3
アルダワ魔王戦争8-BⅡ〜災厄の宝石は世界に飛翔す~

#アルダワ魔法学園 #戦争 #アルダワ魔王戦争 #宝石災魔

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アルダワ魔法学園
🔒
#戦争
🔒
#アルダワ魔王戦争
🔒
#宝石災魔


0




●ファーストダンジョン・迷宮区画「隠し宝物庫」
 ここは戦略級殺人鬼「グラン・ギニョール」の宝物庫。彼女が完成させたかったモノがそこにはある。そしてその宝物は動き出す。
「飛翔✕飛翔✕飛翔……」
「探索✕グリモア✕発生源……」
 蠢く色。飛び回る宝石。そしてグリモアを探すという意志。大魔王の万能宝石が災魔に力を付与し、グラン・ギニョールが己が身を削ってまで持ち帰ろうとした「存在」。
 「宝石災魔」。その使命が今、起動を始めている。
「大魔王✕無限災群(インフィニット・ホード)✕壊滅……」
 もはや自分達を庇護し、完成へと導く者はいない。すべての企みは虚空へと消えるはずだった。だが何の因果か、その宝石達は動き出す。
「わたしたち✕使命✕継続……」
「飛翔✕完成✕あと少し……」
 自らの使命を果たす為。その存在理由を証明する為。完成へと至り成し遂げるべきものの為に。宝石災魔の群れは飛翔し、進軍する。
「飛翔✕飛翔✕飛翔……」
「探索✕グリモア✕発生源……」

●グリモアベース・ブリーフィングルーム
「大魔王は打倒されたが、グラン・ギニョールが言っておった宝石災魔が動き出したのー」
 そう言って電脳ウィンドウに映る「宝石災魔」の群れを見て、難しい顔をするグリモア猟兵、メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)。その表情は事態の緊急性を物語っている。
「こいつらの目的はアルダワ世界のカタストロフではなく、グリモア。つまりここじゃのー」
 グリモアベース。謎の力「グリモア」が発生する、これまでに発見された全ての世界の風景に揺らぎ変わる、小さく不安定な世界。そしてオブリビオンはこの世界を見つけることはできなかった。それを探索することができるのが、宝石災魔だというのだ。
 完成の暁には「世界を移動する能力」を有すると言われる宝石災魔。万能宝石と災魔から生まれ出でし者。能力が完成する前にすべてを破壊しなければならない。
「ちなみにグリモアベースを破壊されると、僕を含めてグリモア猟兵達は力を失うのー」
 そうなれば予知もテレポートもできずに、各世界はオブリビオンが蹂躙し、すべての世界でカタストロフが起きることになる。それくらいグリモアベースの位置特定は最高レベルの危険度なのだ。
「宝石災魔達が飛び立つ前に叩き潰さないといかんのー。大魔王も倒して疲れているとは思うけど頼むのー」
 そう言って隠し宝物庫への転移を開始するメイスン。アルダワ魔王戦争を真に終わらせる為に、猟兵達は最後の力を絞りつくし、敵を倒す決意をする。自らの世界を、場所を守るために。


ライラ.hack
 大魔王がラスボスで終わりと言ったな。あれは嘘だ(ズドン)
 どうも皆様こんにちわ。ライラ.hackです。

 今回は宝石災魔が一体との戦いとなります。
 難易度は普通より高めなのでご注意ください。

 そしてこのシナリオでは以下の特殊ルールがあります。
 ●プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』。
 (敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)
 3月1日までこの戦場が残っていると、宝石災魔達は「世界移動能力」を完成させ、逃げてゆきます。それまでに、倒し尽くしてしまいましょう。
 ※20シナリオ程成功すると、この戦場を制圧し、世界移動を阻止できます。

 以上となります。楽勝ムードから一気にグリモアベースの危機的状況ですが、猟兵の底力見せてあげましょう。
 それでは皆様の素晴らしいプレイングをお待ち致しております。
119




第1章 ボス戦 『宝石災魔』

POW   :    龍脈✕女神✕断龍剣
【喰らった者に活力を与える『赤の首』】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【ユーベルコードを吸収する剣】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    瘴気✕屍王✕模倣死者
【敵の肉体をコピーする『青の首』】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【首から下の肉体形状】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    霊紋✕鬼霊✕地獄絵図
レベル×5体の、小型の戦闘用【高速飛翔する『緑の首』】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。

イラスト:大希

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

メンカル・プルモーサ
……一気の本拠に攻め込む気か……流石に阻止しないとね……

繰り出されるは青い首……肉体をコピーするという事だけど……
医療製薬術式【ノーデンス】浸透破壊術式【ベルゼブブ】遅れ発連動術式【クロノス】を多重起動……
青い首がこちらを認識、コピーや記憶をしようとすると感染…
対象の認識する情報が「全く違うものへと変質する」術式毒【ヨモツヘグイ】を生成……青の首へ感染させるよ……
これにより誤情報が累積してどんどん攻撃が弱体化していくはず……
宝石災魔が事態を把握して対処する前に……高速詠唱で【起動:海神咆哮】を発動……
召喚された首ごと災魔を吹き飛ばすよ…


ジェイ・ランス
【SPD】※アドリブ、連携歓迎
こりゃまた、最後にえらいのでてきたなっと。グリモアベース狙いはイカンヨ。ま、無駄口も置いといて、全力で行きましょうかね。
敵の"情報収集"し、熱光学"迷彩"してオレの姿を消すと同時にオレの"残像"をランダム射出。オレはと言えば、"慣性制御術式"を使って"地形の利用"しつつランダム回避っと。
……さて。

―――感情演算停止、超重力制御術式『schwarzes_Loch(シュヴァルツェス・ロッホ)』起動。

大量にいるならば集めましょう。もっと、もっと、もっと、もっと。
視界内の個体、攻撃全てを。
超重力に引かれ、轢かれ、挽かれなさい。己と仲間の体重でもがき、苦しみ、潰れなさい。



