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カロリーオーバードライブ

作者：忍Ｐ

「朝は優雅に蜂蜜をたっぷりかけたフレンチトースト、バニラアイスを添えていただきます」
　怪人の配信している動画はその日１日の食事を配信していた、朝はフレンチトースト、その量１斤。
「昼はチョコレートフォンデュ、マシュマロ、キャンディ、グミ、甘い物×甘い物、これ最強でございます」
　チョコレートの噴水に山の様に積まれたマシュマロやキャンディ、カロリーは当然天井知らずなのは想像に難くない。
「３時のおやつも欠かせませんが夕食もありますのでここは軽く、板チョコに板チョコを重ねた板チョコサンドを」
　それはただの板チョコの３段重ねだし、視聴者もそこを突っ込むが怪人は意にも介さなかった。
「そして夕食、がっつり行きたい気分、なのでこの長ああああああい！説明不要なほど長いロールケーキ、その長さ１０メートル！これにチョコレートドリンクと共にいただきます」
　驚くべきことに怪人はこの食事？を全て完食、これには視聴者も大盛り上がりだった。
「甘い物、つまりスイーツ、３食スイーツで人生もスイート、さあ皆さん食生活を甘く、優雅にして過ごしましょう」
　食生活の内容はとにかくこれを毎日やっているのはすごい、キマイラフューチャーの人々は甘い物だけではないが、大食い動画で再生数やいいねを稼ごうとする動画配信者が増え始めていた。

「何も成長していないのです」
　リリィエル・ロックウェル（クレヨンの勇者・f01438）は予知の内容を見てうんざりした表情を浮かべていた、それでもオブリビオンの起こす事件であることには変わり無い。
「と言うわけで猟兵の皆さん、またカロリーの過剰摂取を勧めようとする怪人、オブリビオンがキマイラフューチャーに出現したのです、動画の影響で大食い動画で再生数を稼ごうとして無理な大食いをする人たちを止めてほしいのです、無理な大食いは体に毒なのです、最悪命に関わるのです」
　リリィエルの声はいまいちやる気がない、しかし説明はしっかりと続ける。
「大食いブームを止めれば怪人が何かしら妨害してくると思うのです、予知でも詳しくはわかりませんでしたけど２人１組で何かをやるみたいな予知が出たのです、それさえ突破してしまえばあとは怪人を倒すだけなのです」
　リリィエルが一通り説明を終えるとテレポートの準備に入る。
「またしても怪人が健康を害するブームを広めようとしているのです、懲りない怪人を懲らしめてほしいのです、それではキマイラフューチャーの世界に飛ぶのです」

第1章 冒険 『過ぎた欲を諫めるために』

POW   :    力ずくで止める、抑える SPD   :    手段や目的を断つように動く WIZ   :    説得や指摘で諭す 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

　動画撮影用に山ほど菓子を抱えた青年にミミ・フリージア（エルフの聖者・f05747）が話しかける。
「うまそうな菓子が多いのぅ」
　ミミに話しかけられた青年はミミの方を向いて。
「これ？これから動画の撮影用に用意したお菓子だよ、お菓子でお腹一杯になってみた！ってタイトルで」
「じゃが食べすぎはよくないのぅ。虫歯にもなりそうじゃし太るじゃろう。そうなったら歯医者では痛いするじゃろうし……怖いのぅ、痛いのぅ」
　住人の言葉を遮ってお菓子の食べ過ぎのリスクを語るミミの言葉に青年は思わず歯を抑える。
「なんで最近まで歯医者いってたの知ってるの？」
「おや、歯の治療は痛かったじゃろう？なのになぜまた同じことを繰り返そうとするのじゃ？それにお菓子を食べすぎると太ってしまうのう、動画映えも悪かろうて」
「わ、分かったよ！別の動画のネタ考えるよ！これは君にあげる！」
　お菓子をミミに渡して青年は走り去っていく、ミミはお菓子を見て食べようかと思ったがあれだけ煽った手前食べるのも気が引けた。
「むむう、このお菓子どうしてくれようか」
　捨てるのも勿体ない気がする、お菓子を抱えて歩いていたところにジャック・ソウル（パンプキンヘッド・f02764）がレプリカクラフトでスイーツの店を建築していたが一つ問題を抱えていた。
「ふう、ミーとしたことがとんだミステイク、店だけで商品のスイーツのことを忘れていたよ」
　その様子を見ていたミミは渡りに船をばかりにジャックにお菓子を押し付ける。
「ミーにくれるのかい？優しいレディ」
「うむ、困っておるようじゃったからのう、有効に使うが良いぞ」
　ミミはお菓子を渡して風のように去っていった。
「サンキュー名も知らぬレディよ」

