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山より高くもっと高く

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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「皆さん、お時間ありますですか?冒険、興味ありませんですか?」
 30cmにも満たない身体で両手を振って猟兵達に声をかけるのはフルール・トゥインクル(導きの翠・f06876)だ。
 片手には地図と思わしき丸められた紙が握られている。
 冒険と聞いたからか、単にグリモア猟兵の呼びかけだったからか、次々と集まってくる猟兵達を前にしてフルールは安心したように微笑む。
「集まってくれる方々がいてよかったのです。実は皆さんにワイバーン退治をお願いしたいのです」
 フルールの発言に猟兵達の間でざわめきが起こる。
 予知したのか?場所は?次々飛び出す質問に飲み込まれそうになりながらもフルールは声を張り上げて続けた。
「私の故郷、アックス&ウィザーズの世界でワイバーンが出現すると予知したのです!詳細をお話しますので静かにしていただけると助かるのです!」
 必死の説明に徐々に静かになる周辺。ようやく話ができる、とフルールは手元の地図を広げた。
 地図には森と山、さらに山の中にあると思わしき洞窟の印に雲のような絵で覆われた部分がある。
「それでは詳細をお話しますのです」
 そうしてフルールは地図を示しながら予知した内容を話し始めた。長くなりがちな彼女の話を要約するとこうだ。

 1つ、ワイバーンが出現することを予知した。すぐに周辺の町などへの影響はないが、放置するわけにはいかない。
 2つ、ワイバーンと共に見た景色は青い空と白い雲、そして足元には濃い緑。周りには他に何も見えなかったことからかなり高い場所であること。
 3つ、恐らく巨木の上であろうことが推測できたが、それほどまでに大きな木は知られていないため地図の雲に覆われた部分、未開の地にあることが予想されること。
 4つ、その場所に行くためには『入ったら戻ってくることができない』と冒険者の間で噂になっている洞窟を通る必要があること。
 5つ、洞窟の近くまではテレポートで送ることができるので洞窟を抜け、ワイバーンのいる巨木を探して登り、ワイバーンを倒してほしい。

「……ということなのです。なので冒険に興味ありませんですか?だったのですよ」
 一通り説明を終え、地図をくるくると元の通り丸めると猟兵達を見渡すフルール。
「恐らくなのですが、洞窟には何らかのトラップが仕掛けられている可能性が高いのです。それが人為的か自然に出来上がったものかは判別がつきませんですけど」
 ですので洞窟へ向かわれる際には十分に気を付けてくださいなのです、と続けて彼女は猟兵達にアドバイスを送る。
「それでは準備ができた方からお導きしますのです。もしいい景色が見れたら教えてくださいですよ」
 最後にはにっこり、笑顔を浮かべてフルールは猟兵達を冒険の旅へと送り出したのだった。


心音マリ
 お久しぶりです、心音マリです。
 今回は冒険メインのシナリオでございます。
 洞窟を抜け、木を登り、頂上に待つワイバーンを倒す、といった内容となっております。

 お一人でもお連れ様と一緒でも冒険を楽しんでいただき、隙あらば山より高い木の上からの景色を堪能していただければと思います。

 トラップの内容は反応や予想などを書いていただければ可能な限り近しいものを、もし思いつかなければこちらで用意しているものをご用意させていただきます。

 それでは皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『噂の鍾乳洞』

POW   :    トラップなどは力づくで進む

SPD   :    トラップなどにかかる前に素早く進む

WIZ   :    トラップなどに気を付けつつ進む

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御形・菘
はーっはっはっは! 洞窟、巨木にワイバーン!
実に良い画が撮れそうではないか! さあ、冒険に出発よ!

……うーむ、華麗に罠を掻い潜ったり見事に解除していったりが理想ではあるのだが
ぶっちゃけ妾にそんな技能は無い!
故に開き直って、出くわした罠は全て派手に粉砕の方針でいくぞ!

罠というのは、普段の目線より上か下に起動装置があったりするのであろう?
割と素で怖がられるんで避けておるが、今回は特別よ
超前傾姿勢というか這いずり進行で、足元系のみ全部叩き潰しながら突撃だ!

うわ、紐の切れた音?がしたと思ったら矢が飛んできた!
角が無かったら刺さってたではないか! 本気で危ないわ!
落とし穴は身体を伸ばせばどうとでもなる!



 ザッと一番乗りで洞窟の前にテレポートしてきたのは御形・菘(目指せビリオン・f12350)であった。高らかに笑い声を上げながら眼前の入り口を見やる。
「はーっはっはっは!洞窟、巨木にワイバーン! 実に良い画が撮れそうではないか!さあ、冒険に出発よ!」
 ビシィ!と入り口を指さす菘。まるでカメラ撮影しているかのようなキメ具合だ。いや、カメラあった。ふわんふわんと菘と洞窟の両方を一度に映せる場所に小型のドローンが浮いている。
 しばらくポーズを決めていたが、満足したのか菘は一人洞窟へ乗り込んでいった。
 洞窟の入口から目に見える範囲まではいくらかならされており、これまでにもいくらか人や動物などが踏み入ったことを想像させる。
「……うーむ」
 事前に仄めかされていた罠の可能性を思い出し、菘は少々難しい顔をする。
 それはそうだろう、カメラ映えも考えた攻略を考えるならば、罠を察知し掻い潜ったり解除したりといったものが理想だ。
 だが、残念なことに菘には勘による罠察知はともかく、解除関係にはとんと縁がなかった。
「技能は無いのだから仕方ない!出くわした罠は全て派手に粉砕の方針でいくぞ!」
 できないものはできない、とあっさり開き直り漢探知──おっと失礼、女探知(?)をすることに決定。
 スルッと上半身を前に倒し、這うように移動していく。普通の人間であれば多少は時間がかかるものだが、菘はキマイラ。蛇となっている下半身をうまく使ってするすると奥へ向かっていく。
 ふわふわ浮いている小型カメラが進んでいく菘を下からのアングルでとらえているが、メイクも相まって正直ちょっと怖い。カットした方が泣かれないかもしれないこのシーン。
 ──プッツン。
「うん?……おお!?」
 何かに触れた感じはなかったものの、糸のようなものが切れる音がしたと同時に菘の頭に衝撃が走る。
 見れば地面には古びた矢が落ちている。どうやら昔、ここに逃げ込んだ冒険者か盗賊が仕掛けた罠だったようだ。ただ、運よく矢は菘の角にあたって跳ね返っただけで済んでいた。
「……角が無かったら刺さってたではないか!本気で危ないわ!」
 状況を理解して叫ぶ。その顔には冷や汗がたらり。
 しかし糸が切れたことでここは安全に進んでいけるだろう、そう考え奥へと足を進めた菘だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

祝聖嬢・ティファーナ
噂の鍾乳洞に向かうまでに光の精霊と風の精霊に『フェアリーランド』に入ってもらい、鍾乳洞で猟兵たちの目印として鍾乳洞に光の精霊に進む方向を示してもらい、風の精霊に冷え過ぎない様に風を操ってもらいながら進んで行きます♪

鍾乳洞の中を通っている最中にもワイバーンの様子や特徴を精霊たちに聞きながら猟兵たちに伝えて行きます☆
鍾乳洞の中で冷えている猟兵が居たら火の精霊に温めてもらいます♪

帰り道に通るかも知れないから闇と精霊と水の精霊にお留守番と道案内をお願いしておきます☆



 続いて洞窟に入ったのは小さな影。両手で壺を抱え、ふわふわ飛びながら先の猟兵を追うように進んでいくのは祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)だ。
 その後ろ、入り口近くにはティファーナから留守番を頼まれた闇と水の精霊が見守るように立っていた。
 洞窟は入ってしばらくは入り口からの光と人為的に過去に設置されたであろう松明のおかげで明るさは問題なかったが、それは入ってしばらくまで。
 奥へ進めば進むほど水滴の音が聞こえ、暗くなっていく。
「それじゃあよろしくね☆」
 壺に向かってティファーナが声をかけると中に入っていた精霊が外へ飛び出してくる。
 光の精霊はその身を輝かせ、明かりと共に目印になるようにピカピカ光る。
 風の精霊は風を起こすとティファーナの身を温かな風で包んだ。
「よし、レッツゴー♪」
 奥へ行くにつれて寒くなっていく空気も精霊に手助けされたティファーナには気になるものではない。しいて言うなら見た目だけは寒々しそうだが。
 しかしただ進んでいくだけではない、少しでもワイバーンの情報を得ようと精霊と話すのだ。
 漠然とした情報であったが『尻尾に毒があるはず』『いつも飛んでる』といった話を聞くことができた。その情報をとかの猟兵にも伝えられるよう、頭に入れながらティファーナは進んでいた……その時である。
「わぁ!?」
 ピチョン、という音と共に彼女の目の前を水滴が過ぎていった。溜まった水滴がタイミングよく落ちてきたのだろう。身長22cmちょっとのティファーナにとっては多少の水滴でも全身を濡らしかねない天然のトラップだ。
 もし濡れたら火の精霊に乾かしてもらおうか、そんなことを考えながら天井にも気を配りつつ情報を得たティファーナは他の猟兵を追うように進んでいくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リーファ・レイウォール
行動指針はWIZ

