15
怪人はVR音ゲーバトルがしたい

#キマイラフューチャー #戦後

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#キマイラフューチャー
🔒
#戦後


0





 音ゲー。
 音楽ゲーム、あるいはリズムゲームと呼ばれるそれの歴史は意外と古い。例えばUDCアースでは九十年代には既にその原型が世に出ていたという。
 ギターやキーボードといった実際の楽器をモチーフとした“演奏する”体感を味わえるものから、単純明快なシンプル操作ながら奥深い楽しみのあるものまで、ひとくちに音ゲーといってもバリエーションは実に豊富だ。
 音楽に合わせてアクションをするという特性上、BPM(テンポの単位。より正確には一分間に打つ拍数の事)の速い激しい曲ばかりと思われがちだが、実際はそればかりではない。しっとりとしたバラード、どこか懐かしいディスコミュージック、異国の民族音楽、人気アニメとのタイアップ曲、クラシックにHIP-HOPまで、“音ゲーに取り扱われないジャンルはない”とまで言われている程だ。

「最後のは俺の主観も大いに含むがね、まあ実際それにかなり近いとは思う」
 と、注釈を入れるのはグリモア猟兵のジャスパー・ドゥルジー(Ephemera・f20695)だ。
「なんでこんな話してっかってェと、キマイラフューチャーで年に一度行われているVRを取り入れた音ゲーの大会があるんだ。キマイラが集まるところにキマフュー怪人ありってなわけで、奴らが乗り込んでくるとの予知が出てる」
 云いながら、ジャスパーは小振りなパンフレットを猟兵たちに配って回る。

『音ゲーの革新! 近未来を確信! Rhythm Refraction!』

「略してリズレク。今キマフュー界隈で最もアツいって言われてる機種らしいな。特徴は何といってもVR空間で全身を使ったプレイが出来ることと、それを利用したバトル要素」
 シングルプレイも可能だが、大会では1VS1、或いは2VS2のバトルモードを使ってのルールとなる。
「音楽に合わせてこちらに向かってくるノーツ……音符っていったらわかりやすいかな、それがプレイヤーの側を通り過ぎる瞬間に、両手両足のどれかでノーツを触れることが出来れば得点が入る。詳しい奴向けに言うなら『判定ライン』が自分ってこったな。タイミングがバッチリ合ってたか、ちょっとズレてたかで入るポイントが違う。曲が終わった時点で得点が多い方が勝ち。単純明快なルールだ。
 これを仮想空間でやるだけでもだいぶ面白いが、Rhythm Refractionの真骨頂はこれからだ。『ジャストシュート』って呼ばれるシステムと、更に大会では『いいねブースト』ってルールがあるんだぜ」

 ジャスパーの説明によると、ノーツを連続で取る『コンボ』を多く積み重ねるごとに『ジャストゲージ』というものが溜まっていくらしい。これが満タンの状態の時に、ノーツをタイミングが最高に合った『ジャスト判定』で拾い、かつそれを相手にはじき返すような動作をすることで、相手に攻撃を仕掛ける事が出来る。これが『ジャストシュート』。
「ジャストシュートが成功したノーツは、相手から見ると正しいノーツに紛れて迫ってくる形になる。ちょっとだけエフェクトが違うがかなり見分けづらい。だがこいつは普通のノーツと違って触っちゃいけねえやつなんだ。うっかり拾っちまうと自キャラが数秒ばかしピヨリ状態になって得点が稼げなくなる。なかなかのロスだぜ。更にはじく方向を変えればジャストシュートの位置を操ることができる。タイミングや場所を図って、相手が避けられねえ時に発動させるんだ。
 もうひとつ。『いいねブースト』は、公式大会の会場や生放送の視聴者から寄せられた『いいね』に応じてスコアが加点される仕組みだ。これがあるから大会は盛り上がる。音ゲー経験者はひたすら高得点を目指す、音ゲーは初心者だが運動神経なら負けねえって奴はアクロバティックなパフォーマンスでノーツを取って観客を魅了する。プレイヤーの数だけプレイスタイルがあるっつっても過言じゃねえぜ」
 説明は以上かな、とジャスパー自身もパンフレットをめくる。基本的なルールは以上で、あとは曲紹介などが殆どだ。

「怪人は一般キマイラ達に紛れて大会に参加してくる。強いヤツと戦ってぶちのめすのがお好みらしいな。理由までは知らねえよ。自分たちが勝った動画をバズらせて名を挙げてえのかも知れねえしな。
 だからあんたらも最初はフツーにゲームを楽しんどけ。大会はトーナメント制だからしばらく勝ち進んでりゃ自然と怪人どもに出会うだろ。キマイラフューチャーじゃ猟兵はヒーローだ。相手が怪人だってわかりゃ、VR空間内でユーベルコードを発動させたって主催側は許してくれるだろうしな――そう、使えるんだよ、なんでか。キマフューの技術やべえ。あっ、一般人相手は無しだぜ。攻撃系は勿論、ゲームを有利に運ぶためのもナシだ。フェアに行こうぜ。まあ『ダブルスに参加したいからオルタナティブ・ダブルを使う』くらいはアリかな。そんくらいにしとけ」
 さあて、とジャスパーは息を吐く。
「敵があくまでゲーム内でバトルを仕掛けてくるなら、それに乗ってやるまでさ。楽しんでいこうぜ」


ion

 お世話になっております。ionです。
 VR音ゲーバトルが開催されます。
 サクラミラージュといえばこっちを連想する人です。なんでもありません。

 選曲権は皆様にあるものとしてプレイング書いて頂いて大丈夫です。ありとあらゆるジャンルの曲があります。好きだったりノリやすかったりな曲を選んでください。
 勿論、詳しくないから相手に選曲してもらう、というのもありです。
 実際の楽曲(曲名や歌詞など)はマスタリング対象となってしまいますが、「今大人気の魔法少女アニメの主題歌!」みたいな設定は大歓迎です。

 第一章は一般人とのバトル、第二章と三章が怪人とのバトルです。
 第一章は基本的にはゲームのルールに忠実にお願いします。二章と三章は怪人相手なので好き勝手やってください。あくまでVR世界なので攻撃してもダメージは入りませんが、ゲームで負かせたら「くっそー」とか言いながら骸の海に還ります。討伐成功ですね。
 あと、第一章はフラグメントの選択肢は特に気にしないでいただいて大丈夫です。怪人とのバトルは敵もユーベルコードを使ってきます。

 シナリオの性質上、「一人」または「二人」での執筆になると思われます。
 それ以上のグループでの参加も可能ではありますが、リズレクバトルは強制的に一人か二人に分断されます。

●第一章プレイング受付
『3/1(日)朝8:31~』
 それまでに追加OPを記載しますが情報は特に増えません。フレーバー的なものですね。
199




第1章 日常 『音ゲーバトル!!!』

POW   :    ごり押しでノーツを拾う!

SPD   :    ジャスト判定の時に発動できる『ジャストシュート』で一発逆転を狙う!

WIZ   :    フルコンボを狙う!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 生活に必要なものから、そうでないものまで。
 モノに不自由する事のないキマイラフューチャーの住人達にとって、"娯楽"とは何よりも尊ばれるものである。流行はめまぐるしく移り変わり、今日も彼らはフォトジェニックなスイーツや話題の動画を求めてコンコンに満ち溢れた世界を彷徨う。ある時は閲覧数に白熱し、ある時は『いいね』の数に一喜一憂する。
 限りある資源の為に争う必要が無くなっても尚、人々のこころからは闘争という本能は消えなかった。流行の最先端を求めて競い合う彼らは、ある意味では最も貪欲で、もっとも熾烈な争いを繰り広げているのかもしれない。
 そんな彼らを夢中にさせる『新感覚』がここにある。仮想空間での音ゲーバトル。――Rhythm Refraction。

「レディース・エーンド・ジェントルメーーン!!!」
 大会の会場に響き渡るとびきりキュートなアニメ声。くるくるとよく動く大きな瞳に兎の耳をふわりと揺らす司会もまた、今話題の声優兼シンガーソングライターなのだという。
「ルールの確認はお済みですね? さっそく予選を開始します! ――皆さんカウントダウンをお願いします!」
 ――3,2,1――、
「「「ゼロ!!!」」」
 会場の観客達が、そして生放送の視聴者たちが、一斉に叫んだ瞬間。
 世界は暗転する。音とリズムが全てを支配する仮想空間へと。

※追加OPが遅くなってしまい申し訳ありません。プレイングはMSコメント通り受け付けております。
高砂・オリフィス
アドリブ歓迎!

ぼくもVR音ゲーバトルがしたい!
いきなりなんだ?! って思われるかもだけど、ぼくこう見えてダンサー志望なんだ!
みんなが真剣にダンスに打ち込んでるのに割り込む怪人は許せないし、何より! どんなことより! ぼくも腕試ししたい! 踊らせろ!
というわけでよろしくよろしくーっ!

狙うは当然フルコンボ、と見せかけてトリッキーな動きで翻弄しちゃう
こういうのって楽しんだもの勝ちでしょ、なら目一杯相手の目を釘付けにして楽しませちゃうよ!




「ぼくもVR音ゲーバトルがしたい!!」
 会場のどこかに紛れているという怪人達にも負けないくらい、高らかに溌溂と宣言。
 声の主は、小麦色の膚を惜しげもなく晒す南国ムード溢れる女性、高砂・オリフィス(南の園のなんのその・f24667)。超大型模造剣さえ揮ってみせる鍛え上げられた肉体の彼女は、出身地のアポカリプスヘルでは奪還者見習いとして知られている。
「でも本当はね、ぼくこう見えてダンサー志望なんだ!」
 みんなが真剣にダンスに打ち込んでいるのに割り込んでくる無粋極まる怪人は許せない。それは弱者が奪われるばかりの世界を生きてきた彼女の矜持でもある。けれど何よりオリフィスの心をたぎらせているのは、もっともっと純粋な想い。
「何より! ぼくも腕試ししたい! 踊らせろ!」
 というわけでよろしくよろしくーっ! と元気にお辞儀をすれば、トレードマークのポニーテールがぴょこんと跳ねる。
「はい! 私も負けません!」
 対峙するキマイラもまた、ダンスユニフォームに身を包んでいる。相手にとって不足なし、とオリフィスの焦げ茶色の瞳が細められた。

 専用のゴーグルをつければ、舞台はVR空間へ。その様子は会場の巨大モニターや生放送映像として多くの人々に視聴される。
 暫しの沈黙ののち、魂揺さぶるパンデイロのリズムが空間に響きだす。――ゲームスタートだ。
 音色に合わせるようにオリフィスがすっと腰を落とし、左右にステップを刻み始める。『ジンガ』と呼ばれるそのステップは、拳法とダンスの両方に心得のある彼女が最も得意とする舞踏であり武闘、カポエイラのものである。
(「――なるほど、これは面白いかも♪」)
 左右、それも下の方に交互に飛んでくるノーツは脚で踏みしめるように。それが増えるたびにステップは複雑になり、やがて上半身にあたる高さまでノーツが飛んでくるようになる。そうすれば全身を使った動きが要求されるようになる。どうすれば効率よくスコアを稼ぐことができるのか。
 曲は盛り上がりを増し、佳境に差し掛かる。彼女の頭を越える程の高さに、二連のノーツが交互に出現していた。すっ、とオリフィスが腕を伸ばす。腕を伸ばして堅実に取りに行ってフルコンボを狙うのか――否。
「こういうのって、楽しんだもの勝ちでしょ……っ♪」
 その腕は下方へ。両の手を確りと地面につけた彼女の長い脚が、ふわりと美しい軌跡を描いて回転する。しなやかに。力強く。赤いシューズが描く軌道は正確にノーツを取っていた。たたん、とリズムが正確であった事を示す効果音が両足分重なって響く。着地する。
 ――わっ、とギャラリーが歓声をあげる。だがまだ終わりではない。ゲームも、音楽も。再び彼女が地を蹴り、今度は大きく横へと回転する。観客達の押した『いいね』を示すハート型のエフェクトがひっきりなしに空間に明滅していた。

 ――Game Set!
 終了を告げる声にオリフィスがゴーグルを外せば、スコアもいいねも、オリフィスが勝っていた。
「ありがと。すごくいい試合だったよ」
「負けたのは悔しいけど、でも楽しかったです」
 ダンスを愛する者同士、勝っても驕らず、負けても腐らず。
 再び生身で対峙した二人は、固い握手でバトルを締めくくった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天道・あや
Rhythm Refraction…略してリズレク…!スタァとしてダンサー…いや!音ゲーとしては見過ごせない!…よし!怪人を倒す為にも目指せ優勝!フルコンボ!ハイスコア…!

怪人が控えてるとはいえやるからには全力で!ということであたしが選ぶ曲は…【UDCアースの90年代にブームを巻き起こしたJ-POP曲!】
この曲はよく他の音ゲーでやってるから得意!それじゃ、右よし!左よし!あたしよし!…それじゃ、レッツダンス!!

常に笑顔で【パフォーマンス】しながら歌って踊りながらノーツを踏んだり押す!【歌唱】【ダンス】!

そしてゲージが溜まったら相手の動きを【見切り】隙が出来たところにジャストシュート!!




