アルダワ魔王戦争5-E〜隠れ潜み続ける蜘蛛
「皆さんお疲れ様です。
ダンジョンも、階層的には中盤といったところまできましたね。
さぁ、張り切ってまいりましょう。」
集まった猟兵達を見渡しながら、八咫は楽し気に話を続ける。
「さて、今回私が皆さんを送る場所ですが……。」
八咫の手のグリモアが輝くと、グリモアベースの壁に、薄暗い洞窟が映る。
……所々に朽ちた箱が置かれ、様々な小瓶が転がっている以外は、何の変哲もない洞窟だ。
「ここは元々、ダンジョンを探索する生徒たちの休憩所だったようです。
しかし、今はミミックスパイダーと呼ばれる蜘蛛の巣窟となってしまいました。
正直、私の目にはどれも同じに見えるのですが……確かに混ざっているようです。」
目を凝らして見ても、朽ちた箱や小瓶はどれも似たように見える。
「ここにいる個体は、特に擬態能力に長けたもののようです。
ミミックスパイダーについて聞いてみたところ、普通だったらもっと宝箱らしいものへと擬態して現れるとか。
ですが、ここにいる個体は周りの箱などとも見分けがつかないほどに姿を変えて、潜んでいます。
……まぁ、そのせいで体は脆く、動きも遅いので、倒すのはそれほど難しくはないでしょう。」
そう言って八咫の手のグリモアが輝きを放つと、薄暗い洞窟へとゲートが繋がった。
「元々、彼らは強力な魔物を生み出そうと研究されたモノたちのようです。
しかし、望む能力は得られても、それ以外が脆弱となってしまったモノたちです。
ここのモノたちが得たのは擬態能力……なので、見つけるのは大変かもしれませんが、一匹残らず倒してくださいね。」
ヨグ
ヨグです、アルダワ戦争シナリオ第3弾をお届けします。
このシナリオでは、以下の行動をとるとプレイングボーナスを得られます。
積極的に活用していただければ幸いです。
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プレイングボーナス……偏った特徴への対策
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第1章 集団戦
『ミミックスパイダー』
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POW : 擬態
全身を【周囲の壁や床に擬態した姿】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : 飛び掛り
【岩のように硬質な牙と脚】による素早い一撃を放つ。また、【擬態を解き、宝箱や岩石化した肌を剥がす】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 第二の口
【宝箱に擬態した第二の口】から【粘着性の高い糸】を放ち、【周囲の地形ごと体を縛り付けること】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:墨柴
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
中村・裕美
「……んーむ……無差別攻撃とかは……ダメから?」
擬態しているのも本物も関係なく攻撃するのが手っ取り早そうだけど、ここは慎重に行きましょうか。何があるかわからないし
とりあえずは【エレクトロ・レギオン】を使って周囲を【情報収集】。更には周囲の空間ごと【ハッキング】を仕掛けて周囲の生体反応を探る。
「……これで……見つかるかしら?」
見つかれば、攻撃を仕掛けるし、見つからなければ、一部のレギオンに先行してもらい、囮になってもらう。
自分が狙わた時用にレギオンの何体かは護衛で周囲をうろつかせておく
「……私を止めても……レギオンは止まらないわよ」
万一縛られたら、倒した後に助けてもらおう
レシア・ラミリィズ
アドリブ共闘歓迎ですわ
相手は容器を背負い、岩や壁に擬態する蜘蛛、ですのね
でしたらその擬態、わたくし「達」が暴いてみせますわ
指を一噛み、血を垂らし『ファミリアー』を生み出しますの
わたくしの使い魔は嗅覚に優れし狼達
きっと蜘蛛達の欺瞞も嗅ぎ分け、看破してくださいますわ
さあ、お行きなさい、愛らしきあなた達
もし蜘蛛達…ミミックスパイダーを発見したり姿を現したら
