アルダワ魔王戦争4-B〜大脳は死の神と成りて
アルダワにて発生する戦争の状況を確認しつつ、ネルウェザ・イェルドット(彼の娘・f21838)は笑みを浮かべて集まった猟兵の方を向く。
「皆お疲れ様。いやぁ、早いねぇ……まさかもう大魔王の第三形態が見つかるとは」
驚いた、といった様子でネルウェザが大きめのモニターに電源を入れれば、そこには――今までの大魔王とはまた違った『異形』の姿が映し出されていた。
生き物の臓物をかき集め、皮膚で覆うことなくただ剥き出しにしたような身体。その中心では巨大な眼球が紅く輝き、ぎょろりぎょろりと蠢いては震えている。
血や内臓が苦手な者には酷かもしれない、と今更な忠告を口にしつつ、ネルウェザは少し真剣な表情で説明を続けた。
「第三形態の名は『セレブラム・オルクス』。安心……と言って良いものかは分からないけれど、このブヨブヨが積極的に殴る蹴るで襲ってくる可能性は少ない」
彼女が予知した情報によれば、セレブラム・オルクスは『呪い』や『魔術』を主とする形態なのだという。寧ろその要塞のような見た目通り、白刃戦や回避といった素早い動きはあまり出来ないらしい。
「とは言っても油断は禁物だよ。呪いや魔術に対抗する術がなければ、それこそこちらが近づき攻撃する前に動きを止められてしまうかもしれない。如何にセレブラム・オルクスの攻撃を凌ぎ反撃するか……これが要になってくる筈だ」
危険な任務だよ、と付け足して、ネルウェザはグリモアをふわりと浮かべる。
彼女はその手の上に光が集まり始める中、任務への参加を承諾した猟兵へ礼を述べて頷いた。
「大魔王を倒しアルダワを救うため……頼んだよ」
ふっ、と。
グリモアの光が猟兵を包めば、彼等の体はアルダワの地下へと転送されていった。
●
ぐねり、どくりと壁や床が脈打つ洞窟。まるで巨大な生き物に呑み込まれたかのような光景は、ここがアルダワの迷宮であることを一瞬忘れるようであった。
不気味なその空間を一歩進めば、突如じわりと床から液体が染み出す。異臭と嫌な感触に足を止めた瞬間、猟兵のすぐ足元にあった何かの欠片が激しく蒸気を上げ、消化されるように溶けて消えてしまった。
もし壁に叩きつけられたり、不用意に液体の出る部分に転がり込んだりしてしまえば『ああなってしまう』のかもしれない。
「……来たか」
声の源は前方。空間の奥に佇む大魔王『第三形態』――セレブラム・オルクスの姿。
「ダークゾーンも無限災群もここまで攻め破るとは……素晴らしい、正に一気呵成の勇者そのもの。だが……」
そう、ゆっくりと猟兵の方に身体を動かして。
「最後に私達が全てを喰らえれば構わないのだ。それすらも阻むと言うのなら――来るが良い」
瞬間、禍々しい魔の気が場を満たす。
セレブラム・オルクスはその身を震わせ、猟兵に向かって閧の声にも似た呪いの音を上げるのであった。
みかろっと
こんにちは、みかろっとと申します。
今回はアルダワの迷宮、生物の内臓のような洞窟を戦場とした大魔王第三形態との戦いです。こちらはボス戦一章のみの戦争シナリオとなります。
判定等に関わらず、敵は必ず先制してきますのでそれに対する策を練ってご参加ください。敵のユーベルコードを迎撃する・回避するなどの行動が含まれたプレイングが有利となります。
それではご参加お待ちしております!
第1章 ボス戦
『大魔王第三形態『セレブラム・オルクス』』
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POW : クルトゥス・フィーニス
自身の【翼1つ】を代償に、【知性ある存在を蝕む禁呪】を籠めた一撃を放つ。自分にとって翼1つを失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD : フルクシオー
自身の身体部位ひとつを【粘性を帯びた液体のように見える呪詛の塊】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ : プーリフィカーティオ
【巨大な眼球による魔力を籠めた『凝視』】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:カス
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ソラスティベル・グラスラン
なんと邪悪な気配…これが大魔王の呪詛
…いいえ、今こそ勇者を張るときです、いざ勇猛に!
