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闇の遊び

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 皆さま、聞いてください。私はダンピールの聖者×精霊術士、赤月・句穏です。たった今、ダークセイヴァー世界で事件が起きることがわかりました。

●ダークセイヴァーの世界
 この世界では、今も尚オブリビオン達の完全な支配下にあります。100年ほど前に蘇ったヴァンパイア達は、今もオブリビオンを呼び寄せ世界を破滅に導こうと活動しています。この世界の住人の移動手段は馬や馬車です。その為、通信手段は行商人や吟遊詩人の風聞程度となります。一般住民は農具を改良した武器程度しか持っていないでしょう。そして、人々は我々「猟兵」の存在を知りません。猟兵は、オブリビオンとの戦いによって、人々を圧政から救いっています。

●血塗られた町
 それは、とある町。薄暗く汚れ、血の匂いが漂い、死体が転がる町は、死の匂いに満ちている。
「いやだっ。いやだっっ。」
檻の中で男が暴れる。助けを求める声が町に響き渡るが、誰一人助けようとする者はいない。男の目の前には醜悪な闇の獣。狼としては大きく、熊のような牙を持ち、その身体は返り血で赤く染まっている。沢山の猛獣を食らわせ、ヴァンバイアの血を与えられた闇の眷属だ。
「やめてくれっ。頼むからっ。」
縋りつくように懇願する男は、やがて、獣のいる広場に蹴りだされた。塀は簡単には登れずコロシアムのような広場に逃げ場はない。それでも―。男は獣から必死に逃げ回った。
「あぁ、いつ来ても素敵な見世物ね。マダム。」
「ええ、また是非きたいわ。マダム。」
それはヴァンパイア達の娯楽、見世物である。
「ウフ。今度はもぉっと、素敵な催しを考えておくわねぇん。」
機嫌良さそうに、この悪趣味な催しの主催、ヴァンパイアが応えた。愉し気な笑い声の中、男の身体に獣の牙が食い込む。地を這うほどの悲鳴と絶叫が響き渡る。彼女達の愉悦に満ちた唇が笑みを刻む。
「そうそう、もっと。上手に鳴いてちょうだい。アラァもう終わり?次を―。お客様が飽きちゃうわよ。さっさと次を連れてきなさいっ。」
パンパンと主催が手を叩くと、次の檻が運ばれるのだった。

●願い
 とても、安全な依頼とはいえなかった。オブリビオンとの戦闘は避けられないだろう。戦地に赴こうとする猟兵達に句穏は祈る。
「この先に待つのは、ヴァンパイアが支配する、彼らの遊技場とされている町です。今はヴァンパイアは留守のようですが…暗闇の獣と呼ばれる魔獣との戦闘は避けられないでしょう。」
句穏の予知では魔獣は集団を成している可能性が高い。
「願わくば、魔獣を退けヴァンパイアの支配からこの町を救ってください。」
グリモア猟兵である句穏は助けたくとも自らの予知する場所に赴く事はできない。今は仲間を信じて此処で待つしかなかった。仲間を信じて句穏は頭を下げる。
「よろしくお願い致します。私は此処で、みな様の無事を祈っております。」


月灯
 初めまして、月灯です。4作目、ダークセイヴァーの世界となります。よろしくお願い致します。
●闇の遊び
 今回は、ヴァンパイアの遊戯が終わり、主催であるヴァンパイアの留守中に奇襲という形での集団戦となります。情報はOPに出ているものが全てですが、楽しんで行動して頂いても描写はがんばります。

 お預かりしたプレイングは大切に読ませて頂いております。皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『暗闇の獣』

POW   :    魔獣の一撃
単純で重い【血塗られた爪】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    暗闇の咆哮
【血に餓えた叫び】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    見えざる狩猟者
自身と自身の装備、【自身と接触している】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アリア・ソール
「さて……悲劇を見事に変えてみせよう」

颯爽と広場に現れて、己の台本を開く。
【リザレクト・オブリビオン】を発動しつつ、高らかに宣言。

「ヴァンパイアの娯楽のために悲しみが積み重ねられた舞台に集いし人々よ! 此度の舞台は悲しみだけでは終わらないことを余がここに宣言しよう! これより奇跡の一幕をお見せする!」

その掛け声と共に呼び出した死霊を壁にしつつ戦わせる。
まるで演劇舞台の上で台詞を高らかに叫ぶように指示をし、踊るように攻撃を回避する。
自身が傷ついては呼び出した死霊が消えてしまう。
なので、自分は戦局を見据えて舞台監督の如く戦場をコントロールする。

「暗闇の獣たちよ! 等しく余の舞台の礎となるがいい!」



 月灯かりが照らし出す。ぐるりと広場を覆う高い塀、その上にアリア・ソール(自ら演じる幻想台本・f00751)は立っていた。普通の人間では登れるはずもない場所で、金色の長い髪を一つに括り、女とも男ともつかない整った顏立ち。蒼い夜空を閉じ込めた様な深い瞳を称える彼女は、静かに夜の町を見下ろしている。血を吸った風が生温く頬を撫でた。
「ここが、件の町か。悪趣味だな。」
眼下に積み重なる、死体の山。その中を、己が家族の亡骸を求めて一心不乱に探しまわる姿が見える。最早、形も留めていない骸達。それでも家族の欠片を求め、血と腐臭の中、手を休めることもなく探し回る姿に、アリアは自らの本体でもある台本を開いた。
「さて……悲劇を見事に変えてみせよう。」
音もなくすすり泣く悲痛な叫びが少しでも安らぐものに変わるようにと―。

●開幕の声
 「ウグォォォォォン。」
異変があったのは、その直後だ。町が揺れる程の遠吠え。村人達がビクリッと身を震わせる。恐怖に慄き、頭を抱えて蹲る。『主』の留守中に腹でも空かせたのか、幾つもの『暗闇の獣』が暴れまわる。鉄格子越しに体当たりを繰り返す獣達。このまま町へ出れば、その腹の中に納まるのは1人、2人では済まないだろう。開かれた台本を手にアリアは高らかに宣言する。
「ヴァンパイアの娯楽のために悲しみが積み重ねられた舞台に集いし人々よ!」
アリアの毅然とした声が、夜の町に響き渡る。
「此度の舞台は悲しみだけでは終わらないことを余がここに宣言しよう!」
町全体に響くほどの声量。アリアの凛とした声は聞く人の心を惹きつける。
「これより奇跡の一幕をお見せする!」
アリアの口上に応じたように、死体の残骸等が集合していく。やがて【死霊騎士】と【死霊蛇竜】の形と成り『暗闇の獣』の前に立ち塞がった。塀の上からアリアは叫ぶ。それは舞台の上での歌劇の様だ。アリアの叫びに【死霊騎士】と【死霊蛇竜】は芝居ががった配役の様に剣を振るい、獣を狩り殺していく。【死霊騎士】が足元からバランスを崩す。透明となり姿をも消す獣が【騎士】の動きを封じようとする。好機とばかりに、複数の獣が騎士に群がった。
「彼の騎士はー不敗を誇る、強者也り。聞け、民衆の声を―。倒れることなく、戦場を駆け我が民に勝利を―。」
アリアの口上に一度はバランスを奪われた騎士は舞台上で踊るように剣を振るい獣たちを一気に薙ぎ払った。
(予が前にでては、呼び出したこやつらも消えてしまうからな。)
ここは舞台。台本と役者が支配する空間―。アリアは戦場を見渡し、次なる幕の準備を始める。
「暗闇の獣たちよ! 等しく余の舞台の礎となるがいい!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

加賀宮・識
「ああ、本当に虫酸が走る…」

彼らの支配する町なら入った瞬間に存在がバレてしまうだろう。
なるべく敵を一撃で減らせるだけ減らす。
供に戦う仲間達がいるなら注意を促し【ブレイズフレイム 】を放つ。

炎から逃れた獣には、 鉄塊剣で迎撃。

「一匹たりとも生かすものか」

(他のお仲間様との共闘、アレンジ大歓迎です)



