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アルダワ魔王戦争9-A〜すべてを喰らいし大魔王~

#アルダワ魔法学園 #戦争 #アルダワ魔王戦争 #大魔王 #ウームー・ダブルートゥ #オブリビオン・フォーミュラ

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●地下迷宮アルダワ・最終フロア『はじまりの玄室』
「好きに、望むがよい。好きに、願うがよい」
 ファーストダンジョン最奥部。はじまりの玄室と呼ばれる最終フロアにて、玉座に座る絶対支配者。大魔王と呼ばれるにはあまりにも人間に近い者こそ、猟兵達が目指した大魔王、その最終形態である。
「願い、望み、祈り……すなわち『希望』は、汝らが知的生命体である事の証左なのだ」
 故に希望を望めと大魔王最終形態は言う。猟兵に、アルダワに住む生命体に。自身が知性を持つ者だと証明しろと告げる。
「我は、汝らの肉の他に、希望そのものも喰らう。汝らが武力を願えば、我も強き形態を得る。汝らが勝利を望めば、我も勝利の術を得る。汝らが幸せを祈れば、我に幸運が齎される」
 恐るべき能力を吐露する大魔王。だからこその大魔王。これこそがすべてを喰らう者の証左と呼べる力である。
「知的生命体よ、願いを持て。望みを持て。祈りを持て。我はすべての希望を聞き届け、我が糧としよう」
 大魔王は戦争の勝利を疑わない猟兵達を待つ。希望を喰らい、武力を喰らい、勝利を喰らい、運命をも喰らう。最後に立つべきは、最強の捕食者たる大魔王だと誇示せんがために。
 そして予知をしているグリモア猟兵に向かって堂々と宣言する。
「我はウームー・ダブルートゥ。汝らが『大魔王』と呼ぶ、この世の全てを喰らうもの……!」

●グリモアベース・ブリーフィングルーム
「さて、ついにファーストダンジョン最終エリアにたどり着いたのー。ここにいる大魔王最終形態を倒せばこちらの勝利じゃのー」
 そう言ってグリモア猟兵メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は電脳ウィンドウに大魔王が鎮座する王座を映し出す。
 そこに存在するのは他を圧する存在感とモニター越しにもわかる威圧感を放つ大魔王最終形態「ウームー・ダブルートゥ」がいた。その神の如きプレッシャーに相応しく、畏敬すら誘う美しき強靭な肉体を有し、さらに相対する者の願いを反映し、自らを強化するという能力を持つ。
「これまでの大魔王達以上の実力。まさしく最強と呼ぶにふさわしいのー。じゃけど倒せなければアルダワは滅びるけーのー」
 どんな強敵であろうとも世界を滅ぼす大魔王は倒さなくてはならない。戦場となる場所はファーストダンジョン最奥の『はじまりの玄室』と呼ばれる場所だ。大魔王の玉座があり、特別な作りやギミックはない。その辺りは心配せずに戦いに集中できるだろう。
 さらにこれだけの能力を持つ敵の上に、こちらのユーベルコードの先手を取ってくる。ユーベルコード前提の防御や先手行動はもっとも危険だと念を押す。
「まさにラスボスに相応しいけど、皆ならやれると僕は信じておるからのー……気休めじゃけど、頑張ってのー!」
 激励しか言えないメイスンは苦々しい顔をしながら、転移術式を展開する。最強最後の大魔王。アルダワの命運を決める戦いがいよいよ始まろうとしていた。


ライラ.hack
 最終ボスが人型になるとか、最近では王道ですよね? まあ実情はキメラ体ですが。
 どうも皆様こんにちわ。ライラ.hackです。

 今回は大魔王最終形態「ウームー・ダブルートゥ」との戦いとなります。
 難易度は普通より高めなのでご注意ください。

 そしてこのシナリオでは以下の特殊ルールがあります。
 ●プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』。
 (敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)

 以上となります。まさしくすべてを喰らうと豪語するにふさわしい能力ですが、全身全霊をもって当たってください。
 それでは皆様の素晴らしいプレイングをお待ち致しております。
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第1章 ボス戦 『『ウームー・ダブルートゥ』』

POW   :    ホープイーター
【敵対者の願い】【敵対者の望み】【敵対者の祈り】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    ホープブレイカー
【敵が恐れる大魔王形態(恐れなければ全て)】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    ホープテイカー
戦場全体に、【触れると急速に若返る『産み直しの繭』】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。

イラスト:hina

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ロバート・ブレイズ
全部だ――全部魅せろ。
全形態の情報(外見内面ユーベルコード)を細かな部分まで集め、悉くの攻撃を躱すor防御する事を試みる
精神汚染の類のみ狂気耐性で真正面から受け止める。恐怖を与えるで全形態の動きを鈍らせ、あとは運任せ。何もかもを否定し、冒涜してやる
少しでも動ければ充分だ。私の――俺の望みだと。総ては既知故に否定され、絶えねば成らない。己も含めて遍く消え失せれば良いのだよ
冒涜王発動。大魔王の総てを『掻っ攫う』――貴様も俺も全なる希望、絶望は停滞せよ
奴の顔面を剥がして晒せ。クカカッ――。



 ファーストダンジョン最深部。そこは『始まりの玄室』と呼ばれている。大魔王が封印されし場所。そしてこのたびのアルダワ魔王戦争が始まった元凶がいる場所。
 大魔王最終形態「ウームー・ダブルートゥ」。すべてを喰らいし者。知恵なくして敗れたが故に、知恵を得て今まさにすべてを喰らう為に地下迷宮を出ようとしている。
 ここで止めなくてはいけない。かの者は希望を喰らう。希望を喰らうとは知性生命体のすべてを喰らうと同義なのだ。そしてそれは猟兵にしかできない。

 その「始まりの玄室」の玉座にして鎮座するウームー・ダブルートゥの前に漆黒の男が現れる。着ている服も、面でさえ漆黒に覆われている男。ロバート・ブレイズ(冒涜翁・f00135)。
「来たか猟兵。お前の望み、願いはなんだ? そして恐れを吐き出すがいい」
 かの者は希望を喰らい、恐怖を暴く。そしてその恐怖の根源を大魔王として具現化する「ホープブレイカー」。嘘偽りは通用しない。だがロバートには恐怖を抱くことはない。いや、むしろ彼は恐怖を与える者。
「全部だ――全部魅せろ」
 その答えにさしものウームー・ダブルートゥも眉を少し動かす。だがかの者に恐怖が全くないことを感じ取り、その能力は悪夢を現出する。
 第一形態「アウルム・アンティーカ」、第二形態「レオ・レガリス」、第三形態「セレブラム・オルクス」、第四形態「ラクリマ・セクスアリス」、第五形態「モルトゥス・ドミネス」。五体の大魔王が現れる。そしてそれらは即座にロバートを攻撃せんと行動を開始する。
 だがロバートは事前に集めていた情報を元に回避行動を取る。アウルム・アンティーカの魔導砲は砲撃タイミングを見極めて躱す。レオ・レガリスの魔獣の頭部は噛む瞬間を見極めて躱す。セレブラム・オルクスの呪詛の粘液はあえて浴びることで自らの血肉とする。生み出された獣人の軍勢は多少のダメージを追いながらも回避し、モルトゥス・ドミネスの喰らう両腕は血肉を喰わせながらも致命傷を負わせないように躱す。
 そんな無茶苦茶ともとれるロバートの行動。徐々にボロボロになっていくロバートにウームー・ダブルートゥは再度問う。
「お前の望みはなんだ、漆黒の男よ」
 他の大魔王はその異質さに恐怖が芽生えようとしている。所詮は生み出した者と、ロバートは嗤う。そして大魔王ウームー・ダブルートゥに応える。
「私の――俺の望みだと。総ては既知故に否定され、絶えねば成らない。己も含めて遍く消え失せれば良いのだよ」
 そしてすべてを消滅させるため、「冒涜王(ニアラ・ラヴクラフト)」が発動する。己の身体は普遍的無意識の領域へと姿を変え、魂を喰らう国と化す。
「我こそが冒涜の王。我が肉体こそが精神世界――で在る。貴様等を此処に招待しよう。我が国の民と見做すのだ。光栄に思うが好い!」
 そして吸いつくされる感覚に陥る大魔王の分身達。その魂を奪われ、捉われる感覚に咆哮を上げて抵抗を示す大魔王達。第一形態が右腕を吹き飛ばし、第二形態が右足を切り裂き、第三形態が左足を溶かし、第四形態が左腕を潰し、第五形態が胴体を消し飛ばす。
 だが頭だけになってもロバートは魂を掻っ攫い続ける。そして虚空に嗤い声が響き渡る。
「貴様も俺も全なる希望、絶望は停滞せよ。クカカカカカカカカカカッ!」
 そしてその漆黒の頭が地面に落ちる時、ウームー・ダブルートゥを除くすべての大魔王が崩れ落ちて消滅する。その魂はかの国へと連れ去られたのだ。
 ウームー・ダブルートゥはその様子を冷静に見つめ、そのロバートに近づく。
「頭部になっても生き残るか、強奪の希望を持つ者よ」
 大魔王のすべての形態の魂を喰らい尽くしたロバート。だが冒涜者の能力をもってしても、その身体を維持することができないほどの攻撃を受けていた。手足はなく、胴体も吹き飛び、もはや頭部のみの存在となっている。だがまだ生きている。最後の大魔王の魂を希望している。
 だがウームー・ダブルートゥがそれを許すわけもなく、その頭部を踏みつぶさんと足を振り上げる。
「……奴の顔面を剥がして晒せ。クカカッ――」
 その言葉と共に黒き仮面の目にロバートの頭部が吸い込まれていく。振り下ろした足が到達する頃には影も形もなくなっていた。そして残りし者は大魔王ウームー・ダブルートゥのみ。大魔王はため息を漏らし、微笑する。
「喰うだけ喰って去るとは。いやはや、度し難い者よ」

 ロバートは血肉を散らし、そして虚空へと消えた。だがそのあらゆる魂を喰らい、恐怖をまき散らした。その強欲、その破綻にさしものウームー・ダブルートゥも苦笑する他ない。
 肉体は傷つけられずとも、自らの渇望を満たせた。恐怖という存在がある限り、ロバートは「存在」る。そして虚空に木霊する傲岸たる笑い声が聞こえてくるのだ。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

リンセ・ノーチェ
アドリブ・連携歓迎

深呼吸で息と心を整える
イメージは僕の感じてきた大自然

大魔王は願い・望み・祈りをその力にする
…から、勝機もある

大自然は願いも望みも多分祈りもせずそこに在る
そして僕の心は「この世界と皆を―」
「守れたらいいな」じゃない
「守りたい」じゃない
「守れます様に」でもない

「守る」(確信)だ
敵攻撃を【フェイント】と【見切り】で躱す
騙したい・躱したいじゃない―ただ、そうなるように在るだけ
恐怖は【勇気】をもって勝利の確信に変える
これは慢心じゃなくて痛みを恐れないだけ
そう痛み苦しみも僕達にもたらされる贈り物

「大魔王
僕達はー勝つよ」
確定の未来を宣言しそれに至る道としてのUC使用
銃と杖による【二回攻撃】


アーロン・フェニックス
(敵も味方もなく破壊衝動のままに参戦)

●P
願うさ、祈るさ、望むさ、言われずとも! それが僕だ。それだけが僕だ!

