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アルダワ魔王戦争9-A~gonna be hope

#アルダワ魔法学園 #戦争 #アルダワ魔王戦争 #大魔王 #ウームー・ダブルートゥ #オブリビオン・フォーミュラ #テニス #ギャラクシー大往生 #挿絵 #血反吐

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  玉座にて、それは佇む。
 美しい姿であった。
 それでいて、異形であった。
「我は、喰らおう」
 その者が、口を開く。
 その双眸とその胸の内で、紅色が輝いた。
 大魔王、ウームー・ダブルートゥ。
 アルダワ世界を喰らい、滅びを齎さんとする邪悪の根源。
 彼の者は、深淵の底で待つ。

「皆、よくぞここまでたどり着いた」
 グリモア猟兵、ロア・メギドレクス(f00398)は告げる。
「アルダワにおける戦乱の最終決戦であるぞ。汝らには、これより魔王の首を獲ってもらう」
 ウームー・ダブルートゥ。
 あまねく願いを、希望を喰らい、世界を滅ぼす最強にして最終の大魔王。
 それが、撃破目標である。
「これより余は汝らを決戦の場所である魔王の玉座へと送る。汝らがやるべきことはただひとつ。行って、奴を屠れ」
 ロアは告げる。
「……しかして、当然ながら敵は強大だ。奴は汝らの心を映し、そしてそれに応じて力を増大させる」
 眼前に立つ者の願いを、望みを、祈りを喰らい、自らの力とする能力。
 あるいは、敵対するものの恐れを読み取り、自らの異なる姿を顕現させる能力。
 相対せし者の魂に応じて、魔王はより強く巨大になるのだ。
「当然ながら、これより汝らが足を踏み入れる魔王の玉座は奴が支配し掌握する領域だ。必ず敵は先んじてユーベルコードを仕掛けてくる。汝がユーベルコードを起こすよりも速くな。……単純なユーベルコードでの迎撃は困難だ。故に、対策を立てて挑め。敵の攻勢を掻い潜り、汝の刃を魔王の喉元に届けるのだ!」
 そして、グリモア猟兵は叫ぶ。
「これより此度の戦乱における最終作戦を開始する!撃破目標、大魔王、ウームー・ダブルートゥ!汝らの持てる力を残さず尽くし、アルダワ世界を脅かす脅威を殲滅するのだ!」
 行け、猟兵たちよ。
 ロアはその手にグリモアを掲げ、そして輝かせた。


無限宇宙人 カノー星人
 ごきげんよう、イェーガー。カノー星人です。
 決戦のとき来たれり。
 諸君の健闘を祈ります。

☆このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「アルダワ魔王戦争」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

☆このシナリオには下記のプレイングボーナス要項が存在します。
 プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』。
(敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)
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第1章 ボス戦 『『ウームー・ダブルートゥ』』

POW   :    ホープイーター
【敵対者の願い】【敵対者の望み】【敵対者の祈り】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    ホープブレイカー
【敵が恐れる大魔王形態(恐れなければ全て)】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    ホープテイカー
戦場全体に、【触れると急速に若返る『産み直しの繭』】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

別府・トモエ
「喰らう……喰らうか」
正直、世界とか殺すとか、物騒なこと言ってんなって
私の希望はシンプルよ

テニスしたい
テニス楽しみたい
テニスを大魔王にも楽しんでほしい
そんだけ。本当にそんだけ
大魔王ウームー・ダブルートゥ、何でも喰らうってんならさ
「テニスの試合を味わってみなよ……逃げんなよ、おう」

さて始まりました
ザベストオブワンセットマッチ
ウームー・ダブルートゥサービストゥプレイ

大魔王の【先制攻撃サーブ】です
トモエ選手自慢の【視力】でこれを【見切って】【ダッシュ】で追い付きます、すごい動きだ
完璧なポジション、理想的なフォーム【ミート武器受け】が美しい【誘導弾ショット】に繋がります
…これは素敵な試合になりそうです



「来たか。知的生命体よ」
 地下迷宮アルダワ、最下層。
 彼の地は深淵の底。邪悪と闇に満たされし虚無の揺り籠。そこに座すは、この世界のすべてを喰らい尽くす魔王。
「我はすべての希望を聞き届け、我が糧としよう」
 即ち、大魔王ウームー・ダブルートゥ。
 彼の者は、その玉座の間へと客人を迎え入れる。
「さあ、汝の願いを。希望を。祈りを。我が前に献じよ」
「喰らう……喰らう、か」
 別府・トモエ(f16217)は、恐ろしいまでに美しく、そして醜い異形の魔王を前にしながら、物怖じ一つすることなく対峙した。
「正直、世界とか殺すとか、物騒なこと言ってんな、って思うよ。……私は、そんな話、知らない。世界を救うとか、魔王を倒すとか。どうでもいいんだ」
「……ならば、お前の望みは」
「私の希望はシンプルよ」
 トモエはラケットを握り、そして構える。
「テニスしたい」
「テニス」
 大魔王ウームー・ダブルートゥは、表情一つ変えることなく復唱した。
「テニスを大魔王にも楽しんでほしい。……そんだけ。本当にそんだけ」
「……ならば、その望みを喰らおう」
 魔王の手の中に、輝く力の塊が握られる。それは収束しながら形を変え、棒状になったかと思えば先端部が膨らみ、楕円の中に網目を生じさせた。
 即ち、魔テニスラケットである。
「……やる気満々、って感じじゃん。大魔王。なら、テニスの試合を味わってみなよ……逃げんなよ、おう」
 空気が、張り詰めた。
 玉座の間にて、大魔王とテニスプレイヤーが相対する。

