2
荒野の町ロレース~バザーを護れイェーガー!~

#アックス&ウィザーズ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ


0




「大変じゃー!! アックス&ウィザーズの世界で町が襲われるのじゃー!」
 グリモアベースで大騒ぎするミレナリィドールはプリマステラ・リコールド。
 彼女は慌てながらも猟兵達に予知した出来事を話すのでした。

「襲われる町は“荒野の町ロレース”、かつて荒れた荒野を開拓する為の村から発展してきた町じゃな!」
 ロレースは南西に小さな川がある人口100名に満たない町だ、防衛機能も簡単な木の柵で囲った程度。
 そんな町の西側に小高い山地が存在し、その山のふもとに洞窟が存在するのだ。
 その洞窟を根城にしたのが【呪術師】が率いる【死霊盗賊団】であるとグリモア猟兵は語る。
 呪術師は金色の骨の装飾品を被る強力な力の持ち主だ。
 先行隊として陣取るのは首無しの騎士達、どうやら呪術師に使役されているようだ。
 【呪術師は死霊騎士達に護衛されており、先に死霊騎士を排除】しなければならない。

「彼奴らの狙いはロレースじゃ、この晩にも襲撃をかける……今からではまともな避難も対策もできんじゃろう、まさしく緊急事態なのじゃ!」
 悲しそうなプリマステラであったが、ちらりと猟兵達をみやると、にこりと笑顔を浮かべる。
 そう、普通の冒険者では無理だが猟兵ならば可能である!

「と、いうわけで! お前さんらには侵攻中の盗賊団を倒してほしいのじゃ!」
 プリマステラは迎撃に適した地形をホログラムに投影、猟兵達へと提示する。
 その地形とは【小高い丘に挟まれた谷】だ、盗賊団は丘の間を【夕暮れ時】に通ってロレースに侵攻するのだ。
 谷周辺も荒野だけあって【隠れる場所は岩程度と少ない】、だが地形の関係上挟み撃ちなどは絶対にありえない。
 むしろ、猟兵側が挟み撃ちを仕掛ける事が出来る位だ。
 【丘の標高は10m程と低く、斜面はなだらか】である、猟兵・オブリビオン共に【移動は可能】だ。
 しかし【丘の上に居る敵を相手にしながらの移動は猟兵・オブリビオン共に面倒】であろう。

「ロレースでは明日、大きなバザーがあるのじゃ! 町の皆はバザーを大いに楽しみにしているようじゃ! なんとしても町とバザーを守らねばのう!」
 準備が出来た猟兵から転送するのじゃ! とプリマステラは告げると術式を構築する。
 ――さぁ、猟兵よ……夜闇に紛れて町を襲う盗賊団を撃滅するのだ!


伊吹ノ樹
 初めましてorお久しぶりです猟兵さん。
 寒さに弱い伊吹ノ樹です!

 今回の世界はアックス&ウィザーズ、バザーを目前とした町を守る迎撃ミッションとなります。
 ちょっとTRPGっぽい雰囲気が出せればな~と思いつつ、頑張りますね!
 出来ればショートキャンペーンみたいな事が出来ればな~!

 第一章は集団戦、首無し騎士達との戦いとなります、状況を利用したり、注意して戦って頂ければ幸いです。
 第二章はボス戦、黄金キラキラな呪術師との戦闘となり、場所と状況は第一章と【共通】となります。
 一章で地形や状況が変化していれば、それも【引き継ぐ】形となります!
 第三章は日常回となります、ロレースでバザーを楽しむ猟兵達。
 そこで物を雑多に仕入れ過ぎたドジな商人が……その商人を助け色々物を売る話となります。
 どんな売り方をするかは猟兵さん次第!

 それでは、よろしければ参加して頂けると嬉しいです。
 よろしくお願いします。
47




第1章 集団戦 『宵闇の騎士団』

POW   :    闇討ち
【自身以外に意識】を向けた対象に、【死角からの不意打ち】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    追討ち
【周囲に潜ませていた多数の伏兵】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
WIZ   :    返討ち
いま戦っている対象に有効な【武器を持った多数の援軍】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

神楽火・綺里枝
バザーですか。楽しみにしている方々のためにも、何としてもオブリビオンを倒さなければなりませんね。

敵の数が多いのなら、一掃するのが定石でございましょう。
目の前に突き立てたユースティティアの不凋花の柄頭に手をかけて、ロレースの町から届く祈りを破魔の力に変換、神輝鋼華嵐剱舞に上乗せして放ちます。
「死の先から来たりし者よ、わたくしの刃がお前達を骸の海へと送り返して差し上げます」


六代目・松座衛門
「襲撃をより効果的にするには、敵の動きを知る必要があるな。」
町から【谷】を通る際、右側となる丘の上に陣取り、UC【鬼猟流 裏芸「即席人形劇」】で、小石で出来た人形を周囲に配置、警戒網を構築し、敵を待つ。

戦闘では、人形から取り外した対物ライフル「玲瓏」で迫りくる『宵闇の騎士団』を迎撃。

「【隠れる場所が少ない】から攻撃し放題だな!」

こちらの射撃攻撃に合わせて、相手も遠距離攻撃を仕掛けてきた場合、人形で【武器受け】。
また、即席人形を介して他の猟兵への「闇討ち」「追討ち」を感知できた場合、人形で【かばい】つつ、「玲瓏」で【スナイパー】【援護射撃】。

【WIZ】選択。アドリブ、連携歓迎



●かくして火蓋は切って落とされる。

「闇夜に紛れて人々を襲う、そのような方々を許すわけがございませんでしょう?」
「あぁ、その通りだな」

月が淡く輝きはじめた逢魔が時、谷を進む不死の一団を捉えた猟兵二人。
美しい金髪を真紅のリボンで一つにまとめ、さらりと垂らした紫瞳の美女、神楽火・綺里枝。
かたや歴史を感じる人形を隣に、流麗に指を捌き自らと“設置物”を“調整”する焦げ茶色の短髪の男、六代目・松座衛門。
夕日の明かりも届かなくなり、闇に染まりつつある世界で猟兵は言葉少なく示し合わせ敵を待つ、その間数分。

「反応有り、二列で進行中だ」

松座衛門が設置していた人形によって進軍する集団、その速度と隊列を感知。
五感を共有する人形によってもたらされた情報によって猟兵達は戦況を圧倒的に優位にした。
一歩千金、小さき人形であれども戦場においては類まれぬ戦果を挙げる事がある。
それが、この戦いだ。

「それでは、参ります」

情報を共有した二人はすぐさま駆ける。
綺里枝が金糸の如く美しい髪を月夜に照らし、白銀の聖剣を手に丘を駆けおり、敵対列の中心へと飛び込む。
その動きに感づいた騎士団がすぐさまに迎撃に移る、生み出したるは弓を持つ弓兵数体。
単騎で駆ける愚かな猟兵を射殺さんとすぐさま弦を引き絞った――が、矢は放たれる事無く無へと帰す。

「隠れる場所が少ないから攻撃し放題だな!」

闇夜に紛れ、敵を撃つは松座衛門。
その攻撃は弓よりも長く、威力のある特殊対物ライフル……その銘“玲瓏”と呼ばれる逸品である。
月だけが戦闘劇を観る中で、轟音と共に綺里枝を狙う死霊騎士を砕いていく。
轟音一つで騎士一つ、二つ響けば騎士二つ。
呪術師に操られし騎士を眠らせていくのだ。

「こっち気づいたか、だが……」

轟音と発火炎によって位置を悟った騎士達は弓兵の攻撃を全て松座衛門へと向ける。
しかし放たれた矢はその半分にも満たなかった。
そして、放たれた矢も松座衛門には届きはしなかった。

