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霊峰に巣食うもの

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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 一面を雪に覆われた頂に、飛竜は居た。
 自分が何故ここに居るのか、それを考える知能はもう無い。
 あるのはただ『この地を守る』という衝動だけ。
 何人も寄せ付けない吹雪の中、飛竜の眼は力強く宙を睨む。



 アックス&ウィザーズの山岳地帯に、大型のオブリビオン……ワイバーンが出現した。
 過去の残滓の影響か山頂から動こうとしないワイバーンだが、現状脅威となっていないのは周りが雪で囲まれているからだ。いずれ気温が上がり雪融けを迎えれば、霊峰として信仰されているこの山岳にも人の行き来が生じる。そうなれば被害が出ることは免れない……というのが今回の予知だ。

「そこで、皆様にはまず山登りをして頂きます」
 猟兵達を前に説明を続けるカカリーン・ノプスは、にこやかな笑顔で言った。
 グリモアベースから向かう転送先は山の中腹。ここから山頂へ向けて山を登り、頂のワイバーンを討つこと。それが今回の任務だ。
 始めの山道はごつごつとした岩肌が多いものの、周囲にはまだ緑も見え、足場も十分。言うなればちょっとしたハイキングコースだ。崖や落石にさえ注意していれば、さほど問題になることも無いだろう。

 ある程度標高が上がってくると、周囲には一変して寒々しい景色が広がる。
 緑が消え、代わりに雪が降り積もる岩山を進むには注意が要ることだろう。時折吹雪く風や滑落、雪崩にも警戒が要るほか、先の戦闘へ向けて体力を温存する手立ても肝要だ。
 厳しい行軍となるが、猟兵の力を駆使して進めばきっと突破できることだろう。

 山頂に辿り着いたなら、倒すべき飛竜の姿が見えるはず。雪の中に佇む姿はさしずめフロストワイバーンといったところか。山頂から動かないとは言えど、テリトリーに進入する者には容赦なく襲い掛かる。雪の中で戦うこととなるため足場も悪い。注意しつつ、全力で挑まねばならない。

「本来ならば目標のすぐ近くに転送したいところだったのですが、敵への刺激や気象条件などを考慮した結果、このような作戦となりました」
 説明を終えたカカリーンが、申し訳なさそうに頭を下げる。だが顔を上げたその表情は、すぐににこやかなものに戻った。
「ですが皆様ならきっとやって下さると信じております。修行を兼ねたピクニック気分で行くのもいいかもしれませんね」
 冗談めかして言うと、改めて猟兵達に礼をする。
「それではよい旅と、戦果を、期待しております」


来海循
 お世話になっております。来海循です。
 今回はアックス&ウィザーズでの冒険となります。
 山登りには体力が要りますね。根気よくいきましょう。

 第1章は山道を、第2章は雪山を進んで頂きます。
 この間は戦闘はありませんので、プレイングは心情や気概やお知り合いがいれば掛け合いなど、自由に書いて頂ければと思います。
 道中での何らかのトラブル回避に際しては、能力の指定があればその数値を参照します(必須ではありません)が、
「このユーベルコードを使ってトラブルを切り抜けるぜ!」
 という選択があればそちらの数値を参照します。楽しんでいきましょう。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『そこに山があるから』

POW   :    体力や気力で山登り

SPD   :    技や早さで山登り

WIZ   :    魔法や知力で山登り

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シーマリネィア・シーン
ワイバーン退治ですね。被害が出る前に対応出来そうで良かったです。
頑張って倒しますよ。

食糧とか野営道具とかを準備して、背中に担いで運んで行きます。重いし羽の邪魔になりますけど、気合いを入れてふよふよと飛びますよ。
大丈夫、疲れたら食糧を食べれば、体力も戻るし荷物も軽くなります。計画はバッチリです。

高度を上げて周囲を見回して、安全な登山ルートを確認して皆に伝えたりもしてみます。
勇み足は良くありません。他の方とも速度を合わせて進みましょう。

流石に飛び疲れたら、降りて休息を取ったり、歩いて進んだりします。
まだまだ道程はこれから。風景を楽しんだりしながら、体力と気力の温存に努めます。


ウル・ヘーニル
f09894と共同
SPD 野生の勘とヤギ足を生かして最適ルートを登る
   お弁当、水筒、おやつ、帽子、カッパ、防寒着持参
   
ピクニックと聞いてウッキウキで荷物をリュックに詰め込んで出発。
「やっぱり山で食べるおやつはいつもよりうまいのぅ!」
お弁当は山頂で食べたいのぅ…と思いながら、ポケットから取り出したリンゴをシャリッとひとかじり。
バテている猟兵がいたらおやつを分けてあげてドヤ顔する。
「リサぁ、わし、疲れた」
荷物が重くなってきたら同行者に押し付けて、自分は虫や花を探しながら気ままに進む。
天候急変時はガジェットを拡声器に変えて警告。ビバークする際は同じくガジェットをテント状にして雨宿り場所を提供


ヴァシリッサ・フロレスク
【POW】
※ウル(f09937)と共同行軍、アドリブ大歓迎!

山岳戦は“猟兵”の真骨頂だね。脚力には自信があるんだ、伊達にいつも鉄の塊担いで無いよ。

・基本的に相方に合わせて最短ルート、駈足で行軍。

・ガレ場を走破することが想定される為、落石には最大限留意する。落石発生時は「武器受け」で対処。相方は「早業」「かばう」「激痛耐性」にて全力で守護!

・真冬のこの時期、低地とは言え山は魔物だ。、天候を見ながら、装備品の「刑戮者の外套」の伸縮能力を活用して適所でビバークしつつ、確実に侵攻する。

※「激痛耐性」で行軍につきものの靴傷も安心!
余裕があれば【ブレイズフレイム】で暖を取りつつ、焚火もオツだね。


エリカ・ブランシュ
(※アドリブなど歓迎)

【POW】
あの霊峰にワイバーンねー。
この世界出身の身としては捨て置けない事態だわ。
それに、山もワイバーンも鍛錬するにはもってこいの相手でもあるし。ここは一つ気合入れていくわよ!