「さて始まりました、ザベストオブワンセットマッチ。解説は我輩、『真ん中の人』が勤めさせていただきます」
「シアイカイシ!シアイカイシ!」
「はい、実況は『上の頭』殿。よろしくお願いいたします」
「おではらへった おではらへった」
「落ち着いてください『腹の口』殿。さあさあ試合が始まりますぞ」
「児戯に等しい」
 大魔王の先制攻撃サーブ!鋭く振るうラケット。その一撃が既に必殺になりかねない凄まじい豪速球!
「やや、これは初手から素晴らしいサーブ!流石は『最終形態』!」
「スゴイハヤイ!スゴイハヤイ!」
「く、……ッ!」
 だが、如何な魔王の力とて、ここは既に彼女の領域たるテニスコートだ。高校テニスにおいて全国制覇レベルの技を持つ彼女の目と身体能力をもってすれば、追いつくことは不可能ではない!ぽんッ!ラケットがテニスボールを捉える!返球!
「おおっと!トモエ選手自慢の視力でこれを見切ってダッシュで追い付きます!すごい動きですな。人間業とは思えませぬぞ」
「おではらへった おではらへった」
「そうですね『腹の口』殿。白熱した試合になって参りました」
「その希望、実に良い」
 だが、大魔王もまたその能力を発揮する!人智を超えた機動力!そして膂力!魔テニスラケットがボールを叩き返す!トモエもまたこれに食らいついた。完璧なポジショニング!美しいフォームが描く反撃の打球!しかし大魔王もまたこれを返す!追い縋るトモエ!その瞳に熱を灯し、テニス楽しいって気持ちが熱く熱く燃え上がる!【無我の境地】に至るテニスプレイヤーとしての誇りと魂が彼女の背を支え、一歩も引かせない!
「いや素晴らしい試合ですな。よもや『最終形態』殿とここまで互角に戦える人間がいるとは」
「スゴイシアイ!スゴイシアイ!」
「はあああああッ!」
 ぱァんッ!ジャストミート!豪速の返球!大魔王へと叩きつける渾身の挑戦状!だが、大魔王ウームー・ダブルートゥは決してボールを逃がさない。ここで魔王は必殺の一撃を叩き込むべく魔テニスラケットを握る手に力を込め――
「滅ぶがいい」
 炸裂ッ!そして破裂音!
「ハゼタ!ボールハゼタ!」
「そのようですな『上の顔』殿」
「おではらへった おではらへった」
 戦いに耐え切れなくなったテニスボールが爆散したのだ。これではノーコンテスト。ノーゲームである。
「はあ……はあ……」
 凄まじい打球、凄まじい技の冴えだった。トモエほどのプレイヤーであっても、既に体力は限界まで追い込まれてしまっている。
「素晴らしき願いであった。……我は更に欲する。我は喰らう。もはや遊びは終わりだ」
「……いいや、終わってないよ。まだ1セット目がドローで終わっただけだからね。……あとでまた来るから、ラケット磨いて待ってなよ!」
 トモエはここで一時撤退。大魔王との交錯は、先ずドローゲームから始まった。
 かくして、大魔王と決戦の火蓋は切って落とされたのである。玉座の間において、戦いは続く!

成功 🔵​🔵​🔴​

ソラスティベル・グラスラン
胸が高鳴る
大魔王の神々しさと美しさに、涙が出そう
今この瞬間が、わたしの悲願―――

【オーラ防御・盾受け】で守り【怪力・見切り】で受け流す
【第六感】で察知し万全な【継戦】を
耐えて耐えて耐え延びて、只管に前進
攻撃を縫い【ダッシュ】、我が大斧を叩き込む為に

物語の英雄たちと並ぶ為に、何より愛した大魔王
『勇者』とは勝利を願われ、望まれ、祈られる者故に逆は無い

ですが唯一願います、『艱難辛苦』を!!
より強く、激しい試練を!

これほど滾る戦いはありません!
無数の試練を越え貴方を打倒し!わたしは真に『勇者』となる!
さあ…待たせましたね、勇者の大斧よ
胸中に燃える我が【勇気】に応え

『勇者』の証明をここに―――ッ!!!



 轟音。
 ソラスティベル・グラスラン(f05892)は、玉座の間の壁面に背中から激突する。壁面に蜘蛛の巣状のひびが満ち、ぱらぱらと建材が落ちた。
「はあ……はあ……」
 “勇者”ソラスティベル・グラスランと、大魔王ウームー・ダブルートゥの激戦は既に開始から10分を経過していた。歴然とした力の差。絶大な存在圧。大魔王の掌の中に、赤く光が収束する。その赤光は長柄のかたちを取り、そしてその先に幅広の刃を生じた。丁度、ソラの握った戦斧を反転させたかのように。
「汝は、奇妙だ」
 ばづ、ッ!赤雷!魔光の戦斧は赤く電光を爆ぜながら掲げられる。
「げほ、ッ……」
 ソラは、その光を見上げた。
「汝の願いは、斯様な痛苦か」
 魔王が踏み出す。
「……そう、です」
 ソラは、魔王の威容を見上げた。
 鳴りっぱなしの鼓動が身体を急かす。抗え、と血が叫び、立ち上がれ、とその魂が吼える声をソラは聞いた。
 双眸に光を灯し、ソラは立ち上がり、走った。2秒前までソラが埋まっていた壁面を魔王の大戦斧が砕き蒸発させる。
「今この瞬間が、わたしの悲願――」
 サンダラー。青空を映したかの如き色に光る大戦斧。握った両手でその感触を確かめて、ソラは走る。
「ならば、喰らおう。その願いを喰らおう」
「ええ、喰らい尽くせるものならば!」
 魔王の戦斧が振り下ろされる。ソラはサンダラーを力任せに薙いで打ち合った。ばぢ、ッ!迸る電雷!ソラは『魔王』と渡り合う!
 