●ヴァンパイアの血
 月を見上げ、加賀宮・識(焔術師・f10999)は目を細めた。この戦場に於いて、唯一の綺麗だと思えるもの。そして、目の前で牙を剥き、今にも町で人を喰らおうとする獣共に冷ややかな視線を投げる。
「ああ、本当に虫酸が走る…。」
この身に宿る半分が、ヴァンパイアの血だ。ダンピールである識は自らの血にすら悍ましいと感じる。識の漆黒の髪が闇に溶ける。紫水晶のような瞳が獣達を見据えた。此処は奴等オブリビオンが支配する町。既に、この町に我々猟兵が来ている事が知られているだろう。ならば、と識は思う。
「なるべく敵を一撃で減らせるだけ減らす。」
主が戻る前に、この獣を蹴散らさなければならない。識は自らの白い肌を惜しげもなく切り裂いた。溢れ出る赤い血は、流れる事もなく燃え出る。【ブレイズフレイム】、彼女が持つユーベルコードだ。暗闇の獣に向け【地獄の炎】を放つ。しかし―。すでに警戒していた暗闇の獣は炎に巻かれながらも、追撃に出た。鋭い爪が識の身体に食い込み、引き裂いた。赤い血は、しかしそのまま燃え上がる。返り血となって獣を地獄の炎で包んでいく。
(逃がさない。)
視界の隅に逃げる獣を捉えた識は、鉄塊剣を手に振り上げた。ぐしゃりっという鈍い音と共に、潰される獣。一匹、また一匹と確実に仕留める。何時しか、彼女の周りは獣の血で真っ赤に染まっていた。
「一匹たりとも生かすものか。」
自身に流れる呪われた血を、燃やし尽くすかの様に彼女は戦い続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アンリエット・シャルパンティエ
【WIZ】

「ふむ、人間とオブリビオンを闘技場で戦わせるか…」
特に悪い案ではないが一方的というのはいささか単純じゃな。
適度に死に体のオブリビオンを使うなりで人間に希望を持たせた方が
クライマックスも盛り上がろうというのに…

「まぁ良い、その辺りは当人に直訴するとしよう。」
…もっとも、次の機会など与えぬが。

眷属たる【白炎・群狼】を放ち、暗闇の獣に急襲

アンリエット本人は拷問具たる多目的棺桶「ニグレド」を手に
挟撃や不意打ちを警戒

攻撃された場合武器受けからの拷問具での捕縛、敵を盾にして前進



●白炎の殲姫
転がる死体と暗闇の獣、双方を見比べて銀髪のアンリエット・シャルパンティエ(白炎の殲姫・f07812)は微笑む。少女の様に小柄な彼女はヴァンパイアの家に生まれたダンピールだ。その思考は猟兵であってしかし、ヴァンパイアの其れに近い。
「ふむ、人間とオブリビオンを闘技場で戦わせるか…。」
面白くなさそうにアンリエットが暗闇の獣を見る。
「特に悪い案ではないが一方的というのはいささか単純じゃな。」
つまらないと、彼女は小さく可憐に溜息をついた。
「適度に死に体のオブリビオンを使うなりで人間に希望を持たせた方が
クライマックスも盛り上がろうというのに…。」
今回の首謀者、黒幕―。に、対する不満を口にする。
「まぁ良い、その辺りは当人に直訴するとしよう。」
次いで、アンリエッタが16体の炎を生み出す。白い炎は炎よりも遥かに熱い。其れは次々と狼の姿をとり群れとなる。
『さぁ眷属よ、存分に喰らい付け』
アンリエッタの『許可』が下りた。白い獣が暗闇の獣を喰らっていく。次々と獣を飲み込んでいく炎達。アンリエッタは【戦闘知識】を以て、的確に白い炎を操っていた―。が、暗闇の獣の牙がアンリエッタを強襲する。敵の姿はなかった。正確には見えなかったのだ。獣の牙による攻撃は2回、警戒していたアンリエッタだからこそ、1撃を避けきれずとも、2撃目は『ニグレド』を盾として避けきる。直ぐ様、彼女の愛用する棺桶『ニグレド』から拷問具を取り出すと一匹の獣を拘束した。呻き叫ぶ獣、【敵を盾にする】アンリエッタは、にっこりと冷たく微笑む。
「…もっとも、次の機会など与えぬが。」
今は留守のヴァンパイアに向けて―。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノワール・コルネイユ
加虐を善しとし、見世物にする
吸血鬼らしいと云えば、らしい話さ

所詮は図体ばかりが大きな知性もない獣だ
手早く蹴散らして飼い主の顔に泥を塗ってやろうじゃないか

集団戦になるなら視界外からの横槍に気を付けるとしよう
【第六感】を常に働かせ、背後や側面からの攻撃には警戒し
挟み撃ちや不意打ちを受けないように立ち回る

相対する敵は【見切り】で攻防の動きを見極め
攻撃の隙を探るとしよう

咎力封じを発動し、枷を放って攻撃
敵の動きを封じて周囲が攻撃する機会を作る
手足を封じつつ、猿轡で咆哮を封じるのも狙う
簡単には掴まらないのなら【2回攻撃】で追撃

血の味を覚え過ぎた化け物を生かしておく道理は無いからな
さっさと駆除させて貰うぞ



●黑衣の少女
 黒衣を身にまとい、4振りの銀の剣を従えてノワール・コルネイユ(Le Chasseur・f11323)は広間に降り立った。高くそびえ立つ塀は、奇しくも今暗闇の獣が町へ出るのを阻んでいた。最も、この中に放り出され殺された人々にとってこの塀は『絶望』でしかなかっただろう。
「加虐を善しとし、見世物にする。吸血鬼らしいと云えば、らしい話さ。」
血と、死臭と、腐臭と、太陽の加護も滅多に得られない。薄暗く澱んでしまった世界。ノワールは敵を前に剣を振るう。多勢に無勢、ノワールは【第六感】を以て周囲を警戒する。敵は一体ではない、挟み撃ちにでもされたら厄介だ。だが、とノワールは思う。
「所詮は図体ばかりが大きな知性もない獣だ。手早く蹴散らして飼い主の顔に泥を塗ってやろうじゃないか。」

●血に飢えた叫び
 ノワールの周囲よりさらに外、手負いの獣がいた。広間中に響き渡る遠吠えは【血に餓えた叫び】を放つ。その叫びは広範囲に及ぶ、ノワールも他の猟兵達もその攻撃範囲に居るだろう。彼女の【第六感】が悲鳴をあげた。叫びを上げる獣に向かいノワールは地を蹴り駆ける。他の獣達の牙を【見切り】、牙を剣戟で受け流す。狙い【追跡】するのは1匹の獣だ。【再び遠吠えを上げようとする獣へ、咎力封じを発動させる。枷を放ち、手足を封じる。そして、繰り出すのは【2回攻撃】。ノワールは猿轡で獣の咆哮を黙らせた。
「血の味を覚え過ぎた化け物を生かしておく道理は無いからな。さっさと駆除させて貰うぞ。」
広範囲における攻撃は、塀の外にも容易に届くだろう。ノワールの咎力封じの力は確実に相手の能力を封じていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウルフシャ・オーゲツ
 ……ものすごく、邪悪な気配がする。いや、確かに恐ろしい事件なんじゃが、そんなチャチなもんじゃないもっと恐ろしい何かを感じるんじゃ……。
 ボスとウチは戦ってはいけない気配を感じるが、その前哨戦ぐらいなら蹴散らしておいても損はあるまい。
「鬼の居ぬ間のなんとやらじゃな、さぁ、片付けさせて貰おうか!」
【ゴッドスピードライド】を利用して宇宙バイク『ステラドラグーン』で攻撃じゃな。世界観をおいてけぼりにしながら相手の叫びの合間を縫ってヒットアンドアウェイを狙っていこうかの。
「腹を空かせておるとしたら気持ちはわからんでもない。が、オブリビオン相手に容赦するつもりは毛頭ないでな。さぁ、海に帰ってもらうぞ」



●邪悪な気配
 戦闘の真っ只中で何やら考え込んでいる褐色美人がいた。
「……ものすごく、邪悪な気配がする。」
ウルフシャ・オーゲツ(ヤドリガミのフードファイター・f00046)は深刻な顏で戦場に降り立っている。
「いや、確かに恐ろしい事件なんじゃが、そんなチャチなもんじゃないもっと恐ろしい何かを感じるんじゃ……。」
本来は予知に忙しい彼女はグリモア猟兵だ。そんな彼女が態々、この世界に降り立ったのには予知ではなく、予感があったからだ。どうにも嫌な、邪悪な気配を感じていた。その背景に、因縁のあるオブリビオンが糸を引いてる気がしてならない。だが、ウルフシャにとって、今の最大の悩みは『餅』による『体重の増加』のようだった。
「…ボスとウチは戦ってはいけない気配を感じるが、その前哨戦ぐらいなら蹴散らしておいても損はあるまい。」
楽天的に捉えると、宇宙バイク『ステラドラグーン』に跨る。
「鬼の居ぬ間のなんとやらじゃな、さぁ、片付けさせて貰おうか!」
此処は宇宙ではないが、問題なくバイクは地を走る。2輪が高速回転した。広間を攪乱するように、走り回るウルフシャは、ユーベルコード【ゴッドスピードライド】を利用し、更に速度を上げる。この世界において、今まさに最速の乗り物といっても過言ではないだろう。世界観をおいてけぼりにしながら、ウルフシャは走り回る。暗闇の獣の咆哮が地面を揺らした。ウルフシャは、器用にバランスを取り『ステラドラグーン』を操る。獣の背をバイクで踏みつけては颯爽と戦域を離脱。ヒット&アウェイを繰り返す。
「腹を空かせておるとしたら気持ちはわからんでもない。が、オブリビオン相手に容赦するつもりは毛頭ないでな。さぁ、海に帰ってもらうぞ。」
どの種族にも空腹は敵である。オブリビオンであってもそれは同じ。但し、敵に掛ける情けなどない。さっさと倒して、帰って餅だと固く心に誓うウルフシャだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フロッシュ・フェローチェス
――反吐が出る。
まあなんだって良い……本命は後だ。
先ずはお前らを骸に変えてやるよ。

