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ルペルカリア・リゾート

#スペースシップワールド

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#スペースシップワールド


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●ルペルカリア・リゾート
 緩やかな波の音、三次元投射システムと疑似天体システムによって作り出される偽の南国。砂浜と海水は本物を使用しており、高出力の振動発生機を法則に従って置くことで本物さながらの波を演出している。併設するスポーツ・エリアでは晩年を迎えた老人が好きな競技にのめり込んでいた。この区画は品の良い宿泊施設が幾つも並んでいる。
 若者向けの区画は少し離れ、賑やかな声が一昼夜通して、絶える事はない。友人や恋人、たまたま知り合った誰か、そんな者達と気ままに道を歩き、シェフロボットに注文をして食を楽しむ。一時の恋に酔いしれる者が居れば、半流動体ソファに身体を沈め、360度スクリーンのサイバーエリアを昼夜通して遊び尽くそうとするゲームファンも少なくない。
 最上階層に行けばパーフェクト・クリーン・シェルタービュー構造による、リラックスルーム。宇宙空間や間近で起きる天体現象等が肉眼で、生で楽しめる。細かいが、全てのエリアで地球と同程度の重力を絶えず発生させており、運動不足の解消にももってこいだ。
 交易船の港では、商人が土産物を売りに出す。コアマシンで独自抽出した製品をわざわざ手作業で加工し販売する露天商は話してみれば十人十色の会話を繰り広げ、客の心を掴もうとする。ルペルカリア・リゾート。
 生存に疲れた人々、居住可能惑星の探査に疲れた人類。そんな者達が一時の癒しを求め、此処に集う。出会いと別れ、一夜の祭りの船。
 この緩やかな空間の収益に目を付けたのか、帝国軍は情け容赦無く略奪を開始する。駐屯兵の奮戦も虚しく、ブリッジは占拠され、コントロールが奪われる。帝国軍の声が響く。
「降伏しろ。そうすれば、命だけは助けてやろう」
 条件を呑んだ人々を、帝国軍兵士は倉庫区画に押し込み、見えぬ所で嘲笑う。その後は帝国兵として生きるのだ、間抜け共め。

●グリモアベース
「スペースシップワールドで事件が起きるのを予知したけー、皆に解決を依頼するな」
 少し険しい顔をしてから、すぐに笑顔に戻すと、海神・鎮(ヤドリガミ・f01026)が猟兵達に語りかける。
「まず、この世界は儂らのことを知っとるし、余裕があれば支援もしてくれるけー、動きやすいじゃろ。状況が許せばじゃけどなー……」
 事件の概要はこうだ。一つの船が銀河帝国部隊によって制圧された。部隊を撃破し、宇宙船を開放して欲しいというものだ。
「宇宙船の名はルペルカリア・リゾート、出身者なら知っとる者もおるかもしれんなー」
 その名の通り、リゾート船であり、収益を観光一本に絞っている。大抵の娯楽を遊ぶことが出来るので、出会いの場としての性質も強い。
「まあ遊ぶ余裕は……あったら遊んでもええ、か。うん。それは兎も角、まずはブリッジを目指して、コントロールを取り戻して欲しい」
 ただし、いたる所に無数の護衛や警備兵がうろついている。いずれも猟兵には障害物程度と思って良い。ただし、かなり数が多いので、一々真面目に相手をし過ぎると体力が際限なく減っていく。そこだけは注意して欲しい。
「まあそれも、数人の内に叩いてガンガン進めばええだけの話じゃけどなー」
 体力に自信がある者は、前述の通り、護衛や警備を蹴散らしながら進み、敵の制御システムを力ずくで破壊すると良い。
 素早さや知覚力に自信がある者は、護衛や警備を掻い潜って進み、敵の制御システムを技巧をこらして破壊すると良い。
 頭を使って、護衛や警備の裏をかき、敵の制御システムを知恵を絞って壊すと良い。
 勿論、他の方法を考えてみても良い。
「今回はこれくらいじゃと思う。遠慮はいらん。やり方は皆に任せるけー、よろしく頼む。信頼しとるけーな!」
 そう言って鎮は笑顔を見せると、猟兵達を送る準備をし始めた。



●挨拶
 紫と申します。 宜しくお願い致します。
 5作目の舞台はスペースシップワールドにしてみました。
 一応バレンタインのシナリオです(要素ゼロ)。
 余談ですが、SFという略称を長いことスペース・ファンタジーだと勘違いしていました。本格的なサイエンス・フィクションには余り触れたことがありません。

●シナリオについて
 経路とかは細かく気にしなくて大丈夫です。
 この区画を通りたい、こんな区画はある? なんか凄い施設があるし、寄り道したい! 等があれば、遠慮なくプレイングに記載して頂いて大丈夫です。
 大体リゾート施設にありそうなら有ることにしますし、その区画を通るようにします。

●最後に
 精一杯頑張ってお送りいたしますので、宜しくお願い致します。
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第1章 冒険 『制御奪還作戦』

POW   :    護衛や警備を蹴散らす。敵の制御システムを力ずくで壊す。

SPD   :    護衛や警備を掻い潜る。敵の制御システムを技巧を凝らして壊す。

WIZ   :    護衛や警備の裏をかく。敵の制御システムを知恵を絞って壊す。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シーザー・ゴールドマン
【POW】
「このリゾートはなかなか良い所でね。帝国にくれてやるには勿体ないな」
という事で奪還を目指します。

護衛や警備、制御システムは視界に入り次第、『ソドムの終焉』で攻撃してブリッジを目指します。
「ふん、私の光から逃れる事は叶わない」

ただし、途中で美味い酒を出す施設が稼働しているとそこで小休止。
お酒を楽しんでから、再稼働です。
※これは他の参加者さん等の要因で護衛、警備が分散、手薄などになって余裕がある場合に限ります。

常に余裕がある態度を崩しません。(仮に死の間際でもそれは変わりません)
アドリブOKです。


ジャン・クロニエミ
「おたくらもこーんな広い宇宙をあっちこっち、元気だねぇ。おっさん、疲れることしたくないからさっさと死んでくれや」

正面から蹴散らして行こうかね。
身構えられる前に斬り込んで、一の太刀でまず1人斬り落としちまおう。
それで一瞬混乱するようなら、そのまま返す刃で近くにいるやつを斬り捨てるとしよう。
敵が冷静に反撃してくるようなら、念動剣で防ぐなり、射撃なら跳ね返すなりしてやろう。
真っ二つに切る時は頭から真っ直ぐ斬り捨てよう。それだったら動けないっしょ。
銀河帝国の兵士といえば、ドロイドとかクローンとかだろうからねぇ。遠慮なく斬り捨てて、さっさと終わらせようか。
まぁ別に人が相手でも、あんまり気にしないけどね。


逢坂・宵
●アドリブ歓迎
今度はリゾート船ですか……
アルダワで頭をたくさん使ったので、やること終わったらのんびりしていきたいですねぇ
猟兵の休息にはもってこいです
……あの空は本物の天体ではなく、投影しているだけというのが残念ですが

術を応用して『第六感』『封印を解く』も併せて警備制御システムの解除に取り掛かりましょう
こういうものは、至る所に接続用のコンソールなどがあるものですから
人目につかなさそうなところを選んで、ハッキングを試みてみましょうか
できれば仲間との連携も密に行いたいものです


ユノ・フィリーゼ
…まるでこの船自体が一つの世界みたい
人々の笑顔を守るひとときの楽園
勝手な理由で奪わせたりなんてしないわ

外の景色がよく見える場所があればいいなと思いながら
スカイステッパーで空中も足場にしながらブリッジを目指す
…でも、本当に。ここは目にするモノ全て真新しくて、
どうもあちこち目移りしてしまうな…

時折見かける機械仕掛けの操作盤やスイッチ
とても気になるんだけど、
機械の事はよく分からないしあまり触らない方がいいかな…
これが敵の制御システムだったら遠慮無く弄るのにね
近くに詳しそうな人がいれば尋ねてみようか

兵士達と出会したら速やかにその場を後に
なるだけ戦闘は回避したい気持ち
引き離せない時だけお相手させて頂くよ


ロア・ネコンティ
【共闘・アドリブOK】
【SPD】ひと気のない場所を進みブリッジへ

『半流動体ソファ』最高……。あたたかくてやわらかな感触……ケットシーをダメにするソファ……。

ってダメになってる場合じゃない!
ブリッジを目指さなきゃ!!

