アルダワ魔王戦争6-A〜あるいは無謬で無惨な未来の産声
「順調にファーストダンジョンの攻略は進んでるみたいだねーお疲れサマ♪」
猟兵をグリモアベースに呼び集めた巳六・荊(枯涙骨・f14646)はいつものスマイルで今戦争における『大魔王』についてを改めて説明する。
今回の『アルダワ魔王戦争』の最終目標は地下迷宮アルダワ最下層、『ファーストダンジョン』の更に最深部に復活を果たした大魔王最終形態の打倒である。
だが複数の形態を持つ大魔王のすべてがファーストダンジョン内の各所においてオブリビオンとして同時に存在し、各々が最終形態を守るバリアを維持している。
いや――最早「いた」と過去形で語られるべきなのだろう。
最終形態への道を切り開きつつ各形態の大魔王を叩くというダンジョンアタックは猟兵達の怒涛の快進撃によって踏破され、予知に示された大魔王のバリア破壊条件も現時点ですでに見事達成されているのだから。
「で、今回挑みにむかってもらう第四形態『ラクリマ・セクスアリス』についてだけど。例によってまたまた他形態の大魔王達とはお互い、姿も能力も笑っちゃうぐらいガラリとまったくの別物。なんかね、この大魔王を迷宮の外へ解放しちゃったらソレが膨大に確保している『魔女』だか『胎』だかの力で世界が終焉を迎えちゃうんだって!」
何が可笑しいのか本当にクスクスと笑いながら語られた大魔王第四形態に関する詳細はまさにおぞましいの一語に尽きるもの。
しかし語り手であるヤドリガミにとっては必ずしもそういう印象ではないらしい。
曰く、
「えー、だって……それをいったら他の大魔王にだっておっきな骨とか臓物とか、剥き出しでいっぱい生やしてたの居たし。今度のは、ご丁寧に一つ一つ皮膚と肉と頭髪に包まれて寄せ集められてるって、ソレだけの違いだよ?」
との事でえらくケロリとしたものだった。
そして『女体みたいに見えるそれらはもうオブリビオンのパーツに過ぎないモノだから泣こうが喚こうが救出なんて考えなくていい』『大魔王の体から切り離せたとしてもすぐさま泥っぽい肉塊に変わるだけだよ』と畳み掛けるように付け加えられたのだった。
心優しい猟兵達の精神的負担を慮ってあえてそういう表現をしている、
……という訳でもなく。
単に命の尊厳等といった類のものに対する元々の彼女の考え方が出ただけなのだろう。
「ま、余計なコト考えてる余裕なんていっさい無いだろーけどね。相手は大魔王だもん。本人は不当な蔑称だって嫌がってるみたいだけど実際とっても大魔王なんだもん」
毒帯びるその体表面に取り込まれたたくさんの『魔女』達は皆、『王』の為その強大な魔力を『永劫回帰力』として捧げる事を惜しまない。
未来は予見され干渉され巻き戻される事で定められ、あるいは『王』に忠実たる獣人型災魔の大軍勢すら幾度でも無から産み落としてみせるだろう。
そして捧げ尽くされる『王』の側の傲慢にとって、『魔女』や軍勢を己の為に遣い潰すなど痛痒ですら無い。
この大魔王が悲願を遂げた時その光景はおそらく世界の未来そのものと化す事だろう。
「猟兵のユーベルコードは絶対に『ラクリマ・セクスアリス』を先んじる事ができない。そう、肝に銘じてこの戦いに臨んでちょうだい」
最後に強くそう念を押したグリモア猟兵によって転送された、その先は――。
一見すれば熱帯のジャングルにも映るが、その実、奇怪な食肉植物蠢く魔境の地。
――やはり……『魔女』共の胎から猟兵の『正解』を見出し尽くすこと叶わぬか。
――ならば『魔女』共よ! 貴様らの溜め込んだ『永劫回帰力』の全てを寄越せ!
『魔女』と呼ばれた女たちの狂笑、嬌声、あるいは啜り泣き……。
花果の腐臭にも似たひどく甘ったるい空気が漂い、不快に澱み切っていた。
銀條彦
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し「アルダワ魔王戦争」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
また、大魔王シナリオはその成功数が最終形態との決戦に影響を与えます。
●プレイングボーナス
『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』です。
大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』は必ず先制攻撃をしてくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります。
御武運を。
第1章 ボス戦
『大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』』
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POW : 未来は涙の中に
【『魔女』の子守歌】【『魔女』の予知能力】【『魔女』の運命操作能力】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 祝福されぬ子供達
【『魔女』から生まれる豹獣人の軍勢】【『魔女』から生まれるイカ獣人の軍勢】【『魔女』から生まれるバッタ獣人の軍勢】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 魔女狩りの一撃
【『魔女』を封じた巨腕による叩きつけ攻撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を、敵の動きを封じる魔の毒沼に変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:和狸56
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アリス・スラクシナ
※エルーゼ、華澄、ジェイクと行動
第六感で危険を察知、ダッシュで回避する。
さすがに武器で防ぐには危険としか。
イザナギの覚悟はハルバート、白銀の魂は太刀に形成して振るう。
毒沼を作られたらジェイクとアークの冷却エネルギーで凍らせてみるのもありか?
どちらにせよ、属性攻撃で攻めるのもありかもしれない。
衝撃波と範囲攻撃に属性を組み合わせて有効打を探る。
「神話だと、運命の女神には主神ですら逆らえなかったらしいが」
変えられれば、変え直すだけだ。
絡み・アドリブOK
藤宮・華澄
※アリス、エルーゼ、ジェイクと行動
第六感で回避してカウンターで反撃。
相手の能力を邪魔する……と言っても具体的な方法が。
「こちらも能力上げて強力な攻撃を繰り出し続けるとか?」
ノーブルラウンドで能力を上昇させることは可能。でもうまくいくかは……。
「あ、あまり見ないでくださいよ!」
敵とは言え、女性の裸をジロジロ見るのはさすがに。
絡み・アドリブOK
蜜の如く纏わりつく大気に充ちた食肉の森の奥深く。
――聳え立つ巨影の主こそが、大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』。
名乗りも語らいも無く切られた戦端は、そうあるが運命だと言わんばかりの絶対の神速を見せつける、大魔王の先制攻撃から。
「――っ!」
自らの第六感のみに身を委ねると腹を括った藤宮・華澄(戦医師・f17614)だったが、うねる泥流の氾濫を想わせる毒腕を完全に躱し切るには至らず。
――ォアアアァ、……ァァ――!
