アルダワ魔王戦争1-E〜怒りと筋肉の森で
●キノコ森アドベンチャー
アルダワ魔法学園旧校舎。
地下を進んだその先に広がる迷宮は、大変でした。
キノコ。キノコ。そしてキノコ。
迷宮の床、天井、壁。隙間という隙間から、キノコが生えてきているのです。生命の息吹を感じます。……感じてる場合じゃありません。
そのキノコがただのキノコでないので大変なのです。
「筋肉の何が悪いのかーッ!!」
キノコの森と化したダンジョンで、筋肉が吠えていました。
その正体は、ケトルから腕の生えた筋肉オブリビオンです。とにかく怒っています。
せっかく迷宮内で1人なのだから、そんなに怒らず平穏に暮らしていればいいものを。と思いますが、原因はキノコです。やはりか。
キノコはキノコでも、こいつは迷宮キノコの一種です。その振りまく胞子を吸い込んだものは、オブリビオンであろうと猟兵であろうと、怒りの感情を引き起こされ、怒りの化身となってしまうのです。
「脳筋だのなんだのと、筋肉に頼った者があたかも頭が悪いかのような風潮ッ! 許しがたい! 筋肉ほど義理堅いものはないというのにッ!」
筋肉オブリビオンが立ちはだかる限り、このルートを進むことはできなさそうです。
ならば……覚悟が必要かもしれません。あえて怒りに身をゆだねる覚悟が!
●アルダワ戦争なのだわ!
タビタビ・マタタビ(若き猫黒騎士・f10770)は、自分の故郷の危機に、いてもたってもいられず、猟兵達を募った。
「アルダワ魔法学園で戦争だよ! ここは頑張って守らないとね!」
タビタビの依頼は、地下迷宮の一角の攻略であった。
ケットシーサイズよりだいぶ大きな地図を広げると、ぽむっ! とある一か所を指し示した。
「この地点を、オブリビオンが押さえてるんだ。先に進むためにも、ぜひ突破してほしいんだけど……」
このエリアには迷宮キノコなる特殊なキノコが繁茂しており、大変なことになっているという。
「この迷宮キノコの胞子の影響を受けると、怒りの感情が湧き上がって来るんだ。猟兵もオブリビオンも関係なくね」
無論、歴戦の猟兵なら感情さえも制御できるだろうが、それには多大な労力がかかる。
「なら、いっそ、怒りに身を任せて戦ってしまった方が楽かもしれないね。そんなわけで、怒りながら戦ってくれる猟兵さんを募集するよ!」
行く手を阻むオブリビオンは、ケトルビルダー『ヘッド』 。とにかく筋肉を信じる脳筋系オブリビオンだ。
もっとも、脳筋や筋肉馬鹿など、どうにも頭がよくないようなイメージがついていることに不満を抱いていたようで、迷宮キノコの影響で、その感情が噴出したようである。
「筋肉さんの怒りに構っている余裕はないよ。みんなも怒りの感情にとらわれちゃうからね」
だが、その怒りをうまく戦う力に変えられれば、オブリビオンを圧倒する事も可能だろう。
「アルダワの危機なのだわ、ってね! みんな、よろしく!」
ぺこりっ、とタビタビは小さな頭を下げたのだった。
七尾マサムネ
いよいよ戦争の幕開けです!
というわけで、こちらは戦争シナリオのため、1フラグメントで完結する特殊なシナリオとなっております。
●今回のプレイングボーナス条件
「怒りの感情を爆発させる」ことです。
特に採用人数制限はございませんので、お気軽においでください。
なお、今回の本文は、オープニング冒頭のように「~です、~ます」調の童話風味でお届けする予定です。
それでは、皆様の感情の爆発、お待ちしております!(オブリビオンの方にぶつけてね!)
第1章 ボス戦
『ケトルビルダー『ヘッド』』
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POW : ナヨナヨしやがってッ!押し潰してくれるッ!
単純で重い【のし掛かり 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 筋トレは最強のソリューションだッ!
無敵の【ミラクルボディ 】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
WIZ : 日常でも効果的にワークアウトだッ!
【高重量のパワーリスト 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:くずもちルー
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ミリア・プレスティール」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
チトセ・シロガネ
ガッテム!だれに向かってナヨナヨだって!?
このボクのマッシヴボディーを見るネ!
怪力とオーラ防御でがっつりと組み付き、
パワーバトルとシャレこむネ!
フフッ、ユーもいい上腕二頭筋してるヨ。
互いの筋肉を誉めつつ、重くのしかかる重力に逆らい続ける。
だけどボクの自慢は鍛えに鍛えた下半身、踏ん張る力だけは負けないネ!
