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花の園、蕩け溶け落ち、混ざりゆく

#UDCアース

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#UDCアース


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 ぞるり、ぞるりと。薄暗い室内に粘液質な音が響く。その音の源は、全身蛍光グリーンに輝く少女。たが、ただの少女ではない。ゼリーの如く、スライムの如く、その体は流動的に姿を変える。少女に見えるのは、そのような形を取っているだけに過ぎない。
「とける、溶かす?」
「蕩けて、みんないっしょ」
 少女たちは粘つく音を響かせながら、ぞるぞると円を描くように蠢き回る。そこに知性や理性と言った要素は薄く、もし彼女らを見た者が居れば、ただ何かに奉仕する為だけに生み出されたような印象を受けるだろう。
 その中心にはまるで崇め奉られるように、一欠片の水晶が鎮座していた。
「ーーこのクリスタライザーを、相応しき者に」
 僅かに漏れ出る妖しい光。その中で幻影の如く、クラゲのような姿をした女がゆらゆらと触手を揺らめかせている。その姿は、不定形の少女たちの動きに合わせ、徐々に濃度を増しているように思えた。
「そうでなくば……然るべき報いを」
 周囲に蠢く少女たちを一顧だにせず、女は光の中で揺蕩い続けるのであった。


「殆どの人は初めましてかな。ボクはユエイン。ユエイン・リュンコイス。どうぞお見知りおいてくれると嬉しいよ」
 そう言ってぺこりと、ユエイン・リュンコイス(f04098)が頭を下げながら挨拶する。
「今回キミたちに行ってほしいのは、狂気と邪神の潜む世界、UDCアース。ここで太古の邪悪な神を復活させようとする動きがあるみたいなんだ」
 人ならざるオブリビオンが、超常の力を持ったオブジェクトを使用し、邪神を復活させようと蠕動している。このまま放置しておけば、蘇った邪神により甚大な被害が出てしまうだろう。
「そうなるまえに、キミたちには邪神復活の儀式を行っている場所の調査、およびそれを執り行う信者や不完全に復活した邪神を討伐して欲しいんだ」
 彼らが活動していると思しいのは、UDCアースに存在するとある女子専門の学園だ。それも非常に厳格な規律のある学園らしく、真正面から行っても中々に侵入は難しそうだ。
「学園はそれなりの大きさがあるからね。女性であれば、制服やメイクで誤魔化せば侵入は可能だろうし、有用な技能やユーベルコードがあればそれを使ってもいいかもね。え、男子は……何かうまい手を考えて、それでも駄目なら……気合と根性、かな?」
 ユエインは僅かな困惑を浮かべて、首をかしげる。それに関しては、個々人の努力と工夫に期待するという事か。
「侵入に成功したら、どこかに邪神復活を行おうとする存在の痕跡があるはずだから、それを探してほしいな。相手にそこまで知恵はないはずだから、すぐに見つかると思うよ」
 そうして相手を発見すれば、後は戦闘あるのみである。信者の掃討に、復活しかけている邪神の討伐を行えば、今回の依頼は成功となる。
「まずは潜入と調査を頑張ってほしい。それじゃあ、頼んだよ?」
 そう言って、ユエインは猟兵たちを送り出すのであった。


月見月
 どうも皆様、月見月でございます。
 はじめましての方も、見知った方もどうぞよろしくお願いいたします。

 今回は、女子専門の学園で邪神復活の為に信者が活動しているようです。
 まずは皆様には舞台となる学園に潜入していただきます。厳格で規律にうるさい気風ですので、くれぐれもばれないように侵入し、信者や儀式の手掛かりを探ってください。信者の知性はそこまで高くないので、発見自体はそこまで難しくないでしょう。
 その後は信者達の排除、ボスである邪神の討伐となります。その為にも、まずは潜入と調査をお願いいたします。

 章移行時には都度、状況説明の文章を挟む予定ですので、次の行動の参考にしていただけますと幸いです。
 それではどうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『男子禁制』

POW   :    気合と根性で女子になりきる

SPD   :    メイクや衣装、装飾で誤魔化す

WIZ   :    技能やユ-ベルコ-ドを活用する

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ファレリア・リトヴァール
邪神を復活させる訳にはまいりませんわ、必ず止めませんと。

厳格な女子校、ですのね。なかなかに潜入は難しそうですけれど、
私は性別的にも年齢的にもそれほど不自然ではないかと。
礼儀作法も一通り身につけておりますし。
制服は用意して下さいますのよね? さすがに奪う訳にはまいりませんわよ?

現場が女子校という事は、信者は女子学生なのでしょうか。
怪しい噂が無いか、好奇心の強い学生の振りで他の学生に聞き込みしてみますわ。
女子は噂話が好きなものですし。
怪しげな噂が聞き込めたら確認しに行きますわね。
クリスタライズで透明化し、忍び足で足音を忍ばせれば
そうそう見つからないと思いますの。


筒石・トオル
【POW】
年齢的にあまり性別の差が出難いはずだから、女性用の衣装を身に纏えばいけるかな?
メイクとかすると逆に違和感が出そうだし、髪だけ濡らしてはねてるの整えておくね。

上手く潜入出来たら、痕跡探しをしよう。
何か引きずった跡とか、溶けた痕とか、臭いとか無いか探してみるよ。
もし怪しまれたら、具合が悪いフリして保健室に逃げ込もうかな。


御劔・姫子
【POW】
わぁっ…お芝居とはいえ、うちも『じぇーけー』になれるなんて…前に話聞いてから、一度でいいからなってみたかったんよねぇ~♪ この服着たらえぇんやろか? なんや楽しくなって…

…って、あかんあかん。お仕事放り出すところやった…遊びやないんやから気を引き締めなあかんねっ!
厳格な場所云いますけど、うちだってこれでも御劔の娘。【礼儀作法】はちゃぁんと身に付いとります。年の頃も同じぐらいやし、『じぇーけー』になりきってみせるっ!

「京の方から転校して来ました、御劔姫子いいます。よろしゅう…えっと、よろしくお願いしますっ」

(アドリブ、連携等歓迎です。制服は指定が無ければセーラー服でお願いします)


月宮・ユイ
WIZ判定

外見的には潜入しやすいでしょう
可能なら他の猟兵の方々とも情報共有できるよう事前に準備
学園について”情報収集”後、制服を用意
”暗殺”用の潜入技術も応用し”目立たない”よう潜入を試みましょう
瞳が目立ちやすい点は注意
あまり使いたくはないですが
”催眠術、誘惑”で意識を鈍らすことも”覚悟”しておきます

潜入が成功したら
”動物と話す、コミュ力”を使い会話での”情報収集”をしつつ、
建物を見て回り”第六感”も頼りに不審点がないか調査します
なにか異変があれば痕跡や人を【変幻自在の追跡者】を使い”追跡”します

