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人を呪わば

#UDCアース

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#UDCアース


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 例えば。人を殺したいほど憎いと思った時、それを直接自分の手で行えるものは少ない。
「このっ! このっ!」
 この少女が藁人形に釘を打ち付けているのも、言ってしまえばただの代償行為に過ぎない。そしてそれは実際に相手を殺める必要はなく、心の中で殺して溜飲を下げるだけにとどまる。無論、それでなにか変わったり或いは憎しみがより深くなるかもしれないが、少なくともこの場はそれで収まるはずだ。
「死ねっ! この世からいなくなれっ!」
 彼女の呪詛を向けられているのは、男であった。それだけで概ねの事は推察できよう。強いて言うのなら藁人形に封じられた髪の毛が中年の男のものというくらいか。
「……!」
 その内に罵る言葉も尽きたのか、恐ろしい形相で釘を打つことに集中している。だからこそ彼女は気付かない。この場所が「来たものにとって」死をもたらすだということに。


「まあ、昔から男と女ってのは色々あるもんだが」
 アルミィ・キングフィッシャー(「ネフライト」・f02059)はそう呟いた。
「アンタらに行ってもらいたい場所はUDCアース。ここで呪いとやらをかける女の子が何かの原因でこの世からいなくなる。……それがオブリビオン、ここじゃUDCって呼ぶ奴の仕業って事が見えた」
 幸いにして、と彼女は続ける。
「今からならこの子を止める事ができる。今この子は山の中にある呪いの場所って呼ばれてる壊れた神殿、いや神社に向かってる最中だ。そこで事を始める前に止めてやってくれ」
 慣れない場所の説明をする彼女は、少女を止めるための方法を上げる。
「一番面倒がないのは力づくだな。アンタらならまあ簡単だろう。まあそれだと、また似たような事件に巻き込まれるかもしれないが……」
 それを避けたいなら心を通じ合わせる必要があるかもしれない。もしそうするつもりなら言葉を交わし信頼を得て彼女を止めねばならないだろう。
「ああ、あと言っておくが、相手の男は見えなかったから探そうと思っても無駄だ。人によっちゃ業腹かも知れないがこらえておいてくれ」
 そして彼女を止めた後の事をアルミィは言う。
「この子を止めてもこの場所の噂自体は残ってるから、また別の誰かがUDCに襲われるかもしれない。神社の中にある木に釘を打ち付けてやればその音で何かが出てくるだろう。そいつらを撃破して安全を取り戻して欲しい」
 この神社はどうする? と聞かれたアルミィは好きにしたらと答えた。
「それじゃ行っといで、イェーガー。狩られるのはアイツらで狩るのはアンタらだ」


西灰三
 いつもお世話になっています。西灰三です。
 今回はUDCアースの依頼をお送りします。

 詳細はオープニングの通りです。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『小さな呪い』

POW   :    叱る、脅す、力づくで止める

SPD   :    先回りし障害物を設置する等で妨害する

WIZ   :    説得する、誤情報を与え他の場所に誘導する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

涼風・穹
【心情】
……本当に、この世界のどこにでもUDCは存在するもんだな
それこそその辺の物陰や何かの裏側を一寸覗けば深淵が手ぐすね引いて待っているような気がしてくるぜ…

【行動】
神社へ向かう通路か入り口を、『贋作者』で工事現場を覆う鉄板かシートのようなものを作って封鎖してしまい、立ち入り禁止の表示を付けておく

もし少女がやってきたなら、懐中電灯の灯りを向けて帰るように諭す
「ちょっと、ここは見ての通り立ち入り禁止だよ。工事関係者じゃないなら引き返してくれないか?」
もし突っ込まれれば俺はバイトの警備員、という事にしておく
……まあ、誰か人に見られた時点で、その後で藁人形に釘を打とうなんて思うとは考え難いけどな…




 少女は暗い山を行く。手にした懐中電灯から伸びる光条が道を探して動く。その動きは彼女がまるで獲物を探して彷徨っているように見える。
 当たり前だが町から離れたこの場所には温もりがない。防寒具越しにさえ外気の冷たさが突き去ってくる。吐く息も白く凍りついているが、それも今の彼女には見えまい。
 彼女の足がくたびれた草を蹴り、そして踏みにじる。今ではほぼ獣道となってしまった道を、少女は目的の為に黙々と進む。
「……通行、止め……?」
 彼女の前に立ち塞がったのは黄色と黒で塗り分けられた簡易的なフェンスが待ち受けていた。よくよく目を凝らしてみれば、それが本物であるものとは分かるだろうが、生憎とこの山は暗闇で今の少女は盲目的だ。
「ちょっと、ここは見ての通り立ち入り禁止だよ。工事関係者じゃないなら引き返してくれないか?」
 男の声が闇の中から現れる。少女は突然現れた涼風・穹(人間の探索者・f02404)に怪訝な表情を向ける。
「……そんな話聞いたこと無いけど」
「あれ? 連絡なかったか?」
「それにそんな事私には関係ないわ、通してよ」
「だからそれは工事中だから……」
 無論二人は押し問答するばかりである。
「……どうしても通さないつもりなら良いわ。私は別の道を探すから」
「あ、おい」
 穹が止めるよりも早く少女は踵を返し来た道を戻っていく。一人残された穹はこの事件に関わっている他の猟兵に彼女の動きを連絡すると一人ごちる。
「……まあ、誰か人に見られた時点で、その後で藁人形に釘を打とうなんて思うとは考え難いけどな……」
 そこまで言いかけた所で、自分達の立っている所が平穏な常識ではない事に思い至る。その自分の考え難いという発想さえ怪しまなければならないとは。苦笑して彼は道の向こうを見る。
「……本当に、この世界のどこにでもUDCは存在するもんだな」
 彼が見るところにはただの闇夜が広がるだけ。だがその向こうには確実に何かがある。
「その辺の物陰や何かの裏側を一寸覗けば、深淵が手ぐすね引いて待っているような気がしてくるぜ……」
 彼は頭を振り少女とは逆方向へと歩いていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クルドール・プリスカード
【WIZ】の行動
白い和服でも着て、彼女とは偶然を装って合流するとしましょう
「あら、あなたも恨みを抱いてここへ?」
と声を掛けます。感情の読めない表情と、抑揚のない声で。元よりそれしか出来ませんが
続けて声をかけましょう
「わたしも噂を聞いて、少し前にここで憎しみをあいつに向けて釘を打っていたのですけど…。あいつは今ものうのうと生きていて、効果は無いみたいです…」
わたしが恨む存在はUDC及び邪教どもですが
とにかくここで丑の刻参りをしても無駄だということを伝えましょう
それで諦めてくれればいいのですが、諦められないというのなら誘導します
「…わたしも諦めたくはない。ここがダメならきっと他のところでしょう」