 英雄譚に憧れた。
 無邪気に、勇者を夢見て。ここまで来た。
 臆病なわたし。こわがりなわたし。怯えるわたし。逃げ出したいわたし。そのぜんぶに喝を入れ、ときに一人で。ときに友の手を取って。ようやく、ここまでたどり着いた。
 おお、見よ。眼前には魔王の威容。物語の英雄たちと並ぶ為に、何より愛した大魔王。その神々しさと美しさに、涙が出そう。
『勇者』とは、勝利を願われ、望まれ、祈られる者である。人々の願いと希望、そして祈りに満たされる器である。であるが故に、その逆はない、と。ソラは考える。
 だが、今は。
 今、この時だけは。ソラは願う。
「願います。……願います!『艱難辛苦』を!!より強く、激しい試練を!」
「その願い、我が喰らおう」
 魔王がその手を翳す。掌に満ち爆発的に膨れ上がる魔力光。爆ぜる光が押し寄せ、ソラの身体を灼いた。
「受けて、立ちましょう!」
「斯様な痛苦が。斯様な苦しみが。斯様な痛みが。斯様な絶望が。斯様な敗北が汝が望みか」
 展開したオーラ防壁は瞬く間に砕け散った。魔王の魔力奔流に身を苛まれながら、ソラは歯をくいしばる。
「汝は、奇妙だ」
 光が途切れる。そして、ソラの頭上には断頭台めいて赤雷の戦斧が振り上げられた。
「汝の旅路に、終焉を」
「……いいえ」
 対峙するソラは、もはや満身創痍である。
 だが、その双眸には未だ光が宿る。ソラは、魔王の威容を見上げ、そして、笑った。
「無数の、試練を……越え」
 血の滲む両腕で、戦斧の柄を握り。
「貴方を、打倒し!」
 開いた瞳で相対し。
「わたしは真に『勇者』となる!」
 そして、勇者は戦う。
「それが汝の願いか」
「いいえ、これは願いではありません!」
 ばぢ、ッ!みたび激突する蒼と赤の戦斧が爆発的に稲妻を散らし、激しく打ち合った。
「これは……『誓い』!」
 おお、見よ。
 空を映すかのごとき青の光が、魔王の刃を打ち払う。
「勇者の大斧よ、胸中に燃える我が勇気に応え……」
 振り抜いた勢いを更に利用して、ソラは跳ねた。
「『勇者』の証明を、ここに――ッ!!!」
 そして――振り下ろす!
「む、う……!」
 会心の一撃、ッ!!
 勇者の刃は魔王に肩口に巨大な傷痕を刻み込み、そして血を吐かせる!ソラは魔王の肩を蹴り、油断なく再び間合いを取った。
「……思い、出した」
 揺らぐ大魔王。穿たれた傷を再生しながら、ウームー・ダブルートゥはソラの姿を見下ろす。
「以前、にも。我を討とうとした、知的生命体が、いた」
「……」
 魔王の瞳が、獰猛に光った。
「“勇者”よ。我は、汝を、喰らう」
「……望むところ、です」
 かくして、ここに勇者と魔王は対峙する。
「わたしは、勇者。勇者、ソラスティベル・グラスラン!大魔王、ウームー・ダブルートゥ!あなたを倒し、この世界に平和をもたらす者です!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
【血反吐】
「今まで無茶をさせたわね。でも、これで最後よ」
死闘に次ぐ死闘で予備パーツも尽き、継ぎ接ぎ姿の相棒に優しく声をかける

第一方針は敵のUCの見極め
全ての装備を駆使し分厚い装甲で耐え凌ぎ【オーラ防御、野生の勘】ながら【情報収集】を行う
こちらの希望と奴の強化の相関を【戦場知識】で【見切り】

『今の居場所を守る』
己の希望を明確にし、奴の強化箇所を正面突破だ

「コード・ハイペリア……蒸気王超過駆動!!」

真の姿の【封印を解き】全制限解除
飛翔から重力【属性攻撃】を加えた大質量落下攻撃だ

そこまでが限界だろう
だがもしも蒸気王が応えるなら、【気合の二回攻撃】で最後の鉄拳を叩き込む

「打ち砕きなさい、蒸気王!!」


死之宮・謡
アドリブ歓迎

ほう…貴様が最終形態か…中々良いフォルムをしているじゃあないか…好きだぞ?そういうのは、な…
貴様は知性を疎うか?私は好きだがなぁ…愚かしく儚い人間どもの移ろう思いが…
如何やらその辺り、相容れぬ様だな?我が同輩よ…さぁ死合おうか…

願いも望みも祈りも総て捨て相手を撃滅するだけの現象となる
【天翔る狂気】発動
心を狂気一色で染め上げて唯、敵意にのみ反応して攻撃
夥しい「呪詛」の籠った闇呪宝玉を大槍にして黒雷(属性攻撃・全力魔法)を撒き散らしながら突撃
相手の攻撃は「生命力吸収」でカバー…回避は致命傷のみにして(狂乱中は戦闘不能になる攻撃以外に反応できないとも言う)


無累・是空
【POW】アドリブ大歓迎
長いようで短かった騒動もここで終いじゃ。
大団円まであと一歩。踏み越えさせてもらうぞ大魔王!

わしの望みは人の世の平穏を見守ることよ。
手を貸し甘やかすわけでなく、傍に寄り添い彼等の歩みを眺めていたい。
この望みに胸を焦がす激しさはない。じゃが、か弱くはないぞ。
喰らうものよ、貴様は奪うことしかできんけだものじゃ。貴様には喰らうとも解らんのじゃろな。

初撃はオーラ防御、地形の利用で凌ぐ。遮蔽物など積極的に利用する。
『超神足通』による超音速空中戦を仕掛ける。
最高速度はマッハ5超、彼奴の強化に速さはない!
空中戦、空中浮遊を組み合わせ急加速急減速で撹乱、加速の勢いをのせて殴る蹴るぞ!



