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私はサイキョーのアイドル!

#スペースシップワールド

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#スペースシップワールド


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●年齢がアレでもアイドルしたい!
「フフフ……ついに、ついにやったわ! この宇宙船で、天下を取ったのよ!!」
「キャプテンラブリーマリー様、ばんざーい!!」
「うぉぉぉぉ!! 我らがアイドル!!」
「マリー様ぁぁぁ! 結婚してくれええぇぇ!!」
「もっと! もっとよ! もっと私を崇め奉りなさい!!」
「うおおぉぉぉぉぉぉ!!! マ・リ・ィ!! マ・リ・ィ!! マ・リ・ィーーー!!!」
 宇宙のどこかを漂う船で、最強最凶最胸スペースアイドルキャプテンラブリーマリー、爆☆誕!!

●年齢を言ってはいけないあの人
「宇宙の危機です」
 その日のロザリア・ムーンドロップ(月夜の雫・f00270)はなんだかすごく難しい顔をしていた。眉間に皺がめちゃんこ寄ってますよロザリアさん。
「『スペースシップワールド』のとある宇宙船が年齢の割に若作り感満載の痛々しい自称アイドルに乗っ取られてしまいました」
 さらっと地雷を踏んでますよロザリアさん。でも本人には聞かれていないのでセーフ。
「このままだと、宇宙の人々が入りたくもないファンクラブ強制加入で精神的に大ダメージです! 平和な生活を送れません!」
 猟兵達に向けての演説に熱が入る。今日のロザリアさんはどうしちゃったんだろう。
 ぽしゅん、と空気が抜けるように、力説していたロザリアの体が縮こまる。
「……すみません。昨日見た『悪夢』がちょっと強烈だったので……」
 どんなことを予知したのだろうか。あ、大雑把な感じのやつは上のアレです。
 さて、話の続き。ここからはロザリアさんもちゃんと『ぐりもあのーと』を開いて、いつものグリモア猟兵モードです。
「皆さんに倒してほしいのはキャプテンラブリーマリーとかいう自称アイドルで……海賊でもあるみたいなんですけど、正直に言うと素性はよくわかりません」
 予知も全てを見通せるわけではない。その者がどんな人生を歩んできたか、などは知る由もないのだ。
「皆さんには宇宙船に乗り込んで、このキャプテンラブリーマリーのところへ向かってほしいんですが……実はちょっと厄介なことになってます。キャプテンラブリーマリーは宇宙船にしばらく潜伏しながら水面下で工作活動を続け、ついに宇宙船のセキュリティやシステム制御系のコントロールを全て奪ってしまったんです」
 なお、これらは彼女の力というよりは、彼女のファン、という名の銀河帝国軍の中で各方面に長けた者達が手分けして工作したものだそうだ。
「そのため、皆さんにはまず宇宙船を敵の支配から奪還してほしいんです。ただ、敵はどんなに変な存在であってもオブリビオンですから、防御もしっかり考えているでしょう。制御室に辿り着くまでにも多くの防衛システムが働いているはずですから、うまく対処しながら進んでください」
 その区画はかなりの改造が施されているらしく、単なる通路と油断してはいけない。センサーに反応して壁から自動小銃が出てきたり、床に電気が流れていたり。他にも、思いもよらない罠やシステムが仕掛けられているかもしれない。様々な状況に対応できるように対策を立てておくと良いだろう。
「宇宙船を奪還したら、いよいよキャプテンラブリーマリーとの決戦ですね。そこまでやれば敵も皆さんの襲撃に気付くはずですから、向こうから姿を現すのではないでしょうか」
 おそらく、ボスの捜索などはしなくてもよさそうだ。猟兵達は宇宙船の奪還に集中し、敵が現れたら倒せばいい。話の上ではわかりやすい。
「どんなところでも、人に迷惑をかけるのはいけませんね! 自称アイドルには、自分の身の程をわからせてやりましょう!」
 最後にちくっとトゲのある発言を見せつつ、ロザリアはグリモア猟兵としての役目を全うするのだった。


沙雪海都
 ついに宇宙まで足を伸ばしました。沙雪海都(さゆきかいと)です。
 今回もまたまた初めて扱う世界、『スペースシップワールド』での事件になります。
 この辺の文面大体固定です。

●第1章でやること
 宇宙船への転送場所がスタート、そこから制御室へ向かうための冒険となります。
 道中、仕掛けがありますので、対処法を考えつつ進んでみましょう。

 仕掛けはOPにあるようなもの(自動小銃、電気床)を考えてもらってもいいですし、「こういうのがあったらこう対処したい!」といった感じで書いてもらっても構いません。
 世界観に反しない限りは存在すると思われます(リプレイ内に採用して判定に従って結果が描写されます)

 制御室への侵入、及び宇宙船のシステム奪還については第2章で予定しています。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『重要管理区画への侵入』

POW   :    セキュリティや敵の攻撃を力づくで排除し進む

SPD   :    セキュリティや敵の配置の穴をつき素早く進む

WIZ   :    セキュリティは解除し、敵を避けながら慎重に進む

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

最上・空
年齢詐称の若作り年増自称アイドルの討伐に、美幼女が颯爽と華麗に参上ですよ!

障害は魔法で薙ぎ払います! 空の美幼女力を見せつけてあげますよ!
【ウィザード・ミサイル】を「高速詠唱2」で連射して排除です!
火属性の効果が薄い場合は、火属性以外の属性衝撃波(「属性攻撃5」&「衝撃波1」)で爆散させます!

敵の攻撃は、美幼女オ-ラ(「封印を解く3」&「オ-ラ防御3」)を全開にして防御ですよ!

「美幼女が自称アイドルの化けの皮を剥ぎに来ましたよ!」
「こんな、アイドル力の低い障害は空の美幼女力の敵ではありません!」
「美幼女力開放! 美幼女オ-ラ全開です!」

※アドリブ&まとめ、ご自由に。


フレイヤ・ジーナス
【WIZ】を使ってパタパタと空中を進んでいくよ~☆

うーん、この宇宙船でアイドル対決ができるって聞いたんだけどな~。
どこを見ても機械ばっかりでつまんないな~。
しかもトラップや変な人ばっかりだし。
変な人と絡むとアイドルの価値が下がるからやり過ごすね☆

「あ、変なスイッチ見つけた~♪」

なんか壁にいくつものスイッチが並んでる☆
こういうのを見たら押さないとね~(確信犯)
多分どれかが通路のトラップを解除してくれるよね。

どれがいいかな~♪

「じゃあこれに決~めた☆」

せーの、ポチッ♪


城田・紗希
要するにあれでしょ、最新ダンジョンの罠解除と思えばいいんでしょ?
こう、落とし穴とか吹き矢の代わりに、銃が出てくる感じ…?

罠は片っ端から、壊したり解除して無力化するよ!
光センサーで作動するなら鏡とパイプで、通行の邪魔にならないように光の通り道を移動させる。
監視カメラは…スプレー缶とか懐中電灯がセオリーだろうけど、1つに付き炎の矢が5本もあれば壊せるかな?
あとは、解除するためのスイッチが近くにあれば、配線をいじってずっと解除状態にしておく!
(第六感と鍵開けでスイッチもしくは配電盤を開く)



●女の子が三人寄ればきっと楽しいトラップ道中
 グリモア猟兵の力によって転送されたのはやたらとメタリックな色の宇宙船の中。目の前のドアを潜り抜ければ、そこは敵地だ。現場に駆け付けた最上・空(美幼女・f11851)、フレイヤ・ジーナス(永遠の歌姫・f02099)、城田・紗希(人間の探索者・f01927)の三人は早速足を踏み入れる。
「年齢詐称の若作り年増自称アイドルの討伐に、美幼女が颯爽と華麗に参上ですよ!」
 空は通路を走りながら、右手を高々と突き上げてキャプテンラブリーマリーの討伐を宣言。グリモア猟兵も似たようなことを言っていたが、本人が聞けば怒り狂うのではないかと思うほどに修飾語がてんこ盛りだ。
「うーん、この宇宙船でアイドル対決ができるって聞いたんだけどな~」
「この宇宙船を取り戻せば、敵も出てくると思います。だから、頑張りましょう!」
「そっかぁ、そうだね~」
 パタパタと飛んでいるフレイヤも紗希と言葉を交わしていた。フレイヤとしてはキャプテンラブリーマリーとの戦いを望んでいたようだが、一旦お預けになってしまったことでちょっとテンションが下がり気味。紗希に元気を分けてもらっていた。
「この先、どんな罠が待ち構えているんでしょうか」
「要するにあれでしょ、最新ダンジョンの罠解除と思えばいいんでしょ? こう、落とし穴とか吹き矢の代わりに、銃が出てくる感じ……?」
「他にも機械とか出てきたりしてね~。機械ばっかりだったらつまんないな~」
 敵地真っただ中ではあるが、仲良くお喋りしながら進んでいく。
 さて、ここまで順調だったが、敵が仕掛けた侵入者用セキュリティが牙をむき始める。何度目かの角を曲がったところで――。

――ババババババババ!!

