3
防塞の峡

#アックス&ウィザーズ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ


0




●予知
「――腕に覚えのある者が居たら名乗り出てくれ」
 猟兵行き交うグリモアベースに、齢20程の男が1人、声を張った。
 男は、名をアルノルト・クラヴリー(華烈・f12400)。その手にグリモアを持つことから、グリモア猟兵なのだと知れた。
 つまり、その呼び掛けは何らかの予知である。

「コードネームはアックス&ウィザーズ。俺が予知したのは、街道沿いのダタスという町に迫るゴブリンの群れだ。知能は低い筈だが、そこそこ統率が取れているようだった。恐らくは何らかの強い個体が率いている」

 ゴブリン。緑の肌を持つ、亜人型の脅威。
 繁殖力が高く、あっという間に増えることから見付けたら早々に討伐すべきモンスターの一つだ。それが群れを成して襲って来るなど――一般の町人で歯が立つ筈もない。
 これを統率する何かがいるというのなら尚更だ。
「ここで1つ朗報がある。ダタスは峡谷にある町だ。加えて、町の2つの入口にそれぞれ老朽化した砦を備えている。この片方、攻め入られる西側の砦を強化して町の守りを固め、お前達は砦の外で敵を迎撃する。冒険者だと名乗れば、砦の強化に異論する町人もいないだろう。町を守り戦うには、恐らくこれが1番都合が良い」
 アルノルトの提案は理に適っていた。確かに、町人や町そのものを背に気にして戦うよりも、既に砦があるのならばそれを強化し敵を町へ至らせぬ様にしてから戦う方が、戦闘時の猟兵達の心理的負担は大きく減ることだろう。
 何より――万一猟兵達が敗北しても、砦が落ちる瞬間まで、町人や町の施設へ戦火が及ぶことを防げる。
「予知した俺が戦闘に参加出来ないのは歯痒いが、……転移の維持には集中力が必要なんだ。くれぐれも宜しく頼む」
 苦笑したのち、アルノルトは目を伏せ手に持つグリモアへと力を注ぐ。
 生じた蒼い光の中、戦地へ赴く猟兵を鼓舞する男の声が響いた。

「――さて、それでは行こう。お前達の活躍に期待している」



 蔦(つた)がお送りします。
 宜しくお願い致します。

 さて、今回のミッションはアックス&ウィザーズ世界、ダタスの町防衛戦です。
 以下の構成でお送りします。

 第1章:『砦の建設』
 第2章:『ゴブリンの群れ討伐戦』
 第3章: ?????

 ダタスは南北を峡谷に挟まれた街道添いの町。西側と東側の入り口に、峡谷から削り出した岩石でつくられた砦が存在します。
 今回修繕していただくのは、西側の砦のみ。
 やや古く、風化してひび割れたり欠落している場所があり、これらは敵が乗り越えようとよじ登る際の足場になってしまいそうです。また、扉は木製ですが、これもだいぶ風化が進んでいるようです。
 この他どの様な傷みが考えられるか、どの様に修繕・強化するか、など、プレイングにてご指定ください。
 砦強化のパートは戦闘こそありませんが、このミッションの成否に関わる重要なポイントとなります。先の戦闘を見据えたプレイングに期待しております!
 勿論、戦闘もどうぞ油断なく。

●ご注意ください
 毎週木・金曜日は、平日祭日を問わずマスター業務をお休みさせていただきます。
 プレイングの失効日にご注意ください。また、再挑戦は何度でも歓迎致します。

 それでは。猟兵達の活躍を、アルノルトと共に見守っております!
144




第1章 冒険 『砦の建設』

POW   :    砦の建設に必要な力仕事を行う

SPD   :    周辺の探索を行う、仕掛け罠を用意する

WIZ   :    砦を利用した戦い方を提案する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●白壁の町
 ダタスの町――峡谷の崖に南北を挟まれ存在するその町は、幸いにも東西に開放されているためか日当たりには不便無い様だった。
 そして今その日差しを真っ直ぐに浴びる砦は、風化の傷みこそあっても美しい白壁が光を反射し眩いばかり。この白さは石灰岩だ。海が近いのかと町人に問えば、町を東に抜け暫く行くと海があるとの答えが返った。
 古くは関所の役割でも果たしていたのだろうか、砦には馬車が擦れ違える程の大きな木製の扉と、高所にはやはり木製の見晴台も備わっていた。
 街道添いという立地からも、ダタスは恐らく人々の営みの中重要な役割を果たす要所であったのだろう――ただし今そこに在る砦は、扉は朽ちて動かず常に開け放たれたまま、白壁には風化による欠損やひび割れが目立ち、とても外敵から町を守るような体裁を成してはいなかったが。
 いずれ、此処にはこれからゴブリンが群れを成して攻めてくるのだ。到着時から感じるこの肌がひりつくような感覚は、いずれ此処が戦場となる予感から来るものだろう。
 修繕は骨が折れる作業かもしれないが、そうゆっくりもしていられない。
 町人から修繕の許可を取ると、猟兵達は早速作業に取り掛かる。
コモフォ・グリード
【コモフォ】
砦という物は堅牢さこそが売りだ。
万全の準備を成すのが当然ではあるが…最悪の想定はして然るべきだ。
爆薬の類はあるか?あればあるだけ用意して砦に敷き詰めて置いてくれ
いざという時はこの砦自体を巨大な仕掛け罠として機能させる。
突破された際の狼煙代わりにもなるだろうさ。
突破されない様ならそのまま大砲の類に流用してくれ。
適切に再配置出来るようにな?
【グリード】
コモフォは攻勢派だからねぇ~わしは守勢の細工を施して置こうねぇ。
わしは『欲喰らいの行群』を予め砦に偽装侵食させておくよぉ。
扉を開けても廊下を歩いても足場に踏み入れても
わしのスライムが立ち所に踏み入れた者を喰らっちゃうという寸法なんだねぇ。



「爆薬の類はあるか? あるだけ用意して砦に敷き詰めて置いてくれ」

 集まった有志の町人達を、コモフォ・グリード(欲望喰らい・f05224)はその一言でぎょっとさせた。修理するのに、――爆薬?
「砦という物は堅牢さこそが売りだ。万全の準備を成すのが当然ではあるが……最悪の想定はして然るべきだ。いざという時はこの砦自体を巨大な仕掛け罠として機能させる」
 続いた言葉に、町人達はそれが『有時のための備えの装備』と理解した様だ。しかし、頷いて駆けていく背中を見送ったコモフォの口からは、まるで別人の様な言葉が躍り出た。

「コモフォは攻勢派だからねぇ~わしは守勢の細工を施して置こうねぇ」

 幼女の様な舌足らずな口調――別人の様、では無く別人であった。コモフォの中の別人格・グリードは先と打って変わった何処か緩い様子で両手を掲げ、足元に魔力を集中させる。
「扉を開けても廊下を歩いても、わしのスライムが立ち所に踏み入った者を喰らっちゃうという寸法なんだねぇ」
 生み出したのは、分身であり眷属たるスライム――ユーベルコード『欲喰らいの行群(グリードスライムシンショクケイタイ)』。
 砦内部をスライムに這わせれば、スッと馴染む様に侵食していく。戦いの前に一度魔力は解けてしまうだろうが、戦闘時の動作確認としては上々だ。
 この後の戦いに向けて――コモフォとグリードとを行き来しながら、1人の2人は、着実に準備を進めていく。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

清水寺・大牙
「切り伏せるだけが戦いではない…か」

戦闘に有利な戦況を作り上げるのもまた戦いだな

砦も大分劣化はしている様だが有ると無いでは大違いだ
応急的だが崩れそうな所を重点的に補強しよう
数が多いとは言えゴブリンだ、壊せるほどの破壊力は無いと踏めば隙間を塞いで数の有利さを減らしたい