獣達を【早業】の銃撃や【先制攻撃】での勢いを殺し、【残像】で惑わし
【2回攻撃】での確実なトドメも合わせて、順調に葬って行こう。
【角砲ナーガ・ヴァイパー】で地形諸共崩し、更に重ねてやる。

【選択したUC】はSPD型……アタシもスピード型。
なら十中八九範囲攻撃が来るだろうね。
予兆を【見切り】、全霊の【ダッシュ】を活かした【逃げ足】を見せるよ。
その後は【カウンター】。再び【ダッシュ】で一旦加速し、
虚を突いて【選択したUC】で吹き飛ばしてやる。
そいつ自身も砲弾と化すなら……さぞかし爽快かもね。



●神速
 派手な戦闘音が響く。緑髪は闇の夜に於いて、とても鮮やかだ。フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)は轟音の響く戦場を視ていた。
「――反吐が出る。」
町は何処までも暗い、此れだけの騒音の中で町の人は外を伺うも震えるばかりで逃げようとも、立ち向かおうともしない。ヴァンパイアによる支配は文字通り『恐怖』によるもの。致し方ない事ともいえた。
「まあなんだって良い……本命は後だ。」
フロッシュを、数匹の暗闇の獣が囲んでいる。
「先ずはお前らを骸に変えてやるよ。」
牙を出し唸り声を上げる獣に向かい不敵に笑むフロッシュ。一斉に―。獣達がフロッシュに飛び掛かった。だが―それは【残像】、其処にフロッシュの姿はもういない。居るはずの獲物がいない。暗闇の獣が戸惑うようにフロッシュの姿を探す。
「遅い―。」
声は空から響いた。所作など視えよう筈もない。そこには結果があるだけ―、【早業】で空中から銃が抜かれ獣達へ向けての【先制攻撃】を繰り出される。次いで、銃口はそのまま獣を狙い【2回攻撃】繰り出す。それは、確実に暗闇の獣を仕留めていく為のものだ。―フロッシュを囲んだ獣が、一瞬で地に伏せた。

 その時だった、獣達の一匹が【血に餓えた叫び】を放つ。暗闇の獣が咆哮を上げる。広範囲に及ぶ攻撃だ。フロッシュはその攻撃範囲を【見切り】、直ぐ様離脱する。【ダッシュ】と呼ぶにはその動作は余りにも簡略されすぎて目視できなかったのだが、見事な【逃げ足】で獣の攻撃範囲から逃れる。だが、フロッシュは逃げた訳ではない。正確には『避けた』のだ。再び【ダッシュ】からのカウンター攻撃。バタバタと倒れていく暗闇の獣達。
『機械ブーツ可変完了。目視なんてさせると思う?――飛べ』
彼女のユーベルコード、『トリニダード・スコーピオン』。咆哮を上げていた獣に接敵、虚を突いた蹴撃。獣の身体が弧に曲がると同時に飛んだ。其れは弾丸となって、他の獣を巻き添えに吹っ飛ぶ。
「‥‥これは爽快かもね。」
逃がさないと言う様に再びフロッシュは戦場を駆けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファラン・ウルフブラッド
闇の獣か。ならばそれを狩るのは我がウルフブラッド王家としての使命である。(折り畳まれた『黒剣:のこぎり鉈』を展開し)

『汝、血を恐れよ。 汝、火を畏れよ。 ……往くぞ、ウルフブラッドの狩りを知るがいい』

【行動:POW】
ソード・オブ・インフェルノを発動後『技能:怪力・フェイント・二回攻撃・衝撃波・鎧無視攻撃』を駆使して高速戦闘をします。
防御時は『技能:見切り・第六感・残像』を使用します。
傷を負ったら『技能:生命力吸収』で獣から生命力を強奪し、継続戦闘能力を伸ばします。

大立ち回りをしている最中も『技能:存在感・誘惑』を発動させ、町に住む人々に少しでも希望を持って貰えたらいいな。



 ガシャン。ガシャン。ミシッ。度重なる暗闇の獣による複数回の咆哮、広範囲における大きな衝撃に晒されていたのは猟兵達ばかりではない。地鳴りと共に広間を囲う塀が軋み悲鳴を上げる。轟音―。土煙と共に鉄の格子がぐらりと、倒れた。そして―。一瞬の隙、その時を待ち望んだかの様に、『獣』は町へ飛び出した。飢えた獣は町の人を狙う。―悲鳴、だがそれ以上の叫び声はない。息をのむ町の人達。彼はそこに居た。

●王の誇り
 銀の髪に、透けるような白い肌。赤い瞳、ゆっくりと夜の町を歩くファラン・ウルフブラッド(深淵を歩く剣王・f03735)は獣を前に、その【存在感】だけで周囲を釘付けにしていた。敵を見据える瞳は燃える炎を思わせる。
「闇の獣か。ならばそれを狩るのは我がウルフブラッド王家としての使命である。」ファランは、その手に折りたたまれたのこぎり鉈を展開し、葬られるべき闇の獣に向ける。闇の獣を狩ることに特化した其れは大鉈とノコギリの二種類の刃持つ彼の武器だ。
『汝、血を恐れよ。 汝、火を畏れよ。』
グルグルと唸る、獣をファランは冷ややかに見降ろした。
『……往くぞ、ウルフブラッドの狩りを知るがいい。』
先に動いたのは暗闇の獣であった。【血塗られた爪】がファランを襲う。ひらりと攻撃を躱し、ファランは大立ち回る。あまりに身軽に獣達を翻弄する動きは町の人の目を引いた。ファランは、自らを虐げた『恐怖』の塊を手玉に取り斬り伏せていく。その姿に、その雄姿に、【誘惑】されるように町の人はその戦場を食い入るように見つめていた。

 ファランの国、国民は今は此処の世界にはない。それでも―。ヴァンパイアの支配から解放し、町の人に希望を与えたい。それはファランの願い。この世界で、かつて国王であった彼の王としての誇り。派手に、踏み潰すように、獣を狩っていく。圧倒的な力の差を前に、町の人の『恐怖』を『希望』に変えるために―。
『我が身に宿りし地獄の焔よ、集え。 全てを焼き尽くす暴力の炎となりて、我が手に現れよ!』
ファランのユーベルコードが発現する。地獄の炎が燃え上がり、やがて、『地獄を焼き尽くす断罪の大剣』が現れた。大振りな剣を難なく振るう。彼の【怪力】がそれを可能にし、次いで【フェイント】を仕掛ける。複数の獣を前に一匹ずつ【二回攻撃】を繰り出し確実に息の根を止めた。瞬く間に、獣が倒されていく。だが、一匹が距離を取り民家を襲おうと標的を変えた。
「そちらではない。」
ファランは剣を振るう。間合いからは遠く離れた距離だ。だが、その剣戟は【衝撃派】となり、獣を届き真っ二つに切り裂いた。
「これが、最後だな。」
暗闇の獣の気配はもうない。彼が倒したものが本当に最後の一匹だったのだろう。
彼の戦いは、確かに町の人に希望を与えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『変態的破滅招来体』ランジーリ』