大魔王、僕も君のように強く在りたい。
世界を『蹂躙』する破壊を、過去も未来も呑み込む嵐を!
ハハハ、強くなれ。強くなれ。強くなれ。強くなれ。僕も君のようになる事を願うからさぁッ!!

魔王が願いを喰らい成長する事を望む
「破壊を!」

餌をあげなければ。願望を喰わせ続けるために倒れちゃダメだ。《不退転》を噴かし『ダッシュ』空を翔け《福音》で宙を蹴る。『見切り・空中戦・継戦能力・限界突破』


【UC】
これじゃ足りないだろ、こんなモノでは世界は!
大魔王、俺に見せてくれよ。君さえも砕くようなそんな、力をさぁ!



 大魔王最終形態ウームー・ダブルートゥは去った者に興味を示さない。その威容は常に喰らうべき者へと向けられている。願い、望み、祈りは彼にとっては糧となる。
 それが猟兵という自分を殺すべき可能性を持った存在であっても変わらない。希望を与え、希望を喰らい、希望を砕く。それこそが、真の大魔王。
 だがそれに挑むのもまた猟兵である。優しい灰と白の毛並みを持つケットシー、リンセ・ノーチェ(野原と詩と虹のかげ・f01331)は、それぞれ色が違う優しく澄む瞳で大魔王を見据える。
「大魔王は願い・望み・祈りをその力にする……から、勝機もある」
 他を圧する威を持つウームー・ダブルートゥを前にリンセはしっかりと深呼吸で息と心を整える。そして心はイメージは描く。リンセの感じてきた大自然を思う。静かなる心が彼を支配する。
「願うさ、祈るさ、望むさ、言われずとも! それが僕だ。それだけが僕だ!」
 そのリンセに対し、荒々しく大魔王に立ち向かうのは、デッドマンのアーロン・フェニックス(アーロン・ザ・テンペスト・f24438)。一切合切の破壊を望み、御すことのできない衝動を持つ彼にとって、敵とはそれを満たす願望器のようなものだ。
 そして二人の異なった性質を持つ猟兵に対してウームー・ダブルートゥは敵の希望を喰らうべく、動き出す。
「猟兵、その希望。その願いは我が糧となりて、お前達を喰らう」
 そして翼を羽ばたかせ、四つの足が大地を蹴って、一気にリンセとアーロンの元へと突撃する大魔王。その攻撃をリンセは静かに避け、アーロンもまた向かうように躱す。武器を詰め込んだ機巧腕を構える。
「大魔王、僕も君のように強く在りたい。世界を『蹂躙』する破壊を、過去も未来も呑み込む嵐を!」
 それは強烈な願望であった。まさしく大魔王が喰らい強くなるべき破壊の衝動。攻撃を与えながら、アーロンはそれを与え続ける。
「ハハハ、強くなれ。強くなれ。強くなれ。強くなれ。僕も君のようになる事を願うからさぁッ!」
 無謀な攻撃を繰り返しながらもアーロンは自身の破壊の希望を惜しげもなく口にする。大魔王の剣がその身を切り裂こうとも、魔力の放射が右腕を吹き飛ばそうとも、アーロンの渇望は止まらない。
「強き破壊の願いを持つ者よ。その力にて滅びる覚悟はあるか?」
「ああ、破壊を!」
 アーロンは魔王が願いを喰らい成長する事を望む。そしてそのためにも自分が倒れるわけにはいかなかった。希望という餌を喰らわせるために、願望を与え続けるために倒れることなど許されなかった。
 背部推進器《不退転》を衝動を推進力に変えて噴射し空を飛翔し、殲滅機関砲《楽園》の弾雨を放つことにより軌道も変える。そうすることで致命傷を避けながらも、身体を削る戦いを続けるアーロン。
 そのアーロンに対し、リンセはとても静かであった。ウームー・ダブルートゥのその者の希望が捉えられずにはいた。
 大自然は願いも望みも多分祈りもせずそこに在る。リンセはその大自然と同化し、心は静かに思う。
「この世界と皆を――」
(「守れたらいいな」じゃない。「守りたい」じゃない。「守れます様に」でもない)
 そしてその「守る」は願いではなく、望みでもなく、祈りでもない。それは確信である。信じているからこそ、その守るという気持ちは強固だ。
 アーロンの願望はウームー・ダブルートゥを強くしている。実際、攻撃力は上がり着実にアーロンの身体を削っている。だがリンセの方はどうだ。希望・願望・祈りはなく、ただあるがまま大魔王の攻撃を躱している。まさしく自然体。その動きはまるで大自然の流水の如く、だ。
「騙したい、躱したいじゃない。ただ、そうなるように在るだけ」
 ウームー・ダブルートゥの怪訝に応えるようにリンセは言う。恐怖はないわけではない。今にもリンセを一撃で壊す攻撃が繰り出されている。だが心優しき少年は、勝利を確信し前に進む。
 そう、慢心ではなく痛みを恐れないだけ。そう、痛み苦しみもリンセ達、知的生命体にもたらされる贈り物であるのだから。
「大魔王。僕達はー勝つよ」
 確信の元に宣言し、その未来に至る道を切り開くために、能力「My Wish,My Will(ヤサシクツヨクマドワズニ)」が解放される。
 リンセの滾々と湧き出で枯れる事なき絶対の守護の感情は、大いなる力を与える。それは大魔王にも喰われない「領域」。空中に飛ぶ剣を優美なデザインの拳銃の銃弾で弾き飛ばし、精霊の杖でその身体を撃ち抜く。魔力を込めた一打、ただ願望もなく流れるがまま撃ち付けた一撃は、初めてウームー・ダブルートゥの身体に傷となる。
 そしてその大魔王の攻撃を受けた瞬間こそ、アーロンが付け入る隙であった。願望を与え続ける彼では永遠に敵わないだろう。だが破壊の願望を喰うのをやめる瞬間があるとすれば、話は別だ。
 身を破滅させる願望を抱いてこそ、その衝動を具現化させる「哭いて歓べディザスター(アーロン・ザ・ディザスター)」が大魔王を穿つのだ。
「これじゃ足りないだろ、こんなモノでは世界は! 大魔王、俺に見せてくれよ。君さえも砕くようなそんな、力をさぁ!」
 そして残った左腕を構えて創造した願望兵器を装着する。放つは、自らがため込んだ「破壊の衝動」そのものの具現である。
「ぜんぶ、な く なって しま  え   」
 そう言って自身の左腕すらなくなることを厭わない、破滅の光が放たれる。破壊の願望を喰らったとはいえ、リンセによってそれを相殺するには十分ではない。大魔王のその鎧のような皮膚を穿ち、肉を焦がす一穴が穿たれる。

 確かに願望は喰らった。あれだけの破壊の願望だ。だがもう一人は喰えなかった。それこそがこの傷の証であったと言える。
「希望にこれほど差があるとは。学んだぞ、猟兵」
 アーロンとリンセが刻んだ一撃はまさしくウームー・ダブルートゥにとって学ぶべきものだった。そしてその積み重ねこそ、この最強の大魔王を打倒する術となる。破壊をぶちまけたアーロンを守りつつ、リンセはそう確信したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メンカル・プルモーサ
……あれが最終形態…叩き返せばアルダワはひとまず安全……かな?

…触れると若返ると来たか…厄介…まずは箒に乗って床や壁に触れないように…戦闘中も天上に床、壁に触れるのは危険と思おう…
…若返る影響は浄化復元術式【ハラエド】を使って影響を取り除いてみるか…
…そして迷路に向けて限界まで強化した【尽きる事なき暴食の大火】を発動…壁を白い炎の燃料にして成長させると同時に…邪魔な壁を排除…
魔王からの攻撃は空中戦で回避しつつ…大魔王の元を目指して迷路を抜けていくよ…
……そして、大魔王を見つけたら十分に成長させた白い炎をぶつけよう…
…全てを喰らう白い炎を…これも喰らうことが出来るか試してみようか…


御園・桜花
「先手を取られることが決まっているなら。被弾率を下げてそれ以上に回復すれば良いのでしょう?」

狂気や呪詛や毒はアイテム任せ
直接的な攻撃は見切りや第六感で可能な限り躱す
当たる攻撃には破魔や属性攻撃乗せてカウンター
少しでも被弾率を下げる努力をする
その後特に前衛や重傷者中心にUC「癒しの桜吹雪」使用
疲労しようが仲間の回復に努める

回復が済んでまだ行動可能なら制圧射撃又は破魔や慰めを乗せた歌唱を使用
より効率が良い方で魔王の注意力を削ぐ

「今の貴方を学園の外に出す訳にはいきません…もう1度骸の海にお帰りになって、共存できる貴方になってからお越し下さい」
「私達の違いは世界に沿うか否かだけ…貴方にも良き転生を」



