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おかしなお菓子なスイートスウィートダンジョン

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●予知・蜜ぷにの侵攻
 見渡す限り敷き詰められたウエハースの壁。天井はカステラで覆われ、キャンディやクラッカーの床が地面を彩る。所々でチョコレートの大河が流れ、水飴の露が滴り落ちる。
 そしてその迷宮を闊歩するのは色とりどりのグミ、でなく【蜜ぷに】級オブリビオン。迷宮を構成する甘味に負けぬ量を誇るそれは、ある日迷宮に現れた『それ』に住処を追われ、新天地を地上に求め、求め押し合い圧し合い進出しようとしていた。

●???
 迷宮の最深部。柔らかく、温かく、あるいは脆い、迷宮の構成要素の菓子とは正反対の物体が一面を覆い尽くすように絡みつく。それは硬く、冷たく、頑強な鉄の糸。アラザンの輝きを持つ無数の格子状の円網は、とろけるようなスイーツの建材に食い込み、幾匹もの蜜ぷにを生きたままグルグル巻きにして捕らえている。
 硬い金属音と切ない悲鳴が響く部屋の中心に存在するのは、八本の足を蠢かせる蒸気絡繰の大蜘蛛。それは、自身をそっくりそのまま縮小したような子蜘蛛達を侍らせ、来るべき侵攻の時に備え滋養を蓄え、自己進化と自己改良を続けていた。

●ちなみに迷宮のお菓子は大味であまり美味しくないらしい
「皆さん、本日はお集まり頂きありがとうございます。任務です。【アルダワ魔法学園】地下に新たなオブリビオン迷宮が発見されました」
 グリモア猟兵、メンテ・サンタバーバラ(ミセリコルデ・f00018)は集まった猟兵達に簡潔な挨拶と一礼を行い、続いて今回の事件を告げる。
「今回発見された迷宮は通称『お菓子迷宮』。その名の通り迷宮構造のすべてがお菓子で形作られています……」
 その光景を想像し、伝承に残るお菓子の家を連想し目を輝かせるか、あるいは過剰な糖分によって胸焼けを起こし砂糖を嘔吐するか、人それぞれであろう。少なくともそれを光なき瞳で語るメンテは、後者に該当するものとされる。

「しかしそこはオブリビオン迷宮。ダンジョン内では【蜜ぷに】級オブリビオンが多数目撃され、さらにグリモアの予知もこう告げています。『蜜ぷにの大群が『何か』に追われるようにお菓子迷宮を遡上し、地上に溢れ出る』と」
 メンテの右手の上で、十字短剣型の物体が薄黄色に光る。例え個々の戦闘力は貧弱であっても、強力な自己増殖能力が裏付けする途方もない物量の脅威は、他の災魔オブリビオンに決して劣らぬ危険性を持つ。
 何より、オブリビオンの侵攻とそれに伴う地上定着を許せば、先人が多大な犠牲の上に築いた『アルダワの災魔は迷宮のみに存在する』という前提の崩壊を意味する。それだけは決して許してはならない。

「これより皆さんを『お菓子迷宮』入口に転移します。皆さんは迷宮を突破し、地上侵攻を目指す蜜ぷに達を捕捉して下さい」
 お菓子迷宮はその名の通り迷宮のあらゆる物体が何らかの菓子で構成されている。強度は比較的脆く、壁をぶち抜いての突破も比較的容易と推測されるが、その脆さは足元や天井も同様だ。迂闊に力めばあっさり足元が崩れ、計画なしに壁を崩せば天井まで崩落し生き埋めになる恐れがある。
 さらにメンテは留意すべきものとしてネバネバのお菓子を挙げる。チョコレートや水飴、あるいはチューイングガムといったものがトラップの如く突然降り注いでは体に絡みつき、踏破を阻害する可能性が高いと指摘する。他にもお菓子の性質を生かしたトラップが数多く仕掛けられていることが推測されるため、見た目とは裏腹に一筋縄ではいかないだろう。

「迷宮踏破後は『蜜ぷにを全頭掃討』し、そして『蜜ぷに達に地上進出を強いた何かの原因究明』、そしてそれが『敵性オブリビオンであるのならそれも撃破』して下さい。魔法学園と人々の暮らしを守るため、皆さんの助力をお願いします」
 メンテが再び一礼する。それはブリーフィングの終了、そして作戦開始の合図だ。『お菓子迷宮』攻略が始まる。


前後
●ごあいさつとか捕捉とか
 皆さん、初めましての方は初めまして。以前プレイングを送って下さった方は毎度御贔屓にありがとうございます。東京オフに行きたかった前後です。
 今回も【アルダワ魔法学園】です。お菓子です。お菓子プレイとかいいよね。

 単発参加、あるいは2章以降からの参加も大歓迎です。どうぞよろしくお願いします。
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第1章 冒険 『お菓子の迷路!?』

POW   :    迷路の壁を破壊、力任せにトラップを突破

SPD   :    トラップが発動する前に駆け抜ける

WIZ   :    地形を観察し、最短かつ安全な道を探す

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

竹城・落葉
 ほほう、お菓子迷宮とな。あらゆるものがお菓子で構成されているとは興味深い。ならば、グルメな我が食してやろうではないか。この迷宮は、極楽浄土に違いない。
 能力値はPOWを使用する。
 我は『剣刃一閃』を用いて壁を破壊したり、力任せにトラップを突破するぞ。その際は冷酷な雰囲気を醸し出し無表情で、障害をものともせず突き進んでいく。元武将の我は誰にも止められまい。まぁ、力むと良くない事が起きそうなので、力加減には注意するが。
 あと、壁やトラップは、お菓子だと聞いた。迷宮を進む際、それらも色々と食していくぞ。味はマスター殿に一任する。



●甘味剣客、推して参る
 【剣刃一閃】の太刀筋が『お菓子迷宮』を構成するウエハースの壁の一角を四角く切り取ると、それは中に挟まれたチョコレートを露出しながら手前へと倒れる。
 やはりここは名前に違わぬ極楽浄土か。業務用人格でそう語るのは竹城・落葉(一般的な剣客……の筈だった・f00809)だ。着物の上に羽織を重ね、腰に刀を差した黒髪の乙女は、迷宮を悠然と進む。氷のような冷酷で感情を見せぬ表情を保ちつつ、実を言うと内心わくわくしている彼女は、先ほど崩した壁の一部を拝借し、味見をする。うむ、食感は良し。

 彼女の踏破方針は『最小限の力任せ』だ。無用な力を抜き、鋭い刃の一点に集中させる事で、体力の消耗を抑えつつ、柔らかで不安定な迷宮の崩落を防ぐ。猟兵にして元武将の我はいかなお菓子であろうと止められまい、と十字路に差し掛かると、突然床がパキっと割れる。力むと良くない事が起きる故、摺り足で進んでいたが、それにしても脆すぎる。足元は――カステラだ。草履と足袋が地面に食い込む――なれば。落葉は剣を構える。

 想像通り。正面の壁の一部が180度反転し、クリームパイが飛来する。姿勢を低くしてそれを回避。だがあれは囮。本命は――右か。
 予想通り、丸太のような太く長いチョコレートインプレッツェルが破城槌の如く迫る。顔に直撃したり、迂闊にパイに刃を当てて切れ味を落とす等で対処を誤れば、間違いなく横っ腹をぶち抜かれていただろう。しかし昔も今も戦いを生業とする落葉にそのような単純な罠は通用しない。
「罠に至るまでお菓子とは。だが、グルメな我の前に現れたのが間違いであったな」
 刀を構え、空飛ぶプレッツェルを直前まで引き付ける。そして【剣刃一閃】を放つと、彼女の体を綺麗に避けて真っ二つに切り裂かれていく。
 先端から末尾に至るまでチョコたっぷりのプレッツェルであったが、それが彼女を穿つことは叶わなかった。

