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アルダワ魔王戦争6-C〜絶対なる宣告者

#アルダワ魔法学園 #戦争 #アルダワ魔王戦争 #大魔王 #モルトゥス・ドミヌス #オブリビオン・フォーミュラ

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『死すべき』『宿命』を『覆し得る』『者共』よ。
『強き意志』にて『世界』を『救い得る』『者共』よ。
『汝ら』に『大魔王』を『討ち滅ぼす』『英雄』たる『資格』はあるか。

『否』。『否』。『否』。

『我が言葉』は『全て』『真実』となる。
『世の理』すら『我が手中』にて『思うがまま』。
『贄共』よ、『頭を垂れよ』――『絶対』なる『敗北』を『受け入れる』のだ!

 ☆ ☆ ☆

「汝らの働きにより、大魔王の第五形態が発見された。まずは礼を言わせてもらおう」
 言葉と裏腹にツェリスカ・ディートリッヒ(熔熱界の主・f06873)の表情は険しい。
 彼女が難しい顔のまま指を弾くと、魔導書型のグリモアが空中に立体映像を投影した。

 そこに映し出されたのは、禍々しき威圧感に満ちた邪悪な巨人の姿。
「この第五形態の名は『モルトゥス・ドミヌス』。この迷宮すべてに魔力を供給する巨大な蒸気反応炉にて確認された。巨神のごとき威容、まさしく魔王の名に恥じぬ姿よな」

 だが、『モルトゥス・ドミヌス』の真なる脅威はその巨体にあるのではない。
「奴は『放つ言葉が現実のものとなる』という力を持つ。その言葉によって生み出した膨大な魔力を纏い、ただ悪意に満ちた言葉を投げかけるだけで恐るべき攻撃とするのだ」
 現実を言葉の通りに塗り替える能力。その前ではあらゆる理不尽も道理となる。

「端的に言おう。奴の能力は無敵だ。突破口は、力を使うには言葉を発する必要があるという一点しかない。だが、その隙を突くには奴のユーベルコードを一度凌がねばならぬ」
 こちらが先手を打つのはまず不可能。敵の『言葉』を突破しなければ勝機は無い。

「これが最終形態ですらないというのが恐ろしい話だが、しかしそれは、こんなところで躓いていては真の大魔王には手が届かぬということでもある。挑むしかあるまいな」
 猟兵達の顔を見回し、そこでようやくツェリスカは不敵に微笑む。
「どのみち越えねばならぬ壁である。汝らならば、やってくれると信じているぞ」


滝戸ジョウイチ
 こんにちは、滝戸ジョウイチです。
 早くも大魔王の第五形態。能力も今まで以上に強力です。
 特殊ルールを確認の上、挑戦してください。

 今回の魔王戦では、下記のプレイングボーナスがあります。
 =============================
 プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』
 =============================
 敵の能力は言葉を口にするだけで発動するため、こちらが先手を打つのは不可能。
 必ず敵のユーベルコードに対処した上で反撃してください。
 敵が使用するユーベルコードは猟兵側が使用するものと同じ属性になります。

 今回は難易度「やや難」のシナリオのため、プレイングの判定が成功・大成功以外となった場合、採用せずに返却する可能性があります。あらかじめご了承ください。
 ちなみに、戦場の蒸気反応炉を破壊した場合、地上の魔法学園も消し飛ぶような大爆発が発生します。そのため、意図的に破壊するプレイングは不採用となります。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『大魔王第五形態『モルトゥス・ドミヌス』』

POW   :    『貴様らの攻撃は我が肉体には届かぬ』
無敵の【全身を包む『裁定者』のオーラ】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    『己の力にて滅びるがいい』
【ユーベルコードをも『喰らう』両手】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、ユーベルコードをも『喰らう』両手から何度でも発動できる。
WIZ   :    『裁定者に仇為す者には災いあるのみ』
【悪意と魔力に満ちた言葉】を向けた対象に、【放った言葉を現実化すること】でダメージを与える。命中率が高い。

イラスト:東

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アンネリーゼ・ディンドルフ
アドリブ連携大歓迎
SPD
「必ず先制攻撃ですか」
アンネリーゼは思案する

