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⏰鏡に映るのは?

#UDCアース

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#UDCアース


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「おいで、おいでよ。」
 子供の声が響く。
「こっちにおいで。」
 姿は見えないが、声の方向はわかる。
「こっち、こっち。」
 声に誘われ、迷宮を進む。
 鏡に映るのは、自分の姿ばかり。
「おいでよ。」
 一つだけ、暗くなった道があった。
「おいで、よ。」
 そこへ足を踏み入れると……。
「オイデ、ヨ!」
 ……鳥の羽音とともに、絶叫が響き渡った。

「皆さん、UDCアースで怪異達の棲み処がみつかりました」
 アト・タウィルは、集まった猟兵たちを見渡して話し始めた。
「場所は、とある遊園地のアトラクションの、鏡の迷宮です。
 衝立が鏡張りになっていて、普通の迷路よりも迷いやすくなっているという、迷路です。
 まぁ普通に進むとそのまま外に出られるので、害はなかったのですが……。」
 ここでアトラクションの写真を見せ、
「現在は封鎖されていますが、その迷路の一つの道が、怪異の棲み処となっているようです。
 迷い込んだ子供の声を真似て誘いをかけているので、その声を頼りに進めばすぐにつけるでしょう。
 それを退治してください。」
 ところで、これはまた別の話なのですが……と、いわゆるネットの書き込みを印刷したものを提示し、
「この鏡の迷宮、道の途中で『その人の見たいものが鏡に映る』という都市伝説があるそうです。
 肉親やペットの元気な頃の姿だったり、美味しそうなごちそうだったり、今は会えない恋人の姿だったり……。
 解決したら、それを見に行くのもいいかもしれません。」
 息抜きとなるかはわかりませんが、とアトはいたずらっぽい笑みを浮かべつつゲートを開くと、遊園地の中へ出た。


ヨグ
 ヨグです、今回もよろしくお願いします。
 鏡の迷宮は、子供の頃に入って、最初は楽しかったものですが……道が解らないという恐怖を感じる場所となりました。

 浅草の東京オフチャレンジ企画ですが、残念ながら花やしきには鏡の迷宮はなかったので、別の場所です。
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第1章 集団戦 『嘲笑う翼怪』

POW   :    組みつく怪腕
【羽毛に覆われた手足】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    邪神の加護
【邪神の呪い】【喰らった子供の怨念】【夜の闇】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    断末魔模倣
【不気味に笑う口】から【最後に喰らった子供の悲鳴】を放ち、【恐怖と狂気】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

カーニンヒェン・ボーゲン
人々の集まる場所に分りやすく罠を張った怪異とは。
いただけませんな。さ迷い、泣くことも叶わぬ犠牲者が増える前に討伐致しましょう。

子供の声にはすべからく足を運びましょう。
賭して捨てるのが惜しくない命とは言い難いですが、賭けて救う事に迷いはありません。

敵影を見定めたなら【アザゼル】を喚びます。
逃げ道を奪う為に「地形の利用」をし、畳み掛けるように「高速詠唱」。
亡き子らの面影には、恐ろしさよりも痛ましさを感じます。
泣き、笑い、その多彩な表情は生きるためにこそあったもの…。
であるからこそ、その「呪詛」は、貴方自身をも蝕むのではありませんか?
この場には必要のないものです。失せなさい。そして、還して頂きます。


古高・花鳥
迷路内は【居合域】を使って「忍び足」で敵を探します
領域は狭いのですが、範囲内ならすぐに察知できますので

戦闘では、「捨て身の一撃」と「先制攻撃」により翼を狙って【月下抜刀流・花鳥一閃】で斬り込みます
敵の手足による攻撃の無力化を狙いましょう
それから、他の方に被害が及ぶようなら「見切り」をし、【居合域】で迎撃を
その場合に対抗して放ってくるであろう断末魔……たとえ自分を刀で斬りつけてでも正気を保って見せますから

……この形の敵とは、以前も戦ったことがあります
子どもたちの悲鳴が、叫びが、辛くて
でもそれがわたしを奮い立たせるのです
負けませんから、絶対に斬り伏せますから
これ以上、犠牲は出しませんから……!