『鮮血剣カーミラ』を抜剣、UC【緋色に濡れし殺戮の刃】を発動
たとえ固い岩の肌相手でも、わたくし結構力には自信がありますの
人の身外れし『怪力』で無理矢理断ち割ってみせますわ
自ら岩肌を脱いでいたならば勿論、そこをなるべく狙いますわね
「ふむ……相手は容器を背負い、岩や壁に擬態する蜘蛛、ですのね。」
暗くじめっとした洞窟の中、ごちゃっと置かれた箱などを前に呟く、レシア・ラミリィズ(鮮血剣姫・f24125)。
「でしたらその擬態、わたくし『達』が」
「……あの。」
自信たっぷりに使い魔を呼び出そうとしたレシアの後ろから、自信無さげに言葉をかける中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)。
レシアは怪訝そうに振り返り、
「どうしましたの?」
「あ、その……無差別攻撃とかは……ダメ、かしら?」
「ふっふふ、それもいいでしょう。ですが、」
レシアは見るだけでも禍々しい剣、鮮血剣カーミラを引き抜き、床に落ちた朽ちた箱を指して、
「ただ壊すのは、美しくありませんわ。」
「あ……はい。じゃ、じゃあ……。」
ポケットからばらばらと小さな機械兵器、エレクトロレギオンを取り出す中村。
それを見たレシアも自身の指をひと噛みし、
「わたくしの使い魔にも、手伝ってもらいますわ。」
ぽたりと垂れる赤い雫から生み出されるのは、血を求めし狼たち。
1匹の頭を撫でながら、
「嗅覚に優れたこの子達なら、きっと蜘蛛達の欺瞞も嗅ぎ分け、看破してくださいますわ。」
「うん……こっちも、がんばるわ。」
中村も機械兵器たちを周囲へ放ち、落ちている物からの生体反応を調べていった。
レシアの前を歩く狼が、朽ちた箱に向かって一声吼える。
「……そこね。」
鮮血剣を引き抜き、構える……その刃がぬらりと、鮮血のごとき赤に輝いた。
「思うが儘に屠りなさい、鮮血剣!」
ガキン! ……振り下ろされた刃は箱を砕き、床に弾かれる。
しかし、何度も何度も振られた刃は外皮を破り、紫の鮮血をまき散らす。
「わたくしの力でもすぐには砕けないとは……脆いとは聞きましたが、かなりのものですわね。」
「……ひやああ!」
悲鳴に振り返ると、中村が瓶の口から吐き出された蜘蛛の糸に絡まれ、そのまま縛られていた。
「何をしていらっしゃるの?」
「ん……ご、ごめんなさい、びっくりして。」
見れば、瓶とその周囲がゆっくりと動いている。
「待ってなさい、今助けるわ。」
「ん、大丈夫……。」
口を開けたミミックスパイダーの中へ飛び込む、機械兵器たち。
そのまま動きが鈍ったかと思えば、バリバリと内側から電撃が走り……煙を上げる口から機械兵器たちが出てきた。
「……一つ、波長を見逃してたわ。……でも、次は……大丈夫よ。」
「そう、気を付けなさいな。」
レシアが歩み出した時、周囲の状況を映し出した仮想モニターを見ていた中村が指さしながら、
「あ……その足元。」
「……これかしら?」
落ちていた箱の欠片が動き、糸を吐こうと口が開く。
その瞬間、レシアの剣が突き刺さり……ミミックスパイダーがまた一匹倒されていった。
「なかなか厄介ですのね。」
「本当……ね。」
「一緒に探しましょう? その方が早そうですわ。」
「そうね。……あ、その狼が匂い嗅いでる所。」
「これですわね!」
……こうして、意外と息の合った二人は協力して退治していくのだった。
大成功
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月凪・ハルマ
擬態するモンスターか、如何にもダンジョンっぽいなぁ
◆SPD
それじゃ早速、【ガジェットショータイム】発動
体温や呼吸による二酸化炭素の排出等の
生体反応を検知するセンサーを召喚しよう
向こうは箱という無機物に擬態擬態してる訳だけど、
生き物である以上、その手の反応は消しきれるもんじゃない
召喚したセンサーを使ってしっかり【情報収集】すれば、
擬態かどうかは見破れるはずだ。
後は発見した端から手裏剣の【投擲】で片づけていく
襲われた場合は【見切り】【残像】で回避
同行者がいるなら、手分けして効率よく倒していければ理想的だな
※アドリブ・連携歓迎
ガーネット・グレイローズ
薄暗い洞窟…この中に、擬態した敵が潜んでいるのか。
よし、お前の出番だ。いけ、たまこ!
