Not Too Late! Chocolate!
#アリスラビリンス
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チョコレートハートの国へようこそ!
今年のバレンタインは楽しめたかしら。
恋愛、親愛、日頃の感謝。色んな気持ちをチョコレートに込めて。
大切な人への想いを伝える日よね。
間に合わなかった? 伝える勇気が出なかった? 大丈夫よ!
チョコレートハートの国なら、毎日がバレンタインみたいなものだわ。
想いを伝えるのも、チョコを食べるのも。いつでも自由にしていいの!
「ハッピーチョコレート! 今日もスイートな一日にしましょう!」
ルビーハートのお姫様が、チョコレートレースのドレスでくるくまわる。
板チョコのお城の中では、お姫様を守るブラックとホワイトな兵士達が整列していた。
広い庭の木々には、オランジェットやドライストロベリーチョコの実がぶら下がり。
トリュフやチョコエッグ、カラフルなドラジェの花々が可愛らしく咲いている。
そんなチョコレートだらけの甘くて幸せな日々に感謝して。
いつものように庭でパーティを開いていると――。
「かわいいかわいいアリスちゃんも交ぜてくれない? いいでしょ? いいわよね!」
兎耳のアリスが腐ったお菓子と熱湯をばらまいて、兵士の胸倉を掴んで投げた!?
「うわぁ、甘ったるくて反吐が出ちゃう。こういうのって踏みにじりたくなるのよね」
黒ドレスのアリスが茨を絡めたチョコの草木をドロドロに溶かして踏みつけている!?
あなた達……この国に迷い込んできたアリスじゃなくて、オウガね!
大変、チョコレートハートの国が滅茶苦茶にされちゃう!
誰か、助けに来て! 後でいくらでも、チョコレートをご馳走するから!!
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「アリスラビリンスの国がピンチなんだ。手を貸してくれないかい?」
特にチョコレートが好きな人。グリモア猟兵のメリー・アールイー(リメイクドール・f00481)は、そう付け足して猟兵達へ召集をかけた。
「愉快な仲間達も城も草花も、みんなみんなチョコレート。そんな甘い幸せに満ちた国が、偽物やネガティブなアリス……オウガの軍勢に襲われそうなんだよ」
これまでオウガに侵略されていなかったこの国も、遂に見つかってしまったらしい。今現在、『本物のアリス』は一人も訪れていないので、城の庭にいるのは全員『偽アリス』か『ネガ・アリス』だ。
「偽アリスとの戦闘なら、ブラックとホワイトのチョコ兵士が手伝ってくれるよ。剣や盾、弓を持ってるから、声をかけてみるといい。ルビーチョコのお姫様は戦えないから、守ってあげとくれ!」
ネガ・アリスとの戦闘は、猟兵のみで行った方が良いだろう。予知で草木のチョコが溶かされていたように、兵士のチョコ頭が溶かされてしまっては大変だ。
無事にオウガの軍勢を追い払ったら、チョコレートパーティーだ。
「バレンタインはもう過ぎちまったけど……今からでも遅くないって、お姫様が言ってたよ。まだ伝えられていない気持ちがあるなら、猶更ね。自分の手で採集したチョコレートを持ち帰ってプレゼントしてもいいんじゃないかい? バレンタインのお返しにしてもいいかもしれないねぇ」
勿論、自分チョコとして純粋にチョコ三昧を満喫するのも大大歓迎だ。
思い思いに楽しんでもらえれば、愉快な仲間達も喜ぶだろう。
「しっかり働いて、チョコ充してくるんだよ! よろしゅうにーっ」
葉桜
OPをご覧いただきありがとうございます。葉桜です。
チョコシナリオやりたかったんです。甘いのもビターなのも大好き。
第1章。集団戦『『偽アリス』アリーチェ』。
チョコレートハート城の庭で戦闘します。
愉快な仲間達(ハートチョコ頭の兵士達)に指示を出せば、手を貸してくれます。
集団戦ではオウガにも立ち向かっていけます。武器は剣、盾、弓です。
特に指示がなければ、お姫様を護衛しているでしょう。
第2章。ボス戦『ネガ・アリス』。
こちらもチョコレートハート城の庭で戦闘します。
チョコを溶かす攻撃もしてくるので、チョコ頭の兵士達では太刀打ち出来ません。
この敵は、猟兵達の台詞に対してネガティブな発言を返してきます。
チョコとこの想いをあの人に渡すんだ!→ポイ捨てされるに決まってる。
平和な国を取り戻してチョコ食べ放題!→肥満ニキビ道まっしぐらね。などなど。
対して、愉快な仲間達はポジティブな応援をしてくれるでしょう。
第3章。日常『チョコレートパーティー』。
戦闘後、城の庭でパーティーが開かれます。
戦闘の被害は、お姫様が魔法で何とかしてくれるので大丈夫です。
続・バレンタイン。バレンタインのお返し。チョコ三昧。
食べる・採る・作る。チョコに関することなら何でもOKです。
アイテムの配布はございませんが、チョコのお持ち帰りも可能です。
また、この章に限り。グリモア猟兵のメリーにお声がかかりましたら、ご一緒させていただきます。よろしければお気軽にどうぞ。
メリーはしっかり働けと言っていますが、日常だけの参加も歓迎致します。
第1章のプレイング募集期間。
『2月19日(水)8時半~22日(土)正午』
それでは、ご参加お待ちしております。
第1章 集団戦
『『偽アリス』アリーチェ』
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POW : ミルクセーキはいかが?
【怪しげな薬瓶】が命中した対象に対し、高威力高命中の【腐った卵と牛乳で作ったミルクセーキ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 甘いおねだり
レベル×1tまでの対象の【胸ぐら】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
WIZ : お茶を楽しみましょ?
【頑丈なティーポット】から【強酸性の煮え滾る熱湯】を放ち、【水膨れするような火傷】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:ちびのしま
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
カグラ・ルーラー
「姫さんも難儀だな、アリスより先にオウガに目ェ付けられるとはよ」
ここはアリスで猟兵な俺の出番だろ。
「よう、見てくれだけは可愛らしいアリス擬き共。悪ィがここにゃテメェらに喰わすチョコもアリスも無ェ。失せろ、出入り禁止だ」
『偽アリス』アリーチェの「ミルクセーキはいかが?(POW)」に対し、ユーベルコード「イメージ・ボコーリング」。
【怪しげな薬瓶】を、見えない【想像上の逞しい両腕】で、投げてきたのを受け止めるか奪い取るかして、別のアリーチェに投げ付けてぶつける。
テメェら同士でミルクセーキぶちまけ合ってろ。
「出入り禁止っつったよな。入るのも、生きてここから出るのも禁止だコラァ!」
クレア・オルティス
わ…甘くていいにおい…この国、全部お菓子でできてるの…?
お家もお花も美味しそう…食べたいなぁ…
チョコの作り方も教えてもらいたいけど
すぐそこまでオウガ達が来ているんだよね…?
チョコ兵士さん達…!一緒に戦ってくれるかな…!
お姫様を…この国全てを守ろうね…!
・戦闘
盾と剣のチョコ兵士さんは前衛で頑張ってほしいの
私は弓チョコ兵士さんと共に後方から聖属性魔法で追撃するね…!
最後はみんなの力を合わせて集中総攻撃だよ…!
私も魔力をより集中させて…攻撃の届く範囲から指定UCを使用!
この素敵な国をめちゃくちゃになんてさせない…!
悪いことする子にはお仕置きでちゃんと反省してもらわなくちゃね
連携、絡み、アドリブ歓迎
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「わ……甘くていいにおい……この国、全部チョコでできてるの……?」
テレポートで降り立った途端、ふんわりと包み込まれる甘い香りに、クレア・オルティス(天使になりたい悪魔の子・f20600)は感嘆の溜息を漏らしていた。
城も庭の草花も全て美味しそうなチョコレート。甘いものに目がないクレアは辺りを忙しそうに見渡して、どのチョコも食べてみたくて仕方がないようだ。
「いらっしゃい! あなたは甘いものが好きな良い子のようね?」
黒白チョコの兵士を従えたルビーチョコのお姫様が、クレアに話しかける。
「こんにちは、お姫様! ええ、甘いものは大好きよ。チョコの作り方も教えてもらいたいけど……もうすぐ、アリスに似たオウガが襲ってくるの」
クレアは白銀の『薔薇のステッキ』を握りしめて、兵士のチョコ頭を見上げた。
「一緒に戦ってくれるかな……? お姫様を、この国全てを守ろうね……!」
「勿論だ。危険の知らせ、感謝する。我々も力の限りを尽くそう」
杖と剣を合わせて、協力を誓うクレアと兵士の元に、一人のアリスが声をかけてくる。彼女は……、
「姫さんも難儀だな、アリスより先にオウガに目ェ付けられるとはよ」
少々乱暴な口調の真っ赤な少女、カグラ・ルーラー(バーバリス・f21754)は、どうやらオウガではなく猟兵のアリスのようだ。オウガなんてボコボコにしてやる、と指関節を鳴らして気合を入れている。
「……猟兵には、こんなに頼もしいアリスもいるのだな」
そんな呟きを漏らした兵士を、カグラの三白眼の片目がぎょろりと捉えて、口元を歪めた笑みを浮かべる。
「喧嘩には自信あんだよ、安心しな」
兵士達が思わず背筋を伸ばす中。とっても心強いわ、と。クレアとお姫様は穏やかに微笑んでいた。
「さあ、かわいいかわいいアリスちゃんと遊んでちょうだいな!」
そして、予知通りに現れた偽アリスの軍団の前に、カグラとブラックチョコの兵士達が城の庭で立ち塞がる。
「よう、見てくれだけは可愛らしいアリス擬き共。悪ィがここにゃテメェらに喰わすチョコもアリスも無ェ」
「なあに、乱暴なアリスね。あんたの方が『擬き』っぽいんじゃなあい?」
「うるせぇ、失せろ。テメェらは出入り禁止だ」
ドスの効いた声でそう告げると、カグラは【イメージ・ボコーリング】を発動させた。
想像するは、アリスである自分が偽物をボコる光景。カグラの想像物を現実へ引き出す力は、透明の逞しい両腕を生み出し、目の前の偽アリスの顔面をぶん殴る!
「よ、よくもやったわね! みんな、ミルクセーキをご馳走してやりましょう!」
「そうは行くか! 我々も続くぞ!」
アリスが次々と放り投げる怪しげな薬瓶は、チョコ兵士の剣と盾に打ち落とされて、後衛陣までは届かない。カグラに投げ付けられた薬瓶も、
「テメェら同士でミルクセーキぶちまけ合ってろ」
見えない両腕が掴み取り、別の偽アリスに投げ付けたのだった。
強烈な腐った臭いがする液体を頭から被った偽アリスは、今にも泣きだしそうだ。
「やだあ、きたなーい!!」
「自業自得ね。そんなもので、この素敵な国をめちゃくちゃになんてさせない……!」
後方で待機していたクレアとホワイトチョコの弓兵士が、混乱している今がチャンスだ、とハートの矢と聖魔法の雨をオウガの軍団に降り注いだ。魔法瓶攻撃を行った直後で無防備だった偽アリス達は、キャーキャーと叫び声を上げながら、地面に伏せたりチョコの木の陰に隠れたりと逃げ惑っている。
「薔薇の香りも、チョコの国に似合うと思うの」
白薔薇の杖で指揮するのは、深紅の薔薇の花びらの舞。【crimson rose】が隠れている偽アリス達を見つけて抱きしめると、永遠の安らぎを与えられたオウガは世界に散らされていく。庭の腐臭は忽ち薔薇とチョコの香りに塗り替えられた。
「……い、いやよ! あんたが溶けなさい!!」
すると、薔薇から逃げてきたひとりの偽アリスが、手に持つティーポットから煮えたぎる強酸性の熱湯を後衛陣に放って来たではないか。このまま兵士やお姫様のチョコ頭に当たったら、いや、ダンピールのクレアでも直撃したら溶かされてしまうだろう!
しかし、熱湯は見えない壁に阻まれるように空中から地面に滴っていく。カグラの見えない腕が守ってくれたのだ。片腕を盾として、片腕は既に偽物目掛けて風を切っている。
「出入り禁止っつったよな。入るのも、生きてここから出るのも禁止だコラァ!」
「悪いことする子にはお仕置きでちゃんと反省してもらわなくちゃね」
透明な右ストレートが偽アリスをティーポットごと殴りつけ、衝撃で飛ばされた身体にクレアの聖魔法が命中した。悪い子の偽アリスへ、お仕置き完了である。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
照宮・梨花
【蝶番】茉莉(f22621)と
チョコレートを溶かしちゃいけないのだわ
お姫様や兵隊さんが死んでしまうし、掃除が大変になってしまうもの
私と茉莉が《掃除》するから、兵隊さん達はお姫様を守ってね
汚い手で触らないで!
【オール・ワークス!】で掃除力強化
お掃除グッズ《だす巾》の中から箒を取り出し、近づいてくる偽アリスの足を掃く要領で足払いして転ばせましょう
モップの柄で突いて突き飛ばしたりもしてみるわね
茉莉が討ち取りやすいようになのだわ
茉莉がトドメを刺す間に狙われたら、強力滅菌銃《カビ殺し》を噴きかけたり、姿鏡の大盾を持って庇いに入りましょう
大盾は扉を開けばツルツルの鏡
掴めるものならやってみるのだわ!
照宮・茉莉
【蝶番】梨花(f22629)と
ウサギさん可愛いーって思ってたのに、胸ぐら掴んで投げちゃうの!?
見た目によらないパワフルウサギ…うちにもそんな家族がいたら面白……
…って、そうじゃなかったね、わかってるってば!
姫さまはそっち(チョコ兵士)で(対応を)お願い!
あと、あんまり前に出たら駄目だよ!
【錬成カミヤドリ】でネジをたくさん作って、ウサギさんの足元にばらまいちゃうからね
踏むとすっごく痛いよ~!立ってられるかな?
梨花も手伝って体勢を崩してくれるから、そこを【螺旋槍】で串刺しする!
この槍はネジだよ。ウサギさんを骸の海へ繋ぎ止める為のね!
●
きらきら金色の滑らかな髪に、ぴこぴこ動く白い兎耳。リボンで飾られたふりふりの衣装の彼女達は、どこからどう見ても美少女だ。
しかし、その愛くるしい笑顔でブラックチョコの兵士に近づくと、胸倉を掴んで地面に叩きつけたではないか!