アレンジ・絡み歓迎


ナノ・クロムウェル
ふむ…潜入調査ですか。
なら、私は制服やメイクで誤魔化して潜入しましょう。
街であの学園での流行りのメイクやアクセサリーの小物について調べましょう。
技能「情報収集」を活用します。
街で見かける学園の生徒達を「サイバーアイ」で分析するのも手ですね。
とにかく事前に調査した上でメイク等を行いあの学園の生徒になりきって見せましょう
邪悪な神を復活させるわけにはいきませんから


胡堂・充
【WIZ行動】
…姉さんも生きていたらこんな学校に通ったんだろうか?
いや、感傷は無しだ。邪神の顕現を阻止する…それに集中しろ。

【医術】を活かして、校医として潜入しよう。邪神の類いが校内にいるなら、周囲の人間にも何からの影響が出るはずだ。校医としての立場を使って生徒の精神・健康状態について【情報収集】を行っていこう。
また、隙を見て校内の端末を【ハッキング】、データ等を調査して不穏な動向がないかもチェックだ。

それと、他に生徒として潜入している猟兵がいるなら是非情報の交換がしたいな。生徒間での噂話なんかは流石に調べきれそうにないからね。

(アドリブ、連携についてはお任せします)


ネラ・イッルジオーネ
WIZ

学園の服は借りるとして、髪色と目の色も変えた方が良いのでしょうか。
変えた方が良いのでしたら黒髪に染めて、カラーコンタクトで両方赤目か青目にします。いかにもなお嬢様と黒魔術をしてそうな雰囲気を出します。

学園の中に入る前に『世界知識』でお嬢様言葉などを覚えておきましょう。
『第六感』と『情報収集』を活用して情報を仕入れたり、怪しい場所を探します。

もしも儀式場を見つけた時は他の方が合流するまでの間、ユーベルコード『プニツィオーネ・ディ・ディオ』で学園の頭上に門を開き、物体(壁など)を貫通する審判で、信者と敵そして事態に駆けつけてきそうな学園の先生などを纏めて『範囲攻撃』で動きを止めます。




 市街地から離れた、静かな住宅街の一角。そこに、厳格な規律と規則を校風とする女学園は建っていた。健全なる女性を育むはずの学び舎、しかし今はその裏でおぞましい邪神を蘇らせんと目論む者たちが居るのだ……。


(……邪神を復活させる訳にはまいりませんわ、必ず止めませんと)
 その計画を防ぐために派遣された猟兵の一人、ファレリア・リトヴァール(白花を纏う紫輝石・f05766)はそっと学園の様子を伺っていた。
「厳格な女子校、ですのね。なかなかに潜入は難しそうですけれど」
 校門を眺めながら、そう一人ごちる。校門付近では風紀指導の教師や警備員が定期的に巡回しており、警備体制はしっかりしている。が、それも学校としては話。警察署や軍の基地ではないのだ、厳戒態勢という訳ではない。
「制服は……さすがに奪う訳にはまいりませんからね?」
 そこまで頻繁に需要は無いにしろ、店売りなり通販なりで制服を入手する方法が無い訳でもない。
 ファレリアは制服に身を包むと、校風に沿うような楚々とした態度を保ちながら、校内へと足を踏み入れる。
「さて……本番はここからですわね」
 特に見咎められることなく潜入に成功した彼女は、まずは怪しい噂話などがないかどうか、情報を収集し始めるのであった。


「わぁっ…お芝居とはいえ、うちも『じぇーけー』になれるなんて…前に話聞いてから、一度でいいからなってみたかったんよねぇ~♪」
「私達の外見的には潜入しやすいでしょう。制服も用意しておきましたよ」
「わぁ、セーラー服やん! ありがとうな! って、あかんあかん。なんや楽しくなってもうて……」
 他方では、学園付近で合流した御劔・姫子(はんなり剣客乙女・f06748)と月宮・ユイ(絶望に抗いしモノ・f02933)が、準備した制服に身を包んでいた。
「事前の情報では、学園の風紀は大分厳しいとのことです。万が一、教師の注意を惹いてしまった場合も想定しないといけませんね」
「うちだってこれでも御劔の娘。礼儀作法はちゃぁんと身に付いとります。年の頃も同じぐらいやし、『じぇーけー』になりきってみせるっ!」
 冷静に準備を進めるユイと、憧れの女子高生になれると張り切る姫子。服装を整え、落ち着いた所作を意識すれば、一般生徒との違いは全くない。
 二人は友人同士である様に振る舞いながら、校門を通り抜ける。すれ違う教師も、彼女たちへ注意を払うことはなかった。
「気づかれんかった……これ、うちも『じぇーけー』になりきれたってことかな!」
「ええ、これなら学園内を歩き回っても不審には思われないでしょう」
 笑みを交わし合い安堵するも、本番はここから。姫子は転校生を装いながら生徒へと声を掛け、話を聞き出し始めている。一方でユイも変幻自在の追跡者で手数を増やしながら、校内の隅々まで探索を進めるのであった。


 また他方では、筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)も学園に到着していた。先に潜入した者たちと違いトオルは男であったが、彼はそれでも侵入は難しくないと踏んでいた。
「年齢的にあまり性別の差が出難いはずだから、女性用の衣装を身に纏えばいけるかな?」
 そこまで外見に性差が出ておらず、変声期もまだ。女性用の衣服を纏えば、そうそう見抜けるものではない。逆にメイクなどは余計な注意を引いてしまうと判断し、髪を軽く濡らす程度に留めておく。
「幼すぎるとか言われたりはしない……よね?」
 一抹の不安がよぎるが、いざ学園に入れば杞憂に終わった。それなりに大きい学園ということで、生徒の年齢や学年も様々である。もしかしたら一貫校なのかもしれない。ともあれ、どうやら行動に支障は無さそうであった。
「よし、それじゃあ捜索といこうか。もし怪しまれたら、具合が悪いフリして保健室に逃げ込もうかな」
「失礼、変なことを聞くようだが……キミも猟兵か?」
 不意に声を掛けられ、びくりと肩を震わせるトオル。だが、続く言葉で相手も同じ猟兵であると理解する。振り返ると、そこには白衣姿で医者になりすました胡堂・充(電脳ドクター・f10681)の姿があった。
「驚かせてしまってすまない。流石にこの年齢では女装は難しいと判断して、校医に扮していたんだけどね。女子専門の学園では目立ってしまって、少々身動きが取りにくくて」
「ああ、なるほど……」
 苦笑する充に、トオルは納得したように頷く。成人の男性というだけで、ここでは非常に目を引いてしまうだろう。
「こっちは生徒の健康状態や、出欠状況などの方面からから調べてみるよ。何かわかれば、情報共有できると助かるな」
 わざわざ断る道理もなく、二人は約束を交わし合うと怪しまれないうちに分かれる。その後、一人になった充は校内の様子を眺めて、静かに呟く。
「……姉さんも生きていたらこんな学校に通ったんだろうか?」
 僅かな感傷。しかし、そんな想いもすぐに頭を振って振り払う。今は邪神の復活を防ぐのが先決だ。彼は情報を得るべく、保健室へと踵を返すのであった。