天井の点検口や排気ダクトに隠れながらブリッジを目指すよ。[暗視・聞き耳]を使って、人気のない場所を行く。途中警備兵や護衛に見つかったら精霊銃[範囲攻撃+マヒ攻撃]の雷魔法で動きを封じ、なるべく最小限の戦闘で進む。

ブリッジに着いたら両手にタガーを持ち[シーブズ・ギャンビット]で暴れまわる。船のコントロールを司るブリッジ内では熱戦銃は撃ちづらいでしょ。タガーの方が早く動けるはず!



●星間のツォアル
「このリゾートはなかなか良い所でね。帝国にくれてやるには勿体ないな」
 シーザー・ゴールドマン(ダンピールのフォースナイト・f00256)は転送されたミッドナイト・エリアで真紅のスーツを翻す。洒落たバーとその手の店が所狭しと並ぶ歓楽街。昼夜問わず宵闇に覆われ、月が一夜の出会いを祝福し、時に裏切り、星々の煌めきが慰める。
 平時であれば、妖艶な女性型セクサロイドが色香を撒いて男を誘い、美麗な男性型が女性に甘い吐息の様な声で、一夜の暇潰しはどうかと誘う。そんな光景が広がっていただろうか。
 今やその面影は無く、影と言えば声に反応する監視システムドローンと、一斉に反応し、群がってくる帝国兵のみだった。
「……邪魔だな」
 シーザーは体表を覆うオドを強め、瞬時に複数の熱閃光を形作る。半径10m四方に振りまき、宇宙帝国兵とドローンを焼き尽くしていく。常にオドを一定以上に高めた状態で歓楽街を駆け抜け、視界に入ってくる監視ドローン、帝国兵をひたすら焼き尽くし、ブリッジへと向かう。
「ふん、私の光から逃れる事は叶わない」

●先の先
「手間が省けるねぇ」
 同じエリアに転送されたジャン・クロニエミ(フォースナイト・f10018)が気の抜けた調子で煙草を吹かし、シーザーの仕事振りを一通り眺め、自身もブリッジへ向かう。シーザーが全方位焼却が可能ならば、2人で協力よりも、別個に部隊を叩く方が効率的だろう。 監視ドローンの報告からスリーマンセルで向かってくる帝国兵を目で捉え、彼等が身構えるより早く、黒色のコートを取り巻いた剣帯から、紫色の閃光が奔る。
「師曰く、一太刀に研ぎ澄ませた念を込め、戦意を断て、とさ。ほら、浮き足立ってると同じ目に遭うぞっと」
 唐竹割の剣閃が帝国兵の1人を再起不能にする。瞬時の混乱は彼等にとって致命傷だった。振り下げた刀が瞬きの間に逆風に振り上げられ、2人目を容赦無く切り捨てる。ようやく事態を把握した最後の1人が、銃のトリガに指を掛ける。
「遅いねぇ。おっさん、疲れることしたくないから、さっさと死んでくれや」
 念で作り上げられた紫の刃を翻し、一人目の軌跡と寸分違わず、剣閃が弧を描く。

●激化
 2人の活躍により、ミッドナイト・エリアへ帝国軍が大挙して押し寄せる。様子見の小規模編成が合流し、12人の1個分隊となり、5分隊が集まり、1小隊が再編成され、市街地戦は激化していく。1個小隊と正面衝突しそうになった所でジャンは一度、物陰に隠れた。
「こーんな広い宇宙をあっちこっち、本当に元気だねぇ」
 先行してきた警備用ドローンを音もなく切り落とす。異常を察知した兵隊が駆け付け、一斉に光学式アサルトライフルに指をかける。サイバー・スコープによるオートロック。フル・オートの無形の弾丸が、周囲一帯にばら撒かれる。
「はい、残念賞っと」
 黒色のコートに僅かな埃。念動力の強化と超人的な身のこなしで被害を最小限に抑え、飛来する頭部に飛来する弾丸を的確に念動剣で弾く。
 焦燥を感じた敵指揮官がスタンロッドを構えるも、その身体が中央から、二つにズレる。
 指揮官の指示を了解した他の敵が躊躇なくスタンロッドを構え、4人がジャンにそれを振り下ろそうとした所で、紫色の光剣が全員の四肢を一瞬捉え、思わず4人が一斉に動作を止める。他の7人が怒号を上げる間に、スタンロッドを持つ腕部が4本、宙空を舞う。
「厄介な武器持ってるねぇ」
 嫌になる、と上段から一閃、返す刀が二閃、足捌きと体重移動で向きを変え、刃の翻しから三度、紫電が閃いたと思えば、次の瞬間には切っ先が三日月を描く。
「苦戦中かね?」
 ルートが同様になったシーザーが、オドを活性化させ、対象を指定。魔力の閃光が10m四方を焼き尽くす。4人は退避が間に合わず直撃、どうにか耐えた3人を、ジャンが両断する。
「おっさん、歳だからなぁ……」
「そうは見えんがね」
「そりゃどうも」
「数が多くなってきているな」
「うん、有難いねえ、シーザーちゃんの後ろで、楽させて貰うよ」
 シーザーが焼き払った後、溢れた所をジャンが的確に切り落とす。シーザーは砲台であり、盾でもあった。真紅のスーツは兎角人目を引き、広範囲のオドによる熱焼却は、必要以上にシーザーへの対応を迫られる。犠牲覚悟で肉薄しても、付近に隠れているジャンが的確に切り捨てる。幾ら警戒を強めても、速度で対応できない帝国兵は、必然、物量をもってしても、苦戦を強いられる事となる。

●星風に安らぐ
「今度はリゾート船ですか……やること終わったらのんびりしていきたいですねぇ」
「……この船自体が一つの世界みたいだね。少し、気が抜けてる?」
「この間の魔法で、少々頭を使いすぎまして……」
「あんな無茶するからだよ……」
「返す言葉も有りません」
 逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は何時も通り柔らかに微笑む。シーザーとジャンに目が向いている間に他のエリアに移動しながら、ロア・ネコンティ(泥棒ねこ・f05423)、ユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)の3人はブリッジを目指す。
 流入してくる兵士に見つからないよう、ユノとロアは護衛や警備の視線から逃れながら、宵は視線を上手く魔法で誘導して進んでいく。
「少し寄り道をしましょうか……或いは、近道かもしれませんし」
 宙空を踏み台にするユノに声をかける。少し速度を早め、最上階層のリラックスルームへ辿り着いた。
「偽の天体は残念ですが、此方は肉眼で空が見えるということでしたので」
 太陽系に属するだろうか、或いは別の宙域か、恒星、惑星小天体、星雲、様々な星々が煌めき、或いは儚き命を終え、或いは恒星へと進化を遂げていく。それらが曇りのない透明な壁1枚の先でゆったりと流れ、過ぎ去っていく。その光景に暫し、浸る。
 一方で、ロアは備え付けられた半流動体ソファに身を沈めていた。この施設にある半流動体ソファはマッサージ機能も付いており、自動的に最適な形状に調整され、疲労部分を的確に優しく解す。
「これ最高……温かくて柔らかな感触……ケットシーをダメにするソファ……」
 想像以上の心地良さに思わずうっとりと目を細めた。
「……って、ダメになってる場合じゃない! ブリッジを目指さなきゃ!」
「僕も後で堪能したい所です。そろそろ行きましょう」
「良いなあ……」
 蒼穹でなくとも、これは届いた1つの形と捉えて良いだろう。実例を見て、ユノが人知れず小さな声で呟いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