その後は街道側に丸太を数本組み合わせた障害物を並べたい
これも敵の進行を阻害して、進行方向を狭め誘導するものだ



「切り伏せるだけが戦いではない……か」

 呟いて、清水寺・大牙(人食い虎・f06778)は白壁を見上げる。
 これから行うこの壁の修繕は、万全で戦闘を迎えるための下準備。戦闘に有利な戦況を作り上げるのもまた戦いと、そう思い至って大牙が取り組むのは、散見する崩れかけた部位の補修だ。
(「大分劣化はしている様だが砦が有ると無いでは大違いだ。……応急的だが、崩れそうな所を重点的に補強しよう」)
 これから至る敵は、数が多いとはいえゴブリンだ。油断するではないが、砦を完全に破壊しうるだけの破壊力は無いであろう――大牙はそう読み、それでも恐らく攻撃に耐えられないであろう弱った箇所や、砦を乗り越える足掛かりになりそうな隙間を重点的に塞いでいく。
 応急的、と思いながらも丁寧な大牙の作業は、修繕材料を提供する町人達の助けもあって順調に進んでいった。
(「時間に余裕があれば、……街道側に丸太を数本組み合わせた障害物でも並べておこうか」)
 作業の傍らに頭の中に浮かべるのは、砦の前に設置する装置。簡易だが、敵の進行を阻害し、進行方向を狭め誘導する障害物は、この作業の速さならばきっと設置も叶うだろう。
 考えがまとまれば、こののちの戦いに万全を期すべく――大牙の作業は更に加速していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ンァルマ・カーンジャール
ダタスで暮らす住民の皆さんを必ずお守りします!

状況開始です!
身分を明かし現地で協力出来る皆さんに協力を要請します!

土の精霊魔法で付近の土からセメントを生成し破損部を皆で補強します
余裕があれば砦外壁全体を塗って補強したい位です
土の精霊さんも可能なら力を貸してくださいっ!

合わせてアロースリットなど迎撃用の準備もしますよ
ついでに弓兵の皆様に横3列に並びローテーションで矢を射る準備も

上層部には魔法使いの方用の露台を設置します

砦前方には直線で攻め込まれないようにする為、
棘付き石垣を土魔法で生成し敵軍がS字に動く様に段取りです
バリスタやトレビュシェットの準備もですね

これである程度は数を減らせるハズです!



「ダタスで暮らす住民の皆さんを必ずお守りします!」
 町の中、声を張って砦補修の協力者を募るのは、ンァルマ・カーンジャール(大地と共に・f07553)だ。砦補修の必要性と併せての彼女からの説得には、町の男達数人が応じて集まってくれていた。
 そしてンァルマが町人達と最初に取り掛かったのは、砦壁の破損部の補強だ。余裕があれば砦外壁全体を塗って補強したい所だったが、時間もそう無い状況を考慮し、穴を塞ぐ作業に留める。
そこで活躍したのが――。

「土の精霊さんも、可能なら力を貸してくださいっ!」

 彼女が懇意にする大地の精霊の力だ。ンァルマの注ぐ魔力を受け取り、精霊は次々と土からセメントを生み出して行く。
 それで壁の隙間を覆い、整えていくのは町人達の仕事だ。連携し効率良く進んでいく作業に、ンァルマの受け持ち分はあっという間に補修を完了し、迎撃用のアロースリットまで作ってしまえた程である。

「後は……土の精霊さん、もう一仕事お願いしますっ!」

 ここまでの作業を終えたンァルマが取り組んだのは最後の大仕事。砦を背に立ち、大地の精霊へ大きな魔力を注ぎ込むと、揺れた地からせり出す様に棘付きの石垣が姿を現した。
 直線で攻め込まれるのを防ぐため敵がS字に動く様にと配置して、ンァルマの準備工程は全て完了。
「これである程度の備えになるハズです!」
 ンァルマは満足げに微笑んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

アラナ・ノエル
はるか彼方の世界から♪希望の天使がやってきた♪わたくし!さんじょーぅ!ですわ!!!

……とかって一人茶番はここまでにしてっと。
ンーどうするべきでしょ、砦の強化でしょう?つまり砦を「敵を後ろの街に近づけさせない装置」として機能するようにすればいいワケで

でしたら!シューティにキメてしまうのはどうかしらーっ!?
具体的にはですね、侵入されやすそうな場所を捜して予めガジェットを仕掛けておく!ここをこーしてこーやってビャッ!と組み立てたブツを配っ置!
インスピレーションのママに組んでるんで具体的にどんなの仕上がるかはわかりませんケド、まぁ性能は保証しますわ。存分に役立ててくださいまし!



「はるか彼方の世界から♪ 希望の天使がやってきた♪ わたくし! さんじょーぅ! ですわ!!!」
 翼を広げて立つその姿は背に光を背負う様。明るく決めたアラナ・ノエル(不屈の聖女姉妹・妹の方・f12416)はしかし砦を見上げると、考える様に腕を組んだ。
「……とかって一人茶番はここまでにしてっと。ンーどうするべきでしょ、砦の強化でしょう?」
 仲間の猟兵や町人によって少しずつ砦の補修は進んでいるが、全体的に古いため、まだまだ手の入っていない所も多い。目につく大きな罅や欠損部位を指を差して確かめながら、アラナは少し切り口を変えることにした。
(「つまり砦を『敵を後ろの町に近づけさせない装置』として機能するようにすればいいワケで」)
 そこに思い至った時、アラナの大きな蒼瞳が閃きに輝いた。

「でしたら! シューティにキメてしまうのはどうかしらーっ!?」

 登場時よりも遥かにキラキラと輝いて、アラナは作業中の町人達をぐいぐいと自分の作業に引き入れる。
「具体的にはですね、侵入されやすそうな場所を捜して予めガジェットを仕掛けておく! ここをこーしてこーやってビャッ! と組み立てたブツを配っ置!」
 アラナがインスピレーションのままにガジェットを組んでいくのに対し、町人達はそもそもガジェットを初めて見るガジェットを知らない者ばかりだ。しかしアラナの勢いに、何となく頷いて話を聞いてくれている。
 アラナだって、そんなことは百も承知。だから出来るだけ操作が難しく無い様に、或いは自分が操作する前提で組み立てたガジェットを設置すると、にっこりと微笑んだ。
「――まぁ性能は保証しますわ。存分に役立ててくださいまし!」

成功 🔵​🔵​🔴​

ルカ・ウェンズ
私の知っているゴブリンがこの世界のゴブリンを見たら、きっと怒り狂うわね

POWで (戦闘知識)を使い自分が(怪力、破壊工作、忍び足、暗殺)やユーベルコードで攻めたとしても攻め落とされない砦にしたいわね。そのために専門家や味方の意見を聞くわ。人手が足りないならパトロンの方、駄目なら私のお金で人を雇うわよ。

仕事は全力で(怪力、騎乗)ユーベルコードを使いながら人や物を運んだり木を切り倒したり出来ることをやるわ。

心情
名誉の他にお金まで貰えて、その上に悪党の苦しみながら死ぬ姿まで見れるなんて素晴らしい仕事だわ♪後は人を雇うお金が足りない時のためにこの世界で高く売れそうなレースのハンカチとかを売るわよ。



「私の知っているゴブリンがこの世界のゴブリンを見たら、きっと怒り狂うわね」
 今日の敵に何か思う所があったのか、ルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)はそう独り言ち、長く肩に落ちる黒髪を払う。その紅い視線は、砦の設備そのものへ向いていた。
(「町を守る施設だから破壊しない様に戦闘時は気をつけるとしても、私がユーベルコードで攻めたとしても攻め落とされない砦にしたいわね」)
 とはいえ、限界はある。何しろユーベルコードとは世界法則さえも覆す謎の超常能力だ。
 ならばせめてより建物としての強度を上げるためには――これ以上は専門分野だ。専門家の意見を聞くが良いだろうと、ルカは町へと足を運びその知識の助力と協力を仰いだ。
「人手が足りないなら、私のお金で人を雇うわよ」
 不足しそうなら、後でこの世界で高く売れそうなレースのハンカチなどを売るからと。町の有志は既に何人か力を貸してくれていたが、ルカからの出資があったことで、町から材料や道具の提供も受けることが出来た。結果補修作業が進めやすくなったことは言うまでもないだろう。
 ルカ自身もまた、その繊細な出で立ちからは想像もつかない力で材料の運搬など、出来ることを手伝っていく。
 ――町を託すに不安のない砦の完成まで、あと少し。完成図が見えて来た砦の姿に、ルカは満足気に紅瞳を細めた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ザハ・ブリッツ
「…綺麗な壁だね。あ、俺は壁を修繕すると聞いてね」
手伝いに来た冒険者として力仕事を担う