 Rhythm Refraction。略してリズレク。
「こんなに皆を魅了するものがあるなんて! スタァとしてダンサー……いや! 音ゲーとしては見過ごせない!」
 ゴーグルを介して入り込む仮想空間。電脳めいた光のエフェクトに、天道・あや(未来照らす一番星!・f12190)はきらきらと瞳を輝かせる。だってあやは元アイドル志望の現スタァ志望! アイドルやトップスタァと音ゲーは切っても切れない存在である。キラキラ笑顔が眩しいアイドルやスタァ達が登場する音楽ゲームだってある。それに、誰かを惹きつけてやまないものならば、スタァ志望としては一通り嗜んで人気の秘訣を探っておかねばなるまい。
 ――いや、そんな打算ではない。単純に、音ゲーは楽しい!
「……よし! 怪人を倒す為にも目指せ優勝! フルコンボ! ハイスコアー!」
 VR空間に突入したあやが選んだのはどこか懐かしい雰囲気のポップスナンバー。それもそのはず、これは90年代にUDCで大ブームを巻き起こした楽曲なのだ。事情を知らない人ならば、15歳のあやがこの楽曲を選ぶことに少し違和感を覚えるかもしれない。家族の誰かが聴いていたのかと。
 それも考えられるが、あやの場合は違う。様々な年齢層がプレイする音楽ゲームは、往年の名曲から最新のナンバーまで幅広く取り揃えているのだ! これもまた、音ゲーというジャンルの人気の秘訣。リズレクもその秘訣に倣っている――いやむしろVRという目新しさを武器に音ゲーをやったことのない層まで取り込もうとしているゆえに、版権曲へのこだわりは随一といってもいい。
 慣れ親しんだイントロが始まれば、あやの脚が自然とステップを刻みだす。
 ――この曲はよく他の音ゲーでやってるから得意! 初プレイの機種だろうが所見だろうが乗りこなしてみせるんだから!
「右よし! 左よし! あたしよーし!!」
 一番大事なところまでしっかり確認。迫りくるノーツの奔流に、あやはにこりと笑んで。
「――レッツダンス!!」

 スタァを目指すあやのこと、日々猟兵活動の合間に歌やダンスのレッスンに明け暮れている。アップテンポの曲に合わせてダンスを披露しながらも、曲が始まれば少女らしい愛らしさと熟練の張りが合いまった歌声で歌詞を紡ぐ。
 それよりなにより観客を魅了してやまないのは、あやの笑顔だ。スーパースタァたるもの、ひとたびステージに上がれば常に笑顔! 弾ける汗だって、どんなメイクよりも笑顔を惹き立ててくれる最高のアクセサリー。"このひとならば"と思わせてくれる、"ずっと応援したい"と思わせてくれる、最高にポジティブなあやのパフォーマンス。スタァとは、こうでなければ!
 ほんの数秒、ノーツが途切れる瞬間を見逃さず、あやはくるっと回って決めポーズ! 今までで一番最高のスマイルを生放送のカメラが拾えば、空間にいいねが押されたことをしめすハートが無数に飛び交う。色で選手の判別がつくそれは、あやの紫色がダントツで多かった。
 対戦者の表情が曇るのを、あやは見逃さなかった。相手のコンディションが乱れた瞬間。集中力が乱れた瞬間。それは、これまでのプレイで貯めたゲージを解放する時!
(「いくよっ! ジャスト、シューーート!!」)
 弾くように放ったノーツは、瞬く間にノーツの雨に紛れ、判別が困難になる。集中が乱れた相手は見切る事敵わず、あやの勝利をより一層確実なものとした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

日埜・晴翔
アドリブ、連携可

音ゲーか、リズムゲーか…どっちかは見りゃわかるか

音ゲーの場合は、クリア目標のゲージさえ稼いでおけば、あとは曲のアレンジタイム。わざとボタンをミスして音を止めたり多めに音を鳴らして曲のアレンジをしつつそこそこ得点を稼ぐプレイ
もちろん、譜面にかじりついてるなんざ格好悪いから、ある程度ダンスしながらな。簡単なターンやステップくらいは初見でも余裕だろ

リズムゲーの場合はパフェコン狙い
演奏のアレンジが出来ない分、ダンスに力を入れたいところだな
どうやって譜面をクリアするかが会場を沸かすコツだろ?
多少のレベルは下げても、ダンスしながらパフェコンのほうが楽しいじゃん

あとはゲーマーの運任せだな!




 スマートグラス越しに世界を覗く多重人格者。
 日埜・晴翔(嘘つき×快楽主義・f19194)は生粋のゲーマーである。それは何も、モニターの中だけに限らない。
 人生のアクシデントはその後のストーリーを分岐させるフラグであり、己が損をしないためにはどう立ち回ればよいのかを即座に計算して立ち回ればいい。リアルライフに確実な選択肢というものは存在しないが、『こうした方がうまくいく可能性の高い』ものはある。乱数要素のある選択肢を選び続けるのが人生なら、猟兵という仕事はそこに命というBETが加わっただけのようなものだ。
 ――それは勝てるやつの言い草だって?
 晴翔はそうは思わない。敗けても楽しめるやつが最終的に勝つのだ。それが全てを『ゲーム』と捉えるがゆえの彼の流儀。
 ゆえにVRという特殊なステージに立ったところで、晴翔の顔に歓喜や感慨というものは生まれなかった。この世そのものが彼のバトルフィールドのようなものなのだから。確かに口元は愉しそうににやにやと笑んでいるが、グラスの奥の藍色は今日も冷ややかにセカイを見下ろすばかり。
(「さて、これは音ゲーか、それともリズムゲーか?」)
 音楽を取り扱ったゲームには、ノーツにキー音と呼ばれるものが設定されているものとされていないものがある。音を配置する事で、ボタンやパネルの操作で曲を演奏する感覚を強く味わえる仕様になっているものを音ゲーと呼び、そうではなく曲にノることを主体としているものをリズムゲーと呼び区別する場合もある。
 最近では版権の関係や既存曲の音を切り離す煩雑さ困難さゆえ、音ゲーにキー音無しの曲が混ざる事もあり区別は曖昧になりつつあるが、――それはさておき。

(「なるほど、これは――アレンジし甲斐がありそうってもんだな」)
 晴翔の手がノーツに触れた途端、シンセサイザーの澄んだ音が響く。それはメインのフレーズからややズレていたが、これはわざとである。キー音の有無を確かめる為に意図的に行ったのだ。少なくともこの曲は、ノーツに音が配置されている。
 キー音があるということは、関係のないタイミングでノーツを取る動作をすることで音を鳴らすことが出来る。勿論、より動作が複雑になったり、タイミングを計らねば他のノーツと干渉して意図せぬミスを生みスコアに悪影響を及ぼしたりもする。言うは易し――というやつだ。だが。
(「クリア目標は稼いでる。対戦者とのスコアも大差ない。ならあとは」)
 たん、と晴翔がステップを踏めば、靴底が鮮やかな虹色に輝き、オリジナルのメロディを刻みだす。浮遊感溢れるテクノナンバーに複雑なピアノ音が重なり、不思議な疾走感をプラスする。
 それはリズレクの中でも屈指の人気曲だった。ゆえに、全く新しい魅力を披露した晴翔のアドリブは大いにギャラリーを沸かせた。何せ全て元の楽曲にある音だけで構成された即興アレンジなのだ。見事としかいいようがない。要所要所でダンスらしいターンを取り込んだ動きも目に楽しく、会場の熱狂といいねの数は爆上がり。晴翔は勝利の手綱を確実に引き寄せた事になる。
 ――ほら、やっぱり。
 ゲームなんだから、楽しんでナンボだろ?

大成功 🔵​🔵​🔵​

亜儀流野・珠
音ゲーか!
リズム感はまあある、体を動かすのも得意だ。
そして戦争ではダンスゲーで怪人に勝った。
うむ、1ミリも負ける気はしないな!

さあ一戦目、油断も手抜きもせん!
お互い全力で楽しもうじゃないか!

曲選んでいいのか?
なら先ずはノーツ量が多そうな曲で体を温めさせて貰おう。
よし、この太陽のキャラが可愛いサンバ調の曲で行くぞ!

プレイスタイルは「格闘」だ。
跳び・跳ね・転がり、ノーツを殴り・蹴る!
派手に動けば見てて楽しいだろ!

ゲージは溜まったらキープ、
ノーツ密集地帯で相手のノーツに紛れ込ませるようにシュートだ!

相手の初回シュートはよく見て回避、
エフェクトを覚えて以降の回避に活かす!

さあどうだ、ついて来てみろ!




(「――うむ、1ミリも負ける気はしないな!」)
 Funkyにぐぐっと拳を握る妖狐がひとり。もふもふ尻尾と同じ銀の髪を大切なリボンでくくった少女、亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)である。
 何せ珠はリズム感には自信がある。身体を動かすのだって得意だ。そして何より珠の自信を裏付けているのは、以前この地を襲った戦禍『バトル・オブ・フラワーズ』での出来事。
 オブリビオン・フォーミュラの配下たる屈強な怪人を、珠はダンスゲームで打ち破ってみせたのだ!
 だが、ならば一般人相手には問題にもならないのかというとそうとも限らない。何せあの時は心眼を解放していた。どんな技ですら見切ってしまう奥義があれば、どうしようもないものだろうがソフランだろうが何のそのだったが――今回は一般人相手。心眼は封印である。
 無論、珠の武器は心眼だけには留まらない。何せ神の眼を以てしても、身体の方がついてこなければ何の意味もないのだ。高BPMを踏んで踏んで踏みまくる身体能力があってこそ。
「曲選んでいいのか? ならば先ずは身体が温まる曲がいいな。ノーツ数の多い……よし、これにしよう!」
 VR空間に浮かんだパネルを操作し、珠が選んだ楽曲は。
 ジャケットこそ微笑む太陽が可愛らしいデザインだが、中身は割とエグいと評判のサンバであった。

 ――Battle Start!
 掛け声と共に空間を満たす軽快なリズムとノーツ。珠のプレイスタイルは『格闘』だ。まるで戦場にいるかのように軽快に跳び、跳ね、転がっては、ノーツを殴り、蹴る!
 動くたびに揺れる尻尾やリボンも可愛らしく、小柄な体格を活かしての派手なアクションで観客を魅了していく。
(「む!」)
 ぴく、と狐耳をそばだたせる珠。迫りくる沢山のノーツの中に、ほんの少しだけ残像を纏っているものがあったのだ。まるで流星の尻尾のように。
(「あれがジャストシュートか。だが俺はだまされないぞ!」)
 身を屈めるようにしてそれを避ける。伸ばした手で確りと他のノーツを取る事も忘れない。
 同じフレーズの頻出する楽曲。どこが一番避けづらいか、珠にはもうわかっている。そこを目掛けて弾き返す困難さも。こちらもゲージは溜まり切っている。あとは腕の見せ所だ。
(「――今だ!」)
 メインフレーズ。只管一ヵ所にノーツの集中する局所地帯。手首を捻り続けなければならない機種よりは難度が落ちるものの、それでもインパクトのある譜面構成には違いない。その変則的な十六分に紛れ込ませるようにして、珠は溜まったゲージを解き放つ!!
「きゃっ……!」
 対戦相手の顔に焦りが浮かぶ。わかっていても避けようのない絶妙なタイミング。見事に相手はシュートを喰らい、大きくのけぞって密集地帯を取りこぼすことになる。
 立ち直った頃には、フルスコアから見て1/20程の点差がついている。相手が挽回するにはそれこそジャストシュートを返さなければ難しい状態。曲が終わるまでに再びゲージは溜まるか。そして溜まったところで、珠には通用するのか。
「さあどうだ、ついて来てみろ!」
 だが優位に立って尚、珠はあくまでそう笑いかけた。
 だって、終わるまで結果が分からないのがゲームの楽しさなのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御剣・里佐
【マギアルツインズ】
楽しそうなゲームですわね!
それに二人プレイも可能、そしてこのゲームならブルーも乗り気になってくれますわ!
さぁ、楽しんで参りましょう!

実は私、ゲームなら色々とやっていますからどのような感じなのかは理解できますわ
私のゲームの経験とヒーローとしての身体能力、そしてブルーとのコンビプレイで華麗に参りますわよ!
…あ、ですが後の事を考えるとブルーにこのゲームに慣れさせる、と言うのも考えなくては…
今回のゲーム的なアシストは私が担当しましょう…
ジャストシュート、出来るだけ派手になるように狙ってみますわよ!
ゲームなのです、楽しんで参りましょう!

