号砲を告げる。
其は略奪と蹂躙の証。これより始まるのは強欲なる海賊の時間である。
「【強欲の右腕が起動しました。以下、蹂躙が完了するまで海賊の体には触れないでください】」
シノギは右腕から放出される呪詛のエネルギーを推力に変えて宝物庫を翔ける。
その四方八方から迫るのは高速飛翔する『緑の首』の大群。宝石災魔への進路を阻まんとする鬼霊どもの攻撃を躱しつつ、彼女は呪われし黄金の弾幕にて応戦する。
「一撃で倒せるのなら話は早い」
その右腕「Midās Lich」は大魔王の力で黄金化したもの。掌から発射される弾丸の元となっているのは、彼女が黄金鉱脈で集めに集めた『強欲の呪い』つきの金塊だ。
ある意味でそれは、このアルダワ魔王戦争で彼女が手に入れたものの集大成。敵が何十、何百いようと残弾は充分、惜しみなく放たれる数多の弾丸が敵を撃ち墜とす。
「ドコに隠そうとも無駄ですよ。海賊の目からは逃れられません」
シノギは見極める、宝の在り処を。災魔の身体に移植された万能宝石の位置を。
させじと『緑の首』の攻勢が激しさを増してもお構いなし。近くに浮かぶ首を盾にして同士討ちを狙ったり、それでも防げない攻撃はじたばたせずにその身で受ける。
痛みはまったくと言っていいほど感じない。ミレナリィドールという種族の特性上、痛覚に耐性があるのも理由だろうが――それ以上に目の前にあるお宝の存在が、彼女の心身を奮い立たせていた。
「万能宝石×わたしたち×根源……。
誰か×譲渡×不可能……。
略奪×絶対×拒絶……」
「お前の意見など聞いていません。それは私の失せ物です」
嵐のごとき黄金の弾幕で鬼霊の地獄絵図を突破し、シノギはついに宝石災魔に迫る。
失せ物探しはすでに完了した。あとは邪魔な「入れ物」を除いて手にするだけ。
迷宮探索と言えば宝箱はカギを使って開けるのが定石だが、生憎と彼女はそんなお行儀のいい海賊ではない。開かないカギはフタごと吹っ飛ばすのが鉄則である。
「動かないでくださいね。お宝に傷がつくといけませんから」
かざした右腕に力を込めながら、シノギは鮫のような笑みを浮かべ――莫大な呪詛を帯びた黄金の弾丸を、撃って、撃って、撃って、撃って、撃って、撃ちまくる。
「危険×危険×危険……」
強欲を浴びた災魔の裂けた肌と抉れた肉の奥から、ちらりと覗くのは真紅の輝き。
大魔王の身体に埋まっていたのとよく似た、小さな宝石の欠片――それを見た瞬間シノギは災魔の身体に取り付くと、躊躇なく傷口に腕を突っ込んだ。
「危険×危険×危険……」
抉り取られた万能宝石。無機質に危険を訴える災魔の声は、まるで悲鳴のよう。
シノギは掴み取ったお宝をしっかりと握り締めると、満足げな笑みを見せて。
「【略奪完了。強欲の右腕を終了します】」
ふらふらと墜ちていく敵にはもはや一瞥もくれず、戦場から離脱するのだった。
成功
🔵🔵🔴
トリテレイア・ゼロナイン
グリモア猟兵を始め多くの猟兵の尽力によって齎されたこの発見
逃すわけにはいきません
何としてでもあの災魔を破壊しなければ
あれは世界全てを脅かす「戦略兵器」そのものです!
『赤の首』を捕食することがトリガーならば…
光学センサーによる●情報収集で「首」を口に運ぶ動きを計測し予測
そこへ剣を首に●串刺し狙いで●投擲、大盾も顔面目掛けて投擲し妨害し捕食を少しでも遅延
その隙に脚部スラスターでの●スライディング移動で急速接近し、剣を持つ手を●怪力で●手をつなぎ剣を振るわせないように拘束
確実に当てます…!
活力を得た以上力の均衡は一瞬
振り払われる前に足のUCを起動し●だまし討ち
再使用を考えぬ●限界突破した出力で縦一閃
「万能宝石×断片×喪失……。
わたしたち×状況×危機……。
飛翔×完成×大至急……」
猟兵達による幾度もの攻勢を受け、ついに核である万能宝石まで損傷した宝石災魔。
大魔王すら打ち破ったその実力に、もはや勝機が無いことを彼女は理解していた。一刻も早く『世界移動能力』を完成させ、この世界から飛び立たなければ――。
「グリモア猟兵を始め多くの猟兵の尽力によって齎されたこの発見、逃すわけにはいきません」
静かな焦燥に駆られる災魔の前に立ちはだかったのは、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)。敵が猟兵に対して脅威を感じているのと同様、彼もまた宝石災魔の危険性を理解し、その脅威を大いに憂慮していた。
「何としてでもあの災魔を破壊しなければ。あれは世界全てを脅かす『戦略兵器』そのものです!」
猟兵達と同様に世界の壁を越えて、自在に行き来することが出来るオブリビオン。
そんなものが完成してしまう前に発見できたのは、猟兵達にとって行幸であった。
「緊急×損傷×回復……。
龍脈✕女神✕断龍剣……」
宝石災魔は『赤の首』を喰らうことで、失った活力を少しでも取り戻そうとする。
だが、彼女が口を開けた瞬間、飛来した一本の儀礼剣が『赤の首』に突き刺さる。
「『赤の首』を捕食することがトリガーならば……」
剣を投げつけたのはトリテレイア。彼は敵のユーベルコード発動を少しでも遅延させようと、災魔が首を口に運ぶ動作を光学センサーで計測・予測し、妨害を図る。
再び災魔が捕食を行おうとすれば、今度はその顔面目掛けて大盾を投げつける。殴打武器としても使われる質量の塊が唸りを上げて飛んでくれば、敵もおちおち食事もできまい。
「捕食×妨害×邪魔……」
無機質な口ぶりと表情ながらも、明らかな苛立ちを態度ににじませる宝石災魔。
その隙にトリテレイアは脚部スラスターによるスライディング移動で距離を詰めていく。ようやく宝石災魔が断龍剣を手にした時、彼はもう目前まで接近していた。
「その剣は振るわせません」
一閃が放たれる寸前、無骨なウォーマシンの手が宝石災魔の手をがしりと掴む。
剣を持ち手を的確に封じられた災魔は、拘束を振りほどこうと腕を振り回す。
力源たる『赤の首』を捕食した結果だろう、その腕力は見た目より遥かに強い。
(活力を得た以上力の均衡は一瞬)
強引に手を振り払われる前に、トリテレイアが起動したのは【足部隠蔽収納式大出力擬似フォースセイバー】。開かれた爪先の装甲から、白色に輝くエネルギーブレードが飛び出す。
「確実に当てます……!」
掴む"手"に意識を向けさせた上での"足"によるだまし討ち。ユニットごと使い捨てる覚悟で限界以上のエネルギーを注ぎ込んだその一撃は、宝石災魔の身体を縦に一閃する。
「灼熱×苦痛×損害……。
奇襲×察知×失敗……」
サイキックエナジーを持たぬトリテレイアの作り出すその光剣は、純粋なる熱と光エネルギーの収束体。本式と比べればただの模造品に過ぎないが――威力は絶大。
血液すら蒸発する凄まじい熱量ゆえに、災魔の身体から血が流れることは無く。
肩からすっぱりと溶断された片腕が、断龍剣を握りしめたまま地面に落ちた。
成功
🔵🔵🔴
雛菊・璃奈
逃せばきっと、多くの世界の脅威になる…逃がすわけにはいかない…!