「ふむ……潜入調査ですか。なら、私は制服やメイクで誤魔化して潜入しましょう」
 ナノ・クロムウェル(翠炎のメタルサバイバー・f02631)が取った手段は、教師をよりも同じ生徒を主眼に置いた変装であった。彼女は事前に道行く生徒たちを観察し、学園で流行っているメイクやアクセサリを分析していた。ナノの変装後の姿にも、それらがしっかりと反映されている。
「蛇の道は蛇……厳しい校風とは言え、そうであればそれなりの対応をするものです」
 生徒の流行に乗ることが出来れば、その中に溶け込むことも容易になる。また厳しい校則の中で、生徒たち自身がそうしたものを創意工夫しているのだ。それが原因で教師に見つかるという可能性も低いはずだった。
 果たして、ナノは教師の横を素知らぬ顔で通り過ぎ、校内へと潜入する。
「さて、この姿なら話も聞きやすいでしょう……邪悪な神を復活させるわけにはいきませんからね」
 そのまままっすぐ校内を歩きながら、己と似た格好の生徒を探すナノ。彼女は決意を新たにしながら、手近な生徒へ声を掛けるのであった。


 変装という点では、ネラ・イッルジオーネ(サンツィオーネ・ディ・アニマ・f06949)は中々大がかりにしなければならなかった。金と銀の髪と、紅青の瞳は非常に美しいが、この世界では些か以上に目立ってしまう。
「学園の服は借りるとして、外見は……黒髪に染めて、カラーコンタクトで両方青目にしましょう」
 そうして変装を終えてみれば、そこに居たのは若干妖しげな雰囲気をたたえた、いかにも良い所の御嬢さんといった見た目の生徒だ。これならば問題はないだろうと、彼女は校門へと歩き出す。
「……ちょっと待ちなさい」
「どうかなさられましたか、先生。なにかおかしい所でもありまして?」
「貴女、少しばかり髪が長いように思えますが?」
 だが敷地内に入ろうとしたところで、年かさの女教師に声を掛けられる。どうやら、髪の長さが気に留まったらしい。ネラは緊張を張りつめながら、事前に学んだお嬢様言葉で対応する。
「いけませんか? 髪は昔から女性の命ではなくって?」
「ふむ……まぁ良いでしょう。ただし、それ以上の長さはいけませんよ」
 どうやら、今回は不問に付すことにしたらしい。ネラは焦らず、だが気持ち足早に校内へと入り込むと、ちらりと背後を確認する。
「少々危なかったですが……結果的には問題なしと言えるでしょう」
 ここからは情報収集の時間だ。だが彼女はそれと同時に、もし校内で何か動きがあればすぐに対応できるよう、ユーベルコードの発動準備を整えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『不定形少女』

POW   :    あたまはこっちにもあるよ
自身の身体部位ひとつを【自分が擬態している少女】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    みんなとかしちゃうよ
【触手状に伸ばした腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【衣服を溶かす溶解液】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    いっしょになろうよ
【全身を不定形に変形させて】から【相手に抱きつくために伸ばした身体】を放ち、【少しずつ溶解させていくこと】により対象の動きを一時的に封じる。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ある者は噂話を集め、ある者は手数を増やして効率よく。
 またある者は会話の中から探り出し、あるいは遺された痕跡に目を向ける。
 ローカルネットワークに集積された情報を検索し、共感でもって伝手を広げ、その先の戦いに意識を向ける。
 そうして浮かび上がる真実の断片。
 ある日忽然と消えた同級生、ふっと現れた誰とも知らぬ生徒。廊下に残された粘液。健康なはずなのに、なぜか異常な数値を示す者。入った生徒を飲み込む人食い教室。夜な夜な、校舎の窓から漏れる怪しげな光。
 猟兵たちがかき集めた玉石混合な情報は、ある一つの空き教室へと収束していた。そこが邪神を崇める信者の拠点であると踏んだ猟兵たちは、扉をあけ放って空き教室へと突入する。
 そこに居たのは、どろどろとしたゼリー状の体を震わせた少女……否、少女の姿をした異形の姿であったーー。
筒石・トオル
【SPD】
触手に当たらなければどうと言う事はないね。
『オルタナティブ・ダブル』で触手が当たる直前に移動して初撃をかわす。
移動場所は敵の背後。熱線銃で攻撃。
技能:零距離射撃、だまし討ち、2回攻撃を使用
例え失敗しても衣服を溶かされる溶解液かけられるだけだし、女の子じゃないから大丈夫。僕の裸を見てときめく人いないし。


ネラ・イッルジオーネ
事前に準備したユーベルコードは何時でも発動できる簡易魔法として、緊急用に置いておきます。他の猟兵が危ない時や在学生がもしも来てしまった時に、敵の行動を止める為です。

液体状の敵は電気や凍結などが効きそうなので、ユーベルコード『ラ・リヴォルツィオーネ・デェラ・グローリア』で氷属性をメインに他の属性も混合させて放ちます。

それと制服は借り物なので、溶かされないように注意します。『オーラ防御』で自分の周囲に纏わせて、触手はオーラで弾いたりいなす。

でも、なぜ少女の姿なのか、そこも調査する必要はあるのでしょうか。


月宮・ユイ
SPD行動

未だ大きく事件となっていない今、
このままひっそりと決着を着けたいところですね

見た目通り、相手を捕食・吸収するタイプの敵かな
決めつけず様子を見つつ戦い、相手の動きを”見切り、情報収集”
”第六感”も用いて致命的な攻撃を受けたり捕まらない様注意
「こちらも喰らい尽してあげる…」
右手には核をアクセとして持ち込んだ’創星剣’、
左腕は【捕食者】で狼の頭に変え戦う。
絡みついた相手を切り払ったり、”カウンター”として逆に喰らう
ただ、液体状の攻撃全てを防げるわけではないので
服がひどいことになるかも…
まぁ、場所柄女性が多いようですし
”覚悟”を決めて我慢しましょ<”恥ずかしさ耐性”

