アルダワ魔王戦争2-A〜女王と怨霊の玄室
●迷宮玄室
魔王の闇が払われたその区域には、濃密な死が漂っていた。
迷宮内に形作られた地下墳墓である。
本来、死者の安息を守るべき墓は、今やおぞましい怨霊の巣食う魔窟と化していた。
「……ァ……アアァア…………」
広大な玄室のただ中で重苦しく呻くのは、災魔の女――その成れの果てだ。
マアティム4世。
栄華を誇った或る王国の女王にして、外征と侵略を繰り返したと云われる女傑は、災魔として強大な力を得ていたが、今やその気品と麗しさは見る影もない。ただ怨霊に操られ、暴威を振るう生ける屍だった。
――恨めしい、妬ましい、呪わしい。
――生けるもの、美しいもの、何もかもが。
苦悶と呪詛を叫ぶ怨霊は、女王の生気も、理性さえも奪っていた。
取り憑かれた女王は、総身から呪いを発散して侵入者を待ち構える。
●怨霊が鳴く戦場へ
「開放されたこちらの区域は、死の気配が漂う地下墳墓です」
化野・那由他が語り始める。
猟兵達の活躍により、また一つ、迷宮を覆う闇が取り払われたのだ。
姿を表したのは広大にして不気味な墓窟である。
「或いは……ピラミッドのような、とも言えるかも知れません」
巨大な石が精密に組み上げられたその広い玄室には、一人の災魔が待ち構え、猟兵達の攻略を阻んでいる。
「マアティム4世。強大な力を持ち、死者さえも操る災魔ですが、おぞましい怨霊に取り憑かれて理性を失っています」
殆ど暴走状態にあり、戦闘能力が飛躍的に増大している。
もはや呪詛を撒き散らす災厄そのものと言っていい。
「ですが、女王に憑依している怨霊を鎮めたり調伏できれば、力を削ぐことが可能です」
仮に怨霊をそのままにして正面からぶつかれば、相当の強敵となろう。
退魔、破魔、鎮魂――そのような力が活きる戦場だ。
「倒すべき災魔とは言え、見るに忍びない程の有様です。皆様の力でどうか終焉を……宜しくお願い致します」
衣擦れの音をたてて那由他は深く一礼した。
相馬燈
アルダワ魔王戦争2-Aのシナリオをお送りします。
今回の主な戦場は、地下墳墓内の広い玄室です。
そこには怨霊に憑依され理性を失った、マアティム4世と呼ばれる災魔が待ち構えています。元が強大な災魔である上、怨霊により強化されているため、まともに戦えば難敵となるでしょう。
ですが、女王に取り憑いた怨霊を祓ったり浄化することで、その力を削ぐことが可能です。よって、今回のプレイングボーナスは下記となります。
プレイングボーナス……怨霊を浄化したり、鎮めたりする行動。
地下の墓を舞台にした戦闘依頼になるかと思います。
皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 ボス戦
『マアティム4世』
|
POW : 女王式征服格闘術
【打投極を兼ね備えた、王家伝来の格闘技 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 殉葬の棺
【召喚した黄金の棺 】から【大量の呪われた包帯】を放ち、【ミイラ化させて棺に引きずり込む事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 王墓迷宮
戦場全体に、【大量のアンデッドが徘徊する、頑強な石壁 】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
イラスト:バスター
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠鏡繰・くるる」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
火土金水・明
「怨霊に憑依された女王ですか。確かにこのままだと可哀想ですね。」
【SPD】で攻撃です。
攻撃は、【先制攻撃】で【高速詠唱】し【破魔】を付けて【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【銀の流れ星】で『マアティム4世』を【2回攻撃】をします。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】【呪詛耐性】でダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「さあ、オブリビオンは『骸の海』へ帰りなさい。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。
ユーフィ・バウム
肉体派の女王とは対抗心の湧く相手ですね、行きますよ!
【呪詛耐性】の籠るこのボディに聖なる【属性攻撃】を
拳に込め真向勝負です
どこまで怨霊浄化となるかはわかりませんが
蛮族は立ち向かうのみですっ
マァティムの攻撃は基本【見切り】。致命的な一撃を避けた上で
【オーラ防御】【激痛耐性】で耐え抜くスタイルで戦います
野生が鍛え上げた体は屈しませんともっ!
強烈な打撃に呻きや悲鳴は上げても
心は屈せず【力溜め】た【怪力】を生かして、
【カウンター】の拳を叩き込んでいく
好機を見れば、【ダッシュ】、【空中戦】で飛んでからの
必殺の《トランスクラッシュ》!
さぁ、野生の培った肉体はどうですかー
ヒップアタックを豪快に見舞いますよ!