「鬼猟流・人形操術に隙はない」

風切り音を纏い飛来した矢は無音で踊る人形によって切り払われる。
その人形、勿論ただの人形では無い。
鬼猟流式戦闘用人形“暁闇”、射撃を続ける松座衛門に糸で操られし多目的人形なのだから。


「死の先から来たりし者よ、わたくしの刃がお前達を骸の海へと送り返して差し上げます」

そして放たれなかった半分の理由……それは月明りを受けて輝く白銀の剣“ユースティティアの不凋花”の輝き、数十閃によるもの。
駆けおりた戦乙女は弓兵と首無し騎士を切り裂き、戦列を食い破ったのだ、
周囲の死霊騎士は巨大な鈍器を抜き綺里枝へと迫る、その攻撃は剣で受ける事の出来ない重い一撃……で、あるならば。

「捌かせて頂きます!」

その言葉に応じるがごとく、ユースティティアの不凋花は主の望むように姿を変える。
巨大な鈍器を打ち払い、いなし、リーチを持って敵を砕く――それは白銀の槍斧であった。

「やあっ!!」

意思を込めた鋭い叫び、その声と共に振るわれた槍斧は鈍器を払う事で軌道をずらす。
綺里枝は更に力を殺さずに円軌道を描き左から襲おうとする騎士の足を砕いた。
戦乙女は月光を照明として踊る“自分の力が最大限に効果を発揮”する戦況になるまで。
その戦況は数分後、騎士をさばき続けた後に訪れた、綺里枝が完全に囲まれていたのだ。

「今です!」

裂ぱくの気合と共に自らの力を顕現させる、その隙を見逃さずに鈍器を振るう騎士であったが。
その一撃は届かない、轟音と共に鈍器を砕かれたからである。
刹那、綺里枝の力が解放される。

「死の先から来たりし者よ、わたくしの刃がお前達を骸の海へと送り返して差し上げます」

剣へと戻った白銀剣の柄頭へと手を置いた綺里枝の宣言……と同時に破魔の力が周囲に溢れるように湧き上がる。
町を守る、住人達を守る、人々の想いが更に力を加速させるのだ。
その力は太陽の如き黄金に輝き、ひらひらと夜風に舞うようにして広がり続ける。
黄金の光は破邪の光、触れた騎士を浄化する神聖なる光なのだ。
綺里枝を中心にあふれ出た光は徐々に強く、濃く、神聖に――そして限界点を迎えた時、凛とした声が響くのだ。

「無垢なる正義の花よ、悪を断つ剣となりて舞え!」

綺里枝の言葉が紡がれると同時に、黄金のアマラントスの花弁が夜風に乗って吹き荒れる。
浄化と静謐の花吹雪が死霊騎士団を飲み込み、瞬く間に帰るべき場所に送り返したのだ。
夜風に溶けるように消えた光の華、その後に残っていた死霊騎士は存在しない――範囲外であった騎士は新たに隊列を立て直しながら襲撃者にそなえるようだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レイチェル・ケイトリン
わたしたちからは挟み撃ちできる、ならわたしは松座衛門さんの反対側、ひだりにある丘にしずかにいるね。

そして念動力技能でサイコキネシスをつかうよ。

隠れられるくらいのおっきな岩、
もちあげて吹き飛ばし技能もつかって敵にたたきつけてふっとばすよっ!

隊列のたてなおしなんかさせない、綺里枝さんの攻撃からにがさないんだから。

意識がない岩相手に敵は闇討ちとかはつかえないよね。

岩がわれちゃったら、そのとがった角できりつけ、つきさすよ。

かわりにできちゃう岩もいくつかあるんだし。


わたしのことは松座衛門さんの人形さんたちがまもってくれる。

だから「とっても岩みたいなモンスターのいきなり襲撃大作戦」、わたし、がんばるねっ!


キョウ・ヴァゼラード
民の危機とあれば私が出るのが道理、ヴァゼラードの家名に懸けてノブリスオブリージュを果たしてみせよう。
「アイギス、準備は良いな?」
『イエス、マイロード!』

「ヴァゼラード伯キョウ推参!我が家名を恐れぬならばかかって来い!」
敵集団の正面から堂々と挑む、街の防波堤となり他の猟兵が奇襲し易くなるだろう
高速詠唱で【聖剣解放】を行い、名乗りを上げてから腹心の騎士『盾のアイギス』と共に斬り込む。
アイギスを【戦闘知識】で指揮し私への攻撃を【盾受け】させ、私は【怪力】を発揮して聖剣を【二回攻撃】の連続斬りで振るい、敵集団を纏めて【薙ぎ払う】のだ。
『閣下は私が守る!』
「亡霊達よ、消え去るがいい!」


ティエル・ティエリエル
「明日は町でバザーがあるんだね!きっと、いろいろ面白いものも売ってるよね♪」
バザーの出し物に興味津々で、町の人達の笑顔を守るためにも頑張るよ!

【フェアリーランド】に大きな丸太を隠しておいて、盗賊団が現れたら丘の上からゴロゴロって転がすよ!
敵が混乱したら、丘の上から急降下して奇襲、「フェイント」「見切り」「カウンター」を駆使して自慢のレイピアで突き刺して回るよ♪

「ふふーん、ボク達が来たからには盗賊なんかの好きにはさせないよ☆」
ぺったんこな胸を張って自信満々に戦場に飛び出していくよ。



●戦場の支配者。

 猟兵達の奇襲により一時陣形が崩れた死霊騎士達、生前鍛えられた動きをそのままに、徐々に猟兵を取り囲むように動き始める。
 だがその動きを察知した猟兵達が居た。

「アイギス、準備は良いな?」
「イエス、マイロード!」

 一人目は月夜に烏羽色の髪をなびかせ戦場を知る貴き者と従者、キョウ・ヴァゼラードと盾の騎士アイギス。
 キョウは聖剣をスラリと抜き放ち、盾の騎士は両の手に大盾を構え冷静な眼で敵を見る。

「ヴァゼラード伯キョウ推参! 我が家名を恐れぬならばかかって来い!」

 戦場に良く通る今日の宣告が響き渡る、それはロレースの町を背負う貴族の矜持そのもの。
 自らの身体を盾とし、鎧とし、人々を護る。
 自らを剣とし力無い者の刃と化す。
 ノブレス・オブリージュ……貴人の覚悟そのものの姿を見せ死霊へ駆けるのだ。
 その宣告と月夜以上に明るい聖剣は死霊たちの意識を集中させる、それは包囲陣形の完成がわずかに遅れる事を意味する。

「合図だ!」
「準備おっけーだよ!」

 キョウの放つ声と光を合図に声を掛け合うのは二人の少女、一人はレイチェル・ケイトリン、美しいドールのヤドリガミでありフォースを操る者。
 もう一人はティエル・ティエリエル、本名ティエル・ティエリア・ティエリエルと呼ばれる妖精の姫君だ。
 月夜に幻想的に羽搏き、ティエルは小さな胸を張って元気に応えると能力を発現させる。
 レイチェルは奇襲を仕掛けた猟兵達とは反対の丘である“準備”を行っていたのだ。
 その準備の完成と共に【合図】である言葉が聞こえる、ここからはレイチェルとティエルの出番である。