アレンジ・絡み大歓迎



 真っ先に現場へ到着することが出来たのは、乾いた粘液のような軌跡を辿ってきたトオル、多数の追跡者を駆使したユイ。次いで、既に戦闘を想定していたネラの計3人だ。
 彼らは室内で蠢く、少女の姿をした無数の異形を前に素早く戦闘態勢を整える。
「ここが正解でしたか。しかし、何故彼らは少女の姿をしているのでしょうか……?」
 相手の様子を伺いながら、そうネラが疑問を呟く。彼我の距離を測っていたトオルが、推察交じりにそれに応じた。
「学園には女子生徒しか居ないからね、ばれない様にという擬態じゃないかな……あるいは」
自らに取り込んで、写し取ったか。流石にそれを言葉として発することは無かったが、その場にいた誰しもが同様のことに思い当たっているだろう。そんな不穏な考えを振り払うように、ユイが話題を断ち切る。
「先入観や決めつけは一先ず置いておきましょう。未だ大きく事件となっていない今、このままひっそりと決着を着けるのが最善です」
 そういうや否や、彼女が先陣を切って敵中へと飛び込んだ。少女達もそれを視認すると、腕を触手状に伸ばして迎撃してくる。
「じゃまな物、とかすよ」
「いっしょになろう?」
 威力、命中率共に高い攻撃。主な効果は服を溶かすことだが、それが何に繋がるのかを考えると恥ずかしがる気にはなれない。自らの姿を思考の外に追いやりながら、ユイも反撃を行う。
「こちらも喰らい尽してあげる……」
 アクセとして持ち込んでいた創星剣を瞬時に右手で展開し、手近な少女へ肉薄する。相手の頭部を切り飛ばすや、狼の頭と化した左手で噛み潰した。瞬間、どろりと残った身体が融解し、単なる粘液に成り果てる。
どうやら、単体の戦闘力はそれなり程度のようだ。恐らく、その分を増殖力で補っているのだろう。その証拠にまだまだ数が残っているのだが、相手の特性として物理的な攻撃は些か効率に難があるようだ。
「相手は水分の多い粘体、となれば効果的な手もおのずと想像がつくかな」
「増援や在学生の近づく様子も無し……これなら、目の前の敵に集中しても問題ないですね」
 ユイの攻防から相手の特性を推察したトオルとネラが、ほぼ同時に動いた。敢えて身を晒すように動いたトオルに少女が反応、触手を伸ばして溶解液を吹きかける……が。
「当たるつもりはないよ。僕の裸を見てときめく人なんていないだろうしね」
 それが命中したのは、彼の眼前に呼び出されたもう一人のトオルだ。分身が攻撃を受け止めている隙に相手の背後へ回るや、零距離から熱線銃の引き金を立て続けに引く。じゅわりと鼻を突く匂いが立ち上ると共に、少女は姿を保てなくなり崩れ落ちた。
「熱は効果あり、と。であればこちらはどうでしょう……天翔ける奇蹟。集いて満ちるは栄光の槍。邪悪な魂に渾沌の審判を」
「仲間、へっちゃった……また、ふやす? とけて、まざって、いっしょになろう?」
 ネラが詠唱する最中、少女がぶるりと全身を震わせると体が崩れ、アメーバの如く包み込もうと体を伸ばしてきた。瞬時に体が溶けはしまいが、確実に身動きを封じられてしまうだろう。それらが彼女に触れる、寸前。
「……ラ・リヴォルツィオーネ・デェラ・グローリア」
 百に届こうかという氷雷の槍が、少女の全身を余すことなく貫く。電撃と凍結、二つの属性は相手の全身を固体と液体へ腑分けし、千々に引き裂いていった。撃破を確認すると、ネラは身に纏う制服に汚れ一つ着けないまま、戦場へ視線を巡らせる。
 敵の数はまだ多い。だが猟兵たちは的確に相手の能力を見切り、着実に戦力を削り取ってゆくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ファレリア・リトヴァール
何ですの、この少女の姿をした異形は……。
……まさか、消えた少女のなれの果てなんて、言いませんわよね?
姿を真似ているだけかも知れませんし、いえ、そうあってほしいですわ。

どちらにせよ、敵対するなら容赦はいたしません。
これ以上の被害は防ぎませんと。
瓊嵐で攻撃しますわ! 宝石の嵐で蹴散らしてさしあげましてよ!
……ゼリーみたいな相手に、効けば良いのですけれど。
衝撃波も使って近づかれない様にしますわ。


御劔・姫子
【POW】
『じぇーけー』やるんが終わってしまうんは名残惜しいけど、これもお仕事っ! 切り替えていかんとねっ!

でも、また斬っても効かなそうなのが来はったなぁ…うちも炎やら雷出せたらよかったんやけど…無い物ねだりしてもしゃあないか。

流石にバラバラにしたらちょっとは堪えるんとちゃうかなぁ? せやったら、ここは【妙手・風紅葉】…手数を増やす(攻撃回数重視)弐乃型で行こか。ついでにおまけもしたるっ!(【2回攻撃】)

…でも、斬っても斬っても手応えが薄いさかい…本当に効いとるんかなぁ?

(※連携・アドリブ歓迎です)


胡堂・充
【WIZ】
室内でバイクは使えず、相手は不定形生命体…控えめに言っても俺との相性は最悪だな。だが、そんな程度じゃ俺は諦めたりしない!
俺自身に出来ることが少ないのなら、他の猟兵の援護に回わろう。
味方への攻撃を【かばう】、敵の注意を引き付けて【時間稼ぎ】をする…もし、ダメージを受けた人がいるなら【他者治癒能力】で回復させる。(使用すると激しい頭痛を感じるが…)
「俺をただの医者じゃない…猟兵・胡堂充だ」
それに、まだ親玉がいる筈だ…切り札は取っておかないとな。
※連携希望です。アドリブについてはお任せします


ネラ・イッルジオーネ
貴方はこの世とこの場に存在してはならないモノ。残りの敵も浄化しましょう。

使える技能は有効に使いながら、ユーベルコード『ラ・ルーチェ・ディラ・フィーネ』で敵をこの世から消し去ります。

それと着ていて思いましたけど、制服と言うのは動きやすいのですね。
今は借りていますが、全てが終わった後に頂けたりしないでしょうか。とお思っています。


ナノ・クロムウェル
少女の姿をした異形…戦いづらいですね…。
ならば私の「翠炎剣」でどんな形状になろうとも叩き潰して見せましょう。
また腕に銃型の「ガジェット」を取り付けておきます。
これは炎の「属性攻撃」が可能で小さいながら翠の炎弾を放つことが出来ます。
物理攻撃の効き目が悪いなら焼却しましょう。
数が多いのならユーベルコード「鉄仙花の炎舞」で纏めて倒しましょう。
どんな姿をしようが異形は異形…容赦はしません。
迷ってしまえば…死ぬのは私になるでしょうから…。
私の生存…それが最優先事項です。
…悪く思わないでくださいね…