 グラン・ギニョールの宝物庫。ファーストダンジョン9層の溶岩地帯から上に続く道の先にある隠された宝物庫はそう呼ばれていた。そこに戦略級殺人鬼が最後まで拘り、秘匿しようとしたモノが存在した。
 大魔王の万能宝石の力と災魔が融合した産物。稀有なる「世界移動能力」を持つ兵器。オブリビオンの天敵・グリモアへと至る可能性を持つ鬼札。
 宝石災魔。完成に至れば猟兵達の危機になりかねない存在。すでに万能宝石を持つ大魔王ウームー・ダブルートゥは倒れ、それを守り持ち帰ろうとしたグラン・ギニョールもいない。しかしその使命を果たさんと、自ら起動して完成に至らんと動き始める。
「起動✕構築✕飛翔……」
 自力で能力を完成させ飛び立とうとしている宝石災魔の一体の前に、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)とジェイ・ランス(電脳(かなた)より来たりし黒獅子・f24255)が立ち塞がる。
「……一気の本拠に攻め込む気か……流石に阻止しないとね……」
 名門プルモーサ家の一員として、アルダワ世界に仇なす大魔王を討滅し、責務を果たした。だが猟兵の一員としてグリモアを探知しその道を切り開こうとする宝石災魔を逃すわけにはいかない。愛杖「シルバームーン」を構え、魔力を集中させる。
「こりゃまた、最後にえらいのでてきたなっと。グリモアベース狙いはイカンヨ」
 そんな真剣な表情とは対照的にジェイは至ってマイペースだ。キマイラフューチャーの古代ゲームのキャラクターである故に命の価値については違う価値観なのかもしれない。しかし、防衛AIだったことの名残か、守る本能が刺激され電脳ウインドウを開きながら臨戦態勢を取る。
「ま、無駄口も置いといて、全力で行きましょうかね」
 そんな二人の姿を視界に捉えた宝石災魔は、完成体への構築作業を中止する。即座に自分を破壊しようする存在だと認識したからだ。そして輝ける宝石は濃厚な死の瘴気を纏った、『青き首』を召喚する。
「猟兵✕発見✕抹殺……」
 その『青い首』は荘厳な顔つきをしており、メンカルとジェイを見据える。その生者を呪い殺すほどの瘴気はまさしく屍王の如し。そしてその瘴気は形作り2体の首なし生命体を創造する。それはまさしく今目の前にいるメンカルとジェイの首がないコピー体であった。それを見たジェイが驚き声を上げる、
「うっひゃー、自分の首なし死体とご対面とか不気味だねー」
「……悪趣味……でも気を付けて……」
 メンカルの指摘通り、『青の首』に操られた首なしコピー体が動き出す。メンカルのコピー体が攻撃術式を起動させて魔弾を放出すれば、ジェイのコピー体は術式で身体を浮遊させて突撃する。自分との戦い、メンカルも対抗して魔法を撃ち合って相殺。ジェイも動きを観察しながら、重力と慣性を術式で制御して高速ドックファイトを繰り広げる。
「ん……?」
 だがジェイはすぐに異変に気付く。ジェイのコピー体の動きがどんどん悪くなっていくのだ。熱光学迷彩を展開して姿を消すにしても、コピー体は完全に隠し切れず身体が透けて見える程度まで。こちらのランダム回避をするまでもなく、攻撃は回避できる状態だ。
「疑問✕弱体✕不可解……」
 その宝石災魔の怪訝を他所にメンカルのコピー体も魔法精度がみるみる内に落ちている。まだ生まれたての宝石災魔にとって戦闘経験というのは圧倒的に足りていない。つまり、メンカルが誑し込んだ毒に全く気付けていない。
 メンカルは『青い首』がコピー体を創造する前から、医療製薬術式「ノーデンス」・浸透破壊術式「ベルゼブブ」・遅れ発連動術式「クロノス」を多重起動していた。こちらを認識すると同時に、術式から生み出した『毒』を感染させる。それはコピーや記憶をしようとすると対象の認識する情報が「全く違うものへと変質する」、術式毒「ヨモツヘグイ」だった。
 『青の首』は戦闘データを蓄積させることで次々とアップデートを繰り返し強化しているつもりが、その実は毒が次々と浸透してコピー体は弱体化していったのだ。
「いい感じに弱ってくれていい感じじゃん。……さて」
 ジェイのコピー体の動きが弱まったことで、近場から引き剥がしその顔から感情が消失する。ジェイの感情演算は停止し、「超重力制御術式『schwarzes_Loch』(シュヴァルツェス・ロッホ)」が起動する。
「複数いるならば集めましょう。もっと、もっと、もっと、もっと」
 その手を『青い首』の近くにかざし、電脳魔術によってつくられたブラックホールが出現する。味方のメンカル以外を吸い込む黒き穴。視界内の個体、攻撃全てを飲み込む虚無。
 宝石災魔はまだ抵抗を続けているが、近場の『青い首』と弱まったコピー体はあっけなくそこに吸い寄せられる。超重力の力場が、吸い寄せた者を轢き潰し、挽き潰していく。
「己と仲間の体重でもがき、苦しみ、潰れなさい」
「危険✕重力✕ブラックホール……」
 そして宝石災魔がそれに対処しようと動く前に、メンカルが動く。高速詠唱で即座に「起動:海神咆吼(ラン・ワンダレイ・ハウリング)」を発動する。
「……主砲、一斉射!」
 ワープゲートから現れた飛空戦艦ワンダレイの主砲が、重力でまとまって動けない『青い首』とコピー体、そして宝石災魔を纏めて吹き飛ばす。そのエネルギーにコピー体は飲み込まれて消滅し、『青い首』も耐えられずに崩壊する。そしてその先の宝石災魔の左腕にも命中し、その玉体に大きなヒビが入る。
「形勢不利✕理解✕即時撤退……」
 身体の損傷を無機質な表情で分析した宝石災魔はワンダレイの主砲から逃れる為に高速で飛翔し、宝物庫の奥へと撤退する。すでに入口はメンカルとジェイが抑えており逃げられないからだ。
「……逃走は、無駄……」
「逃げられないんだよなー、これが」
 ワンダレイを帰還させたメンカルと、感情演算を再開したジェイは宝物庫の奥へと逃げる宝石災魔を目で追いかける。グリモアへと至る力が発現するまであと少し。だが猟兵達の苛烈なる追撃はまだ始まったばかりだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

死之宮・謡
アドリブ歓迎

んー……グリモア直接狙ってくるって殺意高過ぎるのでは?
まぁ効果的ではあるんだろうけど…
段階を踏んで順番に世界を滅ぼしてから来て欲しいよね?
ショートカットは詰まらんぞ?
(この女は何を言っているのだろう)

まぁ良い…不正行為は正さねばな…

・WIZ
多量の「呪詛」を含んだ透明な風刃を大量に空中に設置(属性攻撃・全力魔法)して『緑』を迎撃
【血濡れの宴】で召喚した連中に特攻させて私は後方からクレイアスターで射撃
生け贄魔術と呪術で呼んだ連中が散る度に自己強化
連中が全滅したらストライフを担いで前線に「怪力」で「なぎ払う」ように振るって撃滅戦


火土金水・明
「しかし、往生際の悪い。確実に目の前の存在を倒して勝利を掴みましょう。」
相手の先制攻撃に対しては【見切り】【野生の勘】【第六感】【フェイント】の技能を駆使して回避を試みます。
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【援護射撃】で【高速詠唱】し【破魔】を付けた【全力魔法】の【フレイムランス】を【範囲攻撃】にして『宝石災魔』と『緑の首』達を纏めて巻き込めるようにして【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【武器受け】【勇気】でダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも、ダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。



 猟兵達の初撃を凌ぎ切った宝石災魔。すでに周りを飛び回る『青い首』は回復しきっており、防衛戦力としては問題はない。だがさきほどの攻撃で受けた左腕のヒビは治りきっていない。これがまだ未完成体ということを証明する証であろう。
 だが今現在で完成していないだけで、今も「世界移動能力」を獲得するために完成に向かって能力を自己構築している段階である。
「世界移動能力✕完成✕わたしたちの勝利……」
 別に宝石災魔はこの戦いに勝利する必要はない。一人でも生き残り宝石災魔の「世界移動能力」を獲得し、別世界に飛翔して逃げ込めばいい。そしてグリモアベースを探索し発見すれば、骸の海のオブリビオン達がその後はうまくやってくれる。つまり完成こそ、勝利なのだ。
「んー……グリモア直接狙ってくるって殺意高過ぎるのでは? まぁ効果的ではあるんだろうけど…」
 だがそんなことは許さないと死之宮・謡(狂魔王・f13193)は現れる。あらゆる負が集まりし存在ではあれど、本拠地が攻められて愉しみが奪われるのは我慢ならない。なればこそ、この未完成を完成へと至らせてはいけないと赤い瞳は宝石災魔を捉える。
「段階を踏んで順番に世界を滅ぼしてから来て欲しいよね? ショートカットは詰まらんぞ?」
 過程を愉しむ者として最短を狙う者へ諭すような口調。そんな謡の姿を見て「この女は何を言っているのだろう?」という視線を投げかける火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)。黒のウィザードハットを深く被りため息をつきながらも、銀の剣を抜く。
「……しかし、往生際の悪い。確実に目の前の存在を倒して勝利を掴みましょう」
 臨戦態勢の二人を見て、宝石災魔も自衛行動を取り始める。『緑の首』が蠢き、ゆっくり浮遊しながら彼女達の前に立ち塞がる。
「迎撃✕地獄絵図✕開放……」
 『緑の首』は幾分女性らしい顔つきをしているが、その口から筆を持った腕が生えてくる。そしてその筆が次々と鬼の顔をした小型の『緑の首』を創造していく。その創造スピードはすさまじくあっという間に100では聞かない『緑の鬼首』が布陣する。
「これはすごいわね」
「ええ……想像以上です」
 このペースで創造をされてはあっという間に1000体に達するだろう『緑の鬼首』達。それらが高速飛翔し、謡と明を食い破らんと迫ってくるのだ。緑の悪夢以外何物でもないだろう。そしてそれが明の首元と胴体に食いつく。
「残念、それは残像です」
 そう、すでに魔法で魔力を纏った残像を作り出しており、明は動き出していた。フェイントも駆使し残像を展開しながら動く明に、大軍勢の『緑の鬼首』も簡単に捉えることができない。ならば、と謡の方に殺到するが、彼女は微笑む。
「まぁ良い…不正行為は正さねばな!」
 その瞬間、謡に迫った『緑の鬼首』達が瞬時に斬り刻まれる。両断されたその傷跡はまるで黒く沸騰するうように爛れている。そして地面に到達するまでもなく、消滅を迎える。
 実は謡は何もしていないようで動いていた。明が俊敏に動いた瞬間に、強力な呪詛を含んだ透明な風刃を生み出して空中に固定設置。その刃に気づかずに領域に侵入した『緑の鬼首』は斬り刻まれ、謡特製の呪詛に蝕まれて消えていったというわけだ。
「さぁさぁ、宴の時間だ! 想う存分暴れようじゃないか!」
 自身への明確な悪意と殺意を感じた謡は能力「血濡れの宴(ブラッディ・カーニバル)」を解放する。各々それぞれが好む殺戮武器を持ったシリアルキラー達が出現し、『緑の首』と宝石災魔を目指して命を惜しまず突撃する。
「盛り上がってきたね。愉しく逝こうじゃないか!」
 後方で穢れの大弓「穢煌葎弓クレイアスター」で矢を放ちながら謡は前方を見据える。シリアルキラー達が『緑の鬼首』を刃で斬り刻み、ハンマーが叩き割る。『緑の鬼首』達が逆にシリアルキラー達の首を食い千切り、腸を食い破る。そんな地獄絵図が展開される戦場。
 だがそんな光景を謡は妖艶な笑みで見つめる。クレイアスターの矢の射出速度が上がっていく。シリアルキラー達は攻撃の駒だけではない。大事な大事な、生け贄魔術と呪術で強化する為の駒でもあるのだから。
 殲滅速度は上がったが、まだまだ『緑の首』は『緑の鬼首』を生み出している。このままでは消耗戦で敗北するのは謡である。だがその前に明が動き出す。
「我、炎により敵を焼き尽くす!」
 魔法「フレイムランス」によって生み出された炎の魔法槍は束になり渦巻き、高速に回転する爆炎の車輪と化す。そのまま『緑の鬼首』の軍勢へと投げ放ち、凄まじい勢いで燃やし消し飛ばしていく。回転スピードと炎の魔法槍の串刺し機能がうまくかみ合い、回転を失うことなく『緑の鬼首』達を粉砕し、『緑の首』の頭部へとフレイムランス達が突き刺さる。
「いいねえ!」
 そのタイミングを見計らったように、シリアルキラー達の命で強化された謡が飛ぶ。闇のような大剣「絶滅魔剣ストライフ」を振るい、炎の槍でハリネズミの『緑の首』を破壊し、宝石災魔の身体にその刃を叩き込む。
「身体✕損傷✕危険存在……」
 脅威レベルを上昇させ、魔力放出によって謡を引き剥がした宝石災魔はそのまま飛翔し、その場を高速で離脱する。だがその身体にはストライフで傷つけられたヒビがしっかりと刻まれていた。
「あれはもう長くないわね」
「そうですね。次の方に任せましょう」
 謡はその手ごたえから宝石災魔の終焉を予感し、ストライフを抱えて立ち上がる。明は他の猟兵達の力を信じ、銀の剣を鞘に納めるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘NG
グロNG
WIZ