「とっても岩みたいなモンスターのいきなり襲撃大作戦with丸太流し開始だよっ!」
「いっちゃえーーー☆」

 月明りを受けて白銀に煌めく髪が夜風に揺れ踊り、青い瞳が聖剣の明かりに照らされた死霊騎士を捉える。
 同時にティエルも夏の花のような明るいオレンジの髪を夜風になびかせ、小さな妖精に与えられし力を解放、小さな壺に入れられたモノを呼び出した
 二人の能力が発動……まずは、荒野の岩が命を持ったかのように動き始めたる。これこそレイチェルの力、不可視の念力によって様々な物の遠隔操作するサイコキネシスである。
 不可視の力は精密そのもの、レイチェルの思い通りに岩たちは身を寄せ合うように集まり、人型を創り出した。
 もう一つ、小さな壺から呼び出されたモノ……それは巨大な丸太であった。
 丸太は何本も呼び出され、丘をゴロゴロと転がり始める!
 その数優に十を超え、いつしか戦場に轟音が響き渡った。
 丸太に続く様にレイチェルの想いを受け取った岩兵士が十数体、両腕をあげ威嚇するように丘を駆け降りる!
 死霊騎士達にとってみればまさしく突如現れた丸太の雨と岩の兵士……突然の乱入者によって包囲作戦は完全に失敗に終わったのだ。

「見事、作戦通りだな……アイギス! 私達も続くぞ!」
「はいっ!」

 二人のが丸太雪崩と岩兵士の襲撃に一時混乱となった騎士団の隙をこの男が見逃すはずは無い。
 姿勢を低く戦場へと突撃、騎士の鎧を切り裂く光の刃にて更に陣形をかき乱す。
 キョウに気づいた騎士は大型鈍器を振りかぶり迎撃する、だがその一撃は華麗に躱されるではないか。
 それでも攻撃を繰り返す騎士達であるが、攻撃は直撃しない……当たりそうな攻撃は長髪の護衛騎士によって防がれるからだ。

「閣下は私が守る!」

 大型鈍器を真正面から盾で防ぎ、キョウの身を護る護衛騎士。
 そして丸太と乱入する岩兵士によって徐々に数を減らす死霊騎士達、左右と正面の三方向からの攻撃に陣形も崩れきり、出来ることは乱戦だけとなっていた。
 この乱戦において、最も効力を発揮したのがレイチェルとティエルのコンビであろう。
 ティエルはその小さな体を活かし、レイチェルの操る岩兵士達の陰に忍ぶ形で戦場を縦横無尽に飛んだのだから。

「いえーい! 隙だらけだよー♪」

 スカイダンサーの名は伊達ではなく、まさしく戦場を踊るように飛ぶティエル。
 手にしたレイピア“風鳴りのレイピア”を手に岩兵士の背後、左右、上下……様々な角度から一刺しを繰り返す。
 細剣が放たれる度に風が鳴り、その音色は早きビートでティエルの舞踏を盛り上げる。
 一突き、離れ、隠れて、一突き――まさしく、死霊騎士達は何に攻撃されているのか分からない状態であった。

「ふふーん、ボク達が来たからには盗賊なんかの好きにはさせないよ☆」

 戦場においても余裕綽々、おてんば妖精姫は月明かりを照明に華麗で激しい舞踏を繰り返す。
 もっとも、そんなティエルにも迫る危険はあるもので……偶然ティエルを発見した死霊が鈍器でもって叩き潰そうとするのだ。
 だが、ティエルは攻撃を受ける事は無い……。
 彼女のそばにはレイチェルの操る岩兵士達が居るのだから。

「危なかったです……!」
「わわ、ありがとー!」

 レイチェルの指示で岩兵士達はティエルを護り、鈍器の攻撃を受ける。
 それは岩兵士の破壊を意味していた……それまではその硬い拳で鎧を殴り、死霊達の動きを封じ込める役目を存分に果たす。
 だが岩兵士の本領はここからである、殴られれば自らの身体を爆発させるように周囲に飛散させ、その礫を騎士達の周囲へと配置。
 その破片はレイチェルの念力によって宙に浮き、高速で飛来する岩石短刀となるのだ。

「隊列のたてなおしなんかさせないんだから!」
「ボクもまだまだいくよー☆」

 戦場において不可視の攻撃程恐ろしいものはない、対応できないのだから。
 死霊たちは闇夜に紛れて襲うティエルと岩石片の嵐に徐々に一つに集まり始める。
 そこに岩兵士の突撃から新たに集めていた大きな岩を念力を使い宙に浮かせ、それと同時に深い集中を行うレイチェル。
 意識がフォースへと届けば、夜闇に指輪が輝く……瞬間――大型の岩が豪雨となって死霊たちを打ち据えた!
 それはサイコブースターによる加速を伴ったもはや岩石の砲弾そのもの、小型の岩石片と巨大な岩石雨、妖精姫の剣舞によって死霊騎士達は一丸となり、ただ防御陣形を取り動くことが出来ずにいた。
 好機到来――。

「亡霊達よ、消え去るがいい!」

 一足後ろへ、そして合図の輝きで夜闇を照らす。
 ヴァゼラード伯キョウの聖剣“グランネージュ”が魔力を受けて初めは淡く、次第に太陽の如く輝き始める。
 それは邪を滅する聖なる光、ルーンが輝けば輝くほどにキョウの魔力を代償として加速度的に力を増幅させる。
 その光はまさしく大地に顕現した太陽そのもの、限界にまで膨れ上がった魔滅の光はキョウの言葉によって解放される!

「剣よ、光纏いてその真なる姿を現せ!」

 宣告――そして光の奔流が生まれる。
 その光は剣の形を模し、キョウの手によって振るわれる。
 聖光一閃! レイチェルとティエルの手によって一丸に纏められた死霊騎士たちは聖剣の一撃のもと浄化、消滅するのであった。

「やったー☆」
「これで残すは呪術師だけ、だよね」

 一足早く戦場から離脱していたティエルは美しい月を見上げながら心中に思う。
 この戦いが終われば楽しい楽しいバザーの時間!
 なにか珍しい物でも見つかるだろうか、と。

「明日は町でバザーがあるんだ! きっと、いろいろ面白いものも売ってるよね♪」

 妖精姫の笑顔と言葉に猟兵達が頷き、気持ちを新たに夜闇を見やる。
 そこには月明りを受けて怪しげに煌めく黄金が見えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『呪飾獣カツィカ』

POW   :    呪獣の一撃
単純で重い【呪詛を纏った爪 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    呪飾解放
自身に【金山羊の呪詛 】をまとい、高速移動と【呪いの咆哮】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    カツィカ・カタラ
【両掌 】から【呪詛】を放ち、【呪縛】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナミル・タグイールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「情報が漏れたか……死霊たちめ、役に立たん」

 月夜の闇に、一際目立つ黄金あり。
 禍々しき妖気を纏うソイツは人を捨て、己が欲望のみを満たそうとする魔獣である。
 歩くたびに鈍重な爪が大地を削り、呪術のオーラが空気を歪ませるほどに濃くなるのが分かるだろう。
 黄金の呪術師“呪飾獣カツィカ”は猟兵達をみやると、どこか頭に直接響くような言葉でこう告げるのだ。

「どうだ、くさった正義感とやらは捨てオレの下に来ないか?」

 悪魔の勧誘、欲望の思うままに略奪し、殺し、襲う。
 まさしく獣のように生きろと告げる魔の言葉だ。
 その言葉に猟兵達はどう答えるのだろうか。
レイチェル・ケイトリン
オブリビオンってすきかってしてるようにみえるけど
ほんとはそれしかできないんだよね。

ひどいことしたいとしても、もっとうまくやれば
もっとひどいことができるのに、むだなことしてばっかり。

オブリビオンには未来がない、だからうばうだけで
なにもつみあげることができなくなっちゃってるんだよね。

そんなきゅうくつでつまんないの、いやだよ。


念動力と吹き飛ばしの技能でサイコキネシスをつかって
敵を攻撃してふっとばすね。

高速移動中にふっとばせば、ころぶよね。

敵からの攻撃もふっとばしてふせぐよ。
ほかの猟兵さんへの攻撃もかばう技能もつかってふっとばしてふせぐね。

うごけなくなっちゃった人はサイコキネシスで避難させてあげるね。


ティエル・ティエリエル
「ふーんだ。ただただ奪うだけのお前なんかに絶対についていかないよ!」
小さく幼い身体にだってノブレス・オブリージュの精神は宿っているんだ。

自慢の翅で飛び回って「空中戦」からの「フェイント」でレイピアを突き刺して回るよ♪
「鎧無視攻撃」で防御の薄そうな部分を集中的に狙うよ!