とはいえ、こんな時期にこの霊峰登ったことないから勝手が分からないわね……。
普段の山登りなら全然平気なくらいには体力も気力も鍛えてるけど、今の時期だと何が起きるか分からないし注意しながら進まないとね。

それにしても、山頂から動こうとしないワイバーンか……。
まるで何かを護ってるかのようね。
もしそうなら……。同じ『護る者』同士、この戦いで何か学べるといいわね。


ソフィア・テレンティア
まだまだ先は長いようです。体力の消耗を避けてのんびり行くとしましょうか。
【ガジェット・ショータイム】によって召喚した飛行ドローンの上に乗って
共にこちらへ来た神久様と二人で並走して、眺めを楽しみながら山道を進みます。
折角ですので【歌唱】して周りの皆様の耳を楽しませつつ参りましょう。
旅は道連れ世は情け、でございます。今くらいは楽しんでも罰は当たらないでしょう。
勿論、気を抜きすぎない程度に、ではありますが。


神久・紅玉
この後は雪道もあるしのんびり楽しくいきますよ
『ガジェット・ショータイム』でソフィーさんと色違いの飛行ドローンを呼び出して乗り込みますよ
一緒に依頼に来たソフィーさんと並んで並走して、登山?を楽しみましょう
どうやらソフィーさんはお歌を唄ってくれるようです、ふふーなら私もお手伝いしましょう。『トイピース』でハーモニカを作って演奏しましょう。
ソフィーさんと『コミニケション』を取るように、欲しい音色を出していきましょう
特別楽器が得意な訳じゃないですけど、こういうのは一緒に楽しくする気持ちが大事なのです、ソフィーさんとなら素敵なセッションが出来ますよね?
勿論、周りの皆さんも楽しませられたらうれしいのです


紫谷・康行
雪か
なじみは深いな
俺の乗ってた船の環境はずっと冬だったからね
さすがに山はなかったけど
あまり良い思い出はないけど慣れてはいる
防寒具はいいのがあるしね
山道は、嶮しくなったら助けを呼ぶことにするとしてもまずは魔力を温存することにしよう

防寒具、山歩き出来る靴を用意
事前に登山ルートを確認しておく
必要なら山道が嶮しくなるまでは荷役を雇いとロバなどを使って荷物を運ぶ

ついでに荷役や一緒に行く仲間と世間話などをする
このあたりの名物は
どこから来たのか
雪は好きか
できれば人となりを掴んでおいていざというときに上手く連携出来るようにしたい
気が紛れる分疲れも溜まらないだろうしね

「雪は身近だったよ。ずっと冬だったからね。」



 むき出しの地面に転がる大岩。所々に背の低い草むらが見えるものの、その数はまばら。ありのままの自然を残すアックス&ウィザーズの世界、その山岳地帯の一つを猟兵達は進んでいた。
 山おろしの風は肌寒いが天気は良好で、暖かい日差しが体を包む。眼下に雄大な自然を眺めながら進む道中は、さながら行楽のようでもあった。

「ワイバーン、頑張って倒しますよ。被害が出る前で良かったです」
 まだ見ぬ山の頂上を見据えるシーマリネィア・シーンは、ぐっと拳に力を籠めて顔を上げる。小柄なフェアリー族である彼女は、背中に担いだ鞄の隙間から出した羽根を懸命に羽ばたかせて飛行していた。食料や野営道具を詰め込んだ鞄は重たいが、オブリビオン撃破に向けた気合は十分。それに食料は食べれば軽くなる一方。計画は万全だ。
 空を飛べるシーマリネィアは時折高度を上げ、進む方向を確認する。風や荷物の重みにふらつく事があっても、どこに危険が潜んでいるとも知れない山道を少しでも安全に進めるよう仲間達を導く。

 すぐ後ろについて歩くエリカ・ブランシュは、同じく目指している敵について考える。
「この霊峰にワイバーンねー……」
 この世界出身のエリカは、少なからず見知った土地にオブリビオンが居着いた事態に思いを巡らせていた。どんな経緯があったにせよ、この世界を護るために捨て置くことはできない。
 考え事をしていたせいか、不意に踏みしめた小石がぐらついて、小さく躓いてしまう。転びこそしなかったものの、油断は禁物と自分に言い聞かせた。日頃から鍛えている体力にも気力にも自信はあるが、この時期の山登りに慣れてはいない。これも鍛錬の一つと思い、エリカは一歩一歩を踏みしめる。
「それにしても、山頂から動こうとしないワイバーンか……。まるで何かを護ってるかのようね」
 独り言のように呟く。『護る』ことに思う所のあるエリカは、ワイバーンの行動にシンパシーを感じられずにはいられなかった。もし本当にそうだとしたら――、戦いの中で何か掴めるかもしれないと、気持ちを引き締めて歩みを進める。

 仲間と歩調を合わせて進む紫谷・康行はこれから向かう雪山を思う。
 深い雪に覆われた景色を思い浮べると、過去の自分の境遇と重なるように思えた。雪景色は見慣れたものだが、あまり良い思い出ばかりではない。しかしそれ故に雪の中を進む準備は万全だ。地表をしっかりと捉える登山靴に、防寒具の類も十分に用意してある。今はまだ温存している魔力を揮えば、有事の際にも対処ができよう。
 先を行く仲間達と行軍ルートを確認し合いながら、康行は気の紛らわしついでにと色々な話を投げかけた。お互いのことを知っているからこそ、できる連携もあるだろう。康行もまた、ぽつりぽつりと自分のことを語る。
「雪は身近だったよ。ずっと冬だったからね」
 どこか寂しげな瞳は、かつて居た故郷を幻視しているようだった。

「うんうん、やっぱり山で食べるおやつはいつもよりうまいのぅ!」
 快活な声。大きな荷物を背に、元気いっぱいのウル・ヘーニルは手にしたリンゴを齧りながら軽やかな足取りで山道を進んでいく。人間の体に山羊の両脚を持つキマイラである彼は、その肉体を遺憾なく発揮していた。独特なつくりの蹄はしっかりと岩場を捉え、好奇心のままに花や虫に気を取られている少年の体を力強く支えていた。
 そんなウルに生暖かい視線を送るのはヴァシリッサ・フロレスクだ。
「ほら、ちゃんと前見て歩きなよ」
 危なっかしい同行者に注意する言葉は厳しくもどこか優し気だ。身の丈程の大きさを持つパイルバンカー『スヴァローグ』を携行するヴァシリッサの体は逞しく、険しい山道も難なく進んでいく。幾多の戦いを潜り抜けて来た彼女は山岳戦ならではの怖さにも覚えがある。天候の変化にも気を配りつつ、いつでも仲間を守れるような態勢を心がける。……のだが。
「リサぁ、わし、疲れた」
 散々動き回った挙句に荷物を押し付けようとするウルに、ヴァシリッサは困ったような笑みを浮かべるばかりだった。

 山道を歩く猟兵の頭上を2つの影が横切った。それぞれ奇抜な形状のドローンに腰掛けたソフィア・テレンティアと神久・紅玉は、危険な岩肌の上を悠々と進んでいく。空中を吹き抜ける風は爽やかで眺望も素晴らしい。先に見える道のりや周囲の状況に注意を払って仲間と声を掛け合いながらも、2人の少女は景色と会話を楽しみながら空を行く。
「旅は道連れ世は情け、でございます。今くらいは楽しんでも罰は当たらないでしょう」
 深く息を吸ったソフィアが歌を口ずさむ。シンフォニアの素養から紡がれる歌声に、岩場を歩く仲間達の足と心が軽くなる。歌声に耳を傾けていた紅玉はふと思い立つと、手にした変幻自在の『トイピース』からハーモニカを作り出した。
「ソフィーさんのお歌、素敵です! ふふー、それなら私もお手伝いしましょう」
 軽快な歌声のメロディにハーモニカの音色が加わって、即興のセッションが山道に響く。次第に険しくなる岩山もなんのその、一行は足取りも軽く山頂へと向かっていく。