叩きつけられた衝撃で潰えた『魔女』の肉片もろとも毒禍へと呑まれた華澄は、咄嗟に自らの肉体へ光弾ルミナを射ち込んだ。解毒治療と攻撃増強改造の同時実行を可能とするユーベルコードは薄れつつあった彼女の意識を取り戻させた。
「うまくいくかは……でも!」
振り下ろし動作を終えた直後に間髪いれず、大魔王が見せた一瞬の隙を衝くようにして繰り出された拳には彼女のフードファイターとしての闘気が宿る。
(うん、『ノーブルラウンド』で攻撃能力は格段に上昇してる。これを連打すれば相手の邪魔を……出来る?)
正直ここまで食欲掻き立てられぬ相手もそうは無いのだが……若干の迷いを覗かせつつそれでも自らを奮い立たせた華澄による反撃のクロスカウンターは『魔女』の無い腹部を穿つ。伝わる、ダメージを与え得たという確かな手応え。しかしそれ以上が続かない。
ユーベルコードでの強化が保たれる間に連続攻撃をという彼女の意気込みに反し、回避や守備は勘恃みという果敢すぎる戦闘方針で長く大魔王と渡り合う事は難しかった。
「華澄……!」
戦友を案じるアリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)もまた忍耐の守勢が続く。
どうにもムラがあるらしい彼女の霊感では遥か格上敵相手の危険察知においては安定性に欠き、ダッシュ回避の足はどうしても遅れを取ってしまう。
――ぼうやヨボうヤ……ぁ……アはハァッッア!!
子守歌どころか、坊やとやらの首を締め上げかねない出鱈目な狂笑と歌声の繰り返しがアリスの耳朶へと纏わりつき、『魔女』が定める未来への抗戦のさなかアリスの内なる『邪神』因子が少しずつ枷を振り解いてゆく。
ハルバートとして霊体制御され振るわれていた神器『イザナギの覚悟』は冷却のアークエネルギーを凍獄の域にまで高め、穢泥の如き大魔王の肉毒による汚染を阻んだ。
更にアークの冷却エネルギーを重ねられればと思案したアリスだったが彼女が思い描いた相手は密な連携を取れる状況では無かった。
(ならば可能な限りの属性攻撃を拡散波として浴びせ、有効打を探り当てるとしよう)
もうひとつの神器、『白銀の魂』を黄金帯びる輝ける白刃として抜き放ったアリスはその怜悧な眼差しで大魔王を見上げて静かに挑発を吐きつける。
「神話だと、運命の女神には主神ですら逆らえなかったらしいが」
『我を神に擬えるか……ククッ……大魔王などより余程気が利いているではないか、女』
其れはあるいは他の猟兵達へと伝え、繋げる為の挺身か。
以降、アリスの攻撃は大魔王の討伐ではなく森という地形を活用しての威力偵察のみに徹する事となる。
運命に干渉し惜しみなく自らの『永劫回帰力』を破壊の力として大魔王へと捧げ尽くす『魔女』に何処か重なりつつも――その誇り高くも妖艶たる邪女神の有り様は無二であり比ぶべくも無い。
それぞれの死闘の果て、力尽きる寸前。
「……敵とは言え、女性の裸を……あ、あまり、ジロジロ見ないでくださいよ」
「この状況じゃ無理だろ」
駆けつけて手を伸ばした青年に向けて。
精いっぱいの憎まれ口を叩いた華澄はその平淡なツッコミを耳にして安堵したかの様な笑顔と共に今度こそ意識を手放した。
「――水氷、だ」
「アリス……わかった」
舞い降りた翼の舞姫が絡めた指先に刹那、よりいっそうの力が篭められた後にするりとほどけ――戦いは、仲間達へと託される。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
ジェイク・リー
※アリス、エルーゼ、華澄と行動
SPDのUCに対処
第六感で察知、残像を残すダッシュで回避。伸ばしてくるならジョーカー・リゾートで攻撃する。
「取り込まれて時間経ってる時点で救助は不可能だろ」
七星天狼を融合、狼の覇気を光刃として使う双頭刃として振るう。
「余計な事は考えんな。ありゃ模倣してる代物だと割り切っとけ」
双頭刃に形成した七星天狼振いながらUCで模索。
手間取れば危険な状況になってしまうと分かっているから。
「女の裸見るなって、この状況じゃ無理だろ」
絡み・アドリブOK
エルーゼ・フーシェン
※アリス、華澄、ジェイクと行動
第六感で危険を読み、空中浮遊とダッシュで避けるわ
「運命ねえ。変えられてもまた変え直せばいいと」
向こうの先制は既に決まってるなら、勝つ運命はこっちにもらうわ。
クロス・エレメントで属性の刃を形成して攻撃を仕掛けるわ。
ダンスの動きで剣を振って、防御が難しく攻めれば……。
能力上げられてるはずだから、そこは注意しないといけないけど。
にしても、女を取り込んでる上にあれだしねえ。
「見とれないでよ?」
絡み・アドリブOK
――仲間達が挑み、そして託していった大魔王との戦い。
「女の裸見るなって、この状況じゃ無理だろ」
託すついでに余計な一言まで置いて退いて行った戦友に対してジェイク・リー(鋼の豪傑・f24231)は溜め息まじりに零した。
蠢く裸体の『魔女』達をその全身に纏わせて勝ち誇る『ラクリマ・セクスアリス』。
「取り込まれて時間経ってる時点で救助は不可能だろ」
自他に言い聞かせる様にそう断じて。
大魔王の醜悪なその威容は悪夢にして背徳そのものであるが、ジェイクは努めて冷静に討つべき敵に、そして、迫る殺意にと向き直る。
『『魔女』共よ――孕み、殖やせ』
第四の大魔王より外道たるその命令が下されると同時、多くの啜り泣きを伴い複数の『胎』から次々と産み落とされたのは三種からなる獣人の軍勢。
まさに雲霞のごとき大軍と化した敵中へジェイクは、単騎、斬り込んでゆく。
陰陽の『七星天狼』の霊刃を融合させたのみならず蒼白き己が覇気をも注いで作り出した一振りの双頭刃をその手に固く握り締め。
ダッシュから有象無象の雑兵頭上高くを跳ね上がり、残した幾つもの残像をもって押し寄せる猛攻を撥ねつけ、そして混乱にすっかりと浮き足立った雑兵達へ光刃奔らせ素っ首纏めて刎ね飛ばす。
