キマイラフューチャー世界、都市部の某所。
この都市は、ポップでサイバー、様々なカルチャーがごった煮しており忙しない。
路上モニターや電光掲示板があちこちで点灯し、夜も明るく煌びやかだがどこもかしこも主張が激しい。ここに定住する住民もまた、街の光と同様に明るく陽気なキマイラが大部分を占めている。
既に旧人類の影はなく、陽気な住民たちは自分が危険な事件に巻き込まれるなどとは、まったく考えもしないのである。
しかし、ここに、旧人類の栄光を忘れられず、今一度旧人類の栄光を知らしめようとする者の動きがあった。
「うぉぉぉぉぉ!お前ら豆腐喰いやがれパカァァァァァ!!旧人類は魅せる筋肉を作っていたパカ!お前らみっともない貧肉達も魅せられる筋肉を作れパカァ!!」
むわっと煙立つ汗臭い蒸気。盛り上がり過ぎてもはや異形にしか見えない肉の塊。嫌でも目に付くつぶらな黒豆。色黒に映える真っ白な羊毛。
そう彼は最近巷で有名なアルパカマッスル。
彼は今、豆腐の布教に熱心であった。先の雄たけびはその布教活動の一環である。
「そこの貧肉!豆腐喰えパカ!筋肉作りには1にタンパク質!2にタンパク質!3にも4にもともかくタンパク質だパカァ!!大豆はタンパク質豊富だから筋肉作りに最高パカ!味わうな!流し込め!筋肉のためだパカ!!」
熱心な豆腐布教活動…その真意は周囲の哀れな貧肉羊に筋肉の施しを与えるという壮大な計画の基、己の筋肉の正義に従い行われたものである。
大豆は植物の中では唯一肉に匹敵するだけのタンパク質を含有するミラクルフード。
その大豆のタンパク質を濃縮した豆腐は筋肉神によって選ばれた食べ物であることは疑うことはないだろう。
「ちなみに俺は草食だから肉なんて認めねぇパカ!オラ!そこの貧肉も豆腐喰いやがれパカァァァァァ!!」
「っていう騒ぎがあるってキマイラフューチャーのSNSで見つけたんだ。」
ちょっと面白そうだなという顔でグリモア猟兵の明石・真多子(軟体魔忍マダコ・f00079)が触手で携帯端末を操作している。
「味も食べ方もこだわらない無粋なアルパカみたいで、周囲の住民の口に握りつぶした豆腐をぶち込んでるんだって。怖いねー。今のままじゃ何言っても聞き入れてくれなそうだよね、こうなったら味覚に訴えてみようよ!美味しい豆腐料理を作れば無理やり豆腐を食べさせる奇行も止める気がするんだ。」
真多子の提案により美味しい豆腐料理を作ることとなった猟兵達。
周囲を見渡せば用意してましたとばかりに調理器具が並んでいる。
「アタシの実家から借りて来たんだ!足りなければ持ってくるし自前のものを使ってもいいよ!美味しい豆腐料理期待してるね!」
真多子の話が終わると、猟兵達は各々の準備に取り掛かりだした。
ペプシ派
大豆はベジタリアンの筋肉…かは知りませんが、筋肉シナリオです。
第一章は住民の口に筋肉で潰した豆腐をぶち込むアルパカマッスルを止めるために、豆腐料理を作りましょう。
筋肉活動に夢中なので説得しても聞く耳持たず、馬耳東風といった感じですので注意してください。
料理は現地で作ってもいいですし、グリモアベース内で作っても構いません。作った料理はメシマズであろうと毒であろうと絶対にアルパカマッスルさんは食べてリアクションはしてくれます。
筋肉嘘つかない。
第1章 冒険
『料理の猟兵』
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POW : 真っ向から味で勝負する!
SPD : 奇抜な食材やアクロバティックな調理法で観客を魅了する!
WIZ : 料理講釈。怪人の料理の欠点を指摘し、改善したものをお出しする
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
南雲・社
そこの珍妙なむきむき……あるぱかとやらの奇行を止めれば良いのじゃな?うむ、わしに任せておけ。
そうじゃな、湯豆腐なんてどうじゃろう?わしでも簡単そう。
ガス?いらんいらん。わしの狐火でちょちょいのちょいじゃよ。
鍋を借りても良いかの?水と豆腐を入れてわしの狐火で火を起こして温めて……って、ああ!いかん火加減を間違えた!ぐっつぐつに煮えておる!まるでマグマのようじゃ!!あっつ!!
……ま、まぁ、大丈夫じゃろ、味は湯で煮ただけじゃから普通じゃろうし。筋肉で握りつぶして豆腐を住人の口にぶち込むというが、さすがに自分で食べるときは普通に食うじゃろたぶん。さあ完成じゃ!出来たて熱々じゃよ!そーらイッキ!イッキ!
グリモアベース内特設キッチン。
ここでは今まさに、筋肉を止めるべく集まった強者達が自慢の腕を振るって料理をしている所であった。
まな板をリズムよく叩く包丁の音、湯を沸かす水の音、煌々と調理者を照らし部屋に熱気を溜めていく竈。
オブリビオンと対する前ではあるが、ここは既にもう一つの戦場となっている。
その戦場の中、隅の座椅子で調理酒片手に腰掛けて物憂げに見つめる者がいた。
「料理…かぁ。どうしたもんかの…。わし酒のツマミくらいしか作れんぞ。」
ぐび、と調理酒を飲む南雲・社(美少年顔のおっさん・f02753)。
調理酒を口に含む度に狐耳が喜びに揺れ、幼い顔立ちが緩んで笑顔が咲く。
大人よりも頭一つ小さく華奢な身体、ゆるゆるのはにかみ顔。
どう考えても飲酒してはマズイ様に見えるがちゃんと合法。
彼はこう見えて御年39歳のおっさんなので問題ない。
一升瓶の調理酒をプハと飲み干すと、彼は些末な問題を考えるのを止めた。
「そうじゃな。何も凝った料理せんでもいいわけじゃよな。湯豆腐くらいならダシぶっこんで鍋で煮るだけじゃろうし、わしにもできそうじゃな!」
言うが早いか、調理場から鍋と材料を引っ掴む。
今更まともに調理する者たちに肩を並べるのも忍びない、せめて一番槍はと早足に調理場を後にした。
現地に着くと、件の怪人が周囲の住人を猛ダッシュで捕まえては豆腐を詰め込んでいる。
「そこの珍妙なむきむき……あるぱかとやら。いい加減にその奇行を止めるんじゃ!」
「なんだパカ!チビ貧肉のくせに俺の筋肉を止めるんじゃないパカ!」
華奢な身体が目を引いたのか、アルパカマッスルはすぐに手を止めた。
「ツマミの粋な喰い方も知らんようじゃから、わしが教えてやるんじゃよ。」
ほいじゃコレ持ってて、とアルパカに昆布、豆腐と水の入った中華鍋を持たせる。
「何だパカ?あ、豆腐が入ってるパカ。」
南雲がパチンと指を鳴らすと鍋の下に狐火が灯る。
次第にくつくつと茹つと、アルパカマッスルが熱そうに顔を歪めた。
「アッツ!ちょ、これいつまで持たせるパカ!洒落にならないパカ!」
豆腐はすっかり煮えたのか、鍋から蒸気が立ち上っている。
「よしもういいじゃろ。湯豆腐の粋な食べ方は出来立てアツアツを楽しむんじゃよ。さぁそのままグイっといこうかの。まさか今更豆腐が喰えんとは言わんじゃろ?そーらイッキ!イッキ!」
見た目だけなら無邪気な子供。無下にも出来ず、さっきまで豆腐布教をしていた手前、今更嫌とは言えないアルパカマッスル。
漢アルパカ、子供の夢は壊せない!