グリモアベースを直接襲撃?
オブリビオンにとっては希望の芽ね

でも、ごめんなさい。
私の敗北こそ、貴女達の救いの芽の損失なの。
負けてあげられないわ

風の【属性攻撃・全力魔法】で
自分を中心に竜巻を起こし、緑の首を吹き飛ばす。
討ち漏らしが居ても【見切り】から
悲愴の剣の【衝撃波・乱れ撃ち・早業】で一掃

数の暴力は、こうヤるの

守護霊の憑依【ドーピング】で戦闘力を高め
夜魔の翼で【空中戦】
無数の【残像】で包囲し【怪力】で抱きしめ押し倒す

『愛の想起・妖狐桃源郷』で
69体の妖狐忍と共に【誘惑・催眠術】で魅了し
唇、胸、お尻、局部を【慰め・生命力吸収】

私✕オブリビオン✕永遠の楽園。
それが私の存在理由よ



「宝石身体✕欠落✕機能維持確認……」
 猟兵達から飛翔し、無事な場所に降り立った宝石災魔。身体の損傷は決して軽いものではない。だが今は「世界移動能力」を完成させることこそ優先するべき事象。そうやって宝石の身体は光を放つ。
 その力の奔流はまさに大魔王の万能宝石にも似ていた。願いを叶える魔性の光、それこそが災魔を、オブリビオンの未来を照らす光となるのかもしれない。
「グリモアベースを直接襲撃? オブリビオンにとっては希望の芽ね」
 人間を愛することはなく、オブリビオンを愛する異端の猟兵ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)は妖しく微笑む。宝石災魔は敵である猟兵に対して冷淡な視線を投げかけるものの、ドゥルールの熱の籠った表情は変わらない。
「でも、ごめんなさい。私の敗北こそ、貴女達の救いの芽の損失なの。負けてあげられないわ」
 愛するべき対象に対する感情とは裏腹に、その魔力は敵対する者に向けられるもの。矛盾した感情と行動に、宝石災魔は首を少し傾ける。
「理解不能✕殲滅✕鬼首の大群……」
 だが完成を邪魔する者には排除を選択するのが宝石災魔としての機能選択。『緑の首』の口から腕が飛び出し、その手に握られた筆から大量の『緑の鬼首』が生み出されていく。その鬼達はドゥルールを噛み殺さんと迫ってくる。
「熱烈な愛情表現ね。でも……」
 そう言って練り上げた魔力をすべて風に変えて自分を中心に風魔法の暴風雨を巻き起こす。その風に斬り刻まれ、『緑の鬼首』達は消滅していく。筆から無限増殖する『緑の鬼首』を纏う暴風と手に持った悲愴の剣の切り返しで撃ち漏らしも容赦なく消滅させていく。
「数の暴力は、こうヤるの」
 『緑の鬼首』の包囲網が薄れたのを感じ取ったドゥルールは、オブリビオンの守護霊達に憑依させ驚異的なドーピングを施す。夜魔の翼で空中へと飛び、追いすがる『緑の鬼首』を悲愴の剣の振りぬいた衝撃波で吹き飛ばし、『緑の首』の腕を斬り落とす。
 増殖を止めた勢いのまま宝石災魔の腕を掴み、そのまま押し込む。振りほどこうとするが、ドゥルールの方が行動が早い。即座に能力「愛の想起・妖狐桃源郷(リザレクトオブリビオン・エクスタシーヘヴン)」を発動させる。
「花園へ誘う、魅惑の妖狐達よ!」
『我々にお任せを!』
 69名の妖狐忍が呼び出され、一気に宝石災魔の身体にまとわりつく。そこから放たれるは相手を魅了する色気と甘い香り。そしてドゥルールの誘惑であった。

「私✕オブリビオン✕永遠の楽園。それが私の存在理由よ」
 優しく抱擁された肉の楽園。そこからドゥルールは宝石災魔の生命力を吸いつくさんとする。その魂を救済する為に。だが宝石災魔は使命の為、その救済を拒絶する。
「不可解✕生命力過剰投与✕脱出経路……」
 宝石で出来た故に生殖機能ももたない、痛みはおろか快楽すら一切ない、機能のみを追求した生命体。宝石災魔はそれ故に冷静な判断を元に、生命力をあえて爆発的にドゥルール達に送り込む。過剰な生命力はドゥルール達に恐るべき快楽を与え、不覚にも逆に絶頂に達してしまったドゥルールと妖狐達は拘束を解く羽目になった。
 だがその生命力もただではなかった宝石災魔。多少感じる倦怠感を奮い立たせ、快楽に支配されたドゥルールから逃走すべく飛翔する。飛び去る愛するべき相手に、彼女は恍惚の声を上げる。
「……すごい、愛だったわぁ……」
 逃げられはしたが、その愛はしかと受け止めることができた。そのことを身を震わせる快楽で確認したドゥルールは、溢れる生命力を順応させるべく力を抜いて休むことにしたのだった。
 宝石災魔は快楽を得る日は来るのか、それはわからない。だがそれは「世界移動能力」を得た時にわかることだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

別府・トモエ
「すっげえ球数だな!スパルタコーチを思い出す!」

初手は避けまくるしかないな
なあに慣れてるぜ
【視力】で【見切り】ながら
【ダッシュ】で走り回って回避
【ジャンプ】で回避
空中で襲いかかってくるのは身をよじって避ける【空中戦】を魅せたる
どうしてもダメなのは【オーラ防御】で凌いで

「目が慣れてきたら……なんか、お前らテニスボールに似てるな?」

【別府ゾーン】発動
このUCはなんとテニスボールの軌道を操る事が出来るのだ
そう……テニスならね!

