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絶叫する魔物達

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●迫り来る騒音
 その村は活気に満ち溢れていた。
 今年は穏やかな気候と適度な降雨に恵まれて、近年稀に見る豊作であったのだ。
 収穫祭の準備に忙しなく飛び交う声と作業音も何処か心地良く、人々の耳を通じて幸せを振り撒いていた。
「□&○%$■☆♭*ーー!!」
 脳を突き刺すような絶叫を喚き散らす……"ヤツら"が現れるまでは。

●魔物のサウンドソルジャー
「皆さん、アックス&ウィザーズで、また事件です!」
 ウィンドボイス・スティレット(調律者・f00063)が、猟兵達の前で声を張り上げる。
「場所は、かの世界の辺境に位置する村落。
 豊穣を祝う収穫祭の準備を行っている所を、凄まじい奇声と共に魔物達が襲撃するようです」
 ただの奇声であれば、良かったのですが……とウィンドボイスは前置いてから一度顔を伏せて。
「私の見た予知で魔物達は、村への襲撃活動、その全てを"叫び声のみ"で行っていたんです……」
 ウィンドボイスが予知で見たという魔物の名前は、アルラウネ。
 幼児程度の知能と身体を備えた植物系モンスターで、直接的な戦闘力は決して高くはないが、聴く者の気を狂わせる叫び声は驚異的で、時には猟兵の扱うユーベルコードすら打ち消すほどの力を持っているという事だ。
「その可愛い外見に反して少々……いえ、結構大変な相手だと思われますが、どうか魔物達の討伐に力を貸して下さい!」
 お願いします、とウィンドボイスが大きく頭を下げる。
「そして、無事に討伐が終わったら、村のお祭りに混ぜて頂きましょう!
 とっても美味しそうな料理や果物も、バッチリ予知の途中に見えたんですよ! えっへん!」
 やがて頭を上げた彼女の顔は、猟兵達の勝利を信じて疑わない満面の笑みであった。


盛野玖磨
 昨年中は大変お世話になりました。
 本年もよろしくお願い致します。盛野玖磨で御座います。

 なんだあの可愛いモンスターは。正直、一匹くらい連れて帰りたい。だめ?
 ……などと思ってしまいそうなくらい可憐な見た目ですが、油断してはいけませんよ!

 今回のシナリオは、アルラウネ達が村に押し寄せてきた所から開始となりますので、最初からすぐに戦闘を始めていただけます。
 また、オープニングでグリモア猟兵が告げております通り、今回は最後に宴会シーンが入る予定です。
 是非、楽しい宴席を勝ち取って下さい。
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第1章 集団戦 『アルラウネ』

POW   :    ルナティック・クライ
【聞く者を狂わせるおぞましい叫び声 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    スクリーミング・レギオン
レベル×5体の、小型の戦闘用【マンドレイク(アルラウネの幼生) 】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ   :    リパルシブ・シャウト
対象のユーベルコードに対し【それを吹き飛ばす程の大音声 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ロザリア・ムーンドロップ
なんだか凄く可愛らしい敵ですね!
こんなにたくさんいれば、一人くらいおうちに持って帰っても
バレないでしょうか?

……バレますね。うるさいですし。
それにやっぱり村の皆さんを襲おうとしているのですから
退治しなければなりません。

可愛いけど成敗です!

【スチームエンジン】を使用しますね
ウィザードロッドに蒸気エンジンを載せて
思いっきり殴りかかってみます

エンジン全開でいきますよー!
もしかしたら相手の声も、エンジン音とか振り回すときの風を切る音とかで
かき消せるかもしれません。
気合を入れるのも兼ねて、一緒に叫ぶのもいいですね
皆さん、覚悟してください!

相手もこちらの攻撃を相殺しようとしてますけど
ここは真っ向勝負です!


フェル・ドラグニエル
「叫び声が攻撃手段となるのならば…っと。風よ!敵の叫び声から私を護って!」
「どうやら小型のマンドレイクを召喚しながら戦うみたいだね。
あのアルラウネの叫び声は無差別に被害を加えるというのならば、マンドレイクも纏めて撃退できるのでは?」
〈グラディウス・レプリカ〉を手に持ち、詠唱。
【トリニティ・エンハンス】を発動し、【風の魔力】を纏い防御力を強化しながら戦場に飛び出して戦います。
風の魔力ならば、叫び声を打ち消せるはず!
[情報収集]で得た知識が合ってればいいのだけど。
[2回攻撃/カウンター/力溜め/怪力]の技能を駆使して攻撃します
敵の攻撃を受ける際には[激痛耐性/盾受け/かばう/勇気]の技能を使います