「すみません、少し出遅れてしまいましたか」
「っと……よかった、同じ猟兵ですか」
 戦闘が続く最中、空き教室の戸口に四つの人影が現れる。すわ敵の増援かと身構えたネラだが、その姿を一目見て瞬時に同じ猟兵であると理解した。先陣切って飛び込んできたナノの後ろには、教室前で合流した姫子と充、ファレリアの姿もあった。
「何ですの、この少女の姿をした異形は……! まさか、消えた少女のなれの果てなんて、言いませんわよね? 姿を真似ているだけかも知れませんし、いえ、そうあってほしいですわ」
(そう言えば、保健室にあった異常なバイタル数値を示した生徒のデータ……あれはもしかして擬態したこいつらか?)
 半ば己に言い聞かせるよう不穏な想像を否定するファレリアの横で、充はそれに関わると思しき記録があった事を思い出す。だが元となった生徒がどうなったのか、思い当たる節はあれどそれをわざわざ告げるほど彼は悪趣味ではなかった。
「『じぇーけー』やるんが終わってしまうんは名残惜しいけど、これもお仕事っ!   切り替えていかんとねっ! でも、また斬っても効かなそうなのが来はったなぁ……」
「室内でバイクは使えず、相手は不定形生命体……それを言うなら、俺との相性も最悪だな。だが、そんな程度じゃ俺は諦めたりしない! 援護は任せてくれ」
 姫子の言葉に、これ幸いにと充が乗り話題を変える。詮索は後、まずは目の前の相手を打倒すのが先決だ。
「数は多いけれど、そこまで強い相手じゃない。こちらの人数も増えたし、残りの敵も浄化しましょう」
 そう言うや、ネラは杖の先端についた宝石を、少女へと向ける。
「神々の魂。古の時より蘇り。我の杖に光となり集う。天を舞う無数の剣。神光を纏い堕落せし魂を貫く……貴方はこの世とこの場に存在してはならないモノ」
 ラ・ルーチェ・ディラ・フィーネ。詠唱を唱えきると同時に、無数の神聖剣が出現し少女達を斬り貫いた。聖なる力に焼かれ悶え苦しむ少女だが、やはり斬撃は少しばかり効きが悪い。
「切れる? ちぎれる? だめ、だめ。ひとつじゃなきゃ。みんないっしょ」
 攻撃を耐えきった一体が、ぞるりと体を震わせネラを飲み込まんとする。半円形に広がった粘液を避けるのは困難である、が。
「少女の姿をした異形……少し戦いづらいですが、異形は異形。迷ってしまえば……死ぬのは私になるでしょうから」
「ええ……敵対するなら容赦はいたしません。宝石の嵐で蹴散らしてさしあげましてよ! 煌めく玉よ、我が意のままに!」
「鋼鉄の花びらよ……翠の炎と共に舞踊りなさい」
 薄暗い室内に、無数の煌めきが奔流となって吹き荒れた。それはナノとファレリアの武装が変化した花びらだ。輝く宝石と翠炎に熱せられた鉄片。吹雪の如き二つの花弁は、広がった少女の全身を瞬く間に削り取っていった。
「ゼリーみたいな相手ですが、これなら相手の体積ごと消し飛ばして……っ!?」
「つかまえたよ?」
 効果はあった。だが、花弁を隠れて別の個体が不定形の体を伸ばし、足元よりファレリアへと襲い掛かった。掴まれた個所から、肌が溶けゆく痛みと不快感が全身を駆け抜ける。しかし、それを座して見ている猟兵ではない。
「俺はただの医者じゃない……猟兵・胡堂充だ! こいつを引き剥がしてくれ、治療を行う!」
「承りました。密着していても、炎弾と翠炎剣であれば」
 充の要請に答え、ナノが炎弾で粘液の大部分を吹き飛ばし、残った部分を手にした得物で削ぎ落とす。すかさず充はファレリアの傷口に触れると、自らの体力と引き換えに爛れた皮膚を癒していった。
「た、助かりましたわ」
「これも医者の役目だ、気にしないでくれ。それに……この後には親玉も待っているはず。前哨戦に時間を掛けたくないな」
 ファレリアの言葉に、頭痛に痛む頭を押さえて答える充。彼の言う通り、少女達を倒しても終わりではない。まだ、次がある。
「うちも炎やら雷出せたらよかったんやけど……流石にバラバラにしたらちょっとは堪えるんみたいやね。胡堂くんの言う通り、さっさと倒してしまおか」
 猟兵の攻勢により、急速に相手も数を減らしている。ここで勝負を決めるべく、姫子が敵陣へと切り込む。
「きえちゃう、みんな……やだ、やだ」
 少女の体にもう一つ頭が増える。大きな口をあけ、近づく姫子に歯を突き立てようと試みる。相手の生命力を奪う一撃に対し。
「これは見切れへんよ……風紅葉、弐乃型っ!」
 姫子は躊躇なく、刃を振るう。変幻自在の太刀筋は相手の全身を余すところなく斬り裂いてゆくが、切り口同士が結合し元に戻ろうと蠢いている。
「誰かが、のこればまた増える。だから……」
「そうはいかへんよ……ついでにおまけもしたるっ!」
 しかし、それを許すほど甘くはない。間髪入れずに放たれた再度の多重斬撃に、とうとう少女も耐え切れなかった。無数の粘液は一つになる事無く、そのまま弾け飛んぶ。
「あらかた片付いたか……」
「そう、みたいだね」
 ふっと、一息つく充にネラが同意を示す。室内に残っている少女はもう居ない。だがここには、彼らが復活させようとしていた邪神がいるはずだが……。
「もしかして、あれでは?」
 室内を用心深く観察していたナノが、ある一点を指差した。つられて視線を向けた猟兵たちは、空き教室の中央に鎮座する『それ』を見つける。
 妖しげな輝きを放つーー一欠片の水晶を。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『『クリスタライザーの守護者』夢野・那珂』

POW   :    IN THE DREAM
全身を【非実体 】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    SARIEL EYE's
【クラゲ状の触手 】から【高圧電流と神経毒】を放ち、【毒と感電】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    WELCOME TO DREAM WORLD
小さな【銀の鍵 】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【ドリームワールド】で、いつでも外に出られる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 空き教室の中央に鎮座した、一欠片の水晶。それはゆっくりと虚空に浮かび上がると、妖しげな光を放ち始める。それと同時に、光の中にゆらりと幻影の如く女の姿が浮かび上がった。
「……このクリスタライザーに相応しき者を。持つに足る資格を有する者を。それを探し求めるが我が役目」
 水晶球のようなランタン、深海を思わせる薄青色の服に、フリルのついた傘。それはまるでクラゲを思わせる姿。だが不定形の少女と違い、女の姿には確かな芯が感じられた。
「規律と厳格を身に着けた、健全なる乙女の学び舎。ここならば、と思ったが……」
 女は諦念したかのように目を瞑る。その僅かな動作からは、深い失望が滲み出ていた。
「期待に添う者はいなかった。どれも分不相応……奉仕眷属らにすら怯える始末ではな」
 だが、と女は目を開く。その顔に浮かぶのは、喜色に満ちた笑み。彼女の視界に四散した不定形少女達の残骸は映っておらず、ただ猟兵のみを捉えている。
「お前たちはどうやら違うらしい……喜ばしいことにな。失望させてくれるなよ?」
 さぁ、始めようか。
 そうして、邪神たるオブリビオンーー『クリスタライザーの守護者』夢野・那珂は猟兵たちへと襲い掛かるのであった。
月宮・ユイ
SPD行動

クリスタライザー、この水晶が今回の元凶
相応しき者を探す…ね。この戦いも差し詰め試験のつもりかしら
まったく、人を傷付けておいて勝手な言い分だこと…
なら、お望み通り怯えず戦い、とっとと水晶を回収させて貰いましょ

目標:牽制と仲間の補助
眷属の能力からして接近戦を挑むのは危なそうね
”視力、戦闘知識、第六感”可能な限り技能も駆使し相手を観察
動きを”見切り、情報収集”