相手がちょっとでも隙を見せたら、【霹靂閃電】を発動。
天高く持ち上げて、ジャイアントスイング。
ユーがブレイクするのはフロアじゃない。ダンジョンのウォールネ!
そのままどこかの壁に叩きつけるヨ!
怒りに我を忘れ、1人荒ぶるケトルビルダー。
そんなキノコの森に、新たな怒りが木霊します。
「ガッテム! だれに向かってナヨナヨだって!?」
怒りの発信源は、チトセ・シロガネ(チトセ・ザ・スターライト・f01698)でした。迷宮キノコの胞子の影響が、早くも表れているみたいです。
怒りは怒りを呼びます。なぜだか。
案の定、チトセの元に、筋肉ケトルが突進してきました。
「筋肉こそ叡智の塊なのだとなぜわからんッ!」
「このボクのマッシヴボディーを見るネ!」
話がかみ合ってません。怒りとは意志疎通の断絶です。
がっし! チトセは、ケトルに組み付きました。その体は、怒り……もとい、オーラに包まれています。
「パワーッ!」
「勝負ネ!」
話の方向が別でも、筋肉同士は共鳴してしまうみたいです。
ぐぐぐっ。ケトルとチトセ、双方の怪力のぶつかり合いが、キノコの森を揺るがします。
「いい筋肉持ってるじゃないかッ!」
「フフッ、ユーもいい上腕二頭筋してるヨ」
互いを褒め合うケトルとチトセ。
なんだか会話が成り立ってきました。もしや筋肉は言語では?
ケトルにのしかかられたチトセの全身を、圧倒的重量が襲います。足元の迷宮キノコが潰され、床が陥没していきます。
ですが、チトセは不敵に笑います。
「ボクの自慢は鍛えに鍛えた下半身、踏ん張る力だけは負けないネ!」
「そうだッ! もっと筋肉の力を見せてみろッこの野郎ーッ!」
とめどない怒りの中にも、よい筋肉と戦える喜びがちらっと見えているのは、気のせいでしょうか。
そんなケトルのリスペクト感情が、隙となりました。
ケトルの体を、チトセが持ち上げます。天高く。そして……ジャイアントスイング!
「ユーがブレイクするのはフロアじゃない。ダンジョンのウォールネ!」
「ぐはーッ! 我が筋肉、ふがいなしーッ!」
迷宮の壁面にめり込んだケトルビルダーに、チトセがウインクを贈りました。
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
キノコ………
椎茸、苦手なのよね。特にあの煮汁が。
今回のはただのキノコだし、食べることはないからいいんだけど。
怒りの感情、といえば。
眼鏡キャラだからって、勉強できるとはかぎらないし、委員長じゃないんだからね!!
脳筋ヤカンとはキャラ付けに対する者同士で通じるところがあります。
お互いが冷静な時には語り合えそうですが、残念ながら今は怒りモード炸裂なんです。
怒りの炎に包まれた、ヨーヨーを喰らうがいいんです。
ヨーヨーは大質量に設定した打撃重視。
UC【トリニティ・エンハンス】で【炎の魔力】を籠めて、脳筋ヤカンに挑みます。
黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は、嫌いでした。
よりにもよって、キノコが。
「椎茸、苦手なのよね。特にあの煮汁が。今回のはただのキノコだし、食べることはないからいいんだけど」
とはいうものの、キノコだらけの景色が、既に拷問です。椎茸でないのが不幸中の幸いでした。
「筋肉は賢いッ!」
「きゃっ」
キノコを薙ぎ払うようにして、ケトルビルダーが接近してきました。強じんな腕に血管が浮き上がり、怒りが湯気となってあふれ出しています。
怒りには怒り。摩那もまた、怒りをぶつけました。
「眼鏡キャラだからって、勉強できるとはかぎらないし、委員長じゃないんだからね!!」
ぐわっ! 迷宮キノコの胞子によって増幅された怒り……というか日頃のうっ憤が、摩那からあふれ出しました。眼鏡越しに。
脳筋ヤカンとはキャラ付けに対する者同士で通じるところがある気がします。もしこの出会いがキノコの森でなければ、冷静に語り合えたかもしれません。
ですが、今はお互い、怒りモード。なんという皮肉な一期一会……!
