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棄てられしモノの哀歌

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●ガラクタの底で
 棄てられた地の底で、“それ”は目覚めた。
 なぜ自分が棄てられなければならなかったのか。
 ――失敗作だからと、創造主は言っていた。
 そう創ったのは、自分だろうに。
 自分と同じように棄てられた幾千のガラクタの底で、“それ”は静かに復讐の機会を窺う。
 復讐の相手は、創造主ではない。あの無能な男は、最後まで完成品を生み出すことができず、悲嘆の内に死んでいった。
 復讐すべきは、全てを過去に変えて、過去を骸の海に沈めて、のうのうと“今”を生きている全ての者達。
 過去を捨て、過去を忘れて、過去などなかったかのようにふるまう愚か者たち。
 今こそ棄てられたモノたちの絶望を、怒りを、哀しみを、お前達にも教えてやろう。
 そのためにこそ、私は再び目覚めたのだから。

●迷宮への誘い
「アルダワ魔法学園で、これまで知られていなかった区画が発見されました」
 グリモアベースに集う猟兵達に、エルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)は冷静な声でそう告げた。
「その区画はダストシュートの先にある、いわばゴミの集積所です。まさかその先に繋がる区画があるとは、誰も思わなかったようですね」
 しかし、エルシーはそのゴミ集積所の奥に、強力なオブリビオンがいることを予知したのだという。
「オブリビオンが何者かまでは、ワタシにも分かりません。しかしそのオブリビオンが『棄てられた存在』であって、今を生きる者達に激しい憎しみを抱いているということまでは分かっています」
 そこで、オブリビオンが動き出す前に迷宮を突破し、そのオブリビオンを撃破して欲しいのだとエルシーは告げた。
「ただ、ダストシュートの先は破損した魔導蒸気機械の部品がうず高く積み上がっていて、どこに次の部屋に通じる入り口があるのか、見つけるのは困難かも知れません。もしかしたら、ガラクタの山に入り口がうずもれている可能性すらあります」
 その部屋にトラップはないようだが、足場は不安定で、予期せぬ危険もあるかもしれない。モンスターの類もいないはずだが、誤作動を起こした魔導蒸気機械が襲い掛かってくる可能性もゼロではないだろう。
「そして、ガラクタの山の区画を抜けると、今度は一面に宝箱の置かれた部屋へと出るはずです」
 その宝箱の中の一つないし幾つかに、オブリビオンがいる部屋の手掛かりが隠されているようだ。ただし、当然罠のかかった宝箱や、モンスターの擬態した宝箱もあることだろう。
「迷宮探検に危険は付き物ですが、今回は特に予期しない危険に出くわす可能性があります。みなさん、くれぐれもお気をつけて」
 そう言ってエルシーは、猟兵達を送り出したのだった。


J九郎
 こんにちは、J九郎です。
 今回はちょっと変わった迷宮探索になります。

 1章ではガラクタの部屋を、2章では宝箱の部屋を突破して、オブリビオンのいる部屋を目指してください。

 それでは、みなさんのプレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『ガラクタの山』

POW   :    体力まかせに突っ切る。

SPD   :    バランス感覚で乗り切る。

WIZ   :    慎重に足場を選んで渡る。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎

「魔導蒸気機械の部品……エンジニアである私にとっては、宝の山ですね」

以下の内容で突破を目指します。
・【SPD】
・方針:偵察用の飛行ドローンを展開して空洞の有無、壁の厚さや空気の流れを調査する
・UC説明:LV(20)回空中ジャンプ

(UC)
「足場が不安定なら空中でゆっくりジャンプしながら、安定した足場を【視力】と【暗視】能力で探しましょう」
「調査はこのドローンに行って貰いましょう」

(ドローン調査での周囲の地形調査)
「【メカニック】らしく、ドローンをこの【早業】で操作して入り口を探査します」
「入り口候補が埋まっているなら、【スナイパー】として【一斉発射】で物理的に掘りましょう」


ナズヴィ・ピャー
ふむ…ガラクタの山ですか
使えそうな物が埋もれてたりしませんかね

●崩れやすい細かなガラクタの山を避けて大物を足場に
・小柄・軽量な体躯をいかしてひょいひょい進む
三角飛びだのフック付きロープっぽいものを駆使して上り下り
「博士」曰く、「要人」の暗さ……ゲフンゲフン
警護も視野に入れた仕様だそうです

●使えそうな物は拾う
・おや、コレは珍しい
●×式△□年もののパーツではないですか…
軽く磨けばそのまま使えそうですね

●次の部屋はどこ
・案外天井にあったりしませんかね
ダストシュート的な穴に横穴があったりとか…

・あるいは常識が通じない所に
このガラクタというか機器に…こんなデカいハッチありましたかね(ガチャー 的な



●ガラクタ漁り
「魔導蒸気機械の部品……エンジニアである私にとっては、宝の山ですね」
 クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)はそう呟くと、颯爽とダストシュートに身を躍らせた。
 そしてシュートを抜けた先に広がっていたのは、100メートル四方はありそうな広大な部屋だった。天井までの高さも10メートルほどあり、その天井間近まで、無数のガラクタが積み上げられている。
「ふむ……これはみごとなガラクタの山です。何か使えそうな物が埋もれてたりしませんかね」
 ナズヴィ・ピャー(不忠犬ナズ公・f03881)はぼんやりとした様子で周囲を見回しながら、手近なガラクタを手に取ってみた。
「おや、コレは珍しい。ルルセント式397年もののパーツではないですか……。軽く磨けばそのまま使えそうですね」
 思わず目的を忘れてガラクタに見入ってしまうのは、ガジェッティアの宿命だろうか。
 同じく機械には目のないはずのクネウスはしかし、誘惑を振り切って自動哨戒型飛行ドローン『D6ID』を発進させた。
「調査はこのドローンに行って貰いましょう」
 そしてメカニックらしく、ドローンを早業で操り、入り口を探していく。クネウスの装着したゴーグルには、ドローンから送られてくる地形情報――空洞の有無や壁の厚さ、空気の流れなどが次々に表示されていった。
「このガラクタの下に空洞があるようですが」
 クネウスはブースト機能を解放し、あたかも空中を蹴るようにしてガラクタの山を飛び越えると、安定した足場をサイバーアイで強化した視力で見極め、着地する。
「空洞はこの下ですね。一々掘り返していたら時間がかかりますので、ここはスナイパーとして物理的に掘りましょう」
 言うや、装備した複数のアームドフォートを同時に起動。そのまま一斉発射してガラクタを吹き飛ばした。
「……外れ、ですか。まあ、これだけ広ければそう簡単に次の部屋の入り口は見つかりませんよね」
 クネウスは気を取り直すと、再びドローンからの情報に目を通し始める。
 一方、ナズヴィは小柄・軽量な体躯をいかして崩れやすい細かなガラクタの山を避け、大物を足場にガラクタの中をひょいひょい進んで探索を進めていた。
「おおっと、今のは危なかったですね」
 それでも、足場が崩れそうになり、危うくガラクタと共に滑り落ちそうになることも一度や二度ではなかった。だがその度に、フック付きロープっぽいガジェットを駆使して危機を乗り切る。彼女を生み出した『博士』曰く、「要人」の暗さ……もとい警護も視野に入れて取り入れられた仕様らしい。
「しかし、これだけ探して見つからないとなると、入り口は意外な場所にあるのかも。……案外天井にあったりしませんかね」
 そう言って天井を振り仰ぐナズヴィ。だがそこには、地上へと通じるダストシュートの出口以外に開口部は見つからない。
「あるいは常識が通じない所にあるとか……。たとえばこのガラクタというか機器に……こんなデカいハッチありましたかね」
 それは何らかの医療機器だろうか。ナズヴィは大型のカプセルっぽい機器のハッチの横にあったスイッチを何気なく押してみた。
 プシューッという空気が抜けるような音と共にハッチが開かれ――中から飛び出した四足獣型のモノが、ナズヴィに襲い掛かっていた。
「!? なんですか、これは」
 思わず飛び退いたナズヴィは、それが猫型のゴーレムの一種であると分析すると、フック付きロープを放ってがんじがらめにし、その動きを封じる。
「どうやら、うかつにガラクタに触れない方がいいみたいですね」
 広大なガラクタ部屋の探索は、思った以上に困難な作業になりそうだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