攻撃には”マヒ・気絶攻撃”の”呪詛”を込め、
’創星剣’は蛇腹剣型、投げナイフの”投擲”と合わせ
【縛鎖】の捕縛拘束、停止減衰の鎖を使い、敵の動きの阻害を狙う
隙が出来たら、封印吸収の鎖も使い、拘束力を最大限発揮させる

アドリブ・連携大歓迎


筒石・トオル
【SPD】
「健全なる乙女の学び舎…ね」
調査の為とは言え、男の僕がここに居るのは少々申し訳ない気がするよ。

距離を取り、フェイントで触手が自分や仲間に絡み付かない様に熱線銃で『クイックドロウ』攻撃。
一応毒耐性の技能はあるけど、なるべく触れないように。
それでも攻撃を受けてしまったら、逆に触手を掴み、自分を囮にして仲間に攻撃してもらうのもアリかな?
「今の内に…早く!」
まあ僕が触手に絡め取られても色気も何もないんだけどね。

技能:毒耐性、フェイント、援護射撃


ネラ・イッルジオーネ
先程の敵には斬撃は効きづらいと覚えながら次の敵を見る。

海月と言う事は水や電気は効きづらそうなので、ユーベルコード『ラ・リヴォルツィオーネ・デェラ・グローリア』を放ち。火や土などの属性で傷ついた箇所から敵を干からびさせる。

防御面は『オーラ防御』を展開しながら、『第六感』で銀の鍵や電撃などを避ける。


胡堂・充
あれだけ生徒を犠牲にしておいて「分不相応」だと…?お前なんかが命を値踏みするな…っ!!
もう少し穏やかにいくつもりだったけど…気が変わった。
バイクの『マックス』を転送、【高速突撃形態】を使用し邪神に突っ込む。(可能なら、窓等を突き破り、校庭辺りに放り出す)
そのまま、【大型身体強化鎧】を発動。合体して【グラップル】で格闘戦を仕掛ける。
邪神に隙が見えたら、【加速強襲戦法】——鎧からの射出速度を乗せた【捨て身の一撃】——を叩き込んでやる!
「お前はこの世界の病巣だ。だから…俺が取り除く!」
(アドリブ等はお任せします)
(もし、広い場所で戦えない場合は、教室の天井や壁を破壊する可能性があると思います)



 姿を現したオブリビオン『夢野・那珂』。見た目は優美な女だが、全身から伝わる威圧感が姿通りの存在ではないことを直感させる。特にそれは、夢野の傍らに浮かぶ水晶から尤も色濃く感じられた。
「クリスタライザー、この水晶が今回の元凶。相応しき者を探す……ね。この戦いも差し詰め試験のつもりかしら。まったく、人を傷付けておいて勝手な言い分だこと……」
「あれだけ生徒を犠牲にしておいて……『分不相応』、だと?」
 相手の主義主張に対し、ユイが半ば呆れた様な視線を送る一方、その横にいた充の反応は激甚だった。
「お前なんかが命を値踏みするな…っ!! もう少し穏やかにいくつもりだったけど……気が変わった。ロアリングモード、起動! 行くぞ、マックスッ!」
 それまでの援護主体の動きから一転、オフロードバイクを召還し騎乗。瞬時に最高速度まで加速するや、フルスロットルで突撃を敢行する。
「怒りか。なるほど、怯えよりも余程良い。実力伴えば更に、な」
 対する女は余裕の態度を崩さない。複数の触手を震わせるや、閃光と毒液の禍々しいコントラストが充を襲った。高圧電流がバイクを焼き、神経毒が体を蝕むも、勢いが落ちるよりも前に防御を捨てた一撃を叩き込む。
 教室から相手を弾き飛ばすことも狙った一撃であったが、触手に阻まれギリギリのところで打撃を与えるに留まった。
「ほう、止めきれなんだか。やはりこれまでの者とは違うな」
「っ、こいつ……!?」
 そのままバイクと合体、追撃を行おうとするも、先ほどまで感じていた手ごたえが消失する。さっと視線を走らせると、攻撃箇所が非実体化しているのが見て取れた。
「先ほどの相手には斬撃が効きにくかったですが……今度は物理攻撃全般に耐性を持ちますか」
 充へ反撃を行わない辺り、非実体化中は行動出来ないようだが、それでも厄介さは変わらない。だがそれならばと、ネラが別方向より狙いを定める。
「となると、火や土も恐らく然り。ですが、試せる手はまだあります。天翔ける奇蹟。集いて満ちるは栄光の槍。邪悪な魂に渾沌の審判を――ラ・リヴォルツィオーネ・デェラ・グローリア」
 先ほどの異形との戦闘時にも使用した、複数属性を帯びた数多の槍。この中に相手に効果的なものがきっとあるはず。果たして、そう予想したネラの判断は正しかった。
「ふむ、やはり種を割られてしまえば、対策を取られるのも早いな」
 やはり邪なる存在に属している為か、光属性や非実体的な念や時といった属性であれば非実体にもダメージを与えられるようだ。夢野はそのままでは迎撃すら出来ないとして、体を実体化させるや手にした銀鍵を振るい始める。
 致命打となる軌道の槍のみを的確に異空間へ吸い込むも、数が数だ。薄青色のドレスには瞬く間に点々とした朱が散らされ、大輪となって染め上げてゆく。
「ダメージは与えられているけど、こうも取れる手が限定されると戦いづらいかな」
 有効な手段は見えてきた。だがトオルの言う通り、現状のままだと取れる戦術が少なすぎる。こちらが先に邪神を削りきるか、相手が猟兵を触手に絡め取るか。今の戦況ではそのどちらに転んでもおかしくはない。
「……あれを無効化する手が無いこともない。相手を引き付けて、隙を作って貰うことは可能かしら」
「囮だね、問題ないよ……にしても、乙女の学び舎、ね。寧ろ僕が触手に絡め取られても色気も何もないから、ある意味適任かな?」
 故に、ユイからそんな提案を受けたトオルは躊躇うことなく頷いた。彼は冗談めいた呟きを漏らしながら、熱線銃を片手に夢野の前へと敢えて身を晒す。ぞるりと反応した触手群に対し、ゼロコンマ一秒の速さで引き金を引き、熱光線を当てて弾き返してゆく。
「おお、早いな。だが、速さ勝負であればこちらも負けんぞ?」
 返礼は電光石火の雷撃。光速ほどでないにしろ、電流の速さは音速を優に超えると言う。ばちりという炸裂音と共にトオルの体が地面へと転がり、駄目押しとばかりに神経毒が注ぎ込まれる。
「さて、まず一人。拘束力がないとはいえ、この中ではしばらく動けまい……うん?」
 ずるりと触手でトオルの体を巻き上げ、女は小さな鍵を突き立てようとする。だが彼は毒への耐性によって半ば無理やり体を動かし、触手をがっちりと掴む。それは振りほどくためではなく、相手を逃さぬため。
「今の内にっ、早く!」
「ありがとう……これなら」
 トオルとは別方向より、ユイが敵めがけて飛び出した。夢野も残った触手で迎撃を試みるも、数は少ない。先んじて振るわれた蛇腹剣と投げナイフに込められた麻痺の呪詛によって、僅かに動きを遅らせられた。そうして、相手の懐まで肉薄したユイは無数の鎖を創り上げる。
「永久の縛りを……! 非個体、非実体であろうとも逃れられはしないわ」
「っ、これは。流石というべきか……!?」
 身体的な束縛、停滞と減衰、封印と吸収。その全てが夢野の全身を締め上げると同時に、非実体化を防ぎ、現実へと留めおく楔となる。
 流石に手も足も出ないという程ではないが、それでも回避や触手の動きは大幅に制限されるだろう。それを確かめるように、すかさず充が鎧からの射出加速を利用した蹴撃を叩き込む。
「お前はこの世界の病巣だ。だから……俺が取り除く!」
 果たして、充の一撃は相手の正中を捉えた。拘束され、避ける事も衝撃を逃がすことも望めない一撃。打倒までは届かずとも、相応の手傷を与えられたはず……だが。
「ああ、良い。良いぞ。そうこなくてはな。クリスタライザーに相応しき者を。持つに足る資格を有する者を。それを探し求めるが我が役目……であるならば」
 我が身と命、敗北すらも些末事。追い詰められているのも関わらず、夢野那珂はそれすらも喜ばしいとばかりに、笑みを浮かべるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