にわとり型ドローン『メカたまこEX』を洞窟内に飛ばし、<暗視>モードに設定して内部を撮影。たまこの視界映像は私の手元にある端末に送信されるから、それを元に小瓶や箱といった怪しいオブジェクトに目星をつけていこう。物体に近づきながら、【イデア覚醒】を発動。物事の本質と先行きを見通す<第六感>を以て、蜘蛛の気配を感じ取ってみせるぞ。蜘蛛が襲ってきたら、スピード第一でブラックバングルから<衝撃波>を放ち対応。さらに<念動力>でスラッシュストリングを操り、高速で振動させる。糸鋸の要領で切り裂く<鎧無視攻撃>だ。
「薄暗い洞窟……この中に、擬態した敵が潜んでいるのか。」
周囲を眺めながら呟く、ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)。
「そのようだ。にしても、擬態するモンスターって、如何にもダンジョンっぽいなぁ。」
その隣で被った帽子を触りながら様子を見ている、月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)。
二人の目には、周囲の箱などが動いているようには見えない……。
「よし、お前の出番だ。いけ、たまこ!」
このままではらちが明かないと、ガーネットは懐からニワトリを模したドローンを飛ばす。
メカたまこEXと名付けられたドローンは周囲を暗視モードで撮影し、それはガーネットの手元の端末に映し出される。
「へぇ、便利だな。」
「まぁな。これで怪しい場所は……この辺か?」
ガーネットが端末を指さした場所を月凪が覗くと、朽ちた箱と複数の瓶。
「んじゃ、調べてみるか。」
月凪の握り込んだ手の中で、変わった形のセンサーが生み出される。
周囲の体温、呼吸による二酸化炭素などから生体反応を検知するそれを、目星をつけた場所へ放ると……明らかな反応が示された。
「ビンゴだな。」
「よし、では私が行こう。」
「あぁ、援護は任せてくれよ。」
月凪が懐から手裏剣を取り出すのを見て頷き、ガーネットは反応のあった場所へと近づいていった。
「さて……と。」
朽ちた箱のすぐ横まで近づいた時……ガーネットの勘が告げる。
次の一歩を踏み出した時、床に擬態したミミックスパイダーの足が襲い来ると。
「解っていれば、何も問題はない。」
無造作に次の足を地に付ける……瞬間、周囲からわさわさと蜘蛛の足が持ち上がった。
「……思ったより遅いな。」
それは見てから躱す余裕があるほどゆっくりで……襲い来る足から跳び退るガーネット。
持ち上がる足の根本に突き刺さる、月凪の投げた二つの手裏剣。
「ヒット!」
「よし、では斬り刻んでやろう!」
突き立った手裏剣によって傷つけられた外皮に、巻き付いて喰い込むスラッシュストリング。
ガーネットの念力に、振動と共に挽かれ……ミミックスパイダーは紫の血をまき散らしながら、解体されていった。
「へへ、上手くいったな。」
「ああ、そうだな。」
手裏剣についた血を拭う月凪と、また端末を覗き込むガーネット。
「次はここだろうか?」
「かな? 一応調べてみるか。」
先ほどと同じように、二人で確実にミミックスパイダーの数を減らしていったのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】(連携・アドリブ可)
「えー、ぱっと見ても蜘蛛なんか見当たらないよ」
フィオ姉ちゃんと一緒にミミックスパイダーをやっつけに来たんだけど、
どうやって見つければいいんだろう?
【行動】()内は技能
「ええっ、まさかの力技!?」
フィオ姉ちゃんの氷雪の竜巻にビックリしたけど、ボクも頑張らないと。
「そっか、そういう手もあるよね」
今度はボクの番ということで[全力魔法]で【ラビリント・ネプトゥノ】だね
絶対零度の氷壁で洞窟内を覆うんだ。
これなら壁や地面の上に擬態していてもまとめて凍らせちゃうよ
あとは怪しく残っている物をターゲットにして【ロンギヌスの槍】を発動だね!