「流れる星に、魔を断つ力を」
地下墳墓に渦巻く怨霊の呻きを貫いて、凜乎とした詠唱が響き渡った。
漆黒のマントを翻し、狂乱の女王に迫るのは夜闇のウィザード――名を火土金水・明。
墳墓に満ちた薄闇を裂き、銀の尾を引く横一線の斬撃は、身躱す暇も与えず褐色の胴に刻み込まれた。
「……ガ、アァゥ…………!」
「怨霊に憑依された女王ですか。確かにこのままだと可哀想ですね」
瞬時に間合いから離脱する明。
翻るウィザードローブの裾を掴もうとしたが果たせず、女王マアティム4世は、左右に召喚した棺から無数の包帯をけしかけた。
反転した明が、蛇のようにのたくるそれらを銀の剣で斬り捨てる。
剣圧だけで千切れ飛ぶのは、刀身に破魔の力を込めているゆえ。
大量の呪帯がオーラを展開した明を球体状に包むが、内側からの斬撃に弾け飛んだ。
「その怨霊ごと斬り捨てましょう」
美しく輝く銀の剣は邪悪を滅する破魔の象徴。
夜闇を照らす月さながらに、弧を描く刃がすれ違いざま逆袈裟に振り抜かれる。
斬撃一閃――!
「……効いてはいるようですけど」
踵を返して剣の切っ先を突きつけた明は、その双眸に苦悶する災魔の女王を映していた。
破魔の力を乗せた全霊の一撃は女王に巣食う怨霊にも痛打を与え、口から火焔にも似た霊気を吐き出させたが、そのおぞましき闘気は未だ膨れ上がる一方だ。
天井、壁、そして床――瞬時に召喚された棺から先ほどを上回る呪帯が飛び出し、更なる攻撃を繰り出そうとした明を捕えようと迫る。
「真向勝負ですっ!」
その時だ。
砲弾もかくやと突入してきた褐色の少女に、無意識の反射で女王は腕を振り抜いていた。
拳と拳が激突し、衝撃波が双方を襲う。
鍛え抜かれた体を痺れさせる程のその威力にも、弾かれ着地した蛮族の少女――即ちユーフィ・バウムは楽しげでさえあった。
不意の一撃に容易く反応し、これだけの拳を放ってくる――間違いなく骨のある敵。
(「どこまで怨霊浄化となるかはわかりませんが」)
聖なる力を拳に込めて蛮族の少女は強敵に挑む。
「行きますよ!」
女王とユーフィ、鍛え抜かれた褐色の女闘士が対峙する。
短く気合の叫びをあげて突貫するユーフィ。
間断なく放たれるその拳打の尽くを女王は掌と腕で捌いて見せた。
(「疾い……!」)
一瞬で腕が絡め取られる。見切ったユーフィでさえ避けられぬほどの技だった。
「が、あっ…………!」
石造りの床が陥没するほどの威力で叩きつけられるユーフィ。
「……生ケル者ニ……死、ヲ…………!」
譫言めいた声で呪いを口にする狂乱の女王が、脚を振り上げる。
「そう来ると思いました。やらせませんよ」
明が割って入り、突き主体の牽制を仕掛けた。追ってきた無数の呪帯が彼女を縛り、女王の拳打が胴を打ち抜く――その筈だったが。
「……ァ、ガ……?」
振り抜かれた正拳は虚しくも空を切り、はらりと落ちる包帯の束を浴びながら女王は虚ろな目を見開いていた。
「残念、それは残像です」
素早く背後に回った明が、破魔の力を込めた渾身の一閃を女王の背に刻み付ける!
「ガ、アァァァァアァァァッ……!」
怒り狂い裏拳で反撃をする女王だが、見切った明には届かない。
そうしている間にもユーフィは立ち上がり再び闘気を滾らせていた。
「流石に効きました、でも……!」
咄嗟に体を捻り、オーラを展開して威力を殺したものの、まともに喰らえば骨はおろか内臓まで瞬時に破壊されていただろう。
それでも。
「蛮族は立ち向かうのみですっ」
反撃に転じたユーフィの表情は笑みであった。
褐色の体を僅かに覆う布地は渦巻く怨霊を寄せ付けず。
鍛え抜かれた体に巡らせた呪詛耐性は女王の拳圧を物ともしない。
「野生が鍛え上げたこの体、決して屈しませんともっ!」
激しい打ち合いから、回し蹴りを察してスウェーで避けるユーフィ。
刈り取るような女王の蹴りが鼻先をかすめる。
バランスを崩した女王に反撃の拳打は避けられない。
鍛え抜かれたその一撃、全力のカウンターパンチが女王の鳩尾にぶち当たる――!!