洞窟に踏み入る前に、ユーベルコードを使っておく
(ソウルフードの煮込みに、七味を添えて)
大変そうだもの。能力は上げておきたいわ

【世界知識】でトラップ内容を予測
およそ自然造形物だとは思うけど

洞窟なら暗いわよね
【暗視】と【視力】で、進む先を見通す
トラップを【見切る】ためにもね

足元の石を進もうとする先へ
投げ込むと、道が崩落
「砂や砂利で出来た道は、こう言うこともあるわよね」
こう言うのも、冒険者からすればトラップよね
上からも砂利が落ちてきそうだし
不定期に堆積してるのね。これ

進むのは上なのよね?
【クライミング】は、こう言うときにも役立つのかしら。



 一方、リーファ・レイウォール(Scarlet Crimson・f06465)は洞窟の奥で自らの知識を使いながら冷静に進んでいた。
 先の猟兵のおかげで通ったところは一定の明るさが保たれているが、天井や隅、奥への道はそうもいかない。
 入り口近くはまだ人の手の入った部分であったが、リーファのいる場所はかなり進んだ奥。もはや人工物の気配も感じず、危惧するべきは自然の作る天然のトラップと言ったところだろう。
「まぁでも、予想できて見えるなら警戒もできるわよね」
 呟きながら暗闇すら見通すことのできる瞳で暗い暗い奥を眺める。
 ちなみに彼女、洞窟に入る前にちゃっかり料理を食べて自身のギアをあげていた。なお、料理の内容は元々辛そうな煮込みにさらに七味が追加されているという、奥へ行くにつれて冷えていく洞窟を進むのにピッタリなものであったことを補足しておこう。ただとても、とても、辛そうである。
 不意に進んでいたリーファの足が止まった。
 目の前には暗い中でもわずかな明かりでよく見えるほどに白い地面。そこだけ地面を作っている素材が違うであろうことがわかるほどだ。
 そして彼女は目の端に映ったわずかな光を反射しながら落ちる白い影を見逃さなかった。
「まさか……ね」
 ある予感と共にリーファは足元の石を拾うと、目の前の白い地面に向かって投げる。本来であれば『コツン』とでも音がするはずの地面はしかし、『ぼすん』という鈍い音と共に石を飲み込んだ。
 もう一つリーファが石を拾って投げると、再び『ぼすん』という音と共に石を飲み込み──地面が消えた。
 正確に言えば白い地面が雪崩れるように左右に分かれて落ちていき、リーファの足元と同じ暗めの地面が現れたのだ。ただし、あちらこちらに隙間や穴の開いているものが。
「砂や砂利で出来た道は、こう言うこともあるわよね」
 どうやら頭上から砂や砂利が落ちてきており、時間をかけて堆積、地面のようになっていたようだ。
 石を投げ込んだことでバランスが崩れ、あちこちに開いている穴から零れ落ちていったのだろう。そのまま足を踏み入れていれば足を取られていたかもしれないし、最悪大きな穴にはまっていたかもしれない。
「こう言うのも、冒険者からすればトラップよね」
 慎重に砂を払い、後続のためにも足元を確保しながらその奥へと進む。上へ進むのだろうという予想とは裏腹に、奥へと続くその道はなだらかに下っているようだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベルベナ・ラウンドディー
技能:気合い・破壊工作・念動力・鼓舞



私が竜討伐とはね
同族を手討ちにするようで気乗りしねえなあ……しませんが仕方ありません。
彼の名誉を守るために害を為す前に排除する、なるべくそう考えておきます。
尤も、まず考えるべきは洞窟踏破ですが…私は探索は専門外なんですよね…


なので皆さんが拓いた道をあとからついていくに限ります
稼働や解除された罠が二重仕掛けでないかギミックには聞き耳を立てて警戒
ブービートラップには念動力の遠隔操作で距離を取って解除など
罠の完全破壊に努めて、用心深く行くとしましょう



…というわけでみなさん!頑張ってください!(鼓舞)
ラクしたぶん別のところで頑張りますので! 


霑国・永一
【SPD】
罠だらけの鍾乳洞、その先に待つは金になるお宝……ではなくワイバーンだからねぇ。トレジャー探しするには骨折り損もいいところだけど、その時の為の練習にはなるかな。
俺より先に通って行った猟兵たちの後を追うように通れば罠は無いのではないか?と考えて痕跡を辿ろうかな。一応オルタナティブ・ダブル使って分身に少し先行させて罠に対する囮にするけど。大丈夫、分身が死んでも代わりは居るもの……って奴さ。
分身『俺様の扱いひでぇな畜生!覚えてろ!』
【視力】で先を見て警戒しつつ、【ダッシュ】で移動がデフォ。後ろから迫ってくるタイプの罠には【逃げ足】も活用するかな。
いやぁ、こういう経験が値の付けられない宝だねぇ



 さて、こちらは再び洞窟の入り口。サクサクと入っていく大きめの影が二つ。
 ベルベナ・ラウンドディー(ドラゴニアンのバイク乗り・f07708)と霑国・永一(盗みの名SAN値・f01542)だ。
 トレジャー探しのための練習と考えている永一とは違い、ドラゴニアンであるベルベナはどこか複雑そうな顔だ。
 なにせ今回相手とするのはワイバーン、ベルベナにとっては同族を手にかけるような感覚を覚えても不思議なことではない。『彼の名誉を守るために害を為す前に排除する』そんな名目を考えながら彼は足を進めていた。
 だが、思うところの違う二人であったが洞窟の攻略に関する考えは一致していた。
「私は探索は専門外なんですよね……」
「俺たちより先に通って行った猟兵達を追うように通れば罠はないだろうさ」
「やはりそうですか、皆さんが拓いた道をあとからついていくに限りますね」
 そう、すでに突破され罠がないであろう道を通っていく。それだけといえばそれだけかもしれないがこれも立派な攻略法である。
 なぜならここを抜ければ終わり、というわけではなく予知ではさらに巨木やら本命のワイバーンの話もある。体力を残しておくのも大切なことだ。
 さらには先行していた猟兵が残していた案内役や明かりのおかげもあって後を追うのはたやすいことだ。
 もちろん、踏破済みとはいえ二人は油断をしない。
「じゃ、分身、任せた」
 永一が指を鳴らすと隣に永一がもう一人、ユーベルコードによって生み出された分身だ。そして行けばかりに指し示すのは二人の少し先。つまり先行しろと示す。
 意図を理解した分身はちゃんと二人の先を歩くが……ふと振り返って目で問うた、何故?と。それを見て永一はさも当然のように言ってのける。
「罠に対する囮」
 はい?と途端に険しい顔になる分身。聞いていたベルベナもさすがに驚いて永一を見る。
「大丈夫、分身が死んでも代わりは居るもの……って奴さ」
 何という横暴か、これもユーベルコードのなせる業か。さすがにカチンときたらしい分身が『俺様の扱いひでぇな畜生!覚えてろ!』と騒ぐも、知ったことかという態度の永一。
「大丈夫ですよ。罠を見つけたら私が解除しますから」
 すいっと手を動かし、念動力を用いて先に発射されていた矢の発射装置を念のためと遠隔破壊しながらベルベナは分身のフォローをする。その耳はわずかな異音も聞き逃すまいと警戒を怠らない。
「ですので頑張ってください!ラクしたぶん別のところで頑張りますので!」
 明らかに不満そうな分身を応援しながらベルベナは足元に落ちていた矢を踏んで二度と使えないようにしていたのだった。

 順調そうに見えた二人(+分身)であったが、事件は白い砂が天井から零れ落ちてくる空間で起こった。
 ──ズンッ!
 鈍い音と衝撃が洞窟内を走る。
 音をベルベナの耳が捉え音源を探すように視線は天井へ。
 衝撃を感じ取った永一は分身を盾にして警戒を怠らない。
 そして、ソレは天井から、砂に紛れて降ってきた。
 明かりが少なく、何ともいえないが、ソレは黒く球状の大きな塊に見える。しかもここは下り坂だ。つまり重力に従ってソレは二人の方へと転がってくるわけで……。
「逃げるぞ」
 永一の判断は早かった。その足の速さで素早く奥へと駆けると避けられる隙間を探し、後から追うように逃げてきたベルベナを引き込む。
 ゴロゴロゴロ……転がってきたそれは二人の横をすり抜け、デコボコとした地面でバウンドすると大きな道を逸れ、壁に激突して停止した。
「な、なんですか今の……これは……胡桃?」
 転がってきた何かを見に行ったベルベナはその正体に気づいた。それは明らかに巨大な胡桃。どこで実ったのか、直径が人間の背丈とほぼ同じ大きさだ。
「いやぁ、こういう経験が値の付けられない宝だねぇ」
 一方の永一は転がってきた胡桃よりは、不意の出来事に対応するその経験が良いのだと満足げ。ただその後ろで盾にされそうな位置にいた分身が憤慨していたが……これはまた別の話。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アーサー・ツヴァイク
※協力アドリブ大歓迎
【POW】判定で

先行している猟兵達はだいぶ進んでるな
よし、俺も早く追いつかないと…行くぜ、ライドラン!