モルトゥス・ドミヌスのユーベルコードのうち、『己の力にて滅びるがいい』は、こちらのユーベルコードを受け止めてコピーしたこちらのユーベルコードを我がものとして使うらしいです
つまり、発動してもそれ自体が直接こちらに何かするものではないということです

「それではこのユーベルコードで対抗しましょう」
相手の攻撃は見切りで回避しつつ問答無用でユーベルコードを放ち、モルトゥス・ドミヌスの急所への攻撃を試みる

「このユーベルコードはオブリビオン相手にしか効果がありませんよ?」


陰樹・桧
自分の能力ですから、弱点も理解しているつもりです。

反撃のため敵の懐へ飛び込みます。
右手に銃を、左手で脱いだ防具を前面に掲げ、敵が私を直接視認できないように。
【霊木徹甲弾】は高い貫通性を有しますが、視認できていない標的を正確に撃ち抜くことはできません。
私の視界も塞がれますし、敵から身体の全てを隠せるわけでもありませんが、次に反撃できるだけの損害に抑えられれば充分です。
連射が困難なことも私の能力の弱点、盾とした防具を払い除け、敵の頭部を狙い【霊木徹甲弾】を撃ちます。

私より上手く扱えるのなら是非見せて下さい、大魔王。

※連携アドリブ歓迎


レイ・アイオライト
言葉によって全てを具現化させる大魔王……形態が進む毎にすごい力を持つわね。
……暗殺者として、明確な悪を見過ごすわけにはいかないわ。行くわよ、大魔王。

『闇の足音』で影を纏わせてブースターとして利用、距離を取る。(時間稼ぎ)
さて……UCを喰らう両手ってことだけど……

UC発動、【闇影ノ隣人】。このUCは、指定対象を模した影の塊を同位体として召喚するUC。これを喰らう?もしこの塊を喰らったら、アンタの身体そのものが抉れるわよ?
どちらにしろ詰みよ、大魔王。目の前の影の塊を魔刀で縦横無尽に斬り裂く。『暗殺・鎧無視攻撃』

その傲慢ごと、斬り裂いてやるわ。



 ファーストダンジョン第6層、この迷宮の中核たる巨大蒸気反応炉。
 噴出音を響かせながら迷宮全体へと魔力を常に供給し続ける、文字通りの心臓部。
 この最重要施設さえ停止させればダンジョンそのものを機能停止させられるだろうが、それは猟兵達のみならず地上の魔法学園すら巻き添えにするという蛮行に他ならない。
 魔王戦争を終結させるための手段は、最深部まで辿り着く以外にはないということだ。
 だが、それを阻む者が眼前に立ちはだかる。魔王の名を持つ、絶対なる宣告者が。

「言葉によって全てを具現化させる大魔王……形態が進むごとに凄い力を持つわね」
 呟いたレイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)を、魔神は傲岸に見下ろす。
「『讃辞』など『不要』。『我』が『絶対』なるは『自明』ゆえに」
「別に讃辞を贈ったつもりはないんだけど」
 大魔王第五形態『モルトゥス・ドミヌス』。見る者すべてに威圧感を与えるその巨体に相応しくと言うべきか、大魔王の物言いにはその力ゆえの傲慢さが透けて見える。
 その驕り高ぶりが決して言葉だけのものではないことを、レイは肌で感じていた。
「それにしても、必ず先制攻撃ですか」
 隣で油断なく弓型のハープを構えながら、アンネリーゼ・ディンドルフ(オブリビオン料理研究所の団長・f15093)は敵の能力を突破する方法について思案する。
 声を発するだけで発動する、言葉を現実に変える力。グリモアベースにおいても無敵と表現されたその能力は、本当にその通りならば対抗不可能であるかのように思える。
「ですが、少なくとも自分の能力であれば、弱点は理解しているつもりです」
 そう言って見上げる陰樹・桧(要撃射手・f21490)の視線に、アンネリーゼは同意の頷きを返す。自分達の技をコピーするユーベルコード。それを大魔王は所持するはずだ。
「ええ。まずはそれを誘って隙を作りましょう」
「作戦は決まりね。……行くわよ、大魔王!」
 猟兵達は視線を交わし、一斉にモルトゥス・ドミヌスへと攻撃を開始した。