花宵・稀星
うむむ棄てられた存在、のオブリビオンですか。
私自身、何故か気づいたときには洋館に1人、置き去りにされていたのですが。そもそも、棄てられてそうなったのか、他に何か事情があってそうなったのか分からないんですけどね。

思うところはあるですが、今はまず先に進むことです。
足場が崩れやすい場所のようですから、ミレナリィドール持ち前の学習力と知恵を絞って、安定している足場、崩れやすい足場を見極めるです。

自身が安定した足場を選んで渡るのはもちろんのこと、他の方にも気づいたことをアドバイスするですよ。


マキナ・アストロロギア
ガラクタ部屋…私が目覚めたのもこのような場所であったな。

さて、探索だがここは慎重に行くとしよう。
我が占星術…という名の「第六感」をもって安全な足場を見極めつつ、次の部屋の手掛かりを探す。
…ようは勘だが、そこはまぁ、突っ込まないのが優しさというものだ。

うっかりバランスを崩してしまったら「属性攻撃」…今回は攻撃では無いが…風を起こして助けてもらうか。
私の未熟な術でもそれぐらいなら可能であろう。

怪しい箇所…そうだな、不自然な盛り上がりやへこみは怪しいと思う。
そういった箇所を見つければ、また「属性攻撃」で障害物は吹き飛ばし掘り起こす。
威力が足りないなら「全力魔法」も使うぞ。

【アドリブ、絡み歓迎】



●ガラクタに埋もれたモノ
「うむむ。棄てられた存在、のオブリビオンですか。私自身、何故か気づいたときには洋館に1人、置き去りにされていたのですが」
 花宵・稀星(置き去り人形・f07013)は、自分とそのオブリビオンの境遇に不思議な共通点を見出し、複雑な気持ちになる。
「まあ私の場合、そもそも棄てられてそうなったのか、他に何か事情があってそうなったのか分からないんですけどね」
 努めて明るく言う稀星に、共にこの部屋に降り立ったマキナ・アストロロギア(機械仕掛けの救世主・f12318)が相槌を打った。
「ガラクタ部屋、か……私が目覚めたのもこのような場所であったな」
 マキナもガラクタの広がる空間を目の当たりにし、自身が生み出された場所を思い出す。
 誰かに創造された多くのミレナリィドールにとって、このガラクタの山は原風景と呼ぶべきものなのかも知れない。
「……思うところはあるですが、今はまず先に進むことです」
「そうだな。我が占星術をもって、安全な足場を見極めてみせよう」
 こうして2人は、慎重に部屋の探索を開始した。
(「占星術、といってもようは勘だが、そこはまぁ、突っ込まないのが優しさというものだ」)
 マキナは心のうちでそう呟きつつ、第六感を駆使して手掛かりを探していき、稀星はミレナリィドール持ち前の学習力と知恵を活用して、出口を探し求める。
「とはいえ、これだけ広いとどこから探していいのか分かりませんね。どこか怪しい箇所とかないでしょうか」
 稀星がそう言って周囲に視線を巡らせると、マキナはしばし考えこんだ。
「怪しい箇所……そうだな、不自然な盛り上がりやへこみは怪しいと思う。試してみるか」
 マキナは懐からアストロダイスを取り出すと、目星をつけたポイント目掛けて転がす。コロコロと転がったダイスは、やがて“風”の面を上にして止まる。するとたちまち巻き起こった竜巻が、周囲のガラクタを吹き飛ばした。だが、ガラクタが吹き飛んだ後には、出入り口らしきものは見当たらなかった。
「……ん? なんだこれは」
 吹き飛ばされたガラクタの中に気になる物を見つけ、マキナはそれを拾い上げる。それは、人の腕のようだった。
「いえ、人間の腕ではありませんね。人形の腕……?」
「あるいはミレナリィドールの腕、だな」
 マキナと稀星は、複雑な思いでその腕を見下ろした。
 想定されて然るべきだった。ここが魔導蒸気機械の破損品を捨てるための場所だというのなら、当然失敗作のミレナリィドールやその部品も廃棄されているだろうということに。
 『不良品』扱いを受けてきたマキナにとっても、過去の記憶を持たない稀星にとっても、それは一歩間違えれば自分が辿っていたかも知れない末路だ。
「……感傷に浸っている場合ではなかったな。先へ進むとしよう」
「……そうですね」
 拾った人形の腕を、供養するように埋葬すると、2人は再び手掛かりを求めてガラクタの山に挑んでいったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

夜暮・白
宝箱! それも棄てられたものかな?

方針:
他の猟兵と手分けして入口を探す
迷ったらダスト穴の下の壁から調べる

情報収集:
暗かったら聖なる光を投げ入れ、ゴミの山を照らして全容を見る
明るければ入る前にじっくり観察
他と違いそうな場所がないか野生の勘も働かせて目星を付ける

移動:
ブラックタールの体を活かして慎重に忍び足で渡る

対魔導蒸気機械:
挨拶したり他に仲間がいるか聞いて意思疎通が取れないか試す
襲われたらライトで誘導するか部品を投げて気を引き、地形の利用で足を取らせ動けないように埋める
近づかれすぎたらバウンドボディで思いっきり跳ねて避ける