トルメンタ・アンゲルス
全く、船ばかりで窮屈なこの世界で、数少ない娯楽施設を狙われるとはねぇ。
正直、むかつきますねぇ。
相応の報いは受けて頂きましょうか。

【SPDと見せかけたPOW】

行くぞ、NoChaser!全力で突っ切るぞ!
変、身!
『MaximumEngine――HotHatch』

相棒の宇宙バイクを呼び出し、防御力重視の装甲として変身合体。
クラウチングスタートの体勢を取り、OverDriveを始動。
ブースターにエネルギー充填。
『OverDrive――ShootingStar』
チャージを解放し、最高速度で疾駆。
護衛や警備が知覚できない超スピードで突っ切ります。
途中で撥ねるかも

※アドリブ歓迎
※『』内はベルトの機械音声です


ニコラ・クローディア
「囮役は任せてもらおうか。何、囮といっても、雑魚は全て片付けてしまってもいいのだろう?」
グリモア猟兵としてのゲート生成能力を利用し、【存在感】を示してわざと監視システムにひっかかっては短距離ワープで死角へと【ジャンプ】し、釣られた敵に不意打ちを繰り返す。
敵が密集してきたら本格的な戦闘開始。
【オーラ防御】【拠点防御】【激痛耐性】で守りを固めつつ【高速詠唱】【全力魔法】で【なぎ払い】をかける。
「そうらどうした、その程度では数が足らんぞ?」
とはいえ、囲まれ過ぎたらゲート生成の【早業】で離脱するがな。
「そらそら、こっちだぞ?」
龍詞の雷咆でまとめて感電させてやろう。

アドリブや連携歓迎


聖護院・カプラ
【WIZ】
やはり銀河帝国の仕業ですか。
ヒトの憩いの場をも奪おうとする行い、改めさせねばなりません。

既に現地には多くの帝国兵がいるとのこと。
一組ずつ相手をする時間は今回ありませんので、兵を引きつけて数を集めたところを一網打尽とさせていただきます。

ルペルカリア・リゾートは観光用の船。景観や作りの都合を優先して隔壁操作をしきれない区画があるはずです。
そういった区画を通りなるべく多くの帝国兵を『存在感』で引きつけ、行き止まりになる区画に誘い込みたいですね。
成功したなら後光ユニットから発する『円相光』で彼らをこの場で行動を不能とさせていただきます。

失敗したならしたで、敵は引きつけられた筈。
後を頼みます。



●テンペストーソ
「全く、船ばかりで窮屈なこの世界で、数少ない娯楽施設を狙われるとはねぇ。正直、むかつきますねぇ。相応の報いは受けて頂きましょうか」
 ミッドナイト・エリアの物陰に隠れたトルメンタ・アンゲルス(流星ライダー・f02253)の相棒が、同意するようにコンソールを明滅させる。
「では行くぞ、相棒。変、身!」
 MaximumEngine――HotHatch.
 生体認証クリア。所持者の声に機械音声が応答する。コンソールと連動した専用デバイスに次々と文字が羅列され、ノーチェイサーが、トルメンタの装甲へとその姿を変えていく。
……Deffender Mode armord complete.
「全力で突っ切るぞ!」
Command OverDrive. device access ShootingStar……energy chaarge……30……50…770…energy charge complete.
クラウチングスタートの形に身を沈め、流星の脚部装甲に備え付けられたブースターへエネルギーを送り込む。徐々にその周囲が燐光を放ち、高音の唸りを上げ、臨界に達する。トルメンタが弾き飛ばされた様に、走り出し、超速で駆け抜ける。集まりつつある帝国兵、大量の警備ドローンの知覚を置き去りに、発する風圧で切り裂き、或いは撥ねて吹き飛ばしながら、ブリッジへの道を急ぐ。その姿は一筋の流星であり、名の如く、全てを薙ぎ払う嵐だった。
「我らの仲間は頼もしいな」
「世界は広いねえ……」
 シーザーが笑う。帝国軍の戦線はこの一手により、完全に瓦解し始めた。

●閃光と雷光
「頃合いでしょう。皆さんはブリッジへ」
「うむ、ここは我らに任せてもらおうか。何、雑魚は全て片付けてしまっても良いのだろう?」
「ええ、ヒトの憩いの場をも奪おうとする行い、改めさせねばなりません」
 ニコラ・クローディア(世界を渡る龍賢者・f00091)と聖護院・カプラ(旧式のウォーマシン・f00436)が集まった兵力と瓦解に、好機と声を掛ける。ニコラ、カプラの存在感に帝国兵は、シーザーとジャンの存在を忘れ、その隙に2人は今度こそこのエリアを抜ける。皆が暴れてくれたお陰で、誘導の必要も無さそうだ。
「そら行くぞ」
 人とは思えぬ唸り声に、口腔内に展開された魔法陣が高速で活性化する。編まれた雷砲が、龍詩の咆哮と共に放たれる。空気が擦れ、瞬間、待機が悲鳴を上げる。ミッドナイト・エリアがその閃光に一瞬焼かれ、帝国兵が薙ぎ払われる。
「全力は……流石に堪えるな。援護を頼む」
「承りました……改めなさい」
 動力エネルギーを後光ユニットに集約し、視界を覆い尽くす閃光が閃く。帝国兵の焼けた瞼の下に、強い存在感から、カプラの巨体が浮かび上がる。ある種の信仰すら芽生えそうになる神々しさは、、再充填分の時間まで、動きを止めることに成功する。
「感謝する。そうらどうした、その程度では数が足らんぞ?」
 雷砲が、再び帝国兵を焼いていく。

●ブリッジ
 戦局の混乱に、ブリッジの帝国兵は困惑を隠せなかった。戦力は大規模に投入した、侵入者は多く見積もっても10人に満たない。既に鎮圧されているはずだ。まさかかつての英雄が亡霊となって蘇ったかと、非現実的な思考が頭をよぎる。今も反応がある警備ドローンが撃墜され、此方に向かって来る。ブリッジの人質に銃口を向けたまま、その視界が突然ブラックアウトする。暗視モニターに切り替えようと指を動かす、或いはオートで切り替えるより早く、その腕の感触がなくなった。暗闇に影が蠢き、非常用電源に切り替わる頃には、ブリッジに捕らわれていた人員が全員、外に逃がれる事が出来た。
「案外、簡単なクラッキングなら、魔法でどうにか出来るものですね」
「俺も手伝いましたが、魔法で出来るもんなんですね……」
「……詳しい人に任せて良かった、よね?」
「何だか、もう言葉もないよ……」
「人員はこれで全員だよねぇ」
「ここで焼却は出来んな。アートルム」
「人々の笑顔を守るひとときの楽園、勝手な理由で奪わせたりなんてしないわ」
 どう受け取ったのか、ブリッジの生き残った帝国兵が銃を構え、トリガーを引く。無形の弾丸をジャンが剣閃で薙ぎ払い、間にロアがローブを投げ払い視界を限定。壁を蹴り、高速で小剣が赤と青の軌跡を残す。ユノが銀剣を抜き、宙空を蹴って真上から帝国兵を切り払う。シーザーが黒騎士の槍に変化したアートルムで帝国兵を穿つ。宵とトルメンタは続いて敵の制御システムをクラック、警備ドローンと、混ざっていた機械化兵の無力化を試みていく。時折、トルメンタにシステムの構成を質問し、それを魔法として解釈し、クラック。
 ミッドナイト・エリアに残り、帝国兵の対応をしていたカプラとニコラの2人の方でも警備ドローンの沈黙が確認され、帝国兵の勢いは見る見る間に衰えていった。
「しかし、エネルギーを使い過ぎました。いいコンディションでは、ありませんね」
「流石に喉が痛い……魔力も使いすぎた……」
 あらかた感電させ、警備ドローンが鎮圧された所で、2人は小休止を取った。全てが終わった所で、ブリッジの人員に一先ずの安全を保証する。クラックは続き、制御システムのコントロールが戻って来た。
 混乱が一段落した所で戦場で合間に仕入れた美味い酒をシーザーが口に運んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『アイスバーグレンジャー』