「わー、なんだか凄く可愛らしい敵ですね!」
「けど油断はできないよ。どうやら小型のマンドレイクを召喚しながら戦うみたいだね」
 まず最初に戦場へ到着したのは、ロザリア・ムーンドロップ(月夜の雫・f00270)
 少し遅れてフェル・ドラグニエル(蒼翼の竜騎士見習い・f01060)も転送を終え、ロザリアの前へ出るようにして立つ。
「それにして数が多いですねー。
 これだけたくさんいれば、一人くらいおうちに持って帰ってもバレないでしょうか?」
 本気か冗談か、そんな言葉を漏らすロザリアだったが、建物すら破壊するような叫び声を持ったモンスターを連れ帰っても、絶対にバレてしまうだろうと、すぐに自ら思い直した。
「あのアルラウネの叫び声は無差別に被害を加えるというのならば、マンドレイクも纏めて撃退できるのでは?」
 フェルもまた自らの推論を述べながら、眼前の魔物達が持つ脅威を再認識する。
 だが、それでも。二人のやる事は決まっている。
 両者の視線が交錯し、共に頷きあった。
「可愛いけど、成敗です!」
 ロザリアの一声が開戦の合図。
 それぞれの武器を構えた二人の猟兵は、アルラウネの群れ目掛けて大地を蹴り、飛び出した。

「風よ! 敵の叫び声から私を護って!」
 フェルは【トリニティ・エンハンス】を発動させ、風の魔力を全身に纏う。
 アルラウネの叫び声は驚異的であるが、その本質が音である以上、大気を伝わる振動の類である事に間違いはない。
 であれば、風を纏う事で、その振動を打ち払える。という情報を信じての行動だった。
「こっちも! エンジン全開で行きますよーッ!!」
 その隣を疾走するロザリアは、手にしたウィザードロッドを大きく振り上げながら、杖に搭載した【スチームエンジン】を発動させた。
 蒸気と共に唸りをあげる彼女の武器はこの瞬間、魔法使いの杖と言うよりも、破壊力抜群のハンマーへと変貌した。
『ギィィィィィィッ!!』
 二人の果敢な突進に対して、アルラウネ達が叫び声を上げて迎撃を試みる。
 一匹の其れでも凶悪なアルラウネの【ルナティック・クライ】――その大合唱。
 頑丈な金属ですら容易に破壊する威力を持った叫び声の渦が迫る。
 だが……!
「ハァァァァァッ!!」
 フェルは一切怯む事なく突き進み、風を纏ったグラディウス・レプリカを力強く振りあげた。
 結果、眼に見える形で周囲の大気が歪み、アルラウネ達の叫び声を見事打ち払う!
「どっ、せぇぇぇぇぇい!!」
 そこへロザリアが大きく跳躍して飛び掛かり、全力で杖を振り下ろした。
 乾坤一擲の重撃が、一匹のアルラウネを直撃する。
 身体の一部を文字通り粉砕されたアルラウネは、再度絶叫をあげようとするものの、そこへフェルの第二撃、神速の斬撃によって斬り伏せられ、やがて動かなくなった。
 二人の視線が再度交錯する。
 その口元には、共に微笑みが浮かんでいた。
 ――これなら、いける!

「次、いくよッ! 風よ、我が剣に宿れ!」
「全員、覚悟して下さいね! でえぇぇぇぇい!」

 その後も彼女達の猛攻は続く。
 二人は獅子奮迅の活躍で、魔物達の群れを切り開く事に成功した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

城田・紗希
逃げるお餅は美味しかったけど、逃げる…人参?大根?って美味しいのかな…。
美味しくなくても、アルダワ学園に持ち込めば魔法薬にしてもらえる…?
(好奇心で首を傾げつつも食材…じゃなかった獲物探し)

アウラウネは見つけ次第、ウィザードミサイルで攻撃するよ!
叫び声が届かないよう背面攻撃を優先しつつ、見られないよう左右の死角からも攻撃を…。
……しまった、黒焦げになったら味見も魔法薬にもできない…


