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黒衣と少女とページェント

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 今日は聖誕祭。
 暗闇に包まれたダークセイヴァーにおいて、聖なる光を持って生まれ来る聖者の誕生に感謝を捧げ、祈りを託すためのお祭り。
 お祭りと言っても、各々の街だけでひっそりと行われるちょっとした催事に過ぎない。けれど、この世界の人たちにとって大切な行事の一つ。
 辺境のとある街でも、その日は朝から聖誕祭の準備が行われていました。
 普段は食べられない狩りの獲物を調理したり、ささやかな宗教劇の為にページェントが用意されたり。

 その街は珍しく、ヴァンパイアではなく、人間が領主を務めていました。
 ……とは言え、それは名ばかりのもの。
 結局の所、周辺を支配するヴァンパイアたちに金品や作物を納めなければ力尽くで踏み潰されるのが現実。そのために領民たちの生活も決して裕福とは言えませんでした。
 それでも、ヴァンパイアが直接納める土地に比べれば人々にとっては安全な街でしたし、領民の為に働く領主の姿は、街の人々から尊敬の念を持って受け入れられていました。

 聖誕祭の当日。
 最近代替わりした領主は、若い女性でした。
 領主でありながら街を訪れては、人々の為に休む間も惜しんで働き、目下の人にも気安く言葉をかけては、人々の為に汗を流します。
 真っ黒なローブを纏った彼女が街を訪れると、人々は次々に彼女と挨拶を交わし、精一杯のお持て成しをしようと張り切りました。

 そうして夕刻。
 多くの人々が、鐘の音と共に聖者への祈りを捧げるため、中央の広場に集まりました。
 夕暮れを告げる鐘が鳴ると、広場には無数のキャンドルが灯され、人々は目を閉じて祈りを捧げます。

 そして。
 人々の先頭に立っていた、真っ黒なローブの領主。
 彼女は鐘と同時に静かに立ち上がると、それまで領民に見せていた表情とは全く異なった、三日月のように裂けた笑みを浮かべて……。

「さてさて、皆よく集まってくれたね。早速だけどまた胸糞悪いダークセイヴァーのヴァンパイア退治だよ」
 グリモア猟兵、ロベリア・エカルラートは集まった猟兵たちに、不機嫌さを隠そうともせずに告げた。

「場所は辺境の街だね。珍しく人間が治めてる所で、今の所は周りのヴァンパイアたちも直接手を出そうとはしてないみたい」
 だけど、と念を押して。

「どうもそこの領主の女性が、厄介なオブリビオンに取り憑かれちゃったみたいでね。聖誕祭に合わせて街の人たちを皆殺しにするつもりなんだってさ」
 言いながらロベリアは、今回の敵となるオブリビオンのデータを猟兵たちに手渡した。
 『ゼラの死髪黒衣』と呼ばれるそのオブリビオンは、あるヴァンパイアの髪から作られたローブだ。
 年若い女性に憑依して操るそのオブリビオンは、これまでにもダークセイヴァー中で被害を増やしている。

「いつ乗取ったのかは知らないけど、このオブリビオンは領主さんを操って、街の人を殺す準備を進めている。表向きは領主本人を装いながら、徐々に領主館から人払いをして、あるオブリビオンを館の中に飼っているみたい」
 そのオブリビオンは『ファンガス』。
 茸型の魔獣で、毒の胞子を使って獲物の動きを封じて苗床にするという生態を持つ。

「コイツを使って、聖誕祭の日に集まった街の人を毒の餌食にする計画みたいだね。正直もう聖誕祭まで時間が無いけど、逆に言えば今がチャンスだ」
 ゼラの死髪黒衣は、人間である領主になりすましている関係上、表立って他のオブリビオンを集めづらい。
 今、ゼラが本拠地としている領主館には、計画に使うファンガス以外は人間もオブリビオンも居ない状態なのだ。

「皆にはこれから、領主館に乗り込んで中庭で培養されてるファンガスを全滅させてもらうよ。放って置いても厄介だしね。それから残ったゼラを撃破。コイツに関してはローブだけ引き剥がせば元の領主さんは助け出せるから、出来れば彼女は無傷で助けて欲しいかな」
 もちろん、キミ達が危ないようなら手加減はしないでも良いと付け加えて。

「あ、そうそう。何事も無く敵を倒せたら、せっかくだから聖誕祭にも参加してきたらどう?……って言っても、あんまり屋台とか出るようなお祭りじゃ無いけどね。見るものって行ったら宗教劇くらいかな……。ま、帰りは私に言ってくれればいつでも戻れるから、お祭りの方は出るも帰るも好きにしてもらって大丈夫だよ」

 それじゃ、後はヨロシク!
 無責任に笑って、ロベリアはテレポートの準備に入った。


桃園緋色
 桃園緋色です。三本目のシナリオを執筆させていただきます。

 今回は集団戦、ボス戦の後、日常パートである聖誕祭があります。
 各戦闘での敵の情報は、章ごとに表示されるのでそちらをご参照下さい。

 NPCのロベリアは戦闘には参加できませんが、日常パートでは参加した猟兵からの要請があればお手伝いに参加できます。何か有りましたらお気軽にどうぞ。

 それでは、精一杯シナリオの執筆に取り掛からせていただきますので、皆様のご参加、お待ちしています。
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第1章 集団戦 『ファンガス』

POW   :    胞子散布
予め【胞子を周囲に撒き散らす】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    闘虫禍争
自身の身長の2倍の【虫型の魔獣(形状は毎回変わります)】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    毒の胞子
【口や茸の傘】から【胞子】を放ち、【毒】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 白い月が照らす、街の領主館。
 動く者の居ないその中庭には、ひっそりと、しかし確かに、無数の魔獣がひしめき合うように存在していた。
 巨大な茸の幹に目と口を生やしたような姿の魔獣、ファンガス。
 領主になりすましたオブリビオンによって密かに持ち込まれたこの魔獣は、人目につかぬ中庭でジッと待ちながら、確実に数を増やし、今や広い中庭を埋め尽くすほどに増殖していた。
 元凶であるオブリビオンの目論見通りに事が運べば、このファンガスたちは聖誕祭に集まった町の人々を苗床とし、さらに数を増やすだろう……。
ユエイン・リュンコイス
「誰かの為に努力する人、そうした姿を見て慕い信頼する人。そのどちらも踏みにじるなんてね……虫唾が走るよ」

人やファンガス以外のオブリビオンの姿はないからね、侵入はそこまで難しくないかな。

相手は胞子を撒き散らす攻撃がメインのようだからね、からくり人形の繰り糸を目一杯伸ばして、出来る限りそれらの効果範囲から離れたいかな。
もし魔獣を呼び出して攻撃してきても戦闘はからくり人形メインで、直接接触は避けたいね。
『学習力』で動きを探り、『フェイント』で動きに虚実織り交ぜようか。

菌糸類、騎乗するという事で、ユーベルコードを使って炎の『属性攻撃』が可能、ないしは頑丈な槍のガジェットを呼び出して、使用出来ないかな。


ジェイス・ジェイソン
「人に憑りつくオブリビオンか、自らも憑りつかれた身ではあるが不憫だ」

機械でありながら化身に憑りつかれた自分を思えば、憑りついたのが強力なオブリビオンだった領主はとんだ災難だっただろう

「取り返しのつかない場所に彼女を導かれるより先に解放してやらねば」

暗闇の中、2m強の巨体が軽やかに宙を舞う、中庭の中が胞子でみちていようとウォーマシンの自分には影響は少ない。そのまま落下する勢いのまま『ファンガス』を『踏みつけ1』ると愛用の【拷問具】であるチェーンソーを取り出す

「まずはてっとり早く伐採といこう。細かいことはそのあとだ」



 月が中天に差し掛かる頃、物音一つ立たぬその中庭に躍り出る影があった。
 最初に現れたのは、3メートル近い巨体で地を踏みしめるウォーマシン、ジェイス・ジェイソン(ウォーマシンの化身忍者・f12378)だ。

「人に取り憑くオブリビオンか……」
 一人呟くように声を漏らすと、大地を蹴ってジェイスが跳躍する。
 その巨体からは考えられないほど軽やかに宙を舞うと、獲物を待ち構えていたつもりなのか、微動だにしないファンガスを勢いよく踏みつけた。

「自らも取り憑かれた身であるが、不憫なものだ」
 化身忍者として己の身に超常の存在を宿す自らの身を振り返りながら、件の領主を思う。
 取り憑いたのが味方足り得ない強大なオブリビオンだったのは、とんだ災難だったと。
ならば、やることは一つ。
「取り返しの付かない場所に彼女が導かれる先に解放しなければ」

 言うが早いか、ジェイスは取り出した自らの拷問具であるチェーンソーを起動。
 凶暴な駆動音と共に足元の一体ごと周囲のファンガスがバラバラに切り刻まれ、その体内の毒胞子が撒き散らされる。

「まずは手っ取り早く伐採といこう。細かいことはその後だ」

 ジェイスのその言葉に続くようにもう一つ、黒鉄の巨体が中庭に乱入した。
 新たに現れた巨体……人形遣いの友たるその機人は、その四肢から伸びる糸の繋がる先……ユエイン・リュンコイス(黒鉄機人を手繰るも人形・f04098)の手繰る指の動きに従い、密集したファンガスを次々と薙ぎ払っていく。