「改める必要があるようだ」
 魔王は、玉座より睥睨する。
「強き望み、強き願い。強き意志と希望もつ者たちよ。汝らは、我が敵たるに値する」
 魔王は相対する猟兵たちへと視線を下ろし、そして対峙した。
「ほう……貴様が『大魔王』の最終形態か……」
 死之宮・謡(f13193)は、眼前に聳える魔王の体躯を仰いだ。
「中々良いフォルムをしているじゃあないか……好きだぞ?そういうのは、な……」
「まさに究極の姿……って感じね」
 才堂・紅葉(f08859)のその背で、マシンの躯体が起動する。吼えるヱンジン、スチヰム唸る。立ち上がるのはここまで共に駆け抜けた彼女の相棒、蒸気王の姿である。その姿は度重なる戦闘を超え、継ぎ接ぎまみれのスクラップ寸前の姿であったが、それでも。その躯体は最後の戦いに挑むべく、今できる万全を期していた。
「これが最後の戦い……長いようで短かった騒動もここで終いじゃな」
 無累・是空(f16461)は、そこへ並び立つ。纏う神気が陽炎めいてゆらめいた。
「大団円まであと一歩。さあ、ともに踏み越えようぞ!」
「くく……いいだろう」
「ええ、これで最後よ!」
 ここに立つのは、人と魔と神。猟兵たちは相対する。たちはだかる魔王の身の内で膨れ上がる魔力光。決戦は始まる。
「その気概。よし。であれば、喰らおう。すべて喰らおう。汝らの願い。祈り。希望。我が『大魔王』の名の下に、あまねく希望を喰らい尽くし、すべてを呑みこもう」
 大魔王は、踏み出した。
「さあ、願いを献じよ」
 掌で収束する魔力光が収束し、槍めいて放たれる。爆発的な閃光。爆ぜる空間から猟兵たちは逃れ、迎撃態勢に移る。
「わしの望みは人の世の平穏を見守ることよ」
 是空はオーラ防壁を展開。神力の構築するオーラが魔王の放つ力にぶち当たる。だが爆ぜた。大魔王の力はあまりにも強大だ。しかし防ぎ切れぬのは織り込み済み。防壁によってわずかながら猶予が生まれた。その数秒にて、是空は退避!
「私は……今の居場所を、守る!」
 紅葉もまたその猶予に助けられた。床を蹴立てた紅葉は蒸気王の運転席に着地。操縦桿を回して回避機動をとった。
「ははは」
 一方、飛び出したのは謡である。その背に赤黒く魔力光を収束させ、翼を形成しながら舞い上がる。
「疎ましき生命よ。煩わしき知性よ」
「貴様は知性を疎うか?私は好きだがなぁ……愚かしく儚い人間どもの移ろう思いが」
 黒雷のように爆ぜる魔力光。謡は力を束ねて大魔王へと放り投げる。
「我にとっては、糧に過ぎぬ」
 魔王の腕はそれを払った。『守る』という2人の願いを喰らい、魔王のその躯体は更に力強さを増している。爆散する魔力塊。その閃光を切り裂いて、魔王が走った。
「ただ、喰らうのみ」
「そうはさせぬぞ。大魔王よ!」
 その道を遮るように、魔王の眼前に是空が躍り出る。幾重にも展開された是空のスフィア/防御フィールドはそれそのものが強靭な武具となる。加速とともに魔王へと激突。進撃をとどめる。
「汝は――」
「人の世をこれ以上喰い荒らすことは、わしが許さぬ」
「……神性が、知性体どもに手を貸すか」
 閃く魔王の指先が是空へと伸ばされた。フィールドごと握り潰しにかかる。神気と魔力が拮抗に、爆ぜるような音をたてた。
「貸すだけ、ではない。手を貸し甘やかすわけでなく、傍に寄り添い彼等の歩みを眺めていたい。わしは、そう望む」
「愚かな」
「その言葉、そのまま返すぞ。喰らうものよ、貴様は奪うことしかできんけだものじゃ。貴様には喰らうとも解らんのじゃろな」
「なにを――」
「人の世も、捨てたものではないということよッ!汝が思うておるより、すごいんじゃよ人間は!なァ、そうじゃろッ!」
「おおおおおおおおおおおッ!」
 駆動音、ッ!唸るエンジン。操縦席の紅葉の咆哮とともに駆け抜ける巨躯。それは人の生み出せし文明と叡智の結晶!吼える躯体は蒸気王ッ!
「なに……!」
「叩きなさい、蒸気王ッ!」
 豪腕ッ!鋼の拳が魔王の顔面を捉える。ぎし、と軋む音をたて、蒸気王は更に奮戦。紅葉は操縦桿を押し込み、更にもう一発!横っ面に叩き込む!
「……よくも抗う」
 剛撃に揺らいだかに見えた魔王が上体を戻しながらその腕を放った。破砕音。砕け散る蒸気王の片腕。操縦席に走るスパークに紅葉が苦悶する。
「く、ッ……!耐えなさい、耐えなさい、蒸気王ッ!無茶もこれで最後よ。もう少しだけ……もう少しだけ、戦いなさい!」
「無駄だ」
 追撃ッ!魔王の腕が槍のように放たれる。貫手めいて、蒸気王の胸部を貫いた。悲鳴のように鉄が音をたてる。
「我が力に抗うことは、できぬ」
「はは、ははははは!そうでもないさ!」
 とどめを刺すべく腕を振り上げた大魔王に纏わるように、黒く爆ぜる魔力塊が叩きつけられた。脅威度を理解してか後退する大魔王。その眼前に浮かぶ姿こそ、真体を露わにした謡である。赤黒のオーラに全身を覆う謡は、大魔王にも匹敵する呪力を繰り、破滅を喚び、闇をもたらす狂える魔王と化す。
「汝……!我と同質の力を持って尚、何故儚き生命体などに」
「言ったはずだよ」
 赤黒の閃光が刃と化す。振るわれた禍々しき一閃は、大魔王の身に深々と傷を刻み込んだ。
「私ハ、“好キ”ダ、ト」
 その双眸に狂乱を満たし、謡はただ目の前の存在を撃滅するための“現象”と化す。あるいは、“災害”か。迸る魔力光が大魔王の体表において幾たびも爆ぜる。その力を振るうたび、魔王は苦悶めいた呻きを漏らした。
「立てるか、お嬢ちゃん」
「……大丈夫。私も、この子も。まだ、いけるわ」
 その一方で、気遣うように是空は半壊した蒸気王の操縦席を覗き込み、紅葉に声をかける。紅葉は操縦桿を握りながら、ゆっくりと機体を立ち上げた。
「ならば、力を貸す……いや、“合わせる”ぞ。わしとあやつで道を開ける。人間よ、お主が拓くのじゃ」
 是空は空を蹴り、飛んだ。加速。すぐさまトップスピードに達する。音速を超えた速度。魔王のの元へと踏み込む。翻弄するように大魔王の前を横切り、反転し背後へ。打撃が魔王の体躯を捉える。狂乱する魔力と、乱舞する神の力。同時に襲いかかる二つの攻め手に、魔王ウームー・ダブルートゥは反撃の手を出しあぐねていた。
 紅葉は深く息を吸い、吐き出す。そして、視線を上げた。
「コード・ハイペリア……蒸気王超過駆動!!」
 駆動音。その声に応えるように、蒸気王は双眸に火を灯す。
 重力制御のチカラを顕現するハイペリアの紋章は紅葉の手の甲で青白く光を放った。呼応するように紅葉の髪色が赤く染まり、蒸気王の躯体が宙へ飛び出す!
「よし……整えたぞ!来いッ!」
「ははははは!ソうダ、人間ノちかラを、見せロぉッ!」
「汝ら……!」
「言われなくても、やってやるわよ……!打ち砕きなさい、蒸気王ッ!!」
 かくして。
 流星めいて、躯体が落ちる。数多の戦いをくぐり抜けその身体は既に廃品同然であったが。そこに乗せられた相棒の魂が燃え尽きるまでは、砕けるわけにはいかない。
 蒸気王は、打ち砕く。
「ご、お、おおお、ッ!」
 激突の衝撃に耐えきれず、大魔王の躯体がとうとう吹き飛んだ。床を二度バウンドした巨体は壁面に激突し、ダンジョンを揺るがせる。
「……汝ら、は」
 だが、致命傷には至らない。大魔王は、瓦礫の破片を払いながら立ち上がった。
「やはり、脅威、だ」
 再び、魔王は立ち上がる。そして、対峙する。
「……まだ倒れぬか」
「ははは……なら、あれが死ぬまでやろうじゃないか」
「ええ。決着をつけましょう」
 大魔王は大きくその力を削られながらも、健在である。アルダワ学園世界の命運をかけた戦いは、未だ続く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ルク・フッシー
クーさん(f14438)と一緒に

大魔王…こわい…
……でも、隣にクーさんがいる限り…負けられません!

