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整地のお時間です

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●悪趣味な庭園
 ダークセイヴァーの世界では今日も悲鳴が轟いている。薔薇園のあちらこちらには磔にされた領民たちが血を垂れ流していた。
「今日も綺麗に咲いたわねぇ。うふふ、もっともっと栄養をあげなきゃ」
 薔薇園を見て回っていたヴァンパイアが一番綺麗な赤に染まったを一輪、手折ると髪に差す。新しい養分を求めてその場を離れた。
 すすり泣き、悲鳴をこぼすモノたちを残したまま。

●整地してしまおうか
 差深月・紫音(羅刹の剣豪・f02193)が土建屋のような恰好でやってきた。ご丁寧にツルハシもある。
「なぁ、整地しに行こうぜ?」
 唐突に言い出した奴にまたかと思う者もいるかもしれない。が、そんなことを気にせず紫音は話を続けた。
「関所の奥に人間の血で育てられてる薔薇園がある。そいつを潰してほしい。ついでにそこを管理してるオブリビオンの退治も頼む」
 オブリビオン退治がついでになっているが、これでも仕事はできるグリモア猟兵のはずだ。きっと……。
「関所は捕まえてきた人間を逃がさないためにある。そいつが残ってたんじゃ今後面倒になるんで壊してくれ。庭園のほうも似たようなもんだな。いつまでもそこに残しとくのも周りの連中からしたら辛いんじゃねぇかと思う。捕まってるやつらの手当てと逃走の手助けをしてくれ」
 仕事の内容はまっとうだった。多少、気持ちが前に出すぎているだけで。
「そのオブリビオンだが……なんというか、あれだ。かなりインパクトがデカいんだよ。圧倒されない様に気を付けてくれよな?」
 どこか目をそらしながら言葉を濁す姿に疑問も残るが、猟兵たちはそれぞれの想いを胸に世界を渡るのだった。


紫雨
 お久しぶりです、紫雨です。
 今回が三作目となりますが、まだまだ不慣れが目立ちます……。
 このシナリオはギャグよりになるかな? と思いながら作成しましたが、皆さんのプレイング次第でギャグにもシリアスにもなります。
 どちらを選ぶかは皆さん次第。素敵なプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『関所破壊』

POW   :    力づくでぶっ壊す

SPD   :    技術を駆使して分解する

WIZ   :    魔法や頭脳でもって崩壊させる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

苧環・つづら
人血薔薇、なんて。さぞ怖気の走る代物でしょうね。
インパクト絶大なる何方か様の御尊顔を拝する為にもまずは一仕事。

見た事ない怖い何か(という体のサモニング・ガイスト)に追われて関所前まで逃げてきた民人を装う……ってダメだ迦河稚ちゃんじゃ演技無理、自力決定!男言動徹底!

――や、止めろ、近づくな来るなーっ!とか喚きつつ、ガイストに指差し指示で関所攻撃。
指示しながら衝撃波での破壊サポートもアリかしら。
万が一守衛さんがすっ飛んで来たら怯えて震えてる振り、からの至近距離に寄って来た瞬間だまし討ち敢行。
騒ぎが大きくなり過ぎないうちに逃亡という名の撤退、ガイストはもう少しだけ粘って貰ってから退却をお願いね。



 苧環・つづら(残響にて紡ぐ円環・f06155)が関所の死角にあたる岩影にいる。
「荒事なら迦河稚ちゃんの出番なんだけど、演技は無理よね」
 溜め息をつきながらつづらは古代の戦士の霊を呼び出す。関所まで呼び出した霊に追われながら行き、関所を壊すという作戦らしい。
 本来なら荒事を請け負っている迦河稚に任せようとしたのだが、演技をしなければいけないという事でつづらがやることになった。
「さぁ、行くわよ! じゃなかった、行くぞ!」
 普段のおっとりとした口調ではなく、男らしい言動で声をあげると駆け出した。その後ろを戦士の霊が追いかけてくる。槍を振り回し、炎を飛ばしながら。炎は関所目掛けて飛ばされているのだから徹底している。
「や、止めろ! 近づくな、く……来るなーっ!」
 響く声、身ぶりを交えて逃げる姿は間違いなく怯えている一般人だ。身ぶりのなかに戦士の霊にたいして関所への攻撃を指示するサインを織り混ぜている。戦士の霊は返答を返さないものの、間違いなく関所の巨大な扉へ槍を突き込んだ。
「守衛さんはいないのかしら? それならいいんだけど」
 あれだけの騒ぎにオブリビオンらしきもの、支配下に置かれているものも出てこない。つづらも衝撃波を扉にぶつけながら破壊のサポートを行う。
 巨大な扉が軋む音を響かせ、扉に深く傷をつけていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エグゼ・エクスマキナ
「我はあえて一番丈夫そうな場所を破壊しにいく。
何故なら大黒柱とか、壊れると困る場所が一番丈夫に出来ているからだ!!(ドヤァ)」


「我が太刀に断てぬ物無し
喰らえっ、エクスターミネーターソード!!(メイスです。ついでに言うなら巨大モンキーレンチです。)