佐藤・非正規雇用
【POW】

【サイコキネシス】で、敵の声の射程外から攻撃を試みる。
【2回攻撃】を利用すれば、打ち消されても
ゴリ押しできそうだな。

「コイツ、男なのかな女なのかな……。
いや。性別はどうあれ、ぶち転がす!!
俺の力で、悲鳴という声をあげさせてやるぜ!!」

村には沢山のアルラウネが押し寄せているらしいな……。
一匹倒したぐらいじゃ安心できねぇな。
虱潰しに探し出して、おろしワサビみたいにしてやるぜ。

コイツの裏には黒幕がいるだろうから、
見せしめにして倒せば、他の個体が情報をくれるかもしれないな。



「逃げるお餅は美味しかったけど……
 逃げる……人参? 大根? って美味しいのかな…」
 先陣を駆ける二人に続く形で戦場に転送されたのは、好奇心を抑えきれない様子の城田・紗希(人間の探索者・f01927)と……
「コイツら、男なのかな、女なのかな……
 いや、性別はどうあれ、虱潰しに探し出して、おろしワサビみたいにしてやるぜ」
 でも女の子だったら良いなー、とか本心では思っていそうな実は女性好きドラゴニアン、佐藤・非正規雇用(ベリーロール・f04277)であった。
『ギギッ……?』
 まずは、佐藤が一歩前に出る。これに気付いた様子のアルラウネ達だったが、未だ佐藤は叫び声の射程外。
 わらわらと群がって来るアルラウネ達に少しだけ和みながらも、佐藤は身に纏った学園服の上着を翻し、高らかに叫び声をあげる。
「ふはははははっ!
 俺の力で! 悲鳴という声をあげさせてやるぜ! 良い声で鳴きなァ!」
 佐藤が発動させるユーベルコードは【サイコキネシス】
 決して目で見る事は適わないサイキックエナジーが、反撃を許さない二重の波となってアルラウネ達を攻撃する。
『ギィ、イィィィィッ!!』
 佐藤の目論みと発言通り、苦痛の色も伴ったアルラウネの絶叫が、戦場に響き渡った。
 だが、相手の有効射程外とはいえ、決して無視できない音量と衝撃が佐藤を蝕む事にもなる。
「くっ……だが、これも黒幕を暴く為の見せしめになるのだ……!
 もっとだ、もっと良い声で鳴――あっ、ちょ、ほんっとうるさ。ごめんなさい僕が悪かったです」
 徐々に威勢を欠き、ついには両耳を塞ぎながらくねくねと悶え出す佐藤。
 ――ゴ、オオッ……!
 その時、アルラウネ達へ向けて数多の炎が降り注いだ。
 アルラウネの叫び声に備え、死角から攻撃する事を選択した紗希が放った【ウィザードミサイル】である。
「……あの、無理しちゃだめだよ?」
「フン。一応礼は言っておこう」
 紗希が色々と心配そうに声をかけるのに対し、精一杯の虚勢を張って返す佐藤。
「よし、ここからは私の番だね。
 手当たり次第、やっちゃおう!」
 奇しくも佐藤による陽動、紗希による奇襲攻撃が成立した事を受け、戦況は一方的と言って差し支えないほどに優勢であった。
 轟々と身体を灼かれたアルラウネ達は、飛来する攻撃をリパルシブ・シャウトで相殺を図る事すら、最早適わない。
 紗希の手によって間断なく打ち込まれる炎の矢によって、次々と消し炭になっていった。
「あ、しまった……
 黒焦げにしちゃったら、味見も魔法薬にもできないね……」
 ふと紗希が思い返した頃には、生き残っている個体は僅か一匹のみ。
 命からがら、といった体で戦場から逃げ去っていく。
「……ねぇ。ここまで退治すれば、最後の一匹くらい持って帰っても良くない?」
「いや待つんだ。手負いのネズミは何をするか分からん。ここは俺が……!」
 そんな掛け合いを繰り広げながら。
 佐藤と紗希は、我先にと最後の獲物を追って走り始めた。

 こうして、四人の優秀な猟兵達の活躍によって、村を騒がせるアルラウネ達の脅威は取り除かれたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ハーピー』

POW   :    エキドナブラッド
【伝説に語られる『魔獣の母』の血】に覚醒して【怒りと食欲をあらわにした怪物の形相】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    ハーピーシャウト
【金切り声と羽ばたきに乗せて衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ハーピーズソング
【ハーピーの歌声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●舞い降りる絶叫
『ギッ、ギィィィ……!』
 泣きそうな表情で戦場を逃げ惑う、最後のアルラウネ。
 だが、それは紛れもなく魔物。捨て置けば無自覚だとしても、人里を無残に破壊してしまう存在なのだ。
 猟兵達は、情けを振り払ってアルラウネへ追いすがった。
 しかし、その時――

『Ahhhhhhh――!』

 新たな叫び声は、空から飛来した。
 それは、大型の猛禽類を思わせる立派な翼、屈強な脚とは裏腹に、一見として天真爛漫な笑顔を湛えた少女の上半身を持つモンスター。
「あーもう、またハーピーですか!
 そういえば、彼女の叫び声も凄いんでした!」
 ウィンドボイスの言葉通り、ハーピーの着地点に立っていたアルラウネは、哀れにもぐるぐると眼を回して昏倒していた。
「皆さん、あのハーピーも討伐目標です!
 連戦となってしまって申し訳ないんですが、どうかお願いします!」
 絶叫続きの戦場で、耳鳴りが酷い。
 それでも、力の限り声を張り上げて、ウィンドボイスは猟兵達へ声援を送った。
ロザリア・ムーンドロップ
あれは……鳥でも飛行機でもなくハーピーですね!
私、見たことあります!

前に見た時は爪を警戒して遠距離攻撃を仕掛けたんですが
今回は『これ』があるので、バッチリ決めにいきます!

そうです! 『バールのようなもの』です!
伝説の武器ですね!

見た目も名前も【ウィザードロッド】に見えますか?
そうですね、【ウィザードロッド】です。
でも大丈夫! 細長くて棒状のものであれば、それ即ち
『バールのようなもの』という概念なんです!

つまり概念で殴ります! エンジン全開で殴ります!
自分を信じれば何でもできる! 私はそう思います!

ウルトラコズミックバールのようなものストライクです! ファイヤァァーー!!


