アルダワ魔王戦争4-A〜酩酊洞窟の罠!
●酩酊洞窟
「吸い込んだ者を酔わせるガスか……実に興味深い」
鍾乳洞さながらの地下洞窟に、災魔の声がこだまする。
林立する鍾乳石の先端から特殊なガスが噴出するエリアだ。
ガスは多量に吸い込んだ者を酒に酔ったような状態にさせる作用がある。薬の知識に長けた罠うさぎの集団は、この地形を利用して待ち伏せているのだった。
ガスで酔っ払った猟兵達を、一網打尽にしてしまおうという作戦なのである。
罠うさぎたちは薬で耐性を獲得しているようで、ガスを吸っても酔うことはない。
「猟兵どもの酔った姿が見ものだな、うむ」
●求められるは演技力?
「皆様に攻略して頂きたいのは、こちらの仕掛け罠の洞窟です」
グリモアベースに映し出された地下洞窟を手で示しながら、化野・那由他が言った。見たところ鍾乳洞のようなエリアであり、林立する鍾乳石が何とも美しい。
「こちらは名前の通り、罠が多く配置されている区域なのですが、その罠というのが……」
那由他はちょっと言いにくそうに流し目になって、
「吸い込んだ者を強制的に酩酊させる……酔っぱらいガスなのです」
未成年者さえ問答無用で酔わせるのだが、アルコールの類ではない。飽くまで催眠ガスのようなものと捉えれば良い。
「ガスは、あちらこちらの鍾乳石の先端から噴き出すようです。災魔の集団……薬を扱うタイプの罠うさぎたちは、それに目をつけたのですね。彼ら自身は酔わないようなので、最適な罠だと考えたのでしょう」
猟兵がへべれけになったところを、集団で攻撃するつもりなのだ。
「なので、酔った振りをして引きつけてから反撃すれば、相手の意表を突けるはずです。ガスはまともに吸い込まなければ大丈夫ですので」
紫色のガスだそうだが、幸いすぐに薄まる性質があるようで、洞窟内に充満したりはしていない。噴き出すガスの直撃を受けなければ酔わずに済みそうだ。
あとは演技力である。
「酔ったふりは工夫次第です。笑い上戸とか泣き上戸とか絡み酒とか色々……」
那由他は深く頷くと、グリモアを輝かせた。
相馬燈
アルダワ魔王戦争4-Aのシナリオをお送りします。
今回の舞台は、鍾乳洞のような地下洞窟。
ここではあちこちの鍾乳石から、吸い込むと酩酊状態になるガスが噴出します。災魔の集団はこれを利用し、猟兵が酔ったところを囲んで撃破するつもりのようです。
そのためこのエリアでは『酔った振りをして』敵を引きつけ、反撃に出ることで、不意打ちをすることが可能です。
ガスを多量に吸い込まないよう注意しつつ、酔った振りで敵を誘い込みましょう(本当に酔っ払ってしまうと逆に不利になります)。
プレイングボーナスの条件は以下の通りです。
プレイングボーナス……酔った振りをして、敵を釣りだす。
以上です。
皆様のご参加をお待ちしております!