【残像、呪詛、高速詠唱】幻影呪術を使用し、多数の自身の幻影を召喚…。
更に黒桜の呪力解放【呪詛、衝撃波、早業、なぎ払い】で攻撃と同時に放出した呪力で目晦ましを仕掛け、幻影と共に敵のUCの効果発動条件である青の首による攻撃命中を妨害するよ…。
【九尾化・天照】封印解放…。
光を集束した数多のレーザーと黒桜で敵の首を迎撃しつつ、光速の動きで敵を翻弄し、敵本体を攻撃しながら【呪詛、情報収集、高速詠唱】探知術式でと霊魔ノレンズで移植された万能宝石の場所を探知…。
発見次第、万能宝石を狙い、【力溜め、呪詛、衝撃波】バルムンクによる一撃で両断するよ…
「危険×危険×危険……。
至急×迷宮×撤退……」
宝物庫という揺りかごを暴かれた宝石災魔は、いよいよもって窮地に陥っていた。
彼女らの存在の要たる『世界移動能力』の完成には今しばらくの時間がかかる。
そして、その時間をみすみす敵に与えてやるほど、猟兵達は悠長ではない。
「逃せばきっと、多くの世界の脅威になる……逃がすわけにはいかない……!」
迷宮から飛翔せんとするその翼を断つために、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は宝物庫を駆ける。未来に広がる禍根を阻止できるか、今この時こそ瀬戸際なのだ。
「使命×遂行×絶対……。
瘴気✕屍王✕模倣死者……」
宝石災魔が召喚したのは『青の首』。猟兵の脅威を痛感したからこそ、その力を模倣することで逆転を図るつもりだろう。彼女はまだ己の使命遂行を放棄していない。
対する璃奈は素早く幻影呪術の呪文を唱えると、自らの幻影を幾つも召喚する。
「その能力はもう見切ってる……」
『青の首』が敵の肉体をコピーするためには、一度攻撃を命中させる必要がある。ならば徹底的に攻撃を妨害して回避に専念すれば『青の首』は効果を発揮できない。
璃奈は多数の幻影の中に紛れながら、さらに呪槍・黒桜の呪力を解放。一閃と共に放出される黒い桜の華吹雪が、宝石災魔と『青の首』の視界を晦ませる。
「敵×発見×困難……」
「我らに仇成す全ての敵に太陽の裁きを……封印解放……!」
渦巻く花弁の中で敵が右往左往している間に、璃奈が発動するのは【九尾化・天照】。眩い光が宝物庫を照らし、曙光の中心で少女の姿は金髪金毛の九尾に変わる。
平時から外見が一変したことで、本物の所在に気付いた宝石災魔はすかさず『青の首』をけしかける。だが、今の璃奈にとってその動きはあまりにも遅すぎた。
「光よ……」
九尾化による力の解放のうち、天照は特に速度と身体能力に特化した姿である。
その速さは光の領域へと達し、光を自在に操ることも出来る。光を集束した数多のレーザーと黒桜による光速の刺突により、『青の首』は瞬時にこの世から消滅した。
「あなたはもう、絶対に逃げられないよ……」
面倒な模倣能力を排除した璃奈は、そのまま光速の動きで宝石災魔を翻弄する。
いかに強大な災魔だろうと、光の動きを肉眼で追うことはできない。敵が網膜に焼き付ける璃奈の姿は、すべて彼女が駆け抜けていった後の残像だ。
(どこかにこの災魔に移植された万能宝石があるはず……)
『青の首』と同様にレーザーと呪槍による攻撃を仕掛けながら、璃奈は「霊魔のレンズ」と探知術式で災魔を調べる。体内を流れる魔力の流れを可視化することで、最も多くの力が集まっているポイントを探すのだ。
「猟兵×反撃×困難……。
戦場×撤退×不可能……」
応戦さえもままならず、閃光と呪槍に肉体をじわじわと削られていく宝石災魔。
その体内の奥深くで、キラリとひときわ輝く魔力の反応が霊魔のレンズに映る。
「見つけた……」
即座に璃奈が抜き放った魔剣の名は「バルムンク」。魔竜を屠ったという逸話にふさわしい、凄まじい切れ味と呪いを宿したこの刃を以って、災魔の力の源を断つ。
「これで……!」
光速の早業で放たれた斬撃は狙い過たず、災魔の体内にある万能宝石を両断する。
紅玉のように真っ赤な血飛沫と共に、宝石災魔の身体からみるみる力が失われていく。
「万能宝石×断片×破損……。
使命×継続×困難……」
戦略級殺人鬼が『世界移動能力』の完成のために必要とした、万能宝石の力。
それを損なった今、この災魔が完全体になれる可能性は、限りなくゼロに等しかった。
大成功
🔵🔵🔵
オリヴィア・ローゼンタール
まるで恩人に刃を向けているような、言い知れぬ不安感、奇妙なデジャヴ……
白き翼の姿に変身
槍に聖なる炎の加護(属性攻撃)を纏い、飛翔(空中戦)
ですが、その完成を、世界を超える飛翔を許すわけにはいきません!
強化された【視力】で高速飛翔する首の軌道を【見切る】
聖槍で斬り捨て(武器受け)、グリーブで蹴り砕き(踏みつけ)、ガントレットで掴んで別の首へ投げつける(投擲)
無尽蔵とも思えた無限災群に比べれば……!(継戦能力)
猛攻を凌ぎ切れたら聖なる力を槍に圧縮(属性攻撃・破魔・全力魔法・限界突破)し、【嚇怒の聖煌剣】を形成
全霊(怪力)を以って【なぎ払い】、一刀両断する
聖煌剣よ! 闇を斬り裂け!