石灰岩と海…
火山灰と火山岩はあったりするかな?
これらを混ぜ合わせると、面白いものが出来るんだ
調達できたら石灰、海水、火山灰と火山岩。これらを混ぜた物を壁の穴に流し込み、壁の凹凸を減らす
調達出来ない場合は、石を詰めた上から土壁を塗る要領で塞ごう

扉修繕には、なるべく硬い材質の木材を
今後の事も考慮し、開閉可能な様に修繕しよう
やる事は山積みだが、修繕の優先順位は壁・扉とし、時間があるなら見晴台も組み直す

石材や材木運び、自分が手伝える事には力を貸そう
強固な砦が出来れば、今まで以上にこの町の人が安心して暮らせるだろうから



「……綺麗な壁だね」
 補修も進んだ砦を見上げ、ザハ・ブリッツ(氷淵・f01401)は眩しそうに手で蒼瞳への光を遮った。
 特に目に付くのは白亜の壁だ。石灰岩の特徴だと気付き、海もそれなりに近いと知れば、ザハの脳内にはある物質が浮かび上がる。
「火山灰と火山岩はあったりするかな?」
 あまり時間は無いながらも。何とか揃えたそれら全てを混ぜ合わせ、ザハは壁の欠損部へと流し込む。
「これらを混ぜ合わせると、面白いものが出来るんだ」
 それはUDCアース史における古代ローマの時代からあるという――コンクリート。丁寧に凹凸無く仕上げる様にと、ザハは町人へ説明しながら実演する。こうすれば、いずれまた時が経って欠損しても、町人の手で補修が簡単に出来るだろう。
「後は――扉、だね」
 そう断言したザハは、敵襲までに作業を終えるため補修に優先順位をつけていた。
 絶対に直しておかなければいけない部位として定めていた壁の補修を終えた今、次は扉。ザハはより強固な扉にすべく、硬い木材の調達に奔走する。
(「今後のことも考えておかないとね。開閉可能な様に修繕しよう」)
 強固な砦が出来れば、今まで以上にこの町の人が安心して暮らせるだろうからと。ザハのそんな願いを胸に、補修は着々と進んでいった。

 ――かくして。
 ダタスの西に聳える白亜の砦は、建てた当時の様とはいかないまでも立派に雄姿を取り戻し、新たな防衛機能を供えた城塞へと生まれ変わったのである。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『ゴブリン』

POW   :    ゴブリンアタック
【粗雑な武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    粗雑な武器
【ダッシュ】による素早い一撃を放つ。また、【盾を捨てる】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    足払い
【低い位置】から【不意打ちの蹴り】を放ち、【体勢を崩すこと】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ダタス防衛戦
 ――砦の補修作業の終了に、町人が沸いていたのも少し前のこと。空は太陽がやや西へと傾き、作業していた頃よりは影も長さを増していた。
 ダタスの町人達から礼にと昼食を振る舞われた猟兵達は、既に作業での疲労も回復している。食事中の会話でモンスターが来る可能性をそれとなく説明したため、今砦の扉は硬く閉じられ、砦外に町人達の姿はなかった。
 猟兵達が立つほかは、威風堂々、白亜の砦が聳えるのみである。
「――そろそろ、来るだろうか」
 砦を背に1人の猟兵が呟いた時、異なる1人の猟兵が、遠くの奇妙な音に気付いた。

 ――ッチャッチャッチャッ、ガッチャガッチャ。
 ガチャガチャ、ガッチャガチガチガチン。

 金属の擦れる様な、叩く様な音だった。それらが無数、次第に近付いてくると気付いた時、急ぎ砦の見張り台へと駆けあがった猟兵が、声高に仲間へと告げる。
「……来ました! ゴブリンの群れです! 数は――ちょっと分かりません、多いです!!」

 武器やら盾やら防具やらを揺らし擦りぶつけ合い、ゴブリンの群れは一路ダタスを目指して進む
 そこに堅牢なる壁と、何よりも自分達という護り手が居ることを知らしめるべく――猟兵達はその手に武器を取り駆け出した。
ルフトゥ・カメリア
多い?そりゃ結構。
つまり何処狙っても大体当たるってこったろ!良かったなノーコン共!

両手首の古傷を掻っ捌いて地獄の炎を溢れさせ、ゴブリンの只中に飛び込んで行く。
これだけいれば何処に振っても大体当たるだろ。バスターソードと炎で次々に殺して行こう。
大振りなバスターソードの隙は炎で埋めて、第六感とオーラ防御で被弾を避け受け流し、武器で受けて流し、至近距離の敵には時折ガラの悪い蹴りが入る。
蹴りっつったって、鎧くらいなら砕けるもんさ。
背面に立つ敵には、地獄の炎を纏わせた翼の一撃を。

攻撃的でガラの悪い戦い方をする癖に、近くに襲われる者がいれば口先ばかり面倒臭そうに手は貸す。庇って、オーラ防御と武器受けを。


アラナ・ノエル
敵さんおいでなすりましたわ!
砦はまあやれることはやりましたわ、わたくしも仲間の皆さんも。
であれば!緑の津波を捌いてフィニッシュ!ですわ!

敵の数が多いのだから、こちらも手数増やしていきますわよ。
砦にブキは据えましたけど、最悪ソレに頼るとしても数すくないほうがやりやすいことに違いはありませんもの。

敵陣へ一気にツッ込みますわよ!そして鈴蘭の嵐を巻き起こし、辺り一面に散らしてズッタズッタにしてやりますわ!



「――敵さんおいでなすりましたわ!」
 アラナ・ノエル(不屈の聖女姉妹・妹の方・f12416)の警戒の声に、ルフトゥ・カメリア(Cry for the moon.・f12649)は好戦的に笑み、ゴブリンへと対峙する。
「多い? そりゃ結構。――つまり何処狙っても大体当たるってこったろ! 良かったなノーコン共!」
 叫び両の手首に一周する古傷を掻っ捌くと、ネモフィラ色の地獄炎が傷口から溢れ出した。『瑠璃唐草の熾火(ネモフィラ・フランメ)』――淡き色彩が美しくも猛る業火を手とバスターソードに纏わせたルフトゥが前傾の構えを取ると、隣に並ぶは、やはりその身に輝ける魔力を纏ったアラナ。
(「敵の数が多いのだから、こちらも手数増やしていきますわよ。……砦にブキは据えましたけど、最悪ソレに頼るとしても数すくないほうがやりやすいことに違いはありませんもの」)
 魔力は次第にアラナを軸とした気流を生み出す。そして気流が纏うは――鈴蘭の花弁。
「砦はまあやれることはやりましたわ、わたくしも仲間の皆さんも。……であれば!」
 アラナの放った声と同時に、2人はゴブリン達の只中へと飛び込んだ。
「緑の津波を捌いてフィニッシュ! ですわ!」
 アラナが巻き起こす鈴蘭の嵐が、進路上を舞い飛び舞い散り、ゴブリンの群れを薙ぎ払う。ルフトゥのバスターソードが、炎の軌跡を路へ描いて振るう毎何体ものゴブリンを叩き、払い、斬り裂く。
 その突然の猛攻に、ゴブリン達には明らかな混乱が見えた。
「辺り一面、ズッタズッタにしてやりますわ!」
「――」
 しかし、そんな強気のアラナの背後から1体、そろりと近付く影は、アラナの足元を狙って迫り――。
「はい残念!」
 蹴りに差し出された足を、真上からルフトゥが大剣で串刺した。抜かず地面へ縫い留めたまま強烈な蹴りをその身に見舞うと、刺した足から身体引き裂かれたゴブリンは痛みの絶叫を轟かせる。
 そして、剣引き抜くまでの一瞬が隙とルフトゥへ殺到した多くのゴブリン達の単純明解な行動へ、対策を失念する彼では無い。
「――ハ! ご苦労さん!」
 笑んで吐き捨てた瞬間、ルフトゥの体を護る様に広がった地獄炎がゴブリン達を包み込んだ。自分の周囲で体灼かれる苦悶の声が一斉に上がると――煩わしそうに片耳を塞ぎ、ルフトゥは悠々と地面から大剣を抜く。
 その間になおも接近を試みるゴブリンへは、再び鈴蘭の花弁――アラナだ。
 吹き荒れる花弁の嵐の中心に立ち、自分と同時にルフトゥへも敵が簡単には至れぬ様にと――互いの隙を補う様に技放つ、それは敵軍へと飛び込む危険性を正しく理解しているからこそ。
 未だ多数のゴブリン達へと、2人の猛攻は止まらない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