それから暫く経って、突然現れたスイーツ店に暇を持て余した住人達が集まってくる、店の前にモニターを設置したジャックは客の前で動画を再生する準備を整える。
「ヤァヤァ、こんにちは。ミーはこの店の店主のジャック・ソウルです。甘いものを食べる前に見てもらいた動画があるだよ」
　ジャックはモニターを指さして客に動画を見せる。
「甘いものって、ついつい一杯食べちゃうよね。美味しいから。でもね、甘いばかり食べいるとこうなちゃうんだよ。君達はこうなりたいかい？」
　その動画は甘いものを食べ過ぎることへの警鐘の動画だがその内容はとても恐ろしく、とても文章で表すことは不可能、そのぐらい恐ろしいか説明できないのが実に残念なほど甘いものへの恐怖を刻み込むには十分すぎる動画だった、涙目になっている住人、甘いものを食べ過ぎることのリスクは十分すぎるほど伝わったようだ。
「そうなら無いようにユーたちも気を付けるんだ、気を付けないと」
　ジャックは口から地獄の業火を吐く。
「死んだら地獄行、ゴートゥヘル！！」
　客たちは驚いて蜘蛛の子を散らすように逃げていく、目的を果たしたジャックは店をかたずけながら動画のデータを見る。
「いやはや、この動画本当に怖いね、お見せできないのが残念だよ」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

　南雲・社（美少年顔のおっさん・f02753）は公園のベンチで米ジュースを飲みつつ枝豆を摘んでいた、美少年な外見に反してやっていることはダメな無職の中年みたいだ。
「にーちゃんこんな昼間っから何やってんの？」
　偶然通りかかったキマイラの少年が社に話しかける。
「おう、そこの若者よ、ちょいとわしの話を聞いて行くがいい、お前さんは知っとるかな？甘い物を食べたり暴飲暴食すると恐ろし～い病が発症するかもしれんぞ？そう、わしら中年の天敵、成人病じゃ！」
　あーこれはめんどくさいのに関わっちゃった、と露骨にいやそうな顔をする少年。
「は、はぁ……」
　生返事を返すが社の話はまだまだ続く。
「若いからって無理をするとのう、今は良いかもしれんがわしみたいな齢になって来ると、必ず後悔するぞ？」
「にーちゃん若いんじゃね－の？おっさんみたいなこと言うなって」
「わしは３９歳、アラフォーってやつじゃよ、動画配信とやらに夢中なお前さんのような若者が病に侵されるのは忍びないでのう。どうじゃ？食べること以外で再生数を稼いでみんか？」
　ちょうど少年は動画のネタを探して公園までやってきていた、再生数と聞いて興味が沸いたのか社の話を聞く気になる。
「あー最近流行りの甘いもの一杯食べる動画？」
「そうそう、それじゃ、食べるだけで再生数を稼ぐなどもう何番煎じじゃって話よ、ブームと言えば聞こえは良いが、皆同じような映像ばかりで飽きてしまうのではないかの」
　社は公園の別の方向を指さし。
「ほれ、あ奴のように新しい地平を開拓してみるのも面白うかもしれんぞ？」