※協力・アドリブ歓迎


武弓・祐里
【マギアルツインズ】
また変わった世界ってやつですね…そこでゲームをしろと?
…確かに顔隠した変装して踊ってみたとかやってる身としては心惹かれるものがありますね…
良いですよ、今回は楽しませてもらおうじゃないですか

とはいえゲームは初心者、先ずは慣れないといけねーですね
とりあえずヒーローの身体能力を生かして踊りつつやってみましょうか
それとまぁなんだかんだ言ってレッドとのコンビでもありますし、心配はしてねーですよ
…どうにもこのゲーム、見栄えも重要らしいですね
なら、今回私はそっちを重視しましょう、動画映えって奴はよくわかっているつもりですからね
ま、見せつけてやるですよ

※協力・アドリブ歓迎




 リズレクダブルス部門。
 颯爽と降り立ったのは、『対照的』という言葉がこれほどまでに似合うのも珍しいだろうという二人組だった。
「マギアルツインズ、参上ですわ! それにしても楽しそうなゲームですわね!」
「はー、また変わった世界ってやつですね……そこでゲームをしろと?」
 お嬢様口調の女性が金の縦ロールを揺らしながら目を輝かせれば、銀のツインテールの女性がはあとため息。
 赤が基調のコスチュームに色々と大きな肢体を包む女性と、青が基調のコスチュームに色々と小さな肢体を包む女性である。
「二人プレイも可能ですし、それにこのゲームならあなたも乗り気になってくれるのではなくて?」
「……確かに、顔隠して踊ってみたとかやってる身としては、心惹かれるものがありますね……」
「ふふ。あの動画、キマイラフューチャーで発信しても大人気になると思いますわよ、ブルー」
「――ふむ、そーですね……考えておきます。まずは、このゲームを楽しませてもらおうじゃないですか、レッド」
 彼女たちは、ヒーローである。
『マギアルレッド』――御剣・里佐(マギアルツインズ☆マギアルレッド・f19561)。
『マギアルブルー』――武弓・祐里(マギアルツインズ☆マギアルブルー・f19562)。
 無論ヒーローであるがゆえ、ひとたびコスチュームを身に纏えば互いを本名で呼ぶことはない。
「さぁ、楽しんで参りましょう!」
 レッドの聲を皮切りに、ツインヒーローは此度のバトルステージへ。
「……とはいえ、ゲームは初心者なんです。先ずは慣れないといけねーですね」
 慣れた様子の対戦相手がもうすでに準備を済ませているのを見、ブルーがぽつりとつぶやく。
「心配いりませんわ。実は私、ゲームなら色々やっておりますの」
 どのような感じなのかは理解できますわ、とレッドが胸を張る。
 二人が準備を終えるとVR空間の様子が変わってゆく。辺りの照明が落ち、代わりにゲームのスコアとなる盤面が動き出す。曲はダブルスに相応しい、二人組の変身ヒロインが主役のアニメソング。アップテンポではっきりとした曲調はリズムが掴みやすいともいえる。それだけにスコアだけを狙う戦法ではほんのわずかなミスが命取りとなる。
(「――それも、私達の身体能力ならばあまり問題にはならないでしょうけれど」)
 それでは面白くないとレッドは思うのだ。何せゲームはこれだけではない。それに後の事を考えると、ブルーをこのゲームに慣れさせる必要もある。
「ブルー、アシストは私が致します。遠慮なく『魅せて』差し上げて?」
「ああ、……どうにもこのゲーム、見栄えも重要らしいですね」
 こなれた様子でノーツを拾うレッド。見様見真似で倣いながらブルーが応える。
「なら、今回私はそっちを重視すればいいですね。こういうのは初めてですが、動画映えって奴はよくわかっているつもりですからね」
 たん、とブルーが地を蹴る。ふわりと浮いた身体はくるりと一回転。華麗なサマーソルトで高い位置のノーツを拾う。
 ――おおおおお!
 ――すごい! 今の見た!?
 オンオフ問わず溢れるコメントに、いいねの乱舞。その中に「目のやり場に困るw」なんてコメントがあったことも付け加えておこう。何にせよ、セクシーな戦う女性というのはいつの世も大人気なのである。
 勿論技の方は完璧でも、タイミングを合わせるのは初めてである。判定はやや遅れ気味、取り切れていないノーツもあった。
「心配無用ですわ♪」
 ふっと身を躍らせたレッドが、取りこぼしたノーツが過ぎ去ってしまう前に腕を伸ばして拾い上げる。
「勝利への足掛かりは私が作ります。これでジャストゲージも満タン。あとはタイミング次第ですわ」
「良いですね。見せつけてやるですよ」
 ツインテール揺らし様々なトリックを決めるブルー。この変則的な動きからならばジャストシュートも見切りにくいだろう。
(「……ん。なんだかんだ、レッドとのコンビは心配いらねーですね」)
 口には出さず、胸の裡で想うブルーなのだった。平穏に生きる道もあった『祐里』を波乱万丈の渦中に巻き込んでいったのが『里佐』だったのだ。
 ――何で私はいつも巻き込まれていやがるんですかね、と嘆息する『祐里』だったが、結局は大切な幼馴染を、『祐里』を放ってはおけないという想いが、ブルーをヒーローたらしめている。
 そしてレッドとなら、何があっても大丈夫だろうという想いも。
「覚悟しやがれです」
 すっと目を細めるブルーを対戦相手達が警戒する。二人の視線がブルーに集中した瞬間、視野外から猛烈な速さでシュートが炸裂する。
「「えっ!?」」
 動揺する対戦相手。シュートを放ったのはサポーターに徹していた筈のレッドであった。主力をブルーに置くと印象付けてからの見事なフェイント。
「やるですね」
「勝負はこれからですわ。楽しんで参りましょう!」
 交錯した視線はすぐに前方へ。残りのノーツを捌ききるべく、二人は盤面へと向き直る。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

早乙女・翼
鏡(f15406)と

まさかこんな形で鏡の前で音ゲーやる羽目になるとは…
はいはい、行ってくるさよ(とさりげなくエントリーシートに鏡の分も加え)

ゲーム概要確認し、曲選択しつつ
へぇ、色んな曲あるさねぇ…あ、この辺りは俺の世界でもあるかな
俺が好きなのはV系ロックとユーロビート系なんだけど、よさげなのあるかな

慌てる鏡にしてやったりの表情
運動神経良いんだし出来る出来る
なに、ビビってんの?(煽る)

得意じゃ無いは出来ないって意味じゃ無い
背の翼使ってアクロバティックに身を躍らせ
バンドのステージ上がる如き高揚感で音に身を任せ
重力すらものともせず、空中浮遊活かして通常じゃ有り得ないプレイを魅せてやろうかねぇ


四辻・鏡
翼(f15830)と
ゲーオタだが音ゲーは見る専の初心者

結構昔に流行った曲もあるっぽいな…これならイケるんじゃね、翼
翼の選曲を隣で煽りつつ見物しているも、途中から自分も参加枠に入っていると気付き
は、私も?いやいやまってまってせめて和風ロックで別に逃げねぇけど!
覚悟を決め、煽られながらもお勧めの難易度、の一つ上で設定(負けず嫌い)

吹っ切れた翼の演技に感心しつつ、こちらも序盤は探り探り情報を集め、剣舞の要領でノーツを見切り掴み…かけてサビのラッシュで半分心が挫ける
これなら何とかな……やっぱ無理無理目が滑る、つか高いとこ届かねぇ!
跳ねて走ってと、てんやわんやしつつ何とか曲を終え
翼お前…次は見てろよ…!




 ――時は少し遡る。
「へえ。結構昔に流行った曲もあるっぽいな」
 鱗めいた頬の女性が、けだるげな視線をリズレクのパンフレットに落としていた。勿論ゲームオリジナルの曲も豊富にあるようだが、キマイラフューチャーに滞在するようになって久しい彼女には馴染み深いポップスのタイトルも多く見受けられる。
「これならイケるんじゃね、翼」
「まさかこんな形で鏡の前で音ゲーやる羽目になるとは……」
 名前を呼ばれた赤髪の青年は大袈裟に肩をすくめてみせる。
「いいじゃん、是非翼の雄姿を拝みたいって思ってたとこだったしなぁ」
「そりゃあの時は結局ゲーセン見つからなかったけど……ま、行ってくるさね」
「おう。頑張れよ」
 エントリーに向かう青年――早乙女・翼(彼岸の柘榴・f15830)を、女性――四辻・鏡(ウツセミ・f15406)はひらひらと手を振って送り出したものだった。
 その時はまだ、彼女は知らなかったのである。
 翼が『ダブルス参加者受付』と書かれたシートに、ばっちり二人分の名を記していたことを。


 時は戻り、試合開始直前。曲選択画面で翼がほうと息を吐く。
「確かに色んな曲があるさねぇ……あ、この辺りは俺の世界でもあるかな」
 グリモア見つかる前にも別世界に飛ばされた人はいるっていうし、結構共通するものもあるのかもなあ、と。
「俺が好きなのはV系ロックとユーロビート系なんだけど、よさげなのあるかな」
「その二つって結構違わないか?」
「好きなものは多い方がいいさね」
 モニターをスライドさせつつ、翼がふと顔を上げる。
「鏡はどんな曲やりたい?」
「私は……」
 普通に応えそうになった鏡が、途中で訝しげに顔をしかめた。
「……なんで私に訊くんだ?」
「そりゃ、鏡も参加するからさね」
 沈黙。
「は?」
「ダブルスでエントリーしてきたから」
 しれっとしたり顔で翼が言ってのけた。ほら、VRゴーグルだって二人分。
「いやいや、……は? ゲームは好きだけど音ゲーは見る専だって言っただろ、得意じゃない」
「なーに、運動神経良いんだし出来る出来る」
「そういう問題じゃないだろ。いきなり大会なんて」
「何、ビビッてん「ビビってない」
 被せるように鏡が反論する。云ってからしまったと後悔しても後の祭り。見本のような売り言葉に買い言葉の図式であった。
「よし、決まりさね。曲はユーロビート系でいいかな」
「あああ……せめて和風ロックで」
 ユーロビートとか何そのパリピがオールでエンジョイしてそうなやつ無理無理無理。必死に首を振る鏡の要望を断るほど翼は悪い男ではなかった。
「了解。難易度は……そうさねえ、EASYじゃ流石に物足りないと思うし、このNORMALってやつが、」
 ――いいと思うんだけど、という翼の言葉は、またしても最後まで言い切る事叶わず。
 すっと無言で差し伸べられた鏡の指先が「HARD」と書かれたボタンをタッチしていた。ぎり、と睨みつける銀瞳。こう見えて鏡は大層な負けず嫌いなのである。
 翼がもう一度したり顔をしたのは、言うまでもない。


 ゲームの開始を告げる聲とともに、アップテンポなメロディが流れ出す。一見、重厚なギターサウンドのヴィジュアル系ロックかと思いきや、リズムを担うのはドラムスではなく和太鼓だ。ギターが主役のイントロが終われば、ついで美しいメロディを奏でるのは尺八や琴といったこれまた和の楽器達。翼と鏡、二人の趣向を合わせた選曲といえる。
 余裕綽々といった様子で翼はステージを縦横無尽に駆け回る。赤き翼で空へ舞い上がったと思えば、重力さえも感じさせないアクロバティックなプレイで観客を魅了する。種族の特性によるプレイは勿論認められている。その証拠に、対戦相手のキマイラ二人組も片方は雀の翼で空を翔け、片方は大きなリスの尻尾でノーツを拾っている。
「いいね。UDCのゲームじゃなかなかこうはいかないさね」
 楽しくて仕方ないとばかりの笑顔でプレイする翼とは対照的に、鏡の表情は硬い。
 何せ目の前を流れてくるノーツを追うだけで精いっぱいだ。それをパフォーマンスを交えて拾うとなれば、もうぎりぎりのところまで追いつめられる。それでも何とか得意とする剣舞の要領で身体を動かしノーツを掴んでゆく。
「やるじゃん」
 ヒュウ、と鳴った口笛に鏡が気をよくしかけた時。
「なっ――なんだあの濁流は」
「曲が盛り上がるところはノーツも増えやすいさね」
 サビを迎えた瞬間爆上がりする密度に、鏡がひっと息を呑む。あくまで冷静に返す翼を心の中で睨みつけつつ、現実の眼は標的を見切る事であっぷあっぷである。
「やっぱ無理無理目が滑る! つか高いところ届かねぇ! ずるいぞ翼!」
 跳ねて走って必死に高いところも取ろうとする鏡。取れるところだけ取ってくれればサポートに回るけど、とは敢えて言わない翼なのであった。

 ――曲が終わってみれば、翼の技と鏡の頑張りが実を結び、二人は無事に勝利を収めていた。
「いやあ、鏡がここまで音ゲーがうまいとは。驚きさね」
 すごいすごいと囃し立てる翼を、今度こそ鏡が睨みつけた。
「翼お前……次は見てろよ……!」
「次はEXTREMEって難易度やってみる? 隠しコマンドで出せるらしいし」
「はぁ? 無理に決まってるだろそんなん」
 それがフラグというものかどうかは、定かではない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

未不二・蛟羽
了さん(f00664)と一緒に
ウワサの最新音ゲー!めーっちゃ楽しみにしてたっす!
了さん、今日は全力で遊ぶっすよ!

初戦はゲームがどんな感じか確認するっす!ルールは2vs2っすけど、連携は最低限に、個々の限界狙う形で
俺はハイスコアを狙うことよりも楽しむことを優先っす
だって楽しく踊らなきゃ、見てる人も楽しくなれないっす
って事でアゲアゲで行くっすよ!
難易度はもちろんMAXで、曲は…敢えてクラッシックとか?全然わからないっすけど
野生の勘でいい感じにノーツを読みつつ、曲に合わせた緩急をつけたアクロバティックなダンスを決めていくっすよ
フルコンボより盛り上げ優先。ノーツは少し捨てでもダンスの完成度目指すっす!


萬場・了
蛟羽(f04322)に誘われて参加
撮影もこの辺りでそろそろ俺らの番か

相手も一般人とはいえ同じ上を目指すヤツらだ
ユベコは使えねえけど、フェアにこのゲームを楽しむなら今だ
久々の蛟羽との2vs2、互いのコンディションも把握しておかねえとな
俺はノーツと相手の動きを観察、コンボを繋げることを意識するぜ

このゲーム全身を使えるのは面白い、そういうの蛟羽は得意だろ
クラシックか。なら、キマフュでも映画やCMで聞いたことあるんじゃねえか?
いいねブーストを狙うなら、曲の馴染みある盛り上がり部分で会場と蛟羽のノリを如何に止めないかが勝負かもな
コンボ狙いの俺にジャストシュートを引き付ける
心配ねえ、全部見切ってやるぜ!




