アルダワ魔王戦争1-B〜黄泉返りし古の黄金
●グリモアベースにて
「皆様、お疲れ様です。ついに大魔王が発見されました」
そう言って猟兵たちを出迎えたのはメイド服に身を包んだアマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)だった。
「今回、蒸気科学の実験施設のある迷宮区域で発見されたのは大魔王の第一形態『アウルム・アンティーカ』。その姿は巨体と三つの頭部を持つまさに魔王にふさわしいものです」
蒸気科学で生み出された用途不明な様々な蒸気機械が転がる迷宮の一角で発見された物体。
巨大な『腹の口』が近づくモノを圧倒し。
戦況を見渡す司令塔である『真ん中の人』が兵器を操り蹂躙。
『上の頭』は全身に纏う魔導楽器群を奏で、その音色を聞いたモノを発狂させる。
この三位一体こそがアウルム・アンティーカ。かつてこの世界を脅かした大魔王の姿の一つである。
「おそらくはこれ以外にも大魔王の姿はあるのでしょう。まずはこの大魔王を倒さねば先へは進めません。ですが大魔王の名を冠する以上、強大な敵であることも間違いありません」
だが、それでも———。
「それでも大魔王を倒すのです。皆様ならばそれができると当機は信じております」
立ち塞がる敵が強大なものだとしても、これを越えられないようではこの先の戦いを乗り越えることなどできない。
戦争は未だ序盤。
真の敵はまだ迷宮の奥深くで猟兵たちを待ち構えている。
「甦りし大魔王の討伐、どうか皆様よろしくお願いします」
こうしてカーテシーと共に猟兵たちの転移が開始された。
灰色幽霊
どうも、灰色幽霊です。
今回の戦争初の幹部戦となります。
相手は大魔王第一形態『アウルム・アンティーカ』。
また例の如く今回も『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』ことでプレイングボーナスが発生いたします。大魔王は確実に先制してきますのでどう防ぎ、どう反撃するかをお考え下さい。
今回は幹部戦ですので基本的に『成功』か『大成功』のプレイングのみリプレイを執筆しますのでご了承ください。
その他注意事項などはMSページもご覧ください。
それでは皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『大魔王第一形態『アウルム・アンティーカ』』
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POW : 真紅崩天閃光撃
【突撃し、『腹の口』が放つ真紅の光線】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 黄金殲滅魔導重砲
【『真ん中の人』の背部に装着された魔導砲】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 絶対奪命皇狂曲
【『上の頭』が角を指揮棒のように振るう状態】に変身し、武器「【聞く者の正気を奪う全身の魔導楽器群の音色】」の威力増強と、【黄金の竜翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ゴアゴア・トゥエニワン
ゴアゴアン⦅第1形態…中々序盤から仰々しい見てくれであるな⦆
無差別攻撃となれば流石に近寄り辛いであるな…『Gebrüll-21』を攻撃の相殺に当てるである。
全て相殺はできんだろうが、接近できる程度には減らせれるであろう。
我輩は爆煙に紛れて、【早業】を活かして接近し、相手の死角に回り込み奇襲を仕掛ける。
ゴアゴアァ!!⦅喰らい付け、『グロス・オブ・トゥエニワン』!!⦆
【戦闘知識】で相手の弱点を見極め、そこに向けて偽神兵器による【鎧無視攻撃】による、【部位破壊】を狙った【捕食】攻撃をするである。
(アドリブ、連携可)
セシリア・サヴェージ
戦争序盤から第一形態とは言え大魔王直々に出陣ですか。
ならばこちらも全身全霊を以って事にあたりましょう。
『真ん中の人』が放つ魔導砲への対策ですが……
まず暗黒剣を地面に突き立ててしっかりと固定することで設置型の盾のようにします。
その後ろに隠れることで【武器受け】を行い、さらに剣の前面に【オーラ防御】を展開してより強固な2重防壁とします。
これが今の私に出来る最大の防御です。
反撃にはUC【闇の氾濫】を使用します。
大魔王と呼ばれる者に通常の力では太刀打ちできないでしょうが……この力ならば。
【限界突破】した【怪力】を使った渾身の【鎧砕き】で大魔王の体躯に大穴を空けてみせましょう。
セツナ・アマギリ
無駄にデカイな……無駄に。
POWはスコーピオンギフトを天井に放ちワイヤーアクションで回避。
SPDは氷属性のオーラを全力魔法でドーム状に展開。バリアーの中でやり過ごす。コールドブレスの貫通性魔弾で反撃もしてやるゼ。
WIZはパンドラボックスに入ってる耳栓でシャットアウトだ。呪いの類だけ防ぐスグレモノだから普通の声は聞こえるゼ?
