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天舞う竜の青い花

#アックス&ウィザーズ #酒場アジュール #竜と花と

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「花を探してきてほしい」
 集まった猟兵達の前に立った九瀬・夏梅(人間のシーフ・f06453)は、にやりと愉しそうに笑うと、そう切り出した。
 グリモアベースに映し出されている景色はアックス&ウィザーズ。
 剣と魔法と竜のファンタジー冒険世界だが。
「それは見事に真っ青な花で、染布や絵具の良質な原料になるそうだ。
 元々希少なものだったんだが、最近、特に手に入りにくくなっててな。
 少しでもいいから採って来てほしい、てなわけだ」
 浮かべた『グリモア』を弄びながら告げられた話は、どこか平和なものでした。
 とはいえ、呑気にお花摘み、といった簡単な話ではなく。
「その花畑に、ドラゴンが出るんだと」
 悪戯を仕掛ける子供のように笑い、夏梅が告げる。
 希少な花がさらに入手困難になった理由を。
 だから、猟兵に話がきたのだ、と。
「確かに花畑にドラゴン……息吹の竜『グラスアボラス』は現れる。
 それは私の予知通りでもあるんだが」
 一旦言葉を切った夏梅は、猟兵達を見回して苦笑を見せた。
「肝心の花畑の場所が分からなくてねえ」
 元々、青い花は、とある街の冒険者達が採ってきていたのだという。
 だが、横取りされないようにか、冒険者達は詳しい場所を隠しているらしい。
 街の近くにあるとは思われるのだが、それだけで闇雲に探すわけにもいかない。
「そんなわけで、まずは青い花の情報収集だ。
 必然的にドラゴンについても調べられるだろ」
 そして夏梅はある酒場の名前を告げる。
 そこに情報を持つ冒険者達がいる、と。
「ああ、青い花を手に入れたら、多少はお前らの土産にしてもいい。
 バレなきゃいいんだバレなきゃ」
 ご褒美な話を付け足しつつ、夏梅はどこか意地の悪い笑顔を浮かべて。
「ま、よろしく」
 気楽にひらひらと手を振ると、猟兵達を送り出した。


佐和
 こんにちは。サワです。
 ネモフィラとか綺麗ですよね。

 町の酒場には冒険者が複数、幾つかのテーブルに1~数人で分かれています。
 テーブル毎に別グループのようです。
 青い花流通に関しては協定を結んでる感じでしょうか。
 上手く情報を引き出せれば、青い花の場所へ向かうことができます。

 それでは、真冬の花畑を、どうぞ。
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第1章 冒険 『酒場の賑わいの中で』

POW   :    酒の飲み比べ、腕相撲、一騎打ちなどで冒険者に認められる

SPD   :    冒険者同士の情報を盗み聞き、地図をすり取る等でこっそりいただく

WIZ   :    色仕掛けや説得など、口先で騙して冒険者から情報を引き出す

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

銀座・みよし
・SPD
これはメイドのわたくし向きかもしれません…
古くより使用人は重大な情報を聞いてしまうものと相場が決まっておりますゆえに!

…まぁ、冗談はともかく
使用人は【目立たない】で、主人の些細な言葉も逃さぬ【聞き耳】を持つのが一般的な姿
それらを用いての【情報収集】など朝ごはん前にございます!

でもいくらここが情報を持ってる冒険者の方々が集まってる場所とはいえ、
会話の端々で素直に花畑とか仰るのでしょうか?
何かしらの喩えを用いて話していたらどうしましょう、わたくしにわかるのかしら
冒険者にしか通じない暗号的な…ううん…

…よし!そういったことは他の賢い猟兵の方々にお任せしましょう!



(「これはメイドのわたくし向きかもしれません……」)
 とある街の外れにある酒場で、銀座・みよし(おやしきのみならいメイド・f00360)はテーブル席席に座り、聞き耳を立てていた。
 傷や落ちない汚れが重ねた年月を感じさせるテーブルに、ジュースを入れたカップをそっと置いて、周囲の観察も進める。
 建物も設備も大分古く、昔から代々受け継がれている酒場、といった風情で。
 カウンターの向こうでは、ガタイのいいオヤジが酒樽や酒瓶の間を行き来している。
 店員は他にいない。
 このジュースも、あのオヤジが注ぎながらカウンターを出て持ってきてくれていて。
 近くのテーブルにある量と味だけを重視したような豪快な料理は、できたとオヤジが声をかけると、席を立った冒険者が自分で運んでいた。
 常連客の多い馴染みの酒場、といった雰囲気か。
 確かにこれならば、青い花を独占する冒険者達の仮拠点にはいいだろう。
 納得しながら、みよしはカップを傾けジュースを一口。
 目立たぬよう周囲に溶け込みながらも、しっかり様子を伺う。
(「使用人は重大な情報を聞いてしまうものと相場が決まっておりますゆえに!」)
 冗談半分とはいえ、そんなことを思いながら。
 主人の些細な言葉も逃すことはなく、しかし本来ならば、何を聞いてしまっても聞かぬふりを貫くのがメイドたるもの。見習いだけど。
 でも、今回は特別と自身に言い聞かせて。
「……なあ、いい加減次の青をって客につつかれてるんだが」
 ふと、隣のテーブルから聞こえた声に意識を集中させた。
「わかってるって。でもなぁ、天にアイツが居ちゃぁなぁ……」
「それに、アルにも、危ねぇからしばらく天に登るなって言われたろ?」
「じゃあ、待ってりゃアルがどうにかしてくれんのかよ?」
「それは……知らねぇって」
「あー、そろそろ収入ねぇとやべぇんだけどな……」
 項垂れた2人の冒険者は、同時にジョッキを傾けて、一気に酒をあおってから、揃って大きなため息をつく。
(「何かしらの喩え、でございましょうか」)
 素直に花畑とか言ってくれるとは思っていなかったけれども、やはり冒険者にしか通じない暗号的なものが使われているようで。
(「わたくしにはさっぱり分かりません」)
 それでも、得た情報は何かしらの役には立つだろうと思い直し。
 みよしはぐぐっとジュースを飲むと、頷いた。
(「……よし! こういったことは他の賢い猟兵の方々にお任せしましょう!」)

成功 🔵​🔵​🔴​

シノ・グラジオラス
POW選択

酒の強さには自信あるぞ
幸い、口の潤滑油の心配なさそうだし親交でも深めるか

『聞き耳』と『情報収集』で周囲の状況を把握しつつ、『コミュ力』で周囲に馴染むように
隠し事は適度に躱すが嘘はつかない

酒飲みの力自慢そうな男に腕相撲で酒を賭けて勝負を挑む
賭け金は酒か、程よく景品を酒の肴に変えて酒の飲み過ぎには注意
相手・勝負事は拒まず受けて、適度に負けつつ気に入られるまで場を暖めるか
老若男女気負わず、話題振りは全体的に