 愛用のビデオカメラを回せば、非日常が切り取られていく。
 熱狂する人々。勇む挑戦者たち。どこかに潜んでいる異端。
 ――いいキャストが揃ってんじゃん、とは、云ったか、云わなかったか。
 目を細める萬場・了(トラッカーズハイ・f00664)の後ろから、ぽんと肩を叩くものがあった。
「了さん、今日は全力で遊ぶっすよ!」
 先端に頭のある蛇尾を持つ青年、未不二・蛟羽(花散らで・f04322)だった。藍色の瞳をきらきらと輝かせて笑う。
「ウワサの最新音ゲー! めーっちゃ楽しみにしてたっすから!」
「そうだな、そろそろ俺らの番か」
 撮影を終了させ、了も笑みで返した。にかりと開いた口から"ネックウォーマー"と同じぎざぎざの歯が覗く。
 VR空間へといざなうゴーグルを装着し、二人はバトルフィールドへ。
「宜しくっす!」
「お互いフェアに行こうぜ」
「はい、是非とも!」
「よろしくなんだよー」
 了と蛟羽の会釈に、対戦相手のキマイラの男性二人も笑顔で応じてくれた。
「感じのいい人たちで良かったっすね」
「ああ」
 一般人とはいえ、同じ上を目指すヤツらという点では了達と彼らに違いはない。フェアに行こう、という言葉に偽りはなかった。本当の意味で正々堂々と勝負が出来る貴重なステージなのだから。
「俺らも精いっぱい、楽しまないとっすね!」
「蛟羽との2vs2は久々だな、どうする?」
 この先に向けて互いのコンディションも把握しておきたいが、と了が視線を向ける。
「お互いベストを尽くすっす!」
 蛟羽のいらえは単純明快。連携を重視するよりも、個々の限界を狙ってみようと。
「怪人相手じゃ否応なしにコンビネーションが要求されるだろうしな」
 了解、という言葉に被せるように、フィールドにバイオリンの音色が流れ出す。
「クラシックか」
「敢えて意外なとこいくのも楽しいかなあって。全然わからないっすけど」
「悪くねえな」
 にいと蛟羽が唇を吊り上げる。ポピュラーなクラシックなら、キマイラフューチャーでも映画やCMで親しまれているだろう。観客や視聴者も知っている音楽なら、よく使われる馴染みのあるフレーズでの勝負が仕掛けられる。
「バトル・スタート! アゲアゲで行くっすよ♪」
 ノーツが流れ始めたのを見遣り、蛟羽が地を蹴った。最高難度の高密度におびえる事無く、楽しげにステップを刻む。
 全然わからない、と云っていた蛟羽だったが、いざ曲が始まれば全身でリズムを捉え波を乗りこなす。流石だな、と了は呟いた。
 よくみれば蛇頭の尾まで楽しげに揺れてはパフォーマンスに一役買っている。流石にノーツを取りに行くほどの知能はないようだが、あれかわいー! なんて歓声が観客席から聞こえてきたのを鑑みるに反応は上々のようだ。パフォーマーが心から楽しめば、その気持ちは見ている人にも伝わる。それを理解している蛟羽だからこそ、多少スコアを切り捨てることになろうと盛り上げ役に徹していた。
 アクロバティックな動きで盛り上げていく蛟羽とは対照的に、了は堅実に動いてはコンボを積み重ねていく。多少蛟羽が取りこぼしても、了の積み重ねがジャストゲージを高めていく。互いにベストを尽くすと言いながらも役割分担が成功しているのはウマの合う彼らゆえか。
 曲は佳境へ向かい、譜面の密度も蛟羽のパフォーマンスも激しさを増してゆく。
 互いを見る事もなく、二人は理解している。ここからの立ち回りの重要性を。
(「来たな」)
 ほんの少しだけ流星のようなエフェクトを纏ったノーツが了の元へ飛んでくる。対戦相手は堅実にコンボを積み重ねる了を崩す事にしたようだ。
 だが、了は自分が狙われる事をとうに予測していた。青の瞳がすっと眇められれば、体勢を低くした彼の頭上、役目を果たせなかった流星が虚しく消えてゆく。
「心配ねえ、何度飛んで来ようと全部見切ってやるぜ!」
「さっすが了さん!」
 ぱちりとウインクをした蛟羽は、譜面が下方に集中するタイミングを見計らって地に手をつける。そのまま肩や背中を起点に身体を回転させながら、大きく伸ばした脚でノーツを薙ぎ払ってゆく。パワームーブの花形、ウインドミルだ。
 ――すごい!
 ――いいぞ、いいぞ!
 観客の眼はすっかり蛟羽に釘付けだ。その蛟羽の側から、流星のエフェクトを纏ったノーツが弾かれる。変則的な動きからのジャストシュートはどのタイミングで放たれたのかを見切る事すら難しく、すぐさまノーツの濁流の中に紛れ込んでしまう。
「……しまった!」
 対戦相手のひとりがそれを受けて動きを止める。もう一人がカバーに入るが、一度開いたスコア差は埋まらず、むしろ少しずつ離れてゆく。
「絶好調だな」
「このまま逃げ切るっすよ」
 そのまま覆る事なく蛟羽と了のペアは勝利を収め、笑顔でハイタッチ。対戦相手のペアと互いの健闘を讃え合ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パウル・ブラフマン
どもー!エイリアンツアーズでっす☆
今日はエモいと超話題の
リズレクの大会会場からレポっちゃうよ♪

愛機Glanzで会場に乗り付けたら
持ち前の【コミュ力】を活かして
大会参加者や観客の皆に
リズレクの推し曲や強プレイヤーについて【情報収集】!

折角だしオレも参加エントリー!
ジャンルはそうだな…この『ミクスチャーロック』とかどう?

脚の分だけ手数が多くなっちゃう!
なーんてビビったフリして
原曲より音を増やして遊んでるだけだったりして☆

滝みたいにノーツが来る瞬間を狙って
ジャスト判定でシュートをブチ込むぜ!
触手フル活用のコンテンポラリーダンスで
いいねブーストも狙っちゃお☆

試合後は超楽しかったよ~♪ってお礼もするよ!




「どもー! エイリアンツアーズでっす☆」
 ハンドマイク片手の陽気なタコキマイラ、パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)。愛機Glanzはきちんと会場の邪魔にならない場所で待機中である。
「今日はエモいと超話題のリズレクの大会会場からレポっちゃうよ♪」
 ――そういえば前もエモが大好きな怪人さんがいたよね。やっぱりこの世界はヒトも怪人もEmotionalな事が大好きなのかな。
 鬼コミュ力から生み出されるマシンガントークは止まらない。実況中継のカメラへとまくしたてる合間、観客席の一般席へ声を掛けてインタビューを挟むことも忘れない。その手慣れた様子、はたして彼はTV局のリポーターか、それとも名うての動画投稿者か。

 ――予選が開始されてみれば、そのパウルが参加者であった事に驚いた者もあっただろうか。
「アランさんですよね? お会いできて光栄です!」
「俺を知っているのか?」
 VRゴーグルを介して突入したバトルフィールド。対戦相手の大柄な男性は、パウルに名を呼ばれた事に驚いた様子だった。
「さっき観客席の人達から聞いたんです。アランさんはパワフルなパフォーマンスが超カッケーって皆言ってましたよ♪」
 アランという名のプレイヤーは、優勝経験こそ未だないものの、いつも予選を突破している実力派だという。その相手と一回戦で当たる事になっても、パウルは気圧されるどころか嬉しそうに笑うのだった。
「オレ、このゲームは初心者だけど、音楽を愛する気持ちは負けません」
「いいだろう。楽しいプレイが出来る事を祈っているよ」
 ライバル同士互いを讃え合い、フィールドに流れ出す曲は重厚なミクスチャー・ロック。
 ギターの音色に合わせて格闘技のようなプレイを披露する対戦相手に対し。
「あわわ、脚の分だけ手数が多くなっちゃう!」
 なーんてビビった振りをしつつ、触手はあくまでアドリブ専用。強豪相手に遊んでみせるのは、けして相手を舐めているわけではない。フリースタイルも嗜むパウルにしてみれば、ただ決められた道筋をなぞるだけなどつまらない。
「――やるな」
 唸るアラン。勿論ただ自由に遊んでいるだけではなく、そこにはいいね狙いという目論見も含まれている。その証拠に、ここぞというタイミングでパウルはパフォーマンスも交えている。触手で身体を支えつつ、常人では真似出来ない重力を無視したかのようなトリックに、わっとギャラリーが沸きたつ。
「ライバルが鬼ツヨだし、気合入りまくっちゃってますもん☆」
 滝のようなノーツに紛れ込ませたパウルのジャストシュート。惜しくも躱されたものの、回避動作で繋がっていたアランのコンボが途切れる。

 曲が終了し、フィールドが静まり返る。
 点差で勝っていたアランを、いいねブーストを多く獲得したパウルが僅差で上回る形となった。
「超楽しかった~♪またご一緒出来たら光栄です☆」
 笑顔で握手を求めるパウルに、アランも分厚い掌で応じた。
「負けてしまったのは残念だが、こんなに楽しませてくれるプレイヤーがまだ眠っていたとはね」
 ――これだから、このゲームは辞められないんだ、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

玉ノ井・狐狛
さァて。真っ当な大会の真っ当な試合、つまり裏技はナシだ。

だから合法の範囲内で演出させてもらおう。
試合前に、オーディエンスの視界に入るように、そこらをうろついておく。
事前に注目を集めておくワケだ。
►麗▻パフォーマンス▻存在感

曲は……ノーツの数が多くて速そうなのにしよう。高レベルのランダムなんかでイイ。

ゲームは正攻法でやるぜ。
いくらか目はイイ方でな。ジャストノーツもあることだし、リズムよりは動きを見るほうを重視する。
▻見切り▻視力▻早業

動作には回転やらを多めに加えて、相手を視界に入れられる機会も増やすぜ。
相手がノーツを弾く時点で確認できりゃ、それを踏まえて先のモーションを組み立てられるからな。




 リズレクバトル開始三十分前。
「おい、あれ見ろよ」
「なに……わ、スゲー可愛い子じゃん」
 オーディエンス席のキマイラ達がざわついているのは、会場を悠々と歩くひとりの女性が、まるでそこだけ光り輝いているように見えたからである。
 豊かな金髪を二つに結わえた狐の女性。動きやすく且つ可愛らしいミニ丈の和装束が、小柄な彼女の魅力を一層引き立てている。
 あどけなさと色香が共存した佇まい。浴びせかけられる視線に気づいた彼女は、ぱちんと蜂蜜色の瞳を伏せてウインクしてみせた。キマイラ二人はやや目を見開き、と思うと頬を赤らめて曖昧に笑って見せた。
(「ふふ、効果テキメンってとこだな♪」)
 彼女の名前は玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)。裏社会ではちょっと名の知れた存在だが、今日は表も表なバトルフィールドである。事前に注目を集めて観客にいいねを貰いやすくしておこうと、何気なくを装って会場をうろつく戦法は功を成したようである。


「あなた、リズレクは初めてでしょう? 選曲はあなたがしていいわよ」
「曲……そうだな、ノーツの数が多くて速そうなのがいいな」
 専用のゴーグルをつければ、たちまち舞台はVR空間へ。狐狛に負けず劣らず美しい女性キマイラが対戦相手だった。経験者の余裕を見ても狐狛は動じない。
「――ランダムにするか、高レベルの」
 なんでもこなしてみせると暗に告げているようだった。へえ、と対戦相手が目を細める中、曲を決めるルーレットがくるくると回り、ピンクのジャケットを選択する。
 バトルフィールドに流れ出した曲は、和の意匠をふんだんに取り入れたハッピーハードコア。シンセサイザーが和の音階を刻み、拍子木の音が混ざる。伝統と最新鋭の融合。
 ――面白い、と狐狛が不敵に笑んだ。180を超えるBPM、高難度にふさわしい密度。曲そのものはリズムをつかみやすいものの、休みなく迫りくるノーツは一瞬でも気を抜けば一気に置いていかれる危険をはらんでいる。
(「なら、全部見切ってやるまでだ」)
 いくらか目はイイ方でな、と。ジャストシュートを狙うべく、狐狛は盤面全体を見渡し、コンボを取りこぼさず波に乗る。
 最初のノーツを左足を踏み出す事で取れば、無理なく次の動作へ移る事が出来た。なるほど動作そのものは早いようだが無理な動きを強いられる譜面構成ではないらしい。動作そのものは単純だが、只管に速さと密度で翻弄するタイプの楽曲だ。
(「それでアタシを止められると思うなよ」)
 要所要所でターンを決めながらも、相手がジャストシュートを弾く動作も確りと見極めて。回避する動作で動きが乱れたと見せかけ、狐狛も溜まったゲージを解放する。
「きゃっ!」
 躱しきれず直撃を受けた対戦相手の動きが止まる。その間も狐狛は鮮やかなダンスでノーツを捌き、スコアはぐんぐんと差が開いてゆく。
 ――いいぞー! 狐のおねーさーん!
 会場を乱舞する声援といいねの中に、先程の男性たちの聲とアイコンが混ざっていたことは、いうまでもない。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『にゃんこアーティスト』

POW   :    これでキミともニャン友にゃん
【対象の発言に対し、いいね】が命中した対象を爆破し、更に互いを【相互フォロー】で繋ぐ。
SPD   :    とりあえず、ぶっかけてみた
【瞬間凝固ペンキをぶっかけ芸術活動する攻撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を題材にしたアートが開始され】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    にゃんこ絵描き歌
【にゃんこ絵描き歌】を披露した指定の全対象に【真似してみたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。

イラスト:白狼印けい

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 リズレクバトルに参加した猟兵達は皆勝利を収め、勝ちあがった他の参加者たちと同様、次のバトルステージに向けての準備を始めていた。何せ全身を使うゲームだ。バトルの合間には十分な休息と水分補給が欠かせない。
「にゃにゃにゃにゃーーーん!!」
 選手たちも観客たちも集中が途切れているそのタイミングを狙ったように、二足歩行の猫達が現れた。ツナギ姿に巨大な筆を構えたアーティスト然としたにゃんこである。
 ――キマイラだろうか? いや違う!
「また怪人かよー何しにきたんだよー」
「かえれかえれー! ヒーロー達に倒されちゃえー!」
 何故かにゃんこの正体を見破る観客席の一般キマイラ達。同じ動物特徴を持つ者として、同族ではないとピンとくるものがあるのだろうか。
「にゃにゃ!? ボクたちの華麗なダンスを見てもそんなこと言えるかにゃ? 圧倒的芸術性で優勝いただきだにゃ!」
「えーやだーこわーい!」
「どうしよー!」
 どこか暢気な悲鳴(?)に会場が満ちる中、司会の女性は主催側とインカムで何やらひそひそと話している。
「えっ、あの時のヒーロー達が? なるほど、これを逆手に大会を盛り上げちゃうわけですね? かしこまりです――えー、みなさん!」
 最期の呼びかけは会場全体へ向けて。ざわめきが静まり返るのを待ってから、司会は続きを話し始める。
「慌てる必要はありません! この都市の、いえこの世界の窮地を救ったヒーロー達が、なんと今回のリズレクバトルに参加しているようです! ――エクストラ・ステージといきましょう! トーナメント表の組み合わせは一旦保留して、謎の怪人とスーパーヒーロー達のバトルを開催します! 皆さん、いいねを押す準備はいいですね!?」
「「イェーーーーー!!」」
 それぞれの端末を手に盛り上がる観客達とネットの向こうの視聴者達。目の前に脅威が迫ろうと楽しんでしまうのは猟兵というものへの信頼か、それともこの世界の民の元々の気質なのか。
 ただし楽しいことが大好きな彼らの事、世界を脅かす怪人であろうが華麗なパフォーマンスを決めたらいいねを押してしまう可能性がある。このバトル、猟兵が一方的に有利とも限らないようだ。
 ともあれ、一流のゲーマー達が頂点を競う大会だ。邪魔をする無粋なにゃんこたちを許しておくことはできない!