しかし飛ばれるのは厄介だな……。
UC発動。高速移動で動き回り撹乱させつつ、辺りにワイヤーを張り巡らせる。
敵の動きを封じて、絶対零度の衝撃波でフィニッシュだ。
あ……ワリィ、足場がツルツルになっちまったナ……。
アドリブ連携大歓迎
●ファースト・インパクト
「テキガキタヨ! テキガキタヨ!」
「遂にですな。吾輩たち『大魔王』が相手をしなければなりませんな」
転移した猟兵たちの前に聳え立つ、巨大な影。それこそがこの迷宮に封じ込められていた大魔王にしてその第一形態アウルム・アンティーカ。三位一体にして各々が自由に動く暴虐の王。
「あいつらじゃま」
「そうですな。相手をするにしても些か数が多い。まずは露払いですな」
その言葉と共に動き出す中央に位置する人型の背部に装着された数多の砲身。それが猟兵たちの現れた方向に向け銃口を向ける。
「発射!」
狙いもそこそこに放たれる【黄金殲滅魔導重砲】の光線の束。大魔王にとっては現れた猟兵たちをわざわざ一人ずつ倒す必要などない。これはただのあいさつ代わり。この攻撃で落ちる程度の相手であれば自らが動く必要もない。
「ゴアゴアン!《やってくれるであるな! まずはあれを防ぐである!》」
「無駄にデカイな……無駄に」
「少しでもいいです。あれの威力を削ってください。あとは私が何とかします」
猟兵側は大魔王の攻撃に関しての情報は事前の予知である程度は把握している。
故に対処に適切な人員を配置することができる。
この砲撃の対処にあたるのは3人の猟兵。ゴアゴア・トゥエニワン(思考する元モフモフ団頭領-ドン・ゴアゴア・f13912)、セツナ・アマギリ(銀の魔器・f09837)、セシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)の3人。
主な防御はセシリアが担う手はずではあるが実際の砲撃を視てセシリアは直感した。自分だけであの砲撃を防ぎきることはできない。だが、そうなることすら考慮し、配置された2人がいる。
「ゴアァ!《出し惜しみは無しである!》」
「ま、任せときな」
ゴアゴアが【多目的誘導弾発射兵器『Gebrüll-21』】により召喚した2基のミサイルポッド。セツナが構える『コールドブレス』と名付けられた銃。
迫りくる光線の束を迎え撃つべくゴアゴアとセツナは引き金を引く。
物量には物量を、光線の束と衝突するミサイルの雨が束ねられた光を削ぎ落し威力を削る。ミサイルの間を潜り抜けた光線はセツナの放つ氷の魔弾が氷結させ動きを止める。
「おお、やりますな!」
削りこそしたものの2人の攻撃でも相殺するには至らない。当初の半分ほどの大きさになった光線は猟兵たちの眼前へと迫っていた。
「ゴア……《すまんである。削り切れなかったである》」
「いえ、大丈夫です」
この程度ならば問題はない。セシリアは『暗黒剣ダークスレイヤー』を引き抜くと、それを迷宮の床へと突き立てる。
「お二人とも後ろへ」
人一人を覆い隠せる程の横幅で砲撃を受け止めるために剣を盾にする。そこの前面に闇を纏わせることで物理的にも魔術的にも防御を施し、光線を待ち構える。
「これが今の私に出来る最大の防御です」
「ついでにこれも足しとこう」
セツナがパチンと指を鳴らし3人を包み込むドーム状の氷壁。これだけでは減衰したとはいえ光線を防ぎきることはできないだろうがセシリアにたどり着く前にさらに威力を減衰することはできる。
これが3人にできる最高の防御。
氷壁と接触した光線は数舜の停滞の後、氷壁を砕きさらに進む。
残る障害はセシリアの構える闇を纏う暗黒剣のみ。
溢れ出る光の奔流を受け止める闇。
光線の放つ衝撃を防ぐ巨大な剣。
剣に当たり、拡散する光が徐々に細くなり、潰えた瞬間も闇を纏いし剣は健在だった。