 罠が打ち止めになったことを確認し、カステラ床から足を丁寧に引き抜く。そしてクリームパイやプレッツェルなどを食していく。食感は良し。食感は良いのだが。
「……大味だな」
 胃が緩くなりそうな合成甘味料の甘みが口の中に残る。先ほどから食べている菓子全てがこの調子だ。やはり現実はお菓子程には甘くはないのかも知れない。

成功 🔵​🔵​🔴​

村井・樹
お菓子のダンジョンとは、おかしなものもあったものですねぇ。
……なんて、ダジャレを言っている場合ではなく。
是非とも紅茶片手に進みたいダンジョンではありますが、急ぎ、中を調査せねば。

UDCのメメ君と一緒に、慎重に内部を探索しましょう
「メメ君、落ちているものを食べてはいけませんよ、お腹を壊してしまいますからね?」

足場や壁の作りをよく観察し、崩れそうな箇所は避けて通りましょう

流れのある場所に関しては、川幅の小さい場所か、流れの穏やかな場所などを探し、迷宮内で利用できるものがあれば、それを足場にして渡りましょう

他猟兵と出会えたら、私が迷宮内で見つけたものを伝え、情報共有をしましょう

※プレ外の言動大歓迎



●おか紳士の迷宮調査行
「お菓子のダンジョンとは、おかしなものもあったものですねぇ」
 第1章にしてシナリオタイトルを回収しながら迷宮を進むは、黒のスーツの上からマントを羽織り、洒落たモノクルを付けた童顔の男性、村井・樹(微笑む紳士と笑わぬ不良・f07125)だ。
 身なりの良い体形に紳士的な衣装を着こなし、UDCエージェントとして培われた観察力を駆使し、迷宮内の危険な兆候に目星を付ける。
 しかし見れば見る程、紅茶を片手でティータイムと洒落込みたい迷宮だ。だがその欲求は一先ず我慢。急ぎここを踏破せねば。
 
「メメ君、落ちているものを食べてはいけませんよ。お腹を壊してしまいますからね?」
 床に転がる巨大金平糖に齧り付くのは彼の相棒であるUDCのメメ君だ。薄紫の異形のドラゴンと言うべき姿の彼を窘めながら、辺りを見渡す。床には同じ形の金平糖が大量に散らばり、そして上には開口部が見える。
 と歩く先で急に床を蹴る質感が変わる。樹は足を止め、一歩下がってその床を蹴る。キャンディの地面が回転し、深い奈落の底が見える。そしてその底には無数のパラソルチョコの針山。注意が足りないもの、あるいは金平糖に気を取られた過ぎたものを転落させ、そのまま串刺しにするデストラップだったのだろう。
 だが種が分かれば問題ない。後続猟兵のためお菓子の壁にトラップの内容を刻み、キャンディ床を回さないように慎重に突破していく。

 続いて現れたのは、流れの速いチョコレートの大河だ。対岸までの川幅は広いとは言えないが、一度も躓かず渡るのも困難。恐らく下流まで流されればロクなことが起こらないだろう――
 だがここで樹は疑問に思う。果たして本当にそうだろうか? 幸いにも、彼にはそれを調べてくれる適材がいる。
「メメ君、頼みましたよ」
 相棒のUDCに先行調査を頼むと、彼はふわふわと天井と川の隙間を飛んでいく。樹が数分程待つと、メメは何やら興奮した様子で戻ってくる。そして戻るなり、しきりに樹の持ち物の一つである【ぷに蜜】の容器を咥えようとする。
「ぷに蜜……なるほど。メメ君、でかしました」
 川の下流に討伐対象である【蜜ぷに】がいる。メメはそう言っているのだろう。ならば話は早い。この川沿いに進めば目的地ということだ。重要な情報を獲得した樹は、下流を目指す。

大成功 🔵​🔵​🔵​

緋月・透乃
お菓子の迷宮なんてなんだか夢があるね。
できることなら食べながら進みたい!でもあんまり美味しくないらしいし、私は甘いお菓子よりしょっぱいお菓子のほうが好きだから、胃より先に口が悲鳴をあげそうだねぇ……ほどほどに食べよっと。
甘い香りもあんまり無いといいね。

【POW】
壊せるものは壊して進む!それが私のやり方だけど、斧はふんばりで床が抜けそうだね。
先にぴょんぴょん跳ねたりして【乳揺ぶーすと】をしておいて、いつもはあんまり使わないグルメツールで丁寧に壁を切り抜いて進んでいくよ。
トラップは力ずくや食べることでなんとかするよ。
においにやられそうになったら、お肉のにおいを嗅いでおこう。



●ぷりんぷりん娘はカスタードプリンの夢を見るか
「お菓子の迷宮だなんて、何だか夢があるね!」
 と目を輝かせながら語っていたのも最初の内。お菓子を食べながら進んでいった緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)は、すぐに変わり映えしない大味な甘さによって口が悲鳴をあげ、緋色のポニーテールが心なしかしょげ下がる。
 このままでは胃の前に口がもたなくなると方針を変更し、障害になりそうなものを程々に食べていくことにする。透乃はどちらかと言えばしょっぱいお菓子の方が好きなのだが、残念ながらその系統のお菓子はあまり取り揃えていないらしい。

 壊せるものは壊して進む、だが狭く足元の悪いこの迷宮で得意の斧をぶん回せば何が起こるか分からない。お菓子の天井に埋もれて窒息死なんてのはゴメンだし、さっきの書き置き付き回転床の底に広がるパラソルチョコの早贄なんてのは猶更だ。
 普段はあまり使わない【グルメツール】を取り出し、落ちてきた板チョコの壁を回避し、その後それを丁寧に割りながら目的地を目指していく
 順当に迷宮や罠を突破していき、長い回廊に差し掛かる。何かが起動する音が聞こえる。上か。透乃がツールを構える。
 
 彼女の予想通り、回廊中の天井が開かれ、そこから無数の巨大な小判型の焼き菓子が落下する。自分目掛けて降り注ぐそれらをグルメツールで破壊していく。幸いにも焼き菓子自体は見た目よりも軽く、彼女の実力を持ってすれば傷を負うはずもない。だが問題は、小判菓子に付着する白い粉。それが地面に落下して砕かれた時、回廊一面に散布される。
 甘ったるい、それでいて中毒的な香り。思わず透乃は口と鼻を抑え、だがそれでも粉が与える多幸感に咳き込む。完全に動けなくなる前にここを突破しなければ。
 透乃の長い髪が、肉感的な肢体が、そして豊満な胸が、粉によって白く染まる回廊で悶えるように揺れ動く。薄手の服が乱れん程の、もはや罠の毒牙に掛かったかに見えた振る舞い。
 だがそれこそが彼女の対抗策であった。ユーベルコード【乳揺ぶーすと】によって、胸が躍動するたび彼女に意志の力を取り戻させる。走り、跳び、そして胸をぶるんぶるんと揺らし、透乃は無事正気を保ったまま小判菓子の回廊を無事突破する。

「けほっ、けほっ。危ないところだったね」
 体に染みつく白い粉と香りを払い、そして未だ残る多幸感を打ち消すため、懐のお肉にかぶり付く。塩と胡椒の辛味が、透乃に生きている実感を取り戻させた。

成功 🔵​🔵​🔴​

竜洞・梓
ふわあ、お菓子の迷宮……! すごくかわいいです……!
はっ、いけません(ふるふる)。いくらかわいくても、これはよくないものの巣なのです。
……でもちょっとくらいなら……(壁のウェハースを一欠片口に入れる)

……おいしくありません……(すっごいしょんぼり)

やっぱりかわいいのは罠ですね。まじめに探索します!(ふんす)
とはいえお菓子のトラップがあるのなら……【POW】風の魔力を身体にまとわせて、吹き飛ばして凌いでみましょう(攻撃力上昇
炎や水だと溶けちゃいますからね。べたべたするのはいけません。