壥・灰色
壊鍵、撃殺式……起動

脚に「衝撃」を籠める
壊鍵、ギガースとは衝撃……応力と撃力を操る魔術回路だ
脚に籠め、炸裂した反動でまっさきにゴブリンの群のただ中まで飛ぶ

蹴り下ろし、一匹目の頸骨を粉砕
そこから先は掻き回すだけ掻き回してやる、掛かってこい
拳に、脚に、纏わせた衝撃を手当たり次第に叩き込み、駆け抜ける
密集した敵に零距離で格闘戦を仕掛けることで、敵が武器を振り回す余地を与えない

他の猟兵が後ろから制圧射撃を行うようであれば、足下で衝撃を炸裂させ勢力圏を離脱
味方の攻撃後にまた吶喊し、その拳脚の威力で殺せるだけ殺す
自分の傷を怖れることはない。おれは、こうして戦うようにデザインされたものだから。



 ゴブリンの群れを目指して走る壥・灰色(ゴーストノート・f00067)の灰の瞳が、更に褪めて細まった。
「壊鍵、撃殺式……起動」
 呟く瞬間、駆ける足が屈めた身に一瞬止まる。その刹那、灰色の全身を巡る魔術回路から脚へと一斉に魔力が奔った。
 ユーベルコード『破砕型・撃殺回路(インザカルネージ)』。
 結果は――爆発。脚へ集約した通常ならば敵を打つ衝撃で地を蹴ることで、灰色の体は凄まじい加速と跳躍を手に入れる。
 上空から視線を奔らせ、狙うは最も敵の集まる陣中だ。
「――掻き回すだけ掻き回してやる、掛かってこい!」
 推進力に応用していた衝撃を、今度は降下の重力も加えて真下へ真っ直ぐに振り下ろす。その脚が1体のゴブリンの頸骨を粉砕すると、衝撃に巻き起こった突風が、周囲何体かのゴブリンを吹き飛ばした。
 活性化した魔術回路は、尚も灰色の両手両脚へ更なる力を送り込んでくる――再び脚、接地面を今度は軽めの衝撃で後方へ叩いた灰色は、進路上のゴブリン達を爪先・踵・膝・肘・拳、ありとあらゆる格闘術に衝撃込めて打ち払う。
 零距離、それは立ち止まれば殺到される危険な間合いだ。絶対に止まれない――速度は緩めず駆け抜ける灰色の道の後には、首などの急所を一撃で仕留められ倒れる無数の屍が連なっていく。
(「自分の傷を怖れることはない。おれは、こうして戦うようにデザインされたものだから」)
 心は淡々として、髪と瞳には褪め色を宿していても。その攻撃は苛烈に、確実に、ゴブリンを殲滅しようとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ンァルマ・カーンジャール
ついにゴブリンの群れが進軍してきましたねー!
食い止めていきましょう!

状況開始です!
まずは超長距離から数を減らしていきましょう
事前準備しておいたバリスタやトレビュシェットを使用し迎撃ですよー
ご協力頂けるみなさん引き続き宜しくお願いします!

私も前半は砦上部に登り、土魔法で岩石を作り電脳魔術で電磁加速させて長距離砲ですっ
どっせーい!

ゴブリンさんが寄ってきたら地上で応戦です
土魔法で盾を生成し攻撃に備えつつ、土の剣を投じて攻めます
数が多いならUC《[複合接続]【電磁気学制御】大地の剣》で一掃していきますよ!
[全力魔法4][属性攻撃2][範囲攻撃1][高速詠唱1]

次は敵さんの親分さんの登場でしょうかー?


清水寺・大牙
「思った以上の数だが…多いなりに戦い方はある」

刀を抜きつつゆらりと敵陣に近づき、徐にダッシュして切り込もう
そうすれば此方は周りが全部敵、相手は味方が邪魔になって思うようには動けまい
対大軍用のセオリーだな
ゴブリンが恐怖を感じるかは知らないが、目の前で味方が切り伏せられれば多少は動きも鈍るだろう

ある程度数を減らしたら味方に合流して残りの敵に対処する
流石に敵陣に一人で長居するほど強いとも思わんのでな


ルカ・ウェンズ
(この世界の)ゴブリン、死すべし。

まずは作戦を聞くわ、ゴブリンが死兵にならないようにどう戦うか聞いり誰の命令を聞けばいいのか、それとも私の自由に戦っていいのかも質問するわよ。

他には私は(戦闘知識)を使い味方に被害がないように砦から敵にガソリンを浴びせてからの火攻め、(怪力)を使い岩を投げつける、砦に敵が張り付いたらそれも投げつける宇宙昆虫に(騎乗)して空からのオーラ刀を銃に変化させての攻撃を提案

砦の外で戦えと命令されたら(戦闘知識)で安全で効率的と判断したら基本的には空からの攻撃やユーベルコードでの攻撃、それに(残像)を使って素早く移動しながら戦うわ。(ここからは悪党の苦しむ姿を楽しむ時間よ)



「ついにゴブリンの群れが進軍してきましたねー! 食い止めていきましょう!」
 砦の見晴台に立ち、ンァルマ・カーンジャール(大地と共に・f07553)は視線を広く辺りへ巡らせ、敵群の動向を確かめる。
 敵陣只中へ奇襲とばかり突撃した仲間達は、絶えず動き続けることでゴブリン達を上手く攪乱しているようだが――何しろ数に差が在り過ぎる。早めの援護が必要と思われた。
「状況開始です!」
「――作戦を聞くわ」
 ンァルマの声に、隣で同様に戦況を見守っていたルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)も頷き応じる。
 ンァルマへ向く真紅の瞳は、誰の指示で動けば良いのか言葉を待って見つめていた。しかし此処に司令官などいないのだ。ただ猟兵という対等な仲間が居るだけ――だからンァルマはにっこり笑んで、命じるではなくお願いをした。
「まずは超長距離から数を減らしていきましょう! 宜しくお願いします!」