というわけでライドランに【騎乗】して爆速で駆け抜けるぜ!
ウェポン・アーカイブでピストルも召喚しておいて、なんか落ちてきたり迫ってきたりしたら片っ端から撃ち落とすぜ!
トラップなんか、俺とライドランの力でぶち破ってやるぜ!

…あれ、なんか…少し前にこうやって爆速で駆け抜けて、そのあと酷い目に合ったような…いやまさかこんな所で死霊の罠なんてあるわけ…

…いやここアックス&ウィザーズだからあり得る!?

よし、ライドラン! 今こそ【勇気】を出して切り抜けるぞ!!



 ブオォォォン!!!
 洞窟の中をアーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)は自身のバイク、ライドランに乗り先行する猟兵達へ追いつかんと爆速で駆け抜けていた。
 入口近くはともかく、奥へと進むにつれてデコボコしてくる地面と高さの変わる天井を相手にしても速度を緩めず駆け抜けていく操縦テクニックはなかなかのものだ。
「【Select…CALL ACTION!】今日はこいつを使うぜ!」
 駆け抜けながらも罠への対策は忘れない。先行する猟兵達が念入りに潰してくれていたが人工的なものならともかく自然発生するものを抑えるのはなかなか難しい。
 今も天井から降ってきた小さな石を召喚していたピストルで器用に打ち落とすと軽くガッツポーズを決める。
「トラップなんか、俺とライドランの力でぶち破ってやるぜ!」
 バイクの速度もあってとても順調に進んでいく。このままであれば先行組へ追いつくのもたやすいだろう。普通の洞窟ならそのはずだった。
 だが、忘れないで欲しい。この洞窟は『入ったら戻ってくることができない』と噂になるほどのものであると。それはすなわち、入ったっきり戻ってこなかった、犠牲になった冒険者がいた、ということなのだ。
 つまりは──。
「ん、なんだあれ」
 駆け抜けるアーサーの視界に白いものが映った。普段なら何ら気にしないものであったが、過去の経験が彼に警鐘を鳴らす。
 そういえば、前に爆速で駆け抜けて酷い目に遭ったような……。
「いやまさか、こんなところに死霊の罠なんてあるわけ……」
 人、それをフラグという。
 呼んだ?とばかりに半透明でボロボロの冒険者風の人型が道行きをふさぐかのように現れる。何体も、何体も。
「いやここアックス&ウィザーズだからあり得た!!」
 見てしまったから仕方ない。いくら悪を打ち破る光であるドーンブレイカーであろうとも浄化除霊は若干専門外か。元より、オブリビオンを探すためにはこんなところで止まっているわけにはいかない。
 そうとなればとるべき手は一つだ。
「よし、ライドラン! 今こそ勇気を出して切り抜けるぞ!!」
 愛機に声をかけ、迷うことなくアーサーはアクセルを全開にする。エンジンを高らかに鳴らし、もはやなんであろうと轢き倒す勢いで行く手をふさぐ死霊の群れに突っ込む。さしもの死霊たちも突っ込んでくる勢いにビビって避けてしまった。
 そのまま全力で駆け抜け、先行する猟兵達へ追いついたアーサーは死霊の存在を周知するよう声をかけたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『天高くそびえる味覚の木』

POW   :    天辺まで強引によじ登る

SPD   :    落ちてくるものを足場に、もしくは避けながら壁登り

WIZ   :    登らず落ちた果物を美味しく食べる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 洞窟を歩き続ける猟兵達であったが、やがて前方から光が差し込む。
 近づいていくとそこは洞窟の出口、ちょうど山の反対側に位置しているようだった。
 下り坂の洞窟を上がることなく外に出たため、こちら側は入口よりかなり低い位置にあるようだ。振り返って見た山が洞窟に来る前より高く見える。
 さて、目的の巨木を探そうと猟兵達が足を進めるとほどなくしてそれは見つかった。

 それは巨大な樹であった。
 先ほど見た山よりも大きく見えるほど幹を、枝を伸ばし、太陽の恵みを受ける樹であった。
 枝には様々な、そう、さまざまな果実を宿し。周辺には熟しきった果実が落ちた跡がある。
 そしてまた、猟兵達の目の前でバナナが落ちてきて、地面が軽く振動する。

 果樹園をこの一本で再現?呆然とした猟兵の誰かが口走った。
 そうだとしても巨人用かな。他の猟兵が答えた。
 落ちた果実は一目で見ても通常のサイズとは異なり、どれも人間並みのサイズであった。
 だがこの上に予知されたワイバーンがいるのだ。
 落下してくる果実を気にしながら猟兵達は巨木へと向かって行った。
祝聖嬢・ティファーナ
翔びながら登りつつ、果実が落ちたら『エレメンタル・ピクシィーズ』風の精霊に竜巻や吹上で運んでもらって『フェアリーランド』の“壺”で受け止めてしまいます♪ 他の猟兵が果実を取ろうとしていたら風の精霊には止めてもらって他の果実を運んでもらいます☆ 

後は翔びながら樹木に「取っても大丈夫なのとか、そろそろ取って欲しいのとかあったら教えてくれないかな?♪」と聞いてみて、後で種は捨てないで蒔く事を約束します☆
翔びながら「ワイバーンって羽蛇竜を見た事って無い?」と樹木や聖霊にも聞きながら翔んで、聴いた事は後で猟兵にも必ず伝えます☆
怪我人や疲弊者が出たら『生まれながらの光』と『シンフォニック・キュア』します♪


御形・菘
このどデカい果実を食べる画だけでも、ネタとしては十分ではあるがな
しかーし! 惜しくはあるが今回のメインはまた別! 往くぞ!
……これ、一つぐらい持ち帰ったりはできんかの?

落下してくるのをいちいち避けるとか、妾には性に合わん!
なーに、それに運命に選ばれし妾へ直撃コースなぞ、まさかあるわけがなかろー?
目指すは当然目立つ一番乗り! てっぺんまでまっすぐ、登っていってやろう!
パパっと野性の勘と勢いでルートを決めて、さあ速く速く、もっと速く!


まあ角に刺さって諸共落下、なんて貰い事故にだけは注意せんとな
自分から当たりにいくのはNGであるが、一、二回ぐらいは当たった方が演出的には美味しいし……(ごにょごにょ)



「ふむ、このこのどデカい果実を食べる画だけでも、ネタとしては十分ではあるがな」
 ぺしぺし、御形・菘(目指せビリオン・f12350)は先ほど降ってきたばかりの巨大バナナを叩く。確かにこんな大きなバナナを食べる動画を投稿するだけでも話題性はたっぷりに違いない。だが、今回の本命は木登り。目的の存在は樹の上にいるのだ。
「往くぞ!……これ、一つぐらい持ち帰ったりはできんかの?」
 びしぃと樹を指さして再びキメる菘。しかし登り始める直前まで割と名残惜しそうにバナナをチラ見してたとか、なんとか。