という訳で重要かつ頑丈そうな構造部を狙ってガンガンいく。

使用技能は
怪力2、薙ぎ払い3、鎧砕き3
気合い3,等。



 巨大なモンキーレンチを担いだ女性、エグゼ・エクスマキナ(エクスターミネーターソード・f00125)は関所の前で仁王立ちしていた。
「我はあえて一番丈夫そうな場所を破壊しにいく。何故なら大黒柱とか、壊れると困る場所が一番丈夫に出来ているからだ!!」
 堂々と言い放ち、門扉の構造をじっくりと観察していく。少しでも頑丈な場所、構造の中心に当たる場所を見極めると担いでいたモンキーレンチを構えた。
「我が太刀に断てぬ物無し。喰らえっ、エクスターミネーターソード!!」
 愛刀もとい愛モンキーレンチであるエグゼ・ザ・ヴァリアヴルメイスを振り上げ、一歩踏み込む。狙いは扉を支えている柱。踏み込んだ勢いに加え、自慢の怪力を武器に伝え、振り抜いた。
 ゴンッ、ドッ……。
 振り抜かれたモンキーレンチは柱のど真ん中を抉りとる。扉は支えを失い、柱の上半分と共に傾き、後方へ倒れていった。先ほどつけられた傷が、風圧に負け粉々に砕けている。地面から突き出て残っている柱も待たずに粉砕されるだろう。
 エグゼが再び、身体に力をみなぎらせたからだ。
「残さず粉砕せんとな!」
 返す力で振り抜いたモンキーレンチを振り上げ、モンキーレンチの自重を生かしつつ、怪力を持って振り下ろす。
 ズドンッ。
 残っていた柱も扉の残骸も残らず、粉砕された。強力な一撃が扉の半分を消し飛ばす。通れるようになったが、今だに扉は半分残っているのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロベリア・エカルラート
行動は【POW】

●心情
いやぁ、良いね、こういう単純な作戦
細かい事気にしないでぶち壊していいって事でしょ?

元々辛気臭いダークセイヴァーだけど、偶には思い切り暴れないとね

というわけで、愛用の黒剣を振り回して関所をぶち壊すよ


「ハハハッ、良いね!偶にはこの剣も使ってあげないと」
「いやあ、ここ最近は拷問具ばっかり使ってたから、剣の練習もしないとね!」



 血色の髪を風に靡かせ、黒剣を携えた女性が言葉をこぼす。
「いやぁ、良いね、こういう単純な作戦。細かい事気にしないでぶち壊していいって事でしょ?」
 ロベリア・エカルラート(花言葉は悪意・f00692)が楽し気な笑みを浮かべ、愛用の黒剣『ベーゼ・ドゥ・プランス』を振り回す。残り半分の関所へ斬りかかった。
「ハハハッ、良いね! 偶にはこの剣も使ってあげないとね」
 ここ最近、拷問具ばかり扱っていたからのもあり剣を振るう手に力が籠った。傷だらけの扉に新たな傷が増え、それらが徐々に繋がり大きな罅へと変わる。
「剣の練習もしないとね! 丁度いい練習台もあることだし」
 更に剣の振るった。踏み込み、上から自重を込め、下から跳ね上がるよう斬り上げ、横から勢いをつけ一文字に斬り込む。黒剣が風を斬る音があたりに響き渡った。
 扉全体に罅がいきわたり、最後の一撃と言わんばかりに両手で構え、黒剣を振り抜く。
 ゴッ、パリバリッ……。
 巨大な扉が大小さまざまな破片へと変わり、パラパラと崩れていく。扉の部分は完全に破壊されたのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ピオニー・アルムガルト
行動【POW】
植物好きなので間接的に薔薇園を自然淘汰する方法を考えて準備してたら関所を越える方法を忘れてたわ…。
ちょっとリュックの荷物(地植えしちゃいけないシリーズ『葛』『竹』、バラ科天敵シリーズ『カミキリムシ』)が重いから、早く関所の扉を開けてくれませんかね?人が居ないのかしら?ごめんください!扉を壊したらごめんなさーい!!(ドンドンドン)と、最低限敵の誘導とかできたらいいかな?
オブリビオンに対しては説教したいわね。敵の見た目?そんな事より薔薇を血で育てるとかないわー。花を取る時はちゃんと5枚葉の上を切りなさい!3枚葉の上からだと花芽が出ないじゃない!などなど。
人命救助第一で頑張りましょう!



 巨大な関所の奥には一般人がどうにか乗り越えられる程度の扉が存在している。どうにか乗り越えてもその先にある巨大な扉で逃走を防止していたようだ。
「ちょっとリュックの荷物が重いから、早く関所の扉を開けてくれませんかね?」
 作業着に大きなリュックサックを背負ったピオニー・アルムガルト(人狼のウィザード・f07501)が扉を叩く。大きなリュックサックの中身は庭園を間接的、直接的に崩壊させる代物がごまんと詰められている。園芸を趣味としているからこそ、用意できた物たちだ。そちらに意識が行きすぎたせいか、関所を通過する手段を用意しそびれていた。だが、問題はない。
 一般人に壊せないからといって猟兵も壊せないとはいっていないからだ。超常の枠組みに入る者たちの膂力は上がっている。
 ドンドン、ドンドンッ……。
「本当に人がいないのかしら? ごめんください! 扉、壊しちゃったらごめんなさーい!!」
 言葉とは裏腹に扉を叩く音が力を増す。このままでは叩き割られてしまうだろうが、止める者はいない。
 ドンッドンッ、ドンッドンッ……ドゴンッ。
 軋んでいた扉に拳がたの穴が開いた。そこからは力ずくで穴を広げていく。周囲に響く木を砕く音が響き、しばらくするとその音も止んだ。
「オブリビオンには説教ですね」
 足取り軽く彼女は先を急ぐ。オブリビオンへの説教内容を考えながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルカ・ウェンズ
悪党それとも価値観の違い?