「今度は!こっちの番だ!」
打つ!
打つ!
打つ!
【ラケット武器受け】からの【誘導弾ショット】を【カウンター】で敵がKO敗けを認めるまでぶち当てまくってやるぜ!
「これが!テニスだ!」


無累・是空
【WIZ】アドリブ歓迎
あのハンマー娘がなんか言うとったやつが、アレか!
まったくアルダワ地下迷宮っちゅうのはとんだびっくり箱よな
せめてお宝も一緒に眠っててくれりゃあ骨折る甲斐もあるんじゃが!
今度こそ本当にラストバトルと信じるぞ!信じるからの!

初撃は空中浮遊と空中戦でアクロバット飛行回避
オーラ防御と地形の利用も組み合わせてこちらのユーベルコード発動までしのぐ
『虹霓弓』範囲攻撃誘導弾で緑の首を撃ち落とす
正面きっての撃ち合いではおそらく手数で押し負けるので引き付けて少ない弾数で一掃したり、逆に335本のレーザーを収束発射して首と一緒に本体を狙い撃つ
地道に首を減らしながら相手を削っていく消耗戦を覚悟する



 猟兵達との戦いは「世界移動能力」を獲得するために完成へと向かう宝石災魔にとって、完璧な障害となっていた。傷を負わされ、エネルギーを使わされる。それらすべてが自身の完成を阻害するものだった。
 だがだからといって完成を諦めることはない。3つの首達が宝石災魔を守るために浮遊し、猟兵達の立ち向かう姿になる。自身の使命を果たす為に、完成へと至る。宝石災魔にとってそれがすべてであった。
「ほえー、綺麗な身体だなー!」
 そう場違いな声を上げる別府・トモエ(人間のテニスプレイヤー・f16217)。場違いなテニスラケットとジャージを身に纏う彼女こそ、今猟兵達の話題を掻っ攫う大魔王すらもテニスさせる驚異の猟兵である。
「あのハンマー娘がなんか言うとったやつが、アレか! まったくアルダワ地下迷宮っちゅうのはとんだびっくり箱よな」
 感動に打ち震えているトモエを見守るように立っていた無累・是空(アカシャ・f16461)が声を上げる。ここを守っていた戦略級殺人鬼グラン・ギニョールが言っていた存在は気になっていた。だが実際に目の当たりにし、その能力を知ったときはなるほどと是空も納得したものだった。これはあの殺人鬼が守るに値するものだったと。
「せめてお宝も一緒に眠っててくれりゃあ骨折る甲斐もあるんじゃが!」
 だが実際に出てきたのは人類の、いやそれ以上の災厄だ。グリモアベースが滅びればすべての世界のカタストロフの危機。人を見守る神の一柱としては見逃すわけにはいかない。
「猟兵✕邪魔✕悪鬼夜行……」
 そして宝石災魔にとってもトモエと是空の存在は邪魔以外何者でもない。即刻排除すべく『緑の首』が動く。口から出てきた腕が筆を振るい、次々と『鬼の緑首』を生み出していく。宝石災魔の意志をくみ取るように100、200と視界を覆わんばかりの鬼の首達が二人の前に布陣する。
「すっげえ球数だな! スパルタコーチを思い出す!」
「随分と暢気なことをいう女子よな! 来るぞ!」
 二人に猛然と迫る『緑の鬼首』の軍勢。トモエはテニスラケットを構えたまま、『緑の鬼首』の軌道を見据えながら走る。是空は反対に空へと飛翔し、そこで『緑の鬼首』を待ち構える。
 トモエはその超人的な視力で軌道を見切り、その足で走り回って回避を続ける。走ってもダメならジャンプで、ジャンプした先に向かってきたら身をよじって回転させながら避ける。それでもだめならテニスラケットを当てて弾きながら防御をして、機動力を削がれないようにしていく。その光景にコーチとの猛特訓を思い出しながら、『緑の鬼首』の猛襲を防ぐトモエ。
 一方、是空は空を舞いながら得意の空中戦で、『緑の鬼首』達を翻弄していた。捉えられようとしてもアクロバティックな飛行で、単調に突っ込む敵に尻尾を掴ませない。数は確かに多いが、その分行動は短絡的で読みやすい。
「今度こそ本当にラストバトルと信じるぞ! 信じるからの!」
 祈るような気持ちを込めて「虹霓弓(アルカンシェル)」を発動。追いすがる『緑の鬼首』を射抜く七色のレーザー群が放たれる。相手の方が数が多いので効率よく倒す為に、敵を直線に誘い込んで撃ち抜いたり、こちらが軌道を曲げて連続で撃ち抜いたりして空の『緑の鬼首』の数を減らしていく。
 だが『緑の首』はまだ『緑の鬼首』の数を増やしている。だがしかし、回避を続けて防御もして少しボロボロになったテニスウェアを纏ったトモエの様子がおかしい。そして、呟く。
「目が慣れてきたら……なんか、お前らテニスボールに似てるな?」
「……はっ?」
 心配になってトモエを見ていた是空の間の抜けた声が響く。だがトモエのその理不尽な超理論こそ、能力「別府ゾーン」の発動条件だった。この能力こそ、テニスボールの軌道を操る事が出来るのだ。つまり『緑の鬼首』はテニスボールと認識したトモエは、それを撃ち返すことができるようになったのだ。
「そう……テニスならね!」
 謎のカメラ目線で決め顔を決めたトモエ。襲い掛かってくる『緑の鬼首』をテニスラケットではじき返し、テニスボールのように他の『緑の鬼首』に当てる。その二つは相殺するように爆裂し消滅する。
「今度は! こっちの番だ!」
 右から『緑の鬼首』が迫ってきたら打つ! その先の『緑の鬼首』に当てて消滅!
 左から『緑の鬼首』が迫ってきたら打つ! その先の『緑の鬼首』に当てて消滅!
 正面から『緑の鬼首』が迫ってきたら打つ! その先の『緑の鬼首』に当てて消滅!
 『緑の首』が次々と量産しても、それをテニスボールとしてはじき返して相殺させるトモエのテニス。凄まじいラリーの応酬が展開される。まさしくどちらかが音を上げるまでのテニスデスマッチである。
「……最近の人の子はすごいの。じゃがこれはチャンスじゃて!」
 圧巻の次世代テニスを目の当たりにした是空は呆けるものの、すぐに意識を戻す。トモエのおかげで空の『緑の鬼首』の軍勢が薄くなった。それを狙って虹霓弓のレーザーをすべて収束させて敵陣へと放つ。335本からなる空を駆ける虹。『緑の鬼首』の軍勢を貫き、その先の『緑の首』を粉砕して、ついに供給源を断つ。
「今じゃぞ、娘っ子!」
「これが! テニスだ!」
 空中へと飛び、『緑の鬼首』を叩く。それは強烈なスマッシュとなり、宝石災魔の腹部へと突き刺さる。強烈な打撃はその身体を後ろに下がらせ、テニスへの敗北を悟る。
「KO確認✕敗者✕飛翔……」
 腹部の宝石の欠片が地面に落ちたのを機に、宝石災魔が再び空へと高速飛翔し、トモエと是空から飛び去る。出口ではない方向からして、さらに宝物庫の奥へと引いたのだろう。
「よっしゃ! 私の勝ちだあ!」
「……テニスってすごいんじゃの」
 トモエの喜ぶ姿を見て、テニスなるスポーツの認識を改める必要があると、神の一員として思う是空であった。この勝負は、トモエと是空のTKO勝ちで幕を下ろしたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ウィリアム・バークリー
これで今回の戦争は、最早対岸の火事ではなくなりました。ぼくたち猟兵のためにも、宝石災魔はここで討滅します。

『青の首』をけしかけてきましたか。でも肉体を模倣しても、ぼくの場合はあまり意味がないです。
ぼくの力は契約した精霊から借りるもの。同じ肉体になるだけなら、ただ子供の身体になるだけです。
それでも当たると痛いですから、「全力魔法」で「オーラ防御」を展開しましょう。

Active Ice Wall展開。氷晶の煌めきは宝石にも劣らないと自負していますが、さて?
基本は他の皆さんへの攻撃を阻む「盾受け」に用いますが、必要に応じ足場なり投げつけるなりしていただければ。
最後は弾頭として宝石災魔に叩き込みます。


栗花落・澪
★Venti Alaに風魔法の【高速詠唱、属性攻撃】を纏わせ
【オーラ防御】と組み合わせることで自分の周囲に鎌鼬の防壁を発生
翼の【空中戦】で回避行動は取りつつ
近づいて来る敵を風の刃で弾き飛ばし次の手までの時間稼ぎ