(まるで恩人に刃を向けているような、言い知れぬ不安感、奇妙なデジャヴ……)
破邪の聖槍の穂先を宝石災魔に突きつけながら、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は自分でも分からない奇妙な違和感に苛まれていた。
それは、本人も知らない彼女の出自に関することか、あるいは魂に刻まれた因縁か――確かなことは何一つ分からないまま、腑に落ちない感覚だけが胸にのしかかる。
「ですが、その完成を、世界を超える飛翔を許すわけにはいきません!」
それだけが唯一明らかな事実。災魔の脅威が世界の外にまで羽ばたいてしまえば、さらに多くの罪なき人々が犠牲になる。それだけは絶対に阻止しなければならない。
迷いや懊悩を振り払うかのように、オリヴィアは白き翼を備えた真の姿に変身し、槍に聖なる炎の加護を纏うと、勢いよく宝物庫の上空に飛び立った。
「わたしたち✕使命✕継続……。
飛翔✕飛翔✕飛翔……。
探索✕グリモア✕発生源……」
もはや実現の望みの薄い使命を口にしながら、宝石災魔は『緑の首』を喚ぶ。
ゆらりと宙に浮かぶ鬼霊の大群は、上空の敵を撃ち落とさんと一斉に襲い掛かった。
「これしきの攻撃……!」
オリヴィアは強化された動体視力を以って、弾丸のような速度で飛来する『緑の首』の軌道を見切ると、炎を纏った聖槍で斬り捨て、破邪のグリーブで蹴り砕く。
敵の数は軽く見積もっても数百体。どちらを向いても生首が飛び交う様はさながら地獄絵図。されどアルダワ魔王戦争を戦い抜いた彼女がこれしきで怯むはずが無い。
「無尽蔵とも思えた無限災群に比べれば……!」
大魔王がもたらしたアルダワ壊滅の危機も、その大魔王自身も猟兵は退けたのだ。
数を頼みとするだけの敵に、今さらオリヴィアが遅れを取るわけが無かった。
「邪魔です!」
飛び掛かってきた『緑の首』をガントレットで鷲掴みにし、別の首にと投げつける。
正面衝突した首同士が弾け飛んだところで、敵の攻勢も一時弱まったようだ。
猛攻を凌ぎきったオリヴィアはすぐさま反撃へと転じ、その身に宿る聖なる力を破邪の槍に圧縮していく。
「無窮の光よ! 絢爛たる勝利の煌きで天地を照らし、怒りの刃で遍く邪悪を斬り伏せよ!」
限界を超えて束ねられた破魔の力が形作るのは、黄金に輝く【赫怒の聖煌剣】。
其はあまねく全てを両断する破邪の剣。天使化した姿でのみ使用可能となる、彼女の切り札のひとつである。
「エネルギー×計測×不能……。
危険×危険×危険……」
凄まじい密度の力がその剣に圧縮されているのを感じ取り、宝石災魔は翼を翻す。
だが、多少の距離を稼いだところで無意味である。オリヴィアは両手で聖煌剣を構えると、逃げていく敵の背中を見据えながら、持てる全霊を以って薙ぎ払う。
「聖煌剣よ! 闇を斬り裂け!」
放たれた一閃は眩き黄金の光となり、進路上にある全てを斬り裂きながら直進する。
宝石災魔の飛翔がどんなに速かろうとも、光の速度からは決して逃れられない――。
「離脱×回避×不可能……。
飛翔×両翼×損傷……」
その背の翼を光の波動に一刀両断され、飛行の術を失った災魔は地に墜ちていく。
宝石災魔が異世界に『飛翔』する可能性は、またひとつ摘み取られたのであった。
成功
🔵🔵🔴
フレミア・レイブラッド
魔王を倒したと思ったらこんなのがいたなんてね…可愛い後輩のいる世界に厄介なモノ残してはおけないわね。
完成して他世界に行かれても厄介だし、潰させて貰うわ!
【ブラッディ・フォール】で「侵略の氷皇竜」の「氷皇竜メルゼギオス」の力を使用(氷皇竜の翼や尻尾等が付いた姿に変化)。
【アイス・リバイブ】の氷の鎧を纏い、【アイシクル・ミサイル】を自身の凍結魔法を纏わせて【属性攻撃、誘導弾、高速詠唱、全力魔法】強化し、本体及び緑の首集団へ連続斉射。
敵の攻撃を受けたら【アイス・リバイブ】の再生・強化能力で自身を回復強化して強化した力で強引に押し込み、【アブソリュート・ゼロ】で敵本体ごと完全に凍結させて粉砕するわ!
「魔王を倒したと思ったらこんなのがいたなんてね……可愛い後輩のいる世界に厄介なモノ残してはおけないわね」
地上の学園にいる知己の学生達の顔を思い浮かべながら、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は呟く。大魔王が討たれた今後、迷宮内に残る災魔の危険性は低下していくだろうが、それでもコレは並みの学生の手には余る。
「完成して他世界に行かれても厄介だし、潰させて貰うわ!」
憂いなき勝利をこの手に掴み、最高の結果で後輩の待つ学園へと凱旋するために。
隠し宝物庫に降り立った吸血姫は、凍てつくような冷気をその身に纏いはじめる。
「猟兵×脅威×増大……。
全体×損傷×深刻……。
わたしたち×使命×継続……」
翼をもがれた宝石災魔は、なおも使命を継続せんと『緑の首』を再召喚する。
グリモア発生源の探索というただ一つの目的のために、殺人鬼『グラン・ギニョール』に作られた彼女らにとって、それは絶対に放棄できない存在意義なのだろう。
無論、だからとて猟兵側も退くわけにはいかない。災魔を撃破しこの宝物庫を制圧すべく、フレミアが発動したユーベルコードは【ブラッディ・フォール】。
「骸の海で眠るその異形、その能力……我が肉体にてその力を顕現せよ!」
冷気を帯びたその身から、蒼氷の結晶のような翼や尻尾が生える。それはかつて彼女がアックス&ウィザーズで倒した『氷皇竜メルゼギオス』の力の具現だった。
「何匹いようと関係ないわ。全部纏めて凍らせてあげる」
視界を埋めつくさんばかりの『緑の首』の大群に対し、フレミアは優雅に微笑みながら【アイシクル・ミサイル】を連続斉射。氷皇竜の力に彼女自身の凍結魔法をプラスしたそれは、標的を高速追尾する無数の氷棘となって敵陣へと降り注いだ。
高速飛翔能力を持つ『緑の首』でも、何百という誘導弾の全てを避け切ることは不可能だ。耐久性に難のある彼らは氷棘が突き刺さった瞬間、氷塊となって四散する。
「追尾×凍結×脅威……。
目標×猟兵×集中攻撃……」
宝石災魔は幾つもの『緑の首』を身代わりにして氷棘を凌ぎながら指示を発する。
すると逃げ惑っていた『緑の首』が一転して、撃墜を恐れぬ勢いで攻勢に転じる。絶対数では敵勢が勝っている以上、フレミアだけで全てを撃墜することはできない。
「捨て身の覚悟ってことね……」
氷棘の弾幕を突き抜けてきた『緑の首』の体当たりが、ついにフレミアを捉える。
だが、その衝撃は予め彼女が纏っていた氷鎧【アイス・リバイブ】に受け止められ、致命傷にはならなかった。
「……なら、わたしもお返しよ」
氷皇竜の無限再生能力を宿した氷鎧は、装着者の負傷を瞬時に回復させ、受けたダメージに比例した強化を施す。フレミアは増幅された魔力をアイシクル・ミサイルに注ぎ込むことで、災魔の攻勢を強引に押し返していく。
「劣勢×打開×困難……。
窮地×窮地×窮地……」
「もう打つ手は無いのかしら? だったらこれで終わりよ!」
災魔達を追い詰めたフレミアは女王のごとく彼女らを見下ろしながら、トドメとばかりに全ての魔力を束ね、これまでとは比較にもならぬほどの極寒の冷気を放つ。
【アブソリュート・ゼロ】――一瞬にして分子レベルまで物体を氷結させる極低温の波動が、フレミアの周囲に存在するあらゆるものを薙ぎ払っていく。
「脅威×危険×窮地……」
『緑の首』は言わずもがな、本体である宝石災魔も極寒地獄からは逃れられなかった。
全てが停止した戦場で、氷の彫像と化した彼女の身体は、やがてピシピシと音を立てて砕けていく。その命脈はもはや風前の灯火であるかのように思われた。
成功
🔵🔵🔴
荒谷・つかさ
後顧の憂いは断ち切っておかないとね。
ここで残さず駆逐するわよ。
先制攻撃に対しては、こちらから踏み込んでクロスレンジに潜り込み、剣の射程の内側に割り込む事で対処
剣を持つ手の反対側に回り込むように動けば、人間と同じような骨格をしている限り剣は当てづらいはず
それでも当ててくるようなら持ち前の「怪力」で剣の腹をぶん殴って弾き飛ばす
反撃可能状態で密着できたら【鬼神剛腕砲】発動
この時投げるのは「宝石災魔」本体……つまり、投げ技として発動
力任せの背負い投げで地面へ叩きつける
その剣はユーベルコードを吸収するらしいけれど、この技をどうやって吸収するのかしら、ねッ!!!
