アルダワ魔王戦争1-D〜ストリーム・トゥ・ジ・アビス
「皆さんお疲れ様でーす! 首尾は如何ですか?」
お立ち台代わりの座席の上で、シーカー・ワンダーはバンザイ・ジャンプをして猟兵たちを出迎えた。
既に仔細を知る者も多いだろうが、現在は大魔王討伐のため、旧校舎地下の迷宮を順次攻略中。シーカーが告げる場所は、今のところ明らかになっている迷宮のひとつ、地下坑道だ。
「この坑道も色んな所があるみたいですけど、俺が予知したのはトロッコレールで進むみたいです。ジェットコースターな感じですね」
坑道の攻略手順だが、まず猟兵たちには坑道にあるトロッコに乗り込んでもらう。トロッコは魔術式の動力を持ち、凄まじい速度で迷宮の奥に連れて行ってくれる。……のだが、当然ただで最奥に、とはいかない。
「えーとですね、まずトロッコの進行方向には色んなトラップがあります。首チョンパしてくるブレードとか、爆発する魔石が飛んでくるとか。それに加えて、オブリビオンたちが乗り込んだトロッコが並走したり追いかけたりしてくるみたいです」
配置されたオブリビオンは、『戦闘人形』。猟兵に対抗する為、大魔王の技術で改修された強化型ミレナリィドールたちだ。トロッコに乗り込んだ状態で銃撃をしてきたり、直接猟兵のトロッコに突入して引っかき回したりとひたすらこちらを妨害してくる。
また、戦闘人形たちは自身のユーベルコード『ドールズ・コミュニティ』により迷宮の罠をものともしない。猟兵側は、戦闘人形を排除しつつ罠をかい潜って坑道を進んでいき、トロッコ停車地点に到達すればひとまずOKだ。
「迷宮は広大なので、どうしてもちょっとずつしか探索出来ないんですが……千里の道も一歩から、というやつです! ここでの探索が無駄になることはないので、頑張ってきてください!」
シーカーはピョンピョン跳ねながら手を振り、猟兵たちを送り出した。
鹿崎シーカー
ドーモ、鹿崎シーカーです。遅ればせながら参戦致します。
●舞台設定
トロッコレールが張り巡らされた地下迷宮です。廃坑道に掘削に使われたと思しきパイプが壁や天井に這い回り、天然の空洞も混ざった複雑な作りをしています。ここをトロッコ・コースターで突き進み、妨害オブリビオンや数々のトラップを潜り抜けてトロッコ停車地点に辿り着くのが今回のミッションです。
プレイングボーナスは『マッピング』、『トロッコ制御』、『効率的な戦闘』のどれかです。
●第一章・集団戦『戦闘人形』
猟兵に対抗する為に大魔王の技術で改修された強化型ミレナリィドールのオブリビオン。銃撃やアクロバットな動きで猟兵トロッコを妨害し、自身らのユーベルコードにより迷宮内のトラップを全て回避することができます。探索の妨害をする彼女たちを排除するのも成功条件のひとつです。
アドリブ・連携を私の裁量に任せるという方は、『一人称・二人称・三人称・名前の呼び方(例:苗字にさん付けする)』等を明記しておいてもらえると助かります。ただし、これは強制ではなく、これの有る無しで判定に補正かけるとかそういうことはありません。
(ユーベルコードの高まりを感じる……!)
第1章 集団戦
『戦闘人形』
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POW : ガイダンス・ガン
【対象の動きを【見切り】、【誘導弾】の弾丸】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : クイック・ダブルドロウ
レベル分の1秒で【【2回攻撃】の【鎧無視攻撃】の弾丸】を発射できる。
WIZ : ドールズ・コミュニティ
【事前に対象の【情報収集】を行う事で、】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
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●お知らせ
・本シナリオのプレイング受付は、2月4日火曜日の23:00までです。
セット・サンダークラップ
一人称はオレ・二人称はあなた・三人称は彼、彼女・名前の呼び方は名前+さん
トロッコ制御に挑戦しながら戦うっす。
【操縦】でトロッコを操りながら、危ない時はフルバースト・マキシマムの反動による姿勢制御!
相手の妨害や大きく高低差のある地形でトロッコがバランスを崩した時、【見切り】でタイミングを見極めて【一斉発射】【地形耐性】でバランスを回復させるように撃つっす。姿勢制御と相手も攻撃できる一石二鳥を狙うっす。
相手の攻撃は・・・【覚悟】で。
罠に対処しないといけない場合は、アイテムのアサルトレギオンやヒールドローンを展開して【槍投げ】で迎撃したり【かばう】【盾受け】でガードするっす。
アドリブ、連携歓迎っす!
吉柳・祥華
◆心情
坑道とか迷宮をトロッコで…ロマンざんしな?
ふむ、ギャラリーも多そうじゃがの
トロッコのスピード+αで敵を退けることが出来ればよいのじゃがの
…難しいかのお?
◆罠
トロッコに乗り込んだ所ですぐさま
ユーベルを使い周囲にレギオン共を配置させる
防壁としては心許ないが無いよりましじゃろ
◆戦闘
地形耐性?とか
暗視・視力・野生の勘・第六感などで襲撃や罠に備える
倶利伽羅や霊符をばら撒き妾も守りを固める
白虎の封印を解き顕現した白虎が妾のフォローに当たらせる
妾自身は結羽那岐之を構えて直接攻撃での応戦
2回攻撃や破壊工作で衝撃波・なぎ払いなどで敵を蹴散らしながら
時折、ユルング・カルマが全力魔法などで猛威を振るうじゃろ
中村・裕美
マッピング
「……まずは……周囲の探索ね」
電脳魔術で周囲の地形を【ハッキング】し、地形や罠の位置を【情報収集】。可能なら【罠使い】で解除か【封印を解く】でこちらに被害が出ないタイミングで発動。トロッコに乗って近づかないと情報収集できないようなら、【早業】で高速処理
「……人形の頭部が手に入れば……データの収集も楽だけど……難しいかしら」
戦闘
戦闘はシルヴァーナに切り替わり戦闘パターン変更、【瞬きの殺人鬼】で能力を上げ、トロッコから飛び出してナイフの【早業】で首や腕の【部位破壊】をしたり、槍を投げて【串刺し】にしたりする
「効率的な殺しの業ならお見通しですわ」
活動限界になれば、トロッコに帰還し裕美に戻る
エメラ・アーヴェスピア
…レール、ね
私が始めてアルダワで受けた依頼も罠の為にレールが引かれていたわ
懐かしいものだけど…あれから時が進みついに戦争…
感傷に浸っている場合ではないわね、それじゃあ猟兵の仕事を始めましょうか
私がとる手段は非常に簡単よ
『我が紡ぐは戦装束』、対象はトロッコ
装甲や魔導蒸気兵器を取り付ける事により戦闘力や罠への対応力を上げる事で問題を解決するわ
もはや戦車と化している感じだけど…何の問題もないわね
戦闘人形に対しては各種兵器の弾幕で近づかれる前に撃ち砕くわ
それじゃあ手早く行きましょう…戦争はまだ始まったばかりよ
※アドリブ・絡み歓迎
ゴウンゴウンゴウンゴウン……。
奥まった闇から聞こえる、蒸気噴出音混じりの低い機械駆動音。地獄の入り口じみ
た洞窟の入り口には悪魔の下めいて長いレールが伸びており、先端には赤錆色の金属
トロッコが鎮座していた。
前面に明かりの消えたライトを備え、後ろ側には青いバスケットボール大の宝石を
埋め込んだ円形の機械。トロッコの端に寄り掛かった吉柳・祥華(吉祥天龍・f17147
)は、海のように深い蒼の盃を揺らしながら呟く。
「坑道とか迷宮をトロッコで……ロマンざんしな?」
「そうっすねえ」
宝石を埋め込んだ機械を検めながら、セット・サンダークラップ(青天に光を見る
・f05234)が同意を返した。
「映画とかでもあるっすよね。こういう前人未踏っぽいところに突っ込んで、あとは
ドカーンて爆発に追いやられて飛び出す感じの。かっこいいとは思うっすけど、命が
いくつあっても足りなさそうっす……」
「……実際……あれで生きてるの……奇跡だから……」
トロッコ中央部に正座した中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)がうっそり
と言う。両手は展開されたホロキーボードを滑らかにタイピングし、眼前に開いた三
つのホロウィンドウから目を離さない。祥華はその様を不思議そうに見つめた。
「妾が言うのもなんざんしが……お主、何をやっとるのかえ?」
「……準募出来るまで……道の先を調べてる……まずは……周囲の探索ね」
「ほう……」
感嘆した祥華は、視線をトロッコ前部の方にスライドさせた。目を閉じ、両膝と両
手をトロッコに着いたエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)が足
元に金色の魔法陣を回転させている。
喉元についたエメラルドブローチから映写機めいて投影された画面が、上から下へ
流れるようにスクロールを繰り返す。文字列が一番下に辿り着いた瞬間、エメラはカ
ッと目を見開いた。
「必要な兵器の選定終了……魔導蒸気機関機動確認……兵器の換装を開始……!」
直後、エメラ足元の魔法陣が発光し、トロッコ全体が金色の光に包まれる!
やがて閃光の塊と化したトロッコの両側がそれぞれ膨らみ、横長円筒形に変化。さ
らに車体が前後に伸びて二倍の長さに。中央部に長方形の光が浮上し、上方表面から
薄い三角形の二枚板が、板の間に巨大望遠鏡めいた筒状光が形成された。
祥華が目を丸くして頭上の筒状光を見上げる中、トロッコを包んでいた光は爆散!