「『何ゆえ』に『敗北』を『知って』なお『挑む』のか?」
「……暗殺者として明確な悪を見過ごすわけにはいかないのよ、大魔王!」
 レイは吠え、魔刀・篠突ク雨を抜き放って疾駆した。その黒く濁った刀身が揺らめき、悪なるものを一刀のもとに斬り捨てんとばかりにモルトゥス・ドミヌスへと迫る。
「『弱者』に『悪』を『断ずる』『資格』など『無し』!」
 膨大なオーラをその身に纏い、禍々しい巨腕を振るって攻撃を仕掛ける大魔王。
 しかしレイは両足の『闇ノ足音』から、漏れ出した影を噴射剤めいて放つことで緊急回避した。元より狙いは時間稼ぎ。魔王の攻撃を引きつけるための行動だった。
 直後、桧が自動拳銃AHP238を構えて真っすぐ突進した。今度はフェイクではない、敵の懐に飛び込むための疾走。同時にアンネリーゼが弓ハープに光の矢をつがえる。
「私達のユーベルコードによる同時攻撃、対処できますか?」
「『愚か』なり――『己の力にて滅びるがいい』!」
 モルトゥス・ドミヌスが言葉を発した瞬間、その両腕が異様なオーラに包まれた。猟兵達の攻撃よりも圧倒的に速い……だが、それはあらかじめ分かっていたことだ。
 距離を取ったアンネリーゼの『Time's Arrow』が、接近した桧の『霊木徹甲弾』が、同時に大魔王を狙う。だがオーラを纏った両腕は、僅か一振りでそれらを掻き消した。
 ユーベルコードを喰らう両腕。それぞれが喰らい、そしてコピーしたのだ。
「このまま『双方』とも『同時』に『撃ち貫いて』くれよう!」
「二人とも、来るわよ!」
 一旦距離を取ったレイが注意を飛ばす。その時には既に、モルトゥス・ドミヌスの両腕はそれぞれ桧とアンネリーゼを狙い、コピーしたユーベルコードを発動していた。
「……私より上手く扱えるのなら是非見せて下さい、大魔王」
 桧は事前に脱いでいた防具「EBA-IOM」を盾にして、迷わず更に接近した。コピーされた『霊木徹甲弾』は必中必殺の命中精度と高い貫通性を有する。たとえ特性のボディアーマーでも安心できる盾とはなり得ない――その狙いが、本当に正確であればだが。
「――『必中』の『弾丸』を『何故』『外れる』!?」
 放たれた『霊木徹甲弾』は僅かに足を掠めた。それだけでも激痛でよろけそうになる。
 だが、賭けには勝った。『霊木徹甲弾』は直接視認している相手しか狙えない。だから防具で自身を覆い隠せば、直接見えている足ぐらいしか狙えないことになる。
「だが『もう一人』は『確実』に『仕留め』――」
「それはどうでしょうか」
 アンネリーゼに直撃したはずの『Time's Arrow』は、しかし何の効果も及ぼさない。
 このユーベルコードは、失われた過去に留まり続けるオブリビオンの時間を未来へと進めることで、存在の矛盾を引き起こしてダメージを与える。それが原理。
 それゆえに、人間に影響を与えることはない。人間は元より未来へ進む存在だからだ。
「私達の技を喰らう前に、その能力を確かめるべきでしたね」
「『笑わせる』な。その『程度』で『大魔王』に『一矢報いた』つもりか?」
「――いいえ、報いるのはこれからよ」
 不敵に微笑んだのはレイだった。その傍には、黒々とそびえ立つ影の塊がある。
 先程までの攻防で大魔王の意識がレイから離れたその隙に『闇影ノ隣人』を発動し、自身の背中の傷跡から漏れ出した影をその大魔王を模した形として召喚していたのだ。
「ぬう……!」
 影を破壊せんとして伸ばされた大魔王の手が止まる。先程の失態を繰り返さないよう慎重に行動した結果、気付いたのだ。この影への攻撃は、全て本物へと跳ね返ることに。
「喰らえないならどのみち詰みよ。その傲慢ごと切り裂いてやるわ」
 篠突ク雨が燦めき、大魔王の影を一瞬にして縦横無尽に斬り捨てた。
  

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

春乃・結希
想いを現実に出来るなんて、少し羨ましいです
けど、何もかも思い通りに行くのも、面白く無いと思います

手にする『with』の確かな重みを感じる事で無限に湧き出る【勇気】と
『withと共に在る私は強い』という絶対的自信を持って、自身を鼓舞する言霊を紡ぎ、魔王の言霊にぶつけます
私達は強い。私達は負けない。『with』と共に在る自分が弱い筈がない。…絶対に、叩き潰す!