願いを利用するオブリビオン…ボクの願いは『クーさんと幸せになりたい』ですから…大魔王が『花婿と花嫁』になって襲ってくる…!?

ボクは、剣士の花嫁…クーさんの偽物に対処します

【斬撃描画】を使います
特大絵筆の穂から塗料をジェット噴射する事で素早く移動
オーラ防御で剣を逸らしながら、隙を見て相手の体に傷を描きます。描いた傷は本物になり、小さな裂傷によるダメージを蓄積させます!

(「ルク君はもっとカッコいい」という言葉に赤面)
く、クーさんはあなたよりずーーーっと美しいんですっ!ま、負けるもんかー!


クトゥルティア・ドラグノフ
※ルク君(f14346)と一緒にいきます

大魔王、これを倒してルク君の故郷を護るんだ!
行こうルク君、君とならどんな敵とでも戦える!

私の願いは『ルク君と幸せな未来を紡ぐ』こと……えっ花嫁と花婿!?

私は花婿、ルク君の偽物を相手するよ!

ルク君の偽物なら、きっと付着すればダメージを与えるペイントで攻撃するはず。
ならば【怪力】で地面の一部を剥がして盾にするよ。
そのままなるべく被弾しないように、攻撃を【野生の勘】で【見切り】、【戦闘知識】で上手く立ち回りながら接近!
十分近づけたなら盾を捨て、【オーラ防御】しつつ被弾【覚悟】で月腕滅崩撃のブレーンバスターだ!

「ルク君はもっとカッコいいんだよ!出直せぇ!」



「あれが、大魔王……」
 ……怖い、と、ルク・フッシー(f14346)は身震いする。
「大丈夫。……私がいるよ」
 クトゥルティア・ドラグノフ(f14438)は、その傍らで背を支えた。
 2人は視線を交わし、肯き合う。
「……はい」
 震えを止めて、ルクは魔王の威容へと向き合った。
「そうですね……。ボクの隣に、クーさんがいる限り……負けられません!」
「行こうルク君、君とならどんな敵とでも戦える!大魔王……2人で一緒にあいつを倒して、ルク君の故郷を護るんだ!」
「汝の望みを、献じよ」
 魔王が動き出す。その身は既に猟兵たちとの交錯で傷痕を残されているものの、未だその存在圧は健在だ。
「……ボクの願いは」
「私の願いは……」
「「2人で、しあわせな未来を紡ぐこと」」
 声が重なる。魔王は静かにその声を聞き入れ、そして喰らう。
「その願いを、喰らう。その希望を喰らう。その祈りを喰らう。我は全ての希望を聞き届け、我が糧としよう」
 大魔王はその身を分かった。像がブレるようにその姿が二重に重なり、そして分離する。
「我は」「喰らう」
 魔王が歩み出す。片やその手に筆を持ち、片やその手に剣を持つ。ルクとクトゥルティアの姿を模倣した2人の魔王は、疾く駆けた。
「知的生命体よ」
 筆の魔王が杖めいて掲げた巨大な絵筆を振るう。筆先から溢れ出す極彩色の魔力奔流。土石流のように2人へと押し寄せた。
「存分に祈り、願え」
 同時に、剣の魔王が床面を蹴立てる。
「私たちの願いで、私とルク君をコピーしたってことね!」
 クトゥルティアは剣を床面へと突き立てる。そのまま力任せに建材をひっぺがした。ご、ッ!轟音とともに立ち上がる石材を簡易的な盾として魔力流を防ぐ。
「ルク君!もう1人が来るよ!」
「はい!あっちは……ボクが相手をします!」
 ルクは絵筆から塗料を噴射し、その反動で駆ける。剣の魔王と空中で交錯。切り結ぶように筆を薙ぐ。
「我は喰らう。我は滅ぼす。我は全てを吞み込もう」
「……この魔王、女の子!?」
「汝がそう願ったはずだ」
 変異した魔王の面影は、クトゥルティアに似ているようにも見えた。その剣の鋭さも。否、魔王の力は模倣でありながらそれを凌駕する重さと鋭さをもつ。閃く剣筋。ルクは咄嗟に展開した防御オーラで致命傷を避ける。だが、やられるだけの姿は見せられない。カウンターめいて絵筆を振るい、魔王の身に傷の絵を描く。
「このおッ!」
 一方、クトゥルティアは石材の防壁が決壊すると同時に飛び出した。筆の魔王が視線で追い、そこへ更に塗料を放った。秩序なき極彩色が爆ぜる。クトゥルティアは軌道を躱しながら接近。その意識を筆の魔王へと向け収束させる。念動集中。放つサイキックエナジーが巨大な腕を形作った。
「汝らはただ願えばいい」
「願い下げよ、そんなの!」
 絵筆を向ける魔王が、更に色を放った。クトゥルティアは身を捻り直撃を避けながら更に前進。被弾しながらも『腕』の間合いに魔王を捉える。
「そんなの、ただ歪めただけ!私の願いは、自分で掴むよ!」
 そして、掴んだ。
「だいいち……ルク君はもっとカッコいいんだよ!出直せぇ!」
「む、う……!」
 サイキックで形作った両腕が、魔王の身体を捉え、そして床面へと強烈に叩きつけた。破砕音。魔王の身体が軋む。
「うう……」
「どこを見ている」
 魔王の刃がルクを襲う。斬られた箇所から血が溢れた。だが、ルクは歯を食いしばる。情けない姿は、見せられない。もう一度。あと一筆。今が最適な間合い。ルクは最後の仕上げとばかりに、傷を堪えて筆を薙ぐ。
「ボクを、『カッコいい』って、言ってくれる人がいるんです」
「そうか」
 魔王は表情一つ変えずに剣を掲げた。とどめを刺す。心臓を貫き、滅ぼし喰らおう。禍々しく殺気がルクへと向けられた。
「あなたのその姿は、クーさんの真似、なんでしょうけど……!」
「……なに」
 その時である。剣の魔王はその身に違和をおぼえた。
 ――塗料で描かれた部位が、痛みを訴えている。
「く、クーさんはあなたよりずーーーっと美しいんですっ!」
「これは……!」
 その声が響くとともに、魔王の身体へと描かれた傷が一斉に本物の裂傷へと変じた。『斬撃描画』!魔王は苦悶に呻きながら後退する。
「やはり、侮れぬな。知的生命体……!」
 追い込まれた2人の魔王は再びその姿を重ね合一化。本来の形態へと形を戻す。
「やったね、ルク君!」
「はい!……このまま、一気にやっつけましょう!」
 一気呵成。勢いを増しながら、2人は大魔王へと対峙し続ける。
 猟兵たちが大魔王へと与え続けた傷は、間も無くその存在核まで達しようとしていた。
 戦いは既に佳境を迎えている。
 決着の時は、近い。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