　ラウル・シトロン（人狼のひよっこ探索者・f07543）は町の大通りに看板を立てていた。
「【縄跳び】怪人の動画から推理できる総カロリー約115170.3kcalを消費するには縄跳び８１０６分必要、だから今から縄跳びする【ガチ】」
　８１０６分、およそ５日半、明らかに無謀な挑戦にキマイラフューチャーの住人も思わず苦笑い。
「チョコレートフォンデュ約45294.1kcal、ロールケーキ約64000kcalフレンチトーストって約1746.2kcalで意外と軽いんだね」
　それそも朝食で１５００ksal越えは十分おかしく、あくまでチョコレートフォンデュと１０メートルロールケーキに比べての話、ラウルの声は震えていた、しかし一度決めたことをやる前からやめるわけにもいかない、ラウルは最初の１回を飛んだ、そしてここからが長く苦しい戦いの始まりだった。
　１日目、住人はすぐに辞めるだろうと特に関心を示さなかった。
　２日目、まだやってるよ、とネットなら草を生やしているような口調でからかっていた。
　３日目、野次馬が増え、その様子を動画にする者も現れ始めた、その間もラウルは飛び続けた。
　４日目、野次馬も多くなり、実況動画主がはひっきりなしに動画を取ってくる、もうラウルを笑う者はいなくなっていた。
　そして５日目。
「動画をご覧の皆さん、俺は今凄い物を実況しているかもしれねえっす、５日間ずっと縄跳びしているんです、彼の横にある計測時計は８１００分を突破しました！」
　残り６分、大歓声と観客で交通規制が敷かれ、周りは出店が並び、お祭り状態。
「がんばれー！後５分切ったぞ！」
　そして残り１分を切る、ラウルの表情は悟りを開いたかのように穏やかだった。
「残り３０秒、２０秒、１０秒！」
　ついに１０秒を切ってカウントダウンが始まる。
「９，８，７，６，５，４，３，２，１」
　８１０６分経過、ラウルはやり切った漢の表情でその場に倒れこもうとする。
「よくやった、お主は男の中の男じゃ」
「すごいっす、感動したっスよ、俺、動画配信しててよかったっす！！」
　ラウルを社と公園で社と話をしていた少年が肩を支える、その姿はまるで聖人のようにも見えるほど神々しかった。
　割れんばかりの大歓声、称賛の声がキマイラフューチャーに響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　煌燥・燿（影焼く眼・f02597）の映画鑑賞会、違う世界の映画と言う触れ込みで多くの住人が集まっている。
「最近この界隈を騒がせている甘い物を大量に食べる動画、素晴らしい動画だ感動的だな、そして有意義だ」
　張り付いたような笑顔で燿は言う、しかしすぐに真面目な顔に戻り。
「お前たちにはUDCアースの映画鑑賞会を見てもらおうと思う、戦争の後、金も食べる物も無く貧しく飢えながら生き伸びようと頑張った兄妹の姿を描いた俺の国では有名なアニメ映画だ」
　そして映画が始まる、ＵＤＣアースのとある地方では知らない物はいない製作会社のロゴの後に始める本編、近代的な駅の改札前広場に白骨死体の幻がすぐに消えるオープニングから始まる。
　そして約９０分後。
「なんで幼女すぐ死んでしまうん？」
「初回特典に自殺用の拳銃を入れておけよ……」
　観客は静まり返る、燿は壇上に立って。
「この映画を見た後で、でもなおカロリーを貪りたいという気持ちになるだろうか？俺はこれを見た日。何かが喉に詰まるような感じがして食べ物が喉を通らなかった」
　住人達は項垂れて返答する気力もない。
「この世界じゃ食べ物は何不自由なく食べられるが、食べ物は必要なだけ食べられればそれだけで幸せなんだって忘れないでほしいな。俺はな」
　お、おう、と返事をして住人達は帰っていく、能天気に生きているキマイラフューチャーの住人にこの作品はかなり答えたのか、肩を落として去っていく、予想とはちょっと違ったが食べ過ぎは良くないということは伝わったようだ。
「まあ、目的は達成したか、む？何だ？」
　燿の視界がゆがむ、そして視界が戻った時には宿屋の一室らしき部屋に居た、窓は無く、出入り口は正面のチョコレートドアだけ。
「この匂いは、これ本当にチョコレートのドアか？」
　そしてこう書かれていた。
「チョコレートのドアを完食しないと出られない部屋」

苦戦 🔵​🔴​🔴​

第2章 冒険 『条件をクリアしないと出られない部屋』

POW   :    何も考えず正直に条件をストレートにクリアする SPD   :    隠し通路や扉などを発見して脱出する WIZ   :    条件を逆手にとって思わぬ手段でクリアする 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