「ひゃああ!」
「わわっ」
「うわあっ!」
 突然の銃撃音に、慌てて通路に引っ込む三人。三人の傍を銃弾が掠めていた。
 空と紗希が身を伏せてそっと覗くと、壁に穴が開き、その中から黒光りする銃口が通路の中を狙っている。
 どうやら通路を通ろうとする者を狙って銃撃を浴びせるようだが、今は何の動きもない。
「銃……ですね」
「言った通りのが出てきたね~」
「……センサーか何かに反応するタイプですね。多分壁かどこかに……ああ、ありました」
 紗希の視線の先に、壁に埋め込まれた小さな丸いレンズのようなものが見えた。
「あれも、そうですか?」
「そう。あと、上にも下にも……」
 空と紗希がセンサーの場所を確認していく。数えれば結構な数が存在し、普通には通れなさそうだ。
「なんか、ぱーっと飛んでいけそうだけどね~」
「フレイヤさんはいけるかもしれませんが、私たちは無理ですし、あのセンサーの通り道もわかりませんから、ここは慎重に行ったほうがいいですね。私に任せて下さい」
 紗希はいくつか持ってきたトラップ対処道具の中をごそごそと漁り、鏡とパイプを取り出した。
「ちょっと出て、試してみますね」
 通路の先のセンサーの位置を確認し、ギリギリ感知されないであろうところまで進むと、パイプの角度を調整しつつ、鏡をすっとセンサーの前に差し込んだ。
「大丈夫ですか……?」
 紗希が何をしているのかよくわからず、空は不安そうに声をかける。
「ええ、無事いけました。ここは通っても大丈夫です」
 センサーが出す光を遮ってしまうと、銃弾の雨に晒されるのだろう。だが、紗希は鏡とパイプでうまくその方向を変え、センサーの光を遮ることなく自分たちが通れる死角を作り出した。
「じゃあ、行ってみよ~」
 フレイヤが先に飛び出し、空が続く。さすがにいくつも方向を変えるのは難しいので、一番下に位置しているセンサーを無力化し、匍匐前進で進める程度の空間を確保した。
「トラップ避けも大変です……」
 手と膝を付き、のろのろと這っていく空。一方フレイヤにとっては十分普通に通れる高さで、楽々進んでいた。
「この先もあるよ~」
「わかりました、今行きますね」
 サッと鏡とパイプを抜き、センサーが反応しないように注意しながら、紗希はまた次のセンサーに細工を施す。
 こんなことを何度か繰り返し、三人は第一関門をクリア。空と紗希は屈んで固くなった体をほぐして、通路の先に進んでいく。
「……あ、あれさ、カメラじゃないかな~?」
 フレイヤが示した天井に、半球型の装置が取り付けられていた。その中を、不気味な硬質の目が右往左往している。
「……ですね。対処法はいくつかありますが……ここは壊しましょう」
 紗希は指先に炎を灯し、そこから矢を放とうとした。その矢先、
「……!! 足音がします!!」
「ありゃ、見つかっちゃったかな~」
「わかりません……けど、脇道とかもなさそうですし、強行突破する必要もありそうです」
「なら、そこは空に任せて下さい! フレイヤさんはどうしますか!?」
「うーん……変な人と絡むとアイドルの価値が下がるから、やり過ごすね☆」
「決まりですね」
 紗希がカメラに指先を突きつけ、矢を放った。今の力で放てるのは実に八十五本だが、五本を纏めて撃ち放つと、カバーを貫きカメラを粉々に砕いた。樹脂の破片がぱらぱらと辺りに落ちてくる。
「――!! 何者――!?」
「美幼女が自称アイドルの化けの皮を剥ぎに来ましたよ!」
 通路の角から姿を現したのは白い特殊なスーツを身に付けた兵士のような存在。銀河帝国の一員で、キャプテンラブリーマリーのファン……らしい。
 ともかく彼女達三人にとっては、排除すべき敵である。それを出会い頭に炎の矢で空が射抜く。先頭の兵士が矢に倒れた拍子に、後続の兵士たちもドミノ倒しのようにバタバタと崩れていった。
「このまま一気に吹っ飛ばしちゃえ~」
「そうですね! 空の美幼女力を見せつけてあげますよ!」
 空は両手を頭上に掲げ、周囲の空気を集めて練り上げる。
「美幼女力開放! 邪魔者は吹き飛んじゃってください!!」
 ダン、と一歩力強く踏み出して、固めた空気を衝撃波として倒れ込む兵士達に叩きつけた。床からすくい上げられるように衝撃波に煽られた兵士達は天井、壁、床とピンボールのようにぶち当たり、通路の角に押し込まれて動かなくなる。
「カメラも壊しましたし、早く進みましょう」
「そうだね~♪」
 派手に暴れ、カメラも壊した。敵に察知される可能性を危惧し、三人は足早に通路を進み続ける。途中いくらか分かれ道もあったが、三人が進んだ通路は運よく先に続いていた。
 しかし――。
「……! また何かあります!」
 先頭を走る空が足を止めた。今度は目立つように壁に真四角の穴が開いている。三人がいる位置からはその穴の中がどうなっているかはよく見えないが、明らかに罠っぽく、覗き込む気にはなれない。
「あ、変なスイッチ見つけた~♪」
 フレイヤがパタパタと飛んで、壁に設置されたスイッチを発見した。縦に三、横に三、計九個のスイッチが正方形に並んでいる。
「多分どれかが通路のトラップを解除してくれるよね」
「そうでしょうか……ちょっと確認しましょう」
 躊躇いなく押してしまいそうだったフレイヤを一旦止めて、紗希が入念に壁をチェック。
「……ありました」
 見た目にもわかりやすいスイッチとは別に、壁に隠された小さな扉があった。鍵開けの技術も活用して扉を開くと、中にはびっしりとコードが。
「これ、何ですか?」
「多分、このトラップを起動するための配線でしょう。どれかをいじれば、多分機能しなくなるはず……」
 紗希はコードを一つ一つ手に取って確かめていく。だが、そこに――。
「ね~、なんか足音、聞こえないかな?」
「……本当ですね! 紗希さん、どうしますか!?」
 今度は後方から迫る足音。前は謎の装置に阻まれ、後方からは敵が来る。紗希は決断を余儀なくされ、一番太いコードを引っこ抜いた。
「これで大丈夫……なはずです。とりあえず行きましょう」
 今度は紗希が先頭で、トラップ通路を思い切って駆け抜けた。
 ……何も起こらない。ひとまず三人は無事その通路を通過したが。
「誰だお前らは!!」
「見つかりましたね! もう一度、空がいきます!」
 距離を取りながら、空は炎の矢を連射する。技術により強化された詠唱速度で放ち続けるが、後ろからシールドを持ち出した兵士が現れ空の矢を弾いていく。
「まずいです!」
「私も援護します!」
 紗希も加わり、二倍量の炎の矢でなんとか兵士達を押し戻そうとする。だが、敵の壁も厚くなる。これでは時間の問題か――?
「……あれ、こっちにもスイッチ見つけた~♪ こういうのを見たら押さないとね~」
 一人自由に行動していたフレイヤは、トラップ通路を抜けた先に同じようなスイッチがもう一組あるのを発見した。思わず顔がニンマリ。
 先程は紗希の判断の前に阻まれたが、今は空と二人で兵士を相手に交戦真っただ中。フレイヤを止める者は誰もいない。フレイヤは、自由なのだ。
「どれがいいかな~♪ じゃあこれに決~めた☆ せーのっ」
 両手を使って、グイっと真ん中のスイッチを押し込んだ。すると、
「うぎゃあああ!!」
 シールドを持ち、空と紗希の猛攻に耐えていた兵士の横から矢が飛び出し、全く無防備な横腹に突き刺さった。その背後にいた兵士達にも、壁から矢が飛んで突き刺さり倒していく。
 あの壁の真四角の穴から飛び出したのだ。
「フレイヤさん! 何をしたんですか!?」
「え~? スイッチ押しただけだよ~♪ もいっこ押すね」
 フレイヤは次に、今押したスイッチの一つ上を押し込んだ。
「あちいいぃぃぃ!」
 今度は壁の穴から火柱が噴き出し、兵士の防具を溶かして中身も焼いた。
「そのスイッチ、もしかして迎撃用なのでしょうか。もっと色々押してみて下さい!」
「おっけ~☆」
 紗希の許可が下り、フレイヤはここぞとばかりに押した。全部押した。
 ポチッ♪ ポチッ♪ ポチッとな♪
「うわああぁぁぁ!!」
「いてええぇぇぇ!!」
「やめろおおぉぉ!!」
 激しい水鉄砲が飛び出したり、銃弾が飛び交ったり、槍が突き出たり。ともかく侵入者迎撃用だったらしいトラップ、もといセキュリティ装置はフレイヤに完全に操られ、殺到する兵士を死屍累々にした。
 白い山である。登りたくはないが。
「助かりました、ありがとうございます」
「いいよいいよ~。じゃあ、先行こうか~?」
「そうですね! 行きましょう! こんな、アイドル力の低い障害は空の美幼女力の敵ではありません!」
 困難を切り抜けて、三人は目的地へと向かっていく――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ルリ・アイカワ
POWにて対抗