「ウサギさん可愛いーっ……って、えええ、胸ぐら掴んで投げちゃうの!?」
照宮・茉莉(楽園の螺旋槍・f22621)は紫の目をまんまるくして驚いた。これから戦闘が開始されるのだが、想像力が豊かな茉莉はつい考えてしまう。
「見た目によらないパワフルウサギ……うちにもそんな家族がいたら面白……」
「 茉 莉 」
「……って、そうじゃなかったね、わかってるってば!」
穏やかな微笑みで妹を窘めたのは、姉の照宮・梨花(楽園のハウスメイド・f22629)だ。
「チョコレートを溶かすのも砕くのもいけないのだわ。お姫様や兵隊さんが死んでしまうし、掃除が大変になってしまうもの」
【オール・ワークス!】によりエプロンに早着替えをした梨花は、お掃除グッズの『だす巾』から箒を選んで手に取った。とてもとても綺麗好きな梨花の前でパーティー会場を汚そうなんて、許せるはずがない。
「後で片付けるから、ちょっと先に散らかすよ!」
それでも先に散らかすと宣言をして、茉莉は【練成カミヤドリ】で多量に複製したネジを、偽アリス軍団の足元にバラ撒いたのだ。
「姫様はそっち側で、兵士達の指示をお願い! あんまり前に出たら駄目だよ!」
「分かったわ! みんな、あの方々の援護をして! ハートの矢を撃つのよ!」
お姫様の合図で、弓持ちのハートの兵隊から偽アリスに向かって矢が放たれた。
「ハートの矢なんてカワイイじゃない! こんなの軽く避けギャッ!? ……イタタタタッ、やだもうこのネジいったーい!!」
ファンシーな靴で踏んづけたネジは偽アリスの足裏まで届いたらしい。
「踏むとすっごく痛いよ~! 立ってられるかな?」
涙目で兎のように飛び跳ねる偽アリスの背後で、梨花がにっこりと微笑んだ。
「ネジならまだ片付けやすいから、いいのだわ。あなたもお掃除を手伝って?」
有無を言わせず速やかに、箒で偽アリスの足を掃いてネジの上に転ばせる。身体を突き刺す痛みに驚き転がれば、また別のネジがグサリ。
ほらね? その身体を塵取りとしてネジを集めてもらえば、効率がいいでしょう?
痛みで叫ぶ仲間の声に反応して、他の偽アリスも彼女達の前に集まって来た。
「よくもかわいいアリスちゃんをイジメてくれたわね!」
梨花と茉莉の胸倉を狙ってフリルの袖が伸ばされる――しかし、優秀なメイドの仕事はそれよりも早かった。
「汚い手で触らないで!」
梨花が自分を守るのは、折鏡から姿鏡に変化させたツルツルの大盾だ。エプロン服を掴みそこなった偽アリスをそのまま地面に転がして、茉莉を狙う偽アリスの背には強力滅菌銃『カビ殺し』の除菌弾が直撃する。
「茉莉」
「了解だよ!」
名を呼ぶだけで以心伝心。掃除のお終い、止めを刺す時間だ。
茉莉は『螺旋槍』を両手で構えて、地面に倒れる敵を見下ろした。
「この槍はネジだよ。ウサギさんを骸の海へ繋ぎ止める為のね!」
「いやよ! アリスちゃんだって、もっともっと遊びたいのに……っ!」
甘えた顔をしても、逃げようとしても、ダメ。帰るべきおうちへおかえり。
真っすぐに下ろされた螺旋槍は、兎耳の偽アリスの身体を貫いた。
正しき場所へしっかりと繋ぎ止める。それがネジの役割なのだから。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
清川・シャル
f19187アイシャさんと同行
毎日がバレンタイン、記念日なんですね
ちょっとの匂いがとってもいい香り!
ふふ、私もアイシャさんとお出かけしてみたかったのでわくわくですよ?
そんな、頑張り屋さんかなあ?照れちゃう。
とはいえ、まずはオウガとの勝負と行きますか!
うわ、趣味悪いもの投げてくるんですね…やだなあ。食べ物粗末にしちゃいけませんよ?
全力魔法で氷盾を展開、バリア張って防御です
薬瓶なら私の盾で防げるはずです
よし、反撃しましょうか
ぐーちゃん零で毒使い、マヒ攻撃の弾薬を詰めて、UC起動して発射
視力を使って念動力で確実に当てに行きます
撃ち終わったらそーちゃんを抱えて走ります
呪詛を帯びたなぎ払いでの攻撃
アイシャ・ラブラドライト
シャルちゃん(f01440)と一緒に
WIZ
シャルちゃんと2人でお出かけは初めてですね
嬉しいな
ずっと、ゆっくりお話ししてみたいなぁって思っていたんです
いつもがんばり屋さんなシャルちゃんを見てるから、
チョコレートパーティーを楽しんで、2人でほっと一息つける時間を過ごせたらいいなぁって思っています
そのためには…
先ずはオウガを倒さないといけませんね
このオウガ…可愛い顔してなかなか強烈な技を繰り出してきますね
embraceで盾を作って熱湯から身を守ります
シャルちゃんが危なくなったら、同じように盾を
攻撃にはmuguetを使用します
●
チョコレートハートの国がオウガに襲われる、ほんの少し前のこと。
「毎日がバレンタイン、記念日なんですね。チョコの匂いがとってもいい香り!」
チョコレートで出来た城の庭で、清川・シャル(無銘・f01440)は美味しそうな甘い香りを胸いっぱいに吸い込んだ。彼女の足元で咲いているチョコの花の上では、共に訪れたアイシャ・ラブラドライト(煌めく風・f19187)の笑顔も綻んでいる。
「シャルちゃんと2人でお出かけは初めてですね。嬉しいな」
「ふふ、私もアイシャさんとお出かけしてみたかったのでわくわくですよ?」
ずっと、ゆっくりお話が出来る機会を探していたのだ、と。アイシャは妖精の羽根で羽ばたいて、シャルと目線を合わせた。
「いつもがんばり屋さんなシャルちゃんを見てるから、チョコレートパーティーを楽しんで、二人でほっと一息つける時間を過ごせたらいいなぁって思っています」
「そんな、頑張り屋さんかなあ?」
シャルが猟兵の仕事の他にも、寮の管理人として皆が帰るあたたかい場所を日々守っているのも、アイシャは知っているのだ。とってもとっても頑張り屋さんです、なんてアイシャに微笑まれると、シャルは照れてしまったので、頬を染めながら誤魔化すように拳を握るのだ。
「ありがとう! ……それじゃあ、まずはオウガとの勝負と行きますか!」
穏やかな時間を楽しむのは、その後に。
「はーい、みんなー! 甘いのと熱いの、どっちがいーいー?」
そして予知通りに現れたオウガの偽アリスは、腐臭漂う薬瓶や強塩酸の熱湯をぶちまげて、城の庭で暴れ始めた。
「うわ、趣味悪いもの投げてくるんですね……やだなあ。食べ物粗末にしちゃいけませんよ?」
思わず眉を顰めたシャルは、自分達に向かって飛んでくる薬瓶を氷の盾を展開して防いでいる。同じように『embrace』のフィンガーレスグローブで描いて作った盾をかざして攻撃を防いだアイシャは、熱湯を浴びて顔のチョコが溶けかかっている兵士の元へと羽ばたいた。
「このオウガ……可愛い顔してなかなか強烈な技を繰り出してきますね。大丈夫ですか?」
すぐにアイシャが兵士の元で【シンフォニック・キュア】の歌を捧げた。優しい祈りが込められた温かな歌声は、『labradorite』のピアスに仕込んだデバイスにより、庭中に響き渡る。被害を受けたチョコの草花もリズムに合わせて葉を揺らして、癒しの妖精に感謝しているようだった。
「よし、反撃しましょうか! 戦場に響きし我が声を聴け!」
イケてるピンクのグレネードランチャーとアサルトライフル、通称『ぐーちゃん零』をセッティングして、シャルはニィっと八重歯を見せて悪戯に笑って見せる。
このぐーちゃん零は、適当な狙いで発射しても大丈夫!
何故なら、シャルの瞳に映る的まで念動力で操り、確実に命中させてやるのだから!
「全弾一斉発射【爆竜戦華】! あとは……いくよ、『そーちゃん』!」
シャルは偽アリス達に麻痺毒弾を乱射すると、すぐに桜色の金棒を抱えて走り出した。
「やだやだ、やめてぇ! アリスちゃん達もう動けないからあ」
麻痺毒弾を受けて、地面に座り込みながら潤んだ瞳で命乞いをする偽アリスだったが、
「往生際が悪いですね……隙を見て攻撃しようとしてるのなんて、お見通しですよ?」
その偽アリスの後ろ手で握られていたティーポットをアイシャは見逃さずに、『muguet』のベルワンドから飛ばす衝撃波でパリンと壊した。
そして、偽アリスの目の前ではもう羅刹が金棒を構えている。
「それでは、骸の海へお帰りくださいね」
呪魔力を蓄えた金棒の棘が高速回転する。回転で散る桜色の光はまるで花びらのようだ。
そうしてシャルは麻痺毒で倒れるアリス達を次々と金棒で薙ぎ払い、速やかにチョコレートハートの国から退場させたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
薬師神・悟郎
シン(f04752)と
甘いものは好きだ
甘味など贅沢な嗜好品だというのに、敵を蹴散らすだけでチョコレートパーティーとはやるしかないだろう
チョコ充に俺はなる
愛の力でパワーアップっていうのはまぁわかる
だが、味方の矢を物ともせず敵の群れに突っ込むとか、最近のリア充って皆こうなのか??
リア充コワイ…じゃなくて
待って待って置いてかないで唸れ俺の瞬足
ちなみに俺の最近のお気に入りはホワイトチョコだ
視力で矢の種類を特定、斬り込むシンの援護と連携
「およそ○○m先、右方向ストロベリー!」
「左方向、抹茶味!」
彼が避け損ねた矢や敵の攻撃は相殺、かばう
それ以外は武器複製のUC+範囲攻撃で敵を一掃
手加減無しでさくさくいこう
シン・バントライン
薬師神さん(f19225)
チョコレートが好きだ。
昔仕官していた宮廷に献上された物を勝手に食べて怒られた記憶がある。
そんな大好きな甘味が荒らされるのは心が痛む。
踏みにじられているのを見ればその名を叫ぼう
「オランジェーーットっ!!!」
彼女から貰ったあのチョコレート。
「薬師神さんはどんなチョコが好きですか?」
「斯くなる上は斬り込みましょう。兵士の皆さんは弓で援護をお願いします」
作戦名:味方の矢は頑張って避けよう
第六感と野生の勘で矢が飛んで来る方向を察知し避ける。薬師神さんの声がけを参考にチョコの矢なら掴んで食べる。
薬師神さんと連携を取り、宝珠を花弁に変えたUCで範囲攻撃。
ホワイトチョコとは意外です。
●
薬師神・悟郎(夜に囁く蝙蝠・f19225)は甘いものが好きだ。
彼にとって、甘味とは贅沢な嗜好品だ。それを敵を蹴散らすだけで好きなだけ堪能出来るというのなら、選択肢は決まっている。
ファンシーなチョコレートハートの国へ降り立った夜色の優美な男は、静かに誓った。
「――チョコ充に俺はなる」
シン・バントライン(逆光の愛・f04752)はチョコレートが好きだ。
昔からの好物である甘味に満ち溢れた国が荒らされるなんて、唯でさえ心が痛むというのに。その価値を知らぬオウガが投げた熱湯で、木々に実るチョコが目の前で溶かされていく。黒覆面の奥で、海色の瞳が見開かれた。
漂うカカオとオレンジの香――それは彼女から貰ったあのチョコレートと同じ――!!
「オランジェーーットっ!!!」
「大丈夫か、シン」
「ええ、すみません。少々取り乱しました。一刻も早くオウガを退治しなくては……斯くなる上は、速やかに斬り込みましょう。作戦は……」
シンの絶叫に驚いて声を掛けに来た悟郎だったが、彼が告げた作戦に戸惑いの色を隠せない。
「おい、その作戦って……」
「それでは、兵士の皆さんは弓で援護をお願いします」
行きますよ、薬師神さん。チョコ兵士に指示を残したシンは、有無を言わさず悟郎を連れて前線へと飛び出していった。
作戦名は『味方の矢は頑張って避けよう』。
チョコ兵士の矢が雨のように乱射される庭を、二人は駆けて行く。
「きゃー! どれだけ飛んでくるのよ、うざいんだけどっ」
「愛の力でパワーアップっていうのはまぁわかるが……リア充コワイ……」
混乱する偽アリスと共に、悟郎とシンも必死で矢を避け続けていた。作戦通りである。
彼女との思い出のチョコを汚されて、敵に怒りを抱くのは分かる。だがそうだとしても、味方の矢が降る戦場で敵の群れに突っ込むなんて……最近のリア充とは皆こうなのだろうか。……なんて、悠長に考えている暇はあまりない。
「待って待って置いてかないで唸れ俺の瞬足!!」
味方の矢は、庭全体に絶え間なく降り注ぐ。しかし、彼の優れた動体視力にかかれば、その矢尻のハートの色を判別する事も難しくはない。
「シン! 右方向ストロベリー! すぐに左方向、抹茶味!」
悟郎は自分に向かってくる矢を躱しながら、シンの援護も欠かさなかった。
「ありがとうございます、薬師神さん。……ん、こちらは抹茶ではなくピスタチオ味ですね」
シンは飛んできた矢を手掴みすると、そのハートチョコを口に含んで味わっている。
「薬師神さんはどんなチョコが好きですか?」
「余裕だなリア充……もうチョコの矢はいいから、さくさくいこう」
悟郎は溜息交じりで【召喚【弐】】を発動、『苦無【疾風】』を多重複製し、自分の身体の周囲に念動力で浮かべた。
「そうですね、では……東風不爲吹愁去、春日偏能惹恨長……我が心を春嵐と成す」
シンも【春思】の詠唱で赤い牡丹の花びらを生み出し、悟郎の苦無の風に乗せて戦場へ吹雪かせる。
「今度は何!? 遊んであげるからこっちに来なさ――っ」
「あっつい紅茶をお見舞いして――っ」
ハートの矢を潜り抜けて手を伸ばしても、その掌と喉元を苦無が貫く。
ティーポットも甲高い声も、牡丹の花びらが飲み込んでいく。
「ちなみに俺の最近のお気に入りはホワイトチョコだ」
「ホワイトチョコとは意外です」
パーティーではどんなチョコを食べようか。
苦無と花びらの傘で矢からも身を守りながら、二人は暫し談笑する。
偽アリスが全て散り終わるまで。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エリザベート・ブラウ
◼️リュリュさん(f19571)とご一緒に
あまい香りの素敵な国
ねぇ、リュリュさん
チョコレートパーティーを楽しみにしつつ戦闘モード
ふふ。そうだね。御預けは嫌だもの
リュリュさんのUCと合わせて【蝶のはばたき】
敵の攻撃に対して氷の属性攻撃
ちょっと制御の難しい技だから、初擊として
危ない紅茶と相殺できるかしら
リュリュさんの仰る通り。ティータイムの礼儀作法、ご存知?
次いでダンスのようにステップを踏んで
あら、リュリュさんも御転婆ね?