POW   :    本当の自分と向き合って!
【欲望】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【対象の分身】から、高命中力の【本音】を飛ばす。
SPD   :    あなたの気持ち、わかるわ!
【まるで相手の心をわかっているかのように】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    あなたの欲望を教えて?
質問と共に【視線を向けてウィンク】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ウルフシャ・オーゲツです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ヴァンパイアの帰還
 暗雲が町を覆っていた。月ですら熱い雲に遮られる。
「あらぁ?あらぁぁん?…お客様かしらぁん?」
漆黒の長い髪に、狂気を孕んだ血色の瞳。上質な黒いドレスに身を包み微笑むのはヴァンパイア。其の場に現れただけで空気が張り詰めるのが分かる。
(格上―。)
猟兵の誰もがそう思っただろう。先程の獣共とは格が違う。
「これは、これは。あたしの留守中に猟犬のみなさぁーん。」
新しい玩具を目にした様にニタリとする。
「あたしの名前はランジーリ様。ランジーリちゃんて呼んでもいいのよぉん?」
ぐしゃりっと暗闇の獣だった骸を踏み抜く。ツインテ―ルに愛らしく結ばれた髪、しかし、ランジーリの肉体は女性と呼ぶには鍛えるという限度を超えていた。
「かわぃぃ、あたしのペットをこぉーんなにしてくれて、御持て成し差し上げなくちゃぁね。うふぅん♪」
ランジーリは無造作に民家の壁に手を突き入れる。壁を貫通する腕は家の中にいた『人間』の頭を掴み、乱暴に引き摺り出した。
「う・・・うわぁぁぁぁあぁぁぁ。」
引き出されたのは男。壁を破壊された家族が、腰を抜かし恐怖に動けないでいた。頭部をランジーリに掴まれ足をバタつかせ暴れる、男は、やがて―動かくなった。真っ赤に染まるランジーリの服。男の首を引きちぎり首から流れる血をごくりごくりと喉を鳴らして飲んでいる。」
「急いでもどったからぁん。喉乾いちゃったのよぉん。」
うふっ。と、愛らしく装うとご馳走様と首を投げ捨てた。上機嫌にそう言ったランジーリは町の人間に視線を投げる。
「こいつらを始末した後は一から、あたしの可愛い獣を育てなおすからぁ。あんた達もよろしくねぇん。」
町の空気が凍り付いた。暗闇の獣の餌は『人間』だった。それは町の人間なら誰でも知っていた事。歪つな狂気―。この町を支配するヴァンパイアの帰還だ。
「さて、おまたせぇ。猟犬のみなさまぁーん。このランジーリ様がお相手するわよぉん。」
フロッシュ・フェローチェス
じゃあ待たせたついでに死ね。
【ダッシュ】で接近後【先制攻撃】だ。可能性諸共にぶち抜く、特異な鉛玉を至近距離から叩き込んでやる。
喋るな、二重の意味で気色悪いんだよオマエ。

見た目通りのパワー型とみるべきだけど、なら力業で真っ直ぐに突貫してくるのには注意だ。
来たらイノシシと同じ――【残像】を貫かせて、横から【カウンター】で蹴りでも銃でも入れてやる。

アタシの心が分かるって顔してるね?
じゃあ何で己の首を掻っ捌かない?魂魄も残さず消えて欲しいのに。
ああ、この会話も態とだよ。
間隙を【見切り】、タイミングをずらす為に【フェイント】で虚を作ろう。
そこから突貫して【選択したUC】を【早業】でぶち込んであげるから。



●疾咬の神速者
先陣をきったのは、フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)だった。
「じゃあ待たせたついでに死ね。」
言葉を発すると同時にフロッシュは地を駆け【ダッシュ】による【接敵】。―神速。それを追求するがゆえに、成せる【先制攻撃】である。フロッシュの連散弾銃型のガジェットからの一斉射撃。確実に、ランジーリの身体に風穴が空いたように見えた。だが、圧倒的な体躯のオブリビオン、ランジーリは黒いツインテールを指に絡めながらモジモジとフロッシュを見つめている。その身体にダメージは見受けられない。まるで、フロッシュの心を知っていたかのように、その攻撃を予想し、回避したのだ。
「あらぁん。ランジーリ恥ずかしいー。そんなに、殺意で見られたら興奮しちゃうわぁん。」
余裕たっぷりに、ひらりと躱したランジーリ。フロッシュの神速に反応している。
「喋るな、二重の意味で気色悪いんだよオマエ。」
彼女の翡翠の龍眼がぎょろりとランジーリを睨んだようにみえた。

 ずっしりと筋肉の塊のようなランジーリに、フロッシュはパワー型だとみていた。注意すべきは力業での真っ直ぐな突貫だ。イノシシのように真っ直ぐに突っ込んできたときが狙い目、フロッシュの予想は半分合っていた。だが、半分は違った。筋肉の塊なわりに、反応速度が悪くない。奇しくも、フロッシュの【先制攻撃】を避ける程にその動きは機敏である。
「うふふ。攻撃してこないのかしらぁん?もう終わり?あたし寂しぃわ。」
敵の攻撃を誘うようにフロッシュはじっと耐える。
「でわ、あたしからいくわねぇん。」
巨体が動く。成程、その体躯では考えられない程に身軽だ。だが、その速さにおいてフロッシュの右に出るものは多くはない。彼女には全部みえていた。振り降ろされる拳―。その動きを【見切り】避けた。ランジーリは相手を捉えたかと錯覚し、フロッシュの【残像】を貫く。フロッシュの【フェイント】にランジーリはその動きを見失う。―次いで、フロッシュの横からの【カウンター】攻撃、神速を誇るフロッシュの【早業】だ。
『機械ブーツ可変完了。目視なんてさせると思う?――飛べ』
ユーベルコード『トリニダード・スコーピオン』、ランジーリの体躯がフロッシュの蹴撃により吹っ飛ばされる。―肉団子の様に無様に広場の壁へと勢いよく飛んだ。崩れ落ちる壁が砂煙をあげる。次いで、【ダッシュ】による接敵からの射撃がランジーリを捉える。フロッシュの口元が不敵に笑んだ。
「アタシの心が分かるって顔してるね?じゃあ何で己の首を掻っ捌かない?魂魄も残さず消えて欲しいのに。」
特異な鉛玉を至近距離から叩き込みながら、フロッシュは思う。
「ああ、この会話も態とだよ。」

大成功 🔵​🔵​🔵​

アンリエット・シャルパンティエ
【WIZ】
「くはは、此処の領主は脳筋なる類の輩じゃったか。」
成程成程、これでは単純と断じた催しも当然かと一人納得

「斯様な有り様では趣向を凝らすなど詮無き事よ、己の外身と中身の
乖離にも思い至らぬ力押し一辺倒ではな。」

12はあったこの地の問題点もあれが相手では言うだけ無駄じゃろう

「妾は猟犬、アンリエット・シャルパンティエ。
【全て】においてお主の対極に位置する者じゃ。」

「ランジーリ『ちゃん』よ、我ら猟犬に嗅ぎつかれたからには
お主の稚拙な催しも今宵限り。
今生の終わりに真に優美たる吸血鬼の眷属の在り方をその身を以て
知るが良い。」

妾の愛しき眷属は地獄炎の狼、
引き裂かれた程度で死ぬような畜生とは一味違うぞ?



●白炎の殲姫
 広間の塀の一角を見事に破壊した―実際には吹っ飛ばされて無様に壁に突っ込んだ―オブリビオン、ランジーリにアンリエット・シャルパンティエ(白炎の殲姫・f07812)は笑いを堪えられずにいた。
「くはは、此処の領主は脳筋なる類の輩じゃったか。」
成程成程、これでは単純と断じた催しも当然かと一人納得するアンリエット。崩れた塀を見下ろすようにランジーリが埋まってるであろう瓦礫の上に立つ。
「斯様な有り様では趣向を凝らすなど詮無き事よ、己の外身と中身の乖離にも思い至らぬ力押し一辺倒ではな。」
ひよっこを宥めるように、嘲るようにアンリエットは足元のランジーリに話しかける。否、独り言に過ぎないのかもしれない。
「なんですってぇぇぇぇ。」
アンリエットの足元からどすの効いた声が響いた。同時に盛り上がる瓦礫、アンリエットは難なく飛び退く。
「黙って聞いていれば失礼しちゃうわぁん。なにかしら、あたしの催しはまだまだエスカレェートするんだからぁん。」
自分の考えた最高の催しを非難されてお冠である。
「…12はあったこの地の問題点もあれが相手では言うだけ無駄じゃろう。」
やれやれとアンリエットは目の前のヴァンパイアを残念そうにみた。
「妾は猟犬、アンリエット・シャルパンティエ。【全て】においてお主の対極に位置する者じゃ。」
優雅に一礼するアンリエット。【礼儀作法】を知る彼女の、その所作は無駄がなく美しい。まさに、【全て】において対極である。
「ランジーリ『ちゃん』よ、我ら猟犬に嗅ぎつかれたからには、お主の稚拙な催しも今宵限り。」
整ったアンリエットの顏が、微笑む。
「今生の終わりに真に優美たる吸血鬼の眷属の在り方をその身を以て知るが良い。」
それは猟兵であり、半分はヴァンパイアの血を持つアンリエッタの有情だろうか。
「うふ。では、ランジーリちゃんが聞いてあげるわぁん。」
バチン。と愛らしくウインクするランジーリに、機嫌悪そうに眉をしかめるアンリエッタ。
「そぉねぇん。あなたのスリーサイズはいくつかしらぁん。上からどうぞぉー?」
ランジーリの攻撃だ。分かっているがアンリエットは答えるつもりは毛頭なかった。
「愚物め。」
最早、セクハラである。しかし、答えられなかったのは痛い。そのダメージは大きくアンリエットの身体を襲った。
「―っ。妾の愛しき眷属は地獄炎の狼、引き裂かれた程度で死ぬような畜生とは一味違うぞ?」
僅かに痛みに歪む顔で気丈に、アンリエットは振る舞う。彼女の傍らには白い地獄炎の獣が16体―。一斉に、ランジーリに飛び掛かった。
『さぁ眷属よ、存分に喰らい付け』
白い炎が闇を駆ける。牙をむきランジーリの身体を咬み切り裂く。裂傷―。ランジーリに確実なダメージを与えていく。
「いやぁぁぁん。お洋服が破れちゃうじゃないぃ!」
ランジーリが走って逃げだした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファラン・ウルフブラッド
なるほど、獣の飼い主は珍獣であったか。 己のペットですら躾出来ぬようでは器の程度が知れるな。