 一行は切り立った崖の下に位置する道へと差し掛かる。道中に転がる岩石の数も増え、足元には茶色い地面が見えない程だ。不安定な足場の中を猟兵達は進む。
 エリカの前を飛ぶシーマリネィアがふらふらと頼りなく揺れた。羽根の羽ばたきもどこか不規則だ。見かねたエリカが手を差し伸べると、シーマリネィアは少し躊躇したもののその手へ腰を下ろした。
「ごめんなさい、少し休憩させてもらいます」
「気にしないで。ずっと先導してもらってたものね」
 エリカはシーマリネィアを自分の肩へと導く。申し訳なさそうにする妖精に、仲間を気遣う少女は優しい声で応えた。
 崖に片手を付き、慎重に足を運ぶエリカ。まだまだこの山登りは続く。ここで転んでは仕方ないと、一行は注意深く歩みを進める。
 その時一際強い風が音を立てて吹き抜けた。堪らず身構えた一同だが、顔を上げ全員の無事を確かめると再び足を進める。
 小さな物音に気付いたのはシーマリネィアだ。
「気を付けて、上からなにか来ます!」
 よく通った声に反応し全員が警戒を強める。次第に大きくなるその音の正体は崖の上からの落石だった。
「わあっ!」
 頭上を見上げたウルが思わず足を踏み外す。よろめいたその体を、傍にいたヴァシリッサが受け止める。
「くっ!」
 ヴァシリッサが頭上にスヴァローグを構える。衝撃と共に鈍く大きな音が響き渡ると、人の頭ほどのある岩石が足元へと転がった。
 一瞬の騒乱の後、辺りは水を打ったように静まり返る。ただ遠くに風の吹き付ける音だけが聞こえていた。
「お怪我はありませんか」
 ドローンから降りたソフィアが歩み寄る。幸い、2人ともかすり傷の一つも負わなかったようだ。
 仲間の無事に安堵はすれど、緊張は否応なく高まる。その空気を破ったのは紅玉の朗らかな声だった。
「もう少し進めば崖の上に出られるみたいですよ!」
 ドローンで先行く道を見渡した紅玉は、坂となった小道を指し示す。警戒を強めながらもその道を進めば、崖から離れた開けた場所へと辿り着いた。

 ひとまずの危機を乗り越え、一行は息をつく。
「さっきは助かったのじゃ、リサ! わしのおやつをあげるぞ。良かったらみんなも!」
 ウルがリュックを開く。得意げな顔のウルは様々なおやつを取り出すと、その一つを手に取って仲間へ向ける。
「なに、構わないさ。そうだな……ではここらで休憩といくかい?」
 仲間達が頷くと、ヴァシリッサは身体から炎を放った。彼女が身の内に宿す地獄の炎は焚火となり、仲間達の体を暖める。
 めいめい小石や地面やドローンに腰掛け、持ち寄った食料を分け合う。康行が皆に話を振り、ソフィアが優しく歌を口ずさめば、先程までの張りつめた空気と疲れが薄れていった。

 休憩を終えると、一行は再び険しい山道を歩きだす。しばらく進んでいけば次第に道端に白い雪が現れ、それは進むうちに確実に増えていく。肌に刺す風の冷たさがより一層厳しく感じられた。
 ワイバーンの待つ山岳は、新たな一面を猟兵達に見せつけようとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『雪山行軍』

POW   :    体力勝負で突き進もう。筋肉は裏切らない!

SPD   :    持ち前の技量を生かして、効率的に進んでいこう。

WIZ   :    創意工夫で自然の驚異に打ち勝とう。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シーマリネィア・シーン
POWで体力勝負
ここからが正念場ですね!気合を入れなおして飛んで行きますよ!

上空を飛んで先行偵察です
危険そうな地形や不審物、急な天候の変化などがあれば警告します
大声を出すと雪崩が怖いので身振り手振りで合図です
なるべく最短距離で行ける様に行く先を確認します

羽ばたいていれば体も温まるし、雪もあまり纏わりつかない気がします
突風等の不慮の事態には【無敵城塞】で頑張ります
皆さんが休む時は一緒に休憩します
かじかまない様羽をパタパタさせながら食料補給です

疲れた仲間がいれば【フェアリーランド】で休んで貰います
雪崩から逃げられそうになかったら避難して貰って上空に運びます
壺が割れたらどうなるか怖いので非常手段です


エリカ・ブランシュ
(※アドリブなど歓迎)

【POW】
分かってたけど……。やっぱり雪山は寒いわね。
さっきのアクシデントもあったから慎重になりたいとこだけど、こうも寒いとワイバーンと戦う前に体力持ってかれそうだし、ここは気合入れて一気に突破してしまいましょう!

いざって時の為に先陣を切りながら【盾受け】や、【かばう】ことが出来そうなアクシデントが起きたら対応出来るようには構えておこうかしら。
雪山も大変だけど、本番はこの先なんだし仲間に怪我人とか出したくないものね。

この雪山さえ登れば……ワイバーンに会えるのね。
アンタの戦い方。楽しみにしてるんだから、その首しっかり洗って待ってなさいよ!


紫谷・康行
雪山を行軍するならいかに熱を奪われないかを考えるべきだね
体温が低下すると予想以上に体力を奪われるものだからね
大事なことは山と戦わない、山を受け入れて進むことだろうからね

【コール・ミーミトリィ】を使いフクロウに似た精霊、ミーミトリィを呼び出す
自身の前方にいてもらい風よけと見張りをお願いする
直接雪や風に晒されなければ体も冷えないし歩きやすいからね
それにたとえ吹雪の中でも目を閉じなくて済む精霊なら周囲を見渡せるだろうしね
足場が悪い場所では自身に巻いたロープの先をミーミトリィに持ってもらいいざとなったら引っ張ってもらうなどして進むのをサポートしてもらう
山頂付近に近づいたらワイバーンの気配に気を配る



 豊かだった色彩は消え去り、目に映るのは雪の白と岩肌の黒が織りなすモノクロの世界。灰色に濁った雲が雪面に溶け込み、どこまでが空なのかさえ不明瞭だ。険峻な雪山に猟兵達は挑む。