自身は単純にオブビリオン退治として受けていた
年齢詐称という点では、自身は年齢不詳という域
年齢その物で言えば、自身は100年を超えている状況
一種の同属なのかもしれない

トラップに関しては配置を把握するだけなら自身の各種センサーで魔法的な物以外は出来るが、この巨体(230cm弱)では回避が容易ではない
そこで、簡単に壁を軽く叩いたりして船の外側か内側かを調べる
「さて、最短ルートを構築するか」
ユーズベルトコード【グラウンドクラッシャー】を船体内部方向の壁に向かって発動させる
トラップごと破壊して歩を進めようとする
無傷で使えそうな物は適当にむしり取っていこうかな



●ルリの前に道はあるか?
(年齢詐称と年齢不詳……これは、一種の同属、と言えるのかもしれないな)
 敵地の奥深くへと進みながら、ルリ・アイカワ(ウォーマシンのバーバリアン・f05097)は倒すべきオブリビオンへ考えを巡らせる。
 年齢を偽り生きる存在。ルリ自身もまた、それに近い部分があった。公には九十九歳としているが、さて、いつ頃から『九十九歳』だったか。
 数えるのをやめてしまったからか、誕生日への執着もあまりなく。聞かれれば五月十日と答えるが、その日に祝われたところで実感も湧かず。
 詐称と不詳。共に正しい年齢を表さぬ、という点で、ほんのり親近感のようなものを覚えていた。
 ただし、敵は敵。それ以上でも以下でもない。ルリはオブリビオンを退治すべく、この作戦に参加したのだ。
 二メートルを優に超える巨体を揺らして突き進んでいたルリだが、不意に足を止めた。自身のセンサーが、この先に罠があることを告げる。
 通路自体は高さ十分、ルリが通るにも特に問題はなかったが、罠を避けて通るとなると格段に難易度が跳ね上がる。身を屈めようと捩ろうと、どこかに引っ掛かり敵の策に落ちるのは目に見えている。
 ――であれば、
「さて、最短ルートを構築するか」
 おもむろに、ルリは船内の壁を叩く。
 コツコツ、コンコン、カンカン。
 周囲を順に叩いていけば、シロフォンの如く音色を変える。それはつまり、壁の厚みだったり、密度だったり。
 ルリの脳内に描かれるイメージ。この壁の先は、星瞬く宇宙へ続くか、新たに広がる空間か。
「……こちら側だな」
 壁の音色を聞き分けて、ルリはその奥に道が繋がると確信した。『エクスアンチマテリエルハンマードアックス』と呼ばれる斧を真横に構え、全身に力を込める。
 豪腕一閃。ルリが放った【グラウンドクラッシャー】は、直撃と同時に周囲の壁を纏めて砕き、叩きつけた斧を振り切る頃にはほとんど空を切っているような状態だった。
 パラパラと余韻のように細かい欠片が降って落ち、別の通路へのバイパスが完成した。そこを潜り抜けた先に、自身のセンサーは何の反応も示さない。
 カラン、と壁からレンズが転がる。拾い上げてひっくり返すと、強引に引きちぎられたようなコードの残骸が。
 バイパスを通る際に見た千切れた配線は、このレンズの裏に繋がっていたのだろう。巧妙に仕掛けられた罠も、中から壁ごと破壊されれば一瞬の警報すら鳴らすことなくただのガラクタとなり果てるしかなかった。
「無傷で使えそうな物があればよかったが、これではな」
 放り捨てて、次なる道を模索する。もし部屋などに当たることがあれば、有用なものもあるかもしれない、とかすかな期待を寄せつつ、ルリは己の道を切り拓いていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

琥珀川・れに
アイドル…それは偶像。その人によって具現化された理想の神…。
自称することはおこがましい。
が、これだけの人気を得て表舞台に立っているのは社交界に出る一員として憧れないこともないよ。
レディの心を掴むのなら僕も負けたくないな。

侵入にいつもつけているアイテム「変装マスク」で顔を隠して侵入。
オペラ座の怪人みたいだろう?

【目立たない】【聞き耳】で怪盗のようにくるりくるりと回転しながら罠を避けていく
赤外線センサーとか、巡回式見張りとか、落とし穴とか

どこかの物語のルパンみたいだね…
成功なら格好いい姿を存分に語っておくれ

失敗してしまった時は
敵には【先制攻撃】【気絶攻撃】で当身を食らわせて逃げる事にしよう



●華麗なる罠抜け遊戯
 『変装マスク』でオペラ座の怪人よろしく顔を隠して宇宙船内部へ侵入した琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)は、心に独自の偶像論を秘めていた。
(アイドル……それは偶像。その人によって具現化された理想の神……。自称することはおこがましい)
 自称アイドルは、果たしてれにが思うように、誰かの理想となっているのだろうか。むしろ、誰の理想にもならないからこそ、自称なのかもしれない。
 ただ、認めるべき部分もないわけではないようで。
(……が、これだけの人気を得て表舞台に立っているのは社交界に出る一員として憧れないこともないよ。レディの心を掴むのなら僕も負けたくないな)
 と、まだ見ぬ敵へ対抗意識を燃やす。
 初めは運よく罠もなく、少しばかり考え事をする余裕もあった。だが敵の中枢へ近づきつつあることを踏まえ、歩を緩めて周囲の状況に警戒を強めた。
「……足音だ」
 れには壁に張り付いて、音の出所を探る。ごく小さい音。通常であれば聞き逃してしまう音も、聞き耳の技術でれにはしっかり拾っていた。
 テンポは遅く一定。歩いていることがわかる。徐々に大きくなり、やがて声も届くようになった。
「マリー様、今度新曲出すってよ」
「マジかよ。……そういや、この前妙な動きをしてるのを見たな。あれ、歌に合わせた振付かなんかか……?」
 二人の男の話し声。銀河帝国の兵士だろう。新曲だとか振付だとか、そんなことはどうでもいい情報でしかないのだが、問題は彼らがれにのもとに近づいているということだ。
 このままでは彼らと鉢合わせしてしまう。避けるか、倒すか。
「……面白い。どこかの物語のルパンのような華麗な姿を、披露しようじゃないか」
 れにはゆっくりその場にしゃがみ、角から通路の先を伺う。白いスーツを着込んだ二人組が遠くに見えた。距離もあり、れに自身目立たぬよう注意を払っているため、存在は気付かれていない。
 狙うは、二人組がこの角に差し掛かる一瞬。れには爪先を床にぴたりと付け、体を伏せるかのような前屈みの姿勢を作る。爪先へ食い込みそうなほどの力を加え、待ち構えた。
「そういやあいつ、バックダンサーをやらされるって言ってたぜ。俺に声がかからなくてよかっ――」

 ――トン。

 言葉の中に紛れ込んだ靴音。通路の陰、三十センチもない。次の一歩で確実に姿を見せる。
 その瞬間、れには彼らの足元に脅威の瞬発力で飛び出した。曲がり角に意識を向けた彼らの足元は今この時だけ死角となる。落雷のように二人組の足元を駆け抜けたれにはそのまま反転し、二人組がやってきた通路の先に飛び込み身を潜めた。
「あー、あいつな。見回り当番がなくなったけど、一日五時間ダンスレッスンだとさ」
 二人組は何事もなかったように会話を続け、遠ざかっていく。
 回避不可能な敵との遭遇を、れには見事に切り抜けたのだ。
 この後の罠も、れににとっては少々物足りなく感じられただろうか。
「おっと、これは……赤外線センサーに、その先は落とし穴だろう」
 壁に異物を確認し、足を止めた。何の変哲もない空間だが、不用意に足を踏み入れれば何が起こることやら。
 先の床には不自然な切れ目。開けばどこに続くかもわからぬ空間へ放り出されることになる。単純だが、はまれば一発で終了だ。
 れには一旦壁を観察し、センサーの位置を把握。そこから伸びる赤外線を目の前の空間に投影し、自分が体を通すべき道を見出す。
「……これくらいなら、造作もないな」
 軽く助走をつけ、れには跳んだ。空中で身を丸めるように膝を抱え、上下二つの赤外線の間を潜り抜ける。そこから着地と同時に前方へ受け身を取るように転がり、腰の高さほどの位置にある赤外線を回避。さらに、斜めに走る赤外線はベリーロールの要領で右足、左足と順に抜いていき着地する。
 そこまで来て、上下にもセンサーが取り付けられていることに気付いたれには、右足を軸にして赤外線を背後に、くるりと回転しながら回避して落とし穴の前へ。
 そして最後は、
「これでフィナーレだ」
 前には跳ばない、斜めに跳ぶ。ただの幅跳びではつまらない。壁を蹴り、空中で推進力を得たれにの体は軽やかに落とし穴を超えた。