「誰かの為に努力する人、そうした姿を見て慕い信頼する人。そのどちらも踏みにじるなんてね……」
 人形のように整った無表情。しかし領主館を睨む漆黒の瞳に宿るのは紛れもない怒り。

「虫唾が走るよ」
 静かに吐き捨てると同時に、ユエインの操るからくり人形の手元に奇妙な機械が召喚された。
 ユーベルコードによって召喚それたそれは、人形の手の中でガチャガチャと形を変えると一本の槍を形作る。
「頼んだよ」
 自らの指先とつながった友に声を掛けると同時、その機人が槍を振るう。
 ユーベルコードによって作り出されたそれは、使用者の意図と外れて奇妙な形状ながら、ファンガスたちに対して有効な力を有していた。
 それは炎。闇夜に燃える炎の魔力を纏った槍は、一振りごとに一体の魔獣を切り裂き、余波でその周囲の敵をも焼いていく。

「……流石にいい加減、コイツらも危機感を覚えたらしいな」
 敵の只中でチェーンソーを振るうジェイスが言うが早いか、地中から巨大な影がせり出した。
 それは今戦っていたファンガスの3倍はあろうかという巨大な虫型の魔獣。
 その背中に寄生され、ファンガスと生命を共有する闘虫禍争。

「ああ、流石に無抵抗で刈られるつもりはないみたいだね」
 ユエインが同意する。
 ある意味において本来の茸のように中庭で繁殖を続けていたファンガスは、ここに至って猟兵を敵と認識し、次々に闘虫禍争を召喚していく。

「ふん、そんなもので俺が止められるか!」
 自らを明確に害そうとする敵の大群を前にしても、ジェイスの内から湧き出る衝動に陰りは無い。
 羽を広げて飛びかかる虫型魔獣を、ジェイスは迎え撃つように跳躍。
 空中で新たに一体、自らの戦果を増やした。

「くっ……!」
 だが、異変はそこで起きた。
 たった今撃破したファンガスが、その死に際に大量の胞子を撒き散らしたのだ。
 ウォーマシンのボディに物を言わせ、毒の胞子の中でも平然と動き続けるジェイスだが、周囲を見渡せば他のファンガスたちも同じ様に胞子を撒いていた。

「自己強化か……」
 事前の情報から毒の胞子を警戒し、胞子の範囲に巻き込まれない位置から黒鉄機人を操っていたユエインは、その胞子に包まれた範囲のファンガス達の力が増しているのを冷静に観察していた。
 それに合わせて、人形の操作を修正する。
「少し、厄介だね……」
 自らの操る機人は胞子の毒も問題ない。ジェイスも暫くは問題なく戦えるだろう。
 だが、大量のファンガスがこれから先強化された状態で襲ってくると考えると、苦戦は免れない。
 少なくとも、現状においてジェイスとユエインはそう判断した。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

フレイ・ブラッドセイバー
少し失礼しますよ
領主様の片づけがあまりにも下手なので、メイドが清掃に来ました

えぇーっと、相手は複数ですっけ?ユーベルコードの我は戦神、叛逆の魔神なりなら一網打尽ではないでしょうか
というか増えて掃除ですね、これは
きのこまで生やして、何日放置したんですか?
掃除及び洗濯は定期的にやっておかないといけないんですよ?

あっ、なんか煙たい!
換気!換気!



「少し失礼しますよ。領主様の片付けがあまりにも下手なので、メイドが掃除に来ました」
 ダークセイヴァーに立つ洋館にはある意味で似つかわしく、そして今まさに魔獣との戦場となったその場所には決して似つかわしくないメイドの、のんびりとした声。
 フレイ・ブラッドセイバー(瀟洒な血塗れのメイド・f00013)は一人、中庭の端……領主館の本館に近い場所に足を進めていた。

「中庭どころか、既に館の入り口まで茸が生えてますね……。まったく、何日放置したんですか?」
 その言葉に答える者は居ない。
 代わりに、周囲のファンガスたちが一斉にフレイに目を向けた。既に中庭では戦闘が始まっている。離れた位置にいるファンガスたちも、既に猟兵が敵であると理解しているのだ。
 見る間にファンガスたちは闘虫禍争を召喚し、戦闘態勢を整えていく。

「これは掃除が必要ですね。さて……」
 その様子に臆する事も無くゆったりと、あくまで優雅にフレイは血色の剣をその手に構えた。
 同時に、フレイの周囲に影が現れる。

「攻撃対象確認。これより攻撃行動に移り、敵を殲滅します。曲芸――」

 ディスペアー・イン・ザ・ダークネス。

そう名付けられたユーベルコードが発動する
 機械的なその言葉と同時、地を蹴った影たちはフレイを鏡写しにしたような分身。
 それは単なる影ではなく、一人ひとりが本人と同等の戦闘能力を持つ。

 分身たちは各々がその手にした刃を振るい、次々にファンガスたちを抵抗も許さず切り裂いていった。

「さて、これで少しは綺麗に……ごほっ、ごほっ!あ、なんか煙たい!」

 館のすぐ近くのファンガスたちを、華麗に一蹴したと思いきやどこか締まらない様子で。
 魔獣を排除しても戦闘によって撒き散らされてしまった毒の胞子はどうする事もできず。

 これは今から文字通りの意味での掃除が必要なのではないかと、フレイは密かに心配する事となった。

成功 🔵​🔵​🔴​

神久・紅玉
聖誕祭を滅茶苦茶になんてさせないのですよ!
……まじめで立派な領主さんの努力をオブリビオンに壊させたりなんかしません!
とびっきり高い『コミュ力』を使って、場の空気は私が掌握させてもらうのです!
猟兵同士の連携は勿論、ええ……茸さんたちも集団で連携をしていますからね。その隙を狙わせてもらいますですよ。
『トイピース』を使って『変幻自在のおもちゃ箱』から、巨大な斧を製作。茸さん達を薙ぎ払ってしまいますのです。
……数が多いですね……でも、大丈夫です。お姉さんにお任せなのですよ。
早く領主さんを助けに行かないと行けませんからねっ
プレイングにないお話や行動も大歓迎なのです
沢山他の猟兵とも協力できたら嬉しいですよ


エルデラント・ズィーマ
キノコですね。屋内ですがキノコ以外に何もないのであれば派手に焼き払いましょう。右腕から火炎放射、わーいひゃっはーきのこはしょうどくだーの心意気で。
距離を詰めたら胞子を吸い込まない様に警戒しつつユーベルコードで爆砕です。他の猟兵と戦うのであれば巻き込まない様に注意しますね。連携も取れそうなら取りましょう
臨機応変、柔軟な対応……です


ステラ・クロセ
領主さんと街のみんなのため!ステラ頑張ります!
館には塀の上に乗って窓にダイブして蹴破って突入します。突撃だぁ!

最初の相手はあのキノコですね。あんなのに手間取っていられない。

ようくファンガスの動きを見て……
攻撃のタイミングにあわせて無敵城塞発動。
ダメージを最低限にとどめられたら、二本の剣を逆さに持って、ひだの部分を下からぶっ刺してそのまま左右に広げて引きちぎってやる!


リーヴァルディ・カーライル
…ん。聖誕祭か
私にはあまり縁の無い催しだったけど…
…うん。これが終わったら、見て回るのも良いかも…
その為にも、いつも通り…吸血鬼は狩る

事前に防具を改造して対毒性能と暗視能力を付与し、
自身の装備類に【常夜の鍵】を刻んでおく
…毒の胞子が厄介。あまり近付いて闘いたい相手じゃない

中庭の状況を見切り、第六感が危険を感じたら、即座に回避行動を
動きを封じる呪詛の力を溜めた銃撃から、大鎌を怪力任せに投擲する2回攻撃を行う
倒しきれなかったら【常夜の鍵】を発動し中空に描いた魔法陣から
大鎌の魔法陣に転移し、生命力を吸収した大鎌をなぎ払い傷口を抉る

…ん。聖誕祭にキノコは必要ない
祭りの出し物にも不適格、ね?



「突撃だぁッ!」
 掛け声と共に、中庭を囲む塀の一角を蹴り抜いて躍り出たのは、闇夜に映える金のポニーテールと真紅の瞳。
 ステラ・クロセ(星の光は紅焔となる・f123741)は中庭にひしめくファンガスたちを一瞥すると、こんな相手に手間取っている暇は無いとばかりにその二本の剣を構えて攻撃を仕掛ける。

(領主さんや街の皆のためにも頑張らないと!)
 小柄なステラが振るう剣技は我流ながら、二本の剣を自在に操り次々とファンガスを切り伏せていく。
 しかし、当然ながら敵も無抵抗で刈られるだけではない。
 既に中庭はファンガスが放つ胞子によって満たされ、その空間内においてファンガス自身の戦闘能力は強化されていた。
 周囲のファンガスたちが一斉にステラへと顔を向けると、その口から勢いよく毒が吐き出される。

「クッ……!」
 数体のファンガスによる一斉攻撃。吐き出された毒煙はステラを一瞬で覆い隠し、数秒に渡って毒の放射が続けられる。
 そして、煙が収まった瞬間。
「こんなものっ!」
 毒煙を突き破って跳躍したステラは、正面のファンガスをバスタードソードで唐竹割り。そのままもう片方の手に携えたフォースセイバーを水平に一閃すると、その魔獣は完全に息の根を止めた。
「毒煙も無敵城塞で防げるようですね。とは言え、こうも胞子が濃いと全く毒を受けないというわけにも……」