多勢相手に決定的な包囲を決して許さぬその大立ち回りはまさに鋼の豪傑たるの真骨頂――【暗殺者の戦術(アサシン・ハンド)】。
戦場中に響き渡る『魔女』の嬌声や悲鳴に……膨大なその魔力に捻じ曲げられる未来と対峙するエルーゼ・フーシェン(魔剣使い・f13445)もまた凛と決して揺るがない。
「立ち向かうべき敵は『運命』ねえ。まあ、たとえどれだけ変えられてもまた変え直せばいいだけよね」
再び食肉の森上空へと舞い上がった翼は、予知してなお捉え切れぬ巧みな回避機動で、不躾な敵初撃から我が身を守り切る。
「先制の未来が既に決まってるならそれで構わない。そのかわり、その先の勝つ『運命』はこっちにもらうわ」
高らかな宣言と共に逆巻くようにして集められてゆく魔力。
元素を交差させて双刃と為すエルーゼの【クロス・エレメント】は先の助言に基づき、その性質を大きく冷却の……水氷の性質へと特化させてある。
滴る粘性の毒を薄め、凍らせ、砕いて散らすエルーゼの剣舞はその透き通るような白磁の肌を惜しげも無く露出させた衣装と相俟って死を振り撒く氷の大華を想起させて――。
「にしても本当に悪趣味ねえ。女を取り込んでる上にあれだし――ジェイク、見とれないでよ?」
「そっちこそ余計な事は考えんな。ありゃ女なんかじゃなくて女を模倣してるだけの代物だとでも割り切っとけ」
互いに危地を脱したエルーゼとジェイクが合流を果たし軍勢に対する残党狩りへと移行した頃にはそんな会話を交わす余裕も生まれていた。
少なくとも彼らの未来は、『ラクリマ・セクスアリス』が流させる涙の中になど決して無いのだろう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
火土金水・明
「相手は第四形態ですか、本当に見ているだけで気分が悪くなりました。」「今まで以上に、倒したい気分です。」
相手の先制攻撃に対しては【見切り】【野生の勘】【第六感】【フェイント】の技能を駆使して回避を試みます。
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【高速詠唱】し【破魔】を付けた【全力魔法】の【サンダーボルト】で『大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』』を【2回攻撃】をします。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【武器受け】【地形耐性】でダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも、ダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします
――笑う嗤う哂う、一糸まとわぬからっぽの『魔女』達はただ笑う。
悍ましき大魔王の姿を目の当たりにして、火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)が眼を背けたい衝動に駆られたのは恐怖ではなく、そのあまりにも真っ直ぐな怒りの感情故だった。
「今度の相手は第四形態ですか……本当に見ているだけで気分が悪くなりました」
けれどその漆黒の双眸が第四の大魔王から逸らされる事は最後まで決して無かった。
不可避たる災厄の如き、怒涛たる魔女狩りの一撃を明めがけて振り上げる予備動作と軌跡すべてをつぶさに捉え、そして己が持てる総てを駆使して回避する為である。
だが、羽虫一匹を潰す気安さで叩きつけられた大魔王の巨腕は『魔女』の何体かと不運な食肉植物達を道連れに大地を揺るがせ、そして紫毒色へと染め上げる。
魔殺の帯で結い上げられた長いポニーテールを振り乱し、それこそ、この場の誰よりも魔女然とした美女たるウィザードの肢体は、憐れ、無惨たる圧壊を強いられた……。
「残念、それは残像です」
……かに思えた彼女の身は、依然、五体満足で戦場に在った。
横たわる毒沼は大魔王に更なる力を与える一方で敵たる明の全身をじゅくじゅくと瘴気の如く苛んではいたが、厚いオーラ防御に魔の毒沼特化の地形耐性をも付与した事でその毒性は大幅に減じられているのである。
『何っ!? ……おのれ、猟兵め何と小癪な』
確かに仕留めたとの確信から一転、まんまと出し抜かれた格好の大魔王から初めて漏れ出た動揺は直ぐに憤怒へと取って変わる。
しかし見事出し抜いた明の側の表情にも喜びは無く、ますます険しいものとなってゆく一方だ。
「――今まで以上に、倒したい気分です」
四散した『魔女』の肉塊は明の前でみるみると溶解しながら毒沼の底へと沈んでゆく。
――もうオブリビオンのパーツに過ぎない。救出の必要は無い。寄せ集め。
グリモア猟兵が語ったそれらは、しかし、一つたりと大魔王を赦す理由には為らない。
だから。
「受けよ、天からの贈り物!」
怒りと全魔力篭めて突きつけられた指先は地下迷宮の最深部たるこの領域にまで二条の天雷を喚び寄せ、遂には双角戴く『ラクリマ・セクスアリス』の頭部を灼き貫くに到る。
その代価としてもはや精根尽き果てる寸前のウィザードは撤退を余儀なくされたが……最後の最後ようやく浮かんだ淡い笑み。
「少しでも、ダメージを与えて次の方に……」
成功
🔵🔵🔴
レクシア・ノーレッド
…こんにちは、魔王さん。
どーしても我慢できなくて戦いに来ちゃったよ。
…だって、アナタ…
「……すごく美味しそう。」
【SPD】
さて、どうやっても多勢に無勢。
数的不利にはなりそうだね。豹にイカ、バッタ。
……うん、本体も獣人もすごく美味しそう。
遠くから飛んでくるような攻撃は【見切り】と【ダッシュ】で避けて、あわよくば同士討ちさせよう。
【早業】と【2回攻撃】を駆使した剣術で道を開きながら接近するよ。