ある程度打ち解けたら、
妹が字を書くインクに拘ってて青いインクがいいだの、どこ産がいいだの
調達する身にもなれよとか言って話題提供
話に乗って来たら主導権は相手に握らせて、こっちは聞き役に



「コイツを賭けて、俺と勝負しないか?」
 酒の入ったジョッキを掲げ、シノ・グラジオラス(火燼・f04537)が声をかけたのは、いかにも力自慢そうな男だった。
 テーブルの上に並ぶ空き瓶や店のオヤジに頼む酒のペースから、酒好きなのは間違いなく、同席する2人との会話から、青い花の事を知っていそうな冒険者であることと、こういうゲームが好きそうだという当たりをつけての選定。
 ジョッキを持つのとは反対の手を軽く握り、腕を曲げたシノは、腕相撲のジェスチャーをしつつ笑いかける。
「おいおい、ひょろい兄ちゃん。本気か?」
「ヴァンは強いぜー」
 赤ら顔の2人が止めるような声をかけるが、その口調からは逆の意味が感じられ。
 ヴァン、と呼ばれた男も、挑戦を受ける気満々なのが表情から見て取れる。
「賭けたらもっと楽しく飲めそうだからな」
「いいだろう。気に入った」
 楽し気なシノにヴァンが大きく頷くと、2人がテーブルの上の空き瓶を下ろし、即席で競技場が作られた。
 ヴァンのごっつい手をぎゅっと握り、肘をテーブルにつけて。
 いざ、勝負。
「……あー。負けたぁ」
「ほら兄ちゃん、ヴァンは強いって言ったろ?」
「だが、いい勝負だったな」
「うー。もう1回だ! 今度は、ええと、アンタ!」
「ぅえぇ!? オレぇ!?」
「いいじゃねぇか、エール。やってやれよ」
 そうして相手を変えつつ、わいわいと腕相撲大会が繰り広げられていく。
 そんなお祭り騒ぎと、適度に勝ち負けを調整するシノの気配りもあって、3人は上機嫌に酒を進めていった。
(「酒の強さには自信あるからな」)
 シノも、飲み過ぎに気をつけながらジョッキを傾ける。
 ある程度酔ったフリをしつつ様子を伺う中で、頃合いかとシノは判断し。
 さり気なく本題を話題に乗せる。
「面倒と言えば、俺の妹。字を書くインクに拘っててな。
 青いインクがいいだの、どこ産がいいだの、注文ばっか投げつけんだ。
 調達するこっちの身にもなれよって感じだろう?」
「簡単に言ってくれるねぇ、妹ちゃんは」
「それなら、綺麗な青インクを扱ってる店、教えてやるよ。
 あそこは俺らの客だからな。高いけどいいモン揃ってるぜ?」
「客?」
「そうさ。俺らが原料の青い花を売ってんだ」
「へぇ。すごいな。どんな花なんだ?」
 シノは胸中でガッツポーズをしながらも、努めて飄々と、珍しそうな話の1つを聞いている程度の関心に見えるような態度で聞いていく。
 空よりももっともっと青い花弁は星のように5枚。
 コイン程度の小さな一輪咲きの花だが、群生すると海の様にも見えるとか。
 花の特徴や綺麗さ、青い染料としての価値はどんどんと話に出てくるのだが。
 肝心の場所については、一向に情報が出てこない。
「花畑はこの街の近くにあるのか?」
「や、それは……いくらシノにでも教えらんねぇよ」
「ただでさえ危ないのが、今は本当に危ねぇしなぁ。
 オレらも、ヴァンがいたから何とか逃げられた、ってぇくらいだし」
「お前が物見遊山で行こうもんなら大変だ。だから余計教えられねぇな」
 試しに聞いてみても、言葉は濁されて、これ以上の話しは無理かと感じる。
(「俺がヴァンより腕が立つ、と思ってもらえてたら違ったか?」)
 ふと、そんなことを思いながら。
 シノは楽しい酒の席を保つように、笑いながら次の話題を振った。

成功 🔵​🔵​🔴​

フルール・トゥインクル
青いお花ですか、どんなのか是非見てみたいものなのです

WIZ
酒場ということですし探したらネズミさんとかいますですかね?
いるようでしたらお話しして一番仕切ってそうなグループを聞いてみるのです
いなかったり、わからないなら周囲を伺って一番強そうな人に声をかけにいくです

まずは普通に花の場所を聞きますです
素直に教えてくれるわけがないのは分かってますので、断られてから次は声を潜めて
でも、お困りなことあるのですよね?例えばドラゴンとか…
私は優秀なドラゴン退治の専門家の方々をお導きしてるのですが、お仕事のために教えてもらえませんですか?
と説得しますです
あくまでドラゴン退治という部分で説得してみますです