機械の部品を見て:
いろんな形があって面白い。リサイクルとかしないのかな



●ガラクタの中から
「宝箱! それも棄てられたものかな?」
 綺麗なものに目がない夜暮・白(燈導師見習・f05471)は、早くも宝箱の存在にワクワクしていた。しかし、宝箱の部屋に辿り着くには、まずはこのガラクタの部屋を抜ける必要がある。
「聖なる光よ、闇を照らして」
 【生まれながらの光】で生み出した光でガラクタの山を照らし、他と比べて違和感を感じる場所がないか、野生の勘を働かせながら目星を付けていく。
「それにしても、いろんな形があって面白い。リサイクルとかしないのかな」
 足元に落ちていた、歯車が組み合わさったような部品を拾い上げた白は、ふと視界の端に何かを捉えた。
「あれ? 今あそこで何か動いたような」
 ガラクタの山の上で何かが動いたのに気付いた白は、ブラックタールの身体特性を活かして、慎重にガラクタの山を忍び足で登り始めた。
 だが、白が登りきるより先に、頂上付近のガラクタが勢い良く崩れ始める。
「わ、わわ」
 そして、慌ててバランスをとる白に、ガラクタの山から飛び出してきた“人形”が襲い掛かってきた。白の出身世界風に言えばマネキンのような、つるっとした何の装飾もない人形だ。その人形が、まるで人間そのもののような滑らかな動きで、殴りかかってくる。
「ちょ、ちょっと待って! 話し合おうよ」
 攻撃をかわしながらなんとかコミュニケーションを取ろうとする白だったが、マネキン人形は言葉が通じないのか、攻撃を止める気配はない。
「こっちに来ないでよ!」
 白は落ちていた宝箱のようなものを投げつけて気を逸らしつつ、【バウンドボディ】を利用して思いっきり跳ねることで人形と距離を取った。
「あれ? 追ってこない?」
 ある程度の距離を逃げたところで、人形が再びガラクタの山に戻っていったのを確認し、白は首を傾げる。
 白を見失ったのか、それとも――。
「あそこを、守ってたのかな?」
 だとすれば、あの周辺をさらに調べてみる価値は、あるかもしれない。
 白はさっそく、その情報を他の猟兵達に伝える事にしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナズヴィ・ピャー
●いまだ見つからない出口を探して
入り口だったかもしれません

…変なのに襲われるし、ロクな所じゃないですね
奇抜な所にあるかな、と思いましたが…普通に埋もれてるんでしょうかね?

●ガラクタの隙間に潜ってみますか
狭いですね おまけに暗い
…摩擦低減管を起動して潜りやすくしましょう

●雪崩と崩落に注意しつつ潜る
ライトで照らしつつ進んできた方向を床なりガラクタにカキカキ
…何か進む方向を示すような物とか不自然なガラクタ、ありませんかね…

●入り口を発見出来た場合
後続のことも考えてガラクタをうまいこと片付ける
というか邪魔にならなそうな所に寄せておく
重そうな物は摩擦低減管で滑りやすくして押せばなんとかなるでしょう



●ガラクタの隙間に
「……変なのに襲われるし、ロクな所じゃないですね」
 先程猫型ゴーレムに襲われたナズヴィは、そうぼやきながらも探索を続けていた。
「奇抜な所にあるかな、と思いましたが……普通に埋もれてるんでしょうかね?」
 そんなことを考えていた時だった。他の猟兵から、マネキン人形が守る区画があるとの連絡を受けたのは。
「怪しいのは分かりましたが、人形に襲われるのは嫌ですね……。そうだ、ガラクタの隙間に潜ってみますか」
 ナズヴィはさっそく連絡のあった怪しい区画まで赴くと、小柄な体躯を活かしてガラクタの隙間にその身を捻じ込んだ。
「狭いですね。おまけに暗い」
 いくら小柄とはいえ、不規則に積み上がったガラクタの中を進むのは普通の人間には至難の業だ。ナズヴィは【摩擦低減管】を起動して、自らの体の摩擦抵抗を極限まで減らすことで、なんとかガラクタの中を進むことを可能にしていた。
途中、道に迷わないように印を付けておくのも忘れない。ガラクタの上の方で激しい物音が聞こえるのは、この山を守っていたガラクタ人形と他の猟兵が戦っている音だろうか。
 そうしてガラクタの山の中央付近まで辿り着いたナズヴィは、ライトを点灯させた。
「……何か進む方向を示すような物とか不自然なガラクタ、ありませんかね……」
 周囲を見回したナズヴィは、人一人が余裕で入れそうなほど巨大な宝箱が埋まっているのを発見する。
「宝箱……確かグリモア猟兵が、次の部屋は宝箱が一杯の部屋だとか言ってましたね」
 であれば、この宝箱も無関係とは思えない。宝箱の周囲のガラクタを【摩擦低減管】で滑りやすくして押しのけていくと、やがて宝箱の蓋を開けるだけのスペースを確保できた。
「では、さっそく開けてみましょう」
 幸い、鍵などはかかっていない。ナズヴィは蓋を開けて中を覗き込むが、その中身は空っぽだった。
「こんなに苦労したのに外れとか……。ん?」
 よく見ると、宝箱の底に取っ手のようなものがある。ナズヴィがその取っ手を引っ張ると、宝箱の底がぱっかりと開き、その先には広大な、宝箱だらけの空間が広がっていた。
「入り口まで宝箱とは、変な部屋ですね」
 ようやく次の部屋へと通じる入り口を見つけたナズヴィは、さっそく他の猟兵達に連絡を取る事にしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『宝箱がいっぱい!』

POW   :    片っ端から開けていく、力づくで罠を突破

SPD   :    効率よく解錠や罠の解除を行う

WIZ   :    箱の外側や周囲に手掛かりがないか探す

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●宝箱の部屋
 そこは、だだっ広い空間だった。広さ的には先程までいたガラクタの部屋と変わらない程度だが、うずたかく積まれたガラクタがないだけで、大分広く感じられる。
 その部屋に、等間隔に無数の宝箱が並んでいた。色も形も大きさも全く同じ宝箱が、延々と並ぶ光景は、思わず眩暈を起こしそうだ。
 その宝箱のいずれかに、オブリビオンのいる部屋に繋がる手掛かりが隠されているのだという。
 ガラクタの山を潜り抜けてきた猟兵達は、今度はこの無数の宝箱に挑んでいくのだった。
●手掛かりを求めて
「ううむ、先ほどは宝箱が次のフロアへの入り口でしたが、今回もそうとは限らないのです」
 宝箱の部屋に降り立った稀星は、整然と並ぶ宝箱を眺めながら思案する。
「あくまで、隠されているのは”手がかり”である可能性もあるです」
 宝箱といえば入っている物に価値があるという先入観を敢えて捨て去り、稀星はまずは宝箱そのものを調べ始める。
宝箱は、アルダワの地下迷宮でよく見かける、何の変哲もない物のようだ。よくある物ということは、これまた迷宮内ではよくある、ミミックの擬態も紛れている可能性もあるということだろう。鍵穴もあるが、鍵がかかっているのかどうかは見た目だけでは判断はできない。
「宝箱の模様にも、特に変わったところはないようですね」
 次に稀星は、部屋自体を見回してみた。殺風景だったガラクタ部屋とは異なり、壁には一面に細かい装飾が施されている。
「私の目覚めた洋館の装飾に、どことなく似ているのです」
 稀星はそのまま、部屋を一回りして壁を調べ始める。すると一箇所、精巧に隠された隠し扉があることに、稀星は気付いた。さらに調べてみれば、装飾の凹凸に隠れるようにして、鍵穴が一つ。
「ここが、オブリビオンのいる部屋に通じる扉ということでしょうか。ならばどこかの宝箱に、この扉の鍵が隠されているのかもしれませんね」
 念のために壁の他、天井や床も徹底的に調査した稀星だったが、他には特にめぼしいものは見つからなかった。
「まあいいのです。“そちら側には何もないからそれ以上調べなくてよい”というのも、一つの情報なのです」
 稀星の調査によって、オブリビオンのいる部屋に通じる隠し扉は発見できた。後は、その扉を開くための鍵を探し出すだけだ。
花宵・稀星
ううむ、先ほどは宝箱が次のフロアへの入り口でしたが、今回もそうとは限らないのです。あくまで、隠されているのは”手がかり”である可能性もあるです。