 闇の中で白い何かが浮き上がったように現れる。少女は小さく声を上げる。
「……あら、あなたも恨みを抱いてここへ?」
 『それ』が振り返ると少女は後ずさる。金の髪に銀の瞳、それに白い和服をまとった小さな女子であった。年齢で言えば小学生低学年程ではあろうか、だが彼女を呼び示す言葉にはもっと適当なものがある。「人形のようだ」と。
「……あ、あなた、何なの……」
 その存在を少女が知っていることはない。この世界ではこの山の上にいる存在の事も、それに抗う猟兵――クルドール・プリスカード(壊れかけた・f12396)のような存在の事も周知されていないのだ。
「わたしも噂を聞いて、少し前にここで憎しみをあいつに向けて釘を打っていたのですけど……」
 少女はクルドールに警戒しながらも、彼女の言葉に耳を傾ける。表情は変わらない、抑揚もない言葉ではあるが、その中に一つまみの感情を見出したからだ。
「……あなた、も……?」
 少女はクルドールが誰に何をされたのかは知らない。ただ一つ分かるのは彼女の言葉の裏に明確な感情があるということだけだ。
「あいつは今ものうのうと生きていて、効果は無いみたいです……」
 クルドールは少女に対し呪いの実効性など無いと諭す。だが少女は首を横に振る。
「……それはあなたがやったときでしょう? わたしがやれば違うかもしれない」
 少女はか細い声で言う。
「ですが……」
「……わたしはあなたがなんと言っても行くわ。……でも、ありがとう」
「待って。……わたしも諦めたくはない。ここがダメならきっと他のところでしょう」
 彼女の声を聞かず少女が山に分け入って行く。彼女止めようとした時、もう一人の声がクルドールの頭の中に響く。
『もうお前の言いたいことはあの子に伝わってる。だから、ここまでだ』
「……なぜ?」
『お前もあの子も同じものを持ってる、それが通じたから感謝したんだ。……お前が「猟兵としての活動は無駄だ」って言われたら猟兵をやめるのか?』
「それは」
 クルドールの答えは草木のさざめきが遮る。彼女は一つ息を吸ってから歩き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

虻須・志郎
愚神再来、邪神を召喚して進路妨害してもらう
少女の進路状に幾重ものべったべたの蜘蛛の巣を張り巡らせて時間稼ぎ
進めば進むほど足取りは重くなるし
なんやかんや色んなモノが引っ付くだろう。そのまま諦めてくれ

それでも少女が現場に着いたら、少女自体を蜘蛛の邪神に縛ってもらおう
『クク……此処で怨嗟を吹き込めば願いが叶うなぞ、そんな都合のいい事があるとでも? 貴様は贄だ』
で、俺が助けてさっさと下山してもらう
呪いの話はここに来る人を殺める為の罠だったと吹き込んで
呪いは返ってくるもの、そんな力に手を出すなと警告して

しかし第四の蜘蛛様よ、どうしてそんな格好してるんだ?
どうして黒髪ロングにセーラー服なんだと聞いている!


スウィートドール・シュガー
彼女を止めればいいのね? 頑張ってみるのよ
……できればお話聞いてあげたいのだわ
雰囲気は大事ね、着物に着替えておきましょう

「お姉さん、ごきげんよう」
ここから先は悪い神様がいるのよ
呪いの噂を流して、来た人間と負のエネルギーを食べる、わるーい神様!
だから、あの神社で色々するのはよくないわ
何かあったのなら、スウィートドールが聞くのよ
「安心して、スウィートドールもカミサマだから」
優しさを込めて、コミュ力を発揮するのだわ
ヤドリガミだもの、嘘は吐いていないのよ
信じてもらえないなら、念動力とかでちょっと浮かせたり、動かしたりしてみて、ね
おすすめお菓子もあげちゃうわ、だからあそこは駄目。違う所にしましょう?




 少女は闇夜の中で思う。先程から立て続けに自分の道に塞がるものがあると。それがはっきりしたのはこの山の中でまた別の小さな童女を認めたからだ。流石に二度目となれば、驚きはするものの大きくはない。
「お姉さん、ごきげんよう」
 先程の娘と違うのは口調と目だろうか。先程の娘が静寂の中に情を秘めていたというのなら、目の前の彼女は情を纏っているという印象だ。
「……あなたもわたしを止めに来たの?」
 やや険を含んだ少女の問いかけに問われた和服の少女、スウィートドール・シュガー(甘言・f00081)は微笑みを保ち返す。
「ここから先は悪い神様がいるのよ。呪いの噂を流して、来た人間と負のエネルギーを食べるわるーい神様!」
「……つまり、神様はいるのね」
「そう、だから、あの神社で色々するのはよくないわ」
 止めるスウィートドールの言葉に少女は小さく呟く。
「あなたもさっきの子と同じ事を言うのね。でも、もう、良いの」
 スウィートドールが彼女の目に見たのは諦観。あるいは破れかぶれ、自暴自棄。
「きっとあなたは嘘を付いていないんだと思う、でも……」
 まるで入水していくような足取りで、少女はスウィートドールを避け闇の中に足を踏み入れていく。スウィートドールの止める言葉も届かない、最早それしか無いというように。彼女はそのまま無言で目的地だけを目指して歩いていく。
「……何?」
 だからだろう。彼女が異変に気付くのに遅れたのは。足が何かに囚われたように動かなくなり、彼女はつんのめって膝と手のひらを地面に付けてしまう。転がった懐中電灯が照らすのは地面に筋状に広がった白いなにか。粘着性のあるそれが彼女の手足を捕らえてしまっている。
『クク……』
 どこからか声が聞こえてくる。それはこの山で聞いてきたものとは違う、悪意に満ちた声。その声は少女をあざ笑うかのように語りかけてくる。
『此処で怨嗟を吹き込めば願いが叶うなぞ、そんな都合のいい事があるとでも思ったか?』
 ああこれが、と少女は呟いた。先程の童女が言っていた『悪い神様』とはこれの事だと。
『貴様は贄だ』
 呪うことさえも出来ずにここで自分は死ぬのか、憎悪を抱えたまま死ぬのかと少女の胸の内にぐるぐると沸き起こってくる思い。それは酷い吐き気を催し、勝手に涙を流させる。
「……安心して、スウィートドールもカミサマだから」
 ふっと柔らかい声が響くと、少女の手足に絡みついていたものが吹き飛ばされる。
『そこをどけ』
「お食事の邪魔をして申し訳ありませんわ」
 微笑む彼女は少女を立ち上がらせながら、その手に焼き菓子の入った包みを握らせる。そして少女に語りかける。
「これがここの正体なのよ。……違う所にしましょう?」
 少女を振り返らせてスウィートドールは声の主と向き合う。
「このまま走るの、振り返っちゃだめよ」
『我の邪魔をするな……!』
 少女の後ろから何かと何かがぶつかる音がする。だが彼女は振り返らずに駆けていく。ここには復讐の術も憎悪を晴らすための行為も果たされないと知ってしまった以上意味を失ってしまった。
 少女は慟哭と共に山を駆け下りていく。