UC発動
『with』を巨大化させ、【怪力】で振り下ろす
受け止められ、コピーされても
打ち合う度に勝利への意志は更に強くなる
身体が耐えられなくても、地獄の炎で補完する
貴方の持つ剣は所詮複製品
『with』と私は、それを超えていくらでも強くなる!


御形・菘
はっはっは、無敵とは大きく出たものではないか! 素晴らしいぞ!
だからこそ! 妾はそれすらも凌駕するのだ、邪神であるが故にな!

致命傷を食らわなければ問題ない! 覚悟を決めて真っ向受けきる!
痛みは我慢、邪神オーラを左腕に集中させて前にかざし、急所である頭や首、心臓だけは確実にガードよ!

無敵であるならば、とっとと世界を征服すれば良いではないか
口先だけ達者なのは無様であるぞ!
妾の持ちうる存在感を、殺気を、全力でオーラに込めつつ恫喝し、恐怖を与えてやろう
相手の得意分野で打ち勝ってこその妾であろう?

そして好きなだけ言葉を重ねればよかろう
妾の左腕は、身も心もお主の全てをブチ砕く!
妾の裁定を受けよ、大魔王よ!


著莪・尚武
◆連携・アドリブ歓迎

◆心情
『どうする?なんとか口をふさぐ?』夏葉が問う
いや、正面からぶつかってみるよ

◆行動
言葉の現実化で何が起こるかわからない、真正面から行こう
左手に盾、右手に槍を出し【盾受け】の準備
更に【オーラ防御】を重ねて万全の防御で挑む
防御を抜けてきたダメージは【激痛耐性】で耐える

相手の攻撃を受けたら【カウンター】だ
相手の無敵のオーラは自分の似て異なる力をぶつける
アリスランスよ、真の姿を示せ
《その槍は不条理を許さず(アブサード・ブレイカー)》!

無敵の力を無効化する槍を顕現させ
槍に焔【属性攻撃】を纏い【ダッシュ】からの【ランスチャージ】を放つ

すべての不条理を白紙に、アブサード・ブレイカー!



「――『まぐれ』だ。『我』の『言葉』は『依然』として『絶対』!」
 モルトゥス・ドミヌスが振るう巨腕による一撃を、春乃・結希(withと歩む旅人・f24164)はユーベルコードによって巨大化させた愛剣『with』で受け止めた。
「想いを現実に出来るなんて、少し羨ましいです」
 もしも自分の想いが現実になったら。結希は僅かに考えを巡らせる。
「――けど、何もかも思い通りに行くのも、面白く無いと思います」
 何よりも強靱な意志こそを武器とする結希の言葉を、大魔王は不快に感じたようだ。
「『所詮』は『贄』の『戯れ言』よ!」
 叫ぶと共に、複製された『with』が大魔王の手に現れた。更に巨大化のユーベルコードを発動し、大魔王の巨体に合わせたサイズの大剣へと変貌させて振り回す。
「……予想はしていたけど。貴方の偽物って、やっぱり気分良くないね」
 唸りを上げるその刃を本物の『with』でいなし、飛び退いて距離を取る結希。
「『無力』を『噛み締めよ』!『我』の『更なる』『言葉』の『前』に!」
 そう言うやいなや、モルトゥス・ドミヌスの周囲で膨大なオーラが膨れ上がった。