「ここからが正念場ですね。気合を入れなおして、行きますよ!」
 シーマリネィアが仲間の頭上を飛び、先行く道の偵察に当たる。背負いこんだ荷物も少し軽くなり体力は十分。岩壁に残る雪や風向きに注意を払い、身振り手振りで仲間を誘導する。背中の羽を羽ばたかせて動き回れば、体も温まるというものだ。
 その隣に並ぶ影。黒い翼のフクロウのような姿をしたその名は『ミーミトリィ』。康行が召喚した闇の精霊だ。大きな翼を広げ鋭い目を光らせるミーミトリィは、厚い雲に遮られ光が乏しくなる中でも正確に地形を捉え、康行達に伝えていた。
 後に続くエリカは慣れない雪山に苦戦しながらも、慎重に足を進める。
「分かってたけど……やっぱり寒いわね」
 時折自分を体を抱くようにして縮こませ、体温を奪われないように努める。余計な体力を失う前に一気に突破したいところではあるが、険しい雪道と冷たい風とがじわじわとその体力を蝕んでいく。
 並び歩く康行は、足を雪に沈めても落ち着きを失わず、実に自然な足取りだ。
「大事なことは山と戦わない、山を受け入れて進むことだろうね」
 仲間に掛ける声がどこか達観しているように聞こえたのは、彼の境遇と経験が醸し出したものだろうか。

 いつの間にか降り始めていた雪は次第に強まり、時折波打つように吹き付ける風が容赦なく猟兵達を襲う。体に纏わりつく雪が、意思を持って余所者を押し返しているかのようだった。
 康行の使役するミーミトリィが風除けとなって猟兵達を守る。風や雪が直接体に当たらないだけでもその効果は大きい。立ち止まって風雪から身を守っては、折を見て歩を進める。そんな繰り返しがしばらく続いた。
「体温が低下すると、予想以上に体力を奪われるものだからね」
 足を止める仲間に語り掛けるように康行が話す。少しでも早く山頂に辿り着きたい所だが、無理をして体の熱を奪われては元も子もない。慎重、だが着実に目的地へと近づいていく。
 ミーミトリィの陰で休みながらも、シーマリネィアは忙しなく羽を動かす。体に乗った雪を払い落としつつ、かじかまないように自らの体温を高めていく。背中の鞄から携行食を取り出して口にすれば、もうひと踏ん張りと再び飛び立つ。
 精霊とは言え、ミーミトリィの力も有限であるようだ。長引く道中に大梟の消耗を感じ取ったエリカは、交代と言わんばかりに前に出る。手にした盾を前にして進めば、多少の風も受け止めてみせる。強がりな彼女にとって、守られてばかりは性に合わないのだ。
 そんな中、正面から吹き付けた猛吹雪が猟兵達を飲み込んだ。一行は身を固めて堪え、風に押され浮き上がりそうになる足を踏み込む。先頭のエリカが盾を構えて仲間を庇う。その体にも雪が吹き付け、目を開くこともままならない。小柄なシーマリネィアに至っては、風に飛ばされてしまうかもと思われたが――。
「お任せください!」
 エリカの前に飛び込んだシーマリネィアが元気な声で言い放つ。『無敵城塞』を発動させると、全身で吹雪を超防御してみせた。その陰に入った仲間の瞳には、羽を大きく広げたシーマリネィアの姿が今までの何倍も大きく映った。

 暫くして吹雪は止み、再び白い雪と淀んだ空ばかりが視界に広がった。
 滑り落ちそうな傾斜の道では、康行の持ち込んだロープが役立った。体に結び付けたロープの一端をミーミトリィ運ばせたり、頑丈な岩場に括り付けながら進めば進行もスムーズだ。互いに助け合いながら、猟兵達は進む。
 足元の岩肌はさらに険しく、降り積もる雪は深まる一方。しかし、それだけ山頂に近づいているというもの。
「この雪山さえ登れば……ワイバーンに会えるのね。……アンタの戦い方。楽しみにしてるんだから、その首しっかり洗って待ってなさいよ!」
 差し迫るワイバーンとの戦いを前に、山頂を見据えたエリカが啖呵を切った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

神久・紅玉
ソフィーさんは先に行ってしまいましたか、ずっとガジェットもあれですし、ここからはのんびりと自分の足で歩いて景色を楽しむとするのです
『トイピース』を使用して『変幻自在の道具箱』で雪山用のゴーグルを作りますよ
以前に『コミュ力』のお陰もあってか、短い時間でしたが北国出身の方とお話する機会がありましたよ
雪山では雪目……目に雪原で反射された光を受けることで歩き辛いだけじゃなくて、目にもよろしくないそうです
でも、これを付ければばっちり!あとはー……そうでした、雪庇って場所が危ないんですよね、風下側に張り出したようにできる雪の塊は踏まないようにっと……です
アドリブ行動や改変、他の猟兵さんとの絡みも歓迎ですよ



 同行者と離れ、ひとり雪山を歩く紅玉は、澄み切った山の空気を胸いっぱいに吸い込む。
「ずっとガジェットに乗ってというのもあれですし、ここからはのんびりと自分の足で歩きましょうか」
 吹き荒れていた雪は止み、雲の切れ間から光が差し込んでくる。気まぐれな山の天気がもたらした僅かな間とは言え、日差しを浴びて進むのは心地よい。紅玉は歩きながら辺りの雪景色を目に楽しむ。真っ白な雪に覆われた険しい山脈の姿は、厳しい自然が作り出した荘厳なものだ。こんな事件でも起きなければそう来ることも無いであろう山々の姿を、紅玉は興味深く眺めていた。
 紅玉は安全な足場を見定め兎のように跳ねる。雪道に足を取られることもなく進めるその秘密は、彼女の両目を覆うゴーグルにあった。
 雪道に差し掛かるにあたり、卓越したコミュ力を誇る紅玉は以前に会った雪国生まれの男との会話を思い出していた。その男が言うには、晴れ渡った雪原に潜む危険は「雪目」。雪面に反射した光の眩しさで歩き辛いだけでなく、眼にもダメージを負ってしまう。そこで紅玉は、手にした変幻自在のトイピースを巧みに組み合わせ、即席の雪山用ゴーグルを作ってのけたのだ。
「ふふーこれを付けていればばっちり! です。あとは……そうでした、雪庇って所が危ないんでしたっけ……」
 伝え聞いた話をひとつひとつ思い出しながら進む。危なげのない足取りは、熟練の登山家のようでもあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ウル・ヘーニル
F09894と共同。                                                                            
「雪だぁ。キレイじゃのー」
一面の雪景色と吐く白い息にワクワクしつつ、ちょっと気を引き締める。
野生の勘を駆使して危険箇所を予測しながら山頂までの最短距離を登る。
足元はアイゼン装着、体はガジェット製エアコン付き防寒コートで目元以外しっかり覆う。
「なあリサ、ココア飲むー?」
ポケットから取り出した作り立てココアを飲んで糖分補給。
(うわっあいつまた火ぃ燃やしとる…危ないなあオトナのくせにばかじゃな…。雪崩が怖いから離れとこ…)


ヴァシリッサ・フロレスク
※ウル(f09937)と共同行軍、アドリブ大歓迎!