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(連携・アドリブ可)
「擬態は完璧といったところね」
フォルセティと一緒にミミックスパイダーを殲滅する
■行動
「うーん、そうね。片っ端から破壊すればいいのよ」
洞窟の入り口に立ち、[全力魔法]で【フィンブルの冬】を発動
[範囲攻撃]で洞窟内を氷雪の竜巻で覆いつくす
「フォルセティだって色々できるでしょ?」
弟のUCに任せつつ、周囲の警戒は怠らない。
粘着性の高い糸が飛んで来たら[高速詠唱]から【アイギスの盾】を展開し相殺する
「さて、ここまでして壊れていない物が怪しいわね」
残りの『物』をターゲットに、弟との連携技で【ロンギヌスの槍】を
発動して、徹底して破壊しつくす
「……ねぇ、ここにいるんだよね?」
「そのはずよ。」
キョロキョロと見て回る弟のフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)を、微笑ましげに見ているフィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)。
「えー、ぱっと見ても蜘蛛なんか見当たらないよ?」
「……擬態は完ぺき、といったところね。」
「どうやって見つけたらいいんだろう?」
「うーん、そうね……。」
フォルセティに聞かれ、フィオリナは洞窟の方へ歩き……、
「片っ端から破壊すればいいのよ。」
「……え?」
あっけにとられたフォルセティの目の前で、光り輝く白銀のドレス姿に変わり、氷雪の竜巻を解き放つフィオリナ。
「ええっ、まさかの力技!?」
「そうよ。……でも、よく見て。」
いくつかの箱や瓶が竜巻によって壊され、飛ばされる中……動かないモノも見える。
「ここまでやって壊れたり飛んだりしない物って、怪しいでしょ?」
「そっか、そういう手もあるよね。」
「フォルセティだって色々できるでしょ?」
「うん、それならこうしちゃおう!」
思い浮かんだ呪文を詠唱し始めるフォルセティ。
「凍結を抱きし、冷雪の英霊よ。彼の者に封縛の柩を捧げよ!」
洞窟に霧が立ち込め……床や壁が凍り付いていく。
脆くなった瓶が砕け散るが、それでも残るものがちらほらと見えていた。
「へぇ、こうしてみると解りやすいね!」
残る箱の一つに無造作に近づいたフォルセティ。
箱がわずかに動いた……瞬間、床に擬態していた蜘蛛が糸を飛ばす。
「危ない!」
「え、ひあ!?」
フィオリナの高速詠唱から生み出される魔力の盾に弾かれ、糸は空中に止まっていた。
「もう、危ないじゃない。」
「あはは……ごめん、フィオ姉ちゃん。」
「まぁでも、どれを倒せばいいか解ったわ。」
残る箱や瓶を見るフィオリナの楽し気な表情から、次に何をすべきか理解したフォルセティ。
「いくよ、フォルセティ。」
「うん!」
二人は詠唱を始め……周囲に氷と雷の槍が複数生み出される。
それらは合わさり、稲妻走る氷の閃槍となった。
「「全てを貫け、ロンギヌスの槍よ!」」
二人の息の合った掛け声とともに解き放たれ、朽ちた箱を貫いていく。
閃槍は床ごと貫き……擬態していた蜘蛛たちの悲鳴が響き、あとには黒焦げの骸だけが残っていた。
大成功
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霧島・絶奈
◆心情
結果は残念ですが、面白い試みですね
…私も久し振りに、何か創りたくなります
◆行動
『暗キ獣』を使用
軍勢による人海戦術を駆使し、全ての物品を入念に調べます
その際は纏めて絡め捕られない様、小隊規模に別けて索敵させます
また、彼らには【罠使い】の技能を活かし作成した「糸を焼き切れる程度の火炎瓶」を持たせておきます
私も【オーラ防御】を展開しつつ【聞き耳】を立て索敵
基本的には直接物には近づかず軍勢のフォローに努めましょう
敵を発見したら【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】
負傷は【生命力吸収】で回復
涅槃寂静で死の霧を行使して室内を丸ごと棺桶にしても良いのですが…
結局確認作業は必要ですからね
御形・菘
はっはっは、妾に擬態を見破る頭脳プレーを要求するのはお門違いであるぞ?
…後から字幕解説なんかの編集が面倒だからとか、別にそんな理由ではない!
とゆーことで、うまく当れられるかどうかは一切関係ない!
勢いよく跳び上がり、狙いも決めずそこらに適当に叩きつける!
潰れて果てろ、楽土裁断!