フェル・ドラグニエル
「あれがハーピーか! みんな!強敵だけども乗り切るよ!」
「誰一人欠ける事なくこの戦いを終わらせるために!行くよ!」
〈グラディウス・レプリカ〉を掲げながら勇ましく【竜技・攻勢の号令】で周囲の味方を鼓舞してから敵へと吶喊し、攻撃を仕掛けていきます。
攻撃時には[2回攻撃/カウンター/力溜め/怪力]の技能を使用します。
敵の攻撃を受ける際には[盾受け/かばう/勇気]の技能を使います。



「あれは……鳥でも飛行機でもなくハーピーですね!
 私、見たことあります!」
 戦場へ降り立ったハーピー。これと真っ先に対峙するのは、アルラウネ討伐の最前線を駆けていたロザリア・ムーンドロップ(月夜の雫・f00270)と。
「なるほど、あれがハーピーか! みんな、強敵だけど乗り切るよ!」
 フェル・ドラグニエル(蒼翼の竜騎士見習い・f01060)の二人。
 休憩を挟む事もままならず連戦となってしまったが、二人の戦意は一向に衰えている様子はなく、むしろ高まっているようにすら感じられた。
「前回は安全策を講じましたが、今回は"コレ"でバッチリ決めに行きますよ!」
「おお、なんか凄い! 私も負けずに頑張らなきゃ!」
 既に戦闘経験のあるロザリアが自信満々に言い放つと、フェルもまた、グラディウス・レプリカを握り直しながら、頼もしそうにロザリアに笑顔を向ける。のだが。
「ジャジャーン! 伝説の武器、バールのようなもの!」
「……はい?」
 視線の先で彼女が掲げている武器を見た途端、フェルの笑顔が固まった。
「見た目も名前もウィザードロッドに見えますか?
 そうですね、ウィザードロッドです。
 でも大丈夫! 細長くて棒状のものであれば、それ即ち『バールのようなもの』という概念なんです!
 つまり概念で殴ります! エンジン全開で殴ります!
 自分を信じれば何でもできる! 私はそう思います!(ここまで一息)」
 ふんす、と鼻息を荒くして。これ以上ないくらいのドヤ顔を見せつけるロザリア。
「……あ、あれ? ロザリアさんって、そういうキャラだったっけ……?」
 もしかすると先ほど薙ぎ倒したアルラウネの叫び声が、ちょーっとばかり悪さしちゃったかなー、と内心で心配しながら、引き攣った笑いを浮かべるフェルだったが。
「行きますよー! 突撃ーっ!」
「あ、ちょっ――仕方ない、私も! 行くよ!」
 すぐに気合を入れ直し、一直線に飛び出していくロザリアを追うように飛び出した。誰一人欠ける事無く、この戦いを終わらせる。その決意を示す為に。

『キィィィィィッ!!』
「くっ、重――ッ!?」
「うわわっ! か、風が……!?」
 ハーピーは迫り来る猟兵達に向けて、幾度となく強烈な絶叫と羽ばたきによって生じる衝撃波を撒き散らす。
 フェルが手にした盾を使い、ロザリアを庇うようにしながら辛うじてこの衝撃波を受け止めるものの、後ろへ吹き飛ばされないようにするのが精一杯で、二人は攻撃に転じる事が出来ないままでいた。
「ロザリアさん……! バラバラに仕掛けても押し返されちゃう!
 私がサポートするから、行って!」
「わ、分かりました……! ありがとうございます、フェルさん!」
 両の足で大地を踏みしめながら盾を突き出し、後ろのロザリアに突破口の一撃を託すフェル。
 ロザリアもまた、ウィザードロッド――もとい、バールのような杖に搭載されたスチームエンジンを発動させ、彼女の想いに応えようとしていた。
 肉眼では捉えにくい衝撃の渦が、尚も二人を打ちつける。
 徐々に押し戻されていく細身の身体。心が折れれば、今にも弾き飛ばされそうだ。
 そして何より、ハーピーの絶叫が。その圧倒的な声量が、強く頭を揺さぶる。
 だが、それでも。フェルは奥歯を噛み締めながら、これに負けじと吼え立てる。
「私たちの、明日のため……! この地に住む者の、明日のために!
 ――ッ、志を! 同じく、持つ者よ! 汝らに――、猛き竜の加護あれ!」
 竜技・攻勢の号令《ドラグ・アーツ・アタックオーダー》
 それは、竜騎士たる彼女独自のユーベルコード。
 己一人ではなく、共に戦う戦友と共に在る為の竜技。
 彼女の魂、そして竜の魔力を伴った号令が戦場に響き渡った。
 ――そして。
 これを受けたロザリアが、大地を蹴り飛ばして前へ出る。
 風は決して止んでいない。
 ハーピーは今もなお、耳が千切れるような金きり声をあげ、大きな翼を振り回して突風を巻き起こしている。フェルの号令にただならぬモノを感じたのか、その勢いはむしろ増しているようだ。
 だが。それがどうした。
 自分を信じてくれた仲間がいる。ならば、応える以外の選択肢は無い。
 蒸気エンジン、フルバースト。
 グラグラとする頭、ぼやける視界。それでも見つめる先は、ハーピーのどてっ腹、ただ一点。
「ウルトラコズミックバールのようなものストライクです!」
 ――ゴ、ゥンッ!
 通常ならば振るっても押し返される突風の中で、ロザリアの『バールのようなもの』は――これに勝る推進力を発揮する!
「ファイッ、ヤァァァァァーー!!」
 この時のロザリアの雄叫びは、絶叫で名を馳せるハーピーのシャウトに勝るとも劣らなかったと、後に戦友は語る。
『ギャ、ッ――!』
 乾坤一擲。
 力強く撃ち込まれたロザリアの一撃で、ハーピーの身体は大きく後方に吹き飛ばされ、大地に打ち付けられた。