 そう思案するステラの眼の前で、さらに攻撃を仕掛けようとした別のファンガスに銃弾が撃ち込まれる。
 呪詛を込めたその弾丸が数体のファンガスの動きを封じ込めると同時に、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は力任せに大鎌を投擲。回転しながら闇夜を切り裂いて飛ぶ大鎌は、回避も防御も出来ずに居るファンガスたちを切り裂き、地面に突き立った。
「一度距離を取った方が良い。毒が厄介」
「っ、はい!」
 リーヴァルディからの忠告にうなずき、残ったファンガスの群れから距離を取るステラ。
 それを一瞥してから、リーヴァルディは敵を観察する。
 既にこれまでの戦闘によって、敵の数も減ってきている。とは言え単純な数で言えば猟兵側の不利は変わらないし、残った敵も必死なのか、集まって連携を取った上で戦おうとしている様に見受けられた。
 先程見たように、一斉に毒を撒かれると非常に厄介だ。リーヴァルディ自身は事前の情報から防具に改造を施し、毒への対策をしていたが、かと言って長時間毒煙に巻かれれば無事では済まない。

「やはり、数は厄介だな……」
「ならこっちも連携すれば良いのですよ」

 一人打開策を考えるリーヴァルディに声が掛けられる。
 振り向くと、そこには赤髪の小柄な少女が他の猟兵たちを集めていた。
 表情を変えずにそちらを一瞥するリーヴァルディに対しても、神久・紅玉(つま先立ちの林檎・f03420)はにこやかな表情のまま話を続ける。

「ここに居る皆なら一人でも戦えるけど、一人ずつ戦うよりそっちの方が早いでしょう?」
 それに、出来るなら早く領主さんも助けたいし、万が一にも聖誕祭を滅茶苦茶にさせる訳にはいかない。
 そう続ける紅玉の提案に、最初に乗ったのはエルデラント・ズィーマ(ロストメモリーズ・f02581)。
「そうですね、私の場合は味方を攻撃に巻き込む心配もありますし。連携が取れるなら取りましょう」
 事務的な口調ながらも積極的に歩調を合わせるエルデラント。
「そうですね!力を合わせて、一刻も早く領主さんを助けに行きましょう!」
 ステラもまた、味方との連携を承諾する。街の人のため、操られた領主のため。同じ目的の為に戦うなら、力を合わせるのも難しくないはずだ。
「そう。……私はいつも通り吸血鬼を狩るだけ。それで良いなら、構わない」
 その様子を見て、リーヴァルディも表情を変えないまま同意した。手早くファンガスたちを片付けて本命の吸血鬼を倒せるなら、それに越したことは無い。
「うん、3人共ありがとう!」
 満足そうに頷いた紅玉は3人を促し、こちらに集まってくるファンガスの群れに向き直った。
「よし!早く領主さんを助けて、皆で聖誕祭に行こうね!」
 その言葉を皮切りに、4人の猟兵は各々の武器を構えた。


(聖誕祭か……私には縁の無い催しだけど)
 紅玉の言葉に、リーヴァルディはふと思う。
 これが終わったら、回ってみるのも悪くないと。
(そのためにも、今はこの敵を倒さないと)

「開け、常世の門」
 中空に魔法陣を描き、短い詠唱を終えるとリーヴァルディの姿がかき消える。
 ファンガスたちがその姿を見失った次の瞬間、先程投擲されていた大鎌、そこに描かれた魔法陣からリーヴァルディが現れた。
 ユーベルコードによる転移で敵の不意を突いたリーヴァルディは、そのまま大鎌でファンガスの群れを薙ぎ払う。
 一撃で仕留めきれなくても構わない。黒騎士としての力で生命力を奪い、威力を底上げした大鎌の一撃の後、リーヴァルディは即座に魔法陣を使って離脱。

「次はこちらです」
 きのこはしょうどくだー、と平坦な声で意気込みを告げながら、エルデラントは機械の右腕に仕込まれた火炎放射で遠距離からファンガスを攻撃する。
 大鎌で薙ぎ払われた所に、ダメ押しの一撃。集まったファンガスたちの一角が、即座に撃破される。
「いい調子です」
 戦果を確認するエルデラントの視線の先。炎の向こうに大きな影が現れた。
 後方に居たファンガスが召喚した巨大な虫。それは背中にファンガスを寄生させ、一息に炎を飛び越えると、その顎でエルデラントを噛み砕こうと襲いかかる。

「させません!」
 間に割って入ったのは、二本の剣を交差させて虫の顎を受け止めたステラ。
 先程と同じ様にユーベルコード・無敵城塞を発動させたステラは、自身の倍はあろうかという闘虫禍争の攻撃をものともせず受け止める。

「助かりました。ユーベルコードは解除しないで下さい」
 渾身の攻撃を受け止められ、距離を取るファンガスと闘虫禍争。そこに追撃を仕掛けたのは拳を振りかぶったエルデラントだ。

「安心して下さい、痛みを感じる前に殺しますから」
 冷たくファンガスへと告げると同時、その拳がファンガスへと叩き込まれる。
 その瞬間、大爆発が起こった。
 地形を変えるほどの爆発は、攻撃した本人は無傷ながらも、近付こうとした他のファンガスをも巻き込んで爆炎を広げていく。

「……あの、これは味方も危ないのでは?」
「ええ。貴方がパラディンで助かりました」
 爆炎に煽られながらも無傷なステラが指摘すれば、エルデラントは何食わぬ様子で開き直り、次の敵を探して火炎放射器を構えた。

「やっぱり皆強いなぁ」
 味方の様子を確認しながら、紅玉も戦場となった中庭を駆ける。
 狙うは敵の更に後方。離れた位置から毒煙の遠距離攻撃を狙っていた敵の一団。
 敵もまた集団戦を意識して動く知性があるのか、役割を分担していた様だ。自分たちに毒が効かない事を利用して乱戦となった所に毒煙を放とうとしていた後方のファンガス達。紅玉は混乱した敵の隙をついて、そちらを倒す為に動き出した。

 炎によって視界が遮られた為攻撃できなかったが、ただ一人現れた紅玉は彼らにとって容易い獲物に見えたのか。
 ファンガスの群れが一斉に口を開き、紅玉に向かって毒煙を吐こうとする。

「ふふー、油断しましたか?」
 だが、それより早く紅玉が動いた。
 詳細不明の金属ガジェット・トイピースがユーベルコードの力によってガチャガチャと音を立てて組み合わさり、瞬時に巨大な武器を形成する。
「残念でしたね!」
 笑顔で告げると同時に、紅玉の身の丈を超える巨大な斧が振り回され、周囲のファンガスを薙ぎ払った。

「よし、このまま領主さんを助けに行きますよ!」

 敵側の連携を崩す事に成功した紅玉は、トイピースの斧をクルリと回して構え直すと、味方と合流するために再び駆け出した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

スピレイル・ナトゥア
【獣耳同盟】で参加します

「そのような胞子なんて、お姉様の風なら!」
風の精霊を使うのはお姉様の得意分野です
ファンガスから視線を外さないままお姉様を一瞥して、視線で合図を飛ばすとしましょう
お姉様が風を起こしてくれたら、次は私の番です
精霊印の突撃銃に装備したグレネードランチャーから榴弾を放って、お姉様の起こした風に炎を乗せて周囲を火の海へと変えてみせます
「オブリビオンとはいえ、しょせんは植物。炎が弱点なことに変わりはないでしょう」
この世界を美しい世界に変えるための戦いです
頑張るとしましょう
なにより、ファンガス程度、私たち姉妹の風と炎の連携の前には敵ではありません!
「さあ、お兄様。お兄様の出番です!」


エウトティア・ナトゥア
【獣人同盟】で参加。

胞子を風で集め妹のスピレイルの攻撃に繋ぐ。

大きなきのこじゃのう。食べ応えはありそうじゃが、あれは毒キノコじゃな。

さて、何やら不穏な胞子を出しておるようじゃが、スピレイルの炎で焼き払えるじゃろう。
とりあえず風で胞子を集めるとするかの。

《精霊の唄》【風属性】の【旋風】 「全力魔法」「属性攻撃」使用。 
風の精霊よ謳え!負圧の旋風で胞子を巻き上げるのじゃ!
『ファンガス』ごと【毒の胞子】を吸い込んでくれるわ。
スピレイルや、後は頼んだのじゃ。

【巨狼マニトゥ】【手製の短弓】「騎乗」「援護射撃」使用。
後は仕上げじゃな。兄様の攻撃に合わせて騎射で援護射撃じゃ。


ライヴァルト・ナトゥア
【獣人同盟】で参加

(少し悲しそうにエウトティアに応えて)
でかいキノコだから食べ応えがあると思ったんだがな。毒があるんじゃ食えもしない。悲しいことだ
(スピレイルに応えて)
任されたからには、兄として応えないと
(普通の狼くらいの大きさをした151匹の狼を召喚する)
さぁ行け、天狼の子供達よ
さて、食い残しのないように、きっちり完食するとしよう
(狼を放って焼け出されてきたファンガスをもぐもぐタイムする)
たんとお食べ。なーんてな
悪いが毒は効かないぞ?なんせ、こいつらの腹の中は、骸の海に繋がっているんだからな
(全てを平らげたらパンと手を叩いて狼を送還する)
さようなら、それでもって、『ご馳走様でした』