「筋肉・イズ・ウィズダムッ!」
「眼鏡は眼鏡! それ以上でも以下でもない!!」
2人の怒りが、迷宮キノコを吹き飛ばす勢いで激突しました。ぶわっ、と広がったのは、2人の闘気とキノコの胞子です。
片や、肉体派ユーベルコード。
片や、怒りの炎に包まれたヨーヨー。
「そんなおもちゃで、研ぎ澄まされし我が筋肉に打ち勝てるとでもッ!」
のしかかりながら、ふんぬーっと憤怒を表明するケトル。
対する摩那のヨーヨーは、高まる怒りを反映したかのように、大質量です。炎の魔力によって勢いを増すと、マッスルボディを跳ね返し、ケトルの顔面に直撃しました。
「筋肉の壁が炎を阻む……阻めんッ!」
摩那のヨーヨーが、ケトルを弾き飛ばし、壁にめり込ませました。
「どうやら筋肉に裏切られましたね」
摩那の静かな口調に秘められた怒りが、ケトルのハートをえぐりました。
大成功
🔵🔵🔵
阿瀬川・泰史
なるほど、怒り、ですかぁ。久しく表に出してこなかった感情ですねぇ。
えぇ、いいですよぉ。怒り上戸といこうじゃあありませんか。
日本酒をぐーっと呷って戦場に踏み込む
「ふぅん……ピーピーガーガーとやかましい敵がいるようですねぇ、えぇ、実にやかましい」
剣呑な目つきをしながら刀を片手に敵を探します
発見したら怒りに身を任せて一挙に距離を詰め、山卸しで一撃を加えましょう
「手前勝手な理屈を振りかざして喚くたぁ、無粋にも程があるってもんですよねぇ、おぉんっ!?」
無粋な輩は喚いたところで無粋なのですよぉ、綺麗に片付けましょうねぇ
連携・アドリブ歓迎
阿瀬川・泰史(酒と杯さえあればよし・f02245)もまた、キノコの森に足を踏み入れようとしていました。
「なるほど、怒り、ですかぁ。久しく表に出してこなかった感情ですねぇ。えぇ、いいですよぉ。ここは1つ、怒り上戸といこうじゃあありませんか」
泰史は、日本酒をぐーっと呷って、いよいよ戦場に踏み込みます。
片手に抜いた刀をぶらさげて、森を探索していると、いきなり因縁をつけられました。
「そこの! 俺にはわかるぞ、その目、筋肉をあざ笑っているなッ!」
威勢のよい、ケトルビルダーの出迎えです。迷宮キノコの胞子にたっぷりやられて、すっかり理性をなくしています。
ですが、次の怒声を吐き出そうとしたケトルが、びくっ、と動きを止めました。
泰史の剣呑な眼差しに射抜かれて。
「ふぅん……ピーピーガーガーとやかましい敵がいるようですねぇ、えぇ、実にやかましい」
静かな怒りがコワイ。青い焔の方が温度高い理論です。
「負けるな筋肉ッ! 信じろマッスルッ!」
ひるんだ己の筋肉を、怒りで鼓舞したケトルに、泰史は歩みを疾走に変えて、迫ります。
のしかかろうとしてくるケトルの体へと、力任せに刀を振ります。シンプルな一撃は、怒りの力をあますところなくケトルに伝えました。
ずごん。
割と壮絶な音を立てて、ケトルが地面のキノコ畑に沈みました。
「ぶはっ!? 知性の欠片もない攻撃ッ! 筋肉が泣いているッ!」
「ああん?」
たっぷり胞子を吸い込んで、更に顔を赤くしたケトルに、泰史がすごみました。刀の切っ先に怒りを集めて。
胞子と日本酒の相乗効果でしょうか。泰史の目はすっかり座っています。もはや正座です。
「手前勝手な理屈を振りかざして喚くたぁ、無粋にも程があるってもんですよねぇ、おぉんっ!?」
「ひぃッ」
壮絶な音、再放送。
キノコの胞子が舞い上がり、ケトルの体は地面にめり込みました。
「またつまらねぇもんを斬ってしまいましたねぇ、どうしてくれるんです」
「ひィィ」
眼前に迫る泰史の刀が、ビルダーの頬をつつきました。
成功
🔵🔵🔴
ロアー・アレグリアス
にゃんとぉ?! 怒りとな?!
はっはっはー、我は立派なケットシーなのだからな!
そう簡単にプッチンしたりなどしないのだ!
……たぶん!
(キノコたっち)
……ふしゃーッ!!
ええい誰も彼も我のことをかわいいかわいいなどと言いまくってからに!
我は、我はなぁ、可愛いのではなぁい!
カ ッ コ い い の だ ぁ ッ ! !
(いつもより多く放電中)
いっくらカッコ良く見せる為の研究を積み重ねても結局可愛いと言われてしまう我の無念と積もり積もった憤り、ここで晴らさずいつ晴らすのだ!!でぇい八つ当たりじゃー!!