黒城・魅夜
希望を喰らう?
希望をつなぐもの、希望の依代である私にそんな言葉を吐いたことを
悪夢の底で悔やみなさい

共に天を戴かぬ敵ですが、まさにあなた自身が恐ろしいことも事実
先制されるUCは分身の召喚、それ自体は防げませんが
逆に言えばあなたはまず分身を召喚することに行動が縛られる
召喚することのみが先制であり、攻撃に移行するまでは
一瞬にも満たない僅かな時間差があります
その刹那に賭けましょう

108本の鎖を弾幕のように撃ち出します
通用せず、迎撃されるでしょう
それでいいのです、鎖自体が陽動だったのですから
言ったでしょう、一瞬の隙があればいいと
ええ、私の本命はこの死神札
あなたの影を縫い付け、その運命さえも滅ぼす死神です


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎・【血反吐】
あたしの望みかぁ…なんだろ?
まぁとりあえず、あんたをブッ潰したい、とは思ってるけど。

…とは言うものの。多分あたしの火力じゃどうあがいてもダメージソースには力不足なのよねぇ。
…この際、火力は捨てるわぁ。あんたを倒すのは、あたしじゃなくてもいいんだもの。
〇目潰し・拘束・〇マヒ攻撃、遅延起動と接触起動を織り交ぜた〇だまし討ち…
強化をどれだけ相殺できるかは分からないけど。手札と手管洗い浚いブチまけて、●圧殺で徹底的に邪魔してやるわぁ。

