アルダワ魔王戦争1-D〜悪戯大好き白兎
小さなウサギのぬいぐるみを抱えて、グリモア猟兵ネルウェザ・イェルドットは集まった猟兵達に向き直る。彼女は片手を離してモニターを取り出すと、早速依頼の説明を始めた。
「さてと。まず、これが今回皆に向かってもらう戦場だ」
ぽん、と画面に映し出されたのはアルダワの迷宮、薄暗い坑道で何かがちょろちょろと動き回っている光景であった。映像を拡大すれば、それらはどうやらネルウェザが抱えていたぬいぐるみと同じウサギの姿をしているのが分かる。
そしてぴょこぴょこと跳ねるウサギの中。目を凝らして画面の隅を見れば、そこにはうさ耳を付けた子供らしき影が映っていた。
「皆にはこの坑道を探索して貰いたいのだけど、このウサギたちがなかなかに厄介でねぇ。奴らはイタズラ感覚で坑道中に罠を張り、探索を邪魔しようとしてくるようなんだ」
そう言ってネルウェザは画面を切り替える。
彼女が予知で視えたと云う光景、それはガラガラと勢いよく駆け抜けるトロッコが何かを踏んだ瞬間、突如閃光と炎を上げて木っ端微塵に砕け散る様であった。
画面端では、きゃっきゃと笑い跳ね回るウサギ達。まるでイタズラの成功を喜ぶ子供のようであったが、これがそんな可愛らしいものであるかといえば――そうではないだろう。
「こういう罠を張るだけでなく、偽の薬はばら撒くし道は勝手に塞ぐし……嘘の道を教える看板まで立てているらしい」
はぁ、とネルウェザは呆れたようにため息をついて。
「というわけで、この厄介な災魔を退治しつつ坑道を探索してもらえるかな」
少し申し訳なさそうにそう言って、彼女は猟兵の顔を見た。
肯定の声が帰って来れば、ネルウェザは小さく礼を述べてグリモアを浮かべる。くるくると光を纏って回るグリモアは、早速猟兵をアルダワへ送り出そうとしていた。
「それでは、宜しく頼むよ」
ふわり。光が強まり、猟兵達の身体は浮遊感に包まれる。
ネルウェザがぬいぐるみの手をぱたぱた振る姿を最後に、猟兵たちの視界は白く染まっていくのだった。
●
坑道は既に廃れており、採掘を行う人の姿は見当たらない。薄暗い空間に目を凝らせば、鉱石や化石といった資源よりも先に謎の骨がそこら中に埋まっているのが見えた。
「きたよきたよ」
「みんな、準備準備!」
すたたたっ、と駆ける白い影。猟兵が一歩そちらへ踏み出そうとすれば、突如がしゃんと何かが割れる音がした。
音の発生源は小さな瓶。飛距離が足りず猟兵に当たることはなかったが、それはどろりと蛍光色の液体を垂らしてしゅうしゅうと煙を上げていた。
「やーいやーいひっかかっ……ってない?」
「ひっかかってない!」
「にげろっ!」
そう騒ぐのは沢山のウサギと、同じ耳を付けた小さな子供。イタズラが失敗した彼らは一目散に逃げ出すが、どうやら諦めてはいないらしく――軽い足音や声がころころと猟兵の耳に届いていた。
「おかえりはあちらー」
「こっちは進めないよ、ほんとだよー!」
周囲は落書きされた案内板や、わざとらしく道を塞ぐ岩や木材でめちゃくちゃになっている。おそらくあのウサギと子供――災魔達の仕業だろう。
猟兵が坑道を進もうとすれば、彼らはグリモア猟兵の言っていた通りあの手この手でイタズラを繰り返し、探索の邪魔をしようとしてくる。罠のある場所のすぐ横を猟兵が通った瞬間、なんでだよー! という悔しそうな声が聞こえた。
坑道を進むにはこの罠や道を塞ぐ障害物がかなり邪魔だが、きっとこれを台無しにされた彼らはムキになって襲い掛かってくることだろう。
彼らを蹴散らしつつ、惑わされないように坑道を進まなければ。
みかろっと
こんにちは、みかろっとと申します。
アルダワの迷宮、廃坑となっているエリアを探索する、集団戦一章のみの戦争シナリオです。
罠に掛かる前に見つけて潰す、道を塞ぐ障害物を退かす・壊すなど、坑道が探索しやすくなるような行動が有利となります。
イタズラを邪魔されたウサギ達は怒って襲いかかってきます。しかし小さいとはいえ災魔なので退治してしまってください。
プレイングお待ちしております!
