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アルダワ魔王戦争1-E〜嘲りを力に変えて

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「やぁどうも、今回はアルダワ魔法学園で戦争が始まったようだ。
 早速だが、君らにも手伝ってもらいたい。」
 パイプを一吸いしたニャルラがグリモアを掲げると、周囲の壁にダンジョンの内部……じめじめとしたキノコの生えた一角が映る。
「君たちに行ってもらいたい場所だが、少し厄介な場所でね。
 壁にキノコが生えているのが見えるだろう?
 あれらが常時、感情を増幅させる胞子を吐き出し続けているんだ。
 そして、ここの胞子が呼び起こす感情は……おっと、あれを見てくれ。」
 何かに気が付いたニャルラが、パイプの吸い口で指し示す先を見れば……異形の腕を掲げた、魔神の姿。
「話が前後するが、あれが今回の討伐対象だ。
 アーラマリンと呼ばれる魔神でね、人間など塵にも満たないくだらないモノ、と考えている。
 普段でもそう考えているだろうが、ここの胞子のせいでさらに増長しているんだ。
 つまり……、」
 パイプを口にくわえ、ニヤリと笑いながら言葉を続けるニャルラ。
「ここで増幅される感情は、『嘲り』というわけさ。
 相手を下に見る、傲慢になる、軽蔑する、嘲笑う……そういう感情だ。
 まぁ、あまり得意じゃない人もいるだろうし、押さえつけることもできなくはない。
 しかし、ここではその感情に任せて動くことを勧めるよ。
 そういう感情を表に出した方が強くなるのさ、胞子のせいでね。」
 そう言ってゲートを開くと、じめっとしたダンジョンの先に魔神の姿。
「ま、戦いでは上に立つ方がやりやすいもんさ。
 カラ元気だろうと流されるままにであろうと、胞子は力を貸してくれる。
 では頑張って倒してくれ、幸運を祈るよ。」


ヨグ
 ヨグです、アルダワ戦争シナリオ第1弾をお届けします。
 このシナリオでは、以下の行動をとるとプレイングボーナスを得られます。
 積極的に活用していただければ幸いです。

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プレイングボーナス……オープニングで指定した感情を爆発させる
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第1章 ボス戦 『アーラマリン』

POW   :    破壊の嵐
【魔龍の鎧腕】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD   :    理外の理
【膨大な魔力】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、膨大な魔力から何度でも発動できる。
WIZ   :    戯れもまた易き事
【悪魔】と【竜】の霊を召喚する。これは【空を駆ける雷撃】や【地を焼き尽くす煉獄の炎】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:飴屋

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は十六夜・巴です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アラン・スミシー
へえ、魔神かい?
大方そう呼ばれるようなのはランプの中に閉じ込められているのが相場と私は聞いていたが
…いや失敬。まだ閉じ込められてるままだったね、この迷宮というランプの中にさ。

おや図星を付かれておかんむりとはね、神の名前を持ちながら心が狭い。いや神なんて自称する存在が寛容な訳もないか。
そして私は君の次の行動を知っている、その腕を巨大化させて振り回すんだろう?
なんとも知性なくただシステムに従うだけの存在だね、魔神ってのは。
そして先が読めるが故に避けやすい。バラバラになったキノコの破片の中に身を隠そう、そこから不意打ちで弾丸を叩き込んでみせるさ。

神ってのは人間に殺される定めなのさ。覚えておくと良い。



「へえ、あんたが魔神かい?」
 その声に魔神アーラマリンが視線を向けると、くたびれたトレンチコートの男、アラン・スミシー(パッセンジャー・f23395)が歩いてきていた。
「大方、そう呼ばれるようなのはランプの中に閉じ込められているのが相場と、私は聞いていたが。」
「ほう……塵芥に過ぎぬ虫けらが、我らを語るか。」
 見下した目で嗤う魔神だったが、アランは肩をすくめ……ニタリと笑いながら続けた。
「……いや失敬。まだ閉じ込められてるままだったね、この迷宮というランプの中にさ。」