「もう結構進んだはずだし、そろそろ……ああ、あれがそうなのか?」
 先を急ぐれにの前に現れたのは、この区画に入る時に見たものより一回り大きく、頑丈そうなドア。近くに掲げられたプレートを読めば、そこが制御室だということがわかる。
 いよいよ猟兵達は、宇宙船を奪還すべく、銀河帝国と衝突することとなるのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『制御奪還作戦』

POW   :    護衛や警備を蹴散らす。敵の制御システムを力ずくで壊す。

SPD   :    護衛や警備を掻い潜る。敵の制御システムを技巧を凝らして壊す。

WIZ   :    護衛や警備の裏をかく。敵の制御システムを知恵を絞って壊す。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●制御支配装置
 トラップを掻い潜り、または破壊しながら敵地を駆け抜け、制御室へと辿り着いた猟兵達。ドアの向こう側は敵の本丸と言っていい。猟兵達への襲撃には、死に物狂いで抵抗してくることが予想される。
 中の様子を伺いたいが、警備兵たちが待ち構えていればたちまち返り討ちに遭う。
 どうしたものか……と悩むところに、新たな足音が。猟兵達は慌てて近くの通路の陰に隠れた。
「おい、この宇宙船に侵入者がいるらしいぞ」
「へえ、マリー様の追っかけですか?」
「ハハハ、だとしたら色々すげぇな」
 巡回中の兵士のようだ。
 道中、少々派手なトラップ迎撃、破壊もあった。さすがに全く気付かれないまま辿り着くことにはならなかったが、それでも兵士達の口ぶりから察するに、深刻には捉えていないらしい。
「でも、ここまで来てたらどうします?」
「んなわけあるかよ。ま、仮に来てたとしても何もできんさ。『ドクター』が作った制御支配装置は天下一品だ」
「あれほんと凄いですよね。俺、何やってるかさっぱりわからないですし」
「あー、あれはなあ……」
 足を止め、兵士の一人が得得と話しだす。その兵士の話は途中の制作秘話やこぼれ話なども含め相当長かった。というか警備はどうした警備は。
 それはそれとして。その話の中から猟兵達に有益と思われる情報を抜き出していこう。

◆「制御支配装置」は外付けの機械で、それを破壊すればこの宇宙船は元に戻る。
◆「制御支配装置」は特殊な立方体のケースに収められている。多少の衝撃にはびくともしないが、限界はある様子。ケースにはテンキー付き電子錠が側方四面に一つずつ取り付けられており、全て解除すればケースを外せる。
◆今、制御室の内部は侵入者迎撃の対策に追われており、皆コンピューターの前に釘付け状態。多少の物音では気付かないかもしれないが、さすがにケースを力づくで壊そうとすれば気付く。
◆中にいるのは技術者で、戦闘に長けた者はいない。だが警報を鳴らすなどすれば、戦闘に長けた警備兵が殺到することになる。ただ、現在各区域に散らばっているので、集まるのには多少時間がかかるかもしれない。

 情報ありがとう、まぬけな兵士さん。
「なるほど! 凄いですね!」
 もう一人の兵士は感心しきりで、一通り話し終えると、また巡回警備へと戻り、通路の奥へ消えていった。
 制御室に突入するなら今しかない。制御支配装置から宇宙船を奪還するのだ!
ルリ・アイカワ
POWで一点突破

射撃による破壊を試みる
制御室には臆することなく、当たり前かの様に入っていく
制御装置の場所を確認したら【クイックドロウ2】で素早く構える
念入りに破壊する為に【2回攻撃5】を使い、一射目に【鎧砕き2】二射目【鎧無視攻撃2】で波状攻撃を仕掛ける
銃声はしっかり聞こえるだろうから、成否に関わらず集結される前に警備を各個に無力化に専念しよう
後続が何とかしてくれるだろう


琥珀川・れに
POW
怪盗気分で侵入ってワクワクするね。
今回も変装マスクを付けているよ。

まずは技術者がやっかいか。
【目立たない】ようにして暗がりで壁をゴンゴンと叩いて一人か二人ずつ【おびき寄せ】
ちょっと大きめの音がいいみたいだね?
気づかないもしくは警戒する相手にはマリーの悪口を言ってみよう「今のマリー様って最初と比べると歳とったよな〜」

近づいたら【気絶攻撃】でみぞおちをゴッと。
技術者の山を積み上げよう。

それでも機械に釘付けの者は…近づいて【気絶攻撃】

機械には弱いんだ…操作は味方に任せたいな。
他に居なさそうなら誰かに教えてもらいながら操作することにしよう

※アドリブ大好き。絡み・省略変更ご自由に。遅くなってもok



●制御室制圧戦
 護衛の兵士が消えたのを確認し、ルリとれにが制御室の前に戻ってきた。
「敵がいる中に潜入って、怪盗気分でワクワクしますね」
 『変装マスク』の端を指で触りながら、れには心躍らせルリに話しかける。普段に比べ語り口が丁寧なのは、その相手がルリ故だ。本人も不詳というその年齢。れにより遥かに長く生きる人物。
 十四歳の少女にとって、ルリの存在感、佇まいは敬意を払うべきもののように映っていた。
「潜入か……なるほど。そう考えると、久方ぶりのこの感覚も合点がいく」
「……? もしかして、昔は怪盗だった、とかですか?」
「かつては戦場を駆けた一介の兵士だった。戦場では使えるものなら何でも使い、死に物狂いで足掻き続けた。時には敵地で――いや、この話は長くなるな。続きが聞きたければ、全てが終わった後にでも話すとしよう」
 巡回の兵士はいずれまたここを通る。多少の余裕があるとは言え、先の兵士のように長々と立ち話をするわけにもいかないのだ。
 ドアを開こうとルリが手を触れると、ひとりでにスーッとスライドして開く。先には長い通路が続いていた。
 進んでいくと、声が聞こえてくる。光が溢れる左手のガラス窓の向こう側には。
「あぁ~!! こっちのカメラもやられてるよ……」
「C-1区画の感知トラップ、応答しませーん!」
「C-3区画は異常なし……っつーけど、C-1に行かれてるならうまいこと潜り抜けられたなこりゃ」
「侵入者の姿は今も確認できず……くそっ」
 無数のモニターと、赤や黄色、緑といった色の信号が並ぶ巨大装置が部屋の壁を埋め尽くすように備え付けられた大きな部屋。技術者達は皆一様にモニターを睨み、キーボードを叩き、スイッチやレバーを操作している。
 そして案の定、彼らはまだ二人の存在には気付いていない。
「目的の物は……どこだ?」
 ルリは立方体のケースに収められているという制御支配装置を探すが、ガラスの向こう側にそれらしいものは見当たらない。
「ここはきっと監視系統ですね。……向こうにドアがありますよ」
 ルリの顔を見上げながら小声で話すれに。示す先には、閉じられたドアが一つ。
 少し怪盗気分が盛り上がってきて、今度はれにが前に出てドアへと近づく。開けようと手を掛けると、制御室の入り口と同じく、自動でスライドし壁の向こうに消えていった。
 中は暗く、外からの光で入口付近がようやく見えるほど。その奥には、先の部屋で見たようなランプが所々に点灯しているが、光源としては力不足か。
 ゆっくり足を踏み入れ、完全に部屋へ侵入したところで、ドアはゆっくりと元の位置に収まって、パッと部屋に明かりが点いた。
 この部屋もまた、モニターや巨大装置がずらりと部屋一面に並んでいた。チカチカと信号が点滅し、ゲージの針がふるふると震えたり、ふらっと振れたり。
 そしてそこには。
「これが……例の装置、か?」
 ルリが確認するように呟く。兵士の話の通り、電子錠が取り付けられた立方体のケースがあった。
「大きい……ですね。こんなのを操作するなら、誰かに任せたいなぁ」
 れにが言葉を漏らす。制御支配装置は巨大だった。高さはおよそルリと同じくらいで、二メートル強といったところ。つまり、一辺二メートル強の立方体が、ドン、と部屋に置かれているのだ。
 ケース側面上部につけられたランプが黄色く点灯しており、動作中であることが伺える。
「……これは壊せばいいんだな?」
「そうですね。でも、技術者達はどうしますか? 警報を鳴らされでもしたら厄介ですよ」
「警備も含めて各個撃破、といきたいところだが……何か策でもあるのか?」
「僕に考えがあります。任せて下さい」
 れには部屋から出て、慎重に監視系統の部屋に近づいていく。その後にルリも続き、様子を見守る。
「いきます」
 右手はグー。それをハンマーの如く、ドア近くの壁に叩きつけた。バン、と金属の板を叩くようなやかましい音が響く。
「……何だ?」
 部屋の中にいる技術者の一人が音にひかれてドアへ向かってきた。れにはじっと身を小さくし、ぎりぎりまで存在を悟られないようにして。