POW   :    フォーメーション『霜』
【冷凍ビーム】が命中した対象を爆破し、更に互いを【氷の鎖】で繋ぐ。
SPD   :    フォーメーション『霰』
【隊長ペンギンの特攻体当たり】が命中した対象に対し、高威力高命中の【隊員ペンギン達の連続体当たり】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    フォーメーション『雹』
【隊員全員のパワーを合わせて巨大氷山】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●フロストカイザー
 帝国兵の戦力はかなりの数を掃討したものの、まだ残存勢力はある。倉庫区画に居る緊急用遊撃部隊。緊急用である理由は生体兵器であり、その声質から、余りに連携が取リづらい事に由来している。主力兵器は此処の死守の為に必要であり、使用することは出来ない。こうして、アイスバーグレンジャーと呼ばれる皇帝ペンギン型生体兵器が、リゾート・エリアに解き放たれる。

●状況整理
 猟兵達はブリッジのコントロールを取り戻し、一時の安らぎを得る。しかしすぐさま、リゾートエリアに新たな反応があるとブリッジの人員に聞き、向かう事となる。アイスバーグレンジャーは3人編成の4部隊。計12体だ。
 彼等はリゾートエリアを凍りつかせ、極寒のフロスト・エリアと変貌させ、自身に有利な場を作り、侵入者を待ち構えている。
 アイスバーグレンジャーのユーベルコードは全て、フォーメーションとして行われ、隊長格が指揮を取って使用する物が2つ。これは強みであると同時に、弱点でもある。隊長格から落としていけば、優位に戦えるだろう。但し、地の利は彼等にある。
 状況を頭の中で纏めながら、猟兵達はリゾートエリアいや、フロストエリアへと足を速めた。
聖護院・カプラ
成程、銀河帝国の生体兵器ときましたか。
非常に好戦的で連携の取れた部隊が攻めてくる事でしょう。
こちらも連携を取りたいところですが、即席では無理があります。
ですのでこの身を使い隙を作れたら、と思います。
ええ、彼ら/もしくは彼女らの行いを改めさせて下さい。お願いします。

戦闘区域に中央に陣取り、自身の『存在感』を敵に向け放つことで気を引きつけます。
成功したなら、そのまま座禅の体勢をとり『瞑想』に入る事にしましょう。

心身を落ち着ける事で、冷凍ビームを耐えきってみせます。
氷の鎖で繋がれてしまっても、元より身動きは取れないユーベルコード。
敵の行動範囲を逆に縛る事になりましょう。



●氷海に坐す
 アイスバーグレンジャーは向かってくる敵兵の情報を閲覧する。背面から光を発するウォーマシン、視認できぬ速度で疾駆したロボットの様な何か、包囲を容易く突破した痩身の男と、目に映る者全てを焼き尽くしていった偉丈夫。戦略を立てるとするならば、分散してからの包囲戦しかないだろう。同時に、勝率は高くないと、4隊の隊長は認識を共有した。少しでも疲労させれればそれで良いと、頷き合う。所詮我等は実験兵器、人語を理解できようと、彼等と共に並び立つ時など、永遠に来ないのだ。
 滑走しつつ散開、不利と知りつつ着いてきてくれる部下が頼もしかった。2隊が中央を、残りの2隊が左右に別れる陣形を取る。
 聖護院・カプラ(旧式のウォーマシン・f00436)はその最も危険とも言える中央に堂々と陣取った。8個の宝珠から後光ユニットへ動力エネルギーを集約、周囲を閃光が包む。あまりの存在感と、その光量に2隊が滑走を一時中断。目に焼き付いた良く分からぬ衝動と、情報にあったウォーマシンの存在を照らし合わせ、これがそうかと改めて喉を鳴らす。再び焼かれる前に行動を仕掛けようとするが。
「行いを改める気は、ありませんか?」
 2,7メートルの巨体を静かに台座に預け、カプラは瞑想に入りながら、アイスバーグレンジャーに語り掛けた。機械とは道具だ。つまり、製造目的は人のため、自分達と同様だった。隊長2人は暫し、その慈母にすら思える一言に聞き入り、考え、やはり首を振った。その目には戦士としての強い覚悟が宿されていた。
「もう少し早ければ、いい出会いになったのでしょうね……」
 彼等はカプラの問いかけに、確かに自分と向き合った。兵士として散ることが責任だと、彼等が考えた結果、衝突は最早免れない。2隊が一斉に強い冷気をカプラに放射する。
「……」
 カプラは目を閉じたまま、冷気放射を浴びても、微動だにしない。瞑想とは夢現の狭間での自己対峙。感覚系は必然鈍麻し、彼に一切の被害を与える事はない。氷の楔に繋がれ、2隊はカプラと対峙する事となる。呼び起こされた良心、瞑想によって際限なく膨れ上がっていく存在感、2隊は他の存在を忘れ、冷や汗を垂らした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
【POW】
4部隊12体によるペンギンショーか。なかなか厄介そうだね。

『ソドムの終焉』の光撃を射程範囲に入ったペンギン全部に同時に放つ事により牽制、それと同時に隊長格に「オーラセイバー」による攻撃を仕掛けます。
剣術は鋭く流麗。([2回攻撃][鎧無視攻撃][怪力])
防御面は[オーラ防御]に期待。
(戦場をよく観察。敵有利にカスタマイズされているので『ソドムの終焉』で敵本体を攻撃すると同時に足場などを破壊して徐々に動きを制約できればと思います)
【真の姿ver1:特に変わらない。黄金の瞳が輝き、身に纏う真紅のオーラが濃ゆくなるくらい】
他の猟兵がいれば連携


ジャン・クロニエミ
「やれやれ、銀河帝国もよくわからないものが好きだねぇ。まぁ無理せずやろうか」

なに、わざわざ自分たちから強い技使ってくれようっていうんだ。そいつを利用しない手はないわな。
大技使ってきたのに合わせて、二の太刀といこうか。
同じ技ぶつけられりゃ、少しは混乱するかな。
隊長を落とせればそれに越したことはないけど、部下の方が狙いやすそうならそっちから落とすよ。
指揮官のいない軍隊が烏合の集のように、指揮官だって指揮できる兵隊がいなけりゃただの兵士さ。
大技が来るまでは、仕掛けてきたところを念動剣で切り落としていくかね。
回避と防御は、念と第六感の囁きを信じるさ。敵意のある攻撃ってのは考えるより感じるものだ。


逢坂・宵
集団戦?
ふふふ、僕らも集団戦は得意ですよ
猟兵は基本、個人戦闘も集団戦もこなせるように鍛えられていますからね
僕のような術師も、集団戦でこそ輝くというものです
適材適所、得意なものを各々全力を傾ける……
僕らは、そういう戦い方をするものです
……いえ、楽できるなんて思ってはいませんよ?
これが僕の得意なこと、それだけのことです

仲間との連携を密にするように心がけて
『高速詠唱』『全力魔法』を用いて
天宙アストロメトリーで仲間のサポートに回りましょう
出来そうならば『第六感』『おびき寄せ』で、仲間が戦いやすそうなところに敵を誘い出したいですね


トルメンタ・アンゲルス
ほほぅ、氷だらけのエリアですか。
中々面白いことをしますねぇ、テーマパークに来たみたいですよ。
テンション上がりますねぇ。

尤も、氷漬けじゃない方がもっといいんですがねぇ!

地上が上手く走れないなら、宙を駆ける。
スマッシュ・エアで宙を駆け抜け、速さで翻弄し、他の人が体勢を整えるまで時間稼ぎします。
着地の際には、排撃のブリッツハンマーを応用し、氷にひびを入れて滑りづらくします。

相手が体当たりして来たら、残像と第六感を生かして回避と同時に、ラピッドファイアを使用。
連続して突っ込んでくる奴らを、自慢の拳の砲撃の連射で、真ん前から打ち砕きます。
氷山も、砕けそうなら砕きにかかります。


ユノ・フィリーゼ
ペンギン。空を飛べない鳥
本物ではないし敵対する兵器だけれど
何だか少しだけ親近感。なんて、ね
…身も心も凍り付いてしまわぬ内に、氷上のダンスに決着をつけようか

障害物を足場や盾にしながら、
高所からの蹴撃や衝撃波での攻撃を
凍り付いた床や壁では思わぬ所で足を取られてしまうだろうから、
深追いはせずに他の猟兵達と連携し戦う事を心がける
隊長機の見極めも可能な限り試みるよ

…嗚呼、この氷上が貴方達の舞台なんだね
あの青い空でなくとも、はばたけるソラが君達にもちゃんとあるんだ

胸が熱くなるのを感じつつも、奏でるのは盟約の歌
鋼鳥の戯れを喚び、氷上を自在に飛ぶ彼等へと嗾ける
どちらが長くこの空を羽ばたいていられるかしら…?