 この瞬間、一時的にだが戦場を覆い尽くしていた音と風が止んだ。
 それは、猟兵達が猛攻をかけるチャンスが出来たという事。
 この二人はまたもや、味方にとって大きな戦果をもたらしたのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヴィゼア・パズル
聞き耳技能がここまで難儀する依頼とは… (耳を抑え)賑やかや和やかは好ましいが…喧しさは好きでは無くてな…
【WIZ】使用、アドリブ絡み歓迎
良い爪、良い羽だ…素材としても一級品だな?
【地形を利用】して攻撃回避し【カウンター】にて【マヒ、二回、属性攻撃】の【鎧砕き、全力魔法】を叩き込む
【空中戦】にて多少浮かべば花弁の檻へ閉じ込め切り刻み弱らせよう。

―――あと、一歩か。


城田・紗希
アウラウネを持ち帰るためにも、ハーピィ倒すよ!
……なんか主目的、忘れてる気がする(首かしげつつも戦闘準備)

攻撃はウィザードミサイル、今回は打ち消される心配がないから包囲するように撃つよ!
あ、でも、シャウトで打ち消してきそうだし、なるべくタイミングはずらして撃とうかな……。
叫ぶ前に打ち込むか、叫び終わってから(立ち直ってから?)矢を生み出すか……
どっちにしろ、矢はフェイクとか使う余裕はないし、余裕があってもフェイクはしないよ!

……そういえば、なんかを追いかけてハーピィと遭遇した気がする
(戦闘でアウラウネを忘れてる)


虎熊・月霞
 おー飛んでる飛んでるー。こういう敵って降りてきた瞬間が狙い目って、相場が決まってるよねぇ。という訳で隙見て斬りつけるよぉ。

 【忍び足】で近付いてぇ、【怪力】全開で真っ二つってね。危なかったら【武器受け】したりー、余裕なら【カウンター】も狙って行こうかなぁ。【2回攻撃】も出来るし『剣刃一閃』でならハーピィの攻撃を斬り割く事も出来るかな?切れたら返し刀で斬りつけるとかね。
 あと、また空に逃げられたらめんどくさーいし、羽を狙ってみようかな?飛べなくなったら優位になりそうだね。