「ゴアゴアァ!《今度はこちらの番である! 喰らい付け、『グロス・オブ・トゥエニワン』!!》」
「悪いな……」
砲撃の直後、その最大の隙を突き背後から接近するゴアゴアとセツナ。
セツナの操るワイヤーが砲身を拘束し束ね上げ、ゴアゴアの手に握られた意思を持つ銃火器『捕食装填式リロード銃火器-グロス・オブ・トゥエニワン』が銃口を捕食し噛み千切ることで捕食する。
「ヤバイ! ヤバイ!」
「むむ、これは厄介ですな!」
背後の2人を撃ち落とすべく、自傷覚悟で拘束された砲身から再び砲撃放つべくチャージを開始する大魔王。
だがそれではもう遅い。
「凍れ」
チャージが完了するより先にセツナの手から放たれた絶対零度の衝撃波が大魔王の体躯を凍結させる。しかしこれでは遅延こそできても完全に砲撃を止めることはできない。数秒もすれば再び動き出してしまうだろう。
だがそれでも構わない。
「お二人とも……ありがとうございます」
光線を防ぎ切った代償として余波により身体の至る所から血を流すセシリア。肉体の限界は目前だがまだそれでも身体は動く。それならば身に纏う『暗黒の鎧』に宿る力を引き出すことで一時的にでも身体を動かすことはできる。
剣を引きずりながら、血を垂れ流しながら、セシリアは一歩ずつ凍り付いた大魔王へと近づき剣を振り上げる。
「———終わりです……」
振り下ろされた剣は凍り付いた大魔王の砲身を一撃で両断した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
大神・零児
本来なら戦闘で耳を塞ぐべきじゃねぇんだが
魔導楽器群の音色はマルチギアイヤフォンの集音機能をオフに、ノイズキャンセラーオン
両耳に付けて外部の音をシャットアウトする事と狂気耐性で対処
マルチギアとC-BAの機能をリンクさせフル活用、第六感、野性の勘も使い、戦闘知識、世界知識からも情報を引き出し敵の動きのパターンや思惑等の情報収集をし攻撃タイミングをはかる
飛翔するなら体当たりも警戒し敵を常に視覚かマルチギアやC-BAの各種センサーで捕捉し続け、見切りで繰り出される攻撃を回避
なるべくおびき寄せ、早業のフェイントで敵が体制を少しでも崩すように見切りで回避
体制を崩したらUCで多対一にしてボコる
アドリブ共闘可
緑川・小夜
[WIZ]
第一形態…いくつもの形態があるということね。いいわ、全て屈服させてあげる
UCへの対策は、正気を奪う音楽に対しては【催眠術】による自己暗示をかけての精神の耐性強化、更に【狂気耐性】も加えて、どうにか凌いでみせるわ
物理的な攻撃には、【ダッシュ】【見切り】【残像】【第六感】をフルに使って、わたくしのUC発動迄かわして時間を稼ぐ
UCが発動可能になったら、即選択UCを発動。仙人の姿になり、羽で飛翔して攻撃に移るわよ
目標は上の頭と竜翼。この二つのどちらかを狙い、わたくしの身体全体を「持禁障壁」と触れた物を溶かす麟粉で覆い、勢いをつけた体当たりで攻撃するわ
墜ちなさい、魔王
[アドリブ連携歓迎です]
茲乃摘・七曜
心情
…剽軽な様子とは違い大魔王に相応しい実力なのでしょうね
指針
Angels Bitsを用いた三重の輪唱で周囲へと戦闘の妨げにならない薄霧を生み出し音の響きを変え、魔導楽器群へは粘性の高い液体を纏わりつくように生成し音色を濁らせる
※正気を失わないよう歌詞にアルダワの未来がかかっていることを歌い目的を見据え狂気耐性と合わせて耐える
「……歌い手として引くわけにはまいりませんとも
『流転』
皇狂曲に対抗しつつ二挺拳銃で指揮をする『上の頭』を射撃し、指揮の妨害をしながら魔導杭を周囲に配置し、仲間の攻撃が大魔王へと届くように補佐
「そちらは三位一体かもしれませんが、こちらもお互いを信じ託すことでは負けません…!