「ガッ、アァッ……!?」
鋼鉄の鎧さえ容易く爆砕してのけるであろう威力に女王が吹っ飛び、片手片膝をで勢いを殺す。
「さあ、オブリビオンは『骸の海』へ帰りなさい」
黒衣のウィザードが、残像で女王を翻弄しながら銀の剣で切り裂き、貫く。その度に褐色の体から怨霊が弾け飛んでいく。
「好機――!」
その隙を逃さず、ユーフィは突進した。
獲物を狩る狩猟動物の勢いで靭やかに駆け飛ぶ麗しきバーバリアン。
高く跳躍したユーフィを、怨嗟に瞳を燃え上がらせた女王が見上げる。
「必殺――トランスクラッシュ!!」
豪快なヒップアタックが女王に激突し、玄室に巨大なクレーターを作った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
上野・修介
※連携、アドリブ歓迎
魔術、呪術の類は全くの門外漢。
「ならば、『八卦良い』と行くか」
だが清めろというのであれば、やりようはある。
塩を撒き、渾身を以て四股を踏む。
(上半身裸に裸足で)
深く、そして強く四股を踏み締め、場を清めると共に、呼吸を練り上げ、気勢を高める。
また相手を観【視力+第六感+情報収集】据え、体格・得物・構え・視線・殺気等から敵の戦力を量【学習力+戦闘知識+見切り】る。
向かうは真正面から。
小細工無用。
【覚悟】を決めてダメージを恐れず【勇気+激痛耐性】推して参る。
姿勢を低く【ダッシュ】で懐に飛び込み、【捨て身】にて素手格闘【グラップル+戦闘知識】を叩き込む。
UCは攻撃力重視。
鞍馬・景正
憑き物落としをせよ、と。
そのまま挑んでみたくもありますが、ここは戦場――勝利を優先すべきですね。
◆対策
女王の間合に警戒しつつ、【視力】で動きを【見切り】ながら組み付かれぬように立ち回り。
そして隙を見出せれば、携えていた徳利を割る勢いで叩き付けるか、封を解いて中の酒を浴びせましょう。
澄酒は清めの効果もあると言い伝えられております故、【破魔】の作用も期待できるでしょう。
◆戦闘
その後で存分に打ち合うとしましょう。
素手相手には此方も【乗打推参】にてお相手致す。
前屈立ちで女王の懸る瞬間に合わせて旋回。
わざと背を見せ、間合を遠ざけて空を掴ませておき、【怪力】と【早業】からの回し蹴りを見舞いましょう。
「憑き物落としをせよ、と」
広大な玄室に足を踏み入れた颯爽たる若武者――鞍馬・景正が目の当たりにしたのは、クレーターの上に立ち総身より青白い怨念を立ち上らせる災魔であった。
憑き物の類は、彼の生国でも見られよう。
魑魅魍魎に憑かれた者は、心を乱され尋常ならざる力を振るうもの。
「そのまま挑んでみたくもありますが、ここは戦場」
勝利を優先すべきだと、景正は半身に構えを取った。
女王が景正に目を向ける。
爛々たるその瞳は妖気を湛え、血に飢えた虎よりも疾く猛然と襲いかかる――!
「いずこの世界でも憑き物は変わらぬもの……」
かろく目を細めた景正は、猪突する女王のぶちかましを身を反らして避けた。
すぐに蹴りが来る。その肉体の限界を超えたかのような魔性の動きを、景正は卓絶した視力と戦闘感覚で見切っていた。
敵の挙動は恐ろしくもあるが、人体に負荷をかければ自ずと隙が生じるもの。それさえ見通す景正は、前髪を揺らすほどの回し蹴りをやり過ごすと、懐に手を遣って携えた徳利の栓を抜いた。
小気味の良い音をさせて振るえば、香り立つ澄酒が飛び出して女王の顔をしとどに濡らす。
「グ、ギァアアアァァァァァ……!?」
地を蹴って距離を取った女王が、両手で顔を覆って悶え苦しむ。
「苦しかろう。澄酒は清めの効果もある故」
瞋恚の炎を両目に滾らせた女王は息も荒く、景正を絞め殺そうと襲いかかる。
「素手相手には、此方も徒手にてお相手致そう」
格闘術の基礎、前屈立ちになって迎え撃つ景正。
乱心しても刻まれた心得はまだ残されているか、女王はなかなか組ませもしない。