わたしも愛用の*Psyche*を振り回す
意外と[怪力]でしょ?[鎧無視攻撃]であなたを[蹂躙]してあげる
リュリュさんのお声に合わせて[咄嗟の一撃]
ふふ。息ぴったりね。
リュシエンヌ・ラブラシュリ
■リズさま(f20305)とご一緒に
ええ、リズさま
とても甘い香りが致します
パーティのためにも皆様のためにも頑張りませんと
リズさまのUCに合わせて【花舞踏】を
氷の蝶を羽ばたかせましょう
紅茶は熱いほうが美味しいですけれども
TPOは守っていただきませんとね
リズさまのステップに合わせて空を踊りましょう
☆ダンシングシューズで
偽物のアリスたちを【踏みつけ】
ついでに少々蹴り飛ばしてさしあげましょうか
リズさま、そちら体勢を崩しましたわ、トドメを
アドリブ歓迎ですわ
●
チョコレートの庭は、草花の代わりにカカオが香る。
口に含まなくても、心を落ち着かせてくれる優しい魔法が胸に広がるのが分かった。
「あまい香りの素敵な国。ねぇ、リュリュさん」
「ええ、リズさま。とても甘い香りが致します」
エリザベート・ブラウ(青の蝶・f20305)とリュシエンヌ・ラブラシュリ(空駆け・f19571)は穏やかに微笑み合った。すぐにでも御茶会を開きそうな雰囲気だけれど、彼女達の前には既に偽アリス、オウガが悪さをしようとティーポットを掲げている。
「パーティのためにも皆様のためにも頑張りませんと」
「ふふ。そうだね。御預けは嫌だもの」
既に臨戦態勢だった彼女達の周りには、魔力の風が渦巻いていた。
そして、宝石のような瞳に互いを映して、同時に言ノ葉を紡ぐのだ。
「たくさんの魂が魅せる夢を見ていて」
「世界よ、巡れ」
【蝶のはばたき】と【花舞踏】、無数の氷蝶が舞い踊る。
「蝶の群れ!? ……ああ! アリスちゃんの紅茶が!!」
蝶のはばたきは庭中を冷気で包み込み、ポットで煮えたぎる湯の熱を奪っていく。
「紅茶は熱いほうが美味しいですけれども、TPOは守っていただきませんとね」
「リュリュさんの仰る通り。ティータイムの礼儀作法、ご存知?」
暫しの間、澄んだ氷の翅の音に耳を傾けていた二人は、次は自分達の出番ね、と。
役目を終えて溶けていく氷蝶と交代するように、ダンス会場へと足を踏み入れた。
リュシエンヌの『ダンシングシューズ』が空を蹴る。
百合の花を咲かせるお姫様は、ドレスのフリルを風に遊ばせて、偽アリスの頭の上へ。
「ヒトの頭で何するのよ! ぬるくなってもこれは強酸よ、食らいなさい!」
偽アリスは顔を真っ赤に沸騰させて頭上に酸を撒くけれど、勿論リュシエンヌはヒラリと避けるので、自分の頭に丸被り。火傷した耳を抑えて叫ぶ偽アリス見て、ついクスクスと笑ってしまった。
痛いのは早く終わりにしてあげましょう。リュシエンヌの靴先が偽アリスのこめかみを鋭く抉ると、勢いでふわりと揺れる金色の髪から百合の香が広がった。
偽アリスは地面に倒れて、帰らぬ夢へと落ちていく。
「あら、リュリュさんも御転婆ね? わたしも……意外と怪力でしょう?」
エリザベートのダンスは、その淑やかな風貌とは裏腹に至極豪快だった。茨の鉄槌『*Psyche*』を手に、偽アリスを打ち砕きながら、まわる、まわる――。
通常なら乱暴に感じるはずのその動作も、エリザベートが行えば蝶の乱舞のように美しく庭に映えた。悪しきモノを寄せ付けず、鉄槌の紫の薔薇が絢爛に舞う。
「かわいくてきれいなアリスちゃんにこんな事して……可哀想だと思わないの!?」
「リュリュさんの方がもっとかわいいよ?」
「リズさまの方がずっとキレイでしょう?」
偽アリスの苦し紛れの叫びに返したお揃いの台詞に、二人は微笑み合った。
「ふふ。息ぴったりね」
「もう少し、一緒に踊りましょう」
リュシエンヌが空を駆けて蹴り飛ばし態勢を崩した敵を、エリザベートが茨の鉄槌で仕留めていく。そうして舞台が静まるまで、花と蝶は共に踊り続けたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シウム・ジョイグルミット
[SPD]
美味しい平和を乱すオウガは、美味しい世界を愛する時計ウサギが許さないっ!(キリッ)
というわけで、ボクは兵士くん達のサポートするよ
【空中浮遊】でふわふわ浮きながら、『Crazy Blackjack』を召喚!
偽アリスがもし空を飛べないなら掴まれないし有利だよね
たくさんトランプに齧られて、逆にお菓子になっちゃうといいよー
何にしようかな……チョコレートに変えちゃうのが1番かな
全身チョコレートになったらボクが全部食べてあげるから安心してね
他の人も、食べたければ遠慮なくどうぞ~♪
兵士くん達には弓を撃ってくれるようにお願いしようかな
トランプと矢の雨が同時に降ってくるのを全部かわすのは難しいだろうね
碧海・紗
腐ったお菓子だなんて
偽物さんは本当のお菓子の美味しさを知らないのでしょうね?
ひとまず、兵士さんにはお姫様の護衛を
そうすれば、私は心置きなく偽物さんに集中出来ますから。
敵が現れたら
【オーラ防御】で出来る範囲で囲い
私とあなただけの空間を作り出す算段。
念の為【視力】で周囲を確認
無差別攻撃の為
敵以外がいない事を確認してから
【暗香】発動
敵の攻撃に対しては【空中戦】を取り入れて…
手が届かなければ、攻撃も限られると踏んで。
反吐が出ちゃう甘い香りで踏みにじられる気分は如何かしら?
溶けたチョコレートはもっと甘い香りがするはずなのに…
本当は甘い香りが好きなんじゃなくて?
素直にならないと、後悔しますよ?
アドリブ歓迎
●
「美味しい平和を乱すオウガは、美味しい世界を愛する時計ウサギが許さないっ!」
チョコレートハート城の庭で、白黒のディーラー風スカートがふわりと揺れる。シウム・ジョイグルミット(風の吹くまま気の向くまま・f20781)はお姫様と兵士達の前で、キリッとキメてみせた。
「腐ったお菓子だなんて……偽物さんは本当のお菓子の美味しさを知らないのでしょうね?」
続いて訪れた碧海・紗(闇雲・f04532)は兵士のチョコ顔を興味深そうに観察しつつ、戦闘時の指示を伝えておく。
「ひとまず、兵士さんには前には出ずに、お姫様の護衛を。そうすれば、私は心置きなく偽物さんに集中出来ますから」
紗の力は敵味方無差別に攻撃してしまうものなので、巻き添えを出さない為の配慮だ。シウムにはどうしてもらおうかと視線を向けると、
「ボクの事は気にしなくて大丈夫だよ!」
こっちも自由にやってるから、と不思議な靴『Have a nice trip』でシウムは空を跳ぶ。
「弓の兵士くん達は、後で僕に合わせて手伝って!」
兵士達に手を振ると、シウムは偽アリス軍団の上空へぴょんぴょんと跳ねて行った。
空から見る城と庭の景色は、実に鮮やかだった。
全てがチョコレートで出来ていると聞くと、茶色一色を想像するかもしれないけれど。ホワイト・ブラック・ストロベリー、他にも様々な色に染められているから、意外とカラフルでファンシーな世界だったのだ。
後で何味のチョコが食べられるのか、想像するだけで心が躍るようだ。
「兵士くん達、今だよ! キミのハンドは『21』になるかなー? 楽しみだねぇ♪」
ご機嫌な気分のまま、シウムは【Crazy Blackjack】を召喚する。
合図と共に降り注ぐ、ハートの矢とトランプの雨。
金属製のトランプの中心には口があり、齧れるナニカを探して宙を舞う。
「このカードは何なの!? 痛っ……ええ!? 嘘でしょ、アリスちゃん……チョコになってる!?」
狂ったトランプに噛まれたら、徐々にお菓子にされてしまうのだ。
「この世界なら、やっぱりチョコレートになるのがいいよねー」
カードを配って愉快に笑うディーラーの首を掴もうと偽アリスが手を伸ばすが、シウムはからかう様に偽アリスの周囲を跳んでから、空高くまで逃げてしまう。
「それじゃあ後はヨロシクね~♪」
シウムが空へ退場すると、一瞬で庭の空気が変わった。
偽アリスが矢とトランプから逃げようと混乱する中、紗はひとり静かに佇んでいる。
兵士達を枠から外して、自分と敵だけの空間をオーラで包み込んでいたのだ。
シウムからも兵士達からも距離が置かれている事を再確認して、呟く。
「逃がさない、誰ひとりとして」
紗の宣言により【暗香】が一帯に広がっていく。
それは、嗅ぐと激痛を伴う甘い香り。闇に漂う花、クレマチスの香だ。
暗い香りに捕まった偽アリスは、チョコに変わりつつある指で自分の喉を引搔く。
「反吐が出ちゃう甘い香りで踏みにじられる気分は如何かしら?」
くるしい、と偽アリスが掴みかかろうとしても、紗は黒の羽根を広げて空へと逃げてしまう。
甘過ぎて痛い、息が出来ない。トランプに齧られて、身体まで甘くされる。
甘く、甘く――。
「アナタ達がこの国を溶かしていたら、溶けたチョコレートでもっと甘い香りがしたはずなのに……本当は甘い香りが好きなんじゃなくて? 素直にならないと、後悔しますよ?」
お菓子や紅茶の本当の美味しさを知らずに、間違った楽しみ方をしようとした罰なのだろうか。紗の声はもう、彼女達には届いていない。
見下ろす庭には、苦悶の表情を浮かべたチョコレート人形だけが並んでいた。
「お疲れ様! チョコレート人形が沢山出来たねぇ」
暗香の効果が切れた頃、空から降りて来たシウムは、偽アリスのチョコ耳をパキッと折って口に含んだ。
「んー、甘くておいしい! キミも食べたければ遠慮なくどうぞ~♪」
「ええ、チョコレートは後で美味しくいただきます」
甘いものは好きですから。とても、とても。
クレマチスの残り香はチョコレートに溶けて、やさしい甘さが庭を包み込んでいた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ネガ・アリス』
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POW : 裏返ったお姫さま(リバースド・プリンセス)
【黒く染まったプリンセスドレス】に変身し、武器「【悪夢童話(ナイトメア・テイル)】」の威力増強と、【歪んだ童話の能力・人物】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD : 歪:茨姫(バロック:スリーピング・ビューティー)
全身を【黒いイバラのツタ】で覆い、自身が敵から受けた【苛立ち】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
WIZ : 歪:親指姫(バロック:サンベリーナ)
【全身を覆うツタ】から【花のつぼみに潜んだ親指大の分身】を放ち、【その可憐な姿で魅了すること】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:葛飾ぱち
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ヘイヤ・ウェントワース」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
猟兵達が偽アリスを全て退治したので、庭に残るオウガは『ネガ・アリス』のみとなった。ネガ・アリスは、庭に倒れた偽アリスもチョコの草花も同じように踏みつける。
「だらしないわねぇ。あれだけ沢山いたのに、みんな負けちゃうなんて」
しゅるしゅると黒い茨を操りながら、歪んだ瞳が猟兵達を見つめる。
「こういう甘ったるい世界は壊しておかなくちゃ。邪魔するなら、あなた達も、ね」
ネガ・アリスは隙あらば周囲に茨を伸ばし、チョコレートを溶かそうとする。
お姫様や兵士のチョコ頭も例外ではない。愉快な仲間達には安全な場所へ避難してもらい、猟兵だけで戦う必要があるのだ。
「お願い、この国を守って!」
遠くから聞こえてきたお姫様の声に、猟兵達は頷いた。
元よりそのつもりでこの世界に来たのだ。
このオウガも骸の海へと叩き還してやろう!
●
(プレイング募集期間は『2月26日(水)8時半~29日(土)正午』です。
ご協力宜しくお願い致します。)
碧海・紗
まさか、ここでお会いできるなんて…
以降、アンテロさん(f03396)とご一緒に。
溶けていくチョコレートに自分の思いも溶かされてしまいそう…――
なんて、弱々しい【演技】を取り入れ
侮蔑の感情へと【誘惑】する目論見
敵のネガティブな台詞も気にならない、はず。
(――本当に?)
横目で彼へと視線を向け
一瞬だけ、怯んでしまったけど
真っ白な雪、寒さで思考がクリアになった気分
(馬鹿ね、私。まだ何もしていないのに。)
【紫苑】発動
ネガティブな台詞ごと切り刻みましょう
敵の攻撃は空へと飛んで回避を試み
…甘いものは、幸せだけど。
私、太ってますか…ねぇ?
おずおず見上げた先の笑顔に
少しばかり頬を膨らませて
もうっ、次いきますよ!
アンテロ・ヴィルスカ
見慣れた黒羽、これは幸運。甘い物なら彼女の方が専門だ。
以降、碧海(f04532)君と行動を共に…
食べ物で遊ぼうと君の勝手だが、服が汚されるのは頂けないねぇ…
庭園の土など、使える無機物は全て『不香の花』で雪へと変えよう
兵士君達も多少は溶けにくくなるのではないかな?
あの茨も悪くない【武器改造】にて黒剣を鞭へと真似、親指姫は視界に入る前に雪の中へ叩き落とすよ
生憎、俺は唯の“モノ”なのでね、どんなネガティブな言葉も意味をなさない
しかし食べ過ぎると太るのには同意だね、チョコレートは確かにハイカロリーだ
隣の彼女にはいつも通りの微笑みを向けて
気にし過ぎではないかな?大丈夫…最悪、飛べればどうと言う事もない
●
チョコレートハートの国では、庭の木々に生るのもチョコレートの実だ。
ドライストロベリーのホワイトチョコに、黒い茨が絡みつく。
甘いのが好きな人ばかりだなんて思わないで? 甘過ぎるあなたは、いらない子よ。
ネガティブな棘に否定された甘い実は、ドロリと溶けて地に落ちてしまった。
「ああ、チョコレートが……私の思いも、溶かされてしまいそう……――」
その光景を目の当たりにした碧海・紗(闇雲・f04532)の弱々しい呟きを、ネガ・アリスは冷たく嘲笑った。
「チョコレートのように甘い甘い考えを持ってるって、自覚があるみたいね。どうせ無駄になる思いなら、この場で溶かされて捨てて帰った方がいいんじゃないの?」
溶け落ちたチョコを踏みにじるブーツに視線を落とす、紗の瞳の色は眼鏡レンズに隠されて窺えなかった。
実は、このやり取りは彼女の策の内。予想外だったのは、この後の出会いの方なのだ。
「おや、見慣れた黒羽だと思ったら……」
一瞬、考え過ぎの幻聴かとも思ったが、振り返らずにはいられなかった。黒羽の天使は、見慣れたモノトーン色の男、アンテロ・ヴィルスカ(黒錆・f03396)の名を呼んだ。
「アンテロさん!? まさか……、ここでお会いできるなんて……」
「甘い物なら碧海君の方が専門だ。俺はのんびりとやらせてもらおうか」
アンテロは紗に軽く手を振って、チョコレートだらけの珍しい景色を隻眼で眺めた。
「あーあ、甘い顔になっちゃって。糖分過多でデブって捨てられちゃえばいいのにー」
紗が自分の甘さを見せたのはただの演技で、能力の発動に必要な『感情』を敵に抱かせる為の誘導に過ぎない。だから敵のネガティブな台詞も気にならない、はずだった。
――この想いは、無駄にならないと言える?
(――本当に?)