 中庭の一角。猟兵たちの奮闘に酔って次々に撃破されながらも、ゼラの死髪黒衣によって培養されたファンガスは数多く、それを一匹として街の中に残しておくわけにはいかない。
 旅団【獣人同盟】の3兄妹もまた、他の戦場と同じ様にファンガスを発見し、戦闘に移ろうとしていた。

「大きなきのこじゃのう。食べ応えはありそうじゃが、あれは毒キノコじゃな」
魔獣の群れを前にしても平然とした様子で、精霊狼に騎乗したエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)は呟く。
「お姉さま……そもそもあまり美味しくなさそうな見た目だと思います」
 呆れたように答えるのはスピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)。
 双子の姉であるエウトティアとは対照的に突撃銃で武装した彼女は、一切の油断なく魔獣の群れを見据えていた。

 次の瞬間、エウトティアが騎乗する精霊狼・マニトゥが警戒するように一声吠えた。
 同時に、ファンガスが自らの脅威である猟兵を排除しようと、3人に向けて一斉に毒煙を吐き出した。

 ……そのような胞子なんて、お姉様の風なら!
 ……何やら不穏な胞子を出しておるようじゃが、スピレイルの炎で焼き払えるじゃろう。

 迫りくる紫毒の奔流を前に、双子の巫女姫は一瞬だけ視線を交わすと、互いの意図を理解し、即座に反撃を開始する。

「精霊よ!幻想のおもむくままに歌え!」
 エウトティアが命ずれば、風の精霊は2人の眼前に巨大な竜巻を発生させ、付近に陣取っていたファンガス諸共毒煙を巻き上げ、巫女たちへの驚異を打ち払う。

「スピレイルや、後は頼んだのじゃ」
「はい!行きます、巻き込まれないように気をつけて下さい!」

 風が毒を防ぐや否や、スピレイルは自らの武器に特性のグレネードを装填し、間髪入れずに発射した。

「オブリビオンとはいえ、しょせんは植物。炎が弱点なことに変わりはないでしょう」
 着弾したグレネードは炎の精霊の力によって周囲に炎を吐き出す、それにエウトティアの操る風が力を与えることで、周囲一体を火の海へと変えた。
 2人の巫女の連携攻撃は、眼前のファンガスたちを焼き払い、さらに後方に控えていた一団にもダメージを与え、混乱させる。

「うむ、わしらの敵ではなかったな。さて」
「さあ、お兄様。お兄様の出番です!」

 妹たちの呼びかけに応え、護人たる長兄、ライヴァルト・ナトゥア(巫女の護人・f00051)が一歩進み出る。
「でかいキノコだから食べ応えがあると思ったんだがな。毒があるんじゃ食えもしない」
 残念だと溜息を付きながら、ライヴァルトは自らの左腕……強大なオブリビオンを封印した自らの武器をそっと撫でた。
「だがまあ、任されたからには兄として応えないと」
 一つ、意識を戦場へと切り替える。一族の護人として、兄として。力を使う時は今なのだと。

「汝らは影の映し身、地に満ちたる狼の軍勢、意に従いて万里を駆けよ」
 ライヴァルトが自らの左腕に封じられた力を使い、命じる。彼の周囲に無数の狼……封印された天狼の小型複製体が無数に召喚され、残されたファンガスへ一斉に襲いかかった。

「悪いが毒は効かないぞ?なんせ、こいつらの腹の中は、骸の海に繋がっているんだからな」
 数の差を一瞬で逆転させる数の暴力。
 どこか自慢げにかたるライヴァルトの言葉の通り、オオカミたちはファンガスを一方的に捕食しては、その牙で咀嚼していく。

「さて、このまま片付けるかの」
「はい!行きましょう!」

 トドメと言わんばかりに、エウトティアの弓とスピレイルの銃撃がファンガスを襲う。
 やがて残されたファンガスたちは全て消え去り、残ったオオカミたちもライヴァルトが手を叩くと送還されて行った。

「さようなら。それでもって、ご馳走様でした」
 ライヴァルトの言葉は狼たちに向けられたものか、あるいはファンガスたちに向けられたものか。

 3人が見渡すと、既に中庭で増殖していたファンガスは全て撃破された様子だ。
 残るは元凶・ゼラの死髪黒衣のみ。

 これは、闇に覆われたダークセイヴァーを、美しい世界へと変えるための闘い、その一つ。
 3人の兄妹は互いに武器を構え直すと、館へと足を踏み入れた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ゼラの死髪黒衣』

POW   :    囚われの慟哭
【憑依された少女の悲痛な慟哭】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    小さな十字架(ベル・クロス)
【呪われた大鎌】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    眷族召喚
レベル×5体の、小型の戦闘用【眷族】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ファンガスを撃破し、これ以上の増殖は無いと確認出来た猟兵たちは、ゼラの死髪黒衣が根城とする領主館へと足を踏み入れる。
 ファンがスとの戦闘に敵が気づいていないとは思えない。にも関わらず、乱入してくる様子も無い敵を警戒しながら、猟兵たちは中庭を通り抜け、巨大な観音開きの扉を開いた。

 中は3階までの吹き抜けとなった玄関ホール。
 正面には紅い絨毯のひかれた階段が存在している。
 ホールは広く、10人以上が武器を振り回しても問題は無いだろう。

 周囲を警戒する猟兵たちに、絨毯を踏みしめるかすかな衣擦れが聞こえ始める。

「申し訳ありません。今はお客様の対応が出来る者も居ないものでして。……それで、こんな夜更けに何のご用事でしょう?」

 口調だけはただの人間である領主の女性のもので。
 しかしその顔は、明らかに猟兵たちへの怒りに満ちていた。

 階段の上から猟兵たちを見下ろす女性、彼女が纏うローブこそ、聖誕祭を領民の死で満たそうと画策する、【ゼラの死髪黒衣】に他ならない。
エルデラント・ズィーマ
なるほど、あなたがここの領主というわけですね。ローブを引っぺがせとのことですが当然簡単にはやらせてくれるわけないですよね。荒療治をしましょう。
相手の足下にクイックドロウで撃ち込んで行動制限を狙います。その隙に他の猟兵の方々が各々攻撃を仕掛けると思うのでその内に接近を試みます。可能であれば両手とアームでの拘束もやってみましょう。
あとは誰かが剥がすでしょうし最悪両手で抑え込めばアームで剥がせます。上手くやってみましょう


リーヴァルディ・カーライル
…用事?そんなものは決まっている
吸血鬼を狩り、領主を開放しに来たの

敵の前に立って存在感を放ち、領主は絶対に助けると鼓舞すれば、
こちらの攻撃が手緩くなると油断を誘い、誘惑して攻撃を引き付ける

敵の攻撃を【吸血鬼狩りの業】で見切って武器で受け、
眷属は第六感頼りに力を溜めた大鎌を
怪力任せに連続(2回攻撃)でなぎ払う

…手も足も出ない?いいえ、それは違う
ゼラの死髪黒衣。条件は全て揃った…

【魔弾装填・超過駆動】を発動
防具を改造して宿主に生命力が吸収され治療し、
布の傷口が抉れていく呪詛を宿す“衣服にのみ有効な魔弾”を銃撃

…戦闘が終わればすぐに外套を領主にかける
“衣服のみ有効”だったから…うん。男は見ちゃ駄目…


ユエイン・リュンコイス
さて、ここからが本番だね。

【学習力、戦闘知識、フェイント】で相手の出方を見ながら人形を使用して格闘戦。武器が人形だからね、多少の損傷は気にせず前に出させようかな。他の猟兵がピンチなら壁代わりに押し出して、仲間の攻撃機会に繋げるよ。

機を見て『ガジェットショータイム』で武装させて、攻撃に変化をつける。
隙が出来たり、大ぶりな攻撃を仕掛けてきたら『絶対昇華の鉄拳』を【カウンター】で叩き込む。纏うローブが原因だからね、領主さんに燃え移りそうなのは任意で消して、ローブだけを焼くよ。

もし自身に狙いが来たら、ガジェットで応戦。可能であれば『オペラツィオン・マカブル』で跳ね返しを狙いたいね。

連携・アドリブ大歓迎



「……用事?そんなものは決まっている」
リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)に続くように、猟兵たちが一歩踏み出す。
「吸血鬼を狩り、領主を解放しに来たの」
 お前の正体はすでに分かっていると告げる猟兵たちに対し、最上段から見下ろすオブリビオンは領主の口調のまま、確かな敵意を告げた。
「なるほど、あなた達が我々の敵……。良いでしょう。私の庭に無断で踏み入った罰、受け取りなさい!」
 領主の影から、蝙蝠のような姿をした眷属が浮かび上がる。数十体のそれは、大きさに寄らず、一体一体が猟兵を脅かす程の攻撃力を備えていた。
 同時に、エントランスの柱の影から、石像の後から、天窓から。
 汎ゆる影から眷属が次々と羽ばたき、猟兵たちの視界を埋め尽くしていく。
「我が眷属よ!奴らの血を一滴残らず私に捧げなさい!」
 その宣告と共に、数千の眷属が嵐のように猟兵たちへと襲いかかった。


 視界を覆い尽くすほどの黒い影は汎ゆる方向から襲いかかり、猟兵たちを分断するかのように飛び回る。
 傍から見れば猟兵たちが黒い雲に呑まれたかのような光景。
 同時に、包囲が完成する前に3つの影が黒雲から飛び出し、階段を駆け上がっていく。