下手に隙を見せれば命取りと、間合いを見計らう。
と、空間の揺らぎに、景正はちらと目を流した。
ここで新たに一人の闘士が転移を果たしたのである。
「なるほど。あれを清めろ、というわけか」
薄暗い地下墳墓の玄室、滞留するその闇に渦巻く怨霊の群れを前に、上野・修介はゆっくりと歩み出す。祓われかけた怒りか、怨霊が女王に暗い叫びを上げさせた。
修介は恐れた様子もない。
格闘術を極めんとする彼のこと、魔術や呪術の類は門外漢であったが、
「ならば、『八卦良い』と行くか」
清めろというのであれば、やりようはある。
「ほう、塵手水」
飛びかかる女王をかわした景正が、見物と言いたげに好奇の目を向けた。よも、この世界で相撲の所作を目の当たりにするとは。
寸鉄帯びずの正々堂々を宣言する独特の仕草の後、修介は持参した塩を見事な放物線を描いて撒いた。
清めの塩である。
隆々たる上半身を露に、両足は裸足。
深く力強く四股を踏み、呼吸法を用いて気を練り上げる。
その気迫に圧されたか、風にでも煽られるように、女王を苛む怨霊が揺らいだ。
「小細工無用。推して参る」
発気用意。
見事な蹲踞から片手を突いた修介が、景正から距離をとった女王に突進した。
「グ、ガアアアァアァァア……!!」
「オオオオオオオオオッ!!」
正面から受け止め組み合った女王が、余りの衝撃に足で地面を擦りながら激しく圧される。だが敵もさるもの、剛力を以て鳴る修介の突進を態勢も崩さず受け切り、尋常ならざる怪力で腕に指をめり込ませた。
「ぐぅ、っ……まだまだァッ!!」
組み合って倒れぬのもまた技の冴え、怨霊に憑かれても尚、女王の体術は侮れない。
激痛に耐えながら修介は更なる力を込めて胴を蹴りつける。
よろけたのみで、不気味な叫びと共に両手を伸ばす褐色の格闘女王。
鋭利な爪で動脈を狙うその攻撃を、修介は寸でのところで避けるや、体重を乗せた回し蹴りを叩き込んだ。
「御見事」
前屈立ちの姿勢を維持して、突進してくる女王を待ち受ける景正。
恐るべき膂力を誇る敵の両腕に掴まれる刹那――まさに寸分の狂いもなく狙い通りに体を反転させた。空を掴むマアティム4世。回避と攻撃が一体となった回し蹴りが、女王のガラ空きの背に叩き込まれる――!
乗打推参(コグソク・コシノマワリ)。
武器を用いるだけが武者には非ず。
戦場では鍛え抜かれた己自身が頼もしき得道具となる。
「……やるな」
小さく呟きながらも修介が女王と至近距離でぶつかり合う。避けられるだけの拳打蹴撃を避け可能な限りの拳を見舞うのだ。その一打一打が女王を圧倒する程に重い。
「存分に打ち合うとしましょう」
景正が言い、修介が呼吸を整える。
怨霊そのものを打ち払うように、二人が荒れ狂う女王と格闘戦を繰り広げる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
グラナト・ラガルティハ
過去は名だたる国の女王であったのだろうが。
その国もお前自身もすでに過去。
呪詛を振り撒き今を害するなら再び葬るしかなかろう?
せめてもの敬意は表そう。
古の王女よ我が炎で骸の海に還るといい。
【封印を解く】で神の力を限定開放。
【全力魔法】でUC【柘榴炎】発動。【破魔】を付与【属性攻撃】炎【焼却】で威力を強化。
ガーネット・グレイローズ
ここは…地下墳墓か。まったく、飽きさせない仕掛けを用意してくれる。
これだけ怨嗟が満ちていれば、私の妖刀を強化できるだろう。
刀を抜き、【妖刀の導き】を発動。呪詛が満ちた環境を逆手にとって、
自身の武器を強化する。女王から怨霊を「奪い取って」
武器に集めることで、相手の弱体化と自身の強化を同時におこなうのだ。
巫女や聖職者達とは少し方法は異なるが、結果として怨霊を彼女から引きはがして、力を抑えられるのなら問題はあるまい?