あとは蜜ぷにとやらが簡単に上がってこれないように、いくつか道を塞ぎましょう。えーい!(蹴り砕く
あっ(水飴につるっ



●魔法竜士あずさーす
「ふわあ、お菓子の迷宮……!! すっごくかわいいです……!!」
 竜派ドラゴニアンの少女、竜洞・梓(まじかるどらごんウィッチ・f11833)は、目の前に広がるお菓子な迷宮に目を光らせる。もしお菓子の家というものがこの世にあるとしたら、きっとその中はこのような情景なのだろう、と。
「はっ、いけません」
 竜頭をふるふると横に振り、気を取り直しふんすと鼻息を鳴らす。そう、ここはオブリビオン迷宮。恐るべき蜜ぷになどが潜む危険な迷宮――と思考を切り替えようとするも、そういえば蜜ぷにってかわいいよね、美味しいよね、とついついにやけ顔になってしまう。

 【トリニティ・エンハンス】で風の魔力を纏わせながら、梓は迷宮を突き進む。火では溶けるし、水ではベタベタになる。故に消去法で風を選んだ梓であったが、その選択は正解だったようだ。
 渦巻く気流は先の白い粉のような粒子や香りを利用したトラップに効果覿面であり、今もこうして吹き付けるココアパウダーの強風とアーモンドチョコクッキーの礫を風の結界で弾き無効化している。
 それだけでなく、僅かな気流の違和感、不自然に入り込む風から隠された近道や罠のスイッチを見つけ出し、梓は一度たりトラップに掛かることも足止めを受けることもなく順調に進んでいる。梓自身もここまで有効であることに驚いていた。
 
 順調に迷宮を進む内に、蜜ぷにと言えば――で彼女は思い出す。万が一のためにいくつか道を塞いでおいた方がいいのでは、と彼女は考えた。
 無論完全に塞いでしまっては後続の猟兵達が進めないので、起伏のあるバリケードを形成し、地上進行を妨害する要領でだ。まずは一カ所目。
「えーい!」
 掛け声とともに壁を蹴り砕く。だが彼女は違和感を覚える。足の先端にねちょっとした感覚。蹴り砕いた壁なら透明のネバネバする液体が溢れ出る。まさか、壁の中に水飴が詰まっていたのか。
 慌てて足を引き抜こうとするも、思った以上に粘ってバランスを崩し、そのまま転倒。梓の大きな胸と露出の多い竜体がベタベタになる。
 さらに転んだ拍子にウエハースの壁が口の中に入り込み、水飴塗れでふやけた、そしてひたすらにしつこく甘ったるい感覚が広がる。
「ふええ……おいしくありません……」
 やはりここはよくないものの巣。怪我はないものの踏んだり蹴ったりの目に遭い、梓はそう確信したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パフィン・ネクロニア
ほー、お菓子迷宮とな。このタイプのダンジョンは初めて見るのぅ。どれ、味の方は……イマイチじゃな。
さて、力づくでやって加減を間違えると危険じゃし、いちいちトラップを探すのも面倒、となるとSPDで一気に駆け抜けるのが無難かのぅ。
床が抜けないかだけが不安じゃが、まあ水の上を走るような感じでいけば大丈夫じゃろ。
なに、どんな厄介な罠も当たらなければどうという事はないんじゃよ?



●Bダッシュダンジョン商人
「ほー、お菓子迷宮とな」
 数多の世界、数多のダンジョンを渡り歩くパフィン・ネクロニア(ダンジョン商人・f08423)にとっても、建材からトラップに至るまでお菓子で構成された迷宮というのは初耳らしい。
 味の方は……と建材の一かけらを口に放り込む。噛む。眼帯で覆われてない青い右目を細め、顔をしかめる。やはり万人共通で味はイマイチと感じるらしい。
 パフィンはここで採取した菓子を売り捌こうと考えていたが、この程度の味なら上で学食でも仕入れて高く売りつけた方が余程儲かるだろう。

 彼女のお菓子迷宮の踏破方針は、ずばり『当たらなければどうという事はない』。先行する猟兵達から、見た目とは裏腹に洒落にならないデストラップが多数存在し、また迂闊に破壊すれば床が抜け、天井が落ちるという報告が上がっている。
 同時彼女は種々のトラップ報告から、慎重に進みすぎるとかえってドツボに嵌るのではないか? という結論に達したのだ。あとはそれを実証するのみである。

 小柄な体躯に似合わぬ大きなバックパックを上下に揺らし、女ヤドリガミはダンジョンを走る。坂道を下る彼女の背中に迫るは、超巨大な球体キャンディ。無論大質量のそれに潰されれば只では済まない。
 だがそもそも、引っかかってただで済むトラップなど今までどれ程あったと言うのだ? ダンジョンを商いの場とする以上、この程度の危険は幾らでも経験している。
 壁から突き出すエナジーバーを飛び越え、あるいは潜り抜ける。床からニョキっと生えるきのこを飛び越え、正面から放たれるたけのこの矢を巧みに躱す。
 右に左に逃げ場のない通路を進み、辿り着いたは行き止まり――否、行き止まりと思われる壁の上に空間。そして壁の前の床には敷き詰められたこんにゃくゼリー。
 パフィンは迷うことなく踏み切り、飛び込み、ゼリーを踏み台にし、そして天高く舞い上がる。若干高さが足りず、壁の縁にぶら下がる形になるも、足を蹴り、体を持ち上げ、壁とキャンディが激突する寸前で登り切る。刹那衝撃が迷宮を走るが、パフィンは無傷だ。

「床が抜けないかだけが不安じゃったが、杞憂じゃったの」
 上からひび割れた巨大キャンディを見下ろすパフィン。懸念のそれが通り過ぎた後の本ルートは、後続猟兵達にとっても有用な進路となるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テフラ・カルデラ
お菓子の迷宮…とっても甘そうですね…
蜜ぷに…あれかわいいんですよね…倒すのがちょっと躊躇っちゃいます
…が、脅威は脅威!倒さなければいけません…!

しかしこの迷宮…足場が危ういので気をつけなくちゃいけませんね…
と言っていると上から大量の溶けたチョコレートが!?
うわぁ…全身ドロドロ…いや…それどころか固まってきている!?
追い打ちのようにさらにチョコが何度も降り注いで…身動きが取れないままオブジェにされ…て…
(この後何とか戻りました)



●この戦いが終わったら猟兵のみんなで迷宮のお菓子をお腹いっぱい食べるんだ……

「お菓子の迷宮……とっても甘そうですよね……」
 ウサギの耳と尻尾を持ち、愛らしい少女と勘違いさせる容姿のテフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)は、何もかもがお菓子で構成される迷宮を、口中に溢れ出る涎を呑み込みながら慎重に進む。
 いくらか食べればその大味さ故に恐らく涎は収まるだろうが、彼は迫る脅威に対する使命感故にその衝動を我慢し続けていた。

 迷宮もいよいよ最深部に差し掛かる。最後まで油断は禁物。特に足元には気を付けないと。そう心を引き締めるテフラの背中に、不明な感覚を感じる。
 熱く、粘っこい感触。それは甘ったるい香りを漂わせながら、天井からボトボトとテフラの耳に、乳白色の髪に、顔に降り注ぎ、たちまち体中に纏わりついていく。
「溶けた……チョコレート!?」
 テフラがその正体に気付いた時には時既に遅し。溶けたそれの降下はいよいよ激しさを増し、彼の色彩豊かな体がチョコ一色に染まっていた。
 
「うわぁ……全身ドロドロ……」
 甘ったるい臭い、口の中に残るくどい味。ひどい目に遭ったと自嘲するも、だがすぐにそれどころではないと気付く。チョコレートが粘度を増し、体が急に重くなる。それどころか固まり始めている。
 チョコレートを振りほどこうにも、頭上からさらにチョコレートの雨が降り注ぐ。ますますチョコレートの重みがのしかかり、動きが緩慢になる。
 体を前後左右に揺らし脱出しようとするも、助けを呼ぶために口を開こうとするも、それらは全て無駄な努力であった。
 たちまち体中が固まり、テフラは身動きが取れないままチョコレートのオブジェと化していく。