夢咲・向日葵
●心情
・まさかこんなに早く大魔王が現れるなんて思わなかったけど、現れたならば、魔法王女として全力で相手をするのよ。
●UC対策
・敵のUCの狂気の音色は、狂気耐性で耐えるのよ。耳栓で聴覚を完全に封じるのはリスクが高いし、イヤフォンでもあててようかな。
・あんまり長い間効いていたくないからさっさと破壊するのよ。ソレイユシールドからの光属性魔法のソレイユビームで楽器を狙って鎧破壊攻撃で壊すのよ。敵の飛行能力に対しては、大量に想像して創造したプリンセスチェインで大地に縛るのよ。多少でも動きが止まれば、一気に光で楽器を砕くの。
・鎧破壊ビームで翼を撃ち抜けたら、そのままガントレットの一撃を上の頭に見舞うのよ
月宮・ユイ
形態毎に復活もあり、とは…
…流石は大魔王、強大な存在の様ですね
自己<催眠:狂気耐性>精神防御。
<属性:風>周囲に作る風の渦と<オーラ>に<呪:破魔>付与
精神への効果削減しつつ音色乱し対抗。
<第六感>含め知覚全てで<情報収集>
敵飛翔見切り、回避に集中
初手耐え凌ぎ《封絶縛鎖》起動
<念動:ロープワーク>鎖操り風と共に鎖の渦形成
音色喰らい封じ通さず、盾とし防御にも使用
<早業:高速詠唱>鎖連続召喚
敵狙い射出、空間を埋め促成の牢獄作り敵飛翔妨げ捕縛狙う
絡ませ封じ、鎖追加で拘束増しつつ
鎖に<呪詛:生命力吸収>通し<捕食>負荷補う。
貴方の存在、喰らい尽す
アドリブ絡み◎
呪<呪詛>操る誘惑呪詛器に宿すヤドリガミ
●セカンド・ウェーブ
「むむ、やりますな」
「ハンゲキ! ハンゲキ!」
「おでもうごく」
砲身を破壊された大魔王ではあるがその身体は未だ健在。武装を失いこそしたが三位一体の誰も欠けてはいない。
「では反撃をお任せできますかな? 『上の頭』殿」
「ハンゲキ! ガンバル!」
上の頭が反撃のためにその姿を変えていく。
そそり立つ角を指揮棒の如く握り、振るう動作に合わせて大魔王が全身に纏う魔導楽器群が動き出す。指揮に合わせ奏でられるのは【絶対奪命皇狂曲】という名の聞く者の正気を奪う狂気の合奏。
戦場に狂気の音色が鳴り響く中、猟兵たちもまた行動を開始する。
「本来なら戦闘で耳を塞ぐべきじゃねぇんだが」
「音が聞こえないデメリットよりあの音色を聞かないメリットの方が大きいから仕方ないわ」
「私も対抗してみますが皆さん自身も対抗をお願いします」
大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)と、既に白の魔法王女へと変身を遂げた夢咲・向日葵(魔法王女・シャイニーソレイユ・f20016)はその耳にヘッドフォンをつけることで周囲の音を遮断し狂気の音色からその身を護る。
この音色に対するメインのカウンターはシンフォニアたる茲乃摘・七曜(魔導人形の騙り部・f00724)が担当する予定ではあるがそれがどれほどの効果を発揮するかわからない以上各自もそれぞれ対策をとるに越したことはない。
「音もですがあの翼も厄介ですね」
「流石は大魔王、と言ったところでしょうか」