============================
第二章はにゃんこアーティストたちとのバトルです。
基本ルールは概ね第一章と同じです(第二章からの参加をご検討の方はMSコメントをご参照ください)が、大きく違うのは一点。ユーベルコードの使用が許可されています。
また、敵もユーベルコードを使用してきます。
リズレクバトルで勝利すれば、諦めて消えてくれるようです。
プレイングは3/8(日)朝8:31~の受付です(終了日時は後日MSページに明記します)。
天道・あや
エクストラ・ステージ…!いいね!テンションが更に上がってきた!怪人よし!ステージよし!あたしよし!それじゃ、にゃんとも特別なステージで…勝負!

今回あたしがセレクトする曲は…【難易度が高いゲームオリジナル曲】!これに決定!これをプレイするのは初めてだけど…でもさっきのバトルで仕組みは何となく理解したからいける筈!

それに難易度なら怪人さん達もゲームに集中しなくきゃだからUCは気軽に使えない筈…!まあ、あたしも何だけどね!

ゲームスタート!【ダンス、パフォーマンス】!そして相手がUCを発動しようとしたら【見切り】先手必勝!こっちが先にUCを発動!

そして!相手の動きが乱れた所に正面からジャストシュート




「エクストラ・ステージ……!」
 おめめにワクワクからくるキラキラマークが浮かぶほど、天道・あや(未来照らす一番星!・f12190)のテンションは最高潮!
「いいねいいね! 怪人よし! ステージよし! あたしよし!」
 相手にとって不足なし! ……かは、まだやってみないとわからないけれど。
「それじゃ、にゃんとも特別なステージで……勝負!」
「望むところニャ! ぼくが勝ったら大会をめちゃくちゃにしてやるにゃ!」
 尻尾をぴんと立てて宣言する、見た目だけはぷりちーなにゃんこ。
「せっかく人間と怪人の種族を超えた戦いだもん、折角なら難易度高いやつでバトルしよ!」
「悪くないにゃね。しかし猟兵ってだけの素人についてこれるかにゃ?」
「それは――やってみないとわからないよ!」
 怪人の挑発にもにっこりスマイル。バトルフィールドに降り立つ猟兵と怪人。敵対関係における両者が今回奪い合うのは命ではなく、スコアだ。
『Are you ready?』
 女性アナウンスの電子声の後、序盤から密度も速度もあるトランスコア。先程とは打って変わったハードなグルーヴも何のその、キレのあるステップでばっちり乗りこなすあやと。
「ほっ! はっ!」
 手足の短いリーチを尻尾で補いちょこまかと立ち回るにゃんこ。下方に集中していたノーツが上方へいきなり跳ね上がった瞬間、あやはジャンプでそれを取ってはくるっとターンして華麗な着地を決める。にゃんこはといえば。
「たあっ!」
 手にした巨大な絵筆を掲げてなんなくキャッチ。
「それってアリなの?」
 身体の一部じゃないじゃんとあやが訝しむ。
「勝てばなんとかにゃ」
 ドヤ顔で勝ち誇る怪人。だがその息が上がっているのは誰の眼にも明白だった。スコアでいえば二人はほぼ横ばい。だがこの先怪人が崩れてくれば、あやの方に軍配が上がるだろう。
 しかし、それは怪人自身も理解をしてくる筈だ。ならばそれを覆す為にそう遠くなく仕掛けてくるだろう。通常ならばジャストノーツというゲームルールに則った手段がある。だがにゃんこはルールお構いなしの怪人である。
(「でも、目論見は当たったよね♪」)
 高密度を捌くのに精いっぱいで、怪人はなかなか反撃を仕掛けるタイミングを掴めていない。ついていくのに精いっぱいなのはあやも同様だが、彼女の方はこちらから仕掛ける必要がない。
 ――と。クライマックスの直前、曲が一瞬だけ静かになる。明らかににゃんこが今迄とは違う動作をした。それを見逃すあやではない。
「夢は素晴らしい♪未来には無限の可能性が♪」
「にゃ、……にゃ!?」
 にゃんこが上がり切った息でぜいぜいと絵描き歌を披露するよりも早く、あやが曲に合わせたメロディで希望の歌を紡ぐ。
「だから一緒に行こう、手を繋いで♪――夢と未来が、私達を待っている!」
 歌いきった直後、再び譜面は激しさを増す。鋭い動きでダンスを再開するあやに、会場は熱狂で満ちる。
 怪人はといえば、魂に訴えかける歌の力に心を揺さぶられて暫し呆然と突っ立っていた。それでもぷるぷると首を振るって立て直そうとするも、もう遅い。
「隙ありっ! あたしのジャストシュートを喰らえー!!」
「にゃにゃっ!?」
 惑わすまでもないとばかり、一直線ににゃんこへと迫る光の波動。避ける事もかなわず、直撃を喰らったにゃんこが再び動きを止めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

日埜・晴翔
アドリブ、連携可

圧倒的芸術ねぇ、何を見せてくれるかお手並み拝見っと。
曲によって音かダンスかアレンジを選べるのはわかった。他のプレイヤーの楽曲も見て、人気曲や譜面もまずまず。
おもしれぇゲームになってきたじゃん/UC

同じ手は飽きるだろうから、今度はキー音のないダンスアレンジができる楽曲で、ジャストシュート狙ってくか。
相手へのいいねを止めつつ、こっちはスコアを稼げる。
向こうが何か仕掛けてきても、ダンスで避けて演出にしちまえばいい。
観客を誘惑しちまえばこっちのもんだろ?

プレイスタイルからUC効果の情報収集に挑戦。指輪がコントローラーだから油断するはず。
面白い誘いにはノるが、くだらねぇならお断りだぜっ!




「圧倒的芸術ねぇ、何を見せてくれるかお手並み拝見っと」
 靴紐を締め直し、軽く踵で地面を叩く。コンディションは上々。日埜・晴翔(嘘つき×快楽主義・f19194)の口元が弧を描き、『愉しそうな』様子を見せる。
「にゃ! その様子、かなり自信あるようにゃね。ゲームが得意にゃか? それともダンスにゃか?」
「おいおい、そんな簡単に敵に手の内明かすと思ってんの? ま、いいか。特技はゲームの方だけど、ダンスだってずぶの素人ってわけじゃないぜ」
 やれやれと肩を竦めた直後、あっさりと答えを告げる。煙に巻くような態度。
「曲はこっちが選んでいいんだろ? じゃあこれにするぜ」
 パネルを操作する晴翔が選んだのは、実在しない電子音声の歌姫が詠う大ヒットソング。観客席のキマイラ達はそれだけでもきゃあきゃあと沸き立つ。それもその筈、晴翔は自分の試合がない時には他の試合を見学して、人気の曲や譜面を粗方リサーチしていたのだ。
「その曲は音が鳴らないにゃ、アレンジ勝負じゃにゃいって事にゃね」
「ん? さっきの試合観てたのか」
 意外そうに晴翔が片眉を上げれば、にゃんこがえへんと胸を張る。
「強そうなひとのプレイスタイルを研究してたにゃ。悪事を働くためには努力を惜しまないにゃ」
 情熱の向く方向は違えど、似たような事を考えていたらしい。へえ、と口元の曲線が深くなり、青瞳が眇められる。笑ったというよりも、もっと獰猛な――ターゲットを狙うプレイヤーの目つき。
 ――おもしれぇゲームになってきたじゃん。
 ひっそりと、指輪を模したコントローラーが起動する。


 エレクトリカル・ディーヴァの歌声に合わせてゲームは続いてゆく。
 畳みかけるような歌詞の高速地帯とゆったりとした間奏が交互に訪れる特徴的なメロディーラインを、晴翔のダンスが着実に捌いてゆく。
 曲の雰囲気を崩さない、緩急利かせた身のこなし。ジャストシュート狙いの堅実なプレイと見せかけ、要所要所で派手なトリックを決める事も忘れない。
 ――いいぞー、眼鏡の兄ちゃん!
 ――かっこいー、がんばって!
 熱狂と共にいいねのハートがVR空間を乱舞する。ここに来て晴翔がキー音のアレンジからダンスのアレンジに切り替えたのは、にゃんこだけではなく続く敵に手の内を読ませないというのも勿論ある。けれども本当の思惑は別にあった。
(「同じ手は飽きるもん、なっ!」)
 観客達も。何より、晴翔自身も。折角のゲーム、いつも同じプレイスタイルではつまらない。
 ノーツ密度の高い曲。コンボさえ繋げればジャストゲージはすぐに溜まる。にゃんこも晴翔も、先程から何度もジャストシュートを放っていた。最初の一撃は二人とも当たった。けれど二撃以降、にゃんこが放ったシュートは一度も当たっておらず、逆に晴翔のそれはぐんぐんと精度を増している。
「にゃ、にゃんでなのにゃ!?」
 焦るにゃんこは気づいていない。ただゲームを楽しんでいるように見える晴翔が、水面下でユーベルコードを発動させている事に――否、ゲームを楽しんでいるからこそ、彼の『気保養』が発動している事に。にゃんこの行動パターンを収集し分析し、次に繋げる必勝法。
「楽しんだ奴が勝つんだよ」
「なら、キミもニャン友になるにゃーん!」
 それいいね! と放たれたハートマークは、あえなく晴翔に躱される。
「くだらねぇな、怪人のフォロワーなんて」
 ――面白くもねえ誘いはお断りだぜ。
 カウンター気味に放たれたジャストシュートが、この試合一番の見事なヒットを決めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御剣・里佐
【マギアルツインズ】
ふふっ…やはりゲームは楽しいものですわね!
このまま楽しみたい所ですが…無粋ですのね…
まぁ、ゲームで挑んでくる所は判っていらっしゃるようですけど

UCを使った場合に慣れておくべきなのでしょうけど…困りましたわね、あまりこのゲームに適応する物は…
まぁいいですわ!唯一有効そうな物は最後の怪人にとっておきますわ
なので今回はブルーと二人、コンビネーションを重視してプレイしましょう
私もブルーを見習って動画映え?という物を意識するべきでしょうし
申し訳ありませんが…練習相手になっていただきますわ!
最後は必殺技的にかっこよくUC込みのコンビネーションジャストシュートですわ!

※協力・アドリブ歓迎


武弓・祐里
【マギアルツインズ】
だいぶ慣れてきやがりましたが…ここで敵ですか…
ゲームで勝てば倒せる敵っていうのも新鮮ですね…他にも色々私に合ってそうな世界で良い感じですよ
ま、やりましょう、このゲームも大分楽しくなってきやがりましたし

私はレッドと違って幾つか使えそうなのはあるんですが…レッドに合わせましょうか
それに私は元々射撃をメインに戦ってる訳で…私の方が行ける可能性もあるんですよね…
ま、もうちょっと慣れつつレッドとコンビネーション重視で動画映えする動きを意識して動きます
相手の絵すらも利用して印象を強めますよ
最後は必殺技的にかっこよくUC込みのコンビネーションジャストシュートですよ!