　その部屋は一見宿屋の一室のようだった、窓は無く、出入り口はチョコレートドアのみ、チョコレートドアは取り外せるがその向こうは見えない壁が張ってあり脱出は不可能。
「ようこそ猟兵の皆さん、私の崇高な計画を邪魔するとはいけませんなあ」
　どこからか紳士的な声が聞こえる。
「貴方たちには２人１組でそのチョコレートドア（物理）を食べていただきます、先ほどから過剰摂取は良くないと仰ってましたし、ここでスイーツの素晴らしさを知っていただきたいという私からの心配りでございます」
　チョコレートドア（物理）は高さ２メートル、横１メートル、厚さ５０センチの超巨大板チョコレート、一人で食べるのは困難なのは見るだけでわかった。
「ああ、食べ方は自由です、そのまま食べてもいいですし、溶かして食べてもいい、キッチンと調味料は用意してありますのでご自由に、私、紳士ですので」
　見渡すと確かにキッチンと調味料、甘いものから辛いものまであらゆる調味料が揃っていた。
「トイレも部屋の中に有ります、窓はありませんが」
　部屋の隅にトイレのドア、こっちはちゃんと木製だ、中は確かにトイレ、ただし窓は無くここから出ることもできないようだ。
「条件を満たし、この部屋から出た後チョコレートで吐き気を抑えるのが精いっぱいであろう貴方達をじっくりと倒させていただきます、それではまた後程」




「シット！ミーとしたことが閉じ込められるなんて」
　ジャック・ソウル（パンプキンヘッド・f02764）はチョコレーっとドアを見て憤慨する、よく見るとチョコレートドアが一部欠けていた。
「オウ、ミーより前にここに来た猟兵がいるのかな？２人１組言ってたしね」
　ジャックが周りを見渡すとベットで横になってチョコを食べているラウル・シトロン（人狼のひよっこ探索者・f07543）がいた。
「ユーは何しているんだい？」
「その、疲れが溜まってて、お腹空いてたんだよ、流石に縄跳び５日半は無茶だったね、途中から正直覚えてないよ」
　縄跳び8106分間の代償は大きかったのかベットに横になってジャックが来るまでひたすら疲労回復に努めていたラウルはゆっくりと起き上がる。
「ユーそれホントに無茶だね、無茶な運動も体に良くないから気を付けるんだよ」
　ラウルを気遣いながら２人はこれからどうするかを考える。
　チョコレートドアの大きさを考えると食べるのは厳しい、食べる以外の方法でここから脱出する方法を探そう、２人の考えは一致した。
「カモーン！ミーの可愛いドールゴースト達！」
　ジャックは６０体のゴーストドールを召還して部屋の隅々まで捜索させる、ラウルも床や壁をとんとんと叩きながら何か無いかを探し始めた。
「ん？」
　ラウルは床の間に光るものを見つける、それを引き抜くと小さな鍵を見つける。
「ええっと、カボチャ頭の人、鍵だよ！」
「あーミーの名前はジャック、ジャック・ソウルさ、それはさておきそれは素晴らしいね狼の人」
「ラウルだよ、けどこれどこの鍵だろ？」
　ラウルはどこかに鍵穴が無いか探すがそれらしきものは見当たらない、そこにジャックが声を掛ける。
「ラウル、グッドニュースとバッドニュースだ、まずグッドニュース、ミーも鍵を見つけた、そしてバッドニュースは」
　ジャックは大小さまざまな鍵１９個を地面にばらまく。
「鍵がいっぱいあり過ぎる、君が見つけたのを合わせて２０個だ」
　鍵を床にばらまいたと同時にどこからか声が響き渡る。
「はっはっはっ、そんな都合のいい話は無いのですよ猟兵の皆さん、その鍵は本物か、偽物か、探すならそれも結構、探して疲労がピークに達した貴方たちを始末すればよいだけの事」
　聞き覚えのある声にラウルが反応する。
「お前がこの部屋に僕たちを閉じ込めた怪人だな？」
「イエス、その鍵に合う脱出路を探すも良し、チョコレートドアを食べるも良し、ご自由にどうぞ」
　その言葉にジャックは疑問を覚える。
「ユー随分と選択肢を用意してるんだね、てっきりこれ全部ダミーだってバラシてミーたちを糠喜びさせるつもりだと思っていたよ」
　その問いに怪人は一言だけ答える。
「紳士ですから」
「紳士じゃあしょうがないね、脱出したらここじゃ言えないような方法でお仕置きするから楽しみにしていてくれたまえ」
　ジャックは目から炎も漏らして天井を睨みつけた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