【行動:POW】
欲望の内容は『王家再興』。貴族や王族の腐敗により滅んだ国を再建し、民に愛され、民を愛す王国を創る。という強い願望。

「かつての我はそれをして失敗したではないか。一人で何もかも変えようと足掻き、結果家臣どもに封じられた。また同じ事を繰り返すつもりか?たわけが」

「今の我はもう昔のように一人ではない。力を、知恵を貸してくれる友が居るのだ。それに……我にも大切な者が出来たのでな。夢半ばで終わらせる訳にはいかぬのだよ!」

分身ごとランジーリを叩っ斬ります。
戦闘技能は第一章同様、状況に応じて使用します。



 逃げ出したランジーリに、銀髪の剣王が立ち塞がった。
「なるほど、獣の飼い主は珍獣であったか。己のペットですら躾出来ぬようでは器の程度が知れるな。」
ファラン・ウルフブラッド(深淵を歩く剣王・f03735)が、敵に向かって剣を向ける。
「あらぁ。いい男じゃないのぉん。」
ランジーリはファランに興味を持ったように、にんまり顏で微笑んだ。勿論、ファランには、迷惑な話だろう。
『我が身に宿りし地獄の焔よ、集え。全てを焼き尽くす暴力の炎となりて、我が手に現れよ!』
ファランの持つ剣が【地獄を焼き尽くす断罪の大剣】に変化する。ソード・オブ・インフェルノの発動―。【力溜め】たその剣はより殺傷力を増していく。
「いくぞ。」
剣を手に、ランジーリを斬り伏せる。しかし、その剣は弾かれた。ランジーリの笑みが更に深みを増す。
「貴方の欲望、みせてもらうわねぇん。」

●本当の自分
 目の前に居るのは誰だ。ファランは混乱する。銀の髪、王としての自分。
『王家を再興したくはないか。腐敗した貴族、王族、我を封印した者達を粛清し、我が国を取り戻すのだ。』
心の奥底に残るしこり。ファランは動揺する。
『守るべき国、愛すべき民。王として国もなく王として守る民もいない。欲しい―。そうであろう?今一度、民の愛する王国をー。』
「黙れ!」
町に響き渡る怒声。
「かつての我はそれをして失敗したではないか。一人で何もかも変えようと足掻き、結果家臣どもに封じられた。また同じ事を繰り返すつもりか?たわけが。」
剣を握りなおす。
「今の我はもう昔のように一人ではない。力を、知恵を貸してくれる友が居るのだ。それに……我にも大切な者が出来たのでな。夢半ばで終わらせる訳にはいかぬのだよ!」
王として、民に愛される国を作り守る。それは、ファランの『欲望』。しかし、王でしかなかったあの頃と今は違う。ファランは『王』であり、『猟兵』だ。振り上げる剣は自身の分身へ、背後にいるオブリビオンへ向けられる。その一撃は分身である自分を切り裂いた。飛び退くランジーリに向かい【2回攻撃】を繰り出す。
「きぃぃぃぃっ!痛いじゃないのぉ。あらぁ、でも。これってご褒美?」
いやいやをする様に黒いツインテールをブンブン振りながらランジーリは再び逃げ出すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

有栖川・夏介
※アドリブ歓迎

出遅れましたが、加勢いたします。
……あれが今回の敵、ですか。
見た目のわりに、油断ならない相手のようですね。
【覚悟】をきめて剣を構える。

【第六感】【見切り】で敵の攻撃を回避し、【カウンター】で反撃。
【怪力】による重い一撃を与えます。

敵の攻撃が厄介なので、【咎力封じ】で敵の技を封じられないか試してみます。
全て当たらずとも、せめて猿轡だけでも命中できれば、…彼女?の耳障りな声を聞かずにすむでしょうし。
「……わめくな罪人」



●処刑人
 薄緑の髪、透き通るような白い肌をした青年。有栖川・夏介(寡黙な青年アリス・f06470)がランジーリの足に絡みつくように【拘束ロープ】を放つ。先ずは、足を封じる。次いで【手枷】。
「なっ・・。何してくれちゃってるのよぉん!?…あら、こちらもいい男ぉ!」
自分を拘束した相手をみて、なぜか嬉しそうなランジーリ。
「出遅れましたが、加勢いたします。……あれが今回の敵、ですか。見た目のわりに、油断ならない相手のようですね。」
夏介がランジーリを観察する。
「いい男だわぁん。きゃー。もっと、もっと観てぇん。」
夏介の視線に、くねくねポージングをはじめるランジーリは、自分の欲望を垂れ流し続けた。不愉快な『騒音』に、次いで夏介は【猿轡】を放つ。―しかし、そこにランジーリの姿はない。
「うふぅん。いい男は大歓迎なのよぉん。でも、そうねー貴方の心よませていただいたわぁん。足かせ手枷!次はお口チャックよねぇん!私って完璧。」
どや顏のオブリビオンが咎力封じを見切ったように躱していた。
「……わめくな罪人。」
だがしかし、直ぐにランジーリの口まわりをロープが生き物のように動きぐるぐると封じていく。彼の【第六感】がランジーリの回避行動を【見切り】、再度拘束できるように【カウンター】を仕掛けておいたのだ。彼は、処刑人だ。罪人をそう安々と逃がす道理など存在しない。【怪力】による重い一撃―。急所に至る場所を的確に狙うも、その筋肉に阻まれ、夏介はランジーリから距離をとる。―彼の【第六感】がそうさせた。ぶちぶちと拘束を引きちぎり再び走るランジーリ。
「こちらからいくわよぉん?で・も?その前にー。」
消耗した体力を回復させるべくヴァンパイアは『命』を求めていた。夏介の前で、それは行われた。摘み取られたのは命。町の人間を家から引きずり出し喰らう。
「うふふぅ。完全回復よぉー!」

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アリア・ソール
「ほう……貴公がこの舞台の作者か」

死霊たちを構えさせて、敵を見据える
強烈なインパクトがあるが、それはきっと個性であるのでスルー

「残念ながら貴公の舞台は失敗作だな。己と知り合いの自己満足でしか機能していないではないか」
「舞台とはより多くの者に共感を与え、感動をもたらすものである」
「ゆえに、この舞台の幕を余が直々に引いてやろう!」

死霊たちに戦わせ、己は指示に徹する
欲望について聞かれたとき
「余の欲望はこの舞台の幕を下ろすことである!」
とはっきりと答える
「そして、余はこの街に…人に感動をもたらさん!」