「ん?なんだろ?」
 一方、先にふわふわと飛ぶように登り始めていた祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)は下から聞こえる音に目線を下に向けた。
 そこにいたのは菘だ。ものすごい勢いで一番乗りを目指して登ってきている。うわぁ、意外とこれも迫力がある。一番乗りになるという気迫がすごい。
「わぁ!?あ、そっちは危ないよ☆」
「はーっはっはっは!妾を誰だと思っているのだ!」
 さすがの迫力に道を譲るティファーナ。だが、勘と勢いでルート決めしている菘がとったのは別ルートだ。
「危ない?運命に選ばれし妾へ直撃コースなぞ、まさかあるわけがなかろー?」
 はい、フラグ入りました。これは見事なフラグですね。
 ひょいひょいとティファーナを追い越し登る菘の真上でぐらぐらとミカンが揺れている。
 ティファーナはそれを知っていて避けていたのだ。動物と会話する手段は持てと樹木と直接会話する手段は持たない彼女であったが、心通わす精霊に頼んで見てもらえば落下しそうな果実のある場所は目星が付く。
 だというのに菘は危険ラインをスピード重視で登っていくものだから困ったものだ。菘の思考は(速く速く、もっと速く!)と登ることしか考えてない。
 まぁ……なので……。
 プツンッ!
「あっ!」
「むっ?」
 何かが切れるような音と共に落下してくるミカン。菘直撃コースだこれ。
 これは危ないとティファーナは詠唱を始めたが、ミカンの落下速度のが早い。すわ、激突して落ちてしまうか……。
「ふはははは、言ったであろう。運命に選ばれし妾へ直撃コースなぞ、あるわけがなかろうと!」
 いや、紙一重で直撃コースから離れている!すごい、野生の勘が働いている!
 高らかに笑い声を上げる菘。最高にキマっている。
 ──サクッ!
「ん?おおお!?」
 何かが刺さるような音とほのかな柑橘系の香り、そして急に重くなった頭。何事かと視線を上に向けた菘が見たのは自身の角に見事に刺さったミカンだった。直撃はしなかったものの少々飛び出している角にきれいに刺さったらしい。
 今はかろうじて幹にしがみついて身体を支えているが、重さで落下するのは時間の問題に思えた。だが、そのわずかな時間で充分であったのだ。
「歌唱う、我らが精霊・聖霊・月霊よ♪ 歌い、踊り、唄い、舞踏れ♪ 素ノ源ヨリ来タレリ…」
 ふわり、矢の形をした風が済み渡る詠唱と共に菘へ殺到する。それらは菘ではなく、刺さったミカンを下から持ち上げると引き抜いて詠唱主──ティファーナの元へと運ぶ。運ばれたミカンは最終的には小さなティファーナの持つ小さな壺へと落され、すぽんと吸い込まれていった。
「はい、おしまい♪ありがとうね☆」
 手伝ってくれた精霊たちにお礼を言うとピースサインを菘に送る。小さくて見えないかもしれなかったが、何となく意味は伝わった菘もグーサインを送るのだった。……後で壺にしまったミカンもらえないかな、などと思いながらであったが。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リーファ・レイウォール
行動方針はWIZ

「待ってるのが正解なのかしら?」
でも、とりあえず果実は美味しくいただきます。
特徴の『大食い』も【大食い】も発揮。
「あら、美味しいわね。でも、どういう原理? なのかしら」
育成環境も季節感もない果実達に興味を惹かれるも
「持ち帰るには、大きすぎるわね」

さて……
「それじゃあ、行きましょうか」
英気は充分に養った
後は、ワイバーンを討滅するのみ。
空中戦も、視野に入れておいた方がいいでしょうね

連携は要だと思っている
自分はどう動いて戦うべきか、そんなことを考えながら登りはじめる。
【クライミング】。やっぱり使うことになったわね

※アドリブ歓迎、他の猟兵との絡み大歓迎



「待ってるのが正解なのかしら?」
 すでにドタバタが発生している幹を眺めているリーファ・レイウォール(Scarlet Crimson・f06465)はのんびりしたものだ。
 登るルートがある程度確立されるまで、もしくは危険そうな熟した果実が落ちるまで待つというのも戦略の一つであろう。だが、そのまま待つというのも何とも暇なものだ。
 ならすることは何か?
 熟しきってよい香りを放つ果実を堪能しないわけにはいくまい。
「うん、いい香りね」
 ひとしきり香りを楽しむと、リーファは自身の持つ大鎌で器用にバナナの皮に切り込みを入れて剥いていく。そしてある程度剥き終わったところでパクリ。
「あら、美味しいわね。でも、どういう原理?なのかしら」
 大きい故に味が粗雑かと思えばそうではなく、普通に美味。
 だがこの巨木がバナナの木かといえばそうではなく、あちらにはリンゴ、こちらにはブドウ、そちらにはサクランボに柿と季節感ゼロの一本で果樹園状態だ。
 そもそもどうやったらこんな巨木が出来上がるのか。バナナを食べ続けながらもリーファの興味は尽きない。しかも割と小柄な体型ながらすでに半分ほどが胃の中である。
 ただ彼女には一つだけ残念なことがあった。
「持ち帰るには、大きすぎるわね」
 そう、持ち帰って詳細に調べようにも果実たちは大きすぎるのだ。
 丸い系統の果実ならば転がせば運べそうであったが、そもそも洞窟の中は下り坂だった。つまり帰りは上り坂なのだ。
 思考を巡らせて、ないな、とリーファは首を振った。そんな結論に至るころにはバナナは全部彼女の胃の中。残されたのは巨大な皮だけである。

「さて……それじゃあ、行きましょうか」
 バナナを食べ終え、時間も過ぎた。英気も養い、後は登ってワイバーンを倒すのみだと立ち上がる。
 先の猟兵が登ったルートを追うように、幹へと手をかける。洞窟では使われなかったその技術がここで生かされることになるのだった。
(ワイバーンてことは飛行するわよね。となると空中戦も視野かしら……)
 登りながら思考を巡らせるは頂上で待つワイバーンに向けた戦術。一人で戦うのではなく他の猟兵との連携が要であろう。そのためには共にいる猟兵達の特徴をある程度掴むことも大切なのでは。
 登りながらも彼女の二色の瞳は、登る際に残された痕跡を追い、その特徴を捉えていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アーサー・ツヴァイク
※引き続き協力アドリブ大歓迎

うおっ、なんじゃこりゃ!?
色んな果物が…バカでっけぇなおい…流石アックス&ウィザーズ、UDCアースじゃ考えられ…るかもしれないな、まあいいや。

さて昇るとなると、ライドランをバイクのままにはできないな。槍にして、巨木に刺しながら登るとするか。ユーベルコードを応用して、ライドランを【槍投げ】からの巨木に【串刺し】からの光の鎖を【ロープワーク】で昇るぜ! 足りなかったら、マフラーを引っかけて…っと!
それでも足りなかったら…後は【怪力】と【勇気】の力でよじ登る!
最後に頼れるのは己の腕のみ…だぜ!



「うおっ、なんじゃこりゃ!?」
 一方巨大な樹を目の前にしてアーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)は驚きをあらわにしていた。普通はそういう反応になるよね。
「色んな果物が……バカでっけぇなおい……流石アックス&ウィザーズ、UDCアースじゃ考えられ……るかもしれないな」
 UDCアースでも考えられるのだろうか。ただ間違いなく言えるのはあちらの世界で同じようなものが現れた場合UDC一発出動案件である。現代日本に突如人間サイズの果物(しかもいろんな種類)を実らせて落とす大樹が出現するとかいろんな意味でヤバイ。
「さて、と。どう登ったものかな」
 そんな思考を『まぁいいや』と追い払うとアーサーは木を登る算段を立て始めた。
 まず彼の愛機ライドラン。バイクのままでは身動きがとりにくく垂直方向に登るには向かない。これはライドランを槍へ変形させることで解決。
 次に登る方法だ。先の猟兵達に倣って登ってもいいのだが、素早くかっこよく登ってみたいというのも男心だろうか。幹を下から上へと眺めていたアーサーはかなり高めの位置にある枝に目を付けた。あそこまで一気に行くことができればかなり時間短縮になるのでは、と。
「男は度胸!勇気があればなんだってできるさ!」
 思いついたなら実行あるのみだ。幸いにして彼には力もそれを行う技術もあるのだから。
 ヒュンッ! 風切り音と共にユーベルコードを発現させたアーサーは槍へと変形させていたライドランを狙いの枝近くの幹目掛けて投擲。槍は狙いを外すことなく幹に突き刺さると振動と共に小規模の爆発を起こした。巨木が揺れ、熟していた果実が先んじて落ちてくる。
 ぐらぐらと落下した果実の衝撃でいくらか地面が揺れたがそれもすぐに落ち着く。そして、槍を投げたアーサーの手には光の鎖が握られていた。鎖の先はもちろん、槍と変形し今は幹へと突き刺さっているライドランだ。
「よっと」
 愛機と繋がれた光の絆。それを手がかりに彼は登り始める。真っすぐに登っていく様は果実の落下を心配したくなるが、先ほどの振動と爆発で危険な果実はあらかた落下している。故に安全に槍の元まで登ることができたのであった。
 こうして目標としていた枝まで登ることはできたが、見上げる先にまだまだ頂上は見えない。
 突き刺さったライドランを力任せに引き抜くと、アーサーは次の枝を探してその青い瞳を動かすのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベルベナ・ラウンドディー
ここを登れば竜討伐か
気乗りしねえ…つっても皆士気たけえしなぁ…
今更イヤとか言いづれ…って、置いていかれた!?