今、お主らに真に必要なのは能力ではない! 天運よ!
妾の尻尾とその余波が当たらんことを、怖れながら願うがよい!
まあ片っ端から次々ブチ込んでいくから、寿命がどこまで伸びるかの違いでしかないがな!
擬態を解いて逃げる奴は、左腕でボコっとな
しかし本当に姿が見えんから、これでは妾が洞窟を破壊し尽くすだけの動画になるのではないかのう?
一方、洞窟の奥側に残る蜘蛛……もとい、適当な場所へ自身の蛇尾を叩きつける、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)の姿があった。
実際ただの床だったようだが、そこからくるりと振り返り、
「はっはっは、妾に擬態を見破る頭脳プレーを要求するのはお門違いであるぞ?」
映像を写すドローンへと言い放つ。
「……いや、後から字幕解説なんかの編集が面倒だからとか、別にそんな理由ではない!」
強靭な蛇尾で跳び上がり……見当を付けた瓶を叩き潰す御形。
そして、そんな様子を微笑まし気に見つめる、霧島・絶奈(暗き獣・f20096)。
「獲ったぞー! やはりこのやり方に限るわ、はーっはっはっは!」
「ふふ、楽しそうで何より……それにしても、」
御形の尾に叩き潰され、紫の体液を吹き出して動きを止める蜘蛛を眺め、
「結果は残念ですが、面白い試みですね。……私も久し振りに、何か創りたくなります。」
呟く霧島の周りを蒼白い燐光の霧が包み、足元に魔法陣が広がる。
魔法陣から生み出されるのは、簡単な火炎瓶と槍を持つ屍者の群れ。
「まぁ今は、人海戦術でいきましょう。」
呼び出した屍者たちを小隊に分け、怪しげな物体の探索へと向かわせた。
「潰れて果てろ、楽土裁断(ジャッジメント・テイル)!」
ドスン……朽ちた箱の横に叩きつけられた御形の尾。
地面にひびが入るが、ここに蜘蛛はいなかったようだ。
「今、お主らに真に必要なのは能力ではない! 天運よ! 妾の尻尾とその余波が当たらんことを、怖れながら願うがよい! ……おや?」
御形はそんなことは気にせず、次の場へと飛ぼうとした時……床のヒビの走り方に違和感を覚えた。
近くの箱の周りだけ、ひびができていない……。
「はっはっは! そこかぁ!」
異形の左腕を勢いよく叩きつけると、ぐしゃりと潰れる蜘蛛の姿。
「しかし……潰すまで本当に姿が見えんから、これでは妾が洞窟を破壊し尽くすだけの動画になるのではないかのう?」
「ふふ、そうかもしれませんね。」
いつの間にか近くにいた霧島。
「おや、お主は部下を見ていなくてよいのか?」
「ええ、彼らでも何とでもできそうですから。」
その言葉に御形が周囲を見回すと……小隊となっている屍人の数人が突然燃え上がる。
「……本当に、大丈夫であるか?」
「まぁ見ていてください。」
足元に槍を突き刺していく屍人達、そこでは蜘蛛が体液を吐き散らしていた。
燃えていた屍人の火もすぐに消え、少し焼け焦げてはいるがすぐに動き出す。
「蜘蛛の糸を燃やしているだけで、彼らの動きを止めることはできません。」
「なるほどのう、なかなかに頑丈じゃな。ま、妾には劣るがな!」
「ふふ……それにしても、」
霧島は目深に被ったフードから覗く口元に、残虐な本性を示す笑みを浮かべ、
「死の霧を行使して、室内を丸ごと棺桶にしても良かったのですが……。」
「……それはやめてくれ、妾も死んでしまうぞ。」
「ええ、そうなんですよね。確認も必要ですし、後始末を考えれば今のやり方が一番です。」
「ふっふっふ……であれば続けようではないか!」
ドローンに見守られ、御形が跳び上がり、
「楽土裁断(ジャッジメント・テイル)!」
朽ちた箱へと姿を変えていた蜘蛛を叩き潰していった。
猟兵達の活躍により、ミミックスパイダーの群れは一匹残らず駆逐された。
次にここが使われる時には、安全に休める休憩所となるだろう。
その時が来るように……猟兵達は次の戦場へと向かっていったのだった。
大成功
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