いよいよ山頂に近付いてきたね。
一気に攻めたいところだけど、拙速な行動は命に関わるか。
ここはウルちゃんの山羊の脚と野生の勘に進路を託して、確実に進むよ。
雪崩の気配なんかも、察知してくれるんじゃないかな。

防寒には【刑戮者の外套】を拡張して、全身を覆い寒さと凍傷から守る。

恐らく山の主に迫る程、天候はより厳しくなるだろう。
吹雪く中の行軍では皆一瞬で体温を奪われる。身を斬って【ブレイズフレイム】を発動、熱源を確保し、風雪を掻き消しながら進む――地獄の炎だ、簡単には消せないよ。なあに、痛みへの【耐性】はあるからね、訳無いさ。

――覚悟は良いかい?ワイバーン。



 険しい雪道を越えて猟兵達は進む。足元の雪も深くなる一方だが、それだけ高く登ってきたというものだ。
「雪だぁ。キレイじゃのー」
 呑気なウルの声が響く。白い雪は刺々しい岩肌も全てを包み込み、辺りは一面の銀世界だ。吐く息が白くなることまで面白がり、笑いながら歩く少年の姿は、未だピクニックが続いているかのように見えた。しかし不用心に足を進めているようでありながら、ウルは警戒を怠らない。自身が持つ山猫の耳をぴくぴくと動かして危険を察知し、雪面を踏み抜いた山羊脚から地面の様子を探れば、ウルの身に眠る野生が大自然の鼓動を五感で感じ取っていく。
「やれやれ、アンタにも困ったもんだね、ウルちゃんよ」
 ヴァシリッサも重い荷物を背負いこみ、その後に続く。同行するウルの自由な行動には慣れたもの。今回はむしろその感性を信用し、同じ道を進んでいく。
「一気に攻めたいとこだけど、拙速な行動は命に関わるか」
 随分進んできた雪道だが、それでもどこに危険が潜んでいるか分からない。周囲の地形や天候に注意を払いつつ、一歩一歩を確かめるように堅実に進む。そんなヴァシリッサに、とことことウルが近づいたと思うと、コートのポケットからほかほかのココアを取り出してカップに注いだ。
「なあリサ、ココア飲むー?」
 火傷しないようにカップを啜れば、温かい甘みが体いっぱいに広がる。どこまでもマイペースな相棒に苦笑しながら、ヴァシリッサもカップを受け取った。

 山の天気ほど信用できないものもない。しばらく進むうちに、再びの強い吹雪が猟兵達を襲う。
 ヴァシリッサが身を包む呪われた外套に念を籠めると、自在に伸縮した布地が彼女の身体を覆った。素肌が晒されないだけでも体力の消耗は大いに防がれる。
 ウルも彼女を真似るように、手にしたガジェットを外套の形に展開させてゆく。しっかりと着込めばその内側は、魔導蒸気の力で暖かく快適だ。
 なおも吹き付ける雪混じりの風が視界を奪う。目も開けられぬ暴風にヴァシリッサは思案する。ここで足を踏み外そうものなら、滑落は免れない。
 装備からナイフを取り出したヴァシリッサは、おもむろに自らの腕を斬り付けた。一筋に裂けた傷口から鮮血の代わりに溢れ出たのは、赤く燃える炎だった。地獄の業火がもたらす熱は、吹き付ける雪を瞬時に溶かし、視界を保つ。更に周囲の仲間をも暖かく包み込んで行軍の一助となれば、斬り付けた腕の痛みもまるで苦にならなかった。
 そんな中、ウルが不意に立ち止まる。山猫の耳をぴんと立てて意識を集中したかと思うと、不安げに声を漏らした。
「リサぁ、急いだほうがいいかも……!」
 言うや否やウルが駆け出す。慌てたようでありながら、全神経を研ぎ澄ませた彼が見つけていく足場は確かで、山羊脚が雪をしっかりと踏み込んで固めた。その跡を辿って進めば、ヴァシリッサも遅れずに雪山を駆けた。
 しばらくして、低い、這うような轟音が背後から響いた。次いで木々がへし折られていく音も耳に届く。雪崩が起きたのだ。
「もう、リサが火など燃やすからじゃぞ? 危ないなあオトナのくせに……」
「な……! ウルだって熱いココアなんて出していたじゃないか!」
 子供同士のように軽口をたたき合いながらも、その足は更に上を目指す。戦いに身を置く猟兵達にとっては、命が危険に晒されるような自然災害すらも、日常の内となるのかもしれない。

 体力を奪い続けていた山道の斜面は次第に緩やかになり、視界も徐々に開けてくる。目指す頂が近づいていた。
 一際冷たい風が吹き抜ける。ヴァシリッサがスヴァローグに手を掛けた。
「いよいよ山頂か。――覚悟は良いかい? ワイバーン!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ワイバーン』

POW   :    ワイバーンダイブ
【急降下からの爪の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【毒を帯びた尾による突き刺し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    飛竜の知恵
【自分の眼下にいる】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    ワイバーンブラスト
【急降下】から【咆哮と共に衝撃波】を放ち、【爆風】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 幾多の危険を乗り越えて、険しい山岳を踏破した猟兵達。
 吹雪が止み、降り積もった雪が音を奪う。凛とした空気はどこまでも静寂だ。
 山頂は広々とした空間で、大岩がいくつか転がっている他は、雪面と曇天の空が広がるばかり。
 その中に佇む大きな影が、音も無く来訪者達を睨みつけていた。互いが互いを『戦うべき相手』だと認識するのに、言葉も時間も要らなかった。静寂のままに、急速に空気が張り詰めていく。
 ワイバーンが大きな翼を広げると、白い雪煙が宙を舞う。猟兵達は各々の武器を構え、迫る雪煙を振り払った。
シーマリネィア・シーン
ようやくここまで来ました。さあ、行きますよ!

フェアリーランドに待機させていたドラゴンランスのマルクリールを呼び出して騎乗、空に飛び上がります。
私も竜騎士の端くれ、飛竜については学んでいます。危険なのは急降下してからの毒を帯びた攻撃だった筈。
その技の弱点は、同じ高度を飛ぶ相手には初手の急降下が行えない事。
ユーベルコード【飴細工の鳥篭】を使用。マルクリールの飛翔力と、自身の羽での飛行力を組み合わせて、ワイバーンの周囲を取り囲む様に飛行。頭上を抑え、降下攻撃を封じます。
重力の影響を減じる光の籠で竜を囲み、敵のユーベルコードを封印しましょう。