「なんだこのドアは！」
　煌燥・燿（影焼く眼・f02597）がチョコレートドアの一部を砕いて齧る。
「美味いな、甘さその物は控えめで食べやすい、砕いた時は結構固く感じたのに口の中ではすぐに溶ける」
　色物だと思っていたチョコレートドアの意外な美味しさに感心するとやはりどこからともなく声が聞こえる。
「紳士ですから、味にも拘っております」
「出たな怪人、一つ確認しておきたい、このチョコを食べる以外でもとにかくこの部屋から出ればいいんだな」
「方法があるならどうぞ、あなたたちを疲弊させることが目的ですので」
「分かった、じゃあこいつで」
　燿はナイフを取りだすと一瞬にしてナイフが高熱を発する長剣に変化する。
「不死鳥降臨・再誕！！」
　燿のユーベルコード不死鳥降臨・再誕がチョコレートドアの向こうの見えない壁を切る、見えないが確かに分厚い壁のような感触を感じる燿。
「ぬぬ、確かにこの壁中々壊せそうにない、だが」
　少しづつ壁に剣がめり込んでいく手ごたえは感じていた、簡単ではないが壁を直接壊すこともできるだろう、問題は。
「チョコを食べきるのとどっちが楽か、天秤に掛ける必要があるな」
　相手の目的はこちらの疲労を誘うことなら壁を無理やり壊してチョコを完食するより疲れたのでは意味が無い。
「２人１組とは言ったが、もう一人ってどうしてるんだ？」
　もう一人はどこか、と部屋を見渡しているといつの間にか東雲・ゆい（それ以外の何か with グリモア・f06429）とその他１９人のゲームキャラがチョコレートドアを齧っていた。
「ちょっと待て、２人１組じゃないのか？」
「これはわたしがユーベルコードで出したキャラクターだからノーカン」
　食べるのは召喚したキャラクターたちに任せゆいはちびちびとチョコレートをマイペースで食べていた。
「ノーカンだよね？紳士の人」
　ゆいの問いかけに怪人の声が再び聞こえてくる。
「審議の結果ダメで……」
　ダメですと言おうとしちゃ瞬間ゆいが何かカードのような物をめくる。
「伏せカードオープン！紳士ならばわたしがいかなる戦法を取ろうとルールを変更してはならない、人数が多いからってチョコを増量してはいけないのさぁ」
「むむむ」
　強引極まるゆいの詭弁だが紳士という部分と突かれると紳士故に黙らざるを得なかった。
「何がむむむじゃ！」
　ゆいの召喚したキャラクターはみんなゲームの大食い女の子キャラ、巨大なチョコレートドアも順調に減っていった。
「じゃあ俺もチョコをどうにかする方に切り替えるか、食べるだけじゃなくてもいいみたいだしな」
　このままチョコレートドアの完食を待つのもいいが、チョコの一部を切り取り不死鳥降臨・再誕を直接当てる、口の中ではすぐに溶けるチョコも直接炎に当てても中々溶けない、それでも１人で食べるよりは速い。
「おーすごいね私は応援しているよ、がんばれ♪がんばれ♪」
　ゆいの妙に色気のある応援を聞きながら怪人を殴る前の準備運動とばかりに燿は時々チョコを食べて疲労を回復しながらチョコを溶かす、このままいけばチョコは完全に消えるまでそう時間はかからないだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