第1章 集団戦
『罠うさぎの薬屋さん』
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POW : うさぎのきずぐすり(傷が良くなるとは限らない)
【回復薬、もしくは毒薬の塗布】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : ミスティックパヒューム
【霧状の薬品(自分達は耐性獲得済み)】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : うさうさぐんたいよび
戦闘力のない、レベル×1体の【うさぎ形態の罠うさぎ】を召喚する。応援や助言、技能「【罠使い】【毒使い】【暗殺】」を使った支援をしてくれる。
イラスト:さいばし
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
紅葉・智華
※アドリブ・連携歓迎
こういう探索は、量が物を言うであります。……だから、出番でありますよ!(UC発動)
と言うわけで、【選択UC】で多数の小型四脚戦車CAを召喚、ありとあらゆる道に彼らを向かわせ、【情報収集】させるでありますよ。
……いやまあ、敵の攻撃とか罠にかかると心が痛むケド(素)……それはそれ、であります。
友軍の【援護射撃】もできるでありますし、ほんのちょっとした障害物をどかすのも容易であります。
「それにしても、私が作ったとはいえCAはかわいいなぁ……えっ、違うの? ナンデ?(素)」
「次こそー」
「あっちにしかけといたー」
こそこそとウサギ達が岩や通路の影で囁く。薄暗く視界の悪い坑道は、どこに何が仕掛けられているかすぐに判断するのは難しそうであった。
――そう、一歩踏み間違えれば地面が爆発する可能性だってあり得るのだ。
しかし紅葉・智華はそんな中でも冷静な軍人を演じるように、凛とした表情を作って坑道を進んでいった。
「こういう探索は、量が物を言うであります。……だから、出番でありますよ!」
そう声を上げて、智華は何か思いついたようにユーベルコード『戦場覆う四足歩行兵器CA-X-001』を発動させる。三百をゆうに超える小型の四脚戦車たちが坑道の一角を埋め尽くすと、智華はびしっと彼等に探索を支持して四方へと向かわせた。
――カチッ、と戦車が何かを踏めば。
一見何もないように見えた地面が突如火を噴き、爆音を上げて戦車を呑み込んでしまう。すると無駄に地雷を起動されたことに憤ったか、二人のうさ耳災魔がその戦車の方へと飛び出していいった。
「なにするんだよー!」
「おまえじゃないんだぞー!!」
うさ耳たちは頬を膨らせ、大量のウサギを呼び寄せて走り回る。彼等は坑道を探索する戦車を追いかけて、次々に罠を増やして応戦しようとしていた。
ドン! ガガガッ! と沢山の衝撃音が響き渡る。戦車達はウサギに触れて自爆したり、援護射撃を続けて弾切れを起こしたりと戦闘不能に陥っていくが、確実かつ着実に坑道のマッピングを進めているようであった。
……のだが。
「あんなに攻撃されたり罠に嵌められると……心が痛むなぁ」
――まあ……それはそれ、であります――と続けて。
智華は消滅していく戦車を眺めながら、少し複雑そうな表情を浮かべてぼそりと呟く。ウサギ達と相討ちになりながらも探索は進んでいるようで、智華の元には一体の戦車が情報をまとめて戻ってきていた。
残る戦車達に指示を送りつつ、智華は足元の戦車に何やら頬を緩ませて。
「それにしても、私が作ったとはいえ可愛いなぁ……」
周囲の猟兵に同意を求めるが、智華と同じ感情を持つ者は今の所見当たらない。智華はきょとんとした表情で首を傾げながら、戦車の集めた坑道内の情報を整理していくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
マックス・アーキボルト
ダンジョンに仕掛けられた罠は、解除・回避が学生の常識!
何よりこの先に用があるんだ、突破させてもらう!
〈世界知識、戦闘知識〉から坑道に仕込まれた罠にはある程度目星がつきそうだけど、こっちに瓶や飛び道具、回避が可能そうな罠には【加速魔法式】を使おう。
周囲の状況をゆっくり観察すれば回避は簡単なはずだ。
障害物は〈力溜め、鎧砕き〉を利用した強力な魔力弾で破壊しよう。
災魔の霧の薬品攻撃には〈風属性攻撃〉、アームキャノンから出す突風で吹っ飛ばそう。
敵にダメージはないだろうけど、邪魔されたことにも怒って隙ができるはず!
〈クイックドロウ〉ですかさず射撃するよ!