そしてUCは「黒食」を使うよ。狙いは魔王、次点は魔女。
3つも当てるのは厳しいかもね。でも3発目…「能力食い」は絶対に当てに行く。
…私は悪食。何かを食べるのに躊躇なんかしない。
「それじゃ、イタダキマス。」
澱む世界を引き裂かんばかりの鮮烈で、大魔王を貫いた二筋の破魔たる稲妻。
――輝きが掻き消えたしばらく後、その黒溜まりは、無邪気な少女の貌をして現れた。
「……こんにちは、魔王さん。どーしても我慢できなくて戦いに来ちゃったよ」
レクシア・ノーレッド(【黒喰】・f01101)をこの戦いへと駆り立てたもの。
それは『ラクリマ・セクスアリス』に向けて湧き立つ耐え難き食欲、その一点に他ならなかった。
「……だって、アナタ……すごく美味しそう」
濃密たる傲慢と強欲をベースに果て無き悪意を燻らせたその毒肉は何とも心蕩かす芳醇な蜜の匂いで彼女を誘う。
ラクリマを知ってしまった今のレクシアにとって漆黒の鼻腔沁みる密林の香などもはや到底甘いとも甘すぎるとも思えぬ些事でしか無い。
そして、グリモア猟兵からは皮袋詰め合わせ程度の軽い扱いを受けていたが、どうしてどうして大魔王の全身に実るたわわな『魔女』の女たちの熟し具合もまた捨て難かった。
『我を、喰らうだと? 雑多にして愚かなる『猟兵』の中でもどうやら貴様はなかなかに変わり種の部類であるらしい。だが――』
身の程を知るがよいと嘲笑う声は『魔女』達にまた、獣の仔らを孕み産み落とす官能を強制し、たちまちの内に戦場を埋め尽くす豹頭イカ頭にバッタ頭。
はてさて今やブラックタールの少女の数的不利は決定的で何をどうやっても揺るがぬ、多勢に無勢。されど琥珀にも似たオレンジの瞳は喜色に潤むばかりである。
「……うん、本体も獣人もすごく美味しそう」
母胎に祝福されぬ子供達へレクシアは最大限の賛辞を惜しまなかった。
少女にとってはまさに目移り必至の状況だが、まずは襲いかかる軍勢への対処に持てる全力を傾けねばならなかった。
「力押しか。ま、数は力だしねー」
黒喰剣の召喚を終えた少女は大魔王めざしての吶喊を開始する。
黒鋼を想わせる廃材を剣の見てくれに寄せ集めただけにも見えるそのバスタードソードは信じ難い程の硬さと斬れ味の鋭さを備えて、草刈りの如くの勢いで少女の剣術を助けてくれた。
「……おっと、あぶないあぶないー」
時折、伸縮自在の触腕が長く伸びてレクシアの身を脅かすこともあったが、一寸見切り二寸をひらく連続回避とブラックタールならでは自在な体捌きとで手近な獣人兵へと押し付ける同士討ちすら誘ってのけていた。
獣人軍の戦い方は殆どがその俊敏や豪腕に物を言わせての肉弾戦一辺倒である様だ。
そして遂に少女は愛しのメインディッシュ、大魔王『ラクリマ・セクスアリス』の足元にまで辿り着く。
どろりと俄かにレクシアの輪郭が崩れ……ユーベルコード【黒喰】の初撃の記憶喰らいはすげなく躱されたが、次撃の思考喰らいは『王』を庇う様にぬかるむ体表から裸体を起こした『魔女』の1体の心臓を真っ直ぐ抉ってその操作が可能となる。
彼女の狙いは魔王で、魔女は次点。
けれど三撃目だけは絶対当てたい彼女にとってこれはいわゆる据え膳状態と言えるのではないか。
――ぼうやよ、ぼうや……わたしのぼうや……。
ゴボ、ゴボリと大魔王へと取り込まれた全身を捩らせて大きく両腕を広げて、まっすぐレクシアへ抱擁を求めて来た黒髪『魔女』に応えたレクシアはその漆黒色のタールの体を大口のように拡げて。
「それじゃ、イタダキマス」
全くの無抵抗の『魔女』の胎から上を、まるごとペロリ。
(……私は悪食。何かを食べるのに躊躇なんかしない)
だが。
喰らったその味は――ただただ、虚無。無為に砂噛む方がまだマシというレベルの。
「う、うそー……」
底無しの悪食たる彼女にとっては無味無臭ゼロカロリーほど最悪な食餌は無い。
あれほど美味しそうだった『魔女』肉からは取り込むべき技も力もまったく何も感じられなかった。
グリモア猟兵に曰く、すぐさま泥っぽい肉塊に変わるだけ――つまりところ、『魔女』とは大魔王の残飯に過ぎなかったのだ。
(……いや、それ以下だね。舐め尽くされた後の空き皿だよ、コレは)
全ての形態において一貫して『喰らうもの』で在り続ける事を辞めないかの傲慢な存在が『永劫回帰力』なる贄にしてご馳走を、おいそれと手放す筈など無かったという事なのだろう。
成功
🔵🔵🔴
花杖・翡迦
強敵は承知だし来といてビビりゃしねえけど
力の差が分かんねえ馬鹿でもない
やれるだけやるさ、なんて拳鳴らす
取り込まれた奴には割と冷静
人として死んでるなら今は同情しねえ。ごめんな
ダメージソースに注意を向けさせたくねえし
飛び回って感覚乱してやったら、
攻撃防御より異常強化選んだりしねーかな…
過度に期待せずモノの試し
強化の間に距離詰め一撃離脱を繰り返す
技能も…ハイハイ足りてねえよな、知ってるわバァカ!
不足を嘆くヒマはなし
避けらんねえ前提で踏ん張らず飛翔・跳躍
焼け石水でも受け流す努力
移動は鋼糸で素早く
傷つこうが目ェかっ開いて動きを注視し、攻守の判断にする
ぶっ倒れても危険やチャンスには声絞り出してでも伝えるさ
シン・コーエン
『魔女』に『永劫回帰力(エンドテイカー)』
両親から聞いた言葉をこの世界で聞くとは。
魔女への扱いに対する醒めた怒りを胸に「汚物(大魔王)は消毒だな」と吐き捨てるように宣言。
『UC対策』
【第六感と見切り】で大魔王の攻撃を予測し、自分の行動を瞬時に切り替える事で予知能力を擦り抜ける。
更に【ダッシュとジャンプ】による素早い動きに加え、いざという時には【自身への念動力】を加味して運命操作能力を乗り越える回避を達成。
【残像】を作り出して、動きを見切られぬ様、接近。
UC&【2回攻撃・炎の属性攻撃・衝撃波】で、大魔王の魂を斬り、身体を燃やす!