死霊たちが幾度倒れようとも、この敵を必ず倒すことを考える



●欲望の答え
 「ほう……貴公がこの舞台の作者か。」
アリア・ソール(自ら演じる幻想台本・f00751)が声をかけた。
「あら、綺麗な子ね。」
口元を真っ赤に濡らしたランジーリはアリアを見るなり見下す。
「他人の舞台で、勝手に引っ掻き回す無礼な猟犬ね。」
ぎょろりとしたランジーリの瞳は苛立ちに染まっていた。アリアは、死霊たちを構えさせて、敵を見据える。黒く長い悪趣味なツインテール。筋肉もりもりでぴちぴちに着たドレス。強烈なインパクトがあるが、それはきっと個性であるので、とアリアは取り敢えず、スルーする事にした。
「残念ながら貴公の舞台は失敗作だな。己と知り合いの自己満足でしか機能していないではないか。」
アリアは語る。しかし、ランジーリも黙ってはいなかった。
「あたしの舞台よぉ?あたしが楽しめなくてどうするのぉ?あたしとあたしのお客様が楽しめればいいのよぉぉ。」
ヴァンパイアが楽しめれば構わない、そもそもがオブリビオンと価値観を共有するのが難しい話なのである。
「舞台とはより多くの者に共感を与え、感動をもたらすものである。」
これ以上は話しても無駄とアリアは叫ぶ。
「ゆえに、この舞台の幕を余が直々に引いてやろう!」
アリアの指示で死霊たちがランジーリに襲いかかる。アリアの化身、台本を手に謳うのは英雄の物語、悪を断じそして民に希望をもたらす―アリアの口上に死霊は従い攻撃する。2体の死霊は左右に連携を取りランジーリを確実に追い詰めていく。【2回攻撃】をそれぞれ繰り出す死霊たちにランジーリは後退を余儀なくされていた。
「なかなかやるのねぇん。」
ばちん。とウインクをアリアに飛ばす。
「うふぅん。ランジーリちゃんが質問しちゃうわぁん。貴方の欲望を暴いてさしあげてよぉん。今1ばーーーーんっ。好きな人にしたい事ってなぁにぃ?」
欲望への質問。答えられなければ相応のダメージを負うことになるだろう。それは―アリアのユーベルコードであるリザレクト・オブリビオンの解除を意味する。
「余の欲望はこの舞台の幕を下ろすことである!」
凛とした声。高くも低くもなく町へと響く。欲望に対する返答はシンプルであった。それはアリアにとっての正解で、屈する事なくゆるがない想い。
「そして、余はこの街に…人に感動をもたらさん!」
同時に身体を襲う激痛―。痛みにアリアは目を細める。ゆらりと消える死霊たち。
「死霊たちが幾度倒れようとも。」
キッとオブリビオンを睨みアリアはより大きく澄んだその声で再び舞台に死霊を作り上げる。先ずはこの敵を倒さなければ―。

成功 🔵​🔵​🔴​

九条・文織
・心情
とりあえず間に合ったみたいで良かった。
ええと、ランジーリちゃん、だっけ?
中々濃いのが出てきたね。句穏が傍に居なくてよかったよ。
こんなのを句穏に見せたら目の毒だからねえ。

【POW判定】
「ランジーリちゃん、初めましてだね。二度は会いと思わないけれど。」
優雅に一礼し、上半身を起こすと刀に手をかけて抜き放ち、【二回攻撃】で【残像】を残しながら距離を詰め【剣刃一閃】を使用する。
「臨む兵、闘う者、皆 陣列べて前を行く。『句切』よ、斬り裂け。」

「その口調もこの悪趣味な催しも、他人に見せるための演技なのかな?まぁ、素でも演技でも下品な事にかわりは無いんだけどさ。だから早く消えてくれないだろうか。」


加賀宮・識
封印されていた記憶が甦る。忘れてしまいたい、光景を、目の前の敵は鮮明に思い出させてくれた。

どんな事でも答えてやるよ、隠すことなんて何もない。

接近戦は避ける。
あの怪力に一度捕まったら危ない。慎重に様子を見ながら【巫覡載霊の舞】を放つ。

見切られ反撃を受けそうになったら【なぎ払い】なるべく攻撃を受け流す。

あの光景以上に恐いモノなど何もない。お前達の存在を滅する為なら何も恐れるモノはない。



●焔術師
 無残に『食事』に消費された人間の骸が転がっている。目の前でおこなわれる一方的な搾取。君臨するヴァンパイア。加賀宮・識(焔術師・f10999)の瞳にその光景が焼き付き、封印したはずの『記憶』に重なる―。ランジーリの嗤い声が耳鳴りのように脳を揺らした。忘れたはずの光景、記憶。忌まわしい過去がフラッシュバックの様に蘇る。
「あらぁん?真打登場かしらぁー?」
ランジーリの首がぐるりと180度回ると、識の姿を捉えた。
「残念、小娘じゃない。うふぅん、遊んで欲しいのかしらぁん?」
血の様な狂気の瞳が爛々と輝く。あの怪力に捕まったら危ないと、識は相手と距離をとり慎重に様子をみる。
「あの光景以上に恐いモノなど何もない。お前達の存在を滅する為なら何も恐れるモノはない。」
漆黒の髪を艶やかに揺らし、識は相手を見据えた。
「半分は、あたしの仲間の血を持ってるのにぃ?猟犬なのねぇ?」
愉し気ににたりと微笑むランジーリが町の人間をまた引きずり出す。
「ほら、美味しそうよ?飲みたくないのぉん?」
恐怖に震える町の人―。
「…飲みたいとは思わない!どんな事でも答えてやるよ、隠すことなんて何もない。」
ランジーリの質問はそのまま攻撃となる。他の猟兵達の戦闘でそれは明らかだった。
「あらぁ、仕方ないから・・あたしがいただくわぁん。」
持ち上げられる人間、そのままランジーリが『食事』を始めようとした。頭を鷲掴みにするとそのまま捻ろうとする。
「いっ。いやだぁぁ、助けてくれぇぇ。」
識が戦闘態勢に入った。手に持つのは薙刀。ランジーリとの距離は遠い―だが、一閃と共にそれは空を駆ける衝撃波となってランジーリを牽制する。咄嗟に避けようと飛び退くランジーリは『食事』を投げ捨てた。識は、投げ飛ばされた人を庇おうと駆けける。

●界渡りの旅行者
 「大丈夫だ!」
投げ捨てられた人を受け止める影。識はすぐに、その影が仲間であると悟る。
「とりあえず間に合ったみたいで良かった。」
九条・文織(界渡りの旅行者・f05180)が町の人を【怪力】で受け止めていた。
「ええと、ランジーリちゃん、だっけ?」
そのまま、町の人を安全な場所へ降ろす。
「中々濃いのが出てきたね。句穏が傍に居なくてよかったよ。…こんなのを句穏に見せたら目の毒だからねえ。」
手に掛けるのは腰に下げた刀―銘を句切。その鍔に指をかけ文織は識と並び立つ。そして、敵を見据えた。
「ランジーリちゃん、初めましてだね。二度は会いと思わないけれど。」
優雅に一礼してみせる文織はランジーリに微笑みかける。―そして、刀を抜いた。瞬間的に接敵する文織。【残像】がみえた。次いで【2回攻撃】―、ごとりと何かが落ちる音がした。ランジーリの腕が地面に落ちる。
「その口調もこの悪趣味な催しも、他人に見せるための演技なのかな?まぁ、素でも演技でも下品な事にかわりは無いんだけどさ。だから早く消えてくれないだろうか。」
文織が怒りに目を細める。すると、ランジーリを庇うように現れたのは銀髪のオッドアイ、文織のよく知る姿。自身を模した者だった。
「悪趣味だね、すまないが、自分に似た姿を見るのは慣れているんだ。」
動揺すらなく嫌悪の感情を露わに刀を向ける。
「悪趣味だね、自分の事しか考えていない。本当はこの町の人間など動でもいいのだろう?ほら、自分に素直に全て踏みにじり望むものを手に抱けばいい―。」
煩わしいというように、文織は『自身』を一刀に切り捨てた。
「黙れ、そんなことを私の句穏が望むとでも?…いい加減こんな茶番は御免願いたいね。」
文織が吐き捨てると、同意の声が続いた。

●終焉―
 「…全くだ。」
識の身体がゆらりと霞む。否、彼女の身体が【神霊体】に変身したのだ。ユーベルコード、【巫覡載霊の舞】を発現させる。黒い装束が闇に溶ける様に美しく、その肢運びは舞を思わせるほどに軽やかだ。彼女が手にした薙刀が振るわれる。それは―遠距離であって、ランジーリの身体を的確に捉える【衝撃波】となり邪悪を【なぎ払い】―。次いで【二回攻撃】、ランジーリの身体を切り刻む。
「っく。ひどいわぁん。」
劣勢と見るや、逃走を試みるランジーリ。しかし、簡単には逃げれなかった。
「臨む兵、闘う者、皆 陣列べて前を行く。『句切』よ、斬り裂け。」
文織のユーベルコード、【剣刃一閃】―その動きを封じるべく、ランジーリの足を斬り伏せる。
「逃がすつもりはない、終わりだ。」
文織の口元が嘲るように笑みを作る。ランジーリの目が見開かれた。文織の背後、その死角から【神霊体】である識の薙刀が突き刺さした。―確実な致命傷。ランジーリの身体が砂塵のように崩れて始める。
「あたしが、あたしがぁーこれで終わりだなんて思わない事ねぇぇん。」
崩れ落ちるランジーリは笑い狂い―そして、終わりを告げのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『慈悲なき世界に安らぎを』