御劔・姫子
【WIZ】
この子が邪神…? クラゲっぽい所以外は普通の女の子みたいやけど…
うぅん、見た目に騙されたらあかんっ! うちも本気で行きますえっ!

怪しげな術や毒とか使いはるみたいやから、遠間から攻めていきたいなぁ…
せやったら、【裏奥義・神楽舞】で決まりやっ!
うちらがお気に入り…なんて言うんは、この技を破ってからにしなはれっ!

うー、でももうちょっと『じぇーけー』やってたかった思うなぁ…
この『せーらー服』、着て帰ったらあかんかなぁ…? えっ、えぇの!? やったぁ♪

(※アドリブ、連携等についてはお任せします。【裏奥義・神楽舞】については、切っ先を相手に向けた構えをとり、ゆったりとした動きから発動します)


ファレリア・リトヴァール
まあ、私達を選ぶとはお目が高いですわね。
けれどそんなちっぽけな水晶、私には相応しくありませんわ。
この私の輝きの方が上ですもの。(クリスタリアン的な対抗心)

これ以上の犠牲を出す訳にはまいりませんわ。
私の頼もしい『お友達』を召喚。(サモニング・ガイスト)
さあ行きますわよ、お友達!
あの穢れた水晶を砕いてさしあげましょう!

【ドリームワールド】に吸い込まれないよう、
私もお友達も警戒しておきますわ!


ナノ・クロムウェル
いよいよ大詰め…と言った所ですか
私は真の姿を開放…「翠炎剣」を手に持ち背中には翠炎を放射する「ガジェット」を背負い戦います
翠炎で牽制して剣で切り伏せます
毒と感電については「七つの万能薬」を服用することで対処します
私の「医術」でどこまで対応できるかは分かりませんが…軽減し、私が動ければ十分です
ダメージが通る瞬間は必ずあります
「サイバーアイ」で分析しユーベルコード「煉獄の強襲」を当てる機会が得るまで「武器受け」と「見切り」で耐えて見せます
(「煉獄の強襲」発動中は口調変化)
ナノは怒っているよ?
命の価値は君が決めていいものじゃないんだよ?
だから…ナノの炎はこんなにも激しく燃えているんだ
…そのまま消えて


月宮・ユイ
WIZ行動

自身の身や命さえ省みず役割を果たす…
ほんの少しの共感と行いへの大きな反発。
私は守る為、終焉に抗いし物として生まれた者
故に目的はどうあれ、貴方はここで終わらせる

「一切合切破壊し尽す…」
出来るだけ先の【縛鎖】を維持しつつ”力溜め”
溜めた力を使って”2回攻撃”込みの【破壊の火】
全てを一撃に込め、触手の”鎧砕き、武器落とし”
相手に直撃する”全力魔法”を

もし、倒せたなら怪我人の治療<”医術、救助活動”【癒し手】
と水晶含め室内の調査、片付け<”掃除、失せ物探し”。
犠牲になった方の遺品などあれば、大切に回収
「せめて安らかな眠りがあらんことを…」
「この結末も貴方の望みでしたか…」