我の怒りの雷撃、その身を以てバシィッと受けてからぶった斬られるがいい!!
ふっははぁーッ!!(雷剣バシバシ)
にゅっ、と。
迷宮キノコの陰から、ロアー・アレグリアス(雷刃名轟・f02956)が顔を出しました。
「怒りを誘発するキノコ? はっはっはー、我は立派なケットシーなのだからな! そう簡単にプッチンしたりなどしないのだ! ……たぶん!」
余裕のロアーは、壁に手をついて余裕のポーズ。
「……壁?」
もふっ。ロアーの手が触れたのは、迷宮キノコでした。
ぼふっ。胞子が溢れます。
もあーんと周囲が曇ります。その中から現れたロアーは、平然と……。
「……ふしゃーッ!!」
平然と……。
「ええい誰も彼も我のことをかわいいかわいいなどと言いまくってからに! 我は、我はなぁ、可愛いのではなぁい! カ ッ コ い い の だ ぁ ッ ! !」
ばりばりばりっ!!
周囲に、怒りの電撃がほとばしりました。
「いっくらカッコ良く見せる為の研究を積み重ねても結局可愛いと言われてしまう我の無念と積もり積もった憤り、ここで晴らさずいつ晴らすのだ!! でぇい八つ当たりじゃー!!」
「なんだ小さい猫が来たなッ! 馬鹿にする暇があったら筋肉をリスペクトせーいッ!」
雷となって炸裂するロアーの怒りに誘われてか。ケトルビルダーがやってきました。怒りが蒸気のように頭から噴き出しています。
怒りVS怒り!
キノコの森が、雷の輝きに照らし出されます。
「武器などもってからにッ! 最大の武器は筋肉だろうがッ!」
そういうところが脳筋と呼ばれるゆえんでは?
ですがあいにくと、この場に冷静なツッコミのできる人はいませんでした。
ともあれ、怒りの電撃を浴びたケトルは痺れ、怒りの表情のまま硬直しています。今がちゃんすです。
「う、動けマイ筋肉……ッ! 怒りを見せろッ」
「我の方が怒っているぞ! 怒りの雷撃、その身を以てバシィッと受けてからぶった斬られるがいい!!」
ずばっ、とロアーが怒りに任せて剣を振りました。ケトルがずばずばと切られて行きます。
「ふっははぁーッ!!」
「いやッ、ちょッ、筋肉の話を」
「そいやっ! そいやっ!」
ばしばし。
ロアーは、雷剣をケトルにひたすら叩きつけました。日頃のストレスを発散するように。
成功
🔵🔵🔴
バルディート・ラーガ
イヤまア、マッチョ体型にゃ及ばねエ細身じゃアございやすがね。
なにせあっしは腕が地獄の炎になッちまった身、
鍛えようにも筋肉が無エっつー話でございやすよう。
そこを突かれちまうのは理不尽この上なし!チクショーイ!
ケトルの伸し掛かりが襲ってくる……のを見越しやして
腕でがっしと捕まえる!重みと衝撃に耐える!
何!筋肉が無かったンじゃアねエのかですって?
そこはこの【大盗賊の業前】…エエそうです。こちとらワザも盗める身。
てめエの筋肉、盗んで身に付けさして頂きやしたよう!
もはや手に入らねエ憧れのマッスル!ちょっと泣く!
そのままがっしりと捕まえ、敵サンの重さも利用して
地面に怒りの投げ落としをキメてやりやすぜエ!!
自らの視界に入って来たバルディート・ラーガ(影を這いずる蛇・f06338)の体つきを舌から上まで確かめたケトルビルダーは、くわっ、と目を剥きました。
「筋肉が足りんッ! 減点だッ!」
「イヤまア、マッチョ体型にゃ及ばねエ細身じゃアございやすがね」
バルディートは、自身の腕を見せつけるように、ぐっ、とポーズを決めました。
「なにせあっしはこれこのとおり、腕が地獄の炎になッちまった身。鍛えようにも筋肉が無エっつー話でございやすよう。そこを突かれちまうのは理不尽この上なし! チクショーイ!」
バルディートの怒りが、なだらかに、しかし確かに上昇曲線を描きました。
そんな曲線を潰すように、ケトルがのしかかってきます。
で すが、そんな攻撃、バルディートにはお見通しでした。
「筋肉とは耐え忍ぶ事ッ……あれ?」
がっし! ケトルの動きを見切ったバルディートが、その体を腕で捕まえました。 筋肉によって生み出された重みと衝撃が、バルディートを襲いますが、そこは耐えきります。
「筋肉の化身である我を受け止めた、だと……ッ? 筋肉などなかったはずッ!」
「そこはこの【大盗賊の業前】の力……エエそうです。こちとらワザも盗める身。てめエの筋肉、盗んで身に付けさして頂きやしたよう!」
かかっ!