第1章 集団戦
『罠うさぎの薬屋さん』
|
POW : うさぎのきずぐすり(傷が良くなるとは限らない)
【回復薬、もしくは毒薬の塗布】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : ミスティックパヒューム
【霧状の薬品(自分達は耐性獲得済み)】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : うさうさぐんたいよび
戦闘力のない、レベル×1体の【うさぎ形態の罠うさぎ】を召喚する。応援や助言、技能「【罠使い】【毒使い】【暗殺】」を使った支援をしてくれる。
イラスト:さいばし
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
デルタ・グレイ
薬学や医術には長けているつもりだ、ガスの性質、体内異常それによる行動状態の変化
推測できる。酩酊状態を演出することくらいは容易い
饒舌…はしかし難しいかもしれないな、それらしい言葉も思いつかない
ならば歩けず眠りに落ちるフリが無難か
洞窟に迷い込み徐々に異変に侵されていく人間の演技をしつつ、頃合をみて地面に寝転がる
怪しまれない程度に直ぐに起き上がれるような体勢で、周囲の気配に気を配りながらな
集団を引き付けたらUC
先制攻撃、早業で気付かれ反撃を受ける前に鉤爪の刃を繰り出し見渡せる限りの敵を切り裂く
この程度のガスで獲物を仕留めようというのか…薬品に対して強いつもりらしいが、拍子抜けだな
「酩酊状態を生起させるガスか。作用機序を解き明かすのは難しくないだろうが」
洞窟の天井には無数の鍾乳石が垂れ下がっていた。その一部から酩酊性のガスが噴き出すのを見上げて、デルタ・グレイは目を細める。
闇医者でもあるグレイは、医術はもとより薬学についても広範な知識を有していた。生体に及ぼす影響を鑑みれば、仕組みの推測は容易である。無論、酔った振りを装うことも。
「饒舌……は、しかし難しいかもしれないな」
たとえば酒精(エタノール)は向精神物質の一種であり、気分を高揚させる効果がある。口数が多くなることも顕著な作用の一つだが、自身がそれを演じる姿をグレイは想像できなかった。
そのため彼が装うことにしたのは中枢神経系の麻痺による運動障害である。
「うむ、ここは猟兵を待ち伏せるにはもってこいの場所だな」
「シッ……! どうやら客人が来たようだぞ」
洞窟内で待ち伏せていた罠うさぎの集団は、壁の燭台が作る人影を目にして警戒態勢に入った。壁に手を突き、ふらふらと覚束ない足取りで歩んでくるグレイは、時に足を止めて大きく息を吐く様子を見せ、また歩き出す。
岩陰から窺っていた罠うさぎどもが立ち上がるのを待たず、グレイは遂に倒れ込んでしまった。意識を失ったように、或いは――糸の切れた人形のように。
転がり、俯せになったグレイを見て、罠うさぎの一人が子供っぽく笑う。
「きししし! 酔って寝ちまったぞ!」
「よし。行くぞ、皆で囲め」
近付いてくる複数の足音。
地面につけた腕に額を当てて顔を隠したグレイは、瞑目しながらも敵の気配に意識を集中させていた。闇医者にして暗殺を得意とする殺人鬼である彼からすれば――走ってくる罠うさぎどもの靴音は、酷く不用意で緊張感の欠けたものだ。
「毒薬を塗り込んでやれ!」
「うむ、即効性の薬だ。秒も保たずに絶命するだろう」
彼らの眼下でグレイが肩を揺する。
そして言った。
「薬品に対して強いつもりらしいが、拍子抜けだな」
右の足首を立てて即座に反撃できる姿勢を取っていたグレイは、跳ね起きるや弧を描き、届く範囲の敵をその鉤爪で切り裂いていた。
驚愕を顔に張り付けたまま倒れる罠うさぎたち。
「嘘だ、ふらふらだったはず……!」
「逃げろ、態勢を整え――――」
「……悪いな、もう斬った」
紫の瞳が災魔どもを射抜き――視認不可の斬撃が災魔を纏めて屠っていた。
大成功
🔵🔵🔵
筒石・トオル
【WIZ】
未成年だから酔った事は無いけど、敵がうさぎさんなら、もふもふを思い浮かべて「あははうふふ」な妄想に浸れそう。それが酔った風に見えるかなと。
「あはは~可愛いうさぎさんだ~もふもふしたい~」
『誘惑、釣り(ちょっと意味が違うかもだけど)』も駆使してうさぎに無防備な体で近付く。もふもふ好きなのは本当なので本能的な部分で信用されるかと思う。
でもそうやって近付いた後で、UC【極楽鳥花嵐】で召喚されたうさぎもろとも纏めて攻撃しちゃうんだけどね。
もふもふは好きだけど、悪い子はお仕置きしないといけないから。良い子なら愛情込めてもふもふするけどね。
「あはは~可愛いうさぎさんだ~もふもふしたい~」
縫い包みのような白うさぎが、視線の先でぴょんと跳ねた。
鍾乳洞を思わせる洞窟の奥へ奥へと導こうというのか、うさぎは時々振り向いては少年が付いてきているのを確認した。
その仕草の可愛らしいこと!