POW(怪力、破壊工作、2回攻撃)やユーベルコードで関所を破壊するわ。助けられる人がいれば私の気に入った人(善良な美少女やタフガイ)を優先して助けるし他の人も余裕があれば悪党でなければ助けるわよ。

戦闘になったらその他にも(戦闘知識)を使い敵を攻撃(残像)を使って囲まれないように素早く移動しながら戦うわよ。個人的には薔薇園は美しくて危険な物でなければ残しておきたいわね。それに本当に薔薇を愛していれば急げば間に合うぐらいに燃やして隙をつけるしね

心情
人を殺なくても効率的な血の手に入れかた(血液パックなど)があればそうするのか人を苦しめるのが楽しいのか聞きたい事が多い敵ね。



「あら、助けを求めている人はいないのね」
 少し残念そうにつぶやくのはルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)だ。黒を基調としたゴシック服を身に纏い、剣を片手にこじ開けられた関所の前にたどり着いた。
「人を殺なくても効率的な血の手に入れかたがあればそうするのか、人を苦しめるのが楽しいのか、聞きたい事が多い敵ね」
 気を取り直すように敵であるオブリビオンに対して思考を巡らす。人間の血を集めているのなら、血液パック等、血を保存している物を使えばいいのにと感じたからだ。もしも後者ならば……その時考えるとしよう、と思考を切り替える。
「ここも早々に壊してしまいましょうか。この先にいる助けを求める人達のためにもね」
 携えていた剣を構え、壊れた関所へ視線を向けた。一歩踏み込み、脆くなっている扉へ剣の切っ先を突き入れる。
「カー・ディスク・ジョン」
 突き入れた切っ先から爆破が起き、扉を吹き飛ばした。吹き飛んだ瓦礫が見えない糸で絡み取られたように一塊になって端の方へ転がっていく。
「さぁ、話を聞きに行きましょうか」
 軽やかな足取りで先へと進んでいく。

 関所はその機能を完全に停止しただの通路へと姿を変えてしまった。逃げ出す人々が現れても止めることは不可能であろう。一つ、オブリビオンの思惑を破壊することができた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『血の薔薇園』

POW   :    大胆に行動

SPD   :    慎重に行動

WIZ   :    アイテムや特技を活用

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
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 広さはそれなりにある庭園。そこには10ほどの磔台が存在し、その大半には領民たちが磔にされている。身体中に裂傷を刻まれ、その身を自らの血で赤く染めあげていた。領民たちの血を吸い上げているのは薔薇だけではなく、大地も赤く染まり、赤黒く変わっているのだ。
 すすり泣く領民たちに声をかける者はおらず、薔薇が自由に勢力を伸ばしていた。もっと血を求めて磔台を取り囲む薔薇も存在するほどに。
 この庭園を管理している者はどうやら造園についての知識が乏しいらしい。無秩序に育ち続ける禍々しい庭園をこのままにしていてはいけない、そう感じるだろう。
ロベリア・エカルラート
●心情
へぇ……意外と薔薇は綺麗じゃない?
どうせだしちょっと貰ってこうかな。家に植え直して育てよう

どうせ血を使うなら、そこらの人よりよっぽど栄養になりそうなのが居るし?
ここの領主とかさ

●行動
まずは捕まってる人を助けようか
磔台から領民たちを下ろした後、シンフォニックキュアで裂傷を治すよ

ユーベルコードに使う歌は、人々を奮い立たせる勇壮なオペラ曲

領民たちを逃した後は薔薇を頂いていこう
「うん、素材は良いよね。貰ってこう。私ならもっと綺麗に咲かせられるし、ね」


ピオニー・アルムガルト
行動【SPD】
扉を壊したらなんかスッキリしたのでちょっとオブリビオンの事は脇においといて冷静に行動していきましょう!領民の皆さんを助けるのが第一!だけど急に現れたら見た目に驚いて確認もせずウィザード・ミサイルを打ち込みそう。

えぇ…薔薇が暴れて(枝が伸び放題)るんだけど…。ま…まあ文句は後にして薔薇の性質を軽く調べておきましょうか。特殊な薔薇なのか私の【世界知識】で分かるかしら?
領民に絡み付いた枝は無理に引き剥がして良いものか、周辺に危険な物がないか確認と声を掛けたり励ましたりと、領民の皆さんの心と安全性の担保をとっておきたいわね。
作業的に一人でできるものかな?周りに助けを求めるのもいいかも。



 庭園入り口から見える磔台は7つ。近い磔台の3つに人はおらず、他には人が縛られているのが見える。縛られているのはほとんどが女性、稀に男性もいるようだ。年齢としては十代後半から二十代前半辺りに見える。