…ホント、ボス連中ってどうしてこう「雑に強い」のかしらねぇ…
まあ結局は「虎が強いのはそいつが虎だからだ」ってことなんでしょうけど。



 「我は、喰らう。我は、この世のすべてを……」
 魔王は、未だ健在にして。猟兵たちを睥睨する。
「希望を喰らう?」
 黒城・魅夜(f03522)は、それを笑い飛ばした。
「できませんよ、そんなこと」
「そうねぇ。……悪いけど、あたしたち負ける気しないのよぉ」
 ティオレンシア・シーディア(f04145)の手の中で、銃の感触を確かめる。45口径コルトSSA改・オブシディアンがかちりと音を鳴らした。
「ならば、それもまた喰らおう。その傲慢を喰らおう。その確信を喰らおう。その希望を、喰らおう」
 魔王の手の中に、光が収束した。
「我が前に願いを献じよ」
「あたしの望みかぁ……なんだろ?」
 ティオレンシアは鋭く照準を向ける。照星の先に魔王の姿を捉えた。
「まぁとりあえず、あんたをブッ潰したい、とは思ってるけど」
「同感ね」
「その願いは、叶わぬ。……我はあまねく希望を喰らい尽くし、そして滅びへと帰す者」
「ええ、ええ。人間の希望など我々の糧に過ぎませぬからな!」
「おではらへった おではらへった」
「我らが暴力の前に屈せよ、知性体どもめが!」
「そう。お前たちが希望を持つように、私達もまた希望があるのだ」
「この世界は滅びる。我が、我々が滅ぼす!」
「『諦めよ!』『諦めよ!』『汝ら』は、『贄でしかない』のだ!」
 虚空を裂き、5つの影が揺らめきながら玉座の間に聳え立つ。それは、ここに至るまでの道筋で猟兵たちが剣を交えてきた魔王の姿であった。
「我らはすべての希望を喰らう」
 そして、動き出す。アウルム・アンティーカの躯体が音をたて、レオ・レガリスが咆哮する。セレブラム・オルクスの身体はおぞましく蠢動を始め、ラクリマ・セクスアリスの身に宿す『魔女』たちが悲鳴をあげた。そしてモルトゥス・ドミヌスが猟兵たちを睥睨する。
「あらぁボスラッシュ。とんでもないことになってるわねぇ?」
 ティオレンシアは横目でちらと魅夜を見遣りアイコンタクト。「いける?」と。魅夜は短く頷き、視線を上げた。
「私は希望をつなぐもの。悪夢を砕き、明日へと道をひらく希望の依代」
 その手の中より魅夜は鎖を放つ。呪いと絆。呪わしき悪夢の象徴であると同時に、今は彼女の希望を繋ぐ縛鎖。
「私にそんな言葉を吐いたことを悪夢の底で悔やみなさい」
 打ち出された鎖は限りなく分かたれ伸びながら暴れ回る。魔王の群れが本格的な攻勢に出るより先に魅夜は仕掛けた。
「斯様な縛鎖で我を止められると思うたか!」
「やはり人間は非力ですな。『第二形態』殿」
 だが、魔王の力は強大だ。その上、ここに現れたのは5人。ウームー・ダブルートゥまでも含めれば6人の魔王である。1人1人は世界滅亡級の強大な力をもつ絶大なオブリビオンなのである。向けられた鎖を弾き、視線を魅夜へと向ける。
「希望の依代だと言うのなら、その希望ごと潰えさせよう」
「貴様も我が糧となるがいい」
 第四形態が悍ましく毒性の身体を収縮させながら、その腕を伸ばした。
「……ホント、ボス連中ってどうしてこう『雑に強い』のかしらねぇ」
「おやおや」
 銃声!床面を踏み切って駆け出したティオレンシアが魔王の群れの中へと飛び込んだのである。
「そのような武器で我々に……なに?」
「ルーンマギア!ルーンマギアダヨ!」
「そのようですな『上の顔』殿」
 停滞のルーン。魔術刻印を刻んだ弾頭が突き刺さり、第一形態の動きが鈍る。ティオレンシアは更に走る。動いた1秒後で、彼女のいた地点に第二形態の強靭な豪腕に砕かれた。
「おのれ、ちょこまかと!」
「『虎が強いのはそいつが虎だからだ』、ってことなんでしょうけど……!」
「それなら、尚更鎖に繋がなければいけませんね」
 魅夜が再び鎖を放つ。魔王たちは迎撃の構えを取る――
「……もう少しだけ頼みます」
「ええ、策があるなら任せるわぁ」
 そこへ更にティオレンシアがグレネードを放り込んだ。爆発。閃光。反響。爆音がほんの僅かな一瞬、魔王たちの五感を白く上塗る。
 その刹那でじゅうぶんであった。
「罪深きものよ嘆け、汝の影は汝を見放し我が寵愛に歓喜する」
 魔王の群れを躱して、魅夜は疾る。その手に握る3枚のジョーカー。向かう先は、魔王達の本体である最終形態ウームー・ダブルートゥ。その影!
「汝、はじめからこれを狙っていたか」
「ええ、私の本命はこの死神札。あなたの影を縫い付け、その運命さえも滅ぼす死神です」
 放つ。それは【背徳の媚態を示せ裏切りの影/スイート・ビトレイヤル】。影縫いめいて突き立ったカードは敵を縛る死神札。ユーベルコードを封じる力が、ウームー・ダブルートゥの権能によって顕現された魔王の群れを消し去る。
「あとはそちらさんだけ、ってことねぇ?」
 身を翻しティオレンシアは再び銃口を向ける。間髪入れずにトリガー。ルーン魔術の刻印を刻む.45弾頭が吼え猛りながら魔王を穿った。
「滅べ、知的生命体よ」
「お断りよ」
 魅夜の手の中で鎖が音を鳴らす。
「こっちの手札は洗い浚いブチまけるわぁ」
 ティオレンシアは床を蹴立て、魔王の側面へと回り込む。更にトリガー。続け様にありったけのグレネードを放り込み、爆破。その目と耳を引きつける。
「そっち、よろしく頼むわねぇ」
「我が糧となれ」
 爆煙を払う魔王の手が、音をたてて変異する。銀に鈍く輝く銃身。回る弾倉。それは、言うなれば450口径ホープイーター。魔王の呪力を収束し、銃と化した指先からティオレンシアを撃つ。
「それ以上は……させません」
 魅夜の放った鎖が魔王を貫くのと、撃ち放たれた魔力弾がティオレンシアの胸元で爆ぜるのはほぼ同時にであった。
「む、う……」
 魔王の身体が揺らぐ。鎖に穿たれた傷口と口から血を吐き出し、荒く息を吐き出した。度重なる猟兵たちとの交錯によって、その存在圧が削られつつあるのだ。あと一歩。あとひと押し。あと僅かでその存在核を貫ける。
「……げほ、っ」
 一方、ティオレンシアは大魔王の一撃に穿たれその膝を屈していた。凄まじい苦痛。絶望的な呪詛の塊に身を苛まれる。直撃を受けたのだ。防具に刻んだ刻印呪紋の加護による防壁がなければ一撃で再起不能にまで追い込まれていただろう。
「肩を貸します。一度引きましょう」
「ええ……そうさせてもらうわぁ」
 ――痛み分け、と言っていい。だが、大魔王の力も残すところは僅かだ。
 間も無く、決着の時は訪れる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アーデルハイド・ルナアーラ
【wiz】
魔王と戦うと若返れると聞いて飛んできました(24才)。ぜひ10年ほど若返らせて貰いたいわ!お肌つやつやだった頃に!
......ごほん。貴方が大魔王ね。この世界は貴方の好きになんてさせないわ!
 
【先制攻撃対策】
あえて迷宮に足を踏み入れ、若返らせられながらも、魔法の杖(ハンマーみたいなでかい杖)で繭をぶったたいて破壊しながら直進よ。
カウンター用の術式、【満塁弾】発動!既に見えている発動維持型のユーベルコードなら相性がいいはず。
長居するのはまずそうだから、筋力強化で脚力を強化して全力ダッシュ。

迷宮抜けたら魔王も杖でぶったたくわ!
私も獣の魔女と言われたウィザード。魔法勝負なら負けないわよ!



「若返ると聞いて飛んできました」
「そうか」
 大魔王ウームー・ダブルートゥは新たに現れた猟兵の姿を見遣った。アーデルハイド・ルナアーラ(f12623)である。
「ぜひ10年ほど若返らせて貰いたいわ!お肌つやつやだった頃に……」
「……そうか」
 魔王はこころなしか冷ややかな目でアーデルハイドを見下ろした。望みや希望があまりにもわかりやすい。魔王は人間の品格を問わないが、逆にわかりやすすぎて多少困惑しているまである。
「......ごほん。貴方が大魔王ね。この世界は貴方の好きになんてさせないわ!」
 アーデルハイドは仕切り直した。
「だが、汝の望みもまた喰らおう」
 魔王は冷静に、きわめて冷徹にその権能を行使する。ホープテイカー。玉座の間を構成する石材の隙間から染み出すように、有機的な色彩が溢れ出る。“産み直しの繭”だ。迷宮は形作られ、アーデルハイドはその中に飲み込まれるように囚われた。
「きたわね!これを待ってたのよ!」
「そうか」
 アーデルハイドは目を輝かせ元気いっぱいに迷宮の中を走る。手にした魔杖を鈍器がわりにぶうんと振り抜いた。激突。ぱぁん!音をたてて弾ける繭。破片がいくらかアーデルハイドに触れる。
「……これは!」
 その肌に艶。ああ、間違いない。これは10代の頃の肌。本当に若返ってる!アーデルハイドは心の中でグッとガッツポーズした。テンション爆揚げで更に走る!
「きて正解だったわね……!…………あれ?」
 しかし、繭を叩き潰しながら迷宮を走るアーデルハイドは不意に気づく。だんだん、自分の視線の高さが下がってきているのだ。
「……あっ!ちょっと!これはだめ!若返りすぎ!!ロリになっちゃう!!きわめて特殊な性癖嗜好だけに刺さる尖ったキャラになっちゃう!!」
 まずい。このままでは14歳を軽く通り越して更に若返りきわめて特殊な性癖嗜好だけに刺さるトガったキャラになってしまう!本来であれば胎児まで戻して再誕させるものであるが、猟兵が故の抵抗力がこの進行速度を押しとどめているのである。現在のアーデルハイドは10歳くらい。ご自慢のわがままボディも急速にしぼんで平坦そのものだ。
「ながいするのはまずそーね!」
 随分舌ったらずになった口で窮状を叫び、その足に力を込める。ぶかぶかになった衣装を引きずるようにアーデルハイドちゃん8さいははしった!
「もうゆーよがないわ……!ここは、いっぱつ!」
 そしてアーデルハイドちゃん7さいは振りかぶる!全力打撃!渾身の力でフルスイングする魔法の杖が魔王の迷宮を砕き散らす!【満塁弾/アーデルハイド・ストラッシュ】ッ!
「ほう」
 爆散する繭の迷宮を飛び出して更に魔王に迫るあーでるはいどちゃん6さいは飛び込むッ!
「わたしもけもののまじょといわれたうぃざーど……まほーしょーぶならまけないわよ!」
 その勢いのまま、打撃ッ!!
「ぐ、あ……」
 激突の勢いに吹き飛ばされる魔王の身体が床面を転がった。あーでるはいどちゃん6さいは鮮やかに着地し、魔法杖を構え直す。
「……このすがたでたたかうのはちょっとまずいわね」
 が、気を取り直してここは一時撤退!もとのからだに戻ってからの再戦を検討する!