緑川・小夜(蝶であり蜘蛛であり・f23337)と月宮・ユイ(月城紫音・f02933)は傍目にはなんの対策もしていない様に見えるが2人のとった対策は音を聞かないという物理的なものではなく、自らの精神耐性を向上させ、狂気を抑えるという内向的なものだった。
「……歌い手として引くわけにはまいりませんとも」
自律式多機能小型蒸気機関式拡声器『Angels Bit』を展開し、七曜は大きく息を吸う。それは鳴り響く狂気の音色に対抗すべく、この世界の明日を目指す希望の唄を歌い上げる予備動作。
七曜の歌声は『Angels Bit』により拡散され、三重の輪唱となり狂気の音色へ対抗するように響き渡る。その歌声により生み出された視認できぬほど微細な霧が大魔王の発する音の響きを変えその効果を半減させる。それと共に霧の水滴は大魔王の魔導楽器群と接触すると露となり、楽器にまとわりつきその音色を濁らせる。
「オトガヘン! オトガヘン!」
「む? 吾輩にはわかりませんな。この歌のせいでしょう」
指揮者たる上の顔は音の変化に気づき即座に真ん中の人へそれを伝える。猟兵たちが演奏の妨害をするのであれば大魔王もその妨害をすればいい。
大魔王は黄金の竜翼をはためかせ、迷宮の空を飛翔した。
七曜の唄のおかげで効果の半減した狂気の音色程度であれば猟兵たちは自らの対策により戦闘行動は問題なく行える。
目下の問題は飛翔した大魔王。対空攻撃もできなくはないが制空権が大魔王にある限り猟兵側が不利であることに変わりはない。
「上を飛ばれるのは目障りね」
「まずはあれを墜とさないと」
白の魔法王女となっている向日葵は光魔法により飛行が可能。そして小夜もまた【自己改造術「羽化登仙・改」】を発動することで自身を仙人へと昇華させることで背中に生えた翅を使い空を駆ける。
2人の目標は翼。飛行能力さえ奪ってしまえばあとはどうとでもなる。地上においても零児がその脚力を活かし、囮として駆けまわる。
「おまえらじゃま」
「悪ぃな!」
敵は三位一体。対してこちらは上空でドッグファイトを繰り広げながら翼も狙う向日葵と小夜。それに加え腹の口の注意を引き付け続けている零児。七曜は歌いながら音の相殺を続けている。
そう、ここまでで4人。つまりあと1人のユイが何をしているか。
「鎖の渦よ、喰らい封じろ……」
起動した【概念兵装『封絶縛鎖』】により、虚空より鎖を呼び出しその数を増やしていく。
この形態の大魔王は三位一体。つまり3つの視点を持ち合わせる強大な敵であることに間違いはない。そして個の力で負けている猟兵たちが数少ない勝っている点、それが戦闘に参加している者の数。大魔王が3体に対して今ここで戦っている猟兵の数は5人。故にどうしても大魔王側の視界から漏れる者がいる。
その隙をついたのが今回の作戦。
先んじて大魔王の行動を予知という形で把握できる猟兵たちだからこそできる連携と役割分担。
最大数まで鎖の召喚を行い、ユイの準備が整った時点で作戦は次の段階へと移行する。
「貴方の存在、喰らい尽す」
「なるほど、そういうことですな!」
地上より蛇の如く鎌首を擡げるように大魔王を狙うユイの鎖。例えその狙いが外れたとしても鎖はその場に残り大魔王の行動範囲を狭めていく。
「準備ができたみたい」
「では次の段階ですね」