 視界全てがチョコレートに塗り潰される直前、彼が見たのは色とりどりのゼリー状の災魔の大群であった。
「蜜ぷに……かわいいけど脅威……倒さな……きゃ……」
 息を塞がれて薄れいく意識の中、彼は何故か母親に抱かれたような温かい快感を感じていた。

 こうして彼は絶体絶命の危機に瀕するも、標的である蜜ぷにの目の前にまで辿り着いていたことが幸いし、程なく後続の猟兵に助けられることになる。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『蜜ぷに』

POW   :    イザ、ボクラノラクエンヘ!
戦闘用の、自身と同じ強さの【勇者ぷに 】と【戦士ぷに】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    ボクダッテヤレルプニ
【賢者ぷに 】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    ミンナキテクレタプニ
レベル×1体の、【額 】に1と刻印された戦闘用【友情パワーぷに】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ハニーハント
 お菓子迷宮を踏破した冒険者は、地上に進出することが予知された【蜜ぷに】級オブリビオンの大群に遭遇する。
 色とりどりのゼリー状の体からは、蜜のように甘い香りが漂う。愛らしい表情、『何者か』によって住処を追われた哀れな境遇故に、戦うことに躊躇を覚えるかも知れないだろう。だがそれでも彼らは敵性オブリビオン。このまま放置すれば人々や世界に災いを齎すことが予知されている。故に猟兵は彼らを倒さねばならない。

 そして蜜ぷにの大群もまた、ここで引き下がるつもりは毛頭もないようだ。その弾力ある肉体を弾ませ、ぷに、ぷに、と高い声をあげながら襲い掛かる!
竜洞・梓
べたべたです……うう。甘ったるい匂いがします……(しょぼん

はうっ! 蜜ぷにさん、実際に見るとものすごくかわいいです……!
でも、倒さないといけないんですよね……倒さないと……(ふらふら
ぷにぷに……あ、かわいい……お持ち帰りしたい……。
はっ、だめです、だめなのです。これでもオブリビオン、倒さなきゃ……きゃふっ!(お腹に一撃

もー! やっぱりろくでもないです! 怒りました!
【POW】怒ったドラゴンは怖いんですよ! ドラゴニアンチェインをくらえー!
ちょっ、爆破した欠片がべちゃべちゃと……うう、気持ち悪いです……。



●決して逆ギレではない。いいね?

「うう……べたべたです……甘ったるい匂いがします……」
 概ね水飴は取り去ったはずだが、未だ体の各部に残る粘つく感触と香りに、耳と尾をしょげながらげんなりする梓。彼女の目の前に、無数の蜜ぷにの群れが姿を現す。

「……はうっ!」
 その容姿を目にし、思わずゆるく甲高い声が漏れる。鼓動が高鳴る。弾力があって触り心地が良さそうな丸っこい姿、そして体の一部が沈むことで現れる表情――かわいい。ものすごくかわいい。
「でも、倒さないといけないんですよね……倒さないと……でもかわいい……ぷにぷに……」
 熱病患者のようなうわ言を漏らし、菓子の床の上、ふらふらと足を進める。抱きしめたらどんな感触なのだろう。寝っ転がったら。あるいはもちーっと噛み締めたら。ぶつぶつと独り言を話し、危ない瞳を輝かせながら迫るドラゴニアン。

 当の蜜ぷに達が抱いた感情は、このままじゃ自分達が襲われるという危機感であった。彼らは体をぷるぷると揺らし、スライム状の剣と盾を握り、兜を被った勇者と戦士へと分裂していく。
「一匹くらいならお持ち帰りしたい……はっ、だめです、だめでなのです。相手はオブリビオン、倒さな――きゃふっ!」
 一匹を抱きしめようと近づいた梓への蜜ぷにの回答は、スライム剣による脇腹への殴打であった。攻撃の見た目はゆるいが、言うなればボクシンググローブ越しの、衝撃をダイレクトに伝えるフックの一撃。強烈な痛打に思わず横に吹っ飛ばされ、堅焼きビスケットの床に体を叩きつけられる。

「……やっぱオブリビオンはろくでもないです! ぷうう、怒りましたー!!」
 肋骨が折れたか折れないかの鋭い痛みの前に、ようやく目を覚まし、撃破の決意を取り戻した梓。怒ったドラゴンは怖いんですよ、と頭から白い煙を出して闘志を燃やす。
「【ドラゴニアン・チェイン】をくらえー!!」
 その腕から投げるように放たれる鎖付きの竜闘気が、先ほど一撃を叩き込んだぷにを直撃、周囲の勇者と戦士達諸共爆風で吹き飛ばす。だが蜜ぷには倒した側から数に任せて次々に迫る。体中をボコボコと殴打されては闘気で吹き飛ばし、四散したぷにの色とりどりの残滓が梓の体にべちゃべちゃと降り掛かる。

「ふぇぇ……やっぱ気持ち悪いです……」
 体中を走る痛みとベタベタの感触、食性故に迷宮のお菓子に似通ったしつこい香りの前に、開幕早々既に梓は半泣き状態だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

村井・樹
ダンジョンは無事突破、ですね。後は任せましたよ、『不良』

……なんて『紳士』に言われたから出てきたが、敵も戦場も、とにかく甘ったるい匂いだな
『紳士』はともかく、俺はあまり好まない香りだ
さあ、愚痴はこれくらいにして戦おうか

俺とメメで連携して戦いに臨む

敵の頭数が多いなら、纏めて焼き払ってしまえばいい
俺が『目立たない』で先行し、鋼糸による『フェイント』『だまし討ち』『ロープワーク』でぷに達の行動を妨害しよう
敵の注意や怒りが俺に向いたら、メメ、お前の出番だ

『因果応報』で、敵を纏めて焼き払ってやれ

敵の攻撃を躱しきるのが難しい時は、『敵を盾にする』『盾受け』で凌ごう

※他猟兵との絡み、プレ外の言動大歓迎



●蜜ぷに焼きパスタ、ところてん将軍風味

「何やかんやありましたが、ダンジョンは無事突破、ですね。……後は任せましたよ、『不良』」
 お菓子迷宮を進む中、笑みを絶やさぬ『紳士』の樹がそう言うと、彼の表情から笑みが消え、そして雰囲気が一変する。彼のもう一つの人格『不良』が現出したのだ。
「……と、任されて出てきたが。まあ敵も戦場もとにかく甘ったるいな」
 人格変更と同時に鼻につく迷宮、そして蜜ぷにの香り。『紳士』はどうだったか知らないが、俺が好きな香りではない、と『不良』の樹は不満げな表情を隠そうとはしない。
 ともあれ、愚痴を言って消えるような生易しいものでもあるまいと気を取り直す。だったらやることは単純、こいつら全部を叩き潰しさっさと帰るのみ。

 敵の頭数は多い。だが幸いにも【目立たない】性質故、注意は他の猟兵に向いている。こちらにそれが向けられる前に、一網打尽にする手筈を整え始める。
「戦場の手中は【吾が手の中に】ってか」
 出来るだけ注意を惹かないよう、蜜ぷにの大集団を囲むよう綱糸を張り巡らしていく。蜜ぷに達も戦場を縦横無尽に駆け巡る樹を気に掛けるも、攻めてこないこともあり額に1を描いた友情パワーぷにを召喚し続け態勢を整えることに専念する。
 そして十分な数を確保したぷに軍団が一斉に樹目掛け、甲高い声をあげて雪崩れ込む。が。

「ぷにぃ!?」
 迫るぷに達が突然縦横に切断されていく。張り巡らされた鋼糸に気付いて止まろうとする先頭ぷにも、それに気付かない後続に押し出され、ところてんの如く細長い欠片と化していく。
 だがぷにの物量は相当量。綱糸に過負荷が掛かり続ける。千切れる前に樹は次の策を発動する。その両手に握る綱糸の束をこれ見よがしに見せつける。
「ぷにぃ……キィィィィ!!」
 樹の持つ鋼糸の束、自分達を切り刻んだ何か。ぷにはそれを理解し、同時に樹と自分達をこの楽園から追いやろうとする何かとの共通項を見出した。色とりどりの体を一様に真っ赤に染め、決して生かしては帰さぬと殺意を露にする。だがそれが命取りであった。