「……なるほど。中庭に姿を見せないと思ったら、ボク達を迎え撃つ準備をしていたのか」
 事前に召喚し、エントランスの陰に隠していた無数の眷属達。
 状況を冷静に分析しながらも、ユエイン・リュンコイス(黒鉄機人を手繰るも人形・f04098)は自らの友たる人形……黒鉄の機人を操り、襲いかかる蝙蝠たちを迎撃していく。
 人形であるが故に多少の損傷を物ともせず進む機人の後を追うように進みながら、ユエインは自らもユーベルコード・ガジェットショータイムで作り出したガジェット……少々妙な外見の銃で眷属を撃ち落としていく。
 眷属の耐久力は見た目相応のようで、猟兵の攻撃ならば一撃で撃破できる。とはいえ、討ち漏らせばこちらを脅かすだけの攻撃力を持つ敵を懐にいれる事になるので、眷属に囲まれた状況は厄介に変わりなかった。

「私が援護に回ります。前衛は任せて良いでしょうか?」
 ユエインに並走しながら、目にも留まらぬ速さでブラスターを抜き放っては眷属を撃ち落としていくのはエルデラント・ズィーマ(ロストメモリーズ・f02581)。
 飛び出した他の2人を見て援護に回る事を決めた彼女は、サイボーグとしての身体能力をフルに発揮して包囲を抜け出し、後から迫る眷属を牽制して仲間のチャンスを作り出しながらも、ゼラの死髪黒衣……そして先行した仲間から意識を離さない。

「さっさと……彼女から離れて」
「生憎と、その予定はありませんね!」
 領主の肉体を操るオブリビオンとリーヴァルディが打ち合う。
 集まった猟兵の中でも突出したヴァンパイアとの戦闘経験を持つリーヴァルディは、ゼラの仕掛けた眷属による包囲網をいち早く察知すると、単身で包囲を破りゼラに肉薄していた。
「なるほど……言うだけの事はありますね」
 奇しくも両者ともに獲物は大鎌。
 リーヴァルディは敵が使うユーベルコード……呪われた大鎌による大威力の一撃を経験からくる先読みで往なしながら、背後から迫る眷属を第六感で察知し薙ぎ払うように撃破していた。
「ですが、無謀が過ぎましたね」
 事実、すでに数十合打ち合ったがゼラの防御を破ることは出来ず、リーヴァルディは眷属の妨害も有って小さなダメージを蓄積されていた。
「っ……!」
「まずは1人」
 時間差で攻撃を仕掛けた眷属を迎え撃つためにバランスを崩した所へ、ゼラの一撃が迫る。

「させないよ」
 甲高い金属音と共に、ゼラの一撃を受け止めたのはユエインの操る黒鉄の機人。
 盾となって攻撃を受けながらも、その人形はゼラの死髪黒衣を攻撃せんと右腕の機構を作動させる。
「くっ……ここは」
「逃しません」
 その動作を察知して距離を取ろうとすれば。エルデラントが即座にその足元にブラスターのを打ち込み、オブリビオンは思わずたたらを踏んだ。
「白き指先、繋がる絹糸、振るわれるのは昇華の鉄拳……欠片も残さず、無に還れ」
 ユエインの詠唱と共に、機人の右腕から放たれた炎がゼラを襲う。
 彼女の意思によって燃やす対象を選ぶその炎は、領主の肉体を燃やすこと無く黒衣のみを排除せんと燃え上がる。
「くっ、これは……!」

 間一髪の所で距離を撮ったオブリビオンは、炎の影響下から逃れると猟兵たちを睨みつけた。
「……先程から、随分と舐められたものですね。まさかこの肉体を傷つけること無く私を倒せるなどと思われているとは」
「当然。ヴァンパイアにみすみす奪わせるものなんて無い」
「そうだね。オブリビオンの好きにさせるつもりは無いよ」
 その威圧に対し、断固として領主の救出を宣言する猟兵たちに、侮辱されたと感じたゼラは怒りを顕にする。

「調子に、乗るなっ……!」
 怒りと共に大鎌を振りかぶったオブリビオンが、猟兵たちに躍りかかる。
 先ほどとは違い、迎撃するのはリーヴァルディとユエインの二名。
 ユエイン操る人形が矢面に立ち、リーヴァルディが隙きを突いて攻撃を仕掛ける。
 重い金属同士が打ち合う音が連続して響く。
 
 一歩後ろから人形を操作するユエインはその様子からリーヴァルディの呼吸を読み、即座に操作に反映させた。
猟兵たちの連携の密度を増していき、敵の勢いが削がれていく。

「ちっ……!」
 再度舌打ちするオブリビオン。2人を同時に相手している事を考慮しても、先程より守りが堅い。ともすれば、自分自身……それも敵の宣言通り、黒衣の部分だけを狙ってダメージを蓄積されていく。
 その事実に冷静さを書いたゼラは、見落としていた。
 先程、危うく焼かれる所だった機械人形。強い存在感を放ち、こちらの視線を引きつけるダンピール。
 階下に分断した猟兵たちの他に、もうひとりの猟兵が居た事実は、その瞬間ゼラの意識から消えていた。

「隙有りです。バックアームズ稼働」
「なっ……!」
 2人が意識を引きつけている間に、背後から接近していたエルデラントがゼラを抑え込んだ。
 同時に自らに搭載された尻尾状のアームを起動し、オブリビオンで有っても身動きできないように拘束していく。
「荒療治です。今のうちに引っ剥がしてください」
 戦闘中に敵を羽交い締めにしているという、ある意味奇妙な光景に惚けたのは一瞬以下。
 ユエインは再びローブだけを燃やそうと人形を可動させ、リーヴァルディも領主を助けるために警戒しながらも近づいていき……

「……だめっ、逃げてぇええええ!!」

 それは猟兵たちが初めて聞いた、領主自身の叫びだった。



「く、う……」
 吹き飛ばされた3人がうめき声を上げながら体制を整えようとする。
 ゼラの死髪黒衣に憑依された少女の慟哭を攻撃とするユーベルコード。
 機人の後をにいたユエインさえも吹き飛ばし、解放されたゼラは倒れた猟兵たちを睥睨した。

「くくっ……もう立てないようですね」
 思い通りの展開だとばかりに嗤うゼラ。
 だが、3人は何一つとして諦めていない。

「条件はすべて整った……」
「……何?」
 リーヴァルディの言葉に眉を潜めたゼラの背後で、倒れたままの機人が軋みを上げながら立ち上がり、再び拘束せんと掴みかかる。
「また無駄なことを……!」
「……そうでも、ありません」
 同時にエルデラントのブラスターが連続で火を吹き、再びオブリビオンの行動を制限する。

「コード解読……解凍。あなたを滅ぼす魔弾は決まった」
リーヴァルディのユーベルコード。それは自らが相手のユーベルコードを受けることで、その対象に致命的な効果をもたらす魔弾を作り出す。
ユエインとエルデラントの尽力によって動きを止めたゼラの死髪黒衣を狙い、吸血鬼狩りの銃からその弾丸が放たれた。

 響いた女の絶叫は、領主のものとも違う。
 ゼラと呼ばれた吸血鬼本来の悲鳴。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神久・紅玉
多くの猟兵さん達が駆けつけてくれているみたいですね
……こんなにも心配してくれる人がいるんです、ちゃんと助かってくださいよ?

ここまで人数が多い戦場でも上手に『コミュ力』を活用していけば、連携が上手にできるはずなのです。
『トイピース』を『変幻自在のおもちゃ箱』でマシンガンに組み替えるのですよ、ほかの皆さんの動きを邪魔する眷属さん達もこれで一網打尽なのです。
皆さんが動きやすいように支援と攻撃どっちもがんばりますよ、大変な時こそ……お姉さんにお任せ、なのですから!

プレイングにないお話や行動も大歓迎なのです
沢山他の猟兵とも協力できたら嬉しいですよ


エウトティア・ナトゥア
WIZ使用。
【獣人同盟】で参加します。

この殺伐とした世界を少しでも改善せんとのう。

スピレイル(f06014)に続いて、
うむうむ、色とりどり三点セットじゃ。遠慮せず受け取るがよいぞ。
(『ゼラの死髪黒衣』と会話しながらユーベルコードの準備を行う)

「全力魔法」「属性攻撃」
兄様(f00051)の為に『ゼラの死髪黒衣』への道を切り開くかのう。
スピレイルの攻撃の後に、砲撃を横なぎにして【眷族】を『ゼラの死髪黒衣』共々なぎ払うのじゃ。
それ、こいつはおまけじゃ!

(兄様の行動に合わせて援護)
マニトゥ!兄様を援護するのじゃ!


ライヴァルト・ナトゥア
【獣人同盟】で参加

さて、遠距離攻撃は妹達に任せるとして、体を張って敵を止めるのが長兄で護人たる俺の役目だろう
(ゼラに向かって走りつつ、自分へと向かってくる眷属を斬りはらう)
しかし、こう数がいると攻め込めないなぁ
(後方からのビームに身を屈めて)
うぉう!当たらないって分かっててもヒヤッとするなぁ
(そういえば昔太い光線に乗っていたことを思い出す)
今でも、いけるかな?
(エウトティアの光線の上に着地。足元から湧き出る幻影を纏う反発力で乗る。そのままゼラへ直進。直前で飛び、頭上を超えて後ろへ回る。ビームを防ぐのを尻目に背後から二回攻撃で手数を増やして連撃)
さぁ、その悪趣味な黒衣を切り裂いてやるよ!