揺らいだ紗が横目で向けた視線は、アンテロの魅惑的な瞳とぶつかった。胸が、波立つ。
「庭の土と……そこら中に落ちてるハートの矢が使えそうかな。雪景色、静かでいいと思わないかい?」
アンテロは土や使用済みの矢を【不香の花】、雪に変えて銀世界を創り上げる。
「チョコレートは冷やした方が美味しいだろう? 兵士君達も多少は溶けにくくなるのではないかな?」
チョコを溶かす黒茨に危険を感じて避難していたチョコ頭の愉快な仲間達は、突然の雪に大喜びしているようだ。はしゃぐお姫様を兵士が必死で押さえつけるくらいに。
そして、その真っ白な雪の冷たさで、紗の思考もクリアになった。
(馬鹿ね、私。まだ何もしていないのに)
「寒っ! 甘ったるさ満点の女を守れる、クールな俺様カッコイイッのつもり!?」
「アンテロさんは格好良いでしょう? ――彼を悪く言うあなたになら、私は酷く冷たく出来る……」
『侮蔑』の感情を吐き散らかす黒アリスへ、更なる冷たさをお返しように。アンテロが創った白雪の舞台に、紗は無数の紫陽花を咲かせた。赤にも青にも染まれる花は、全ての想いを誇らしげに抱きしめて【紫苑】の花弁と葉を敵に飛ばす。鮮やかな紫は、鋭く強く、アリスの黒ドレスを切り裂きながら舞い散った。
「私のドレスがっ! いきなり開き直っちゃって何なの!?」
「色々な表情を見せてくれて素敵だろう? 生憎、俺は唯の『モノ』なのでね、どんなネガティブな言葉も意味をなさない」
男はすぐに心変わりする生き物だ、と女に見せたかったのだろうか。
ネガ・アリスは魅了の能力を持つ親指大の分身を茨から生んでアンテロに近づこうとした。しかし、彼は氷笑を浮かべたまま、黒剣を鞭のようにしならせる。狙いは自分だ、とクレバーな彼にはお見通しだったようで。アンテロの視界に入る前に、親指姫は黒鞭で雪の中に叩き落されたのだった。
「しかし食べ過ぎると太るのには同意だね、チョコレートは確かにハイカロリーだ」
仄かに白い息を吐くアンテロの言葉に、紗は急に不安が過ぎる。
「……甘いものは、幸せだけど。私、太ってますか……ねぇ?」
その心配そうな表情には、いつも通りの微笑みが返された。
「気にし過ぎではないかな? 大丈夫……最悪、飛べればどうと言う事もない」
気分はビタースイート。アンテロを見上げていた紗は、頬を膨らまして顔を反らす。
「もうっ、先いきますよ!」
黒羽を広げて、紗は少しだけ前を飛ぶ。
アンテロと離れないように、ゆっくり、ゆっくりと。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カグラ・ルーラー
「いやいやオウガの姫さんよ。甘いモンだって悪か無ェだろ」
この世界自体が俺らアリスにとっちゃ生きるにもビターなんだからよ。
甘いの嫌いなオウガの姫さんお望みのビターな舞踏会にご招待だ。
ネガ・アリスの「裏返ったお姫さま(POW)」に対し、ユーベルコード「スーパー・ジャスティス」。
飛翔能力の速度は俺のが断然速いし、技能も【空中戦】と【空中浮遊】がある。
「空中で舞踏会なら俺がリードしてやるぜ!」
一気に間合いを詰めて殴り飛ばす!
吹っ飛んだら、その方向に先回りして別の方向、あるいは他の猟兵の攻撃範囲に殴り飛ばす!
ある程度ボコったら捕まえて地上に降りる。
「がっつりビターな舞踏会、お気に召したかコラァ!」
黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流
甘いものは苦手だけれど個人的な目的もあることだし頑張ろう。
チョコはバターと砂糖たっぷりのクッキーよりはいい。
ただ飯はいかんからそれなりに働かないと。
UC月華での真の姿と【呪詛耐性】で魅了には対抗する。
そのうえで【存在感】を消し【目立たない】ように立ち回り、隙を見て【マヒ攻撃】を乗せた【暗殺】攻撃を行う。
相手の物理攻撃は【第六感】による感知と【見切り】で回避。回避できないものは黒鵺で【武器受け】し可能なら【カウンター】を叩き込む。
どうしても喰らうものは【オーラ防御】【激痛耐性】で耐える。
しかし茨のツタで全身覆うとかマゾなのか?
俺には理解出来ねぇな。
●
チョコレートの甘い世界を黒い茨で溶かし、踏み躙る。オウガらしいと言えばらしい悪行に、カグラ・ルーラー(バーバリス・f21754)は待ったをかけた。
「いやいやオウガの姫さんよ。甘いモンだって悪か無ェだろ」
オウガの餌として召喚された『アリス』にとっては、このアリスラビリンス自体が中々にビターな世界なのだ。記憶を失っているカグラもアリスであり、オウガをぶん殴りながら、今日も力強く生きている。
「俺も甘いものは苦手だけれど……個人的な目的もあることだし頑張ろう」
黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)は別の目的があってこの国へ訪れたようだ。甘いものの中でも、チョコはバターと砂糖たっぷりのクッキーよりはいい。それにこれだけチョコだらけなら、ビターなチョコもあるはずだ。
ただ飯はいかんからそれなりに働かないと、なんて呟きつつ。瑞樹はいつもの武装、右手に胡、左手に黒鵺を構えたのだった。
「甘いのが嫌いなオウガの姫さんお望みのビターな舞踏会にご招待だ!」
――喧嘩、しようぜ?
オウガをボコりたいという強い意志が黄金に輝くオーラと化して全身を包み込み、【スーパー・ジャスティス】・カグラとなる!
「嫌いなのは甘い世界だけじゃあないの。舞踏会もお断り……あなたと踊るくらいなら足もいらないわ」
対するネガ・アリスは『悪夢童話』を展開、黒のドレスに黒茨を集めて更に黒く黒く――『歪・人魚姫』のプリンセスドレス姿へと変身する。ドレスの裾からは足ではなく、魚の尾鰭が覗いていた。歪な人魚姫は、王子を刺したトライデントを手に空を泳ぐ。
「上等だ。無理やりにでも俺がリードしてやるぜ!」
敵が空を海のように自由に泳げたとしても、カグラだって空中喧嘩はお手の物なのだ。相手を追う二人は睨み合いながらぐるぐると周る。しかし、カグラが本気を出せば、その速さの差は歴然だ。飛翔能力の格を見せつけて、一気に間合いを詰める。
トライデントが狙う三白眼。それを紙一重で見切って懐に潜り込み、固く握った拳をネガ・アリスの顔面に叩き込んだ――!
ネガ・アリスが殴り飛ばされていく先には、存在感を潜めて戦いに備えていた瑞樹の姿があった。閉ざされていた両の瞳が開かれると――それは、青から金色に変わっていた。
月読尊の分霊を降ろし、【月華】を発動させた瑞樹の手には、刀に形態変化させた黒鵺が握られている。反対の手には変わらず胡を携えて、二刀流の戦闘態勢で飛んできた獲物を――切る。
「あまり使いたくないんだがな、――っ」
麻痺の刃は敵の急所を狙うが、ドレスを包む黒茨が急速に伸びて代わりに切られた。続けて薙ぎ払いを連打する棘の鞭の軌道を、感覚と目視で見切って躱していく。
「しかし茨のツタで全身覆うとかマゾなのか? 俺には理解出来ねぇな」
「こんな武装でも足りないくらいだわ。甘い世界で育ったお坊ちゃんには分からないかもしれないけどねっ」
盾にも鞭にもなる黒茨は、今度は瑞樹の鼻先まで伸びて黒い蕾を開いてみせた。
花から生まれた親指姫。その可憐な姿は見る者を魅了する能力を持つが――。
月読尊を、そんな小さな花で勾引せると思うか?
黄金の瞳が瞬く間に、二刀の刃が蕾ごと親指姫を切り刻む。
「勝手に人の過去を甘いと決めつけるな」
誰しも背負う過去がある。それは何も知らない他人が、土足で踏み込んで許される領域ではない。三日月のような軌跡の斬撃が、ネガ・アリスの胴体に直撃する――!
衝撃でふらつくネガ・アリスの頭上から、声が降って来た。
「がっつりビターな舞踏会、お気に召したかコラァ!」
拳を構えたカグラの高速落下――その拳はオウガの頭部をぶん殴り、粉塵とチョコの香を撒き散らしたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
照宮・茉莉
【蝶番】梨花(f22629)と
この世界の可愛いものは、どうして他の可愛いものを壊そうとするのかなぁ…
茉莉はすごくもったいないと思うんだけど
どんなに可愛くても、あの子もオウガなら…仕方ないんだよね
いこう、梨花!
梨花が作った黒虎の後ろに乗る
敵が超速で飛んで来たら、こっちも【アリスナイト・イマジネイション】でトゲトゲ鎧を壁みたいに作って反撃だよ!
そんな速さで飛んでたら、急になんて止まれっこないんだから
長い長い針の棘で、抜けないようにしちゃうね
可愛い子に痛い思いさせて楽しむ趣味は無いんだけど、
オウガに手加減できないから
さあっ トドメはこの槍(【螺旋槍】)でしっかり、骸の海へ串刺しだよ!
照宮・梨花
【蝶番】茉莉(f22621)と
甘い物が嫌いだからってチョコレートを溶かしたり踏みつけたら駄目なのだわ
だって汚れるじゃない!
飛んで逃げたって駄目
【黒虎宅急便】でうちの黒虎轟を作り出すのだわ
(※砦で飼っている黒猫。黒虎は愛称。女神によって作られ、バスになったり羽根が生えたりする)
羽の生えた黒虎に跨がり、後ろに茉莉を乗せましょう
うちの黒虎はあの子よりもっと早く飛べるんだから
それに茉莉をパワーアップするのだわ
さあ茉莉、落ちないようにしっかり私に捕まっていてね
突撃するのだわ!
茉莉の鎧は無敵だけど、反撃してきたら強力滅菌銃《カビ殺し》で除菌して援護
戦いが終わったらお掃除グッズ《だす巾》で掃除するのだわ
●
兎耳の美少女の次は、黒ドレスのお姫様のお出ましだ。人形のように澄ました表情で黒茨を操り、木々に実るチョコレートをドロドロに溶かしていく。
「甘い物が嫌いだからってチョコレートを溶かしたり踏みつけたら駄目なのだわ」
照宮・梨花(楽園のハウスメイド・f22629)は認識する。庭を汚すあの子は早急に片付けなければならない、紛うことなき敵である、と。
「この世界の可愛いものは、どうして他の可愛いものを壊そうとするのかなぁ……」
一方で、照宮・茉莉(楽園の螺旋槍・f22621)は勿体ない、と残念そうな顔でネガ・アリスを見つめていた。どんなに可愛くても、あの子もオウガ。倒さなければならない存在なのだ。
「……仕方ないんだよね。……いこう、梨花!」
「勿論なのだわ!」
戦場を駆け出すのは照宮姉妹、そして、彼女達の住まいである湖の畔の砦で飼っている家族『黒虎』だ。
「ツインアタックを最速でお届けするのだわ」
梨花の【黒虎宅急便】によって召喚した『黒虎』とは黒猫の愛称である。彼女の想像による創造から翼を背に生やし、梨花と茉莉を乗せて敵の元へと空を走る。
「ありがとう、黒虎。よろしくね」
「さあ茉莉、落ちないようにしっかり私に捕まっていてね……突撃するのだわ!」
黒猫の背から温もりが伝わり、茉莉は力が内から溢れてくるのを感じていた。そして、頼れる姉の背中に抱き着き身体を預けて……今なら、どんな想像だって出来る気がする。
「チョコみたいに甘い姉妹愛ねぇ……仲良く一緒に溶かされるのと、バラバラに刻まれるの、どっちがいい?」
空駆ける姉妹に対抗するように、ネガ・アリスも『悪夢童話』で変身した。
選んだ物語は『歪:灰かぶり姫』。ロングプリンセスドレスを飾る黒薔薇が花を咲かせれば、中から生まれた棘鳥が彼女の背に集まって翼を授ける。
「硝子の靴を手に入れたお姫様は、掃除なんてしないのよ。自由に汚しても許されるの」
「いいえ、駄目なのだわ。汚す者はお姫様でも誰だって、飛んで逃げても私達が許さない」
空飛ぶドレスから放射される黒茨。それを避けながら接近してくる黒虎に向かって、ネガ・アリスは急降下する。
「そんな速さで飛んでたら、急になんて止まれっこないんだから!」
黒虎の背に乗る茉莉は【アリスナイト・イマジネイション】を発動させた。棘には棘を――ヤマアラシのような鎧に変身した茉莉は、家族以外を拒絶するようにその針を伸ばし、敵の突撃を針山で受け止めたのだった。
「きゃああ!! い、痛い……なんで、この針……抜けない!?」
身体に突き刺さる無数の針を力いっぱい引くが、一向に抜ける気配はない。何故なら、それは茉莉が『そういう風に想像した棘』なのだから。
「可愛い子に痛い思いさせて楽しむ趣味は無いんだけど、オウガに手加減できないから」
「大人しくあなたも茉莉に繋がれるといいのだわ」
痛い痛いと暴走する黒茨は、梨花の強力滅菌銃『カビ殺し』に除菌されて枯れていく。
そして、ネガ・アリス本体は、茉莉が『螺旋槍』で深々と串刺しにした。
「このネジも抜けないよ。しっかりと、骸の海に繋ぎ止めて上げる」
「溶かされたチョコも針も散かっているのだわ」
戦闘後、梨花のお掃除グッズ『だす巾』が広げられる。
チョコレートパーティーを楽しむ前に、庭の片付けも済ませないと。
元よりピカピカになった庭で食べるチョコはさぞかし美味しいだろう。
槍の代わりに、姉に押し付けられた箒を持って。妹はもう少しだけ頑張る事にしたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
清川・シャル
f19187アイシャさんと同行
チョコは踏むものではありませんよ!