 紫炎の悪魔の如くUDC『メメ』の口から火炎弾が放たれる。樹への殺意をトリガーに、その体表の色に似た火炎弾が放たれる。怒りに任せ迫る真っ赤なぷに達を来る側から焼き尽くし、ぷにーと言う断末魔と、焦げた臭いを残し消えていく。
「……あいつら、鋼糸に何か因縁があるみてぇだな。ま、俺の知ったこっちゃないが」
 相当数を切り刻んで焼いたはずだが、蜜ぷにはまだまだ多い。思った以上に長引きそうだ、と樹は独り言ちる。

成功 🔵​🔵​🔴​

竹城・落葉
 あぁ、可愛すぎる!しかし、我はその衝動に抗いながら戦うぞ。あぁ、美味しそうだ!そして、我はその衝動に抗えないまま戦うぞ。蜜ぷには哀れな境遇であるが、オブリビオンだ。同情する気持ちもあるが、我とて元武将の猟兵。尋常に参る!
 我は『剣刃一閃』で蜜ぷにを切り伏せる。戦闘中は冷酷な雰囲気を醸し出し、無表情で攻撃を仕掛けよう。
 さて、我は戦闘の合間を縫って、倒した蜜ぷにの味見をするとしよう。我のマイブームはオブリビオンを食すこと。なので、こやつを味見するのは自明の理。なお、味はマスター殿に一任する。



●即落ち2コマ剣客、推して参る

「あぁ、可愛すぎる!」
 だが我とて元武将の猟兵。哀れな境遇の持ち主やも知れぬが、相手は人に仇なすオブリビオン。落葉は心を鬼にし、その衝動に抗う。
「あぁ、しかしよくよく見ると美味しそうだ!」
 だがぷるぷる揺れて甘い匂いを醸し出す姿の前に落葉は思わずにやけ顔になる。我のマイブームはオブリビオン食。猟兵はオブリビオンを倒さねばならない。だが相手も訳アリの存在。単に倒すだけでは彼らも浮かばれぬだろう。ならばせめてその味を思う存分堪能し、それをもって供養とすべきなのは自明の理。
 一見すると一貫しているようで実の所やっぱりよく分からない理屈で己を律し、戦人の表情と闘気を纏い、蜜ぷにの群れに迫る。

「ぷにぃー!!」
 蜜ぷに達も勇者ぷにと戦士ぷにに分裂し、思い思いの剣や斧、鎚を振りかざし、ぶるんぶるんと地面を揺らしながら一斉に落葉目掛けて襲い掛かる。
 落葉は飛び掛かるぷにの数と軌道を即断、表情なきまま居合の構えから金属音を鳴らしながら剣を抜き、すかさず二度三度と【剣刃一閃】を振るう。飛び掛かったぷには武器を振り下ろす前に、鋭く冷たい金属の刃によって、羊羹を糸で切るような快い感触、そして綺麗な断面を残し色とりどりのグミの欠片へと化していく。

 正面からの戦闘は不利と悟り、数を頼りに側背に回り込み包囲しようとするぷにだが、無論落葉がそれを許すはずもない。ぷにの残骸が染み込み、不安定さを増す足元を摺り足で後退しつつ、側面に回り込もうとするぷに達を先んじて角切りにしていく。結局大したダメージも与えられぬままぷに達のウェーブは凌ぎ切られ、生き残り達は賢者ぷにを召喚し作戦会議を始め出す。

「今の内に、実食と行こうか」
 落葉は蜜ぷにの欠片の一つを拾い、食す。柔らかくも、だが柔らかすぎず弾力のある歯応え。口の中でとろける食感。喉をツルンと通る心地よい感触。食感はよし。やはり食感だけはよし。
「惜しむべくは彼らの食性か……」
 恐らく蜜ぷに達もまた、迷宮のお菓子を滋養としその生態系を維持しているのだろう。やはりと言うべきか、あの合成甘味料めいた胃に来る、そしてあまり快くない味と香りが鼻を通り過ぎる。
 あるいは彼らもこの味に飽き飽きして地上を目指したのではないか、そのような考えが落葉の頭をよぎる。

成功 🔵​🔵​🔴​

緋月・透乃
うへぇ、ここも甘ったるい香りが……故郷(サムライエンパイア)のしょっぱい食べ物が恋しいよぅ……
蜜ぷにはなかなか可愛いけれど、今の私にその甘い香りは殺してくれと言っているようなもの。ささっと倒して甘さをなんとかしたいねぇ……

炎は有効みたいだね。
ということで、手当たり次第に【火迅滅墜衝】で燃やす、溶かす、蒸発させるよ!
ついでに地形に延焼したのもしばらくそのままにしておくよ。今は焦げ臭い方がマシだよねぇ。
さっきは大人しくしていたぶん、今度は派手にやっちゃうよ!



●ぷにぶにの黄昏

「うへぇ、ここも甘ったるい香りが……」
 迷宮内ですら口の中に入れるだけで大概だったのに、目の前の蜜ぷに達は口に入れる前からげんなりする程の甘さを醸し出し続ける。当の本人達は透乃視点でも愛らしい見た目をしていることが、かえって今の彼女に一層の苛立ちを覚えさせる。
 何気なく故郷で食べていたサムライエンパイアの吸い物や漬物。思い出すだけで涎が溢れ出るあのしょっぱい味が、どれだけ尊かったか。透乃は異界の地下深くで改めて認識する。

「という訳で、ささっと倒してぱぱっと帰ろ!」
 足でトントンと床を叩きつつ辺りを見渡す。道中に比べればここの立て付けは比較的良さそうだ。でなければ、戦いの中で急速増殖した蜜ぷに達の重みでとっくに崩落していたに違いない。
 今まで大人しくしていた分、今度は派手にやろうと重戦斧を振り回す。8の字に回る軌跡に桃色の炎が走り、それが触れた天井のカステラを焼き、床のキャンディを融かす。透乃は十分に戦斧が炎を帯びたことを確認するとそれを両手で構え、一気に懐に突進する。

 賢者会議の結果、引き続き物量でジワジワと追い詰め囲もうと結論付けたぷに達にとって、ある意味無謀とも見える彼女の突撃から繰り出される【火迅滅墜衝】は予想外であった。回り込む時間も与えられぬまま、重く鋭い一閃がぷにの群れを一閃し、時間差で切り口が炎に包まれる。
 直撃を逃れたぷにも前方で燃える仲間の亡骸の火が移り、あっという間に炎に包まれる。それは火の中で踊るように悶え、金切り声のような悲鳴と水が焼ける音を立てながら、あっという間に体を縮ませ、黒ずんで動かなくなる。
 適度に炙ればますます不快な程甘い匂いが広がるはずが、あまりの火力にあっという間に焦げ付き、お菓子の迷宮に不釣り合いな炭と灰の臭いが一面に広がる。

 延焼を防ぐため散り散りに散開し、各個で抵抗を続ける蜜ぷに。散発的な攻撃を躱しつつ、炎の中を駆け、赤熱した斧でオブリビオンを両断していく透乃。
 容赦なく迷宮とぷにを焼く炎、だが彼女には決して燃え移らない。【火迅滅墜衝】の桃色の炎が燃え移るか否か、その選択肢は彼女の手中にあるからだ。
 燃え照る炎の逆光に照らされ、緑の瞳のみを輝かせ緋色の髪を靡かせる乙女。その姿はさながら火に包まれて終わる世界、そしてそれを齎す炎の魔神の如くであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

パフィン・ネクロニア
ふむ。香りはいいんじゃが味は期待できそうにないんじゃよな。
それより見た目の愛らしさを考えると生け捕りにして売った方が…
ま、それはさておき。
環境の変化に適応できぬ生物は淘汰されていくのが自然の摂理。
潔く土に還るがよい。