『どうする? なんとか口をふさぐ?』
「いや、夏姉さん。正面からぶつかってみるよ」
 大魔王のオーラを目にした著莪・尚武(ブレイズ・アリス・ナイト・f23394)は、自身に取り憑いている女性のオウガ「夏葉」の問いに、淡々とした口調でそう応えた。
 あの『言葉を現実にする能力』に対して先手は打てない。それは既にグリモアベースでも説明を受け、これまでの戦いの中でも幾度となく証明されてきた真実だ。
「これこそが『無敵』の『鎧』!『貴様らの攻撃は我が肉体には届かぬ』!」
 大魔王の全身を『裁定者』のオーラが覆った。その手には未だ巨大化した『with』が握られたままだ。自身が無敵と豪語する以上は、その言葉通りの力を持つのだろう。
「でも、本当に『無敵』なら、そのほうがやりようはある」
 尚武の言葉を聞き、夏葉が「それもそうね」と微笑んだ。

「はっはっは、無敵とは大きく出たものではないか! 素晴らしいぞ!」
 一方、こちらは御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)。邪神を自称する半人半蛇のキマイラは、無敵の大魔王という絶好のシチュエーションで大いに機嫌を良くしていた。
「だからこそ! 妾はそれすらも凌駕するのだ、邪神であるが故にな!」
 意気揚々と異形の左腕を掲げる菘に、槍と盾とを具現化した尚武が声をかける。
「何か策があるのですか?」
「なぁに、致命傷を喰らわなければよいのだ。覚悟を決めて突っ込むまでよ」
「なるほど」
 猫型モードになった夏葉ことナーさんが「納得するんだ……」と呟いたが、尚武もはじめからそうするつもりだった。そこにもう一人、『with』を構えた結希が加わる。
「そうですね、覚悟を決めるしかありません。私達の言葉を真実にするために」
「よくぞ言った! こちらの言霊を叩きつけてやろうではないか!」
無敵のオーラを纏う大魔王。その守りを打ち破るため、それぞれの覚悟を示す時だ。

「『効かぬ』!『通じぬ』!『我』は『絶対』ゆえに!」
 モルトゥス・ドミヌスの振るう複製withが、本物の『with』を握った結希と斬り結ぶ。同時に空いたもう片方の腕から、『裁定者』のオーラが砲弾のように撃ち出された。
 接近戦を挑む桧や尚武にも、それらのオーラ弾は容赦なく襲いかかる。
 だが、覚悟を決めた猟兵達がその程度で足を止めるわけがなかった。
「急所だけは確実に守りつつ、痛みは我慢! これよ!」
 異形の左腕に邪神オーラ(と本人が呼ぶ謎の物質)を集中させ、全面で構えて頭や心臓だけをガード。残りのダメージは気にしないことにして、菘は一直線に敵を目指す。
 伊達に邪神を名乗っているわけではない。正面から挑み、ねじ伏せてこその邪神。
 それが御形・菘の信念であり誇りであり、彼女の最大の武器でもある。
「『分からぬ』か? 『我』こそが『無敵』であると!」
「ならばとっとと世界を征服すればよい! 口先だけ達者なのは無様であるぞ!」
 オーラを介して己の持ちうる存在感の全てを放ち、その信念の発露が自身の肉体へと力を与える。巨大にして強大なる大魔王を、正面から気迫で圧倒するつもりだ。
「いくらでも言葉を重ねればよかろう。妾の左腕は、お主の身も心もブチ砕く!」
「なにを『馬鹿な』……」
 菘の覚悟に嘘はない。だからこそモルトゥス・ドミヌスもまた彼女を無視できない。
 そして僅かに魔王が制裁を欠いたその隙に、騎士盾を掲げた尚武が突撃する。
 迫るオーラ弾を重ねたオーラ防御で弾き、同時に騎士槍を掲げて叫ぶ。
「アリスランスよ、真の姿を示せ!」
 アリスナイトの武装は想像力で進化する。魔王の力が無敵なら、この力は無限だ。
 ランスに代わって尚武の手に握られたのは、彼の想像力が生み出した純白の槍。
 あらゆる『無敵』という概念を無効化する切り札に焔を纏わせ、そして。
「全ての不条理を白紙に――その槍は不条理を許さず(アブサード・ブレイカー)!」
 大魔王の無敵のオーラが無敵であるがゆえに貫かれ、槍の穂先が深々と突き刺さる。
「な……『馬鹿な』……!」
「ほれみろ、無敵など所詮は思い込みよ。おとなしく妾の裁定を受けるがいい!」
 間髪入れずに叩き込まれる菘の左腕。揺らぐことなき信念が、鉄壁の守りを突破する。
 そして闇雲に振るわれた大剣のコピーすら、結希の一撃で叩き落とされた。
「『何処』に『それだけ』の『力』が……!?」
 魔王の目の前に立つ結希は満身創痍だ。全身の傷口から地獄の焔が吹き出している。
 だが、どれだけ傷を負おうとも、その絶対的な自身だけは壊せない。
「『withと共にある私は強い』。『私達は負けない』。『withと私は一緒に強くなる』。
 貴方の剣にはそれがない。だから、言葉が現実になっても理想には届かない!」
 残された全ての力を注ぎ込み、結希は極限まで巨大化させたwithの刃を振るった。 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ソラスティベル・グラスラン
絶対など、ありません!!
どれほど強大でも…隙は必ずあるのです
我ら『勇者』は、それを手繰り寄せる者
勇気を胸に、諦めを知らぬ者なのですっ!!