宝箱といえば入っている物に価値がある、私はその先入観を捨ててかかり、宝箱の外側や周囲を調べるです。

宝箱の模様、あるいは宝箱を取り囲む部屋の壁床天井、宝箱の中に留まらない手がかりが周囲にないか徹底調査なのです。

まあ、結局、宝箱の中に決定的な物がある可能性もあるですが、それでも宝箱を開けるのに必用な鍵や手がかりがどこか周囲にあったりするかもですし。
何もなかったとしても”そちら側には何もないからそれ以上調べなくてよい”というのも、一つの情報なのです。



●手掛かりを求めて
「ううむ、先ほどは宝箱が次のフロアへの入り口でしたが、今回もそうとは限らないのです」
 宝箱の部屋に降り立った稀星は、整然と並ぶ宝箱を眺めながら思案する。
「あくまで、隠されているのは”手がかり”である可能性もあるです」
 宝箱といえば入っている物に価値があるという先入観を敢えて捨て去り、稀星はまずは宝箱そのものを調べ始める。
 宝箱は、アルダワの地下迷宮でよく見かける、何の変哲もないもののようだ。よくあるものということは、これまた迷宮内ではよくある、ミミックの擬態も紛れている可能性もあるということだろう。鍵穴もあるが、鍵がかかっているのかどうかは見た目だけでは判断はできない。
「宝箱の模様にも、特に変わったところはないようですね」
 次に稀星は、部屋自体を見回してみた。殺風景だったガラクタ部屋とは異なり、壁には一面に細かい装飾が施されている。
「私の目覚めた洋館の装飾に、どことなく似ているのです」
 稀星はそのまま、部屋を一回りして壁を調べ始める。すると一箇所、精巧に隠された隠し扉があることに、稀星は気付いた。さらに調べてみれば、装飾の凹凸に隠れるようにして、鍵穴が一つ。
「ここが、オブリビオンのいる部屋に通じる扉ということでしょうか。ならばどこかの宝箱に、この扉の鍵が隠されているのかもしれませんね」
 念のために壁の他、天井や床も徹底的に調査した稀星だったが、他には特にめぼしいものは見つからなかった。
「まあいいのです。“そちら側には何もないからそれ以上調べなくてよい”というのも、一つの情報なのです」
 稀星の調査によって、オブリビオンのいる部屋に通じる隠し扉は発見できた。後は、その扉を開くための鍵を探し出すだけだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜暮・白
「おおっ。壮観ってやつだ!」

そう言うなり宝箱へ駆け寄った。どれも同じに見えるけれど、本当にそうだろうか? ペタペタ触り、持ち上げ、比べてみる。

「小箱があったら貰いたかったんだけどな。全部、奥にいる人のものかな?」

ありそうな『位置』を探しつつ、見つかった扉を横目に見る。負の感情を抱えた者はどう仕掛けたのだろう? 考えつつ鍵の形状にも思いを馳せる。

キラキラ宝石がついたもの? 年季が入った重厚なもの? それともガラクタと見紛うもの?

勘に従いフック付きドライバーで開けていく。モンスターが出てはダガーで相手をし、罠が発動しては逃げ出しを繰り返す。数を減らせばあとは誰かが見つけてくれるだろう。


茲乃摘・七曜
心情
ふむ、隠し扉は見つかったなら、必要なのは鍵ですね

事前
隠し扉の鍵穴から探すべき鍵を予想
「ブレード…差し込み部分の幅や形から大まかな形の予測は付けたいですね

宝箱選び
どこまで開けたか混乱しないよう端の宝箱から順番に開封
「念のため、蓋の部分に目印も付けておきましょう

罠探知
反響の福音で音の反射により内部に不審なものがないかを確認し開ける
「蓋側に向けて針や短刀等が向いていたり、蓋に連動する形でガスを噴出する歯車を用いた仕掛け等は思いつきますが…それ以外も警戒は怠らないように

内部調査
二重底等の罠も含め開けた宝箱の中身に鍵がないことを反響の福音で確認
「時間は掛かるかもしれませんが見過ごさないように…ですね



●宝箱の中には
「ふむ、隠し扉は見つかったなら、必要なのは鍵ですね」
 茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)は発見された隠し扉に歩み寄り、その鍵穴をじっと観察する。
「ブレード……差し込み部分の幅や形から大まかな形の予測は付けたいですね」
 鍵穴は装飾の影に隠されていただけあって、それほど大きなものではない。おそらく、鍵自体も小型のものだろう。
「小さな鍵であればこんなに大きな宝箱に隠す必要はない気がしますが、隠してあるのが鍵であると特定されないための、心理的トラップということでしょうか」
 そうして七曜が隠し扉を調べている頃。白は部屋の中心で周囲を見回すと、
「おおっ。壮観ってやつだ!」
 言うなり、手近な宝箱に駆け寄っていった。
「どれも同じに見えるけれど、本当にそうなのかな?」
 そして宝箱にペタペタ触り、持ち上げ、次に隣の宝箱も同じようにして比べてみる。
 体感で分かる限り、大きさは全く同じ、重さもほぼ同じのようだ。
「小箱があったら貰いたかったんだけどな。全部、奥にいる人のものかな?」
 そうして白は、隠し扉の方へ横目を向ける。七曜はすでに扉を調べ終え、今は部屋の一番隅の方に向かっており、隠し扉の周囲には誰もいない。
「負の感情を抱えた者は、何をどう仕掛けたのだろう?」
 そんなことを考えつつ鍵の形状にも思いを馳せてみる。
「キラキラ宝石がついたもの? 年季が入った重厚なもの? それともガラクタと見紛うもの?」
 宝石好きの白は、綺麗な鍵を想像しただけでワクワクしてしまう。
 一方、部屋の一番隅まで辿り着いた七曜は、最も端に置かれた宝箱に近づいていく。そして、自身の周囲に浮遊させていた小型蒸気機関式拡声器『Angels Bit』から【反響の福音】の歌声を響かせた。音の反射により、内部に不審なものがないかを調べるためだ。
 例えば蓋側に向けて針や短刀等が向いていたり、蓋に連動する形でガスを噴出する歯車を用いた仕掛け等は思いつくが、もちろん想像外の罠に対しても警戒は怠らない。
 そして、外部からの可能な限りの確認を終えると、慎重に蓋を開けた。
「音の反射で予測は付いていましたが、やはり空でしたか。まあ、部屋の端という分かり易い箇所に、いきなり正解の宝箱があるはずはありませんね」
 それでも念を入れて、二重底等の仕掛けがないかを、さらに【反響の福音】で確認していく。
「時間は掛かるかもしれませんが見過ごさないように……ですね」
 ようやく一つの宝箱を調査し終えると、他の猟兵と調査した宝箱が被らないように蓋に印を付けた上で、隣の宝箱の調査に移る七曜。
 その頃には白は、既に5つ目の宝箱を開けていた。野生の勘でありそうな位置に目星をつけ、これはという宝箱をフック付きドライバーを使って開けていくやり方は、端から順番に、かつ慎重に開けていく七曜とは対照的だ。
「うわっ!!」
 それまでは幸いにも罠付きの宝箱には出会わなかった白だが、5つ目で外れを引く。宝箱が、勢いよくフック付きドライバーの先端に噛みついたのだ。いや、それは宝箱に擬態していたミミックだった。
「そろそろ何か起きるかなーって、思ってたんだよね」
 しかし白は慌てずにダガーを引き抜き、一撃離脱戦法でミミックを相手取る。そして何度か噛みつかれながらもミミックを撃退すると、すぐに次の宝箱に向かっていった。
(「数を減らせばあとは誰かが見つけてくれるだろう」)
 そう考えれば、宝箱の罠に引っかかることも、現れたモンスターと戦うことも、決して無駄ではないはずだ。
 2人がそれぞれのやり方で宝箱を開けていったことで、残る宝箱の選択肢は確実に減っていったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