しかしこうも数が多いと多勢に無勢じゃな。ここは敵に見つからぬように物陰に潜んで、隙を見て仕掛ける一撃離脱戦法で堅実に数を減らしていくかの。攻撃は一気に間合いを詰めて剣刃一閃で斬り込み、残像で撹乱しつつ素早く離脱。
うむ、完璧じゃな。これを繰り返していけばまあそのうち全滅するじゃろ多分。



●商人の眼光、刀剣の艶光

「香りはいいんじゃが味は期待できそうにないんじゃよな。見た目の愛らしさを考えると、生け捕りにして売った方が……」
 パフィンは頭の中で算盤を弾くが、残念ながら敵性オブリビオンの無害・使役化手段は確立されていない。持ち帰ったその場で殺処分されて甘い蜜になるのがオチであろう。だがもしかするといつかは、と将来のビジネスに期待を寄せ、頭の片隅に留めておく。
 ま、それはさておき。目の前の蜜ぷには環境の変化故に住処を追われた生物。哀れと思うものもいるやも知れぬが、だが変化に対応出来ぬ生物は淘汰されるのが自然の摂理。それはオブリビオン、そして人も同様だ。

 さて、蜜ぷには未だなお数ばかりは多い。猟兵の一連の攻撃でフロア中に散らばっては散発的な攻撃を仕掛けてはいるも、迂闊に突っ込めば忽ち包囲され袋叩きにされるのは目に見えている。
 なれば、とパフィンは崩れた迷宮の建材、堆く積まれたぷにだったものの残骸に身を隠し、隙を伺う。目視したぷにの数と向きを確認し、攻撃順を素早く算出。フードを目深に下ろし、刀を構えて駆ける。
「ぷにっ!?」
「潔く土に還るがよい」
 突如目の前に現れたパフィンに、対応する間もなく袈裟斬りの【剣刃一閃】で両断される蜜ぷに。その叫び声に他のぷに達も硬直する。
 続いて手近な戦士ぷにを返す刃でもう一匹。武器を生成し構えた勇者ぷにを刺突し、引き抜いてまた一匹。飛び掛かるぷにをいなし、すかさず兜割りを叩き込んでさらに一匹。
 各々のぷにがパフィン目掛けて飛び掛かろうとするも、当のパフィンの姿が戦場に無数の【残像】として残る。どれが本物か分からぬまま困惑し、だがすぐにバラバラに各残像を攻撃し出し、攻撃は空を掠め地面を打つ。
 
 一対百では勝利が困難な相手なら、一対一を百回に分ければよい。パフィンは残像を生成しながら戦場を駆け巡る。
 踏み込み、斬撃、そして一撃離脱を繰り返し、一匹、また一匹とぷにの数を減らしていく。そして飛び掛かる最後の一匹を一閃し、殲滅を完了する。
 付着した蜜を振り飛ばし、腰に差した鞘に納刀する。パフィンや猟兵の周りには、色とりどりのゼリーの残骸が、甘い香りや焦げた臭いを放って残るのみであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『兵器蜘蛛』

POW   :    蹂躙
【長大な八脚から繰り出される足踏み】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    蜘蛛の糸
【腹部の後端から放つ鋭い鋼線】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に鋼線 による蜘蛛の巣を形成し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    子蜘蛛
レベル×5体の、小型の戦闘用【子蜘蛛ロボット】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は世良柄野・奈琴です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●地獄からの使者
 蜜ぷにの群れを掃討した猟兵達は、足元に迷宮に不釣り合いな鋼の糸を見つける。それは迷宮の奥へ奥へと伸びていく。お菓子迷宮に対し明らかな異質さを持つその物体に危険な予兆を感じ、慎重に足を進めていく。
 奥へと進むたび、製菓の床や壁に絡みつく鋼糸の蔦は密度を増していく。白い煙で視界が悪くなる。それは暑く湿っているも、臭いはない。
 通路の奥に赤い眼光が輝く。それは猟兵達を見つけ、キチキチキチと音を立て、やがて踵を返し奥へと向かう。その姿は蒸気絡繰の子蜘蛛。やはり奥に何かがいる。その何かこそが蜜ぷにをお菓子迷宮から追いやった原因、そして恐らくはオブリビオンのフロアボスであろう。

 通路を抜け、大広間に出ると、そこは部屋全体が鋼糸に覆われていた。床は金属の糸が幾重にも重なり、かつてお菓子の床が広がっていたであろうその場所には、底の見えない奈落が広がっている。
 鋼糸の密度は濃く、余程のことがない限り転落の恐れはなさそうだが、踏み込む度にたわむ蜘蛛の巣は非常に足場は悪く、何よりも細かいささくれがあちこちに生えている。隙間に足を挟んだり、転びでもすればあまりよろしくない事態が想定されるだろう。
 そしてその奥に、先ほど見かけた子蜘蛛の親分と思われる巨大な鋼鉄の化け物が君臨している。それは口元にぷにを咥え、じゅるじゅると中身を吸い尽くすと、そのまま抜け殻を口の中に放り込んでいた。
 赤く光る瞳が猟兵達の姿を捉える。不安定な地面の中、その巨大な八脚を器用に動かし、白い蒸気を噴出し敵対者を威嚇する。それに呼応し、先ほど見かけた子蜘蛛の同型の群れも駆動音を立て始める。
 間違いない。あの【兵器蜘蛛】こそがお菓子迷宮のフロアボスだ。このまま放置すれば、奴もまた蜜ぷにのように地上進出を目指すに違いない。そうなればその被害は蜜ぷにの比ではない。ここで倒し、全ての禍根を断つべし。

 兵器蜘蛛が蜘蛛の巣状に張り巡らされた鋼糸の床をぐわんぐわんと不安定に揺らしながら踏みしめ、猟兵達に襲い掛かる!
村井・樹
ぷに達、生き餌としてあいつに捕まってるのか
しかも、いかにも固そうな糸に縛られて
……道理で、さっきあんなに怒ってた訳だ
しかし足場が悪いな、このままじゃ相手の独壇場になりかねない
何か、手があるとしたら……?

SPDのUC、『第三の人格』を利用

敵がどこに糸を吐くか、相手が何を狙って行動するか、敵がどこに俺達を追い込もうとしているか
また、如何に立ち回れば、敵の目論見を阻止できるかを予測
その上で、味方に助言をしよう

俺自身も、絡繰人形の方のメメを『フェイント』で囮にしながら、敵の攻撃を凌ぎ、敵に攻撃を仕掛けるのに最も適切なタイミングを予測してUDCのメメに『だまし討ち』を指示する

※他猟兵との連携等大歓迎


竜洞・梓
……ふざけてる場合じゃないみたいですね。
いえ、なるはやでシャワーを浴びて洗濯したいのも大真面目に、なんですけど。

ファンシーな光景に鋼は必要ありません。
お伽噺が実はホラーだった、という類の話はあまり好みませんので。

ぷにちゃんにかわいそうなことをするものではありません!
さっきのことはノーカンで!

【POW】
相手の領域で戦うのは得策ではありません。
まずは巣と足を破壊しに動きましょう。
足踏みの隙をついて、何本かの足と鋼糸をドラゴニアンチェインで絡めます。そして爆破。
機動力をそいで次につなげますよ!