後に現れたのは、分厚い黄金色の装甲を持つ砲塔列車じみた武装駆動装置である!
「随分と大胆な改造ざんしな?」
「十分過ぎるくらいでいいのよ」
エメラが立ち上がりながら祥華に返す。その眼差しは、洞窟奥へと続くレールに向
けられていた。
「……レール、ね。私が始めてアルダワで受けた依頼も、罠の為にレールが引かれて
いたわ」
ホロキーボードを叩いていた裕美が顔を上げて問う。
「……トラウマ?」
「いいえ。むしろ懐かしいものだけど……あれから時が進みついに戦争……まさか、
こんなことになるとは思ってなかったわ」
溜め息をひとつ挟み、エメラは軽く首を振った。回想よりも現在の方が重要だ。ト
ロッコ後方を振り返れば、エメラ、裕美、祥華とトロッコ搭載砲塔を挟んでセットと
いう形で分かれている。
「今は感傷に浸っている場合ではないわね。それじゃあ、猟兵の仕事を始めましょう
か。セットさん、動かせる?」
「準備オッケーっすよー! 操縦なら任せてほしいっすー!」
セットが振る両手首には、筒状の真鍮色の金属腕輪が嵌められている。宝石装置か
ら伸びる蛍光ブルーの管が接続されたそれを通じて魔力を流し、トロッコを動かす仕
組みなのだ。エメラは頷き、腕を振り子めいて下段に振りかぶった。
「これも使って」
エメラが放った物体を、セットは危うくキャッチする。真鍮色の缶状物体が三つ。
「エメラさん、これは?」
「駆動用蒸気魔導缶。要するにバッテリーよ。魔力が足りなくなったら使ってちょう
だい」
「了解っす!」
エメラたちに背を向け、駆動装置と見下ろしたセットは宝石部分に両手をかざした
。
腕輪と繋がったチューブ、そして宝石が淡く発光し、トロッコ全体がガコンと硬い
音を立てた。魔力が満たされ、発車準備が整ったのだ。同時に裕美がエンターを押す
。ホロウィンドウに『解除』の文字が浮かび上がった。
「こっちも……準備オッケー……この辺のトラップ、解除した……」
「手際が良いの。さて」
祥華は盃を飲み干して懐にしまい、二度手を叩く。トロッコレールの左右に突き刺
さっていた複数の剣がひとりでに浮き上がり、武装トロッコを守るように取り囲んだ
のだ。祥華があらかじめ召喚していた刀剣型のスピリットだ!
「ま、こんなところかの。防壁としては心許ないが、無いよりましじゃろ」
「トロッコというより、もはや戦車と化している感じだけど……何の問題もないわね
」
半ば呆れたようにぼやくエメラを見上げ、裕美が呟く。
「この先の罠までは……解除できてないから……防御は、固めるに越したことはない
と思う……。人形の頭部が手に入れば……データの収集も楽だけど……難しいかしら
」
「中がどうなってるかにもよるわね。ともかく、行ってみないと始まらないわ」
エメラはセットに手を振って合図した。
「いいわよ、動かして!」
「わかったっすー! それじゃ、出発進行っすよーっ!」
ガゴン! ギギギギギギ! 軋むような音を立て、八つに増えたトロッコ車輪が回
り始めた。黄金色に変わった車体はゆっくりと前進し、緩やかに速度を上げながら坑
道の入り口に滑り込んでいく。猟兵たちは、アビスめいた迷宮に突っ込んだのだ!
ギュルルルルルルル! ギュルルルルルルルルルルルル! 車輪の動きが急に加速
し、ジェットコースターじみて急角度を高速で疾走していく! 吹きつける向かい風
に、エメラはブラウンのシルクハットを押さえてトロッコの端につかまり前傾姿勢。
「派手なお出迎えじゃない……! 裕美さん、祥華さん、大丈夫!?」
「……うん」
「こっちは問題ないがの。やれやれ、不親切な設計よ」
正座状態で体を前に倒した裕美が頷き、トロッコ外縁を握りしめた祥華が苦笑混じ
りに不平を零す。トロッコには座席も安全装置もない。頼りになるのは己自身だ!
90度近い傾斜の下り坂を稲妻めいた速度で駆けるトロッコ! ふと声を上げたの
は裕美!
「……あ、早速トラップ」
「早いのぉ。いつどこから来るか、わかるかえ」
「……目の前、すぐだよ……」
裕美の報告を聞き、祥華は暗闇の奥に目を凝らす。恐るべき角度の洞窟の奥に、真
鍮色の輝きがいくつか見えた。それは―――ALAS! 無数に生えた金属トゲだ!
昆虫標本めいてゴブリンやオークの骸骨を吊るした罠の前には直角左急カーブ!
操縦を担当するセットは、裕美のデバイスとリンクしたホロウィンドウに映り込む
最初の難関にぎょっと目を見開いた。振り返ってトロッコの全長を確認し、ホロウィ
ンドウのカーブ角度と速度を合わせて計算。どう考えても曲がり切れぬ!
「どどどどどどどどうするっすかコレ!? 串刺しになっちゃうっすよ―――っ!?」
「なってたまるもんですか……! 祥華さん、前のコレどけて!」
エメラの要請を受け、祥華はトロッコ前面に展開した浮遊ブレードたちに手をかざ
した。刀剣スピリットが左右に広がり道を開けると同時、トロッコ砲台が迫りくるト
ゲに砲門を向ける!
「裕美さん、支えて!」
「……もうやってる……ハッキング、終わってるよ」
「流石ね」
エメラはふっと微笑み、ニードルウォールを睨みつける!
「砕けなさい! テレインディストラクション、発射ぁぁぁっ!」
巨大砲塔が砲撃をぶっ放した! 反動でほんのわずかに加速を緩めるトロッコを追
い越し、巨大なブドウの果実じみた榴弾が急角度を飛翔していく! 着弾、KRA-
ATOOOOOOOOM! 激しい暴風がトロッコに吹きつけた! 坑道激震!
「ほわあああああああ!?」
目を剥いて叫ぶセット。砂嵐状態のホロウィンドウが切り替わり、裕美の顔を映し
出した。
「……曲がるよ」
「曲がるよって裕美さぁん! レールは!? レールは無事なんすよね!?」
セットが裏返った悲鳴を上げる中、裕美のウィンドウの横に新たな窓が開かれる。
もうもうと立ち上る砂煙を透視した映像だ。壁には巨大なクレーター状になっている
が、レールは無事! 流れ出すエメラの声!
「見ての通りよ。さ、カーブの準備してちょうだい」
「な、なるほど……」
セットはごくりと生唾を飲み込んだ。新たなウィンドウは、エメラの翡翠めいた瞳
を覆うサイバーコンタクトレンズから送られて来たリアルタイム画像。これならタイ
ミングも測れる!
セットは冷や汗を垂らしつつも冷静さを取り戻し、駆動装置をつかむ両手に力を込
めた。
「よし……やるっす、やってやるっすよ! 振り落とされないように注意するっす!
3、2、1ッ!」
宝石を嵌めこんだ金属円盤を左に高速回転させた瞬間、カーブに差し掛かったトロ
ッコが右側車輪を跳ね上げる! 急角度に噛みついた左側車輪から火花と金属擦過音
! 円盤から外れた両腕下部にライムグリーンの光筒が二条寄り添う!
「うおおおおおおおおおおっ! 曲ぁぁぁぁぁがぁぁぁぁぁれぇぇぇぇぇぇぇっ!」
光筒から垂直に突き出したハンドルをつかんだ直後、ライムグリーンの光は爆ぜ飛
び二門の白銀砲身が姿を現す! セットはトロッコが倒れる方向めがけてためらいな
くハンドルを引きレーザーを発射!
ZGYUUUUUUUUUM! トロッコは横転寸前で体勢を維持! 腕輪のチュ
ーブが激しく光を波打たせ、セットの衣服に着いたラインも同様に輝いた。
「ジェット噴射するっす! しっかりつかまって!」
トロッコ両側に装備されたジェットエンジンが青白い炎を吹き始め―――ZGWO
OOOOOOOOOSH! 爆炎を噴いて強制加速! トロッコを力尽くでカーブせ
しめた! カーブの先は平坦かつ一直線で、トンネルの出口が微かに見える!
「………ッ! …………ッ!」
嵐めいた加速Gを一身に受け、エメラと祥華は口も目もまともに開けぬ! そして
猛烈かつ急激な急加速で生まれた風はセットの背中にも容赦なく押し寄せ―――彼を
トロッコの外へ弾き出した!
「ぬああああああああああああああっ!?」
「あ……」
トロッコの中にうずくまっていた裕美が辛うじて声を上げる。素早くキータイプし
てウィンドウを開けば、セットは腕輪に繋がったチューブによって宙を引き回されて
いた!
「んぐぐぐぐぐぐ!」
セットは涙目で足をばたつかせるが、風により顎を跳ね上げられてまともに離せな
い状況だ! 裕美はなんとかトロッコの縁にしがみつく祥華の着物の裾を控えめに引
っ張る。
「……セットくん……飛ばされてる……スピリット、回して」
「んんんっ……!」
祥華は喋ることもままならないながら、風に紛れた裕美の声をなんとか捉えた。ト
ロッコに捕まっていない片腕を後方に伸ばし、五指を握り込む。彼女の中指に嵌まっ
た、白虎の頭部をかたどった指輪からエクトプラズムじみたものを発射!