「ようやくここまで来ました。……さあ、行きますよ!」
 シーマリネィアはずっと背負ってきた荷物を下ろし、小さな壺を取り出した。その中から呼び出したのは、フェアリーである彼女の身丈の倍近くある大きさの竜、『マルクリール』。その背に颯爽と飛び乗ると、凍える空気を切り裂いて空を駆けた。
 シーマリネィアも竜騎士の端くれ、飛竜についての心得はあった。第一に警戒すべきは急降下からの一撃のはずだ。それを防ぐべく、彼女は勝負を仕掛ける。風を切って進みながら徐々に高度を上げていく。マルクリールの背をしっかりと掴み、呼吸を合わせて自身も羽を羽ばたかせれば、空を舞う小竜の姿はより力強く、機敏だ。ワイバーンの眼前を横切ると、勢いに乗ったままその周囲を旋回する。
 対するワイバーンも、その後を追うように翼を広げ、宙へと羽ばたいた。
「かかりましたね……! 降下攻撃の弱点は、同じ高さの相手には使えないことです」
 それこそがシーマリネィアの狙いだった。巨体を活かした急降下攻撃は、同じ高度を飛行する相手には通用しない。眼下の獲物にとっては驚異的な鋭い爪や毒を帯びた尻尾の猛攻も、周囲を旋回するシーマリネィアは難なく避けていく。ワイバーンの大きな翼が仇となって機動性を欠いた攻撃は、彼女のスピードに追い付けない。
「今です……『フェアリーサークル』!」
 シーマリネィアがユーベルコードを唱える。すると、ワイバーンが影を落とす雪面に魔法陣が浮かび上がった。ワイバーンの特性と攻撃を読み切ったシーマリネィアの働きに呼応するように、魔法陣が光を放つ。幾重もの眩い光芒が飛竜を捕えると、その動きが不自然に鈍った。
「今、あなたが受ける重力の影響を減じました。これで急降下攻撃は使えません」
 鋭く光る二振りのエストックを構えたシーマリネィアがワイバーンに相対する。小さな竜騎士は悪しき竜を討つべく、その身体に巧みに剣撃を浴びせていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴァシリッサ・フロレスク
※ウル(f09937)と共同行軍、アドリブ大歓迎!

――あのフェアリー、あんな小さい体で……天晴れだねぇ。

折角創ってくれた好機だ、無駄にしないよ。
なんせ足場が悪い。兎に角、機動力を奪うよ。

銃撃で注意を引き「おびき寄せ」、【ワイバーンダイブ】を誘発。
“小さなジャンヌ・ダルク”のお陰で、ヤツの勢いは大分殺されてるだろう。
カウンターの【戦乙女式吶喊鎗】で翼の「串刺し」を狙う。

なあに、多少の被害は織込み済みさ、痛みには「耐性」があるんでね。「捨身」上等――アタシが駄目でも、後ろにはウルちゃんがいるからね。フフッ、期待してるよ。

行くよ――Freudig, wie ein Held zum Siegen!


ウル・ヘーニル
f09894と共同 技能:忍び足 援護射撃 スナイパー
…あんまり生き物を殺すのは気がすすまんの。可哀想じゃが…仕方ない。

リサが注意を引き付けている隙に、死角に移動してガジェットを展開。
えっと、なんじゃこれ? うーんと、名付けて

巨大ピヨちゃん型捕竜杭!

ピヨちゃんの嘴から発射される大型銛でワイバーンを突き刺し、杭の柄から伸びた鎖で絡め取って動きを封じてみよう。
リサがワイバーンの動きを止めた時が勝負。
どれだけ拘束できるかはピヨちゃんとの力勝負…地面に打ち込んだアンカーがどれだけ耐えられるかの。
杭を発射したらすぐに弓を構えてワイバーンの目を狙い撃つ!

疾れミスティルテイン! 敵を射抜け!

あとは任せたぞ…


紫谷・康行
後は倒すだけ
冷静に隙を狙って

【イーゴーの見えざる刃】を使いワイバーンを攻撃する
覚悟を決めて敢えて開けたところに行きワイバーンの急降下を誘う
いつでも術を使えるように魔力を練っておきワイバーンが口を広げる瞬間に風の刃をワイバーンの口めがけて放つ
最大の武器は最大の弱点にもなるだろう
鱗に覆われていない口と喉を直接狙わせてもらう
冷静に、冷静に狙い呼吸を合わせてタイミングを見計らい
一撃で決めるつもりで言葉に力を込める
「世界の果てより吹きたる無慈悲な風よ。刃となりてかの者の喉を裂き力を奪え。」

倒せなければ距離をとりつつ翼の弱いところ、眼など効果的にダメージを与えられそうなところを狙って風を放つ


ヨー・リドット
奴の動きが鈍ったぞ!? あんなでかいワイバーン相手なのに、すげーなシーマリネィア、ありがとよ!
俺もこのチャンスを活かすぜ!

【POW】使用
敵の動きが鈍ってる今なら、『強い攻撃をより強く当てにいく』っきゃねーな!
まずワイバーンに向かって、【地形の利用】した【ダッシュ】……つまり、積もった雪の上を木製大剣に乗って滑っていくぜ!
世界によっちゃ、スノーボードっていうらしいなこれ!
そんで勢いが乗ったところで、UC【グラウンドクラッシャー】を奴に叩きつけるぜ! 助走付きの力技を食らえっ!
その余波で、周辺の地形に積もってる雪も吹っ飛ばして、後続の仲間が地面を移動しやすいようにするぜ!
みんな俺に続けー!



 飛行することで雪に足を取られることなく先行し、見事ワイバーンの動きを止めたシーマリネィア。この好機を逃す手はないと、続く猟兵達が雪面を駆けた。
「あのフェアリーの子、あんな小さい体で……天晴れだねぇ」
 ヴァシリッサが感嘆の声を漏らしながらワイバーンへ迫る。その姿を捉えた飛竜が鋭い眼光を飛ばすも、ヴァシリッサは口角を上げ不敵に笑った。闘いに心躍らせながら、その目は冷静に戦況を捉える。
「折角創ってくれた好機だ、無駄にしないよ」
 自動拳銃を構えたヴァシリッサが飛竜に向け引き金を引く。動きは封じているものの、猟兵達の進む足場の悪さは変わらない。銃撃で敵の注意を引き、その狙いを仲間から外させる。
 そこへ、木材のような肌に深緑の葉を生やしたシャーマンズゴーストの少年が滑り込んでくる。その少年、ヨー・リドットは木製の大剣に器用に飛び乗ると、雪面を自在に滑り抜けた。
「へへっ! スノーボード、っていうやつだぜ!」
 巧みなバランス感覚で、雪煙を巻き上げながら滑走してスピードに乗るヨー。ワイバーンへと接近しながら、攻撃を仕掛けるチャンスを窺う。その目に映ったのは、光に捕らえられ無防備になった飛竜の長い首だ。
「あんなでかい相手なのに、すげーな! よし、奴の動きが鈍ってる今がチャンスだな!」
 踏み込む大剣に力を籠め、積もった雪を圧し潰すように助走を付けながら、ヨーが一直線にワイバーンへと迫る。雪のかたまりを踏切台にして飛び上がり、空中で掴んだ大剣を振りかぶれば、勢いの乗った一撃をワイバーンの首元へと叩きつけた。
「みんな俺に続け―!」
 ヨーの高らかな声。ワイバーンへと打ち込まれた一撃に、猟兵達の士気が上がる。
 圧し固められた轍の上に毅然と立ち、足場を確保した康行は、冷静に魔力を練り上げていた。
「……全ての因果を絶つ決別の刃よ。我が言葉に導かれ今ここに吹け」
 落ち着き払った、それでいて力強い呪文の詠唱。康行が紡ぐ言霊に魔力を籠めると、構えた杖から放たれた見えざる風の刃がワイバーンを襲い、鱗に覆われた身体にいくつもの傷を穿った。
「冷静に、冷静に……後は倒すだけだ」
 ぼんやりとしていた康行の瞳が、冷たい視線でワイバーンを捉える。次なる好機を作るべく、康行は攻め手を緩めることなく魔力を撃ち放ってゆく。