「おいで、おいでよ。」
 鏡の迷宮へ足を踏み入れると、確かに子供の声が流れて来た。
 その道を目指し、自分の姿の写る迷路を進む、二人の姿があった。
「いやはや、人々の集まる場所に分りやすく罠を張った怪異とは。いただけませんな。」
「……この形の敵とは、戦ったことがあります。」
 あくまで静かに、怪異を倒すことを考えていたカーニンヒェン・ボーゲン(或いは一介のジジイ・f05393)に、以前の戦いを思い出しながら答えた古高・花鳥(月下の夢見草・f01330)。
「ほう、良ければその話を伺ってもよろしいかな?」
「ええ、構いません。梟のような外見で……今も聞こえているような、子どもの声を出すのが特徴です。」
 古高は少し顔を曇らせ、
「……その、子どもたちの悲鳴が、叫びが、辛くて。」
「それはそれは……。」
 その様子に、気遣いの言葉をかけるカーニンヒェン。
「いえ、すいません……大丈夫です、それがわたしを奮い立たせるのです。」
 腰の刀に手を当て、心を落ち着けながら続ける古高。
「その意気です……さぁ、来ますよ。」
 横を見ると、自分の姿が映らない暗い道があった。
「こっち、こっち。」
 子供の声に視線を向けると、口が三日月のように裂けた梟のような怪異が、こちらへ顔を向けていた。
「こっち、ダヨ!」

「……アザゼル、哀しき霊よ。その姿を示せ。」
 カーニンヒェンは手に持った魔導書を開き、封じられた霊を呼び出す。
「さぁ、彼らを喰らいなさい。」
「こっちに、オイデヨ!」
 言葉の通りに、怪異を爪で裂き、えぐり取る霊。
 それに対し、
「コッチ、ダ……ヨ。」
 まるで噛み合わない、言葉だけを繰り返す怪異。
「哀れな……子供を真似ることしかできないとは。」
 怪異を表す言葉が漏れる。
 霊に先制され、動きを止めている怪異達へ一気に距離を詰める古高。
「負けませんから……絶対に斬り伏せますから!」
 抜刀の構えのまま、自分の領域で怪異を包む。
「おいで」
「はぁ!」
 声を発し、動きを見せた怪異へ即座に斬りかかる。
 足と羽を切り裂かれ、動きこともできずに地に落ちる怪異。
「たす……たすけ、ギャアアア!」
 子供の断末魔、怪異の喰らった子供が最後に発した言の葉。
 動きを止めた古高へ、カーニンヒェンは言葉をかける。
「……大丈夫、ですかな?」
 その声に反応するように、さらに一閃。
「これ以上、犠牲は出しませんから……!」
 怪異を斬り捨て、硬いながらも笑顔で返す古高。
 カーニンヒェンは彼女に頷いて返し、
「よろしい。それでは、この哀しい怪異達を消すとしましょう。」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

南雲・海莉
噂の発信元は気になるけれど、まずは鳥を〆ないと

まずは鳥の誘うままに奥へ
……小さい頃、こうして友達と鏡の迷宮に遊びに来た、気がする
そうだ、まだ養父母が生きてた頃……

鳥の気配が強まると同時にぐっと唇噛みしめ、感慨を払う
人を喰らうというなら、私の敵よ

心落ち着かせ、鏡像や壁に紛れる本体を見極める
【残像】を意識から振り払い、一気に詰め寄り、
UCで一撃必殺を狙うわ

敵から漏れる子供の声に、心の奥が疼く
朧げになった記憶の断片が蘇る
『幼稚園の、家族同伴の遠足
ミラーハウスのある動物園で、邪神が降臨し――』
それはここでは無いけれど、
重なる景色が多すぎて

……赦さない
人を食らうもの、人を害するもの
全て、骸の海に還す!


清水谷・柳牙
とりあえず、あいつらを倒せばいいんだな?

怪腕からの組付きは厄介だな。接近されたら危険だろうし、なるべく距離を保ち交戦するぞ。

消耗戦になれば近接戦闘の得意な敵さんの有利になりかねないからな。ここは最初から全力で攻撃をしかけるぜ!