「……行ったか?」
 恐る恐る虻須・志郎(第四の蜘蛛・f00103)と彼の呼び出した第四の蜘蛛が茂みの中から顔を出す。
「ええ、いい演技でしたわ」
「これでこれ以上巻き込まれない選択をしてくれればいいが」
 ふうとため息を付いた志郎はふと第四の蜘蛛を見る。
「しかし第四の蜘蛛様よ、どうしてそんな格好してるんだ? ……どうして黒髪ロングにセーラー服なんだと聞いている!」
「あら? おめかしするのは女の子の特権で義務じゃないかしら?」
 彼女の代わりにスウィートドールが答える。志郎は大きく息を吐く。
「……ったく。……お喋りはここまでだな、本物の『悪い神様』とやらの顔を拝みに行かないとな」
 志郎は件の場所へと歩き出す。自分が倒すべき存在の元へ行くために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

榎木・葵桜
WIZ
無理にダメって言ってもますます意地になるだけと思うから
ちょっとでも落ち着いてもらって、離れてもらうようにするよ

はろはろー、ご熱心だね?
私、何があったかは知らないし、あなたが話したくないなら聞くこともしないけど
でも、藁人形がこんなになるくらいだから、その相手、相当嫌なヤツだったんだね?
でもさ、その嫌なヤツのために、あなたまでボロボロになる事、ないんだよ?

私の家も神社なんだよー
だから、厄を払って幸せになれるように、これあげる!
(嫌がられても無理矢理お守り押し付けて)
大事なのは、恨みをぶつけてその人と同じところに落ちることじゃない
憎いと思った分、その人を見返せるくらいに幸せになってやらなくちゃ


九泉・伽
「こんばんは
この世から消したいぐらいのことをされたんだねぇ
俺も『消したいものがあって』ここに来たことあるよ」
その時の『藁人形』を見せ水を向ける

基本は彼女の恨み言の聞き役
決して否定や批判はせず
話しやすいよう相打ちと共感のみ

「少しはすっきりした?
今後はこの発散方法はオススメしない
なんでって…キミが死んじゃうから
ここさぁ曰く付きだよ?呪った方も死ぬって」
「だから自分はやめた」
(以下のみ別人格で口ぶりが訥々となる)
「だって殺したいのは『不治の病』」
「大事な人が殺されたから」

吐き出してラクになれたなら
不倫で病んでるなら秘密を守れるカウンセラー
パワハラセクハラなら相談窓口
話相手が俺でよさそうなら連絡先交換




 少女が山の麓にある駐車場にまで降りてきた頃には心身ともに疲労が濃くなってきていた。無理もない話である、ましてや山中で超常存在と出会ってしまったならば。アスファルトで覆われた地面に足を踏み入れると、緊張が取れたのかその場でへたりこんでしまう。
「はろはろー、お疲れだね?」
 不意にそんな彼女に明るい言葉が投げかけられる。見上げればハイティーンぐらいの女性の顔が街灯に照らし出されていた。彼女は少女に適当な所へ腰掛けさせる。それと同時にもうひとりの人物が近づいてくる。
「こんばんは。まあ、これでも飲んで」
 こちらは成人男性か。近くで買ったばかりであろう缶コーヒーを片手で開けて少女に手渡した。少女には露知らぬことだが二人は猟兵の榎木・葵桜(桜舞・f06218)と九泉・伽(多重人格者の電脳魔術士・f11786)であった。
「この山から出てきたって事は、この世から消したいぐらいのことをされたんだねぇ。俺も『消したいものがあって』ここに来たことあるよ」
「……あなたも、あれに出会ったの?」
「ああ、あれね。出会ったよ」
 伽は懐から傷のない藁人形を取り出して見せる。
「私達、何があったかは知らないし、あなたが話したくないなら聞くこともしないけど……」
 葵桜は視線を揃えて話しかけている、伽の方は少し離れた風下の方で紙巻き煙草に火を付けて静かに聞いている。
「でも、そんなに疲れて汚れるくらいだから、その相手、相当嫌なヤツだったんだね?」
 少女の服は草の汁と泥で汚れてしまっている。
「でもさ、その嫌なヤツのために、あなたまでボロボロになる事、ないんだよ?」
 そこまで葵桜が言った所で少女は堰を切ったように声を上げる。
「わたし、誰にも言えなかった……! 全部がダメになっちゃう気がして……!」
 これまで人に言うことさえ出来なかったのだろう。次から次へと、自分の経験したことを吐き出していく。葵桜は真正面から耳を傾けて、伽は煙草の火を消して彼女の視界に入る程度の隣で静かに聞いている。彼女が一通り言葉を尽くした頃には、先程の缶コーヒーはすっかり冷えてしまっていた。
「少しはすっきりした?」
 それまで黙って相槌を返すだけに止めていた伽が口を開いた。
「今後はここでの発散方法はオススメしない。……キミが死んじゃうから。ここさぁ曰く付きだよ? 呪った方も死ぬって」
 少女は黙って俯きながらも頷いている。
「……だから自分はやめた」
 ふっと、少女は顔を上げた。隣の人物に違和感が突然現れたからだ。
「だって殺したいのは『不治の病』。大事な人が殺されたから」
 先程までどこかヘラヘラとしつつも大人の男性だった人物が、突然人が変わったかのように訥々とした言葉遣いになったから。少女からはこれが素なのかという風にしか感じられなかったが。そう少女が考えていると、自身の冷たい手に温かい葵桜の手が重ねられる。
「ねえ、山の上の神社に行こうとしてたんだよね。私の家も神社なんだよー!」
 葵桜は少女の手を取りその手にお守りを乗せる。
「だから、厄を払って幸せになれるように、これあげる!」
「でも……」
「気にしなくていいの。大事なのは、恨みをぶつけてその人と同じところに落ちることじゃない。憎いと思った分、その人を見返せるくらいに幸せになってやらなくちゃ」
 彼女が底抜けに明るくそして確信をもった言葉を彼女にかけて、少女の肩を抱く。しばらくそうしていると伽が呼んだのだろうタクシーのヘッドライトが駐車場を照らす。二人はタクシーの開いた扉にまで彼女を連れて行く。
「ああ、これ良かったら使って」
 伽はタクシーの代金と共にカウンセラーの連絡先を渡す。タクシーの扉が閉まる前から頭を下げていた彼女を乗せてタクシーは走り去っていく。テールライトの軌跡が見えなくなった後、二人は自分のなすべきことをするためにその場を離れる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『嘲笑う翼怪』