 ――シュン。

 開くドア。踏み出す足。無造作に垂らされた技術者の腕をれにはぐいと掴み取ると、引き倒し鳩尾に一発、鉄拳をお見舞いした。
 敵を気絶させる術は心得ている。何の戦闘力も持たない技術者は短いうめき声と共に意識を失った。
 ぐったりした体を通路の脇に寝かせておく。
「こうして、技術者の数をあらかじめ減らしておけば、後々の対処もしやすくなります」
「なるほどな……」
 ルリが感心する前で、れには再び壁を叩く。
「さっきから何なんだ? この音」
「あれ、あいつが見に行ったはずだけど……どこ行ったんだよ」
 状況が飲み込めておらず、二人目の技術者が席を立ち、確認のためにドアの近くへ。
 言わずもがな、巻き戻した動画を再生するかのように、鮮やかな手技でれには技術者を昏倒させ、積み木のように通路の脇に重ねた。
「……少し警戒されている可能性もあるな」
「そうですね……少し方法を変えましょう」
 れには次に、あえてドアを開けて、
「今のマリー様って最初と比べると歳とったよな~」
 キャプテンラブリーマリーの悪口作戦。これはファンなら激怒するはず――。
「おいおい、思ってても目の前では言うなよー? 殺されちまうからなぁ」
 れにの声を聞いた技術者はけらけらと笑いながら……普通に返した。
「……って、今の声誰だぁ?」
 と思いきや、今度は聞きなれぬ声に気付き、技術者の一人がまたまたやってくる。
「やぁ、僕だよ」
 開いたドアから身を乗り出した技術者と、れにの視線がぴたりと合わさった。変装マスクの下でにこりとほほ笑んで。
 その一秒後には、技術者の意識は消え失せていた。
 昏倒技術者の三段重ねの完成である。
「これ以上はさすがに難しいので、あとはルリさんの銃撃に合わせて飛び込みます」
「了解した」
 れにはそのままドア付近で待機し、ルリが制御支配装置のある部屋に戻っていく。三人もいなくなったとなれば、銃声などせずともいずれ気付かれるだろう。
 ルリは制御支配装置の正面に立つと、素早く『マルチウェポンシステム』を構え、流れのままに引き金を引いた。
 ガガン、と連続した銃声が部屋に響く。銃創は一つ。二回攻撃の技術により放たれた二発の銃弾の、一発目がまず制御支配装置を覆うケースを貫き、開いた穴に二発目の銃弾がするりと抜けて中に消えていった。
 中がどうなったかは定かではないが、二発目の銃弾はほぼ確実に、制御支配装置本体へと突き刺さったことだろう。
 念入りに、と、数度技術を駆使して銃弾を中に収められているであろう制御支配装置本体に浴びせかけて、
「そろそろ行くとしよう」
 ルリは踵を返し、制御支配装置を一旦放置して部屋を抜け出す。
「何者だお前は!」
 そこで鉢合わせたのは二人の警備兵。警棒のようなものを掲げて襲い掛かってくるが、ルリは武器を斧に持ち替え一振り。さほど広くない通路でも器用に操り、まずは目の前の兵士を斬りつけ、怯んだところに顔面をつかみ、ガラス窓に叩きつけた。
 続けて一瞬面食らっていた奥の兵士に向け斧の柄で腰を打ち付け、体がぐにゃりと曲がったところをそのまま柄の先端で押し付けて地面に潰した。
 警報は未だ鳴らず。この兵士達はたまたま近くで騒ぎを聞きつけたのだろう。
「うまくいきましたね」
 技術者がいた監視系統の部屋かられにが出てきて声をかけた。ガラスの向こうでは、技術者たちが行き倒れたように地面に突っ伏している。
 れにの機転が利き、技術者達によって警報が鳴らされることはなかった。それでもいずれ気付かれるだろうが、時間的猶予は少し伸びたはずだ。
 そして、ルリが警備の無力化のために戻ったことで、れにが背後から不意を打たれ、また新たな仲間を呼ばれることもなく済んだ。
 今、制御室は完全に猟兵が制圧していた。あとは制御支配装置を完全に破壊するのみだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フレイヤ・ジーナス
「ここが制御室~?ここを突破しないとアイドル対決できないんだね♪」

なんか、変な人が色々話してくれてたよね~。
もしかしてテンキーの番号、どっかに書いたり、喋ってたりしないかな☆
パタパタ飛びながらこっそり(?)情報収集してみるね♪
分かったらすぐに押してみるよ~☆

「えいっ♪」(ポチっとな)

ケースが外れたら…。
妖精の得意なことって知ってる?
そ・れ・は・ね☆
ものを隠しちゃうこと♪
この装置も、私が触ると…。
ほら、無くなっちゃった。

「これで次のステージはアイドル対決だよ☆」


城田・紗希
制御室の外で、使えそうなガラクタ…じゃなかった、
レプリカクラフトの材料見つけてきたよ!
……え、技術者の対応?お二方の活躍を見てマシタヨ。
(雑談兵士が出てすぐ、諦めて素材探しに行った)

よ、要するにこの装置…じゃなかった、機械罠を解錠すれば良いんでしょ?
大丈夫、罠と思ったほうが成功する気がするから!
まず手始めに、レプリカクラフトで新しい鍵を……鍵穴縮んだ??(レプリカの粗さを鍵穴になすりつけた)
しょうがないから、自前の工具と拾ってきた針金で鍵開けを……(渋々って顔で解錠に取り組む)



●開錠したら即回収
 先に潜入した猟兵達が暴れ、やがて静まり返った頃。
「ここが制御室~? ここを突破しないとアイドル対決できないんだね♪」
 翅をパタパタ動かして、フレイヤは制御室の通路を進んでいく。その隣では、
「そういうことになりますね」
 話を聞きながら、紗希は手元で金属片をいじくり回していた。
「それ、ど~したのかな?」
「制御室の外で見つけてきました」
「そ~なんだ。さっきいなかったのは、そのためだったんだね♪」
「え? あ、はい……でも、先に入ったお二人の活躍も見てマシタヨ」
「ふ~ん……」
 何を焦ったか、紗希は必死に取り繕おうとしどろもどろで喋る。
 それは猟兵達が制御室を制圧している間、外で集めて回ったものだ。壁を一部剥がしたり、近くの部屋にちょこっと侵入したりと、隠密活動を行っていた。
 故に、紗希がここを制圧する場面をしっかり見ていたかと言うと――。
 しかしながら、それは些細なことだ。フレイヤと紗希は奥へ奥へと進んでいく。ふと左手のガラス窓の中を覗くと、技術者たちが行き倒れたかのように伏せている様子が見えた。
「あれ、なんか変な人がいるね~♪」
 フレイヤが何かに気付き、声を上げた。『変な人』は、他の技術者と同じように倒れているのだが、その様子が不自然だった。
 三人が皆うつ伏せで、積み重なっているのだ。
「うぅ……」
 そのうちの一人、一番下の技術者が、無理矢理押し出したようなくぐもった声を上げた。気絶させられてからしばらく時間が経っており、意識が戻ったようだ。だが、二人の技術者にのしかかられる格好になっており、ほとんど身動きが取れないでいる。
「……もしかして、テンキーの番号、喋ったりしないかな~」
「どうでしょう?」
「とりあえず聞いてみるから、先行ってて~」
「わかりました。ここは任せます」
 一旦フレイヤと別れ、紗希は一人で制御支配装置のある部屋へ足を向けた。
「ね~、ケースを外すためのテンキーの番号、知ってる?」
 残ったフレイヤは技術者の目の前に降りて、無邪気に声をかける。本人曰く当初こっそり情報収集するつもりだったが、制御室を一気に制圧し、警戒すべきものがなくなったため、いつしか自由気ままに行動するようになっていた。
 いきなり目の前に現れたフェアリーの少女。普通なら訝しむところだが、状況が状況。技術者は保身を優先する。
「番号……? そんなことより、助け――」
「ばいば~い☆」
 だが、フレイヤは自分が求める答えを出さない相手に興味はない。別の手がかりを探しに颯爽と飛び立とうと――。
「ま……待て! 言う! 言うから!」
 技術者は必死に声を吐き出し、フレイヤという頼みの綱を引き留めにかかる。
「本当? じゃあ、教えて~」
「それはいいが……上のを、何とかしてくれ……」
「う~ん……じゃあ、さっきの子を呼んできて何とかしてもらうから、とりあえず教えて?」
 互いに要求を突きつけ、一時膠着。こういう場合、どちらが先に自分のカードを相手に渡すかが問題になる。
 技術者としてはまず救助を望みたかったが、目の前のフェアリーに逃げられては困る。よって先に口を割らざるを得なかった。
「わかった……と、言っても、俺は一つしか、知らん……『061061』だ……。残りは、他に聞いてくれ……」
「そうなんだ、ありがと~。じゃあ、行ってくるね♪」
「頼ん、だぞ……」
 目的を果たしたフレイヤはその場を後にする。技術者に何か望みを託されたような気がしたが、
「……ま、いいよね♪」
 自分が満足すればそれで良し。フレイヤの生き方はそういうものなのだ。期待した技術者、ご愁傷様。
 尤も、上に重なっている技術者も気を失っているだけなので、いずれ解放されることだろう。