「両親から受け着いた誇りと教え、それに俺の研鑽はお前などに負けん!」
それは高く大きく、ただこうして仰ぎ見るだけで伝わる……解ってしまう。
大魔王と呼ばれしものの一角たる敵の強大さを。
猟兵としてすらまだまだスタートラインの己との、彼我の差の果てしなさを。
けれど――強敵なのはもとより承知。
力の差が分かんねえ馬鹿でもないつもりだが来といてビビりゃしねえと、花杖・翡迦(緑雨・f23535)は思いっきり音高く拳を鳴らして重ねて、そして。
「やれるだけやるさ!」
飄と、翡翠の鱗翼を広げて。
澱む迷宮世界を吹き抜ける疾風の如き、強気な笑み。
ドラゴニアンの青年は、『魔女』侍らせて嗤う紅涙の『王』へと立ち向かう。
変幻自在に弧を描く翡迦の飛翔はその翼に拠るものでは無かった。
「人として死んでるなら今は同情しねえ。ごめんな」
――ヒィィィイイイッ……。
――ヒャハハハッッッアハハハァッッッ!
大魔王の懐にまで飛び込んで以降、彼は大魔王の全身各所から屹立する『魔女』の胴体や腕に素早く鋼糸を巡らせ絡めさせながらの三次元機動を駆使し続けている。
それと意識せねば見落としてしまうであろうその糸は、『細蟹の道』の名そのままに、強き穢毒の巨体と生身一つで渡り合う彼にとって蜘蛛の糸であろう。
(まさかこっちの期待通り、状態異常力強化を選んでくれるとはね)
好機は広がったとも云えるが、一方で、彼の選んだ一撃離脱戦法とはやや相性が悪い。
攻撃対象そのものが猛毒であるが故に接触回数を増やせば増やしただけ返るダメージは嵩む一方だ。愛用の鋼糸は彼にとってあくまでも移動手段であり、射出武器として用いるつもりは無いのだから尚更に。
(……ま、つまりはソレだけで勝手にぶっ倒れるだろうってタカ括られてんだろうが)
翡迦がどれほど俊敏かつ不規則に糸を手繰り空中機動で敵の感覚を掻き乱そうとも結局それらは全て『魔女』の掌の中なのかもしれない。
『愚かなり、そして憐れなり猟兵! 貴様はあまりにも小さく非力だ……!』
「技能も……ハイハイ足りてねえよな、知ってるわバァカ!」
それでも決して心折れる気配など見せず、時にへらず口さえ叩いて見せながら。
緑竜の青年は定められた運命に抗い続ける。
虎視眈々と、か細い一筋の好機を決して見逃さずそして必ずやこの手で掴む為に。
そして――。
(『魔女』に『永劫回帰力(エンドテイカー)』――まさか両親からよく聞かされた言葉をこの世界で聞くとは……)
シン・コーエン(灼閃・f13886)にとっては思わぬ因縁を感じずには居られない戦いとなったアルダワ魔王戦争。
だがこれまでに出現した大魔王は数あれどこの大魔王『ラクリマ・セクスアリス』には猟兵として以上に一人の男として、嫌悪と憤りを感じずにはいられなかった。
「汚物は消毒だな」
心の底から醒めきった強い怒りを乗せて。
吐きつけるような宣戦布告と共に始まった戦いは必然と言わんばかりの傲慢であらゆる未来を涙の中へと鎖す大魔王のユーベルコード発動から。
『さあ世界の終わりのはじまりたる我に屈せよ!』
「両親から受け着いた誇りと教え、それに俺の研鑽はお前などに負けん!」
ゆるく一つに纏められた長き金髪を靡かせながら、残像だけを置いて。
台詞通り――その戦人はこの上なく勇ましく、誇り高く。
深紅の輝き増すばかりの光剣を手に大魔王目指す鮮やかなシンの反応も回避も、迅雷の如き踏み込みや跳躍も……そして咄嗟の念動力によって変幻させる立ち回りも。
その全てが運命に立ち向かう勇者たるに相応しきもの。
だが、いかなる研鑽も想いも『魔女』が定めし運命の前では……。
「おいアンタ、今だっ!」
絡め取られようとしていたシンの未来を引き戻したのは翡迦の一声とそして、竜の業炎纏いし拳から放たれた【真朱の颶風(マソホノグフウ)】の一撃。
運命が定められようとした今まさにドンピシャのタイミングで入れられた横槍へシンもまた運命切り拓くその剣に、熱く、己が未来への意志を重ねる。
「灼星剣の一閃を以って、あるべき清浄を此処に顕現す――【灼閃・清浄招(シャクセイ・セイジョウショウ)】!」
『この、力は――何だというのだっ!?』
――澄み通る赤を増して、燦然と。
今ここに交差した禍々しき魔毒焼く拳と邪魂灼く剣の火勢は、大魔王すらも呑みこもうとしていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
フェルト・ユメノアール
平気で命を踏みにじり、利用する
これ以上、そんな酷い事をさせるもんか!
攻撃に対してガードをしながら後方に飛び退き『ワンダースモークを投擲』
視界を煙で遮り、攻撃を逸らしてダメージを軽減
痛い……!けど、最初から無傷で勝とうなんて思ってないよ!
長期戦は不利、一気に勝負をかける
そのまま即座に反撃に移行
毒沼に飲まれないよう『トリックスターを投擲』地面に突き立て、足場を作り
煙に紛れて魔王へ接近、奇襲をかける!
でも、まだ終わりじゃないよ!
現れろ!【SPウィングウィッチ】!
煙で視界を遮ったのは攻撃を避ける為だけじゃない
ウィングウィッチ召喚の動作を気づかせない為でもあったのさ
大魔王!みんなの怒りと痛みを思い知れ!
「平気で命を踏みにじり、利用する。これ以上、そんな酷い事をさせるもんか!」
フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)は、みんなに元気とスマイルふりまく少女道化師である。
第四の大魔王の前へと立った時、彼女の怒りは既に最高潮であった。
だが、蠢く『魔女』達を封じる巨腕から先制の一打が繰り出され戦いの舞台が始まると同時、一流のエンターテイナーを夢見る彼女の顔はすっかりと明るくあどけない道化師としての笑顔を浮かべていた。
しっかりと防御姿勢を取りつつもひときわ高いバク宙で、くるりくるりと、華麗にアクロバティックを披露。
一気に後方へと跳んだフェルトは着地を待たずそのまま、不安定なはずの空中姿勢も物ともせずに幾つものボールを色とりどりに投擲し始めた。
フェルトの手から離れたボール達は、小気味よく跳ねて転がり……ド派手に爆ぜる!