【カツィカ・カタラ】で【両掌】をこっちに向けてきたら「第六感」で危険を察知して「見切り」で回避!
仲間がピンチなら【小さな妖精の輪舞】でみんなの傷を治していくよ!


キョウ・ヴァゼラード
「笑止、貴様如きがヴァゼラード伯を従えようなどとは千年は早いぞ。
そも我が行いは正義感ではなく高貴な血に伴う義務、捨てる捨てないではない」
答えながらも聖剣を抜き、トリニティ・エンハンスで攻撃力を強化、淡々と戦闘準備を行う。
「貴様と我らは決して相容れぬ、大人しく我が聖剣の錆となるがいい!」

「アイギス、守りは任せた」
『イエス、マイロード!』
腹心の騎士『盾のアイギス』を前衛に伴い斬り込む。
アイギスを【戦闘知識】で指揮し私への攻撃を【盾受け】で庇わせながら、私は【怪力】を発揮して聖剣を【二回攻撃】の連続斬りで振るう。
『今です、閣下!』
「貴様の悪行もこれまでだ、受けよ!聖剣…グランネージュ!」


六代目・松座衛門
「悪いね。自分が欲しいのは、この鬼猟流・人形操術の練習相手だ!」
呪術師からの勧誘に興味なく突っ撥ね、人形を突進させる。

相手からの攻撃は【フェイント】を交えた回避や、【先ほどの迎撃に使用された丸太】を蹴り上げて遮蔽物として利用しつつ、接近を試みる。

「そうだ、「玲瓏」を外したままだった!ならば!」
人形へ追加装備をつけていないことに気づき、代わりの牽制攻撃として、砕けた丸太の欠片を槍に見立てて、人形に投擲をさせる。

「あんたには鬼猟流の『糧』になってもらう。」
人形が、呪術師を掴めるほど接近できたら、UC【疾風】を発動。

「これでどうだ!鬼猟流 演目【疾風】!」

【SPD】選択。アドリブ、連携歓迎


神楽火・綺里枝
「正義なしに何が救えると言うのですか? 腐っているのはお前の言葉のほうだ」
この程度の誘惑でわたくしが揺らぐとでも? 安く見られたものでございますね。
わたくしは百年待ったのです。戦禍から人々を守り、邪悪を滅ぼすために剣を振るえるこの日を。

ユースティティアの不凋花を地面に突き立てて、討邪征魔の剣誓を発動。オブリビオンに宣戦布告いたします。
「呪飾獣カツィカ。炎に焼かれた英霊の御名に誓って、わたくしはお前を倒します。必ず」
ユーベルコード発動後は他の猟兵の皆様をかばいつつ、大剣形態の不凋花で接近戦を挑みます。


清川・シャル
正義感?
そんなものじゃないですよ
目の前に殴れる敵が居たら殴る
それだけでーす
固定概念に囚われすぎてやしません?
私鬼ですし

さてレッツぱーりぃ

先制攻撃でUC
吹き飛ばし、衝撃波、目潰し、時間稼ぎ
他の方と連携取れたらいいんですが

金棒でとりあえず殴ります
2回攻撃、武器落とし、鎧砕き、なぎ払い

攻撃しんどくなったらバックステップして金棒投げて
村雨を抜刀
早業、見切り、2回攻撃、串刺し

敵の攻撃にはカウンターと盾受けで
なんかあれば世界知識と第六感でなんとかなるかな…

シャル、バザーに行きたいんですよね
邪魔しないでもらえます?



 ●月夜の決戦。

 月夜に照らされた戦場で、呪飾獣カツィカの問い。
 冥府魔導への誘いに対し、猟兵達の答えとは。

「ふーんだ。 ただただ奪うだけのお前なんかに絶対についていかないよ!」
「オブリビオンには未来がない、だからうばうだけでなにもつみあげることができなくなっちゃってるんだよね。 そんなきゅうくつでつまんないの、いやだよ」

 小さい幼い身体にいっぱいのノブレス・オブリージュ、尊い精神を宿す妖精姫ティエル・ティエリエルは空中でバツの字を華麗に描いた。
 煌めく翅から舞い散る妖精の粉が月夜の光を浴びて分かりやすく意思を示す。
 月光を浴びて美しく煌めく銀髪の少女人形、レイチェル・ケイトリンは静かに、しかしはっきりと否定の意思を告げる。
 その可憐な瞳はただの人形とは思えぬ、強い意志が輝いていた。

「悪いね。自分が欲しいのは、この鬼猟流・人形操術の練習相手だ!」
「正義感? そんなものじゃないですよ。 目の前に殴れる敵が居たら殴る、それだけでーす! 固定概念に囚われすぎてやしません? 私鬼ですし」

 人形繰りの十字板から糸を伸ばし、相棒である戦闘用人形“暁闇”を操り各部を調整するヤドリガミの青年、六代目・松座衛門。
 黒髪と操術糸を夜風に靡かせ、カツィカに対し大胆に宣言。
 可愛らしい桜柄の和服の袖を同じく夜風になびかせた金髪碧眼の羅刹、清川・シャルは鈴のなるような可憐な声で挑発的に告げる。
 容姿と声に似合わないが、明るいピンクの巨大金棒“ThornSociety”を地面に突き立てる姿はまさしく鬼の姿そのものだ。
 鬼には鬼の倫理あり、シャルの倫理は他人によっては曲げられぬのだ。

「笑止、貴様如きがヴァゼラード伯を従えようなどとは千年は早いぞ。 そも我が行いは正義感ではなく高貴な血に伴う義務、捨てる捨てないではない」

 聖剣を掲げ、魔力をその身に循環させ、世界の理を味方につける。
 キョウ・ヴァゼラードはその背にか弱き人々の想いを背負っている、貴族の矜持……ましく戦う事が義務である。

「貴様と我らは決して相容れぬ、大人しく我が聖剣の錆となるがいい!」

 夜闇で視界が悪くとも、はっきりとわかる程に精霊の力を身体に宿したキョウは聖剣“グランネージュ”を天高く掲げ宣言する。
 貴様を倒す、と。

「正義なしに何が救えると言うのですか? 腐っているのはお前の言葉のほうだ」

 身の内から湧き出る感情が力を与える、軍旗のヤドリガミである神楽火・綺里枝はヒュッ! と鋭く白銀の剣を振るうと、はっきりと見せつけるように剣先を呪飾獣カツィカへと突き付ける。
 戦乱を憎み、全ての世に平和を齎さんことを願う聖女の如き理想、その前に邪悪な甘言等戯言に等しい。
 揺らがぬ戦意と意思、綺里枝の心に応えるように白銀の剣“ユースティティアの不凋花”は更に輝きを増す……その輝きは人々の安寧を見守る月明りでもあり、人々を導く太陽の光のようでもある。

「呪飾獣カツィカ。 炎に焼かれた英霊の御名に誓って、わたくしはお前を倒します。 必ず」

 宣言と同時に大地へと突き立てられるユースティティアの不凋花、同時に暖かな光が爆発したかのように夜闇を消し去った。
 導きの白銀、白い太陽の誕生である。
 白銀の太陽に照らされ金色の髪を風に揺らす少女を中心に広がったその光は猟兵達の身体へと宿り、普段以上の戦意と力を与える!