「青いお花ですか……見たことあります?」
 フルール・トゥインクル(導きの翠・f06876)の問いかけに、1匹の家ネズミはふるふると首を振った。
「どんなのか是非見てみたいものなのです」
 天に咲く、一輪咲きの、星みたいな青い花。
 コインくらいの大きさ、ということは、フェアリーのフルールが座れるかどうか、くらいだろうか。
 聞こえてきた情報から、まだ見ぬ花に思いを寄せながら、フルールは微笑む。
 そのためには、まずは場所を探らないといけない。
「やっぱり、あのヴァンって人でしょうか……」
 この酒場で冒険者達を仕切っている者が分かれば、とフルールは思っていた。
 酒場の隅の小さな穴を探り、出会った家ネズミに聞き込みをしてみたのだが。
 酒場のオヤジが皆に慕われていて、余ったチーズをくれるから自分達も好きなのだ、という程度の情報しか得られず。
 仕方なく、一番見た目で強そうな冒険者にフルールは目星をつけた。
「ありがとうございました。行ってきますね」
 家ネズミにお礼を言ってから、フルールは背中で4枚の葉を象った羽を動かす。
(「アル、って呼ばれていた方も気になりますけど」)
 2人組の冒険者のテーブルをちらりと一瞬見やるけれども。
 飛んでいくのは4人が座る別のテーブル。
 騒がしくも楽しく酒を酌み交わすリウとエールともう1人を、満杯のジョッキ片手に鷹揚に眺めている体格のいいヴァンの傍へと近づいた。
「青いお花の場所を、教えてもらえませんか?」
 振り返ったヴァンは、すぐにはフルールを見つけられなかったようで訝し気な顔を見せていたが、宙に浮く小さな女性を見つけるとその表情が驚きに変わる。
 そしてすぐに、渋い顔へと変化した。
「教えられねぇな。貴重な情報だし、何より危ねぇ」
「でも、お困りなことあるのですよね? 例えばドラゴンとか……」
 声を潜めて重ねるフルールに、再びヴァンの目が見開かれる。
「何でドラゴンのことを……」
「私は優秀なドラゴン退治の専門家の方々をお導きしています。
 お仕事のために、教えてもらえませんですか?」
 真摯にヴァンを見据える、深い緑色の瞳。
 ドラゴンという危機だけを真剣に考えているのだと伝えるように。
 果たしてその思いが通じたのか。
 ヴァンはジョッキをぐいっと傾け、酒を一気に飲み干す。
「こんなちっこいのに危険な情報を渡すのは気が進まねぇ。
 だが、ドラゴンをどうにかしないとやってけないのは確かだ」
 空になったジョッキを、おかわりを要求するかのようにカウンターへと掲げると。
「オレには判断がつかねぇ。アルに聞きな」
 カウンターの向こうで、酒場『アジュール』の主人である、ガタイのいいオヤジがこちらへと振り向いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイン・ローレンス
【WIZ】
酒場で情報収集って憧れてたんです!
希少な青いお花も見たいですがドラゴンにしか興味ないと装ってみましょう

やっぱり1番情報を持っているのは主であるオヤジさんかな…当たりですね
真っ直ぐカウンターへ向かいオヤジさんと話しやすい席へ
オススメのドリンクを貰い本題

ここら辺でドラゴン出現の噂を聞いたのですが、詳しい情報を知りませんか?
私はドラゴンを退治すべく旅をしています
…実は、弟がドラゴンに襲われて帰らぬ人となってしまって…
(弟なんていないけど)
私の力が足りないばかりに、目の前で…
誰にも同じ思いをして欲しくないから、手が届く範囲のドラゴンは退治したいんです
(嘘だけど)
些細な事でも教えて下さい!


アルバ・アルフライラ
【WIZ】
青い花、か…従者が好みそうな色だ
一輪くらい土産にすれば彼奴も喜ぶだろうか
――私も、その彩に興味がない訳ではないからな

お初にお目に掛ります
先ずはアルと呼ばれた御仁へ一礼を
その後可能ならば先の少女の仲間だと告げる
私も竜討伐を生業とする身
この様な姿ですが、魔術には幾らか心得が御座います
疑いの目あれば仕込み杖で描いた魔方陣から【愚者の灯火】を召喚
延焼を起こさぬよう自在に炎を操ろう
我が魔術であれば、花々への延焼を抑えて竜を退ける事も可能かと
――どうか御安心を
少なくとも我々の目的は花の独占では御座いません
寧ろ再び件の花が採取出来る事で良質な染布の入手が叶うならば
此方としても是非尽力させて頂きたく



(「やっぱり1番情報を持っているのは、主であるオヤジさんかな……」)
 そう推測したアイン・ローレンス(気の向くままに・f01107)は、オヤジに一番近いカウンター席に座っていた。
 手元のコップ……このオススメドリンクを作ってもらった際のちょっとした会話から、淡白な態度の中にも気遣いを感じ。
 また、料理を受け取ったりする冒険者とのやりとりには信頼が伺えて。
 オヤジが居るからこそ冒険者達はこの酒場に来ているのだ、と確信する。
 酒場は情報を交わす場ではなく、情報をオヤジに集める場なのだ、と。
(「憧れの『酒場で情報収集』! 何だか上手く行きそうです」)
 自身の推測を裏付けるものごとを次々と発見し、わくわくしてくるアイン。
 周囲の会話にも耳を傾け、フルールへ向けたヴァンの言葉を聞いて。
 よしっ、とアインは、振り向いたオヤジに話しかけた。
「ここら辺でドラゴン出現の噂を聞いたのですが、詳しい情報を知りませんか?」
 ヴァンに向けていたであろう視線を少し手前に戻したオヤジを、アインは真っ直ぐに見据えて続ける。
「私はドラゴンを退治すべく旅をしています。
 ……実は、弟がドラゴンに襲われて……私の目の前で……」
 湖と深緑を思わせる2色の瞳をそっと伏せ、言葉を濁して見せるけれども。
(「弟なんていないけど」)
 心の中でごめんなさいと呟いていたりする。
 さらに言うなら、ドラゴン目当てを演じつつ、実は希少な青い花に興味津々。
 そんな胸中は欠片も見せずに。
 アインはばっと顔を上げ、再びオヤジに真面目な顔を必死に向けた。
「誰にも同じ思いをして欲しくないから、手が届く範囲のドラゴンは退治したいんです。
 些細な事でも教えて下さい!」
 そんな真摯な態度を、オヤジはフライパン片手にじっと見て。
 無言の間に、アインの傍へとフルールが飛んでくる。
 華奢で清楚なエルフと、非力な小さいフェアリーを。
「失礼、アル? お初にお目に掛ります。
 私はアルバ・アルフライラ。彼女達の仲間です」
 そこに、アルバ・アルフライラ(双星の魔術師・f00123)が歩み寄り、オヤジへと流れるような一礼を送った。
 新たに現れた、年若く見える美麗な青年に、オヤジは微かに眉を寄せるが。
「……アジュールだ」
 礼儀を失することはなく、簡潔に酒場と同じ名を名乗る。
 本名なのか、酒場の主としての通り名なのか、定かではないが。
 気にした素振りを見せず、アルバは、改めてアジュールへ礼を述べ、続けた。
「私も竜討伐を生業とする身。
 この様な姿ですが、魔術には幾らか心得が御座います」
 告げながらにこりと微笑み、アルバは仕込み杖をくるりと回す。
 淡く青い光で描き出された魔法陣から、愚者の灯火が召喚された。
 攻撃時より格段に少ない数の炎は、アルバの意思に従いくるくると舞い踊り。
 酒場も冒険者達も燃やさぬまま、アルバの元へ戻って消える。
「我が魔術であれば、花々への延焼を抑えて竜を退ける事も可能かと」
 技術を見せつけながら、さらりと『花』について触れれば。
 アジュールの眉がピクリと動き、眉間の皴が増えた気がした。
「青い花……その花畑に、ドラゴンは現れるのですよね?」
「……どこまで知っている?」
 アルバの問いかけに返ってきたのは、警戒するような問い。
「私が知るのはこれだけです。青い花の場所は分かりません。
 どうやらその場所を『天』と呼んでいるようだ、ということしか」
 肩を竦めて見せたアルバは、そこから姿勢を正し、アジュールをじっと見上げた。
「どうか御安心を。少なくとも我々の目的は、花の独占では御座いません」
 花が目当てではないと言えば嘘になる。
(「青い花、か……従者が好みそうな色だ」)
 土産に一輪くらい、と思っているのも本当で。
 アルバ自身も、その彩に興味がないわけではないのだから。
 でも、それ以上に目指すものは別のところにあるのだと。
「寧ろ再び件の花が採取出来るようになる事で良質な染布の入手が叶うならば、此方としても是非尽力させて頂きたく」
 アルバは再び慇懃な一礼を送る。
 倣うようにアインとフルールも頭を下げ。
 みよしが、シノが立ち上がり、アジュールを見つめる。
 そんな猟兵達を静かに見回して。
 冒険者達が固唾をのみ見守る中で、アジュールは、ふぅ、と大きく息を吐いた。
「頼もう。ドラゴン退治を」
 低く告げられた言葉に、アルバがはっと顔を上げる。
「エール、場所を教えてやれ」
 指示を出したアジュールは、すぐに視線を外し、フライパンをまた火にかけ始めた。
 美味しそうな音と匂いが酒場に広がっていく。
「ぅえぇ!? アル、オレがなのかぁ!?」
「いいじゃねぇか、エール。シノを連れてってやれよ」
「青インクも忘れずにな」
「うー……分ーったよ。オレに任せろってんだ!」
「今夜すぐに行くこたぁねぇだろ?
 そんじゃ姉ーちゃん達、こっちで飲もうぜ!」
「ちっこい嬢ちゃんも、こっちこっち」
「ホント、ドラゴンどうにかしてくれよー。頼むぜー」
 一度静かになった酒場に、先ほど以上に賑やかな声が戻り。
 みよしやフルールまでも冒険者達のテーブルに誘われていくのを見て。
 アルバはアインと顔を見合わせ、笑い合った。
 さあ、青い花を見に行こう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『天に一つの青』