 一方、岩場の影で戦闘用ガジェットを展開させていたウルは、その使い方に頭を悩ませていた。
「えっと、なんじゃこれ? ふーむ……」
 鳥の嘴のような形状に、鋭い大きな針。長く伸びた鎖を巻き上げる機構もあるようだ。これは……。
 思案するウルの猫耳がぴくりと動いた。聞こえて来たのはヴァシリッサの戦う声。光の檻に封じられていたワイバーンの身体が少しずつ解放され、ヴァシリッサら近距離で戦う猟兵達へと鋭い攻撃が繰り出されていたのだ。
「くっ――、ウルちゃん、まだかいっ?」
 身の丈程の射突杭『スヴァローグ』でワイバーンの爪撃を受けとめ、その衝撃に耐えながら、それでも飄々とウルに声をかける。そんなヴァシリッサの元へと、飛竜の長く鋭い尾が振り下ろされた。
「おっと、後ろにはウルちゃんもいるからねぇ、押されやしないよ」
 咄嗟に跳ね避けたヴァシリッサは、ワイバーンの機動力を奪うべく、その翼へと武器を向ける。振り上げたスヴァローグが唸りを上げて赤熱し、融けた雪が即座に蒸気になって立ち昇った。
「行くよ――Freudig, wie ein Held zum Siegen!」
 勝利を掴んで見せるという、ヴァシリッサの叫び。一瞬の内に、武器を構えた彼女ごと超高速で打ち出された射突杭がワイバーンの翼へと突き刺さった。赤熱した杭を引き抜かないまま、自らの地獄と化した血液を燃料に、捨て身の爆発攻撃が打ち込まれる。
 その爆発音と共に、ウルの脳裏にも閃きが走る。
「……そうか! ならばうーんと、名付けて――」
 展開したガジェットを飛竜の方へ向けたウルは、その脚部にアンカー部品を打ち込み、岩場へと固定する。
「名付けて『巨大ピヨちゃん型捕竜杭』! ゆけい!」
 ウルの号令と共に、ピヨちゃんと名付けられたガジェットは嘴から大型銛を発射した。本体と鎖で繋げられた鋭い銛は、一直線にワイバーンの翼へと向かう。
「フフッ、期待してたよ!」
 ヴァシリッサが射突杭を引き抜き、翼を蹴って飛び退く。傷付いたその翼へと撃ち込まれるのはウルの放った大型銛だ。巻き取った鎖に引き上げられ、ワイバーンの体が傾く。痛みからか、それとも威嚇のためか、飛竜が甲高い雄叫びを上げた。
「……生き物を殺すのはあんまり気がすすまんがの」
 銛を発射したのと同時、ウルは持参したガジェットから巨大な機械弓を作り出していた。悲痛な叫びに聞こえても、対するは過去の化身、オブリビオン。討たなくてはならない相手だ。戦いを終わらせるべく弦を引き絞ったウルは、飛竜の鋭い目へと狙いを定める。
「疾れ、ミスティルテイン! 敵を射抜け!」
 放たれた矢は風を切り、真っ直ぐにワイバーンの頭へと向かう。しかし飛竜の鋭い目は、その眼下に捉える矢の存在を予想していたかのように、自由の利く片方の翼で頭部を覆い隠すと、その翼で矢を受け止めたのだった。
 翼に受けた矢傷に憤怒するように、ワイバーンが咆哮をあげる。その叫びは衝撃波となって巡り、戦場を満たした。気圧されると共に、舞い上がった雪を巻き込んだ爆風が猟兵達を襲い、その足を止められる。
 しかし、この瞬間を待っている者が居た。圧し固められた確かな足場の上で真正面から咆哮を受け切った康行は、雪煙の中、一瞬の好機を狙い撃つべく魔力を高める。
「最大の武器は、最大の弱点にもなるだろう」
 飛竜を落とすべく、練り上げる魔力の言霊。狙うは一点、ワイバーンが咆哮のために開いた口の中だ。
「世界の果てより吹きたる無慈悲な風よ。刃となりてかの者の喉を裂き力を奪え」
 康行が見据えた先、音さえ置き去りにする暴風の刃が、無防備なワイバーンの口内を切り刻んだ。不意の一撃に舌と喉とを傷つけられ、声なき声を上げながらワイバーンが長い首をしならせる。
 その背後から、更に迫る影。吹き荒れた風に乗り、雪を跳ね飛ばしながら雪面を滑走するヨーの姿があった。大きく旋回して衝撃波を避けたヨーが、怯んだワイバーンの元へと飛び込み、大剣を振りかぶる。
「助走付きの力技を~~、食らえっ!」
 響き渡る、低く鈍い音。無骨な木の大剣が飛竜の脳天をしたたかに打ち据えた。

 巨大なワイバーンの体が大きく傾く。とうとう地面へと引きずり降ろされた飛竜は、自らの身体を支えるように、両脚を力強く踏みしめる。しかし傷付いても尚、飛竜の眼光は生気を失ってはいなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

エリカ・ブランシュ
(アドリブ等歓迎)

やっぱり……まるで何かを護ってるように感じるわね。
同じ護る者としてアンタの動き、学ばせてもらうわ!
だから……全力でかかってきなさい!

味方への攻撃を【盾受け】で【かばう】ように動きたいわね。
いざとなればAigisを使ってでも仲間を護れるように意識しながら戦いつつ、余裕があればレイピアで応戦もしたいわね。
……攻撃は苦手だから上手く当てれるといいんだけど。

戦闘終了後はワイバーンの動きを思い出しつつ、そこから学べるとこはしっかり学びたいわね。
それと……。ワイバーン。アンタが一生懸命護ろうとしたこの場所を今を生きてる人達で大切に護っていくから……安心して眠りなさいね。


神久・紅玉
ちょっと合流に時間が掛かってしまいましたね
ですが、遅れた分はしっかりと戦いで結果を出すのですよ
ソフィーさんと連携してワイバーンを倒してしまいましょう
お互いに何度も戦場を戦った友人さんでもあり戦友なのです
戦闘の連携も〈コミュ力〉でとびっきり上手にいくはず

ユーベルコード〈変幻自在のおもちゃ箱〉でロケット弾発射器を作成
ソフィーさんならとびっきりのタイミングを作ってくれるはず
それを信じて一撃をしっかりと狙っていきましょう!