少しでも足止めが出来たらその隙に足元に★花園を生成
纏っていた風魔法を【範囲攻撃】に切り替え花弁を舞い上げ
【破魔】を宿した花嵐の刃で一体でも多く首の数減らし
同時に本体も巻き込んでダメージは与えたいね

敵の数が減ったのを見計らい【指定UC】
炎の鳥を消滅させる事なく掠めさせるだけで首を消しされるならそれで
無理なら敵の残数によっては倒し切るのは諦め
残った鳥を合体させて本体へ直接攻撃の【全力魔法】



 宝石災魔は慣れない連戦と激戦に戸惑っていた。生まれ落ちてまだ日が浅い我が身。なれど「世界移動能力」は絶対に完成させなければならないという、強い使命感。
 その成就の為に立ち塞がる猟兵の存在。かの敵は強力であることは今までの戦いが物語っている。見た目では判断できない存在であるとも。
 そして宝石災魔が降り立った地にはすでにルーンソード『スプラッシュ』を抜いたウィリアム・バークリー(“聖願(ホーリーウィッシュ)”/氷の魔法騎士・f01788)と美しき白翼を羽ばたかせる栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が待ち構えていた。
「これで今回の戦争は、最早対岸の火事ではなくなりました。ぼくたち猟兵のためにも、宝石災魔はここで討滅します」
 ウィリアムの言葉に澪も同意とばかりに首を縦に振る。アルダワ世界だけではなく、グリモアベースをも危険が及ぶ宝石災魔の「世界移動能力」。これの完成は猟兵の危機でもある。なんとしても阻止する必要がある。その決意の二人を見た宝石災魔が呟く。
「少年✕少女✕邪魔認識……」
 その言葉に空気が凍りつく。その原因は顔を真っ赤にして激怒する澪にあった。そう彼は――
「宝石災魔ーー! 僕は男だーー!」
「うーん、他人事の気がしないなー」
 可愛らしい少女と表現してもいい愛らしい容貌、女性者の服装、天使のような羽。それが合わさって澪は完全に女に見えるが、澪は少年なのだ。その澪を同じ中性的な外見から女性に間違われやすいウィリアムが親近感を抱く。だがほのぼの空気もここまでだ。
「誤認識✕些細✕排除……」
 そう言って宝石災魔の『青の首』と『緑の首』が動き出す。『青の首』はウィリアムの下半身を創造し、『緑の首』は口から生えた腕が持つ筆から『緑の鬼首』を量産する。だが首なしのウィリアムを見て、ウィリアム自身は微笑む。
「『青の首』……肉体を模倣しても、ぼくの場合はあまり意味がないです」
 ウィリアムの力の源は精霊の力である。契約した精霊こそが重要であり、同じ肉体になるだけなら、ただ子供の身体になるだけなのだ。つまりルーンソードを振る速度も魔法の精度も、今のウィリアムとは比べ物にならない。
「それでも当たると痛いですから、油断はしませんが」

 ウィリアムと首なし死体が対決している頃、澪は襲い掛かる『緑の鬼首』の軍勢の対処に追われていた。自身の靴「Venti Ala」に風魔法を纏わせ足元から鎌鼬の防壁を周囲に発生さえて、自身の翼で飛翔。360度対応の風の結界で初手の攻撃を迎撃し、次の手を伺う。
「とにかく数が多いですね……」
 無限を思わせる数を生み出す『緑の首』に次の一手を打てずにいる澪。だが助け舟は他で戦っているウィリアムから齎される。
「Active Ice Wall!」
 ウィリアムの詠唱と共に、念動力で浮く戦場を埋め尽くす程の氷塊の群が発生する。それを盾にしてウィリアムが首なし死体の意表を突き、心臓を貫く。そして澪を援護するかのように『緑の鬼首』の視界を遮る盾群が形成される。
 これこそ好機と思った澪は、魔力を込めて聖痕をかざす事により、仇なすものを払う花園を生み出す。舞う花弁、それを風魔法に乗せて舞い散らせ、一気に『緑の鬼首』を蹴散らしていく。そしてその花弁の嵐は『緑の首』までに到達し、その腕が傷つけられて『緑の鬼首』の創造の筆が止まる。
「鳥たちよ、どうかあの人を導いてあげて」
 そして発動するは「浄化と祝福(ピュリフィカシオン・エト・ベネディクション)」。澪の周りに降臨するのは、あらゆる種の鳥の姿を模した飛翔する破魔の炎。それらを合体させ『緑の首』へと放つ。圧倒的な浄化の炎は、不浄なる鬼の力を宿す『緑の首』にとっては効果のあるものだった。瞬く間に焼き尽くされ、消え失せていく。
 その破った勢いのまま、炎の鳥は宝石災魔へと迫る。だが宝石災魔も簡単に攻撃を受けるほど愚かではなく、飛翔して避けようとする。だがその上を塞ぐように、ウィリアムの氷塊の群れがブロックのように積み重なって妨害したのだ。そして当の本人は、『青の首』を両断し、氷を集めて鋭い弾頭を形成する。
「炎よ、焼き尽くせ!」
「氷よ、刺し貫け!」
 宝石災魔も上の氷塊を破壊し何とか避けようとしたが、間に合わずに浄化の炎を足に受ける。宝石を溶かす破魔の炎。
 そしてトドメと言わんばかりにウィリアムの氷結弾頭が太腿へと撃ち込まれる。澪の炎で弱っていた足に凍結の魔力が加わり、宝石災魔の左足は脆くも砕け散る。足を砕かれても苦痛に歪むことはなかったが、さすがに猛攻の危険性を感じ取ったようだ。
「氷炎✕危険✕破損確認……撤退✕撤退✕撤退」
 魔力の渦を発生させ、その激流に乗るかのように加速飛翔してウィリアムと澪から逃げる宝石災魔。その手際の良さには感服する他なかった。
「逃げられたけど、見事だったよ澪さん」
「ウィリアム君こそ、助かったよ」
 そう言ってウィリアムと澪は健闘をたたえ合い握手する。逃がしてしまったが、片足を失い、より外へと逃げることは困難となった。さらに宝石災魔を追い詰めることができ、二人は脅威のの能力完成阻止が近づいたことを確信したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

荒谷・つかさ
隠しボスのご登場ね。
……そうね、折角だし。
鍛錬の成果、ここで試させてもらおうかしら。

こいつはユーベルコードを吸収する剣を使ってくる……なら、話は簡単ね。
「ユーベルコードを使わなければいい」
それだけよ。

先制攻撃に対しては大剣を構え、真っ向から迎撃
持ち前の「怪力」で以て当たれば、そうそう遅れは取らない……いいえ、上回れる筈
何といっても私の怪力は、最上級の猟兵がユーベルコードを使ったのと同等クラスのもの
つまり「ユーベルコードを使わず」に「ユーベルコードを使ったのと同等」の戦闘能力を発揮できるので大きなデメリットは無い
一方あちらは殺傷力が増したとはいえ、実質ただの剣
であれば、負ける理由はどこにも無いわ


緋奈森・鈴音
この後ののんびりのためにおねーさんも最後まで頑張ろー!

相手の数が多くて攻撃力も高くても一撃で何とかなるならやりようはあるわー。

一部の狐火で本体を攻撃しつつ大半は自分の防御に回すわ。
そのまま自分を囮にして緑の首が一部に集中して攻撃してくるような状況を作ったら、襲ってくる首の攻撃を見切って、カウンターの要領で狐火を打ち込んでいくわー。
貫通力を上げて複数を一気に攻撃したり、複数集めた狐火を首の集団の中で弾けさせてピンボールみたいに吹き飛ばしたり、一撃でより多くの首を倒して戦力差を埋めていくわねー。
相手がどこまで知能が高いかわからないけどこーいうだまし討ちも有効かなー?
首が減ったら本体へ集中攻撃!