POW   :    組みつく怪腕
【羽毛に覆われた手足】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    邪神の加護
【邪神の呪い】【喰らった子供の怨念】【夜の闇】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    断末魔模倣
【不気味に笑う口】から【最後に喰らった子供の悲鳴】を放ち、【恐怖と狂気】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 そして猟兵達は元凶である神社へと辿り着く。辺り一面からは邪気としか言い表すことの出来ない空気が漂っており、何かがここにいることを如実に表している。
 彼らは境内にある草臥れた木に藁人形を打ち付けると、その音に導かれるようにわらわらと人面を持った鳥が空中から猟兵達を見下ろすように現れる。
 その口からは絶えず少女の悲鳴が響き渡り、口元は醜い笑顔に歪められている。猟兵達は武器を手に鳥葬に集るつもりで現れた翼怪達を滅ぼすべく武器を取った。
星鏡・べりる
呪詛女さんは帰ったのかな~?
そっかそっか、よかったね!
ごめんね~、私そういう説得苦手なので~

それじゃ、本番だね~
UDC狩りを始めよう!


なんなのキミたち、見下ろしちゃって!
気に入らないなー!
キミたちなんて観測してやらない!

私は【スカイステッパー】で空に駆け上がるよ。
ジャンプ回数が尽きる前に、蹴って殴って落とせるだけ地面に叩き落とそう、頑張ります。
最後の1回で空域から離脱しまーす。

アハハハ、無様な鳥さんだなぁ。
いってらっしゃい、地上は地獄よ!
次はキミたち自身の断末魔を聞かせてね!

※アレンジオッケー、好きに動かしてね~


叶・景雪
アドリブ歓迎
※難しい言葉はひらがな、カタカナNG

神社とはけがれなき神の域域
なのに、こんなにもじゃきにみちているとは…
人の想いとはこんなにも強いんだ
くわばらくわばら…とはいえ、このような神社
兄者がみたらかなしむから
じゃきの元はぼくがたつ!

空中へにげられてもこまるし、地へひきずり落とすよう
大きなつばさのような
うでのようなものをねらってみるね
錬成カミヤドリでぼくの本体をふくせいし攻げきをしかけるよ!
つばさがだめなら、狙いやすいかしょへ対象を変更
「神域をけがす化生はめっする!」

子どものおん念なんて、引きはがすよ
「悲しみはぼくがたつから…こんな妖に、とらわれてはだめだ」
「くっ…いい加減、しつこいよっ!」




 怪鳥が現れるよりも少し前、一組の少年少女が朽ちた神社の前で落ち合った。
「女の子は無事に帰ったのかな~?」
「そうみたいですね。よかったです」
 説得は苦手だからとそれを他の猟兵に任せた星鏡・べりる(Astrograph・f12817)と、事前に神社の調査を外からしていた叶・景雪(氷刃の・f03754)である。
「ここにはじゃきがみちています、神社とはけがれなき神の領域なのに……」
「UDCって大体そんな感じだよ?」
 べりるはそう言いながら景雪を連れて門を潜る。後方からは恐らく仲間の猟兵達のものであろう光が瞬いている。調査中には合流できるだろう。
「……多分、ここだね」
 ベリルは境内から入ってすぐ脇にある枯れ木をなぞる。そこには釘を打ったあとであろう穴が幾つも空いていた。
「ここからより強い邪気をかんじます」
 これほどまでに人の想いが強いとは、出自がそうでない彼には想像もしていなかった。
「くわばらくわばら……」
「それじゃ、本番だね~、UDC狩りを始めよう!」
 軽い調子で彼女が釘を打ち付けると、耳障りな鳴き声と共に怪鳥達が何処からからあらwれる。
『タスケテ』
『イヤ』
『シニタクナイ』
「こんなものがすみついているなんて……兄者がみたらかなしむからじゃきの元はぼくがたつ!」
 自分達を見下ろす幾羽もの翼怪を景雪が睨めつける。べりるはそんな相手を不満げに見て頬をふくらませる。
「なんなのキミたち、見下ろしちゃって! 気に入らないなー!」
 彼女は宙を文字通りに駆け上がると翼怪の頭上へと至り、そこから敵の頭を自由落下に任せて蹴りつける。
「キミたちなんて観測してやらない!」
 まさか自分達の頭上を取られるとは思わなかったのか、翼怪達はけたたましく鳴きながらより高い所へ行こうと翼をはためかせる。
「神域をけがす化生はめっする!」
 だが地上からは景雪が自らの分身である短刀を十本を生み出して、敵の翼目掛けて投げつける。不意を打たれた怪鳥達は無様に地面に落ちていく。
「アハハハ、無様な鳥さんだなぁ。いってらっしゃい、地上は地獄よ!」
 べりるは翼の傷ついた敵を次々と地面へと蹴り落としていく。そんな翼怪達は景雪の操る短刀によって地面へと縫い付けられていく。そこに複製の一つを持った彼が走り寄る。
「悲しみはぼくがたつから……こんな妖に、とらわれてはだめだ」
『コナイデ! コナイデ!』
 そんな彼の願いをあざ笑うかのように、不利なはずの敵は歪んた笑いを崩す事無く少女の悲鳴を口から吐くだけだ。
「くっ……いい加減、しつこいよっ!」
 恐らくはもう既に完全に取り込まれているのだろう、刃を握る手には力が籠もるが、それを振り下ろすのにためらいが阻む。そんな彼の代わりに翼怪に止めを刺したのはべりるの踏みつけだった。
「次はキミたち自身の断末魔を聞かせてね!」
 べりるは直ぐ様に立ち上がり、別の相手と戦うために再び空を駆ける。残された景雪はいつの間にか目尻に溜まっていたものを袖で拭って、再び短刀を操ることに専念する。今の自分には力で制する事しか出来ないと言う無力感を噛み締めながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クルドール・プリスカード
POWで攻撃

あぁ煩い。子供の悲鳴があの時のわたしを思い浮かばせる。泣き叫んでも助けは来ず、絶望に嘆いてた頃の…やはり許せないですね。…許せるものか。


戦闘に今はUCを使いません。なぎなたを使っての近接戦闘を行います。
防御や回避に重きを置いて、劣勢を演じましょう。
相手に有利を与えて、調子に乗らせます。事実UCを使わなければそうなるでしょう。
わたしが敗北し、相手が勝利を確信したその時が狙い目。
「人格バトンタッチ」
そこにだまし討ちも乗せる。
勝ったと思ったところにコロラドが突如現れて攻撃してもらいます。あとは任せます。