「……その口、いつまで妾の前で開いていられるか、試してくれよう。」
「おや、図星を付かれておかんむりとはね、神の名前を持ちながら心が狭い。」
「黙れ!」
 叫びと共に魔神が魔竜の鎧腕を振り上げると、見る間に大きく変化していく。
 見透かしたような視線を向けるアランを八つ裂きにしようと、爪が振り下ろされた。
「いや……神なんて自称する存在が、寛容な訳もないか。」
 だが、その先にはすでにアランの姿はない。
「やれやれ、私は平和主義者なんだがね。」
「く、は……!」
 一発の銃声。
 斬り裂かれたキノコの破片の下で、紫煙をあげるリボルバー銃はアランの物だった。
「動きが解りやすくて助かるよ。」
「貴様……!」
 リボルバー銃から上がる煙を吹き消しつつ、腕を貫かれた魔神から跳び退り、
「神ってのは人間に殺される定めなのさ。覚えておくと良い。」
 いつの間にか、アランはその姿を消していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神計・紅牙
ふーむ、魔神とな。
神を付けるのは良いがそちは何を成したのかのぅ?
我はこれでも建国の手伝いをした由緒正しきハカリであるのだが?
國の一つも起こさずして何を偉そうにするものか。
頭が高かろう、たわけ者が!

はー? 悪魔に竜など神代の時代には魍魎跋扈しておったわ、雷撃に炎などその程度慣れておる。
我の方こそ戯れてやろう。まあ精々愉しませるがよいわ!

【電撃耐性】【火炎耐性】【オーラ防御】で悪魔や竜の攻撃を受けてみせよう。
なに、気にすることはない【範囲攻撃】により【破魔】の力をのせた顕正の間により魔神ごと祓ってみせようぞ

やれやれ、そちも偉ぶるのならもう少しハクを付けるがよいな。


アンナ・フランツウェイ
(呪詛天使が表面に出て)面白い事言うじゃない。でもたかが人間と嘲笑う事しか出来ないアンタが、人間を世界を憎み通した呪詛天使に勝てるとでも?恥を知りなさい、この似非魔神ごときが!

破壊の嵐で攻撃して来たら鎧腕の軌道を【見切り】回避、避け切れないなら【鮮血の鋼鉄処女・改】を盾にし【武器受け】で防ぎながら接近するわ。

接近したら鋸刃状に【武器改造】した【終焉剣・ラストテスタメント】を突き立て【傷口をえぐる】【生命力吸収】で追撃、トドメに傷口から【呪詛】を流し込んであげるわ。
さあ我が全力の呪詛で死ねる事をありがたく思いなさい、似非魔神!



「ちっ、人間が……虫けらの分際で。」
 腕にあいた弾痕を忌々し気に見つめ、呟く魔神。
「面白い事、言うじゃない?」
「……誰だ?」
 魔神が視線を上げると、禍々しいほどの強い呪詛を纏う黒い翼を広げる少女、アンナ・フランツウェイ(断罪の御手・f03717)の姿。
 その手には鋸刃へと切り替えた黒剣を持ち……軽く鼻で笑って言葉を続ける。
「たかが人間と嘲笑う事しか出来ないアンタが、人間を世界を憎み通した私……呪詛天使に、勝てるとでも?」
「ふん、人間に毛が生えた程度のモノが吼えよるわ。」
「ふーむ、魔神とな。」
 アンナの翼の影から現れたのは、赤い物差しを手にした少年、神計・紅牙(天の御柱・f01140)。
「神を付けるのは良いが……そちは何を成したのかのぅ?」
 物差しをピシリと手に打ち、問いかける。
「何を……ふん、この魔の力、虫けらでもわかるであ」
「なんじゃ、何も成してないと申すか! 我はこれでも建国の手伝いをした、由緒正しきハカリであるのだが? 國の一つも起こさずして何を偉そうにするものか!」
 言葉をかぶせ、自身である物差しを突きつけて捲し立てる神計。
 その言葉には、明らかな侮蔑が籠っている。
「頭が高かろう、たわけ者が!」
「恥を知りなさい、この似非魔神ごときが!」
 アンナも続けるのを聞き……魔神の肩が震えるのが見える。
「よかろう……その思い上がり、後悔するがよい!」
 腕を振るったと見るや、悪魔と竜の霊を神計へけしかけ……魔神はアンナへと襲い掛かった。