「龍脈✕女神✕断龍剣……」
砕けていく宝石災魔の口元が微かに動き、火の玉のような『赤の首』が召喚される。
それは自ら取り込まれることで活力を与え、冷気で凍りついた肉体を解凍していく。
「死亡×窮地×脱出……」
辛うじて生き存えた宝石災魔であったが、それで消耗が全て回復した訳ではない。
そこに現れたのは長い黒髪をなびかせた、一人の小柄な羅刹の女性であった。
「後顧の憂いは断ち切っておかないとね。ここで残さず駆逐するわよ」
荒谷・つかさ(『風剣』と『炎拳』の羅刹巫女・f02032)は拳を握る。ここで宝石災魔を全滅させなければ、将来に禍根が残るのは確実。ゆえに容赦も油断もしない。
相手の手には女神の首を代償に作り上げられた断龍剣。それでも敢えて彼女はリーチに劣る徒手のまま、臆することなく自ら敵の間合いに踏み込んでいく。
「使命×継続×絶対……
必要×猟兵×撃退……」
使命を妨害する"敵"を斬り捨てようと、断龍剣を大きく振りかぶる宝石災魔。
しかしその刹那、つかさは力強く地面を蹴って加速すると、敵の目測よりも疾く剣の射程の内側――そして拳の間合いであるクロスレンジに潜り込んだ。
「ここまで近付かれれば剣は当てづらいでしょう」
つかさ自身も刀剣を扱うからこそ分かる弱点"振る"にせよ"突く"にせよ、剣の攻撃にはある程度の間合いが必要であり、密着寸前のこの距離では長い刃物は不利だ。
加えて彼女が回り込んだのは敵が剣を持つ手の反対側。災魔であろうとも外見的に人間と同じ骨格をしている限り、この位置にいるつかさに攻撃は当てづらいだろう。
「猟兵×接近×窮地……」
それでも宝石災魔は強引に攻撃を仕掛けるが、ただ腕の力だけで振った剣など、つかさには何の脅威にもならない。持ち前の怪力で刀身の腹をぶん殴ると、斬撃はあっけなく弾き飛ばされた。
「今度は私の番よ」
剣を弾かれた衝撃で災魔の身体がのけぞる。その機を逃さずつかさは密着状態から【鬼神剛腕砲】の構えを取る。それは本来、状況に応じて適当なものを投げつける投擲術だが――今回は彼女の目の前に、"適当なもの"がある。
「目標確保……」
がしり、とつかさが掴み上げたのは宝石災魔の身体。羅刹の中でも並外れた怪力を持つ彼女の膂力と握力は、一度捕まえたものを決して放さない。そのまま移行するのは背負い投げの体勢。
「その剣はユーベルコードを吸収するらしいけれど、この技をどうやって吸収するのかしら、ねッ!!!」
鬼の豪腕を最大限に活かした、掴んで投げる、ただそれだけの技。だがこの場合"武器"となるのは投げられる災魔自身の肉体と、迷宮の地面そのものである。こればかりは断龍剣の力を以ってしても吸収のしようがない。
「拘束×脱出×不能……」
「潰れなさいっ!!」
渾身の力で叩きつけられた宝石災魔の身体が、頭からぐしゃりと嫌な音を立てる。
凄まじい衝撃に宝物庫が揺れ、災魔がめりこんだ地面には小さなクレーターが出来上がっていた。
成功
🔵🔵🔴
ルカ・ウェンズ
宝石災魔?…宝石ください!
宝石は欲しいけどコピーされるのは嫌だから絶望の福音を使って攻撃を予想して相棒の宇宙昆虫に【騎乗】して【残像】の見えるよう速さで逃げまわりながら銃に変形させたオーラ刀で攻撃するわ。それに同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強するのなら宇宙昆虫達にも【オーラ防御】を使っておかないと。
肉体をコピーされたら逃げまわるのをやめて…困ったときの対オブリビオン用スタングレネード~これで【目潰し】そこに昆虫戦車の【一斉発射】と江戸モンゴリアンデスワーム(幼体)の【怪力】で攻撃するわ。
私はその隙に宝石災魔に【グラップル】組み付いたら人の形をしてるから…首を怪力で折るのを狙ってみるわ!