筒石・トオルはまるで本当に酔っているかのように、先程からふらふらと白うさぎを追いかけているのだった。その無防備すぎる姿がまさかシラフだとは思うまい。
白うさぎはどこからともなく現れては増えていき、分かれ道に差し掛かると『こっちだよ』と言いたげに跳ねる。あざとい。
「まって~どこいくの~」
こうなると不思議の国のなんとやらみたいだが、実際のところ、白うさぎはトオルを絶体絶命の死地に誘い込もうとしているのだった。
やがて行き着いたのは、洞窟内の広々とした空間だ。
そこで待っていた光景に、トオルが思わず陶然となる。
「あははは~うさぎさんいっぱいだ~」
ふわもこな白うさぎがひと纏まりになって『モフれ』とばかりに誘っているのだ。
これは抗えない。どうやったって抗いようがない。
両手を広げて白うさぎの群れに歩み寄り、瞬く間に取り巻かれるトオル。
未成年者だから酔ったことはないけれど――可愛らしい白うさぎに囲まれて、少年はそのもふもふなうさぎの感触に酔いしれていた。
その蕩け具合を見れば、罠うさぎ達も疑う余地などないというもの。
「酩酊ガス……流石の威力だな……」
「うむ、あれは完全に酔っ払ってるな」
実際、うさぎの可愛さに酔っているのだから、酔っていることには変わりない。
けれどここまで無防備さを装っていたトオルは、遭遇の瞬間から、白うさぎが武器を持っていないことを見抜いていた。うさぎたちが、ただ誘い出す任務のみを帯びているのだということも。
即ち――酔った素振りに釣りこまれ、幻惑されていたのは災魔の方だった。
何も知らない罠うさぎたちが岩陰で頷き合う。
呼吸を合わせて一挙に飛び出し、殺傷力の高い薬品を振りかざそうと――。
「ああ――もう少し楽しんでいたかったんだけどな」
殺伐とした洞窟に極楽鳥花(ストレリチア)が舞い上がる。
鮮やかな鳥の羽根にも似た花弁が少年を中心に渦を巻き、災魔の群れに襲いかかった。
「なっ、あ、ありえない……!」
「あれが演技だったとでも……!?」
……いやまあ、演技だったかと言うとそうでもないのだが。
「もふもふは好きだけど、悪い子はお仕置きしないといけないね」
美しくも凶暴なストレリチアストーム。
洞窟を彩る鮮やかな花に切り裂かれ、大混乱に陥りながら消滅していく災魔たち。
舞い散る花弁の中心に立つトオルは、眼鏡の奥の瞳でそれを冷静に見据えていた。
「良い子なら、愛情込めてもふもふするけどね」
どこか残念そうに言った少年の周囲には、もう一匹のうさぎも居はしない。
大成功
🔵🔵🔵
鈴木・志乃
UC発動第三人格『ナナシ』で参加
今の時期はひやおろしと寒おろしかな……あのとろりとした口どけ、また味わえないものか
おっと、いけない
【オーラ防御】展開
【高速詠唱】で簡易防御膜も張っておこう
罠にかかるフリ……意識がとろけて船を漕ごうか、うつらうつらと夢の中……僕の好きなひやおろしみたいにね
面白味も何もなくてすまないね?