 あんまり五月蠅いの僕、苦手だからなぁ――その『声』ごと斬断してあげないとね。



「おー、派手に飛んだねー」
「ああ、助かった。賑やかや和やかは好ましいが、喧しさは好きでは無くてな……」
 虎熊・月霞(電紫幻霧・f00285)とヴィゼア・パズル(風詠う猟犬・f00024)が戦場に並び立ち、先の二人の活躍を見届ける。
 ヴィゼアは少しばかり苦い表情で、ピンと立った自らの耳を抑えていた。
 基本的には有利に働くはずの聞き耳技能が逆に仇となる。今回の敵は、そういった手合いだったからだ。これで少しは、動きやすくなると良いのだが。
「でも、ここまで来たらさ!
 アルラウネを持ち帰るために、あのハーピーも倒すよ!」
 二人の前に立つ形で城田・紗希(人間の探索者・f01927)も元気良く、手負いのハーピーを指差しながら叫んでいた。
「それは、素材として……だよな?」
 ヴィゼアの突っ込みめいた呟きは、果たして彼女の耳に届いたかどうか。
「どーでもいいけどー。
 こういう敵って、降りてきた瞬間が狙い目って、相場が決まってるよねぇ。
 立ち話してる場合じゃ、ないんじゃなーい?」
 そこへ月霞が冷静に、でも何処かのんびりとした口調で意見する。
「その通りだな。――早速、始めよう」
「オッケー! やっちゃうよー!」
 にんまりと笑みを浮かべ、勢いよく両手を広げる紗希。
 瞬時、彼女を中心とした空間に、百に迫ろうかという数の炎の矢――即ち、ユーベルコード【ウィザード・ミサイル】が出現した。
 先手必勝。叫ばれる前に決める。
 そう心に決めて。今まさに、よろめきながら立ち上がるハーピー目掛け、紗希はその場で思い切り拳を振り抜いた。
 それが掃射の合図となって、矢の嵐が敵を包囲するように降り注ぐ。
『ギ、イィィィィッ!!』
 フェイクに使う余分などあるものか。出し惜しみ無く畳み掛ける。
 隙間無く降り注ぐ数多の炎に対しハーピーもまた、得意の絶叫と羽ばたきによる暴風を以って迎撃を試みるが、処理が追いつかない。
 ゴ、ゴ、ゴ――ゥン……!
 着弾。破裂。炎上。大気を震わせる衝撃音。いや、それは爆発音だといった方が正しいようにすら思える光景が戦場を支配する。
 その一角で、大空へ飛び上がっていく影があった。ハーピーである。
 全身に火傷を負い、飛翔したというよりも、爆風によって上空に打ち上げられたという方が正しいか。
 それでも懸命に翼を操り、自分にとって有利な空中へと身を躍らせる。
「――そうはいきません。残念ですが、堕ちて頂きましょう」
 これを追う形で宙へ上がったのは、ヴィゼアである。
 戦場に鎮座する巨石を用いて敵味方の壮絶な攻撃の余波から身を防ぎ、更にこれを足場として天高く跳躍したのだ。
「時渡り風に乗り、姿変えし蝶の翼よ――遊べや遊べ」
 高所へ身を投げたとしても。戦場が依然、轟音に包まれていたとしても。
 その表情は、その心は。吹き抜ける一陣の風が如く。
 乱れなく高速詠唱を終えると共に、手にしたフロゥラをハーピーへ向けて投げ放った。
 獲物へ向かった宙を突き進む精霊杖は、やがてその姿を無数の花びらへと変貌させる。
 黒蝶ダリア――その花言葉通り大空を優雅に舞うその花びらは、されど残酷に敵を切り刻む鋭利な刃。
 ユーベルコード、黒時渡蝶の舞。
 風の精霊の力を宿した花弁の檻に囚われたハーピーは、その身を幾重にも切り刻まれて地上へと墜落した。
 だが。
「――あと、一歩か」
 ヴィゼアが眼を細める。
 彼の漏らした言葉通り、とどめの一撃には至らなかったようだ。
『キィィィヤァァァァァァァァッッ!!』
 これまでにない絶叫が、戦場に木霊する。
 エキドナブラッド。
 瀕死の危機を悟ったハーピーが、その血に眠る魔獣の力を解き放ったのだ。
「うるっ、さ――! ちょっと、アレやばくない!?」
 あまりに様変わりしたハーピーの形相と彼女の放つプレッシャーに気圧されて、紗希が焦りの声をあげる。
「……確かに、ああなったハーピーは始末に負えないが」
 その隣に華麗に着地するヴィゼア。少し眉間に皺を寄せ、両耳を手で抑えている。 憤怒に満ちた形相のハーピーが、そんな二人の姿を認め、尚雄叫びをあげた。
「だが。問題では無いさ」
 ――ズ、シャ……!
 涼しげにヴィゼアが告げた瞬間。
 ハーピーの自慢の大翼は、彼女の身体から見事に切断されていた。
 切断面から大量の血飛沫が舞い上がる。痛みに悲鳴をあげるハーピー。その横で。
「勘弁してよねー。あんまり五月蠅いの僕、苦手なんだからさぁ……」
 大振りの野太刀を手に、ジト目を向けた月霞が立っていた。
 その小柄な少女は、ただ何気なく。忍び足のようにゆるりと獲物に近づき、隙を見て。剣刃一閃の一太刀を振るったに過ぎなかった。
 だが、ハーピーにとっては十分に致命傷だ。
 魔物は怒り狂い、絶叫をあげる。
 せめてコイツを道連れにして殺してやる。そうしてやらねば、気が収まらぬと。
 両の眼を深紅に染めながら鋭利な鉤爪を持ち上げて、月霞に向けて振り降ろす。
 零距離のハーピーシャウトと、鋭い鉤爪の二重攻撃が迫る。
「だから――」
 その刹那、童子切・鬼血の剣閃が煌いた。
 羅刹の怪力を以って繰り出される全霊、且つ神速の一撃。いや、二撃。
 ハーピーは、鉤爪を備えたその足首と胴体の二箇所を切り落とされ、瞬時に絶命した。
「その声ごと、斬断してあげないとね。
 ……ふぅ。やーっと静かになった」
 野太刀を振るって血糊を払いながら、月霞は変わらぬ口調で告げた。
「ああ。お疲れ様、だ」
「あは、あははは……
 うん。とりあえず、大勝利って事で!」
 そんな彼女へ向け、ヴィゼアと紗希がそれぞれ歩み寄る。
 こうして今、勇敢な猟兵達の活躍により、村を脅かす脅威は全て取り除かれたのだ。

「……あれ? そういえば私、なんかを追いかけてハーピィと遭遇した気がする……?」
 村への帰る途中。
 紗希は何かを忘れているような気がしたが、深く気にしない事にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『全部終わったら後は宴会だ!』

POW   :    食え! 飲め! 倒れるまで!