光の加護よ…ナイくん、どうかわたしを守って…!
竜の翼により飛翔し周囲を旋回【空中戦】
空中なら前後上下左右、全方向に回避は可能…!
狙いがつかぬよう最初から全速力で!【ダッシュ】
全ての翼を警戒、死角からは【第六感】で感じ取る
回避が困難なら【オーラ防御】で僅かでも翼の勢いを軽減
蒸気盾で防ぎ【見切り】空中で受け流し、盾から呪いが伝染する前に投げ捨てる【呪詛耐性・盾受け】
狙うは大魔王の『目』!
後の全ては【勇気】に任せ突撃!
投げた盾に隠れて大魔王へ飛びこみ
必殺の大斧を、その頭の眼球に!
最後に勝つのは、勇気ある者ですッ!!
――ヅッ、と嫌な音がする。
セレブラム・オルクスはその背に幾本も生やした不気味な翼をひとつ、自ら捩じ切るように捥ぎ取ってしまう。直後、中心の顔が僅かに歪み――聞き取れない言語で何かを紡いだ。
流れる音は禁じられた呪いの術となり、聴き、理解する者を蝕んでいく。
消えた翼は突如、弾丸のように凝縮して猟兵の方へと直進した。
大魔王の狙う先、ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)は鋭く身を屈めて一撃を躱す。
「なんと邪悪な気配…これが大魔王の呪詛」
響く呪詛の残滓にソラスティベルは首を小さく振って自我を保つ。
そして――その青い瞳に、セレブラム・オルクスの姿を確かに映して。
「……今こそ勇者を張るときです、いざ勇猛に!」
強く駆け出すソラスティベル。脳裏に大切な相棒の姿を浮かべ、彼女は光の加護を願って突き進んでいく。
「――」
再びセレブラム・オルクスの口が動き、翼が消える。響く呪詛がうねる中、ソラスティベルは大きく竜翼を広げ――洞窟の天井目掛けて高く飛び上がった。
セレブラム・オルクスは身体に反した小さな頭をぐるりと動かすが、空中を全速力で駆け回るソラスティベルを捉えきれない様子。歪な翼を代償に放つ一撃は次々にソラスティベルの僅か後方を撃ち抜き、虚しくも爆ぜて消えて行く。
ぐるり、とソラスティベルが旋回する――瞬間、突如セレブラム・オルクスは攻撃の方向をぐいと変えた。
「っ!」
ソラスティベルの飛行する軌道を狙った攻撃。しかし直前にそれを感じ取っていたソラスティベルは素早くオーラを張ると、蒸気盾を前へ出して直撃を免れる。
じわりと嫌な気配が染みかけた寸前、ソラスティベルはその盾ごと呪いの弾丸を前方へ投げ捨てた。
弾丸は壁に衝突して染み出す液体を蒸発させ、宙を舞う盾とともにソラスティベルの身を隠す。首を回したセレブラム・オルクスがこの程度か、と視線を逸らそうとした――その時であった。
――狙うは、大魔王の『目』!