宙を舞っていた小夜と向日葵も方向を変え、逃げ回るではなく大魔王と相対する。
「母なる大地に戻りなさい!」
向日葵の声と連動するように床から新たに伸びる重力を宿す鎖『プリンセスチェイン』。ユイの鎖同様に大魔王の周囲へと張り巡らされ鎖の牢獄を作り上げる。
「イタイ! イタイ!」
「む、どうなされた『上の頭』殿!」
大魔王の行動範囲が制限されれば七曜も歌での相殺だけでなくまた別の支援を行うことができる。その手に構えた二挺拳銃が狙う先は指揮を振るう上の頭。音色が濁った上に指揮が乱れればいよいよ音色はその効果を失っていく。
「そちらは三位一体かもしれませんが、こちらもお互いを信じ託すことでは負けません……!」
鎖たちが動きを止め。
弾丸が音色を止めた。
ここまでに紡がれた想いに応えるべく動き出した者が2人。
「ここで決める!」
零児の発動した【悪夢顕現「結界崩壊」】が呼び起こすのは万雷の稲妻と銀の雨。それはかつての異世界の悲劇を再現するユーベルコ―ド。稲妻と雨は大魔王の魔導楽器群へ吸い込まれるように撃ち抜いていく。それに合わせ向日葵が魔法陣から創造し、展開した『ソレイユ・シールド』から放たれる極光もまた魔導楽器群を破壊していく。
「ヤメロ! ヤメロ!」
楽器が破壊されれば演奏を行うことはできない。どれだけ優秀な指揮者が残ろうと演奏者がいなければ何の意味もない。
「これは厄介ですな! 一旦―――」
「そんなことはさせませんよ?」
戦況の不利を察知した真ん中の人は多少の損傷は厭わずに鎖の包囲網からの脱出を試みようとする。しかしそんな逃げは許されない。小夜は自身の周囲に『持禁障壁』を張ると最大加速のままに大魔王の片翼へ全身で体当たりをお見舞いする。
これが通常時であれば何ということはなく大魔王も回避しただろう。だがこれまでの猟兵たちによる積み重ねがそれを許さない。
翼は小夜の身体が触れた個所からその身に纏う鱗粉の効果で融解を始める。
「墜ちなさい、魔王」
片翼を失えばその巨体を宙に浮かし続けることなどできるはずがない。体勢を崩し下へと落下していく大魔王の巨躯。その自由を奪うように雁字搦めに巻き付き動きを封じる数多の鎖とそれを引き絞り続ける銀の雨により生み出された抗体ゴーストたち。
その身が再び地上へと戻ってきた時には飛び立つ前の姿はもはやどこにもなく。
翼の片側は失われ、楽器群は破壊され、身体中が鎖で囚われていた。
「これでお終いよ」
母なる重力に導かれ、遥か上空から飛来する魔法王女の鉄拳が指揮棒たる角を粉砕する。
成功
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ソラスティベル・グラスラン
敵は大魔王、しかしこの姿はこれ以降の形態を考えればただの前哨戦
…このくらいは軽く片付けられなければ、真の姿に謁見する権利はありませんか!
大魔王の突撃に、【勇気】を胸に突撃あるのみッ!
【盾受け・オーラ防御】で守りを固め、【怪力】で受け止める!
光線は命中箇所を破壊する、ならば確りと「狙う」必要があるはず
受け止めた衝撃を利用し空中へ、発射の瞬間を【見切り】翼で真上へ飛翔【ダッシュ・空中戦】
翼で空気を叩き急降下!発射後の隙を狙います!