覚悟を決めて、己の筋肉を信じ、鍋を傾けると勢いに任せて一気に飲み干した。
「ぶっふぉへあぇうべぁ!!」
身体の中身が焼ける衝撃に、地面に転がりのたうち回る。
筋肉は鎧。鍛えれば負けないと信じていた。
しかし、内側からの衝撃には流石のアルパカマッスルも想定外。
「ほうかほうか。そんなに美味しかったかよかったのう。」
その光景を肴に酒を飲むショタ。
傍から見れば何かとんでもない惨状となっていた。
大成功
🔵🔵🔵
ギャリソン・ハイオクバーナー
博識(自称)な俺様は知ってるぜ、料理は火力が大事だってな!つまりよぉ、スゲェ火力で焼けば何でも美味くなるってことだろ?
『俺様究極超絶爆速モード』を発動して料理会場を「ダッシュ」!
速くなるほど熱くなる地獄の炎で、用意した豆腐を焼き豆腐に!そのままアルパカの口にシュゥーッ!(SPD・アクロバティックな調理法)
焦げてる?まだ火がついてる?知らん、食え。
あぁ、他に火がほしいやつがいれば俺様の炎を分けてやってもいいぜ。……何?余計なことをするな?
【※良い子は食べ物で遊ばないで下さい。】
グリモアベースにて説明を受けた後、ギャリソン・ハイオクバーナー(爆走スタンドガソリン・f03629)は悩んでいた。
どんな料理を作ればいいのか…。もっぱら獄中生活していたものだから生活的なことはさっぱり分からない。
周りの猟兵達は調理場で何やら作業を始めており、現在絶賛出遅れ中。
このまま、立ち止まって悩むなんて爆走野郎の名に恥じる。
思い立った彼は現地で着想を得るべく脚を動かした。
●
まだショタが現れる前、ギャリソンが街に訪れる。
何やら広場の方が騒がしいが、彼にとって今重要なことではない。
ともかく料理について着想を得なければならないのだ。
「指を咥えて待っているなんて性に合わないぜ!ざっとこの街を走り回れば、何かしら見つかんだろ!」
善は急げ、俺様は走れとギャリソン流思考術を実践する。
人間なら動いて頭に血が回れば新しい発想が出る。とかそういう理屈に違いない。ギャリソンはブラックタールではあるが…。
爆走して視界の端に流れる街中を見ていると、様々な広告看板が目についた。
流石はキマイラ達の街だけあり、どれもこれも主張が激しく目にとめやすい。
「天然、国産、本物の味…違う!選び放題、食べ放題…違う!旧人類の味を再現、懐かしの味…違う違う!!こんなの俺様の求める料理じゃねぇ!」
思ったものが見つからずに頭を振る。
そんな折、ギャリソンの視界に新たな情報が映り込む。
「早い、熱い、旨い!出来立ての美味しさを…か、こいつだ!!」
ギャリソンが目にとめた広告、その店は焼き鳥屋。
脚を止めて見てみれば、カウンターに客が来ればサっと焼いてサっと出す。
それでいて客は満足そうに帰っていく。
求めていた答えは単純明快であった。
「よっしゃ!料理ってやつがようやく分かったぜ!料理とは、焼けば旨い!」
スッキリした顔で闘志とやる気を燃やすギャリソン。
いやむしろ本当に体まで燃え出した。
ヤバいぞこの動くガソリン…。
●
酔いが回ったのか、隅の方で横になっているショタ。
身体を中から焼かれ、もんどり打っては転げまわる筋肉。
そんな奴らが地べたにいる広場。
大参事の少し後。
「み、水ゥゥゥ!!水をくれパカー!!」
熱さに耐えかねたアルパカマッスルが水を求め立ち上がる。
アルパカ止めるものはない。
猛ダッシュで水場を探して広場を求めて街中を走りだした。
しかし、すぐにその背中を追う人影が現れた。
否、火達磨が現れた。
「待ちやがれそこの肉達磨ァァ!!」
爆走しながらアルパカを補足したギャリソンが、燃え盛る手に豆腐を持っている。
「博識(自称)な俺様は知ってるんだぜ!料理ってのは焼けば旨いってな!つまりよぉ、スゲェ火力で焼けばもっと美味くなるってことだろ?」
ギャリソンのスピードが次第に上がっていく。
それに従い、燃えるギャリソンの熱意に応えるように身体に纏う炎が大きくなる。
「そぉら!世界最速ギャリソンデリバリーの名物、焼き(炭)豆腐一丁おあがりよぉ!!」
放熱のために大口開けていたのがアルパカマッスルの運の尽き。
追い付いたギャリソンが思いっきり口に炭の塊(火の塊)をぶち込んだ。
「くぁwせdrftgyふじこlp!!!」
憐れアルパカマッスル。むごたらしく口から火を噴き悶絶していた。
大成功
🔵🔵🔵
ハヤト・ヘミング
文思豆腐という料理がある。これは端的に言うと「千切りにした豆腐をスープで茹でたもの」という単純極まりない料理なんだが、尋常では無く高い精度で千切りをする必要があることで知られている。(1mm程には細かくなっていないと駄目らしい)
料理は得意では無いが、俺は刃物の扱いには慣れている!現地に中華包丁を持ち込み、豆腐を細切れにするさまを披露するとしよう。傍目には単に豆腐をぐちゃぐちゃにしているだけの様に見えるかも知れないが、スープに入れた折にふわっと広がる極細の豆腐は美しかろう。
ただ食べるだけなら獣にだって出来る。料理の見た目も楽しんでこその人生だ……。(突然何か思い出したようにして遠い目をしながら)
グリモアベースにて説明を受けた後、ハヤト・ヘミング(刃虎・f10007)は悩んでいた。
「料理か…俺はあまり料理が得意じゃないんだがな…。」
どうしたものかと悩んでいるが、自分に出来ることをするしかないだろう、という結論は既に出ている。
ともかくやれるだけのことは考えなければ。
まず、件の怪人は豆腐を「食べる」って感覚がそもそも間違っているんだろう。
あれはもはや、ただの「摂取」だろうな。
俺の育った世界じゃ、少ない食料を仕方なく摂取する者も確かにいた。
末端の辺境地域じゃ珍しくもなかっただろう。
しかし、そんな世界でも工夫して少しでも美味しく食べようって気概はあったさ。
「ただ食べるだけなら獣にだって出来る。料理の見た目も楽しんでこその人生だ……。」
突然何か思い出したようにして遠い目をしながらハヤトが呟く。
そういえば、師匠が旅の僧から聞いたとかいう料理の話をいつだっかしていたな。
確か…「文思豆腐」だったか。
難しい逸話なんかは知らんが、端的に言うと「千切りにした豆腐をスープで茹でたもの」という単純極まりない料理のはずだ。
ただし、尋常では無く高い精度で千切りをする必要があるって話だった。
あの柔らかい豆腐を…か。
それくらい出来るように腕を磨けって師匠に言われたっけな。
あの頃の俺には到底出来ないなんて思ったもんだったが。
別に自惚れてるわけじゃないが今なら出来る、と確信出来るくらいには刃物の扱いには慣れた。
やってみるとするか。
ハヤトは調理場から鍋に材料を入れると現場へと向かった。
調理場は自分の性に合わない気がしたのだ。
●
現場に着くと怪人を探して視線を這わすが、アルパカマッスルの姿が見えない。
広場には飲んだくれた少年?がいるだけだ。
さてどうしたものかと思案しようとしたところ、猛スピードで爆走する火達磨の猟兵が広場を横切った。
もしや、あちらに怪人がいるのでは?とハヤトの野生の勘が囁く。
じっとしていても始まらないかとハヤトもそちらへ駆け出した。
●
ようやく追いつくと、怪人は確かにいたが既に瀕死であった。
道端に倒れ、口から火を噴いている。本当に生きているのだろうか。
「まぁいい。とにかく作るか。」