砲台下部の隙間を抜けた人魂はトロッコの後方を突き抜け、セットの頭上を飛び越
えて背後で一気に膨れ上がる! 白い陽炎の球体めいたそれを突き破って飛び出した
のは一頭の大きな白虎だ!
「GRRRRRRRRR!」
太い四肢で枕木を踏み抜いた虎はトロッコに追随すべく疾走開始! 獲物に追いす
がるようにレールの上をひた走り、徐々にセットへ近づいていく。開いた牙がセット
の首根っこをつかまえる寸前で、トロッコは洞窟の出口を飛び出した!
巨大な縦穴となった超広大な空間に、縦横無尽に張り巡らされたレール群。ジェッ
トコースター施設を複数重ねたような有様の場所に出た猟兵トロッコの真上から高速
回転しながら急速落下してくる影が四つ在り! 裕美が警鐘を鳴らす!
「……敵、来たよ……真後ろ」
「っ!」
「んむ……」
エメラと祥華の顔に緊張が走った。然り、ホイールソーめいて急襲をかけてくるの
は銃剣付き二丁拳銃を構えた少女人形型オブリビオン『戦闘人形』! 狙いはセット
を間一髪で助けるチューブ! これが切れればトロッコは止まりセットは死ぬ!
運転手が操作盤を離れた影響でジェット噴射が収まりかける。これにより加速G縮
小! 辛うじて目を開いた祥華は急いで背後を振り返り、ぼやける視界の中で戦闘人
形を捕捉した。右手人差し指と中指をそろえて真上に突き上げる!
「貫け、大気のスピリットたちよ!」
祥華の命令と同時、セットの周囲をぐるりと取り囲む形で浮遊刀剣が展開! 切っ
先を上向け、ロケットめいて戦闘人形たちへ飛び立った! 回転を止めた四体の戦闘
人形は二丁拳銃を下向け、BLAMBLAMBLAMBLAM!
一斉銃撃がスピリット剣をまとめて破壊しセットを繋ぎ止めるチューブに降りかか
った! 辛うじて命中は回避するがセットは泣きそうな顔で叫んだ!
「うおああああああああ! やめろっすーッ! 落ちる、落ちるーッ!」
足をばたつかせて訴えるセット。トロッコレールの左右はアビスに通じる暗黒であ
る! そこへ、同じく加速Gから解放されたエメラが振り向き片手を滞空する戦闘人
形たちにかざした。
「魔力装填、照準完了! 薙ぎ払うわよ!」
トロッコ積載砲が砲門奥に翡翠色の光をチャージしながら頭を上げ、首をトロッコ
真横側へ巡らせる。直後、ZGYUUUUUUUUUM! エメラルドグリーンのビ
ームを放ってさらに180度横回転し戦闘人形四体をまとめて消し飛ばした!
縦穴の横壁に刻まれた一直線の焼け跡が端から順に連鎖爆発! BBBBBBBB
BBOOOOOOOOM! バラバラと落下した岩の一部が、猟兵トロッコレールの
後方を破壊! 吊り橋レールはトロッコ追うように崩壊していく!
「祥華さん、セットさんを戻して!」
「白虎!」
祥華に鋭く呼ばれた白虎がセットの首根っこに噛みつき、トロッコめがけて斜めに
跳躍! 空中で一回転して首を振り上げ、ダンクシュートめいてセットを振り下ろす
!
「のわああああああああああっ!」
セットは頭からトロッコの操縦席に墜落! ジャストミートを決めた白虎は全身を
陽炎じみて薄れさせ、エクトプラズムとなって祥華に向かう。彼女が高く掲げた腕の
、中指に嵌まった指輪にエクトプラズムが吸い込まれると共に裕美が告げる。
「……運転、引き続きお願い」
「は、はいっす! おかげさまで助かったっす!」
口早に礼を言ったセットは操作盤に飛びつき、再度魔力を注ぎ込み始めた。エメラ
がその背中に声を投げかける。
「誰かつけた方がいいかしら!? また吹き飛ぶのはお互い嫌でしょう!」
「だ、大丈夫っすよ! 同じ失敗はしないっすから! またジェット噴射ぶちかます
っす!」
顔を上げたセットの両目が、すぐそこまで追い上げてくるトロッコレール崩壊を目
にする。このままでは追い付かれ、トロッコもろとも奈落の底だ! セットは腰を落
とし、意を決して操作円盤を握る手に力を込めた! 魔力励起!
「いくっすよー! せぇーのっ!」
ZGWOOOOOOSH! 先ほどよりやや弱めのジェット噴射がトロッコを押し
込んだ! 徐々に崩壊が引き離され、出て来た場所のちょうど反対側にある洞窟へと
猛進していく! そこで裕美が顔を上げ、エメラと祥華を見やった。
「……敵影確認。入ったら……仕掛けてくるよ……」
「裕美さん、敵の数はわかるかしら?」
「左に3、右に3……どっちもトロッコ乗って……ガトリングガン構えてる……」
それを聞いたエメラは祥華と目配せ。素早く頷き合った。
「右は片づけるわ。左、お願いできる?」
「よしなにやろうかの」
トロッコ積載砲口が右側を向き、祥華の引き抜いた青龍型かんざしが青緑色の暴風
をまとって斜めに伸長! 風がほどけたそこには、波打つ刃の片側に三日月状の刃を
取りつけ、柄に龍を巻きつかせた槍矛があった。
トロッコが縦穴のレールを抜けて洞窟に突入。裕美がカウントダウンを口ずさむ!
「5……4……3……2……1
…………!」
狭い洞窟が開けた瞬間、エメラは片腕をトロッコ右側に伸ばした! CABOOO
OOM! 撃ち出された榴弾が待ち構えていた戦闘人形トロッコを粉砕! 他方、虹
色のメビウスの輪を背負った祥華がトロッコ左側に跳んでいた。構える戦闘人形!
BRRRRRRRRRRRR! 猟兵トロッコと並走しながらガトリングガンが祥
華めがけて放たれる! 祥華は薙刀を左右に斬り払い衝撃波で弾幕を弾き返し、銃身
をも破壊! メビウスの輪が極光を放つ!
「天翔ける雷槍・重力纏い・流転せよ」
祥華が括目した瞬間、∞字輪の空洞二つから紫電を帯びた黒いエナジー弾が撃ち出
された! 電光の重力弾は少女人形トロッコに直撃してドーム状に拡大! 塵も残さ
ず消し飛ばした! 祥華は指輪のはまった手を握る。
「白虎!」
指輪の口部分から吹き出したエクトプラズムが全長を伸ばし、巨大な白虎を再生成
! 白虎はその背に祥華を乗せてレールの敷かれていない広大な岩盤に着地し、猟兵
トロッコを追いかける。刹那、周囲が地震めいて激しく揺れた!
「……頭上注意……爆弾魔石、降ってくるよ……」
言うなり、祥華はタイピング速度を凄まじく速める! 数秒と経たず、バレーボー
ル大の赤黒い光を湛えた宝石が雨の如く降り注いできた! セットは真上を仰ぐと操
作盤から手を離し、手足を跳躍予備動作めいてぐっと縮める。
「裕美さん! ちょっと速度落ちるけど許して欲しいっす! ヒールドローン……展
・開ッ!」
四肢を真っ直ぐ上に伸ばしたセットの頭上でライムグリーンの光が波紋となって広
がっていく。トロッコと祥華を乗せた白虎真上の空間がぐにゃりと歪み、水面から浮
上するように大量の盾型ドローンが上向きで姿を現した!
「全弾ガードするっすーッ!」
セットが叫ぶと同時―――BBBBBBBBBBBBBBBBOOOOOOOOO
OOOOOOOM! 盾型ドローン越しに聞こえる激しい爆撃の重奏! 鋼の天井一
枚隔てた真上では魔石の絨毯爆撃が行われているのだ!
一方で裕美は目蓋に汗が落ちるのを感じながらも高速タイピングを継続! 落ち物
ゲームじみて次々と落下してくる魔石のうちいくつかを無力化し、ただの濁った黒い
宝石に変えているのだ。だが全ては不可能! 豪雨じみた激しさ! セットは焦る!
「うぐぐぐぐぐ……!」
(早くこの危険地帯を突破しないと! でも操縦まで手が……せめてジェット噴射ぐ
らい出来れば!)
そこまで考え、セットはハッと思い至った。トロッコのジェット噴射を駆動させる
手段! 右手を下げて服のポケットをまさぐり、金属缶を一本取り出す。エメラから
渡された非常用魔導蒸気缶! それを操作円盤下部に着いた丸い穴に捩じり込む!
「うおおおおおおおおお! ジェット噴射するっすよーッ! 一気に駆け抜けてやる
っすーっ! 祥華さん、早くーッ!」
「急げ白虎!」
祥華が走る白虎の首筋を軽く叩くと、神獣は一声吠えて疾走速度を上げてトロッコ
に接近! 横づけに成功した巨体から祥華が飛び降りたその時、ジェット噴射機構が
起動した! ZZZGGGWWWOOOOOOOOOOOOOSH!
「レッツゴ―――ッ!」
やけくそめいてセットが咆哮し、ZGOOOOOOOOOOOM! トロッコは時
速666キロめいた速度で爆弾魔石雨地帯を突き抜けていく! 盾型ドローン天井を
備えたまま突き進み、緩やかな右カーブ! 魔石ハックを止めた裕美が指示する!