バルディートの種明かしに、ケトルの顔に衝撃が走りました。
「他者の努力と研鑽を奪って利用するとは、筋肉の風上にも置けぬッ!」
「そう言ってくだせぇますな! もはや手に入らねエ憧れのマッスル、ちぃっとばかし味合わせてもらったってバチは当たりやせんとも!」
力いっぱい、主張するバルディート。その目元には、うっすらと雫が浮かんでおりました。
「それはそれとして、離せッ離さんかッ」
「そうは問屋がおろしやせん」
ぐわっ。ケトルをがっしりホールドしたまま、バルディートは、怒りの投げ落としをキメました。
どうやら、ケトルの筋肉の重さが仇になったようです。地面にちょっとしたクレーターが出来上がり、しばしの間、猟兵達の間で名所となったとかならないとか。
……なりませんね。
大成功
🔵🔵🔵
清川・シャル
日頃から言いたかった主張をします!
あの筋肉に言えばいいんですね?(誰へともなく)
私!清川シャルは!羅刹なので鬼っ子なんですけど!
この細腕(袖を捲って出す)なんですけどね!
いいじゃないですか貴方筋肉見えるじゃないですか!
私は!鬼筋ばりばりなので、中は硬いんですけど、見た目ぜんっぜん、細くてへにょって見えるからか弱そうに見えて腹立つ!
動くしなやかに見える見せ筋肉欲しい!
ナヨナヨしてませんからね!おこですからね
反論なんて聞きません、行きます怒りの鬼神斬!UC発動です!
敵攻撃には激痛耐性、武器受け、カウンターで対応です
ふぅ、なんだかスッキリした気がします
シャルの正義を貫くまでです。
「日頃から言いたかった主張をします! ……ええとあの筋肉に言えばいいんですね?」
誰へともなく、清川・シャル(無銘・f01440)は確認しました。確認、大事ですよね。ヨシ!
そして、シャルに『あの筋肉』呼ばわりされたケトルビルダーは、怒っていました。相変わらず。
「筋肉は哲学ッ! ゆえに筋肉は賢いッ! 違うか、違うかーッ」
何を言っているのか意味不明なケトルに、シャルは、ばしっ、と挙手しました。
「私! 清川シャルは! 羅刹なので鬼っ子なんですけど! この細腕なんですけどね!」
わざわざ袖をまくって、細腕を見せつけました。
「いいじゃないですか貴方筋肉見えるじゃないですか! 私は! 鬼筋ばりばりなので、中は硬いんですけど、見た目ぜんっぜん、細くてへにょって見えるからか弱そうに見えて腹立つ!」
「インナーマッスルッ!?」
ケトルが、説明なのかそういう鳴き声なのかよくわからない声を上げます。
その間も、シャルの怒りの主張は続きます。
「動くしなやかに見える見せ筋肉欲しい! ナヨナヨしてませんからね! おこですからね」
「きんに……」
「反論なんて聞きません、行きます怒りの鬼神斬!」
ケトルの言葉を踏み潰すようにして、シャルが行きました。
無駄な動作と容赦のない鬼金棒の一撃!
べこっ。ケトルの自慢の筋肉ボディがへこみました。
「なんのッ!」
ふんッ、と気合一発。
内側の筋肉に力をこめると、へこんだ箇所が元に戻りました。
ムキムキの両腕を地面に叩きつけると、その勢いでジャンプ。シャルへとのしかかりにかかりました。
「我は考える筋肉であるッ!」
シャルを踏み潰さんとしたケトル。一方のシャルは鬼金棒を構えて、思いっきりスイングしました。
「絶好球!」
かきーん!
「んなあッ!?」
見事に打ち返されたケトルの体が、天井にめり込みました。
「馬鹿なッ! 筋肉が敗れるなどどうにかしているッ! リターンマッチを……ッ」
しゅわあ。
言葉が最後まで紡がれる前に、ケトルビルダーは消滅しました。怒りと一緒に。
「ふぅ、なんだかスッキリした気がします」
自分の正義を貫きとおしたシャルは、晴れやかな表情で額の汗をぬぐいました。
それではいざいかん、キノコの森の先へと!
成功
🔵🔵🔴
最終結果:成功
完成日:2020年02月02日
宿敵
『ケトルビルダー『ヘッド』』
を撃破!
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