せっかく来たのだ。仏の供養に供えてやるのもいいだろう。
失礼ではあるが、丁度火があるので鍋を口に載せる。
「文思豆腐の目安は1mm程には細かく…だったか。」
キッと眉間に力を込めて集中する。
鍋に入れてた材料を高く放り投げると、ハヤトはすぐさま両手に2丁の中華包丁を構えた。
【虎徹】と呼ぶその技は、本来の獲物とは違うが繰り出すことは造作もない。
落ちてくる材料に超高速連続の斬撃を見せると、煮立ち始めた鍋にこぼれることなく落ちてゆく。
鍋の中は、溶き卵のようにふんわりとした豆腐の線が、煮立った鍋に美しく揺れている。
味はともかく、口触りと見た目は申し分ない出来栄えだろう。
「冥土の土産だ。たらふく喰いな。」
親切心で火の灯るアルパカマッスルの口に鍋の中身を流し込む。
ジュウと音がして火が消えると、次いでグビグビ音を立てて文思豆腐が口の中に消えていく。
「っプハァァァ!!生き返ったパカ!のど越しスッキリめちゃウマパカ!誰が馬だパカ!!」
「おお、なんだ生きてたのか」
謎のノリツッコミをしながら立ち上がったアルパカマッスル。
とりあえず、文思豆腐の口触りの良い食感は好印象の様子。
これで少しは食べ方を気にしてくれるだろう。きっと。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィルジニア・ビアジャンティ
Tofu...見た事はありませんが聞いたことはあります。
何でも東洋のモンクのあの筋骨隆々とした体躯や気功波を出す能力はTofuの圧倒的な高タンパクに支えられているものだとか…わたくしも一度食べてみたかったのでちょうどいいですね。
【POW】さて、わたくしの経験上トマトとチーズを乗せてオーブンで焼けば大体の食材は美味しくなります。それはきっとTofuだって同じことでしょう。それで駄目なら手近にある食材を適当に盛り付けていきます。なに、どうせ味見するのは怪人なので多少失敗しても大丈夫ですよね。
グリモアベースにて説明を受けた後、ヴィルジニア・ビアジャンティ(要塞椅子の貴婦人・f08243)は思案していた。
「Tofu...ですか。見た事はありませんが聞いたことはあります。」
調理場に立ち、もとい座ってTofuを見つめるヴィルジニア。
彼女は生まれつき脚が不自由なため、車椅子での生活を送っているのだ。
「すべすべツルンとしていますね…。まるで色のないプティングのようです。」
引き籠っていた反動からか、伝聞でしか知らないTofuに興味を向けている。
ヴィルジニアの聞いたTofuといえば、東洋のモンクのあの筋骨隆々とした体躯や気功波を出す能力のエネルギー源であり、その圧倒的高タンパクが特徴であるとういことくらいである。
昔の裕福な家庭時代ではほとんど縁のない代物であったが、最近は欧米諸国でも食されるようになっているのだとUDC職員が話していた。
それほどまでに惹きつけるものがあるのか、期会があれば一度口にしてみたいと以前から考えていた。
ついに口にできるのだな、とまずは一口ぱくりと味見。
スプーンの入り具合や口触りは、思った通りプティングに近い。
しかし肝心の味の方は、見た目の色のように何も感じない。
無味無色。本当にこれがTofu…?
少し期待はずれだったかもしれない。
ともかくこれは問題だ。
Tofuに味がないのであれば、味付けしなければ料理として出すことは出来ないだろう。
ヴィルジニアの経験上、トマトとチーズを乗せてオーブンで焼けば大体の食材は美味しくなる。
味付けはこれでバッチリなはず。
メニューが決まれば早速と、調理に移る。
といっても調理というほどの工程はない。
切って盛ってオーブンへ。単純明解だ。
しかし、調理場は立って調理することを想定しているため、ヴィルジニアには少々困難であった。
もちろん、こういった障害については彼女は慣れたものである。
彼女運ぶ車椅子の前脚から【蟷螂狩り】と呼ばれるレーザーカッターが伸びる。
光の刃が材料を捕捉すると、スーっと音もなく切り分けていく。
バイキンもろとも焼却滅菌できるレーザーカッターナイフは実際便利。
オーブンでTofuに焼き目がつきチーズがトマトと絡んだら完成。
Tofuに焼き目がつくとは思わなかったが、水気が抜けきらない丁度良い塩梅だ。
味見はしなかったがそれなりの出来だろう。
鼻歌交じりにご機嫌なヴィルジニアが、料理のサラに蓋をして現地へと向かった。
●
なんやかんやあって死地から再起したアルパカマッスルのもとに、ヴィルジニアが訪れる。
「あら、あなたが怪人さんですね。お次はわたくしの料理をご賞味あれ。なかなかの自信作ですよ。」
蓋を開けると、香り立つチーズの香り。
先ほど豆腐料理も捨てたものじゃないなと改心したアルパカマッスルは、迷わず口に入れる。
「むっほぉ!美味しいパカ!!トマトチーズは最強パカ!豆腐にも結構合うパカ!」
中々の好印象を得られているのが見てわかる。
ヴィルジニアは満足げにその光景を見つめていた。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
普段調理しねぇ拙者がやるんだからこれは間違いなく【作ってみた】でござるね
これで拙者のVtuberでびゅうも近いですぞ!
■UC
ただの勘
■戦闘
題して『豆腐のコーラ煮』作ってみたでござる、の巻き!
材料はお豆腐丸々一丁!そしてこのヌカ・コーラ・クアンタム(アイテム)、塩、以上!
…残念ながらペプシではないんでござるよ
調理は簡単!オトーフマテリアルを適当に食べやすい大きさにカット!
全部の材料を鍋にIN!良い感じに染みたら完成ですぞ!
オーイアルパカくぅん!豆腐食わねぇか?おみまいしてやるでござる
食っても大丈夫かって?大丈夫大丈夫「直ちに影響はない」と拙者の感が言ってる!
アドリブOKですぞ
グリモアベースにて説明を受けた後、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)は悩んで…いなかった。
このおっさんにとって、別にアルパカが何していようが知ったことではない。
「料理…作ってみた…デュフフフフ!これは間違いなく拙者のVtuberでびゅうのチャンスですぞ!」
この御時世、猟兵稼業だけで生きていけるのか不安に駆られて副業を考えたのか、はたまた単に目立ちたいだけなのか…その真意は定かではない。
だが、利用できるものは何だって使っていくのが傭兵らしさか。
彼はせかせかとカメラの準備を行っている。
「ンー?カメラ映りはこれでいいでござるかな。」
ニカと白い歯を光らせてカメラの具合を確かめる。
カメラの画面いっぱいに映り込むおっさんの眩しい笑顔。
おっさんが画面を向いたまま後退すると、調理場とコック帽にハート柄のフリル付きエプロンを着たおっさんが現れる。
「ハイドーモ!新人Vtuberのエドゥアルト・ルーデルでござるよ!今日は早速作ってみた配信をしますぞ!!作る料理は…できてからのお楽しみでござる!」
遂に始まった知らないおっさんによるVtuberの茨道。
よくある料理番組風に、机の上には本日使用する材料が並べられていた。
まずは主役の豆腐が丸々一丁、偶々持っていた青い光を放つヌカ・コーラ・クアンタム、グリモアベースの出入り口にあった盛り塩…それは使って大丈夫なのか?