「宝石災魔? ……宝石ください!」
「宝石×略奪×拒否……」
ストレートなルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)の要求を、宝石災魔が無機質に拒絶する。己にとって生命に等しいものを寄越せと言わればそれも当然か。
よろよろと地面から起き上がってきた災魔は、瘴気を帯びた『青の首』を召喚し、ルカの元に差し向ける。性懲りもなく今度は彼女の肉体を模倣しようという算段か。
「宝石は欲しいけどコピーされるのは嫌だから、っと」
ルカは相棒の「宇宙昆虫」の背にひらりと飛び乗ると、宝物庫の中を飛び回る。
【絶望の福音】による未来予知にも等しい攻撃予測と、残像が見えるほどの宇宙昆虫の飛行速度。この2つを駆使して、飛来する『青の首』の攻撃から逃げ回る。
「そう簡単には思い通りにはいかないわよ。私もこの子たちもね」
回避機動を続けながら、手に取るのは銃に変形させたオーラ刀。持ち手のオーラ力を練成した黒い弾丸がダダダッ、と発砲音と共に後方にいた宝石災魔を射抜く。
『青の首』の模倣能力は、コピーしたのと同じ敵に攻撃する際に最も効果を発揮する、それを警戒して、大事な宇宙昆虫達の身体をオーラで保護することも忘れない。
「追尾×追尾×追尾……」
それでも屈さない宝石災魔の執念のもと、『青の首』は執拗にルカ達を追い続ける。
幾度かの交錯の果て、ついに避け切れなくなった一撃が、ルカの身体を捉えた。
「あいたっ」
ダメージはそれほど大きくない。だがその接触で標的の肉体形状を学習した『青の首』は、放出する瘴気を利用してルカとまったく同じ首から下の身体を作り上げる。
コピーされてしまった以上、もう逃げ回りながら引き撃ちでダメージを稼ぐ戦法は効果が薄いだろう。ルカはオーラ銃を収めると、代わりにあるものを取り出した。
「困ったときの対オブリビオン用スタングレネード~」
ぽいっ、と投げこまれた擲弾は、丁度宝石災魔と『青の首』の直上で炸裂する。
放たれる爆発音と閃光は五感をくらませるのみならず、オブリビオンの精神に恐怖をもたらす。思わず敵が怯んだ隙を突いて、ルカは待機させておいた仲間達を呼ぶ。
「今のうちに一斉攻撃よ!」
六本の足と胴体に幾つもの砲身を備えた「昆虫戦車」が砲火を放ち、幼体とは思えぬ巨体を誇る「江戸モンゴリアンデスワーム」が地面を抉りながら襲い掛かる。
降り注ぐ砲弾と、叩きつけられる巨体の剛力により、肉体を手に入れたばかりの『青の首』は呆気なく吹き飛ばされ、巻き上げられた土煙が戦場を濛々と覆った。
「敵×所在×不明……」
閃光の影響から抜けきっていない宝石災魔は、この土煙で完全に敵の姿を見失う。
その隙にルカは昆虫戦車から飛び降りると、音もなく災魔の元に近づき、その身体にがしりと組み付いた。
「人の形をしてるから……狙うなら首よね!」
もがく災魔を強引に押さえつけながら、まるで抱き寄せるように首に腕を絡め、ありったけの怪力を込めれば――ごきん、と骨が砕ける音と手応えが伝わってくる。
「頚椎×損傷×甚大……」
ルカが手を放して離脱すれば、敵は糸が切れた人形のようにどさりと崩れ落ちる。
まだ息の根があるのはオブリビオンゆえか。それでも首が折れれば満足に動けなくなるのは、人間も災魔も同じらしい。
大成功
🔵🔵🔵
シェーラ・ミレディ
完成させる訳にはいかんな。此処で仕留めねば今後に差し支える。
──悪いが、消えてもらうぞ!
普段の倍、8丁の精霊銃を駆使して敵を迎え撃とう。
緑の首は脆いようだ。攻撃を食らっても構わず銃を撃ち続け、首を撃ち落とすぞ。
首の位置を見切り、素早く銃を抜いて一斉発射。誘導弾を広範囲に乱れ撃ち、首を制圧、蹂躙する。弾幕を張れば、いかに高速で動いていようと逃げられまい。
痛みはドーピングで誤魔化して、医術の知識で致命傷だけは避けよう。
服も体もボロボロだが……何、敵を破壊すれば充分な報酬だ。
余裕があれば本体にも銃口を向けるぞ。
さぁ、覚悟しろ──お前に引導を渡してやる!
※アドリブ&絡み歓迎
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
そりゃ相手だってやられっぱなしのバカじゃないし。できるんならそのくらいはやってくるわよねぇ。
…させてやる義理なんてありゃしないけど。
きっちり全部叩き壊してやりましょ。
…これが一番勝率高いかしらねぇ。だいぶ博打になるけど。
〇目潰し・足止め・フェイントに残像、手札ひっくり返して撹乱しつつ〇ダッシュで接近。剣の間合いの内側から〇零距離射撃で●滅殺を叩き込むわぁ。
UCを吸収するのはあくまでも「剣」だもの。そこに当てなきゃいいんでしょ?
…いっそ串刺しにでもしてくれたほうが手間省けるかしらねぇ?
悪いわね、あんたにはぜーんぜん関係ないことなんだけど。
――アタシ、赤って嫌いなの。
「そりゃ相手だってやられっぱなしのバカじゃないし。できるんならそのくらいはやってくるわよねぇ」
『世界移動能力』を持つ災魔を創造し、グリモアの発生源を探索させるという計画を、ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)はそう評した。
これまでにも数々の世界でオブリビオンによる世界滅亡の危機を打破してきた猟兵達。それに対抗しようという動きが敵側から出てくるのは予測できたことだ。
「……させてやる義理なんてありゃしないけど」
「完成させる訳にはいかんな。此処で仕留めねば今後に差し支える」
冷たく声を低めた彼女に、シェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)も首肯する。
他世界やグリモアベースに対する将来的な脅威は、ここで完全に除いておくに限る。
「きっちり全部叩き壊してやりましょ」
「──悪いが、消えてもらうぞ!」
6連装リボルバーと4丁の精霊銃の銃口が狙うのは、地に崩れ落ちた宝石災魔。
逃げる余裕も完成体になる暇も与えはしない、ここで完全に息の根を止める。
「龍脈✕女神✕断龍剣……。
霊紋✕鬼霊✕地獄絵図……」
失われた活力とダメージを少しでも回復すべく、宝石災魔は『赤の首』を喰らう。
同時に時間稼ぎのつもりだろう、召喚された『緑の首』の大群が猟兵達の射線上から災魔の姿を覆い隠しながら、勢いよく襲い掛かってくる。
「足止めのつもりか」
シェーラは即座に精霊銃を発砲。飛来する敵の軌道を見切った銃撃は、狙い過たずに『緑の首』を吹き飛ばす――だが、落とせたのは銃弾一発につき一体までだ。