『一斉射撃』で敵さんの体中に風穴を開けてやる。身体の中心を狙えば上手く当たんだろ。

攻撃である程度消耗させられたら、後は腕や足をスナイパーライフルで狙撃。機動力さえ落とすことができれば、苦労はしないだろうからな。数がいるかもしれないが、一匹一匹、確実に駆逐できるよう尽力しよう。


シキ・ジルモント
◆SPD
アドリブ歓迎

おい、来てやったぞ
お目当ての子供でなくて悪いがせっかく来たんだ、相手してもらおうか

距離を取って戦うのは難しそうだ、ある程度接近される事は想定する
回避と攻撃のチャンスを作る為にユーベルコードでの行動妨害を織り交ぜつつ攻める
超強化している敵は優先してユーベルコードで隙を作り、撃破を狙う

敵の攻撃をよく観察して動きを『見切り』回避を試みる
攻撃後の隙を狙って『カウンター』で『零距離射撃』を仕掛ける
この間合いなら逃げられないだろう

相手は集団だがこちらも多数、孤立は避けるよう注意する
余裕があれば味方への『援護射撃』を行う
味方が攻撃する隙を作ったり、劣勢から立て直す際の時間稼ぎを目的とする



「おいでよ、オイデヨ。」
「……あれがそう、なのよね?」
 道の先にいる怪異達を見て唇を噛み締め、自身の心を落ち着けながら、同行している人へ聞く南雲・海莉(コーリングユウ・f00345)。
「だな。とりあえず、あいつらを倒せばいいんだな?」
「そのようだ。俺達が子供でないのが残念だろうが、相手してもらおうか!」
 特徴的な髪をした軍人と狼の耳をした傭兵の二人組、清水谷・柳牙(軍人脳・f00466)とシキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)。
 まずは足だ、とシキはハンドガン抜き撃ちで、怪異達の足を撃ち抜く。
「……人を喰らうなら、私の敵よ。」
 そこへ、南雲は刀に手をかけて距離を詰め、一刀の元に斬り捨てる。
「ギャアアア!」
「子供の声……本当に不愉快。」
 過去の自分の記憶を呼び起こす、子供の断末魔の声。
 子供のころ、義両親と遊びに来た動物園で、ミラーハウスへ……
「伏せろ!」
「……っ!」
 ちらついた過去の記憶を掻き消すような警告の声に、その場で伏せた南雲の上をなぎ払う、大量の弾丸。
 清水谷が腰貯めに構えたサブマシンガンが怪異達の腹を撃ち抜き、シキのハンドガンが南雲を狙う怪異のカギ爪を撃ち弾いた。
「……ごめんなさい、手間をかけて。」
「いや、いい。この声は正直堪えるからな。」
 このクソ怪異どもめ、と悪態をつきながらハンドガンの弾を込め直すシキ。
「むしろ、嬢ちゃんに前に出てもらっているのが心苦しいが……。」
 さらに群がって来る怪異達へ、サブマシンガンで牽制する清水谷。
「こればかりは仕方ないな、最大限援護させてもらおう。」
「おう、指一本触れさせねえからな!あんたのやりたいように斬っちまえ!」
「……ありがとう。」
 男性二人の言葉に頷きながら、怪異へ向き直る南雲。
 さらに向かって来る、嫌らしい笑顔をした怪異たちへ刀を構え、
「引導を、渡してあげる。」

「好きにはさせん。」
 カギ爪を振り上げ南雲へ襲いかかる怪異達を、簡単に近づけないように清水谷が弾丸の雨を降らす。
「おら!やらせねえぞ!」
 それをかい潜り、近づいて来る怪異の手足を撃ち抜くシキ。
「はぁ!」
「ギヤアアアアア!」
 さらに斬りかかり、黒い塵へと変える南雲。
 3人の連携に、なす術もなく数を減らしていく怪異達。
「致命的な攻撃はないが、どうにもこの声だけはきついな。」
「そう、ね。」
 一番近くでその声を聞きつづけている南雲。
「でも、もう慣れたわ。」
「……そうか。」
 自分より年下の女の子が懸命に戦っている。
 その事実に改めて気を張り、攻撃の手を止めずに怪異を撃ち抜く二人。
「だが、数はだいぶ減らしたな。」
「そうだな、これで動いてるのはあらかたか?」
 動く怪異の手足をすべて撃ち抜いたシキ。
「ふぅ……えい!」
 息を整え、気合いとともに斬り払う南雲。
「助け、痛いよ……ヤメテヨ!!」
「うるさい!」
 最後の断末魔に、思わず声が出てしまう。
 周りに動くものがないのを見て、つぶやく。
「……とにかく、これで終わり、ね。」