POW   :    崖を登り、花を入手する。

SPD   :    青を使った新しい作品を考える。

WIZ   :    落下防止、魔物避けなど採集中の危険を遠ざける。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「こっちだぜ。こっちこっち」
 酒場にいた冒険者の1人、エールに猟兵達が案内されたのは、街外れの崖だった。
 見上げる程の高さに、空と違う青色がちらりと見えた気がする。
 花畑は崖の上に広がっているようだった。
 これならば『天に登る』という比喩になるのも頷ける。
 とはいえ、示されなければ気付かずに、崖の傍を通り過ぎる程度だろう。
 特に道などはないのだという説明に、ならば案内はここまでで充分だと、猟兵達は礼を告げてエールと別れる。
 ……青い花は、もうすぐそこにある。
アイン・ローレンス
【WIZ】全力魔法、属性魔法、2回攻撃

オヤジさんやエールさんたちのためにもしっかりとドラゴンを退治しなくては。
その前に綺麗な景色を堪能しましょう!
まあ下から見上げると凄い崖ですね…まさに『天』
良い感じの出っ張りや頂上に木なんかがあれば「生命の鞭」でちょちょいと行けるのですが難しそうでしょうか。
お花摘みは他の方に任せて周囲の警戒にあたりましょう。

相棒のメロ(灰色狼)にも手伝って貰います。
匂い、音、気配、全てに注意して下さいね。
魔物が現れたらメロの力と炎の魔法で追い払います。
あ、もし落ちてしまっても大丈夫ですよ!メロがもっふり優しく包み込みますので安心して下さい。

…でもやっぱりお花が気になります!


野良・わんこ
POW
「ふふん、高嶺の花などわんこにかかれば砂上の楼閣も同然!!」
サイコキネシスで花を取る。
わんこに精密な動作など不可能かもしれないがコードには出来ると書いてあるので出来る。
射程外ならば自分にサイコキネシスをかけて宙に浮いて取る。
「根こそぎすると怒られますよねぇ。どれくらい取りましょうかー」
たくさんあるというなら両手いっぱい採っていく。
だが大量に抱えていた為に帰り道に魔物に襲われて反撃出来ずにつつかれまくる。
「あっあっあっ、わんこの花がー!!」
結局手元には少量しか残らない。



「下から見上げると凄い崖ですね……まさに『天』」
 エールが立ち去ってから、アイン・ローレンス(f01107)は改めて崖を見上げた。
 その高さは、言われなければ登る気すら起きないくらいだけれども。
 垂直よりは角度が緩く、数える程だが小さな木が生え、いい感じの凹凸もある。
 頂上へのルートは最低限確保されているように見えた。
 これならば大抵の猟兵はさほど苦労せず登れるだろう。
 逆に、青い花を盗られないよう、あえて明確で行きやすい道を作っていないようで。
「オヤジさんやエールさんたちのためにもしっかりとドラゴンを退治しなくては」
 酒場『アジュール』の冒険者達の努力を思い、アインは決意を抱く。
 そのために、ここに来たのだから。
 傍らに寄り添う相棒たる大狼が、同意するようにゆっくりと頷いた。
 その灰色の毛をそっと梳いて。
「メロも手伝ってくださいね」
 囁くように告げると、メロは周囲を警戒するように視線を巡らせ、耳を立てる。
 青い花の咲く場所は、すなわち、息吹の竜が現れる場所。
 ゆえに、いつでも対応できるよう、多くの目で辺りを探っていく。
(「……でもやっぱりお花が気になります!」)
 警戒の視線が、崖の上に多くいってしまうのは、仕方のないことか。
 よく見るとそわそわしているアインに、メロが優しく瞳を細めた。
「ふふん、高嶺の花などわんこにかかれば砂上の楼閣も同然!」
 そこに、野良・わんこ(灼滅者・f01856)がずいっと進み出る。
 届くはずもない崖の上へと手を伸ばせば、そこに青が降ってきた。
 サイコキネシスで採った、青い花。
 言動から、何か無造作に引っこ抜いてきそうな印象のあるわんこだが、優秀なユーベルコードは精密な操作を可能にし、綺麗に花を摘み届けている。
 アインの右目の湖色よりも深く濃い青は、星のように5枚の花弁を広げ。
 丸っこい葉の緑はアインの左目に似た深緑の色合いを見せる。
 そっと握る手の中に潰す心配もなく収められるほどの大きさだが。
 5つ、6つと纏めれば、充分に花束になれる程しっかりした存在感を持つ。
「これが『青』……」
 話に聞くだけだった花を実際に目の当りにしたアインは、ほぅ、とため息をついた。
 崖の上には、これが群生しているというのか。
 その間にも青い花は少しずつ降り落ちてきていたが。
「むぅ。遠すぎてこれ以上は上手く採れませんね。
 ならば……とうっ!」
 手を降ろしたわんこは、今度はサイコキネシスで自分自身を操作する。
 大地を蹴り、宙を浮いて、崖の上までひとっ跳び!
 のはずだったのだが。
「あっ、あっあーっ!?」
 ここにきて大味な操作を見せ、途中で失速、落下してくるわんこ。
「メロ」
 ぼすんっ。
 アインの声に応え、飛び来た灰色狼が、その巨体でわんこを受け止めた。
 ふわもこなその背にしがみついたわんこは、これはこれで、と面白がって。
 ちょっと困ったようなメロは、着地すると同時に、早く降りろと言わんばかりに身を低く伏せた。
 思う存分ふわもこを堪能してから、わんこは恩狼の背から降り。
 再び挑戦。
 今度はちゃんと崖の上まで辿り着く。
「おおー。こんなにたくさん!
 でも、根こそぎすると怒られますよねぇ。どれくらい取りましょうかー」
 聞こえてくるわんこの声に、そわそわとアインは崖の上を見上げ。
 メロは促すように鼻先でそっと相棒をつつく。
 振り向いたアインは、崖登りの補助のためにか『生命の鞭』を手にしていて。
「私達も登って、綺麗な景色を堪能しましょう!」
 柔らかく楽し気に微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シエン・イロハ
【Adv】で参加
SPD選択