恐れを捨て前へ、その禍々しき黄金を砕く為に!【鎧砕き】
蒼雷の竜よ、雷の大斧よ
今こそ応えて、我が【勇気】に
災厄の一矢を断つ、汝の名は
【我が名は神鳴るが如く(サンダラー)】
ナミル・タグイール
デッカイ金ぴかにゃー!
大魔王金ぴかなんて激レアにゃ!ナミルが頂くデスにゃ!
自信があるのはPOWにゃ!こっちからも突撃してやるにゃー!
敵の突撃に飛び込んでビームが当てれないくらい密着しにいくにゃ【捨て身】【野生の勘】
無理そうだったら口からビームの方向予測して頑張って潜り込み突撃にゃー!
くっつけたら金ぴかたいむにゃー!
【呪詛】の欲望のままに金ぴか奪うにゃ!
大きすぎるから斧で分解して持って帰るにゃ!UC発動にゃー!
呪いの斧でどっかんどっかんにゃー!邪魔そうな角とか魔導砲をバラしたいにゃ!【怪力】
壊せなくても呪いで色々おかしくなるはずにゃ
連携取れなくなったり仲間割れしろにゃ
その隙に金ぴか頂きにゃ!
フランチェスカ・ヴァレンタイン
これが大魔王、その原初のカタチですかー…
先制攻撃に対しては突撃してくる大魔王へ向けて[アルバサーラ・クィンティア]を複数基飛ばし、盾状に変形させてぶつけることで対処を
そのまま被害担当として『腹の口』が光線を放つ瞬間に被せれば、射線を見切って急加速の機動で身を躱す隙ぐらいは作れるでしょう、と
初撃を凌ぎましたら空中戦で上空の優位を確保、砲撃と重雷装ユニットの一斉発射を雨霰と乱れ撃ちしての弾幕を
それに紛れて急降下強襲で斧槍の戦槌を擦れ違いざまに叩き付け、下方へと抜ければ慣性を費やすようにUCを発動し――
直上の胴体へ向けて、全バーニアのフルドライブで最大戦速のランスチャージと参りましょう…!
●サード・アタック
「ここまでとは驚きですな」
「ダイジョウブ! マンナカノヒト!」
「おでがやる」
大魔王は度重なる猟兵たちの攻撃により、翼は捥がれ、背部にあった砲身も破壊され、その身に纏っていた魔導楽器群も無くなり戦闘開始時点の姿とは大きく変わっていた。
しかしまだ変わっていないことがある。それはその身体、その巨躯、その体躯。圧倒的なまでの大きさを誇るその身体はそれだけで最強最悪の兵器と成り得る。
「デッカイ金ぴかにゃー! 大魔王金ぴかなんて激レアにゃ! ナミルが頂くデスにゃ!」
「これが大魔王、その原初のカタチですかー……」
「この姿はこれ以降の形態を考えればただの前哨戦……このくらいは軽く片付けられなければ、真の姿に謁見する権利はありませんね!」
立ちふさがる大魔王と相対するのはナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)、フランチェスカ・ヴァレンタイン(九天華めき舞い穿つもの・f04189)、ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)の3人。
この状態に陥った大魔王がとる行動はただ一つ。それを超えるためにここに3人はいる。
「おでがやる おでがやる」
最後に残った巨大な身体と言う最強の武器。それを十全に活かすための行動。
———それはただ愚直なまでの突進。
その巨躯に似合わぬスピードで駆けだす大魔王。その向かう先はもちろん今ここにいる3人の猟兵。
徐々に加速するその突進に合わせ3人もまた動き出す。
「それでは」
「よろしくにゃー」
「はいッ!」
この突進を受け止めるのはソラスティベルの役目。もちろんフランチェスカもサポートはするがそれでもメインはソラスティベルである。取り出した『スチームシールド』を身体の前で構えながらその視線は逸れることなく大魔王のことだけを視続ける。
タイミングを少しでも外せば対格差でひとたまりもない。来ることはわかっているが細かなタイミングはぶっつけ本番で合わせるしかない。