「はー? 悪魔に竜など、神代の時代には魍魎跋扈しておったわ!」
 火を吐く竜、悪魔の手から放たれる雷撃……しかし、そこに立つ神計の身体を逸れていく。
 周囲に張られたオーラを破ることもできないのだ。
「その程度慣れておる……我の方こそ、戯れてやろう。」
 指で描かれた五芒星が周囲へ光を放ち、襲い来る霊たちが払われていく。
「く、やりおる。」
「余所見なんて余裕ね!」
「ぐ、貴様!」
 がむしゃらに振り回す鎧腕をアンナは羽ばたきながらふわりと躱し、手にした黒剣を叩きつける。
 がきりと魔神の鎧腕に受け止められるが、
「なんじゃ……腕が、」
「重いでしょうね。」
 黒く立ち上るオーラが、鋸刃の黒剣の傷口から入り込む。
 アンナの持つ黒剣、終焉剣・ラストテスタメントに込められた呪詛だ。
「吹き飛びなさい!」
「ぐあああ!」
 力強く振られた黒剣に腕を守る鎧が砕かれ、弾き飛ばされる魔神。
 地に転がされ……その背を五芒星の光が立ち上る。
「我も忘れては困るぞ?」
「ぐぅ……こ、この!」
「まあ精々愉しませるがよいわ!」
 光が強くなるごとに、魔神は身体から力が抜けるのを感じ……アンナが大上段に黒剣を振り上げていた。
「さあ、我が全力の呪詛で死ねる事をありがたく思いなさい、似非魔神!」
「があああ!」
 袈裟斬りに振りぬかれ……どす黒い傷が開く。
 あとには、苦しむ魔神を見降ろす、神計の言葉が響いた。
「やれやれ、そちも偉ぶるのならもう少しハクを付けるがよいな。」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘NG
グロNG
POW

オブリビオンを愛する私は
相手を見下せないけど
傲慢な気持ちは曝け出せるわ

人間など塵にも満たない下らないモノ?
同感ですわ。私も人類など救う気は無い。
貴女達の為に戦っているのです

守護霊の憑依【ドーピング】と『欲望解放』で戦闘力を高め
最大6600km/hの速度で【空中戦】
相手の巨大化した腕を【見切り・残像】で回避

人類から否定される貴女達を救えるのは
同じく否定されてきた私だけ!
私は過去も未来も超越した永遠の女神!!
貴女も……私に愛されるべきなんだーーーッ!!!

【呪詛・属性攻撃・全力魔法】の黒い雷で脱力させ
抱きしめ【生命力吸収】のキス。
暴れても【オーラ防御・激痛耐性・怪力】で離さない



「ぐ……あぁ……!」
 胸元から斬り裂かれ、苦しむ魔神の元に歩み寄る、ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)。
 その痛々しい傷を見る目は、嘲りとは程遠い……悲しみに近いもの。
「オブリビオンを……いえ、貴女達を愛する私に、貴女を見下すことはできないわ。」
「く、人間ごときが……!」
 魔神の霞む目には、ドゥルールの姿すらトドメを刺しに来た人間に映っていた。
 そんな魔神に跪き、
「おいたわしや……貴女は、人間に滅ぼされようとしています。」
「……貴様、は。」
「私は貴女の味方ですわ……人類から否定される、貴女達の。」
「馬鹿にするな! 他者の施しなどむぅ!?」
 魔神は抵抗を見せるが、その口をドゥルールの口が閉ざさせる。
 抱きしめられ、生命力を奪い取る口づけを受ける魔神の抵抗は、すぐに収まった。
「私は貴女と同じく、人間に否定されてきたのです。」
「貴様……。」
「だからこそ……貴女を愛することができますわ!」
 ……ドゥルールは、ここまで抑えていた傲慢の感情をさらけ出す。
 その服がいつの間にか消え、魔神を抱き止めるのは全裸の女神。
「私は過去も未来も超越した永遠の女神!! 貴女も……私に愛されるべきなんだーーーッ!!!」
「ま、待て貴様……んぅ!?」
 魔神の口は再び塞がれ、その体は黒い雷に痺れさせられ……されるがままになっていた。

「……ええい、離せ!」
「あぁん、力強いのね♪」
 魔神の身体を堪能したドゥルールが素直に体を離す。
 ……魔神の身体は、いつの間にか傷が塞がり、元の力を発揮していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