 制御支配装置と向き合う紗希。破壊するにはまず、ケースを取り除く必要がある。そのために紗希が準備していたのが、道中【レプリカクラフト】で作り上げていた鍵だ。実物を模した偽物を作ることができるが、一旦おおよその形状まで作り上げて、最後の仕上げは目の前にある鍵穴に合わせていく。
 基本的にはテンキーによる電子錠で開ける構造になっているが、緊急用なのか、一応アナログの鍵穴も存在していた。そこにするっと収まるよう、指先で丁寧に金属をこねて形を整える。
「機械罠を開錠する……そう思っておいたほうが、成功する気がする……!」
 一種の自己暗示だ。紗希は口元で言葉を繰り返しながら成功するイメージを頭に浮かべ、目的の鍵を完成させた。
 しかし、いざそれを鍵穴に差し込もうとして。
 ガツン、とケースに阻まれた。
「……鍵穴縮んだ?」
 ガツン、ガツン。いくら鍵穴に差し込もうとしても、入らない。もちろん鍵穴が縮むことはないのだが、紗希はあたかも鍵穴が悪いと言い張るつもりだ。
 【レプリカクラフト】は『仕掛け罠』を作り出す時は極めて精巧なものになるが、それ以外は造りが粗くなってしまう、という欠点もある。鍵穴にピタリと合わなくとも、何ら不思議な話ではない。
 もちろんそれは紗希も頭のどこかではわかっていたようだが、自分に非が無いようにうそぶく姿勢を崩すことはなかった。
 紗希はさっさと自分が作った鍵を引っ込めると、自前の工具と、材料集めの際についでに拾っていた針金を鍵穴に差し込んで、ぐいぐいと中を回し始める。少しばかり鍵穴と格闘して。
「……あっ、開きました」
 大きな手ごたえと共に鍵穴の中でぐるりと回り、電子錠の表示がオープンに変わった。
 一つクリア。これで残るは三つ。
「お待たせ~」
 そこへ、技術者と話をつけたフレイヤがやってきて、まだ開錠されていない部分のテンキーへ近づいた。
「番号、わかりましたか?」
「ばっちりだよ! ……あ、でも、一つだけ、って言ってたけど……別にいいよね♪」
 テンキーを一つずつ、両手で押し込むように入力して、OKボタンを最後にプッシュ。ピピッ、と短い電子音の後、カチャンと鍵が開いた。
「やったね~♪」
「これで残り二つですね。後は任せて下さい。コツは掴みました」
 両手に鍵開け道具を持ち、紗希は次なる鍵穴に挑む。差し込んでぐいぐいひねり、上下を変えて、最後に大きく回せば、はい、出来上がり。
「おお~」
 傍らではフレイヤがパチパチと手を叩いていた。同じ要領で紗希は最後の一つも数分とかからず開錠。
 これで全ての鍵が開いた。すると、ケースの側方三面が一斉に床に沈み込んでいく。残りの一面は上面と連結して立ち上がらせ、時間をかけてするすると床の中に消えていった。
 二人の目の前に現れる制御支配装置の本体。金属光沢のある直方体にランプやゲージの突起が生えたものが、乱雑なように見えてバランスを保ったまま、積み重ねられていた。
 芯のように中央に太く積み上げられたところから、にょろ、にょろと二本の腕のようなものが伸びる。そこに、先の銃撃で猟兵が機械に穴をあけたものだから。
 その様は、埴輪のように見えた。銃創が綺麗に目と口の空洞となっている。
「中身はこんななんだね♪ じゃあ、ここからは~……」
 フレイヤはさっと小さな壺を取り出す。
「妖精の得意技、見せちゃうね☆ この装置も、こうして~……」
 壺を両手で抱え、フレイヤは制御支配装置に近づくと、その口を軽く触れさせる。その瞬間、直方体が一つ切り離され、すぽんと壺の中に吸い込まれていった。
「無くなっちゃいました……それ、どういう原理なんでしょうか?」
「触れたらみんな、フェアリーランドに行っちゃんだよ~♪」
 詰まる所、ユーベルコード【フェアリーランド】の力だ。壺に吸い込まれこの場所から消えてしまえば、それは機械を破壊するのと同じ意味を持つ。
 制御支配装置の構成物が一つ消えてしまったのだが、全体としてはまだまだ問題なく動いているように見える。色とりどりに点滅を繰り返すランプの群れは、形さえ気にしなければクリスマスのイルミネーションのようだ。
「この調子で、どんどんやっちゃってください」
「おっけ~☆」
 フレイヤは次々に制御支配装置へ壺を触れさせ、構成物を削っていく。
「この辺難しそうだけど~……えいっ♪」
 中央部分はだるま落としの要領で、下から順番に抜いていく。その度に激しい金属音が響き、埴輪の身長が縮んでいく。
 そして、生存している最後の一つも流し込むように壺が飲み込んで。
「はい、終わりだね♪ これで次のステージはアイドル対決だよ☆」
 ようやく念願叶う、と満足そうなフレイヤの下で、すでに破壊され機能停止していた埴輪の顔が空しい表情のまま転がされていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『キャプテンラブリーマリー』

POW   :    今、乙女に対してなんて言ったオメェ?
【年齢を言われる等してガチギレモード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    ラブリー♡スレイブショット
【ウィンク♡】【投げキッス♡】【可愛いポーズ♡】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    ラブリー♡オンステージ
【渾身の自作ラブソング】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は暴星・メテオです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●最強最凶最胸スペースアイドル
「全然次の報告がないと思って来てみれば……派手にやってくれたわね」
 突然の声に身構える猟兵達。現れたのは、赤と黒の派手な海賊服をぴっちりと着込んだ、ショッキングピンクのツインテールが若干目に痛い気もする化粧マシマシなおば……お姉さんだ。
 多分十八歳何百何十何か月とか、そういう類の存在だろう。揺れるフリフリのスカートは色々考えてほしい。年齢とか年齢とか年齢とか。
 それはそれとして、この者こそ、宇宙船を乗っ取った自称アイドル、キャプテンラブリーマリー。むすっとした表情で腕組みするその上には、零れそうなほどに大きな胸がずっしり載っている。
「私の宇宙船とファンを手にかけた落とし前、きっちりつけてもらうわよ!」
 キャプテンラブリーマリーの毒牙が猟兵達に迫る。負けてしまえばまたキャプテンラブリーマリーの天下が続いてしまう。ここで倒さなければ、この宇宙船に未来はないのだ。
ルリ・アイカワ
POWにて対抗

「同族さん、かかってきなさい」
十八歳何百何十何か月とか正直どうでも良かった
自身はそれを更に上回っていたから
アレがおばさんならうちはおばあちゃんだからね

力任せに行く事も出来るが、思い知らせる必要を感じる
【戦闘知識2】を使い、力に技術を上乗せして待ち構える
回避をしつつけん制を入れ続け疲弊を狙い、隙が出来たら大きな一撃を入れていこう
「小娘程度に遅れは取らないよ、戦いの年季違いを見せてやる」