ぎょろり、と動く頭の眼球。ソラスティベルは大斧を手にユーベルコードを発動させながら、セレブラム・オルクスに向かって力強く羽撃く。
「最後に勝つのは、勇気ある者ですッ!!」
バリッ、と大斧が蒼雷を纏う。
凄まじい威力を籠めたそれは真っ直ぐにセレブラム・オルクスの頭部を捉えると、轟音とともに柔らかくも粘ついた音を炸裂させた。
大成功
🔵🔵🔵
黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流
呪詛か…どうしたもんかな。
とりあえず【第六感】による感知と【見切り】で全力の回避を試みる。
相手の代償が大きいほど威力は上がるって話だが、逆を言えば威力だけで、命中率が上がるわけじゃない。
もちろん、完全回避しきれるとは限らないからそこは【呪詛耐性】で耐えきる。
耐えきったら【存在感】を消し【目立たない】ようにすることで、相手の捕捉から逃れる。
そしてuc鳴神で攻撃力強化のち、【マヒ攻撃】を乗せた【暗殺】攻撃を仕掛ける。
マヒは入れば上等。
相手の他の攻撃も【第六感】で感知【見切り】で回避。
それも出来ない物は【オーラ防御】と【激痛耐性】【呪詛耐性】でしのぐ。
肉の震える不気味な音を響かせて、セレブラム・オルクスがぐらりと身を起こす。裂け崩れかけた頭部から流れる呪詛の音は、心なしか黒い感情が籠もっているようにも思えた。
「……どうしたもんかな」
黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)は小さく呟いて、大魔王の方へ一歩踏み出す。右手に打刀『胡』、左手に自らの本体である『黒鵺』を握り、彼は大魔王の動きに目を凝らしていた。
「――」
ふと、幾つもの音が混じったような声が聴こえて。
セレブラム・オルクスの翼がブヅリと嫌な音を立ててその背から離れると、途端に禍々しい気を籠めた弾となって瑞樹を狙った。
――ヂゥッ、と空気を灼いて進む弾。
瑞樹は一瞬早く身を傾け、勘の感じ取ったままに右へ。
弾の軌道に呪いの残滓が渦巻き続けているのに気づけば、瑞樹は更に大きく一歩動き出した。
続いてセレブラム・オルクスの翼が次々に捥げ、瑞樹を仕留めんとする一撃が生み出されていく。重い代償――三本の翼を凝縮した弾はぎゅるりと呪いの力を纏い、瑞樹を追うようにして弧を描いた。
身を屈め、回し、傾け、瑞樹は大魔王の猛攻を凌いでいく。
空間に残る呪詛の残滓に耐え、弾が消滅する瞬間を狙い――瑞樹の姿は、ふっとセレブラム・オルクスの視界から消えた。
「……何だ?」
猟兵の姿を見失ったセレブラム・オルクスはぎょろりぎょろりと目玉と頭を蠢かせる。
その歪な巨体の死角にて、瑞樹はユーベルコード『鳴神』を発動させていた。
姿が見えぬなら――セレブラム・オルクスが全方向へ攻撃を放とうとした、その時。
「境の先へ……!」
ザシュッ!! とセレブラム・オルクスの背が深く切り裂かれる。身の痺れる斬撃を放った瑞樹はそのままもう一度、十字を描くように刃を振り抜いた。
不意を打たれたセレブラム・オルクスは急ぎ身を回そうとする。痺れ、杭を打たれたように動かぬ軟体で、大魔王はそれでも一撃をと傷を負った翼を切り離した。
「――」
呪詛が紡がれ、瑞樹の眼前で翼が弾丸に変わる。
至近距離の一撃――しかし瑞樹は寸前で空を蹴ると、僅かにそれが掠る痛みを堪えてセレブラム・オルクスの頭部に刃を振り下ろした。
深く、刃が柔らかな肉に突き刺さる。大魔王の肉体が激しく震える中、彼は鋭い呼吸とともに刃を抜き、蠢く床へと着地するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
岩永・勘十郎
「またおどろおどろしい奴だな」
敵は【フルクシオー】たる技で攻撃を仕掛けてくる。
粘性液の攻撃は《戦闘知識》や《サバイバル》で把握済み。
《早業》を駆使し、大きく間合いをとって回避。