「我が身は過去を断つ剣、我が心は未来照らす炎、我が魂は骸の海を超え往く翼! 世界を侵す悪よ、忘却の果てに還るがいい!」

 百年……戦乱をただ視る事しか出来なかった軍旗が人の身を持ち、ようやく願いを叶えられると歩き出した一歩。
 その歩みを迎えるものがいかに苛烈で困難な道のりかは自分自身が知っている、それでも歩みを止めはしない、軍旗のヤドリガミ、綺里枝の願いは全ての世界の平穏だ!
 例えこの身が傷ついても、願い続ける限り悪を倒す!

「そうか、では……貴様らを殺し、死霊騎士と同じく操りオレの手下とするだけだ!」

 呪飾獣カツィカはまさしく獣の如く咆えると猟兵達に向けて巨大な獣腕を突き出した!
 その刹那、ティエルの第六感がざわめき、起こりうる出来事を予知レベルで感じとった。

「みんな! 離れて!!」

 光の軌跡を描きながら飛ぶティエルは良く通る可愛らしい声で叫ぶ、刹那猟兵達は各々その場を離れたのだ。
 結果、まさしくティエルの予知通りに猟兵達の居た場所に漆黒の髑髏が無数に出現。
 生者を飲み込み、呪いにて押し潰す呪縛の術である。

「チッ! 勘の良い小娘だ!」
「へっへーん♪ そんなのお見通しなんだから☆」

 小さな翅を羽搏かせ妖精姫が笑う、手には風鳴りのレイピア。
 月夜のステージに音色を奏で、カツィカへと向かう、小さな身体に大きな勇気を携えて!

「みなさんを安全に」
「暁闇、出番だ!」
「ぐーちゃんごー!」

 先行する猟兵達を援護するようにレイチェル、松座衛門、シャルがカツィカへと先制援護範囲攻撃を行う。
 レイチェルは念動力により岩石を礫として射出、その合わせる形で松座衛門は人形を繰り、先ほどの戦いでティエルが使用した丸太を投げ槍の要領で連続で投擲するのだ。
 カツィカは飛礫と丸太を回避と剛腕を持って迎え撃つ、しかし防御に専念せざるを得ない状況へといとも容易く追い込まれてしまう。
 そこに襲い掛かるのは広範囲効果力のシャルのユーベルコード、爆竜戦華だ。

「戦場に響きし我が声を聴け!」

 シャルの可愛らしい声が響き、同時にピンク色のグレネードから連続で様々な弾薬を発射!
 それはシャルの念を受け、様々な軌道を描き動きが制限されたカツィカへと襲い掛かる! 着弾――響き渡る轟音と肌を刺す火熱……大規模破壊が戦場を支配した。
 その爆炎によって生じる衝撃を防ぐのはレイチェルのサイコキネシスと松座衛門の糸繰りの技術だ。
 見えざる手によって素早く岩を組み合わせ壁とし丸太を並べ盾とする。
 カツィカを中心に地面が抉れてしまう程の火力の余波を猟兵達は無傷で凌ぎ、ついに近接攻撃をしけるまでに肉薄するのだ。

「くっ!? 火力馬鹿ドモめ!? だが、オレをただの呪い師と思うな!!」

 呪飾獣カツィカは白銀の剣を手に肉薄するキョウと綺里枝、そして妖精姫ティエルを両の眼で捉えると獣の両腕を肥大化させる。
 ビキビキとこちらまで聞こえてくる筋肉の膨れ上がる膨張音、同時にカツィカの爪は大きく、鋭く……破壊へ特化した形状に変化する。
 先ほどよりも体躯は一回り、二回り巨大になり、腕に至っては大木程にまで肥大化。
 黄金に輝く呪われし獣は月の光を遮る程の巨獣へと変化したのだ!

「わぁ!? おっきい! でも……!」
「あぁ! どれだけ巨大になろうとも!」
「わたくし達は止められません!」

 振り下ろされる剛腕、キョウと綺里枝は華麗にステップで左右に、ティエルは振り下ろされる際に生まれる風の流れを読むと逆らわずに流れるように宙を舞う。
 三人が回避したカツィカの攻撃、その一撃が大地に触れた瞬間……轟音と地響きと共に巨大なクレーターが生まれた。
 まさしく大地を削り取ったのだ。
 恐怖を生み出すオブリビオンの一撃、されど猟兵達の心に曇りは無い。

「どんな攻撃も当たらなかったら意味ないんだから!」

 ティエルは旋風が如くカツィカの周囲を飛行、大ぶりな攻撃に合わせてレイピアを鋭く突きさす。
 その身体が鉄の様に硬くとも、諦めなければ負けはしない!

「力だけが強くとも! アイギス! 守りはまかせたぞ」
「イエス、マイロード!」

 直撃すれば、まさしく圧死するであろう攻撃……だがキョウとアイギスは恐れはしない。
 風切り音と共に袈裟斬りが如く斜め上方からの豪爪……それをアイギスは盾でいなし、その隙にキョウは聖剣でもって肉を切る。
 直接防ぐのではない、力の行き先を操作してやることで最小限の力で最大限の防御効果を得たのだ。
 これが人の意思、人の技術……獣に対抗するために生み出された“技”なのだ

「ガァァ!? 小癪な……蟲どもがーー!?」
「そのような考えでいる間は、わたくし達には絶対に勝てません」

 カツィカは剛腕で挟み込み押し潰そうとする。
 これならばいなされ防がる事は無く、まさしく蟲を潰すように猟兵達を屠れる!
 獣ゆえの最短最高率の直観――しかし、それをもってしても通じない。
 その両腕を槍斧状態に変形させたユースティティアの不凋花で防ぐのは綺里枝だ。
 つっかえ棒のようにカツィカの両腕をピタリと止めている、カツィカは一瞬思考の海に沈む、馬鹿な……こんなハルバード等砕けているはずだ……と。
 だがユースティティアの不凋花は輝きを保ちながら傷一つ生まれない、それは綺里枝の意思を、思いを、強さを体現しているかの如く!

「わたくし達は悪には負けません、呪飾獣カツィカ! 覚悟!」

 思考の硬直と同時に身体も硬直したカツィカは綺里枝の声で我に返る、されど時すでに遅し。
 ユースティティアの不凋花は綺里枝の意思に応え槍斧から大剣へと変化、綺里枝の手に収まると返す刀で両の手へと鋭い斬撃を加えた。

「ガァァ!? クッ……馬鹿な!? 傷一つ与えられんだと!? 何故だ!?」

 直撃は無くとも、巨大な爪による攻撃を何度も受けて無傷な猟兵達を見て怒りと焦燥の叫びをあげるカツィカ。
 獣の遠吠えが荒野に響く、満点の月と星だけが見守る戦場にてオブリビオンは初めて焦りを見せた。
 怒りに血走った瞳を猟兵に向けるカツィカ、その視界にキラリと美しいナニカが煌めいた。

「これは……まさか!?」

 その光るナニカに注目すれば、自分の周囲を漂いながら猟兵達へと降り注ぎ……傷を癒していったのだ。
 カツィカに思い当たる節あり、それは……。

「貴様かぁぁ!? 妖精のおんなぁぁぁ!!!!」
「へっへーん! 小さいからって無視するからそうなるんだよ!」

 妖精姫ティエルの能力、小さな妖精の輪舞の力により仲間の傷と疲労を戦いながら癒していたのだ。
 勿論この能力によりティエルの身体には疲労が生まれる、だがティエルは一人ではない。
 自分を押し潰そうと迫る剛腕を前にしても笑顔を曇らせる事は無い!