「えぇ……薔薇が暴れてるんだけど……。とにかく、薔薇の性質を軽くでも調べないと」
「へぇ……意外と綺麗じゃない? 悪くないわね」
 ピオニー・アルムガルト(人狼のウィザード・f07501)は呆然と薔薇の様子を見つめ、マイペースに薔薇を見渡すロベリア・エカルラート(花言葉は悪意・f00692)だ。
 枝が伸び放題という状況を暴れていると表現するのはピオニーが園芸を趣味としているからだろう。薔薇を観察し、彼女の持っている知識を総動員しながら、性質を調べていく。どうやら薔薇そのものは通常の薔薇であり、何かしら特異なものになっていないとわかるだろう。
 ロベリアは少しばかり薔薇を拝借していこうかと思案している。今よりもっといい養分にここの領主がいいと考えているが……それはあまりよくないだろう。変質してしまえば討伐対象になってしまう。
「薔薇自体は変質してないみたいだね。よかった」
 枝を切っても問題ないと確信が持てたなら、次は領民たちの救助に移るだけ。
「そう。なら、捕まってる人を助けようか」
 ロベリアはそれより先に捕らえられた領民たちを助けることが優先だと、思考を切り替える。二人は頷くと庭園の奥へ進んでいった。

 二人は手分けして領民たちを磔台から降ろしていく。降ろす作業そのものは大したことはなく、彼ら彼女らの負っている傷が大小さまざまあり、耐えず血を流し続けているのだ。
「大丈夫だよ。もう少し我慢してね」
 傷に触れないよう身体を抱え、拘束している器具を壊しては開けた場所へ座らせていく。捕らえられた領民たちは二人にされるがまま運ばれていた。
「傷を治してあげるからもうちょっと辛抱して」
 ロベリアが瞳を閉じ、呼吸を整えた。脳裏に描くのは圧政下においても諦めず、立ち上がり続ける人々を称えるオペラ曲を歌い始める。傷を負った領民たちを癒すために、立ち上がる力を戻してもらえるために、そう願いを込めて。
 ロベリアの歌声に俯いているだけの領民たちは次第に興味をしめす。歌声に心を揺さぶられた者から傷が塞がり、顔をあげた。
 ロベリアは歌い終わると瞳を開く。領民たちはロベリアへ拍手を贈った。彼女の瞳に映ったのは傷が綺麗に治り、動くだけの気力を取り戻した領民たちだった。
「ここは私たちに任せて、皆さんは逃げてください」
 ピオニーの言葉に領民たちは助け合いながら庭園から逃げて行った。その姿をピオニーとロベリアは見送る。
 人命救助は成功した。次はこの庭園をどうにかするか、だろう。本命のオブリビオンが現れるまでまだ時間がありそうだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

苧環・つづら
主人が主人なら薔薇も薔薇……って事かしら。最低の風景。
想像より救助人数は少なそうな事だけが救いね。今は。

他の猟兵さん達も来ているから手分けして……
まあ関所が無警戒なら地面に罠を仕込むなんて知恵も無いのでしょうけど、
確認がてら足元の整地もしておきましょうか。

迦河稚ちゃーん、一寸(オルタナティブ・ダブルで)来て手伝って頂戴。
アタシが磔台クライミング救助してる間に、周辺繁茂してる薔薇を伐採してくれる?
足の踏み場作らなきゃ応急処置も休ませる事も出来ないから。
……「最近は荒事に乏しくて無聊をかこつ日々にございます」って?
こんな光景作った件の何方か様が此処に来れば退屈の虫も吹っ飛ぶわ、迦河稚ちゃん。



「主人が主人なら薔薇も薔薇……って事かしら。最低の風景だわ」
 庭園の風景に悪態をつくのは苧環・つづら(残響にて紡ぐ円環・f06155)だ。磔台に捕らわれていた領民たちの救助は終わっているが、まだ倒れている領民がいるかもしれないと救助を優先することを決める。
「迦河稚ちゃーん、一寸来て手伝って頂戴。アタシが救助してる間に周辺繁茂してる薔薇を伐採してくれる?」
 開けたところもあるが、薔薇の勢いが強く、通路を狭めているのも確かだ。落ち着いて手当てをする場所を確保することも大事になる。
「最近は荒事に乏しくて無聊をかこつ日々にございます。ですが、お役目、お受けいたします」
 艶を消した黒鞘を携え、つづらから分かれるように現れたのは彼、いや、彼女の別人格、迦河稚だ。最近、自分の出番がなく憂いている様子。だが、これからのことを思えばその憂いも吹き飛ぶだろう。
「こんな光景作った件の何方か様が此処に来れば退屈の虫も吹っ飛ぶわ、迦河稚ちゃん。さ、始めましょ」
 意味ありげにつづらが微笑むのを見返す迦河稚。つづらが手を叩き、やるべきことへ意識を切り替え、二人は動き始める。
 通路を広げるために迦河稚が直刀を抜き、枝を張り巡らせた薔薇を伐っては邪魔にならないところへ投げ捨てた。
 つづらは目を凝らし、倒れている人物がいないか探し続けた。助けを求めている者を助け出すために。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルカ・ウェンズ
行動【POW 】
ここには私が気に入る人はいるかしら、引き続き【善良な美少女】や【タフガイ】を助けるために探すわよ。後は薔薇に詳しい人がいれば本当に血で「綺麗に咲くの」とか、「危険な物なの」とか聞いてみないとね。(情報のお礼はちゃんとするわよ)