周辺の瘴気的物等は装備《サバイバルウェア》の酸素マスクで対応。
《環境耐性》もあってか余裕を持って行動出来ている。
次の攻撃が来る前にUC【赤蛇の矢】を駆使する。
《野生の勘》で敵の急所であろう場所に向かって毒の《属性攻撃》である劇毒の矢を放った。もちろん《怪力》で矢を限界まで引き切っている。物凄い威力になるだろう。
「安心しろ。苦痛が来る前に死ねる毒だ」
と《毒使い》たる言葉を呟く。
ドクン、とセレブラム・オルクスの身体が鼓動のように蠢く。
「またおどろおどろしい奴だな」
あまりにも歪、そして不気味な大魔王へ呟く岩永・勘十郎(帝都の浪人・f23816)。セレブラム・オルクスはそんな彼の姿を崩れかけの眼球で捉えると、口を動かし這うような声で呪いの音を紡いだ。
「――」
途端、臓物の身体から大腸らしき部位がぬるりと伸びる。大魔王の呪詛を纏ってかスライムのような粘液状に変化したそれは、勘十郎――が、寸前まで立っていた地面を思い切り殴りつけた。
――ズドン!! と重い衝撃。同時にぞわりと背を撫でるような禍々しさが漂い、あの粘液がただの物理的な攻撃ではないことが察せた。
間髪入れずもう一撃、勘十郎追ってその頭部を吹き飛ばさんとする太い粘液の塊が伸びる。
しかし、不意を打ったと確信するセレブラム・オルクスの思考に反し、既に勘十郎はその攻撃を予測し把握していた。
勘十郎は自らの経験から粘液の軌道を読み、大きく真横に跳んでその攻撃を躱す。ジュウ、と周囲の壁や床に染みる液体が蒸気を上げて勘十郎を包むが、彼はそれすらも自前の酸素マスクと耐性で凌ぎきっていた。
セレブラム・オルクスは手応えのなさに唸るまま、一度攻撃の手を止める。再び呪詛を練り上げようとその口が動きかけた――寸前、数秒の隙に好機を見出した勘十郎は鋭く息を吸って、ユーベルコード『赤蛇の矢』を構えた。
凄まじい力で弓を撓らせ、矢を引き切る。劇毒を含んだ小さな刃はセレブラム・オルクスの急所、恐らく生物であれば弱点となるであろう部位――眼球の後ろに構える大脳に狙いを定めて。
「安心しろ。苦痛が来る前に死ねる毒だ」
そう勘十郎は小さく、毒使いたる言葉を呟いた。
ヒゥッ! と空気を裂く音が鳴る。最大限の威力と速度を持った勘十郎の毒矢は、セレブラム・オルクスの脳の中心へと的確に放たれていた。
「――!」
セレブラム・オルクスが呪詛を紡いだ、かと思えば。
毒矢が剥き出しの大脳に深々と突き刺さり、傷を刻むと共にその全身へ劇毒を巡らせていく。てらてらと艶めく臓物の身は病的な色に染まりながら、ひどく痙攣して溶け出していくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ミア・ミュラー
これが、大魔王……。呪いのことはあんまりわからないけど、すごい魔力、ね。
足場が危ないところもあるし、わたしはあまり動かずに戦う、ね。大魔王の攻撃を、「視力」で魔力の流れを読んで、傘でしっかり「盾受け」するよ。傘は「空中浮遊」させて、「オーラ防御」のバリアで大きさを広げて、わたしが見られないように視線を遮ってもらう、ね。
防げたら【陽はまた昇る】で消化液の当たらない上の方に太陽を作って、攻撃。さすがに光を「属性強化」した、輝く太陽を凝視するのは難しい、でしょ?目潰しできれば他のみんなも動きやすくなるし、太陽の光で強く、できる。
諦めなければ必ず、勝てる。この世界の人たちのために、絶対負けない、から。
深い傷を負ったセレブラム・オルクスは、痙攣する身体の中心で巨大な眼球をぎょろぎょろ蠢かせる。怨念と呪いの籠もったそれが捉えたのは、猟兵ミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)の姿であった。
「これが、大魔王……。呪いのことはあんまりわからないけど、すごい魔力、ね」
セレブラム・オルクスの巨体を見上げ、ミアは僅かに息を呑む。触れずとも感じ取れる規格外の魔力、そして生物と呼ぶには歪すぎる異形の姿。ミアは盾代わりの傘を構え、大魔王の攻撃を警戒して集中していた。