 最強の捕食者であった大魔王にとって、傷を負うというのは新鮮な感覚であった。流れ落ちる自分の血を掬い、舐めとる。この味を堪能することこそ、喰らう者の特権。だがそれが揺らごうとしている。
 希望は喰らわなければならない。願望も祈りも、すべてを喰らい、喰らい尽くす。その糧のすべてを叶えて喰らうことこそ、最強たるウームー・ダブルートゥの役目である。
「お前達の希望を言うがいい、猟兵。すべてを叶え、すべてを喰らおう」
 その視線の先には新たなる猟兵、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)と御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)がいた。最強の大魔王はそのすべてを見通す目で睥睨しているように見える。
「……あれが最終形態…叩き返せばアルダワはひとまず安全……かな?」
 メンカルはある懸念も抱いてはいるが、まずはこの大魔王ウームー・ダブルートゥを倒すことができれば当面の危険、つまりカタストロフは回避される。桜花もそれに同意して桜の花びらの刻印がある鉄扇「桜鋼扇」を構える。
「先手を取られることが決まっているなら。被弾率を下げてそれ以上に回復すれば良いのでしょう?」
 回避をする準備を整え、どんな傷であろうが癒すことに専念する。そのことに集中して桜花は相手の出方を待つ。メンカルも自身の杖「シルバームーン」を構える。だがそんな大魔王を倒すという希望を、ウームー・ダブルートゥは喰らう気でいた。
「その希望、願望を絡めて取ってやろう。我が繭によって生み直すがいい」
 そして次の瞬間、希望を摘み取る魔の迷宮が形成され、二人をその中心に誘う。その迷宮の材質は「生み直しの繭」と呼ばれるもの。触れれば急速に若返りを始める魔性の白き糸である。
 その空間にいきなり飛ばされたのだ。予め箒に乗って床や壁に触れないように対策していたメンカルはともかく、桜花は対応が遅れ地面に足が触れそうになる。触れれば一気に若返り桜の精の前の何もなかった頃に戻ることになる。だが咄嗟にメンカルが桜花の手を掴んで事なきを得る。
「あ、ありがとうございます」
「……うん、気を付けて……ッ!」
 そんなメンカルを飛び跳ねたウームー・ダブルートゥの爪撃が切り裂く。咄嗟に箒を動かしたおかげで軽傷ではある。そしてやはりというべきか、大魔王は生み直しの繭の上に降り立っても何の変化もない。
「メンカルさん!」
 その傷を見て桜花は「癒しの桜吹雪」を発動させ、桜吹雪が傷に当てて癒していく。疲労感も襲ってくるが、桜の精霊の面目を生かして自力浮遊を開始する。
「この生み直しの繭にて、原初へと還るがいい」
 そしてウームー・ダブルートゥはその脚力を生かして迷宮出口へと駆け抜ける。そして生物のように蠢き、メンカルと桜花を包み込もうとする「生み直しの繭」。
「…触れると若返ると来たか…厄介…天上に床、壁に触れるのは危険と思おう…」
「はい、わかりました。援護します!」
 そしてウームー・ダブルートゥを追う為に迷宮を突き進むメンカルと桜花。桜花の援護射撃がメンカルの繭が迫るところを弾き飛ばし、自身に近づく繭も撃ち落としていく。メンカルも浄化復元術式【ハラエド】を構築し、迫り来る繭の根本へと発動させる。繭事体が魔力や邪力を持つモノという予想は的中し、大魔王の魔力を霧散させた繭は力なく普通の白き繭へと変化する。
「…だけど、これは焼石に水…」
 迷宮を構築する素材そのものがこの生み直しの繭である。これが全方位から襲い掛かってくる。桜花の銃撃やメンカルの術式ではいずれ凌ぎきれなくなる。そう思い、メンカルは切り札を切る。
「貪欲なる炎よ、灯れ、喰らえ。汝は焦熱、汝は劫火。魔女が望むは灼熱をも焼く終なる焔」
 発動するは「尽きる事なき暴食の大火(グラトニー・フレイム)」を発動させる。メンカルの杖の先に如何なる存在も燃料にする白色の炎が燃え上がる。そしてそれを束ねて壁へと発射する。着弾した壁の繭を燃料とし、メンカルの一転集中した猛々しい炎はついに壁を焼き尽くす。
「なるほど、これで近道ができますね」
 桜花の言う通り、白き炎が作り出す迷宮のショートカット。これが消耗しきる前に攻略する最善の方法であった。そしてメンカルは白い炎を放ち続けて道を作り、そしてついに出口付近にいるウームー・ダブルートゥを捉える。
「我が眉の迷宮、よくぞ突破した。だがここで生み直すがいい」
 そして放たれる魔力の砲撃と魔剣の乱射。吹き荒れる攻撃は、メンカルの身体に傷をつけ、集中して保っていた白い炎が揺らぐ。
「今の貴方を学園の外に出す訳にはいきません…もう1度骸の海にお帰りになって、共存できる貴方になってからお越し下さい」
 自身の疲労など関係ないと言わんばかりの桜吹雪がメンカルを包み込む。疲労が襲い掛かるが桜花は回復をやめない。希望をつなぐために、献身的な回復を行い続ける。傷が回復し、集中力を取り戻したメンカルは一転に集めた白き大炎を杖に宿し、大魔王へと狙いを定める。
「…全てを喰らう白い炎を…これも喰らうことが出来るか試してみようか…」
 そして如何なる存在も燃料にする白炎と、すべてを喰らう大魔王の手が激突する。手から燃やし尽くそうとする炎を、片っ端から喰らっていく大魔王。だがかの希望は砕かせないと桜花は歌を紡ぐ
「私達の違いは世界に沿うか否かだけ…貴方にも良き転生を」
 奏でられた歌唱は破魔や慈愛を乗せた、まさしく慈しみの歌。その歌が大魔王の動きを一時的に弱らせ、白き炎を喰らいきる前に、漏れ出した炎が一条の火傷を作り出す。一気に燃焼し大魔王の細胞を焼き始める白炎。
「汝らの希望、甘く見過ぎたようだ。修正をしよう」
 その瞬間、白き繭の迷宮はガラスが割れた音を立てて崩れ去り、ウームー・ダブルートゥは炎を鎮めるのに魔力を注ぎ込む。まさしく二人の力が結集し、魔の迷宮を突破した瞬間であった。

 若返りという難攻不落に思われた繭を突破できたこと。これによりウームー・ダブルートゥを少しずつ追い詰めていく一手になりうるだろう。疲労困憊の二人はそう思い、一時的に大魔王から距離を取った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

火土金水・明
「ついに最終形態、決着を着けましょう。」「希望とは自分自身の力で得るものです。」
(恐れる大魔王形態は第一形態)「この姿が今回の全ての元凶。」
相手の先制攻撃に対しては【見切り】【野生の勘】【第六感】【フェイント】の技能を駆使して回避を試みます。
【SPD】で攻撃です。
攻撃方法は、【高速詠唱】し【破魔】を付けた【全力魔法】の【銀の流れ星】で『『ウームー・ダブルートゥ』』を攻撃します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【武器受け】【勇気】でダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも、ダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。


シズホ・トヒソズマ
転移前
シュヴァルツヴィアイスの予測演算装置に以前交戦した大魔王第二形態の行動データを入力
着用者に◆催眠術で『第二形態を最も恐怖する』と暗示
私本体はユングフラウの中に隠れておきます

着用者にUCが使われ
第二形態が出たら飛び出し着用合体
予測演算で魔王2体の動きを◆見切り回避
避けきれないものはデザイアキメラの◆電気バリアで防ぐと同時に◆マヒ効果を与えて動きを鈍らせ凌ぎます

UCで黒騎士アンヘルの力を使用
ヴィアイスの偽三呪剣に本物と同じ効果を付与
本体狙いで予測演算位置を切りつけます
この剣で貴方の魔王としての過去を封じる
そうすれば繋がりが絶たれ第二形態は弱るか消える!
挟撃の憂いがなくなった所で、更に追撃!



 激闘続く『はじまりの玄室』。傷を負いながらも希望を喰らい、その傷を治し戦闘能力を高め続けている大魔王最終形態ウームー・ダブルートゥ。すべてを喰らう者は決して満たされることはない。
 例えカタストロフを完遂させ、アルダワのすべてを喰らい尽くしたとしても満たされるかどうか。だがその本能のままその凶暴性を剥きだしにし、猟兵を待ち構える。
 そのウームー・ダブルートゥの視線の先には、紫の髪を靡かせて目が虚ろなシズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)とそれに付き添う騎士人形「シュヴァルツヴィアイス」とアイアンメイデン型戦闘人形「ユングフラウ」。そしてその後ろに黒いウィザードハットを深く被り直した火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)が続く。
「ついに最終形態、決着を着けましょう」
 銀の剣と七色の杖を構え、これまでの戦争で最強の大魔王へと挑む。その二人の姿にウームー・ダブルートゥは表情すら変えずに宣告する。
「汝らの希望を見せるがいい。そして願いを、祈りを、大魔王の恐怖の原初を、曝け出すがいい」
 大魔王の胸の赤き宝石が強く光輝き、シズホと明を照らし出す。これまでの大魔王、その恐怖をあぶり出す。そして現れたのは第二形態「レオ・レガリス」と第一形態「アウルム・アンティーカ」であった。
「やはり来ましたか。この姿が今回の全ての元凶」
 明の最も恐れたのがアウルム・アンティーカだった。最初に現れた大魔王の姿にインパクトもあり、その力を畏怖したものだ。だが大魔王最終形態も前におり、その力にて生み出した影法師のような相手に苦戦している場合ではない。そう思って撃ち放たれる魔導砲に立ち向かう。
 かつて戦った時のように、紙一重でその砲撃を避けきり、生み出した残像のみを撃ち抜かせる。魔力を駆使して狙いを定めさせず、見切りと巧みな動きでそのアウルム・アンティーカに立ち向かう明。
「計画通りです! 引っかかりましたね!」
 そしてシズホとは言うとユングフラウから紫のマスクが飛び出してきて、立ち尽くすシズホに着用する。すると目に光が戻り、いつものドMヒーローが爆誕する。そう、彼女の本体はヒーローマスク。つまり今までのは着用者であったのだ。
 恐怖を誘導し、狙った通りの大魔王を出すにはどうしたらいいか。シズホが考えたのは着用者に催眠術をかけて『第二形態を最も恐怖する』と暗示をかけることだった。そして自身はユングフラウの中で気配を遮断し、時を待ったのだ。
 そして出てきたレオ・レガリス。すでにシュヴァルツヴィアイスの予測演算装置に以前交戦した大魔王第二形態の行動データを入力しており準備は万全。魔獣の頭がその生命を喰らわんと襲い掛かるが、予測行動で見事に回避する。
「さあ行きましょう、ヴィアちゃん!」
「あんま調子に乗らん方がええでー、シズホ?」
 予測演算を用いてレオ・レガリスの攻撃を避け、その身体に傷を刻むシズホとシュヴァルツヴィアイス。そしてアウルム・アンティーカの砲撃を掻い潜り、明も魔法をその翼に当てて対応しようとしていた。
「だが汝らの希望はすでに我が手中。逃れられると思うな」
 そんな二人にウームー・ダブルートゥは容赦ない。明に対し魔剣の雨を降らし、シズホには黒雷群を落とす。他の大魔王との連携攻撃、明もさすがにアウルム・アンティーカとの砲撃と合わさった魔剣に身体に傷を負いながらも回避する他ない。
 だが比較的余力のあるシズホ。防御・移動型人形「デザイア・キメラ」が前に出て電気バリアを張り、大魔王の黒雷を受け止める。さすがのウームー・ダブルートゥの魔力の籠ったその一撃で、デザイア・キメラの防御機能の半分を持っていかれるが、「幻影装身(アームドオブリビオン・ミラージュ)」発動の隙が生まれる。
「人形が吸いし過去の影、我が身に宿り力となれ。応報を持って因果を制す!」
 そして隣にいるシュヴァルツヴィアイスの中からオブリビオンの幻影を身に纏う。その幻影とは「黒騎士アンヘル」。その瞬間、シュヴァルツヴィアイスの偽三呪剣は本物の黒騎士の力を宿すことになる。そしてレオ・レガリスの脇をすり抜け、ウームー・ダブルートゥの身体を呪剣が斬る。避けようとしても予測演算装置によって、当たる位置はすでに把握している。
「この剣で貴方の魔王としての過去を封じる!」
 アンヘルの三呪剣は、経験や過去を封じる呪いの剣。大魔王の各形態の繋がりという過去を一時的に封印することで、レオ・レガリスの姿が水に溶ける墨のように醜く歪んでいく。それでもウームー・ダブルートゥは黒雷をシズホに落とそうとする。
 だがその腕を明の銀の剣が炸裂する。「銀の流れ星」の高速刺突が容赦なくその鋼の如き硬度を誇る肉体を突き通す。三呪剣の効果はアウルム・アンティーカにも及んでおり、一手早く動くことができたのだ。
「希望とは自分自身の力で得るものです」
 その明の言葉の通り、ウームー・ダブルートゥに迫るシズホとシュヴァルツヴィアイスの姿が目に映る。それに迫るは4本の呪いの剣。
「ぶちかましてやるで、シズホ!」
「いけえええええええ!」
 過去を断絶するアンヘルの魔剣でシズホが身体を斬り裂き、シュヴァルツヴィアイスの空中に展開した三呪剣が刺し貫く。過去を、オブリビオンを断つ攻撃がウームー・ダブルートゥの傷となり、血が大地へと散る。
「希望は絶えぬか、猟兵。だが我が糧となる未来は変わらぬ」
 あれだけの攻撃を叩き込んでも揺るがないウームー・ダブルートゥ。さすがの大魔王最終形態の貫禄である。だが明はウィザードハットを手で押さえながらも言う。
「では次の方々が、そして私達の誰かがあなたを討ちましょう」
 ダメージは刻めた。そして積み重ねた勝利はきっと大魔王を打倒する力となる。その願いの積み重ねこそ、希望と呼べるモノだと明は信じ、シズホと共に後方へと下がっていった。ウームー・ダブルートゥの追撃を華麗に躱しながら。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