敵を見つけたら殺したいけどまずは気になっている事を聞いてみてからユーベルコードや【怪力】で攻撃ね。敵のアジトは助けた人達が住むかもしれないし【破壊工作】で壊すのは話しを聞いてからね後は私の【怪力】で安全な所に運んで、余裕があれば悪党以外は助けるわよ。それと私の気に入った人達はその後の生活も困らないようにするわよ。



「本当に血で薔薇は咲くのかしら? それもこんな風に綺麗に」
 自分の疑問を口にしたのはルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)だ。共に来た猟兵のなかに植物に詳しい人物がいたはずだ。彼女に聞いてみればいいだろう。
「まずは助けを求める人を見つけないと、ね」
 救助者のなかに気に入る人物がいればその後の生活をある程度面倒見る心つもりで探して回る。
 庭園から遠目に見える建物がいくつかあるが、人が住めるものかと問われれば答えに困る代物ばかり。辛うじて雨風を凌げる、という程度だろう。
「ここにも手下はいないのね。すごい有り様」
 歩きやすくなった通路を進みながら、庭園を隅々まで調べたルカの感想だ。駆けつけた猟兵たちに庭園は改造され始めているのに止めるものは誰もいない。オブリビオンの配下である敵対者は存在しないと言える。
 これだけの規模の庭園を維持するには一人では手に余るだろう。事実、手入れが行き届いてるとはとても言えない状況。
「ここの管理をしているのは一人だけ、ということね。無用心だわ」
 倒すべき敵はただ一人とわかっただけでも収穫だろう。見える建物は後々改装をすればいいと思考の端に留め、次にやるべきことへ思考を切り替える。
 戦いの時まであと少しだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ウルフシャ・オーゲツ
何か強烈に嫌な気配がする……
ただ、直接相対せぬのならば大丈夫じゃろう。出会ってはいけない何かなのじゃ奴は。

さて、農耕の革命は農業用機械によるものが大きい。つまりじゃ、うちのバイクに耕耘機を取り付けることで効率的に轢き倒すことが可能な筈じゃ!
銀河を股にかけるウチの『ステラドラグーン』にかかれば、こんな小規模な薔薇園なんぞチョチョイのチョイじゃぞ!
……なに?表現が古い?
100年物の土産菓子に何を求めておるのじゃ?

「はっはっは余裕余裕……あ、やめて、機械に巻きつかないであ、あ、しまったまえええええ!?」
薔薇に突っ込んでも大丈夫、ウルフシャ強い子。ちょっと涙がでるだけさ。

アドリブ連携なんでも歓迎じゃ。



 猟兵たちの手で倒れていた者、捕らわれていた者たちが一人ももれることなく救出することに成功した。残るはこの庭園をどうするか、である。
 バイクでこの場に乗り込んだ女性が一人、ウルフシャ・オーゲツ(しょしんしゃ・f00046)だ。険しい表情で何かを警戒している。
「何か強烈に嫌な気配がする……。出会ってはいけない何かなのじゃ、奴は。農耕の革命は農業用機械によるものが大きい」
 警戒している対象がいないことに安堵しつつ、バイクから降りた。どこかから持ち込んだ耕耘機を愛用のバイク『ステラドラグーン』へ連結、再びバイクへ跨る。
「つまりじゃ、うちのバイクに耕耘機を取り付けることで効率的に轢き倒すことが可能な筈じゃ! ウチの『ステラドラグーン』にかかれば、こんな小規模な薔薇園なんぞチョチョイのチョイじゃぞ!」
 えへん、と胸を張り、アクセルをふかす。バイクと連動した耕耘機のエンジンも入り、庭園に残っている薔薇も大地も綺麗に耕されていく。
 耕耘機に薔薇の枝が絡まることない。血が染み込み固まった大地も、赤黒く咲き誇っていた薔薇も、見る影は無くなった。
「ふふふ、ウチにかかればこんなもんじゃ!」
 ふかふかな農耕地へと変わった元庭園を見回してウルフシャは満足そうに胸を張る。出会ってはいけない相手への最上級の嫌がらせになったからだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『変態的破滅招来体』ランジーリ』

POW   :    本当の自分と向き合って!
【欲望】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【対象の分身】から、高命中力の【本音】を飛ばす。
SPD   :    あなたの気持ち、わかるわ!
【まるで相手の心をわかっているかのように】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    あなたの欲望を教えて?
質問と共に【視線を向けてウィンク】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ウルフシャ・オーゲツです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 庭園が農耕地へ姿を変えて少し、主であるオブリビオンが現れた。
「ちょっとぉ、アタシの薔薇園に何してくれてるのよ。困っちゃうわぁ」
 ベビードールを纏ったツインテールの筋骨隆々なヴァンパイア、『ランジーリ』が頬に手を当てため息をついた。その耳のあたりに赤い薔薇が一輪、咲いている。
「でもぉ、あなたたちの方が栄養豊富そうよねぇ。うふふ、次の薔薇ちゃんたちはもっと、もっっと綺麗に咲いてくれるに違いないわ!」
 また悪趣味な薔薇園を造園するつもりらしい。そのための養分として舐め回すように猟兵たちへ視線を送る。
 どこまでも自分本位なランジーリを倒せるのは猟兵たちしか存在しない。今まで犠牲となった領民たちのためにも、逃がすわけにはいかない。
ピオニー・アルムガルト
花を愛する者の同志として見た目だけで判断はしないけど、花を愛でる過程においてまったくもって同意しかねるのでそこになおりなさい!!ぺんぺんしてやるわ、このマッスルツインテール!!あれ?見た目で判断している?