でもヒトとして一番無防備な状態を晒しながら、余計な体力は一番使わない行動だと思う
【高速詠唱】で毒を仕込んだ魔法の糸を生みワイヤートラップを仕掛けておこう【毒使い罠使い】
……さて、【第六感、聞き耳、情報収集、見切り】で敵を察知、捕縛出来たら【全力魔法】の【衝撃波】で攻撃だ
「今の時期はひやおろしと寒おろしかな……」
あちらこちらで酩酊ガスが噴出している洞内で、鈴木・志乃は旨味豊かな日本酒に思いを巡らせていた。
――否。正確に言えば、いま呟いたのは『志乃』ではない。
舞台役者として優れた演技力を持つ彼女だが、どうやら演技では表し切れない別人格が浮かび上がっているようだった。
第三人格――ナナシと表記することとしよう。
「あのとろりとした口どけ、また味わえないものか……」
秋冬に出回る熟成されたひやおろしは、まろやかな風味で、燗をつけても旨い。寒おろしは尚のこと味わい深く。ナナシは思い出しながらも聴覚に引っかかる微かな音を捉えていた。
「おっと、いけない」
数は多いが、まだ遠い。
「今のうちに準備と行こうか」
ナナシは瞬時にユーベルコードを発動すると、何処からともなく魔法の糸を取り出して操り始めた。毒を発する伸縮自在のその糸で対人用の罠を手際よく張り巡らしていく。
智は万代の宝。
ユーベルコードの力で冴え渡った罠使いの技にかかれば、トラップの作成など思いのままだ。
「これで良し、と。後は……」
近づいてくる足音から距離を推し量ると、ナナシは素早くオーラの守りを展開。魔法の糸をも応用し、簡易的な防御膜で体を覆った。
首尾は上々。
ナナシは洞窟の壁に寄りかかり、ずり落ちるように腰を下ろす。
「酩酊した振り……意識がとろけて船を漕ごうか、うつらうつらと夢の中」
――僕の好きなひやおろしみたいにね。
「おい、いたぞ」
「完全に居眠っているようだな」
何も知らない罠うさぎの集団が駆けてくる。
こくりこくりと船を漕ぐナナシは、その実、目を閉じながらも正確に敵の数と位置を把握していた。
無防備なのは罠うさぎの方だ。
ナナシが口元を笑みに歪める。
次の瞬間――洞内にこだましたのは災魔の集団の悲鳴だった。
「うわああああっ!」
「罠だ……!」
伸縮自在の糸は足に絡み、首に巻き付き、網となり、容赦なく肌に食い込む。
「ど、毒だ! 解毒薬を……!」
絞られる猛毒の糸に、苦しみ悶える災魔達。
「悪いね、解毒はさせない」
ナナシは跳ね起きながら、衝撃波で罠うさぎどもを壁に叩きつけた。
撒き散らされる強酸性の毒霧は、オーラと魔力糸による二重の防護膜が防ぐ。
大混乱に陥り、瞬く間に消滅していく災魔の集団。
「面白味も何もなくてすまないね? でもお陰で無駄な力も消費せずに済んだかな」
勝利を納めたナナシが、消えゆく災魔達を見下ろして言った。
大成功
🔵🔵🔵
フェン・ラフカ
酩酊状態……
ラムやウォッカでも割と素面の私でも酔えるのでしょうか?
ちょっと体験してみたい気持ちもありますが、まずは仕事ですね。
罠のガスを軽く吸い込んで、軽い千鳥足でわざと壁際に移動します。
そのまま壁に寄り掛かって眠る振りをしながら、周囲に選択UCでトラバサミやショットシェルトラップ等の行動不能にしやすい仕掛け罠を用意。(『罠使い』)
あとは釣れた相手をヴィストラルで『吹き飛ばし』ながら、残った罠も利用して戦います。
『野生の勘』で危険な薬は避けて、食らって危なそうならモルヒネによる『ドーピング』で誤魔化しましょう。
……なんだか楽しくなってきましたね?
※アドリブ・連携等歓迎です。
瓜生・コウ
え、合法的に酒が飲m…違うって?(ちっ)
まあオレ未成年だしなー、酔っぱらった演技って言われてもなー(棒) まあ試してみるかー、うーい、ひっく、ウサギがいっぱいいやがるなー、ウサギの耳って3本だっけ、4本だっけ? こいつは5本もありやがるぞー!