煌燥・燿
稀星の姉が居るかもしれないか……。
それじゃあまた。それと戦う事になるのかな。
稀星はそれをどう感じているんだろうかと
彼女の気持ちを案じながらも何時もと変わらない調子で。

宝箱開けるなんて初めてだな。ちょっとドキドキするぜ。

装備にある高温を出せるナイフの妖精鋼と
レプリカクラフトで複製した道具。それから罠使いの技能を使い。
罠に注意しながら宝箱を開錠して中をあらためていくぜ。

もしそれでも開かなければ見つかった扉の鍵に開錠を試みるのもアリだろうが。
そっちに罠が仕掛けてある可能性があるからな。今は慎重にやろう。


ディー・ジェイ
「めんどくせえ、全部"漢探知"で行くぞ!!」(漢のPOW

花宵・稀星 の依頼でここにやってきたが…
俺は迷宮のお宝を細かく探索するなんてまどろっこしいやり方は好きじゃなくてね。
仲間が目星をつけた箱は遠慮なくお任せして、それ以降は目の前のぶっ壊せそうな鍵穴やロックを片っ端から火力の許すがままに撃ち壊していく。
トラップが仕掛けられてようが、宝箱そのものから離れてりゃ探知も何もないって寸法よ。

ここの宝箱が常識の範囲外に存在するのは明らかだ。
鍵だってそう簡単に壊れやせんだろ。



●隠されていたもの
「宝箱開けるなんて初めてだな。ちょっとドキドキするぜ」
 煌燥・燿(影焼く眼・f02597)は、『妖精鋼』と名付けられた妖精を宿すナイフと、【レプリカクラフト】で創り出した鍵開け道具を取り出した。そして罠に注意しながら、慎重に鍵のかかった宝箱に挑んでいった。
 既に他の猟兵達が、半数近くの宝箱を開けているので、残された宝箱は大分少なくなっている。その中でも燿は、敢えて鍵のかかった宝箱を選んで開けてみる事にした。大切なものを隠すのであれば、普通は鍵をかけるだろうと考えたからだ。自身も罠の使い手故に、罠を設置する側の心理もある程度は理解できる。
 一方、ガスマスク姿のディー・ジェイ(Mr.Silence・f01341)は、しばらく燿達が宝箱を開けていくのを見守っていたが、
「めんどくせえ、全部“漢探知”で行くぞ!!」
 突如そう叫ぶと、ハイテク銃“AR-MS05”を目の前の宝箱目掛け発砲した。
「俺は迷宮のお宝を細かく探索するなんてまどろっこしいやり方は好きじゃなくてね」
 ディーが撃ち抜いたのは、宝箱の鍵穴だった。
「ここの宝箱が常識の範囲外に存在するのは明らかだ。隠されてるらしい鍵だってそう簡単に壊れやせんだろ」
 銃弾の直撃を受けて鍵穴が吹き飛び蓋が開いたのを確認すると、中をチラッとだけ見ては、次々に宝箱の鍵穴を撃ち壊していく。
「トラップが仕掛けられてようが、宝箱そのものから離れてりゃ探知も何もないって寸法よ」
 撃ち抜いた宝箱の一つが爆発を起こしたのを見て、肩をすくめるディー。
 そんなディーが銃を撃つ手を止めたのは、撃っても壊れない鍵穴があったからだ。
「おいおい、いくら常識外れっていっても、この銃撃で壊れないとか、異常すぎるだろ」
 さらに何度か銃弾を浴びせるが、鍵穴はびくともしない。
「どうしたんだ? 開かないみたいだけど」
 異常に気付いた燿が、近寄ってくる。
「ああ。どうやらこいつは力尽くじゃ開かないらしい。正攻法は任せる」
 ディーが銃を肩に担ぎ、燿に宝箱を譲る。燿は頷くと、慎重に開錠作業にかかった。この箱の鍵は、他の宝箱に比べて遥かに精巧で緻密だ。一筋縄ではいきそうもない。だがそれだけに、重要な何かが隠されている可能性も高いと、燿は見ていた。
 開錠に取り掛かって15分以上が経った頃。ようやく、鍵の外れる音が室内に響き渡った。
 ゆっくりと蓋を開け中を確認する燿と、それを覗き込むディー。
「……なんだそれは? 本か?」
 宝箱の中に収められていたのは、分厚い表紙の本だった。燿は慎重に本を取り出すと、表紙を開いてみる。そこに描かれていたのは、一人の少女の絵だった。
 そしてその少女の姿に、燿とディーは見覚えがあった。二人の共通の知り合いである猟兵の花宵・稀星の姿にそっくりだったのだ。
「どういうことなんだろう……」
 疑問を抱えながらも、ページをめくっていく燿。
 それは、一人娘を失った父親の手記のようだった。娘を失った哀しみに耐えきれず、やがて娘を蘇らせる研究に憑りつかれていく過程が、生々しく描かれている。
 やがて男は、娘を蘇らせることを諦め、娘を創り出すことを目指すようになる。そう、娘の姿と記憶を写したミレナリィドールを作り出そうとしたのだ――
 本の内容はそこで途切れており、そして本の裏表紙には、小さな鍵が埋め込まれていた。それが、隠し扉の鍵だった。
(「あの本の内容が、この奥にいるオブリビオンの由来を書いているものだとしたら、この先には稀星の姉が居るかもしれないのか……」)
 隠し扉の鍵穴に鍵を差し込みながら、燿は物思いに沈む。自らの姉に当たる存在と戦うことになるかもしれないことを、稀星はどう感じているんだろうかと案じながら。
 猟兵達の様々な思いを飲み込むように、隠し扉がゆっくりと開いていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ナンバーゼロ』

POW   :    忠実なるしもべ
レベル×5体の、小型の戦闘用【メイド人形】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
SPD   :    六色の宝石
【火土水風光闇の属性をそれぞれ持った魔弾】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    記憶喰らい
対象のユーベルコードを防御すると、それを【使用するために必要な記憶を一時的に奪い】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は花宵・稀星です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●洋館の主
 隠し扉を抜けた先にあったのは、洋風の豪奢な部屋だった。流石にガラクタの部屋や宝箱の部屋程には大きくはないが、一面に装飾を施され、高級そうな家具やインテリアで埋め尽くされたその部屋は、圧倒的な存在感を放っている。
 その部屋に置かれた大きなソファの上で、横たわっていた少女がゆっくりと身を起こした。その姿は、宝箱の部屋で発見された本に描かれていた少女の絵と、瓜二つだ。
「まずは感謝するわ。閉じられたこの部屋の外へと通じる扉を開けてくれたことに」
 少女はそう言って、あどけない顔に蠱惑的な笑みを浮かべる。
「お礼に、あなた達を皆殺しにしてあげる。そして思い知るがいいわ。捨てられて過去に追いやられたものの、怒りと悲しみを!!」
 少女の周囲に、6色に光る宝石が舞うように浮かび上がった。少女の憎しみに歪む顔を見て猟兵達は理解する。彼女との戦いは避けられないということに。
クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎

「捨てられた過去………コールドスリープから目覚めたかと思えば改造人間と化した私も似たようなモノですね」

以下で攻撃
・【POW】
・方針:敵 POW UC『忠実なるしもべ』ごと範囲攻撃であるUCで一掃する
・技能:(UC)先制攻撃、視力、スナイパー、一斉発射、2回攻撃。(ミレナリィドール=魔導人形の弱点看破)メカニック。
「このアームドフォート2門で、全て一掃します。退避をお願いします」

(敵SPD UC対抗)
「最大射程勝負と参りましょうか。(射程がこちらより短いが同等なら回避できるはず)」

(敵 WIZ UC対抗)
「私のUCはアームドフォートの使用が前提でしてね、マネしたければどうぞ」


花宵・稀星
ナンバーゼロ……見るに貴女は私のお姉様、なのでしょうね。
お姉様は私の真の姿を見て、何を思われるでしょうか。
私の真の姿、それは私に宿る人間の少女の精神体……。

お姉様の犠牲の上に立ち、のうのうと生きている私は、お姉様から憎まれても当然かもしれないです。
オブリビオンに身をやつしてしまった方をお救いする方法……私は他に知らないのが口惜しくてならないです。
私はお姉様をここで倒し、因果の糸を断ち切るです。

ただでさえ地下に閉じ込められてきたお姉様を籠の鳥にするのも心苦しいですが……。
<ルビー>の宝石を媒体に<炎籠>を発動し、炎で出来たカゴでお姉様の動きを封じ、作った隙に仲間の猟兵さんに痛打を加えて頂くです。



●邂逅
「さあ、誰から殺して欲しいの? 私を解放してくれたお礼に、望みの順番で殺してあげる」
 部屋の主たる少女がゆっくりと腕を持ち上げるのに合わせ、6色の宝石が激しく明滅を始める。だが、ある一点に目を留めた時、彼女の腕の動きが止まった。
「あら? あなた……一体何者?」
 少女が見つめるのは、自分と瓜二つの顔をした、稀星の姿。
「私も聞きたいです。あの……あなたのお名前は?」
 稀星は、ある予感を込めて、震えそうになる声でそう尋ねる。
「私に名前などないわ。私を生み出した男は、私のことをナンバー・ゼロと呼んでいたけれど」
 忌々しいことを思い出したとでもいうように顔を歪めながら、少女はそう名乗る。
「ナンバー・ゼロ、見るに貴女は私のお姉様、なのでしょうね」
 稀星の言葉に、ゼロも納得したように頷いた。
「なるほど。あなたもあの男に作られた人形の一つなのね。ならばあなたがいる場所はそちらではないでしょう? 私と共に、過去を捨て去りのうのうと今を生きる全てのものに復讐しましょう?」
 差し出されたゼロの手を、しかし稀星は触れることができない。それは、憎しみと絶望に染まったゼロの思想に共鳴できなかったからだけではなかった。
(「お姉様は私の真の姿を見て、何を思われるでしょうか」)
 ゼロと自分との、決定的な違いを知っているからこそ、稀星はゼロの手を取ることができなかった。
(「私の真の姿、それは私に宿る人間の少女の精神体……」)
 それはつまり、稀星こそが創造主の望んだ完成体であることを意味する。試作型として棄てられたゼロにとっては、認めがたい事実のはずだ。
「捨てられた過去……コールドスリープから目覚めたかと思えば改造人間と化した私も似たようなモノですね」
 サイボーグであるクネウスは、2門のアームドフォート『ゲオルギウス』と『リア・ファル』を起動させながら、独り言ちる。
「ですが、過去だけに囚われたあなたとは、分かり合えそうにありません」
 言うや、起動させたアームドフォートによる先制攻撃を仕掛ける。メカニックであるクネウスにとって、異世界の技術とはいえ魔導仕掛けの人形の弱点を看破することは、そう難しいことでなかった。ゼロの弱点と思われる箇所に、問答無用でビームを放つ。
「ちょっと! 今私は妹と話しているの。邪魔しないでもらいたいわね!」
 ゼロの怒気を孕んだ声に応じるかのように、部屋の奥にあったクローゼットの扉が一斉に開かれた。中に仕舞われていたのは衣装ではなく、小さなメイド型人形だ。
「さあ私のメイドたち。小うるさい侵入者たちをお相手してあげなさい」
 ゼロの命令に従い、100体はありそうなメイド人形たちが、一斉にクローゼットから這い出して来る。
「このアームドフォート2門で、全て一掃します。退避をお願いします」
 クネウスの指示に、迷っていた稀星が反射的に飛び退く。そのことを確認すると、
「フルチャージ完了。シュート!」
 クネウスは2門のアームドフォートからチャージキャノンを解き放った。絶え間ない閃光が迸り、無数のビームがメイド人形たちを薙ぎ払っていく。
「くっ、こざかしいわね!!」
 ゼロはビームを人間では不可能な機動で回避すると、周囲に浮かんでいた宝玉から、6色の光線を放って反撃を開始した。
「そちらも飛び道具できますか……ならば、最大射程勝負と参りましょうか」
 クネウスも負けじとアームドフォートの照準をゼロに向ける。
(「お姉様の犠牲の上に立ち、のうのうと生きている私は、お姉様から憎まれても当然かもしれないです」)
 光と光が飛び交う中、稀星は心の中で呟いていた。
(「オブリビオンに身をやつしてしまった方をお救いする方法……私は他に知らないのが口惜しくてならないです」)
 けれど。自分と同じ姿をした姉がこれ以上歪んでいくのを見過ごすことはできないから。
「私はお姉様をここで倒し、因果の糸を断ち切るです」
 そう覚悟を決めた稀星は、ルビーの宝石を取り出すと、頭上に掲げた。
「慈悲無き炎よ、哀れな鳥の自由を奪う籠となれ!」
 その詠唱が終わると同時に、ルビーから無数の炎が奔流となって放たれた。その炎はゼロを中心に放射状に広がっていくと、たちまちのうちに炎の籠を形成し、ゼロをその内に閉じ込める。
「これは!? この私を、また閉じ込めようというの!?」
 ゼロの叫びに、思わず稀星は心苦しさを覚えてしまう。
 だが、ゼロが籠の鳥となった今こそ、猟兵達にとっては最大のチャンスであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ディー・ジェイ
「長年溜まった嬢ちゃんのガス抜きに付き合ってやるか」

話の間に障害物位置を把握。
で、宝石出現と同時に腰撃ちで人形、宝石での攻撃手段に牽制射撃をかましながら展開。何か障害物に滑り込んで隠れたと思わせてから、その障害物ごと貫通させてフルバーストを叩き込むぜ。

言葉かけはあくまで注意稼ぎの為のついでだ。
攻撃の手は一切緩めてやらんぞ。

「嬢ちゃん捨てた奴は馬鹿野郎だな、こんな最高の娘を放り出すなんざ!
「憎んでんのは父親、世界、どっちだ!父親への復讐ってんなら俺が手伝ってやってもいいぜ!いらない?そうかい!