「私の子供達、どこ行ったの?」
 突然、通路の奥から女性の声が響く。
「あなた達が、やったの?」
「そうだ、といったら?」
 答えた清水谷の声に、
「許さない……許さないわ!」
 返事とともに、ヒトガタの異形を下げた女性が、通路の奥から飛び出してきた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ナレノハテ』

POW   :    悪イ子ニハオ仕置キ
【人形の指先 】が命中した対象を切断する。
SPD   :    ママノ言ウコトヲ聞キナサイ
見えない【魔力糸 】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
WIZ   :    アノ子ノ待ツ夜ニ
【巨大な白銀の魔力弾 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【周辺の天候を猛吹雪にして】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠柊木・ましろです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミミ・フリージア
せっかくの楽しい遊園地が台無しじゃな
子供が遊ぶ場所が危険というのは残念じゃ
敵の目的がはっきりせぬがここに居座られても困るからのぅ
建物が壊れるのは気が引けるんじゃがこれを利用して死角から攻めたり攻撃を回避するのはどうじゃろう
ただ敵の能力で動かされてしまうのもやっかいじゃしこちらは動き回って狙いを定めさせぬようにもしなければならんのぅ
他の猟兵とも連携を取って攻撃や防御を行って消耗した分は回復をしていくのじゃ


南雲・海莉
あれが、『子供達』?
……オブリビオンにも親子の情なんてあったのね
(酷く冷たく呟いて)

耳の奥の残響を振り払い、
真っ直ぐに相手を睨みつける

そう、同じ『家族』を失った立場として
思う存分『死合って』あげる

どんな想いも関係も、
人を喰らって積み上げてる以上、
あんた達にこの世界の居場所なんて無いのよ

UCで火の【属性】の魔力を刀にまとわせ、防御力を上げるわ
同じ魔力で干渉して、その魔力糸も吹雪も打ち払って前に出る

さっきは助けられてしまったものね
今度は私の番
後衛の皆は守ってみせるわ

受け止めてあげる、その怒り
その代わり……
(記憶の欠片と共に足を踏み出して)
刃とともに私のかつての絶望も受け取りなさい!


シキ・ジルモント
◆SPD
アドリブ歓迎

アレが元凶か
さっきの怪異はアレの指示で子供を呼び寄せていたのか…?
なんであれ、これ以上の被害を防ぐ為にはアレを倒す必要があるな

狙いを絞らせないよう動き回り、攻撃の回避を試みる
魔力糸を飛ばす動作等が把握できれば、それを『見切り』回避する
味方の攻撃や回避の補助等、『援護射撃』でカバーを行いながら攻撃のチャンスを窺う

敵を見失わないよう常に視界に入れて『追跡』
味方の攻撃等で隙が出来たらユーベルコードを発動
ユーベルコードは異形ではなく本体の方を狙い撃つ
ヒットしたら『2回攻撃』でさらに追撃、攻撃できる限り撃ち込む

どんな事情があっても子供の命を奪っていい理由にはならない
ヤツはここで止める



「私の子供たち、新しい子供たち……。」
 現れた怪異の主、ナレノハテ。
「あの子達の後、追わせてあげるわ!」
 言葉とともに、通路を吹き荒れる吹雪と氷の礫。

「あれが、子供達?……オブリビオンにも親子の情なんてあったのね。」
 そう、言葉を冷たく吐き捨てながら前に立つ南雲は、後ろへ礫が飛ばぬように刀で斬り落としていた。
 炎の魔力を纏い放たれる斬撃に、氷の礫は溶け落ちていく。
「け、そうやって新しい子供を増やしてたってことかよ!」
 くそったれな理由だぜ!と、シキは両手に構えたハンドガン・シロガネで狙い撃つ。
 息を止め、正確に女の額を狙って放たれた弾丸だが、操られるヒトガタの手ではじかれた。

「あなた達に!私の気持ちは解らないでしょうね!?」
「……ええ、解りたくもないわ。」
 ヒステリックな女の声を耳の中から振り払うように、南雲は一気に距離を詰めて斬りかかる。
 横薙ぎに払われた大太刀、紋朱。
「私に届くと思って?」
「ええ……届かせるわ!」
 女の操るヒトガタの手で受け止められるが、さらに炎の魔力を高め、焼き尽くす勢いで力を籠める南雲。