わたわたわた、とウサギ達が通路の方へ逃げていく。マックス・アーキボルトは彼等を追ってそちらへ踏み出そうとするが、彼は数歩先の一見何も無さそうな地面に妙な違和感を覚えて立ち止まった。
マックスは慎重にその地面を見つめ、ふと顔を上げて更に奥へと視線を動かす。彼がよくよく目を凝らしていけば、道に沿ってぽつり、ぽつりと同じ違和感が続いているのに気づいた。
――ダンジョンに仕掛けられた罠は、解除・回避が学生の常識!
マックスはこくりとひとり頷くと、一歩前へと進んで口を開く。
「何よりこの先に用があるんだ、突破させてもらう!」
土の色が違う場所、妙に膨らみのある場所を避けるようにマックスが進んでいく。タン、タンと順調な足音が響けば、その度に通路の影から悔しがる声が上がっていた。
「くそぅっ!」
「くらえぇっ!」
ひゅっ、と突如マックスの眼前に液体入りの瓶が飛ぶ。触れただけでも有害そうなそれを確実に躱すべく、彼はユーベルコード『加速魔法式:防性』を発動させてその軌道を見切った。
マックスの視界で、瓶がのろり、のろりと宙を滑る。ひとつ躱せばこれでもかと更に瓶が降り注ぐが、マックスは小さく息を吸い込んでユーベルコードを維持し続けた。
「――避けきってみせる!」
グン、とマックスの上半身が思い切り下へ動き、そのまま前へと突き進む。彼の頭上を抜けた瓶は遥か後方で高い音を立てると、直後そこにあった地雷を起動させて爆炎を上げた。
通路を進めばふと、大きな岩がマックスの行く手を阻む。きひひと笑うウサギ達を他所目に、マックスは冷静な動きで魔力弾を撃ち出した。
――ズゴォン!! と岩が激しい音を立てて崩れ落ちる。
「きゃー!?」
「なにすんだよー!!」
ウサギ達が声を上げ、通せんぼのつもりかマックスの前へ出て手を広げる。
これでもか! と彼等は鞄から薬のようなものを取り出すと――突如、マックスの足元に向かってそれを投げつけた。
マックスの視界は謎の霧に覆われる。明らかに毒と分かる色に危険を感じつつ、マックスはアームキャノンを構えて思い切り力を込めた。
――突風が吹き抜け、霧は一瞬にして両脇へと散っていく。
「「なんでーっ!?」」
目を丸くするウサギ達に向かって、マックスはすかさず銃口を向けて。
ズガガガガッ!! と勢いよく射撃音が響けば、正面からそれを喰らったウサギ達はなす術もなく骸の海へと還されて行くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
うーん、行動だけなら可愛いものだけど…内容がよろしくないなぁ…(苦笑
おいで、分身達
手伝ってくれる?
【指定UC】を発動し、僕は【催眠歌唱】を奏でながら
周囲の物音に【聞き耳】を立て
目に見える範囲は僅かな物の位置や形の変化も【見切り】
合わせて四方に高所まで分身達に見張らせ
罠や違和感を見つけ次第共有してもらい、発動前に魔法で破壊
障害物は…皆で炎の【高速詠唱、属性攻撃】すれば壊れるかな?
ウサギ達が襲ってきたら翼の【空中戦】でくるりと回避
楽しいかもしれないけど…迷惑は駄目だよ
【毒耐性+オーラ防御】で身を護りつつ子供の頭をぽんぽん撫で
微笑みと共に【破魔】を宿した光の【全力魔法+範囲攻撃】で【優しく】攻撃
罠を埋め、ぴょこぴょこ跳ねるウサギ達。坑道を進む者を阻む『イタズラ』の数々を眺めつつ、栗花落・澪が苦笑混じりに小さく呟く。
「うーん、行動だけなら可愛いものだけど……内容がよろしくないなぁ……」
きゃっきゃと笑うウサギ達の表情は無垢な幼子そのもの。しかし地面に仕掛けられた爆弾や彼等が持つ謎の薬が人に危害を加えれば、決して子供のしたこと、では済まされないだろう。
澪は少し眉を下げながら、ウサギ達の走る方へ踏み出しユーベルコードを発動した。
「おいで、分身達――手伝ってくれる?」
そう彼が微笑むと同時に、坑道の一角は突如小指ほどの大きさをした何かに埋め尽くされる。目を凝らせばそれは澪にそっくりな『極めて小さい天使』達であった。
彼等はわぁっと声を上げると、背の白翼を動かして四方へと散っていく。澪はそれを目で追いながら、魔力を籠めた声で音を紡ぎ始めた。
「――」