 異形の翼を羽ばたかせ、宝石災魔は片方の足で地上へと降り立つ。すでに失われた足の傷跡を摩る。もはや機能を回復させる余力はない。3つの首を維持し、猟兵と戦わなければならない上に、「世界移動能力」を完成させなければならないからだ。
 だが宝石災魔はそれで構わない。例えすべての四肢を失おうとも、3つの首がすべて滅ぼされても、生き残り完成体になれば、その時点で宝石災魔の使命は成し遂げられる。
「完成✕優先✕負傷放置……」
 そんなことを口にして宝石の身体が光り輝く。能力を完成させるために、全力を尽くそうとする。だがそれを妨害する轟音が響き渡る。
「隠しボスのご登場ね」
 そう言って巨大なる鉄塊剣「零式・改三」を地面に叩きつけた荒谷・つかさ(『風剣』と『炎拳』の羅刹巫女・f02032)。その小柄な身体からは想像できないが、猟兵の中でも屈指の怪力を持つ羅刹少女である。
「この後ののんびりのためにおねーさんも最後まで頑張ろー!」
 つかさの後ろでウォーミングアップするのは緋奈森・鈴音(妖狐の化身忍者・f03767)。悪戯っぽい笑顔を浮かべながら、妖狐忍者は俊敏な動きを見せる。力と技、これをもって宝石災魔を追い詰めようという腹だ。
「邪魔阻止✕百鬼夜行✕蹂躙開始……」
 そして『緑の首』の口から腕が出現し、筆が振るわれて『緑の鬼首』の軍勢が生み出される。そのその顎は凶暴な牙を剥き出しにして、つかさと鈴音を食い破らんと襲い掛かる。
「……そうね、折角だし。鍛錬の成果、ここで試させてもらおうかしら」
 そして振るわれる鉄塊剣の一振り。持てる怪力を駆使して振るわれた一撃は、勢いを削がれることなく、『緑の鬼首』の数体を一気に消し飛ばす。まさしくその力こそ、地獄の鬼の如し。その雄姿を見た鈴音が微笑んで、ウィンクする。
「相手の数が多くて攻撃力も高くても一撃で何とかなるならやりようはあるわー。任せてー」
 こちらは任せてと言わんばかりに疾駆しだした鈴音は「フォックスファイア」の狐火を自分の周りに展開させる。だが数からすれば、『緑の鬼首』の方が圧倒的な数を誇る。攻撃・牽制で放たれた狐火は宝石災魔はおろか、『緑の首』にも届くことなく『緑の鬼首』と相殺されていく。
 そして本体狙いの鈴音に狙いを定めた『緑の首』は大軍勢を襲わせようと向かわせる。包囲するように迫り来る『緑の鬼首』達。絶体絶命の中でも鈴音は悪戯っぽい笑顔を崩さない。
「ふふっ、囮になった甲斐があったわー!」
 忍者としての機敏な動きをもって、大きくかみ砕こうとしてくる『緑の鬼首』の攻撃を寸前で躱し、そのすれ違い様に防御に回しておいた狐火をぶつけて消滅させる。そうして『緑の鬼首』が集団で固まっている中に入り込む。
「ほらほらー、行くわよー!」
 まるで炎の花火を炸裂させたと言わんばかりに、敵集団の中心地で狐火を回転させるように拡散させ、一気に敵戦力を削り取っていく。そのスピードは常人のそれではなく、まさに狐に化かされているような感覚に陥るほどだった。
 それでも『緑の鬼首』の生産スピードは負けないと言わんばかりに腕を振るって筆を走らせる『緑の首』。だがその腕に巨大なる鉄の刃が突き刺さる。
「私を忘れて貰っては困るわね」
「いい援護よー」
 鈴音が囮になっている間に『緑の首』の至近距離まで詰めたつかさは、巨大なる剣の一振りで腕を砕き、その先にいる宝石災魔に向かう。それを阻止しようとする『緑の首』は鈴音が狐火を槍状に構成し螺旋回転を加えた投擲が襲い掛かる。回転する炎の槍は邪魔する『緑の鬼首』を蹴散らし、『緑の首』の額を貫通して打ち砕く。
「知能がやっぱり高くないわね。こーいうだまし討ちも有効だったし」
 そう言って鈴音が『緑の首』を粉砕すると同時に、つかさの渾身の一撃が宝石災魔へと迫る。その手には『赤の首』から変じたユーベルコードを吸収する断龍剣「ガイオウガ」が握られている。
「ユーベルコード✕吸収✕剣戟有利……」
 そしてそのまま撃ち合う二人。宝石災魔の内包する魔力を力に変え、さらに断龍剣「ガイオウガ」の能力。並大抵の打ち合いでは勝負にはならない。
「ユーベルコードを吸収する剣を使ってくる……なら、話は簡単ね」
 だがつかさが取った方法はごく単純であった。自身が持つ怪力を最大限に発揮して、断龍剣「ガイオウガ」を押し切るつかさ。そう、つかさは「ユーベルコードを使っていない」のだ。
「不可解✕災魔✕押し負ける……」
「残念だけど、私の怪力はもはや、最上級の猟兵がユーベルコードを使ったのと同等クラスのものよ」
 事実、力だけ言うならば彼女に比肩する猟兵はそういないであろう。「ユーベルコードを使わず」に「ユーベルコードを使ったのと同等」の戦闘能力を発揮できる、その力押しが今回は有利に働いた。
 力自慢であるならばともかく、宝石災魔の力はそこまで強い方ではない。断龍剣「ガイオウガ」の能力による後押しがなければ、わずかではあるがつかさの怪力が上回る。
「うおおおおりやあああああああ!」
 気合の籠った掛け声で断龍剣「ガイオウガ」を弾き飛ばすつかさ。その力の全力をもって切り返しを叩き込む。その一撃は宝石災魔の右肩を粉砕し、宝石の破片が宙に舞う。だが生存本能では宝石災魔も負けてはいない。
「宝石✕爆裂✕目くらまし……」
 その瞬間、身体の破片が眩い光を放ち、つかさの視界を遮る。強力なフラッシュグレネードのようなものだったが、あまりの光に宝石災魔を見失うつかさ。思いっきり大剣を振るうものの手ごたえはない。鈴音も散弾のように強烈な光の中に狐火を叩き込むものの、手ごたえがない。どうやらうまく逃げられてしまったようだ。
「逃がしちゃったわねー」
「ええ、でも手ごたえはあった」
 つかさは大剣を握りしめ、肩を粉砕した感覚を思い出す。あれではもはや腕を動かすことも困難であろう。また一歩、宝石災魔を追い詰める結果を得たことに二人は満足するのであった。
 力と技の連携、それが大軍と巨大な力を砕けることを証明した一戦となったのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ソラスティベル・グラスラン
ナイくん(f05727)と

世界を飛び越えてしまう力…!?
そんな、他の世界に向かわせてはいけません!
ここで逃がしては追いつけない、何としても仕留なければ!

とても軽い相棒くんを背負いつつ、二人分の先制に備えます
それではナイくん、しっかり掴まっててくださいねっ
ふふ、一番これがナイくんを守りやすいですから!

竜の翼で空中戦
オーラ防御・盾受けで守りを固め
敵の攻撃を見切り、空中で受け流す
或いは気合と、持ち前の純粋な怪力の大斧で切り結ぶ!

二人息を合わせ、ここぞで思い切り敵の剣を弾き
ナイくんの補助を受けダッシュ、一気に懐へ!
大魔王を下した今、恐れなど皆無です!
今こそ大斧を叩き込み、勇気ある決着を!


ナイ・デス
ソラ(f05892)と

世界を、これからも守り続ける為に
一つも見逃さず、破壊しなければ、ですね
がんばりましょう、ソラ

……ところで
本当に、これで戦う、です?

ソラに背負われ、私はサポート
私は軽く、ソラは怪力で問題ない、ですが……ふーむ。いつか私、大きくなったら、逆にソラ、背負います、ね?

覚悟決め、怪力でぎゅっとしがみついて
もし攻撃受けても激痛耐性。決して離れずサポート
聖なる光(武装扱いの方)でソラを包み癒し、継戦能力与え
念動力噴いて吹き飛ばしソラの背を押し、空中戦ダッシュ補助
ソラが断ち割ったら

万能宝石。欠片も、残しません
加減、しない。本気、だします
生命力吸収、喰らい尽くす光の一撃放ち、飲み込みます!