SPD   :    食べよう、飲もう。誰かに押し付けつつも目分量で。

WIZ   :    食べよう、飲もう。但し己の腹のお肉と要相談で。

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「皆さん、お疲れ様です!」
 魔物達の討伐を終え、村へと帰還した猟兵達をウィンドボイスは笑顔で迎え入れた。
「皆さんの活躍を、村の皆さんも見ていたそうです!
 凄く感謝してくれて、ぜひ宴会にお誘いしたいと!」
 まぁ、あれだけ大きな声と音が響いていれば、観戦者が殺到するのも当然だっただろうか。
 猟兵達は共に顔を見合わせ、苦笑いを漏らす者もいた。
「折角なので、お呼ばれしましょう!
 あ、宴会だけ参加するって方も全然オーケーですよ!」
 宴は、人々の心に潤いをもたらす。
 今回は猟兵達の活躍で事なきを得たが、危うく大惨事に見舞われたかもしれない住民達。
 彼らを真の意味で救う為にも、この宴席を成功させて帰りたい。
 難しい事はない。ただ、一緒に楽しんであげてくれれば良いんです。
 ウィンドボイスは少しはにかみながら、そう猟兵達に伝えるのだった。

「さぁ、皆さん!
 食べますよ! 歌いますよ! 遊びますよー!!」
フェル・ドラグニエル
「それではお言葉に甘えて…宴会だー!!私、もうお腹ペコペコなんだよね!」
使用する能力はPOWです
音頭を取るならば【竜技・攻勢の号令】に乗せて
「みなさん、今日はありがとうございます。そして皆さんお疲れ様でした!乾杯ー!」と音頭を取ります
思いっきり、食べて飲んでと大騒ぎします!
「この料理も、お酒もおいしい~♡」
今回の依頼で共に戦った人に会ったら
戦闘の事を振り返りながら語り合ったりもしてみたいですね
そういや私たちの戦いを観戦していた村人もいるのだっけ?
村人から見た私たちの戦いっぷりも気になるね。聞けたら聞いてみようか。

他の参加者との絡みやアドリブは大歓迎です
思いっきりはしゃいで騒いで楽しみたいです


ヴィゼア・パズル
なりは小さくても美味いものには目がなくてな。喜んでお呼ばれしよう!
食事を摘み、プレート片手に上機嫌なまま尾をうねらせる
演奏家達の演奏でもあれば、村人と共に踊り遊ぼうかね
見慣れない楽器の扱いでもあれば村人から教わって弾いてみても楽しいな。……ヘタクソ? 別に良いんだよ
UBは武器でなく花弁舞い散る演出として
敵を倒した祝いと、仲間への労いの意味を込めて


柊・弥生
やった!やった♪
勝ったんだね!おめでとー!!

せっかくのお祝いだもの!
いぃぃっぱい楽しまなきゃ♪
んとんと、祝いのハープでお祝い用の華やかな曲を演奏すればいいよね?
それからガウガウさんに一緒に踊ってもらおう!
参加したい動物たちも一緒に踊って、最後はみんなでワイワイするの!

あ、もちろんお腹いっぱいご飯も食べるよ!
出来れば甘いものいっぱい食べたいなぁ、果物とか大好きだよ!



●宴会だ!
「村の皆さん、今日は素敵な宴席をありがとうございます。
 猟兵の皆さんは、本当にお疲れ様でした。
 それでは不肖ながら、乾杯の音頭を取らせて頂きます!」
 フェル・ドラグニエル(蒼翼の竜騎士見習い・f01060)が木造のエールジョッキを片手に前へ出る。
 宴席の舞台は、村唯一の酒場。お世辞にも広々としているとは言えないが、多数の村人と猟兵達が集っても若干の余裕を残すだけのスペースが確保されていた。
 テーブルに並べられる料理の数々は、いずれも採れたての新鮮な肉、野菜、果物を贅沢に使った逸品だ。
「よっ、竜の姉ちゃん! アレ聞かせてくれよ、戦の時に叫んでた格好良いヤツ!」
 中年の男性がジョッキを掲げてコールする。
 おそらくは、ハーピー戦にて披露したユーベルコード――竜技・攻勢の号令《ドラグ・アーツ・アタックオーダー》の事だろう。
「え、えぇ……?」
 流石に今は非戦時だ、多少なりの恥ずかしさもあるのか。それとも単に急の野次に驚いたのか。フェルが困惑の声をあげる。
「はっはっは、良いじゃないか。
 あの時はじっくり聞けなかったからな、今一度聞いてみたい」
「私もー! 私も聞いてみたいのよー!」
 村人のコールに続く形でヴィゼア・パズル(風詠う猟犬・f00024)がにこやかな微笑みを、柊・弥生(獣婚師・f01110)が無邪気な笑顔を、それぞれフェルに向けた。
「も、もう……
 分かりました。それでは――こほん」
 やがてフェルは、少しはにかみながら覚悟を決めたように咳払いを一つして。
「私たちの明日のため! この地に住む者の明日のために!
 志を同じく持つ者よ! 汝らに、猛き竜の加護あれ!
 ――乾杯!」
「「「乾杯ーっ!」」」
 高らかに叫ばれる竜の魔力が宿った音頭。
 その場にいる者達もこれに続き、全員が一丸となってジョッキを掲げ、叫んだ。