アカツキと躯丸による二刀流で、アンデッドを切り倒しながら迷宮を進んでいこう。<二回攻撃>に<フェイント>を交え、斬撃ヒットと同時に<衝撃波>を叩き込んで追加ダメージを与えるぞ。
●妖剣、呪詛を喰らいて
「地下墳墓か。まったく、飽きさせない仕掛けを用意してくれる」
耳障りな呪言を響かせる怨霊が、薄暗い玄室に渦を巻いて飛び回っている。
両の瞳にそれらを映した赤髪の妖剣士――ガーネット・グレイローズは、今も猟兵達と激しい格闘戦を繰り広げる狂乱の女王を前に、腰間の妖刀を鞘から抜いた。
「これだけ怨嗟が満ちていれば、私の妖刀を強化できるだろう」
玄室の瘴気に触れただけで呪いを吸ったか、朱月と銘打たれた刀、その刀身が赤く輝きを帯び始める。ガーネットはまた、空いた手で佩いていた太刀を引き抜いた。名を試作クランケヴァッフェ:6960號「躯丸」――怪(アヤカシ)と称されるUDC、その骨で造られた怖ろしいほどに白き刀である。
「……屍ト化セ……!」
女王から迸る怨霊の妖気までをも吸収し始めた二振りだ。
捨て置ける筈もなく、悪しき霊に突き動かされた哀れなマアティム4世は手をかざして呪言を放った。間合いを詰めようとしたガーネットの周囲に堅牢な壁が立ち上がり、瞬く間に石造りの迷路と化す。
「……迷宮か。だが、これは悪手だぞ」
壁画の描かれた壁に燭台が転々と並んでいる。
僅かに照らし出された闇の向こうから乾いた音をたてて迫りくるのは、ブロードソードを掲げた骸骨剣士の群れだった。
薄く笑うガーネット。
赤い髪をなびかせて駆け、二刀を振るえば、その衝撃波で骸骨剣士が砕け散る。
呪詛を吸い、亡者の邪気さえ奪い取ったアカツキは振るわれる程に力を増し、躯丸も白骨の残骸を山と積む。
「主に仕える忠勇さは結構だが――脆いな」
数多の戦場を駆け抜けた歴戦の妖剣士が、女王の迷路を蹂躙していく。
●神なる炎、亡者を焼尽す
「女王の亡き従者ども、と言ったところか」
紅蓮の炎を思わせる髪を靡かせて戦場に躍り出たグラナト・ラガルティハ。
女王に仕掛けようとした彼の周囲に、突如として重厚な石の迷路が展開していた。
荘重な壁画さえ描かれた道は女王を弔う金字塔を思わせる。グラナトは微塵も動じることなく、通路の前後から襲い来る亡者どもを迎え撃った。
大刀を持つ骨の兵が、腕組みしたグラナトに襲い掛かる。
「王女の軍とて粗略には扱わん。尽く灰と化せ」
神々しいまでの猛火がグラナトの周囲に渦を巻いたかと思うと、武器を振りかぶる亡者どもを吹き飛ばし、炎の壁もかくやと燃え上がらせた。豪炎は手をかざしたグラナトの仕草に応じ、炎の波となって襲い来る亡者の軍勢を呑み込む。
「我が炎、止められるものなら止めて見せよ」
女王を守る亡者どもを焼却しながら、グラナトは迷路の石道を駆け抜ける。死者の兵団が押し寄せようとも、如何に待ち伏せようとも、業火の大波を以って焼き尽くせば全ては烏有に帰すのみだ。
火と戦の神は女王の兵団を蹂躙し、容赦なく迷路を踏破する。
●狂乱の女王と赤き猟兵
「巫女や聖職者達とは少し方法は異なるが」
易々と迷宮を抜けてきたガーネットが驚愕する女王に二刀を突きつけた。それぞれの刀身からは禍々しい朱と白の剣気が立ち上り、使い手の赤絹のような長髪を舞いあげる。
「呪詛は十分に奪わせて貰った。後はお前だ、女王。――否、その身に巣食う怨霊、か」
叫びをあげて突っ込んでくるマアティム4世。
渾身の力で振り抜かれたその拳を躯丸で弾くと、ガーネットは褐色の脾腹にアカツキを突き入れた。ずぶりと吸い込まれた刀身から怨霊の邪気が逆流し、凄絶に笑むガーネット。
引き抜き血潮を払うと、爆発的に剣圧を高めた二刀で女王を圧倒する。
奪い、弱体化させ、己を強化すれば――自身の有利は倍加する。
「活きの良い怨霊だ。喰らい尽くしてやるとしよう」
恐るべき朱の妖剣で斬り裂きながらも吹き飛ばす。
そこへ呵責のない猛火の群れが、破滅の隕石もかくやと降り注いだ。
「ガアァアァッ……!? アアァァァァッ!!」
炎の海、そのただ中で叫びをあげる狂乱の女王。豪炎に包まれながら怨霊を滾らせた両の瞳で認めたのは、迷宮を踏み越えてきたグラナトの威容であった。
「名だたる国の女王であったのだろうが。その国もお前自身もすでに過去」