才堂・紅葉
願いは強さ
望みは勝利
祈りは学園の明日
己を澄んだ心眼で見つめ【情報収集】

「コード・ハイペリア」
初手から真の姿の【封印を解く】
荒ぶる力で【グラップル】を挑み【気合、激痛耐性】で死力を尽くす
仲間がいれば最前線は引き受けた

(やっぱクソ強い……ぼちぼち死ぬわね)

彼我の戦力差を認めつつ【戦場知識】
己の希望と奴の強化の相関を【見切り】その必殺の一撃と対峙する

「デコード・ハイペリア」

真の姿を解除し己の技に全てを委ねる
希望を投げ捨てる事で奴の強化をずらし、無心の合気投げで【カウンター】し体勢を崩そう

「身を捨ててこそ浮かぶ瀬あれ……ってね」

一欠片の希望を握りしめ、最後の力でUCを放つ

「ハイペリア重殺術・天蠍!!」


リューイン・ランサード
UC対策
かつて僕の心が折れた原因、トラウマの元、それが目の前にいます。
もはや希望など浮かばず、莫大な量の恐怖が湧き上がり、心が恐怖一色に染められる。

恐怖から逃れる為、【第六感、見切り、空中戦】を限界まで発揮して大魔王の攻撃を本能的に回避。


『恐怖とは最も根源的な感情』
それを喰らう事で己の力に変える対大魔王用UC:バイオミック・バイ・テラー発動。
思いっ切り巨大化する(伸縮する武装が有るので裸ではない)。

莫大な恐怖を喰らい、既に無心の境地

流水剣で【光の属性攻撃、2回攻撃】し、【ビームシールド盾受け、オーラ防御】で防ぐ。
最後に【光の属性攻撃、全力魔法、高速詠唱】で両手から巨大光線を放って大魔王を倒す!



 「はじまりの玄室」からまさしく始まったファーストダンジョン。そして地下迷宮アルダワ。そして封印する役目を担ったアルダワ魔法学園。その使命、宿命と呼べる戦いが今、一つの決着を無化用としている。
 大魔王最終形態ウームー・ダブルートゥ。彼を倒せば、アルダワは救われる。倒せなければカタストロフが起きて、アルダワは滅びる。その二択、そしてここでは希望を持つ者だけが勝ち残れる。
 それを阻止する為のアルダワ魔法学園。その一員たる、才堂・紅葉(お嬢・f08859)とリューイン・ランサード(竜の雛・f13950)が最強の大魔王を阻もうとその前に立つ。
 紅葉はその圧倒的存在感と威圧感を誇るウームー・ダブルートゥに対して、恐怖はなかった。その胸に去来するものは、今まで進み続けた道。
 彼女が願いは強さ。望みは勝利。祈りは学園の明日。大魔王が強化しようとも関係はない。ただ紅葉自身が折れぬ強さを持つために、それを持ち続ける。
「コード・ハイペリア」
 そして真の姿の封印を解く紅葉。髪は真紅に染まり、背中と両掌の紋章は眩いばかりの光を放つ。戦気は万全という顔で、仲間の顔を少し見る。
 だがそれに対しその隣のリューインは恐怖に打ち震えていた。武人の名門ランサード家の長男と期待され、理想に燃えていた過去。それをダンジョンの災魔が打ち砕いた。心が折れた原因、そのアルダワの災魔の元凶が、目の前にいる。それがトラウマを刺激し、莫大な量の恐怖が湧き上がり、心が恐怖一色に染められる。
 希望などない青い顔をしているリューイン。震えるその身体を見て、紅葉はそれでも怯まない。
「私が、最前線は引き受けた」
 そしてハイペリアの輝きの元、一気に大地を蹴りウームー・ダブルートゥに立ち向かう。だが彼女を希望を喰らった大魔王はその手を向けて、死の宣告を放つ。
「強さを、勝利を、未来を望みし者よ。汝の希望は叶え、そして飲み込もう」
 強化された魔力を魔剣に注ぎ込み、それを多数飛来させるウームー・ダブルートゥ。紅葉はそれを寸前で回避し、時には叩き落して破壊し、蹴りで軌道を逸らす。雨のように降り注ぐ魔剣に身体を削られながらも、前へと進む。さらに魔剣を潜り抜けても、青い炎が螺旋となって襲い掛かり、黒雷が数多に降り注ぐ。
(やっぱクソ強い……ぼちぼち死ぬわね)
 だが身を焦がし、身体を引き裂かれ、雷を寸前で回避し電撃で肌が焼けようとも、紅葉は諦めてはいなかった。彼我の戦力差は決定的なれど、乾坤一擲の一撃を撃つ時まで、大魔王の隙を伺う。

「あああああああああああああああ!」
 一方でリューインの方にも大魔王の容赦ない攻撃は降り注いでいた。だが恐怖で一歩も動けずに死ぬと思っていた彼は生きていた。彼のヘタレが、恐怖から全力で逃れることがリューインの能力を限界まで引き出し、超人的な回避能力を発揮していたのだ。それは大魔王の容赦ない攻撃に対しては奇跡ともいえるだろう。
 だが終わらない恐怖。根源たるウームー・ダブルートゥが消えない限り、リューインの恐れは収まらない。そして精神は恐怖という最も根源的な感情に支配される。
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああ~~~っ!」
 それが最大限に膨れ上がった瞬間、「バイオミック・バイ・テラー」が発動する。恐怖というエネルギーを喰らい、その身体を存在を巨大化させていく。巨大な叫び声を上げた巨人は虚ろな表情でウームー・ダブルートゥを見据える。
「…………」
 すでに膨大な恐怖を喰らいすぎた反動で、既に無心の境地に達したリューイン。魔剣を飛ばしてくる大魔王を敵と認識し、その剣雨をビームシールドで受け止め跳躍しながら接近。蒼き光を放つ「流水剣」で鮮やかに大魔王の身体を引き裂く。
 呻く大魔王に両手を構えてあらんかぎりの魔力を振り絞り巨大光線を放つ。光が闇を飲み込み、そのエネルギー放射はリューインの魔力切れを知らせる意識喪失まで続く。そして巨大化も切れて、その場に倒れ込むリューイン。
 その大魔王は全身が光属性に焼かれてはいたが、まだまだ健在で胸の万能宝石が光り、飲み込んだ希望を放出し急速回復に入る。
「恐怖とは何かを拒絶する願い。排除したいという祈りでもある。我が前に、喰らえないモノはなし」
「デコード・ハイペリア」
 希望を回復に回し、強化を一時的に解いたその瞬間を、紅葉は見逃さなかった。真の姿を解除し、己の技に全てを委ねる。わざわざ解除したのは、希望とよばれた力を放棄することで相手の強化をずらすこと。力なくして相手は倒せない。死を選んだを思ったウームー・ダブルートゥは近づいた紅葉を踏みつぶそうと足を振り下ろす。
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬あれ……ってね」
 その足に合わせるように紅葉が繰り出した技。力はなくても人が磨き上げた技術で相手を投げ飛ばす、無心の合気投げ。カウンターでそれを繰り出し、相手の態勢を崩す。そしてその掌に一片の希望を託し、渾身の一打を放つ。
「ハイペリア重殺術・天蠍!」
 持てるすべてを重力を付与した紅葉の当身は、命中した箇所を破壊し、その衝撃は振動となってウームー・ダブルートゥの身体全体へと浸透する。その瞬間、身体が崩壊するのを感じ、初めてウームー・ダブルートゥは込み上げる血の味が口に広がる。
 その事実にウームー・ダブルートゥは動くことができない。痛みからではなく、与えられた希望を喰いきれなかったことへの驚き。それこそがかの大魔王を硬直させたのかもしれない。

「……人を、舐めるなっての」
 ボロボロになっている身体を必死に動かしながら、気絶しているリューインを抱えてその場を飛ぶ紅葉。もはや力は使い果たした。だが大魔王ウームー・ダブルートゥの生命に確実に届いた。それはまさしく紅葉とリューインの、アルダワ魔法学園の勝利へと繋がる道を証明できたのだと深く噛み締めたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

別府・トモエ
「私の願いを食らって手にいれるってんなら大魔王、あんたも今日からテニスプレイヤーだ」
私の願い、テニスがやりたい
私の望み、テニスを楽しみたい
私の祈り、大魔王にもテニスを楽しんでほしい

それによって強化されたからにはウームー・ダブルートゥ、あんたはテニスが出来るしテニスを楽しめるし、テニスを楽しむってことだ

「っひゃー!すっげーサーブだ!」
ウームー・ダブルートゥの【サーブ先制攻撃】を【視力】で【見切って】【ダッシュ】【スライディング】【ジャンプ】で追い付いて【ラケット武器受け】から【ショット誘導弾】
捕球してそれをコントロール出来たら負けない
これは楽しい!
【無我の境地】が強まる

さあ大魔王テニスを食らえ!


ナミル・タグイール
願いを反映して強化にゃ?
金ぴかにゃー!金ぴかほしいデスにゃー!金ぴかなれにゃ!

強化されても知らないにゃ!金ぴかになれにゃー!
先制攻撃は【呪詛】纏った斧で受け止めるか弾き飛ばすにゃ!【捨て身】【怪力】
レアそうな金ぴかいっぱい付けてるし強欲【呪詛】パワーでこっちだってパワーアップにゃー!