 ――見晴台での会話の足元、砦の前には清水寺・大牙(人食い虎・f06778)が前線を真っ直ぐと見据え立っていた。
「思った以上の数だが……多いなりに戦い方はある」
 すらり、と鞘から刀を抜けば、その刃は陽光を浴びて煌いた。そのまま一歩ずつ、ゆらりと大牙が近付くのは、陣中の猟兵の攻めを逃れてダタスの町へと向かって来る、群れを成したゴブリン達。
 間もなく間合い――と、その瞬間。
「――味方が邪魔で思う様には動けまい」
 大牙の刃が、姿が、突如その場から消え去った。標的を見失いゴブリン達が瞬く間ののち、その全身から鮮血が噴き出し、どさり、どさりと次々骸が地へ落ちる。
 後には、骸に背を向ける大牙。
「一方此方は周り全てが敵。刀を振るい、手当り次第斬り散らすだけだ。……対大軍用のセオリーだな」
 大牙がしたことといえば、間合いに入る直前に進軍速度を上げただけ。ただそれだけで攪乱と奇襲、両方を果たし――『剣刃一閃』、振るう刃に無数のゴブリンは地へ還った。
(「ゴブリンが恐怖を感じるかは知らないが、目の前で味方が切り伏せられれば多少は動きも鈍るだろう」)
 今は目の前を斬り拓くのみ――砦を護れる位置を保ち、やがてもっと前方に戦う仲間達に至るまで数を減らす、それだけを目指し大牙は刀を翻す。
 その上空を――突如無数の影が凄まじい速度で駆け抜けた。
「――ゴブリン、死すべし」
 砦の上方、見晴台から前線支援にルカが放ったその影は全て無数の岩石。ンァルマが用意していた小型バリスタ――時間と砦の造りの都合上これが設置限界だった――を使用し飛ばすそれらの岩は全て、ンァルマが土魔法によって生成したものだ。
「『複合接続(マルチアクセス)! 電磁気学制御! 強磁界(ローレンツフィールド)展開! ──母なる大地の御剣よ! 仇なす者に凄惨なる斬撃を!』」
 そしてンァルマ自身が放つ技は、それらの岩に更なる変化と威力を齎すとっておき。
 ユーベルコード『[複合接続]【電磁気学制御】大地の剣(マルチアクセス・ローレンツ・グランドソード)』。
「電脳魔術で電磁加速させて長距離砲ですっ! どっせーい!」
 真っ直ぐと空に放たれた魔力が、飛来する岩石達を大地の剣へと変成させた。無数飛ぶ剣は進む毎に電磁加速し、戦場奥深く、果てのゴブリンまで雨の様に降り注ぐ。
 その猛然とした攻撃を遠くに見つめていたルカは、ふわり、突如砦の見晴台から飛び降りた。
 重力に従い落ちた先は、地面では無く――空。宇宙昆虫の背の上だ。
「作戦立案も中々難しいものね。……でも、私の自由に戦っても良いのなら」
 宇宙昆虫が戦線の上空に至ると、眼下で自由に戦う仲間達を見つめ――ルカは選んだ。今この時、ルカが考える手段の中で最も有効かつ攻撃的な戦法を。
「――『カー・ディスク・ジョン』」
 呟き放つは、ユーベルコード『死がふたりを分かつまで(シガフタリオワカツマデ)』。
 手に持つオーラ刀を銃へと変形、土剣の隙間へまるで針の穴を通す様に放った小さな銃弾は、ゴブリンへ着弾するなり爆発し、戦場に更なる混乱を齎した。
 例えその一撃で討ち逃しても、見えない蜘蛛糸で繋がれた弱り切った標的を、ルカが逃す筈は無い。
「ここからは悪党の苦しむ姿を楽しむ時間よ」
 ――それは愉悦だろうか。ルカの形の良い唇が、何処か歪に微笑んだ。

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

エンジ・カラカ
アァ……きたきた。群れてやってきた。
少なくはないんだなァ……。

素早さを生かし、味方より前に出る
イイか、当たるなよ。
先制攻撃で人狼咆哮。ゴブリンの群れを牽制してやるカ。

数が多いからなァ……。
囲まれないように、孤立しないように味方の近くで連携する。
弱ったゴブリンには傷口を抉るでトドメをさしてやろう。

二回攻撃、属性攻撃も生かして一体ずつ確実に
人狼咆哮は味方に当たらなければ纏めて咆哮の餌食にしてやるサ

狼の足についてこれるカ?
鬼さんこーちら
敵サンの攻撃は見切りで回避
コッチコッチ
いや、コッチかもしれないなァ……。
楽しくて笑いが出てくる



「アァ……きたきた。群れてやってきた。少なくはないんだなァ……」
 敵群の中を風の様に駆け抜けるエンジ・カラカ(六月・f06959)は、手刀でゴブリンの急所を的確に打ち、同様に群中で戦う猟兵達の更に先へと突き進む。
「狼の足についてこれるカ? 鬼さんこーちら」
 時折向かって来る反撃にも、動じずのらりくらりと躱して。
「コッチコッチ。いや、コッチかもしれないなァ……」
 笑んで挑発的に言葉を放てば、挑発だとは理解するのか、ゴブリンから自分への敵意が増すのを感じた。
 ――それでいい。目指す場所へ到達するまでに自分へ集まる敵が増えるのは、エンジの戦略上実に都合が良かった。
「……頃合いカ」
 遂にエンジは群れの中、たまたまぽっかりと空いた空間へと到達する。
 エンジの速さに少し遅れて、敵も空間へと押し寄せてくる。くるりと振り向き仲間との距離を確かめたエンジは、向かって来る敵を真っ直ぐ見据えて――あと少しで間合い、とその瞬間、口の片端を上げ不敵に笑んだ。
「……イイか、当たるなよ」
 最後に呟いたそれは、仲間へ向けた注意喚起。
 直後放った深く激しく空気を揺らした猛き声はユーベルコード『人狼咆哮』――無秩序、無差別に襲い掛かる魔力帯びた咆哮に、エンジへと向かっていたもの、背を向け砦へ向かっていたもの、仲間を狙い進む者――辺り一面あらゆるゴブリンがドサドサと地面に伏していく。
 そして1体、倒しきれずに向かって来るゴブリンへは――。
「数が多いからなァ……纏めて餌食にしてやるサ」
 ――ドス、と、音がしたらそれでお終い。
 エンジの手刀が、容赦なくその腹を貫いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ザハ・ブリッツ
壁は出来た。ここからが猟兵の本領発揮、と言った所か
数の暴力とはよく言ったものだけど、此方の後ろは砦、左右は渓谷…
回り込まれる心配は無い、かな
「…存分に、油断無く、蹴散らしに行こうか」

敵数は確実に減らしていきたい、尚且つ壁には近付けたくない
攻撃対象は、壁に近い敵・トドメを刺せる敵をまずは優先
武器での通常攻撃・鎧砕きの効果も交え、敵数の集中している所にグラウンドクラッシャーを叩き込む
攻撃に専念する余り孤立し、囲まれない様に注意
他猟兵の位置も把握し、戦況を見ながらの立回りを心掛ける

攻撃力・攻撃回数重視は出来る限り受け流すか回避、命中率重視は武器を盾にする等臨機応変に防御姿勢を
砦陥落なんて、させないよ


蒼城・飛鳥
準備にゃ間に合わなかったが、本番には間に合ったか?
ま、頭使う方はあんまり得意じゃねーし、その分も暴れさせて貰うとするぜ!

に、しても数が多いな
俺はついついつっこんじまいがちだし…アイツを呼んどくか
フェアリー型戦術指南AIアスカ(※ツンデレ)を召喚
戦況分析と戦術の指示を頼む
基本は手あたり次第数を減らす事にはなるだろうけど、この数だ
それで手薄な所を突破されちゃあ意味がねーしな
それに、ゴブリンだって個体差はあるだろ
手近な中でもより強い個体を選別し優先して叩けりゃ後が楽になる!

アスカの指示を受けながらフォースセイバーでゴブリンどもを只管に斬って斬って斬りまくるぜ!!
頼りにしてるぜ、口うるせー参謀さんよ!