「いきます!」
大魔王の速度が最高速に到達し、接触まであと数秒。そのタイミングでソラスティベルは大地を蹴り飛び上がる。それに追従するようにフランチェスカも羽ばたき飛翔。ナミルもまた己の役割を全うすべくその場で最高のスタートを切れる準備を行う。
「おではらへった おではらへった!」
大魔王の突進がソラスティベルの眼前へと迫る。
構えた盾に力が籠る。
「アルバサーラ・クィンティア展開!」
背中合わせになっているフランチェスカが可変飛翔ビットを盾して飛ばし構える盾はさらに大きく。
大魔王との接触に備え、フランチェスカが全身のバーニアを噴かしソラスティベルの身体を支える。
交叉の時間は瞬きより短い。その刹那の時間にソラスティベルは全力の防御を注ぎ込む。
盾とビットが軋みを上げ、砕け散る直前のその瞬間。
「———ここッ!」
空中で突進を受け止め続けていたソラスティベルとフランチェスカの身体が支えを失ったかのように大きく上空へと弾き飛ばされる。そうなれば次はどうなるのか。
突進の命中を確認した腹の口は弾き飛ばされた2人へ追撃を加えるためにチャージを開始。それと同時に狙いを定めるべく腹の口は天を向く。
「ヤッチャエ! ヤッチャエ!」
真紅の光が収束し、狙いは上空の2人に絞られる。突撃と光線の2段構え【真紅崩天閃光撃】こそが大魔王に残された最後の攻撃手段。
「さぁ、『腹の口』殿!」
チャージが完了し、腹の口から真紅の光が放たれる
―――ことはなかった。
「金ぴかたーいむにゃー!」
弾き飛ばされた2人とは別に、ナミルは大魔王の懐へと潜り込んでいた。腹の口の狙いは上空の2人へ向いているし、この距離であれば光線が直撃することはない。
しかし今ナミルにとってそんなことはどうでもいい。大事なのは目の前にある金ぴかなのだ。潜り込むついでに大魔王の身体をあちこち探索してみたがこの金ぴかは少々サイズが大きすぎる。だから少しでも小さくしておきたい。あとで回収するときのために。
振りかぶられた多数の装飾が施された黄金に輝く巨大な斧『カタストロフ』が光線を放とうと大きく開かれた顎へと叩き込まれ、強制的にその口を閉じる。それと同時に今の一撃に込められた呪詛が発動する。
「———! ———!」
「どうされた!? 『腹の口』殿!」
発動した呪いは喋ることができなくなる呪い。つまりその呪いを解除しない限り腹の口は再び口を開くことはできない。
これで光線は無効化され大魔王の身体が一瞬だけ無防備になる。
「ここがチャンスですね」
光線が無効化されたことにより急降下を開始したフランチェスカは砲撃に加え光子マイクロミサイルを一斉発射。その爆煙に紛れ大魔王とすれ違うように下方へと抜ける。
そのまま慣性を費やす様に【天つ煌めき 翔け穿つもの】を発動。その手に持つ斧槍を槍先から旋条に迸る万象を灼き穿つ光焔の刃で覆い、この急降下で消費したエネルギーをその身に取り込み全バーニアのフルドライブで再上昇。
―――狙うは大魔王の腹の口。
「蒼雷の竜よ、雷の大斧よ。今こそ応えて、我が勇気に。災厄の一矢を断つ、汝の名は」
ソラスティベルもまた落下の加速を利用し蒼雷を纏う大斧を振りかぶる。
―――狙うは大魔王の真ん中の人。
「にゃー!」
呪詛の込められた大斧を構えナミルもまた振りかぶる。
―――狙うは大魔王の上の頭。
「【我が名は神鳴るが如く(サンダラー)】ッッッ!!!」
響き渡る轟雷と共に降りぬかれた3種の斧が三位一体それぞれ大魔王の顔を粉砕する。
神鳴の音が止む頃に立っていたのは3人の猟兵だけだった。
大成功
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