全力魔法で動きを制限してみましょう
氷と風魔法でブリザード展開、アイシャさん巻き込まれないようにしてくださいね
動きを封じれないかな
飛翔能力が必要そうなら櫻鬼のジャンプ、空中浮遊を使って飛びましょう
移動は風魔法で補助してダッシュを使います
相手より遅くても第六感と見切りでなんとかなるでしょう
構えるはそーちゃんです
呪詛を帯びたなぎ払い攻撃を
敵の動きが鈍ってきたらそーちゃんを敵に投げてフェイント効果を狙い、修羅櫻を抜刀、UCを起動
2回攻撃、串刺し、恐怖を与えるでの攻撃
アイシャさんに気を配りつつ、敵攻撃には氷盾展開、武器受け、カウンターで対応
アイシャ・ラブラドライト
シャルちゃん(f01440)と
WIZ
そうですよね、チョコレートを踏むなんてお行儀がよくないです
親指姫とは…奇遇ですね
私も実は親指姫なんです
仮装したことがあるってだけなんですけどね
折角だから、thumbelinaに乗って戦いましょう
自分の翅でも飛べますけどね
この戦いが終わったらチョコレートパーティーだと思ったら、俄然やる気が出ます
UCで自分の全ての能力を底上げ
一刻も早く戦いを終わらせて念願のシャルちゃんとのチョコレートパーティーを楽しみたい
という気持ちをたくさん込めてジャスト1分間で歌を歌います
ただ、このUC使い終わったらすごく眠たくなってしまうんですよね
目が覚めたら、楽しい時間が待ってますよね
●
黒茨に絡まれて、地面に落とされる可哀想なチョコレートの実。
ぐしゃり、チョコを踏みつけるオウガに、二人の乙女は抗議の声を上げた。
「チョコは踏むものではありませんよ!」
「そうですよね、チョコレートを踏むなんてお行儀がよくないです」
このネガ・アリスも倒さないと、チョコレートハートの国に平和は訪れない。
優しい世界を望むアイシャ・ラブラドライト(煌めく風・f19187)は、『thumbelina』の赤い花に乗って、空へと飛んで行く。花の上からアイシャは清川・シャル(無銘・f01440)に手を振った。またあとで――シャルも手を振り返して、桜色の金棒『そーちゃん』を手に走り出したのだった。
「まずは動きを制限してみましょうか」
シャルがそーちゃんを空中で一薙ぎすると、風花の吹雪がネガ・アリスに向かって吹き荒れた。氷と風の複合魔法は、チョコを溶かす黒茨の動きを鈍らせていく。
「甘い友情を見せつけてくれたお友達は大丈夫? 一緒に凍らせちゃうんじゃない?」
「勿論コントロールしてますよ。アイシャさんを巻き込むわけにはいきません!」
凍った黒茨がパキパキに崩れたかと思えば、また新しく生まれた茨が鋭い棘で絡みつこうとシャルに襲い掛かる。それに素早く反応したシャルは、厚底高下駄『櫻鬼』の魔力ジェットで空へと回避した。
敵と交戦するシャルを見て、アイシャは自分が手を貸せる『一分間』を見極めていた。高速回転する金棒を振り回すシャルの呪詛を受けて、茨の動きが徐々に鈍くなっている。――そろそろか。
「どうしても……成し遂げたいんです」
一刻も早く戦いを終わらせて、念願のシャルちゃんとのチョコレートパーティーを楽しみたい。その強い意志を【Heartache】に込めて、アイシャは祈るように歌を歌った。
ピアス型のシンフォニックデバイス『labradorite』が虹色に輝いて、アイシャの声を庭に広げていく。歌に合わせて強化された風魔法が、優しいシャルには手助けを、優しくないオウガには足枷となり、仲間を援護していく。
「うるさいわねぇ……黙らせなさい、親指姫!」
自由に動けなくなったネガ・アリスは、小さな分身をアイシャに差し向けた。
(親指姫とは……奇遇ですね。私も実は親指姫なんです)
以前仮装をした時にも使用した花の上で、アイシャは歌い続けていた。
花も風もアイシャの味方だ。黒い親指姫を避けて、風が歌姫を攫っていく。
そして黒い親指姫には、代わりに金棒が投げ付けられて押し潰されたのだった。
「アイシャさんは絶対に傷つけさせません……血の桜よ。咲き誇れ」
抜刀される『修羅櫻』。二本の刀が桜吹雪と舞う【百花繚乱・桜舞】。
そこには、連続切りで黒茨もドレスもネガ・アリスも切り付ける、美しい修羅がいた。
「くっ……それなら、小さくなれば当たらないでしょ!」
『悪夢童話』で自身が『歪:親指姫』に変身したネガ・アリスは、その小さくなった身体で弾丸のようにシャルへ突撃しようとする――。
しかし、そのタイミングで、アイシャの歌のラストフレーズが風の花を咲かせた。
アイシャの目の前で、透明なクッションに当たったように歪な姫は跳ね返される。
「ただ、歌い終わったらすごく眠たくなってしまうんですよね……あとは、宜しくお願いします……」
夢の中へ落ちた妖精の姫は、赤い花に受け止められて、ふわりふわり。
跳ね飛ばされた歪な姫は、桜の刃が追いかけて、狙いを定めて串刺しに。
(目が覚めたら、楽しい時間が待ってますよね)
(ええ、きっと。もうすぐですよ)
穏やかな笑みで眠る友が乗る花を、シャルは両手でそっと受け止めたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シン・バントライン
薬師神さん(f19225)と
UCを展開し鯨と鯱の影を呼ぶ。
「季節が季節ですしその蔦も甘いかもしれませんよ。食べてしまって下さい」
鯨と鯱はムシャリと食いつくかもしれない。
蕾から可愛らしい姿で魅了しようとしてくるのなら懐から彼女の写真を一枚取り出し眺める。
「…めっちゃ可愛えな。そんな訳でその攻撃は躱させて頂きます」
いや可愛かったけど。花の中から親指姫だなんて、なにより彼女が見たら喜ぶだろうなとそんな事を考える。
自由になれば剣を抜き攻撃を。
「それにしても煮ても焼いても食えなさそうな人ですね」
甘ったるい世界いいじゃないですか。
苦い思いしかしない世界より胸焼けがするほど甘い世界の方がずっといい。
薬師神・悟郎
シン(f04752)と
弓を使い遠距離から狙い撃ち、麻痺毒で機動力を奪いじわじわと追い詰め
残像により攻撃を当てたと錯覚させ、油断したところをUCで簀巻きに
更に逃亡阻止に有効な箇所を部位破壊
「シンは煮るのと焼くのとどちらが好みだ?」
「彼女をどう料理するのかは任せるよ」
この程度でシンを魅了しようとするとは…思わず冷笑する
彼の彼女への溺愛と独占欲を知っているからこそだ
というか、いつも持ち歩いてるのかあの写真
俺も今度片思いしてる彼女の写真を持ち歩こうかな
恥ずかしいと照れる彼女は絶対可愛い
大切な人達と過ごす世界が甘い世界だというなら、俺もそれを守る
これで終わりにしよう
チョコレートパーティーを開くために
●
チョコレートを踏み躙り、口から出るのは人を傷つけるマイナス思考。甘い世界と人の想いを完全否定するオウガの少女に、男性二人は気分的にお手上げの様子だ。
「煮ても焼いても食えなさそうな人ですね」
「煮るのと焼くのと、どちらが好みだ?」
どう料理するのかは任せるよ。一人は子供っぽい存在は苦手なのだと肩を竦める。
任された方の男性は少し思案して、彼等に投げて更に任せてしまう事にした。
それでは、好きに食べてもらうとしましょうか。
「海を詠え」
シン・バントライン(逆光の愛・f04752)は、鯨と鯱の影を呼ぶ。
次々と召喚される影は群れとなり、海のように自由な空を泳いだ。
「季節が季節ですしその蔦も甘いかもしれませんよ。食べてしまって下さい」
「お生憎様、私の棘は甘くないわよ。私が世界を嫌えば嫌うだけ、幾らでも生えて来るんだから」
【狂濤】が多方面から黒茨を喰らっていくが、ネガ・アリスの言うように、食べられた先から新たな茨が生えて影に絡みついてくる。
「それなら元を断つしかないな」
続けて後方から放たれた薬師神・悟郎(夜に囁く蝙蝠・f19225)の矢が、茨の根元であるネガ・アリスのドレスを破った。破られたドレスは茨によって再び修復されるが、徐々にその動きは鈍くなっていく。矢に塗った麻痺毒が効いてきたようだ。
再生が遅くなった茨は次々と鯨と鯱の餌食になる。
「男のくせに、遠くからチクチクと嫌らしい攻撃ばかりするのね」
これで大人しくしてなさい。鯨達の主人であるシンの前で黒い薔薇が咲く。
薔薇から生まれた歪んだ親指姫は、にっこりとした笑顔で見た者を魅了に堕とす。
その笑顔を間近で見てしまったシンだったが、無言で懐から一枚の写真を取り出した。
――そこには、天使がいた。海の天使。俺の天使、最愛の恋人だ。
一目見ただけで顔が綻び、愛おしさが胸に溢れる。彼女以上に可愛いと思えるものなんて、世界中を探しても見つけられるはずがない。
「……めっちゃ可愛えな。そんな訳でその攻撃は躱させて頂きます」
シンは親指姫を再度見ても、花の中から親指姫だなんて彼女が見たら喜ぶだろうな、とそんな事しか考えられないようだ。
「な、なんで!? 写真だけで正気を保てるなんて……頭おかしいんじゃない!?」
「この程度でシンを魅了しようとするなんて……笑わせる」
彼の彼女への溺愛と独占欲を知っている悟郎は、思わず冷笑をする。
「というか、いつも持ち歩いてるのかその写真。俺も今度片思いしてる彼女の写真を持ち歩こうかな」
恥ずかしいと照れる彼女は絶対可愛い。そんな事を考えれば、一気に温度が宿った悟郎の微笑みに、シンは甘酸っぱくてええなと共に笑った。
ちなみに、興味本位でどんな写真なのかと聞いてみたが。自分だけのものだと見せてはくれなかったようだ。写真は再び彼の心臓の傍へと戻された。
「男のくせに恋バナ!? 甘ったるくて砂吐きそうだわ!」
「男だって恋もするし、甘いものだって食べにくるさ」
吐き捨てられた言葉と共に飛んできた棘が悟郎に直撃したように見えたが、それは只の残像だった。影は消えて、黒衣が揺らめく。そして、五月蠅い口は閉じてしまえと【咎力封じ】が放たれた。猿轡が口撃を、手枷が茨の操作を、拘束ロープが逃亡すらも許さないと足を封じる。
「甘ったるい世界いいじゃないですか。苦い思いしかしない世界より胸焼けがするほど甘い世界の方がずっといい」
「大切な人達と過ごす世界が甘い世界だというなら、俺もそれを守る」
二人は顔を見合わせて、最初に任せられたシンが黒剣を手に取った。
これで終わりにしよう。チョコレートパーティーを開くために。
甘い世界の守る刃が、苦さを吐き出す事しか出来ないオウガの胸を貫いたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エリザベート・ブラウ
■リュリュさん(f19571)とご一緒に
国を守ってと助けを呼ぶ声
わたしは国なんて大きなものを背負ったことはないけれど、この愛らしい小さな国の英雄になるのも悪くないわ
貴女のお顔をちらり盗み見
凛々しい御尊顔
ふふ、私は国と姫を守るナイトの気分よ
あの棘は邪魔ね
チョコレートを溶かしてはだめ
揚羽と立羽、二対の少女人形で幕開けといこうか
彼方の刺も此方の刃物の羽でさっくりケーキのように切って【凍て蝶】で黒い棘ごと氷漬け
あらお怒り?
次いでリュリュさんと入れ替わり凍て蝶は彼女の補佐へ
甘い世界も苦い世界も
楽しめるかは自分次第よ
お口に合わないのならご退場召しませ!
アドリブ歓迎
リュシエンヌ・ラブラシュリ
■リズさま(f20305)とご一緒に
私は、国を守ってと泣き叫ぶばかりでしたわ
でも、今なら応えられます
リズさまが英雄なら、私はその片腕に
…リズさまと守るのでしたら光栄ですわ
この国を、守りましょう、リズさま
リズさまが氷漬けにした棘のアリスを
UC【泣き濡れる花】で切り裂きましょう
☆キー・オブ・フラワーで衝撃波を放ち、一閃
貴女の苛立ちは、私の悲しみで相殺致しましょう
国を壊す棘など、消えればよろしいのです
そう思いませんこと、リズさま?
どんな世界でも、世界は美しいものですわ
お口に合わぬのならおかえりは、あちら
アドリブ歓迎ですわ
●
――お願い、この国を守って!
ルビーチョコのお姫様の声が、頭の中でリフレインする。
「私は、国を守ってと泣き叫ぶばかりでしたわ」
亡国の姫君、リュシエンヌ・ラブラシュリ(空駆け・f19571)はペンダント『メモリーズ』を握りしめる。あの時は無力で、領地も民も家族も失ってしまったけれど、
「……でも、今なら応えられます」
前を見据えるリュシエンヌの凛々しい表情を、エリザベート・ブラウ(青の蝶・f20305)は隣で盗み見ていた。気高く咲き誇る美しい花に、蝶は寄り添いたくなるものだ。
「わたしは国なんて大きなものを背負ったことはないけれど、この愛らしい小さな国の英雄になるのも悪くないわ」
隣には共に戦ってくれるという憧れの人。ああ、なんて心強いのだろう。
「リズさまが英雄なら、私はその片腕に」
「ふふ、わたしは国と姫を守るナイトの気分よ」
共に守ると決めた二人の麗しきナイトが、世界を魅せる戦いの舞台を幕開ける。
ネガ・アリスはチョコレートを溶かす黒茨を自在に操る。既に幾らか犠牲になった甘い実は、溶かし落とされ地面に崩れてしまっている。
「あの棘は邪魔ね。チョコレートを溶かしてはだめ」
エリザベートは対の少女人形『揚羽**立羽』を黒茨へ解き放った。華やかに舞う蝶の羽は、刃そのもの。黒茨を追うように飛べば、ケーキカットのように綺麗な断面で切っていく。
「つめたい冬は、漣のごとく……」
続けて紡がれた詠唱では、『凍て蝶』が羽ばたいた。青の瞳がネガ・アリスに視線を送ると、氷の蝶は氷の鱗粉を撒きながら黒を覆っていく。黒茨の先から、黒いドレスへ。一瞬で霜が降りて色が失われた。
「私のドレスがっ!? ……くっ、茨、動きなさいっ動きなさいってばっ……!」
氷漬けにされて茨を操れなくなり焦るネガ・アリスに追い打ちをかけるように、エリザベートと入れ替わったリュシエンヌは、【泣き濡れる花】をその身に咲かせた。
「私の命は、この斬撃と共にございますの」
哀惜の痛みよ、あの日のように国を壊そうとする者を許さないで――断て。
リュシエンヌの魔鍵の杖『キー・オブ・フラワー』が魔力を解放する。
花飾りが光を放ち、魔鍵から飛ばされる衝撃波が、凍るドレスと共にネガ・アリスの身体も貫いて赤い華が飛び散った。
「この国を守っても、あなたの国が戻るわけじゃないのに。よく頑張れるわねぇ!」
己の血で氷を溶かして動けるようになったネガ・アリスは、苛立ちを叩きつけるように黒茨を伸ばしてくる――。しかし、魔鍵から飛ぶ風刃が茨を切り刻んだ。
「ええ、過去は戻りません。だから、私は今を生きるのです。オブリビオンである貴女のようには、なりません」
無かった事にはしない。痛みは全て胸に仕舞って、リュシエンヌは過去の化身と国を壊す棘を自らの手で打ち払ったのだった。
甘い考えだと尚も喚くオウガの五月蠅い口には、氷の蝶が止まった。
「甘い世界も苦い世界も楽しめるかは自分次第よ」
「どんな世界でも、世界は美しいものですわ」
エリザベートもリュシエンヌも、答えは変わらない。
この世界が気に入らないというのなら、去るべきはあなたの方なのだ。
「お口に合わぬのならおかえりは、あちら」
「お口に合わないのならご退場召しませ!」
氷の蝶と花の風が送り届けよう。骸の海にお帰りなさいませ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
クレア・オルティス
みんな、大丈夫だよ…!
この国を守ってみせるから…約束する!
だから…少し離れて待っててね…!