 破壊された右肩に力が入らず、腕を動かすことができずにそれを見つめる宝石災魔。さらに相次ぐ『緑の首』の破壊は、ついに機能停止を及ぼす結果となった。これではもう『緑の鬼首』を呼び出すことはできないだろう。鬼の力を感じることができないだから。
 だがまだ宝石災魔には『青の首』もいる。そして『赤の首』を犠牲にして発現させることのできる、大いなる灼熱の獣王を宿し断龍剣「ガイオウガ」。これこそが宝石災魔の切り札でもあった。
 大いなる炎獣の力の胎動を感じさせる剣を振るい、追撃してくる猟兵に視線を向ける宝石災魔。もはや戦いは避けれないのであれば、時間を稼ぐために戦う他ない。
「世界移動能力✕完成✕絶対成就……」
 自身が生まれた目的を果たすため、たった一つの使命を果たすために、猟兵へと立ち向かう宝石災魔。だが世界を守るために戦う、ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)とナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)のコンビも譲れない思いを持っている。
「世界を飛び越えてしまう力…! そんな、他の世界に向かわせてはいけません! ここで逃がしては追いつけない、何としても仕留なければ!」
「世界を、これからも守り続ける為に、一つも見逃さず、破壊しなければ、ですね。がんばりましょう、ソラ」
 大魔王を倒し、憧れる勇者へと大きく近づいたソラスティベルは、新たなる脅威を前に正義感を燃え上がらせる。そしてその勇者の傍にあり、それを支えようとする聖者であろうと思うナイは、それを支えるべく行動を共にする。
「……ところで、本当に、これで戦う、です?」
「ええ、ナイくん! これぞ完璧な陣形です!」
 首を傾げるナイにソラスティベルは胸を張るように自慢気な顔をする。その疑問も当然といえば当然であるといえよう。何せソラスティベルが小柄なナイを背負って竜の翼で飛んでいるのだから。男女からすれば逆なパターンな気がするナイにとっては少し不満気である。
「それではナイくん、しっかり掴まっててくださいねっ。ふふ、一番これがナイくんを守りやすいですから!」
「……ふーむ。いつか私、大きくなったら、逆にソラ、背負います、ね?」
 ナイは軽く、ソラスティベルは怪力で問題ない。だがいつかはというナイの思い。そんな微笑ましい二人の光景も、宝石災魔が持つ断龍剣「ガイオウガ」の刀身から炎が出てから緊張感に包まれる。かの剣の能力はユーベルコード吸収能力だけではない。火山すら力にする火炎獣の王者の炎を操ることで、敵を焼き尽くすこともできるのだ。
「獄炎✕滅却✕塵と化す……」
 その炎が龍のようにソラスティベルとナイに襲い掛かってくる。ナイも覚悟決め、怪力でぎゅっとソラスティベルの身体にしがみつき、ソラスティベルも蒸気盾と竜のオーラを身に纏って空中を疾駆する。
「そんなもので怯むと思うのですか!」
 勇気だけは誰にも負けないと言わんばかりに獄炎に対しても果敢に挑むソラスティベル。盾で巧みに受け流したり、空中機動でうまく炎龍を掻い潜る。空気を焼くほどの高温な地獄の炎はソラスティベルの肌を焼いていくが、それをナイの聖なる光が優しく包み癒していく。決して離れずサポートするという強い意志が、ソラスティベルに捕まるナイの腕から感じられる。そんな相棒の頼もしさに応えるべく、さらに前へと進む。
「勇気✕無謀✕不可解……」
 断龍剣「ガイオウガ」の炎に対してどうしてあそこまで挑めるのか、不思議でたまらない宝石災魔。その不可解をかき消すように、ソラスティベル達が大きく動く。炎龍を掻い潜るべく、ソラスティベルの竜の翼が羽ばたく。ひたすら前に、前へ。それを後押しするのはナイの念動力。ジェットエンジンのように噴きソラスティベルの背を大きく押し出す。超加速を得たソラスティベルの飛翔は炎龍の隙間を突き抜け、一気に宝石災魔へと迫る。
「大魔王を下した今、恐れなど皆無です!」
 恐れを知らないソラスティベルの蒼空色の巨大斧「サンダラー」と宝石災魔の断龍剣「ガイオウガ」との撃ち合い。ソラスティベルのその一撃は、純粋な自分の力と気合による一撃。ナイのサポートも受けた加速によって、宝石災魔の力を上回りその腕を弾き飛ばす。
 断龍剣「ガイオウガ」を構えられていない今こそ、渾身の一撃「我が名は神鳴るが如く(サンダラー)」を叩き込む時。
「これぞ我が勇気の証明、至る戦火の最前線!」
 蒼雷を纏った大斧の一撃が宝石災魔を両断するかに思えた。だが主を守らんとした『青の首』がその前に立ち塞がる。不死の王の力を最大限に生かし、闇と雷は激突し、『青の首』は木っ端微塵に砕け散る。
「万能宝石。欠片も、残しません。加減、しない。本気、だします」
 だがソラスティベルが逃しても、その背のナイは逃さない。「だいぶ加減してナイくん(クラウモノ)」を発動して、生命力を喰らい尽くす光がその手から放たれる。世界を骸の海に沈められる危険な力の片鱗が込められた力。災魔にとって最も危険な光が宝石災魔を包む。
 圧倒的な生命力を蹂躙し喰らう光は動かなくなった右腕、そして右翼と右足を我が物としていく。このままいけば行けると思ったナイだが、最後の最後で断龍剣「ガイオウガ」の左手がその光を両断する。その能力はユーベルコードを吸収する力。
 そしてその剣身が危険な光を輝き放った瞬間、ソラスティベルは全力でその場を離れるべく飛翔する。あのまま生命力を喰らわれればこちらの身が危険と察知したからだ。
「隙発見✕好機✕離脱……」
 宝石災魔にとっては九死に一生を得るチャンスだった。その生命力を喰らう光を『青い首』の残骸に放ち、ある程度力を回復した後に急速離脱を敢行する。その先はこの宝物庫の最奥だ。

「……あと一歩、でした」
「ええ、でも追い詰めましたよ。ナイくん」
 敵を逃がしてしまったナイは少しだけ落ち込んでいるようだったが、ソラスティベルは笑顔で答える。
 逃したとはいえ、ソラスティベルの渾身の一撃とナイが喰らった身体の被害は尋常ではない。その翼は破損し、四肢も断龍剣「ガイオウガ」を握る腕以外は喪失している。『青い首』も完璧に破壊しもはや戦力は限定されている。
 アルダワ魔王戦争の最終戦となる宝石災魔を砕く戦い。その終末が今、近づこうとしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

才堂・紅葉
「良い根性ね。嫌いじゃないわ、あんた達」
だが、それはそれこれはこれだ
戦勝にケチをつけるなら受けて立つ
「コード・ハイペリア」
真の姿の【封印を解き】焔の如き髪を揺らす

方針は「六尺棒」を主体に奴の剣撃を【野生の勘】で【見切り、怪力】で受け流し、余波は【オーラ防御】で凌ぎつつ【情報収集】
問題は奴のUCを喰らう剣だが策はある

大技で火の鳥を召喚し、鷹匠のようにけしかける
無策ではない。火の鳥の突進に乗って自身を飛ばし、更に棒を三節に伸ばした重力【属性攻撃】の突きで奴の剣の【吹き飛ばし】を狙う
剣を手放さなくてもガードを弾けば十二分

「舞いなさい、迦楼羅王!!」
紋章を輝かせ、【気合】で火の鳥で押し込みたい


シーザー・ゴールドマン
【POW】
敵の本拠地を狙うというのは基本的な考えだ。
これからも、類似的な存在は出現するだろう。
とは言え、宝石災魔だったね。
私達に存在を知られた以上、君達がその使命を果たす事はない。

▼先制対策
分身(存在感×残像)による惑わし、戦闘経験(戦闘知識)、直感(第六感×見切り)を駆使して回避。

危険な剣だが……惜しむらくは振るう者の技量が追い付いてない。

『ウルクの黎明』を発動。超音速戦闘による剣戟。(空中戦)
断龍剣と剣を交えることなく、斬り裂きます。
(先制攻撃×怪力×鎧砕き)(フェイント×2回攻撃×鎧無視攻撃)
(横薙ぎ×衝撃波)等


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

そりゃ相手だってやられっぱなしのバカじゃないし。できるんならそのくらいはやってくるわよねぇ。
…させてやる義理なんてありゃしないけど。
きっちり全部叩き壊してやりましょ。

…これが一番勝率高いかしらねぇ。だいぶ博打になるけど。
〇目潰し・足止め・フェイントに残像、手札ひっくり返して撹乱しつつ〇ダッシュで接近。剣の間合いの内側から〇零距離射撃で●滅殺を叩き込むわぁ。
UCを吸収するのはあくまでも「剣」だもの。そこに当てなきゃいいんでしょ?
…いっそ串刺しにでもしてくれたほうが手間省けるかしらねぇ?