※協力・アドリブ歓迎



「ふふっ……やはりゲームは楽しいものですわね!」
 上機嫌のレッド――御剣・里佐(マギアルツインズ☆マギアルレッド・f19561)に対して、ブルーこと武弓・祐里(マギアルツインズ☆マギアルブルー・f19562)は溜息のようにぽつりと呟く。
「だいぶ慣れてきやがりましたが……ここで敵ですか……」
 だが、ブルーを良く知る者ならば気づいたかも知れない。気だるそうに伏せられた眼差しも、存外口の悪い物言いも、彼女の弾む聲とその感情を隠しきれていないことに。
 その証拠に、幼馴染のレッドはふふっと笑みを零すのだった。
「ブルーも楽しそうですわね」
「悪くはないですね……色々私に合ってそうな世界で良い感じですよ」
 それに、と眼差しを向けた先。二匹、というべきか、二人、というべきか、ツナギを着た二足歩行のにゃんこが身構えている。お揃いだが色や細部の異なるコスチュームを身に纏うマギアルツインズとは違い、にゃんこ×2は体毛の色合いから体型から服装まで瓜二つ。違いといえば、服のペンキの付着具合くらいのものだ。
「このまま楽しみたいところですが……無粋ですのね」
 まぁ、ゲームで挑んでくる所は判っていらっしゃるようですけど。レッドの呟きに同調するようにブルーが頷く。
「ゲームで勝てば倒せる敵っていうのも新鮮ですね……ま、やりましょう」
 ――このゲームも大分楽しくなってきやがりましたし。
 無表情のまま呟くブルーに、レッドは笑みを深くするのだった。

 バトルフィールドに流れるのはギターサウンドがアツいロックナンバー。只のロックではない。二人組のヒーローが変身による超常能力と、何よりも二人の絆を武器に明日を切り拓いてゆく特撮モノの主題歌だ。
「わたくし達にふさわしいのではなくて?」とは、レッド談。
「やっちゃうにゃ!」
「やっつけちゃうにゃ!」
 小柄な体躯を活かしたパフォーマンスの合間、瞬間凝固の特殊ペンキを飛ばして攻撃してくるにゃんこ達。互いの陣地でスコアを取り合うルール上、外したペンキがにゃんこ自身を強化する事はないものの、瞬く間にカラフルになってゆくステージはにゃんこのいいね獲得にも貢献している。
「ただ考えなしに色をぶっかけるのの何が芸術ですか」
 辛辣な意見を飛ばすブルーだが、瞬間凝固の特性を生かして混ざったら濁ってしまうような色の組み合わせも躊躇なく重ねていくスタイルはなかなかのものともいえる。そこまで彼らが考えているかはともかくとして。
「困りましたわね……」
 ふぅ、とレッドが嘆息する。
「UCを使ったゲームに慣れておくべきなのでしょうけど、あまりこのゲームに適応するものがありませんの」
「あれがあるじゃねーですか」
「ですが、最後の怪人に取っておきたいですし……まぁいいですわ! UCよりもコンビネーション重視で参りましょう」
「なるほど」
 スコアを着実に重ねながら、ブルーが頷いた。
(「私はレッドと違って幾つか使えそうなのはあるんですが……そういう事なら、レッドに合わせましょうか」)
 レッドの唯一と、普段から射撃重視で立ち回っているブルーの技達では、やはりブルーの方が戦略の要になると予想される。今ここで披露してボス怪人に感づかれるよりも、別の手法で挑むというのも悪くない。
 ブルーとレッド。好対照なツインヒーローは、その魅力を最大限に活かしたコンビネーションを披露してゆく。
 優雅に力強く舞うレッド。華奢な身体で素早く駆けては離れた場所に散らばるノーツも逃さぬブルー。
 個々の魅力を活かしたパフォーマンスと見せかけて、要所要所で揃いのポーズを決めて強く観客に印象付ける事も忘れない。
「ヒーローには決めポーズが欠かせませんもの」
 豊かな金髪をくるんと揺らしてレッドが艶笑む。
 うおおー! いいぞいいぞー!
 飛び交う歓声。観客のボルテージは最高潮!
「やるにゃ!」
「負けないにゃ!」
「どうです、ブルー? 私にも……動画映え? というものが出来ているでしょうか?」
「悪くねーですね」
 さらっと応えるブルーだが、何だかんだ自分の趣味に幼馴染が興味を示してくれるのは嬉しい事でもある。未だとんでくるペンキを躱しつつ、気怠い双眸がにゃんこを見据える。
「レッドの練習相手としてはまあまあってとこでしたが……折角なら『芸術性』って奴でも勝ちたいところですね」
「にゃ?」
「にゃにをするのにゃ?」
「こうするんですのよ――」
 ブルーとレッドが並んで立てば、二人を象徴する色の魔力が空間内で渦巻く。
 蒼炎の二色は煌めきながら時に混ざり合い、時に離れ、激しさを増してゆく。
『『――Stand by――』』
 同じいろの瞳が眇められ、魔力の奔流が最高値に達したところで、竜巻の如き一撃を叩きつける。
『『Mageal Finish!!』』
 空間ごと裂かんばかりの魔力の奔流。その中にジャストシュートも載せて。紛れ込ませ出し抜くのではなく、真正面からぶつけるヒーローらしい正攻法。
 ヒーローが最高に動画映えする瞬間。すなわち――必殺技。
「「にゃああああーーーー!!」」
 ジャストシュートのピヨり判定以上のダメージを受けて、にゃんこ達が倒れ込む。にゃんこ達の上を通り過ぎてゆくノーツに合わせて、ツインヒーロー達を讃えるいいねが空間を満たしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

玉ノ井・狐狛
いいねぃ、盛り上がってきやがった。

プレイ方針は、前試合と同じだ。
▻見切り▻視力

充分スコアは稼げるだろう……が、相手は突然の怪人。
つまり、すでに見たアタシよりも、目新しさで上を行くワケだな。
自然そっちに“いいね”が集中するハズ。

その流れを、そこそこ劣勢になるまで維持する。
頃合いを見て、ちょいと小道具で注目をあつめるさ。
►八卦▻存在感▻パフォーマンス

そう、相手は怪人。つまりこっちァ、観客の味方ってコトになる。
味方の逆転ほどアガるものはない、だろ?

それを期待させ、踊りの傾向を変える――エンパイア系の様式、平たく言うなら神楽をベースにしたヤツだ。
▻祈り

安心しろよ、お前さんがた。
アタシにゃあ勝算がある。




 スコアは横ばい。
 目まぐるしく数の増えてゆくいいねカウンターは、しかし玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)のものよりも、にゃんこが獲得した数の方が常に勝っている。
「にゃははははー! ぷりちーさでももふもふ度でもぼくのほうが勝ってるからにゃー!!」
 曲はまだ半分を過ぎたばかり。既に勝ち誇った様子のにゃんこを見遣り、狐狛が唇を噛む。
「ふむ……すでに見たアタシよりも、怪人の方が真新しさで上を行くワケだな」
「真新しさ? にゃはは、ぼくの強さ可愛さすばらしさはそんなものじゃとどまらないにゃ!」
 ちいさな身体で精いっぱい胸を張って勝ち誇る。だがにゃんこは気がついていない。焦れたような狐狛の表情が、只の演技でしかないことを――それどころか今のこの状況すらも、狐狛の思惑通りであることを。

 曲は和風ドラムンベース。複雑なシンコペーションを取り入れた現代的なサウンドに、どこか懐かしい音色が混ざりあって織りなす幻想的な一曲。
 いいねの数で圧されても、狐狛はあくまで自分のスタイルを貫いている。和のサウンドに合わせて舞う彩鮮やかな着物袖は、逆転までは往かずともにゃんこに食らいつくほどの一定の支持は得ている。
(「安心しろよ、お前さんがた。アタシにゃあ勝算がある」)
 応援してくれている人々へ向けて、狐狛が胸中でそっと呟いた。
「このまま逃げ切るにゃ! ぼくの絵描き歌を一緒にどうぞにゃ!」
 筆で大きく空中に絵を描きだすにゃんこ。シンプルだが愛らしい猫の絵にノーツが触れれば、それすらも判定に入るらしくにゃんこのスコアが高まってゆく。
 ――かわいい!
 ――あれバズりそうじゃない?
 ユーベルコードを乗せたパワーに感化され、ちょっと真似したくなっちゃってる大の大人なキマイラ達。
「ふむ、悪くはないな。アタシもちょいと仕掛けたくなってきた」
 狐狛もその力を受けてはいるが、流石にパフォーマンスをそのまま真似るのは面白くないとばかりに懐から手にしたのは【八卦】と名付けた花火玉たち。
 天、沢、火、雷、風、水、山、地。八つを刻んだそれらに霊気で着火すれば、曲のベースラインに合わせるようにしてぱぱぱぱんと鮮やかなの光が次々に爆ぜる。古来自然と人生を司るとされたそれらを象徴する八つの色。色。色。
 それらを受けながら、くるっとターンして決めポーズを披露すれば、わっと会場が沸き立った。
 ――いいぞ! いいぞ!
 ――巻き返せー!!
 狐狛のいいねの数が一気に増えてゆき、ぐぬぬぬぬと唇を噛むのは今度はにゃんこの方であった。唇があれば、であるが。
 狐狛が再び動き始める。現代的なダンスを踏襲した動きから一転、異なる世界の儀式の舞に。世界を跨いで駆け巡る猟兵達なら、それがサムライエンパイアに伝わる神楽をベースにした動きだと気づいたかもしれない。
 都市リゾートに慣れ親しんだキマイラ達にしてみれば、断片的な要素としてしか親しんだことのない異国の文化はとてつもなく心揺さぶるセンセーション。
 最初は、すぐにはいいねの数に直結しなかった。それが、観客席の誰もが見惚れいいねを押す事さえ忘れていただけということは、直後瞬く間ににゃんこを抜かしたことが証明した。
「にゃーん!?」
「味方の逆転ほどアガるものはない、だろ?」
「仕組んだってことにゃ? とんだ策士だにゃ!」
 その証拠に、一度巻き返してしまえば、狐狛とにゃんこのいいねの数は差が開くばかり。
 見事なまでの逆転劇であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

高砂・オリフィス
SPD判定*アドリブ歓迎

挑戦者現るってやつ!? ヒューっ! 盛り上がって参りました!
オブリビオンに優勝なんてさせてあげないよーっ、どんな妨害もどんとこいさ! にゃははっ
んー口調がうつったよ! あははっ!

使用するユーベルコードは《落ちる過去は未来》
踊りに夢中な間はどんなアクシデントもシャットアウト!
むしろそういうハプニングこそ盛り上げるタイミングってことだねっ!
飛び散る汗、ピカピカのライト、幻想的なVR! 楽しんでこーよ一緒に一緒に!




「挑戦者現るってやつ!? ヒューっ! 盛り上がって参りました!」
「猟兵の思い通りにはさせてあげないにゃ! ぼく達が優勝イタダキにゃ!」
「オブリビオンに優勝なんてさせてあげないよーっ、どんな妨害もどんとこいさ! にゃははっ……ん?」
 負けないもんね、と胸を張った高砂・オリフィス(南の園のなんのその・f24667)が自分の笑い声に目をぱちくりさせる。
「んー口調がうつったよ! とにかく負けないからねーっ、あははっ!」
「望むところにゃー!」
 朗らかに宣言するオリフィスと、ずびしいっと肉球誇示して受けて立つにゃんこ。
 VRフィールドに流れるのは先ほどと同じ、カポエイラによく似合う南国リズム。得意なスタイルを貫くオリフィスだが、先程の慣れもあり難易度を一段階上げている。ノリやすいサウンドに散りばめられた高密度なノーツを、足技を中心としたトリッキーな動きで捌くオリフィスを見れば、観客席の手拍子もすぐに拍手喝采に変わる。
「いいぞいいぞー!」
「あれ、なんてダンス? 超動画映えしそー!」
「ねー。私もやってみたいー!」
 元よりおおらかな南国気質のキマイラ達には、陽気なリズムから繰り出される派手な動きのトリックは大いに惹きつけられるものがあるらしい。
 その声援を浴びているオリフィスといえば、割れんばかりの拍手も対戦相手のにゃんこも届いていないとばかり、ひたすら自分のダンスと盤面のノーツに集中している。
 余計な音も、不必要な映像も、オリフィスの感覚からは全部消えて。
 この幻想的な空間を流れるノーツ達と、自己が一体化したかのような感覚すら覚える。読み取るのではない。流れを感じるのだ。
 ――ああ、楽しいねえ!
 飛び散る汗はヴァーチャルワールドを照らすライトできらきらと輝いている。それすらも霞むほどの笑顔で、オリフィスはひたすら踊りにのめり込んでいく。
 それは最早ただのダンスに留まらない。――落ちる過去は未来。ユーベルコードの領域まで高められた、圧倒的芸術。
「ぐぬぬぬ、邪魔してやるにゃー!」
 埋まらぬスコア差やいいね差に焦れたにゃんこが筆を揮う。先端から放たれた瞬間凝固のペンキがまっすぐにオリフィスへと飛びかかる。
 誰かがあぶない、と叫んだ。あれを真正面から受けては目が見えなくなってしまう!
 だがペンキは、オリフィスの貌に届く直前、見えない何かに弾かれたように飛散し、地面に鮮やかな青を零すだけだった。
「にゃんと!?」
 瞠目するにゃんこは知らない。荒廃世界で芸術を引き継ぐ彼女がひとたび夢中になれば、ありとあらゆるアクシデントを無効化する力となることに。生命維持活動さえも不要とする、それは人々の希望の光だった。
「ハプニング! いいねいいね。それこそ盛り上げるタイミングってことだねっ!」
 本来ならばにゃんこの力になってしまうペンキアートの上でオリフィスは舞い続ける。鮮やかな青が、オリフィスの小麦色の膚をより一層惹き立てているようだった。
「さあさあ、楽しんでこーよ! みんなも一緒に一緒に!」
 観客へ、視聴者へ、オリフィスが聲を上げれば、BGMさえ聞こえなくなるほどの熱狂が渦巻く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

早乙女・翼
鏡(f15406)と

いや、EXTREMEは流石に俺も無理。
…つーか鏡も絶対無理だろ(聞こえないようにぼそ)

何だろう、この無差別級デスマッチに挑むようなあの背中は。
楽しむだけじゃダメそうさね。少し気合い入れてガチで行くか。
軽く腕まくりして準備オッケー。
多少手荒い演技でも問題無いんだよな?と手首より炎鎖具現化。
羽根で宙を舞いつつ、長く変幻自在なリーチを活かし
鏡のフォローに入ってダイレクトにノーツに当てにいこう。
炎と刀、和の演舞と行こうじゃないか?