歌の合間で、澪は僅かな物音を捉える。すっと彼が指を向ければ天使達はそちらへ向かい、ウサギを見つけてわぁぁぁっと大きく声を上げた。
「きゃー!?」
「なになになにーっ!?」
ウサギ達は驚いて逃げ出していく。そして天使達を相殺するように小さなウサギをぽぽぽんと呼び出すと、彼等は通路の向こうへと駆けていってしまった。
天使達が追い、ウサギ達の向かった方を注意深く見れば、こっちに来るなと言わんばかりに大量の罠が仕掛けられているのがすぐに判る。戻ってきた天使からそれを伝えられた澪は、歌に魔術の発動呪文を交えて罠の方へ向かっていった。
ドン!! と虚しく爆炎が上がる。
次々に罠を空振りさせながら進めば、ウサギ達を見つけ――るより先に、大きな岩がその行く手を阻んでいるのが見えた。
「……皆で攻撃すれば壊れるかな?」
澪が小さく首を傾げれば、天使達はうんうんと可愛らしく頷いて彼の周囲に集まる。
三百を超える天使達の詠唱に合わせ、澪が炎の魔術を詠み上げた直後。岩は圧縮された炎に貫かれ、激しい音と振動を上げて崩れ去ってしまった。
「「うわぁぁぁ!?」」
岩の向こうにいたウサギ達が一斉に目を丸くする。彼等はヤケになったか、澪に向かって小さなウサギを投げつけながらわぁっと飛びかかった。
澪は翼を広げ、飛んでくるウサギを躱してくるりと舞う。
「楽しいかもしれないけど……迷惑は駄目だよ」
諭すように告げて、澪はぽんぽんとウサギの頭に手を乗せる。彼が小さく微笑めば、同時にその唇がふっと光の魔法を紡いだ。
一瞬にして、坑道は聖なる光に包まれる。ウサギ達はその優しい刃に飲まれながら、ゆっくりと骸の海に還って行くのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ファルシェ・ユヴェール
……
出立直前にあまりに可愛らしい行ってらっしゃいを見た気がして
思わず僅かに俯いて片手で顔を覆いつつ
いえ、既に敵地です、切り替えましょう
罠が得意というのであれば
警戒の目を増やした状態で用心深く戦います
旅の守護、ターコイズを触媒に小鳥を創り出して宙に舞わせ
罠うさぎ達の動きを確認しつつ、
おかしな罠を踏み抜く事が無いよう把握に努めます
戦闘そのものは、
得意とする仕込み杖を使った近接での攻守となりますが
距離を置かれたなら先に罠うさぎを減らすのもありですね
罠そのものや、仕掛ける者を減らす
他の猟兵への支援にもなるでしょうから
悪戯と呼ぶには過ぎた行いをする
ましてオブリビオンならば、
愛らしくとも容赦は致しません
わわわわーっとウサギ災魔が駆け回るのをちらりと見つつ、ファルシェ・ユヴェールは視界が変わる前の光景――行ってらっしゃい、とぱたぱたぬいぐるみの手を動かしていたミレナリィドールの姿を頭に過ぎらせていた。
「……」
黙り込んだまま、ファルシェは思わず僅かに俯き片手で顔を覆う。
しかし再びわわわっとウサギ達の声が耳に届けば、彼は小さく首を振って顔を上げた。
「……既に敵地です、切り替えましょう」
和みかけた表情をすっと引き締め、普段の微笑を浮かべて。それでも思考の隅に愛おしい人の笑みを残しつつ、彼は荷の中から一つの石を取り出した。
ファルシェの手の先でてらりと光を返すのは、不透明な碧を湛えるターコイズ。罠だらけの坑道を進み道を切り開くべく、彼は旅の守護を意味するその石に魔力を籠めていく。
「――その輝きを空へ」
ふっ、と彼が声を紡げば。
手の上のターコイズが翼を生やし、小鳥の姿となって宙を舞い出す。
小さく鳴いた小鳥は坑道を高く飛び回り、ファルシェのいる通路をふたつ曲がったあたりでウサギ達の姿を捉えると――彼等がきゃらきゃら笑って、地面に何かを埋めていることに気づいた。
戻ってきた小鳥から情報を得れば、すぐにファルシェは仕込み杖を構えて前へ進む。
違和感のある地面を避け、罠を踏み抜かぬよう慎重に。小鳥と共に周囲を用心深く見張り、ウサギ達の不意打ちを警戒して。
だんだんと笑い声が近づけば小さなうさ耳の幼子、災魔達の姿が視界に映った。
「うわっ!?」
「なんで!?」
「罠、きいてない!?」
目を丸くした災魔達は慌ててファルシェの方を向き、大量の小さなウサギを生み出して彼に投げつけていく。ファルシェに触れることの叶わなかった小さなウサギ達はわわあと駆け回ると、彼の足元へ無数の罠を仕掛けようと道具を取り出していた。