「そこまでです」

 戦場に響くのは透き通るような静かな声、それと同時にカツィカの腕は爆発したように反発。
 振り下ろしかけた腕が逆方向……つまり後方へと持ち上げられたのだ。

「待ってたよーレイチェル☆」
「お待たせしました、ここからは……」
「私達も参戦です!」
「あぁ、終わりだ呪飾獣カツィカ」

 ティエルを守った力はレイチェルのサイコキネシス、見えざる腕がカツィカの攻撃を防ぎ、逆にはじき返したのだ。
 そして人形を伴って松座衛門が、大きな桃色の金棒を肩に担いでシャルが。
 先行し肉薄していた仲間と合流する、カツィカの勝利はもはや無い……が、この獣は最後の最後まで足掻き続ける。

「この技は……使いたく、なかった……ガァァァァァァ!!!!!」

 轟咆と静寂……刹那、カツィカの身体を不穏な金色の呪詛が取り巻いた。
 金山羊の呪いの顕現、命を代償に生み出された力は破壊と混沌、そして呪詛を振りまく大災獣へと進化させる。
 その動きは疾風の如く、大地を抉りし剛腕には呪詛が纏い、その傷は触れるだけで腐り大地を不毛な荒野へと変える、その叫びは衝撃破を伴い最短で防御。迎撃・攻撃・牽制を行う。
 まさしく呪飾獣の通り名を示すが如く!

「無残に潰れ! 無残に腐り! 無残に死ね!」

 重い巨体を風に乗せ、カツィカが動く。
 それだけで呪いは命を削るが、生み出されし速度と破壊の前に猟兵達は空前の危機を迎えるはず……であった。

「良い速さだな、テストには持って来いか」

 風には風を、破れかぶれとなった時点でカツィカに勝利の目は無くなったのだ。
 素早く動いたカツィカに反応し、人形と糸を巧みに操り防せいだのは松座衛門。
 剛腕をいなし、縛り、絡みつかせ、弾く……様々な工程を刹那の間に平行運用する事で奇襲染みた一撃を完璧に止めたのだ。
 更に不敵な笑みを見せた黒髪のヤドリガミは自分の持つ“技”を獣に見せる。
 踊るように戦闘用人形がカツィカの懐に入り込み、巨大な爪を装着した腕部で一撃――その攻撃により腹部に意識を取られたカツィカは続いてまったくの死角からの殴打を貰ってしまう。

「な、なんだ……それは!? なぜ、ふせげな、い!?」

 絡繰人形故に行える人体には不可能な動き、直角に曲がる攻撃、途中でピタリと急静止する脚部、関節を外すことで伸びる爪。
 直観をもっても防げぬ攻撃の嵐にカツィカは攻撃をいつしか止め、その巨腕でただひたすらに身体を守る。
 だが、その防御を人形はすり抜ける、風のように自由で、止めきれない攻撃の嵐――これこそ。

「鬼猟流 演目其ノ一「疾風」……その身に刻め!」

 呪術で強化された速度を上回る人形の演武、それによってカツィカは動くこともまとに出来ない。
 ここは距離を取るべきだ――獣の直観が働き、カツィカは大きく後方に飛ぼうとする……が、見えない何かに捕まれ無様に転んでしまったのだ。

「だめです、逃がしません」
「穿て、暁闇!」

 その腕を生み出したのはレイチェルの念動力だ、何が起こったのか分からないカツィカに最後の演武が襲い掛かる。
 それは副腕として装着された多節棍“双爪丸”による頭蓋を抉る強力な突き。
 必至に首を捻り、最悪の事態を避けたカツィカであったが呪われた右目を抉られることになる。

「ガァァァァァァァ――――――――ッ!?!?!?」
「今だ! はぁぁ!!」

 激痛に悶えるカツィカ、呪詛により強化された身体を大地に横たえゴロゴロと転がり続ける。
 だがその隙を見逃さない、松座衛門は糸でもってカツィカを拘束すると無理矢理引き立たせたのだ。
 その動きに応えるのは金髪碧眼の鬼娘!

「さーて、レッツぱーりぃ!!」

 “ThornSociety”を肩に担ぎ、全力ダッシュで縛られたカツィカに肉薄、ワイドスタンスに開いた両足で大地が窪む程に力強く踏み込んだ。
 全身の捻りを収束し放たれる鬼棍棒、それは音の壁を打ち破り、強化されたカツィカの身体をくの字にへし曲げる!

「ゴハッ!? ガ…ガァァ!?」
「吹き飛べ―!!!」

 ミリミリと肉と骨が軋む音が響き渡る、通常であればシャルの攻撃によって吹き飛ぶがギリギリまでダメージを蓄積させるために松座衛門が糸を大地へと結っていたのだ。
 振りかぶった羅刹の力を余すところ無く浸透させた瞬間……糸をブツリと切断、初速にて音速を超えたカツィカは遥か上空へと吹き飛んだ、

「まだまだー!!」
「援護します」
「いっくよー!!」

 金棒をそのままぶん投げるシャル、その金棒に掴まって共に突撃するのは小さな妖精、ティエルだ。
 更にレイチェルがサイコキネシスによて加速を行う、見えない念の壁を金棒の周囲に形成、空気との摩擦から金棒とティエルを保護したのだ。
 パンッ! と軽い破裂音と衝撃を伴って金棒は風を超える――ロケット染みた鉄の塊は空中にてカツィカの腹を吹き飛ばしたのだ!
 更に超加速で肉薄したティエルは周囲に残った暴風をレイピアに収束、荒ぶるだけであった音がティエルのレイピアに集う事で美しい鎮魂歌へと変換された。

「妖精の一刺しうけてみろー☆」

 暴風を伴う一刺し、それはカツィカの残った眼球である左目……そして左肩から先全てを吹き飛ばす!
 月夜に照らされた黄金の獣はもはや見るも無残になり果てた。

「お迎えと追い打ちだよ!」

 更に金棒を投げた張本人であるシャルが桜模様の柄から抜刀、斬れば珠散る秘奥の刃“村雨”を伴って“見えない足場”を駆けあがってきたのだ。
 まるで月夜に届く不可視の階を登るかの如く、風切り音と共に鬼が一足飛ばしで駆ける!
 その不可視の道を維持するのは白銀の髪を靡かせるヤドリガミ、レイチェルだ。
 静かに目を閉じ、青き瞳を隠し、深い集中によって作られた念の足場……かつて自分に自由を齎した力でシャルを重力から解き放つ!

「たぁーーー!!」

 レイチェルの足場を踏み込んで鬼が飛ぶ、短い着物がひらりと捲れ、繰り出されるは名刀による多段斬撃!
 一度切れば水が落ち、二度切れば霧となり、三度切れば雨が降る。
 村雨の力により斬れば斬る程切れ味を増し、水を生み出す村雨の力により、カツィカの右腕を粉みじんに切り裂いたのだ。

「おのれ……おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぇぇぇぇ!!!!!」

 金髪碧眼の鬼娘はその肩にティエルを迎えると、お先にどうぞと言わんばかりに二人はカツィカにウインク。
 その意図が分からぬカツィカは呪詛の叫びを轟かせた……して、二人のウインクの意味とは……。

「わたしの力を、ぜんぶあつめて……ぶつけます!」

 地上にて目を開き、青き眼でカツィカを見つめるレイチェル……念動力の全てを解放した彼女の指……可憐な指に嵌められた指輪は太陽のように眩しく光っていた。
 ――瞬間、両腕と目を失ったカツィカは巨大な……そう、巨大化した自分よりも巨大なナニカに殴られる。
 それは天神の拳と言われてもおかしくない規模の念動力による手だ、レイチェルのフォースを超圧縮してなお強大なソレは圧倒的な密度と質量でカツィカを大地へと叩きつける。

「やぁ――――――っ!!!」
「ガッ!?」

 極大にまで圧縮、構成されたサイコキネシスは巨獣カツィカが変形する程の力で殴りつけ、同時に大地を陥没させる。
 上空に吹き飛ばされ、両腕をもがれ、再び大地に殴りつけられ完全に屈したカツィカ……その呪われた獣を待っていたのは二人の聖剣の担い手だ。

「貴様の悪行もこれまでだ、受けよ! 聖剣…グランネージュ!」
「宣告通り、お前を倒します! ユースティティアの不凋花!」

 二人の猟兵は地に伏し、呪いそのものとなる獣を討つべく駆ける。
 男の手には聖剣グランネージュ、刀身に刻まれしルーンが輝いて。
 女の手には白銀の聖剣ユースティティアの不凋花、人々の祈りを受けて白光に輝いて。
 夜闇に聖なる軌跡を一対描き、黄金の獣へと振りかざされる。
 袈裟斬りと逆袈裟――交差した聖剣の軌跡は呪いを纏った獣をこの世から浄化せしめたのだ!