まず挨拶代わりに一発、全力のウィザード・ミサイル。距離を取りながら相手の様子、出方をうかがいましょうか。
牽制をしながら【野生の勘】【戦闘知識】で相手の隙をつけると良いわね。
隙あらば技能マシマシで魔法を打ち込んでやりましょう!
『間違った方法で片手間園芸なんて、園芸を舐めるんじゃないわよ!』
基本、後衛なので誰かと連携取れると嬉しいかな。


ヴァン・アヴェルス
…ぉ、おう。なんかすげぇのが出てきたな。
ある意味納得だわ。
遠慮も容赦も必要なさそうだし、さっさとブッ倒しちまおうか。

【SPD】で対処。
からくり人形のカッパ壱号を駆使して攻撃だ。
フェイントを織り交ぜつつ人形で接近戦。火の属性攻撃を叩き込むぞ。
養分が欲しけりゃ自分でなりやがれってんだ。

隙を見つけて『ガジェットショータイム』を発動だ。
「さぁーてさて、何が出てくるかな?」
出てきたガジェットでボッコボコにしてやるから待ってろよー。
使い方が分からなかったら…仕方ない。殴ろう。ガジェットで。

他の猟兵がいれば連携して戦えるといいな。
※アドリブOK


ルカ・ウェンズ
精悍な顔つきね。できたら今までの疑問を聞いてみたいわね。

行動
まずは敵に話した後に【怪力】でユーベルコードを叩き込んで【怪力】を使っても力負けする様なら見えない糸を切断して【傷口をえぐる】様に【2回攻撃】したりそこに【生命力吸収】を試してみるわ。危険な攻撃だから当たらないように【残像】を使い移動して一撃離脱を心掛けて戦うわ。

心情
オブリビオンに聞いても無駄だと思うけど今までの疑問を聞いてみようかしら隙ができるかもしれないしね。それと個人的に殺したら一度だけしか血が取れないし民に、もっと良い暮らしをさせて死なないように血を分けてもらう方が良いと思うのだけど。(殺して良いのは悪党とオブリビオンだけよ)



 ランジーリはポージングをして自らの姿を猟兵たちに見せつけている。威嚇か威圧のつもりだろう。彼の前に漆黒の女性、ルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)が歩み出る。
「あなたはどうしてこの方法で薔薇を育てたのか、聞いてもいいかしら?」
「そんなの簡単よ。どんな薔薇でも赤く咲かせることができるしぃ、なにより……」
 ランジーリは谷間を強調するように体を抱き締めて身をくねらせ、ルカを焦らすように沈黙を作った。しばしの沈黙を破り続きを口にしたのはランジーリ。この状況で興奮していたらしい。
「口に合わなかったご飯の処理もできるんだものぉ~。悪くないでしょう?」
 邪悪で醜い笑みを張り付けて、ランジーリはぶりッ子のように両の頬へ握りこぶしを当てている。また身をくねらせているのだから資格の暴力になりえるだろう。
「そう……。なら、もういいわね」
「ふざけるんじゃないわよ! 花を愛でる者としてこんなやり方認められますか! ぺんぺんしてやるわ、このマッスルツインテール!!」
 ルカへの回答を聞いていたピオニー・アルムガルト(ランブリング・f07501)から堪忍袋の緒が切れる音が聞こえた気がしる。ランジーリも花を愛でる者の同士と感じていたから見た目で判断しないように気を付けていたらしい。だが、胸糞悪い相手に配慮は必要ないだろう。
 杖を構え、ランジーリを睨み付けるピオニーが魔力を走らせた。【高速詠唱】のもと、紡がれた言葉は誰の耳にもとらえることはできず、成立した術を目にする。
「間違った方法で片手間園芸なんて、園芸を舐めるんじゃないわよ!」
 敵より先んじての一撃、彼女の怒りを乗せて姿を現したのは数多の焔の矢。それらが雨霰のようにランジーリに襲いかかる。
「……ぉ、おう。なんかすげぇのが出てきたな。さっさとブッ倒しちまおうか」
 ヴァン・アヴェルス(ミレナリィドールの人形遣い・f10853)も二人の様子から容赦は要らぬ相手と判断し、参戦する。出会い頭のインパクトが強すぎたために呆気にとられていたようだ。ピオニーの怒りの一撃に続こうとからくり人形『カッパ壱号』を走らせる。
「そんなに養分が欲しけりゃ自分でなりやがれってんだ」
 矢の雨が降るなか、巧みな指さばきで『カッパ壱号』を操り、人形に炎をまとわせ、体当たり。
「っ……もぅ、痛いじゃないの! 頭来ちゃうわぁ」
 突然の攻撃に回避することはできず、防戦になるランジーリ。顔は守ったらしく、腕と胴におびただしい火傷が出来上がっている。胸部に至っては楕円形に焼け爛れたような痕ができていた。
「あら、もう泣き言ですか?」
 炎の勢いが弱まり、視界が開けた時には彼女は眼前に迫っている。抜き身の刀を手にランジーリの懐へ飛び込んだルカに迷いはない。オブリビオンは彼女にとって殺してよい相手、その相手に手加減など存在しない。
「カー・ディスク・ジョン。まだこれからですよ」
 ルカは刀を振るい、胸部にある火傷痕を抉るように斬りつけた。その瞬間、ランジーリを爆発が襲う。抉られた胸部だけでなく、全身を新たな炎が駆け巡った。
「ちょっとぉ!? なにするのよぉ……服がボロボロじゃない!」
 爆発に焼かれ、身に纏っているベビードールは見るも無惨な姿へと変わってしまう。それだけではない、瞳に映らぬ蜘蛛の糸がランジーリとルカを繋いでいるのだ。その事実を知っているのはルカだけ、彼女が二人へ目配せすれば攻撃へ移る。
「さぁーてさて、何が出てくるかな?」
「園芸に謝りなさい!」
 ヴァンが呼び出したのは不思議な形をしたガジェット。何となく銃に見えなくもないそれをランジーリへ向ける。
 その隣ではピオニーが炎の力を、威力を更に上げた焔の矢を作り上げていた。園芸を趣味としているからこそ、今回の狼藉が許せない。
「存分に味わってくださいね、お一人で」
 ランジーリの動きを制限するように糸を手繰って体勢を崩させた後に糸を切断してルカはその場から離脱する。
 その直後、焔の矢が光線がランジーリに襲いかかった。高威力での攻撃にその場が紅蓮に染まるだろう。
「あぁっ! なんてことぉ!? これじゃあ、お嫁にいけないじゃないのぉ……」
 あれだけの攻撃を受けてなおランジーリは倒れていなかった。身体中におびただしい数の火傷と裂傷を受けていながら。負った傷よりも服が焼け落ちることが恥ずかしいらしい、野太い悲鳴をあげて走り出す。