ああもう、やりゃいいんだな!(ユーベルコード発動)



【念動力・空中戦・気合い・勇気】…念動力で空中に浮いて向かいます
【情報収集】向かうほど風が強くなるかもですし、風向きは注意
果物がなる大樹なら蔓も枝葉もあるでしょう。休憩するならそこですね

しかし先の洞窟、頭上から胡桃が降ってきました
洞窟を貫いて空から降ったのでしょうか?天然の罠にしては少しあり得ないですが…。
それに人工的な罠や死霊の存在…本来なら調査が必要な形跡でした。
えぇと、フルールさんって言いましたっけ
後で軽く報告はしておきましょう



 ベルベナ・ラウンドディー(ドラゴニアンのバイク乗り・f07708)はぽつねんとしてあちらこちらでにぎやかな巨木を見上げていた。
 これだけじゃわからない? だと思うので少しだけ時間を巻き戻そう。

 少し前のことだ、他の猟兵達と巨木の元にたどり着いたベルベナだったがあいも変わらず表情は浮かない。
「ここを登れば竜討伐か」
 あちらこちらでは猟兵達がいかに登るかを思案していたり何も考えず登っていたりする。食事をしている猟兵もいた。
 その中でベルベナは特別登り方も考えず、思考は頂上で待つワイバーンに占められている。
(気乗りしねえ……つっても皆士気たけえしなぁ……)
 溜息ひとつ。いくら気が乗らないとはいえさすがにここで一人踵を返して帰るわけにはいかない。
「それに今更イヤとか言いづれ……って、置いていかれた!?」
 ここで彼ははたと気づいた。周囲に誰もいない。あるのは食べ終わったとばかりの巨大なバナナの皮ぐらいか。

 そして時間は戻る。そういうわけで、ベルベナはぽつねんとにぎやかな巨木を眺めることとなっていた。
 あ、今、巨木が揺れてあちこちから果物が落下している。それを眺めるベルベナの胸中はいかばかりなものか。
「ああもう、やりゃいいんだな!」
 さすがに完全に置いてきぼりにされたのにはくるものがあったようだ。キレたというより完全なるヤケクソで巨木へと足を進める。
「やればいーんだろ!やれば!やってやりますよ!」
 しかしその手は巨木に触れることはない。代わりに足元へ風を起こすように動かすと、何もしていないのにベルベナの体が浮いた。そのまま上へ向かって飛んでいく。
 どんな手品かと目を疑いたくなるが、これは彼の念動力だ。普段なら自分の体を浮かせて上空へなんて芸道は厳しいかもしれないが、今は偶然にもユーベルコードが発動していた。いや、敢えて不利なことをしていたかといえば微妙であるが。それでも外見的に似たワイバーンのことを考えて出遅れたのは事実だ。そんな事象が彼に力を与えていた。
 さらに何も考えずに上へと向かうわけではない。風向きを考え、位置取りを変え、安全に頂上を目指す。

 一度休憩するかと選んだ枝に降り立ち、ヤケクソモードも吹っ切れたのかベルベナはふと洞窟での冒険に思いを巡らせていた。
「しかし先の洞窟、頭上から胡桃が降ってきました……」
 おそらくその胡桃はサイズからしてこの木のものに間違いないだろう。だが……。
(洞窟を貫いて空から降ったのでしょうか?天然の罠にしては少しあり得ないですが……)
 巨木がいくら大きいとはいえ、洞窟の途中から貫いて落ちてくるものなのだろうか。他にも人工的なトラップの形跡に死霊、調査の必要性も兼ねて戻ったらグリモア猟兵に報告をするか、と思い至るのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

甲斐・ツカサ
【SPD】で判定

でっかい樹だねー、これは登り甲斐がある!

洞窟は出遅れちゃったから、この樹のてっぺんには一番乗りできるように頑張ろう!

『未知標』のフックを枝に引っかけて、振り子の要領で勢いつけてジャンプしたり、ワイヤーを巻き上げて上昇したり
落ちて来た果実も足場にしつつ、なるべく樹に手や足をつけずに空中移動
万が一空に放り出されそうになっても、『Syl-Field』で足場を作れば落下は防げるけど、これはあくまで保険用、基本はワイヤーと果物ジャンプで!

だんだん高くなっていく視界に映る地上の様子も楽しみながら、どんどん登っていこう!

…そういえば登るの楽しくて忘れてたけど、なんで登ってるんだっけ…?



 なおもてんやわんや状態の巨木。先行した猟兵達はかなり上部までたどり着いている。
 そんな楽し気(?)な木登りに新しい参戦者が現れる!
「でっかい樹だねー、これは登り甲斐がある!」
 黒い瞳を冒険に輝かせて甲斐・ツカサ(宵空翔ける冒険家・f04788)は巨木を見上げていた。さて果実落ちる巨木を登るのは彼の持つ冒険記に記されているものだったか。はたまた、冒険記にない未知のものか。それでもこれも心躍らせる冒険には変わりはないだろう。
「洞窟は出遅れちゃったから、この樹のてっぺんには一番乗りできるように頑張ろう!」
 彼は状況で言えば最後尾に近い位置にいる。普通に木登りをするのであれば追いつくだけではなく追い越す、というのは難しいだろう。
 だがそれは、普通に木登りをした場合、の話。彼が使ったのはまた少し変わった方法だった。
「よーし、いくぞ」
 すっとツカサの頭上、1本の枝へワイヤーに繋がれたフックが投げられる。がっしり引っかかったのを確認するとワイヤーを巻き上げ上へ上へ。
 もう少しで枝に着くというところで──ドシン!──別の猟兵の仕業か、軽い振動と共に枝が揺れ巨大な果物が降ってくる。
 振動でワイヤーも大きく揺れ、さらに風にあおられふらふらと危なっかしく揺れる。通常なら落ち着くのを待つところだが、彼には空中で戦う技量もある。これぐらいなら大したことはない、むしろ利用することさえできた。
「これならもっと早く登れそうかな」
 揺れたワイヤーをさらに揺らし、大きく勢いをつける。そして、ブランコからただ飛び降りるかのようにためらいなくひっかけたフックを引き抜き、飛んだ!
 飛んだ先には何もない、このまま落ちるのか……いや、違う。先の振動で降ってきた果物がちょうど足場になるような位置にちょうど落ちてきていた。
 そして果物を足場に素早く次の枝へフックを投げ、ジャンプする。そのままの勢いでまた果物を狙って飛ぶ、と巨木をぐるり階段を上がるかのように飛び上っていく。
 その速度は普通に登るより早く、階段を数段飛ばすように先行する猟兵に追いつかんと進む。だが、ただ進むだけではない。冒険には景色を楽しむという特権もあるのだから。
「わぁ、高くなった高くなった」
 果実を蹴り、ワイヤーから飛び、だんだんと変わっていく景色にツカサは感嘆の声を漏らした。もはや地面は真下を見ない限りは見えず、一面は濃淡様々な緑。遠目には川に様なものも見える。洞窟のあった山も頂上が首をあまり上げずとも見えるようになり始め、最初には聞こえていた鳥や動物の声も聞こえなくなり、今はただ風の音だけが耳に入る。
 その変化は存分にツカサを楽しませていた。
「……あれ?そういえば……」
 地上の様子を見ながら登り続けていたツカサであったがふと思い出したように疑問を口にした。
「登るの楽しくて忘れてたけど、なんで登ってるんだっけ……?」
 彼の疑問に答えるかのように間近に迫った頂上から咆哮が響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『ワイバーン』

POW   :    ワイバーンダイブ
【急降下からの爪の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【毒を帯びた尾による突き刺し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    飛竜の知恵
【自分の眼下にいる】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    ワイバーンブラスト
【急降下】から【咆哮と共に衝撃波】を放ち、【爆風】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 そうして、頂上にたどり着いた猟兵達が見たのは一面の青と緑だった。
 足元は無数の枝と大きな葉が埋め尽くし、よほど狙って薄いところに行かなければ落ちたりはしなさそうだと判断できるほどしっかりとした足場を作っていた。
 頭上は一面の青空で、時折雲が浮かんでいる。来るときに通り抜けた洞窟を抱えた山は視界の端にもかからない。
 グオォォォォォン!!!
 だがそこに、異質な色があった。咆哮を放ち、空中より猟兵達を睨みつけている赤い影。
 グリモア猟兵が予知したと言っていたワイバーンがそこにいた。縄張りを荒らされた怒りか、その瞳は敵意に燃え、今すぐにでも飛び掛からんばかりだ。
 もちろん、されるがままの猟兵達ではない。元よりこのワイバーンを退治にしにきたのだから。
 各々の獲物を手に、猟兵達は最後の仕事へと踏み切った!
御形・菘
おーおー、図体がデカいだけで随分とイキっておるのー
それに戦う舞台としては最高であるな、実に絶好のロケーションではないか!