以上。
明らかに料理を作る材料には見えない。
ここからどんなマジックを使って料理にするのか…視聴者がツバを飲み込む。
「調理は簡単!オトーフマテリアルを適当に食べやすい大きさにカット!全部の材料を鍋にIN!良い感じに染みたら完成ですぞ!塩加減は勘でござる!」
完成…?視聴者一同は困惑した。
青い液体に照らされて青白く光るオトーフマテリアル。
どこをどうみても料理には見えない。
それもそのはず、おっさんはそもそも料理の完成形なんて考えてない。
すべて勘で作っている行き当たりばったり料理なのだ。
「それでは早速試食といきますぞ!生贄…もとい味見してくれる人は容易してあるので、しばし待つでござる!」
●
色々と美味しい豆腐料理を食べて上機嫌なアルパカマッスルのもとに、背後からおっさんが近づく。
「オーイアルパカくぅん!豆腐食わねぇか?とっても美味しいような気がするんですぞ!そうら、お口を開けるでござる!」
「パk…ゴボァァ!!」
何事かと振り向いたアルパカマッスルの口に、思いっきり料理をおみまいするおっさん。
息をするため、思わずゴクンと一飲みで平らげたアルパカマッスル。
しかし、途端に顔を青ざめて苦しみ出した。
その光景を見せられた視聴者一同が、心配のコメントを送信する。
「何々…食っても大丈夫かって?大丈夫大丈夫「直ちに影響はない」と拙者の感が言ってる!」
何故か胸を張って答えるおっさん。
もう一度足元のアルパカの目を見てから言ってよ…。
おっさんは結局大炎上したものの、それなりの知名度を得たという。
大成功
🔵🔵🔵
ベルベナ・ラウンドディー
【WIZ】:いざ尋常に豆腐
そこのパカ野郎
いつから筋肉が素晴らしいと錯覚していた?
そんなものは豆腐の副次的な魅力に過ぎません
言語化できる時点で究極とは程遠いことを悟りなさい
豆腐の本当の魅力を悟る手段はただ1つ
私自身が豆腐になることだ…!(豆腐まみれで変装)
豆腐が筋肉へ還るように、筋肉はやがて豆腐に還る
…ほら、今の言葉にし難い感情が全てです
言葉は捨て、今こそ真理を悟る時なのです…
私の体の中に身も心も喉も内臓もすべてうずめなさい
なぜためらうのです?
身を委ね1つになりましょう…
(そんで窒息しろバーカ)
●
とかなんとか神々しい口調と菩薩の笑みで相手を説得に似た形の丸め込みを行います(アドリブOK)
グリモアベースにて説明を受けた後、ベルベナ・ラウンドディー(ドラゴニアンのバイク乗り・f07708)は悟っていた。
「豆腐の本当の魅力を悟る手段はただ1つ。私自身が豆腐になることだ…!」
開幕哲学的な話を切り出す竜人。
とりあえず筆者にはその真意は分からない。
「さぁ。あとやることは決まっています。わかるでしょう!」
これがわからない。
何をしでかすのかと思えば、調理場にすたすた近付き豆腐を叩き潰し始めた。
程よく塊と潰れた豆腐が混ざり合う具合と確かめると、頃合いだろうと一人頷く。
ぐちゃと豆腐を鷲掴みすると、はだけた上半身にビタンビタンと豆腐を塗りたくる。
豆腐を纏った豆腐アーマーの出来栄えに満足すると、グッとポージングを極めてこぼれ落ちないか確認する。
周りの猟兵達からは白いコイツを白い目で見ている。
がしかし、彼にはそんなことは関係なのであろう。
姿勢を直すと自信ありげに、優雅な足取りで現地へ向かった。
いったいどこにそこまでの自信が沸く要素があるのであろうか…
●
おっさんによって何かよくわからないものを食べさせられて、かなりグロッキー状態であったアルパカマッスル。
せっかく豆腐を料理するのって悪くないのかもな、と思ったのもつかの間。
現在は再び、豆腐はそのまま流し込めばよい。むしろその方が安全じゃねえかとすら思っている。
そんなアルパカマッスルに救いの手を差し伸べるべく、豆腐の救世主が現れた。
セイントーフを身に纏うゴッドーフ、ベルベナだ。
「そこの愚かなアルパカよ。なぜ筋肉が素晴らしいなどという錯覚しているのですか?そんなものは豆腐の副次的な魅力に過ぎません。言語化できる時点で究極とは程遠いことを悟りなさい。」
「パカ!?その白銀に輝くシルバーセイントウフ…あなた様はもしや、数多の食物から豆腐を筋肉の糧として選ばれた筋肉神さまでは!?」
勝手に謎の誤解をするアルパカマッスル。
ベルベナは自分から名乗っていないから詐欺ではない。
ただ自信満々に神々しい口調をしているだけである。
「豆腐が筋肉へ還るように、筋肉はやがて豆腐に還ります。…ほら、今の言葉にし難い感情が全てです。言葉は捨て、今こそ真理を悟る時なのです…。」
その言葉を聞いたアルパカマッスルは目を潤ませる。
耳で聞いたのではない。彼の言葉は直接アルパカマッスルの魂へと響いたのだ。
その後、たぶんありがたい筋肉説法を説かれて、アルパカマッスルの心は豆腐のように真っ白に浄化された。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『過ぎた欲を諫めるために』
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POW : 力ずくで止める、抑える
SPD : 手段や目的を断つように動く
WIZ : 説得や指摘で諭す
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
豆腐のように真っ白に心を浄化したアルパカマッスル。
感動のあまりにうつむいていたが、物凄いつぶらな瞳で顔を上げた。
「俺はようやく豆腐のことがわかったパカ!この感動を広めるために、やはり豆腐を布教する必要がアルパカ!筋肉神様にお会いできたからにはもう止まらないパカァァ!」
馬耳東風、というのであろうか。
結局説法を説かれたところでアルパカマッスルは変わっていないようだ。
むしろ筋肉よりもマジで豆腐のことしか頭にないようであるため、悪化している可能性すらある。
このままでは、また住民達への豆腐布教、豆腐教が始まってしまう。
何でもいい。ともかくこの筋肉豆腐を止める必要がある!
方法は自由。猟兵達の思うままにヤツを止めるのだ!
ベルベナ・ラウンドディー
被害拡大の原因が猟兵になりつつあります
とりあえず口封じヤっちゃいましょう
●SPD
知能トーフだし豆腐教のフリしてりゃ(追跡)成功しますよ
ゴッドーフのままいっけなーい遅刻遅刻☆
とか豆腐咥えてバイクで爆走すりゃ曲がり角の出会い頭でハードラックとダンス余裕のはず
猟兵にはさんざん煮え湯(以上)を飲まされたようなのでお詫びの名目でバイクを貸してあげましょう
病院でケガを治してから病棟での布教をお勧めします
っていうか貸してあげる
むしろ乗れオラ(恫喝)
あ、もしもし猟兵さん?うんわたしー
いまバイクでそっち全速で向かったから頑張ってねー
大丈夫大丈夫あのバイク私の音声入力以外受け付けないからー(ガチャ
(アドリブOK)
南雲・社
料理酒もたらふく飲んだ事じゃしそろそろわし終わらせてお家帰りたーい!そんで帰って飲み直したいなー!