これが終わったら皆でチョコパーティーしようね…!
たくさんお喋りもしよう?
それと…チョコの作り方も教えてもらいたいな…!
ネガアリスのネガティブ攻撃になんかめげないもん…!
みんな!私にポジティブパワーを分けて!
皆のポジティブパワーを光属性に転換し【全力魔法】攻撃を叩き込む!
茨の攻撃には【武器受け】で対処
怪我をしている猟兵にはUCで回復
あの子…どうして悲しい言葉を言うんだろうね…?
もしかして、素直になれないだけだったのかな…?
話を聞いてあげたら…何か変わったのかな…
連携絡みアドリブ歓迎
シウム・ジョイグルミット
[POW]
甘い世界を壊させたりしないから安心してね
というわけで切り札、『Hungry Dumpty』召喚!
お腹減っちゃうけれど、チョコレートにした偽アリスがたくさんあるからね
それを食べてカバー出来るかな
オウガが茨を伸ばしてくるなら、掴ませてプレッツェルに変えちゃうよ
溶かそうとするのはこれで防いじゃおう
あとはオウガ本体に噛みつかせたりを狙ってみようかな
それに気を取られてる間に仲間が攻撃を当てやすくする状況を作りたいな
飛んで逃げるなら、ボクの護身用食器達を召喚して【念動力】で操って追い回すよ
着地する前に地面の一部を水飴に変えて、足の自由を奪っちゃおう
キミは溶けてるの大好きだったよね~、ようこそっ♪
●
心配そうに戦いを見つめている愉快な仲間達の元に、クレア・オルティス(天使になりたい悪魔の子・f20600)は訪れていた。
「みんな、大丈夫だよ……! この国を守ってみせるから……約束する!」
緊張で冷たくなっているお姫様の手を、クレアは両手で包み込むように握りしめた。猟兵が不安そうな顔を見せてはいけない。彼等が安心して待っていられるように、天使のように微笑みかけるのだ。
守りたい。その気持ちがクレアを強くする。
「これが終わったら皆でチョコパーティーしようね……!」
「ええ、絶対よ! あなたも気を付けて!」
お姫様と兵士は、戦場へ飛び出すクレアに精一杯手を振って送り出したのだった。
シウム・ジョイグルミット(風の吹くまま気の向くまま・f20781)が偽アリスで作ったチョコ人形にも、黒茨が巻き付いていた。どろりと溶けて広がる甘い匂いにネガ・アリスは顔を顰めて、チョコレートの実と同じように踏みつけて行く。
「食べ物を粗末にするのはいけないね。この甘い世界を壊させたりしないよ」
それにしても、その偽アリスは仲間だったんじゃないの? と首を傾げるシウムに、ネガ・アリスは首を振って否定した。
「仲間なんてとんでもない。負けた上に甘くさせられて……もうこんなのいらないわ」
「それならボクがもらうねっ。これだけチョコがあればいいかな……これお腹減るからあんまり好きじゃないんだけど。……よーしやっちゃえ【Hungry Dumpty】! みんな食べちゃえ♪」
シウムが空腹になる事を代償に召喚したのは、食器の集合体だ。巨大な口が空腹を訴えて、ガチャガチャと食器を鳴らしている。
まずはネガ・アリスが繰り広げていた黒茨を食器の手で掴むと、プレッツェルに変えてしまった。大きな口でザクザクと美味しそうに齧っていく。シウムはまだ溶かされていない偽アリスチョコを頬張って食事を取りながら、腹ペコ仲間の応援をした。
「いいよー、どんどん食べちゃってねー!」
茨の次は、本体も食べたいよね。
襲い掛かってくる食器の群れを、ネガ・アリスは『悪夢童話』で『歪:白雪姫』に変身して飛翔し回避した。
「そんなに飢えてるなら、これでも食らってなさい!」
食器の大口に放り投げられたのは毒林檎だ。口に入れたものは何でも食べてしまう食器は――どろどろと、チョコのように溶けて腐食してしまう。
「食器さん、すぐ直してあげるからね……!」
怪我をした猟兵がいたらすぐに回復出来るように待機していたクレアは、【内なる光】を食器達に捧げた。優しい光に包まれれば、腐りかけたフォークもスプーンもキラキラと元の輝きを取り戻してく。
「私、この国のお姫様と兵士さん達と、沢山お喋りがしたいの! それと……チョコの作り方も教えてもらいたいな……!」
「甘ったるい世界で、甘ったるい奴等と、甘ったるい会話……何が楽しいんだか!」
クレアが遠くに避難している愉快な仲間達に聞こえるように声を張り上げると、復活した食器達と再び戦うネガ・アリスが茶々を入れてきた。それでも、クレアは負けじと願い続ける。
「楽しいわ! 甘いものだって、ひとりで食べるよりみんなと食べる方がずっと美味しい! みんなと友達になりたいの……みんな! 私にポジティブパワーを分けて!」
クレアの『薔薇のステッキ』に光が集っていく。それは、チョコレートハートの住民がクレアを応援する想いに呼応する光――みんなの力を借りて、クレアはネガ・アリスに全力魔法を叩きこんだ!
「くっ……! どうせ長くは続かない仲良しごっこのくせに……っ」
聖なる光が直撃したネガ・アリスは苦しそうに後退るが、それでも残る力を振り絞って黒茨をクレアに伸ばし、親指姫の花を咲かせた。しかし――。
ひょい、ぱっくん。さっきは助けてくれてありがとうと言わんばかりに食器の手がクレアを庇い、親指姫と花を可愛いデコレーションケーキに変えて一口で食べてしまったのだった。
「ありがとう、食器さん!」
「使えない子ね、なんて愚図なの! いいわ、私が直接行く――って、きゃあ!」
ネガ・アリスが飛翔しようとしたが、いつの間にかその足元の地面がドロドロしたものに変えられていた。足が、動かせない……!?
「水飴だよ! キミは溶けてるのが大好きだったよね~♪」
飛べなくなったアリスの元に、まだまだ腹ペコの食器の口が覆い被さる。
黒ドレスにはガトーショコラがお似合いだ。
いただきます♪ ……残さずごっくん、ごちそうさました♪
「あの子……どうして悲しい言葉しか言えなかったんだろうね……?」
素直になれなかっただけなのか。話を聞いてあげたら何か変わったかもしれないのか。
オウガに勝利しても複雑な表情でいるクレアを見て、シウムは偽アリスのリボンチョコを齧ってから、コインを投げて掌で隠した。
「Heads or tails?」
「え?」
「表か裏か。表だったら変わったかもしれない。裏だったら変わらなかった。……でも、アレは裏返ったお姫さまだったから、難しかったんじゃないかな~」
掌を外せば予想通り。だからキミが気に病む必要はないと告げて、シウムは他のチョコを求めて歩き出したのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『チョコレートパーティー』
|
POW : ビター
SPD : スイート
WIZ : ミルク
イラスト:由季
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
「みんな、本当にありがとう! 私達の国に平和が戻ったわ!」
英雄である猟兵達に感謝を込めて、チョコレートパーティを再開しましょう!
ルビーチョコのお姫様がハートの杖を振るうと、城の庭に魔法がかかる。
溶けてしまったチョコは元には戻らないけれど、木々には再び実が生り、地面には新しい花が咲く。チョコレートの庭はいつも通りの甘い香りで満たされた。
庭の大テーブルには、様々なチョコレート菓子が並べられた。チョコレートケーキにタルトにプリン。エクレアにブラウニー。甘味が苦手な人には、カカオ含有率が高いビターなシリーズもある。その他にもリクエストがあれば大抵のものは出してもらえるだろう。勿論、木の実や花のチョコをそのまま頂いても構わない。
飲み物もキャラメルチョコの執事にお願いすれば、何でも用意してくれるらしい。
自分でチョコを作ってみたい人がいるなら、城のキッチンを貸し出そう。テンパリングがしやすいチョコの用意もある。料理が苦手な人でも大丈夫、ストロベリーチョコのメイドが手伝ってくれるそうだ。
静かな時間を過ごしたい人は、チョコ花の庭園へどうぞ。高い生垣で分けられた小テーブルも幾つか設置されている。お好みのチョコを持ち込んで、二人だけの甘い一時を楽しむのもよいだろう。
バレンタインの続きをする? バレンタインのお返しをする? チョコを食べ尽くす?
食べるも採るも作るも自由。この国のチョコをお持ち帰りしてもOKだ。
それでは、ハッピーチョコレート。お好きな甘い時間をお過ごし下さいませ。
●
(プレイング募集期間は『3月4日(水)8時半~7日(土)正午』です。
ご協力宜しくお願い致します。)
クレア・オルティス
兎乃・零時(f00283)と
呼び:れーじ
アドリブ歓迎
れーじもチョコ好きなの?ふふ、私も甘いもの大好き…!
私はちょっとお城に用があるから
れーじはパーティー楽しみながら待っててね…!
何をするのかって?ナイショ
チョコ作りはメイドさんに教わる
お願い…!チョコの作り方を教えて?
実は料理の経験がなくて…できれば簡単なもので…
後で旅団の人たちにも配れるようにいっぱい作りたいな!
出来上がったのは溶かしたチョコを星や動物などの型に流し込み
再度冷やし固めたシンプルなもの
アラザンやナッツ等、様々なトッピング付き
初めて作ったこのチョコは…早速れーじに食べてもらおう!
れーじ!おまたせ!食べてみて?どう、かな…?
兎乃・零時
クレア(f20600)と!
アドリブ歓迎!
おぅ、俺様もちょこは好きだぜ!あれ甘くて美味いんだよなぁー
ん?城に用事?
分かったぜ、じゃあ俺様は一足先にパーティーの方行っておくぜ!
大テーブルには想像以上の色とりどりなチョコ
当然宝石瞳は輝くし、宝石髪も一際輝く
すっげぇーーー!こ、こんなに色々あるんだな…!
迷っちまうぜ…全部…全部喰えるか…?
飲み物はお菓子な執事に貰っとこう!
ここあ、とかでも大丈夫かな?
あ、クレアおかえりー(手をぶんぶん
お?これもしかしてクレアがちょこ創った奴なのか?(ぱちくり
あんがとな!じゃあ早速!(もぐ、!!
…美味い!(ぺかー!宝石部位も思わず光る!
スゲーなクレア、美味いよこのチョコ!
●
「やっとチョコレートパーティーの時間だね。私、甘い物って大好き……!」
「おぅ、俺様もちょこは好きだぜ! あれ甘くて美味いんだよなぁー」
クレア・オルティス(天使になりたい悪魔の子・f20600)の言葉に、兎乃・零時(そして少年は断崖を駆けあがる・f00283)は口の中で蕩けるあの甘さを思い出す。またあれを食べられるのかと期待に胸を膨らませていると、アクアマリンの髪の毛が呼応するように仄かに光った。
「れーじもチョコ好きなの? それじゃあ……ふふ、私はちょっとお城に用があるから。れーじはパーティー楽しみながら待っててね……!」
何をするのかはナイショね、と。クレアは悪戯っ子のように微笑む。
「ん? 城に用事? 分かったぜ、じゃあ俺様は一足先にパーティーの方行っておくぜ!」
そう言って見送る零時に手を振って、クレアはくるりんと巻いた金髪を揺らして城の方へと駆けて行ったのだった。
クレアが向かった先は、解放されているお城のキッチンだ。
「メイドさん、お願い……! チョコの作り方を教えて?」
「勿論です、何でもお教え致しますよ! どんなチョコを作りたいのか、ご希望はございますか?」
可愛い女の子の可愛いお願いに、ストロベリーチョコのメイド達は大喜び。どんなチョコでも作れる道具がございます、とお菓子の材料とキッチンツールをずらりと並べた。
「実は料理の経験がなくて……できれば簡単なもので……後で旅団の人たちにも配れるようにいっぱい作りたいな!」
かしこまりました。さあ、ご一緒に。甘くておいしい魔法を始めましょう。
一方で、庭の大テーブルに招かれた零時は、想像以上のチョコ菓子の山に宝石瞳をキラキラと輝かせていた。チョコレートの種類も豊富なようで、カラフルに皿を彩る宝石のようなスイーツは、わたしを食べて、こっちの方が美味しいわ、と零時を魅了してくる。
「すっげぇーー! こ、こんなに色々あるんだな……! 迷っちまうぜ……全部……全部喰えるか……?」
「お好きなだけ召し上がって下さい。宜しければお飲み物もご用意致しましょうか?」
「あんがと! ここあ、とかでも大丈夫かな?」
「はい、すぐにお持ち致しますね」
言葉の通り、一瞬でテーブルに置かれたココアにもクラッシュチョコが乗っていた。
抹茶とホワイトチョコのクッキーは、桜のチョコクランチで飾られるお洒落さん。お姫様と同じルビーチョコのケーキはフルーティな甘さで、口の中に春を呼ぶ魔法をかけられたようだ。パステルカラーのドラジェはどれを摘まもうか迷ってしまう。イエローを選んで口に含んだ所で、明るく弾んだ声が後ろから聞こえた。
「れーじ! おまたせ!」
「あ、クレアおかえりー」
零時が手をぶんぶんと振って出迎えたクレアの腕には、小さなバスケットが抱えられている。中にはリボンでラッピングされた袋が幾つも詰められていた。
「お? これもしかしてチョコを作ってきたのか?」
「そうだよ、初めて作ったの! ……はい、れーじの分!」
目をぱちくりさせて驚く零時に手渡されたのは、ブルーのリボンの袋だ。
それは、星と兎の型にチョコを流して固めたシンプルなもの。しかし、そのひとつひとつには、銀粒のアラザンにカラースプレー。温かみのあるナッツやドライフルーツ。様々なトッピングが乗せられていて、同じものはふたつとない。クレアの真心がたっぷりと込められた手作りチョコレートなのだ。
「食べてみて? どう、かな……?」
自分が作ったものを人に食べてもらうなんて、ドキドキする……!
クレアは息を飲んで、じーっと零時を見つめていた。その強い眼差しに臆する事なく、零時は笑顔で礼を告げてアラザン兎のチョコを口に運んだ。
「あんがとな! じゃあ早速! ………美味い!!」
ぺかー! アクアマリンの宝石瞳も髪も、これでもかと眩く輝く。
「スゲーなクレア、美味いよこのチョコ!」
零時の絶賛がお世辞でない事は、宝石の光が教えてくれる。甘くておいしい魔法、自分も上手にかけられたようだ。予想以上の反応を返してもらって、クレアは照れ臭そうに微笑んだ。
「ふふ、良かった。折角だし、私もチョコをもらおうかな!」
帰った後にチョコを配る予定の旅団仲間の反応も気になるけれど、まずは自分もチョコを楽しみたい。これとこれ、すごく美味しかったぜ! とクレアは零時にお勧めを教えてもらいながら、まだまだ続くチョコレートパーティーを存分に満喫したのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
碧海・紗
アンテロさん(f03396)
私、作りますから!待っててください!
と、言ったけれど…
チョコ作りは初めてなので
【市松】の白と黒にもお手伝いをお願いしましょう
…とは言ったものの
溶かしたチョコに仰向けに浮く黒は暫くすれば動けなくなって
型抜きチョコの上を一歩ずつ踏みしめている白は
足についたチョコが足枷のようになっていて…
けれど私も構っていられない…!