バレない程度じゃ大した金にならなそうだしなぁ
…ここにない製法売りつけたらちったぁ金になりそうか

シノ、援護くらいはしてやるから任せるわ

染布に使ってるっつー事は単純に染めの技術はあるんだろうが…どの程度かにもよるな
希少な素材使うんならどっちかっつーと手間もかかる高級志向のがウケもいいか

ろうけつ染めか絞り染め辺りなら手間はかかるが技法自体はどうにかなるかね
後は昇華できるかは職人のやる気次第だろ

考えつつ周囲の状況確認、野生の勘も駆使
登る奴に邪魔が入りそうならシーブズ・ギャンビット
投擲使って遠距離からのサポート
届かない距離であればフック付きワイヤーも使ってある程度登ってから対処


シノ・グラジオラス
【Adv】で参加
POW選択

『追跡』でエール達が使ってるであろう、比較的登りやすそうなルートを調べる
見つからない場合は別ルートを探して登るとするか
※狼姿の方が登りやすいなら変身する

へいへい、昔から重労働は俺の仕事ってね
後ろはシエンに任せて、『聞き耳』と『野生の勘』で
崖登りルート選択や竜に発見されてないかの警戒を

登り切って竜と鉢合わせは勘弁願いたいもんだ
崖上にはすぐに顔は出さず、周囲の安全を確認してから上がる

花は1・2輪だけハンカチにでも包んで頂いておくかな
(何輪か布に包んだ花を下のシエンに落として渡しつつ)
あー…何で俺シエン連れてきたんだろ。あの子(※幼馴染)つれてくりゃよかったな


アルバ・アルフライラ
【WIZ】
やや苦労して崖を登った先には、まるで空の彩を映した様な光景
なるほど、これが件の青い花という訳か
これは魅入られるのも道理だろうよ
この侭見蕩れていたいところだが…
生憎、その様な猶予は残されておらんか

魔物除けならば【愚者の灯火】を配置する事で対処可能やも知れぬが
崖の上での戦闘となれば、落下は避けられぬ懸念だろう
柵を設ける猶予もないならば――崖の上を観察、どの位置迄ならば落下するリスクが少ないか把握
その範囲での採取、戦闘を他猟兵へ提案
何もしないよりはマシかと思いまして

…まあ、万一落ちてしまった者がいた際は治療位は施そう
御安心下さい、これでも医術の心得は御座います故

(従者以外には猫被り、敬語)


フルール・トゥインクル
おお、この上にお花が……高くないですか!?
うーん、登るのも降りるのも大変そうですね……
オランジェ、力を貸してくれますですか?

エレメンタル・ファンタジアを使って樹属性の嵐を作るのです
後は嵐を崖にゆっくり近づけて、崖に蔦を絡めていくのです
これなら多少は上り下りしやすいですかね?