POW   :    死者を運び、埋葬する。屍肉を狙う獣を追い払う。

SPD   :    棺や墓石の製作。埋葬中の警戒。屍肉を狙う獣を追い払う。

WIZ   :    司祭として死者に祈りを捧げる。屍肉を狙う。獣を追い払う

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●弔いの鐘 
 激しい戦闘の末、町を支配していたランジーリを退けた猟兵達。しかし、ヴァンパイアの遊戯場跡には多数の遺体が転がり、今も打ち捨てられている。―ヴァンパイアの脅威が去ったものの、その長い支配に町の人は遺体を弔おうと動くこともできないようだった。このまま捨て置けば『屍肉』を求めて野獣が集まる可能性もあるだろう。

 ヴァンパイアの支配が終わった事を今も尚、その恐怖からか町の住人は戸惑いで動けないままでいます。犠牲者を弔い、その魂をあるべき場所へ還してあげてください。そして残された人々が少しでも早く立ち直れるように手を貸してあげてください。
有栖川・夏介
※アドリブ歓迎

衛生上よくないですし、死者をこのままにしておくわけにはいかないでしょう。
私でよければ、手伝いましょう。
……なに、遺体の処理は慣れていますよ。
埋葬場所ですが、ここではないところがよいでしょうから、まずは運びださないとですね。
遺体を抱えて遊技場から連れ出します。
生存者の中で動けそうな方がいるなら、手伝っていただきたいところですが……。まあ、無理は言いません。
遺体なんて見慣れていないほうがいいでしょうし。

屍肉を狙う獣が現れたら、【ジャッジメント・クルセイド】で攻撃しつつ威嚇。
【恐怖を与え】て屍肉を狙う気など起きないようにさせます。
「……退け」



●夜明け―
 騒然とした町で、人々はまだ己が置かれた状況を理解できないでいた。此処にいる者達は猟兵の存在を知らないのだ。
「衛生上よくないですし、死者をこのままにしておくわけにはいかないでしょう。」
町の人々に声を掛けるのは有栖川・夏介(寡黙な青年アリス・f06470)だ。夜は明け、町は酷い有様だった。
「埋葬場所ですが、ここではないところがよいでしょうから、まずは運びださないとですね。」
手際よく夏介は、転がる遺体を持ち上げた。
「私でよければ、手伝いましょう。」
その行動に一人の男が慌てた。
「見ず知らずの方にお手伝い頂くのは…。」
戦闘の一部始終を見ていた男は夏介を気遣うように、彼が運ぼうとした遺体を自ら受け取る。
「……なに、遺体の処理は慣れていますよ。」
代々処刑を生業とする家系に生まれた夏介にとって、遺体の「処理」は日常的な作業に過ぎない。それでも、彼の言葉には【優しさ】があった。だが、転がる遺体の数は、驚く程に多い。
「生存者の中で動けそうな方がいるなら、手伝っていただきたいところですが……。まあ、無理は言いません。遺体なんて見慣れていないほうがいいでしょうし。」
夏介は無理に町の人に手伝わせるつもりはなかった。遺体の殆どは無残な姿で、それが親しい者であった場合、トラウマになる可能性は非常に高い。しかし、町の男は夏介の言葉を遮るように首を振り。そして、周りに声をかけはじめた。
「みんな!手伝ってくれないかっ。」
男の呼びかけに恐る恐る人々が広間に集まる。そこは彼らにとって忌まわしい場所―。引き裂かれ、喰い散らかされた遺体は原型を留めていないものばかり。順番に町の外へと遺体を運びだし、穴を掘り墓を作る。

 町の外には既に何匹かの獣がいた。ヴァンパイアの飼っていた闇の獣ではないものの、人々にとっては脅威でしかない野獣。
「うっ。うわぁあぁ。」
「獣だっ!!」
遺体を放り出し逃げようとする人々の前に夏介は立ち、ただ空を指さした。一筋の光が地に降りる。『ジャッジメント・クルセイド』、夏介のユーベルコードが獣の一匹を光で捉える。そしてその光は命中すると同時に、獣を燃やした。
「……退け。」
圧倒的な力の差を前に、【恐怖を与え】られた獣達が雲の子を散らすように逃げてゆく。

 再び開始される作業の中、次々に運ばれる遺体を前に夏介は思う。日が落ちる前に終わるといいのだが、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アンリエット・シャルパンティエ
・POW
「あの筋肉ダルマの末期は見そびれたか…残念残念。」
そうとは思えない退屈そうな声色で呟く

さて、最早この地には何の用も無いが…一人の大人としては遊び場の
後片付けくらいはせねばな

適当な荷車を探し、無造作に死体を回収
闘技場跡に集める(無ければ渋々手で掴んで引きずる)

家族の遺体だと回収を拒めば
「好きにせい、この地の吸血鬼は討たれた。
それを狙って獣が此処を滅ぼしたとて、妾の知る所ではない故な。」
とつまらなさげに言い放ち

回収を手伝う者がいれば
「良い心掛けじゃ。 この世界は弱者に価値は無い…体は勿論、
心もな。 お主は今、奮い立つ心の強さを手にしたぞ。」
と素直に褒める

集めた死体は【白炎】で骨も残さず火葬


ファラン・ウルフブラッド
【行動:POW】※技能は戦闘系を臨機応変に。

●『千年妖狐』を発動し、総勢19名の妖狐忍とファラン合わせて20人を4人一組で分け、手分けして遺体を埋葬場所へ運びます。
「我が華達よ、すまないがお前達の手を貸してくれ。この哀れな犠牲者達を、せめて最後は人として送ってやりたいのだ」


埋葬後は民へ言葉をかけます。※技能は存在感・鼓舞・誘惑を主に使用。

「我はこの世界を、ヴァンパイア共から取り戻す。時間は掛かるであろうが必ず取り戻してみせる。 厄災を生き延びし民達よ、お前達はこの世界から脅威が去るその日を見るまで死んではならぬぞ。生きるのだ、死んでいった者達の分まで強く、強く生きよ」

※アドリブ歓迎です。


加賀宮・識
終わった、のか…いや、まだ気を緩めるのは早い。警戒を怠らず周りに気を配りながら、一番大切な事をしなければ。

【POW】

死者を安らかな眠りにつけるよう埋葬しよう。

獣はまだ一掃した訳ではないから、襲ってくるようなら鉄塊剣で迎撃。
群れてくるようなら周りに注意しながら【ブレイズフレイム】を放つ。

ランジーリの言葉が重くのしかかる。
私なんかに触られたくないだろうが我慢してくれ。
…同胞が…すまなかった…安らかな眠りにつけるよう、祈っている


アリア・ソール
アドリブ歓迎

「終幕は鎮魂の儀…か」

村の惨状を見て【早着替え】と【変装】で司祭の姿へ
【存在感】を出すことで注目を集め、司祭役になることで口調も変える

「人々よ。遂にヴァンパイアの支配は終わったのです」
「ですが、貴方たちの心には傷や恐怖があるのでしょう」
「それを癒やすために、まずは犠牲者を弔いませんか?」

【礼儀作法】を弁え、人々を少しでも【鼓舞】する
簡単な鎮魂歌を人々と【歌唱】して魂への【祈り】として捧げる
【ウィザード・ミサイル】を転用し周囲を照らす暖かな灯に