苦戦した結果、ハート型で作ったチョコレートが一粒だけ。
ねぇ?アンテロさん。
あのね、私。
あなたともっともっと…仲良くなりたいの。
恐る恐る見上げながらも
美味しいと言う姿にほっとして。
食べてもらえたけれど…ヤドリガミ。
今度は食べ物以外で、お出かけしましょう?
アンテロ・ヴィルスカ
引き続き碧海君(f04532)と
なかなか辛辣なお嬢さんだったねぇ…
我々も帰る前に甘いものを頂きながらゆっくり休むとしよう
テーブルに着けば温かいコーヒーをお供に、手作りをと意気込み彼女を見守る
慣れない手さばきと小鳥達の手助け?へ、気取られない程度の不安げな視線を向けながら…
白と黒がまるで処刑を待つ罪人のようだ、とは内心
奇跡的に生き残った一粒を摘み、少し眺めてから頂こう
初めて作ったにしては美味しいチョコレートだと思う
食に疎いヤドリガミの評価で申し訳ないがよく出来ているね?
お出掛けならUDCアースでも案内してもらおう
物と仲良くなりたい、とは相変わらず変わったヒトだ
…不都合はない、構わないよ
●
お姫様の魔法ですっかり元通りになったチョコレートハート城の庭は、アンテロ・ヴィルスカ(黒錆・f03396)が呼んだ雪も消えて、春の訪れを感じさせていた。オウガの力さえなければ溶けないチョコ頭の愉快な仲間達は国の平和を喜び、チョコレートパーティーに猟兵達を招く。
「なかなか辛辣なお嬢さんだったねぇ……我々も帰る前に甘いものを頂きながらゆっくり休むとしよう」
大テーブルの席に着いたアンテロは、キャラメルチョコの執事に温かいコーヒーを注文する。共に訪れていた碧海・紗(闇雲・f04532)はというと、
「私、作りますから! 待っててください!」
手作りチョコを彼に渡したくて、初めてのチョコ作りに勤しんでいた。
「こちらでもお作りになれますよ、どうぞどうぞ」
簡単なチョコなら庭でも作れると、執事は速やかに調理スペースをセッティングしてくれたのだ。紗はアンテロに見守られながら、真剣にチョコと格闘する。
「ああ、黒! どうしてボウルの上に浮いているのですか!?」
「待って下さい、白! ……何故、ひとつひとつ踏みしめて行くのです……」
紗の叫びは【市松】で召喚した文鳥、黒と白に向けられたもの。お手伝いをするはずの鳥達は、戦闘の時と違って中々指示通りに動いてくれなかったようだ。
テンパリングしたチョコが入ったボールにダイブした黒は仰向けで固まってしまい、漸く型に流せたチョコも白の足跡だらけ。その足首には足枷のようにチョコがくっ付いている。
(白と黒がまるで処刑を待つ罪人のようだ……)
アンテロは決して口出しはしないが、彼女に気取られない程度の不安げな視線を向けている。
チョコだらけになった鳥達に構ってばかりはいられない。紗は何とか無事なチョコを集めて……悪戦苦闘の末、ハート型で作ったチョコレートが一粒、出来上がったのだった。
「アンテロさん。これだけになってしまったんですけれど……召し上がって下さいますか?」
紗が恐る恐る差し出した奇跡的に生き残った一粒を、アンテロは少し眺めてから口の中へと運んだ。不安で高鳴る動悸を押さえつけながら、紗はアンテロを見上げる。
「……うん。初めて作ったにしては美味しいチョコレートだと思う。食に疎いヤドリガミの評価で申し訳ないがよく出来ているね?」
アンテロの言葉に紗はほっと胸を撫で下ろしたが、続けられる言葉で彼がヤドリガミという種族で、食にはあまり拘らないタイプだった事を失念していたと気が付いた。
「それじゃあ、今度は食べ物以外でお出かけしましょう? ……ねぇ? アンテロさん。……あのね、私。あなたともっともっと……仲良くなりたいの」
それは、彼女が今まで伝えられていなかった言葉だ。『まだ間に合う』と、この国から貰った勇気に後押しされて。紗は秘めた想いを抱く彼と真っすぐに向かい合う。
その真剣な表情に、アンテロはいつもと変わらない微笑みを返した。
「物と仲良くなりたい、とは相変わらず変わったヒトだ……不都合はない、構わないよ」
出掛けるなら、UDCアースでも案内してもらおう。
アンテロが候補に挙げたのは、紗が在住している世界だ。
自然が豊かな場所でも、賑やかな街の中心でも。アナタが望む場所なら何処へでも。
約束ですよ。クレマチスの花は近い未来に夢を見て、甘い香りを漂わせるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
清川・シャル
f19187アイシャさんと一緒に
勿論一緒に作るつもりですよ、宜しくね?
普段から彼の食事を作ったりしているのでそれなりに作れますし、技能の料理を使います
てきぱき、手際よく!お菓子作りはスピード!
そっか、機材こんなに小さいんだぁ…かわいいなぁ。ちゃんと出来るのがすごい。
こっ恋バナ!?えと…最近ね、人を愛するって事が分かってきた気がするの…何となくだけど。
嬉しいも悲しいも共有してこそ…あっ、手元気をつけなきゃですね!
えええっ私にっ!?嬉しい、ありがたく頂きます…!
私も、多いかもしれないけど、ちょっと彼に作ったからおすそ分けになるのだけど…受け取ってくれると嬉しいな?
こちらこそよろしくお願いしますね!
アイシャ・ラブラドライト
シャルちゃん(f01440)と
シャルちゃん…
私と一緒にお菓子作りをしてくれませんか?
お料理は最近始めたところなのでとても不慣れな手つき
シャルちゃんに教えてもらう形で進めていきます
フェアリー専用料理道具セットを使って、小さなチョコプリンを作ります
シャルちゃんの恋話を聞き出そうとしながら、可愛く飾り付けをしたりして…
女子会ってこういうのをいうのかな…すごく楽しい
シャルちゃん…お腹は満たされないかもしれないけど
私が作った分、受け取ってもらえますか?
私、いつも一生懸命なシャルちゃんのこと、大切に思っています
ちょっと遅れたけど、これは私からのバレンタインのプレゼント
これからもよろしくお願いしますね!
●
ハッピーチョコレート!
ルビーハートのお姫様の合図で、チョコレートパーティーが再開された。
庭では既にチョコスイーツが並べられているが、アイシャ・ラブラドライト(煌めく風・f19187)は清川・シャル(無銘・f01440)とやってみたい事があったのだ。
「シャルちゃん……私と一緒にお菓子作りをしてくれませんか?」
「勿論ですよ。一緒に作りましょう、宜しくね?」
チョコを手作りする所から始めるパーティーというのも面白そうだ。二人は仲良く並んで、ストロベリーチョコのメイドに城のキッチンまで案内されて行った。
スイーツ作りに必要な全てのものが揃っている豪華なキッチンで、シャルは腕まくりをしてテキパキと動いている。チョコレートの温度を測りながら、適切なタイミングで材料を混ぜ合わせる。アレをしている間にコレをして。見事な手際にアイシャは尊敬の眼差しを送っていた。
「すごい……シャルちゃんはお菓子作りも得意なのですね」
「普段から彼の食事を作ったりしているのでそれなりに作れますね。お菓子作りで大事なのはスピードです!」
アイシャはキッチンの一角に用意されていたフェアリー専用料理道具セットを使っていた。彼女の方は、最近料理を始めたばかりだそうで、その手つきは少々覚束ない。
「そっか、機材こんなに小さいんだぁ……かわいいなぁ。アイシャさん、なめらかな食感にする為にも、二回は網で濾した方がいいですよ。浮いてくる泡は、スプーンですくっちゃいましょう」
「ここは丁寧にですね……わぁ、綺麗になりました! そういえば……折角なので、甘い話もしませんか? 私、シャルちゃんの恋話が聞きたいです!」
アドバイスを受けて順調にお菓子作りを進めるアイシャは、にこぉっと花を咲かせるような笑顔でシャルにおねだりをした。
「こっ恋バナ!? えと……最近ね、人を愛するって事が分かってきた気がするの……何となくだけど」
嬉しいも悲しいも共有してこそ。そんな風に恋人を思い浮かべて胸の内を語るシャルは、すっかり恋する乙女の表情だ。薄紅色に染まる頬は愛らしく、キラキラと輝く瞳は彼の姿を思い浮かべているに違いない。
「……あっ、手元気をつけなきゃですね!」
「ふふ、女子会ってこういうのをいうのかな……すごく楽しい」
照れ隠しのように笑って作業に向かうシャルを、アイシャは微笑ましそうに見つめて、自分も最後の飾り付けに向かうのだった。
アイシャが作ったのは、チョコレートプリンだ。生クリームとミントを添えたカップはフェアリーサイズで、普通の人間ならスプーンで一口かもしれない。
「シャルちゃん……お腹は満たされないかもしれないけど。私が作った分、受け取ってもらえますか?」
それでも、アイシャは彼女に贈りたかったのだ。
プリンを差し出しながら、日頃の感謝を込めて伝えたい言葉を紡いでいく。
「私、いつも一生懸命なシャルちゃんのこと、大切に思っています。ちょっと遅れたけど、これは私からのバレンタインのプレゼント。これからもよろしくお願いしますね!」
シャルからのサプライズに、アイシャは目を丸くして驚いた。
「えええっ私にっ!? 嬉しい、ありがたく頂きます……!」
その小さな幸せを大切に受け取って。シャルは自分もプレゼントがあるのだと小皿を差し出した。
「私も、多いかもしれないけど、ちょっと彼に作ったからおすそ分けになるのだけど……受け取ってくれると嬉しいな? こちらこそよろしくお願いしますね!」
アイシャが渡したのはハート型のチョコタルトだ。チョコペンとドライストロベリーでファンシーに飾り付けられている。
「かわいい! シャルちゃん、ありがとう……今日、沢山お話出来て本当に嬉しいです」
私もですよ、とシャルもアイシャに微笑み返して。お互いが贈り合ったスイーツを頬張り、再び褒め合う。そして、恋の話の続きに花を咲かせながら、二人だけのチョコレートパーティーを満喫したのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
照宮・梨花
【蝶番】茉莉(f22621)と
アイスも食べたいからパパから聞いたデセールというのにしましょう
チョコレートケーキの上にスライスした洋なしのコンポートをお花のように盛りつけ、チョコレートパウダー降るのだわ
バニラアイスも添えてチョコソースをトッピングね
デセールが出来たら茉莉と食べ合いっこ
はい、あーん
ふふ、茉莉ったら口元にクリームが付いているのだわ
拭いて上げるわね
家族へのお土産はチョコレートのアソート(個別包装)
パパやカガリ様の目の色と同じ紫色の大きな袋にたくさん詰め込みましょう
パパのためのチョコレートボンボンや、チョコチップクッキーも入れるのだわ
こっそり茉莉の為に三角チョコ(アポロチョコ)もね
照宮・茉莉
【蝶番】梨花(f22629)と
やったー!
チョコ、食べていいんだね!
こんなにたくさん…食べきれるかなぁ…
でせーる…、って?
茉莉はチョコケーキに苺をそのまま乗せるね
とんがってるの、たくさん!
茉莉の欲張りセットみたい(【よくばりとんがりセット】)
降るのはお砂糖の方がいいかな?
チョコに白いお砂糖で雪みたい!
クリームもちょいちょい、と…ちょっと味見……
できたデセールを交換っこ!
梨花、茉莉のもはいっ あーん
クリーム? …あっ、味見した時のだから、先に食べちゃったんじゃないんだから!
お土産のチョコの包装は、袋に真っ赤なリボンを結ぶんだ
可愛いでしょ?
茉莉の好きな色でもあるから
●
ルビーハートのお姫様が告げたチョコレートパーティー再開の合図に、照宮・茉莉(楽園の螺旋槍・f22621)は待っていましたと声を上げた。
「やったー! チョコ、食べていいんだね!? こんなにたくさん……食べきれるかなぁ……」
目を輝かせてはしゃぐ妹に、姉の照宮・梨花(楽園のハウスメイド・f22629)もつられて笑みがこぼれる。どのスイーツを食べようかと暫し思案して、
「アイスも食べたいから、パパから聞いた『デセール』というのにしましょう」
「でせーる……、って?」
梨花が提案したデセールを直訳すると『片付けのあと』を意味する。とある世界の料理のコースでは、メイン料理の後にテーブルを綺麗に片付けて、新たにスイーツ用のテーブルセッティングが成されてから出てくるデザートを、デセールと呼ぶのだ。
その中でも、『皿盛りデザート』は『アシェット・デセール』と呼ばれる。
オウガの片付けを終えた二人は、オリジナルのアシェット・デセール作りに取り掛かったのだった。
二人はキャラメルチョコの執事からチョコレートケーキを乗せた真っ白な輪花皿を受け取って、それぞれのデセール作りに励んでいく。
「私はスライスした洋ナシのコンポートをお花のように盛り付けるのだわ」
洋ナシの花の上にはチョコレートパウダー。一緒に食べたかったバニラアイスをケーキの隣に添えて、チョコソースもトッピング。
梨花はメインのチョコを前面に押し出しながらも、洋ナシの芳醇な香りとバニラの冷たい口溶けが食欲をそそり、最後の一口まで飽きる事無く味わえる一皿に仕上げたのだった。
「茉莉はチョコケーキに苺をそのまま乗せるね。とんがってるの、たくさん!」
ケーキの上にツヤツヤの真っ赤な苺が窮屈そうに敷き詰められていく。どの苺も誇らしげにピンと上を向いて、茉莉のネジや釘をまとめた『よくばりとんがりセット』のようだ。
茉莉はとんがりイチゴの山に粉砂糖の雪を降らせた。ケーキの横には綺麗なとんがり生クリームをたっぷり絞って、残ったクリームは……。
二人のデセールが完成したら、交換っこの食べ合いっこだ。
「茉莉、はい、あーん」
「梨花、茉莉のもはいっ あーん」
チョコと共にそれぞれの果実の甘さが口に広がって、どちらも美味しいと舌鼓。
「ふふ、茉莉ったら口元にクリームが付いているのだわ。拭いて上げるわね」
「クリーム? ……あっ、味見した時のだから、先に食べちゃったんじゃないんだから!」
つまみ食いがバレた子供のように慌てる茉莉の頬をハンカチで優しく拭いて、分かっているのだわ、と梨花は穏やかな笑みを浮かべるのだった。
「個別包装のお菓子はどこにあるのだわ?」
「こちらにございますよ。お持ち帰りも自由でございます」
梨花の声にすぐに応えた執事は、持ち帰りやすいようにキャンディ包みでラッピングされた様々なチョコ菓子をテーブルの上に広げていく。こちらもどうぞと渡された大きな袋の中から、梨花は紫色をチョイスした。
「パパやカガリ様の目の色と同じなのだわ。これにたくさん詰め込みましょう」
父の為に選んだのは、チョコレートボンボンとチョコチップクッキーだ。梨花はその中にこっそりと、茉莉が好きそうな苺の三角チョコも交ぜたのだった。
(家に帰った後の、サプライズなのだわ)
「お土産のチョコの包装は、袋に真っ赤なリボンを結ぶんだ! ほら、可愛いでしょ?」
茉莉は八重歯が覗く屈託のない笑顔で、自分の好きな色のリボンを結んで土産を仕上げた。帰宅後の照宮家でも、きっと。楽しいチョコレートパーティーの続きが見られるのだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
薬師神・悟郎
シン(f04752)と
抹茶とピスタチオの違いが分からないまま帰るのは悔しい
愉快な仲間達に頼みそれぞれ持って来るよう頼むと「ちょっとしたゲームをしよう」とピスタチオ当て勝負を持ちかける
俺も負けじとUC発動、第六感使用
(どちらが多く当てたか勝負の結果はダイス判定希望)
勝負の後は土産を選ぶ
彼女の為にチョコレートを選ぶとか良い彼氏だ
面倒がってピスタチオを勧めることはせず、真面目に相談に乗る
チョコレートの花か
見た目も味も楽しめるし、花屋の彼女ならこれを切っ掛けに会話がもっと広がるかもしれん
喜んでくれると思うぞ
ここにあるどのチョコレートより甘いな
でも俺にはそれがとても好ましい
いつまでも末永くお幸せに!