「右……次に左…………上がるよ、気を付けて」
急勾配の坂道を速度に任せて駆け上がるトロッコ! 凄まじい風圧を受けながら、
エメラがもつれる舌を動かした。
「ど、どこまで続くのこれ!」
「……まだまだ続く…………ん」
裕美の眼鏡レンズ裏側に汗が滴る。画面には『↑ CAUTION! ↑』の表示
! 裕美がスキャニングをするより早く、トロッコが昇る急勾配の頂点に別のトロッ
コが落下した。
左右に揺れながら着地したトロッコは、山のように満載した黒い宝石を赤黒く輝か
せながら逆道を駆け下りてくる! ALAS! 爆弾魔石積載トロッコだ! 正面衝
突すれば猟兵ごと粉微塵! 帽子の鍔で目元を庇ったエメラが薄目で睨む!
「榴弾……はダメよね! レールごと壊れる!」
「……ハッキング……ちょっと……難しい……魔石ひとつひとつが……別々に動いて
る……トロッコをハッキングしても……ぶつかる……」
高速タイピングしながら方法を高速で考える裕美! だがトロッコ激突事故は既に
秒読みの段階! 動いたのは―――祥華だ! 伸ばした右手を爆弾トロッコにかざし
、背負った虹色の輪を輝かせる!
「大いなる流動、無垢なる凍刃、我が手に集い、射てよ」
メビウスの輪が青色に変わり、祥華の右肩をダイヤモンドダストの渦が駆けのぼっ
て手の平に収束! 水飛沫と冷気の霧を渦状に放出する小型彗星めいた弾丸を生み出
した! 発射!
BLIIIIIIIIIZZZDDD! 吹雪じみたサウンドを撒き散らした氷水
の弾丸は真正面から爆弾トロッコに直撃し、青白い霜で車体を閉ざす。だが慣性と降
下Gを乗せたトロッコは止まらぬ! そこでセットが進行方向を振り向いた!
「アサルトドロ―――ンッ!」
槍投げ選手めいて引き絞ったセットの手の平からライムグリーンの光が伸びた。内
側から光を破裂させたそれは突撃槍型のドローンだ! セットの金目が爆弾トロッコ
を射抜く!
「そこを……退けるっす―――っ! うりゃあああああああああああっ!」
セットの投げ放った槍型ドローンが柄尻からジェット噴射して飛翔! トロッコ積
載砲塔の真下を突き抜け、屈んだエメラの頭上をも突破! 氷山と化した爆弾魔石の
山に突き刺さり、爆弾トロッコをウィリーさせた。立ち上がる車体の真横に波紋!
「おりゃあっ!」
その場で右拳を薙ぐセット! 波紋から飛び出した盾型ドローンが爆弾トロッコの
側面を殴りつけてレールの上から叩き出す! 落下していく爆弾トロッコを横目に猟
兵トロッコはその場を通過。たちまち上り坂の頂上に達し、下り坂に以降する!
「……セット、後ろ。来るよ……」
裕美の警告と共に、坂の頂上に回転落下してくる人影! 着地したのは戦闘人形!
武装はロケットランチャーだ!
「それはちょっと聞いてないっすよ―――っ!?」
青ざめるセットに構わずロケットランチャーが放たれた! BOOOOOOM!
真っ直ぐ飛来する弾頭に、セットは意を決して両手を突き出す。ライムグリーン光の
波紋から盾型ドローンを召喚して防御! CABOOOOOOM!
着弾、爆発を確認した戦闘人形は無機質な瞳でトロッコの無事を見抜いていた。カ
ラになったロケットを上げ、再装填せんとする彼女を背後から走って来た白虎の前脚
が薙ぎ払った! 猟兵トロッコは下り坂を降り切り、再び水平なレールの上を走る。
「嫌な雰囲気ね……」
前方の様子を見つめながらエメラが呟く。行先にはレールが真っ直ぐ伸びているも
のの、その左右には大型コンテナが乱雑に積み上げられ幾多の死角を作り出していた
。不意に、裕美が立ち上がる。エメラは肩越しに裕美を見返った。
「……この先のコンテナ……戦闘人形でいっぱい……」
「まあ、そうでしょうね。ラストスパートかしら?」
「……多分。……でも、見ての通りだから……」
裕美は肩にかかった髪を後ろに払った。腰まである長い黒髪が波打ち、銀色に変化
する。外した瓶底眼鏡から覗く瞳は、血のような赤! 穏やかな笑みを浮かべた裕美
―――否、裕美の第二人格シルヴァーナは、右手で大きなサバイバルナイフを回す!
「少々、こちらを空けますわ。しばしの間、探知は出来なくなりますけれど……守護
をお任せ致します。では」
返事を待たず跳躍して姿を消すシルヴァーナ。その時である! 前方、レールを挟
む形で配置された二つのコンテナの間から複数の戦闘人形が素早く展開! 一斉にロ
ケットランチャーを構える! エメラは両手をそちらに突き出した!
「さて。それならもうひと踏ん張りするとしましょうか。祥華さん、防御は任せてい
いかしら?」
「よかろう」
祥華は両手に何枚もの霊符を扇状に広げ、左右にばらまく。札はトロッコの左右に
飛翔し、見えない壁に貼りつくようにして防壁を作り出した。それはそのまま猟兵ト
ロッコと並走するのだ! さらにトロッコの真上に炎が円環状に居並ぶ!
「準備完了ざんしな。派手にやるが良い」
「ありがとう」
礼を言ったエメラの両目がキッと逆立った直後、行く手を塞ぐ戦闘人形たちが一斉
にロケットランチャーを射出した! BBBBBBOOOOOOOOM! 真っ直ぐ
猟兵トロッコを正面から迎撃しにかかるいくつもの弾頭を、エメラは睨んだ!
「次から次へと……いい加減、黙って道を開けなさいッ!」
SMACK! トロッコ前面に金色の魔法陣が展開され、中央から光弾が撃ち出さ
れる! 爆ぜた光弾から現れたのは白銀の鎧と蒸気駆動の槍を持つ機械兵!
「ホワイトバースト! 薙ぎ払いなさい!」
エメラの命を受けた機械騎士は赤いマシンアイを光らせて加速! 一瞬で弾頭とす
れ違い、SLAAAAAASH! 全て斬鉄破砕し爆散せしめる! そのまま槍を回
転させて戦闘人形たちに肉迫し、槍の穂先についたパイプから灰色の蒸気を噴出!
STEEEAAAM! 蒸気噴出音と共に機兵の姿が掻き消えた。一陣の突風が少
女人形たちの銀髪を揺らした直後、人形は全てバラバラに切断されて四散! 斜めに
跳躍して姿を消す機械兵のあとを駆け抜ける猟兵トロッコ!
だが、まだだ! トロッコが通り過ぎたコンテナの上、さらに積まれた立方体コンテナの陰に一体ずつ隠れていた戦闘人形が片膝立ちでスナイパーライフルを構える! 狙いは操縦席のセットだ! 引き金に指がかかった、その時!
「おいたは感心しませんわね?」
狙撃戦闘人形の片割れが首を斬り飛ばされ絶命! 稲妻めいた速度でもう片方の狙撃戦闘人形に迫ったシルヴァーナはナイフを縦に振り下ろし人形の頭部を割断殺! 空中で両足を跳ね上げてコンテナの壁を蹴り斜めにジャンプした!
シルヴァーナの紅い瞳には、猟兵トロッコの行く手で待ち構える戦闘人形たちの姿が見えている。それらは裕美が残した情報であり、殺しを導く軌跡でもある! ツバメの如くコンテナに着地したシルヴァーナはナイフを投擲!
「効率的な殺しの業ならお見通しですわ」
レールに向けて爆弾魔石を投げんとしていた戦闘人形が眉間を射抜かれて死亡! 前のめりに倒れ、魔石の爆発に巻き込まれて四散した。そこへ素早く飛び来ったシルヴァーナはナイフを回収してさらに跳躍!
トロッコの道行きを阻まんとする戦闘人形たちを蹴散らし、レールの左右から飛び出す金属トゲを霊符や炎で焼き払う。宙に複数浮いた黄金色のガトリングガンが立ちふさがる戦闘人形たちをまとめて薙ぎ払った。
高速で過ぎ去っていく黄金色のトロッコ。あとに残されたのは砕け散り、残骸と化した人形たちのみ。やがてトロッコに戻ったシルヴァーナは片膝立ちで目を閉じ、黒髪に戻って倒れかかる。その両肩を祥華が優しく受け止めた。
地獄めいた旅のゴール。トロッコの停車をめざして、セットは操縦版をさらに強く握りしめるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アシュリー・オールドマン
戦闘人形か。駆逐する。トロッコ進行方向のトラップは私の小柄な体を活かして伏せて回避。並走する敵の銃弾を防ぐ意図もある。
並走する敵トロッコの中に聖別フラッシュバンを投げて目眩まし。
敵の銃撃からトロッコ側面で遮蔽を取り、攻撃の隙間にUC【最適解】を用いて聖なるPDWで範囲攻撃、戦闘人形の出方を伺う。
こちらのトロッコ乗り込むのであればショットガンで零距離射撃+制圧射撃。
トロッコには分岐点があるはず、ワシミミズクのアンドラスを先行させて分岐レバーを操作させよう。
地形情報を得るにはトロッコが早すぎる、他の者へ任せた。
(一人称:私、二人称:貴殿、三人称:貴様、呼び方:苗字+殿)
神代・凶津
トロッコに乗りながら迷宮攻略とは中々面白そうじゃねえか。
腕が鳴るな、相棒ッ!
「・・・油断しないでよ。」
分かってるって、相棒こそこういうトロッコ系のアトラクション好きだろ?
「いくぜ、相棒ッ!」
「・・・転身ッ!」
雷神霊装を纏ってトロッコに乗り込むぜッ!