災魔達はそれを囮に逃げ出そうと企む。しかし、ファルシェは手に携えた杖をふっと軽く振ると――周囲にいたウサギ達を罠ごと薙ぎ払い、纏めて壁へと叩きつけた。
ドゴン!! と爆音が響き、ウサギ災魔達がびくりと震えて立ち止まる。ファルシェはかつ、かつとゆっくり靴を鳴らしてそちらへ近づきながら――諭すように言葉を放った。
「悪戯と呼ぶには過ぎた行いをする……ましてオブリビオンならば、愛らしくとも容赦は致しません」
ひっ、と悪戯が見つかった子供のように固まる災魔に、ファルシェは言葉通り容赦なく刃を振り抜く。
大人しく骸の海へ還る彼等を見届けながら、ファルシェは静かに杖を収めるのであった。
大成功
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アララギ・イチイ
私はまったり進むから、進路上の安全確保は任せたわよぉ(【選択UC】で召喚した対象に
【選択UC】使用よぉ
二人の少女達を召喚して、先に進んでもらい進路上の安全を確保してもらうわぁ
行動は一人の少女は6800℃の超高温の炎を坑道内の通路に送り込んで障害物や罠、敵を熱で【蹂躙】し【焼却】する【範囲攻撃】、もう一人の少女は坑道が熱で崩壊しない様に絶対零度の冷気を放ち、超高温の炎の影響範囲を制限する感じねぇ
私は上記の行動で安全確保出来た場所を進むけど、念のための護衛戦力として戦闘人形フギン・ムニンを周囲に配置して【情報収集】、敵が不意打ちして来たら【早業】で【武器受け】した後、【カウンター】を叩き込むわぁ
坑道の罠の数、そしてウサギ災魔達の数が段々と減っていく。ぴょこぴょこと跳ねる幼子は悔しそうにぐぬぬと唸ると、ありったけの罠を撒き散らしながら奥へ駆けていった。
彼等を追えば、そこは狭い一本道。ぼこぼこと掘り返され膨らんだ地面には、ウサギ達の罠が埋まっているのが明らかだった。
しかし、そんな道を臆することなく進む猟兵が一人。
「私はまったり進むから、進路上の安全確保は任せたわよぉ」
そう呼びかけながら、アララギ・イチイがユーベルコードを発動する。彼女の数歩先へと現れたのは二人の少女――一人は六千八百度に達する超高温の炎を纏い、もう一人は絶対零度の冷気を纏うアララギの『実験』の成果であった。
少女達は先程のアララギの言葉に頷くと、早速坑道の奥へと駆け出していく。
言葉通りゆっくりまったりと進むアララギの視界の先では、少女の熱で通路に埋められていた罠が作動しかけては燃え尽きる様が繰り返されていた。
「なにあれ!?」
「なんだよあれ!?」
陰から目を丸くしてそう叫ぶウサギ達。そちらへ一歩、炎の少女が踏み出せば――じゅう、と何かが溶ける音がして声が止む。狭い一本道は圧倒的な熱に満たされ、ウサギ達は罠ごと蹂躙されて行くのみとなっていた。
赤く灼けた坑道はもう一人の少女によって瞬時に冷却されると、安全な道となってアララギを迎える。地雷の類は粗方除去されたようであったが、アララギは万が一に備えて周囲を警戒しながら奥へと進んだ。
――そして、案の定。
「「なかまのうらみー!!」」
アララギの背後から、突如二人のウサギが怪しげな粘液を手にして飛び掛かる。しかしアララギは念の為に配置していた戦闘人形フギンとムニンの様子に気がつくと、悠々とした笑みで二体の指す方向を振り向いた。
「――残念だったわねぇ♪」
「「うわっ!!?」」
ガゴッ! と鈍い衝撃音。ウサギ達はアララギに触れることも叶わず、纏めて薙ぎ払われ通路の壁へと叩きつけられる。
不意打ちを失敗したウサギ達はよろよろと立ち上がろうとするが、既に遅かった。
アララギの両側から二つの人影が飛び出す。ウサギ達が仲間か、と目を輝かせた瞬間に見えたのは――強力な炎と冷気をそれぞれ纏う、アララギが呼び出した少女達であった。
ジュウッ、と瞬時に灼かれ、冷やされ、ウサギ達の姿は跡形もなく消え去ってしまう。
アララギが静まり返った坑道を見回せば、そこには既に災魔の気配などひとつも感じられなくなっていたのだった。
大成功
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