よーし、引っ掛かったぜ、既に別の薬で酔ってるものはそれ以上酔わない、事前に飲んでおいたのさ、その薬? そりゃあ百薬の長ってヤツ…おっと。
数が出てきても一体一体が弱ければクイックドロウで速攻倒すまで! ところで顔が二つあるウサギも珍しいなあ…。
洞窟の天井には大小無数の鍾乳石が垂れ下がっていた。
つらら石と呼ばれるもので、その中の一部から断続的にガスが噴き出している。
「酩酊状態……ラムやウォッカでも割と素面の私でも酔えるのでしょうか?」
多量に吸い込んだらどうなるか。ちょっと体験したい気もするけれど――フェン・ラフカは自制心を働かせつつ鍾乳石に近付いた。
「まずは仕事ですね」
まともに浴びないよう見極めつつ、手でガスを掬うようにして吸い込んでみる。
「即効性は……なるほど」
酒に強い者さえ微かに痺れさせるのだから、相当なものだ。
千鳥足でふらふらと歩き出すフェン。
まさか酔っ払ってしまったのか――勿論、そうではない。
頭が少々ぼんやりするものの、微量でもあり支障はなさそうだった。寧ろどのような作用なのか検討がついたフェンは、覚束ない足取りを装って洞内を歩いていく。
「え、合法的に酒が飲m……違うって?」
時は少しだけ遡る。グリモアベースに足を運んだ瓜生・コウは、耳寄りな話に思わず身を乗り出したのだが、よくよく聞いてみると思ったものとは違うらしい。
世の中うまく行かないもんである。
「まあオレ未成年だしなー、酔っぱらった演技って言われてもなー」
何だかんだで洞窟に転移を果たしたコウは、意味深な棒読みで言いつつ額に手を当てた。その頬が微かに赤らみ、仕草や口調もちょっと浮わついているように見えるのは……気のせいだろう。多分。
辺りに敵の気配がないので暫し洞窟内を歩いていくと、やがてコウは罠うさぎが大勢集まっている広い区画を見つけた。
「うーい、ひっく、ウサギがいっぱいいやがるなー!」
早速、千鳥足の演技をしながらふらふらと戦場に突っ込んでいくコウ。
……ええと、演技ですよね?
(「見られていますね……この辺りが良さそうです」)
酔った振りを演じるフェンは、近付いてくる災魔の足音と視線を感じながら、洞窟内の広い空間を行きつ戻りつしていた。時に座り込み、大きく吐息するとまた立ち上がり、よろめいては岩陰にうずくまる。
そのうちに、壁に背を預けて座り込んでしまった。
「ふらふらじゃないか。さっすが酩酊ガスだな!」
「うむ。あれでは完全に前後不覚だろう」
遠巻きに見ていた罠うさぎたちは、フェンの姿にそれぞれの感想を口にすると、してやったりと顔を見合わせた。
「うーい、ひっく、ウサギがいっぱいいやがるなー!」
そこへ横穴から千鳥足で突っ込んでくるコウ。
「ウサギの耳って3本だっけ、4本だっけ? こいつは5本もありやがるぞー!」
自信のない素振りを見せていた彼だったが、酔った演技は真に迫っていた。罠うさぎが召喚した白うさぎの耳を掴んでぶんまわし、両手で別のうさぎを掴んで呵々大笑する。役者もかくやという立ち回りなのだが、いや、まさかそんな……。
乱入したコウに圧倒されて距離を取ろうとした罠うさぎだが、直後に響き渡ったのは悲鳴の重奏だった。
「うわあああ、足がーー!」
数名の罠うさぎが、連れていた白うさぎと共に足を何かに挟まれたのだ。
トラバサミである。
「な、なんでこんなところに――!」
慌てて岩陰に身を隠そうとした罠うさぎを今度は爆音が包み込む。
無数の散弾に穿たれた哀れな災魔が一瞬の内に消滅し、同じことが周囲のあちこちで同時に巻き起こった。
フェンが酔ったふりをしながら設置していた、レプリカクラフト製の罠である。
「油断しましたね」