「さあ、まずはワンダースモークの魔法だよ!」
大魔王と道化師の間に横たわる戦場の各所でたちまちポポン、ポン、ボフンとカラフルな煙幕が充満して視界を奪う。
『ただの苦し紛れか? にしてもなんとくだらぬ子供騙しである事か』
けれどそれはほんの一瞬で、冷笑とともにいったん、天高く振り被り直された大魔王の巨腕が再び地面へと叩きつければそれだけで暴力的な風圧は巻き起こり、辺りは再び毒沼地帯と化す。
苦悶したまま千切れて柔らかな肉塊と化した『魔女』を求め、難を逃れた食肉植物達がざわざわと蔓を伸ばし群がる光景は、まさに地獄絵図そのもの。
そんな無惨を尻目に、すっかりと薄まった煙幕の向こうから毒沼の上をトントンと飛び跳ねながら大魔王へと迫る少女道化師の姿は今やすっかりと視認できる。
金ぴか装飾で見るからに舞台道具だと分かる投擲用ダガー『トリックスター』を連続足場とする事でフェルトは毒ダメージと機動力低下を蒙らずに済んでいるのだ。
だが……自らが作り上げた毒沼の中央に立つ事でその戦闘力を高めた今の大魔王はその巨体からただの打撃を繰り出すだけでも脅威だ。
蜘蛛にも似た剥き出しの骨脚が次々に、フェルトの頭上から唸りを上げて襲い掛かる。
「痛い……! けど、最初から無傷で勝とうなんて思ってないよ!」
大魔王の戦闘力増強は攻撃力のみならず速度や防御面にも及んでしまっておりフェルトといえどダメージを避け得ない。だが、道化師から笑顔は決して消えない。
(長期戦は不利、一気に勝負をかける!)
もう一度、振り撒かれたワンダースモークの煙幕。そして……。
『無駄だっっっ!!』
もはやすっかり種の割れた魔法から強引に実行された道化師の奇襲は奇襲足りえず……低く足元にまで伸ばされた巨腕によって完璧にガードされてしまう。
大魔王の体表に滴る毒のさざ波がフェルトの道化師衣装へと滲み汚してゆく――。
「でも、まだ終わりじゃないよ! ――現れろ!【SPウィングウィッチ】!」
明るくも高らかなその掛け声は、大魔王が地に落とす長大な影の中から突如踊り出た美しい『魔女』へと向けられた宣言。
伏せ札にして切り札たる★★★<ユニットカード>SPウィングウィッチ(スマイルパペット・ウィングウィッチ)は隠密魔法により影から影を自由に渡る魔女でありフェルトとはずっと五感を共有し続けて来た。
『いつの間に……!? そうか、1度目の煙幕時、既に』
「御名答! アレはウィングウィッチ召喚の動作を気づかせない為でもあったのさ」
最後に牙並ぶ肩の異形口内部の影へ出現した『SPウィングウィッチ』は可憐な動作で杖を振るい、大魔王体内に向かって攻撃魔法を解き放つ。
「大魔王! みんなの怒りと痛みを思い知れ!」
『――――――ッ!!!!』
子供騙しどころか大魔王すらまんまと騙しきった道化芝居のクライマックスは、翼ある『魔女』からの痛快なダイレクトアタック。
さしもの『ラクリマ・セクスアリス』もその衝撃に耐え切れず、ずるりずるりと、その巨体を大きく揺らし濁流の如くのたうたせ始めたのだった。
成功
🔵🔵🔴
シビラ・レーヴェンス
【討】同タグ明記の者と連携協力。
今回の戦いでも私はサポート。そのまえに準備を。
(オーラ防御、狂気と毒と呪詛耐性、破魔、見切り使用)
巨腕は注視していれば予備動作で回避可能だと考える。
私が注意深く魔王の動きを常に観察しておこう。
毒沼の対策は【冷視】で沼を凍結できないだろうか。
(早業、高速詠唱、2回攻撃、破魔、限界突破、使用)
一瞬でも構わない。沼の効果を無効化にできればいい。
魔女については別に怒りを覚えることも哀れとも思わん。
私の心は動かないから何の盾にもならんぞ。魔王。
まあ。一人はかなり動揺する子はいるな。
動揺していた場合は頭を撫でながら落ち着かせる。
「…しっかりしろ、露。君の剣で救ってやれ」
神坂・露
【討】同じタグの人と連携よ。
と、取り込まれてる女の人が泣いてるわ。苦しそう。
魔王を倒したらこの女の人はどうなるの?あたし…。
躊躇してたら…えへへv大好きな人が勇気くれたわ。
「そうね。そうよね…しっかりしないと…v」
ありがとう。レーちゃんvやっぱり大好き♪ありがとv
すー(f19200)ちゃんやロー(f22361)と連携攻撃よ。
あたしは【銀の舞】で一回一回離脱して戦うわ。
(早業、2回攻撃、野生の勘、見切り、フェイント使用)
武器と身体に【破魔】。身体に【オーラ防御】しておく。
まずは…2回の斬撃で腕を狙うわ。斬り落とす勢いでいく。
やっぱり女の人が気になるけど…もう迷わないわ!
ごめんね。女の人…。
浅間・墨
【討】同じタグの方と連携と協力します。
慟哭が…聞こえます。とても苦しそうです。悲しそう。
この闇から魔女さん達を解放しないといけません。
【雪駆】を用います。魂から斬り離す為に…解放します。
(早業、破魔、2回攻撃、限界突破、継戦能力、使用)
この技の冷気が沼に影響を与えるかもしれない期待もあります。
直接攻撃できないなら【衝撃波】に乗せて放ちます。
そう。身体に【狂気と呪詛耐性】【オーラ防御】を纏います。
シビラさんが注意勧告をしてくださるので安心して攻撃です。
私自身も注意して魔王の動きをみます。補うこともできますし。
魔王が生み出した軍勢には素直に回避行動をとります。
当たらないように常に動いておきます。
ロベルタ・ヴェルディアナ
【討】同タグの人と一緒じぇ!
銃で近接攻撃する人達の援護するよ。
シビラ(f14377)ねーと一緒に行動だ。
「おー! 色々なねーちゃんくっつけてるじょ!!」
面白いねぇ~。魔王ってあと何種類あるんだろ?
UCは【黒の腐食】を使う!破魔を籠めてね~。
黒いとなんか聞きそうだよねぃ。破魔を纏ったら。
撃ち込む部位は…腕?とか後は…足…?の部分を狙う。
仲間の動きに合わせ射撃。ちょっと先読みしつつする。
死角とか隙を埋められたらいいな。
(早業、鎧無視攻撃、鎧砕き、限界突破、視力利用)
魔王の攻撃は【第六感】で回避しようかなって思う。
痛いのとか嫌だし面倒だから防御して戦うじょ!