しかし空からのヒット&アウェイというのは中々厄介であるな
ならば妾がなんとかしてやろう! 皆の衆には予め作戦を伝えておくぞ

翼と両腕を大きく広げ、挑発をしてやろう
はーっはっはっは! さあ来い、どちらが格上かその身に教えてやるわ! きしゃー!(←爬虫類?系は同類と思ってる)
妾の存在感をもってすれば引き付けなど容易いものよ
急降下して攻撃してきても回避したりはせんよ、余裕の態度のまま防御して堂々と受け切ってくれよう!

そして読める動きを見逃しはせん! 皆の衆、この隙にやってしまうがよい!


リーファ・レイウォール
※アドリブ歓迎、連携・絡み大歓迎
※上限解放後希望
□WIZ

久しぶりのお仕事ね

【高速詠唱】の【全力魔法】でユーベルコードを展開
一点に集中して【串刺し】にして【傷口をえぐる】わ

向こうが飛ぶ以上【空中戦】も視野に入れて
攻撃や防御のタイミングには動体【視力】を駆使して


敵の攻撃は【見切り】【残像】で躱しつつ
避けられない分は【オーラ防御】と【武器受け】【激痛耐性】で凌ぐわ

味方の行動を確認(目で見える範囲以外は【聞き耳】による音での判断)しながら
【コミュ力】【戦闘知識】で他の猟兵と連携して【援護射撃】【2回攻撃】
味方の攻撃の斜線や範囲へ【おびき寄せ】【だまし討ち】ね


霑国・永一
【SPD】
あっはっは、俺が金品盗んでやった時の金持ちみたいに怒ってるなぁ。でもま、此方は今から盗むところなんだ。ワイバーンの居場所、それと命。
ちょっと本気出して俺が……『俺様が、奪ってやるぜッ!!』

狂気の戦鬼を発動
近くの木とか上空から見えない位置に【ダッシュ】を咥えて高速移動しつつ、眼下から外れるよう動く
その後、大きく飛んで衝撃波を叩き込む。視界を外れるよう高速移動しながら叩き込み続ける感じだ。【早業】【フェイント】も入れておこう
相手の攻撃も【見切り】入れて躱しておく
ずっと空中に入れるわけじゃないからまた木々とかに隠れて、ヒット&アウェイ
「ハハハッ!そんなに飛びたきゃあの世に飛ばしてやるぜ!」



「おーおー、図体がデカいだけで随分とイキっておるのー」
「あっはっは、俺が金品盗んでやった時の金持ちみたいに怒ってるなぁ」
 怒るワイバーンを見ても猟兵達は怯む様子もない。むしろ御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)はどこかの不良を見るような目で眺めており、その隣にいる霑国・永一(盗みの名SAN値・f01542)に至ってはにやにやと笑っている。
「冒険もひと段落して久しぶりのお仕事なのに緊張感ないのね」
 二人を見ていたリーファ・レイウォール(Scarlet Crimson・f06465)はやや呆れた様子で肩をすくめてみせる。
「なーにを言うか、妾を前にしてあやつが緊張するこそあれ妾がするわけなどなかろう?」
「何、俺は普通だよ、普通」
「ああ、そう」
 どやぁと胸を張る菘と笑みを浮かべたままの永一。これは何も言っても変わらないなとリーファは小さく首を横に振るのであった。
 だがそんな雑談ばかりをしているわけではない、策があるという菘の話を聞いた二人はわかったとばかりにそれぞれ散っていく。

 リーファは禍々しく見える大きな鎌を構えてワイバーンの元へと走る。気づいたワイバーンが行動を起こすより早く、リーファは口の中で素早く詠唱を転がす。
「天切り裂き顕現なさい、雷轟の方天戟たち。そして……」
 駆けるリーファに連れ添うようにいくつもいくつも雷を纏う双戟が顕現する。1本、2本、3本……距離を詰める間に現れた双戟の数は全部で130本。
「存分に猛威を振るいなさい!」
 それら全てがリーファの指示の元、一斉にワイバーンへ突撃。その身体を鱗ごと刺し貫く!
 ガァァァァァ!!!
 自身のテリトリーでいきなりここまでされるとは思ってもいなかったのだろう。その身を貫かれ、ワイバーンは怒る視線をリーファに向ける。だが彼女は怯まない。
「こっちよ」
 まるで誘導するかのようにその身を翻し、走り出す。釣られるように後を追うワイバーン。その間にもリーファを仕留めんと怒りに満ちた咆哮と共に衝撃波が放たれるが、手に持つ大鎌で風をいなすことで彼女は足を止めない。
 もう一度リーファへ咆哮を放とうとしたワイバーンであったが、突如発せられた存在感にその行為を止めることとなる。
「はーっはっはっは!」
 ワイバーンの向けた視線の先にいたのは、翼を大きく広げ高笑いする菘だ。突然の出来事と菘の放つ存在感に先ほどまでリーファを追っていたことも忘れ、菘へ釘付けになっている。
「さあ来い、どちらが格上かその身に教えてやるわ!」
 きしゃー!と威嚇……威嚇なのだろうか。本人なりには威嚇と思わしきポーズを決めている。ワイバーンとしては言葉はわからずとも馬鹿にされているか挑発されたであろうことは伝わったようだ。一瞬呆けていた瞳に再び怒りを灯すと菘へ向かって急降下突撃。だがどうしたことか、菘は避ける様子すら見せない。ただその腕を前に出し、防御の姿勢を取るだけだ。
「くっくっく、逆境とはすなわち視聴者をドキドキさせる山場!」
 放たれた爪が腕へと直撃するが菘は表情一つ変えることなく受けきってみせる。追撃に放たれる尻尾も一切避ける動作をせず防御のみだ。
「それを無視して逃す理由などまったく無いわ!」
 尻尾が腕へと突き刺さる。だが、やはり菘の表情は変わらない。それどころか楽しげに刺さった尻尾を無事な片腕で掴み、離れないように抑え込んでいる。
 本来ならば毒が体にまわり、膝をついてもおかしくないはずだ。しかし、追撃を覚悟したうえでの防御という、傍から見れば手に汗握る見どころであるが菘自身には不利な行動は彼女のユーベルコードを発現させたのだ。
 増大した身体能力と痛みへの耐性で顔色一つ変えることなく、余裕しゃくしゃく今が好機とワイバーンを捕まえた菘は叫んだ。
「皆の衆、この隙にやってしまうがよい!」
 ザッ!
「聞いてはいたけど愉快なことするねぇ」
 声に合わせて飛び出してきたのは黒い影。今までその身を今足場としている緑の下へ隠していた永一だ。
「ま、どちらにしてもワイバーンの居場所と命を盗むことには変わらないんだ。ちょっと本気出して俺が……『俺様が、奪ってやるぜッ!!』」
 途中で別の人格を纏うと、高速移動を駆使して素早く菘から逃れようと翼を羽ばたかせるワイバーンの背面へ。ジャンプすれば自身の姿をワイバーンに晒すことなくその背に衝撃波を叩き込む。背面の鱗が剥がれ、ワイバーンの身体が揺らぐ。それも一撃だけではない、素早さを活かし、落ちるまでの間に何度も何度も鱗を全てはぎ取ろうかという勢いで衝撃波を叩き込む!
 ギャオォォォォン!!!
 逃れることを諦め、先に痛みを与えた正体を探ろうと咆哮と共に周囲を見渡すワイバーン。だが視界に映るは自身を捉えて離さない菘と一面の緑に青空だけだ。先ほどまで連撃を加えられていた背面にも他の姿は見当たらない、そう、先のリーファも含めて。
「再び猛威を振るいなさい」
 緑の中から凛とした声が響き、再度雷を纏う双戟が鱗の剥がれた背中に突き刺さる。
 痛みに悲鳴にも似た咆哮を上げもうたまらん、早く逃れんとワイバーンは暴れる。菘も抑えているがどうしても限界は来る。その前にもう一撃、与えてやるべく身を隠していた緑から永一は再び飛び出し、その身を空中へと躍らせた。
「ハハハッ!そんなに飛びたきゃあの世に飛ばしてやるぜ!」
 今、逃れることしか考えていないワイバーンの視界は永一を見ていない。視界に入ることがなければ彼の行動を予測することなどできはしない。
 戦うことができていて楽しいのだろう、笑い声を上げながら永一はワイバーンの顎へとアッパーの要領で衝撃波を叩き込んだ。
 勢いのまま空へと打ち上げられるワイバーン。なんとか空中で態勢を立て直したが、背中の鱗は大部分が剥がれ見る影もない。
「おわっとぉ!?妾まで引っ張られるところだったではないか!」
 菘が文句を言うが永一は知らん顔。
「殺しきれなかったか。いいねぇいいねぇ、愉しいじゃねぇか!」
「無視するでないわ!」
「……緊張感、ないわね」
 何故だか緊張感が途切れがちではあるが、ワイバーンはまだ生きている。
 まんまと猟兵達にハメられ傷つけられ、絶対に狩るという執念すら感じる瞳で三人を睨む。だがそこに、音と共に新たな影が近づいてきていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アーサー・ツヴァイク
※最後まで協力アドリブ大歓迎