登れそうならそのまま登ってみて、安全を確かめつつ青いお花を見に行くのですよ



「おお、この上にお花が……高くないですか!?」
 崖を辿っていくように頂上へと視線を動かしていたフルール・トゥインクル(f06876)は、その途中で驚きの声を上げていた。
「うーん。登るのも降りるのも大変そうですね……」
 小さなフェアリーだから高く感じる、というだけでもない。
 クリスタリアンのアルバ・アルフライラ(f00123)も、崖の上を見上げて、その高さに感嘆の息を吐く。
「……まあ、万一落ちてしまった者がいた際は、治療位は施しましょう」
 零れたのは、頼もしいやら不穏やらな言葉。
 あー、と曖昧な声で苦笑するシノ・グラジオラス(f04537)に気付くと。
「御安心下さい、これでも医術の心得は御座います故」
 アルバはふわりと一礼して微笑んで見せた。
 慇懃な仕草の向こうで、落ちて来たわんこが灰色狼にキャッチされていたりする。
 表情を引きつらせるシノの肩にぽんっと手が置かれ。
「援護くらいはしてやるから任せるわ」
「へいへい、昔から重労働は俺の仕事ってね」
 振り向いた先でにっと笑うシエン・イロハ(迅疾の魔公子・f04536)に、シノは諦めたように笑い返した。
 改めて崖を見上げ、冒険者達が使っていたであろうルートを探る。
 目を凝らし、耳を澄まし。何となく見えた気がするところで、シノは崖に手をかけた。
 人狼ゆえ、狼姿で登ることも考えていたが、元々、人間である冒険者達が登れていた場所だ。そのままの姿で、シノはひょいひょいと登っていく。
「さっすが。シノ、上手い上手い」
 それを見上げるシエンは、軽い口調と適当な拍手で気楽な賞賛を送りながら、その一方で邪魔が入らないようにと周囲を油断なく探っていた。
 そして、どうぞ、と譲るように、フルールとアルバへと崖を示す。
 フルールはこくりと頷いて返してから。
「オランジェ、力を貸してくれますですか?」
 樹の精霊の名へ語りかけると、応えるように樹の嵐が巻き起こった。
 暴走しないようゆっくりと操作して、嵐がゆっくりと崖に近づいていくと、蔦が絡まり即席の足場を作り上げていく。
 ありがとうです、と精霊に礼を告げてから。
「これなら多少は上り下りしやすいですかね?」
「有難く使わせていただきます」
 フルールの提案に少しほっとした様子を見せ、アルバが蔦に手を足をかけた。
 その間に頂上へと辿り着いたシノは、だがすぐには登り切らず、用心深く安全を確認してからそっと顔を覗かせる。
(「登り切って竜と鉢合わせ、は勘弁願いたいからな」)
 だがその心配は杞憂に終わり、目の前に広がるのは美しい青のみ。
 竜の気配はまだない。
 大丈夫かとシノは最後のひと登りをして花畑の縁に立った。
「おおー。こんなにたくさん!」
 少し離れたところから、同じく到着したばかりらしきわんこの声も聞こえる。
 シノは足元の青い花を1本摘み取り、目の前に近づけ眺めてから。
 ハンカチに包むと、崖の下へと落とす。
 気付いたシエンが手を伸ばし、受け取る小さな天の青。
「バレない程度じゃ大した金にならなそうだしなぁ」
 その鮮やかな色を見つめて、シエンは苦笑した。
 仮に大量にごっそり頂けたとしても、あの街の冒険者達に恨まれるだろうし、彼らと仲良くなったらしいシノも黙ってはいないだろう。
 となれば、儲けるためには、とシエンは思考を巡らせる。
(「狙うのは青い花そのものじゃなく、利用法だな。
 染布に使ってるっつー事は、単純に染めの技術はあるんだろうが……どの程度かね?
 希少な素材使うんなら、どっちかっつーと手間もかかる高級志向のがウケもいいか。
 ろうけつ染め、絞り染め……この辺りの製法か?」)
 手元の青い花をじっと見つつ、考えと一緒にくるくる回した。
 花に夢中にも見えるその様子を、シノは崖の上から遠目に見て。
 その思惑を何となく、だが結構正確に感じ取って、ため息1つ。
「あー……何で俺シエン連れてきたんだろ。あの子連れてくりゃよかったな」
 もう1本摘み取った青い花に、幼馴染の姿を重ね見ながら、シノはしみじみと呟いた。
 これはちゃんと花を花として愛でてくれるだろうお姫様に渡そう。
 こっそりと決意して、2枚目のハンカチでそっと包みしまう。
「わあ。これが青いお花、なんですね」
 フルールも花畑へ辿り着き、一面の青に目を輝かせた。
 少し高めの場所から広がる青を堪能して。
 それから地面近くへと高度を下げて。
 花から花へ、蜜を求める蝶のように、ふわりふわりと青を渡り飛ぶ。
 風に揺れる青い花に、応えるように挨拶をしたり。
 花弁の触感を確かめるように、そっとつんつんしてみたり。
 楽しんでいると、アインが1本摘み取って、どうぞと手渡してくれた。
 青い花を抱えたフェアリーが、空の彩を映したような青を背景に宙を舞う。
「なるほど。魅入られるのも道理だろうよ」
 何とか辿り着いたアルバも、その絵画の様な光景に目を細めた。
 このまま見蕩れていたいところではあるが。
 愚者の灯火がアルバの周りに生み出され、四方に漂い飛ぶ。
 魔物除けにはこの炎で充分だろう。
 問題は、と次いで見やるのは高い崖。
 今は、シノと警戒役を替わったシエンが、フック付きワイヤーも使って登っていた。
 蔦や道具で登り易くなったとはいえ、崖は崖のままで。
(「柵を設ける程の猶予は残されておらんか」)
 ならばと地形を観察し、細かな場所毎の落下リスクを把握していく。
「こちらは落ち易いと思いますよ。できれば、あちらへ」
 他の猟兵にもその情報を伝えながら位置を調整。
(「何もしないよりはマシであろう」)
 促されたわんこが青い花をわんさか抱えたまま移動するのを見送っていると。
 そこに突然、大きな影が落ちた。
 はっと見上げた空に現れたのは、柔らかな若葉のような緑色の身体を揺らし、角や背びれを宝石のように鈍く輝かせ、鮮やかな花を思わせる色の翼を広げた、1匹の竜。
 その竜の息吹が青い花を咲かせ揺らし。
「あっあっあっ、わんこの花がー!」
 わんこの手から青い花のほとんどを奪い落とす。
 息吹の竜『グラスアボラス』。
 花畑に現れたオブリビオンに、猟兵達は意識を青い花から切り替え、構えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『息吹の竜『グラスアボラス』』

POW   :    フラワリングブレス
【吐き出された息吹 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【咲き乱れるフラワーカッター】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ガーデン・オブ・ゲンティアナ
自身の装備武器を無数の【竜胆 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    フラワーフィールド
【吐き出された息吹 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を花畑で埋め】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイツ・ディンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

銀座・みよし
・POW
件のドラゴンがやはり現れましたね!
しかしこのままでは花畑に被害が行く可能性があるやもしれません…
むむむ、これはちょっと行動に悩みますが…

ユーベルコードを使用しホルスさんを呼んで騎乗、その上で【空中戦】と参りましょう
このまま【先制攻撃】が仕掛けられるようならば攻撃をして【おびき寄せ】ましょう
フラワリングブレスについては【視力】【聞き耳】と【戦闘知識】で攻撃のタイミングを図って回避を狙う
ドラゴンに有効かは不明ですが【鎧無視攻撃】が効くようならばそちらも狙います

前衛が少なめならこのまま騎乗して戦い、
後衛が少ないならばホルスさんから降りて弓矢による遠距離攻撃主体で

(絡み・アドリブなど問題なく!


アイン・ローレンス
【WIZ】見切り、全力魔法、属性攻撃、範囲攻撃、2回攻撃

一面の青いお花畑に緑のドラゴンとは絵になりますね。
しかしオブリビオンであることにかわりありません。
青い花を堪能してたのに邪魔してくれちゃって…絶対許しませんからね!

「エレメンタル・ファンタジア」氷の落雷を発動
ドラゴンの全身を覆うように広範囲に展開。
まずはその翼をボロボロにしてあげましょう。
冷たい痛みに痺れ、どこまで我慢出来ますか?