●年齢は重ねてこそ味わい深く
「同族さん、かかってきなさい」
「同族ぅ?」
 率先して前に出るルリの言葉に、キャプテンラブリーマリーことマリーは嘲笑うかのように言葉を繰り返した。
「何? アンタ、もしかして自分がアイドルだとか、思っちゃってるの? 笑っちゃうわ~。そんな不愛想で地味で何のオーラもないア・ン・タ・が、アイドル気取っちゃってるとか、世も末よね~。アイドルってのはね、私みたいなラブリーでチャーミングでパーフェクトな存在のことを言うのよ」
 マリーはニヤニヤ笑いながら、勝ち誇ったようにまくしたてる。それは挑発のつもりなのか、それとも腐った性根の成せる業なのか。
 不愛想と罵られ、地味でオーラがないと断じられ。だが、ルリは表情一つ変えない。
 それは彼女が普段無表情であるから、というわけではない。そもそも、ルリがマリーへ向けた言葉は『そういう意味』ではないのだ。
 故に、マリーが放つ言葉にもルリの心が揺らぐことはなく。むしろ、そうして虚勢を張らなければならないマリーの境遇に、一種の憐みのようなものさえ覚えていた。
「そうして他者を貶めることでしか自己を肯定できないというのは空しいものだな。……いや、自己を偽って生きているのだから、当然の帰結か」
「はぁ? 何言っちゃってんの?」
「厚化粧なんかせず、もう少し年相応の振る舞いを見せたらどうだ? おばさん?」
「あァ!? 今乙女に言っちゃいけねぇこと言いやがったなババァ!」
 ルリが的確に地雷を踏み抜く。マリーの顔はひびが入りそうなほどの変化を見せ、鬼となった。ツインテールが逆立つほどに怒り狂い、一直線にルリへと襲い掛かってくる。
「ああ、うちはおばあちゃんさ」
 マリーの怒りに任せた叫びも難なく受け流し、ルリは斧を手にする。
 白い手袋に深い谷が刻み込まれるほどに強く固く握られたマリーの拳。体術による接近戦を狙っているようだ。そこをさらに力で押すことも考えたが、戦闘で培われた知識を頼りに、ルリは更なる有効打を模索する。
「オラァ! ぶっ壊れろォ!!」
 力任せ、フルスイングの腕を斧の柄で受けつつ、横に流していく。左右交互に、角度を変えながら捌いていき、目が慣れてくると今度は紙一重のところでマリーの暴風域から逃れてみせた。
 それが癪に障ったのか、マリーは蹴りまで混ぜてきた。足元を狙うが、これもまたルリは斧の柄で払うようにして止める。そしてバランスを崩したとみるや、肩口を狙って分厚い刃を振り下ろした。
 マリーの鬼の形相が一瞬青ざめる。自分の体を引き裂こうとする刃、その軌道を目で追いながら、残っていた足にありったけの力を込めて床を蹴り、間一髪、刃の通り道から逃れた。
 ルリとしては牽制のつもり。当たるのであれば、それだけでラッキーな一撃。だからこそ、それをスレスレのところで回避せざるを得なかったマリーに対して。
「こんなものか」
「うるせぇぞテメェ!!」
 煽り、激高させていく。怒りがマリーの攻撃は、受けてみればその体格に似合わぬほどに重い。だが、それも考えなしに振り回すだけでは、冷静に対処するルリにはかすりもしない。
 なおも攻撃を続けるマリーだったが、そのキレが陰り始めた。紙一重を狙う一瞬がより掴みやすく、芯に響くような重みも、今は感じない。
 表情も歯を食いしばって、険しい雰囲気を漂わせる。
 疲弊が見え始めた。ルリはその隙を見逃さず、攻勢に出る。これまでただ払っていたマリーの拳をカウンターの要領で叩き落し、さらに無防備な腹へ斧の柄を突き立てる。
「ごふっ!」
 くの字に折れたマリーの体を、ルリは大振りで薙ぎ払う。赤い衣装が鮮血のように飛散し、斧はマリーの体を真一文字に掻っ捌いて、紙屑のように吹っ飛ばした。
 床に投げ出されるような格好で背中から落ち、勢いのままに転がっていく。
「う……ぐ……」
 ルリの一撃をまともに受けて、生まれたての仔牛のように手足を震わせながら起き上がろうとするマリーの前で。
「小娘程度に遅れは取らないよ。年季が違うんだ、年季が」
 アイドルとして年齢重ねているにしても、たかだか数十歳であろうマリーへ向けて、ルリは格の違いを思い知らせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレイヤ・ジーナス
「やっとアイドル対決だね☆」

って思ってたけど…。
この人、アイドルっていうイメージじゃないかな~♪
どっちかっていうと苦節ウン十年でブレイクしそうな演歌歌手?
あっ、でも演歌を歌うのは技術がいるんだよね~☆
(天然でディスっている)
ま、いいっか。

「フレイヤの歌を聞くんだよ~♪」
歌や踊り、あと可愛く見えるように頑張って歌うよ☆(歌唱、パフォーマンス、誘惑を駆使します)
猟兵さんも応援しながら、相手のファンもこっちに釘付け☆
これがアイドルの力だよ♪

「みんな、聞いてくれてありがと~♪次のナンバーいっくよ~☆」
うん、やっぱりアイドル対決はこうじゃなくっちゃ☆
どんどん盛り上がっていくよ~♪



●体は正直(体力的な意味で)
「やっとアイドル対決だね☆」
 くるりんくるりん、フレイヤが飛ぶ。トロピカルな色彩の翅を広げて、今日は特別な限定ライブ。観客は多いわけではないがそれはそれ。アイドルを目指すフレイヤとしては、アイドルを名乗るなら一度ステージ上で対決してみたかった。
 その相手、マリーはと言うと、別の猟兵にいいようにあしらわれて、化粧も衣装もガタガタに。ただ、それを抜きにしても、その出で立ちはどうもフレイヤのイメージするアイドルとはかけ離れていたようだ。
「この人、アイドルっていうイメージじゃないかな~♪ どっちかっていうと苦節ウン十年でブレイクしそうな演歌歌手?」
「だぁれが演歌歌手よ!」
「あっ、でも演歌を歌うのは技術がいるんだよね~☆」
「うるさいわね! 私はアイドル、ア・イ・ド・ル!」
 なかなか話が噛み合わないのは、フレイヤの天然さ故か。先のダメージもあり、語気強くアイドルを主張するマリーは若干息切れしていた。
「ま、いっか。じゃあ、フレイヤ、歌うよ~♪ みんな、しっかり聞いてね☆」
 ハートを振りまくようにパチッとウインク。他の猟兵達に向けて。対戦相手のマリーに向けて。そして何故かその場にこっそり現れていた、技術者達に向けて。
「アイドルと聞いて思わず」
 フレイヤとマリーの押し問答が聞こえていたらしい、マリーの配下の中でも根っからのアイドルオタクの方々だった。
『歌は愛! 歌は祈り! 歌は希望! さあ、ライブスタートだよ!』
 アイドルと言えば歌や踊り。猟兵として身に付けた技術を生かしながら、フレイヤは元気溢れるポップチューンを歌っていく。空を飛べるというフェアリーの特性を存分に生かし、8の字に回ったり、大きく円を描いたりと、体の小ささを感じさせないくらいに機械仕掛けのステージの広く使っていた。
 猟兵達も手拍子でリズムを作り、フレイヤの歌を盛り上げる。澄んだ歌声に紡がれる歌詞が猟兵達の共感を呼び、全身に力を漲らせる。
「うぉぉぉ! フレイヤちゃ~ん!! こっち向いてくれぇぇぇ!!」
 溢れる熱量で応援を始めたのは、マリーの配下のはずの技術者達。歌に合わせてリズムを刻み、全身で喜びを表現していた。一旦全員猟兵達にボコボコにされていたはずだが、今は至って元気そのもの。
 彼らの呼び声に応じて、フレイヤは笑顔を振りまいていた。
「あんたたち、何やってるのよ!」
「すみませんマリー様! ですが、アイドルには敵も味方もないんです!! ノーアイドル、ノーライフぅぅぅぅぅ!!!」
 割とガチの方々……なのかもしれない。ともかく、彼らもフレイヤの歌に共感しパワーアップしたらしいのだが、元が元なので脅威ではないだろう。
「ふん! そう来るなら、私の本気、見せてあげるわよ!」
 どんなに腐ろうとアイドルなのか。マリーのアイドル魂に火が付き、フレイヤとのアイドル勝負を受けて立った。マイク、と叫べばマイクが観客、もとい配下から飛んでくる。
「私の渾身ラブソングで、全員メロメロよ!」
 マリーが歌おうとするのを瞬時に察知し、配下は手作りボードで曲名、作詞者、作曲者をテロップの如く猟兵達に示す。よく訓練された配下だった。
 作詞・作曲マリーの自作ラブソング。ラブリーマリーと名乗るだけあって、甘ったるい歌声は聞けないわけではない。
 しかし猟兵達は誰もが心の中で感じていた。無理してるな、と。
「みんな、聞いてくれてありがと~♪ 次のナンバーいっくよ~☆」
 マリーが歌い出したのを見て、観客の心をしっかり引きつけようと、フレイヤは楽曲を切り替える。相手はオブリビオンだが、こうして気持ちを歌に乗せてぶつけ合い、観客を魅了することに快感を覚えていた。
「うん、やっぱりアイドル対決はこうじゃなくっちゃ☆ どんどん盛り上がっていくよ~♪」
 会場はさらにヒートアップ。猟兵達の応援にも熱が入る。マリーの配下の心も取り込んで、ステージも徐々にクライマックスへ。歓声が飛び交い、フレイヤのライブは大盛り上がり。
「このっ……なめんじゃないわよ!」
 それまではただ歌っていたマリーだったが、歌と踊りで全てを虜にしていくフレイヤに対抗し、歌に踊りを付け始めた。
 だが、それが良くなかった。マリーは出るとこが出すぎているので、激しいダンスは消耗が早い。そして現実は非情なものだ。若さには勝てない。
 それから十分も経たないうちに。
「はぁ……はぁ……」
「もう終わりなのかな? フレイヤはまだまだいけるよ~☆」
 バテバテのマリー。結局歌も踊りも中断せざるを得なくなり、アイドル対決はきっちり全てをやり切ったフレイヤに軍配が上がった。
 マリーの配下の技術者達も、フレイヤの歌や踊りを存分に堪能して帰っていく。
「これがアイドルの力だよ♪」
 アイドルとは若さである。それをフレイヤは、身を以って知らしめたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

琥珀川・れに
「さっき『歳とった』と悪口で技術者をおびき寄せようとしたんだが…ビジュアルを見て『思ってても目の前で言うな』とむしろ同意された合点がいったよ」

女性ならまず口説かずにはいられない
まずはマスクを取って自慢の顔をアピールし挨拶【存在感】【礼儀作法】

ここで【言いくるめ】?
「武器を納めて帰ってくれないか? マ ダ ム 」


「…失礼!」
戦闘は剣の勝負になるね。UC【トリニティエンハンス】で防御を強化

「ダンスなら僕も得意だ。ワルツを踊ろう」
【見切り】でマントを翻しと戦う姿は舞踏会みたいか?