●氷上
「先行します。彼等の行いを改めさせてください、お願いします」
 そう言って行動を起こしたカプラは結果、2隊の足止めに成功する。ブリッジから借り受けた小型レーダーと通信機は非常に有難い。小型受信機に敵影がはっきりと移っているのをトルメンタ・アンゲルス(流星ライダー・f02253)は一瞥した。戦線の中央を目指し、6体の足止めに成功した事から、あと6体、つまり2隊が左右に別れたであろうと予測。皆が情報を確認しながら、周囲を見渡す。
「氷だらけのエリアですか。中々面白いことをしますねぇ」
「ペンギン。空を飛べない鳥……本物ではないし敵対する兵器だけれど、何だか少しだけ親近感。なんて、ね」
 ユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)は飛べない鳥と、自分を少しだけ重ねたのかもしれない。同情的な表情を一瞬だけ見せる。
「銀河帝国もよくわからないものが好きだよねぇ。まぁ無理せずやろうか」
「ペンギンショーか。なかなか厄介そうだね」
「またシーザーちゃんの後ろで楽させてもらうかね」
「気持ちだけ若返ってみるのはどうか?」
「失った年月は取り戻せるもんじゃないよ」
 シーザー・ゴールドマン(ダンピールのフォースナイト・f00256)の問いに、煙草を銜えて煙に巻こうとしたが、この寒さでは着火出来ないと、ジャン・クロニエミ(フォースナイト・f10018)は愛用の銘柄をポケットに仕舞う。
「支援はお任せ下さい。術師は後方支援と相場が決まっていますからね」
 逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)がそう申し出ると、トルメンタが軽く突っ込む。
「サボる気じゃないでしょうねぇ?」
「まさか。これが僕の得意分野ですし、協力は惜しみませんよ」
「……まあ、協力してくれるなら良いんですけど」
「……身も心も凍り付いてしまわぬ内に、氷上のダンスに決着をつけようか」
 ユノの言葉を皮切りに、猟兵は二手に別れていく。宵はそれを見届けながら、無詠唱で、幾筋かの流星を降らせ、敵を彼等の有利な戦場に誘き寄せる。
「適材適所、ですよ」
 カプラの様子は気になるが、連絡がないと言うのは彼が言った通り、瞑想に耽っているのだろう。頼りがないのは良い知らせと言うやつだ。

●氷鳥
 機械制御だからこそ、そのランダム性によって生じる高波が発生する。波乗りに興じる者の為の配慮だろう。波状のまま凍った絶好の足場が幾つも存在する戦場で、2人と1隊が邂逅する。腹を使ってスムーズに滑走する姿は、ユノに熱いものを込み上げさせた。
「……嗚呼、この氷上が貴方達の舞台なんだね」
 頷く代わりに3匹が滑走状態のまま、素早く突っ込んでくる。冷気を纏った体当たりをユノは危うげなく横に飛んで回避。彼等には、覚悟が宿っていた。
「テンション上がりますねぇ。決死ですか、全力で受けて立ちますよ」
 トルメンタは宙を駆けながら、スカイバーグレンジャーの1隊に声を掛ける。着地と同時にスカイバーグレンジャー目掛け、勢い良く蹴りながら、落下する。嘴を歪め、何処を狙っていると言わんばかりに余裕でそれを滑走しながら避ける。
「さあ、付き合っていただきますよ!」
「あの青い空でなくとも、はばたけるソラが君達にもちゃんとあるんだ」
 銀剣と一体となっている弦で盟約の歌を奏で、ユノも地を蹴り、トルメンタと合わせ、高速機動を開始。トルメンタが着地する度に氷上に大きな罅が入る。
「遊んで、おいで。彼等と貴方、どちらが長くこの空を羽ばたいていられるかしら……?」
 彼等に飛べる地があるならば、慈悲なき鋼鳥が気ままに戯れるのも良いだろう。自由を謳う旋律に呼ばれ、鋼鉄の翼がアイスバーグレンジャーを追走する。そうして彼等は、勝率が薄いと悟った理由を思い出す。気ままに滑走することの出来る部分は次々に潰れ、あの花のドレスを着た者の視界範囲内ならば、鋭利な鋼の鳥が何処までも追ってくる。チキンレースの様相だ。隊長はアイコンタクトを送る。逃げ場が無くなるならば、一斉に仕掛けるべきだ。フォーメーション霰。尚も高速起動を続ける中で、一瞬氷を割るために止まる、あのサイボーグを狙う。懐に飛び込み、隊長格がトルメンタ目掛けて当て身を仕掛けた。
「速いですが、俺の方が速いですね!」
 間一髪、飛び上がって宙を蹴り、回避。
「オラオラオラオラオラァ!!」
 1秒を21に刻み数えて追いつく瞬間速度。重火器砲を思わせる拳打が、隊長をカウンター気味に打ち据える。一瞬の混乱、隊員格を追走していた鋼鳥が彼等に容赦なく翼を打ち付ける。切り傷に尚も、隊の指揮は高かった。
「……ごめんね」
 次の生があるならば、仲間と気ままに、氷上を滑ると良い。ユノが惑う2匹に優しく銀剣を押し当て、痛覚が届くより早く、振り抜いた。
 隊長は、トルメンタの一撃から立ち上がる事はなかった。
「行きましょうか」
 通達。トルメンタの言葉に無言でユノが頷き、地を蹴った。

●氷点に映る
 シーザーとジャンが氷上を駆ける。程なく、視界に入ったアイスバーグレンジャーにシーザーが閃光を放つ。
「邪魔だな。失せろ」
「血気盛んだねえ」
 気付けば体表に纏うオドの色が濃くなり、瞳が爛々と輝いている。ジャンから見れば念動力を宿したような、という表現になるだろうか。
「ダンピールは多かれ少なかれ、そんな物だろう?」
「シーザーちゃんの偏見だと思うよ。ジュリアス・シーザーがどんな話か知らない?」
「裏切るような臣下は、私には居ないからな」
「これでも年配として、心配してるんだけどね」
 滑走するアイスバーグレンジャーの冷気投射を、ジャンが紫の軌跡を三度描き、切り払う。オドの防御効果に期待するのは剛毅だが、副次効果を忘れてはならない。自由に動き回れなくなるのは砲台としては強みであり、それを奪われるのは致命的だ。
「助かる。足場を崩していく」
「楽させてほしいなあ」
「聞けんな」
 にやりと余裕の笑みを作り、やれやれと言った感じでジャンが了承。追走。気ままに滑走するアイスバーグレンジャーの周囲を再びオドの閃光が焼却する。氷点に達した足場が本来の海の姿を所々に覗かせる。冷凍放射が放たれるより早く、シーザーが懐に飛び込む。指示を出す素振りをした隊長格に、魔王紋が一時的に活性化し、真紅のスーツの袖の下で、入れ墨の様な魔術文様が両腕に浮かぶ。オドが真紅の無実体剣となり、隊長格の翼であり、腕である部分を切り落とす。しかしアイスバーグレンジャーは決死だった。オドの防御によりダメージこそ無いものの、冷凍ビームの鎖に、シーザーが繋がれる。
「見事、私を鎖に繋いだか!」
「言わんこっちゃない」
 通信、続く冷凍ビームをジャンが切り払う。
「流星は古来より、人々の望みをその身に受け、そして時には雨となって人々のもとへ降り注ぐ。さあ、あなたに光を捧げましょう」
 ジャンの心中を察したかのように、宵の高速詠唱が通信機の向こうから届く。繋がれた鎖を暖かな流星が周囲を照らし、振り解く。同時に、隊長の合図。アイスバーグレンジャーが一斉に動く。フォーメーション雹。冷気が周囲に満ちていく。巨大氷山が上空に出来上がり、失った腕の代わりに首を曲げ、ジャンとシーザーに襲いかかる。
「楽しませてくれるなあ!」
 念動力とオドで巨大氷山を押し留めつつ円球状に展開、落下する巨大氷山を凌ぎ切る。「師曰く……剛に対する柔は凡百の兵法。剛は同等の剛を以て制する、だとさ」
 無形の刀身、古びた剣帯から抜かれた紫の念動剣に、巨大氷山の影が揺らめいた。
「少しは混乱するかな?」
 それがなにか悟った所で、彼等は隊を散開させた。間に合わず1体が氷山に押し潰された。残った2体を散開して追う。両翼を失った隊長は思うように滑走が出来ず、シーザーの真紅の剣が二閃。葬られる。残った1体も焼却によって逃げ場を失い、ジャンの一閃で切って捨てられた。
「技を返されても、尚冷静か。良い隊だったが……決死なんて兵法は、馬鹿がするもんさ」
「そっちが君の本当の顔かね?」
「……偽った覚えはないねえ」
 その場から、カプラへの増援の為に移動する。