今までの戦いと変わりなく、正面から一歩
オーラ防御で守り、第六感・見切りで敵のオーラの弱い場所へ跳ぶ
怪力・盾受けで受け流し、気合いで耐える!

どうしました、大魔王よ
わたしはまだ『立っています』よ!!

継戦能力で耐え抜き一歩ずつ前進
見た目では無防備に見える防御重視の【勇者理論】
着実に距離を詰め、恐怖を与える存在感

わたし一人倒せない、貴方の『裁定』はその程度なのですかッ!?
無敵を否定、恫喝し更に恐怖を
大斧を振り大魔王を吹き飛ばし
『退き』ましたね?次は断ち斬ります…!!


レナ・ヴァレンタイン
能力としては単純、無敵の防壁というだけだ
攻撃が必中必殺になるわけでも瞬間着弾になるわけでもなし
攻撃の起こりと手足の振り、下の触手っぽい奴の動きの兆候を見て攻撃を回避なり防御なりする

重要なのは、あの守りを砕くことだ
ならば既に起こった事象を突き付け、能力への疑念を生じさせる
言葉を尽くし、現実を突きつける
過去に一度、手痛い敗北を味わって此処に封じられているのだろう?
二度目がないと何故言い切れる?

既に幾度も傷ついたその身すら分からぬというなら是非もない
私のユーベルコードは“無敵”をこそ貫く
私の攻撃でわずかでも傷が生じれば、それ即ち無敵など無いという証明だ
1度で分からぬなら、何度でも敗北を叩き込んでやる


セルマ・エンフィールド
あなたが誰であろうと、何を言おうと……撃つだけです。

オーラで身を包んで身を守るだけ、ということはないでしょうし、『言葉』は攻撃にも使ってくるでしょう。ですが、『言葉』による攻撃は私にも内容が分かる。であれば『見切り』回避することは可能です。

強力ではありますが、無敵の力というわけではないようですね。
それはそのオーラも同様です。本当に肉体に一切の攻撃が届かないならば、無限災群なども使わず一人で地上に侵攻すればいい。それをしないということは……感じているのでしょう。こちらの力でその守りを突破される可能性を。

敵のオーラが弱体化したことを感じ取ったら一気に接近。胴体の宝石を狙い【アイシクル・エンド】を。



「『我』は『無敵』! このような『現実』は『認めぬ』!」
 大魔王モルトゥス・ドミヌス。絶対なる宣告者。
 その無敵と称し、事実として無敵であったはずのオーラが、揺らぎを見せていた。
 猟兵。死すべき運命を覆し得る者。強き意志にて世界を救い得る者。
 その力が、絶対者である己をも凌駕し、圧倒しつつあるという事実。
 モルトゥス・ドミヌスは傲慢故に認められない。無敵でない自分を想像すらできない。