●デスマッチ・オン・ザ・ウェブ

「なるはやでシャワーを浴びて洗濯したいです……てふざけてる場合じゃないみたいですね。いや、大真面目でもあるんですが」
 そんな事を言いながら、ファンシーな迷宮を抜けた先に梓が見たのは、そのファンシーな建材に有刺鉄線の如く絡みつく鋼糸の陰惨な風景。ほんわかなおとぎ話に隠された陰惨な結末を想像し、はっと息を呑む。
「ぷに達、生き餌としてあいつに捕まってるのか」
 鋼糸の蜘蛛の巣の隅、グルグル巻きに縛られたぷに達、そして絡繰人形の糸を交互に見やり、樹は独り言ちる。先の戦いでぷにが強い敵意を見出したのは、この糸に目の前の大蜘蛛を見出したからか。
 梓も、ぷにーぷにーと助けを求める声の前に、例え相手が敵性オブリビオンだと分かっていても心が痛む。脇腹をぶん殴られて怒り心頭だったことはノーカンで。

 樹が鉄糸の床は踏みしめるたび、弾力を持って上下に揺れる。幸いにも抜けることはなさそうだが、それでもこの足場の悪さは変わらない。無策で挑めば、相手に翻弄され続けるのが関の山だろう。相手の領域で戦うのは得策ではないという認識は、梓にとっても共通だ。

 樹はどうすると少し考え、ふと『相手の考えに立って考える』という単語が頭をよぎる。そして幸いにも、多重人格者の『俺』にはそれが出来る素地と、ユーベルコードがある。【第三の人格】、発動。
 今この瞬間から『俺』は『俺』であると同時に『奴』だ。そして『奴』なら『俺』達をどう調理する? 樹は『俺』と『奴』、二つの思考を平行に走らせる。『奴』が己の行動を演算しつつ、『俺』も『メメ』を操り、攻撃を仕掛ける。

 兵器蜘蛛は樹達猟兵を姿に捉えると、体の前部を持ち上げ、腹部の出糸管を向け、液体金属を噴射する。樹は横に飛び、放たれる液体を体に掠めながら回避する。空を切ったそれは圧縮したフレークの壁に食い込み、即座に硬化、見覚えのある鋼糸と化して樹の退路を塞いでいく。
 横や上から詰めるように動きを封じていく算段か。相手の人格を己の内に模倣した樹にはそれが手に取るように分かる。そして相手が高さを意識して糸を放つのであれば、こちらも高さを意識して動けばよい。
「縦の動きを意識しろ。そうすれば当たりにくくなるはずだ」
 樹の助言に、梓が頷く。姿勢を低くし、足元の巣をたわませながら、彼女は地を走る獣竜の如く兵器蜘蛛に迫る。樹の予想通り、無数の糸が放たれるもいずれも梓の頭上を掠めていく。恐らくは迂闊に巣に当てて足元を固めたくないのだろう。

 梓の接近を許した兵器蜘蛛であったが、それも想定の内だ。長大な八脚が梓を踏みつけるように襲い掛かる。梓がそれを回避するが、脚が足場となる鋼糸を踏みしめると、巣全体が大きく揺れる。一瞬バランスを崩した梓に、次の足が迫る。
 連続する足踏み攻撃の前に、攻撃どころか接近する機会すら掴めぬ梓。足踏みは捕まったぷに達も容赦なく巻き添えにしていき、バラバラになった欠片が甘い匂いのみを残し奈落に落ちていく。
「ぷにちゃんにかわいそうなことをするものではありません!」
 されど梓も座して待ち続けるのみではない。【ドラゴニアン・チェイン】が蜘蛛の足を爆破していく。敵は地の利を生かした機動戦を得意とし、同時に足元を必要以上に安定させたくない。ならば逆にこちらから相手の足元を不安定に持っていくべし。
 
 梓の行動は樹が仮想する『奴』にとって予想外であったが、だがすぐに頷いた。つまり兵器蜘蛛にとってもそれは予想外であるに違いないからだ。
 そして樹の中で動いているのは『奴』だけではない。『俺』もだ。梓の後ろから『メメ』を巧みに操り使役する。【フェイント】でタイミングをずらし、糸の一撃を回避しながら巧みに一撃を与えていく。賢しい小動物を速やかと叩き落すべし――注意が集中したその時、兵器蜘蛛は別方向から灼熱感を感じる。
 口から薄紫の炎を吐くのは目の前の『メメ』に似た生物。それはUDCの、つまりは本物のメメ。今まで相手にしていた絡繰人形の『メメ』とは全くの別方向から思わぬ『だまし討ち』を受けたことで対応が遅れる。鎮火するまでの間に絡繰人形の攻撃が何度も叩き込まれ、兵器蜘蛛は表皮や体内の器官に少なからぬダメージを負う。

 同時に、先ほどまで激しく律動していた足元の巣の動きが鈍く、単調化する。梓のドラゴニアン・チェインの攻撃が功を奏し、複数のオーラの鎖が蜘蛛の足と巣を縛り上げることに成功したのだ。鎖を引き千切ろうと出力を上げる兵器蜘蛛、だがその結果足元の蜘蛛の巣まで破壊する結果となり、足の何本かが突き抜け宙に浮く。すぐに抜き取るも、強烈な摩擦が装甲を幾らか剥ぎ取っていく。
 兵器蜘蛛は想定以上に不安定となった足元に苛立ちを隠せない様子だ。赤い目を激しく明暗させ、白い煙を勢いよく噴出する。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

緋月・透乃
さっきのまでのメルヘンな雰囲気とはガラッと変わって、ダンジョン深部って感じだね。
甘い香りがないのは助かるけどね。
ささっとこいつを倒して帰ったらしょっぱい物を食べよう!
それにしても、オブリビオンがオブリビオンを食べるとはね。奴らも大変だね。


でかくて強そうな奴が相手なのに足場も悪いね。
でも、たわむ蜘蛛の巣ということは、トランポリンのように使えそう。間合いを保ったままピョンピョン跳ねて感覚をつかんでから、跳ねながら近づいて落下や上昇の勢いを利用した攻撃をしていくよ。特に意識しなくても【乳揺ぶーすと】はかかるよね。
動きの読まれやすさは跳ねる方向や高さに変化をつけてなんとかするよ。



●テン・ポイント

「それにしても、オブリビオンがオブリビオンを食べるとはね。奴らも大変だね」
 先ほどまでのメルヘンさを感じさせた雰囲気とは打って変わって、ダンジョン深部とでも言うべき印象を感じたのは、透乃も同様だ。鼻をくんくんと鳴らして匂うのは、先ほどの甘ったるいそれは異質な金属臭だ。とは言え彼女にとってそれは幸いと感じる。

 斧を片手に、足元で軽く跳ねる。弾力のある金属の巣が、透乃の重みでたわみ、だがすぐに反動で元通りになり、体が宙に浮く。相手は強敵、しかも先ほどの交戦で劣悪だった足元の状態がさらに悪化している。だがそれはこちらにとっては武器になり得る。糸の硬さや場所を概ね把握すると、飛び跳ねながら斧を構える。
「ささっと倒して、帰ってしょっぱい物を食べよう!」
 反動を付けて着地し、透乃は大きく宙を舞う。

 兵器蜘蛛は透乃を撃ち落とそうと尻を向け、無数の鉄線を放つ。体をひねりながら攻撃を回避し、再び巣に着地する。さらに反動で巣に負荷をかけ、八脚による踏みつけが当たる前に横へと跳ねる。そして先ほど撃たれ、そして固まった糸目掛けて足を向け、逆さの状態から一気に踏みしめ、戦斧を振りかざす。
 彼女の力は、連続の上下運動によって胸が揺れることにより、【乳揺ぶーすと】を受け大きく高まっている。最大限の力を発揮するまでに時間が掛かるそれを、曲芸めいた回避運動と撹乱に用いることで、阻止や予想されることなく発動させることに成功した。

「胸の鼓動は命の鼓動! いっけぇー!!」
 透乃は放たれた矢、降り注ぐ流星の如く兵器蜘蛛に襲い掛かる。戦斧の一撃が上半身に突き刺さる。そして勢いを殺さぬまま体ごと斧を回転させ、装甲を抉り、内部構造にも損傷を与えていく。生体を模した絡繰構造が露出し、そして破壊されていく。破壊部位から白い煙が放たれ、そしてボンっと破裂音がフロアに響く。
 すれ違うように強烈な一撃を叩き込み、綺麗に着地する透乃。だが攻撃は終わらない。痙攣したまま行動出来ない兵器蜘蛛にすかさず向き直り、着地の勢いを殺すことなく切り上げる。蜘蛛の巨体が一瞬浮き上がる。繰り返される全方位からの攻撃に大きな損傷を続ける。