屍肉を狙ってくる野獣にも【ウィザード・ミサイル】

「人々の別れを邪魔する者は疾く失せるがいい」

この時ばかりは司祭の役ではなくアリアとして蹴散らす



●葬送
 ランジーリは跡形もなく消えた、残骸といえるのは残骸だろうか、彼女が残した服1枚、それもアンリエット・シャルパンティエ(白炎の殲姫・f07812)が踏み潰せば、パラパラと土に還って逝く。
「あの筋肉ダルマの末期は見そびれたか…残念残念。」
アンリエットは退屈そうに、地面を見下ろした。それから、町の様子を見渡す。一部で遺体の埋葬を始めているものの人々は未だ戸惑ったまま―。
「さて、最早この地には何の用も無いが…一人の大人としては遊び場の後片付けくらいはせねばな。」
やれやれと、アンリエットは民家の前にある荷車を引っ張り出す。町のあちこちに点在する遺体をその外見からは想像もできない【怪力】で軽々と回収していく。
首のない遺体を運ぼうと歩みを止めたアンリエットは、しかしその手を止めた。家屋の扉の前で膝をつき泣いている女。
「好きにせい、この地の吸血鬼は討たれた。それを狙って獣が此処を滅ぼしたとて、妾の知る所ではない故な。」
つまらなそうに告げると、泣きながらでも女は立ち上がる。そして恐らくは大切な家族であった亡骸を荷車に積み込もうとした。おや、とアンリエットは女の方をみる。
「良い心掛けじゃ。 この世界は弱者に価値は無い…体は勿論、心もな。 お主は今、奮い立つ心の強さを手にしたぞ。」
素直な賞賛だった。人間は強い、その強さがあればこそ―。オブリビオンが支配するこの世界において未だ生きていける。それから、町に打ち捨てられた遺体の回収を人々が手伝いはじめる。アンリエットの無駄のない的確な指示で、遺体は彼女の言うところの闘技場―。広間に集められた。

 広間に集めた遺体を荷車から降ろす。アンリエットは遺体に向かい。手伝った人々の方を、やはりつまらなさそうに見た。
「最期の別れはよいな―。」
彼女の言葉に異を唱える者はいない。静かに、涙する人々―。炎が上がった。積み重なった遺体を覆う程の【白炎】。美しく白い火柱をあげる。その炎は、骨も灰も残さず、遺体を空へと還していった。

●民の王
 主を失った町―。ファラン・ウルフブラッド(深淵を歩く剣王・f03735)は解放された町を歩く。そして、広間を前に立ち止まった。
『舞い踊れ、我が華よ。 華麗に咲かせ、千年妖狐!』
彼の持つユーベルコード『千年妖狐』の発動。主であるファランの呼びかけに19名の美しい妖狐忍が現れ、膝を折り頭を下げた。
「我が華達よ、すまないがお前達の手を貸してくれ。この哀れな犠牲者達を、せめて最後は人として送ってやりたいのだ。」
ファランの言葉に、妖狐達が頷く。
「我が王―。王の御心のままに。」
直ぐに、彼女達はファランの指示に従い、5組へ別れそれぞれ、迅速に遺体を埋葬場所に運び始める。そして、地面を掘り、地中深くに埋める―。しかし、終わりそうもない。まだまだ、埋葬しなければならない遺体が多数あるのだ。だが、恐らくは亡骸の遺族や大切な人を失った町の人間は亡骸から離れる事ができなかった。
「我はこの世界を、ヴァンパイア共から取り戻す。」
それは、この町に残り生きていく人々に向けた言葉。そして、今は亡き民に向けた言葉―。
「時間は掛かるであろうが必ず取り戻してみせる。厄災を生き延びし民達よ、お前達はこの世界から脅威が去るその日を見るまで死んではならぬぞ。生きるのだ、死んでいった者達の分まで強く、強く生きよ。」
多くを失い、多くの犠牲を出し―それでも強く生きるしかない。国王としての【存在感】が町の人々を【鼓舞】させる。

 強い、鮮明な眩しすぎる希望。それを夢みる【誘惑】。今、この場に限り彼らは、夢をみる。―恐怖ではなく。目の前に居るのは自らを守ってくれる『王』だ。そして、王がヴァンパイアに支配されないそんな世界へ導いてくれる―。それは今はまだ、彼らにとって儚い夢かもしれない。だが―確かに人々の心に希望を灯すのだった。そんな町の人をみて、ファランは満足そうに微笑み、再び配下である妖狐達に指示をだす。
「我が華達よ―。今暫く、力を貸してくれ。」
その言葉に妖狐達はにこやかに頷いた。
「はい、我が王。全ては王の御心のままに―。」
ファランは心に誓う。夢でなど終わらせない、と。

●苦悩
 ランジーリの言葉は、加賀宮・識(焔術師・f10999)の心に深く突き刺さる。彼女の半分の血は吸血鬼のものだ。それを厭い、嫌う彼女にとってランジーリに仲間呼ばわりされた事は識の心に大きな影を落としていた。
「おわった、のか…いや、まだ気を緩めるのは早い。警戒を怠らず周りに気を配りながら、一番大切な事をしなければ。」
独り言のように言い放ち、識は、町の外へと足を向ける。葬送はもう、始まっている。先ずは、死者を安らかな眠りにつけるよう埋葬しなければと、識は遺体を運ぶのを手伝った。
「私なんかに触られたくないだろうが我慢してくれ。…同胞が…すまなかった…安らかな眠りにつけるよう、祈っている。」
掘られた穴に遺体を納め、亡骸に土をかける。
「お姉ちゃん…。あの。」
小さな女の子が識の顔を覗き込んでいた。この町にも子供がいたのだと、識はその時になって初めて気が付つく。硬く閉ざされた民家、子供の遊び場もこの町には見当たらなかったからだ。
「・・・ありがとう。お姉ちゃん。お父さんもおやすみなさいがやっと、できたって。」
先の戦いをみていた、女の子だろうか。その後ろで、母親が深々と識に頭を下げた。
「ありがとうございます。これで主人もやっと、眠ることができます。」
それは感謝の言葉。確かに、識の半分の血はヴァンパイア。けれども、彼女は猟兵であり―、人間でもある。その忌まわしい血があるからこそ、救えた命は多いのだ。識は、僅かに微笑みを返し、直ぐに頭を切り替える。そして―、鉄塊剣を手に再び握りなおした。

 獣は群れでやってくる。町の門まできた獣は、他の猟兵が片付けてくれるはずだ。だが、獣は一掃された訳ではない。識は警戒するように周辺の探索にでる。こちらの隙を狙って様子伺いをしている獣が、必ずいるはずである。彼女の示唆する通りそれは群れをなしていた。識のアメジストのように透き通った紫の瞳が細められる。
「弔いの邪魔はさせない。」
町の外で爆炎があがった。識のブレイズフレイムが獣達を焼き払う。今はただ、町の人を守るため、彼女は一人鉄塊剣を振るうのだった。

●終幕―
 災厄の夜を終え、アリア・ソール(自ら演じる幻想台本・f00751)は台本を閉じる。町は騒然としつつも、他の猟兵達の指示の下に遺体を埋葬していた。
「終幕は鎮魂の儀…か。」
町の被害は想像を超えて酷かった。司祭の姿に、【早着替え】すると、口調も変えて完璧に【変装】する。アリアは【存在感】を出すことで注目を集める。―今回、彼女が演じるのは司祭。
「人々よ。遂にヴァンパイアの支配は終わったのです。」
衆目に向かいアリアは言葉を紡いだ。未だ戸惑い、猟兵達の声にも動けずにいた人々がアリアの元に集まる。
「ですが、貴方たちの心には傷や恐怖があるのでしょう。」
慈悲深い、優しい声。高くも低くもない声音、―彼女が女性であると確信できる者は少ない。
「それを癒やすために、まずは犠牲者を弔いませんか?」
微笑みかけるその姿に祈りを捧げていた人々が顔をあげた。【礼儀作法】を弁え、人々を少しでも【鼓舞】する為に―アリアは彼らに手を差し伸べる。
「一緒に、祈りましょう―。」
骸を運び、弔おうと猟兵達を手伝う人々が不意に手を止めた。アリアの歌声、鎮魂歌が町に響き渡る―。その【歌唱】は、魂への【祈り】として、空気を震わせた。その歌に人々は静かに手を止め、瞳を伏せる。町にいる誰もが、この時―。失われた魂に【祈り】を捧げるのだった。

 魂への鎮魂を終え、アリアは服を着替えると町の外へ出る。すでに、他の猟兵が獣を遠ざけ殲滅を終えていた。しかし、再び夜はやってくるだろう。
「人々の別れを邪魔する者は疾く失せるがいい。」
ユーベルコード、『ウィザード・ミサイル』を発動させる。【炎】属性の【魔法の矢】を町の周囲に放った。司祭の役ではなく、アリアとして―。
「これで、今夜は獣も近づけぬであろう。」
獣は炎を嫌う。炎の矢は無数に穿たれ結界のように、獣を遠ざけるだろう。厳かに―。弔いの鐘が鳴らされる。低く響く音。何度も鳴らされる鐘の音が、全ての遺体の埋葬が終わったことを告げていた。町の人々は各々に悲しみに耽り、再び祈りを捧げる。多くの悲しみを背負っても、彼らは前を向いて生きていかなければならない。アリアは静かに目を伏せ、祈りを捧げると今度こそ本当に台本を閉じた。
 
 ―この物語は此処で、おしまい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月29日


挿絵イラスト