神咲・七十
「嘲り」っていったいどうすればいいの?
(分からないし、なるようになればいいか)
あなた、アーラマリンさんでしたっけ?
人を下に見てるらしいですが、確かに、強そうな人ですね。
ですので、私と戦いませんか?
最も、あなたには、「私に勝つ」という可能性は億に一つもありませんが。
「倒しきれない私」に恐怖してください。


UC『制約:狂食者』を使い、【生命力吸収】と【吸血】の力を纒わせた、大剣と尻尾の連携攻撃で、「血・生命力・寿命」を奪い、ひたすら再生力で圧倒し続けます。


アドリブや他の人との連携はお任せします。


霧島・絶奈
◆心情
He looks down on even the proudest animals;
he is king of all wild beasts.
『The Book of Job』

◆行動
嘗て封印された程度の過去の遺物、しかも高が災魔風情が驕りますか…

真なる強者には驕り高ぶると言う意識すら必要ありません
隔絶した差があれば、ただ在るがまま振舞うだけで良い
其れだけで、驕り高ぶる者を自然と見下すのです

理解しましたか?
この差が我々と貴女の決して埋まらぬ差です

『反転』し戦闘

【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】し理性の喪失を補いつつ攻撃

負傷は【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


バルディート・ラーガ
ドーモ、魔神サン。
あっしはこのとおりちっぽけなトカゲじゃアございやすがね、
ちっこい生き物もあンまし見くびってッと、噛みつかれちまいやすぜ。
どうぞお気をつけて……ヒヒヒ!

ははあ、確かにデけエ腕でいらっしゃる。
デカさはそのまンま破壊力、あっしの防御もむなしく
尻尾がもぎ取られて行っちまいやした。
かわいそうに、指のあンなとこに引っかかって……

しかし、残念でしたア。仕込みに気づかないたア。ヒッヒヒ!
【喰い尽くす簒奪者】。尻尾の肉を、そっから滴る炎の血に食わせ
そのまま蛇の姿へと転じて攻撃させっちまいやしょう。
魔神サンの懐へ自分の腕で連れてっちまった蛇が、そのまま
テメエに牙を剥くってエ寸法でございやすよう!



「嘗て封印された程度の過去の遺物……しかも、たかが災魔風情が驕りますか。」
 目深に被ったフードの下から覗くのは、薄く獰猛な笑み。
 嘲りという感情を使うといいと言われているが、霧島・絶奈(暗き獣・f20096)にとっては普段と変わらぬ、獲物を前にした者の笑み。
「真なる強者には、驕り高ぶると言う意識すら必要ありません。」
「はっ、貴様が妾より強いと言い張るか……それこそ驕りというものよ。」
「ドーモ、魔神サン。初めまして、ヒッヒヒ。」
 同じくフードの下から、こちらは蛇のような顔から舌を出す、バルディート・ラーガ(影を這いずる蛇・f06338)。
 ニヤニヤと、ヘラヘラと笑いながら話す様子は、やはりいつものもの。
「あっしはこのとおりちっぽけなトカゲじゃアございやすがね、ちっこい生き物もあンまし見くびってッと、噛みつかれちまいやすぜ。」
「ふん、できるとでも?」
「……ところで、聞きたいのですが。」
 そんな皮肉のぶつけ合いに横から問いかける、神咲・七十(まだ迷子中の狂食者・f21248)。
「『嘲り』って、いったいどうすればいいの?」
「……なんだと?」
「ふっふふ……いえ、普段通りでいいのですよ。」
 訝し気な視線を返す魔神をよそに、クスリと笑いながら返す霧島。
 その様子にバルディートもケラケラと笑いながら、
「ヒッヒヒ、そうですぜ。あっしも、そンなに普段と変わっていやせんからねェ。」
「なるほど、ならそうしますか。……あなた、アーラマリンさんでしたっけ? 人を下に見てるらしいですが、確かに、強そうな人ですね。」
 真紅の瞳でしっかりと魔神を見つめ、
「ですので、私と戦いませんか?」
「ほう……妾に挑むか。」
「最も、」
 漆黒の大剣を抜き、神咲は言い放つ。
「あなたには、『私に勝つ』という可能性は、億に一つもありませんが。」
「……よかろう。」
 散々コケにされてきた魔神は、怒りを込めて魔龍の鎧腕を構え、
「来るがよい、貴様らを血祭りにあげてくれよう!」
 そのまま猟兵達へと襲い掛かってきた。