 ランジーリは気づいていない。走り出したその道が地獄への道のりである、ということに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リコリス・ミトライユ
絡み・アドリブ歓迎

薔薇は、人の血で育てるものじゃないですっ。
こんな野蛮なこと、止めさせないと……。

えっ、本音……?
『ダイエットしなきゃなのに、甘いものばっかり食べちゃうよね……。』
って何言わせてるんですか!

人の秘密をバラすだなんて、もう怒りましたよっ。
えーっと、分身のあたしはちょっと黙っててください。
本体の、あのマッチョさんを倒せばいいんですよね。

ダンスでくるり、くるり。横回転に、宙返り。
こうやって近づけばそんなのろのろ、当たりませんっ。

顔……は届かないし、かわいそうですから……お腹っ!
思いっきりパンチを、【ペネトレイト・ブロウ】を叩きこんであげます!
何言ったって許してあげないんですからねっ!


ロベリア・エカルラート
うわ……思ったよりインパクトがあるのが出てきたね
これは薔薇談義も話が合わなそうだ

ま、どのみちオブリビオンだってだけで叩き潰すには十分だけどさ

「生憎とアンタが育てても碌な薔薇にはならないよ。まったく、薔薇自体は良いものだけに勿体無いね」

「これは私が大事に育ててあげるからさ、アンタは養分にすらならないでさっさと退場しなよ」

●戦闘
ウザったい事この上ないし、咎力封じで能力の封印を狙うよ
敵の動きを封じながら剣での白兵戦を挑む

味方と連携しながら、私より接近戦に向いてる人がいるなら鎖や枷で敵の動きを邪魔することを第一に考えて戦うよ

「ああもう!そのウザったい口を閉じなよ!」

※連携、アドリブ歓迎


苧環・つづら
そう、栄養以外度外視……こんなに最低な薔薇園になるのも当然ね。
確かに見た目はそれなりに凄い何方か様だったけど、本当にそれだけだわ。
迦河稚ちゃん、待望の荒事よ……戦っちゃって。

――ええ、“此処よりはわたくしの領分にございますれば”。
サモニング・ガイストの援護を戴き、魂燈にて斬り結びたいものです。
隙を見せてのだまし討ちなども面白いものにて、手は全て打つ所存。
相手の攻撃は残像と見切りでいなす事に致しましょう。
……まあ、わたくしの欲望など『唯荒事に染まりたい』の他はありませぬ故、
嘘の類が紛れ込む隙間があるとも思えませぬが。
二つ心、三つ心を持つ者には愚かな問いにございます、血薔薇の君。