頑張って耐えたらUC発動にゃ!
金ぴか欲しさで感情マックスにゃー!強くでっかくなって叩き潰してやるにゃ!
欲に反応して強くなっちゃいそうだけど更に金ぴか化するならこっちも欲望アップでパワーアップにゃ!
強欲パワー見せてやるにゃー!金ぴか寄越せにゃ!(ゴリ押し猫)



 人が持つ希望というのは大きく、思った以上に際限がない。そう思い始めたのは初めての血の味を味わったからだろう。
 大魔王最終形態ウームー・ダブルートゥは強大なる力を持ちながらも、知恵を得た。それは知的生命体にその力を凌駕する可能性を見出したからだ。そしてその予想は実際に現実になりつつある。
 徐々に追い詰めれていく感覚に陥りながらも、ウームー・ダブルートゥは強大な希望を持つ者達と対峙する。今までにない力が満ち溢れてくる。
「私の願いを食らって手にいれるってんなら大魔王、あんたも今日からテニスプレイヤーだ!」
 そう言ってラケットを構えるテニスラケットを構える別府・トモエ(人間のテニスプレイヤー・f16217)。筋金入りのテニス馬鹿な彼女にとって、相手が大魔王であろうが神様であろうがやることは変わらない。つまりテニス、強敵にもテニス、難敵にもテニスなのだ。
「願いを反映して強化にゃ? 金ぴかにゃー! 金ぴかほしいデスにゃー! 金ぴかなれにゃ!」
 そう言って黄金に輝く巨大な斧を構えるナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)。筋金入りの黄金馬鹿な彼女にとって、相手が大魔王であろうが神様であろうがやることは変わらない。つまり黄金、呪詛に塗れようが黄金、傷を負おうが黄金なのだ。
「汝らの強い希望を叶えよう。そしてその願いによって我が糧となれ」
 そして大魔王の背中から生える両腕。そこにはサポーターを付けた黄金でできた筋肉ムキムキの腕。その手には輝かんばかりの純金で出来た黄金のテニスラケットが握られている。ガットは金糸で出来ており、空中に浮く大量のテニスボールも黄金で構成されている。
「うひゃーーーー! これが大魔王のテニスか!」
「うにゃーーーー! 金ぴかにゃ金ぴかにゃ、寄越すデスにゃー!」
 願いはテニスを、望みはテニスを楽しみ、祈りは大魔王にテニスを楽しんで貰いたいトモエにとってこれ以上のない対応であり、ナミルは黄金だらけで胸はときめき、もうすでに駆けだしていた。猫科キマイラの脚力は伊達ではなく素早い機動力である。
 それに対しウームー・ダブルートゥ両手の黄金のテニスラケットから黄金のテニスボールを高速で撃ち出す。片方はトモエに、もう片方はナミルに対してだ。
「ウームー・ダブルートゥ! 私に強化されたことであんたはテニスが出来るしテニスを楽しめるし、テニスを楽しむってことだ!」
 もはやテニスを楽しむことしかないトモエは高速で飛んでくる黄金のテニスボールを撃ち返そうとする。黄金ボールは重量と魔力が込められており、超圧力にトモエの腕が軋むが限界突破のテニス愛でそれを見事にリターンしてエースを決める。
「っひゃー!すっげーサーブだ!」
 次々と飛んでくる黄金のサーブにトモエは楽しむ。ダッシュ・ジャンプ・スライディングを駆使して避けて、可能な限り撃ち返してウームー・ダブルートゥの身体に叩き込む。それこそ彼女がオブリビオン相手に実践する猟兵テニスだ。
 そして徐々にその衝撃にも手が慣れてきてコントロールまでできてくると楽しさがトモエを満たす。
「……YOU STILL HAVE LOT MORE WORK TO ON」
 思わず口にした言葉で「無我の境地」が始まる。無我のオーラがさらに大魔王とのテニスという砲撃の応酬合戦に火が灯る。

「強化されても知らないにゃ! 金ぴかになれにゃー!」
 はじまりの玄室の床を駆け抜けながらナミルはさらに希望を垂れ流す。呪詛を纏った黄金の斧で、黄金のテニスボールを弾き飛ばし、接近する。本来ならば黄金のボールにも反応していいものだが、ナミルの目にはあの巨大なマッチョ黄金腕とテニスラケットという巨大な獲物しか映っていない状態だ。
 とにかくあと先考えずに黄金の呪詛を力に変え、欲望に身を晒し、その怪力を振るい続けるナミル。もはや身体の負担など考えていない。あるのは黄金への執着のみ。
「なんという希望だ。だがそれが我の糧になる」
 さらに黄金テニスボールを撃ち出す速度と力が上がる。だが黄金への渇望が積み上げられた感情を爆発させ「満たされぬ欲望(キンピカホシイニャ)」が発動する。
「欲しいにゃ! 寄越せにゃ!」
 戦闘能力と巨大化まで得たナミル。その黄金テニスボールを弾き飛ばすだけではなく、受け止めて回収することまでやり出す始末。もはやたくさんの黄金に、感情は臨界点を超える。
「強欲パワー見せてやるにゃー! 金ぴか寄越せにゃ!」
 まさに尽きぬ欲望と溢れ出すパワーのごり押し。その力を込めた斧の両断によって黄金の腕を一刀両断するナミル。それを逃すまいと全力飛翔でキャッチして奪取する。
「さあ大魔王テニスを食らえ!」
 そして無我の境地が最高潮に達した戦闘能力を持って撃ち返したテニスボールが、螺旋を伴って黄金のテニスラケットに炸裂。その衝撃はその腕までに広がり、ラケットごと亀裂を入れ粉砕する。こちらのテニス勝負もトモエが勝利を収めたようだ。

 黄金の腕を砕かれたウームー・ダブルートゥ。そして希望を喰らいながらもその強化を超える強化を重ねる猟兵達を見て、改めて賛辞する。
「これが人の希望の最たるモノか。なんという強欲よ」
 しかし、トモエはテニスを満喫したことに満足し汗を拭きながら休憩しようとして下がり、ナミルは黄金を回収して持ち帰るために奔走する。もはやカオスである。
 だがその有り余る希望を持った行動によってウームー・ダブルートゥを消耗させたことは戦果としては上々であっただろう。何より彼女達が戦いを、戦果を愉しんだ結果でもあるのだったが、これこそ結果オーライという奴だろう。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

水貝・雁之助
又、厄介な能力を使ってくる相手だなあ
一応、千年生きちゃいるけど其れに甘えたら拙い事になるだろうし履物と
かも、しっかりしておかないとだね
魔王なんかに人の希望は奪えないさ


事前に長寿な木である縄文杉の落雷等による倒木、其れも可能な限り長く生きた
木で出来た下駄を複数用意
其れを履いた上で『拠点防御』や『地形の利用』をする技術と知識を活かし
迷宮の状態を見ながら移動
状態が悪くなったら下駄を履き替えつつ同じ道を行かない為にアリアドネの
糸を用い移動した道は判る様に

迷宮を踏破したら悉平太郎を自身の背の上に召喚
戦闘時に出来た召喚された魔王の残骸や玄室内の『地形の利用』をして盾に
したり投擲し囮にしつつ攻撃をぶちかます


無累・是空
【WIZ】アドリブ大歓迎
他者の願望を力に変えるか。えらくヒロイックな能力じゃが、持つべき相手を間違えとるの!
わしの望みは、人の世の平穏を見守ることよ。
人の持つ願望の激情や渇望のような、勢いも焦燥はない。
じゃがわしはそう生きてきて、これからもそう生きてゆく。
希望とは生きてきた価値観の結晶、目指す未来のしるべ。
雑に食い散らかしていいもんじゃねぇぞ大魔王。

『虹霓弓』の集中砲火を浴びせる。誘導弾と併せて迷路の奥にも曲げて撃つ。
先制攻撃の迷路の発生は地形の利用、環境耐性、地形耐性で迷路地形による不利を減衰させる。
若返りに関しては、人間とそもそも生きた年数が桁違いだけど、軽視はしない。



 黄金の腕を持ち去られてもその身は未だ不滅。そう言わんばかりに大魔王最終形態ウームー・ダブルートゥは直立する。その姿には畏敬すら感じざるを得ない。
 だがその胸の宝石はいささか曇りを感じさせるように見える。それは猟兵達の希望の力が、その輝きを穿ってきた結果ともいえる。
 そして猟兵達はさらに希望を積み重ねる。例え喰われようとも、大いなる敵を倒す為に立ち向かう。
「又、厄介な能力を使ってくる相手だなあ」
「他者の願望を力に変えるか。えらくヒロイックな能力じゃが、持つべき相手を間違えとるの!」
 そう言いながら、玉座から見下ろすウームー・ダブルートゥの前に、シャーマンゴーストの水貝・雁之助(おにぎり大将放浪記・f06042)と創造神の一柱、無累・是空(アカシャ・f16461)が立つ。両者ともに気負いはなく、また自然体で挑もうとしている。
「魔王なんかに人の希望は奪えないさ」
 そう断言したのは人の世を長く見続けてきた雁之助の確信であった。その希望は、多くを救ってきた。それには雁之助自身も含まれる。だからこそ、大魔王に負けないとも確信がある。
「わしの望みは、人の世の平穏を見守ることよ。雑に食い散らかしていいもんじゃねぇぞ大魔王!」
 是空は神の視点でウームー・ダブルートゥに物申す。神すらも超えて成長を続ける愛し子達。その希望を喰らわんと進撃しようとする大魔王は、まさしく敵。生みの親として子を守ることこそ、神の務め。その責務を果たす時と、是空は拳を握り締める。
 そんな雁之助と是空を睥睨し、その冷たい瞳は人ではない者達を見据える。そして胸の宝石が赤く輝き始める。
「人ならざる汝らが抱くモノも、また希望よ。再度生み直し、我が糧となるがいい」
 そしてウームー・ダブルートゥは「生み直しの繭」で構成される迷宮へと二人を誘う。触れれば急速に若返りが始まる純白の繭が侵入者を絡めとり、取り込もうと蠢く。だが雁之助は焦らない。
「一応、千年生きちゃいるけど其れに甘えたら拙い事になるだろうしなあ」
 そのために繭を踏破するため履物をしっかりと準備しておいた。触れたモノ、つまり無機物であっても若返らせる可能性も考慮して、事前に長寿な木である縄文杉の落雷等による倒木の中でも可能な限り長く生きた木で出来た下駄を履いていたのだ。念の為に懐に予備をいくつか忍ばせている。
 その下駄で繭を踏みつけながら、繭の活動が薄い箇所を見極め進んでいく。まるで地形のすべてが見えているかの如くの行動。雁之助の卓越した地形に対する眼力が光る賜物であろう。
「こいつはいいの。便乗させて貰おうか!」
 そう言って雁之助が進むルートを是空もついていくように進む。是空自身は神であるために多くの年数を生きた神である。繭の若返りで活動不能な幼子まで戻るには時間がかかるが、油断はしない。繭の力を軽減させる神のオーラを纏って邪力を退けるように心がけて生み直しの繭の迷宮を進む。
 長寿の木で出来た下駄が若木のように散っていくのを見計らって新しい下駄に履き替えて雁之助は進む。さらに迷わないようにアドリアネの糸を目印にすることも忘れない。そして繭が捉えようとしてくるのは是空が払いのけて邪魔をさせない。
 この見事な連携で最速で迷宮出口にいるウームー・ダブルートゥに到達することができた。雁之助も是空も繭の影響は全く受けていない。
「自らは拒絶するか。それもまた希望、ならばこそ喰らおう」
 生み直しの繭が動くのと同時にウームー・ダブルートゥは魔剣の群れを放ち、繭に取り込ませようと動く。だが是空は「虹霓弓(アルカンシェル)」を発動し、七色のレーザーを持って真っ向勝負を挑む。
「わしに人の持つ願望の激情や渇望のような、勢いも焦燥はない。じゃがわしはそう生きてきて、これからもそう生きてゆく」
 繭を神気を纏った足で蹴り飛ばし、魔剣を変幻自在に軌道を変える七色のレーザーが撃ち抜いていく。正面からではなく、剣と柄の接続部分を狙いすましたかのように破壊し、魔剣の勢いを効率よく殺していく。
 そしてその七色レーザーに乗るように疾駆する雁之助。その背には「降臨悉平太郎(コウリンシッペイタロウ)」発動で呼び出した猿神殺しの柴犬がいる。
「希望とは生きてきた価値観の結晶、目指す未来のしるべじゃ大魔王! 光よ、あまねく照らせ!」
 是空が放つ虹霓弓のレーザーがウームー・ダブルートゥに迫る。だがそんな正面攻撃など喰らわないとばかり、魔剣と黒雷を持って相殺する大魔王。だが後ろから衝撃が走る。
 それは是空が迷宮の障害物を大幅迂回して背後に回らせた、七色のレーザー群だった。派手な正面攻撃は陽動、本命はこちらであった。
 そして、後ろからの攻撃で怯んだウームー・ダブルートゥに雁之助が背の悉平太郎を投擲する。
「悪逆を為せし非道の猿神を討ち滅ぼせし悉平太郎! 人々の涙を止めるために大魔王を討って欲しいんだなー!」
 希望を喰らいし最強の大魔王の身体を、その神を殺した霊犬は爪で切り裂き、その牙は肉を食い破る。自身が喰われたことに衝撃を受ける間もなく、雁之助自身の攻撃も大魔王に刻まれる。そして次の瞬間、迷宮が砕かれ消滅する。