●氷解に結す
 冷凍ビームに夢と現の狭間、瞑想によって絶え続けるカプラと、良心と悪心に葛藤するアイスバーグレンジャーの攻防は奇妙な物だった。一見何もしないカプラに、必死に攻勢をかける彼等が追い詰められた様に眉根を寄せる。確実に目前のウォーマシンの機体表面は凍り付き、今や氷塊と化してもおかしくない。その筈だ。有利なのは我等だ。隊の皆に無抵抗の者を嬲ることを良しとするか、ここで攻撃を止めればお前達が葬ってきた者達全員の命が無駄になると、心に心が囁きかけてくる。耳を塞ぎたくなる程に自身が自身の心を抉っていく。ストレスによる自我崩壊とまでは行かないが、頭を抑えたくなる衝動が襲う。
「増援が行きます。もう少しですよ」
 宵からの通信が、カプラの通信機に割り込む。瞑想状態のカプラは、酷く遠くからの物の様に聞こえた。しかし、瞑想を解くほどの重要事項ではなかった。彼等は改める前に自死を選ぶ様な、そんな苦痛に歪んだ顔を示していたことが、視覚神経システム系を閉じた先から感じられる。
(……)
 闘争はいい行いではない。そこまでは共通していたが、同時に彼等は奪ってきた命の尊さ、自身の悪行を深く理解していた。故に闘争を止めることは出来ないと、苦悩し、懊悩しながら、自身に攻撃を仕掛けている。
 機械の身に涙が伝うのだとしたら、こういった時だろう。狭間に、鋼の鳥と気ままな旋律が届き、一時彼を癒やす。剣撃音、爆撃音、混濁した、聞き慣れてしまった闘争の音。最後に優しい、故郷から見た流星が流れ、温かな火が、動力に再び熱を宿し、カプラはゆっくりと視覚系を開く。
「出会いくらいは……いい物にしたいのですが……」
「悲しいものでしたか?」
 カプラの相手ですっかり疲弊しきっていたアイスバーグレンジャーの2隊は、ほぼ猟兵の不意打ちで片付いた。宵は全てが終わった戦場に辿り着き、カプラに話しかけた。カプラはゆっくりと首を旋回させ、惨状を見据えた。
「ええ、彼等は自覚した上で散るしか無いと言いました……選んだ道を否定したくはありませんが、いい行いとは言えません。言えませんね。自己との対峙までは果たしたというのに」
「来世を信じてみるというのは、如何でしょう?」
「……全てが終わった後に、せめて安らかに眠れるよう、墓を建てるのがいい行い……となるでしょうね
「しかし、此処では不味いでしょう」
「仕方ありませんが、密やかな宇宙葬にする他、ありませんね……」
 いかな猟兵の嘆願と言えど、敵対する勢力の墓を艦船内に作るのは難しいだろう。彼等の事は密やかに、宇宙に葬る他無かった。
 宵は彼等のために最後、もう一度癒やしの呪いを歌う。
「流星は古来より、人々の望みをその身に受け、そして時には雨となって人々のもとへ降り注ぐ。彼等にせめて、弔いの光を捧げましょう」
 弔いの火、猟兵達はそれを見届け、次の戦場に向かう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『二足歩行戦車』

POW   :    一斉砲撃
【機体各所に搭載した火器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    レジェンダリーソルジャー
【伝説的な戦車兵を再現したAI】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    胴体下部可動式ビームキャノン
【砲門】を向けた対象に、【ビームの連射】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●倉庫区画
 ブリッジの復帰により帝国軍は減少した兵力で警備との戦闘に身を投じる事になり、不利を余儀なくされていく。人質の維持で手一杯になり、アイスバーグレンジャーの管理信号も途絶え、要注意戦力が此方に向かう。止むを得ないと彼はマニュアル操作可能な主力兵器に身を投じた。帝国軍主力兵器、二足歩行戦車が、此処に起動する。

●通信
 アイスバーグレンジャーとの戦闘に勝利した猟兵はブリッジから倉庫区画で帝国軍の主力兵器が起動したと報告を受ける。そこに集められた人質へ、常に銃口を光らせ、予断を許さない状況とのことだ。復帰した機械警備兵が程なく向かい、人質救出作戦に移る為、その手助けと、二足歩行戦車の討伐をして欲しいとのこと。

●状況整理
 猟兵の最後の仕事は些かやることが多い。まずは二足歩行戦車に気付かれぬよう近づき、その注意を逸らしつつ、此方に目を向けさせなければならない。絶対にやってはいけないのは人質への損害であり、多少大丈夫なのはは救出する機械化警備兵への被害だ。
 機械化警備兵はこの作戦の為に大量投入される為、注意を引くことが上手く行っていれば、人質自体はすぐに逃げてくれる。軽く警備兵の指示に従って欲しいと勧告するだけでも十分だろう。同時に倉庫区画自体はそれなりに広いスペースが取られている。大変ではあるが、難しくはないだろう。
 整理を終え、猟兵達は、倉庫区画へ足を速めた。
シーザー・ゴールドマン
【POW】
人質救出作戦を助ける、二足歩行戦車も倒す。
なかなか忙しいが乗り掛かった船だ。全うしようじゃないか。
戦術
隠密行動は苦手なのだがね。
今まで倒した帝国兵の装備で使えそうなものを纏います。
猟兵に追われる風を装って二足歩行戦車に接近。
注意を引き付け疑われたくらいのタイミングで真の姿を解放、『サイコキネシス』により二足歩行戦車を人質とは逆方向に吹っ飛ばし、そのまま追撃して近接戦闘に持ち込みオーラセイバーを振るって戦います。
機械警備兵にはその隙に人質を救うように指示。
【真の姿ver1:前回と同様です】
※他に良い作戦を提示する方がいればそちらで構いません。その場合は、戦闘に注力します。


ジャン・クロニエミ
「あーあー、出たよ、二足歩行戦車。おたくらが好きでも、めんどくさいからおっさんは嫌いだよ」

今までの連中と違って、受け止めたりいなしたりするのが大きさ的に難しいからねぇ。今回はちゃんと躱していこうか。
狙いは足回りかね。関節部分とか足の指先のパーツの付け根とかを一の太刀で狙っていこう。特に指先なんかはいくつかなくなったら、バランスをとるのが少し難しくなるんじゃないかね。
足回りにいるとビームキャノンなんかも飛んでくるだろうし、そこはうまく二脚戦車の足を盾してやるとしよう。
あとは他の子たちのおかげでそっちにターゲットが向いてるようなら、隙をついて一気に駆け上がって、メインカメラに一の太刀を浴びせよう。


聖護院・カプラ
やはり主力兵器である二足歩行戦車を控えさせていましたか。
単機に対して猟兵で対処するだけなら遅れをとる相手ではありませんが、
人質を取っている事が何よりもネックとなっています。
卑劣な行いを改めさせる為に今回必要なアクションは……。

私は自身の『存在感』の大きさの為、敵機のセンサーに感知される範囲内でスニーキングは不可能。

が、人質に届く程度の『存在感』をテレパスのように飛ばして
猟兵と警備兵が助けにくる事や、彼らが確保する退避ルート等の詳細な避難指示を事前に『説得』で伝える事が可能ではないでしょうか?