(狂気と激痛と呪詛耐性、オーラ防御、使用)
(慟哭が……聞こえます。とても苦しそうです。悲しそう)
痛ましげに『魔女』達の声へと耳を澄ます浅間・墨(沈黙ダンピール・f19200)にとっては彼女達の笑い声も嘆く声も、唄う声すらも全てが、深き闇に捕われたもの達の慟哭であるように聴こえた。
(大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』……この闇から魔女さん達を解放しないといけません……)
楚々と控えめな戦巫女装束の少女から漲る、無言の決意。
一方、同じ場所から同じものを見聞きしている筈のロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)にとっては好奇心湧き立たせる珍しい光景だ。
「おー! 色々なねーちゃんくっつけてるじょ!!」
あと何種類いるかはしらないが他の魔王もそれぞれ特色豊かで全然違うのだから面白いとアリス適合者の少女は愛用の拳銃を手にすっかりとご機嫌だ。
サイズや威圧感は確かにハンパではないがこの程度でビビってちゃアリスラビリンスのデスゲームは生き残れないのである。たぶん。
――そして大魔王がまた『魔女』達の『永劫回帰力』を己が強化の為のユーベルコードにと変えてゆく。
今回大魔王が強化したのは防御力だった。おそらくはここまで猟兵達が重ね続けて来たダメージがかなり堪えて来ているのだろう。
「……と、取り込まれてる女の人が、泣いてるわ。苦しそう……」
「そうだな。魔女達の反応にも注視すれば巨腕の予備動作も読み取り易いかもしれない」
4人の少女猟兵達の中で最も大きな衝撃に打ちひしがれていたのは神坂・露(ヤドリガミ仔犬娘・f19223)だろう。
いつも天真爛漫でヤドリガミである彼女にとって人のかたちをした者が目の前で苦しみもがいていればそれは『可哀想』で『助けるべき』ものなのだ。
大魔王という脅威の眼前というこの状況下……しかも今まさに獣人の軍勢が産み出され彼女達を押し包まんとしている只中ですらそれは変わらない。
「ねぇ……魔王を倒したらこの女の人はどうなるの?」
そんな露を宥めるべく、ふぅと溜め息一つ吐いた後に駆け寄ったシビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)はそっと彼女の頭を撫でてやるのだった。
「――しっかりしろ、露。君の剣で救ってやれ」
「レーちゃん……」
詭弁であるしシビラ自身はそんなつもりは毛頭無い。『魔女』に対する大魔王の仕打ちに対して別に怒りを覚えもないし『魔女』達を哀れとも思えない。
(災魔や災魔の強化パーツに過ぎない存在がやらかす事にいちいち目くじらを立てていても仕方ないだろう……)
だが――露はそうでは無いだろう事を彼女は薄々予想し得ていたしはたしてその通りに露は動揺している。
それを解消もしくはそれに近い状態にまで引き戻してやれるのであれば……自然とそう考えてすぐさま実行へ移したシビラはシビラ本人が思う程には他者への興味が無い訳では無いのかもしれない。
「そうね。そうよね……しっかりしないと……v」
ありがとうの笑顔もレーちゃんやっぱり大好きの言葉も、結局、乱戦の中へと飲まれてまったく届かなかったけれど。
(えへへv 大好きな人が勇気くれたわ)
それでも、バッタ獣人の敏捷を上回る早業でさっそく敵の隊列を翻弄し始めた露は逆手に握ったダガーを奔らせるのだった。
「シビラねー、魔王は高みの見物っぽいじょ」
「……守備力強化の運命操作を重ねて回復を図ろうとしているのかもな」
援護射撃役のロベルタは同じく今回サポート役に徹するシビラに指示を仰ぎ、まずは手分けして軍勢の対処しつつ隙を衝いて魔王に仕掛けるという方針で纏まった。
4名全員、どうにか包囲は振り切ってユーベルコード封印は阻止できていたが、物量としての彼らは依然として健在だ。
「あ~魔王相手だと全然イマイチだった第六感がこいつらにはビンビンだじぇ♪」
ガンスピンからリロードを高速の動作で繰り返し空薬莢を量産しながら拳銃で連射するロベルタは他3名の隙をカバーする先読みと早撃ちで大いに戦線を支えた……が、流石にそろそろ大本命である魔王にもちょっかいかけたくなる頃だった。
「来るぞ――」
多くを減らしたとはいえ獣人の残党と猟兵が交戦する最中をあえて狙いすまして振り下ろされた巨腕。
じっと観察を続けたシビラを以ってしても完璧に見切り、他の仲間に指示を伝え、そして自らも躱すという一連の役割を大魔王相手に果たす事は極めて困難であった。
だが幸いにして、巨腕側の肩部に特に真新しく深いダメージを負って癒し切れぬままの状態から強引に繰り出した魔女狩りの一撃は十全の威力を発揮できない様子であった。
直撃だけは回避したシビラ達の足元には魔の毒沼が生まれつつあったが、
「凍てつけ……」
それまで全力回避から一転。
か細くも迷い無き墨の一声は【雪駆(ユバシリ)】一閃の呼吸。
すかさず居合いの呼吸から抜刀した大刀に冷気を纏わせる事でその毒性を封じ込めた、のみならず、巨腕が毒沼から引き抜かれるまさにその一瞬に、堅守を物ともせぬ魂だけを砕く一太刀を大魔王へと浴びせさえしたのだ。
『く――っ……』
「Plângeți liniștit……畳み掛けるぞ」
シビラもまた【冷視(アルゲオス・シレオ)】によって有視界内すべての毒沼の表面を凍りつかせて仲間達の道を切り開いた。
「うぇ~い♪ ――Occhi per occhi.Requiem per i peccatori!」
待ってましたとばかり【黒の腐食(コロージョネ・ネーラ)】の連射を始めたロベルタの援護先は、銀彩帯びる破魔の風そのものとなって駆け出した露である。
(女の人が気になるけど……もう迷わないわ!)
その銀刃が狙うべきはただ一点。
彼女の意図する所を察したシビラが大魔王の体表に作ったのは先の傷痕へと登り到る、氷結の道。
その上を渡る一陣の風は、【銀の舞(トリウィア・ロンド)】。
「レーちゃんv やっぱり大好き♪ ありがとv そして……ごめんね、女の人」
大魔王の肩傷へと叩き込まれた連撃は巨腕そのものを斬り落とすまでには到らなかったがその維持の為に膨大な『永劫回帰力』を消費せざるをえなかった大魔王にとって致命に近い一撃であった事は間違いない。
『足りぬ、足りぬぞ……おのれええええええ――っ!!!!!』
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
マレーク・グランシャール
【神竜】篝(f20484)と
裸の女を身体に取り込んだ奴(スカムキング)なら前にもいたが、見るもおぞましい
篝も女達の哀れな姿に心を痛めているだろう
最早元に戻れぬのなら仇を討つことで彼女らの魂を救うまで
行くぞ、篝!