「猟兵の本領発揮、と言った所か」
 砦近くから、遠くに見つめる仲間達の戦いを、ザハ・ブリッツ(氷淵・f01401)はこう形容した。
 数えるにも容易くない敵の数――しかし誰1人として怯む者はいない。ザハとてそうだ。今は未だ肩に担ぐだけの無骨な巨大斧は冷気を帯びて、敵屠る時を今か今かと待っている。
 後ろには砦、左右は渓谷。敵数は多くとも、回り込まれる心配は無い。
「……存分に、油断無く、蹴散らしに行こうか」
 地面を抉る力強さで、ザハは前へと駆け出した。
 最初の接触。砦に最も接近している1体へ、担ぐ肩から振り下ろした愛斧の一閃。確かな手応え。次いで直ぐ手の届く距離に1体、これは足元まで降ろした斧を斜め上へ振り上げ斬撃。返り血多量、これも仕留めた。
 振り上げた斧の重さに接近する敵影。これには斧は間に合わない――。
「準備にゃ間に合わなかったが、本番には間に合ったか?」
 武器間に合わぬならと足を出し掛けたザハの前に、突如少年が飛び出した。
 後ろに申し訳程度にちょこんと束ねた髪が、振るったフォースセイバーと血飛沫に合わせて跳ねる――蒼城・飛鳥(片翼の鳥は空を飛べるか・f01955)。
「頭使う方はあんまり得意じゃねーし、その分も暴れさせて貰うとするぜ!」
 手の中でくるりとフォースセイバーを一周させ、飛鳥は首だけザハを振り向き笑んだ。戦いはここからと言わんばかりの少年の勝気な笑みに、ザハも笑んで返すと再び斧を前へ構える。
「――砦陥落なんて、させないよ」
 再び駆け出すザハの背を目で追いながら、改めて戦陣を眺めた飛鳥は、当初よりだいぶ数が減ったゴブリン達に青瞳を僅かに細める。
(「……に、しても数が多いな。俺はついついつっこんじまいがちだし……アイツを呼んどくか」)
 思い至ればフォースセイバーを地に突き刺し、そこに魔力を集中させた。
 ユーベルコード『バトル・インテリジェンス』――その魔力が、召喚したのは。
「『いーい? あたしの言う事さえ聞いてれば勝利は間違いなしなんだからねっ! わかってるの? この馬鹿!』」
 顕現したフェアリー型戦術指南AIアスカは――ツンデレであった。その言葉にはいはいと気の無い返事を返しながら、飛鳥は戦況と、より効果的な戦術の指示を求める。
「頼りにしてるぜ、口うるせー参謀さんよ!」
 アスカの指示の下、飛鳥は手近な敵の中でもより強い個体を選別し、優先して撃破していく。但し、強い個体ということはそれだけ撃破に手数が必要になるということだ。1体への対応の間に、飛鳥は周囲をゴブリンに囲まれる傾向にあった。
 だが、その打開に動くのはザハ。敵数が集中した所で繰り出す、地面までも抉る斧の一撃――ユーベルコード『グラウンドクラッシャー』。
「……心配ない。続けて」
 笑んでザハの愛斧『絶』が風を切る度、飛鳥周囲のゴブリンを蹴散らしていく。アスカが飛鳥に齎したのは、味方の動きにも注意を払い立ち回るザハがいてこそ成し得る戦略だ。
 そして、ゴブリン達の数を減らしたその後に何が起こるのかも――アスカには見えていたらしい。
「『そろそろ来るわよ! 戦略変更! 言う事聞かなきゃ痛い目見るんだからね、馬鹿!』」
「――え? 変更って……」
「『歌声が聞こえない? ゴブリンを操ってた親玉が来るわ! ……魅了されたりしたら許さないんだから!!』」
 アスカが飛鳥にその存在を告げたと同時。

 ――バサリ、と羽を散らして雄大に羽ばたく翼。
 飛鳥の蒼瞳が、空から戦場へと舞い降りる2体のハーピーを、その視界に捉えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ハーピー』

POW   :    エキドナブラッド
【伝説に語られる『魔獣の母』の血】に覚醒して【怒りと食欲をあらわにした怪物の形相】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    ハーピーシャウト
【金切り声と羽ばたきに乗せて衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ハーピーズソング
【ハーピーの歌声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●魔性
 ――戦場に、未だゴブリン残存。
 とはいえ、その数ももうそう多くは無い。それよりも問題は、存在感が明らかに違う空から現れた脅威だろう。

 ハーピー。上半身に人の体、下半身と翼に鳥の容姿を持つモンスター。
 外見にこそ禍々しさは感じず愛らしくすら思えるが、その本質は魔性だ。その容姿と、何よりも美しい歌声で生きるものを虜にし配下とする魔性の魔物――知性低いゴブリンでは、到底太刀打ち出来なかったことだろう。

 但し、その愛らしい容姿が擬態であることを猟兵達は知っている。油断出来る相手では決して無いが、残るゴブリン達と共に首魁であるハーピーを倒せば、一先ず今日の侵攻は終わり、ダタスの町は守られることだろう。
 此処からが正念場。ゴブリン達を蹴散らしながら、猟兵達は2体のハーピーへ向かって駆ける。
ンァルマ・カーンジャール
遂に親玉の登場ですね~!
しっかり討伐させて頂きますっ!

さぁて、頑張っちゃいますよー!
防御用に土の精霊魔法で盾を生成し攻撃に備えます
電脳魔術の運動係数制御と風の精霊さんにお願いし私自身を2段階加速させますよー

大将首を狙って一気に駆けていきます
ハーピーさんの機動力が高いようでしたら翼を狙い、土の剣を放ちつつ隙を作ります
チャンスを見つけたらUC《[複合接続]【運動係数制御】大地の腕》を狙いますよー!
[全力魔法][属性攻撃][高速詠唱]

すみませんが、この辺でお帰り下さいーっ!


ルカ・ウェンズ
この世界のハーピーは可愛い上に歌まで上手だなんてセイレーンが嫉妬するかもしれないわね。(ゴブリンと違ってオブリビオンでなければ、悪党でないなら手を出さなかったのに残念だわ)

行動
始めに【真の姿を開放】(人形で虫の様な羽がはえていて巨大な右手と手に刀の様な指がついているダークブルーの何か)同時に黒風鎧装を使い素早く【怪力】で敵の羽を【2回攻撃】さらに【傷口をえぐる】わよ、この攻撃で敵が飛べなくなるのを狙うわ。敵の攻撃には当たら様に【残像】で移動しながら一撃離脱を心掛けて戦うわよ。

心情
個人的に悪党とは少し違うと思うけど今の自分の力も試したいし全力で殺るわ(この姿は燃費が悪いけど仕方ないわね)


ルフトゥ・カメリア
あーあーうるっせぇな!
丸焼きにでもなってろよこのクソ鳥モドキ!

見た目が人間に近かろうと、怯む必要なんて何処にもねぇよ。あれはただのオブリビオン、この世に湧き出たゴミだ。
生憎と、翼があるのはテメェらだけじゃねぇんだよ!
翼の付け根からブースター代わりに炎を噴き出して加速、Nova.を刃鞭形態に。炎ごと絡めて地面に引きずり落とす!
【怪力】【2回攻撃】【ロープワーク】【破魔】【鎧砕き】
翼なんぞ斬り落としちまえばこっちのもんだろ。