「危ないのじゃ!」
 ヒトガタの足が蹴り上げられる、その膝にルーンソードを突き刺して止めたのはミミ・フリージア(エルフの聖者・f05747)。
「ちっ!小癪な!」
「それはこっちの台詞なのじゃ!」
 小さい体で突き刺した王家の宝剣を握り、ヒトガタの動きを止めさせる。
「はぁ!」
「しまっ」
 ミミの動きに女の意識が逸れた隙をつき、南雲はヒトガタの手を焦がし、斬りはらった。
 ヒトガタの手が飛び、それを見て宝剣を抜き飛び退るミミ。
「……助かったわ。」
「なんの、たまたまじゃ。」
「あぶねえ!下がれ!」
 女の動きを見ながら隙を伺っていたシキ。
 その声に反応した南雲、その立っていた場所を通り抜ける、ヒトガタの手を結んでいた操り糸。
「ふふ、とったわ!」
「きゃう!」
 逃げ遅れたミミの足を絡めとる糸。
 女が一気にそれを引き、ミミを転ばせる。
「ちっ!」
 シキの狙いすました弾丸が糸を切る。
「大丈夫か!?」
「え、えへへ……だ、大丈夫なのじゃ。」
 顔をあげ、ちょっと涙声になりながら答えるミミ。
 引きずられて少し傷になったようだが、大した怪我ではなかった。

「……本当、ヒステリックな癖に目ざといのね。」
 そんなミミの前に立ち、刀を向ける南雲。
「あなたも人のこと言えないでしょ?」
 怒りが見えるわ、という女に一瞬怒りの表情が浮かび、大太刀の切っ先が揺れる。
「少し、家族の事を思い出しただけよ。」
「へぇ、あなた『も』亡くしたのね。」
 ニヤニヤと嗤いながら呟く女から目を逸らさずに息を吐き、心を落ち着ける。
「ええ、だから……私の感じた絶望を受け取りなさい!」
 言葉とともに距離を詰め、大上段から振り下ろす。
 女はヒトガタを操り、体で受け止めさせようとするが、
「ああ、どんな事情があろうと、子供の命を奪う理由にはならねえよ!」
 シキの言葉とともに放たれた弾丸により、ヒトガタの足がもつれる。
「ぐぅ!?」
 女の肩に食い込む南雲の大太刀。
 だが、いやな予感に即座に女から刀を抜いて飛び退ると、その場所をヒトガタが蹴りかかるところだった。
「肩を斬っても、まだ動くとはね。」
「痛みも感じてないかもしれないのじゃ。」
 先ほどの傷を癒しきったミミの言葉にうなずく南雲。
「許せないぃ……許さないから!」
 叫び声を上げ、さらに襲い掛かってくる女。
 だがその動きは怒りに眩み、単調なものとなっていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

カーニンヒェン・ボーゲン
ハーメルンの笛吹男、ですかな。
貴女にも悲しい出来事があったのでしょう。
しかしその悲しみで更なる犠牲を生んではならぬのです。

【アザゼル】を喚びます。
「高速詠唱」により呼び掛けは素早く。
貴女が子に手を上げる必要がないように…。
貴女が子に声を荒げる必要がないように…。
貴女がこれ以上、来ぬ子を待って泣き濡れる夜がないように…。
呼び掛けは優しい声音で、消滅を願う「呪詛」として。
貴方のすべてを「生命力吸収」を用いて頂きましょう。

開かぬ扉、不安が不審に変わりゆく様、
止めなかった己を恨む後悔の念。
ジジイにも覚えがありますとも。
この魔導書は私には読めない。
魔導師だった、友人の手に在ってこそ価値ある物だったのだ。