ああ、猫の知り合いは間に合ってるし。
全フォロバはしない主義なんだよな俺。
ひとまずスパム報告しとこうか
(と、どさくさに紛れて鎖で猫じゃらしからのペチリ)


四辻・鏡
翼(f15830)と

敵に煽られEXTREMEやる、とごねるが、翼に説得されて渋々難易度はそのまま
…おし、何でもやっていいんだな?
ならば、と愛刀を手に試合へ
私が一番集中出来んのは、やっぱコレしかねぇから
飛んでくるノーツを敵の攻撃と認識をすり替え、全てを早業で叩き斬る気で
認識を改めればてんてこまいの前のゲームから行動は一変、冷静に処理を分担
和の演舞、らしくていいんじゃねぇ?猛々しいのは嫌いじゃないぜ

あ?いいね?相互フォロー?
自分の人気上げたいだけの過激派チートは即リムブロする派なんで
ノーツ共々相手のいいねを剣刃一閃で両断
遅すぎて寝てんのかと思ったわ、もっと本気で来いよ?(調子が良いと逆に煽る)




 四辻・鏡(ウツセミ・f15406)が選び取った曲は、初戦と同系統の和風ロック。しかしまだバトルスタートには至っていない。先程のよりも更に重低音を利かせたハードなサンプル音が流れる中、白い指が何度も選曲画面の上を彷徨っている。
「HARDにするか……EXTREMEにするか……」
「ぼくたちはどっちでも問題ないのにゃー」
「どっちでも華麗に乗りこなしてみせるんだにゃー」
 ふふんと嘲笑交え煽るにゃんこ×2。何かがぷっつり切れた鏡の指がより凶悪な方へと――。
「待て待て待て待て」
 あわやパネルに指が触れるところを、早乙女・翼(彼岸の柘榴・f15830)がすんでのところで制止する。
「止めるな翼。挑戦を受けずして何がゲーマーだ」
「いや、EXTREMEは流石に俺も無理だから」
 ……つーかどう考えても鏡も無理だろ。聲に出さなかった筈の呟きは、しかし鏡もなんとなく察した様子で。
「だけど」と尚も食い下がろうとする鏡を、翼は尚もまあまあと宥めすかして。
「高難度が出来なくたって、パフォーマンスで勝てばいいさね。丁度怪人相手、何やっても大丈夫って話だし」
 ぴく、と鏡が眉を上げる。
「……おし、何やってもいいんだな?」
 低い聲が放たれた瞬間、周囲の空気が冷えたような心地さえした。名も無き愛刀を手に、ゴーグル装着した鏡はバトルフィールドへと降りてゆく。
「……何だろう、無差別級デスマッチに挑むようなあの背中は」
 或いは死地に赴く剣豪である。ぎらりと光る刀身で敵を斬り棄てかねない気迫。
「楽しむだけじゃダメそうさね。少し気合入れてガチで行くか」
 軽く腕まくりをしてにこりと笑む翼自身も、胸中で呟いたものである。
 ――多少手荒い演技でも問題無いんだよな、と。


「にゃっ!? なんだあいつら!」
「殺る気にゃ!? 殺る気なのにゃ!?」
 にゃんこ達が全身の毛を逆立ててビビったのも無理はない。迎え討つ猟兵が、太刀を構える女と炎纏う鎖持つ男だったのだから。
 だがいざバトルがスタートしてみれば、二人はあくまでルールに則った上で怪人とのバトルを繰り広げている。
「そっちも筆でノーツ取ってるみたいだし、文句は言わせないさね」
 宙を舞う翼が手を伸ばせば、日ごろは隠している手首の傷痕から具現化した戒めの鎖が皓々と燃えてはノーツを拾ってゆく。変幻自在な炎の乱舞を魅せる翼。
「炎と刀、和の演舞と行こうじゃないか?」
 ――なぁ、鏡?
「……私が一番集中出来んのは、やっぱコレしかねぇから」
 低く呟く鏡からは、日頃のゆるゆると粗略な雰囲気は微塵も感じられない。鬼を、いや龍を斬ったと伝えられる匕首に相応しい鋭い眼光がノーツを見据え。
 ――きん、と閃いた斬撃が、二つのノーツを同時に斬り伏せていた。
 それを目で追う事もせず、鏡は次の動作に移っている。力強く踏み込み、大上段から振り下ろす。薙いで、斬って。無駄のない動きは、まるでそれそのものが剣舞の如く。
「やっぱやるねえ。実はこういうの向いてたり?」
 翼が舌を巻く。専門外のジャンルのゲームとしてではなく、敵からの攻撃だと認識を改めれば、先程のてんてこまいが嘘のように冷静に盤面を把握しては立ち回っている。高いノーツや離れたノーツを無理に取りに行かず翼に委ねる役割分担と取捨選択のセンスも抜群だった。まさに背と命を預け合う戦友の如く、二人はスコアとゲージを高めてゆく。
「和の演舞、らしくていいんじゃねぇ? 猛々しいのは嫌いじゃないぜ」
「やっぱ気が合うさね。どう? UDCの機種でも一緒にワンプレイ」
 軽口を交わし合う余裕さえも生まれた二人に対し、にゃんこ達は悪戦苦闘中。
「こーなったら必殺技にゃー!」
「ジャストシュートといいねを食らうにゃー!」
 投げキッスのような動作と共にぱちりとあざとくウィンクすれば、強制相互フォローに爆破のおまけまでついたハートマークが飛んでくる。
「あ? いいね? 相互フォロー?」
 鬱陶しそうに眉を寄せた鏡が、太刀を構え直す。
「自分の人気上げたいだけの過激派チートは即リムブロする派なんで」
 ゲーム界隈に限らずどの業界にもいるんだよなー。参っちまうぜ。翻らせた刃がノーツごといいねを一刀両断。
「あああああ……!」
「遅すぎて寝てんのかと思ったわ。もっと本気で来いよ?」
 先程の仕返しとばかり、煽って煽って煽りまくる鏡であった。
「俺も全フォロバはしない主義なんだよな」
 真っ二つのハートへと鎖が伸びる。紅蓮の焔が押しつけがましいそれを跡形もなく焼き尽くし浄化した。
「それに、猫の知り合いは間に合ってるし――ひとまずスパム報告しとこうか」
 言いながら、鎖の先端をふよふよと不規則に揺らす。猫じゃらしのような動きをたまらず目で追うにゃんこ。隙だらけの脳天を勢いつけた鎖がペチリ。にゃんこ経営のカフェに身を置く翼にしてみれば、にゃんこというだけで猫可愛がりされてフォロワー爆上がりなんて考えていそうな奴にはちょっぴりお灸も据えたくなるというものである。
「いいぞー! 炎使いのにいちゃーん!」
「SAMURAI! SAMURAI GIRLだ!!」
 猟兵の強さを遺憾なく発揮したパフォーマンスにいいねも爆上がり。大差をつけて鏡・翼チームの勝利となった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

萬場・了
蛟羽(f04322)と
選曲ランダムか
知らない曲はそっとスマホで情報収集

ノーツ以外に相手の攻撃にも注意だったな
動ける蛟羽が狙われやすいだろうが、あの程度は避けられるはず
それなのに、咄嗟に庇っちまったのはどうしてだ
いや、これはそう、演出だ。ピンチな方が燃えるだろ?

くっ、このままじゃ怪人にやられちまう!
応援があれば、まだ見せたことがねえ“あのワザ”が使えんのに!
全力のパフォーマンスで会場を煽る

きらきらにしてやるから俺を放すなよ
先程調べたアニメ画像通りのステッキに変身、蛟羽を強化
変身中の攻撃はご法度、超エネルギーで効かねえのが常識!
今更フォローなんて遅れてるぜ
こちとらUDCでバズった伝説のランカーだ!


未不二・蛟羽
了さん(f00664)と
なんでもアリって感じになってきたっすね、面白そうっす!
曲はランダムをポチったらどこかで聞いた魔法少女アニメの主題歌に

いつも通りにスタートダッシュをかけたところで、敵に狙われ
庇った了さんの様子に動揺し、フォローしようとするも調子を崩し
が、皆の励ましと変身アイテムを受け取り奮い立ち

俺…やるっす、皆をきらきらにするっす!

キラキラキマイラクリティカル!ウェイクアップ、マジカルフォーム!

台詞と共に何故かCipher Sky Bloomを着た魔法少女に変身
UCで飛び回って二人分のノーツをアクロバティックに拾い踊って、風の弾丸でペンキを吹き飛ばし
アートより俺達のダンスを見ろーっす!




「何でもアリって感じになってきたっすね、面白そうっす!」
 未不二・蛟羽(花散らで・f04322)は過去の記憶を持たぬキマイラだが、怪人が現れようと楽しんでしまう気質はこの『楽園』に棲む同族と通じるものがあるかもしれない。
「ねえねえ了さん、折角なら運を天に任せてランダム選曲ってどうっすかね?」
「ああ、いいんじゃないか」
 頷く萬場・了(トラッカーズハイ・f00664)。パネルのRANDOMと書かれたボタンをタッチすれば、ルーレットのようにくるくると曲のジャケットが回り回って――止まったその曲は。
「ふたりはキマキュア……?」
 ワールドフリーなスマホでそっと検索すると、それはキマイラフューチャーで小さな女の子から大きなお友達にまで大人気の変身魔法少女モノの主題歌らしい。
「俺らが魔法少女かよ」
 なるほど確かに面白くなってきたな、と皮肉を交えて笑みを漏らす了なのであった。
「どんな曲だって俺と了さんなら余裕っすよ♪」
「それはこっちだっておんなじだにゃ! なぜなら!」
「魔法少女とマスコットキャラは切っても切れない存在だからにゃ!」
 二匹のにゃんこが短い前脚と後脚で決めポーズらしきものを取ってみせた。さて、勝負のゆくえや如何に!


「最初からフルスロットルっすよ!」
 イントロからタイトルを連呼するきゅあきゅあな音楽に合わせ、蛟羽がスタートダッシュを決める。ハッピーフィートのステップから鮮やかなトリック。
(「ノーツ以外に相手の攻撃にも注意だったな」)
 一方、前回同様堅実なプレイを心掛けながら、了は相手の様子を伺う。にゃんこ達が蛟羽の方をちらちらと見ては視線を交わしていた。なるほど、動ける方を潰しにかかるつもりか。
 複雑なステップをこなす蛟羽目掛けてにゃんこのジャストシュートが放たれた。だがあの程度なら避けられるだろうと、了は思考する――思考した、筈だった。
「っ、了さん!?」
 ステップを切り替えるタイミングを狙われた蛟羽の貌が僅かながらに強張ったのを見止めた瞬間、身体の方が飛び出していた。直撃を受けた了の身体がぐらりと傾ぐ。
「そんな、どうしてっすか……!」
「いいから、続けろ」
 俺に構うなと言外に告げていた。ゲームはまだ終わっていない、と。
「そ、そうっすね!」
 欠けた分をフォローしようと必死に立ち回る蛟羽だが、動揺に心を支配された彼からは先ほどの勢いが消えている。
「これは勝利いただきにゃね」
 にゃんこの呟きが、いやにはっきりと聞こえた。
「くっ、このままじゃ蛟羽までも怪人にやられちまう!」
 ぎり、と了が唇を噛む。ヒーロー達のピンチに観客席がざわついた。
「応援があれば、まだ見せたことがねえ"あのワザ"が使えんのに!」
 何故かやたら大きな聲だった。
「応援? 応援があればいいんだね?」
「よーっし、負けるなー! 二人ともー!!」
「がんばれー!! キマキュアみたいにピンチを乗り越えるんだー!!」
 自分たちがヒーローのピンチを助けられるというシチュエーション。そしてなにより"見た事のない演出"を求めて聲を張り上げるキマイラ達。全力のパフォーマンスが成功した事に、了は満足げに唇の端を吊り上げるのであった。咄嗟に庇ってしまったのまで含めて演出なのかは、本人のみぞ知る所であるのかも知れないが。
「ああ……皆の想いが流れ込んでくるのを感じるぜ」
 それらしい台詞と共に、了が蛟羽を見た。
「きらきらにしてやるから俺を離すなよ」
 言葉はそれで充分だった。全てを理解したとばかりに蛟羽は頷いた。
「俺……やるっす。皆をきらきらにするっす!」
 了の身体がきらきらと光を帯びて変化してゆく。おおおおと観客席がどよめいた。それもその筈、今の了の姿はキマキュアに登場する魔法アイテム『トゥインクル☆ステッキ』そのままだったのだから!
 休日の朝でもこれがあるから起きられる、素敵な魔法。そしてそのステッキを手にした蛟羽は。
「キラキラキマイラクリティカル! ウェイクアップ・マジカルフォームっ!!」
 無垢な羽を宿したひらひらな戦闘ユニフォーム(この日の為にふりふり度三割増し)に身を包んだ魔法少女に変身していたのである!
「えええっ、かわいい」
 小柄で幼さも残る容姿。何の違和感もなく魔法少女をこなしてみせた蛟羽が、ステッキから放たれるキラキラを纏いながら猛烈な速度でノーツを拾ってゆく。頭数の減少もなんのその。相棒と皆の想いを背負った魔法少女は無敵なのだ!
「こうなったら邪魔してやるにゃー!」
「邪魔してやるのにゃー!」
 いいね爆弾とペンキが同時に魔法少女を襲う。ふたたびピンチ!
 ではなかった。ペンキは蛟羽の放つ風の弾丸に吹き飛ばされ、いいね爆弾は無効化された。何故か。了のUCが無敵の効果を持つから……などと野暮な事を云ってはいけない。想いの強さでフォームチェンジしたヒロインは無敵と相場が決まっているからである。
「アートより俺たちのダンスを見ろーっす!」
 変身前のパワフルさに加え、あざと可愛らしさを意図的に織り交ぜたダンスでノーツを拾う蛟羽の手元、ピンクの星を模ったかわいらしいステッキは不敵に嗤うのであった。
「――今更フォローなんて遅れてるぜ」
 こちとらUDCでバズった伝説のランカーだ。チェックが甘いんだよ。
「にゃっ!? 魔法少女ごっこしてるふざけた兄ちゃん達じゃなかったのにゃ!?」
「そんなばかにゃ! 相手が悪すぎにゃ!」
 失礼な悲鳴と共に、にゃんこたちの大敗は決定したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パウル・ブラフマン
EX…やっべテンション高まってきたァ!!