敵の先制による強化は、篝が【慈愛灯明】で解除してくれるだろう
詠唱の邪魔をされぬようにかばいに入り、発動したら俺もまた【流星蒼槍】を唱える
碧血竜槍を遠投して当てたら双頭竜を召喚して背に素早く飛び乗り、額の宝石を狙いに行くぞ
これまで戦った魔王はいずれも赤い宝石を身につけていた
それが力の源か
敵の頭部に接近、双頭竜に襲わせると同時にジャンプし、魔に特攻する山祇神槍のランスチャージで破壊
照宮・篝
【神竜】まる(f09171)と
……っ!(魔女達の様子に絶句)
あれは…まるで、外も内も…食われて、搾られて……
永劫回帰、とは。おぞましい力を。
この苦しみが永劫終わらず、繰り返し続けるのだろう?
まさにオブリビオンの業を表したような……
【睡魔水晶】を掲げ、その力を解放する
安らぎの宵闇と、慰めの花を手向けに
その苦悶への労りになるよう祈ろう
まるがかばってくれる間に【慈愛灯明】を
魔王を強く照らし出し、その強化を解くぞ
魔女達の苦悶を慰め続けることで、かのものの力の抑制になればいいのだけれど…
まる、まる
私はとても悲しい……
――妖しく蠢く無数の腕、柔らかな乳房、地に落ちた肉塊、そして……声、唄、涙。
「……っ!」
欲しい儘に喰らったその全てを冒涜するかの如き大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』の惨たる異容に、照宮・篝(水鏡写しの泉照・f20484)はただただ絶句するしか無かった――それでも。
「裸の女を身体に取り込んだ奴なら前にもいたが、まったく、見るもおぞましい」
彼女がかろうじて立っていられたのは、その傍らにまる――マレーク・グランシャール(黒曜飢竜・f09171)が静かな怒りを吐露しつつ気遣う様に寄り添うてくれていたからであろう。
まるが言っているのはおそらく以前ともに戦った『腐臭の王』スカムキングについて。
どれほど醜悪でも、それでも、彼と彼の愛人は愛し合った末にああだったのだから篝も平静で居られたのかもしれない。
「あれは……まるで、外も内も…食われて、搾られて……」
受容と希望司どる女神にとってなお此れは容易には受け容れ難い、惨たらしき光景。
そんな、哀れな女達の有り様を実際に目の当たりした彼女の心痛を包み、だが決然と。
「最早元に戻れぬのなら仇を討つことで彼女らの魂を救うまでだ」
振り切るように大魔王へと向き直ったマレークは女神を戦さ場へと誘う。
――そうだ。己にしか出来ない戦いも……己だから出来る救済も、確かにある。
女神の紅き双眸にふたたび標たる希望の焔灯るのを見届けた黒き竜の、笑みにも満たぬ刹那の眼差し。
「行くぞ、篝!」
「あぁ。連れて行ってくれ、まる」
恐らくそれはここまで激闘を繰り広げてきた猟兵達の戦果だろう。
彼らの遭遇した『ラクリマ・セクスアリス』はすっかりと荒れ狂い穢毒の巨体を激しく揺らしくねらせ続け……。
『まだだッ、まだ足りぬ……! もっと『永劫回帰力』を喰らわせろ『魔女』共ッッ!』
本来の捕食者たる大魔王の本性も露わに猛り、その矛先として篝達の姿を見出す。
(……永劫回帰、とは。おぞましい力を。この苦しみが永劫終わらず、繰り返し続けるのだろう?)
まさにオブリビオンの業そのものを表したような存在達の為、女神の手から掲げられた黒水晶の短剣に花開く紅と白の雛芥子。
――苦悶強いられし彼女達のために、暗き宵闇と、安らぎの花を。
敵のパーツに過ぎないと断じられた『魔女』の為に篝が解き放った祈りは不可思議な力と化して……ゆっくりとゆっくりと『魔女』達が発する無数の狂騒は和らげられてゆく。
『貴様――何をしたっ!????』
『我が身』に起こった異変と異変の源に激怒した大魔王は渾身の力篭めて振り上げた両腕で篝を掴み潰そうとするも……その全てを一手に引き受けたマレークは今持てる己の全てを以って彼女を庇い、耐え切った。
故に、黄泉路照らす女神の詠唱を阻むものは最早なく――『泉照魂籠』から発せられた目映くも清浄たる篝火は、この眼前広がる惨たらしきをも遂には『受容』する。
【慈愛灯明(ガデス・オブ・アクセプタンス)】――あまねく照らす女神の慈愛の灯火は、大魔王から一切の強化効果を打ち祓い巌の如き堅守であろうと打ち砕いてゆく。
訪れる千載一遇の好機。されど、去来するは受け容れたからこその、いたみ。
「まる、まる。私はとても悲しい……」
「大丈夫だ篝――『涙』を穿て、蒼き稲妻を纏いし碧眼の双頭竜」
今すぐにその悲しみを終わらせるとばかり、マレークが投じた碧玉の長槍は『ラクリマ・セクスアリス』の顔へと深く突き立てられる。
それ自体は大魔王にとっては微傷も微傷。だが蒼き雷鳴と共に召喚された碧眼の双頭竜へ跨ったマレークによる猛追撃は【流星蒼槍(メテオ・ストライカー)】へと結実する。
「これまで戦った魔王はいずれも赤い宝石を身につけていた。ならば、それが力の源か」
魔を滅する『山祇神槍』の穂先が吸い込まれるように大魔王の赤き宝石を貫き……戦場に轟くは『終焉』砕く破砕の音。
マレークの読みが的中したか否かは最後まで定かでは無いままに『ラクリマ・セクスアリス』は此処に討ち取られ、大魔王第四形態の討伐はここに成し遂げられる。
「赤き破片が、まるで、血涙のようだな……」
遍くを喰らった末に因果応報の最期を迎えた大魔王から世界へととめどなく零れるその煌きは、取り戻された未来そのものの様に篝には想えたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