哀れな操り人形と化した女王の姿から往時の気品を窺うことは難しい。過去から侵攻し現在を蚕食せんとした災魔は、今や怨霊を立ち上らせて叫びをあげるのみ。
「せめてもの敬意は表そう。古の王女よ」
ただでさえ強大だったグラナトの操る炎は尚も勢いを増していた。紅蓮の髪が旋風になびき、筋骨隆々たるその総身から炎が迸る。
「古の王女よ。我が炎で骸の海に還るといい」
「繁栄を極めた者が零落するのは哀れなものだ。お前はここで終わらせてやる」
大量の呪詛を吸ったアカツキは、剣圧だけで地を抉る魔剣に変貌を遂げていた。
苦し紛れに召喚した棺の群れから呪帯が飛び出すが、ガーネットは剣から迸らせた邪気だけで千々に切り裂く。
踏み込み、振り抜かれた朱の斬撃が女王を深く斬り裂き――グラナトの神なる炎がここぞと降り注いだ。
「柘榴が如く燃えよ」
巣食う怨霊さえ焼き尽くす程の浄化の炎が女王を包み、猛然と責め苛んだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を
*アドリブ・支援・協力は可能な範囲で
紅葉(f03588)と協力を
精霊・聖霊・月霊・死霊を呼んで「妖精女王と貴女は違います!☆彡」と哀れみを持って『フェアリーランド』の壺の中から出します♪
“女王式~”に『祝聖嬢は静停出来ない』で非戦闘状態で避けて、“殉葬の棺”は『月世界の英霊』で空間飛翔して避けます☆彡
“王墓迷宮”を『月霊覚醒』で封印/弱体化させます♪
『クリスタライズ』で透明化して『神罰の聖矢』で聖攻撃を『エレメンタル・ピクシィズ』で風/光/火属性攻撃を仕掛けます☆彡
『祝聖嬢なる光輝精』で怪我を治し『シンフォニック・メディカルヒール』で状態異常を癒します♪
紅葉に制されて落ち着きます
紬雁・紅葉
ティファ―ナ(f02580)と同行
呪いの女王…ですか
これこそ正しく
御鎮めせねばなりますまい
羅刹紋を顕わに
天羽々斬を鞘祓い十握刃を顕現
先制でUC『月曜』に破魔光属性を付与して最大範囲展開
強化効果を味方にも付与
正面からゆるゆると接敵
射程に入り次第破魔光属性衝撃波UCを以て回数に任せ範囲を薙ぎ払う
敵の攻撃は躱せるかを見切り
躱せるなら残像などで躱し
そうでなければ破魔衝撃波オーラ防御武器受け等で受ける
いずれもカウンター破魔光属性衝撃波UCを以て範囲ごと薙ぎ払う
窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃
その呪詛、怨念…まさに穢れそのもの
濯いで比良坂へ、去り罷りませ
※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※
悪しき霊が怨嗟を叫びながら荒れ狂う。その玄室に、突如として異変が生じた。
呪詛を撒き散らす怨霊を追い立てながら、数多の霊が飛び回り始めたのである。
精霊・聖霊・月霊・死霊――数多くの眩きスピリットが地下墳墓に躍り、彩る。
「妖精女王と貴女は違います!☆彡」
両手に抱えた小さな壺から蛍にも似た光を溢れ出させ、霊を喚び続けるのは聖なるフェアリー、祝聖嬢・ティファーナである。
怨霊に憑かれ狂乱する女王に哀れみの瞳を向けたティファーナは、激しい格闘戦に疲弊した猟兵達を輝けるスピリットで包み、傷を癒やしていく。
それは、呪詛を吐く怨霊とは真逆の在り方と言えた。
「邪魔ヲ……スルナ……小娘……ッ……!!」
女王が奇怪に歪んだ声を放つと、その周囲に金色の棺が一斉展開。
開いた棺の隙間から生き物のように呪を宿した包帯が迸り出た。
ティファーナを護るべく、突如として叢雲が湧き、神々しき九重の剣が女王と呪帯に降り注ぐ。
「世界を巡りし英霊よ……蘇ノ能力を現わせ……!☆」
光が形作った騎馬英霊が顕れたかと思うと、呪いの包帯が捕らえるべき妖精を見失って力なく床に撒き散らされた。同時に空間転移するティファーナ。
「危ないところでしたー☆」
「逸っては駄目よ、ティファーナ」
聖なる妖精少女が瞬間移動した先には、しゅるりと衣擦れをさせて敵前に歩み出る巫女の姿があった。彼女こそは羅刹の戦巫女――紬雁・紅葉。
身に刻まれた羅刹紋を顕にして、鞘祓ったは世にも名高き天羽々斬。
荒ぶる神さえ断ち切る十握は破魔の光に満ち溢れ、その霊験を証する。
先に叢雲から注いだ幾振りもの剣は、玄室の床に巨大なる九曜紋を描き出していた。紅葉は溢れ出る息吹に射干玉(ぬばたま)の髪と装束が揺らして、