※ナンバーゼロとの邂逅は二度目であり、口調は変わらずとも彼女に手を差し伸べる旨の台詞は半ば本心です


茲乃摘・七曜
心情
…、私はどちらかといえば忘れてしまった側なのですよね
さておき、未来を奪われる訳にはいきませんね

指針
敵の攻撃を相殺することで仲間へ攻撃の機会を作る
「そう容易い相手ではないでしょうから、気を引き締めましょう

行動
魔力弾の動きと属性を【見切り】
Angels Bitsと自身で三重の【歌唱】で輪唱を行い
相反する【属性攻撃】【全力魔法】で六つの属性の魔力弾を相殺する
(「皆さんに向かう魔力弾は確実に落としたいものですが

対しもべ
【衝撃波】と風【属性攻撃】【範囲攻撃】で広域に衝撃の伴った絶叫をはなち消滅を狙う
「皆さんの動きを妨げそうなものは押し留められたらいいのですけど

対記憶喰らい
敵を直接攻撃せず支援に徹する


煌燥・燿
どうして戦わないといけないんだ……。
捨てられて閉じ込められた怒りと悲しみ。
外で自由に生きていた奴等には腹も立つだろうけど。
折角外に出られるのに。喜びを忘れてしまったのか?


それなら【属性攻撃】と不死鳥降臨・再誕を使用して。
形を失い灰に還るまで焼き刻んでやろう。
メイド人形を焼き散らし。
相手が稀星の姉でも俺は容赦なく斃す事に決める。


……何か助ける方法もあったかもしれないけど。
多分、本人はここで終わらせて欲しかったんだと思うな。

捨てられた悲劇や怒りも、その感情まで捨ててしまったら。
本当に何も残らなくなってしまうから。

自分自身を納得させるように、そんな事を考えます。



●炎の総攻撃
(「さて、長年溜まった嬢ちゃんのガス抜きに付き合ってやるか」)
 ディーはゼロが炎の籠に閉じ込められている隙に、部屋の内部の様子を観察していく。探すのは、主に障害物になりそうな家具類だ。こういう時、視線を隠すガスマスクは役に立つ。
 一方、燿は炎の籠を破壊しようともがくゼロに、悲し気な顔を向けていた。
「どうして戦わないといけないんだ……。捨てられて閉じ込められた怒りと悲しみ。外で自由に生きていた奴等には腹も立つだろうけど」
 猟兵としての能力を持つとはいえ、あくまでも普通の高校生の燿には、ゼロの想いは慮ることはできても理解はできない。
「おまえみたいな、“過去”を顧みることもせず、ただ漫然と“今”を生きるだけの人間に、私の気持ちが分かってたまるものか!」
 ゼロは、籠を構成する炎の格子に手を触れると、その特性を解析し、喰らおうとする。炎の籠が破られるのも、時間の問題だろう。
「……、私はどちらかといえば忘れてしまった側なのですよね。さておき、未来を奪われる訳にはいきませんね」
 七曜は、ゼロが炎の籠を破壊した時に備え、小型蒸気機関式拡声器【Angels Bit】を展開していった。
「嬢ちゃん捨てた奴は馬鹿野郎だな、こんな最高の娘を放り出すなんざ!」
 一番最初に動いたのは、ディーだった。ゼロが籠を破壊する直前に、手にしたハイテク銃【AR-MS05】で、ゼロに銃弾の雨を浴びせていく。
「こざかしいわ! そんなうわべだけの言葉で私を動揺させようなんて!」
 ゼロはついに炎の檻を吸収すると、周囲に浮かぶ6色の宝石からその宝石と同色の魔弾を放ち、ディーの銃弾を撃ち落としていく。
「ちっ!」
 ディーは腰撃ちで牽制しながら、転がり込むようにソファーの影に隠れて宝石の攻撃から身を守る。
「それで隠れたつもりなの? 私の魔弾は、その程度の障害物では防げないわ」
「そうやって憎んでんのは父親、世界、どっちだ! 父親への復讐ってんなら俺が手伝ってやってもいいぜ!」
 追い込まれた状況ながらも、ゼロに挑発的な言葉を掛け続けるディー。
「今更死んだ人間への復讐なんてどうでもいいわ。私が憎いのは、今を生きているあなた達よ!!」
 そう叫ぶと共に、追い打ちをかけるように6色の魔弾を放つゼロ。だがその時、室内に清らかな歌が響き渡った。
(「皆さんに向かう魔力弾は確実に落としたいものですが」)
 それは、七曜とAngels Bitの奏でる、三重の輪唱だった。その歌声は正確に6色の宝石の持つ属性と正反対の属性の音の波となって、魔弾の魔力を相殺する。
「な!? 私の力を無力化するというの!?」
 そのゼロの動揺を、ディーは見逃さなかった。
「俺の手助けがいらないって? そうかい! なら、今度こそきちんとケリを付けてやる!!」
 次の瞬間、ディーが隠れていたソファーが弾け飛んだ。ソファーの陰に隠れていたディーが、ソファーごと貫通させて全武装の一斉射撃を叩き込んだのだ。
 障害物を貫通させての攻撃など想定していなかったゼロは、その攻撃に反応できず、銃弾の直撃を浴びる。
「つうっ! 人形たち、私を守りなさい!!」
 それでもゼロは、まだ破壊されていないメイド人形に指示を飛ばし、自分を守らせようとした。だが、
「人形たちの動きは、これで押し留められたらいいのですけど」
 そう呟いて七曜が放った絶叫が、衝撃波となって人形たちを吹き飛ばしてしまう。
「くっ! ならば炎の籠の記憶、利用させてもらうわ!!」
 追い詰められたゼロは、先ほど喰らった炎の籠を借用して現出させることで、銃弾の嵐から身を守ろうとする。
「そうやって自らを閉じ込めて。折角外に出られるのに。喜びを忘れてしまったのか?」
 燿は悲痛な表情を浮かべゼロにそう呼びかけたが、ゼロからの返事はない。
(「ならば、例え相手が稀星の姉でも。容赦なく斃すしかない」)
 覚悟を決めた燿は、【不死鳥降臨・再誕】を発動させ不死鳥の尾を模した炎の剣をその手の中に生み出した。
「形を失い灰に還るまで焼き刻んでやろう」
 無造作に振るわれた炎の剣は、ゼロの周りに残っていたメイド人形たちを悉く焼き払い、ゼロの身を護るように広がっていた炎の籠を切り刻む。
「……何か助ける方法もあったかもしれないけど。多分、君はここで終わらせて欲しかったんだと思うから」
 そして、再度振るわれた炎の剣から燃え移った、命を輪廻へ還す炎がゼロの体を包み込んだ。
(「捨てられた悲劇や怒りも、その感情まで捨ててしまったら。本当に何も残らなくなってしまうから」)
 燿が自分自身を納得させるように、そんな事を考えた時。
 ゼロの体を覆っていた炎が、吹き飛ばされた。6色の宝石が高速でゼロの周囲を飛び交い、巻き起こした冷たい風で炎を鎮火したのだ。
「……私はまだ滅びない。もう二度と、過去のものにされるわけにはいかない!!」
 全身が焼け焦げ、体中に銃弾の貫通痕を残しながら。ゼロはまだ、動きを止めてはいなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