雷神霊装で引き上げた反応速度でトロッコを制御しながらトラップを見切って避けたり雷撃を纏った妖刀でなぎ払ったりして進むぜ。
敵のトロッコが現れたら武器を破魔弓に変えて破魔矢をぶちこんでやるよ。
此方に乗り込んできたら霊装で引き上げたスピードを乗せた妖刀で叩き斬ってやる。
んじゃ、一気にいくぜ相棒ッ!
【技能・見切り、なぎ払い、破魔、スナイパー】
【アドリブ歓迎】
コイスル・スズリズム
トロッコに乗ったら罠には罠を
まずは「残像」を作り出して
本体であるすずは「闇に紛れる」「罠使い」
素敵ね、このスピード。
じゃあ
魔法学園の学生らしく―――ここからは魔法で対抗させてもらうわよ
闇に紛れながら、魔導書を開いて
向かってくる罠を
何が飛んでこようが
「第六感」と「野生の勘」「見切り」を頼りに
「全力魔法」をのっけた【UC】の対象にして影から「破壊工作」
スピードに乗るトロッコの上で徹底的に集中して「高速詠唱」
向かい来るトラップに魔法をぶつけ破壊し続ける
敵が出たら「おびき寄せ」が成功
そちらから来てくれて嬉しいわ
範囲内の対象としてUCで攻撃
防御は魔導書で「武器受け」
一人称:私
二人称:あなた
アドリブ大歓迎
茲乃摘・七曜
心情
罠に妨害ですか…負けられませんね
指針
トロッコは魔術式の動力に干渉し、加速・減速を行い災魔の操るトロッコとの位置を調整する
「動きを止めて囲まれては元も子もありませんから、壊さないよう脱線しないよう注意しつつ基本は加速ですね
戦闘
基本はトロッコの操作に集中
Angels Bitsとの三重の輪唱の反響で周囲の状況を探り、異常は歌に乗せて仲間に伝える
(進行方向に対する効果は限定的だとしても、首を狙うブレードなど線路を遮る罠であれば違和感を聞き取って見せましょう
自身とトロッコへの攻撃は収束させた音波をぶつけることで防ぎ、防げないものは激痛耐性で耐える
(しっかりと最後まで努めましょう
連携OK(名前+さん)
SMACK! 洞窟内の闇を照らすライト! 激しい金属擦過走行音!
暗闇に激しい火花を散らしながら飛び出した真鍮色トロッコ二台は、数メートル間を空けた上で高速並走。乗り込んでいるのは、片やアサルトライフルを構えた戦闘人形の集団! 片や猟兵たち! 戦闘人形は一斉にアサルトライフルを放つ!
BTTTTTTT! BTTTTTTTTT! ほとばしるマズルフラッシュと共に、猟兵トロッコの側面を鉛弾が激しく打ち据える。トロッコに屈み隠れた巫女服少女の顔に被さる紫の鬼面、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)は歓声を上げた。
「イヤーッホウ! トロッコに乗りながら迷宮攻略とは中々面白そうじゃねえか。しかもなんでもありのデッドエンドレースと来てる! 腕が鳴るな、相棒ッ!」
「……油断しないでよ」
「分かってるって。相棒こそ、こういうトロッコ系のアトラクション好きだろ?」
「……好きだけど」
ぼそりと呟く巫女服の少女。一人二役めいて会話する彼らに、アシュリー・オールドマン(ワイズ・アズ・オウル・f23067)が苦言を呈する。
「盛り上がるのは結構だがな、神代殿。スピードは落とさないでくれよ?」
「おうよ! あんたこそ振り落とされんじゃねえぞ!」
「当然だ。茲乃摘殿!」
水を向けられた茲乃摘・七曜(魔導人形の騙り部・f00724)が、黒い鍔広帽の下で小さく頷く。彼女の顔の左右には黒金の拡声器が二つ浮遊しており、澄んだ歌声を響かせている。エコーロケーション!
「今のところ、罠の気配はありません。ですが、反対側からもう一台、災魔のトロッコが来ます」
七曜の報告を聞き、床に膝を着いて地図を描いていた霧城・ちさ(夢見るお嬢様・f05540)がペンにキャップを被せる。ペンは桜色の光に包まれ、リレーバトンサイズに拡大! 光が弾けると、ウサギのヘッドを持つステッキに変化していた。
「一度、わたくしも戦闘に加わりますわ。オールドマン様、指示を!」
「了解した」
アシュリーは学生服のポケットに右手を差し込み、トロッコの外壁越しに銃弾の音を聞く。狙うタイミングはアサルトライフル掃射が止まる一瞬! 金属音が響く中、七曜が警告!
「右側……新手のトロッコ、来ます」
アシュリーの頬を汗が伝った。もし銃撃が止まぬまま挟み撃ちにされれば、反撃は絶望的である! 聴覚に意識を全集中。そして―――銃声が止んだ!
「行くぞッ!」
アシュリーは右手を引き抜き、トロッコの前方に放り出す! 青色のペイントを為された金属筒は空中で破裂し強烈な閃光を撒き散らした! FLAAAAASH! リロードしていた戦闘人形たちの視界が真っ白に焼けた!
「霧城殿!」
「はいっ!」
素早く立ち上がったちさがウサギのステッキを振り上げる。杖先に眩い閃光が収束! ちさはステッキを戦闘人形たちのトロッコに突き出した! ZGYUUUUUUUM! 極太の光線が災魔トロッコの側面を直撃しレールから弾き出す!
「当たりましたわ!」
「右側から来ます。ちささん、伏せてください」
七曜に言われ、慌てて屈み込むちさ。猟兵トロッコの右側から飛び出した新たなトロッコに乗る戦闘人形が、サブマシンガンを突きつけた。狙いは、車両の戦闘で風を浴びるコイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)!
BRRRRRRRRRRR! 車体に隠れていない敵をここぞとばかりに狙う鉛の弾幕! しかしそれらは全て、コイスルの体をすり抜けた。残像である! 本物のコイスルはアシュリーの閃光弾とトロッコの壁が生んだ影に潜みながら呟く。
「素敵ね、このスピード。じゃあ魔法学園の学生らしく……ここからは魔法で対抗させてもらうわよ」
コイスルの左手が黒い装丁の魔本を開く。したためられた文字列が黒く輝いた、その時である! 坑道真上の暗闇から色とりどりの槍が雨の如く降り注ぎ、戦闘人形たちを次々と貫く!
ズガガガガガガガガガガガ! 打ち砕かれた戦闘人形の残骸がトロッコから零れてバラバラと散る。災魔トロッコは生け花じみて槍を満載された武器庫へと変化した。敵影が無くなると同時、凶津は素早く立ち上がる!
「さーて、第一関門か」
鬼面の目にあたる部分に赤い人魂じみた光が点灯。トロッコの行く手からは、蒸気機関の砲台を乗せた自走式トロッコが真っ直ぐ突撃して来ているのだ! 七曜のエコーロケーションがいち早く察知し、凶津が対応に動く!
「ま、ここは押し通らせてもらうってなあ! いくぜ、相棒ッ!」
「……転身ッ!」
巫女服の少女が居合い斬りの体勢を取った瞬間、彼女は足元から噴き上がった紫電の竜巻に包まれる。砲台は速度を緩めぬまま赤色の光を砲門に溜め、魔力レーザー砲を発射した!
ZQAAAAAM! 真紅の光が猟兵トロッコを狙う! だが直後、紫電の竜巻が内側から縦に斬り裂かれて爆ぜ飛んだ! 袴をスミレ色に変えた少女の顔には同じくスミレ色になった凶津! 目の部分から稲妻が散る!
「んなチャチなビームなんざ、ぶった斬ってやるぜえええええええッ!」
「……斬ッ!」
ZGAM! 刀が雷鳴を放つと同時、ビームが真っ二つに割れ猟兵トロッコの左右を通過! 目にもとまらぬ速度の斬撃が魔力の光を割断したのだ! 凶津は少女の右腕を借りてガッツポーズ!
「よォし! コイスル、ぶっ壊せたか!?」
「ええ」
コイスルが柔らかな微笑みを見せる。光線が過ぎ去ると同時、猟兵トロッコから離れるように動いていた砲台は、真横から飛来したオレンジ色の槍を砲塔に食らって転倒。レールから脱落! 猟兵トロッコはその真横を過ぎ去っていく!
「左右から災魔のトロッコ、上からギロチン、前方レールにノコギリが来ます」
すかさず七曜が報告。刹那、坑道の左右岩壁から吐き出された二対四台の戦闘人形トロッコが緩やかなカーブを描くレールを伝い、猟兵トロッコを挟み込む! 獲物は携行ミサイルと戦車用機銃! トロッコごと粉砕する腹積もりである!
素早く立ち上がったアシュリーは背負ったガトリングガンを構えて叫んだ! 状況判断!
「スズリズム殿、トラップの解除を頼む! 私と神代殿で右、茲乃摘殿と霧城殿で左を迎撃する! 仕掛けるぞ!」
「おうよ!」
「はいっ!」
凶津とちさの返事を聞き、アシュリーは即座にガトリングガンを発砲! BRRRRRRRRRRRRRRR! 機銃を構えた二体の頭を即座に消し飛ばし、薙ぎ払うように銃撃を繰り出し続ける。他の人形はトロッコに伏せ回避!