「我が喰らう希望を上回る力を示すか、猟兵。だが、まだ、まだだ。我は希望を叶え、その希望を喰らう者ウームー・ダブルートゥ、である」
 迷宮が破壊されても、その自信は砕かれることはない。だがしかし、真正面から希望を喰らう迷宮を突破した雁之助と是空が与えたダメージは少なくはないだろう。
 大魔王が喰らった希望を持ってさらに自身を強化しようとする姿を見て脅威と感じつつも、その終焉を予感せざるを得ない。猟兵達の猛攻は、その予感を確信に変えるまで続く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

備傘・剱
なんか、御大層なのが出てきたが…
ようは寄せ集めって奴かな?

オーラ防御は全力展開

ホープメイカー
正直よ、俺はそのどれも持ち合わせてないんだよな、教えてくれたら、感謝したいもんだ
路を絶った俺の願い、祈り、望みをよ

ホープブレイカー
誘導弾、衝撃波、呪殺弾、頭の上の一足りないのダイス攻撃、そして青龍撃で全部吹き飛ばす
どれが出てこようが、これだけの弾幕張れば、問題あるまい

ホープテイカー
青龍撃の高速移動で見事駆け抜けてやるよ
ルートは第六感と野生の勘だよりだが、総当たりよりはまだ、確率が高いだろう

ダッシュで近づいて、全兵装、UCの水弾を零距離射撃、爪での攻撃を鎧砕きと鎧無視攻撃を重ねて攻撃

アドリブ好きにしてくれ


雷田・水果
SPD
●対策
予め【アリスランス】を【対オブリビオンにしか効果のない誘導炸裂弾を放つガンランス】に想像力で進化させる
敵のユーベルコード『ホープブレイカー』は発動しても協力者が現れるだけで、すぐに悪影響があるわけではない
また第五形態『モルトゥス・ドミヌス』のユーベルコード『己の力にて滅びるがいい』はこちらのユーベルコードをそのまま使う
上手くいけば自滅させることが出来るかもしれない

●行動
「第五形態『モルトゥス・ドミヌス』は厄介ですね」とパフォーマンスしつつユーベルコード「アリスダンス」を発動
敵の攻撃は見切り、敵を盾にすることで回避ながら問答無用に制圧射撃を試みる

「オブリビオンさんは自滅して下さい」


ウィリアム・バークリー
ようやくお目にかかれましたね、真なる大魔王。この世界の平和のため、討滅させていただきます。

もう会いたくない形態と言うことなら、ラクリマ・セクスアリスです。あの低俗さは見ていて羞じらうくらいで。
現れましたか。
「高速詠唱」で氷の「属性攻撃」を「全力魔法」として叩き付けましょう。これで凍っていてください。今は最終形態優先ですので。

大魔王本体との戦いは、一所に留まらない一撃離脱戦法。戦場をActive Ice Wallで満たし、その陰から陰に「目立たない」よう移動しながら、氷の「属性攻撃」を放っていきます。
氷の盾は、他の猟兵の方々にも活用してもらえれば。
撤退時には、氷の盾を全て弾頭として叩き付けます。



 その力が幾度も破られ、喰い破られていく感覚。絶対の力を持ってしても、尽きぬ希望。
 大魔王ウームー・ダブルートゥはそれに対して、焦燥を抱いていたのかもしれない。知性を持つ前の、無知ですべてを喰うことだった自身の姿を思い出す。
 なぜ今、その時を思い出すのかを疑問に思う。だがそれを思い出す暇も与えないと言わんばかりに、猟兵達が続いてくる。
「ようやくお目にかかれましたね、真なる大魔王。この世界の平和のため、討滅させていただきます」
 大いなる正義感に燃え、ルーンソード『スプラッシュ』を抜くウィリアム・バークリー(ホーリーウィッシュ/氷の魔法騎士・f01788)。その力は破滅を食い止めるために、そのためにファーストダンジョンを踏破し、他の大魔王を打ち倒してきた。すべては目の前のウームー・ダブルートゥを倒すために。
「なんか、御大層なのが出てきたが…」
「どんなオブリビオンさんでも私が平伏させます」
 あっけんからんに自然体のまま構える備傘・剱(絶路・f01759)に対し、雷田・水果(人派ドラゴニアンの姫騎士・f19347)はもって生まれた威光を惜しげなくも曝け出し、大魔王へと挑む。その光は人であったのならば、大いに平伏し屈服させたことだろう。
「我を滅ぼすことを望むか。ならば滅びを与え、汝らを喰らおう。我がウームー・ダブルートゥの力を持って」
 そして三人の前に恐怖が現出する。これまで最も恐れる大魔王の形態が現れる。ウィリアムの前には第四形態「ラクリマ・セクスアリス」が、劔の前には第三形態「セレブラム・オルクス」が、水果の前には第五形態「モルトゥス・ドミネス」が、威容と圧倒的プレッシャーを吐き出し牙を剥く。
「また現れましたか、ラクリマ・セクスアリス」
 ウィリアムはその姿に顔をしかめる。あの低俗さは見ていて羞じらうくらいであったが、もはや相手はウームー・ダブルートゥが呼び出した影法師。不愉快さをまき散らすわけではなく、多くの獣人を生み出してウィリアムに殺到させる。
 だがラクリマ・セクスアリス達に構っている暇はない。ウームー・ダブルートゥに集中しなければならない時であるので、ウィリアムは初手から最大級の魔力を持って氷の世界を現出する。凍り付いていく獣人達とラクリマ・セクスアリス。完全に倒せたとは言えないが、脱出までには時間がかかる。
「これで凍っていてください。今は最終形態優先ですので」

「ようは寄せ集めって奴かな?」
 迫り来る呪詛に塗れた粘液を寸前で躱す劔。恐怖の対象とはいえ、その姿が悍ましいと感じる程度のこと。身がすくむということなど、劔にとっては久しく忘れた感情である。
 すでに身体のあちこちは機械に成り果てた。ならばその性能を存分に発揮して、敵を打ち倒すのみ。そう言わんばかりにフォトンガントレットを起動させて、弾を吐き出す劔。頭の上の妖怪一足りないもダイス投擲を持って応戦する。
 呪詛の粘液の腸を切断し、隙のできた身体に「青龍撃(バレットスピーディング)」を発動させた劔が突き抜ける。空気中の水分を凝縮し形成した青龍の爪と牙が、セレブラム・オルクスの邪悪な身体を切り裂き、劔を通過させる。
「邪魔すんじゃねえよ、三下」

「第五形態『モルトゥス・ドミヌス』は厄介ですね」
 そう言いながら水果は美しき白銀の槍「アリスランス」を構える。その槍は使い手の想像力に応じて無限に進化する。モルトゥス・ドミネスはすべてを喰らう両手を持って、水果を喰らおうとする。
 そしてその能力はすでに水果は知っている。だからこそ「Alice Dance(アリスダンス)」によってアリスランスを複製させて、ガンランスの砲撃を叩き込む。その顔が笑顔に歪むモルトゥス・ドミネス。だが次の瞬間、その腕が弾け飛ぶ。
「……アリスダンス、楽しんで貰えた?」
 威光を示す水果。その効果に怪訝を示しながらも、アリスランスを複製して水果に放つモルトゥス・ドミネス。だがその砲撃は泡のように水果に触れると霧散して消える。
 そう水果はアリスランスを「対オブリビオンにしか効果のない誘導炸裂弾を放つガンランス」に進化させておいたのだ。発動しても協力者が現れるだけで、すぐに悪影響があるわけではないという考えで、その進化を果たす時間はあった。
 もう片方の腕の砲撃で吹き飛ばし、モルトゥス・ドミネスを飛び越える水果
「オブリビオンさんは自滅して下さい」

 そして三体の大魔王を突破してきた三人の猟兵達がウームー・ダブルートゥに迫る。その力を、希望を喰らい力に変え、魔剣を放ち、黒雷を落とし、蒼炎をまき散らす大魔王。
 だがウィリアムは「Active Ice Wall(アクティブ・アイスウォール)」の氷塊の群を盾にして魔剣の雨を突破し、水の青龍と化した流れるような高速機動で黒雷を躱し、水弾を囮にして凌ぐ劔。水果はアリスランス達の砲撃によって蒼炎を吹き飛ばし、真正面からウームー・ダブルートゥに突撃する。
 そして正面からの水果のアリスランスの集中制圧砲撃が放たれる。それを魔力弾によって迎撃するウームー・ダブルートゥ。だがその脇をウィリアムと劔が位置取る。
「天よ、祝え! 青龍、ここに降臨せり! 踊り奏でよ、爪牙、嵐の如く!」
 劔が水の爪と牙を纏い、大魔王へと突っ込む。だがそれを許さないと魔剣が飛翔する。それを貫くのは、ウィリアムが生み出し氷の盾達。
 劔の爪がその身体を引き裂き、衝撃波と牙がその肉片を抉る。そして一瞬弱まった魔弾の隙を狙って、水果のアリスランスの砲撃が大魔王の身体に突き刺さる。轟音と共に、飛び散る血と肉。呻くウームー・ダブルートゥ。
 だが苦痛に微かに顔を歪ませながらも、攻撃を当てた二人への敵意は一片たりとも衰えていない。
「Active Ice Wall!」
 攻撃を終えた劔と水果を攻撃しようとするウームー・ダブルートゥだが、ウィリアムが展開した氷塊達がそれを邪魔する。撤退時のことまで完璧に詰めておくとは抜け目がない、とウームー・ダブルートゥも唸る。
「サンキューな」
「いい援護でした」
 劔と水果の感謝の言葉を受けながらも、ウィリアムはウームー・ダブルートゥを見る。傷を癒しながら、冷徹な瞳はこちらを見ている。
「恐怖を乗り越え、希望を積み重ねる猟兵共よ。我に喰らえない者などない。それを、忘れるな」

 だがその言葉にはもはや威厳よりも哀愁を感じさせるものがある。そう思ったウィリアムは、大魔王の言葉に希望を喰らう者としてはあり得ない強がりを感じたからだ。
 つまりそれこそ、すべてを喰らえない可能性の肯定。それはウームー・ダブルートゥの滅びの兆候でもある。つまり、決着は近いと感じながら、その場を撤くウィリアム達だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ソラスティベル・グラスラン
あ、貴方は、神……?
いや……貴方こそが真の大魔王なのですね
喰らわせはしません、学園も、この世界も
何故ならわたしは、『勇者』なのですから!!