「ハーメルンの笛吹男、ですかな。貴女にも悲しい出来事があったのでしょう。」
 猟兵たちの後ろからかけられた声。
 女は声の主、カーニンヒェンを睨み付ける。
「あなたに何がわかるって!?」
「私もそれなりに長く生きていますからな、多少は覚えがありますとも。」
 彼が小脇に抱えた魔導書、元は友人が持っていたもの。
 それを、静かに開きながら、
「しかし、その悲しみで更なる犠牲を生んではならぬのです。」
 そこに書かれた文字を、カーニンヒェンはすべてを読むことはできない。
 魔術師である持ち主から教わった部分、そこを読み上げることのみ。
「貴女が子に手を上げる必要がないように……。」
「黙ってさせると思って!?」
 女は切られていない腕を振り上げ、糸を投げつける。
「貴女が子に声を荒げる必要がないように……。」
 しかし、詠唱を続けるカーニンヒェンを糸が捕らえることはなかった。
「貴女がこれ以上、来ぬ子を待って泣き濡れる夜がないように……。」
 不可視の人影により遮られ、護られる。
「アザゼル、哀しき霊よ。」
 その人影から投げつけられる、風の矢。
 その狙いは正確、そして重い。
「ぐぎゃあああああ!」
「貴女の悲しみを、消せるように……。」
 女の肩を打ち抜いた。
 完全に片腕を引きちぎられ、女は猟兵たちをにらみつけるのみ。
 ヒトガタを操る手もおぼつかないが、まだ余力を残している。
「私はぁ、まだ倒れないわよぉ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

カスミ・アナスタシア
全力魔法19、高速詠唱18、属性攻撃9
いつか写真で見た、親友の両親によく似た姿を発見して一瞬動揺する。

「子供」という言葉を聞く度に拳を握り締め、限界を迎えたところでUC発動。
詠唱の代わりに喋りながら魔法陣を組み上げる。

「それ以上口を開くな!」
炎の槍を射出するフレイムランス。

「子供達ですって?自分の娘一人覚えてない奴が……反吐が出るわ」
高熱の爆炎砲撃、エクスプロージョンバスター。

「アイツが今までどんな気持ちで過ごしてきたかッ!!!」
対象だけを襲う超高温のプラズマ波、ディザスターフレア。

「何度甦ろうが、その度に何度でも焼き尽くしてやる!アタシが!この手で!!」

※セリフ等アドリブは歓迎です。



 先ほどからの戦いを見て、一人唇をかみしめ、こぶしを握っていた少女。
 今でこそ腕を引きちぎられた女と男のヒトガタだが、カスミ・アナスタシア(碧き魔女の系譜・f01691)には親友の両親の姿に映った。
「子供たちが待っているのよ……ここで倒れるわけには!」
 女が『子供』という言葉を口にするたび、カスミの心に怒りの炎が燃え上がる。
 もうそれはすでに、限界を超えた。

「……それ以上口を開くな!」
 怒りとともに吐き捨てる言葉。
 それは炎を纏った槍と化し、女へ投げつけられる。
「ぐあああ!」
「子供達ですって?自分の娘一人覚えてない奴が……。」
 続けてこみ上げる感情とともに、カスミの背後へ浮かび上がる爆炎。
「反吐が出るわ!」
 それらを一気に女へ向けてぶつける。
 かろうじてヒトガタで受けるが、所詮は木でできた代物、一瞬で灰と化した。
「ひぃ!や、やめ、」
「アイツが今までどんな気持ちで過ごしてきたかッ!!!」
 親友を思い、出た言葉。
 自身の魔力で最大限練り上げた炎はもはやプラズマと化し、女を襲う。
 言葉を発する間もなく、女はただの炭となり、塵となって消えていった。

 ……だがカスミは、このオブリビオンがまだ滅しきれていないことを知っていた。
「何度甦ろうが、その度に何度でも焼き尽くしてやる!アタシが!この手で!!」
 親友のために燃やす炎、それがまだ消えることはない。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『逡巡の迷宮』

POW   :    なんだか怖いから鏡を割って強行突破

SPD   :    何が映っても見ないようにすればいい。素早く出よう

WIZ   :    鏡に映った対象に何かしらの行動をしてみる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 オブリビオンを倒した猟兵たち。
 この鏡の迷宮について、グリモア猟兵はこう言っていた。

「道の途中で『その人の見たいものが鏡に映る』という都市伝説があるそうです。
 肉親やペットの元気な頃の姿だったり、美味しそうなごちそうだったり、今は会えない恋人の姿だったり……。
 解決したら、それを見に行くのもいいかもしれません。」