 何度も攻撃を許した後にようやく態勢を立て直しした兵器蜘蛛は、顔の中央を含めた体中に大きな裂け目から白い煙を放ち、絡繰でエミュレートした怒りを露にする。

大成功 🔵​🔵​🔵​

竹城・落葉
 捕食とは、例え自然の摂理とはいえ、何ともゾッとする光景だ。今回の主な元凶である兵器蜘蛛を倒すとしよう。しかし、戦場は足場が不安定だな……。それに注意を払いつつ、討伐を試みよう。
 我は『剣刃一閃』で奴を切り伏せる。戦闘中は冷酷な雰囲気を醸し出し、無表情で攻撃を仕掛けるぞ。【2回攻撃】や【だまし討ち】を駆使して着実に刃を当てていき、相手の攻撃には【残像】で避けて隙を生むぞ。
 しかし、この兵器蜘蛛とやらは食べられるのだろうか?さっきまで甘いもの続きだったから、口直しがしたいところだ。という訳で、兵器蜘蛛の肉片(?)を切り取ったら食すぞ。もしそれを行う場合、味はマスター殿に一任する。



●オブリビオン食剣客、地の底に(ある意味で)散る

「捕食とは。例え自然の摂理とは言え、何ともゾッとする光景だ」
 目の前で生きたままぷにを喰らう光景を見た落葉。お菓子迷宮に似合わぬ恐ろしい景色を産み出した元凶、兵器蜘蛛は、あちこちが傷ついたおぞましい体を震わせ、金属音を響かせる。
 見たからには生かしては帰さん、あるいはお前が言うなとでも声高に叫んでいるのだろうか。
 
 戦いの中でますます不安定さを増す足場に気を配りながら、落葉は刀を構え慎重に足を進める。それに対し、主を守ろうと子蜘蛛達が、足元の糸で反動を付け一斉に飛び掛かる。
 落葉は飛び掛かる子蜘蛛に向け、【剣刃一閃】の太刀を振るう。鋭い金属の太刀筋が抜けると、金属の子蜘蛛の群れが抵抗なく両断され、蒸気絡繰の内蔵が露出する。斬撃は地面の鋼糸まで通り抜け、グラリと地面が揺れる。
 おっと危ない、とバランスを立て直す落葉。撃破を確認出来ぬまま落下させてしまうのは少々まずい。無論、二つの意味でだ。
 転落死すれば結果オーライであるが、逆にそれで生き残ってしまえば、それは猟兵達の敗走と何ら変わりない。そして落葉個人としても、折角のオブリビオンが味見出来ないことも問題だ。故に、何としてもここで切り伏せなければ。

 足元を斬らないように慎重に子蜘蛛を斬り伏せつつ、親玉の兵器蜘蛛に迫る。兵器蜘蛛は八脚を振り回し迎撃するが、攻撃は【残像】を掠めるのみ。振り下ろした隙を【だまし討ち】で突いて斬撃を叩き込む。一太刀は弾かれるも、切れ目を刻む。すかさず【2回攻撃】の返す刃で全く同じ場所に二太刀目を叩き込むと、八脚の一本が切断される。
 切断面から高熱の白い蒸気が噴き出し、落葉目掛けて放たれるが、足元の鋼糸をバネにし、素早く飛び退いて回避する。有効打を与えたはいいが、若干距離を離し過ぎた。また接近する所から始めなければ――と、目の前に切断した八脚が転がっている。

「そういえば、口直しがしたいところだったな。ここは一つ」
 戦いは仕切り直しになったが、折角なのでここで味見をしてみることにした。一口大に引き千切り、それを口に放り込む。鉄と機械油の苦みが口中に広がる。
 食感は――軽く歯を噛み合わせただけで口内に電流が走る。あ、これ無理だと一瞬で悟る。
 結論から言うと、それは紛うことなき機械そのものであった。伝承に残る偉大なる眼鏡っ子ガイノイドはこのような物を美味しく食したというが、恐らく自分には無理だろう。吐き出した欠片は鋼糸の隙間から奈落に消え、すぐに見えなくなった。

成功 🔵​🔵​🔴​

パフィン・ネクロニア
こりゃまたお菓子迷宮には場違いな奴が出てきたのぅ。
見るからに今回のはこいつが原因じゃな。解りやすくて結構。

さて、相手は鉄の絡繰。蜜ぷにと違ってなまなかな攻撃は通用せんじゃろうし、攻撃は剣刃一閃を使うのが無難かのぅ。

この足場の悪さじゃと普通に走るのも危険か。
糸の弾力を利用して、飛ぶような感じで走ればいい感じにスピードに乗れるかの。足を止めずに残像で撹乱して敵の攻撃を誘い、隙を作って一気に斬り込むカウンター狙いで戦うとしよう。


しっかし、わし今回は走ってばっかりじゃなぁ…



●地球の裏側まで走れ
「こりゃまたお菓子迷宮には場違いな奴が出てきたのぅ。見るからにこいつが原因じゃな。分かりやすくて結構結構」
 パフィンは青い隻眼で、足の一本を失った兵器蜘蛛の姿を認識する。大蜘蛛は各部が大きく傷つき、動きを鈍らせている。トドメの一撃はいつでも狙える状態だ。

 突如、蜘蛛の巣の地面が揺れる。機械の蜘蛛は突如、その牙の生えた口で足元を噛み千切り始めたのだ。死なば諸共の道連れか、あるいは行く先も知らぬ奈落の底に再起の道を見出したか。
 パフィンは空中で算盤を弾き、手数の計算を行う。そして完全撃破とフロアからの脱出は十分出来ると判断。刀を構え、トランポリンで跳ねるように前方へと駆けだす。蜘蛛は意図的に地面を激しく揺らし、足元の鋼糸がブチブチと嫌な音を立て千切れ始める。

 親機を守ろうと、残存する子蜘蛛が結集し、パフィンに取りつこうと飛び掛かる。哀れ無数の蜘蛛に群がられ、そのまま食い散らかされる――などということはなく、それは【残像】。本物のパフィンは彼らを飛び越え、既に機械蜘蛛の目前に迫っていた。兵器蜘蛛が地面を揺さぶったことにより、パフィンは予想以上の跳躍力を獲得出来たのだ。
 後ろ四本の足で地面を揺らしながら、前三本の足を巧みに動かし、パフィンを迎撃しようとする。鋭い踏みつけが彼女を掠める。外した攻撃は足元の糸を激しく踏み、強引に引き千切り、そのまま宙に浮く。
 さらに一発。パフィンは同様に回避。残る足の最後の一撃。パフィンはついに刀を抜き、【剣刃一閃】を叩き込む。足が縦に両断され、蒸気と部品を撒き散らす。

「終わりじゃな」
 そう彼女が語った時には、二の太刀が顔面を真っ二つに切り裂いていた。切断面から蒸気を撒き散らし、躯体が痙攣を起こす。ついに千切れ続けた蜘蛛の巣がフロアボスや猟兵の重みに耐えきれなくなり、鋼糸の突き刺さった壁の一部を巻き込んで落下を始める。

「しっかし、わし今回走ってばっかりじゃなぁ……」
 迷宮を走り、ぷにとの戦いで走り、そして最後の最後においても、落下寸前の既に斜面と化した鉄の網目を駆けあがる。
 仲間の猟兵、そして最後のパフィンが入口の安全圏まで到達するとほぼ同時に兵器蜘蛛は大爆発を起こす。ついに崩落した蜘蛛の巣や小蜘蛛、そして最後までグルグル巻きになったままの幾匹かのぷにとともに奈落へと落ちていく。猟兵達はしばらくその光景を見つめていたが、落ちていったものが地面にぶつかる音はいつまで経っても聞こえることはなかった。

 グリモア予知、阻止成功。敵性オブリビオン、ほぼ全排除確認。お菓子迷宮、これにて踏破完了。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月16日


挿絵イラスト