【オーラ防御・盾受け】で守り、【怪力】で構え【見切り】受け流す
【第六感】で察知し可能な限り万全な【継戦】を
攻撃を縫い【ダッシュ】、わたしの大斧を叩き込む為に!

わたしは『願わない』
刃を構え、勝利を拾うのは我が【勇気】
わたしは『望まない』
傷を癒し、危機を祓うのは我が【気合い】
わたしは『祈らない』
賦活を与え、前進せしめるは我が【根性】

『勇者』とは勝利を願われ、望まれ、祈られる者
艱難辛苦が迫り来ようとも逆は無く

わたしだけは!己の力で立ち向かうしかないのですッ!!!


ミスト・ペルメオス
【POW】

実に厄介だな。だが…「そんなもの」で、勝てると思うな。

歩兵装備を纏って参戦。
念動力を最大限に行使。装備との連動・制御、デバイスと併用した情報収集、
自らを補強することによる反応の高速化、敵の動作の見切りなど様々に活かす。

敵の希望を己の力とする、厄介な能力。
難敵なのは覚悟の上。それでも敢えて、演習をこなすかのように冷静な戦いを心掛ける。
スラスターを限界まで駆使し、滑走、跳躍、フェイントも織り交ぜた戦闘機動を実行。
敵の攻撃を躱し、或いは念動力の障壁でダメージを軽減しつつ。
僅かな合間に【オープンファイア】。強化された肉体をも撃ち貫く勢いで、全力の射撃を捻じ込む!

※他の方との共闘等、歓迎です


十文字・武
願い、望み、祈りを喰らう大魔王
正しくヒトの天敵たる絶望的な能力だ
だが、知ってるか?
例え地獄の底に堕ちようと、ヒトの希望に果ては無いってな
幾らでも喰らうが良い
オレ達はそれ以上に希望を勝利を此処に願おう
勝負だ、大魔王

恐れるべき形態などありはしない。全て乗越え討ち果たしてきた過去の物
周囲に湧き出る絶望共を前に○覚悟を決めよう
群れて戦う事を知らん大魔王達なぞ恐れるに足りん
他猟兵と連携を取り絶望の壁を突き崩せ○団体行動・おびき寄せ・かばう
血反吐を吐こうと起き上がり、ただ奴を目指せ○激痛耐性・継戦能力・生命力吸収・限界突破
UC発動
狙うは唯一つ、奴の首級のみ
……アルダワが滅んだら、紅玉団長が泣いちまうだろ?


シーザー・ゴールドマン
【POW】
成程、最終形態に相応しい、姿と力だね。それでこそ、だ。

先制対策
願い、望み、祈り、か。私は自分以外に願いも望みも祈りもしないが……
まあ、君に望むのは大魔王に相応しい暴威だね。
直感(第六感)、戦闘経験(戦闘知識)による見切り、分身(存在感×残像)による惑わし、全てを駆使してUC発動までの時間を稼ぐ。

さて、私を殺せなかったね? どうやら死ぬのは君の様だ。

『ウルクの黎明』を発動。
増大した戦闘力で様々な魔法とオーラセイバーを剛柔自在の剣術で振るって戦います。戦場は空中、地上を問わず。
大技は限界まで戦闘力を増大化させた後のオーラセイバーを前面に立てての神速の体当たり。


ナイ・デス
……自らの、死を望む、と言ったら
あなたは、何を得る、ですか?

私はここにいて、ここにはいない
私は、死なない。死ねない、ですが

あなたは?

少年は、まだ死にたくない。どこかの本体に壊れないでと願っている
けれど、奥底では、死を。終わりを確かに、望んでいる
9年間の旅で抱いた、楽になりたいという願い

【覚悟、激痛耐性、継戦能力】喰われる

『未だわたしは此処にいる』

少年の望みは、叶わない
何度倒されても再生する
半端に壊しても【念動力】で自らの体、人形のように操り動く

死ねない絶望の中で

私は、勇者パーティの、聖者、です

人を救うもの
世界に選ばれた、世界を守る猟兵として
【生命力吸収】過去が今に生る、在る為の力を奪う光が
輝く


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

あたしの望みかぁ…なんだろ?
まぁとりあえず今は、あんたをブッ潰したい、とは思ってるけど。

…とは言うものの。多分あたしの火力じゃどうあがいてもダメージソースには力不足なのよねぇ。
…この際、火力は捨てるわぁ。あんたを倒すのは、あたしじゃなくてもいいんだもの。
〇目潰し・拘束・〇マヒ攻撃、遅延起動と接触起動を織り交ぜた〇だまし討ち…
強化をどれだけ相殺できるかは分からないけど。手札と手管洗い浚いブチまけて、●圧殺で徹底的に邪魔してやるわぁ。

…ホント、ボス連中ってどうしてこう「雑に強い」のかしらねぇ…
まあ結局は「虎が強いのはそいつが虎だからだ」ってことなんでしょうけど。



 神々しい肉体には傷一つついておらず、その威厳は一片たりとも朽ちることはない。希望を喰らうことで、その力にも限界はなく、無限に進化する究極の生命体にして捕食者。
 大魔王最終形態ウームー・ダブルートゥとはそういう存在のはずだ。だがしかし、自身にも予感があるのだ。滅びの時は近いという、予兆が。
 その眩いばかりに輝いていた胸の万能宝石の光が減衰しているのがその証拠なのかもしれない。だがそれでも、敗北は受け入れがたい。滅びは迎えることはできない。
「我はウームー・ダブルートゥ。すべてを与え、そのすべてを喰らう者。猟兵、決着をつけよう」
 その結果を示すべく、その眼前に現れた猟兵達を見据えるウームー・ダブルートゥ。勇者を目指し続ける少女、ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)は思わず声を零してしまう。
「あ、貴方は、神……? いや……貴方こそが真の大魔王なのですね」
 神を見たかもしれないその姿。だが頭を振り、ソラスティベルは頭を横に振る。その眼前にいる存在こそ、自身が目指す勇者が倒すべき最終目標でもあるのだから。
「喰らわせはしません、学園も、この世界も何故ならわたしは、『勇者』なのですから!」
 そして蒼い大斧「サンダラー」を構えるソラスティベル。だが絶望的な力があるのも理解している。それでこそ、大魔王。理解しているからこそ、十文字・武(カラバ侯爵領第一騎士【悪喰魔狼】・f23333)は面に立つ。
「願い、望み、祈りを喰らう大魔王。正しくヒトの天敵たる絶望的な能力だ。だが、知ってるか? 例え地獄の底に堕ちようと、ヒトの希望に果ては無いってな」
 それこそが人の強さ。自身も魔獣に魂を浸食されながらも、武の希望は決して潰えたりはしない。そのダイヤモンドよりも硬く、無限に果てがない希望こそ、大魔王を討つのだ。
「幾らでも喰らうが良い。オレ達はそれ以上に希望を勝利を此処に願おう。勝負だ、大魔王」
「いいだろう。我が力のすべてを持って、貴様達を喰らおうぞ猟兵!」
 ウームー・ダブルートゥは武の心に恐怖がないことを感じ取り、その恐怖を刻むためにすべての大魔王の形態を召喚する。
 『アウルム・アンティーカ』蒸気機械の化身にして第一形態。
 『レオ・レガリス』暴力の頂点にして第二形態。
 『セレブラム・オルクス』呪詛と汚濁の塊にして第三形態。
 『ラクリマ・セクスアリス』魔女の永劫回帰力を貪りし者にして第四形態。
 『モルトゥス・ドミネス』すべてを裁定する者にして第五形態。
 それらが武を取り囲む。圧倒的な絶望を前に覚悟を決める。こちらに向かってくるのならば、他の猟兵達が必ず大魔王を討ち取ってくれる。ウームー・ダブルートゥはソラスティベルの方をターゲットに決め、攻撃を繰り出そうとしている。
「群れて戦う事を知らん大魔王達なぞ恐れるに足りん!」
 武は吠える。全て乗越え討ち果たしてきた過去の物、なれど強敵。苛烈な攻撃が繰り出される中で、死中に活を得るために必死に攻撃を受け避ける。アウルム・アンティーカの砲撃を、セレブラム・オルクスの呪詛の粘液を、ラクリマ・セクスアリスの軍勢を、モルトゥス・ドミネスの裁定者のオーラを跳ね除け、前へと進む。
 すでに血だらけ軽くない傷はない。だが血反吐を吐こうと起き上がり、ソラスティベルと激戦を繰り広げるウームー・ダブルートゥを目指す。そしてレオ・レガリスの魔獣の顎が武の頭を砕かんと迫る。
「カラバ二刀流・零ノ太刀……【悪喰】!」
 「カラバ二刀流・零ノ太刀」。武の突撃は音を超え、魔獣の頭を貫き、その勢いのままレオ・レガリスの首を叩き落す。まさしく神速を超えた必殺技。だが負荷をかけ過ぎたその力で、武の身体がぐらつく。そこを他の大魔王達が襲い掛かる。もはや避ける気力も力も残ってはいない。