「呪飾獣カツィカ、討ち取った!」

 幻想的に輝く月夜の元、猟兵達の戦いは終わった。
 大きく地形が変わる激戦を終え、猟兵達はバザーが開かれる町、ロレースへと向かう。
 あぁ、戦いで疲れた体を心を少しでも休ませてほしい……月と星の光はそう語り掛けるようであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『アックスウィザード商店開店』

POW   :    肉体を誇示した大道芸や声の呼びかけを駆使し、聴衆を集める

SPD   :    集まった聴衆達を会計の早さで次々とさばき回転率を上げる

WIZ   :    聴衆達にいかにこの商品が魅力的か話術を試みる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ●町の喧騒、守った平穏。

 一夜明け、町は今までで最高の盛り上がりを見せていた。
 娯楽の少ない荒野の町だ、久しぶりの大きなバザーに全ての人の瞳が輝いている。
 猟兵達が守った明日が来たのだ。

「いやいやいや!」

 そんな町を歩けばある騒ぎを耳にするだろう、それは町人の中でも血気盛んな若い男達数人の話。
 その男達の話とは、昨夜の激戦であった。

「やはりケイトリンの青い瞳でどうだろうか?」
「いやいや、ティエリエルの翅がかわいいし良いと思う!」
「ばっか! ヴァゼラードの刃だろう!」
「松座衛門の演舞場も捨てがたい……」
「神楽火の御旗も忘れないでくれよ!」
「ポップ清川とか若者向きでねーか?」

 実は昨夜の激戦によって町のすぐ近くに大きなクレータが出来上がったのだ。
 町の発展と猟兵達の栄光を祈って、クレーターに名前を付け、新たな町の名物とするつもりらしい。
 気分は英雄譚で町おこしだ。
 そんな話を耳にしていた猟兵達に町長が近寄る。

「あぁ、すみません……後で言いつけておきますので! 皆さんはバザーを楽しんでくださいませ!」

 町長のトーマスは苦笑いを浮かべながら猟兵達に若者たちの後始末は任せろと責任を持つと言い放つ。
 と、そんな一幕は有ったもののバザー自体は順調に、非常に楽しく行われている……はずであった。

「ぼ、冒険者さま! 良い所に! な、なにとぞ! なにとぞ力を貸してくださいませ!!」

 バザーを楽しむ猟兵達に声をかけたのは多すぎる商品を抱えた間抜けな商人であった。
 彼の話によれば町の人達の為にと雑多に商品を買い過ぎたらしい……普段みないような商品が多く、バザー客も食指が伸びないようだ。
 余っている商品は主に三種類だそうだ。
 一つ目は【普段着ないような水着やドレス等の希少な衣服】
 二つ目は【荒野では手に入らない珍しい果実や甘味、野菜等の珍味】
 最後は【楽器や本、人形などと言った娯楽品や芸術品】である。
 折角のバザーをダメにする男の悲痛な声、もちろん手を貸さずにバザーを楽しんでも良いだろう。
 だが、折角の機会だ商人の真似事をして町の人々と交流するのも悪くない。
 猟兵達のアイデアで困った商人を笑顔に変えてやろうではないか!

 ※売る商品と売り方を描いて頂けると嬉しいです!
  例:衣服を着こなしてモデルになる とか、珍味を料理してみる、楽器を演奏してみるなんかありますね!
レイチェル・ケイトリン
「町の人達の為に」

なら、人形さんたち借りて念動力とサイコキネシスをつかって、空中でダンスをさせてみるね。

わたしの力ということはかくさないし、それでなにかするってわけでもない。

わたしはただみんなのたのしい雰囲気をもりあげられるようにする。

それであつまってくれたひとたちに商人さんがどうするかはじぶんでかんがえてもらうね。

人形さんの服を水着やドレスにみえるようにしてみるとか、みてくれるひとにたべものをおすすめしてみるとか、いろいろあるとおもうよ。

ふだん見ないものだから売れにくい、ならきっかけがあればいいのかな。

うまくやれるといいね。



「わぁーーー!! おかあさん! あれ! あれ!!」
「ままー!! すごいすごいよーー!!」

 バザーを楽しむ人々の喧騒が響く町ロレース、その中で一際大きな明るい子供の声が湧き上がる。
 その声の中心に居るのはレイチェル・ケイトリン、白磁のように真っ白な肌に銀色の髪、空のように透ける青い瞳の少女である。
 人形のヤドリガミであるレイチェルは商人から売り物である人形を借り、念動力で操り即興の人形劇を演じている。
 新品であるクマとウサギのぬいぐるみ人形、アンティークドール……
 ぬいぐるみ人形は王都でも最新のデザインであるようで開拓地であるロレースの民には馴染みのない事が売れない原因のようだ。
 アンティークドールは見た目の高級感が食指を阻害している。
 だがぬいぐるみ人形は一見テディベアに見える可愛らしいデザインのぬいぐるみだけあって、子供たちは興味を持っていたのだ……そこにレイチェルの人形劇が加われば子供に人気になるのは自然の摂理と言えただろう。
 アンティークドールは売り物に似たドレスがあったので、それを着て華麗な空中ダンスを披露する。
 キラキラと太陽の光を照明に繰り広げられる幻想的な光景に大人も溜息を漏らすほどだ。

「わー! くまさんが料理してるよ!」
「ままー! うさぎさんかわいい服きてるー! いいなー!」
「あ! あの子はくるくる踊ってる!! すごいきれー!」
「あらあら、そうね。 美味しそうね」

 そして子供の熱気は親に伝播する、レイチェルの人形劇は親子を中心に黒山の人だかりとなり、その中心にいるレイチェルもロレースの人々の笑顔に包まれているのだ。
 自然と胸が温かくなるレイチェルにおひねりが飛び、それと同時に子供達が人形を求める。
 親もうちの子にこの人形ちゃんと同じドレスを……とあれだけ売れなかった商品が飛ぶように売れていく。

「はい、大事にしてあげてね?」
「うん! おねーちゃんありがとー!」
「あいがとー!!」

 レイチェルは子供たちのスターとなり、少年少女達から握手と声をかけられる。
 その度に笑顔を送られ、ヤドリガミの少女もはにかみ笑顔を見せる。
 自分たちの守った平穏を楽しみながら、バザーは続く……。
 だってまだ自分の演劇を見たいという人達が居るのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティエル・ティエリエル
「ふむふむ、商品が売れなくて困っているんだね!うん、いいよ!ボクが手伝ってあげる♪」

売れ残っていたハチミツを手にとって大々的に宣伝だよ♪「存在感」のおかげで注目度もばっちりのはず!
問題のハチミツだけど、ハチミツが大好物なティエルも納得の味。
美味しいハチミツを味見してもらう試食販売を試みるよ!
最初をお店を覗いていたお客さんに振舞ってたけど……
羨ましそうに見つめてたら商人さんに食べていいよって言われちゃった!