飛行能力に優れるぶん強度は脆い『緑の首』だが、その脅威はやはり数にこそある。本体を守るために我が身を省みず襲ってくる大群の攻勢は、容易には阻めない。
「これはアタシも弾が足りるか分からないわねぇ」
ティオレンシアも愛銃「オブシディアン」で接近する敵を撃ち落としていくが、倒した傍からすぐに次の敵が襲い掛かってくるような状況だ。銃弾をくぐりぬけた数体の『緑の首』が、僅かなリロードの隙を突いて飛び掛かってくる。
「ええいっ」
「くぅ……っ」
医術の知識を活かして致命傷を避けるシェーラ。残像を描いて紙一重で身を躱すティオレンシア。今はふたりとも凌いではいるが、このままではいずれ圧し潰される。
それだけ敵も追い詰められているのだろう。押し寄せる『緑の首』の猛攻からは、ある種の焦りと必死さが感じられた。
「……これが一番勝率高いかしらねぇ。だいぶ博打になるけど」
「何か策があるのか? なら思い切りやれ、僕が援護してやろう」
防戦一方の状況に埒を開けるために、ティオレンシアが思いついた一つの作戦。
シェーラは一も二もなくそれに賛同する。どうせこのまま負けるくらいなら、敢えて賭けに出るのも一興だ。
「だったら、行ってくるわぁ。よろしくお願いねぇ」
言うや否やティオレンシアはフラッシュグレネードのピンを抜き、敵陣目掛けて投げつけた。放たれた閃光が『緑の首』の目を眩ませた瞬間、全速力で走りだす。
狙うのは首を召喚している宝石災魔本体。当然、敵もそうはさせじと立ち直った者からティオレンシアを睨めつけるが――重なり合う幾つもの銃声が注意を引き戻す。
「お前達の相手は僕だ」
シェーラの手元には普段使う4丁に加えて、さらに4丁。計8丁の精霊銃がある。
曲芸かあるいは舞踏のように、素早く銃を抜いては撃ち、即座に次の銃に持ち替えては撃つ。放たれた銃弾は精霊の力を宿し、『緑の首』を次々と撃ち落としていく。
「弾幕を張れば、いかに高速で動いていようと逃げられまい」
倍以上に密度を増した銃弾の嵐は、一発一発が誘導弾としての性質を有している。もはや蟻の子一匹だろうと逃げまわる隙間のない、"面"規模による制圧と蹂躙。
それでも『緑の首』は損害に構うことなく猛然と襲って来るが、シェーラもすでに覚悟を決めている。体当たりされようと噛みつかれようと、決して銃撃は止めない。
「遠慮するな。馳走してやろう!」
血を吐きながら高らかに叫び、8丁の精霊銃を乱れ撃つ【彩色銃技・華燭之典】。
服も身体もボロボロになりながらも、その姿は見惚れるほどに勇ましく、美しい。
「ここまでやってくれたなら、アタシもきっちり決めないとねぇ」
消し飛ばされていく『緑の首』を尻目に、ティオレンシアは戦場を駆け抜ける。
その正面、宝石災魔はすでに『赤の首』の捕食を終えて、断龍剣を構えながらじりじりと後退している。猟兵の脅威を痛感するゆえに、直接戦闘を避けるつもりか。
「逃がさないわよぉ」
敵の足元に銃弾を撃ち込み牽制。残像によるフェイントで撹乱して距離を詰める。
一気に近付いてくるティオレンシアに対して、逃げられぬと悟った宝石災魔は苛立つようにぐっと剣を握りしめると、猛然と突き掛かった。
「使命×障害×排除……」
『赤の首』を代償として生まれた赤い断龍剣が、ティオレンシアの身体を貫く。
――だが、彼女は計画通りだと言うように、刃が突き刺さったまま静かに微笑む。
「串刺しにしてくれてありがとう、おかげで手間が省けたわぁ」
手を伸ばせば触れられそうなほどの至近距離から、オブシディアンを向ける。
ここまで間合いの内側に入ってしまえば、どうしたところで防ぎようはあるまい。
「ユーベルコードを吸収するのはあくまでも『剣』だもの。そこに当てなきゃいいんでしょ?」
その厄介な剣も身を以って封じたこの瞬間こそ、彼女の必中必殺のタイミング。
「悪いわね、あんたにはぜーんぜん関係ないことなんだけど。――アタシ、赤って嫌いなの」
細められた女の目蓋の隙間から、追い詰められた標的を射抜くは――赤い瞳。
無機質なはずの宝石災魔が、その瞬間ぞくりと恐怖に震え上がったように見えた。
彼女を守るものはもう何も無い。召喚された『緑の首』はとうに駆逐されている。
邪魔者共を始末して余裕のできたシェーラもまた、宝石災魔に銃口を向ける。
「さぁ、覚悟しろ──お前に引導を渡してやる!」
8丁の精霊銃から一斉に放たれた8属性・8発の銃弾が、宝石災魔の全身を撃ち抜く。
直後、スイングアウトされたリボルバー弾倉内の弾丸にクイックローダーが叩きつけられ、雷管の反応により火薬が撃発。零距離からの【滅殺】が叩き込まれた。
「危険×窮地×脅威……。
回避×防御×不能……」
凄まじい銃撃と爆発を浴びた宝石災魔は、砕けた破片を散らして吹き飛んでいく。
それを見届けたティオレンシアは腹から剣を抜くと、後ろのシェーラに振り返る。
「損な役回りをさせちゃったわねぇ」
「何、敵を破壊すれば充分な報酬だ」
手応えはあった。まだ生きていたとしても、その命はもはや風前の灯火だろう。
傷ついた互いの健闘を労うように、ふたりの猟兵は微笑みを交わすのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴィクティム・ウィンターミュート
・彩萌(f03307)と
オイオイ、終わったと思ったらボーナスステージかよ
グラン・ギニョールの奴…面倒なことしてくれたぜ
まぁいいさ!向かってくるなら潰すまで
彩萌、潰してやりな
先制攻撃確認後、ユーベルコードを起動
『Perfect Control Operate』
状況把握とリソース把握能力を強化し、自分と彩萌の最適な回避行動を選定し、実行する
一発食らわせれば消えるなら、敵の群れに最適なタイミング、最適な箇所で穴を開けて突破
ナイフを二刀流化し、【二回攻撃】でまず機動性を削ぐ
隙を見て左腕の仕込みショットガンで【零距離射撃】もしよう
この戦争に、真の終演を
大魔王と一緒に、永遠に沈んで…浮かんでくるなよ
斬断・彩萌
ヴィっちゃん(f01172)と共に、終焉を告げに
あらあら、煌めくばかりの宝石だけど、生命の輝きには劣るわね
此処が正真正銘最後のステージ、稼ぐだけ稼いでハイスコアを狙うわよ!
彼と私、二人の情報収集能力を駆使して相手の攻撃の隙を縫って全力回避
土壇場でも発揮される咄嗟の戦闘知識をご覧に入れるわ!
どうしても避けきれない場合は激痛耐性、勝利の為に倒れてらんないのよ!