そして、不気味にぶよぶよと震えるのは大魔王だけではない。生き物の胃の中のような洞窟は謎の液体を染み出させながらぐにゃぐにゃと脈打ち、足場としてはそう安定したものではないことが明らかだ。
故に動かないミアと、動けないセレブラム・オルクスの間に数秒の沈黙が走る――中、突如。
ぎゅるり、と巨大な眼球が瞳孔を開く。
魔力の波、攻撃の予兆を感じ取ったミアはすかさず傘でその視線を遮り、身を守る為の気を広く張る。邪悪な魔力に呑まれぬようミアは傘の陰に隠れつつ、消化液の当たらない遥か上方に向かってユーベルコード『陽はまた昇る』を紡ぎ出した。
「――さすがに輝く太陽を凝視するのは難しい、でしょ?」
そんな小さな声が響いた直後。
「……何、だっ!?」
光の少なかった洞窟はカッと眩い光に包まれ、セレブラム・オルクスを強く照らす。ミアの魔法が創り上げた『太陽』が大魔王の眼球に光を注げば、それが何かを見つめることは叶わなくなってしまっていた。
目を潰されたセレブラム・オルクスはがくがくと震えながら身を起こす。見えずとも、広範囲の魔術を――そう口を動かそうとした瞬間、ミアは更に太陽へ魔力を送った。
「諦めなければ必ず、勝てる。この世界の人たちのために、絶対負けない、から」
言い放つミアの言葉の後に、暖かな光が洞窟を満たす。
浄化の力を含んだそれはセレブラム・オルクスを全方向から襲い、災厄に打ち勝つ希望を示すが如く、煌々と輝くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
セラフィール・キュベルト
なんと禍々しい姿でしょうか。
そして何より、この凄まじいまでの呪詛…まるで世界全てを呪うかのような。
なんとしても、祓わねばなりません…ね。
【呪詛耐性】【破魔】の力を総動員にて漂う呪詛に抵抗。
敵の眼球の視線に捕われぬよう、【空中浮遊】での飛行・精霊様(angelus luxis)からの発光による【目潰し】を駆使し回避。
捕われた場合は己の【呪詛耐性】に、【祈り】による信心の発露を上乗せし、以て抵抗・脱出を試みます。
ユーベルコード発動の機が巡り次第、神威顕現・破邪天光を発動。【破魔】による浄化の力を付与の上、全弾を魔王へと撃ち込みます。
この際、攻撃の起点となる翼と眼球へ集中的に撃ち込めればと。
ぬらり、とセレブラム・オルクスの身が光を返す。明るくなった洞窟の中で、大魔王は光を拒み、痛みに唸るようにして呪詛を紡ぎ続けていた。
「なんと禍々しい姿でしょうか」
セラフィール・キュベルト(癒し願う聖女・f00816)は思わず息を呑みながら、大魔王の蹲る方へ進んでいく。心を蝕み、狂気に誘うような呪いの声に対しても強く意識を保ちつつ――彼はその青の瞳に意志を宿した。
「なんとしても、祓わねばなりません……ね」
ふわり、とセラフィールが背の翼を広げる。天使の如き姿にセレブラム・オルクスがぎょろりと眼球を動かせば、セラフィールはすぐにそれが明らかな怨念を籠めていることを感じ取った。
「――精霊様」
セラフィールは宙へと浮き上がりながら光の精霊へと祈る。途端、セレブラム・オルクスの視線を遮るように、彼の身体は眩い光を纏い出した。
煌々と輝くセラフィールはそのまま強く羽撃き、セレブラム・オルクスを惑わすように空中を駆け巡り――ふと、光の中でもただ眼球を揺らす大魔王を視界に捉える。
傷と光で最早潰されたも同然の瞳。しかしセレブラム・オルクスはぎょろりと無理矢理にその瞳孔を開き、非ぬ方向を見つめていた。
「……!」
空中を駆けていたセラフィールはその視線に捕らわれかけるが、素早い動きと強い祈り、そして自らの耐性でそれを凌ぎ切る。
そして――邪悪な魔力を振り切って、彼は溜め込み巡らせていた力を解き放った。
「貴き天光束ねし者よ、彼の悪しき意を撃ち浄め給え!」
その声が、強く空気を震わせれば。