「ははあ、確かにデけエ腕でいらっしゃる。」
 振り下ろされる魔神の腕をひょいと避けながら呟くバルディート。
 しかしその横で鮮血があがる。
「な、嬢ちゃん!? 大丈夫ですかい?」
「問題、ない。」
 傷を負ったまま、大剣で斬りかかる神咲。
 見ればその傷も、その頃には塞がりかかっていた。
「躱す必要は、ない。それ以上に再生し、奪い取ればいい。」
「ふっふふ……強者の戦い方ですね。」
 ニヤニヤと神咲へ笑いかける霧島も黒剣を抜き、その姿が黒い霧に包まれていく。
「隔絶した差があれば、ただ在るがまま振舞うだけで良い。其れだけで、驕り高ぶる者を自然と見下すのです。……そう、あなたのように。」
「ふざけたことを!」
 ふらりと近づく霧島の、蒼白い外套を斬り裂く魔神の腕。
 その下から現れたのは、人の形をした異端のモノ……。
「さぁ、戦いを続けましょう。」
「『倒しきれない私』に恐怖してください。」
 魔神の振るう腕を避けず、そのまま身に受ける神咲と霧島。
 しかし、避けることを放棄した神咲の大剣や尾は苛烈に襲い掛かり、斬り裂かれても人の形が崩れぬ霧島の身体は、腐敗の霧を放ちながら襲い掛かる。
「こ奴ら……!」
「ヒヒヒ、見てるだけたアいきやせん」
「邪魔をするな!」
「ヒャア!?」
 ナイフを手に近づいたバルディートに、魔神の腕が振られる
 巨大な鎧腕に、避けられぬと見たバルディートは咄嗟に尾で体を守り……その尾は引きちぎられ、魔神の腕に引っかかっていた。
「あーらら……あっしの防御もむなしく、尻尾がもぎ取られて行っちまいやした。かわいそうに、指のあンなとこに引っかかって……。」
「ふん、地を這う蛇ごときが。」
「へへ、その通りでさア。」
 跳び退ったバルディートだが、フードの下の笑みは消えていない。
 ……魔神は自身の腕に、何かが巻き付くのを感じた。
「しかし、残念でしたア。仕込みに気づかないたア。ヒッヒヒ!」
「な、蛇が!?」
 バルディートの尾から、黒い蛇が八匹這い出ていた。
 魔神の身体に巻き付き、噛みつき……その口からは呪詛を吐き出している。
「魔神サンの懐へ自分の腕で連れてっちまった蛇が、そのままテメエに牙を剥くってエ寸法でございやすよう!」
「ぐ、くそ……!」
 もがく魔神の腕を、霧島の黒剣が貫く。
 そして、目の前には大上段に漆黒の大剣を振り上げた神咲……。
「さぁ、斬り捨ててください。」
「ま、まて……!」
「はぁ!」
 勢いよく振り下ろされた、神咲の大剣。
 魔神の身体を袈裟に断ち切り……その体は黒い塵となって、崩れていった。

「ヒヒヒ、うまくいきやしたねエ。」
「ええ、お疲れ様です。」
 楽し気な笑みを浮かべたバルディートの声に、元の姿に戻って応じる霧島。
「ふぅ……少し、しんどい。」
「……そりゃア、そうでしょうや。」
 防御を捨てて戦っていた神咲は、自身の血で赤く染まっている。
 少し心配気に見るバルディートに、
「大丈夫、まだ歩けます。」
「へへ、それならいいんですが。」
 そんなやり取りをしている二人の背後から、霧島の呟きが響いた。
「……He looks down on even the proudest animals; he is king of all wild beasts.」
「ん……それは?」
「ふふ……古い時代に書かれた、神の在り方、本来の強者の在り方ですよ。まさに、あなたの戦い方でした。」
「ヒヒヒ、まさにそうでやしたねエ。」
「……褒められてるとみていい、のか?」
「ええ、誇ってください。」
 そう話しながら、猟兵達は帰路につく。
 まだ戦争は、始まったばかりだ。

 ――それは、すべて高いものを見おろし、それは、すべての誇り高い獣の王である。
 ヨブ記、41章34節より

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年02月05日


挿絵イラスト