　イリス・フーレ（まんまるフェアリー・f08828）は部屋の中でチョコレートドアを見つめる、厚さだけでも自分の身長より大きい。
「おお～これはまさにあたしのために有るチョコレート！イエス、カロリー！」
　喜んでいるイリス、そこに別の声が聞こえてくる。
「喜んでくれてうれしいよレディ、けど２人１組が望ましい、１人、しかもフェアリーの体にこの大きさのチョコはさすがに無理だよ」
「ん？」
　すでにチョコを食べているイリス、ものすごい勢いでチョコは無くなっていく。
「えっと、人の話聞いてる？」
「聞いてる聞いてる、甘い物って幸せな気分になるよね」
　イリスはチョコに塩を振って味覚を変えつつチョコを食べる。
「チョコポテチってあれ美味しいよね、考えた人天才だと思う」
　イリスはチョコを食べると同時に代謝を向上、食べた瞬間エネルギーに変換、満腹感を極限まで減らしてチョコを食べ続ける、そしてやがて。
「これが最後の一欠片、ごちそうさまでした！」
　チョコレートドアを食べ終え、イリスはその丸い体をころころと転がしながら出口に転がって移動する、そこはいつものキマイラフューチャーの景色、目の前にはオブリビオン。
　オブリビオン億釣った空間から脱出を果たした猟兵達はついに最後の決着の時を迎えようとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

第3章 ボス戦 『カロリー執事』

POW   :    血糖覚醒 【自らの野望の為 】に覚醒して【全身が高カロリーな食べ物】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。 SPD   :    カロリーボム 【口に向けて一日分超の高カロリーな食べ物 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。 WIZ   :    お食事会 いま戦っている対象に有効な【相手が好みそうな食べ物（カロリー激高） 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

「ふっふっふ、何か２週間ぐらい待たされた気がしますよ」
　ハンモックで寝ながらチョコレートパフェを器用に食べていたカロリー執事は地上に降り挨拶を優雅に行う。
「色々と待たせましたね猟兵の皆さん、むしろ私が疲れた気がします、これも貴方達の策略だとしたら大したものだ、だが」
　食べ終えたパフェグラスを空高く放り投げ。
「このパフェグラスが地面に落ちた時を戦いの合図といたしましょう！このカロリー執事容赦はいたしません！」