 その言葉を思い出し、一人、また一人と鏡を見る……。
南雲・海莉
(一つ、大きく深呼吸し
怒りや悲しみ、溢れ出しそうな感情と記憶を無理矢理に鎮めて)
お疲れさま、でした
(居合わせた猟兵の皆に、
自分の動揺から招いた危機を詫びるように一礼
そして帰路へ)

……見たいもの、ね
オブリビオンに関わらないなら
それは単に思い込み……

(押し殺したはずの想いが
また溢れかけて)

……思い出しちゃった
UDC組織に記憶操作されて、覚えてないはずの、あの時の事
猟兵になっちゃったから?
それとも……

(走り出す。
視界の端に映った義両親や友達の影を追いかけ、そして見失い)

父さん、母さん、みんな
……信じてる、また来世で逢えるって
待ってて
絶対にいっぱい幸せになって
お土産話いっぱい持って行くから(泣き笑い)



 ふぅ……と、大きく吸った息を吐き、精神を落ち着けた南雲。
「お疲れ様、でした、」
 周りの猟兵たちへ、自身の動揺から招いた危機を詫びるように一礼し、足早に帰路へつく。
 しかし、いくら心を抑えつけ、記憶を封じようとも……視界の端に映る鏡には、見えるはずのない姿。

 オブリビオンに関わらないモノなら、それは単に思い込み。
 でも……じゃあ、出口で手招きをする、夫婦と思しき姿は?
 自分と同じくらい……あの時の友達の、こちらを呼ぶ声は?

 気が付けば、南雲は駆け出していた。
 今からでも間に合う。
 今、出口にいけば、彼らに会える。
 今なら、出口にいる彼らに、
 ……

 空白の記憶。
 彼らのその後、猟兵となるときに自ら志願して消した記憶。
 今まで、思い出すことも恐れていた、記憶。

 ……気が付けば、出口に立っていた。
 もう、彼らの姿は見えなかった。
「……ふふ。」
 思わず、口から洩れる笑み。
「父さん、母さん、みんな……。」
 少し震える声。
「……信じてる、また来世で逢えるって。」
 熱いモノが、頬を伝う。
「待ってて。」
 それでも……、
「絶対にいっぱい幸せになって、お土産話いっぱい持って行くから!」
 清々しい笑顔で、南雲は空を仰いだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

カーニンヒェン・ボーゲン
喧騒が急に遠くなったように感じます。
できるなら何も見出だしたくない。
オブリビオンを使役する者として、むざむざ隙を見せるなど…。
けれど一目会いたくなる。出来ないと知っているからこそ尚の事。

深い後悔は強く記憶に焼き付きものですから、見えるのはきっと女性の後ろ姿でしょう。
引き留めたかった背中。
緩くまとめたウェーブの茶髪が見事でした。
元魔導書の持ち主。

手に、触れてみましょうか。
振り向いてくれるでしょうか…消えて、しまうのでしょうか。
いずれであっても、私にはそれ以上の術はない。
当時を思い出すだけです。
私は小心者で、故に彼女の側には在れなかった。

鏡面に目を閉じて一礼。
Schönen Abend…良い夜を。



 足早に去った南雲や他の猟兵たちを見送り、鏡の迷宮の中でカーニンヒェンは、都市伝説の内容を思い浮かべていた。
 自分の見たいものが鏡に映る、と。
(……できることなら、何も見出したくないものですな。)
 魔導書で押さえつけたオブリビオンが、いつ心の隙をついて出てくるかわからない……。

 それでも、意識をしてしまった。
 魔導書の、本来の持ち主である女性を。

 ……引き留めることができなかった、うしろ姿を。
 茶色くウェーブのかかった髪を緩くまとめた姿が、とてもよく似合っていました。

 今は、手の届くところにいます。
 今ならば、手に触れる事もできましょう。
 そうすれば彼女は、振り向いてくれるでしょうか?
 それとも消えて……しまうのでしょうか?

「……いやはや、それを確かめる勇気があるならば、今こうしてはおりませんな。」
 言葉とともに目を閉じ、鏡面へ一礼するカーニンヒェン。
「Schönen Abend……良い夜を。」

 そして、猟兵たちは出口へ歩み始める……。
 過去を振り返る時間は終わり、鏡は現在を映し、未来へ歩みを進めるために。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月21日
宿敵 『ナレノハテ』 を撃破!


挿絵イラスト