わし思うんじゃけど豆腐だけじゃむきむきになれなくない?
適切な食事と適切な運動。これ大事よ?
その事を諭すように指摘して丸くおさまればよいのじゃがのう。
あ、逆上してきそうになったら容赦なく【狐火】でもお見舞いしてやるかの。言ってわからないやつにはお灸を据えてやるのも年長者の勤めじゃ。……ところで酒はもうないのかの?
【アドリブ歓迎じゃぞ】
ベルベナ・ラウンドディー(ドラゴニアンのバイク乗り・f07708)は困惑していた。
なんか出来そうな気がして説法を説いてみたら、相手が本当に信じ込んでしまったのだ。いやはや自分の隠しきれない溢れるカリスマってやつが怖いね。
しかしどうしたものか。なんか変な方向に吹っ切れたせいで被害拡大しそうだし。
ここらへんで、口封じにヤっちゃうか…?
怪人のあまりの単純さに、さしものゴッドーフも計算外。
もともと計算していたのかは知らないが。
●
いの一番にアルパカマッスルへ熱い折檻を与えたショタおじ南雲・社(美少年顔のおっさん・f02753)。
無茶ぶりというおっさんらしい折檻を肴に、現在まで気持ち良く飲んだくれたまま広場で寝ていた。
しかしせっかく良い気分で寝ていたのに、さきほどから広場でごちゃごちゃ煩い輩が安眠を邪魔しに来るではないか。
酒寝を邪魔する不逞な輩には、もう一度熱いお仕置きが必要だろう。
どっこいしょと身体を起こすと、目に映るのは見慣れた筋肉。そして、上半身に豆腐を纏った知らない人。
「…夢?わしまだ夢見てるの?」
ちょっと意味が分からない状況が一部映り、脳が判断を拒否している。
いや待て落ち着け、と酒を一口入れて気付け酒。
アルコールにより頭がクリアになると、あの顔はグリモアベースで見た覚えがあることに気が付く。一応あれで同じ猟兵のはず。
ならば適当に話を合わせれば、お仕置きに協力させることができるだろう。
●
広場で謎の豆腐教演説が行われている所へ、ショタ狐おじさんが姿を見せる。
「おぬしら何やっとるんじゃ?」
「パカ?俺はついに筋肉神様にお会いできたパカ!俺の筋肉を作りだしたこの豆腐!筋肉神様のためにもっと広めるんだパカ!」
「わし思うんじゃけど豆腐だけじゃむきむきになれなくない?適切な食事と適切な運動。これ大事よ?」
「パカ!?ゴッドーフ様!俺はいったいどうすれば!」
ハっとした顔で筋肉神へ救いを求めるアルパカマッスル。
「走れ。走るのだ。」
ベルベナが答えると、青いカウルの愛車V-RAXXが傍らでエンジンを蒸かしていた。
丁度良い口封じの口実が出来た。乗るしかない、このビッグウェーブに。
「ど、どういうことでしょうパカ?」
「“貧肉”な奴は…“不運(ハードラック)”と”踊(ダンス)”っちまうんだよ…さぁまずはお前が豆腐を喰いながら走れ。」
そういうと、ベルベナは愛車に跨りアルパカマッスルへ進路をとる。
この先の展開を予想したアルパカマッスルが慌てて踵を返す。
「おお、面白そうじゃ。可愛いわしが一緒にらんでぶーしてやろうかの。」
ショタおじが手を引いてもらいながらも、なんとかベルベナの後ろに跨り肩に手を置くとV-RAXXが発進する。
追い付かれればハードラックダンス間違いなし。アルパカマッスルも死に物狂いで走り出す。
がしかし、そこは生身と単車。あっという間に追い付かれる。
「オラオラ走れ走れ!」
「そーじゃそーじゃ!尻に火が付いてるぞぉわはは。ついでじゃ、本当に火をつけてやろうかの。」
それっ、と南雲が指先から狐火を灯すと勢いよくアルパカマッスルの尻に投げつける。
「アッヅィパカァーーー!!また燃やされてるパカ!!」
文字通り火が付いたようにスピードアップするアルパカマッスル。
そこに笑いながら追い付き火を投げつける猟兵組。
以下ループ。
あまりにも酷い拷問が行われていた。
これで怪人の体力を大幅に削ることが出来たであろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ハヤト・ヘミング
色々なものを摂取するよう心掛けなければ丈夫な身体を作ることは出来ない。人はパンのみにて生くるものに非ず、という言葉もある。
(※そういう字義通りの言葉ではない)
走り込みは基礎体力をつけるのには良い訓練方法だ。ただ、この怪人は見せる筋肉作りの方に興味があるのでは無いか、という気がする。
なので、バーベルを併用したスクワットをお勧めしよう。体幹を鍛えられるぞ。バーベルはここまで頑張って持ってきてやったから、存分に鍛えるといい。
…おいそこ!怠けるな!筋肉に申し訳無いと思わないのか!最後までやりきるんだ!
…何故こんな事をしているのか、理由がよく思い出せないが…まあ、足止めにはなる。流れで何とかなるだろう。
エドゥアルト・ルーデル
■UC
POW
■戦闘
そもそもお前筋肉つけたいからタンパク質の為に豆腐を…ええいメンドクセェでござる!!
筋肉つけたいんだろ!食べたら運動!筋トレ!肉体をいじめぬいてやるでござる!!磯野ーキャッチボールしようぜー!!とばかりに超大型爆弾を投げつけますぞ!
単純に重いから筋トレになんだろ!!そんなにタンパク質が好きなら体から蛋白が出るまでしごきぬいてやるぞオラァ!!
爆弾をキャッチしてきたらさらに重量おかわりだ!追加で爆弾をシュゥゥゥゥ!!超!エキサイティン!
アドリブOKですぞ
広場には蜘蛛の巣のように複雑なタイヤ跡が残っていた。
それだけではない。所々に未だ燻っているチリチリの羊毛塊が落ちている。
これだけでも、既にアルパカマッスルが相当な苦難を乗り越えたことが想像に難くないだろう。
なお、散々燃やしながら駆け回った結果、後ろに乗せたショタおじが吐きそうになったのでらんでぶーは中断されていた。
筋肉神の英断により、なんとかシートと背中は守られたのだ。
●
一方アルパカマッスルは、広場に横たわり息も絶え絶えで大空を見上げていた。
ちなみにチリチリに体毛を燃やされ、大口開けて呼吸しているせいでラクダっぽい顔になっている。
「コヒュー、コヒュー、ひ、酷ぇ目にあったパカ…。筋肉神様はいつの間にか危ない貧肉を連れてどっか行っちゃったようだパカね。」
霞む目を凝らして周りを見渡すが、あの神々しいセイントウフは見当たらない。
しかし、広場の外れから誰かが近づいてくるのに気が付き、身を強張らせた。
あの危ない貧肉が戻ってきたのか?