敵の攻撃には【属性攻撃】風の魔法で息吹の相殺を試みます。
もし花畑が出来てしまったら炎の魔法で燃やし尽くしましょう。



「やはり現れましたね!」
 青い花をそっと愛でていた銀座・みよし(f00360)は、空を見上げて立ち上がった。
「一面の青いお花畑に緑のドラゴンとは絵になりますね」
 アイン・ローレンス(f01107)も、新たな光景に美しさを感じながら、だが気を引き締めて、木の枝をそのまま手にしたかのように生命力にあふれた杖を握り締める。
 如何に青に映える緑であれ、それはオブリビオン。
 骸の海から染み出した、滅亡へと導く過去。
 猟兵として倒すべき相手。
 ドラゴンを真っ直ぐに見つめたアインは、その胸に使命感を抱き。
「青い花を堪能してたのに邪魔してくれちゃって……絶対許しませんからね!」
 それ以上に、今この時への怒りを以て、杖を掲げた。
 応えて、青空を切り裂いて雷が落ちてくる。
 いや、雷のように鋭く降り注ぐそれは帯電とは違う光を煌めかせていて。
 物理的にドラゴンを切り裂き、次々と突き刺さった。
 それは、陽光を反射して輝く、凍れる氷。
「冷たい痛みに痺れ、どこまで我慢出来ますか?」
 氷の落雷は、大きなドラゴンを囲むように広く、その中でも翼を特に狙って放たれていて、アインの狙い通り翼を傷つけていく。
「むむむ……それでは、わたくしは……」
 それを見ながら、みよしはしばし自身の行動に悩みを見せた。
 気がかりなのは、みよしの周りに、そしてドラゴンの周囲にも広がる花畑。
 できることならこの見事な青に被害を出したくないと考えて、考えて。
「ホルスさん、お願いいたします!」
 神話級の巨大隼を呼び出した。
 その背に乗って、挑むのは空中戦。
 攻撃が花畑に向かわないよう、被害を広げないよう、ドラゴンの動きも誘導しながら、みよしはホルスと共に青い空を舞う。
 翻弄されるドラゴンだが、みよしの動きを次第に捉え、大きく息を吸い込むように翼を広げ首をもたげて。
 息吹が放たれるが、みよしもそのタイミングを掴んでいた。
 ホルスと息を合わせ、視界を合わせ、しっかりと回避の動きを見せる。
 さらに、巻き起こった魔法の風が助けるように息吹を相殺していく。
「ありがとうございます、アイン様」
 空から礼を告げれば、アインがひらりと小さく手を振るのが見えた。
 その周囲は青く、だが一部に赤や黄色の新たな花畑が生み出されていく。
 フラワーフィールド。
 避けられても花畑で自身の攻撃力を上げてくる、ドラゴンのユーベルコードだ。
 一面の青に交ざる他の色は、そこだけを見れば綺麗ではあるのだが、ホルスの上から眺めたみよしは、突然の混色に表情を少し陰らせる。
 その気持ちを汲むかのように。
 アインは今度は炎を操り、新たな花畑を燃やし尽くした。
 戦いを有利に進めるための戦術であり。
 何より美しい青い花畑を守るための魔法。
「わたくしたちも、もう一度参りましょう」
 ホルスの背から改めて広がる青を眺めたみよしは、再びドラゴンへと向かっていく。
 この景色を守るために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
心情
青い花か
さぞ綺麗だろうな

花畑に現れる竜…
穏やかで呑気なイメージだけど
オブリビオンなら狩るしかない
骸の海へ還らせてやらなきゃな

手段
命と未来を守るという想いを込め
Wウィンドを奏で歌い皆を鼓舞
;コミュ&パフォ&演奏&歌唱&手をつなぐ&鼓舞&勇気&優しさ

武器受けの他UC使い防御
息吹やカッターは高熱の陽炎で回避
竜胆の花びらは纏う地獄の炎で灰に変える
地形の花畑は炎で焼き尽くし滅する
…なんか俺、悪者っぽいけど

紅蓮の炎を纏う焔摩天を喰らわせるぜ
:属性攻撃&破魔&薙ぎ払い&鎧砕き&UC

この世界の「過去」であるアンタだ
今でもこの世界が好きだから花畑に来たんだろ?

OK、任せとけ
この世界を守る為にアンタを倒すぜ


シエン・イロハ
シノと参加
SPD選択

ったく、似た者兄妹が…(シノに聞かれぬ様小声で/シノの妹が同種の敵相手に悩む姿も見ていたため)
とっとと眠れ…本来此処にいねぇ過去が、わざわざ暴れて苦しむんじゃねぇよ

見切り・野生の勘・逃げ足等駆使し敵の攻撃は極力回避
身体から近い攻撃は槍の範囲攻撃でいなし、遠い攻撃はダガーを投擲で叩き落とす

竜本体への攻撃は主に槍で
蹴りが当たる程度の距離なら、自身の回復も兼ねて足を変化させる形でガチキマイラ使用

毒は今回は使わねぇようにしといてやるよ

あ?言うわけねぇだろ面倒くせぇ事になんの目に見えてんじゃねぇか
お前こそ自分で口滑らせてバレんなよ

そりゃいいな
ついでに製法売る場所の情報も仕入れねぇとな


シノ・グラジオラス
(人狼病の発症前は竜騎士だった)
息吹の竜ねぇ…前なら心躍ったんだろうな
この青を気に入るのは分かるが…留まるって言うなら容赦はしない

POW選択
『2回攻撃』で敵の気を惹き、隙を見つけたら牙による攻撃力重視の【紅喰い】
『武器受け』で防御するが、ブレスは『聞き耳』『野生の勘』で回避を図るとするか

ダメージを受けたら『激痛耐性』で言う事聞かん体を黙らせて『生命力吸収』で回復を図る
竜の痛みも足場の花的にも長引かない方がいいだろうし、
俺もあんまり長くは戦いたくはないな

シエン、俺が無茶して竜倒したとか妹やあの子に絶対に言うなよ
終らせた仕事の報告ついでに、インクも受け取りに行こうや
上手く行けば酒にありつけるぞ


アルバ・アルフライラ
竜の息吹、咲き誇る青い花
…足元の花と一致しているならば、これは彼奴が齎した物なのだろうか
――たとえ何であれ、オブリビオンは屠るだけの事
置き土産に、たんまり花を咲かせていけ

仕込み杖で描く魔方陣
高速で召喚するは【愚者の灯火】
私が狙うは竜のみ
決して花々に延焼せぬよう気を配る
花畑の上に立たれぬよう、息吹によって形成され次第上に魔法の炎を配置する等して対策