成功 🔵​🔵​🔴​

聖護院・カプラ
大魔王、ウームー・ダブルートゥ。
アルダワを覆う深淵の闇よ。
私のシールドの持つ限り好き勝手にはさせません。

希望を食らうというのなら……私の願い、私の望み、私の祈りの全てを写してみるがいいでしょう。
それは人類を見守りたいという宇宙の仏の心です。
ですが、仏の心を以てしても大魔王が大魔王たる所以までは変質せしめる事は困難でしょう。

どう打開するのか?

魔王は邪(よこしま)で大きい。しかし仏の心を持っている。
それ即ちウームー・ダブルートゥは大仏という事になります。

そう、今こそ大仏建立の詔で大仏を建てる時!
大魔王と合体し大大仏となる事で精神の制御権を奪い
彼の者の存在感を躯の海へ還してみせましょう!



「汝の、望みを、献じよ」
 度重なる戦いを経て、そこかしこを瓦礫と変えた玉座の間。そこに、その身を半ば朽ちかけながらも大魔王は立つ。
 そして――そこに対峙するのは、聖護院・カプラ(f00436)であった。
「大魔王、ウームー・ダブルートゥ。アルダワを覆う深淵の闇よ……私のシールドの持つ限り好き勝手にはさせません」
「……知的生命体の産物。汝もまた、願いをもつか」
「はい」
 大魔王に相対するカプラは、ある意味においては魔王と対極の位置に在る者である。
「希望を食らうというのなら……私の願い、私の望み、私の祈りの全てを写してみるがいいでしょう」
 聖護院・カプラは一切衆生の救済を望む。人と異なる鉄の身であるが故に、そうであるからこそその願いの純度は高く、魔王の蓄えた膨大な業に匹敵する徳を備えていた。
「それは人類を見守りたいという宇宙の仏の心です」
「喰らおう。如何なる望みであろうと、願いであろうと。我は喰らおう。我が業にて喰らい尽くし、あまねく宇宙までも喰らい尽くそう」
 魔王が、その願いを喰らう。
「喰らおう」
 魔王の背に、光輪が広がった。
「喰らおう」
 魔王の背から腕が伸びる。脇腹から、肩から、新たな腕が伸びる。その掌は印を結び、開いた掌は天へと向けられ、新たに生えた一対の腕は胸の前で合掌する。
「喰らおう」
 カプラの願いを喰らい、魔王の躯体が膨れ上がる。黒き業のみで構成された邪悪極まる魔の肉体に、急激に善なる意志と徳が満ちてゆく。
「喰らおう」
 その背で、光輪が更なる光を放つ。それは即ち後光であった。
「おお……」
 そこに立つ者は、今や悪逆の化身たる大魔王ではない。否、その存在核は間違いなく膨大な業を蓄えた魔の化身だ。しかして、そうであると同時にその身体には輝ける仏の御心が満ちている。
「……なんだ。これは。我が身の裡に渦巻くこの熱は」
「それこそが私の願い。仏の心です」
 カプラは、その威容を仰いだ。
「魔王ウームー・ダブルートゥ。あなたは邪(よこしま)で大きい。しかし今や私の願いを喰らい、仏の心もまた持っている」
「……何が言いたい」
「ウームー・ダブルートゥ。あなたは大仏という事になります」
 ギャラクシー千手大魔王観音。
 その威容は、まさにそう呼ぶに相応しき業と徳を孕む神仏そのものの姿であった。
「そう、今こそ大仏建立の詔で大仏を建てる時!」
「なに……?」
 カプラは進み出る。そして、その身体に宿す仏学的エネルギーを最大限にまで高め、ギャラクシー千手大魔王観音へと触れた。
「南無」
 カプラは静かに読経する。
「南無大宇宙輪廻流転 銀河阿弥陀仏大慈大悲……」
 ギャラクシー経文が厳かに響き渡った。かくして【大仏建立の詔】は成る。
「開眼供養の儀!」
 聖護院・カプラのユーベルコードである。それは大仏とその身を合一化する力だ。仏の御心を宿してしまい、大仏と化したギャラクシー千手大魔王観音・ウームー・サハスラブジャ・ダブルートゥはその力によってカプラと融合する。
「お、お」
「もう終わりにいたしましょう。喰らい続ける欲求とはすなわち終わりなき飢餓という苦役に他なりません……今こそ、解き放たれるときなのです」
 内的宇宙において精神体として魔王に対峙するカプラは、魔王へと救済を説く。
「……そうか」
 魔王ウームー・ダブルートゥは、静かに瞳を閉じる。
「これが……『満たされる』ということか」
「はい。……では、よき明日を」
 喰らい続けるその生は、餓鬼道にも似た空虚だったのであろう。
 カプラは静かに合掌し、その輪廻を願いもう一度ギャラクシー経文を読経した。
 かくして。
 ギャラクシー千手大魔王観音ウームー・サハスブラジャ・ダブルートゥは、滅びを迎える。
 それは光を抱いて逝く、ギャラクシー大往生であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年02月20日


挿絵イラスト