「神代殿!」
「任せな!」
凶津は構えた弓矢を上空に向け、SHOOOOT! 紫電をまとった二本の矢が天井の暗がりに吸い込まれ、紫に煌めく星々を作る。次の瞬間、激しく降り注いだ無数の雷が戦闘人形を災魔トロッコごと粉砕! 粉砕! 粉砕! 灰塵に帰す!
一方彼らに背を向けた七曜は、災魔トロッコから放たれたミサイルにオーケストラ歌手めいた歌声を大音声で解き放つ! 浮遊する拡声器との三重奏が飛来した弾頭を空中で押し留め、振動させて爆散せしめた! 七曜はちさに呼びかける。
「ちささん、今です」
「えいっ!」
ウサギの杖を振り上げるちさ! 直後、災魔トロッコの真下が光輝き、地雷めいて爆発! 眩い閃光によって跳ね上げられ、置き去りにされる災魔トロッコを見送った七曜は、左手首に嵌めた金属腕輪に手を触れた。
「動きを止めて囲まれては元も子もありませんから、壊さないよう脱線しないよう注意しつつ基本は加速ですね。コイスルさん、罠の解除は如何ですか?」
「うん……」
上の空めいて答えたコイスルの視線は真っ直ぐ前方! トロッコ乗員の首を跳ねるように設置されたギロチン刃に向けられていた。左手で魔導書を構え、右手をかざす! 手の平の先に展開した魔法陣から突き出すパステルカラーのパラソル!
「街の中に響き渡る雨の音、喫茶店から描き続けたドラゴン」
詠唱と共にパラソルはミサイルめいて飛翔し、ギロチン刃を破砕した。トロッコ通過すると同時にレール中央にホイールソーが迫り出す! トロッコごと乗員を真っ二つにする罠だ! コイスルは右手を真っ直ぐ上向けた。再度詠唱!
「都会の外れに笑いあうエナメルとともに進んでるドラゴン」
コイスルが緩やかに手を振り下ろすと共に、ホイールソーの真上から黒光りする槍が垂直落下しノコギリを破壊! ひとりでにレールから抜け、くるくると回った槍はコイスルの手に収まる。トロッコは破砕ホイールソーの上を何事も無く通過!
トラップクリア! コイスルは槍を右手に、辺りを見回しつつ洞窟の奥に目を凝らした。レールは広い岩壁に空いた、四角い穴から外に続いている。だがコイスルは小首を傾げ、七曜を振り返った。
「ねえ七曜さん。あの先、どうなってるかわかる?」
「少し待ってくださいね」
七曜は息を吸い、澄んだ勢いを響かせた。浮遊拡声器二台から放たれる音波が波紋めいて広がり―――七曜は表情を曇らせる。
「……困りましたね」
「お? なんだなんだ? 行き止まりか? 力尽くでぶち空ける必要アリか?」
凶津が刀を構え、鯉口を斬る。ほんの少し覗く刃からほとばしる電光を余所に、七曜は首を振った。
「いいえ、行き止まりではないのですけれど。……あの先、レールが続いていません。落ちます。それもかなりの高さから」
「……は?」
七曜を振り返り唖然と呟く凶津。アシュリーは口元を歪めて問う。
「対応策は?」
「今のところは……しかし」
七曜は左手を緩やかに挙げた。手首には金属腕輪と操作盤に繋がる蛍光ケーブル! トロッコに魔力を送り込む動力術式である!
「やはり、ここは加速するべきかと。凶津さん、準備はよろしいですか?」
「っし! 一発鳥になってやるとするか!」
凶津の視線が巫女服の右手に嵌まった金属腕輪に向けられる。七曜のそれと同じく魔力をトロッコに流し込む装置! ちさはウサギのステッキを両手で握り、トロッコの操作円盤に先端を向けた。
「トロッコ操縦は引き受けますの。うさぎさん!」
ちさがステッキを掲げると同時、操作盤の左右にBFOM! 白い煙が噴き上がり、白と黒のウサギが出現。二匹は操作円盤に取りつき、力を合わせて細かく操作をし始める。アシュリーとコイスルはトロッコのふちを握りしめた。
凶津と七曜が目配せをし、腕輪を嵌めた手を握る! ケーブルが光輝き魔力を充填! トロッコは車輪を高速回転させて一気に加速した。小ぶりな出口めがけて一直線に突っ込み―――直後、虚空に投げ放たれた! コイスルが目を見開く!
「わっ……高い」
猟兵トロッコが飛び出した先は超広大な空間だ! 下方の地面には赤い魔石を嵌めこんだ魔導地雷がところ狭しと敷き詰められており、中央には円形の安全地帯とX字のレール。レールの傍らには一本のレバー! アシュリーは右手を引き絞る!
「アンドラス! レバーを動かせ!」
サイドスローめいて薙いだアシュリーの腕からミミズクが飛び立ち、翼を折りたたんで急降下する! 流星めいて坑道を突っ切ったアンドラスは両足を下向け、レバーに着地した。体を斜めに傾け、ガコン! レバーが動き、レールが回転!
重低音を響かせ、ターンテーブルめいてゆっくりと駆動したX字レールは十字に形を変え、トロッコを迎え入れる形に変わる。アシュリーは突風が頬の汗をぬぐい去っていくのを感じ取った。
(地雷原に、トロッコを受け止めない回転操車。知らずに突っ込んだり加速を渋ったりした場合は爆死する寸法というわけだ……)
「総員、対ショック体勢! 霧城殿! あのウサギたちを信じてもいいのか!?」
「えっ!?」
トロッコに伏せたちさがアシュリーを振り返った。ちさ自身、トロッコを動かしたことは無い。彼女の召喚獣も同様である! しかし、ちさは操作盤に取りついた二匹のウサギを振り返り、こくりと頷く!
「大丈夫ですわ……うさぎさんたちなら!」
「よし……!」
片膝を着いたアシュリーは衝撃に備える。トロッコの着陸まで残り5秒! 七曜が右手を横薙ぎに振ると、浮遊拡声器は彼女の左右を離れてトロッコの両サイドに移動。先端を真下へと向けた。
「Ah――――――――――――!」
七曜の歌声を拡声器が増幅し衝撃波として放出! ホバークラフトめいてレールに音響を叩きつけ、トロッコ落下速度を緩和する。ZGAM! 着地したトロッコは問題なく疾走続行! 十字の転回操車を駆け抜け、一本道のレールに復帰!
「アンドラス!」
アシュリーが後方に右腕を伸ばし、飛び戻ってきたミミズクを止まらせた。その時である! 猟兵トロッコの後方に、空中から別のトロッコが落下! 戦闘人形を乗せた災魔トロッコだ! 前方にも災魔トロッコが落下! 前後を挟撃!
「着地できたから出口にご案内……ってわけじゃねえよな」
「……そんなわけない」
凶津に、巫女服の少女が辛辣なコメントを下す。次の瞬間、前後のトロッコでそれぞれ一体ずつがスナイパーライフルからレーザーサイトを照射した! 狙いはトロッコの車輪! ちさは両手をトロッコの床に着く。桃色のエンハンスメント!
「トロッコの防衛はわたくしが担当致しますわ!」
「それじゃあ、私たちはあれを倒せばいいのね?」
コイスルが魔導書のページを手繰る。刹那、狙撃銃が火を噴いた! 同時に前後のトロッコから戦闘人形数体が跳び、猟兵トロッコめがけて銃剣付き二丁拳銃をぶっ放しながら強襲をかける! 凶津は腕輪を投げ捨て、トロッコから跳躍!
「ハッ、飛んで火にいる夏の虫ってやつだ! まとめてぶっ飛ばすぜェ相棒ッ!」
「……紫電よ!」
居合い斬り体勢の刀が鞘走り、ZGRAAAAAK! 宙を駆けた紫電が撃ち出された銃弾ごと戦闘人形たちを斬り捨て解体! 凶津はその場で一回転し、反対から跳び来たる人形たちにも一閃! 神速の斬撃に遅れて稲妻が噴き出し人形解体!
「ハッハー! この程度!」
BLAM! 凶津の哄笑を銃声が断ち切った。巫女服に左肩と右肩甲骨に大穴が空き、鮮血が吹き出す! 狙撃人形の一撃だ! 巫女服の少女が苦悶にうめく!
「……うっ……!」
「相棒ッ!?」
色めき立つ凶津。その隙を突いた戦闘人形の一体が拳銃の銃床を少女の後頭部に振り下ろし、そのままトロッコへ叩き落とす! CRASH! うつ伏せでトロッコの床に打ち据えられた凶津と少女の元に降り立つ三体の戦闘人形!
「あら。そちらから来てくれて嬉しいわ。おもてなししなくっちゃ、アシュリーくん」
「それもそうだな。まぁ……」
アシュリーが背負ったショットガンを引き抜いて乱射する! BRAKKABRAKKABRAKKA! 速攻の散弾掃射が戦闘人形一体の上半身を吹き飛ばし、別個体の片腕をもぎ取った。アシュリーはギザ歯を剥いて凶悪に微笑む!
「これぐらいしか、出せるものは無いのだが!」
片腕を奪われた一体が腕をしならせ、拳銃の銃剣で首狩り斬撃をアシュリーに繰り出す! その脳天を真上から振って来た槍が貫きケバブめいた死体に変えた。槍を降らせたコイスルは魔導書の背表紙をスイングして三体目の銃剣をガード!
「アシュリーくん!」
「流れ弾に注意だ、スズリズム殿!」
アシュリーがショットガンを連射し、コイスルと相対する人形を粉微塵に粉砕! 残った下半身を逆回し蹴りでトロッコの外に吹き飛ばした。コイスルは振り向きざまに魔導書を前方の狙撃人形に突きつける! 本の先に魔法陣展開!