 辛うじて残っている布切れだけをまとい走るランジーリを止める者たちがいる。待ち伏せていた猟兵たちだ。
「薔薇は、人の血で育てるものじゃないですっ。こんな野蛮なこと、止めてみせますっ!」
 構えをとるのはリコリス・ミトライユ(曙光に舞う薔薇・f02296)だけではない。共に立ちはだかったロベリア・エカルラート(花言葉は悪意・f00692)と苧環・つづら(残響にて紡ぐ円環・f06155)も嫌悪の感情を向けている。
「生憎とアンタが育てても碌な薔薇にはならないよ。まったく、薔薇自体は良いものだけに勿体無いね」
 ロベリアは薔薇談義ができるかと思っていた。だが、ランジーリの見た目に、薔薇の育て方にとどこにも話が合う要素がない。もっとも、オブリビオンというだけで叩き潰す対象。話が合おうが合うまいが関係ないとも言える。
「そう、栄養以外度外視……こんなに最低な薔薇園になるのも当然ね。ほんと見た目がすごいだけの何方か様だわ」
 呆れを通り越した声で絞り出すように口にしたのはつづらだ。冷めきった瞳を閉じ、もう一人の自分へ声をかける。
「迦河稚ちゃん、待望の荒事よ……戦っちゃって」
『ええ、此処よりはわたくしの領分にございますれば』
 瞳を開いたのは迦河稚。つづらから身体を明け渡された。名を『魂燈』という艶消した黒鞘に包まれた直刀を抜き放つ。
「なによっ! こんなときにたくさんお客様が来るなんて聞いてないわよぉ!?」
「取り乱しているなんて、余裕ですか?」
 拳を握りしめ、素早くランジーリの間合いへ飛び込むのはリコリス。軽い身のこなしは得意のダンスで磨かれたものだろう。レザーグローブに包まれた拳を振るった。
「ちょっとぉ、レディに対してひどいんじゃないのぉ?」
 取り乱していようとオブリビオンはオブリビオン。
 パシッ。
 リコリスの拳を受け止めたランジーリは薄く笑う。手始めの獲物が可憐な少女ということに満足感を抱いた。
「本当の自分と向き合って! アタシは受け入れてあげるわぁん」
 受け止めた拳を両手で握って、ランジーリはリコリスの瞳を見つめる。その奥にある少女の欲望を暴き出すように。いつの間にかランジーリの傍らにはもう一人のリコリスが現れた。
『ダイエットしなきゃなのに、甘いものばっかり食べちゃうよね……』
「ふぇっ!? 何言ってるんですか!」
 顔を真っ赤に染めてしまうリコリス、欲望を告げた分身はその役目を終え消えてしまう。乙女の秘め事が暴露された。ランジーリは笑みを深くし、問いかける。
「そう、甘い甘いお菓子が大好きなのねぇ。なら、貴女も甘いのかしらん?」
 少女の血が甘露のような味がするのだろうか、とじっくりと品定めをしている。だが、それは決定的な油断となるだろう。猟兵は一人ではないということを失念してるのだから。
「その汚い手を離しなさい。生憎と、あんたが育てる薔薇はここにはもうないよ」
「えぇ、全くもってその通りにございます」
 ロベリアが敵の動きを封じるように枷や鎖を放つ。リコリスを抑えている現状、簡単に回避することはできない。その腕に枷が、脚に鎖が、絡み付いてしまった。
 その隙に迦河稚が古代の戦士の霊を呼び出した。戦士の霊を先行させ、魂燈を正眼に構え彼女も駆け出す。
「はぁっ!? なに言ってるのよ! ここはアタシの園よ!」
 枷と鎖で身動きを制限されながらもランジーリは叫んだ。ここの主は自分だと、誰にも渡すつもりはない、と。けれど叫んだところでなんになると言うのだろうか? この場で優勢なのはどちらなのかなど、火を見るより明らかなのに。
「では、返していただきましょう。血薔薇の君」
 戦士の霊が槍を胴へ突き刺し、ランジーリの意識をそらす。その間に迦河稚が半円を描くように刀を降り下ろした。かの者の両腕を見事に両断し、リコリスを解放する。
「ぎゃゃぁぁぁぁっ!!」
「そのウザったい口を閉じなよ! 耳障りだ!」
 ロベリアが指差せば猿轡が飛んでいき、ランジーリの口を塞いだ。野太い悲鳴はすぐにくぐもった声へと変わる。これが好機とリコリスはグローブの調子を確認し、強く拳を握りしめた。
「何言ったって許してあげないんですからねっ!」
「これで終いと相成りましょう」
 がんじがらめの相手を更に縫い止めるように刀と槍をランジーリの足へ突き立てる。更に声なき悲鳴が上がるが、それすらもすぐに途切れるだろう。
「ちっちゃいからってナメると、痛い目見ますよ! ――打ち抜きますっ!」
 再び懐に潜り込んだリコリスが全身の力を込め、捻りを加えた拳を放った。至近距離で放つ高速の一撃は縫い止められていた巨体を吹き飛ばすほどの威力を発揮する。
 吹き飛ばされたランジーリは瞬く間に塵となり、消えていく。悪趣味な庭園の主は猟兵たちの手によって討ち取られた。
 オブリビオンの最期を見届けた猟兵たちはそれぞれの日常へと帰っていく。これからの楽しみを思い浮かべる者、次の事件へ向かう者、様々だろう。
 残されたこの庭園はこの世界の者たちがどうにかするだろう。誰もが安らげる薔薇園として生まれ変わるかもしれない。それがいつになるかは神のみぞ知る。
 こうして事件は幕を降ろした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月28日


挿絵イラスト