彼のサポートと自己強化を受けて、緑の首を一撃で沈めつつ徐々に宝石災魔本体を射程範囲へ
相手を捉えたら逃がしはしない
精神力も根性も気合も、勝利の念をありったけ込めた超能力弾を発砲
大魔王も、宝石災魔も、全て沈みなさい
私と彼が、それを見届けてあげる
「オイオイ、終わったと思ったらボーナスステージかよ。グラン・ギニョールの奴……面倒なことしてくれたぜ」
殺人鬼の隠し宝物庫にやって来たヴィクティム・ウィンターミュート(End of Winter・f01172)は舌打ちをひとつ。大魔王の猛威の裏でこんなカードを伏せていたとは、危うく見逃せば大惨事に繋がりかねないところだった。
「まぁいいさ! 向かってくるなら潰すまで。彩萌、潰してやりな」
「ええ、ヴィっちゃん……あらあら、煌めくばかりの宝石だけど、生命の輝きには劣るわね」
応じる斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)の視線の先にいるのは、万能宝石を移植された美しき姿の災魔。猟兵との激戦の果てで翼は折れ、五体は傷つき、今やその生命は風前の灯火のようであった。
「此処が正真正銘最後のステージ、稼ぐだけ稼いでハイスコアを狙うわよ!」
「わたしたち✕使命✕継続……」
燃え上がるような闘志に反応してか、宝石災魔はゆらりと再び戦闘態勢を取る。
被造物ゆえの愚直さで、与えられた使命を果たさんと、召喚するは『緑の首』。
地獄絵図のごとく狂い舞う鬼霊の大群が、一斉にふたりの猟兵に襲い掛かった。
「『Perfect Control Operate』」
敵の先制攻撃を確認した直後、ヴィクティムがユーベルコードを起動する。
強化されるのは状況把握とリソース把握能力。戦場で鍛えられた眼と並列思考能力を活かして、飛来する無数の敵に対する最適な回避行動を瞬時に選定、実行する。
「さあ踊ろうぜ」
「リードよろしく!」
四方八方から高速で迫る攻撃の隙間を縫うように、ヴィクティムと彩萌は戦場を舞う。ふたりが収集した情報をヴィクティムが統合、適切な戦術指揮を披露することで、その戦闘能力は大幅に高まっていた。
「わたしたち✕使命✕継続……。
わたしたち✕使命✕継続……」
だが、妄執に衝き動かされた圧倒的多勢の猛襲は、時に綿密な計算さえ上回る。
相棒からの指揮を受け取り、それを実行するまでの僅かなタイムラグを突かれ、一体の『緑の首』の突撃が彩萌の身体に叩き付けられた。
「ちっ、大丈夫か彩萌」
「っ……平気!」
ヴィクティムのナイフ『エクス・マキナ・ヴォイド』が、彩萌を襲った首を両断する。
不覚を取った彩萌は、しかし痛みを堪えてすぐさま立ち上がると、新たな首の追撃を躱す。その瞳には揺らぐことのない勝利への渇望が宿り、炎のように輝いていた。
「勝利の為に倒れてらんないのよ!」
「その意気だ。ああ、勝とうぜ」
『Perfect Control Operate』で共有されるのは情報と戦術だけではない。どんな苦境も絶対に打開してみせるという"必勝"の決意。それがある限りどんな大軍が相手だろうと、ふたりは一歩も引き下がることは無い。
「一匹ずつ潰していっても埒が明かねえ、集中攻撃で突破口を開くぞ」
「了解。ヴィっちゃんの指揮なら私は信じられるわ」
ナイフを二刀流化したヴィクティムと、二丁拳銃を抜いた彩萌は、互いに目配せを交わすと反撃に転じた。一発食らわせれば消える敵の群れなら、狙うは一点突破だ。
最適なタイミング、最適な箇所を見極めて同時攻撃を仕掛ければ、大群の包囲網に穴が開く。向かうのは言うまでもなく、この連中を召喚した宝石災魔の元に。
「どきなさい!」
八面六臂のごとき早業で、超能力により強化された拳銃を乱射し、立ちはだかる首を次々と沈める彩萌。相棒に対する全幅の信頼と、土壇場でこそ咄嗟に発揮される戦闘経験が、彼女の戦闘能力をさらに引き上げていた。
「その調子だ。抜けるぞ!」
彩萌に指揮を飛ばしながら、自らもナイフを振るい首を斬り捨てていくヴィクティム。まるで一本の槍のように、一心同体の連携で戦場を駆け抜けた彼らは、ついに本命である宝石災魔を射程に捉えた。
「危険×猟兵×接近……。
戦場×離脱×実行……」
傷ついた足を引きずるように、翼の折れた災魔は迫りくる脅威から撤退を試みる。
だが、このふたりが一度捉えた相手を逃がすわけがない。電光石火の勢いで飛び出したヴィクティムが、目にも留まらぬ早業で二刀のナイフを振るう。
「どこに行くつもりだ? ここがお前の揺りかごで墓場だよ」
宝石災魔の四肢から血飛沫が上がる。それは敵の機動力を削ぎ落とすための斬撃。
逃げ足が鈍った隙に畳み掛けるように、機械の左腕に仕込まれたショットガンが火を吹いた。
「戦場×離脱×困難……。
状況×わたしたち×窮地……」
零距離から浴びせられた散弾が、宝石災魔の肉を抉り、骨を削り、鮮血を散らす。
にやりと笑ったヴィクティムは、ナイフを収めながらひょいと脇に退く。その後ろから姿を現したのは――処刑人の名を冠する魔銃「Executioner」を構えた彩萌。
「この戦争に、真の終演を」
「大魔王も、宝石災魔も、全て沈みなさい」
弾倉に込める勝利の念は二人分。精神力も根性も気合も、ありったけの想いを詰めた上で、超能力【Killing Salvation】によって強化されたその一撃は、まさしく彼女の全心全霊そのもの――満身創痍の宝石災魔に、逃れる術などありはしない。
「大魔王と一緒に、永遠に沈んで……浮かんでくるなよ」
「私と彼が、それを見届けてあげる」
終焉を告げるふたりの言葉と共に、放たれた必殺の超能力弾。
それは目も眩むほどの極光となって、宝石災魔を呑み込んだ――。
大成功
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「龍脈✕女神✕断龍剣……」
光が収まったあとの戦場に残っていたのは、煌めく小さな宝石の欠片だけだった。
だが、虚空より現れた『赤の首』がその欠片に触れると、燃えるような魔力の輝きに包まれて、骸の海に沈んだ災魔の肉体が再生していく。
「わたしたち✕使命✕継続……。
飛翔✕飛翔✕飛翔……」
だが、なけなしの活力と魔力で得た復活など、完全なものであるはずが無い。
断龍剣を手に立ち上がったその姿は今にも崩れそうで、満身創痍のままだ。
――それでも、彼女は決して止まらない。
この世界から羽ばたく、その瞬間まで。
ナイ・デス
ソラ(f05892)と
願われ、叶える存在として生まれ、何も為せず終わる
それは嫌でしょう、けれど
世界、滅ぼすわけには、いかない、ですから
此処で、終わってもらいます
……ところで、ソラ
本当に、これで戦う、です?
ソラに背負われ、私はサポート
私軽く、ソラ怪力で問題ない、ですが……いつか私、ソラを背負いましょう。うみゅ
覚悟決め、怪力でぎゅっとしがみついて
もし攻撃受けても激痛耐性。決して離れずサポート
聖なる光(武装扱いの方)でソラを包み癒し、継戦能力与え
念動力噴いて吹き飛ばしソラの背を押し、空中戦ダッシュ補助
ソラが断ち割ったら
万能宝石。欠片も、残しません
生命力吸収、喰らい尽くす光の、一撃放ち、飲み込みます!
ソラスティベル・グラスラン
ナイくん(f05727)と
大魔王を倒し、これで終幕かと思えば…
まさか地中深くに、斯様に危険な女神が眠っていたとは!
彼女をこの地下から、この世界から出してはいけません
最後の戦いです!やりますよ、ナイくん!
ふふっ、―――しっかり掴まっててくださいね!
とても軽い相棒くんを背負いつつかばい、二人分の先制に備えます
竜の翼で空中戦
オーラ防御・盾受けで守りを固め
敵の攻撃を見切り、空中で受け流す
或いは気合と、持ち前の純粋な怪力の大斧で切り結ぶ!