時代で変化するような偶像は座から降りてもらおう

※何が起こるか分からないからアドリブ大好き。絡み・省略・追加アレンジご自由に


城田・紗希
このおばあ…おねーさんの船じゃない気がする…。
乗っ取りだし、そもそもオブリビオンだから本物か怪しいし…。
……もしかして、胸に見せかけて実は罠の道具が入ってる?
(偽物つながりでレプリカクラフトを連想した)

使用するユーベルコードは、絶望の福音…と、
拾った金属板を鏡代わりにしてウィンクとかポージングをお返しするよ!
……ポーズの打ち返しに成功したら「きれてるよー」とか言えばいいかな?よくわかんないけど。
(アイドルじゃなくてボディビルダーのポージング)
あとは、なんか適当に拾って、フックで投擲……はしなくても、
味方が仕留めちゃうかなぁ?



●現実を知ってはいけないアイドル
「素晴らしいライブだったな」
「はい、凄く元気が出ました」
 突如開催されたアイドルライブ。観客として手拍子や応援でライブを盛り上げていたれにと紗希は歌声から大きな力を貰い、体力的にかなり参っているマリーと対峙していた。
 この二人、マリーを前にしてもすぐに攻撃は仕掛けない。共に、まずやらねばならぬことがあった。
 れにはここまでつけていた変装マスクをゆっくりと外して、マリーの前に素顔を晒す。口元にはわずかに微笑みを。視線は真っ直ぐ、相手の目を、そして心を射抜くように。
「ごきげんよう、お嬢さん」
 マリーは敵である前に女性。ならば、まず口説かずにはいられない。それがれにの流儀だった。
 キラリと白い歯を見せて、爽やかな存在感を演出する。気品に満ちた立ち振る舞い、礼儀作法も忘れない。
「僕は琥珀川・れに。僕のことは気さくにレニーと呼んでくれ」
 幼少期は男子として育てられていた。その影響か、他者からは『レニー』という男性風のあだ名で呼ばれることを願うようになった。
 今はマリーも一人の口説き相手。ついついそんなことを求めてしまう。
「な、何よ……レニーだか何だか知らないけど、私の宇宙船で暴れ回った以上、タダで帰れるとは思わないことね!」
 威勢はいいものの、若干の動揺が見られる。お嬢さん呼びは慣れていなかった。
「このおばあ……おねーさんの船じゃない気がする……」
 れにのすぐ後ろで、紗希がボソッと呟いた。マリーが現れた時から、ずっと気になっていたのだ。
「乗っ取りだし、そもそもオブリビオンだから本物か怪しいし……もしかして、胸に見せかけて実は罠の道具が入ってる?」
「ア? ちょっと聞き捨てならない言葉が聞こえたんだけどォ?」
 やけに主張の激しい胸は、正しい美的感覚を持っていればすこぶるバランス悪く映る。
 年齢も偽って、胸も偽る、なんてこともあるのかも?
 紗希はそんなことを考えながらこの場に立っていた。ちなみに、彼女の中で偽物と言えば、ユーベルコードを利用して精巧に作り出すことのできる仕掛け罠のイメージだった。
「これは、私にアイドルとして輝けと天が与えた天然モノよ! ふざけんじゃないわよ!」
「威勢のいいお嬢さんだ。そういう気質の子も嫌いじゃない。でも、残酷なものだな、運命というものは」
 マリーの主張を受けて、れには壮大に語る。
「別の形で出会えていたなら、僕達はきっといい関係になれただろう。でも、猟兵とオブリビオンという敵対関係の中で出会ってしまった以上、僕は君に、こう言わなければならない」
 れにはもったいぶる様に間を取る。一度ライブ会場と化したその部屋に、今度はミュージカルの舞台が広がっていた。
「武器を納めて帰ってくれないか? マ・ダ・ム」
 最後の言葉は存分に溜め、はっきりと口に出した。その瞬間、マリーの顔は血管が浮き出るほどに赤く燃え、
「既婚者扱いしてんじゃねぇゾ! こちとらピチピチのラブリーアイドルだゴラァ!!」
 再び怒りモード勃発。マリーの奇天烈な思考回路はもはや誰にも理解できない。
「怒ってしまいましたね……これは、倒す流れでしょうか?」
「そうだな。もともとそのために来たんだ。さっさと終わらせてあげよう」
 れには魔法剣『エペ ド ルーン』を。紗希は鍵作成の時に併せて拾っておいた金属板を手に。
「風よ、僕の盾となれ」
 マリーの強化された攻撃力に備え、れには風の護りを纏う。そこに、マリーは徒手空拳で迫ってきた。怒りのままに繰り出された拳は――やはり大きな隙がある。
「ダンスなら僕も得意だ。ワルツを踊ろう」
 れには易々と見切りながらステップを踏む。舞台はいつしか舞踏会に。
「……失礼!」
 流れの中で攻撃に転じ、鋭い剣閃がマリーを斬り裂く。その際、マリーの表情、というより顔そのものを間近で見た。受けた傷を物ともせず反撃の拳を浴びせてくるマリーを泳がせて、れには一旦距離を取った。
「さっき『歳とった』と悪口で技術者をおびき寄せようとしたんだが……ビジュアルを見て『思ってても目の前で言うな』とむしろ同意された合点がいったよ」
「やっぱり、年齢は顔に出てしまうんですね」
 汗と傷と疲労。マリーが念入りに整えてきたアイドルの顔を見るも無残な姿に変えている三大要素だ。剥がれたメッキの下には、それなりに『年季の入った』ものが見えてしまう。
「……君が持ってるもの、マリーに向けてみたら面白そうだ。僕が誘導してみよう」
「わかりました。私は頃合いを見て飛び出しますね」
 紗希が準備した金属板は覗けば自分の顔がよく見える。果たしてマリーがそれを覗いた時、何が起こってしまうのだろうか。
 れには剣を構えつつも、接近戦を避けマリーの動きを誘導する。
「ちょこまかと逃げ回って……なら、アイドルの本気、見せてやんヨォ!!」
 間合いを詰めたいが、消耗が足に響いてれにを追いきれない。そこでマリーは戦法を変え、新たな技を繰り出す。
「パーフェクトプリティーアイドル、キャプテンラブリーマリー☆」
 突如の名乗り。そしてウインク一発。さらに指を揃えて口元に当て、投げキッスを送り、左手は腰にくいっと当てて、右手は頭上でキュートな狐。片足上げて、渾身の可愛いポーズ。
「そっくりお返しします!」
 れにに向けられたそれを、まるでそうなるかがわかっていたかのように、紗希が間に入ってサッと金属板をマリーに向けた。光が反射し、マリーがアイドルアピール三連撃を放った相手は、マリー自身だ。
「ぎゃあああああああ!!」
 おぞましい悲鳴が上がる。マリーは見てしまったのだ。化粧も崩れてもはや泥沼のような顔をした自分のウインクを。投げキッスを。そして可愛いと信じた決めポーズを。
 自分の顔がどうなっていようが、見えない限りは理想の姿を投影できる。だが、現実を見てしまった。知ってしまった。理想は現実の闇に塗り潰され、マリーの心を絶望の淵に突き落とす。
「きれてるよー」
 金属板の陰から顔を出して、紗希は何となく掛け声を送ってみた。それはおよそアイドルに向けられる掛け声ではないのだが……マリーは突っ込みだとか反論だとか、答える余裕は全くなく、ただただ放心状態に陥っている。
「さて、トドメと行こうか」
「……そうですね。えっと、何かいいものは……」
 紗希はフックに引っ掛けられそうな丁度いい大きさのものを探していた。
 ここは敵地で宇宙船。そんなに都合のいいものがあるはずが――。
「……あ、これにしよう」
 あった。紗希は落ちていた『それ』を拾い上げた。大きさ良し。フックを引っ掛けられる穴も都合よく開いていた。
 れにがマリーに魔法剣を向けて走る。立ち尽くすマリーは口をぽかんと開けたまま、視線は宙を彷徨い続ける。
「時代で変化するような偶像は座から降りてもらおう」
 溜め込んだ力を解き放ち、切っ先を差し向けた。ズン、と重い手応え。マリーの腹から背中へ、尖端が突き抜ける。
「が……はっ……」
 マリーの口から力なく空気が抜ける。れにが剣を抜き、後方へ跳ぶと同時に、
「えいっ」
 紗希がフックで投擲した『それ』が緩く大きな弧を描き、ガン! とけたたましい衝突音と共にマリーの頭に直撃した。
 口元から涎を垂らし、白目を剥いたマリーはそのまま事切れ突っ伏すように倒れていく。
 その一刻前に床へ落下した『それ』は、自身を作れと命じた主を失うその瞬間も、空しい表情で成り行きを見守るしかなく。

 こうして、自称アイドルキャプテンラブリーマリーは、猟兵達の活躍によって永久引退に追い込まれ、アイドル人生、そしてオブリビオンとしての生そのものに幕を下ろしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月23日


挿絵イラスト