悪いわね、あんたにはぜーんぜん関係ないことなんだけど。
――アタシ、赤って嫌いなの。



 四肢を失おうとも、生命を絞り取られようとも諦めない。使命を果たすまで、自分の運命の意味を得るために、足掻く。
 そう言った意味で宝石災魔はとても人間らしいといえるのかもしれない。機械であれば、ここまで粘ることはない。淡泊に自分の終わりを迎えるだけである。だが宝石災魔の行動には生命の煌めきすら感じさせる。
 それは創り出した大魔王、守りぬこうとしたグラン・ギニョールへの想いもあったのか。それはもうわからない。だが左腕だけになった四肢は、『赤の首』のすべてを注ぎ込んだ断龍剣「ガイオウガ」を握りしめ、翼を飛翔させている。
 この場所こそ、グラン・ギニョールの宝物庫の最奥。宝石災魔が起動した、創り出された場所。世界移動能力を完成させ、雄飛すると定められた場所。そこで能力の完成を叶えんとする宝石災魔。
「良い根性ね。嫌いじゃないわ、あんた達」
 だが無常にも宝石災魔の悲願を達成をならせないという意志がその前にそびえ立つ。賛辞を送りつつも、その願望を破壊するべく拳を鳴らす才堂・紅葉(お嬢・f08859)。アルダワ魔法学園所属工作員として、大魔王との戦いの最後の決着をつけるべく、戦場へと立つ。
「敵の本拠地を狙うというのは基本的な考えだ。これからも、類似的な存在は出現するだろう。とは言え、宝石災魔だったね。私達に存在を知られた以上、君達がその使命を果たす事はない」
 敵の狙いは見事なれども、それが見つかれば狩るのが猟兵。真紅の公爵シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は優雅に振る舞いつつも、目の前の宝石災魔を完全に滅却するつもりで逃がす気は毛頭ない。そのオドに魔力が迸る。
「そりゃ相手だってやられっぱなしのバカじゃないし。できるんならそのくらいはやってくるわよねぇ」
 ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は笑顔で甘いロリ声を零しながらも、その明瞭な頭脳はいかに逃さず宝石災魔を仕留められるかに集中している。糸目になって見えにくい瞳はしっかりと鋭く獲物を捕らえている。
 手負いの獣であるからこそ、全力を持って狩り殺す。その意志を乗せた三人の猟兵達を前に、宝石災魔は命の限りの抵抗を決意する。
「消滅✕抵抗✕断龍剣……」
 そして振り下ろされる断龍剣「ガイオウガ」。生まれ出づるは、すべてを焼き尽くす炎獣の王の獄炎を纏いし龍。それらが迫る中でもティオレンシアは微笑み、シーザーはオーラブレードを顕現させる。
「……完成させてやる義理なんてありゃしないけど。きっちり全部叩き壊してやりましょ」
「私も同感だ。完膚なきまでに叩き潰してあげよう」

「コード・ハイペリア」
 そして紅葉も背中と拳のハイペリアの紋章が光を放ち、赤い髪を纏った真の姿が解放される。挑むは、アルダワに仇なす大魔王、その最後の敵。
「だが、それはそれこれはこれだ。戦勝にケチをつけるなら受けて立つ!」
 そして炎龍の攻撃を紅葉は六尺棒を構えながら、柔術の動きで紙一重で回避を続ける。ティオレンシアも同様にフェイントを織り交ぜて、直撃を喰らうことはない。獄炎が空気を焼き、焦げ付く空気が肌や肺を焼く感覚に陥る。だがそれでも避け続けている紅葉とティオレンシア。
 だがシーザーだけが棒立ちになっており、それを感知した炎龍もその方向へと向かう。そのまま獄炎がその身を包み、骨まで溶かす熱量がシーザーを襲うはずであった。だがそれはオドの魔力で作り上げたシーザーの分身であった。魔力が燃やされその分身が消滅した時には、シーザーはすでに宝石災魔へと迫っていた。それを見てティオレンシアも愛用のシングルアクション式6連装リボルバー「オブシディアン」の撃鉄を上げる。
「楽しませて貰おうか」
 そう言って真紅のオーラが身を包み、膨大な魔力が光となって輝き始める。シーザーの「ウルクの黎明(デウス・ポテスタース)」発動が、超音速戦闘による剣戟の始まりであった。シーザーの真紅のオーラを切り裂き、それを吸収しようと剣を振るう宝石災魔。
「危険な剣だが……惜しむらくは振るう者の技量が追い付いてない」
 断龍剣の軌道を的確に読み切り、オーラが当たるギリギリのところで回避してオーラセイバーを叩き込むシーザー。断龍剣「ガイオウガ」とは決して剣を交えることなく、その宝石の身体を斬り裂き続ける。
「剣戟✕形勢不利✕炎龍招来……」
 剣戟の不利を悟り、紅葉を襲っている炎龍を呼び寄せようとする宝石災魔。だがその距離を取った一瞬の隙を狙って、ティオレンシアが懐に入り込んでくる。
「…これが一番勝率高いかしらねぇ。だいぶ博打になるけど」
 すかさず断龍剣を振るって排除しようとするが、さらにその剣の内の間合いまで飛び込むティオレンシア。その狙いは零距離射撃で「滅殺(ブラスト)」を叩き込むことだった。
「…いっそ串刺しにでもしてくれたほうが手間省けるかしらねぇ?」
 そんなジョークを口にしつつ弾倉内の弾の雷管を直接叩いて撃ち込み、リボルバー6発の大爆裂射撃が宝石災魔の胸に突き刺さる。心臓部に撃ち込まれた銃弾から亀裂が広がる。
「悪いわね、あんたにはぜーんぜん関係ないことなんだけど――アタシ、赤って嫌いなの」
「それは私のこともかね、レディ?」
 ティオレンシアの銃撃で吹き飛んだ宝石災魔を追撃したシーザーの高速斬撃が放り出された身体に炸裂する。傷を丁寧に抉る斬撃は亀裂をさらに広げ、崩壊まであと少しといった状態だ。だが力の限り断龍剣「ガイオウガ」を振るい、シーザーのオーラを吸収することで生き永らえる宝石災魔。
「生存✕使命成就✕能力完成……滅び✕拒否✕拒絶!」
 異形の翼を飛翔させ、宝物庫を脱出しようとする宝石災魔。だがそれを阻む、火の鳥が舞う。紅葉のリボンが変じて迦楼羅焔を纏った神鳥「迦楼羅王(ガルトマーン)」を紅葉が鷹匠のようにけしかけたのだ。しかし、これもまた断龍剣「ガイオウガ」の餌食となる養分と言わんばかりに刀身で切り裂こうとする。
 紅葉はそれをさせないために、火の鳥の先に飛び、その激突を持って自身を先に宝石災魔の元へ飛ばす。そして手に持った六尺棒を三節に伸ばし魔力による重力を纏わせた強力な突きを断龍剣「ガイオウガ」に炸裂させる。自身の力と体重・飛翔の勢い・重力のすべてを乗せた刺突は、断龍剣「ガイオウガ」を弾き飛ばし、宝石災魔の腕から離れる。そしてその後に飛来するは、魔を祓う焔を纏いし神の鳥。
「舞いなさい、迦楼羅王!」
 拳のハイペリアの紋章が輝き、その焔がさらに燃え盛り宝石災魔の身体を包み込む。ティオレンシアが穿ち、シーザーが広げた亀裂にその炎が入り込んで、その内部に宿る生命力を燃やし尽くす。猛烈に燃え盛る宝石災魔。そして最後に訪れたのは、全身に亀裂が入ることによる崩壊だった。
「滅び……完成……到らず……」
 最後まで表情は変わらなかったが、宝石災魔の瞳は虚空を見つめ、そして消えていった。世界移動能力を得ることなく、その生命を終えた未完成生命体。その想いは幾何であっただろう。
「でもこれで、完全勝利よ」
 紅葉はそれでも前を見る。敗者を踏みにじっても守りたいものがあるから。そんな強く前を見る紅葉を、大人であるシーザーとティオレンシアは頼もしく見守っているのだった。

 こうして世界飛翔能力をもってグリモアに迫ろうとしていたグラン・ギニョールの遺物・宝石災魔は、完成に到る前に滅びを迎えた。残る宝石災魔達が掃討されるのもそう遠くはない。
 つまりそれはアルダワ世界で巻き起こった、大魔王との戦争の完全勝利を証明するものになった。猟兵達の底力を見せつけた一戦は、オブリビオン達にとっては脅威と映るだろう。
 そしてアルダワに平和を齎した猟兵達の活躍は語り継がれることだろう。ここに新たなる英雄譚が生まれた瞬間でもあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年02月24日


挿絵イラスト