お前はちょっとは自分を大事にだなぁ!ったく、そこで休んでろ。後は俺がやる。


九泉・伽
※アレンジ絡み歓迎

「もうキミらは終ったの」――なんてどの口が言うんだろ、俺とて同類なのにさ

戦闘中はずっと咥え煙草
吐いた靄で朧気になりゆくこの身
現れたもう一人が謂わば実像…なんて
UGで出したもう一人の俺(見分けは煙草なし)と共に棍で数減らす
取りこぼさぬよう「2回攻撃」を駆使して確実に潰す
敵の攻撃は棍でいなしたり、屠った「敵を盾にする」代わりに殴らせ被弾を防ぐ
棍は片手・両手持ちはフレキシブルに、攻防全てこれ一本
味方が動きを封じられるなど「時間稼ぎ」が必要なら前に出て盾役
その際自分もマヒしたフリで「だまし討ち」上等

「ねぇ、冥府はさ、そこまで悪い所じゃないよ。もう一度生れなおしてくる為に逝っておいで」




 翼怪の何羽かは地に落とされ鳴くのをやめているが、また月のない空には依然としてこちらを見下ろしている個体が多くいる。
(「……あぁ煩い。子供の悲鳴があの時のわたしを思い浮かばせる」)
 地面に短刀で留められている敵の首を刎ねて、クルドール・プリスカード(壊れかけた・f12396)頭上の敵を憎々しげに睨めつける。
(「泣き叫んでも助けは来ず、絶望に嘆いてた頃の……やはり許せないですね。……許せるものか」)
 大人達に囲まれた孤独な部屋、その時の記憶は肚の底に今だ淀んで残っている。彼女の持つ薙刀はその感情を現すように振るわれている。
「もうキミらは終ったの。――あの子と違ってさ」
 敵の頭蓋を棍で叩き潰して黙らせた九泉・伽(キミが目を醒ますまでは・f11786)は虚ろな笑いを浮かべて小さく呟く。まるで同類を嗤う事しか出来ないかのような、そんな様子で。
 伽は咥えた煙草を逆手で口から離し、一息で紫煙を生む。幽かな煙は彼と同じカタチを取る。違うと言えば煙草を咥えていないくらいか。『彼』は空中から襲いかかってくる翼怪達を棍打ち払っていく。
「……やれやれ、敵さんは元気だねえ、そっちは大丈夫かい?」
 棍棒の先で器用に敵の死骸を引っ掛けて盾代わりに投げつけながら伽はクルーエルに問う。問われた彼女は彼と同じように迎撃しているものの、苦戦しているように見える。
「……問題ありません」
 そう返すクルーエルだがやはり押されていると伽は感じた。だが彼女の銀の目に焦りがないのを感じ取り、煙を吐いて自分の仕事に戻る。
「くっ……」
 クルドールは襲い来る敵の群れに対し攻撃を仕掛ける余裕がない。そんな彼女が守りの穴であると見て取ったのか、敵の群れが彼女に集中する。それらの攻撃を捌ききれずに羽毛に覆われた手足が彼女の和服を切り裂いて、その奥の肉を千切り取る。だが彼女は激痛に耐えながらも淡々と口を開く。
「コロラド、あと任せます」
 即座に彼女の足元から成人男性の陰が現れ集っていた翼怪達を一撃でまとめて切り捨てる。すぐさまにずかずかと彼女に近づいていく。
「お前はちょっとは自分を大事にだなぁ!」
 クルーエルの危機を救った男、コロラドは敵を倒すや否や彼女を叱責する。どうやら本気で怒っているようだ。
「ちょっと危なっかしい子だねぇ」
「ああ、じゃじゃ馬で困る。……そこで休んでろ。後は俺がやる」
「それじゃ俺もお姫様を守るために頑張るとしますか」
 伽はコロラドと背中合わせで彼女の前に立つと、ちらりと紫煙の『彼』を見た。『彼』は先程よりも無駄のない動きをしているように見える。伽は薄く笑うと棍を握り直した。
「ねぇ、冥府はさ、そこまで悪い所じゃないよ。もう一度生れなおしてくる為に逝っておいで」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

榎木・葵桜
出たね、鳥さん
どれだけの子達を喰らったのかは知らないけど、それも今日でおしまい
綺麗にかっさばいて鳥肉にしたげるから、覚悟しなよ!

【サモニング・ガイスト】使用
田中さん(霊)には【槍】で攻撃してもらうよ
山の中で木々もたくさんだし、下手すると火事だから
【炎】は使わないようにしてもらうね

私は【衝撃波】中心で
手足で攻撃仕掛けられたら【なぎ払い】で払っていくよ

鳥さん、飛行してるから翼の付け根あたり狙い目かな?
ものは試し、翼を広げたタイミングで攻撃仕掛けてみるよ
うまく行けば落下させられるかもだから
その時は田中さんや、仲間に声掛けて追撃をお願いするね

なるべく囲まれないよう意識して
一体ずつ確実に減らしていくよ!


スウィートドール・シュガー
なんて、なんてこと。ここで悲しい子達をいっぱい食べたのね?
いけない子、いけない子達だわ
スウィートドールは少し怒っているのよ
だから、ええ。すこーし手荒になっても許してね?

いけない子にはユーベルコード【お砂糖はご立腹】でお砂糖を被せてあげましょう
指定対象はいけない子達、お菓子は抜きよ
「砂糖の中で反省なさってね」
悲しい子達はもっともっと痛くて怖かったのよ!
最期はフォースオーラのポルターガイストで、念動力と衝撃波も込めてやっちゃうわ
「甘い夢もお菓子もあげないわ。いけない子はお砂糖漬けよ」
悲鳴も全部全部、悲しい子達に返してね?