いよいよ本命のワイバーンだな…ぶっ飛ばしてやるぜ!

相手の急降下を回避しないと面倒なことになるな。一撃を食らわないように動くとするか。
ライドランをバイクモードにして【騎乗】、飛んでいるワイバーンにレイシューターで射撃をぶち込みながら相手が降りてくるのを待つ。向こうが急降下の構えを見せたら、急降下を始めるタイミングを【見切り】の技能で把握、急降下のタイミングに合わせてフルスロットルのライドランから【ダッシュ】で横方向に飛ぶ! 地面にぶつかる痛みはあれど、ワイバーンのダイブよりはマシってもんだぜ…!
後は降りてきたところに光の鎖を飛ばせば、俺の必殺キックが炸裂…だぜ!!


甲斐・ツカサ
そうだった、ワイバーン退治に来たんだっけ!
でも、ワイバーンの上からの光景も見てみたいよね!

その為にもまずはワイバーンには降りてきてもらわなきゃ!
マントを翻して気を惹きながら、枝葉の薄い箇所へ誘導
急降下に合わせて隙間から落ちればうまく避けれるかな?
相手が勢い余って一緒に落ちてくれたら大きな隙が出来るかも!

避けたとしても、当たって尻尾に突き刺されたとしても、ワイヤー引っ掛けて背中に乗るチャンス!
頑張ってよじ登って、大きな樹の更に上空、ワイバーンの見てる光景を味わおう!

って、コイツの退治が目的だったね!
でも、背中に乗っちゃえばこっちのもんさ!
翼の付け根を斬り裂いて飛べなくしたら、後はみんなに任せた!



 ブオォォォォォン!!!!!
 新しい音はバイクのエンジン音だった。木の上だろうが足場がしっかりしていれば何のその、とばかりに高らかに音を響かせワイバーンの元へと走る。
 先頭がドラゴンの頭を模しているバイクの上に見える影は2つ。
「いよいよ本命のワイバーンだな……ぶっ飛ばしてやるぜ!」
 まずはこのバイク──ライドランの持ち主であるアーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)彼は今ワイバーンへと向かいながらレイシューターの照準を向けている。
「そうだった、ワイバーン退治に来たんだっけ!」
 ワイバーン見るまで忘れてた!とアーサーの後ろに乗って快活そうに笑うのは甲斐・ツカサ(宵空翔ける冒険家・f04788)だ。それでもワイバーンに乗った光景を見たいと思う辺りさすがの冒険心と言える。
 二人はある種同じ目的を持ち、バイクに乗っていた。近づきながらアーサーはレイシューターから攻撃を放つ。普段であれば大したこともないといなされそうなものであったが、先の猟兵達の攻撃でダメージを受けているワイバーンには地味に効果があったようだ。
 いくつかが翼を掠め、胴体にあたり、鱗を剥がされた背面にもヒットする。
 グオォォォォォン!!!
「うおっ、あっぶね」
 痛みに震える咆哮がライドランを揺らす。ぐらりと傾いた機体を持ち直し、標的が切り替わったと確信したアーサーはライドランの向きを変えた。
「こっちでいいんだよな?」
「うん、そのまま真っすぐ。でも枝葉が薄くなってるからそのまま行くよりちょっと逸れないとバイクごと落ちちゃうかも」
「了解!」
 バイクに乗った二人が向かうのは巨木の上の中でも緑の薄い地点。目立つようにツカサは自身の赤いマントをはためかせる。それを目印にか、バイクの音を頼りにか、ワイバーンは二人を追い空を駆ける。
 やがて目的地が近づいてくるとアーサーはライドランのスピードを落とし、ワイバーンの行動を観察。スピードが落ちたことでチャンスだと思ったのだろう、ワイバーンは翼を大きく羽ばたかせると飛び上がり、頭を二人の乗るバイクに向ける。狙いを定めて急降下してくるつもりだ、そう判断しアーサーは手早くツカサを降ろす。
「アーサーさん、気を付けてね!」
 降りたツカサは先に枝葉の隙間の下へ、手には登る際にも使ったフック付きのワイヤーを持ち、その時を待つ。
 一方のアーサーはフルスロットルでライドランを走らせながらワイバーンの行動を見定める。ワイバーンは先の攻撃を当てたのがアーサーであることに気づいていたようだ。隠れたツカサには目もくれず、アーサー目掛けてついにその翼を羽ばたかせる。
「今だ!」
 行動を見て取ったアーサーはギリギリのタイミングでライドランから真横に飛び降りる!
 ガッシャーン!!!ギャオォォォォォ!!!
 大きな音が響き渡る。突如乗り手を失ったライドランは緑の上を滑るように転がると、太めの枝に引っかかって動きを止める。爪を振り下ろさんと急襲を仕掛けたワイバーンは爪先が枝葉の中に突っ込まれ引っかかり、即座の離脱を困難としていた。
「いってぇ……なんて言ってられないよな」
 一方、とんでもないスピードのバイクから飛び降りるというスタントマンも真っ青の回避を成功させたアーサーは素早く起き上がると光の鎖をワイバーンに放ち、その身体に結ぶ。
「【Select…FINAL ACTION!!】…これで決める、うおりゃあああああああ!!!」
 鎖で縛ってしまえば、何物も彼の必殺の一撃を阻むことはできない。力強く放たれた会心のキックがワイバーンを吹き飛ばし、狙い通り枝葉の薄い箇所へと叩きつけた。枝葉が薄いその場所では大きなワイバーンの身体を支えることは叶わず、穴が開いて落ちてゆく。すぐ下に大きな枝があり、見えなくなるほど落ちることはなかったようだが、抜け出そうともがく様子からまるで落とし穴にはまったかのようだ。
「行ったぜ、ツカサ!」
 ワイバーンがすぐに飛び立てないとわかるとアーサーは先に離れたツカサへと声をかける。それが届いたのか、枝葉の中から突如フックがワイバーンに引っかかり、繋がれたワイヤーを伝ってツカサがワイバーンの背と現れる。
「ありがとう、上手くいったね。っとと」
 無事、ワイバーンに乗るという目的を果たしたツカサだったが、ちょうどそのタイミングで引っかかった枝葉から抜け出したワイバーンが再び空へと飛び立つ。もちろん、その傷だらけの背の上にツカサを乗せたまま。
「わぁ、これがワイバーンの見てる景色!」
 落とされないようにワイヤーに捕まりながら頬を撫でる風にツカサは前を見た。そこに映るのは先ほどまで立っていた枝葉の地面とその端、その奥に見える広大な大地と、太陽の光。おそらく、誰よりも高い場所にツカサは今、いた。
「って、コイツの退治が目的だったね!」
 景色に見とれそうになるのを首を振って振り払うとツカサは黒ノ鋭刃を取り出す。
「未来はオレの手の中に。暗い時代はこれで終わりだ!」
 宣言と共にツカサの持つ黒ノ鋭刃に蒼い光が集まり纏う。そのまま躊躇いなく短剣でワイバーンの片翼の付け根を切り裂いた!
 ギャァァァァァァ!!!
 どさっと鈍い音がして翼が落下した。そして当たり前のように片翼を奪われバランスを崩したワイバーンも落下するのだ。
「うわわわわ」
 その背に乗っているツカサも落下の例外ではないが、一緒に落ちる彼ではない。空中での戦闘技能を生かし、ジャンプでワイバーンから離脱した彼は安全に着地に成功する。
 目の前には枝葉の地面に叩きつけられながらもふらふらと起き上がるワイバーンの姿。まだ生きてはいるようだがかろうじて、だ。翼は片翼失われ、その意味を成すことはなくなり、その身体にはキックの際に生まれたであろう凹みがしっかりと刻まれていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を