「これが……邪神? クラゲっぽい所以外は普通の女の子みたいやのに……」
 『クリスタライザーの守護者』夢野那珂は全身を拘束され、少なくない手傷も負っている。にも関わらず不敵な笑みを浮かべる相手に、恐怖や畏れともまた違う底知れ無さを感じる姫子。彼女はそっと刀を構えつつ、じりじりと摺足で彼我の距離を測る。
「うぅん、見た目に騙されたらあかんっ! 怪しげな術や毒とか使いはるみたいやから、遠間から攻めていきますえ。うちらがお気に入り……なんて言うんは、こっちを破ってからにしなはれっ!」
「まあ、私達を選ぶとはお目が高いですけどね。けれど、そんなちっぽけな水晶、私には相応しくありませんわ。この私の輝きの方が上ですもの……そうですわよね、『お友達』!」
 機を伺う姫子の横では、女の賞賛を真正面から切って捨てながら、ファレリアが『お友達』……古代の戦士の御霊を召還する。霊的な炎や手にした槍を振るう戦士と連携し、双方向から攻めかかった。
「さぁ、その汚れた水晶を打ち砕いて差し上げましょう!」
「気にくわぬか、それもよし。だが、破壊は許容できんよ」
 夢野も銀の鍵で迎撃を行い炎を吸い取るも、やはりその動きは先ほどまでと比べて鈍さが目立つ。防ぎきれなかった槍の一撃が脇を抉り鮮血を散らすも、構わず触手を手繰って鍵を突きだし、戦士の霊を異空間へと隔離した。
「っ、『お友達』!?」
「すぐに脱出は出来ようが、一手潰せればそれで良い」
「く、ぅっ!」
 ファレリアは歯噛みをするも、今度は自分に向けられた銀の鍵を避けるべく飛び退ざるを得ない。しかし、それは余裕を保っていながらも、夢野が防戦に回り始めているという証左でもあった。
「いよいよ大詰め……と言った所ですか。ですが、最後まで気は抜けそうにありませんね」
 決着までもう僅か。ナノはここで勝負を決めるべく、真の姿を解放する。手には翠炎剣、そして背中のガジェットからも緑の炎を吹き上げさせながら、敵めがけて突撃を敢行する。
「本来であればこの程度容易く防げるのだが、この鎖が中々……尤も、それで終わりという程甘くもないがな」
 対する夢野もまた触手から電流と神経毒を放出し、弾幕の如く叩きつけた。電流により機械部分が焼き切れ、筋肉が神経毒によってびくびくと不随意に痙攣する。だがナノは最低限動ければよいと割り切り無理やり突破、相手を射程圏内に捉える。
「失われた感情よ。此度の声と共に蘇り、黒と翠の炎と共に私に宿りなさい」
 翠炎に混じる、漆黒の焔。蘇った感情と共に燃え上がる業炎が解放され、夢野那珂を飲み込んでゆく。
「命の価値は君が決めていいものじゃないんだよ? だから……ナノの炎はこんなにも激しく燃えているんだ……そのまま、消えて」
「ああ、何だ。がらんどうの人形かと思えば、しっかりとした中身があるではないか。ふふっ、ははははははっ!」
 全身が燃え、肉の焦げ付く匂いが立ち昇る。しかし夢野は火を消すのではなく、触手を総動員してナノを絡め取りにかかった。先ほどトオルにやられた事と似た狙い……相手を掴み、己の身を焼く炎へ彼女も諸共取り込もうというつもりだろう。賭けではあるが、耐久力勝負ではまだ夢野に分がある。
一方でナノも任意で延焼分も含めた炎を消すことが出来るが、夢野に抱き込まれればそれまで。相手の炎を消すか、諸共焼かれるか、どちらにせよ相手に理が生まれてしまう。どうにかして回避しなくては。そう焦るナノと逃がすまいと迫る夢野。その両者の間を……。
「そこやっ! 御劔流が裏奥義……神楽舞っ!」
 極大の真空刃が文字通り割って入った。火の粉を巻き上げ通り過ぎた不可視の刃は、夢野の触手を纏めて断ち切る。ぐるりと眼球のみ動かして攻撃方向を見た女は、玉の様な汗を流しながらこちらに切っ先を向ける姫子を捉えた。
「遠間とは確かに言っていたが、本質は飛び道具か……見込みが甘かったのはこちらの方だな」
「うちも本気やからね。そうそう見破られはせぇへんよ」
 そうして、頑強な抵抗を支えていた触手を一気に失い、捨て身の策も外れた結果、夢野には巨大な隙が生まれていた。それを埋める手立ても無い今、横合いから挑みかかってくるユイを阻むなど望めるべくもない。
「自身の身や命さえ省みず役割を果たす……か。私は守る為、終焉に抗いし物として生まれた者。故に目的はどうあれ、貴方はここで終わらせる」
「ふ、ふふふ……そうだ、それでいい。それがいいのだよ」
 ぐいと手にした鎖を引き、ユイは夢野を己の元へと引き寄せる。彼女の周囲には、炎を憑代とした破壊の概念が都合三十以上形成されていた。力を籠め、狙いを定め、全身全霊をとした最大火力。それを見つめながらも、夢野は些かも恐れる様子はない。
「一切合切破壊し尽す……!」
 破壊が引き起こされた。ナノの炎とも混ざり合い、周囲の酸素を奪いつくし、消滅不可避な一撃が空き教室内に巻き起こる。余波の熱風に顔を覆い、閃光に目を瞑る猟兵たち。
 ――それでこそ、クリスタライザーに相応しい…………。
 爆音の中、微かにではあるが彼らはそんな言葉を耳にしていた。すわ討ち漏らしたかと、衝撃が収まるや夢野のいた場所を確認する。だが彼らが見つけることが出来たのは、焼け焦げた床に転がる一欠片の水晶のみ。
「……この結末も、貴方の望みでしたか?」
 そうポツリと漏れるユイの言葉。その問いかけに答えられるものは、既にこの世から消え去っていた。


「これで終わり、なのかな」
「追加で何かが現れる様子も無し……ええ、これで戦闘は終了の様ですね」
 戦闘後も周囲を警戒していた猟兵たち。暫し待っても異変が起こらぬ状況に、トオルとネラは本当にこれで終わりだと判断した。その言葉に他の者達も緊張が切れたのか、どこかほっとした空気が空き教室に流れる。
「……大分、教室も荒れてしまいましたね。外に気付かれていないのは、不幸中の幸いでしょう」
 戦闘の余波で壁はぼろぼろと崩れ、床には黒々とした焦げ跡が散見している。これだけ暴れても様子を見に来るものが居なかったのは、ナノの言う通りの幸運か、もしかしたら敵が何かしらの対策を行っていたのかもしれない。尤も、それを確かめる術はもうないが。
「修理は出来ずとも簡単な掃除と……もし何か残っていたら、見つけやすいよう纏めて置きたいわね」
「具体的な人数や個々人の特徴は、保健室のデータで把握している。全員分あればいいんだがな……」
 そうしてユイと充は仲間たちと手分けして、室内の探索を行う。不定形の異形に取り込まれたであろう、女生徒達を示す何かを。結果、そこまで時間を掛けることなく目的の物を発見できた。
「衣服や革製品は残念ながら溶かされてしまっているようですね……ですが、そこまで溶解力が高くなかったのが幸いしました」
 そう安堵するネラの手には、粘液に塗れたアクセサリやスマホが握られていた。
 異形の能力では吸収しきれていなかった金属製品が、残骸の粘液から見つかったのである。粘液内にあったおかげか、戦闘の余波で傷ついている様子もない。彼女はそれを丁寧に一つ一つ拭い、少しでも綺麗にしようとしていた。
「さて、問題はコレですわね。いっそ破壊してしまってもよろしいのではなくって?」
「それはそれで少し怖い気もするね。クリスタライザーが具体的にどんな力を持つか、相手は言及してなかったし」
 ファレリアは一欠片の水晶『クリスタライザー』を拾い上げ、それを恐る恐ると言った様子でトオルが覗きこむ。夢野那珂としては猟兵たちを『相応しい者』と判断したようだが、そもそもの話、ソレがどんな性質を持ち、持つとどうなるのかについてはまだ未知数だ。順当にUDC組織に任せるのが妥当だろう。
「さて、そうと決まれば撤収だ。その前に一通り治療しておこう。怪我だらけを見咎められても面倒だしな」
「うー、でももうちょっと『じぇーけー』やってたかった思うなぁ……この『せーらー服』、着て帰ったらあかんかなぁ……?」
 仲間達への治療を施し帰還の準備を進める充の横で、姫子が自らの服装を見下ろしながら残念そうにそう一人ごちる。それを見ていたユイが、であればと声を掛ける。
「いま着ている一着程度でしたら大丈夫ですよ」
「えっ、えぇの!? やったぁ♪」
「では、どうせなら怪我の後を隠すのも兼ねて、この学園で流行っているメイクなども施しましょうか?」
「うん、是非ともお願いするわぁ!」
 ついでとばかりにナノからの提案されたメイクにも喜びながら、姫子たちは再び学園を通り抜けるために準備を整える。
 失われた命はもう取り返しのつかないものだが、少なくとももうこれ以上犠牲者が増えることは無い。学園内の損傷もUDC組織がそれとなく手を回してくれるだろうし、流れた噂も多感な女学生のことだ、時間の経過と共に新しい話題に埋もれてゆくはずだ。
 真相を知るのは猟兵たちのみ。だがそれを知るばかりが幸福ではないのだろう。特にこの邪神と狂気渦巻くUDCアースでは。
 猟兵たちは再び学校生活の光景に溶け込むと、誰にも気づかれる事無く学園を後にするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月20日


挿絵イラスト