　カロリー執事の放り投げたパフェグラスが地面に落ちて砕ける。
「あーっ、パフェグラスもったいない！いいの買おうと思ったら結構なお値段するんだよ！」
　イリス・フーレ（まんまるフェアリー・f08828）が割れたパフェグラスを見て声を上げる。
「ご安心を、これはその辺をコンコンして手に入れた物です、実質無料」
　イリスに悠がに礼をして言うカロリー執事、しかしイリスの怒りは収まらない。
「あたしも美味しいものは好きだけど、人にライフスタイルを強制するのはダメダメ！思い思いに自由に楽しく過ごしてこその人生だもん、そのためにはあなたを倒さないとね！」
「あんな動画を流して、成長期の子供が真似したらどーすんだい！」
　ヤーリ・ハンナル（学食の母・f10606）もイリスに合わせて怒りをぶつける。
「いえいえ、それが目的ですし」
　カロリー執事はヤーリの声には意にも介さない。
「食事は規則正しくバランスを考えてェーーーーッ！」
　ヤーリが巨大お玉を持って突撃しカロリー執事の足を掬う。
「フォーーーーーウ！！」
　カロリー執事はお玉に足元を掬われて転倒する、その転倒の間にヤーリはユーベルコードを発動させ召喚したアースジャイアントでカロリー執事を押さえつける。
「今だよあんたたち、やっちまいな！」
　ラウル・シトロン（人狼のひよっこ探索者・f07543）が倒れたカロリー執事に炎の矢を放つ、狙いは頭のアイスクリーム。
「それはいけません、溶けてしまいます！」
　カロリー執事はヘッドスリップで気ように炎の矢を躱すがその隙を突いてラウルは狼の姿になってカロリー執事を低い姿勢から体当たり、押さえつけられていて動けないカロリー執事に数回繰り返す。
「僕、何か閉じ込められる前より体調がいい気がするよ」
、ラウルは極度の疲労を回復するだけの時間。そしてチョコによる疲労回復、それによる超回復でいつもよりも気分の動きができていた、カロリー執事はアースジャイアントの拘束から抜け出し立ち上がる。
「ふふ、先手を取られてしまいました、だがこれからは私のターンでございます！」
　カロリー執事が激甘ケーキ、チョコ、シュークリーム等々、高カロリーのお菓子を無差別に猟兵の口に入れようとする。
「いただきまーす！」
　しかし鮫兎・醒闇（兎と鮫となんかの触手・f02122）とイリスにとってはむしろご褒美、醒闇はユーベルコード、グラトニーモードで、イリスはベル・フリアンディーズで他の猟兵のお菓子から庇う、むしろ自分から食べに行っているようにも見えるが結果的には庇っていた。
「ごちそうさまでした！」
　醒闇はお腹いっぱいにして倒れこむ、その顔は満足そうな笑顔だった。
「また食い物を粗末にしやがって……許せねえ！」
　煌燥・燿（影焼く眼・f02597）が炎を帯びたナイフでカロリー執事に切りかかる、カロリー執事は体を巨大なキャンディに変えて燿ごと踏みつぶそうと突撃を計る。
「お前がどんなに自分にカロリーを盛ろうが全部この炎で燃焼させてくれるわ！」
　燿の炎がキャンディになったカロリー執事の体を溶かし、カロリー執事は進路を変更して逃げる。
「このキャンディすら溶かすとは、貴方には疲労と言うものがないのですか？」
「無いね！なんか随分長くあの部屋にいた気がするからむしろ休養ばっちりだ！」
　カロリー執事自身もハンモックで優雅に休養していたことを思いだす、思ったよりも長かったあの部屋の脱出劇はむしろお互いの休養期間となって、お互いに体力気力ともに万全の状態、つまり。
「ふっ、私としたことがとんだ墓穴を掘ってしまったようですね」
「そうだね、その優しさが命とりさ」
　ラウルの体当たりが再びカロリー執事を襲い、吹き飛ばす、十分な休養とエネルギーの補給でまだ元気が有り余っているラウルの動きをカロリー執事が捕らえることができなかった。
「優しくなければ紳士ではないのですよ、そこはご理解いただきたい」
「紳士、ユーは確かに紳士だ、お待たせしたね、約束通りお仕置きの時間だよ」
　ジャック・ソウル（パンプキンヘッド・f02764）の蒼い炎が目から溢れる、その炎は空をも焦がすほどに燃え上がり、抜群の存在感を見せる、カロリー執事の頭のアイスも溶けそうなほどに。
「私の計画を邪魔した貴方たちこそ仕置きが必要なのですよ」
　カロリー執事は再び巨大なキャンディに変身する、ジャックはエンジョイスピナーを構えの巨大キャンディになったカロリー執事に発射、その水圧と弾幕で突撃の進路を変える。
「さて、ミーが何の意味も無くユーの軌道を反らしたと思うかい？」
　カロリー執事の逸れた先にはヤーリのアースジャイアントが待ち構え、カロリー執事を空高く蹴り上げる。
「うひょおおおおおおお！」
　空高く舞い上がるカロリー執事、それをラウルとイリスが空中で掴み地面に叩き落す、その落下点には燿が不死鳥降臨・再誕をバットの様に構えて待ち構えていた。
「灰からもう一篇やり直せ！」
　カロリー執事は不死鳥降臨・再誕のフルスイングで弾丸ライナーのように飛ばされる、たまらず変身を解除して立ちあがろうとした所。
「んーもう食べられないよー」
　近くにいた醒闇の膨れたお腹、体の何倍にも膨れ上がったお腹が寝返りを打つ。
「あ」
　ぷち、と音がしてカロリー執事は醒闇のお腹に踏みつぶされてぺしゃんこになった、もう立ち上がることは無いだろう、猟兵達はそう思い武器を修める。
「あ、終わっ太の？」
　醒闇はようやく目覚める、その様子にジャックは蒼い炎を消して首を振る。
「やれやれ、程度は低いがユーにはちょうどいいオシオキだったかもね、カロリー執事、ＲＩＰ」

　こうしてカロリー執事の企みを防ぐことのできた猟兵達、醒闇とイリスはキマイラフューチャーの食べ物をもう少し食べてから帰ろうと食べ歩きに行きまだ食べるのか、と他の猟兵達に突っ込まれ、他の猟兵達は一足先に帰還することになった。
「本当に長い間戦っていた気がするな、俺たちもこれでやっと」
　帰れるのか、燿が言いかけた時、ジャックがそれを静止する。
「おおっと、ミーはあまり余計なことは言わない方がいいと思うな」
　意味深な笑みを浮かべてジャックたちは元の世界に帰還することになった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2019年02月04日