スピレイル・ナトゥア
【獣人同盟】で参加します

「用事? ……猟兵の詰め合わせをお届けに参りました」
領主の女性の言葉に答えながら、雷の精霊を召喚して周囲の猟兵たちの装備している機械を強化します
「あなたがオブリビオンだということもわかっています。大人しく私たちに倒されてください」
と、お姉様がなにやら凄まじい力を発動させようとしているようですね
「お姉様。その光は……!」
こんなお姉様のユーベルコード、はじめて見ました
凄まじい力の奔流を感じます
お姉様の新技と同時に100本の稲妻の矢を放って、ゼラの死髪黒衣が召喚した眷属たちを一斉に消滅させます
ダークセイヴァーを誰もが笑って過ごせる楽しい世界に変えるために、頑張るとしましょう!



 ――――ァアアアアアアアアッ!!

 絶叫の様な悲鳴とともに、オブリビオンがよろめく。
 肉体に一切影響を与えず、本体である黒衣のみに大きなダメージを与えられたオブリビオンはそれでもなお倒れること無く、先程のダメージによって倒れ伏している猟兵たちを睨みつける。

「オノレ…オノレェ……!」

 自らの身を護るため、そして自らに傷をつけた怨敵にとどめを刺すため、ゼラの死髪黒衣はエントランス中を所狭しと飛び回る眷属たちを自分の元へと引き寄せる。
「楽には死なせん……貴様らの血の一滴まで、苦悶と共に我に捧げよ!」
 オブリビオンの宣告に従い、渦を巻く黒雲の様に群がる眷属たちが猟兵にその牙を突き立てようとした刹那。
 光が、眷属の群れを薙ぎ払った。


 時は少々遡る。
 1階の猟兵たちは分断されながらも合流し、連携して無数の眷属の攻撃を無傷で凌ぎながら、敵の数を着実に減らしていた。

 そして現在、上階の戦いを経てダメージを受けたオブリビオンが眷属を自分の元へと集め始めたことで視界が開けると同時、猟兵たちは即座に動き出した。

「雷の精霊さん。任せました!」
 スピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)が雷の精霊に語りかける。
 精霊の巫女たる彼女に応えた雷の精霊は稲妻となってエントランスを照らした。
 ただしそれは、敵を狙ったものではない。放たれた稲妻は味方の持つ機械式の武器へと飛び、雷の精霊がそれらを強化していく。
「ふふー、良いですね!助かりますよ!」
ガジェット・トイピースを組み合わせて戦う神久・紅玉(つま先立ちの林檎・f03420)は、サブマシンガンへと組み替えたトイピースに雷の力が宿ったのを確かめながら、こちらの足止めに残された眷属の群れを迎撃していく。
「下はお任せなのです。。上の皆をお願いしますね」
「ああ。すぐに終わらせてくる」
 紅玉の呼びかけに応えるのは、【獣人同盟】3兄妹の長兄、ライヴァルト・ナトゥア(巫女の護人・f00051)。
 一族における護人を拝命するものとして、敵の真っ只中に妹たちを置いていく形になるのが少し気に掛かっていたが、頼れる味方も居るのであれば問題ないだろう。

「封印限定解除、此処に来るは大いなりし蒼き狼。地を駆け、空駆け、獲物を屠れ。疾くあれかし……」
 ライヴァルトは階段を駆け上がりながら、自らのユーベルコードを発動するための詠唱を行い己の腕に封印された天狼の力を限定的に行使、その強大な力を振るう準備を整える。
 代償として毎秒己の命を削る事となるが……。
「体を張るのは俺の仕事だ。行くぞ!」
 天狼を封印した左腕には狼の爪、逆の腕には直接腕と融合した鎌。
 異形と化したライヴァルとは、迫り来る眷属を切り払いながら、着実に距離を詰めていく。

「ふむ、ならばわしも一つ、新しい力を見せてやるかの」
 精霊狼・マニトゥを従える双子の巫女の姉、エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)は兄や妹に負けまいと精霊に呼びかけ、己のユーベルコードを発動させた。
「天地に満ちる精霊よ。我が敵を討ち滅ぼせ!」
 その言葉に応えて光が収束。紅く輝く破壊の光となってエウトティアの周囲に集まる。
「お姉さま。その光は……!」
 初めて見る姉の力に感嘆しながら、スピレイルも負けじと雷の精を集める。
「スピレイル、あわせるのじゃ!」
「はい、お姉さま!」
 合わせて放たれたのは100を越えようかと言う雷の矢と、紅い砲撃。
 それらは正面から迫りくる眷属の大群に大穴を開け、オブリビオンへ本体へと突き進む。

「チィッ……!」
 眷属を消滅させながら迫りくるその攻撃に即座に反応したオブリビオンは、射線から逃れるように大きく飛び退く。
 今まではエントランスを埋め尽くすように飛ぶ眷属によって視界が塞がれていたために、猟兵たちは同士討ちを意識して広範囲を薙ぎ払うような攻撃を控えていた。
 だが、オブリビオンが自らを護るために眷属を集中させたことによって視界が開けた現在、眷属の殲滅のためにそれを使わないという選択肢は無い。
 己の失策を悟りながら、オブリビオンはその場を離脱。
 死髪黒衣の影響か、人間の肉体とは思えないほどの跳躍を果たし、3階の踊り場から2階の回廊まで一息で飛び移った。
「……逃さん!」
エウトティアは逃げるゼラを追う様に紅い光を横薙ぎに振るう。砲撃が館の壁に着弾すると同時に噴煙と破片が舞い、眷属の群れが切り裂かれていった。
「うぉう!当たらないって分かっててもヒヤッとするなぁ」
 その砲撃が自分の頭スレスレを通り抜けていく光景にボヤきながら、ライヴァルトはふと、ある事を思いついた。

「好きに暴れてくれる……!」
 一方で忌々しげに舌打ちするオブリビオンは、エントランスに立つ大理石の柱を使って射線を切りながら砲撃を躱し、追加の眷属を召喚しようとした所に声が響いた。
「逃さない!」
「……!?」
 ゼラの意識の外から襲ってきたのは、ライヴァルト鎌による一撃。
 咄嗟に大鎌でそれを防御したゼラは、女の細腕とは思えぬ力でそれを弾くと、驚愕を顕にした。
「貴様……まさか!」
「昔やってた事を思い出してな。ショートカットさせてもらった」

 先程まで階段で戦っていたライヴァルトは、足元に反発力を発生させることでエウトティアの砲撃を足場代わりにするという曲芸じみた技を使い、ゼラへと接近したのだった。
 兄妹の連携無くしては出来ないその行動により、ライヴァルとは一気にゼラへと構成を仕掛ける。

「……巫山戯た真似を。だが、1人で来た所でどうにもならん!」
「試してみるか?その悪趣味な黒衣を切り裂いてやるよ!」



「マニトゥ!兄様を援護するのじゃ!」
 ゼラの死髪黒衣が倒れた味方から離れ、それをライヴァルトが追撃したのを確認したエウトティアは、相棒である精霊狼に命じ、兄の援護に参加させた。
 同時に自らも弓を手に取り、兄を背後から攻撃しようと集まる眷属たちを撃ち落としていく。
「お兄様の邪魔はさせません!」
 スピレイルも引き続き雷の矢を放ち、次々に眷属の数を減らしていく。
 視線を二階に向ければ、眷属の群れを打ち払いながらライヴァルトに合流したマニトゥが、オブリビオンに攻撃を加え始めていた。
「眷属の数も減ってきましたね。あと一息ですよ!」
 紅玉はサブマシンで自分たちへ向かってくる眷属を迎撃することに集中していた。攻撃の射程も双子の巫女たちに分がある事に加え、敵と切り結ぶライヴァルトに援護射撃をするなら兄妹の方が息も合わせられるだろうという判断だ。
(ふふー……こんなにも沢山の猟兵さんが心配して駆けつけてくれてるんです。ちゃんと助かってくださいよ)
 囚われたままの領主を思い、紅玉は銃を握る手に力を込めた。


(くっ、敵も粘るな……)
 天狼の力を解放し、通常とは比較にならないほどの高速戦闘を繰り広げながらも、オブリビオンはライヴァルトの攻撃を凌ぎ続けていた。
 数十に及ぶ攻防で、すでに黒衣にダメージは蓄積されているが、最後のひと押しが遠く感じられる。
(まだ、余裕はあるはずだ)
 封印されたオブリビオンの力を行使する代償は決して軽くはない。ライヴァルトは自分の命が削られる感覚を確かに感じながらも、攻撃の手を緩めることはしない。

 そうして、その瞬間は訪れた。
 オブリビオンが放った大振りの一撃を後退して躱したライヴァルトが見たのは、床を蹴り階下の巫女たちに襲いかかる黒衣の姿。



「なんじゃと!」
「くっ……なら、こちらで仕留めます!」
 迫りくるオブリビオンを迎撃しようと、エウトティアとスピレイルがそれぞれ攻撃を放つ。
 しかし、それは敵を止めるには至らない。直撃させれば黒衣に囚われた領主がどうなるか保証できないからだ。
 敵もそれを承知の上で、領主を人質にする形で強引に突き進む。

「まずは小煩い小娘からだ……!自らの巫山戯た甘さを後悔しながら死ね!」
 最早領主の口を使うこともなく、怨嗟に満ちた声を響かせる黒衣の前に、小柄な影が立ちふさがる。
「させませんよ!」
 2人の前に進み出た紅玉を前に、オブリビオンは即座に攻撃目標を変更する。
 見るからに腕力も無さそうな小柄な少女。手に持つ銃も、自らの大鎌を防げるようなものではない。
 まずはコイツだ。内心でそうつぶやいたオブリビオンに対して。