「成程、最終形態に相応しい、姿と力だね。それでこそ、だ」
 だがそれに迫る前に真紅のオーラセイバーがモルトゥス・ドミネスの腕を引き裂く。武のピンチに駆けつけたのは、赤きダンピール公爵シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)。不敵に笑みを浮かべて大魔王の影法師達を見て細く笑う。
 その不遜な敵に対してモルトゥス・ドミネスのすべてを喰らう手が叩きつけられる。だがそれはシーザーではなく、質量を持った残像であった。その後ろでシーザーは冷徹な笑みを浮かべ、「ウルクの黎明(デウス・ポテスタース)」の輝く真紅のオーラを身に纏っている。
「さて、私を殺せなかったね? どうやら死ぬのは君の様だ」
 そしてモルトゥス・ドミネスの裁定者のオーラごとバターのように切り裂く魔力を乗せたオーラセイバーが振るわれ、最後に首を刎ねる。その鮮やかな手並みは人の目では負えない速度で行われる。
 その赤き強敵を倒そうとラクリマ・セクスアリスは獣人の軍勢を差し向けようとする。だがそれを遮ったのは、降り注ぐ銃弾と爆裂音であった。
「あたしの望みかぁ…なんだろ? まぁとりあえず今は、あんたをブッ潰したい、とは思ってるけど」
 そうやって細めの目を少しだけ開けて眼光が光るティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)。その手には愛用のシングルアクション式6連装リボルバー「オブシディアン」とグレネードが握られている。
 そして銃弾を撃ち込まれた獣人達の手足が痺れ動けなくなる。爆発に巻き込まれた獣人達の視力が奪われていく。それがまるで病原菌のように獣人軍団に加速していく。これこそティオレンシアの「圧殺(アレスト)」の効果。様々な効果のグレネードやルーンを刻んだ銃弾で、拘束効果・精神や五感をダイレクトに攻撃するのだ。
「安心していいわよぉ、よっぽど運が悪くなければたぶん死にはしないから。…死には、ね?」
 動けくなった獣人軍団を尻目に、ティオレンシアはラクリマ・セクスアリスの前へと飛翔。獣人軍団を生み出すその本体、魔女の眉間に銃弾をそれぞれ一発ずつ撃ち込み、顔の宝石をグレネードととっておきのルーンを込めた銃弾で爆裂させて頭部ごと吹き飛ばす。
「あたしの火力じゃどうあがいてもダメージソースには力不足だけど、使い方次第よねぇ」
 そう言ってティオレンシアが地上の獣人軍団を抑えている頃、空の戦いは続いていた。アウルム・アンティーカの砲撃を、歩兵装備のミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)が回避し続けている。
「実に厄介だな。だが…『そんなもの』で、勝てると思うな」
 かつて戦った金色の蒸気機械の大魔王。だがすでにミストの視線はその最終形態へと向いている。念動力を最大限に行使し、自身の装備との連動・制御、かつてのデータをデバイスから読み込み動きを見切り、補強することによる反応の高速化をして巧みにアウルム・アンティーカに迫る。
 そして魔導砲の発射タイミングと同時に、「オープンファイア」を起動。歩兵装備の射撃を集中的に撃ち込み、連鎖誘爆を引き起こす。爆発と同時にアウルム・アンティーカの機体がぐらつく。そこをスラスターを限界まで駆使し、跳躍接近。そのまま三つの頭を正確に撃ち抜いて破壊する。
 爆煙と破壊された装甲を散りばめながら落下していくアウルム・アンティーカ。その姿をミストは見ても油断は決してしない。
「難敵なのは覚悟の上。だが希望を力にするのがお前だけではない」
 冷静に戦場を俯瞰していたミストは、最後に残ったセレブラム・オルクスに目をやる。だが呪詛の粘液をまき散らす異形の大魔王には、白き不死の聖者ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)が歩みを進めている。
「……自らの、死を望む、と言ったら、あなたは、何を得る、ですか?」
 それは目の前のセレブラム・オルクスではなく、その先にいるウームー・ダブルートゥへの問い。だが呪詛の粘液で取り込み、ナイをそのまま呪い殺そうとする。
 呪いで身体と精神が浸食されていく中、ナイは葛藤する。少年は、まだ死にたくない。どこかの本体に壊れないでと願っている。けれど、奥底では、死を。終わりを確かに、望んでいる。9年間の旅で抱いた、楽になりたいという願い。
「未だわたしは此処にいる」
 だが彼は死ねない。能力「未だわたしは此処にいる(フェイタルムーブ)」により仮初の体は滅び去ったとしても、新しい体としてナイは新生する。どんな激痛を味わおうとも、どんなに四肢を失おうとも、ナイは壊れない。ナイは死ぬことは許されない。
 そして呪詛の粘液で何度も身体を放棄しながらも、より強化されたナイはその眼球と脳みそに手を当て、呪詛と生命力を吸いつくす。強烈な呪詛でまた体は死を迎えるが、新しい自分がセレブラム・オルクスが滅ぶまで吸収を続けたのだ。そして動かなくなった呪詛の大魔王の上で、ナイは視線を別方向に向ける。
「私はここにいて、ここにはいない。私は、死なない。死ねない、ですが……あなたは?」

 そしてウームー・ダブルートゥはその力と希望を喰らい尽くした戦闘能力でソラスティベルを蹂躙しようとしていた。蒸気盾は魔剣によってすでに破壊され、黒雷と蒼炎によって身体に無視できない傷を負わされている。怪力で受け流ししているものの、そう長くは戦えないだろう。
「ハァ…ハァ…」
「汝の希望、大魔王に立ち向かう勇者、確かに成った。なれば、我は汝の希望を悉く喰らい尽くすのみ」
 そして大魔王ウームー・ダブルートゥの総攻撃が息が上がるソラスティベルに吹き荒れようとしていた。だが、他の大魔王を撃破した猟兵達がそれを許すはずもない。
「…ホント、ボス連中ってどうしてこう『雑に強い』のかしらねぇ…まあ結局は『虎が強いのはそいつが虎だからだ』ってことなんでしょうけど」
 愚痴を言いながらもティオレンシアはルーンの籠った銃弾をその身に叩き込み、行動を阻害。いささか火力は足りないようには見えるが、彼女は知っていた。彼女自身が大魔王を倒す必要がないことを。
「敵の希望を己の力とする、厄介な能力。だけど、決して破れないものではない」
 空から魔剣を叩き落す精密射撃を敢行するミスト。さらに持てる念動力を駆使して、黒雷の落下地点を歪曲し、ソラスティベルの被弾を避ける。演習をこなすかのように冷静な戦いっぷりは、もはや頼もしいの一言だ。
「私は、勇者パーティの、聖者、です」
 飛来した蒼い炎を身体で受け止めるナイ。その炎の中で、死ねない絶望の中で、たった一つ辿り着いた今の真実。人を救うもの。世界に選ばれた、世界を守る猟兵として、力を振り絞ってウームー・ダブルートゥの足にしがみつく。
「ソラ、行って」
 そしてその身体が極光に包まれる。過去が今に生きる、在る為の力を奪う光が大きく輝く。自分のため、そして友の為に。ウームー・ダブルートゥの希望を喰らった力を吸いつくすように、力を発揮するナイ。
「ナイくん、ありがとう!」
 そしてサンダラーを構えて飛翔するソラスティベル。だがその少女を引き裂こうとウームー・ダブルートゥの攻撃が迫る。
「願い、望み、祈り、か。私は自分以外に願いも望みも祈りもしないが……まあ、君に望むのは大魔王に相応しい暴威だね」
 その腕をオーラセイバーで引き裂き、ソラスティベルを守るシーザー。その肉体の強度や反応速度からしても、ナイとティオレンシアの攻撃が効いている。そして他の攻撃はミストが抑えている。
 シーザーは渾身とも呼べる限界まで戦闘力を増大化させた力を速度に変えた、神速の体当たりを実行する。突き立てたオーラセイバーが狙うは、胸で真紅に輝く万能宝石。その衝撃で砕くことはできずに弾き飛ばされてしまったが、シーザーの一撃は確かにその宝石に亀裂を入れていた。
 そしてそこにソラスティベルがサンダラーを振り上げる。「勇者理論(ブレイブルール)」の力をありったけにその一撃に込める。
(わたしは『願わない』)
 刃を構え、勝利を拾うのは我が『勇気』
(わたしは『望まない』)
 傷を癒し、危機を祓うのは我が『気合い』
(わたしは『祈らない』)
 賦活を与え、前進せしめるは我が『根性』
 大斧を振り下ろす時、勇者を思い出していた。ソラスティベルの勇者の物語、それは勝利を願われ、望まれ、祈られる。艱難辛苦が迫り来ようとも逆は無く、ただ突き進むが勇者。
「わたしだけは! 己の力で立ち向かうしかないのですッ!」
 渾身のサンダラーが万能宝石と激突する。シーザーが入れた亀裂にその蒼き刃が突き刺さる。真紅の輝きは抵抗するように、蒼き衝撃をはじき返そうとする。だがソラスティベルの力はそれを凌駕する。
「勇者を、舐めるなああああああ!」
 最後の一滴の力を込めた必死の一打。ついにその斧はウームー・ダブルートゥの核である万能宝石を撃ち砕く。真紅の欠片が空を舞う。そしてウームー・ダブルートゥは喰らった希望、そして力が霧散していくを感じる。
「我が、負けるか。だが、ただの負けなど、認めることはできない。勇者、その光だけは、喰らおう!」
 力と魔力がすべてが消える前に、力を使い果たしたソラスティベルを引き裂こうと腕が振り下ろさんとする。そして誰もがそれに反応できるほどの余力はなかった。

 そう一人を除いて。大地を蹴り、一筋の流星が大魔王の首に接近する。血まみれになり、大地に膝を屈しようとも、カラバ二刀流・零ノ太刀の狙うのはただ一つ。ウームー・ダブルートゥの首級のみ。
 そして妖刀【鬼喰らい】と退魔刀【死神殺し】を振りぬき、大魔王の首を両断する武。血反吐を吐きながらも果たした願い。溢れたのは、思いだった。
「……アルダワが滅んだら、紅玉団長が泣いちまうだろ?」
 武が斬り落とした首が地面にはじまりの玄室の床に落ちる。それがウームー・ダブルートゥの終わりを告げる音であった。万能宝石を失ったその身体は輝きを失い、亀裂が走り崩壊へと向かう。身体の欠片は次々と塵になっていき、消えていく。
「これが…猟兵…これが…汝らの…希望…か…」
 その表情は最後まで変わることがない。だが顔に亀裂が入りながらもウームー・ダブルートゥの声は虚空に響く。
「その希望…誇るが…いい……我を…もってしても……喰らえなかった……希望……を……」
 その言葉をもって、ウームー・ダブルートゥは消滅を迎えた。すべてを喰らう者が喰らえなかった希望。それを前にしてどんなおもいだっかはわからない。だが死闘を尽くし、大魔王の最後を看取った猟兵達は、その勝利を噛み締めた。

 ファーストダンジョンの主。災魔達の王にしてすべてを喰らいし者。大魔王最終形態ウームー・ダブルートゥは倒れ、その消滅をもってアルダワ魔法学園の勝利を齎した猟兵。
 戦争はまだ続いているが、勝利確定の瞬間はまもなく訪れることだろう。使命をもったアルダワ魔法学園の生徒は本懐を成し遂げただろう。猟兵はカタストロフを止められたことに安堵したことだろう。
 そしてこれからの平和な日々、大魔王がいない迷宮がどうなるのか。残る災魔はどうなるかなどの問題もあるが、今はただ勝利に酔いしれるがいいだろう。アルダワ魔法戦争は彼等が勝ち抜いたのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年02月19日


挿絵イラスト