セラフィールはユーベルコード『神威顕現・破邪天光』を発動させる。
彼の魔を破る光は、浄化の力を含みながら真っ直ぐに伸び――二百をゆうに超える光線となって、セレブラム・オルクスの攻撃の起点、人体らしき部位から生える翼と眼球に集中した。
全ての光線を残さず大魔王の身へ叩き込み、セラフィールは小さく息をついて地へと降り立つ。セレブラム・オルクスは歪な臓物の身体を震わせながら、掠れる喉で怨嗟と呪詛を這わすのであった。
大成功
🔵🔵🔵
セルマ・エンフィールド
最後に全てを喰らえれば勝ち、ですか。
確かにその通りですね。
ならば、あなたもあなたの本体も撃つのみです。
『早業』で『クイックドロウ』したデリンジャーを両手に持ち、氷の弾丸による『属性攻撃』で凍らせた個所を渡ることで足元から染み出す呪詛の液体を避け、こちらに直接伸ばしてくるものは『見切り』氷の弾丸で凍結させつつ『武器落とし』、撃ち落とします。実体があるのであれば可能でしょう。
そうやって時間を稼ぎつつ周囲の気温を下げていき、ある程度下がったら【絶対氷域】を。
呪詛の塊だろうと何だろうと……この冷気からは逃しません。
絶対零度の冷気で凍てつかせたところをフィンブルヴェトによる撃ち抜き砕きます。
セレブラム・オルクスは痛みに身を震わせながらも、しかし何処か僅かな余裕を浮かべて何かを呟く。響く呪詛に混じった声がはっきりと言葉になることはなかったが、それが示す感情は間違いなく――猟兵と始めて対峙したときと同じものであった。
「……最後に全てを喰らえれば勝ち、ですか。確かにその通りですね」
セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は頷きながらも、阻む意志を見せて。
「ならば、あなたもあなたの本体も撃つのみです」
放たれた言葉に、セレブラム・オルクスはどくりと身を波打たせる。巨体を巻く腸らしき部位は呪いの音を受けて粘液状に変化すると、飢えた獣のように勢いよくセルマへと突進した。
カシッ、とセルマの手が二丁の短銃・デリンジャーを素早く握る。足場を整えるべく氷の弾丸で地面を撃ち抜いた直後、セルマは弾を再び砲身へ籠め――向かってくる粘液の塊へと狙いを定めた。
「実体があるのであれば――」
セルマの両の指が、揃って引き金に触れる。得体の知れない大魔王の攻撃といえど、確かにそこに在る物なら――凍る、筈だ。
瞬間、セルマの思惑通り粘液が硬く凍りつく。セレブラム・オルクスは使い物にならなくなったそれを棄てると、新たに生み出した粘液をセルマの横へ滑らせた。
しかしその攻撃は不意打ちと言うには程遠く、空気の揺れと音、そして禍々しい気配を消すことが出来ていない。セルマは的確に大魔王の粘液、そして周囲の不気味な壁や地面へと弾丸を撃ち込み続けていった。
セレブラム・オルクスはふと、臓物の身体を震わせる。
痛みや毒の痺れではない。ボロボロの眼球が何とか周囲を見回せば――いつの間にか、洞窟や自らの巨体に霜が降りていることに気づいた。
「……この冷気からは逃しません」
セルマはふっと白い息を空に融かしながら、ユーベルコード『絶対氷域』を発動させる。
鈍い巨体、しかも凍り付き地に縛られたセレブラム・オルクスはなす術もなく、セルマの放つ絶対零度の冷気に飲み込まれていった。
「――」
セレブラム・オルクスは足掻くように口を動かす。しかしそれが音となる前に、ぶよぶよとした巨体は硬い氷となって沈黙した。
かつん、と靴を鳴らし、セルマはその手の武器をマスケット銃・フィンブルヴェトに持ち変える。狙いを定め、その引き金を引けば――セレブラム・オルクスの上半身は高い音を立て、粉々に砕け散ってしまうのだった。
大成功
🔵🔵🔵
カイム・クローバー
悟郎(f19225)と共闘。
随分と気持ちの悪いトコに住んでんな。折角尋ねたってのに此処じゃ、茶の一つも期待できそうにねぇ。
客をもてなすのは礼儀だぜ?入れたばかりの知性にはまだ早過ぎたか?