しかしその警戒は杞憂に終わった。
「む?なんだ先ほどの行き倒れか。また行き倒れてるのか?」
モフモフっとした尻尾を靡かせ、両手に抜身の中華包丁をぶら下げたハヤト・ヘミング(刃虎・f10007)の顔を捉えた。
ここがUDC世界なら職質間違いなしだろう。
格好はともかく、現れた命の恩人にアルパカマッスルも気を許した。
「美味しいスープの人だったかパカ。実は筋肉神様に運動しろと言われて走らされていたんだパカ。でも余計にゲッソリした気がするパカ…。」
「なるほどな。確かに走り込みは基礎体力をつけるのには良い訓練方法だ。ただ、みたところお前は見せる筋肉ってのを作りたいんじゃないか。それならば、バーベルを併用したスクワットをお勧めしよう。体幹を鍛えられるぞ。バーベルに代わる物さえあれば簡単にできるからな、存分に鍛えるといい。」
体作り、もとい修行については一家言あるハヤトが、ここぞとばかりに捲し立てる。
相手の肉付きから最適だろうと思われるトレーニング方法を伝授した。
さてバーベルに代わる物は…と辺りを見渡すハヤト。
思い立ったが吉日。トレーニングは後回しにすると続かないのだと、今すぐにでも始めさせようとしている。
師事により力を付けたためなのか、教えるとなると急にハヤトの変なスイッチが入ってしまった。
●
そこへ、ヒゲのおっさんが広場へ乱入してきた。
何やらカメラに向かって、がなり立てている様子が見られる。
顔を近づけ唾を飛ばし、テレビに映せないハンドサインをみせつけてる傍若無人ぶり。
しばらくすると落ち着いたのか、スッキリした顔でこちらへ向かってきた。
「いやー失敗失敗。Vtuberでびゅうで、いきなり大炎上しちゃったでござる。こういう時は、俺じゃない、アイツがやった、知らない、済んだこと、と適当な誰かになすりつけて誤魔化して地蔵するのに限りますな。」
絶賛キマイラフューチャーを騒がせるエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)である。
アルパカマッスル達に気が付くと、新しい玩具を見つけたと言わんばかりに、にんまりと白い歯を見せた。
「おやおやぁ?どうしたんだいアルパカくぅん。」
「コイツには今からバーベルスクワットをさせようと思っていてな。バーベルの代わりになりそうなものを探していたんだが…。」
「ほうほうほう!なるほどですぞ。それなら丁度良い物があるでござるよ。ここにインベントリを圧迫してクソ邪魔な超大型爆弾があるんでござる。」
ハヤトに説明を受けると、エドゥアルトは腕部に装着したPip-Boyを操作する。
本人にしか見えない何かしらの調整をしているようで、もう少しこっちか等と呟いてた。
「そうら、ありがたく受け取るでござる!」
エドゥアルトの掛け声と共に、空中から巨大な爆弾がアルパカを襲った。
慌てて手を挙げて支えたアルパカマッスルであるが、相当重いのか足が震え脂汗が滴り苦悶の表情を浮かべている。
「これでトレーニングが出来るな…おいそこ!怠けるな!筋肉に申し訳無いと思わないのか!最後までやりきるんだ!」
「筋肉つけたいんだろ!食べたら運動!筋トレ!肉体をいじめぬくでござる!!」
スイッチが入ったハヤトと、悪ノリしたエドゥアルトがアルパカマッスルを叱咤し無理やりスクワットをさせる。
アルパカだが、生まれたての子羊のように足が震え、今にも崩れそうな危うさを見せているが鬼トレーナー達の叱咤は止まない。
「ぐぉ…も、もう無理だパカ…。」
「偉いぞアルパカくぅん!そんな君に朗報ですぞ。実は爆弾はもう一つあるんでござる。」
そのエドゥアルトの一言に、アルパカマッスルが目を見開いて驚愕する。
そんなまさか。本当に?
そんなアルパカマッスルの声にならない嫌々と首を振る仕草にエドゥアルトが笑顔で返す。
「そうらおかわりだ!爆弾を相手の頭上にシュゥゥゥゥ!!超!エキサイティン!」
「パカアアアアアアアアァァァァァァ!!!」
再び空中から爆弾が落ちてくると、アルパカマッスルが絶望の叫びをあげる。
悲鳴を上げ続けていた震える膝は、あっけなく決壊し筋肉が敗北する。
ゴンゴンと爆弾が地に着くと、隙間からピクピクと痙攣するアルパカマッスルがかすかに見えた。
「ふむ、無様だな。修行が足りていないぞ。」
「いやー気持ちよかったでござるなぁ!」
ともかくこれでアルパカマッスルが豆腐教する元気は根こそぎ奪うことに成功した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『怪人アルパカマッスル』
|
POW : ポージング
自身の【肉体美の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : 鋼の筋肉
全身を【力ませて筋肉を鋼の如き硬度】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ : つぶらな瞳
【つぶらな瞳で見つめること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【瞳から放たれるビーム】で攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ニィ・ハンブルビー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
不運にも鬼教官に捉まり、過剰トレーニングにより再び地に伏せたアルパカマッスル。
信じた筋肉神の言葉を信じたら轢き殺されそうになり、命の恩人に心を許せば圧殺されそうになる…。
アルパカマッスルの心は泣いていた。否、筋肉も泣いている。
やはりこの世で信頼できるのは、共に鍛え、共に耐え抜いた己の筋肉のみ。
潰れていたアルパカマッスルが気合いの咆哮を上げて、全身から蒸気を放出する。
筋肉は盛り上がり殺意の波動を身に纏っていた。
彼はヤる気だ。
この世の全てに復讐する気なのだ。
「うぉぉぉ!ヤってやるパカァ!!」
ベルベナ・ラウンドディー
そうです
その怒りこそ最後の試練です
怒りを克服し、私を倒し
新たな筋肉神として目覚めるのです…
(本音:コイツ馬鹿だわ
●方針:POW技を誘発させて騙し討ち
さぁ…貴方の筋肉を見せてみなさい(挑発:POW技を誘発させます)
とりあえず音声操縦でバイクを体当たりさせてみます。…卑怯?知らん
わかった、なら念動力で押さえ込みます。…筋肉?知らん
OK、なら【竜紋即居付け】…貴方は今から【筋力落ちます】…姑息?知らん
完全に騙し討ちだが神々しくやればたぶん勢いで押し切れる!
越えるのです!怒りを!私を!(もう一発ぐさー
不意打ちをせずして何が神か!
うろたえるな小僧ども!
セイントーフに武器使用禁止の掟とかナイナイ。
ヴィルジニア・ビアジャンティ
あら、ピザTofuが予想外に良い出来だったのでつい食べるのに夢中になっていた間に、あの怪人も漸くやる気になったようですね。
とはいってもあの怪人、ただの筋肉ダルマなのであまり武器に使えそうな部位が無いんですよね……
あっ!でもあの頭のモフモフ!!あの頭のモフモフはちょっと具合が良さそうですね!記念に貰っておきましょう!