「あなたにも、どうぞ」
陣中心から射出された槍を、狙撃人形はブリッジで回避した。上半身を跳ね上げる勢いで拳を操作盤の水晶に叩きつけ、跳躍でトロッコの上から逃れる! 同時にカラになった災魔トロッコの水晶が赤く点滅し始めた! 顔を上げたちさが叫ぶ!
「うさぎさんっ!」
ちさの声を受けた黒いウサギが大ジャンプを敢行し、前を走る災魔トロッコの操作円盤に取りついた。円盤を回そうと力を込めるが―――動かぬ! 眉間に針を刺されるような感覚がちさを襲う。決定的な危機の予感だ!
「スズリズムさま、あれを!」
「壊せばいいのね?」
状況判断したコイスルが魔導書の一節を指でなぞる。前を行く災魔トロッコの左右に魔法陣が現れ、槍を高速で連射した! マシンガン掃射応酬めいた挟撃により災魔トロッコの車体はズタズタに引き裂かれ、最後部のみを残して減速!
「下がれ二人とも!」
アシュリーが言い、コイスルの隣に出てショットガンを構えた。狙いは急激に距離を詰めてくるトロッコの足元! BRAKKA! 放たれた散弾がトロッコの残骸下部を打ち据え宙に跳ね上げる!
アシュリーはコイスルとちさの肩を押さえて頭を下げさせた。三人の頭上を飛ぶトロッコ残骸! 浮遊拡声器と合わせて後方災魔トロッコの狙撃を音響でガードしていた七曜の真上を突き抜け、残骸は最後の狙撃人形顔面に激突!
ギャギャギャギャギャギャギャ! 車体を左右にぶれさせた災魔トロッコは横転! 七曜は凶津の外した腕輪を拾って右手首につけ、両拳を握りしめた。猟兵トロッコ急加速! 起き上がった凶津は少女に問う。
「いつつつつ……大丈夫か? 相棒」
「……へい、きっ」
呻くように答える少女。その傍に屈んだちさは、巫女服を血で染める大穴に手の平をかざした。ほのかな光が放たれ、傷口を癒やす。
「少しだけ、お時間頂きますの。ひとまず応急処置だけしますわ」
「悪いな、ちさ。頼むぜ」
凶津が目をチカチカと点滅させる。その光景を背に、コイスルはトロッコの行く先をじっと見つめた。
「長いわね。いったいどこまで続くのかしら」
「話によれば、停車する場所があるとのことです」
七曜が言い、両手を耳に当てて聴覚に集中。拡声器が放つ反響を聞く。
「それなりの距離は走りましたし、周囲に罠らしきものも見受けられません。もうじきだと思うのですが……」
「そうであることを願うばかりだな」
アシュリーが息を吐き、ショットガンに弾丸を込め直した。猟兵たちを乗せたトロッコは、次の洞窟に滑り込む―――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
秋月・信子
●SPD
私が通った経路を【情報収集】したROSETTAによるオートマッピング機能を作動させ、マップデータはホログラム表示
そして私の影を触媒に【影の魔獣の召喚】で作り出した影の黒豹に【騎乗】しながら、トロッコに乗ったオブリビオンと並走しつつ戦います
ボルトアクションライフルで狙いを澄まし、一発一発確実に撃ち、また【武器落とし】も試してみて無力化を試みます
トロッコなら、線路の切り替えがあるはず
その先が行き止まりやレールが途切れていれば【狙撃】し、相手のトロッコを自爆、また仲間が乗ったトロッコへの【援護射撃】も試みてみます
攻撃は私が専念し、罠の回避はこの子の判断に任せます
大丈夫…信頼してるから、ね?
フェルト・ユメノアール
トラップ満載のダンジョンにトロッコなんて何だか映画みたい!
ボクは手札からスペシャルゲストをご招待!
カモン!【SPアクロバット】!
アクロバットなら暗い坑道でも音を頼りに行動できるからトロッコのやや先を飛んで警戒
罠を壊したり敵の奇襲を防いだりしてもらう
マッピングは全部をするのは大変、っていうか無理だから
罠や分岐があればそこに『トリックスター』を投げ刺して目印に、後で可能な限り簡単な地図に書いておくよ
戦闘は敵がトロッコに乗っていればその車輪をトリックスター投擲で攻撃、脱輪を誘発して撃退する
こちらのトロッコに向かってきた場合は『ワンダースモーク』を使用
敵の視界を遮っている間にアクロバットが攻撃を行う
BLAMBLAMBLAMBLAM! BRRRRRRRRRR!
鍾乳洞めいた洞窟に響くいくつもの銃声と、薄闇を突き破るマズルフラッシュ。縦横無尽に飛び交う銃弾が岩の柱や金属パイプに激突して甲高い音を打ち鳴らす中を、フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)は軽やかに跳ぶ!
「ひゃっほーう! さあこっちこっち! ついて来れてる!?」
高らかに笑うフェルトの左後方、レールを走るトロッコ上から数体の戦闘人形が拳銃を突き出した! BLAMBLAMBLAMBLAM! フェルトめがけて一斉掃射! だがフェルトはすれ違いかける鍾乳石を蹴って斜めに跳躍!
「いよっと!」
空中で身をひねり、錐揉み回転するフェルトの上下を銃弾がかすめた。さらに上を向いたフェルトの目と鼻の先をロケットランチャーの断頭が通過! そのまま突き抜けて洞窟の天井に命中し、CABOOOOOOOM!
爆発を余所に、フェルトはバク宙を決めて乗り手のいないトロッコに着地!
「もう、拳銃はともかくロケット弾はナシじゃない? 坑道が壊れたらどうするのさ!」
フェルトの抗議に構わず、戦闘人形たちは銃口を向けてくる。勢いよくブリッジしたフェルトは放たれる銃弾の数々を回避しながら無邪気な笑みを顔に浮かべた。
「ふふっ! トラップ満載のダンジョンにトロッコなんて何だか映画みたい!
よぉーし!」
銃声が止むなり上半身を跳ね上げたフェルトは両膝を思い切り曲げ、トロッコから跳ぶ! 放たれるロケット弾頭を横回転してかわし、天井近くに伸びた真鍮色のパイプを両手でつかみ鉄棒めいた一回転から斜め下に飛翔!
「とりゃあああああああっ!」
フェルトは両足を引き絞り、トロッコに乗る戦闘人形の一体に顔面ドロップキックを叩き込む! 反動で真後ろに跳びつつバク宙! 先端にハートの装飾をつけたロッドを振るって反撃の銃弾を打ち払い、逆の手をしならせ何かを投擲!
SHOT! 空を切って放たれたのは短いナイフと柄の金ダガー! 一本の刃が災魔トロッコの右前輪に直撃して破壊せしめバランス崩させた。戦闘人形たちは倒れるトロッコから跳躍前転で脱出!
「今だぁーっ!」
フェルトが声を上げた瞬間、足並みそろえて着地した戦闘人形たちに突撃する黒い巨躯の獣あり! 影の塊めいた―――否、実際影で作られた金目の豹にまたがる秋月・信子(魔弾の射手・f00732)は木製のウィンチェスターライフルを構えた。
「そこッ!」
BLAM! ライフルが火を噴き、人形一体の側頭部をぶち抜く! アクションボルトを引いて次弾装填しもう一発! さらにボルトアクションリロードを決めてもう一発! 倒れ伏す三体の人形を余所に、影の豹は右斜め前方にジャンプする!
片膝立ちになった生き残りの戦闘人形たちが影の豹に狙いを定めて拳銃を乱射! BLAMBLAMBLAM! 鉛弾が体側面を穿つも豹は一切気にせずフェルトへ疾走! フェルトが伸ばした片腕をつかんだ信子は彼女を背後に乗せタンデム!
「ヒュー! 助かったよ!」
「無茶しますね……トロッコに置いてかれても知りませんよ? っていうか、あのまま勝手に走ってったら見失いません?」
「大丈夫、平気さ!」
フェルトは明るく言い放ち、左目に機械のモノクルめいたバイザーを装着。彼女の左腕についた、桃色の楕円形デバイス左側面からワインレッドの三日月型ボードが展開される。フェルトはボードの上に一枚のカードを設置し、左腕を掲げた。
「ボクは手札からスペシャルゲストをご招待! カモン! スマイルパペット・アクロバット!」
デバイスにセットされたカードが光輝き、フェルトの頭上に青いワープゲートじみた円が展開される。そこから飛び出し、羽ばたいたのは丸っこくデフォルメされたコウモリじみたキャラクター!
蝶ネクタイを着け、右目部分に十字の星マークを刻んだコウモリに、フェルトは自分が乗っていたトロッコを指差してみせる!
「アクロバット! あのトロッコの先導をお願い! トラップなんかがあったら壊しちゃって!」
「キキキキキキ!」
激しく羽ばたいて頷いたコウモリは虚空を滑り、トロッコまで一気に追い付く。それに続いて加速した信子の影豹が、瞬く間にトロッコの隣まで駆け寄った。豹の背中から飛び降りたフェルトは軽やかに着地! 信子に笑顔で両手を振る。
「あっりがとー!」
「まだまだ、これからですよ」
信子は言いつつ、懐から黒いリモコンめいたデバイスを取り出した。下部に埋め込まれた十字キーの中心を押すと、上部のカメラアイめいた部分からホロウィンドウが投射される。映っているのは現在進行形で広がる電子マップだ!