●猟兵達の交流
「それではお言葉に甘えて……! 私、もうお腹ペコペコなんだよね!」
 大役を終えたフェルは瞳を輝かせ、両手に食器を携えながらテーブルに並べられた料理達へ飛び出していく。
「んー! この料理も、お酒も、みんな美味しいー!」
「ほう! それは楽しみだ。なりは小さくても美味いものには目がなくてな」
「――あ、ヴィゼアさん! お疲れ様です!」
「そちらこそ。最前線での活躍、お疲れ様、だ」
 そんなフェルに続く形でヴィゼアがプレート片手に料理を摘みにやってきた。のんびりとした面持ちだが、その長い尻尾が上機嫌にゆらゆらと揺れている。
 二人は直接的な共闘は無かったが、共に同じ戦場を駆けた者同士。自然と、互いを労う言葉が交換された。
「戦場では身を挺して仲間を護る、実に頼もしい騎士様とお見受けしたが。
 ひとたび日常に戻れば、君も一人の女の子……という訳だな」
「うっ……か、からかわないで下さいよ!」
「ははは、気を悪くさせたらすまない。微笑ましいな、と感じたまでだ」
 事実、両手いっぱいに料理と酒を抱え込んで心から宴会を楽しむフェルの姿は、ヴィゼアにとって魅力的に感じられただろう。
 そんな彼女の姿がまた、ヴィゼアにも和やかな微笑みをもたらすのだ。
「あはははっ、せっかくのお祝いだもの! いぃぃっぱい楽しまなきゃ♪
 私、果物大好きだよ! ヴィゼアー、一緒に食べようー!」
 そしてここにも、もう一人。天真爛漫に宴会を楽しむ少女、弥生がいた。
 身体の半分以上はあるだろう林檎の果実を両手で抱えながら、知った仲であるヴィゼアの下へ、ふよふよと飛んでくる。
 お嬢さん、どうみても重量オーバーですよ。落ちないように気をつけてね。
「ありがとう弥生。それじゃあ、半分こ――いや、フェルと三人で分けよう。良いかな?」
「もちろんなのよー! お姉さんも、甘い物好き?」
 ヴィゼアの提案に弥生は快く応じ、満面の笑みを浮かべてフェルの顔を覗き込む。
 笑顔を向けられたフェルもまた、膝を軽く曲げて弥生へ顔を近づけて。
「――うん、大好きだよ!」
 とびきりの笑顔で応じるのだった。

●小さな演奏会
「ガウガウさーん! 一緒に踊ってー!」
 宴会も最高潮。酒場の中心では、小さな演奏会が開催されていた。
 先導するのはフェアリーの弥生。小さなハープを一生懸命奏でて、場を盛り上げている。
 ユーベルコード【ライオンライド】で喚び出したライオンの頭に飛び乗って、彼と一緒に踊り出す。
「あははっ! とっても楽しいのー!
 ――って、おわっ、おわわっ!? 揺れ、揺ーれーるーのー!?」
 命じられたまま楽しげに踊るライオンさんの頭の上は大地震。弥生はトランポリンにでも乗っているかのように、ぽーん、ぽーんと弾んでいた。
 その様子が滑稽で愛らしく、周囲の観客は全員が笑い転げていた。
 ただそこにいるだけで誰かを笑顔にできる。弥生には、そんな素質があるのだろうか。
 ヴィゼアが和やかに眼を細めながら、想う。
「どれ、私も演奏に混ざるかな。
 どこかに楽器は――ああ、これで良い。そこの君、この楽器の扱い方を――」
 手近な村人へ声をかけ、管楽器の鳴らし方を一通り伝授してもらう。子供用、という事だったが、ヴィゼアのサイズ的には丁度良い。
「弥生。私も混ざろう」
 そう言って、彼女達が演奏している場所の近く。テーブルの上に腰を降ろして笛を咥える。
 どこか気品を纏う物腰穏やかなケットシー。彼が行うその動作は、実に様になっていた。彼の奏でる音を聞き逃すまいと、宴席が一瞬静まり返った。
 ――――――
 ――――
 ――ぴょ、ひー。
 酒場に鳴り響いた音は、酷く掠れて、間が抜けていた。
「あは、あはははははっ!」
「ぶはははははっ! おいおい、期待はずれだなぁ!」
「あははははー!」
 フェルが。村人が。弥生が。
 皆、腹を抱えて笑い転げていた。心から、面白おかしいと笑っていた。
 ――良いんだよ、これで。
 尚もヴィゼアは、実に間の抜けた音を奏で上げて観客の腹筋を追撃する。
 その音色に乗せるように発動させるユーベルコード、黒時渡蝶の舞。
 顕現したダリアの花びらは、誰一人傷つける事無く。煌びやかな舞いを以って宴席を彩る。
「――好いな、とても」
 こうして猟兵達はまた、とある世界に息づく命を救い。その活躍は、雄姿は。心は。
 人々たちの胸に、暖かく刻み込まれたのだった。

 ――Moving Next Period……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月25日


挿絵イラスト