わーい♪と美味しそうに舐めてたら逆にそれが宣伝になったみたい♪やったね、ボクの作戦通りだよ☆



「ふむふむ、商品が売れなくて困っているんだね! うん、いいよ! ボクが手伝ってあげる♪」


 そう言って商人を手伝うことを決心したのは20cm無い身体で大きな瓶を両手で持って、元気一杯に宙を舞うフェアリーティエル・ティエリエル。
 彼女の活発で人を陽気にする可愛い声で呼び込みを行っていた。
 ティエルがロレースの町の人々にお勧めする商品、それは……。

「リリルラ産のハチミツだよー! すっごく美味しいおすすめのハチミツだよー♪」

 高級なハチミツの産地と違い、ややマイナーな産地であるリリルラで作られた蜂蜜である。
 特徴な濃厚な甘みと、なんといっても果実の香りがほのかに香る事だ。
 これは通常レンゲやクローバーの花から採られる蜂蜜を、柑橘系果実の花から取る事で見事にフレーバーとして成立させた逸品である。
 パンケーキに塗って良し、肉料理の臭み取りにも使えるまさにオススメの一品だ。
 これにはハチミツが大好きなティエルも満面の笑みを浮かべた程である。

「オレンジの香りがするんだ! どう? 味見してよー☆」
「あら、変わった蜂蜜なのね。 それじゃ、少し……うん、美味しいわ!」
「おお! 確かにこれはスゴイな……」

 ティエルから小さな匙を受け取り、蜂蜜を試食した人たちは全員が笑顔になる。
 そう、甘い物は人を幸せにする魔法の食べ物なのだ!

「でしょー☆ ボクも一口食べさせて貰ったけど、本当に美味しいんだ! ……んん!」
「確かにこれは買う価値があるなぁ」

 振舞うティエルだが、しだいに視線がジーっと蜂蜜に集約されてしまう。
 試食で振舞えばふるまう程に瓶から減っていく蜂蜜、匙に掬われお客さんの口に向かうハチミツ、甘くてトロトロのハチミツ……。
 元気一杯にお客さんに振舞っていたティエルは羨ましそうに試食する様子を見つめてしまっていたのだ。

「冒険者さん、もう十分売れたんで。 お給料とは別に、はい。 食べてください」
「えっ!? 良いの! わーい☆」

 商人の言葉通り、まったく売れていなかったリリルラ産の蜂蜜は三分の一は売れている。
 蜂蜜は保存がきくのでこれだけ売れれば十分なのだろう、商人も笑顔で小さな商人妖精に新しい瓶を差し出したのだ。
 それをも居たティエルは翅から光をきらりと生み出しながら飛びついて、大事そうに抱きかかえる。
 その光景を微笑ましく見守る人々、そんな中で妖精用のスプーンまで貰ったティエルはリリルラ産のオレンジハニーを笑顔で一舐め。
 口内に広がる豊かな甘みと、爽やかな香りにぽわ~と幸せ一杯になってしまうのだ。

「ん~~♪ やっぱり美味しい~☆ この濃~い甘さ! なのにさっぱりしてるのは香りのおかげだよね♪ もう一回あ~ん……はむ♪」

 幸せ一杯のオーラが纏い、ティエルがもう一口とハチミツを舐める。
 存在感のある妖精姫の幸せそうな食事シーンは、見る物の心を次々と射止めていくのだ!

「お、おれにもあの蜂蜜をくれ!」
「私にも頂戴、あんなに美味しそうにしてるんですもの」
「わーすっごい美味しそう! ままー私もはちみつなめたいー!」
「そうね、初めて聞く産地の蜜だけど……あんなに美味しそうに食べれる蜂蜜なんですもの、買っちゃいましょうか♪」

 幸せそうな食事風景は、千の美辞麗句に勝る。
 まさしくティエルの幸せな宣伝大成功である!
 やったね、ボクの作戦通りだよ☆ ティエルは美味しい蜂蜜を味わいながら、笑顔でバザーを楽しむのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キョウ・ヴァゼラード
※売る商品と売り方
私とアイギスで水着を着て店頭に立ち、モデルとなって商品販売に貢献しよう。

※アイギスについて
黒髪ロング、長身で胸も大きいグラマラスな美女。
水着はビキニを着用、愛用の大盾はあえて持つ。
水着が似合っているが、恥ずかしくて終始顔を赤らめている。
『か、閣下…これは幾ら何でも…恥ずかし過ぎます!』

※キョウについて
水着はお任せ。
聖剣を掲げ、どんな水着であろうと自信を持って勇ましくポーズ。
「胸を張れ、アイギス。
我々は今、この水着を魅力的にアピールしなければならないのだぞ!
民よ、このヴァゼラード伯が商店の質を保証しよう、安心して買い物を楽しむがいい!」



「か、閣下……これは幾ら何でも……恥ずかし過ぎます!」

 かすれるような小さい声で羞恥を訴える女性、彼女は伯爵位を持つキョウ・ヴァゼラードが団長を務める聖霊騎士団の精鋭騎士、アイギス。
 戦闘では大楯を持ちあらゆる攻撃を防ぐクールな女性騎士である……が、現在は普段冷静な表情を真っ赤に燃やし、俯き震えている程だ。
 その原因は着ている物にある、ドジな商人が在庫を抱えた商品……その中の水着を売るためにモデルをしているからだ。
 着用するは黒のシンプルな三角ビキニ、高身長で美脚、出ている所は出て、引っ込むところは引っ込むアイギスの身体をセクシーに際立てる一品だ。

「胸を張れ、アイギス。 我々は今、この水着を魅力的にアピールしなければならないのだぞ!」

 そんな彼女の目の前には黒に金で細やかな刺繍が施されたスイマー向けのメンズビキニを着こなすキョウの姿があった。
 鍛えられた身体を惜しげもなく晒し、笑顔で自信満々で立つ姿はまさに貴族然としていた。
 そんなキョウの前であるからこそ、余計に羞恥を感じているアイギスは、もじもじと自身の身体を抱きしめ恥ずかしがる。

「か、閣下……考え直しませんか!」

 大きな胸を隠す黒のビキニの位置を気にしながら、なんとか取りやめないかアイギスは聞いてみる。
 だが、キョウの考えは変わらない……すでに周囲にはざわざわと男女の声が聞こえているのだ。
 そう、二人はこれから衆人環視の前に立ち、水着を着こなす姿を見せつけなければならない。
 不安と羞恥に襲われるアイギスであったが主人であるキョウは逆に乗り気なようで簡易ではあるが設営されたステージへと進んでしまう。

「なに、気にするなアイギス! 我々に出来る事をするのだ」

 ある意味で良い笑顔でモデルを務める伯爵様、アイギスもままよ! とステージに飛び出すのだ!
 そこで待っていたのは歓声と視線!
 キョウとアイギスを若い男女が取り囲み、あれやこれや話している。
 そんな町人達の声が小さく聞こえる程の大きな声で宣言するキョウ。

「民よ、このヴァゼラード伯が商店の質を保証しよう、安心して買い物を楽しむがいい!」

 胸を張り聖剣を掲げれば興奮は絶好調! 人々は自分たちも二人のようにカッコよくなりたいと商人の商品を楽しみながら見回りだした。
 キョウとアイギスの活躍により、特に水着は完売したほどである!
 この開拓町ロレースの南に離れた場所に川があるので、そこで使うのだろう。
 温泉でもあればもっと水着の活用方法もあっただろうが、無い物は仕方ない。
 結局キョウとアイギスにファンが出来てしまうアクシデントもあったが、それ以上に猟兵達の活躍で商品は全て売り切れる程の大盛況となった!

「ありがとうございます、冒険者のみなさん!」

 間抜けな商人、もとい幸運な商人は深々と頭を下げるのであった。
 こうしてロレースのバサーは多くの人々を笑顔にし幕を下ろす。
 この平和な光景はキミたちが守ったのだ、胸を張ろう!

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月26日


挿絵イラスト