敵からの攻撃は周囲の猟兵共々【武器受け】【かばう】【オーラ防御】【激痛耐性】【カウンター】で対処。
文句や罵倒はしても、助けずにはいられない性分。



「遂に親玉の登場ですね~! しっかり討伐させて頂きますっ!」
 ハーピー見据えて声を張り、ンァルマ・カーンジャール(大地と共に・f07553)は掌で足元の大地へ触れた。
 接地面から伝わる熱は、大地へ注ぎ込む魔力を土の精霊が受け取っている証。輝く魔力光は辺りを照らし、眩さに引き寄せられたか或いは主の指示なのか、残存ゴブリン達がンァルマを襲わんと群がって来る。
 手が伸びた――その瞬間。
「さぁて、頑張っちゃいますよー!」
 ンァルマの足元から、突如大地が隆起した。まるで引波の様に脚を取られ呑み込まれたゴブリン達には圧死か窒息死が待っている。転倒くらいで逃れた者にも、今度は高波の様に頭上から大地が押し寄せた。
 ンァルマが形成したもの――それは防御用の大地の盾。
 そして、その盾を足場に2つの影が跳躍する。
「可愛い上に歌まで上手だなんて、セイレーンが嫉妬するかもしれないわね」
 濡れ羽色の美しい髪が風に煽られ空に散らばる――ルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)の跳躍の最中、その体は闇色の魔力に包まれた。
 真の姿への覚醒――背に虫の様な羽が生まれれば、滞空距離は更に伸びて1体のハーピーの頭上を超える。
 その瞬間を狙いすまして、ルカはその体に漆黒の旋風を纏った。
 ユーベルコード『黒風鎧装』。
(「オブリビオンでなく、悪党でもなかったのなら手を出さなかったのに。残念だわ」)
 巨大化した右手に、指か或いは爪だろうか、ダークブルーの刃が光った。高所から振り下ろした怪力込めた斬撃は、愛らしきハーピーの背中――翼の付根を引き裂いた。
「いやぁあああ!?」
「きゃぁああああ!!」
 悲鳴の声は2つ上がった。ルカと共に地面へと落ちていくハーピーと、もう1体――その翼へと鞭様の武器を絡みつかせたのは、ルカと共に跳躍していたルフトゥ・カメリア(Cry for the moon.・f12649)。
「生憎と、翼があるのはテメェらだけじゃねぇんだよ!」
 己が背に持つ黒翼の付け根に手首を添え、その傷口から噴き出す炎の勢いを利用し加速飛行したルフトゥのあまりにも突然な接近に、ハーピーは対応出来なかった。無防備な背の翼を、刃鞭形態にした武器『Nova.』が囚えると――標的から上がった少女の様な悲鳴に、ルフトゥはうんざりした顔で吐き捨てる。
「あーあーうるっせぇな! 丸焼きにでもなってろよこのクソ鳥モドキ!」
 叫ぶと同時、ネモフィラ色の炎が鞭を伝ってハーピーの翼へ広がった。ユーベルコード『瑠璃唐草の熾火(ネモフィラ・フランメ)』――きゃあきゃあと混乱の声を上げたハーピーは翼を震わせ炎を消そうとするけれど、鞭に囚われた翼が広がる筈も無い。
 そして決して逃さぬ炎鞭をより強く握り締めたルフトゥは、黒翼を羽ばたかせると地面へ向け急降下した。
「きゃぁあああああ!!」
 ぐん! と逆らえぬ力にハーピーは遂に空から地へ墜ちた。燃え盛る淡色の炎は羽を徐々に灰へと変え、ハーピーの制空権を奪っていく。
「翼なんぞ斬り落としちまえばこっちのもんだろ」
「ウゥウウ……!」
「よくモ、よクも……!」
 片や翼を切り取られ、片や翼を燃やしつくされ――地に両手を付き怒りに震える2体のハーピーは、全身に妖気を纏う。
「「アァアアアアああ―――!!」」
 重なった2つの声は歌うようでありながら、不思議と猛々しく響き渡った。ビリビリと猟兵達の肌は震え、背筋にはぞくりと悪寒が奔り――そしてハーピーの体にはビキビキと血管が浮き上がり、怒りの気が満ち満ちる。
 『エキドナブラッド』。ハーピーの体内で、魔獣の母の血が覚醒したのだ。
「……ち!」
 舌打ちし、再びルフトゥが詠唱を始めようとした、その時。
「『複合接続(マルチアクセス)! 運動係数制御! 運動加速(ラグランジュブースト)!』」
 ひゅっと真横を小さな影が通り抜けた。放つ言葉は力を持ち、その体には魔力を帯びる――ユーベルコードの詠唱。
 ンァルマの『[複合接続]【運動係数制御】大地の腕(マルチアクセス・ラグランジュ・グランドアーム)』。
「『大地を守護する精霊よ! 万象崩壊の拳を打て!』」
 ンァルマの駆ける足が超加速して1体のハーピーへ接近した。距離にして30㎝――そこまで近づき、喰らわすは運動係数を書き換えた大地の腕。
「すみませんが、この辺でお帰り下さいーっ!」
 腹部へとまともに入った強烈な一撃に、ハーピーは目算で50mほどは吹き飛んだ。何人かの猟兵が追って駆けていくのを見送って、ルフトゥはダガー状態に戻した愛武器を、残るハーピーの首元へと突き付ける。
「……見た目が人間に近かろうと、怯む必要なんて何処にもねぇよ」
 椿の様な紅い瞳――しかしその色が持つ温度は今、酷く冷たく敵を見据えて。
「ただのオブリビオンだろ、この世に湧き出たゴミだ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蒼城・飛鳥
へっ、とうとう親玉のお出ましか!
可愛い女の子は大好きだが、お前らはちょーっと俺の好みとは違うんでな!(ニッ)
悪いが、消えてもらうぜ!

歌で強化されちゃ面倒だ
ハーピーにかまけてる間に砦を突破されてもまずいしな
俺はゴブリンどもを先に蹴散らすぜ!
ザハさんのフォローのおかげで強めの奴は先に倒しておけたし、そんなに時間はかからねーだろ
但し、他の猟兵でゴブリン掃討に動くヤツが多い場合は逆にハーピーを相手取る
その辺りはアスカの指示を受けつつ臨機応変に
他の猟兵と連携するぜ

ユーベルコードの出し惜しみもしない
うおおおおおおッ!行けッ、不死鳥ッ!!
空を自在に駆けるのは、あいつらだけじゃないってトコを見せてやるぜッ!!


壥・灰色
それが魅力的な容姿をしている事は、だいたいわかる
ただ、まあ、なんだね
彼女らより綺麗で物騒な猟兵と、普段から喋っているものだから

排除するのに、ためらいはないな

壊鍵、撃殺式
起動

『衝撃』のすべてを右腕に集中する
その尖端、拳に嵌めたメリケンサック――『衝拳』に、『撃殺式』を書き込む
それは、壊鍵による衝撃を増幅する一打限りの臨時魔術回路
右拳を隠すように左前の姿勢に構え

「おいで。もっと近くに」

左手で、ハーピーの一体を招くように挑発する

引っかかったらしめたもの
左手は端から囮に使うつもりだ
鉤爪で裂かれようと構うまい
血に濡れても構わない

至近距離から伸び上がるように
レールガンを凌駕する威力の拳を、ただ一発叩き込む


直枝・月冴
この歌声を、多くの人間は美しいと捉えるのだろうね
僕は金切り声であろうと気にしないが

邪魔なゴブリンにはダガーで【先制攻撃】を仕掛ける
素早く【目潰し】してしまおう

2体のハーピーはまとめて【ホローポイント】で対象の喉を目掛け触手を放つ

以降はゴブリンを掃除しつつ
ハーピーの武器である喉と
防御の薄そうな心臓――人型ならば恐らくあるだろう――を抉るように
より早く効率的に片づける手段を最優先
対象の息の根を止めたことを確認次第、次へ移る
必要以上に甚振ることはない