「呪いの女王……これこそ正しく御鎮めせねばなりますまい」
摺り足にも見える独特の歩法で怒れる女王との距離を詰める。
「……我ヲ……鎮メル、ダト……!」
女王が掌をかざすと、紅葉を、そしてティファーナを巻き込んで堅牢なる迷路の壁が立ち上がる。だが完全に閉じ込められる前に、聖者たる妖精は詠唱を口にしていた。
「月は眼醒めた……其の総ては庇護と加護と祝福を絶たれる……☆」
月齢を異にした月の斬撃が女王に殺到。
致命傷にはならずとも、封印の力は迷宮を瞬く間に瓦解させる。
「……小娘ガ……!」
「身体も貴方も水晶の様に透明に……」
再び棺から呪帯が飛び出すその直前、ティファーナは体を透明化させていた。
「貴女の相手はこの私です」
怨霊に憑かれた女王の力は、此処に至って尚、侮り難いものがある。
瞬足の踏み込みからの体重を乗せた拳打は容易に肉を破り骨を砕こう。
「……当たりはしません」
だが割って入った紅葉の足運びは残像を生じ、重い拳の一撃はただ空を切るのみだった。連撃からの蹴りを十握で弾いた紅葉は剣に破魔の力と衝撃波を乗せ、女王を強かに弾き飛ばす。
「八雲立つ、出雲……!」
そして頭上から降り注ぐ九振りの剣――両腕を交差させて防御する女王に注いだ剣の群れは、爆発の如き光と衝撃波を巻き起こし、巣食う怨霊を責め苛む。
「ガ、アアァアァァァァ……! 憎イ、憎イ憎イ、殺ス殺ス殺ス殺シテヤル……!!」
「その呪詛、怨念……まさに穢れそのもの」
女王の末路は、侵略を是とし奪い尽くした業と罪穢れゆえか。
不浄を祓うは今をおいて他にない。
「一気に行きましょう!☆彡」
透明化したティファーナが女王の周囲を飛び回りながら指先を向け、天から降り注ぐ聖なる光を浴びせかける。
それだけでない。
「歌唱う、我らが精霊・聖霊・月霊よ♪ 歌い、踊り、唄い、舞踏れ♪ 素ノ源ヨリ来タレリ……」
小さな壺から生じさせた数多の霊が魔法の矢となり降り注ぐ――!
目に見えぬ者からの攻撃には、避けるか防ぐかしか術がない。
浄化の光に叫びながら女王は荒れ狂い、斬り込む紅葉を力任せに投げ飛ばした。
激しく転がりながらも見事に受け身を取った紅葉を、治癒の霊が包んで癒やす。
「その穢れ、濯いで比良坂へ、去り罷りませ」
天羽々斬を天高く翳すと、神々しき九つの剣が四方八方から女王に突き立った。
よろめいた褐色の体めがけ、追撃の横一閃!
神さえ断ち斬る刃に怨霊が祓われ、煙のように霧散していく。
光の弧を描いた剣圧は、周囲に渦を巻く悪しき霊まで吹き飛ばしていた。
「グ、ガアァアァ……チカラ、ガ……抜ケル……ダト…………!」
二人の猟兵がもたらしたのは、勝利を一挙に引き寄せる決定打だ。
決着の時が刻一刻と迫っている。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(連携・アドリブ可)
「まるでピラミッドの中みたいね」
フォルセティと共にマアティム4世を討滅する
■作戦
弟の鎮魂歌と自身の眠りの電波で怨霊を浄化する
■行動
「まずは憑りついた怨霊を解き放つわよ」
弟の鎮魂の調べに合わせて、自身の髪飾りから【眠れる森の美女】を発動
鎮魂歌に合わせた心地よい眠りの電波で怨霊を浄化していく
また王墓迷宮が出現する瞬間に(高速詠唱)で【アイギスの盾】を展開し相殺
鎮魂に集中する弟を守りながら戦う。
「さあ、後は貴女だけよ。マアティム4世」
怨霊を鎮めたら[全力魔法]で【バベルの光】を叩き落とす
「おやすみなさい、偉大なる女王よ」
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】(連携・アドリブ可)
「わー、古代の女王様だよ。」
フィオ姉ちゃんと違っておっぱい大きいよね。
とにかく霊を鎮めてをマアティム4世をやっつけるんだ
【行動】()内は技能
銀月琴を取り出してシンフォニック・キュアで鎮魂歌を奏でるんだ。
(祈り)を歌に込めて(優しさ)を満たした旋律で。
「みんな、安心して。もう休んで大丈夫だから」 そんな思いを、持てる力を(楽器演奏)と(歌唱)にこめるよ。
かつて女王が治めた国の民も混ざっているかも。
だから優しく霊を解き放っていくんだ。
「女王様もみんなと一緒に休まなきゃダメだよ」