悟郎の動きを気取られぬよう【挑発】を用いてヘイトを集める。
粘性を帯びた呪詛の塊は【見切り】【残像】を用いて躱す。デカイ目玉は飾りか?こっちだ、魔王様。
魔剣を顕現し、【二回攻撃】に黒銀の炎の【属性攻撃】を刀身に宿してUC。【範囲攻撃】でこの気味悪い洞窟に黒銀の炎をまき散らす。
狙いは洞窟内の液体の蒸発。悟朗の動く一瞬を俺が稼ぐ。全ては本命の一撃の為。
…あばよ、魔王様。今度尋ねる時は茶と茶菓子の用意ぐらいはしておきな
薬師神・悟郎
カイム(f08018)と共闘
敵の先制攻撃は視力、見切りで回避
回避不可であれば複数の耐性とオーラ防御、カウンターで被害を最小限に抑えられるようかばう
先制攻撃を凌げれば存在感を消し目立たないよう闇に紛れる
カイムが陽動で動いてくれる中、敵の動きと状態を情報収集、医術
攻撃を当てるだけなら難しくないが、致命傷を与える程となれば好機を伺い狙うしかない
黒銀の炎に敵のヘイトが向いたのを目視後、暗殺、スナイパーで敵の負傷した箇所を狙い範囲攻撃
破魔を付与した苦無の属性攻撃を受けてみろ
攻撃終了後はカイムの傍まで下がり、態勢を整え直すと同時に弓を構え彼の援護に移る
「今度は俺が道を切り開く。キツイ一撃を食らわせてやれ」
セレブラム・オルクスは歪な身体を不気味に震わせ、辛うじて頭らしき部位を生やす。崩れかけの身体でも未だ意識はあるのか、洞窟には呪詛の音が再び響き出していた。
カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)はぐにゃり、と柔らかな地面を踏みつつ、大魔王を挑発するように口角を上げる。
「……随分と、気持ちの悪いトコに住んでんな」
――此処じゃ茶の一つも期待できそうにねぇ、と冗談めいて。
セレブラム・オルクスが言葉を返そうとするのを遮って、カイムは声量を上げて続けた。
「客をもてなすのは礼儀だぜ? 入れたばかりの知性にはまだ早すぎたか?」
とんっ、とカイムが自らの頭を突付いて見せれば、セレブラム・オルクスはその全身に血管らしき筋を浮かべてぶるりと震える。
怒りを露わにする大魔王の視界に、カイムがちらりと物陰――薬師神・悟郎(夜に囁く蝙蝠・f19225)へと目配せした一瞬を映す余裕などはなかった。
瞬時に小さな口が再び呪詛を紡ぎ、セレブラム・オルクスは次々と身体を粘液に変化させてカイムに襲い掛かる。全方向から来る呪詛の塊はひとつひとつが重い一撃となって空気を鳴らすが、カイムはその軌道を見切り、残像を囮に躱して凌ぎ切っていた。
「デカイ目玉は飾りか? こっちだ、魔王様」
そう挑発を加えれば、更にセレブラム・オルクスの意識が集中する。
攻撃を引き付けたカイムはその手に魔剣を顕現させると、黒銀の炎を宿しながらユーベルコード『死の舞踏』を発動した。
セレブラム・オルクスへ刃を振るいながら、カイムは気味悪い臓物の洞窟に炎を撒き散らしていく。轟く熱が壁や地面へと巡れば、そこから染み出していた液体はジュウと蒸発して空へ溶けてしまった。
大魔王の目がカイムに奪われる中、悟郎は乾いた足場を強く踏み込んでセレブラム・オルクスに肉薄する。死角から飛び出した苦無は巨体の中心、禍々しく輝く紅に狙いを定めていた。
「――受けてみろ」
セレブラム・オルクスにはそれを防ぐ術も、気づく余裕もなく。
ぞぶり、と確かに刃が肉に潜る感覚と同時、セレブラム・オルクスは地の底に引き摺り込むような悲鳴を上げて激しく身を震わせる。悟郎はそのまま苦無を一度奥へ押し込み、容赦なく引き抜いて大きく跳び退がった。
高く、セレブラム・オルクスが体液を噴く。
息もつかぬまま悟郎はカイムの傍で体勢を整えると、凛と弓を構えて言葉を紡いだ。
「今度は俺が道を切り開く。キツイ一撃を食らわせてやれ」
カイムは笑みを浮かべて頷き――魔剣を一度、強く握り直す。
満身創痍のセレブラム・オルクスが粘液をどろりと唸らせ放つ中、カイムは迷わず前へと突き進んだ。粘液は悟郎の矢に相殺され、カイムに触れる事無く爆ぜていく。
一歩、また一歩と距離を詰めながら、カイムは別れを告げるように囁いた。
「……あばよ、魔王様。今度訪ねる時は茶と茶菓子の用意ぐらいはしておきな」
崩壊寸前の急所へ、深々と刃を突き刺す。
直後、セレブラム・オルクスはその全身を解くように溶かし――遂に、息絶えるのであった。
大成功
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