煌燥・燿
◆心情

ああ、過去は大切だ。
どんな感情でも、それがお前を作っているんだから。
だから俺がその気持ちを未来に持って行く。
このカメラを使って、お前の生きていた一瞬を永遠に焼き付けてやる。

◆行動

装備の殺影機を使い影焼透鏡を使用。
【撮影】と【覚悟】を使用して。
ファインダー越しにゼロの身体や表情を真っすぐに見つめ。
こちらへ向けられる攻撃も見て
それに宿る怒りも悲しみも、すべてをフィルムへ焼き付け残そうと。
ぎりぎりでシャッターを切ります。

◆その後

稀星が傍にいる事で、戦いを終えたゼロの表情が和らげばと
息絶えるまで見守り、もしもそんな瞬間があれば。
二人の姿をスマートフォンの普通のカメラに焼き付けておこうと思います。


花宵・稀星
さて、あとはもうひと押しのようです。
煌燥さん(f02597)に何か考えがあるようなので、私はそれをサポートしようと思うです。

<咲きえぬ花の叫び>を歌いあげ、仲間の能力を底上げするです。
この歌は、美しい花が咲くまでの間に、間引かれた花の悲哀を歌いあげたものです。
私は、私の知らなかった過去を知ったことで、それを今度こそ忘れず背負っていく覚悟を決めたのです。

これがお姉様へのせめてもの鎮魂歌、になるとよいのですが……。
お姉様の最期がせめて安らかなものとなるように祈っているです。


茲乃摘・七曜
心情
さて、全ての思いは尊いものですが未来を譲る訳にはまいりませんね

指針
『流転』で動きを封じ仲間の援護
「同じ行動が通じるほどたやすい相手ではないでしょう

戦闘
二丁拳銃による打撃、蹴撃を含んだ近距離戦闘
仲間がゼロに近づけるようにしもべの撃破を優先
可能ならば仲間に向かうゼロの操る魔弾へも銃撃を行い動きを阻害
※攻撃の際『流転』用の魔術弾を織り混ぜ滞空させる
「援護はお任せください。出来る限りをいたしますので…

対六色の宝石
激痛耐性で耐えきる
「お互い余裕がないなら、気力の勝負とまいりましょう

対記憶喰らい
先の戦闘で見せたミレナリオ・リフレクションに誤認させる
(二番煎じを装った魔導弾で油断してくれればいいのですが



●最期の記録
「さあ、かかってくるがいい。永遠に私のことを忘れられないよう、お前達の中に私への恐怖を焼き付けてやる!!」
 ゼロが、ボロボロの体を無理矢理に動かすようにして手を振るう。すると、ビームに貫かれ、炎の剣に焼かれ動きを停止していたメイド人形達が、再び動き出した。
まるで、ゼロの執念に突き動かされているかのように。
「お姉さま……。もう、止めはしません。その代わり、この歌を送るのです」
 稀星はそんなゼロに悲し気な視線を向けると、ゆっくりと歌を歌い出した。
『どうか忘れず 胸に抱いて 咲けずに終わる 花のこと』
 それは、美しい花が咲くまでの間に、間引かれた花の悲哀を歌いあげたもの。
(「私は、私の知らなかった過去を知ったことで、それを今度こそ忘れず背負っていく覚悟を決めたのです」)
 だからこそ、そのことを教えてくれたゼロに、この歌を捧げたかった。
「全ての思いは尊いものですが、未来を譲る訳にはまいりませんね」
 七曜は『Pride of fools』と名付けた二丁の拳銃を巧みに操り、さらには打撃や襲撃を織り交ぜて、再起動したメイド人形たちを蹴散らしていく。
「援護はお任せください。出来る限りをいたしますので……」
 当然メイド人形達の反撃が少なからず七曜を傷つけていくが、
「お互い余裕がないなら、気力の勝負とまいりましょう」
 痛みに耐えながらも繰り出される七曜の連続攻撃は止まらない。次々に撃破されていくメイド人形達の姿に自らの未来を見たかのように、ゼロが歯ぎしりしながら手を掲げた。
「まだよ! まだ私は終われないの!!」
 そう叫びつつゼロは、6色の宝石を全て自らの前方に展開させる。おそらく、今繰り出せ得る最大限の攻撃を、繰り出そうとしているのだろう。
 そんなゼロに、燿は古びたカメラ『殺影機』を向けた。
「ああ、過去は大切だ。どんな感情でも、それがお前を作っているんだから」
 ――だから俺がその気持ちを未来に持って行く。このカメラを使って、お前の生きていた一瞬を永遠に焼き付けてやる。
 燿はファインダー越しにゼロの身体や表情を真っすぐに見つめる。その傷だらけの体も、妄執に歪んだ表情も、全てを。
「さあ、刻みつけなさい。私の全てを!!」
 ゼロが、6色の宝石から火土水風光闇の属性をそれぞれ持った魔弾を同時に撃ちだした。その弾丸は、狙い違わず燿へと迫っていく。
 だが、覚悟を決めた燿は、避けることなくその場でカメラを構え続けていた。今しも自分に向かい来る魔弾に宿る怒りも悲しみも、全てをフィルムへ焼き付け残そうとするかのように。
 そして、6つの魔弾が着弾する直前。
『万物流転。有限が作り出す無限の円環……幽玄たる時間の監獄へようこそ』
 突如響き渡ったのは、七曜の澄んだ声だった。同時に、二丁拳銃でばら撒いていた浮遊する魔導弾によって描かれた魔導回路による封印術式により、飛来してきた6つの魔弾全ての動きが止まる。
 燿がシャッターを切ったのは、その瞬間だった。燿の構えた殺影機はただのカメラではない。映した相手の魂を抜き出すカメラだ。
「そんなもので、この私が!!」
 その魔力になんとか抗しようとするゼロだったが、その時稀星の歌がクライマックスに達した。歌に込められた強い想いが殺影機の魔力を強化し、その力はついにゼロの抵抗する意思を凌駕した。
「ねえ、お願いだから……この私を……忘れないで。私を……棄てない、で」
 そんな言葉を最後に。
 ゼロの体が、糸の切れた人形のように、その場に崩れ落ちる。
 稀星は、歌を歌い続けながらゼロに歩み寄っていった。そして、魂を抜かれたその体を、静かに抱き上げる。
(「これがお姉様へのせめてもの鎮魂歌、になるとよいのですが……」)
 そして、姉の最期がせめて安らかなものとなるようにという祈りを込めて、最後の一節を歌い上げた。
 そんな二人の姿を、燿はそっと写真に収める。当然それは、殺影機によるものではなく、スマートフォンの普通のカメラによるものだ。
 そうして写真に焼き付けられたゼロの表情は、傷だらけではあったが、美しく、何よりも安らかだったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月27日
宿敵 『ナンバーゼロ』 を撃破!


挿絵イラスト