シン・バントライン
薬師神さん(f19225)と
「抹茶と見分けつかんな」
突然のピスタチオ当て勝負!
多く当てた方をダイス判定希望。
UCでチョコを窺いつつ第六感勝負。
「彼女に土産持って帰ろうと思うけどどれがええかな」
隣の友人に相談しながら選ぶという名目でチョコレートを片っ端から食べる。
不思議な色に咲くチョコレートの花が面白くも美しい。
花は買わない事にしている。
彼女が花屋をしているから、彼女以上に素敵な花を選べる自信が無い。センスも無い。
でもこんな風に咲くチョコレートの花はさすがに見た事ないんじゃないかと期待しつつ。
チョコレートの花で出来たブーケに自分の恋心を乗せたなら、世界で一番甘い贈り物になってくれるだろうか。
●
「えー、突然ですが。これからピスタチオ当てゲームを行いたいと思います!」
皆がそれぞれチョコレートパーティーを満喫する中、とある猟兵達の要望を応える為に、キャラメルチョコの執事がマイクを持ってゲームの開催を宣言した。
「まず一人目の挑戦者は、抹茶とピスタチオの違いが分からないまま帰るのは悔しい、と意気込む薬師神・悟郎(夜に囁く蝙蝠・f19225)様です。得意の情報収集でその違いを見分ける事は可能なのでしょうか!」
「……集中」
紹介された悟郎は、自分の能力を大幅に上げる【幻術【弐】】で既に本気モードだ。
「二人目の挑戦者は、先程の戦闘の最中にチョコの矢を齧ってピスタチオを発見した猛者、シン・バントライン(逆光の愛・f04752)様です。持ち前の第六感がどれほど冴えわたるのでしょうか!」
「千山鳥飛絶 萬徑人蹤滅」
負けじと【萬徑人蹤滅】を詠唱したシンは、召喚した小さな黒龍と共に挑戦するようだ。
「ルールは簡単、皿に乗った十種類の緑色のチョコが、『ピスタチオか抹茶か』どちらなのかを食べずに当てて下さい。正解数の多い方が勝者となります」
二人の皿の上には、緑色のチョコが十粒置かれていた。生チョコ、トリュフ、ガナッシュ、プラリネ、チョコテリーヌ。全て異なる種類だが、どれも緑色のチョコばかりだ。
「粒々があれば分かりやすいが……後は共に使われている材料との相性から考えて……」
「この仄かに香りは抹茶か。こっちは……見分けがつかんな」
暫しの間、両者は真剣に仕分けを行って……さあ、勝負の行く末は如何に。
「ゲームの結果は……接戦ではございましたが、薬師神悟郎様の勝利でございます!」
「まさか俺が勝てるとはな、運が味方したか」
「惜しかったかー! でもめっちゃ楽しかったな!」
互いの健闘を称え合った二人は答え合わせをするように、勝負に使ったチョコを全て美味しくいただいたのだった。
「彼女に土産持って帰ろうと思うけどどれがええかな」
勝負を終えた二人は、チョコ花の庭園で仲良く土産を選んでいた。
「彼女の為にチョコレートを選ぶとか良い彼氏だ……って摘まみ食いし過ぎじゃないか?」
人が折角ピスタチオを勧めるなんて横着はせず、真剣に考えようとしているのに。そこら中に咲いているチョコ花を味見と称して食べまくるシンに、悟郎の呆れた視線が刺さる。
「美味くないチョコを贈るわけにはいかんからな」
とは言っても、流石はチョコの国。どのチョコも絶品で今のところハズレはない。これは何の味だろう? 続いてシンが手を伸ばしたのは、白い薔薇と青紫の薔薇が咲く生垣だった。
「これはブルーベリーか……こんな色に咲くチョコもあるんやな」
薔薇は一枚一枚の花弁が丁寧に折り重なって、本物の花のように咲き誇っていた。
シンは、花は買わない事にしている。それは、彼女が花屋をしているからで、彼女以上に素敵な花を選べるセンスも自信も無いからだ。でもこんな風に咲くチョコレートの花は、彼女も見た事が無いのではないかと期待に胸が膨らむ。
「チョコレートの薔薇か。見た目も味も楽しめるし、花屋の彼女ならこれを切っ掛けに会話がもっと広がるかもしれん」
喜んでくれると思うぞ、と悟郎にも後押しされたシンは、予め執事に借りていたバスケットに花を摘んでいく。すると青紫の薔薇の中に一輪、一際青が映える薔薇を見つけたので、それも選んだ。後に執事に尋ねてみると、それは滅多に咲かない幸福色のチョコだとのことだ。
「チョコレートの花で出来たブーケに自分の恋心を乗せたなら、世界で一番甘い贈り物になってくれるだろうか」
「ここにあるどのチョコレートより甘いな……いつまでも末永くお幸せに!」
チョコも友の恋話も、甘い甘い。白薔薇の花びらを口に含んで、悟郎もまた幸せのお裾分けを貰ったような微笑みを浮かべていたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リュシエンヌ・ラブラシュリ
■リズさま(f20305)とご一緒に
甘い香りは幸せで平和を感じますわね
この国の一助となれたこと、誇らしく思いますわ
ええ、幸せなときははしゃぎましょう
まあ、まあ!
ずらりと並ぶチョコレート、なんて素敵なのでしょう
本当に目移りしてしまいますわね
リズさまと庭園へ
執事さま、ご無事でなによりですわ
ご注文くださったリズさまにお礼を告げて
ホットチョコレートを待ちますの
蝶の温室の紅茶とは違い、甘い甘いホットチョコレート
リズさまと過ごした大切な時間
少し甘く香り付けをしたくて
凛々しく優しい貴女はやっぱり私の憧れの人
これからも貴女と素敵なティータイムを持てますように
アドリブ歓迎ですわ
エリザベート・ブラウ
■リュリュさん(f19571)とご一緒に
やっぱり、なんてあまい香りの素敵な国
そうね、ナイトになった達成感があるよ
そして、もうひとつ心を弾ませる
貴女と堪能できるチョコレート
はしゃいでもいいかしら
見てリュリュさん、タルトもエクレアもあるわ
嗚呼もう、迷ってしまう
ふたりで庭園へ
まあ。執事さんもチョコレートなのね
優雅にめくばせ
ホットチョコレートをふたつ、くださいな
わたしの蝶の温室で頂く紅茶とは違う香りに充ちたこの場所で、貴女と過ごす大切な時間
戦いのときの凛々しいお顔
今の貴女の穏やかなお顔
色んな貴女を見れたわ
これは頑張ったご褒美ね
ゆるりと楽しむティータイム
これからも、きっと
アドリブ歓迎
●
チョコレートパーティーを喜ぶ愉快な仲間達。チョコ頭のお姫様も兵士も大テーブルの席に付いて、アフタヌーンティースタンドのチョコスイーツを摘まんでいる。幸福は甘い香りとなって、この国を満たしていた。
「甘い香りは幸せで平和を感じますわね。この国の一助となれたこと、誇らしく思いますわ」
「やっぱり、なんてあまい香りの素敵な国。そうね、ナイトになった達成感があるよ」
リュシエンヌ・ラブラシュリ(空駆け・f19571)とエリザベート・ブラウ(青の蝶・f20305)は、自分達の手で守ったものを感慨深く見つめていた。
とんとん。エリザベートが指先でリュシエンヌの肩を叩いてから、チョコ花の庭園への入り口を指さした。小説はエピローグまで味わうものだ。もうひとつ、心を弾ませるストーリーが向こうで待っているはずだから。
「貴女と堪能できるチョコレート、はしゃいでもいいかしら?」
「ええ、幸せなときははしゃぎましょう」
「まあ、まあ!」
喜んで誘いを受けたリュシエンヌは庭園の席までの道のりで、すでにトキメキを隠せない。右手にはチョコタルトの実が生る木々、左手にはカラフルなチョコのエクレアの花。
「チョコが実る木や花がこんなに、なんて素敵なのでしょう」
「見てリュリュさん、あんなにお洒落なエクレアも咲いているのね。嗚呼もう、迷ってしまう」
目移りしながら進んだ庭園の奥のガーデンテーブルで、既に待機していたキャラメルチョコの執事が二人へ丁寧に礼をする。
「執事さま、ご無事でなによりですわ」
「お陰様で。皆様に心から感謝申し上げます」
執事のエスコートを受けながら着席した二人は、優雅に目配せをした。
「ホットチョコレートをふたつ、くださいな」
そして、エリザベートが予め相談していた注文を執事に頼んだのだった。
「お待たせ致しました。こちらはホットチョコレートと、サービスのエクレアでございます」
届けられたのは、ハートのマシュマロが浮かぶホットチョコレート。そして、ホワイトチョコの花とラズベリーチョコの蝶で飾られたミニエクレアだ。
「まあ、素敵なお心遣いありがとうございます」
「可愛いね、食べてしまうのが勿体ないくらい」
それではごゆっくりと執事が立ち去れば、二人だけの穏やかな時間が訪れる。
「甘くて美味しいです。リズさまの温室で飲む紅茶もいつも美味しいですけれど」
大切な人と過ごす大切な時間に添えるのは、たまにはこんな甘い香りづけもいいかもしれない。そう呟くリュシエンヌの言葉を聞いて、エリザベートは自分も同じような事を考えていたと返した。
此処はいつもの場所、蝶が舞う硝子の温室のお茶会とは異なるものばかりだ。
紅茶の上品で芳しい香りと、ホットチョコレートの優しい甘さが溢れる香り。
木漏れ日に咲く赤白ピンクの薔薇と、味も色もとりどりなチョコの花。
「今回は色々な貴方を見られたわ。戦いのときの凛々しいお顔、そして今の貴女の穏やかなお顔。どちらも素敵よ」
どちらも違うけれど、どちらも好きよと。エリザベートは淑やかに微笑む。
「ありがとうございます。憧れのリズさまにお褒めいただくなんて照れ臭いですけれど……凛々しく優しい貴女はやっぱり私の憧れの人なのです」
「嬉しいわ。これも全部、頑張ったご褒美ね」
リュシエンヌは願う。これからも貴女と素敵なティータイムを持てますようにと。
エリザベートは頷く。貴女の席はいつでも用意して待っているわと。
これからも、きっと。二人で願えば、それは約束に変えられる。
蝶と花が寄り添うエクレアを摘まみながら、共に過ごせるという幸せな甘さを今暫く味わう二人を、チョコ花だけが静かに見守っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シウム・ジョイグルミット
[SPD]
やったー!
待ちに待ったチョコレートパーティだ!
というわけで、まずはもちろんいっぱい食べるよ!
普通のチョコレートは食べたから、色んなチョコ菓子の食べくらべを楽しんでみたいね
お菓子の種類はおかませしちゃって、どんどん持ってきてもらおうかな
わんこチョコ菓子みたいな感じに?
お気に入りに巡り合ったら、ボクのお菓子化レパートリーに加えちゃおう!
たくさん食べて満足したら、ふわふわっと浮いて庭を見て回ろうかな
チョコ花達を眺めたり、香りを堪能したりしたいね
花の種類によって味も匂いも違ったりするのかな?
チョコレートだらけの世界、満喫しなきゃ損だし気になることはとことん調べちゃおう!
●
「やったー! 待ちに待ったチョコレートパーティーだ!」
跳ねる気持ちを抑えきれずに、ふわりふわりと跳んで喜ぶシウム・ジョイグルミット(風の吹くまま気の向くまま・f20781)は、キャラメルチョコの執事に大テーブルの席へと案内された。
「こちらのお席へどうぞ。どれかお皿に取り分けましょうか?」
「そうだね、お菓子の種類はお任せするから、どんどん持ってきてくれるかな?」
戦闘中も偽アリスチョコを食べ続けていたはずだが、シウムのお腹はまだまだ満足しないらしい。普通のチョコレートはもう食べたから、色んなチョコ菓子を食べ比べたいとだけリクエストして、白い皿に次々と乗せられる『わんこチョコ菓子』がスタートする。
まずはふわふわのチョコシフォンケーキ。生クリームと共に雲を食べるように軽く口の中へと吸い込まれた。お次はホワイトバームクーヘン。ドライストロベリーのアクセントがなかなかいける。ビターチョコのマカロンは甘過ぎない大人の味。もちもちのチョコ餅は食感も癖になる。抹茶の生チョコタルトは濃厚リッチな口溶けだ。チョコクッキー、チョコプリン、エクレア、フォンダンショコラ……えとせとら、えとせとら。
「……以上で予めご用意したスイーツは一通りご案内致しました。他にもリクエストがございましたらすぐにお作り致しますが……」
「そっか、ごちそうさま♪ 後はこの国を探索しながら摘まみ食いするから大丈夫だよ」
シウムは執事にそう告げると、ふわふわと浮いてチョコの庭園へと飛んで行った。
あれほどの菓子でも彼女のお腹を十二分に満たすまでには至らなかったようだが、お披露目したチョコスイーツの中でお気に召すものはあっただろうか。もしかしたら、そのうちシウムのお菓子化する技のレパートリーに加えられているものがあるかもしれない。
そうして、シウムはチョコ花の庭園を空中散歩する。どれも甘いチョコの香りが強いが、花ごとに花そのものの匂いが感じられるものもあった。特に芳醇な香りの薔薇に引き寄せられたシウムは、ピンク色のチョコの花を摘んで口に含んだ。
「本物のローズチョコか、洒落てるね。こっちは何かな?」
隣で咲く赤い粒々が交ざったチョコ花に興味を持ったシウムは、それも一口。
「……!? 辛い!? スパイシーチョコか!」
ピンクペッパーと唐辛子入りの独特な味には、流石のシウムも意表を突かれたようだ。甘いものの中に辛いもの。何だかチョコレートに悪戯をされたようで笑ってしまった。
「面白いね! チョコレートだらけの世界、他にはどんなチョコが何があるのかな?」
縁の合った世界は、満喫しなきゃ損だ。気になることはとことん調べちゃおう!
シウムは新たな発見を求めて、チョコレートハートの国を隅々まで探検したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2020年03月08日
宿敵
『ネガ・アリス』
を撃破!
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