共に戦う者達には支援を惜しまず
隙を埋めるよう魔術を行使
後方より周囲を警戒、皆の落下を防ぐ為に細心の注意を払う
もし崖側に近付いている者がいた際は声掛け

竜を退けたならば暫し花畑を見詰め
その中で最も美しい青い花を一輪、指で摘み取る
…これで従者への土産は出来た



「思った通り、綺麗だけど」
 木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)も、青い花畑を飛ぶ緑のドラゴンを見た。
 花畑に竜、と聞くと穏やかで呑気なイメージだけれども。
 実際は巨体が青い花を散らすように飛び回り、繰り広げられる隼との空中戦。
 中々迫力な光景ができあがっていたりして。
「骸の海へ還らせてやらなきゃな」
 手にしたギター・ワイルドウィンドを奏で、ウタは祝福を歌う。
 インカムを通って響く鼓舞するような支援の旋律を受けて、シノ・グラジオラス(f04537)とシエン・イロハ(f04536)は黒剣と黒槍を揃えた。
「この青を気に入るのは分かるが……留まるって言うなら容赦はしない」
 シノの刃が幾度閃き、ドラゴンの気を反らしたところに。
「とっとと眠れ。本来此処にいねぇ過去が、わざわざ暴れて苦しむんじゃねぇよ」
 シエンが黒塗りの槍を突き出し、緑の皮膚を穿ちゆく。
 痛みに身を反らし、大きく口を開けたドラゴンから息吹が吐き出され。
 気付いた時にはシノは咲き乱れる花に囲まれていた。
 赤が黄が紫が、鋭い刃となって襲い来る。
 剣で防ぐも全てはかわせず、シノの身体に無数の傷が刻まれて。
 そこに地獄の炎が噴き出して、美しい花弁を燃やし尽くした。
「……なんか俺、悪者っぽい?」
 攻撃とはいえ花を滅することにちょっと罪悪感を感じつつ、苦笑を見せるウタ。
 軽く礼を告げたシエンは、シノを庇うようにドラゴンへ駆け込んだ。
 跳び上がり、接近して放つのは蹴り。
 だがその脚はライオンの頭部へと変形し、噛みつかれたドラゴンが悲鳴を上げる。
 隼が、氷の落雷が、地獄の炎が、追撃するようにドラゴンへと次々向かう中で、後退したシエンがシノの傷を伺えば。
「息吹の竜ねぇ……前なら心躍ったんだろうな」
 呟き零れた言葉は、今の負傷へではなく、かつて竜騎士だった己へのもの。
 自嘲気味に溢れ出た、惑いの心境。
(「ったく、似た者兄妹が……」)
 その姿にシノの妹を重ねて思い出しながら、シエンはこっそり苦く笑った。
 そんな間にも、またドラゴンは花の息吹を吐き出して。
 新たな花畑が広がっていく。
 それは、そこに元々咲いていたものと同じ、青。
(「この花畑は、元は彼奴が齎した物なのだろうか?」)
 アルバ・アルフライラ(f00123)は、一部だけとはいえ一致を見せた花にそんなことを想うけれども。
 だからといって退く気は、ない。
(「たとえ何であれ、オブリビオンは屠るだけの事」)
 仕込み杖を動かして描き出されるの魔法陣。
 酒場で花畑で、幾度も見せた愚者の灯火を、今度こそは攻撃のために、アルバは一斉にドラゴンへと向かわせた。
 咲き誇る青い花を巻き込まないのは今までと変わらないが。
 その代わりにというように、ドラゴンを、そして新たに生み出されドラゴンの力となる花畑を、遠慮なく燃やし尽くしていく。
 さらに、元の花畑から遠ざけるようにドラゴンを炎で誘導して。
「後ろの崖にもお気を付けて」
「OK」
 助言と共に送り出されたウタは、焔摩天の梵字が浮かぶ巨大剣を手に頷いた。
 刃に紅蓮の炎が絡みつき、赤々と燃える中で。
「この世界の『過去』であるアンタだ。
 今でもこの世界が好きだから花畑に来たんだろ?」
 問いかけ、そして叫んで。
「任せとけ! この世界を守る為にアンタを倒すぜ!」
 ウタはドラゴンの翼へと、焔摩天を振り下ろす。
 高度を下げてきたドラゴンに、シノはにやりと笑って駆け寄り。
「目ぇ反らすなよ? スコルのお出ましだ」
 その姿が狼へと変わっていく。
 シエンのタガーがドラゴンを牽制する中で、鈍く光るのは鋭い牙。
 花畑のためにも、ドラゴンのためにも。
 戦いを早く終わらせられるように。
 ライオンに続き、狼がドラゴンへ噛みついた。
 失速したドラゴンは、そのまま花畑の端へと墜落して。
 そこに隼が急降下。一撃離脱直後に弓矢と氷とが降り注ぐ。
 弱々しく口から漏れた息吹は、誰も傷つけられず、だが青い花を咲かせる。
「置き土産に、たんまり花を咲かせていけ」
 静かに告げたアルバは、魔法陣の淡い光を受け、仕込み杖をゆるりと掲げて。
 愚者の灯火は集い、ドラゴンだけを焼き尽くした。
 終わりを見届けたアルバは、皆を見回して頷いて見せる。
 ほっとしたような息が各所で零れた。
 穏やかな風が吹く。
 青い花畑を緩やかに撫でて。
「仕事の報告ついでに、インクも受け取りに行こうや」
 狼から人の姿に戻ったシノが陽気な声を上げる。
 ドラゴンの脅威がなくなれば、青い花はまた出回っていくだろう。
 アインは、エール達冒険者の名も上げて、嬉しそうに微笑みを見せた。
「酒にもありつけるかもしれねぇな。
 ついでに製法売る場所の情報も仕入れねぇと」
 酒好きなシエンも笑っていると、その肩に伸びるシノの腕。
「俺が無茶して竜倒したとか妹やあの子に絶対に言うなよ」
「あ? 言ったら面倒くせぇ事になるだろ。お前こそ自分で口滑らせてバレんなよ」
 肩を組んで交わされるこそこそ話。
 青い花を眺めていたウタが、漏れ聞こえた声に少し首を傾げていた。
「お屋敷にも少しだけ、頂いてまいりましょう」
 みよしも改めて青い花を手にし、アルバもそっとしゃがみ込み。
 足元の美しい青を眺め、その中で最も美しいと思う花を一輪、摘み取り微笑む。
「……これで従者への土産は出来た」
 優しい風を受けた青は、天の上で、頷くように揺らいでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月23日


挿絵イラスト