仲間がいるならご一緒しましょう。スウィートドールは頑張るのよ


虻須・志郎
■連携・アドリブ可
怪異は手羽の眷属か、ならば存分に……喰らえるなッ!
内臓無限紡績兵装で強靭な投網を形成、
空中の翼怪どもを纏めて絡めて地面へ落す
仲間の攻撃が確実に通る様に、サポート重視で動くぜ

ぎゃあぎゃあ喚くようならアムネジアフラッシュで黙らせる
記憶操作の催眠時計だ、精神干渉系にはそれなりの効果がある筈

地面に落ちた翼怪どもは、一匹ずつその生命を喰らってやる
いつも通りだ、ダメージなんぞ気にしてられるか……捨て身でブン殴る


涼風・穹
【内心】
藁人形に釘を打つのがUDCにとって何かしらの意味がある行為なのか、或いは獲物がやってきたから襲いに出てくるだけか、それとももっと他の理由があるのか…?
……まあ、深淵の理屈を理解出来てしまうならもう正気ではいられないだろうから、分からないならそれはそれで良いのかもしれないな…

【戦闘】
まずはあの人面鳥達を地上へ引き吊り下す
手持ちの『フック付きワイヤー』を適当な長さになるように結んで端に石でも縛り付けて即席のボーラを用意
振り回して遠心力で勢いをつけて投擲
うまく人面鳥に絡まって落下してきたなら接近して【剣刃一閃】を使い『風牙』で斬る

人面鳥達は怨念でも喰っているのか?
……怨念がおんねん…なんてな




 ――なんて、なんてこと。ここで悲しい子達をいっぱい食べたのね?
 翼怪の口から発せられる声は全て別の人間のもので。それが数多くとなれば被害者も相当数なのだろう。
「いけない子、いけない子達だわ」
 スウィートドール・シュガー(甘言・f00081)の口からは珍しい甘い言葉ではないものがこぼれ落ちるのも仕方はあるまい。
「どれだけの子達を喰らったのかは知らないけど、それも今日でおしまい。綺麗にかっさばいて鳥肉にしたげるから、覚悟しなよ!」
「怪異は手羽の眷属か、ならば存分に……喰らえるなッ!」
 UDCの専門家である榎木・葵桜(桜舞・f06218)と虻須・志郎(第四の蜘蛛・f00103)、そして涼風・穹(人間の探索者・f02404)は各々の武器を構え対空攻撃の態勢を取る。
(「人面鳥達は怨念でも喰っているのか?」)
 穹は次いで出てきた洒落を飲み込むことに成功した。流石にこの空気では言えない。そんな彼の人知れない努力が行われていることも知らずに、志郎は内臓無限紡績兵装で投網を形成する。
「……往くぞ、終いを舞わせてやる」
 畳まれた状態のそれを空中に投げつければ、ばっと大きく広がり複数の翼怪達を捕らえて地面に落とす。
「田中さん! お願い!」
 落ちた相手に対し葵桜が幽体型UDCの田中さんを向かわせて槍で攻撃させ止めを刺していく。彼女本人は空を舞う翼怪に対し衝撃波を放って叩き落としていく。網に囚われた敵がいても今だ複数の敵が空を舞っている。
「残りは任せろ」
 穹がフック付きワイヤーに石を括り付けたものをボーラに見立て遠心力で投げつける。胴体に絡みついたそれを彼が強く引くとバランスを崩して敵が落ちてくる。敵も猟兵達の攻撃に抗するように断末魔を上げて精神を揺さぶってくる。
「五月蝿え! こいつでも食らっとけ!」
 志郎が放った閃光の元はアムネジアフラッシュと呼ばれる記憶を操作する道具である。突然焚かれた光で一瞬翼怪達は悲鳴を失ったことに戸惑う。
「そこだよ!」
 葵桜が生じた隙を付いて翼を断つ。片翼を失った敵は無様に地面に落ち、軒並み動きを留められている。そしてこのタイミングを待っていたのはスウィートドールだ。マザーグースのような歌ともに指先をくるりと回せば、そこを中心にして粉砂糖の渦が生まれ始める。
「お砂糖たくさん増えて溢れて。降りかかるお砂糖、怖いお砂糖、危ないお砂糖。怒ったお砂糖にご用心」
 その渦は直ぐ様に大きくなり、落ちた翼怪の羽毛に張り付いていく。固く結晶化した砂糖が小さな刃と化し傷が生まれる。翼怪達は身動ぎすることで逃れようとするが、空に逃げられない状態ではそれもままならない。
「砂糖の中で反省なさってね」
 固着した砂糖は硬化し、動きさえ封じられていく。そしてこのタイミングを見逃す猟兵達ではない。穹が風牙で真っ二つに敵を切り、志郎が捨て身で敵の生命力を喰らっていく。
「お味はどうかしら?」
「ああ、こいつらには上等すぎるくらいの味付けだ」
 そう問うた彼女も念動力を以て砂糖漬けの敵を手折っていく。
「甘い夢もお菓子もあげないわ。いけない子はお砂糖漬けよ」
 彼女は翼怪の放つ叫びに耳を傾けていた。恐怖、痛み、苦痛。それらを嘲り、道具にする相手に容赦は無い。
(「――悲しい子達はもっともっと痛くて怖かったのよ!」)
 存外に軽い音と共に相手の胴体は二つに折れる。恐らく痛みを感じる間もなかっただろう一撃。
「悲鳴も全部全部、悲しい子達に返してね?」
 スウィートドールが物言わぬ相手に言葉を渡す。彼女ら猟兵達が翼怪達を次々と片付けていけば、少しは別の事を考える余裕が出てくる。穹は柄を握ったまま思考を巡らせる。
(「藁人形に釘を打つのがUDCにとって何かしらの意味がある行為なのか、或いは獲物がやってきたから襲いに出てくるだけか、それとももっと他の理由があるのか……?」)
 彼に取って今だ終わった感じがしないのもあるのだろう。経験的に調子のいい時ほど何かが起こることを彼は知っている。
(「……まあ、深淵の理屈を理解出来てしまうならもう正気ではいられないだろうから、分からないならそれはそれで良いのかもしれないな……」)
 自分の考えが杞憂に終わることを彼が期待した時、異変が起きた。
「どうしたの、田中さん……きゃっ!?」
 田中さんが葵桜を即座に抱えてその場を離れると、その進行方向上にあった翼怪の死骸に向かって赤黒い煙が伸びその体を包み込んでいく。
「……餌用の餌場、か」
 どうやら社の中から出てきたそれを見て志郎が呟いた。新たに現れた敵の姿を見て穹はため息を付いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『灰霞の剣』ヴォル・ヴァ・ドーズ』

POW   :    焔を焚く者
真の姿を更に強化する。真の姿が、🔴の取得数に比例した大きさの【灰色の焔 】で覆われる。
SPD   :    灰霞の剣
【灰霞の剣 】が命中した対象を燃やす。放たれた【霧とも霞とも見える灰塵の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    焔・灰・剣(BLAZE ASH BLADE)
【焔か灰か剣】が命中した対象を切断する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 古ぼけた社から現れたのは、不定形の黒い炎のような姿の邪神であった。気体状の体は常に蠢きながらも拡散することはなく、それ自体が異常でもある。だがそれ以上に猟兵達が感じ取っているのは狂気である。
『ゥゥゥ……』
 声とも音とも判然しないそれから感じるのは、殺意と言うよりはこちらを喰らおうとする意思。もしこの存在に過去があったとすればそれ以外もあったのかも知れないが、今は漂う狂気が形を伴っているだけに過ぎない。そしてこのままにしておけば翼怪の死骸だけではなく猟兵達もその餌食となってしまうだろう。猟兵達はこの存在を撃破すべく戦いを挑む――。
涼風・穹
【内心】
……あの人面鳥達はこの邪神の眷属で生贄を捧げ続けていただけだったのかもな…
そして、もう働けなくなっても無駄にせずに邪神が美味しく頂きました、と…
嫌なリサイクルだな…