人の命は宇宙の未来。
何としても銀河帝国の野望を打ち砕き、彼らに光明を指し示しましょう。



●猟兵移動中
「やはり……主力兵器である二足歩行戦車を控えさせていましたか」
「あーあー、出たよ。おたくらが好きでも、めんどくさいからおっさんは嫌いだよ」
 聖護院・カプラ(旧式のウォーマシン・f00436)とジャン・クロニエミ(フォースナイト・f10018)の反応は慣れたものだった。フロストエリアから脱したジャンは、早速、愛用の銘柄に火を付け、紫煙を燻らせた。
「人質救出作戦を助け、二足歩行戦車も破壊する、中々忙しいが乗りかかった船だ。全うしようじゃないか」
「ええ、やることは多いですが、人質となっている方がパニックを起こさない為にも、僕等は努めて冷静に事を成さなければなりません」
シーザー・ゴールドマン(ダンピールのフォースナイト・f00256)と逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は作戦について思考を巡らせる。
「ふうむ……では、こういうのはどうかな?」
 シーザーの案は、幾人かが敵兵を装い、猟兵に追われ近付くという物だった。
「それに噛ませてもらいましょうか。僕は追う側の方で」
「……やりにくい相手だし、良いと思う。人数は、どうしようか」
 ロア・ネコンティ(泥棒ねこ・f05423とユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)が役割について申し出、配分に頭を悩ませた。
「猟兵は少ない方が良いだろうねえ。この趨勢引っ繰り返した戦力だし?」
「では、追うのは僕一人で。背格好も帝国軍としては珍しいでしょうし」
「私はこの通りの巨体ですから、そちらに参加は出来ませんが、代わりに避難勧告には一つ、いい考えがあります。お任せ下さい」
「となると、全体的に僕は皆さんと救援車の支援に当たる、という感じでしょうか」
「では、初手までは此方で担おう。投げるのは少々骨が折れそうだがね」
「……真っ先にその案は頭から外したなあ。しんどかったら手助けするけどさあ」
「その時は遠慮なく、君に頼ろう」
「後押しは任せて下さい」
「皆さん頼もしいですね。後詰めは此方で行いましょう」
「……人の命は宇宙の未来。何としても銀河帝国の野望を打ち砕き、彼らに光明を指し示しましょう」
 カプラの言に皆が頷き、まずは目的の物資を調達する。幸いその手のものには事欠かない。

●存在感(テレパス)
 人々は緊張と不安に包まれていた。死の恐怖、一つミスをすれば、あの砲門が自分達を焼くのだ。助けには期待出来ない。自分達の無力を嘆きながら、決死の行動を取ることが出来ない。目の前の鉄塊は、自身の行動一つで家族を、隣人を、同胞を焼けるのだ。向けられた砲門に、人々は怯えたまま、或いは唇を噛んで耐え忍ぶ。
 そんな人々へ、カプラは敵兵の感知範囲ギリギリから、自身の存在感をゆっくりと増大、増殖させる。
「こういった使い方は、流石に始めてですね」
 思念イメージを言語を交え、的確に伝えるという試みを、カプラは手探りで行っていく。宝珠と後光ユニットが、蛍の光のように、淡く明滅する。
(お話をしませんか……)
 住民の誰かが、その声に気付いた様に倉庫区画の天井を見上げる。隣人が首を傾げるが。
(伝えたいことがあるのです……)
 次に発せられたささやかな波のような思念の様な何か、或いは存在感によるシルエットを感じ取り、徐々に徐々に、人々へ伝播していく。やがて、疑う者は誰も居なくなった。
(私の仲間が駆け付けるまで、けして、帝国兵には悟られないように。大規模な救出作戦が開始されています。今暫くの辛抱を、お願いします)
 存在感をこまめに調整することにより、念にリズムを作り、使用言語に近いイメージと音声を作り出す。カプラの存在感においての応用力は凄まじいと言わざるを得ない。避難経路を伝え、住民は気取られぬ様、緊張の面持ちで、しかし大きな余裕を持つことが出来た。頭の中で避難経路を整理しながら、その時を待つ。

●逃走サイコキネシス
 戦車のパイロットは、空気がおかしいと考える。一方で、この状況で反撃の手段は限られるだろうとも考える。そこへ、3人の帝国兵と1匹の猫が割り込んできた。彼はそれに、反応しカメラアイを向けた。報告には無かった姿だが、恐らく侵入者の1人と推測出来る。今回投入された光学式アサルトライフルと白兵戦用のスタン・ロッドで、どうにか侵入を防ぎ、命からがら逃げてきたという所だろうか。
「止まれ、武器を置いて投降しろ。さもなければ、分かるな……?」
 極小であれ、戦力は戦力。ましてや、あの侵入者から逃げ延びたと言うなら、いざと言う時に頼りになるだろう。動きも他に比べればとても良く、死なすのは惜しい。そこまで考え、待て、あの様な動きを教練で教えたか否か。疑問に思う間に猫が持っていた短剣2本を地面に落とし、両手を後ろにやった。追われていた帝国兵3人が、すぐにそれを確保、此方に向かわせる。杞憂かと胸を撫で下ろし、疑念を振り払おうとする。
 爛々と輝く黄金の瞳が、ヘッドギアの下から覗いた、一瞬。
「……ガっ!?」
 血色のオド、紫炎のオーラ、2色の力が二足歩行戦車を包む。シーザーが横に手を払うと、人質とは真逆の方向に、弾くような勢いで二足歩行戦車が叩きつけられた。

●追撃
「ふむ……やはり……あの大きさになると私でも骨が折れるな」
「だから言ったっしょ! ほんっとにもー!」
「はっはっは! 協力、感謝するぞ!」
「少しは先達の言葉にも耳を傾けてくれないかね」
 体勢を崩し、人質の集まっている方向とは真逆に吹っ飛んだ二足歩行戦車に、シーザー、ジャン、ユノがすぐさま追撃をかける。堪らず照準を此方に向け、火気を吐き出そうとする砲門を、シーザーが血色に固めたオドの剣で切り払った。彼への悪口を終わらせたジャンは、思念を鋭利に研ぎ澄ます。燃え立つ紫炎のオーラが無形の剣へ収束し 倒れた戦車のその先端、指5本に剣閃が奔る。一時遅れ、解体された5本の指の残骸が、宙にばら撒かれた。
「……師曰く、一太刀に研ぎ澄ませた念を込め、戦意を断て、とさ。立て直す暇は与えん」
 思わずシーザーが口笛を吹く。そのまま一足飛びに、足関節を大振りな一撃で斬り砕く。此処までごちゃついた機械となると、いかな達人だろうと綺麗な切断面など望める筈もない。破壊という結果と確証が有れば、今はそれで良い。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

逢坂・宵
……これは注意を引くことと混乱の抑制、そして戦闘と、やることがとにかく多いですね
僕らは努めて冷静にことを成さなければなりません
僕らが混乱してしまえば、人質もパニックに陥り、それは敵の利になる
クールに行きましょう。そしてクレイジーにクリアーしましょう

『鼓舞』で味方への士気の高揚も狙いましょう
難関ですが、ここが最後です
人々を光ある世界へと導けるのです

人質の安全を第一に、後方支援兼砲台として行動しましょう
必要ならば僕たちが目立つことも少々やむを得ますまい

『属性攻撃』『2回攻撃』『高速詠唱』『全力魔法』を用いて
『天航アストロゲーション』で攻撃します
猟兵の仲間とも連携や協力を積極的に行っていきましょう


ユノ・フィリーゼ
堅牢な機械の身体と数々の重火器
仇なす者を裁く為に特化した思考回路だとしたら
…隙は無いに等しいか。やりにくい相手だね…

でも、泣き言はここまで
人質となっている彼等の不安や恐怖は、
私達とは比べものにならないだろうから
必ず助けるよ。貴方達も、この船も

人質の安全確保を念頭に置き
仲間とは協力して行動するよ

人質と真逆・或いは離れた位置に移動し、
遠距離からの衝撃波等で攻撃と注意を引く様努める
人質の方へ行く素振りがあれば、
一気に間合いを詰めわざと視界に入り込み剣戟や蹴撃を見舞う
絶えず自分達へと視線を向けさせ避難までの時間を稼ぐよ