残るマアティム4世に(全力魔法)で鎮魂の歌ぶつけるんだ。
「わー、古代の女王様だよ」
怨霊が渦を巻いて飛ぶ不気味な玄室に、何処か呑気な声が響き渡った。
フォルセティ・ソルレスティアだ。マアティム4世の姿を見て感嘆するや、共に降り立った姉を横目に、何の躊躇いもなく言ってのけたものである。
「フィオ姉ちゃんと違っておっぱい大き、あいたぁっ……!?」
素早く容赦なく弟に杖を叩き込む姉。
「へえ、まるでピラミッドの中みたいね」
涼しい顔で銀翼杖を地面に突いたフィオリナが、倒すべき災魔と戦場の様子を窺う。猟兵達と激闘を繰り広げる女王は相当に疲弊していたが、未だ怨霊に操られ、苦しみの声をあげて暴れ狂っていた。
「まずは取り憑いた怨霊を解き放つわよ」
「いてて……とにかく霊を鎮めないとね!」
勝利を決するには、あとひと押し。単純な暴力だけではない『何か』が必要だ。
頷き、フォルセティが構えたのは不思議な形をしたハープ型デバイスだった。
銀月琴――ルーナ・プラータ。
弦を爪弾けば、心落ち着かせる音色が闇に囚われた玄室の空気を震わせる。否、震えたのはそればかりではない。苦悶の声をあげ続ける怨霊の群れも僅かに揺らいだようだった。
「みんな、安心して。もう休んで大丈夫だから」
鎮魂の祈りを込めて銀月琴を奏でる。
音色に合わせて響かせるのは、透き通るような歌声だ。
「怨嗟に満ちた霊に安息の眠りを」
隣に立つフィオリナが言うと、両手を組んで意識を集中させた。その赤絹のような髪を彩るアポロンの髪飾りから、眠りを誘う緩やかな波動が放たれる。
鎮魂の音色と歌声。そして玄室の隅々にまで届き反響する見えざる波は、渦巻く怨霊を浄化させ、急速にその数を減らし始めた。
「ガ、アァッ……止メ、ロ……頭ガ……ッ……」
無論、影響はマアティム4世にまで波及する。となれば姉弟を放置する怨霊ではない。頭を押さえて悶え苦しむ女王を強制的に操ると、瞳を怒りに燃え立たせ、掌をかざして迷宮と眷属を召喚する――!
「邪魔なんてさせないわ。防げ、アイギスの盾よ!」
金字塔(ピラミッド)の内部を思わせる壁画の描かれた壁が競り上がり、剣を振り上げた亡者どもが押し寄せる――その十字路のただ中に立たされたフィオリナは、隣で尚も歌声と旋律を奏でるフォルセティを守るように燦然と光り輝く盾を召喚した。
四つ辻の四方に現れた光の盾は、女王の軍勢である骨の兵隊を押し止める。
「演奏を続けて、フォルセティ。歌を止めては駄目」
小さく首肯したフォルセティが喉を震わせ高らかに歌い上げる。
暴力を前にしても、行く手を迷路に塞がれても、その歌声が揺らぐことはない――。
「囚われているのは貴女達の方。照らしなさい、アイギスの盾……!」
亡者の軍勢を押し留めていた盾が、声に呼応して眩いばかりの光を放った。
アンデッドの兵隊が浄化されるように塵と化し、堅牢なる迷路の壁までもが輝きに呑まれて崩れ去る。
死者の軍勢もまたマアティム4世の眷属であったかも知れないのだ。
或いはきっと、女王が慈しんだ民草か。
だとすれば。
だからこそ。
寄り添う姉の隣で、フォルセティが歌と楽器に力を込める。
迷路をかき消した姉弟は、周囲に渦を巻いていた怨霊さえもまた浄化させていた。
「女王様もみんなと一緒に休まなきゃダメだよ」
「さあ、後は貴女だけよ。マアティム4世」
銀翼杖を振り上げるフィオリナ。
VF-1オートフォーカスは、彼女が戦場に足を踏み入れたその瞬間から、女王を捕捉し解析し続けていた。
「貫け、バベルの光よ!」
ユーベルコードによって虚空に呼び出された衛星砲、その光条が女王に降り注ぐ。
ルス・デ・バベル。
光は女王の身に巣食っていた怨霊を遂に消し飛ばし、文字通り致命的なダメージを与えていた。
腕をクロスしてガードの姿勢のまま耐えきったかのように見えたマアティム4世が、足元から塵と化していく。
消え去る間際、女王は姉弟を、そしてこの場に集った猟兵達を見渡した。
理性を取り戻した苛烈にして澄んだ瞳を。
「よもや猟兵どもに解放されるとはな…………美しき音色、壮烈なる武であった」
言い残して消える災魔を見届け、フィオリナが言った。
「おやすみなさい、偉大なる女王よ」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