*アドリブは大歓迎です

空と風を頭上を支配しようとしている「空も風も皆様のお友達なんだよ!」と笑顔で怒りマークを付けて精霊と聖霊に一緒に戦います☆
『エレメンタル・ピクシィーズ』で光/氷/火や『神罰の聖矢』で攻撃を仕掛けます♪
紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)と草剪・ひかり(次元を超えた絶対女王・f00837)が居たらサポートと支援を頑張ります☆
“祈り”“歌唱”“鼓舞”“オーラ防御”“勇気”をサポートします♪

戦闘でもムリはしないで頑張って、支援とサポートをします☆
落ち着いたら“こんぺいとう”を下って労を労います☆
精霊と聖霊にもお礼を言って褒めて“こんぺいとう”を配ります♪


草剪・ひかり
POW判定
お色気、即興連携、キャラ崩し描写歓迎

ティファちゃん(f02580)からお手伝いをお願いされたので、一肌脱ぎに来ましたよ!
まぁいつもこんな格好(リングコスチューム)なので肌は露出しまくってるけど!

……冗談はさておき
私は陸戦&接近戦が主体なので、ワイバーンが元気に飛んでる序盤は割と役立たずかな?

とはいえ仕事をしないわけにもいかないし
持ち前のパワーで岩でも木の幹でも投擲して何とか墜落させたいね

墜ちてきたワイバーンを捉え、岩壁にハンマースルーで叩きつけたら
渾身の右ラリアット“アテナ・パニッシャー”でその長い首を圧し折ってあげる!
KOできる自信はあるけど、もしかしたらあと少し足りないかな……?


紬雁・紅葉
ティファ―ナ、草彅ひかりと同行

では土俵…「りんぐ」に来て頂きましょう
薄笑みの肌に羅刹紋が浮かぶ

速さが自慢のようですが…?
風より速い物が、この世には幾らでもある
その一例、見せて差し上げます…!

【雷の魔力】を攻撃力に付与
弓を主に使い雷属性の矢を文字通り矢継ぎ早に撃ち込み雷鳴衝撃波で範囲ごと敵を薙ぎ払い下に吹き飛ばす(落とす)
しかも事あるごとにひかりさんの方へと落とす

敵の攻撃を見切りオーラ防御と武器受けからのカウンターで吹き飛ばし叩き落とす

窮地の仲間はかばい援護射撃

とどめはひかりさんの方に吹き飛ばし、ひかりさんの豪快な一撃のお膳立てをする

勝負あり!!

※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※



 片翼を失い、もはや空は自由に飛べぬはずであるのにワイバーンの瞳に宿る戦意は尽きない。残った力で足元の枝葉を力強く踏みつけると、跳んだ。高く高く、この空域の支配者は己であると誇示するように。
 グォォォォ!!!
 咆哮が響き渡る。それを困ったように眺めているのが草剪・ひかり(次元を超えた絶対女王・f00837)だった。
「うーん、ティファちゃんからお手伝いをお願いされたので、一肌脱ぎに来たものの……」
 あ、いつもこんな格好だから露出はしてるんだけどね!と続けてからから笑うひかりにツッコミを入れる猟兵はいなかったが、はてさて。ひかりが得意とするのは近接戦だ。片翼が失われ、今が好機かと見計らっていたのだが相手は飛べぬなら跳べばよいとばかりにその身体はまた上空にある。
「いくら私でもあそこまで跳んで叩き落すのは厳しいなぁ」
「なら、来ていただければいいのですね?」
 すっとひかりの隣から前へ踏み出したのは紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)さらに反対側には二人を呼んだ張本人、祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)の姿もある。
「空も風も皆様のお友達なんだよ!」
 ティファーナは笑顔であったがその頭には典型的な怒りマークが見えるようだった。笑っているけど笑ってない、そんな状態なのがありありとわかる。
「ティファーナさん、やりましょう。土俵……『りんぐ』に招待を──」
「わかった♪まかせて!ひかりさんは前へ、ボクたちで落としてみせるよ☆」
 二人の言葉にひかりは頷くとワイバーンの下へと走っていく。その間に紅葉とティファーナは頷き合うと同時にユーベルコードを発動。
「弐の式…来たれ!」
 紅葉の弓にバチバチと音を立てて雷が宿る。
「歌唱う、我らが精霊・聖霊・月霊よ♪ 歌い、踊り、唄い、舞踏れ♪ 素ノ源ヨリ来タレリ…」
 歌い踊るティファーナの周囲に白、青、赤に輝く矢が容易に100本以上生み出され、浮かび上がる。
「風より速いものを見せて差し上げます!」
「いっけぇ!」
 紅葉の放つ雷を帯びた矢が、ティファーナの生み出した125本に及ぶ魔法の矢が、一斉にワイバーンへ殺到する。
 空中に跳び上がるのが精いっぱいなのだ。自由に動き回ることのできぬワイバーンはいい的であった。いくらかはその身を覆う鱗がはじくが、例えば貫かれた傷跡、鱗が剥がれた背面、鱗のない翼膜、そして鱗の隙間、猟兵達の攻撃で元より増えたやわらかな部位に大半が突き刺さる!
 ────!!!!!!
 悲鳴を上げながらもワイバーンが見据えたのは黒髪の巫女の姿。紅葉の矢はワイバーンを叩き落そうと下へと向かう衝撃を加えていたが、逆にそれを利用し傷ついた身体を無理やり紅葉へ向け急降下してくる。その爪の一撃は、見切るには遅く──。
「紅葉さん!」
 直撃したかと思われたが、思った以上の痛みがない。顔を上げた紅葉の目に映ったのはティファーナと共にいる精霊の姿。どうやらティファーナの祈りを聞きオーラと化して身を守ってくれたようだ。
「大丈夫です。ありがとうございます」
 態勢を整えると、次なる攻撃に備える。そう次は必ず尻尾で攻撃をしてくる。尻尾の軌道を見切り、オーラを纏わせた弓でその軌道をわずかに逸らす。
 ヒュンッ!
 尻尾は紅葉の髪をわずかに切り裂いたが体に傷をつけることはない。
「では、『りんぐ』にお連れしましょう」
 再び空中へ逃げようとするワイバーンへ、させまいと至近距離で矢を放つ。それも一発ではない、何発も何発も矢継ぎ早に放たれた矢はワイバーンの巨体を吹き飛ばし、先に待つひかりの元へ。
「待ってたよ、チャレンジャー!ってね」
 勢いよく吹き飛ばされ飛んでくるワイバーンを掴むと、挨拶代わりと緑の地面へ叩きつける。その力に巨木が揺れるが、ひかりは動じた様子すらみせない。
 なぜならここは彼女のホーム、少々勝手は違うが友人たちが作り上げてくれたリングの上には変わりないのだから。耳をすませば吹き抜ける風が立てる葉音は観客の歓声に聞こえてくるようだ。ほら、どこからともなく実況だって聞こえてくる。
『さぁ、絶対女王草剪ひかり! ここで遂に、激闘に終止符を打つ必殺の右を繰り出すか!?』
 体勢を整えようとワイバーンがその長い首をもたげる。だが、そこまでだった。
「うぉぉぉりゃぁぁぁぁ!!!」
 ガッと大きく振りかぶられたひかりの右腕がワイバーンの首に入る。戦女神の断罪の斧の異名で恐れられた彼女必殺の右ラリアットが決まったのだ。悲鳴すら上げる間もなく、長い首があらぬ方へ曲がったと思えば倒れ込んだその巨体はもう二度と動くことはなかった。
 カンカンカンカン!!!どこからともなくコングの音が響き渡りそうな余韻の中。猟兵達は長い冒険の果てについにワイバーンの退治に成功したのだと悟った。

「みんなありがとう♪」
 ひと段落し、ティファーナは持ち込んだ金平糖を皆に配り始める。もちろん猟兵だけでなく手伝ってくれた精霊達にもだ。
 せっかくの絶景なのだから改めて楽しまなくては損だと、甘く小さな金平糖を食べながら猟兵達は景色を眺める。
 その景色は緑と青からやがて金、オレンジ、そして赤へ。沈みゆく太陽が作り出した自然の美しさを堪能するには十分だったとか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年03月02日


挿絵イラスト