さて、まずは距離をとってから【絶命赤糸】で怪人の片足を捕らえて動きを制限します。そしてポージングしている隙をを見て一気に引っ張り、体勢を崩しにかかります。その隙に接近し、蟷螂狩りでモフモフを少し拝借しましょう。その後は後ろに退いて味方の援護に徹します。
散々の騒ぎにより、既に広場には一般住民の姿はない。
姿を確認できるのは猟兵達。
そして、燃やされてラクダのような貧相な頭に、今までにないほど隆起した筋肉に力を込め続ける怪人アルパカマッスル。
顔両脇に上腕二頭筋を二つ並べ大きなコブを作る。
いわゆるフロント・ダブル・バイセップスでポージングしているものだから、余計にラクダらしさに磨きをかけている状態だ。
盛り上がった筋肉から立ち上る蒸気は、足元に水たまりを作り局部的に湿度を高めている。
さらに、歯を剥いて顔が赤くなり、首筋の血管が浮き上がるほどに力を込めると、徐々に頭から毛が再生していく。
「huuuunn,Gaaaaaa!!」
突如クワっと口を開けてけたたましい奇声を上げると、ボワっと白くふわふわの羊毛が頭頂部から鎖骨にかけて生えてきた。
傷は癒え、毛は生えた。
この世はやはり筋肉。筋肉さえあれば無敵である。
怒れる怪人は、己の確固たる自信とアイデンティティを再確認した。
この世の全てに復讐を誓ったアルパカマッスルの怒りの矛先、まずは唯一この広場に残った猟兵達に向けられた。
●
広場を一望できるテラス。
コンコン機械があるためか、食事については持ち込みOKなオープンカフェが隣接している。
ウッドデッキに蔦が登り、木漏れ日を浴びながら優雅にティータイムを楽しめる中々のリア充スポットである。
平日の昼でも十分人がいるはずではあるが、広場の騒動に影響されて現在は閑古鳥が鳴いていた。
そんな閑散としたテラスで、一人このリア充スポットを独占する幸福な者がいた。
ヴィルジニア・ビアジャンティ(要塞椅子の貴婦人・f08243)がカチャリとティーカップをソーサーに戻す。
当初は別の目的で作ったトマト&チーズonTofu…つまりピザTofu。
味見役の怪人が美味しそうに食べるものだから、つい自分でも食べたくなってしまい今に至る。
実際食べてみると、適度に水気を抜いた淡泊なTofuは、味付けを邪魔しないので普通にピザ味だ。
それでいて新食感と低カロリーなのだから確かに欧米でも人気になるのだろうと一人頷く。
食後の紅茶も飲み終えて、ふと広場を横目で観ると怪人が猟兵と対峙していた。
そういえば、あの怪人を狩りに来たのであったと思い出す。
「とはいってもあの怪人、ただの筋肉ハゲダルマなのであまり武器に使えそうな部位が無いんですよね……。あら、毛が生えましたね。…そうですね、あの頭のモフモフ!!あの頭のモフモフはちょっと具合が良さそうですね!記念に貰っておきましょう!」
漸く怪人もヴィルジニアもやる気になったところで行動し始める。
まずは、準備だ。
狩りは準備の時点で戦いが始まるのだ。
隙を見せたほうが負ける、手に汗握るシビアな勝負、自然界の掟。
相手に気取られない十分な距離は既に保てている。
ならばと調理でも使用したヴィルジニアの脚でもありもう一つの腕、蟷螂狩りを伸ばした。
地を這うように視線を切り、音もなくアルパカマッスルの足元へと近づく。
これで罠は張れた。あとはもう、糸に掛かった蝶に毒牙を突き立てるタイミングを待つのみだ。
凛と澄ました表情だったヴィルジニアが、勝利を確信した怪しい笑みを浮かべた。
●
怒りに滾るアルパカマッスル。
そこに対峙するのはセイントーフを身に纏ったゴッドーフもとい筋肉神。もとい、ただのベルベナ・ラウンドディー(ドラゴニアンのバイク乗り・f07708)。
一般人にとってはただのベルベナ。
しかし、アルパカマッスルにとってはそうではない。
信じていたのに裏切られた。信じていたからこそ怒りの炎が燃え盛る。
因縁の宿敵といえなくもない相手を前にして、アルパカマッスルのボルテージは最骨頂を見せる勢いだ。
「筋肉神様…俺は今、愛すべきあなたへ怒りの感情が抑えられないパカ!」
「そうです。その怒りこそ最後の試練です。怒りを克服し、私を倒し、新たな筋肉神として目覚めるのです…。さぁ…貴方の筋肉を見せてみなさい。」
なんか勝手に盛り上がってるし、適当に相手に合わせて台詞を並べた。
しかし、ベルベナにとってそんなことは1㎜程の興味も無かった。
先ほどから、アルパカマッスルの足元に何か伸びていることの方がよほど興味がある。
あれは猟兵が何かやっているんだろうか。
あれで思いっきり引っ張たら面白そうだな。
ベルベナの頭の中はおおよそこのような思考で埋まっていた。
そんなベルベナを知る由もなく、アルパカマッスルはここぞとばかりに盛り上がる。
「分かったパカ!筋肉神様がそこまで言うのならば覚悟したパカ!俺は今、神を超えて次代の新たな神となるパカァ!!」
啖呵を切ったアルパカマッスル。
フロント・ダブル・バイセップスを解除し、横を向いた。
キッと目を見開いて顔をこちらに向けると、腕を組んで全身の筋肉を盛り上げる。
いわゆるサイド・チェストのポーズを極めた。
●
足を閉じて揃えている上に、踵立で足にも力を入れているアルパカマッスル。
意識も完全に向こうにあるのであれば、これ以上とない好機。
狩る者の瞳で目を光らせていたヴィルジニアが歓喜の声を押し殺した。
足元に忍ばせていた蟷螂狩りを踵の隙間に滑り込ませて、勢いよく掬い上げる。
完全に決まった!と自己満足に浸っていたアルパカマッスルは、呆気なく情けない声を漏らしながら、への字で地面に突っ伏した。
「ぶべぇ!」
そこへ近づく駆動音。
ベルベナが隅に停めていたはずのV-RAXXが独りでに動き出す。
否、このバイクは搭乗者が不在であろうと、その声に反応し応えてくれる優秀な相棒なのだ!
V-RAXXがアルパカに接近すると、迷わず地面とキスしている頭部へと前輪を向けた。
ゴン、と踏み上げて前進を続け後輪が頭部に到着すると、おぞましい速度で羊毛を巻き込み掻き出していくいく。
広場には猫の毛玉のような毛の塊がぽこぽこと散っていった。
ぶちぶちと毟られていく悲痛の音は、しばらくすると止み、V-RAXXは満足したかのように元の位置へ戻る。
全ての光景を余すことなく見ていたベルベナは笑いを堪えていた。
「ブフッ、ゴホン。不意打ち捌けずして何が神か!一万年と2000年早いわ!!」
そんなベルベナの決め台詞を無視して、ヴィルジニアは広場にまとまった良い感じのモフモフを蟷螂狩りで器用にかき集めていた。
哀れアルパカマッスル。
啖呵まで切ったのに、地面にキスしてまたもやラクダ頭に戻っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ハヤト・ヘミング
辛い逆境に心が耐え切れなかったか……怪人と猟兵の間柄とは言え、一時は志を同じくした身(※殆どしていない)。せめて苦しまぬよう逝かせてやらねば。
「貴様の自慢の肉体、俺に見せてみろっ!」
……確かに見せてみろとは言ったが、何故奴は攻撃の合間合間に関係の無い姿勢を頻繁に取るのだろう。余裕の表れか?それとも己の肉体に対する自信の表れだろうか。理由はさておき、副次効果があるのは厄介だな。
ともあれ、隙を見て接近し『金色太刀』を見舞うとしよう。俺が未熟故に、至近距離の相手に当てねば効果を発揮出来ない業ではあるが、仮に最大威力で無くともある程度近い距離からの斬撃をまともに喰らえば然しもの怪人も無傷では済むまい。
南雲・社
生きの良いむきむきじゃのう。わしはらんでぶーして少し戻ってきそうじゃわい。わしそろそろマジで色々戻ってきそうだから帰りたいなー。取り敢えずそこで伸びてるむきむき適当にぼこせばいいの?