「そこそこの距離は来ましたが……やれやれ、あとどれだけ続くのやら」
「その機械、自動で全部マッピングしてくれるの? いいなー。ボク、こんなところ全部メモるのは無理だよ」
呟いたフェルトは指二本で挟んだダガーを適当な岩肌に投擲! 突き刺さった金色の刃がたちまち遠のいていくのを見送りながら、両手を後頭部で組み合わせる。
「一応、こうやって目印ぐらいはつけられるけどさ」
「助かります」
信子はウィンドウの地図を指先でタップし、フェルトのダガーが刺さった場所を地図にマーキングした。ウィンドウを消してデバイスを懐にしまい直した所で、何かが信子をチュンと音を立てて射抜く! フェルト足元で金属音! 跳ねる弾丸!
「お、ネクストギャラリー・ヒア・カム……なんてね」
悪戯っぽく微笑みながらフェルトが信子越しに空中を見据えた。ジェットコースターめいて虚空に張り渡されたレールの上を疾走するトロッコの上で、一体の戦闘人形がスナイパーライフルを構えている!
さらにフェルトたちを挟んで反対側には地上を装甲するグレネードランチャーを持った戦闘人形を乗せたトロッコ! 信子の瞳がそちらを見つめた。
「では、地上の方は私が担当しますね」
「オッケー、じゃあボクは上だね。任せてよ。空中戦は得意分野さ!」
信子とフェルトが目配せをした瞬間、二人は跳躍してX字を描いた! 信子は氷柱めいて垂れ下がる鍾乳石を上下反転して蹴りつけ、グレネードランチャー持ちめがけて急降下! 戦闘人形は即座に射線を上げて引き金を引く!
PONG! 円弧を描く爆裂弾頭に、信子は急降下しながら狙撃銃を構えて発射! 命中前に撃ち落として爆発せしめる! 飛び込み前転しながら両足を戦闘人形に向けて第二者! BLAM! PONG! 弾頭と狙撃銃弾が交錯する!
「行って!」
信子が迫る弾頭にかざした手の平から黒い物体が放たれた! 影で編まれた黒いツバメがグレネードに正面衝突して爆発させ、信子を防護! 一方の戦闘人形は左二の腕を狙撃で貫通され千切り落とされる! 指笛を鳴らす信子の足元に影の豹!
「GRRRRRRRRR!」
黒豹は信子を背中で受け止めると、着地の反動を使って真横に跳躍! 凄まじい速度で疾走し、距離を離しかけた戦闘人形トロッコに並んだ。片腕でグレネードランチャーを構えた戦闘人形は信子の頭上に弾頭連射!
PONG! PONG! PONG! 明後日の方向に飛翔した弾は鍾乳石の内数本、赤黒く光る物に直撃して爆発。信子の脳天へと落とす!
「!」
信子が頭上を仰ぐと同時、影の豹はジグザグダッシュで鍾乳石の落下地点を回避した。後方で地面にぶつかった鍾乳石はダイナマイトめいて自爆! 鍾乳石に爆弾魔石が混ざっているのだ! 肩越しに鍾乳石の爆発を見返った信子が口を歪めた。
「なかなか周到に準備してるじゃない……!」
呟き、ややリードを許した戦闘人形トロッコに向き直る! 片腕で銃器を支える戦闘人形に対して狙撃銃を突きつけ、にらみ合う。警戒するように喉を鳴らす影豹に、小さく優しく呟いた。
「大丈夫……信頼してるから、ね?」
BLAM! フェルトを狙う狙撃銃の一撃がカラのトロッコが抜けたレールを粉砕! 枕木が粉微塵に吹き飛ぶのを背後に、フェルトは空中にばらまかれた無数の光弾を足場に水切石めいてジャンプ移動を繰り返す! やや前には敵のトロッコ!
「凄い威力っ! でも次はボクのターンだ! 行け、スマイルパペット・ソウルジャグラーッ!」
フェルトがカードを広げた左手を戦闘人形めがけて突き出す! 彼女の背後に浮遊する骸骨じみて痩身のピエロが、ジャグリングする虹色の光弾を連続投擲!
GYAMGYAMGYAMGYAMGYAM! 連続で放たれる虹色の閃光! 狙撃銃を下げた戦闘人形はトロッコから跳躍してこれを回避し、一回転してフェルトの道を作る光弾のひとつを蹴りつける! ピエロがさらに虹弾を投げた!
「行っけぇーっ!」
右拳を振り上げるフェルト! だが戦闘人形は回転跳躍して光弾を避けてムーンサルト! 上下反転状態で狙撃銃を構え―――BLAMN! スナイパーライフルが火を噴き、ソウルジャグラーの脳天を爆砕! フェルトが反射的に振り返る!
「ソウルジャグラーっ!」
ソウルジャグラーはのけ反り、爆発四散した。吹き荒ぶ熱風に背中を押されたフェルトは身をひねって体勢を整える。だがソウルジャグラーの死亡と同時に光弾は花火めいて破裂してしまい、足場が無い! フェルトの落下地点には金属トゲ!
「なるほど、これで串刺しにしてゲームセットしたかったわけだ! そうは行くもんか!」
フェルトは左手に持ったカードを一枚引き抜き、デバイスにセット! 両足を折り曲げ、腕を交叉したフェルトの体を水流が包み込む!
「逆巻く水の魔術師よ! その魔力を以て、世界に新たな理を示せ! 現れろ! スマイルパペット・マーメイジ!」
SPLAAAAASH! 内側から破裂した水の球から斜め上に人魚が飛び出した! マリンブルーの長髪に、膨らんだ胸元を隠すだけの簡素な衣装。両手首から肘にかけて金装飾の腕輪を嵌めたマーメイドに変身したフェルトは虚空を上がる!
「さあ、もう一度こっちのターンだ! 勝負っ!」
フェルトは青いクリスタルをヘッドに持つステッキを掲げ、周囲に大型の渦潮を生成! 自分のトロッコに戻っていた戦闘人形は冷たい瞳でそれをじっと見、片膝を着く。フェルトはコマめいて回転しながら勢いをつけた!
「ブルー・ストリ―――ム!」
野球選手めいてステッキをフルスイングし渦潮をトロッコへ放つ! 戦闘人形はハイジャンプでトロッコを捨て、両足を斜め上にあげて鍾乳石をキック! 流星じみてフェルトを無視し、落下する先は―――フェルトが乗って来たトロッコだ!
「あ、ちょっと!」
フェルトは左手にカラフルなボールを握り、自分のトロッコめがけて投げた! 飛び込み前転した戦闘人形がトロッコに着地した瞬間、フェルトのボールもトロッコ内に命中し、BFOOOOOOOM! 虹色の霧で視界を奪う!
フェルトは慌てて急転身。自身のトロッコが乗るレールのすぐ真上に戻り、声を張った。
「アクロバット! 迎撃お願い!」
トロッコの先を行っていたデフォルメコウモリが翼を巻き取るように錐揉み回転し、前後反転! 翼を広げて急制動をかけ、虹色の煙を吐き出しながら加速する猟兵トロッコへ飛翔した!
煙に飛び込み、操縦円盤に手をかけた戦闘人形の背に体当たり! そのまま外へ弾き出して急上昇からCターン! 戦闘人形は前転着地して片膝立ちで狙撃銃をフェルトに照準。だが、BLAM! その側頭部に風穴を開けて倒れた。
「ふう……」
援護射撃を繰り出した信子は息を吐く。しかし彼女が乗る影豹と並走するトロッコ上の戦闘人形が、豹の足元めがけてグレネードランチャーを連射!
BBBBBBBBBOOOOOOOOM! 地雷原じみた連鎖爆発を複雑軌道ダッシュ回避! そのままフェルトのトロッコの方へ斜めに跳躍する影豹の背で、信子は人形を狙撃した。さらに銃口を左に逸らしてもう一発!
BLAM! 残った腕ももぎ取られた戦闘人形がたたらを踏んだ。直後、彼女が乗るトロッコはY字路を右へカーブ! その先はデッドエンドだ! トロッコごと岩壁に激突して粉砕! 信子がY字路のレバーを狙撃し、道を変えていたのだ!
「一丁上がりっと」
狙撃銃を上げて呟く信子。やがて影の豹はフェルトのトロッコに再度横づけし、並んで走る。車体に乗り込んだフェルトの姿は元に戻っていた。
「よし、これでひと段落かな! アクロバットー! トロッコ守ってくれてありがとねー!」
手を振るフェルトを振り返り、アクロバットがバサバサと翼を打ち鳴らす。コウモリはそのままフェルトの下へ舞い戻り、トロッコの端に止まって縦に体を伸ばした。その頭を撫でてやりつつ、フェルトは言う。
「もう先導はいいの? 出口、すぐそこ?」
「キキッ!」
こくこくと頷くアクロバット。その仕草を見た信子は、闇の奥へ視線を向けた。
「そう……いよいよゴールなんですね。次はどんなダンジョンが待ってるのやら……」
「またアトラクションみたいのだといいなぁ。地を蹴り宙を舞って駆け巡る! そんな感じの場所!」
「それで敵と罠が少なければ完璧ですね」
無邪気なフェルトに苦笑交じりの信子が帰す。やがてトロッコは速度を落とし、駅のホームめいた場所に出る。トロッコと豹から飛び降りた二人は、ホームの隅に設置された下りの階段に目を付けた。
「さ、次々! どんどん行ってみよう!」
「ええ。充分に注意しつつ、ですね」
小走りで駆け出すフェルトの後を追い、信子は狙撃銃を背負ったまま階段を駆け下りる。
奈落めいた暗闇に、二人分の足音が吸い込まれていった。
大成功
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