「こ、こいつ酔ってなんか……」
壁に背を預けて眠っていたはずのフェンが、いつの間にか単発銃を構えていた。
轟く銃声。
罠うさぎの集団も反撃に出ようとするが、フェンは研ぎ澄まされた勘で敵の位置から危険度を察知。攻撃しようとした者が次々に撃たれては倒れ伏す。
「よーし、上手く行ったぜ!」
図らずも共闘する形となったコウは、この機を逃さず殲滅戦に打って出た。
「数は多いほど一体一体は弱いもんだ」
ホルスターから抜いたのは、雷管(パーカッションロック)式のリボルバーだ。コズム M2979 “ドラグーン” ――見た目は古いが、引き金を引けば熱線を放つ波動ガンである。
ファニングショットのような構えで銃を撃ちまくるコウ。
撃たれた罠うさぎたちが映画のワンシーンのようにひっくり返る。
「にしても……顔が二つあるウサギも珍しいなあ……」
ちょっと潤んだ目を細めて射程範囲内の罠うさぎを凝視する。
どうやらコウにはうさぎの顔がぼやけて見えているらしい。
ふらふらしながらもトリガーハッピー的に罠うさぎ達を撃ち抜いていくコウだが、その狙いは正確だった。
「あれ酔ってるよな、絶対酔っ払ってるよな……!」
「そのはずだが妙に強いぞ……!」
顔はほんのり紅潮し、おまけに千鳥足だったりするのはきっと酩酊ガスの仕業に違いない。
「こんなこともあろうかと事前に薬を飲んでおいたのさ。何って、そりゃあ百や」
「わあああああああああ!」
実に都合よく突っ込んできた罠うさぎが丸フラスコを振りかぶり、撃たれて倒れた。
……何にせよ良い感じに酩酊していて結果オーライなのかも知れない。
フェンの罠も抜群の効果を発揮し、撃ちまくる二人の猟兵を支援していた。
「ちょっと羨ましい気もしますが」
なかなか酩酊状態なれないフェンとしては多少の羨望を感じつつ、単発銃ヴィストラルで着実に敵を仕留めていく。
「……なんだか楽しくなってきましたね?」
銃は撃っていると脳を痺れさせるものなのか。
阿鼻叫喚の中、楽しげに敵を殲滅して回るフェンだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
仁科・恭介
【KH】
※アドリブ歓迎
周りから視線を感じる
結構な数に見られているようだ
「これは気を付けないとね。ハルト君」
普段酒を飲まないため一度ガスを吸って【学習力】で記憶する
「☆%hhhハルト君気を付けて。なかなか素敵よ~」
ガスの成分は把握できた
千鳥足の感覚も把握できたのでUCで抽出もできそうだ
そうそう千鳥足やオネエ言葉になるのは確か【礼儀作法】通りだったような
「君の踊りもなかなか素敵ね。でも酔っぱらいすぎ」
と千鳥足で介抱しようとハルト君に近づきながらUCでマキビシに変えたガスを【目立たない】ように辺りにばらまく
ガスは効かないけど、これは痛いよね
「さてハルト君。楽しいサバイバルゲームの始まりよ~」
日埜・晴翔
【KH】アドリブ、連携歓迎
だまし討ちならオレに任せろ!
情報収集でガスの噴射位置とリズムを確認。
アクションゲームのようにタイミング良く避ければいいんだな(UC)
情報は恭介含め同行者に…ダンスで伝える。
酔っ払いといえば、踊り出すだろ。足元が覚束ない感じでダンス、それで誘惑できればしめたモンだな。
一カ所に集まって、一緒に踊ってくれりゃなぁ。
メインは同行者の攻撃補助のための状況分析と時間稼ぎ。
チャンスが回ってきたら、オレも攻撃に参加。
あくまで踊っているフリでフェイントやカウンターで攻撃。
(急に屈んだら攻撃に来た敵が転ぶとか)
ところで恭介、本当にガスは抜けて…んだよな?
これは騙し合いのゲームだもんな!