さーて、最後の料理はあるぱかの潰した豆腐乗せで行くかの。むきむきあるぱかを【七星七爆符】で動きを封じて冥土の土産とばかりにお前さんの身体中に豆腐を渾身の力でぶつけてやろう。威力が高まるようにそこら辺に落ちてる石仕込んどいていい?
ほらほら、豆腐神とお揃いになれたよ!うれしいじゃろ?あ?完成したら誰かいる?え?いらない?わしもいらない。
広場には哀愁の風が吹いた。
細かい羊毛がそこかしこに散り、風に乗って集まっては散る。
その中心には、天に昇った太陽をからかうようにケツを向けて伏せる筋肉達磨。
つい先ほどまでは、空気の張り詰めるような鋭い視線を広場に飛ばしていたのだが、5分と経たずにその瞳はアスファルトへ情けなく埋まっているのだ。
筋肉神に対峙するなどただの筋肉には無謀であったのか、周りを確認せず己を過信したのが悪かったのか、今となってはアルパカマッスルにはどちらでも同じである。
渾身の力で奮起した。しかし、それでも負けたのだ。
あまりにも呆気なく、あまりにも情けなく。
筋肉では世の中を変えることは出来ないのか。
己のアイデンティティなんて所詮はそんな小さな物だったのか。
アルパカマッスルの胸中には黒く濁った不安と自己嫌悪で渦巻いていた。
●
息はある。それは気配で分かっている。
しかし、いっこうに立ち上がろうともしないアルパカマッスルにハヤト・ヘミング(刃虎・f10007)業を煮やしていた。
なぜ立ち上がろうともしないのか…。
辛い逆境に心が耐え切れなかったか。
怪人と猟兵の間柄とは言え、一時は志を同じくした身ではないか。
筋肉の頂へ望もうと、師事した仲ではないか。
彼を見捨てて置けはしない。
「おい、いつまでそのままでいるつもりだ!貴様は己の筋肉が泣いているのを気付いていないわけでもあるまい!見て見ぬ振りをして筋肉から逃げるな!貴様の自慢の肉体、俺に見せてみろっ!」
ハヤトは心を鬼にしていた。
アルパカマッスルを憎んでいるからではない。いじけたその性根が憎いのだ。
厳しい修行を乗り越えてきた彼にとって、挫けることを認められはしない。
目の前に救いの怒りを燃やしたのだ。
「う…うぐっ…俺に、今更何が出来るっていうんだパカ…。」
雫が頬を濡らし、口の中がしょっぱくなる。
堪え切れない感情が溢れ出しながらも、顔を拭わずキッとハヤトを睨み返しながらヨタヨタ立ち上がるアルパカマッスル。
「まだそんなことを言うのか!気合いを入れてやる、目を覚ませ!」
弱音を吐きながらも、その目はまだ死んではいない。
その内に秘めた光を感じ取ったハヤトは内心安堵する。
ならば、彼に必要なのは後押しだけだ。
ハヤトがしてやれるのは喝を入れてやること。
下げた刀の留紐を一つ解くと、鞘から抜けぬように留紐で固定する。
即興で作った疑似木刀だ。
アルパカマッスルの至近距離に詰め寄ると、刃を持たぬ刀に己の気持ちを載せて喝を入れた。
●
地獄のらんでぶー事件を焚き付けた張本人は、現在広場の隅の排水溝で虹を作っていた。
たらふく飲んで、あれだけ動いたのだから当然と言えば当然なのだが。
胃が粗方空になると、げんなりした顔で頭を上げる。
こういうことは大酒飲みであるため慣れっこではある。
しかし、何度やっても気分が悪いのは変わらない。
ぼんやりと青ざめた顔で、一度くらいはスッキリしてほしいものだと考える。
「うぷ、興が覚めてしまったのう…。はー。こんな時は飲むに限るものじゃな。」
空きっ腹に強めの一口。刺激する酒精が堪らない。
青空の元で飲み直すのは、何度だって美味しい。それが酒飲みの心意気。
粋な自分にも酔い始めると、再びアルコールの心地良さに包まれる。
身体も温まってきたし、何かツマミでも…と探してみるが、そういえば豆腐しかない。
というか豆腐だけなら無駄に沢山ある。
グリモアベースから出してきたものだろうか。
南雲にとってはどうでもいいことだ。
この際、また豆腐でいいかと醤油を垂らして、膳の上の肴を二口三口箸で突いた。
小腹を満たし、漸く落ち着く。
人は贅沢なもので、酒と肴とくれば、次は興がほしい。
気晴らしに広場を眺めると、記憶に新しい筋肉が小鹿のように滑稽な足腰で震えているではないか。
「ぷふっ!なんじゃ、えらい活きの良いむきむきがおるのう。そうじゃ!あのむきむきで男体盛りというのも一興じゃのう!(まー気持ち悪いし、絶対喰わんがな。)」
まるで小学生のような、幼稚な悪戯じみたことを本気でやろうとする39歳児。
見た目相応の発想力ではあるのだが。
酔いも回って歩くのも面倒くさい。でも男盛りしてみたい。
だったら投げて当てれば盛れるだろうと、アルコールで思考力の落ちた結論に至る。どうせ食べないのだし同じことだ。
どれまずは一つ、と豆腐を掴もうとするが、投げようと力を込めると豆腐は形を保てず崩れてしまう。
これでは、投げられないではないかと勝手に憤慨する南雲だが、豆腐とは元よりそんなものだ。
しかし、こういう時だけ頭が回るのか、すぐに解決策は浮かんだ。
豆腐が柔らかいなら、固くしてしまえばいい。
なんと豆腐のように柔らかい柔軟な発想なのだと、一人自画自賛しながら懐より術札を取り出す。
妖力を込めて豆腐に貼り付けると、コンコンと手の甲で叩き具合を確かめる。
南雲が飲酒しておらず冷静なら、こんなもの投げても盛れないだろと気付くだろう。
しかし、当のショタおじはニッコリしながら術の強度に満足気だ。
さて投げようかと手を伸ばしたところに、何かの打撃音が広場で響いた。
反応した南雲は、もふっとした耳をピンと立てて音の出所を見る。
筋肉が、筋肉が飛んでくる!
見た目の割りには年の功、咄嗟に豆腐は捨て置きサッと後ろに飛退き回避した。
そこへ頭から突っ込むハゲピカマッスル。
幸運にも豆腐置き場がクッションになってくれそうだ。
とはいかなかった。落下地点は硬化豆腐。
尋常ではない固さのそれは、もはや凶器。
四方形のその角は鋭利な刃物も同然であった。
あとはもう書かなくとも分かるだろう。
毛が無いが怪我してしまったのだ。
「豆腐の角に頭をぶつけて死ね、と言葉はあるがまさか本当に死ぬ奴がおるとはな…。うぇ~、帰って皆と飲み直すかの。」
真っ赤に染まった豆腐を見て、またも興醒めしている南雲。
ちなみに、ハヤトはこの光景を見ていない。
喝を入れた後は振り返らなかったのだ。
これ以上の手助けは無粋。自分で立ち上がれなければ心は強くなれないのだと、涙を呑んで背を見せたのだ。
どこまでも不幸に見舞われたアルパカマッスル。
ありがとう猟兵諸君。君たちのおかげで街の平和は守られた。
広場は豆腐と焦げた羊毛だらけだけど。
大成功
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