【戦闘】
……あんな不定形存在に物理攻撃が効くのか…?
俺は呪文の類は使えないし、もし『風牙』で斬れなかったら打つ手無しだな…

『風牙』のアーティファクトとしての力(【破魔1】)に期待してユーベルコード「剣刃一閃」を使い斬りかかります
もし効果が無さそうなら、他に邪神に対して有効な攻撃手段を持っている方がいればそちらの援護にまわります
もし誰も邪神に有効な攻撃手段を持っていないようなら邪神が人面鳥達の死体を食べ尽す前に全員で撤退します


スウィートドール・シュガー
あら、あら。驚いたのよ、スウィートドールのお砂糖漬けを食べちゃうなんて!
お腹が減っているのね。どうしましょう、いっぱい食べたい? 大きいのが食べたい?
悩むわ……ちゃんとおもてなししなくちゃね

大きいのにしましょう。ユーベルコード【柔らかい抱擁】でお菓子のプレゼントよ
「あなたはそうね……いちごのババロアがいいと思うの!」
物足りないならユーベルコードのおかわりもどうぞ?
可能なら【おかしな群れ】もあげちゃう
お菓子ならいーっぱいあげるわ、だからね
「スウィートドール達を食べたら駄目よ?」
腹いっぱい幸せになれて、素敵な最期ね!

敵さんの攻撃は念動力で逸らせないか試すのよ
もちろん仲間の方へ行きそうでも、ね


榎木・葵桜
コレが、社でお祀りしてるカミサマって事になるの?
ホント趣味が悪いったら!
とはいえ、ここでめげてもいられない
祟られようとも、こんなのカミサマだなんて認めてあげない
私の舞で払ってあげる…!

焔、かなりすごいよね…っ
気体状だし、凍らせたらいいかもしれないけど、
私はその手段を持っていないから
この辺は仲間におまかせしつつ、かな
私は私の出来ることをするね!

【巫覡載霊の舞】使用
仲間が攻撃しやすいように出来る限り攻撃をひきつけながら、敵の体力を削っていくよ

厳しいなりにも【衝撃波】は多少なりともなダメージ与えられるかもしれない
敵の動きや状態から、不定形なりにコアになるような部分がないかを、攻撃しながら探っていくね


クルドール・プリスカード
【WIZ】

あぁ、もう邪神を見つけられたのですね。まだ数ある邪神の中の1柱なのでしょうが…
あなたみたいな存在を誰が崇めるものか、あなたを崇めるぐらいなら正しき神を崇めます。


とはいえ、先ほどは無茶のしすぎを怒られてしまいました。
少々補助する形で動きましょう。
巫覡載霊の舞で敵からの攻撃を軽減できる状態に。敵の攻撃方向に合わせて衝撃波を放って敵の攻撃を妨害します。2回攻撃で手数も増やします。
攻撃を軽減できる神霊体を生かして、もしもピンチの方がいましたらわたしがかばいましょう。この体なら被害は抑えられるはずです。


「結局無茶してんじゃねぇか!」
「このぐらい問題ありません」


星鏡・べりる
へぇ~、こんな奴まで出てくるんだ?
あの鳥を片づけて終わりかと思ってたのに
まっ、ついでにやったりますか~!

ふーん、キミは何の邪神なのかな?
黒い炎と灰と剣……分からないな~
キミにちょっと興味が湧いてきたね

機械鏡《ヤタ》に私の手を映せば、あら不思議
鏡の中の手には立派な剣が握られてまーす
それはほどなく現実の物となるよ
コード・サモンウェポン!

さぁ、キミの技を振るってみせて!
《星鏡》で映しとってあげる!
そんでもって受けた技は、そっくりそのまま返してあげよう

あはは、どうかなキミ自身の技の威力は?
すごいよね、さすがは邪神様
ありがとう、良い技だったよぉ

※諸々ご自由に!


虻須・志郎
連携アドリブ歓迎

幽霊の正体見たり、灰かぶりってか……
人を惑わし獣を喰らう邪神、胸糞悪い黒だな、ええ?
人の道理を狂わせて一切合切無きモノにするってんなら
俺らがきっちりオトシマエつけてやるよ
いくぞ綿菓子野郎……ファルシオン展開、ブッ叩け!

戦闘端末を射出、敵の攻撃を端末に誘導しながら
俺は本体をブン殴ってやる

焔と灰は端末に食らわせといて
問題は剣だな……糸を放って樹の上を伝う様に接近
端末に気を取られている内に直上から奇襲だ
こっちは一撃でいい、捨て身でブン殴って
取られた分の生命を喰らい尽くしてやる