そのまま倒せそうなら次の砲弾を立て続けに撃ち込み撃破を狙い
それが望めないようなら狙いすませた一撃を頭部に打ち込み次へと繋げるのです

猟兵同士の絡みやアドリブ行動の改変も大歓迎なのですよ


ソフィア・テレンティア
後は此方のワイバーンを倒すだけですね。
神久様と連携し、全力で参りましょう。
UC【魔導蒸気機関複製機構】により【蒸気駆動式機関銃・冥土式】を12機、
【魔導蒸気機関搭載重撃鎌・冥土式】を10機の計22機複製。
敵の逃げ場をなくすように複製した機関銃で【援護射撃】し回避を誘発させ、回避した先にて、複製した鎌を突き立てそのまま地面へと縫い付けましょう。
既に敵ワイバーンは空も飛べぬご様子。であれば動きを止めてしまえば、後は煮るなり焼くなりご自由に。でございます。



 ワイバーンの鋭い眼光にも臆する事無く、猟兵達は真っ向から立ち向かう。
 小盾とレイピアを携えたエリカは、傷付き、翼に孔を穿たれても尚この山頂から退こうとしないワイバーンの姿に、自らの想いを重ねる。
「やっぱり、まるで何かを護っているかのように感じるわね……。アンタの戦い方、学ばせてもらうわ!」
 既にオブリビオンと化した飛竜の身、もはやそこには語られる程の道理は残されていないのだろう。例えそうだとしても、この戦いは本物。エリカは戦いの意味と自らの糧を見出すべく、細剣を構え、飛竜へと向かう。
「既に敵は空も飛べぬご様子。であれば動きを止めてしまえばよろしいかと」
 慇懃な口調で語り掛けるのはソフィアだ。その態度には似つかわしくないような、大ぶりな機関銃を構えた彼女は、照準を飛竜へと合わせる。
「複製機構始動、操作領域展開。……全力で参りましょう」
 ソフィアの言葉と共に出現したのは、彼女の持つ機関銃と同じ形状の、複製された銃器達。飛竜を取り囲んで放射状に展開した銃口は計12門。逃げ場を無くすように並べられた無骨な銃口が、一斉に火を噴いた。
 浴びせられる無数の弾丸。避けようのない弾幕の雨に、ワイバーンは翼を伏せて身構える。それを見たソフィアが美しい所作で片手を上げると、飛竜の周囲に10本の機械式の鎌を出現させる。魔導蒸気の力で魔力の刃を煌めかせた鎌が一斉に振り下ろされると、飛竜を雪面へと抑えつける爪のように、その身体に食い込んだ。
「神久様、後は煮るなり焼くなりご自由に、でございます」
 機銃の弾幕に紛れるようにして、新たな砲塔がそびえ立つ。紅玉が変幻自在のガジェットで作り上げたロケット砲の砲口が、きりきりと音を立てて飛竜へと狙いを定めていた。
「ソフィーさんとも無事合流できましたし、遅れた分はしっかりと結果を出すのですよ!」
 紅玉が砲塔に火を点ければ、煙を帯びたロケット弾が勢いよく飛び立つ。おもちゃのようなガジェット製とはいえその火力は本物。飛竜の体へと直撃すると、大爆発を引き起こした。
「ふふー、ばっちりですよ、ソフィーさん!」
 紅玉の得意気な声。ソフィアに呼びかけると、すぐさま次の弾を用意し、狙いを定める。2人の息の合った絶え間ない銃撃と爆撃が、戦場を支配していった。

 何度かの爆発により巻き起こった粉塵と粉雪の煙幕に遮られ、飛竜の姿が見えなくなる。ソフィアも一時銃撃を止め、敵の様子を窺った。
 その時、猛々しい叫びと共に煙が吹き飛ばされた。予兆すら見えない一瞬の出来事に加え、同時に巻き起こった爆風に、その場にいた猟兵の誰もが目を塞ぎ、足を止めた。次の瞬間には、ワイバーンの引き起こした爆風によって巻き上げられた雪が、雪崩のように周囲に押し寄せていた。
 次なるロケット弾を装填していた紅玉の元へも、荒れ狂う雪の大波が迫る。攻撃を止め、一度退こうとした紅玉の足を止めたのは、その前に躍り出た騎士の姿だ。
「大丈夫よ。アタシが絶対に……護るんだから!」
 エリカの全身に光が宿る。彼女の心胆よりもたらされた魔法の鎧は、どんな攻撃をも受け止める無敵の盾だ。力強い言葉に迷いは無く、迫り来る雪崩の前に立ちはだかった彼女はそれを塞き止めてみせた。
「……! 分かりました! それならわたしも、とびっきりの一発です!」
 エリカの意思を即座に感じ取った紅玉は、渾身のロケット弾を放つ。雪崩を突き抜け、勢いを増して進む弾頭が、飛竜の頭部へと炸裂した。
「それでは私も、下がっている訳には参りませんね」
 ソフィアもまた、この機を逃さず手にした機関銃を掃射する。展開した銃器類は雪に飲まれてしまったが、彼女の握る「本体」の火力は十分。熱を持ち、放たれた無数の弾丸が、飛竜の足を釘付けにする。
「アタシだって……これで全力よ!」
 十分すぎる程の火力支援を背に、エリカがワイバーンへと飛び込む。光の力を纏って輝いたレイピアによる一閃が、ワイバーンを貫いた。
 その一瞬、吹き荒れた風が止み、辺りが静まり返る。ワイバーンは長い首を天に伸ばし、空を一睨みすると、力無く倒れ込んだ。
 冷たくも、爽やかな風が、山頂を流れていった。



 長かった山岳行軍は終わり、この地に巣食っていた脅威は猟兵達の力によって退けられた。豊かな自然を色濃く残すこの大地にはいずれ春が訪れ、白い雪に覆われていた景色もまた新たな顔を見せる。霊峰と謳われるこの山岳にもまた、多くの人からの祈りを捧げられることだろう。
 帰路へと向かう道すがら、エリカはふと振り返り、誰もいなくなった山頂を見つめた。
「ワイバーン……アンタが一生懸命護ろうとしたこの場所は、今を生きてる人達で大切に護っていくから。……だから、安心して眠りなさいね」
 ひとり呟くと、仲間の呼ぶ声が聞こえた。エリカは小さく笑ってその声に応える。一つの戦いを終えた猟兵達は、それぞれの想いを胸に、この地を後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月22日


挿絵イラスト