二人息を合わせ、ここぞで思い切り敵の剣を弾き
ナイくんの補助を受けダッシュ、一気に懐へ!
大魔王を下した今、恐れなど皆無です!
今こそ大斧を叩き込み、勇気ある決着を!
「大魔王を倒し、これで終幕かと思えば……まさか地中深くに、斯様に危険な女神が眠っていたとは!」
ここで発見できたのは僥倖だったと、ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)は思う。この迷宮から飛び立ち、異世界へと脱出せんとする宝石災魔――その脅威を見逃していれば、恐るべき禍根を将来に残すことになっただろう。
「彼女をこの地下から、この世界から出してはいけません」
蒸気発する大盾と、蒼雷纏う戦斧を手に、アルダワを守りし勇者は決着に臨む。
「願われ、叶える存在として生まれ、何も為せず終わる。それは嫌でしょう、けれど」
一方で勇者の相棒、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は、どこか哀れむような静かな眼差しで満身創痍の宝石災魔を見ていた。ひたすらに与えられた使命を果たさんとする愚直なその有り様に、他意は無いのだろう。けれど。
「世界、滅ぼすわけには、いかない、ですから。此処で、終わってもらいます」
禍をもたらすであろう飛翔を喰い止めるという、彼の意志に揺らぎはなかった。
「戦闘×回避×不可能……。
撤退×逃走×不可能……。
課題×目標×殲滅……」
宝石災魔がその手に握りしめるのは、『赤の首』の犠牲によって生まれた断龍剣。
もはや退路はない。使命を果たすためには、眼前の猟兵を討ち果たすしかない。
無機質な言葉で不退転を示し、翼の折れた女神は真っ向からふたりに襲い掛かる。
「最後の戦いです! やりますよ、ナイくん!」
「はい……ところで、ソラ。本当に、これで戦う、です?」
意気盛んな様子のソラスティベルに、ナイはほんのすこし戸惑いがちに尋ねる。
彼が今、どこにいるかと言えば――それはソラスティベルの背中の上。端的に言えばおんぶに近い状態で、彼は勇者にかばわれている状態だった。
「ふふっ、―――しっかり掴まっててくださいね!」
相棒を背負う重さなどまるで感じていない様子で、ソラスティベルは翼を広げる。
その直後、強襲する災魔の断龍剣と蒼空色の大戦斧が激突し、火花を散らした。
「なかなかに重い一撃です……ですがっ!」
竜の翼で颯爽と舞い上がり、防ぎ止めた衝撃を空中で受け流すソラスティベル。
正面には蒸気機関の盾を構え、全身にはオーラの鎧を纏って防御を固めている。
対する宝石災魔は折れた翼を羽ばたかせて跳び上がると、手負いの獣さながらに激しい猛打を繰り返す。追い詰められた状況にあるがゆえの捨て身の攻勢だ。
「使命×遂行×絶対……」
「させません、絶対に!」
ソラスティベルは敵の乱撃の動きを見切り、蒸気盾とオーラでそれを受け流す。
無傷では凌げない。だが相手に使命があるように、彼女にも譲れない理由がある。
災魔の猛威に呑まれぬように、溢れる気合と持ち前の怪力で大斧を振り回す。
剣と斧が、あるいは剣と盾が交錯するたびに、宝物庫の上空では火花と雷光、そして蒸気と血飛沫が散っていく。
(私軽く、ソラ怪力で問題ない、ですが……いつか私、ソラを背負いましょう。うみゅ)
激闘を繰り広げるソラスティベルの背に、ぎゅっと力強くしがみつくのはナイ。
男の子としてのちょっとした決意と、覚悟を決めて。彼はただ庇われているだけではなく、相棒として勇者の戦いをサポートする。
「ソラが傷ついても、私が癒やします。どんな傷でも、すぐに」
その身から溢れる聖なる光は、彼自身と共にソラスティベルを包み傷を癒やす。
さらに翼の動きに合わせて念動力を噴出することで、空中戦での機動力を補助。
「ありがとうございます、ナイくん!」
献身的なサポートにより、ソラスティベルは背中にもう一対羽が生えているかのように、伸びやかに自在に宙を舞う。どんなに傷を負ってもすぐに癒えるばかりか、むしろ相棒の想いを感じて気合が増すほどだ。
「肉体×損傷×蓄積……。
戦闘×継続×困難……」
かたや活力を与える『赤の首』を使い果たし、さらに翼も損壊した宝石災魔。
一見すれば拮抗していた両者だが、その継戦能力においては歴然たる差があった。
徐々に鈍っていく敵の動きを見てとったソラスティベルは、ここぞとばかりに大斧を振るう。
「せいっ!!」
一際高い剣戟の音が鳴り響いた直後、宝石災魔の手から断龍剣が弾き飛ばされる。
即座にばさりと翼を羽ばたかせたソラスティベルに、ナイの念動力が背中を押す。
ぴったりと息を合わせたふたりは弾丸のような速さで、一気に敵の懐に飛び込んだ。
「大魔王を下した今、恐れなど皆無です!」
神竜の戦斧「サンダラー」よりほとばしる蒼雷は、溢れんばかりの勇気の証明。
そこに気合と根性が加われば、もはや眼前に敵は無し。それが彼女の勇者理論。
燃え盛る気魄が最高潮に達した瞬間、ソラスティベルは全力で雷斧を振り下ろす。
「今こそ、勇気ある決着を!」
【我が名は神鳴るが如く】――叩き付けられた勇者渾身の一撃は、宝石災魔の身体を脳天から股下に至るまで真っ二つに両断し、大地に巨大なクレーターを穿った。
裂けた災魔の肉体の断面から現れたのは、キラキラと輝く小さな宝石の欠片。それは奪われ、断たれ、破壊された彼女の身体に残された、万能宝石の最後の断片。
「万能宝石。欠片も、残しません」
神秘の輝きを発するその断片へと、ナイは射抜くような視線と共に手を伸ばす。
解禁する力の名は【クラウモノ】。放たれる輝きは、それまでの癒やしの力とは対極となる――あまねく生命を、時間を、喰らい尽くす光。
「あなたが、今にいる為に、消費していい時間は、ありません」
放たれた一撃は瞬時に万能宝石の欠片を飲み込み、その生命と時間を奪い去る。
質量ある物質としての"時間"を奪われたオブリビオンは畢竟、現世に留まることはできない。その存在に残された末路は、ただ骸の海へと還ることのみ。
「わたしたち×敗北×確定……。
飛翔×完成×失敗……。
使命×達成×不可能……」
木霊する無機質な声と共に、宝物庫から消滅していく万能宝石と災魔の断片。
オブリビオンによる恐るべき『世界移動能力』の完成は、ここに阻止された。
――かくして、アルダワ魔王戦争における最後の戦いがここに終結する。
それは文句の付けようもない、全ての厄災を打ち破った猟兵達の完全勝利だった。
大成功
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