そういえば10個の目があるよな
攻撃されてヤバそうだったら
アムネジアフラッシュで動きを止められるか試してみるぜ




「へぇ~、こんな奴まで出てくるんだ? あの鳥を片づけて終わりかと思ってたのに。まっ、ついでにやったりますか~!」
 機械鏡を自分の近くに浮かべた星鏡・べりる(Astrograph・f12817)はトントンとその場で跳ねて笑う。まるで面白い玩具を見つけたような表情だ。
「コレが、社でお祀りしてるカミサマって事になるの? ホント趣味が悪いったら!」
 榎木・葵桜(桜舞・f06218)の構えた薙刀の鈴がしゃらりと鳴る。今の所不定形の邪神は翼怪の死骸を喰らうことに集中しているが、こちらに意識が向くのもすぐだろう。
「幽霊の正体見たり、灰かぶりってか……。人を惑わし獣を喰らう邪神、胸糞悪い黒だな、ええ?」
 糸に引っかかった翼怪を邪神に投げつけて虻須・志郎(第四の蜘蛛・f00103)は吐き捨てる。邪神はそれさえも取り込んで燃え盛っている。
「……あぁ、もう邪神を見つけられたのですね。まだ数ある邪神の中の1柱なのでしょうが……」
 よろりとクルドール・プリスカード(壊れかけた・f12396)が傷を抑えて立ち上がる。コロラドの方は既に戻っているが、恐らく彼女の中であれこれ言っているのだろう。
「あら、あら。驚いたのよ、スウィートドールのお砂糖漬けを食べちゃうなんて!」
「……あの人面鳥達はこの邪神の眷属で生贄を捧げ続けていただけだったのかもな……。
そして、もう働けなくなっても無駄にせずに邪神が美味しく頂きました、と……。嫌なリサイクルだな……」
 砂糖に包まれた翼怪を更に食べるものが現れるとはスウィートドール・シュガー(甘言・f00081)には予想外だったのだろう。彼女は口元に両手を揃えて驚いている。他方涼風・穹(人間の探索者・f02404)は冷静に分析しながらも、風牙を握る手に汗が滲んでいる。果たしてこの気体のような体を持つ存在に物理攻撃は効くのかと。それでも出来ることをやるしか無いと風牙のアーティファクトとしての力を開放する。それに反応したのか、あるいは生命体に反応したのか猟兵達へと殺意を放つ。
「あなたみたいな存在を誰が崇めるものか、あなたを崇めるぐらいなら正しき神を崇めます」
「祟られようとも、こんなのカミサマだなんて認めてあげない!」
 二人の巫女は自らを御神体へと変化させる。身の内から溢れる霊気が鎧となるが、そう続けられるものではない。二人は衝撃波を同時に薙刀から発生させ、邪神の体を切り裂く。
「……人の道理を狂わせて一切合切無きモノにするってんなら、俺らがきっちりオトシマエつけてやるよ! いくぞ綿菓子野郎……ファルシオン展開、ブッ叩け!」
 攻撃が通じることを確認した電子の使い魔を志郎は呼び出して向かわせる。その幾つかは敵の体に触れた瞬間に断たれて落ちていくが、全てがやられるまでの時間稼ぎは出来るだろう。
「ふーん、キミは何の邪神なのかな? 黒い炎と灰と剣……分からないな~。……キミにちょっと興味が湧いてきたね」
 相手の攻撃をまじまじと見ていたべりるは浮かべていた鏡の前に握った手を映し出す。鏡の中の彼女の手には立派な剣が握られている。
「コード・サモンウェポン!」
 そのまま彼女が握った手を前に突き出せば、鏡の中にあった剣が現実のものとして現れている。即座に彼女がその剣で邪神に切りかかれば不定形の体に短い時間ながら一文字の傷が生まれる。
「さぁ、キミの技を振るってみせて! 《星鏡》で映しとってあげる!」
 これが彼女のコードネームの元にもなっている力である。彼女を象徴する力で、己の権能の一端を模倣された事に怒りを覚えたのか、邪神はより燃え盛る。
「こんなに怒っているなんて、そんなにお腹が減っているのね。どうしましょう、いっぱい食べたい? 大きいのが食べたい?」
 だがスウィートドールはこの狂気に満ちた炎を前にしてもいつもと変わらない。
「……悩むわ……ちゃんとおもてなししなくちゃね」
 そう彼女は呟くと、何を相手に供するか口ずさむ。
「プリンにゼリー、寒天、ババロア。あなたはどれがお好みかしら……決めたわ!」
 まるでお茶会のメニューを思いついたように声を上げる。
「あなたはそうね……いちごのババロアがいいと思うの!」
 彼女がそう決断し、邪神に視線を向けた所で虚空からババロアが落ちてくる。直ぐ様に邪神の持つ熱でゼラチンが溶け、素材の蒸発と共に火の勢いが弱まる。
「焔が……!」
「……これなら近づける!」
 葵桜がそれを指摘すると、常人の穹が風牙を手に斬りかかる。足元に落ちる志郎のコ・ファルシオンの残骸を見る限り、あまり長くは近くにはいられない。彼は非実体を斬る力を開放して邪神の炎を深く断ち切る。
(「やったか! ……いや!」)
 即座に彼はその場を離れる。邪神は灰色の焔で切られた場所を修復し反撃してくるが勢いはない。もし仮に助けた少女に何かあった場合は、もっと面倒なことになっていたであろう。
「油断したな!」
 穹に剣を振るったそのタイミングに志郎が空中から邪神に向かって飛び降り奇襲を仕掛ける。明らかな捨て身の大振りに王者の石の力を込めて叩きつける。同時に彼の体に力が流れ込み、負荷に耐えられない所から血が滲んでくるが構いはしない。
『ゥ……!』
 だが邪神は自らに迫る盗人を許しはしない。灰霞の剣が彼の体を焼こうと伸びる。
「させません」
 淡々と彼と剣の間に立ちはだかったのはクルドールだった。彼女の体には霧とも霞とも見える灰塵の炎が燃え移っているが、辛うじて神霊体になっていることで炎が堰き止められている。だがこのままだと彼女を焼き尽くしてしまうだろう。
『結局無茶してんじゃねぇか!』
「このぐらい問題ありません」
 淡々と言う彼女だが、その頭には「早く倒せば」と言う言葉が伏せられている。炎を通じて彼女の生命力を奪っているのか邪神の火勢が徐々に勢いを取り戻していく。
「スウィートドール達を食べたら駄目よ?」
 これ以上食べられる前に満腹にしてしまおうというのか。スウィートドールはおかしな群れを呼んで攻めさせる。彼らは全滅したコ・ファルシオンの代わりに邪神の攻撃を受け持っている。
「……なるほどね」
 彼らが足止めをしている間、べりるはクルドールを鏡に写し取り、更にそれを邪神へと向ける。途端に邪神の体から全く同質にして、全く違う炎が上がりお互いを喰らい合っていく。
「あはは、どうかなキミ自身の技の威力は?」
 己の本質に関わる力までコピーされた邪神はどんどんと小さくなっていく。
「すごいよね、さすがは邪神様」
 心底褒めるように彼女は感想を口にする。だがそれだけでは払うには至らない。この邪神を祓おうと葵桜が動く。薙刀の穂先を頭上に掲げ全力の衝撃波を放つ構えを取る。だが最後まで抗おうというのか邪神は彼女に向かって炎の手を伸ばす。
「させるか!」
「お行儀が悪いのはダメよ」
 志郎のアムネジアフラッシュが十の目を灼き、スウィートドールの念動力がその手を叩く。最後の動きさえ封じられた邪神に向かって葵桜の一撃が振り下ろされる。
「私の舞で払ってあげる!」
 全てを祓う清浄な一撃が邪神を構成する全てを吹き飛ばしていった。

「ありがとう、良い技だったよぉ」
「腹いっぱい幸せになれて、素敵な最期ね!」
 邪神が消滅した後、べりるは新しいデータを得たことに感謝を示し、スウィートドールはおかしな群れの数を数えて微笑んだ。
「……それにしても撤退する事にならなくてよかったな……」
 穹は手についた汗を頭に巻いた赤いバンダナで拭う。そこで体がぶるりと震える。この寒い夜の山の中で連戦していたのだ、汗冷えしても仕方ないだろう。
「仕事は終わりました、帰りましょう」
 クルドールがそう呟くと同時に彼らはこの古びた神社から消えていく。これからはここに誰かが来たとしても邪神の贄になることは無いだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月25日


挿絵イラスト