「ふふー……。油断、しましたね?」
 次の瞬間、オブリビオンの本体である黒衣のみが大きく切り裂かれていた。
「な、あ……」
 困惑するオブリビオンの目に映るのは、身の丈程の長斧を構えた紅玉の姿。
 彼女のユーベルコード、【変幻自在のおもちゃ箱】は、自らに油断を向けた相手に対し、トイピースによって作り出された可変武器による高精度の攻撃を加える。
 自らの本体を大きく裂かれ力を失っていくゼラに、最後の宣告が下された。

「これで終わりだ」

 冷たい声。
 背後から追いついたライヴァルトの一撃で、領主を操っていた黒衣はバラバラに引き裂かれて消滅した。
 残り少なくなっていた眷属も合わせて消え去る。

 こうして、街の住民たちの気づかぬ間に、この地の領主を救う戦いは幕を閉じたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『聖誕祭』

POW   :    たくさんの人に渡るほどのお肉を狩る

SPD   :    お祭りのための飾りを作ったり、それを配ったりする

WIZ   :    人々に希望を与える猟兵ならではのパフォーマンスを行う

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ん、みんなお疲れ様!」

 夜が明け、聖誕祭の朝が訪れる。
 館の事後処理を行ったロベリアは、戦いの傷を癒やす猟兵たちに経過を報告していた。

 領主の女性の救出は問題なく終わり、彼女の意識も回復したこと。
 彼女は予定通り今日の聖誕祭を訪れること。
 ……あとは戦闘によって荒れた領主館の修繕だが、事情を理解している領主からは特にお咎めも無いようだ。

「いやあ、中庭とか手入れが大変そうだよね……。ま、いいや。それじゃあとは聖誕祭を楽しんできてよ」

 あんまり大した物も無いけどねー。
 そう告げながらも、ロベリアは聖誕祭が無事開催されることを喜んでいるようで。

 闇に包まれた世界において聖者の誕生を祝う、この祭典。
 聖者を称える劇が街角で公演され、祈りを込めるための鐘が鳴り響く。

 人々はささやかながらも今日のために準備を進め、汗を流している。

 さて、この祭りの影の立役者たる猟兵たちは……?
宝海院・棗
やることはパフォーマンス(技能のパフォーマンスや残像も活用!)

「私の踊り、よかったら見ていってね!」

プリズムシューティングスター(レガリアシューズ)から発せられる光の軌跡、クリスタリアンの輝き、セクシーな格好もアピール要素として用い、回転や軟体を生かしたダンスを披露

更なる盛り上げとして、体を超高速スピンさせて輝きを一層増す

「聖誕祭のために一生懸命にがんばるよ」


ユエイン・リュンコイス
領主さんも無事解放され、生誕祭も予定通り開催。
世は……とまではいかなくとも、この領は全てことも無し、と。
ま、裏で色々あったとしても、知らないに越したことは無いからね。

さて、ボクもお祭りの一助に何かしてみようか。
出来る事と言えば、やっぱりこの黒鉄機人を使っての大道芸とかかな。色々なガジェットを出して演武や踊り的な事をすれば、賑やかし程度にはなるだろう。

余裕があれば、お肉を少し摘まませて貰ったり、蝋燭に火を灯して共に祈りを捧げよう。

例え世に悲劇が溢れていようと、それを一つ一つ摘み取っていく行為に意味がなくなる訳じゃない。一歩ずつで良いんだ。
それできっと、世界は変えられるはずさ。



聖誕祭、とは言っても。それはUDCアースの人々が思い浮かべるような、友人や家族と騒ぎ倒す賑やかなイベントや、サムライエンパイアの人々が考えるような、華にのある非日常とは趣が異なる。
 ダークセイヴァーでの祭とは、光り輝く聖者をたたえ感謝を示し、暗い明日を生きていく事が出来るように祈りを捧げるもの。
 聖誕祭の当日は、生活に直接関わる事以外の仕事はお休み。朝から祭りの為に料理や飾り付けに精を出し、親しい者たちと穏やかに談笑して過ごす。
 そのお喋りも、一年を無事に過ごせたことを互いに喜び合い、また来年もこうしようと希望を抱いて約束を交わすものだ。

 普段より少し豪華な料理が街をゆく人々に振る舞われ、少しだけ見世物が出されるだけの、他の世界から見れば味気ないかも知れないお祭り。
 しかし、今日の聖誕祭は、例年とは少しだけ異なる賑わいを見せていた。

 ●
 「さ、私も今日は頑張るよ!」
 クルリと回る度に、空中に光の軌跡が舞う。
 街角で得意のダンスを披露するのは、宝海院・棗(クリスタリアンのスカイダンサー・f02014)。
 レガリアシューズが描く光の線と、クリスタリアンの宝石のような外見に反した柔らかい体で表現されるダイナミックなダンス。
 周囲の空気すらキラキラと煌くようなその一角に、徐々に街の人々が集まっていた。
 ダークセイヴァーには馴染みのない、派手で明るい気風の踊りに、見る人は様々な感情を抱く。

 それは純粋にそのダンスに魅了されたのか。
 あるいは踊っているのが子供という健気さか、あるいは子供離れしたスタイルとセクシーな衣装に惹かれたか。
 それとも多くは、単なる物珍しさかも知れない。

 (ふふっ、でもいっか!せっかく集まってくれたんだもんね)
 向けられる視線に物珍しさが多いこと自体は残念だが、それなら今から夢中にさせれば良いのだ。
 スカイダンサーとして、パフォーマーとして。棗は改めて気合を入れると、観客達に笑いかける。

 「私の踊り、よかったら見ていってね!」
 宣言と共に、徐々にダンスの回転を早め、輝きを増していく棗。
 ついには残像すら残す速さで次々にパフォーマンスを繰り広げ、人々を魅了していく。

 (よし!せめて今日一日は、街の皆を笑顔にしちゃうよ!)


 ●
 「世は……とまではいかなくとも、この領は全てことも無し、と」
 ユエイン・リュンコイス(黒鉄機人を手繰るも人形・f04098)は、足を止めて棗のダンスを観ている人々の様子にポツリと呟いた。
 「ま、裏で色々あったとしても、知らないに越したことは無いからね」

 人形のような表情のまま、今回の戦いを振り返るユエインの手には、街の人々から振る舞われた肉料理の皿。
 詳しい事情は表に出ていないが、少なくとも猟兵たちは領主の客人として話が通っているようで、街の人々から持て成しを受けていた。

 「……うん。美味しい、かな」
 切り分けられた肉を口に運び、変わらぬ表情のまま呟く。
 この世界において、食材や調味料は限られている以上、単純な料理の味はたかが知れている。
 だが、今日のために街の人々が狩りの獲物を蓄え、朝から様々な思いを胸に料理して自分に振る舞われている。
 それは、間違いなくこの一皿を美味しいと感じさせたのだ。

「さて、ボクもお祭りの一助に何かしてみようか」
 そう言うとユエインは指先から伸びる糸で、相棒の黒鉄機人を操り、集まっていた観客達の前に歩み出させた。

「おおっ!今度はなんだ?」
「凄え!」

 観客の声に答えるように、機人は棗に合わせて踊り、ガジェットを使って大道芸を披露し始めた。

「ふふっ、良いね!私も負けないよ!」

 棗も負けじと、ダンスに合わせてサーカスのようなパフォーマンスを披露し始める。
 観客の声援も大きくなり、釣られてさらに人々が集まり始める。
 暗いダークセイヴァーの空の下、今この街には、確かに人々の笑顔が在った。

(例え世に悲劇が溢れていようと、それを一つ一つ摘み取っていく行為に意味がなくなる訳じゃない)
 その笑顔に、ユエインは自分たちの戦いに確かな意味を再確認する。

 きっといつか。この世界全てで、明るい人々の笑顔が見られる日も来るだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

スピレイル・ナトゥア
【獣人同盟】で参加します

狩猟といえば、私たち遊牧民族の十八番です
この機会に周辺一帯の動物を全部狩りつくしてみせるとしましょう!

狼を猟犬代わりにしたお姉様の華麗な狩りが見れると思っていたのですが、お姉様……サボりましたね!
しかたありません
お姉様のマニトゥに騎乗して、精霊樹の弓を使った【スナイパー】風流鏑馬でお兄様の狩りを【援護射撃】するとしましょう
狩った獲物は持ち運びしやすいように精霊の護身用ナイフである程度解体しておきます
自然と生き、自然からの恵みを糧とする遊牧民族の華麗な狩りを披露してみせます!

獲物を狩り終えたあとは、炎の精霊の炎でお肉を焼いてみんなに振る舞います
「さあ、お肉パーティです!」


エウトティア・ナトゥア
獣人同盟で参加します
POW行動

祭りと言えばお肉じゃ!みなの為にお肉を沢山用意するのじゃ!