「強力ではありますが、無敵の力というわけではないようですね」
 セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)の冷静な分析は、大魔王にとってはもはや不可視の弾丸に等しかった。オーラの守りを貫き、存在を穿つ言霊の弾丸。
「本当に一切の攻撃が通じないなら、無限災群など使わず一人で地上に侵攻すればいい。
それをしないということは……感じているのでしょう。その守りを突破される可能性を」
「な、にを」
 大魔王は言葉を返さない。そう、真に絶対者であるならば、誰にも負けるはずがない。
 だが、それは間違いだと、失われた過去の化身たる大魔王自身が知っている。
 そもそも、無敵の絶対者が何故、こんな地の底に封印されていたというのか?
「そう、過去に一度手痛い敗北を味わったからこそ、ここに封じられたのだろう?
 そうであるならば、二度目がないと何故言い切れる? 敗北から学ばなかったのか?」
 レナ・ヴァレンタイン(ブラッドワンダラー・f00996)が突きつけるのは単なる事実。既に起こった、このアルダワ世界においては子供すら知っているような歴史。
 大魔王は人間に敗れて封印された――有り得ないはずだ、本当に無敵であるならば。

「『認めぬ』! 『許さぬ』! 『我』の『絶対』を『疑う』『者』など!」
 モルトゥス・ドミヌスが吼えた。それは己の現実から逃れようとする駄々にも等しかったが、しかし膨大なオーラは無差別爆撃めいて周囲を徹底的に蹂躙していく。
 目障りな者を全て破壊すれば、再び自分の手に絶対性が戻ってくるかのように。
「絶対など、ありません! どれほど強大でも、勝機は必ずあるのです!」
 だがソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)は正面から立ち向かう。
「我ら『勇者』はそれを手繰り寄せる者! 勇気を胸に諦めを知らぬ者なのですっ!」
 それが彼女の『勇者理論(ブレイブルール)』。
 勇気と気合と根性でひたすらに前進する、力技でありながらも一つの真理。
 守り、躱し、受け流し、耐え抜いて、ソラスティベルは一歩ずつ歩んでいく。
「どうしました、大魔王よ。私はまだ『立っています』よ!」
 その言葉で、大魔王は僅かに後ずさりした。それは自身への疑念の表れだった。
 全身を覆う『裁定者』のオーラが薄れ、無差別攻撃もその威力を減じる。
 セルマのような歴戦の狙撃手が、そんなあからさまな隙を逃すはずもない。
 銃剣を装着し、敵の虚を突いて一気に肉薄。胴体の宝石状の部分まで潜り込む。
「『我』は『絶対なる宣告者』! 敗れるはずなど――」
「あなたが誰であろうと、何を言おうと……撃つだけです」
 宝石部に銃剣を突き刺し、躊躇うことなく銃爪を引く。アイシクル・エンド。零距離で放たれた氷の弾丸は、強固な結晶体をも貫徹して内部から氷結せしめる。
「ぐ、おお……! き、『貴様らの攻撃は我が肉体には届かぬ』!」
 胴を氷漬けにされながらも、モルトゥス・ドミヌスは言霊を再発動し、『裁定者』のオーラを再び全身に纏う。それは執念というより、往生際の悪さと呼ぶべきものだった。
「――既に幾度も傷ついたその身ですら分からぬというのなら、是非もない」
 直後。『無慙無愧の進撃者(バンカーバスター・オーバードライブ)』を発動させ、全身を『無敵という概念を貫く』存在と化したレナの突撃が、オーラごと敵をぶち抜いた。
 無敵を無効化され単純な強度すら弱まったオーラなど、レナの前では紙に等しい。
「一度で分からぬなら、何度でも敗北を叩き込んでやる。まだやるか?」
「ウ、ウオオオオオオオオオ!!」
 もはや言葉にすらならない叫びを上げて襲いかかるモルトゥス・ドミヌス。
 だがソラスティベルが振るった青空色の大斧が、それを正面から断ち割った。
「貴方は一度退きました。前に進むのを諦めた者が、勇者に勝てる道理はないのです」
 大魔王の巨体が崩れ落ちる。その口は、二度と新たな言霊を紡ぐことはない。

 この世界に絶対などない。誰もが滅びと隣り合わせで存在している。
 それは猟兵達も例外ではないが、しかし真なる大魔王にとっても同じであるはずだ。
 まだ見ぬ最終形態との決戦は近い。その予感を感じつつ、猟兵達は反応炉を後にした。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年02月16日


挿絵イラスト