好機があれば花蝕庭園を狙い放つ
花に囲まれる気分は、どう?
…いつか感想を聞かせて、ね


ロア・ネコンティ
【WIZ】人質避難の時間稼ぎ

戦車の銃口を猟兵に向けさせ、人質を逃さなければいけません。そのためには……

[忍び足]で慎重に近づいて、敵の背後に近づいたら[大村さん](宇宙バイクのようなもの)に[騎乗]でライドオン。

敵背後から下へ素早く滑り込み2足部分の付け根を氷属性の魔法を精霊銃で[2回攻撃]して凍らせて、機動力を削ぎます。

敵の前に出て起き上がる前に[早業]で鋼糸を敵に括り付け、銃口を人質の方へ向けさせるのを妨害。人質と警備兵にに避難を促しながら[空中戦+武器受け]で敵の攻撃を防ぎ、可能なら[エレメンタル・ファンタジア]で氷と風の魔法、『地吹雪』を起こし、視界を塞いで避難する時間を稼ぎます。



●足止め
「さあ、お手をどうぞ。踊りましょう?」
 更に火を吹こうと露出した銃火器の方針を、ユノの銀剣が切り裂いた。
「援護ありがとね。そらよっと!」
 澄んだ一太刀。紫の一閃が戦車のメインカメラを破壊する。次の手はそう遠くない。ユノは破損から切り替わったであろう視界制御系を、彼女なりに予測しながら、宙空を足場に飛び回る。
「撹乱、有難うございます。縫い止めますよ」
 ロアがバイクと言い張る掃除用ロボット、大村さんに騎乗し、背後から奇襲を掛ける。埃に塗れた倉庫区画の一部が、大村さんに吸い上げられ、綺麗な場所が出来上がる。戦車の立ち上がりが難しい状態から更に、足の付根に蛍硝子の銃口を向ける。精霊選択、エレメントブースト。無詠唱装填。魔法が内部鏡に反射、それが更に回転、混ぜ合わされ、増幅される。銃身が透き通った青の燐光を宿し、トリガの開放を待つ。
「凍れ」
 銃爪を引く。無詠唱ディレイスペル、アンロック、リロード。
「ファイア」
 足の付根が浅い氷山と化し、戦車が縫い付けられる。残った砲門が開かれ、ロアを狙う。
「……我が命を糧として、―満ちて、咲け」
 目線でロアに礼を言い、ユノが羽衣を靡かせて種子を撒く。彼女の生命力を糧に次々に咲き誇る花々、名の通りの庭園が一斉に繁茂し、蔦を伸ばして戦車を食らうよう、咲き誇る。
「花に囲まれる気分は、どう?」
 生の限界が削れていく感覚を、ユノは意にも介さず微笑んだ。ジャンがそこを好機と氷に繋がれた足を縦に裂く。開く砲門をシーザーの血色が裂き、再び紫炎が閃く。行き場を失ったエネルギーが、砲身が花々を巻き込みながら暴発する。それでも彼等は焼け焦げた後から蔦を伸ばし、胴体を残すのみとなった戦車を絡め取っていく。
「……いつか感想を聞かせて、ね」
 もし戦車に明確な意志があるとしたら、その声は怨嗟の声に満ちているだろうか、それとも、咲き誇る花々に目を取られながらも、その貪欲な生への執着を感じ、恐怖に慄くのだろうか。どの道、彼にその様な意志はなく、庭園の一部として絡め取られるだけだった。

●総仕上げ
 その頃、彼等の活躍に人々は徐々に活気を、希望を取り戻していく。密かに紛れ込んだ宵は彼等のことを解放軍ですよ、と伝え回る。それに人々は目を輝かせた。本当に、と。咲き誇る花々を見ながら、目に見えるほどの光を灯す。ブリッジにも同様の事を聞かせ、通信では警備兵達にもそういった触れ回りの通信が、彼等の指揮を上げていく。尚も続いている戦線は、完全に此方側の勢いに押されつつあった。
 倉庫区画に警備兵が雪崩込み、猟兵はそれぞれ声をかけた。快い返事と共に彼等は迅速に行動していく。一般市民はカプラと宵の助けもあり、此方も同様に迅速に避難を進めていった。
 猟兵達が戦車を引き付けている間の短時間で避難は終わる。最後に残った警備兵が武運を、というように敬礼を残して去っていった。
「クールに行動し、クレイジーにクリア。ええ、上手く行きました。最後の仕上げでしょうか。座標固定、損害箇所の固定も楽な状況ですからね」
「……クレイジーって何です?」
 大村さんに乗ったまま、距離を取ったロアは宵と合流する。
「……ふふ」
「そこは笑って誤魔化す所じゃないと思うんですが」
「まあまあ、総仕上げと行きましょう」
「モヤモヤするなあ……合わせます」
 気まぐれな君に歌を捧げよう、気ままでも良いから、踊ってはくれまいか。綺麗な君に花を捧げよう、綺麗な声で、歌ってはくれまいか。きっと楽しい、さあ、おいで。
「君達の、お気に召すまま」
 気ままな風の精霊に合わせ、氷の精霊がその手を取る。振り回される様に、しかし、楽しげに輪を作る。澄んだ歌声が結晶に、地吹雪の氷嵐が、戦車を覆う。既に動けないことを確認したユノが、庭園に供給を止め、同時に仕上げの時とシーザーとジャンも、氷嵐に呑まれる前に、飛び、後ろに退いた。
 彗星からの使者は空より墜つる時、時には地平に災いをもたらす。それでもその美しさは、人々を魅了するのです。
 高速二重詠唱で紡がれる星降の詩。目標を完全に見失い、花々に食われた戦車の胴体は倉庫区画には空がなく、虚空に中規模の石が2つ。頃合いを見て、解凍する。
「星降る夜を、あなたに」
 吹雪に覆われた戦車を、星杖が指し示した。宵の大半の魔力を吸い上げ、双子の隕石が戦車へと落下する、戦車にのみ衝撃点を集約し、他には一切被害を出さない局所破壊の双子石が、戦車の装甲を溶解しながら、一瞬で押し潰す。落下衝撃は小規模隕石そのものだった。
 氷嵐が去った後には、溶解した戦車であった何かが、倉庫区画に溶接されるように一体化するのみだった。

●終幕(ルペルカリア・リゾート)
 倉庫区画での一線を終え、帝国兵の残党を警備兵と協力して追い払う。尚も指揮は高く、掃討戦は長い時間をかけずに終わる。人々を助けた猟兵を、彼等は歓迎して迎え入れた。何時でも遊びに来てくれと、優待パスポートをそれぞれに渡され、復興をしなくてはならないが、少し遊んでいくと良いと言われ、それぞれ好きな場所に繰り出していく。
 シーザーは荒れてしまったが、ミッドナイトエリアで豪快に酒を頼み、飲み干していく。
 ジャンは同じく、ミッドナイトエリアを気ままに歩きながら、酒の置いてある店を冷やかしながら、のんびりと煙草をふかす。
 カプラはリゾートエリアに足を運び、暫しの黙祷をした後、港から密かに自己と対峙した彼等を手厚く葬った。
 宵は最上階のリラックスルームで、今度は流動体ソファに腰を掛けてゆったりとスペースシップワールドの星空を楽しんだ。
  ユノはどうしようか迷ったが、リゾートエリアで、のんびりと愛用の銀剣を奏で、踊る。復興などに精を出す人々への評判は上々で、仕事も休憩も捗ったようだ。
 ロアもやはり最上階のリラックスルームで曰く、ケットシーを駄目にするソファで安らぎながら、今度は落ち着いて駄目になりつつ、しっかり星空を目に焼き付ける。
 そうして、一通り安らいだ後、帰還した猟兵達は日常へ戻っていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月07日


挿絵イラスト