対象の形状がどうあれ躊躇は一切ない
痛覚に対する反応も薄め(感動はしないが五感は機能している)
心情も目的も「仕事を早く終わらせる」の一点に尽きる


エンジ・カラカ
アァ……どんな姿でも関係ないなァ。
賢い君、賢い君、辰砂。
サァ、食事の時間だ。好きなだけ食べて良いサ。

相棒の拷問器具の辰砂に噛みきった薬指の傷跡から滴る血を分け与えて
前菜を与える。これで思うように動けるだろ?
先制攻撃で賢い君を動かす。

ハーピーは気に入るカ?
上は可愛らしく下はおぞましい不思議な怪物だなァ。
故郷にも変なのはたーくさんいたけどコイツは初めてだ。

二回攻撃で確実に敵サンの動きは止めたいなァ……。
味方と協力しないと賢い君は役に立たない、動きを止めたらトドメは任せる。

敵サンの攻撃は見切りで回避。
自慢の足のなんだよなァ……。



「へっ、とうとう親玉のお出ましか!」
 飛ばされたハーピーへ向かい駆ける、蒼城・飛鳥(片翼の鳥は空を飛べるか・f01955)の口元には強気の笑みが浮かんでいた。
「可愛い女の子は大好きだが、お前らはちょーっと俺の好みとは違うんでな! 悪いが、消えてもらうぜ!」
「――あの歌声を、多くの人間は美しいと捉えるのだろうね」
 一方。飛鳥の隣を行く直枝・月冴(弦月・f10120)は、表情も声音も冬の夜の様に静かだった。その手にぱし、とダガーを握り直すと、狙うはゴブリン、立ち塞がる残党の群れだ。
「……僕は金切り声であろうと気にしないが」
 呟く声にはハーピーを語っても、滑る月冴の斬線は擦れ違うゴブリン達の眼を淡々と、次々と斬り裂いていく。噴く緋色の飛沫が散って肌を汚しても、躊躇も不快すらその顔には浮かばない。
 斬って斬って、群れの中を遂に抜けた月冴の後ろで――視界を奪われたゴブリン達が、一斉に炎に包まれた。
「ハーピーに歌で強化されちゃ面倒だ。放っといて砦を突破されてもまずいし、お前らを先に蹴散らすぜ!」
 その苛烈なる蒼き炎は、ユーベルコード『ブレイズフェニックス』。連携によって炎に巻かれたゴブリン達は灰と化し、吹く風の中に消えていく。
 戦場のゴブリンが、遂にそこから姿を消した――残るは地に墜ちたハーピー2体。切り拓かれた大地の中を、2つの影が脇目も振らず駆け抜けた。
「魅力的な容姿をしている事は、だいたいわかる。ただ、まあ、なんだね、彼女らより綺麗で物騒な猟兵と、普段から喋っているものだから――」
 着地の度に、トン、と地を蹴る音は軽やかに、壥・灰色(ゴーストノート・f00067)は感慨も無い調子で呟くと、名と同じ色の褪せた瞳を、僅かに細めてこう続けた。
「――排除するのに、ためらいはないな」
 一際低い声の中に、昏い笑みが微かに混じった。
 次に地を蹴るその一歩に、ドン! と音も激しく地面が揺れた。脚から放った衝撃により瞬間加速した灰色――その速さをもう1人、共行く影も追いかける。
「アァ……どんな姿でも関係ないなァ」
 灰色の言葉にそう応え、駆ける傍らエンジ・カラカ(六月・f06959)はぶつりと薬指の傷痕を噛み切った。みるみる浮かぶ鮮血が肌をするりと滑り落ちると、エンジはその手に相棒――拷問具『辰砂』を掴み笑む。
「賢い君、賢い君、辰砂。サァ、食事の時間だ。好きなだけ食べて良いサ」
 滴る一筋すら惜しむ様に、溢れる己が血をエンジは『辰砂』へと分け与える。これはあくまで前菜だ。喰らったのちは、存分にメイン――ハーピーを屠る時間。
「――これで思うように動けるだろ?」
 呟いた刹那、応える様にエンジの手から『辰砂』がハーピー目掛けて放たれた。  ユーベルコード『賢い君(リユウノチ)』――赤い糸が先ずその四肢を捉え、鱗片は捉えた肌に細かな傷を刻んでいく。
 そして、体表に刻んだその無数の傷口に触れた宝石は、触れた箇所からハーピーの体を毒で蝕んでいく――。
「ハーピーは気に入るカ? 上は可愛らしく下はおぞましい不思議な怪物だなァ」
 不敵に笑んだエンジの先制によって動きを封じられたハーピーは、既に満身創痍だ。しかしエンジの役目は動きを封じる所まで。
 この先は――視界に捉えるハーピー、その背後に立つ灰色に全てを託す。
「……壊鍵、撃殺式」
 右拳を隠すように左前の姿勢に構え立つ灰色の周囲、魔力の気配に空気がざわりと蠢いた。最中にふと、ハーピーの背の向こう、エンジの更に奥にもう1体のハーピーへ向かう飛鳥と月冴を見た灰色は、この敵を任されたと判断して手繰る魔力を研ぎ澄ます。
「――起動」
 放った言葉に、灰色の体内を巡る魔術回路が一斉に動き出した。起動言語に導かれた衝撃の行先は右腕――その尖端、拳に嵌めたメリケンサック。
 一打限り、衝撃を増幅するその技の名はユーベルコード『破砕型・撃殺回路(インザカルネージ)』。
「――最適化、完了」
 一気に距離詰め、零距離から放った一拳の威力はレールガンを凌駕する。
 背から腹部へ皮膚内臓をも貫通した一撃に――その美しき声さえ放てぬまま、ハーピーは絶命した。

「『――やったわ、さっきのハーピーを倒したみたいよ!』」
 フェアリー型戦術指南AIアスカからの勝利報告に、笑んで頷いた飛鳥の手には未だ蒼炎が燃えている。先にゴブリンを滅した炎を持続して、飛鳥は残るハーピーへ向かって駆けていた。
「『でもあと1体もエキドナブラッドで強化されてる。油断してたら危ないわよ。……べ、別に心配なんてしてないんだからねっ!』」
「分かってる! 出し惜しみもしない、行くぜッ!!」
 熱き声に、熱き心に応える様に蒼き炎は勢いを増して燃え上がる。その様子を視界の端に捉えながら、同じく残るハーピーへ向かう月冴は、静の瞳で有効な攻めを探っていた。
(「ハーピーの武器は喉。そして、人型ならば恐らく心臓もあるだろう――」)
 だから狙いを喉と防御の薄そうな心臓に定め、月冴はその脚を止めた。とうに標的は射程内――接近に気付いてハーピーも此方を向くけれど、ザザ、と立ち上った土煙に交差した視線が一瞬途切れる。
 その一瞬に――月冴は魔力の収斂を終えた。
(「終わらせる」)
 土煙晴れた瞬間、月冴の両手からハーピーへと触手が伸びた。ユーベルコード『ホローポイント』――喉元を捉えた触手は、ギリ、とまるで首を絞めるかの様に蠢いた。
「ア……ぐ、ギぃ……」
 ハーピーの息が、声が詰まる。それでも獣は、命に仇為す魔性の声を衝撃波にして解き放った。
「グ……、っアァアアアアああア!!!」
 キン! と、金切り声は空気を震わせ、猟兵達の頬を、腕を、身体を無差別に斬り裂いた。しかし直後、ハーピーの胸が体内から皮膚を破って破裂する――月冴の触手が、体内で炸裂したのだ。
「……ッ!!」
 途絶えた金切り声――心臓を打った衝撃に絶句して後傾するハーピーの視線の先、空から青い巨鳥が降りてくる。
「うおおおおおおッ! 行けッ、不死鳥ッ!! 空を自在に駆けるのは、お前らだけじゃないってトコを見せてやるぜッ!!」
 高く跳躍した飛鳥が空から放つは『ブレイズフェニックス』。天から地へ墜ちた魔性へ送る闘志の蒼炎は猛々しくも美しく――戦いの最後を飾るに相応しい。
 剥き出しの心臓へ落ちた炎は、そのまま激しく延焼する。
「――アァアアアアアアアアアア……!!」
 もう衝撃波は起こらない。心臓を焼く痛みに上がった魔性の声は、心臓の灰化に伴って次第に小さくなっていく。
 声の余韻、そしてさらさらと散る灰はダタスの町へ向かう風に流されて――しかし猟兵達が整えた白壁の砦に遮られ、町へ入ることは無かった。
「……アァア、……」
 猟兵達に完全なる敗北を喫した魔性の獣の声は、やがて世界から掻き消える。
 町の襲撃を先導した魔性の魔物は、防塞の白き壁の前に、塵となって消え失せた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月29日


挿絵イラスト