(妹の狩りの補助)
おお、スピレイルや、狩りに出てくれるのかのう?
マニトゥ、スピレイルを手伝ってやっておくれ。
大鷲を探索に出しておくから、獲物の場所は大鷲に聞くのじゃよ。
あと猟犬代わりに狼を10頭ほど連れて行ってよいぞ。
気をつけて行ってくるのじゃぞー。(手を振りながら)

(黒曜石のナイフを取り出し)
さて、スピレイルが狩った獲物は狼に集めさせて、わしの方で処理をするかのう。
血抜きや解体を行って、これまた狼に会場まで運ばせるのじゃ。
あとは現地の方でよろしくやってくれるじゃろう。


ライヴァルト・ナトゥア
【獣人同盟】で参加

狩りなんて久しぶりだな。2人が弓を使うなら、俺は追い込みの役に回るか。
(ユーベルコードで狼を召喚。羊飼いの様に獣達を追い立てる)
君らには申し訳なくも思うが、ようやく訪れた真っ当な生誕祭だ。自然への感謝の気持ちとともに、血肉へとなってくれ
(こちらでも手に入れた肉は狼に頼んでティアへと運ばせる。一通り十分な量を揃えたらティアを手伝って処置や調理をしていく)
ティア、血抜き手伝うよ
(石造りの懐刀でサクサクと斬っていく)
スピ、火加減はもう少し強めで頼む。鹿肉は焼いてから煮ると美味いんだ
折角だし色々と作ってみるかな。シチューにポトフに、シンプルにスープもいいね。ふふ、腕が鳴るなぁ




 聖誕祭で振る舞われる料理は、当日までに住民たちが狩り、保存していおいた肉が使われる。
 当日は狩りを含めた仕事は休み、皆で一年の無事を祝い、次の年への祈りを捧げるのだ。
 そのため肉の量は当日までの狩りの成果に左右される。今回は少量ずつであっても住民全員に行き渡る程度の肉は確保できていた。
 とは言え、より多くの料理を住民に味わってもらいたい、あるいは自分が食べ足りない、などと考える者も居るようで……。

「祭りと言えばお肉じゃ!みなの為にお肉を沢山用意するのじゃ!
「狩猟といえば、私たち遊牧民族の十八番です。この機会に周辺一帯の動物を全部狩りつくしてみせるとしましょう!」
 聖誕祭の祝いに、より多くの獲物を用意しようと気合を入れるのはエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)。
 それに答え、姉の相棒である狼・マニトゥに騎乗して意気込みを見せるのはスピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)。
 幼いながらに遊牧民の巫女を務める彼女は、堂に入った様子で弓を構える。
 実際にそれをやられると、明日以降住民が飢えで苦しむ事になるのでハラハラしながら聖誕祭の関係者が見守っていた。

「狩りなんて久しぶりだな……。なら俺は追い込み役に回ろうか」
「うむ。大鷲を探索に出しておくから、獲物の場所は大鷲に聞くのじゃよ。あと猟犬代わりに狼を10頭ほど連れて行ってよいぞ。」

 そう言いながら、ユーベルコードで呼び出した狼たちを猟犬代わりに放つのは、双子の巫女の兄、ライヴァルト・ナトゥア(巫女の護人・f00051)。
 エウトティアも兄に合わせるようにユーベルコードを発動し、大鷲と狼を呼び出した。
「さて、ここらの動物たちには悪いが、せっかく訪れた真っ当な聖誕祭だ」
「うむ!遠慮なく住民たちの糧にさせてもらうのじゃ!」

 そうして2人にが狼を放って暫く。エウトティアの大鷲が上空から、追い込みの成功を告げた。

「来ましたね。マニトゥ、行きましょう!」
 スピレイルの合図に応えて地を蹴ると、マニトゥはあっという間に追い立てられる獣たちに追いつき、並走し始める。
「流石ですね。……これなら!」
 その背に跨るスピレイルは精霊樹の弓に矢を番えると、一呼吸の集中の後、弦を手放した。
 走る巨狼の揺れる背から狙ったにもかかわらず、矢は狙いを過つこと無く獲物となる鹿を捉えた。
「やりました!さあ、お姉さま。この調子で……」
 一矢で巨大な鹿を仕留めたスピレイルが自慢げに振り返ると、そこに居るのは兄と姉が召喚した狼だけ。
 彼らは仕留めた獲物を器用に背に乗せると、そのまま後方へと運んで行き……。
「その調子じゃ!気をつけて獲物を追うんじゃぞ!」
 肝心の姉の声は、遠くから聞こえてきた。

「お姉様……サボりましたね!」
 せっかく姉の華麗な狩りの姿が見れると思ったのに。
 憤慨しながらも、スピレイルは気を取り直して次の矢を手に取るのだった。



「さて、あっちはスピレイルに任せて、わしの方で処理をしておくかの」
 エウトティアは黒曜石のナイフを取り出すと、運ばれてきた獲物を手際よく解体し、血抜きをしていく。
 こういった下処理が肉の味に影響するのだ。
「ティア、血抜き手伝うよ」
 ライヴァルトも石造りの懐刀を取り出すと、兄妹は並んで獲物を処理していった。
 次々と運ばれてくる様子から察するに、末妹の狩りは順調なようだ。
「さて、そろそろ良いじゃろう。街まで運んでもらうかの」
 ある程度まとまった量が処理し終えたエウトティアが狼を呼び、肉を運んでもらう。これで現地でも更に賑わうだろう。
 狩りが終わったら自分たちも行ってみようかと考えるエウトティア。

「うーん……せっかくだから俺もなにか料理していこうかな」
 ライヴァルトは自分が処理した肉の一部を取り分けると、予めスピレイルが火の精霊をつかって用意していた焚き火へと調理器具を用意し始める。
「スピ、火は強めで頼む。鹿肉は焼いてから煮ると美味いんだ」
 離れた所で狩りをする妹に呼びかければ、焚き火は火力を増して。
 それを確認するとライヴァルトは機嫌良さげに鍋を手にとった。
「シチューにポトフに、シンプルにスープもいいね。ふふ、腕が鳴るなぁ」

【獣人同盟】の兄妹は流れ作業の様に次々に料理を拵えていく。
 その料理は街の人々に、確かな活力をも与えていった。

 そうして、街からは鐘の音が響き始める。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。聖誕祭を見て回る
暇だったら、ロベリアも一緒にどう?
共闘した事はあるけど、ゆっくり話すのは初めてだし…
以前の博物館の時の御礼、まだ言ってなかったし、ね?

特別なことは何もしない
ページェントを見に行ったり、宗教劇を見学したり…
鐘が鳴れば広場で祈りを捧げよう


…聖誕祭って初めて見て回ったけど
うん、本当にささやかな祭り…

噂に聞くキマイラフューチャーの住人が見たら、
もしかしたら、祭りとすら思わないかも…?

このささやかな祈りが、私達が護ったもの…
だけど、祈ることすら許されない地が、まだ沢山ある

…そう考えると、吸血鬼退治の報酬が
この祈りなのは、上等な部類だと思う…そう思わない?

※アドリブ歓迎、お任せします




 夕刻が近づく街では、移動式の舞台(ページェント)が引かれ、料理に舌鼓を打つ人々に劇を公演していった。
 
 暗闇に閉ざされた世界に生まれた聖人が貧しいながらも温かな人々に育てられ、やがては奇跡の力を持って人々を救う旅に出る。
 そんな内容の劇は、設備も野外で行うための最低限物で、衣装も住民の手作り。他の世界の娯楽に触れたものからすれば味気のない、単なる勧善懲悪の教訓話に映るかも知れない。
 しかしそこには、確かに人々の祈りと希望が込められていた。

「本当に、ささやかなお祭り……」
 観劇を終え、聖誕祭の街を見て回るリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)はポツリと呟いた。
 キマイラフューチャーあたりの住民からすれば、祭りとも認識できなのではないか……。
 そんな事を考えるリーヴァルディに声をかけたのはグリモア猟兵のロベリア。
「ん、楽しんでる?お肉貰ってきたよ」
 どうやら他の猟兵たちも狩りを手伝ったらしい肉料理を、少しだけ驚きながらも受け取ると、リーヴァルディはロベリアを誘って街を回り始めた。
 以前、別の場所で共闘して以来の顔合わせ。その戦いに関して互いに礼を伝えあうのもそこそこに。
 歩いていると、街には少しづつ灯りが灯り始める。

「うん、今日は劇の方も気合入ってたね。猟兵の皆に触発されたかな?」
「そうなんだ……。私は初めて見たけど、確かに頑張ってたと思う」
 初めての聖誕祭を興味深げに回りながら、リーヴァルディはそこに生きる人々をしっかりと見据えていく。

 やがて鐘が響き渡ると、人々は一斉に目を閉じ、祈りを捧げる。
 リーヴァルディとロベリアも、それに習って祈りを捧げた。
 共にダークセイヴァーに生まれた者として、その心中で何を祈るのか。
 ……それは当人にしか分からないが。

「このささやかな祈りが、私達が護ったもの……」
 祈りを終えてそう零したリーヴァルディに、この街へと彼女たちを連れてきたグリモア猟兵は無言で続きを促した。
「だけど、祈ることすら許されない地が、まだ沢山ある」
 ダークセイヴァーで数知れぬ戦いに身を投じる彼女の言葉には、確かな重みがあった。
 ……それでも。
「……そう考えると、吸血鬼退治の報酬がこの祈りなのは、上等な部類だと思う…そう思わない?」

 わずかに微笑む彼女の言葉に、ロベリアは笑顔で頷き返した。

 やがて聖誕祭は終わりを告げ、街の人々には再び暗い空の下での生活が戻る。
 けれど、猟兵がもたらした光は確かに彼らに届いたはずだ。
 来年もまた聖誕祭を祝えるよう。人々は日常に帰ってゆく……。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月04日


挿絵イラスト