鍾乳洞を思わせる自然洞窟には、未だ災魔の気配が漂っていた。
「向こうから視線を感じる……結構な数だ」
大きめの岩陰に身を隠した仁科・恭介は呟くと、囁き声で言葉を投げた。
「これは気を付けないとね。ハルト君」
「ああ、仕掛けられる前に先手を打たないとな」
同じく岩陰に隠れながらそう応えたのはバトルゲーマー、日埜・晴翔。岩に背を預けながら自作のスマートグラスを操作していた彼は、少し顔を出して洞窟の薄闇に目を凝らした。
「オレが先に行く。恭介は――って」
見れば、恭介が毒ガスを噴出させている石筍に顔を近づけているではないか。
掌で紫色の気体を掬い、鼻へと持っていく。
途端、雷に打たれたように体が震えた。
「☆%hhhハルト君気を付けて。なかなか素敵よ~!」
普段酒を飲まない恭介だ。新鮮な(?)その感覚に体を痺れさせる。
「お、おいおい大丈夫かよ」
目からお星様を散らしながらふらふらする恭介。
「dddだ大丈夫だいじょうぶ、少しだけだから~☆☆」
何故かオネエ言葉になっていた。
危うく倒れかけたものの、暫くすると慣れてきたのかフラつきも取れてきた。
輝石の鼓動(バイタル・エクストラクト)の力によって、恭介の吐いたガスが無数の鋭利な物質に変わり、からころと足元に転がる。
「ガスの成分も何となく分かったわ。さあ行きましょうハルト君」
「言葉遣いはそのままなんだな……」
「これも酔ったときの礼儀作法でしょう?」
……それ何処情報だろう。
猟兵の気配を察したか、奥の道から段々と災魔の気配が近付いてきた。
「行くぜ、ゲームの始まりだ」
晴翔は岩陰から飛び出すと、四方からガスが噴出している洞窟の道へと躍り出た。
「いたぞ、猟兵だ!」
「なんだあれは、酔っているのか?」
一直線のダッシュではない。まるで酔人のような足取りで、晴翔はあっちへふらふらこっちへふらふら。それでいて噴き出す毒ガスの直撃は巧妙に避けている。
(「こういうのアクションゲームの定番だからな」)
四方に並ぶ鍾乳石――断続的にガスを噴き出すそれらに一定のリズムと規則性を見出した晴翔は、ガスの当たり判定まで見抜いていた。まさにゲーム感覚で避けながら、酔っぱらいが踊るように罠うさぎの集団へと飛び込んでいく。
「なんだこいつ、酔ってるのか……?」
「うむ、毒薬でも浴びせて動きを止めるとし――ぐべっ!?」
眼鏡のブリッジを理知的にくいってやった罠うさぎが晴翔の裏拳を喰らってひっくり返った。
「お、おのれ酔っ払いめー!」
取り押さえようとした罠うさぎが、いきなり屈み込んだ晴翔に対応しきれず宙を掴んですっ転ぶ。
「おっ、とと……」
つんのめる形で災魔の両足を掴み、転ばせ、起き上がったかと思うと斜めに傾いて別のやつに体当たりした。
「だ、だめだこの酔っぱらい手がつけられん……!」
「……なんというか…………酔拳みたいね、あれ」
オネエ口調のまま目を瞬かせる恭介。
と、踊り続ける晴翔が巧みに罠うさぎの集団を誘い込んできた。
「ちょっとちょっと、大丈夫?」
恭介もよろよろと千鳥足を演じながら晴翔を介抱しようとするように近づく。
「だいじょーぶだよ、酔ってない酔ってない……」
演技までゲーム感覚でこなす晴翔が、くるくるとくるめいた。介抱しようとする恭介自身もふらふらと足を運び、まるで酔った二人が踊るように災魔の集団を翻弄する。
「君の踊りもなかなか素敵ね。でも酔っぱらいすぎ」
密かに軽くウインクする恭介。
罠うさぎが慌てふためきながら二人を避けたが、次の瞬間、あちこちで悲鳴を上げて跳ね上がった。
「いたたたた! 足、足に何かが!」
「わ、罠だと……いつの間に……!」
恭介が踊りながら巻いていたマキビシだった。
先程、輝石の鼓動(バイタル・エクストラクト)で酩酊ガスから生成したものだ。あのガス、伊達や酔狂で吸い込んだわけではないのである。
耐性があるため酩酊しない罠うさぎも、マキビシと化したそれらが刺されば痛いに決まっている。
飛び跳ねたり転がったりの大混乱を呈する罠うさぎ達。
「さてハルト君。楽しいサバイバルゲームの始まりよ~」
大量のマキビシを手にしたまま両手を広げて笑う恭介。
「本当にガスは抜けて……んだよな?」
罠うさぎ達を殲滅しながら、何処までが本当か分からなくなる晴翔だった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