楽曲ジャンルはこの『パーカッシヴ』で♪
ノーツの速度が変更できるなら
あ~れ~触手が滑ったのテイで最高速度にしとこっと☆

にゃんこくんがいいねを飛ばしてきたら
【カウンター】の要領で
UC発動―相互フォローありがとうございまァァす!(爆破)

ココで追加【パフォーマンス】!
繋いだ鎖を縄跳びヨロシク跳びながら
高速で流れてくるノーツを
日頃鍛えた動体視力で補足していくね♪
にゃんこくんも一緒にぴょんぴょんしちゃう?

にゃんこくんが疲れてそうだったら
大丈夫?と優しく声掛けを。
平気アピールが返ってきたら
わかったー!とジャストシュートをぽいっとな~☆

終演後は観客席にぺこりとお辞儀を!




「これでも喰らえにゃー!」
 いいね爆弾を飛ばすにゃんこに、すかさずカウンター気味にパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)が反撃する。
「やったァァ相互フォロー(物理)ありがとうございまァァす!!」
 ズガァァンと爆発する鎖。繋がれたリムれない仲。
「ハイスピの件といいキミは何考えてるにゃー!?」
「ホントにごめんね、お詫びに一緒に楽しも?」
 青ざめるにゃんこ。にっこり笑顔を崩さないパウル。
 ――果たして、彼らに何が起こったのか。

 時は曲選択時に遡る。
(「EX……やっべテンション高まってきたァ!!」)
 そんな胸の裡を隠しながら、パウルは朗らかな笑顔で質問する。
「ねえ、このハイスピードってやつはどういうモノなの?」
「ふっふー、なァんだ初心者にゃか」
 常識にゃ、とにゃんこがひげをピンとさせて胸を張る。
「これはにゃ、譜面のスクロールする速さを変えるものにゃ。リズレクでは対戦相手のにも干渉しちゃうから基本的にご法度で」
「あ~れ~触手が滑っちゃったァァ!!」
 パウルの腰辺りから生えている触手がパネルをタッチ。最高速度を設定していた。
「嘘にゃ! ぜってー嘘にゃ!!」
 ごめんごめんと触手をしなしなさせて謝るパウル。
 ずぶのド素人がやったことだ、仕方にゃい……そう納得しようとしたにゃんこは、VR空間に流れ込んできた軽快な音楽ににゃんっと尻尾を膨らませてビックリ仰天。
「ソフランで有名な曲にゃ!? これを最高速度でやるって気が狂ってるにゃ!」
「ソフランってなーに?」
 にゃんこがすっかり動揺中なので代わりに説明しよう! ソフランとは曲の途中でスクロール速度に変化を伴うものである!
 ――因みにパウルが選択した曲は、全体的にはミディアムなテンポで展開されるが、半ば数十秒ほど速度が二倍になる、エグいやつである。

「ほんっと、初心者ってヤツは困るのにゃ……」
 動体視力の限界に挑戦させられるような濁流に必死こいてくらいついていたら、今度は鎖である。これで綱引き勝負にでも持ち込まれたら体格差的に敵う訳がないと戦慄したにゃんこだが、彼にそのつもりはないらしい。
 だがその代わり。
「アハッ☆これ楽しいよ。にゃんこくんも一緒にぴょんぴょんしちゃう?」
 繋いだ鎖で縄跳びしたり、パフォーマンスなのか純粋に楽しんでいるのかいまいち読めない相手ににゃんこは溜息。
「やらないにゃ! ……まあいいにゃ、こっからの高速地帯で爆死するがいいにゃ」
 にゃんこの言葉を皮切りにスクロール速度が急激に早まる。自分も死ぬが相手はもっと死ぬに違いないとほくそ笑むが。
「おい、あれ見ろよ」
「うっそあの兄ちゃんヤバくない?」
 観客の反応に恐る恐る相手を伺えば、パウルが超高速の濁流にばっちり食らいついているではないか!
「にゃーーーー!?」
「えへへ、動体視力にはちょっと自信あるんだ!」
 ちょっとどころではない超絶技巧。合間合間に触手くんが楽しいパーカッションアドリブを挟むことも忘れない余裕っぷりである。対照的にぜーはーバテ気味のにゃんこにパウルは優しく聲をかける。
「にゃんこくんは大丈夫?」
「こ、このくらいなんでもないにゃ」
「さっすがー! じゃあまだまだ楽しめるね☆」
 ぽーいと投げられたジャストシュートににゃんこはとうとう地に沈んだのであった。

 大勝利を収め、応援してくれた観客席にぺっこりお辞儀するパウルを見、にゃんこは思ったという。
 ――真に恐ろしいのは天然にゃ。でも、あいつはどこまで狙ってやってたのにゃろ?

大成功 🔵​🔵​🔵​

亜儀流野・珠
怪人が怖い? 俺がついているだろう!
……なんて励ましは要らんようだな?(皆の様子を見て)
俺も全力で楽しむぞ!

曲は……この男ボーカルの熱い曲にしよう!
ジャケの赤髪男が炎使いなのが俺にぴったりだ!

プレイ方針は前回と変わらず格闘スタイルだ。
派手に動き回りながらノーツを攻撃、ジャストはノーツ密集地帯に合わせ撃つ!
加えてUCの狐火を攻撃ではなく演出として使わせて貰おう!
炎を纏い、散らしながら派手にプレイだ!
ノーツが少ない地帯では炎を撒きつつ派手に舞い、観客を楽しませるとしよう!

相手が何か仕掛けてくるかもしれんが曲と演舞に集中することで対処としよう。
猫よ、曲に集中せずにスコアガッタガタになっても知らんぞ?




「えっ、怪人が怖い?」
 ばっかお前達そんなの――と何故かドヤ顔になる亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)。
「俺がついているだろう! ……と言おうとしたが、ふむ。そんな励ましは要らんようだな?」
 きゃあきゃあと今まで通り、どころかむしろ怪人が現れてからの方が余程熱烈に声援を飛ばしている観客達を見て満足そうに珠は笑んだのだった。
「頼もしいやつらだ。俺も全力で楽しむぞ!」
 声援の熱さに応えて俺もアツい曲を選ぼう! と珠が選曲したのは熱血ボーカルが印象的なハードロック。アニメの主題歌といっても違和感のない曲を象徴するように、ジャケットには紅き焔を操る男性のイラストが描かれている。
「うむ、俺にぴったりだな!」
 妖狐の炎纏いながら珠がステップを刻みだす。
「炎使いにゃか。負けないにゃ」
 にゃんこの持つ巨大な絵筆の塗料が色を変えていく。一体どういう仕組みなのか、鮮やかな青から炎を思わせる真紅に。
「どっちの炎がアツいか勝負にゃ!」
「望むところだ!」
 塗料を撒き散らすにゃんこ。すぱぱぱんと飛び散ったそれもノーツを取るのに一役買っている。
「おおっ、あの猫器用だな」
「狐の女の子も負けてないぜ」
 腰を深く落としての重い拳。軽快なサマーソルトキック。格闘の動きでノーツを捌くのは先ほどと変わらないが、今の珠は熱き焔を纏っている。判定の度に弾ける焔はタイミングが合えば合うほどあかく燃え上がる。
 更には曲がボーカル主体で楽器の音が静か――つまりノーツの音が少なくなりがちな地帯では、その焔がひときわ燃え盛っては舞う珠を観客達に印象付けてゆく。
「いいねー、焔の曲に焔のパフォーマンス!」
 にゃんこ怪人が一歩リードしていたいいねはここで一気に珠に傾く事になる。ぐぬぬ、と唸る猫。
「なかなかやるにゃ……」
「ふふ、ノーツだろうと運命だろうと俺の炎で浄k」
「それ以上は色々な意味で危険にゃ! やらせないにゃ!」
 にゃんこが筆を構え直す。不思議な塗料で空中に描き出すのは炎を纏ったにゃんこの姿。
「お山がふたつーありまして♪ ふもとにお池がありまして♪」
 歌詞の制度はさておき、シンプルで真似しやすく可愛いイラストと歌声はアーティストを自称するだけのことはある。現に観客席のキマイラ達の何人かはにゃんこの歌声を復唱しながら空中で指を動かし始めている。
「さぁさぁ、この歌の魅力に抗えるかにゃ?」
 自信満々に珠を見遣るにゃんこ。だが珠は意に介さずひたすら自分のプレーに集中している。
「何でつられないにゃ。こうなったらもう一回にゃ」
「――猫よ、そんな事をしていていいのか?」
 再び絵描き歌を始めるにゃんこに、珠は八重歯を見せて不敵に笑んだ。
「にゃ……?」
 訝しげな様子でスコアを見るにゃんこ。先程までは迫り合っていたスコアが、いつのまにか珠に大差をつけられて負けているではないか。
 それもその筈である。ひたすら集中しにゃんこの妨害をシャットアウトしていた珠に対し、にゃんこといえば妨害に夢中で本来優先すべきプレーを疎かにしていたのだから。
「し、しまったにゃ」
「ふふん、音ゲーには魅力的な曲がたくさんあるんだ。そんな歌で俺を釣ろうなんて二十年は早いぞ!」
 密集地帯に紛れ込ませるように、珠のジャストシュートが放たれる。ひたすら炎と共に派手なプレイスタイルを繰り広げていた珠の隠密技ににゃんこは対処しきれない。
「はっ、そ、その通りだな!」
「あの絵描き歌よりもこの曲の方がよっぽどイカしてるもんな!」
 ピヨるにゃんこ。我に返るキマイラ達。
 こうしてキマフューの民たちはにゃんこの絵描き歌に毒される事無く、珠の勝利も決定的なものとなったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『10111・606『め皿め』』

POW   :    コッチ見て? ファンサしてあげる♡
【盛り盛りのデカ目 】から【きゅ~となウィンク】を放ち、【魅了状態の心酔感】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    オロナミン~?
【映える自撮りを撮る 】事で【あげみざわモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    ラビちゃんに埋もれちゃえ!
自身が装備する【🐰ちゃん人形 】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。

イラスト:里麻りも子

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はメルヒェン・クンストです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「え~~~~~あいつら全員やられちゃったの~~~~~~~ウケる~~~~~~~~~」
 鈴を転がすような少女の聲。愛らしいソプラノヴォイスとはやや不釣り合いな挑戦的な物言い。
 キマイラフューチャーらしいカラフルファッションに身を包んだうさみみパーカーの少女。元の造形が分からなくなるほどのゴン盛りメイク。ぱちんとウィンクした眸は右と左で色が違う。これですらカラーコンタクトの人工物なのではと思わせるほどに、彼女は『造りこまれて』いた。自分がカワイイと想えるものに。自分が楽しいと信じられるものに。
 その証拠に、彼女のきゅ~とすぎるウインクに何人かのキマイラがぐらりと卒倒した。ざわつく観客席に手にしたぬいぐるみ『ラビちゃん』の手をばいばい、ふりふりしつつ。
「猟兵さんたち、前出てきなよ。順番に相手したげる」
 挑戦的な物言いとは裏腹に、彼女はブーツを脱ぎ、動きやすいスニーカーに履き替えている。そのスニーカーも、勿論衣装と調和するカラフルポップな一品である。効率を重視する時も、お洒落には決して手を抜かない。
 絶妙な塩梅で覗かせる『根は努力家』というアイコンですらギャップ萌えを狙ったアクセサリーなのかも知れない。だからこそ彼女は観客を魅了してやまない。ゲームの腕前は未知数だが、パフォーマーとしては手ごわい相手間違いなしだ。

「あたしVS猟兵全員! スタミナには自信あるしィ、連戦連勝間違いなし?? コレでアタシが優勝してバズれば皆の支持は一気に怪人に傾いちゃうかも?? んふふ、ブチあげてこ~☆」
 くるんと実況へと向き直る怪人。
「――ってのどうかなァって思ってるんだけど、いいよね?」
 お気楽な言葉と、きゅるるん☆とあざとい口調とは裏腹に、邪魔する奴は決して許さないと色違いの眸が告げていた。

====================
 第三章受付:03/15(日)朝8:31~
 終了日時はMSページにてお知らせします。
====================
スフィア・レディアード(サポート)
『皆さん、頑張りましょう!』
 ミレナリィドールの妖剣士×鎧装騎兵、19歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(私、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は元気で、楽しい祭りとかが好きな少女。
武器は剣と銃をメインに使う。
霊感が強く、霊を操って戦う事も出来る(ユーベルコード)
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


大豪傑・麗刃(サポート)
基本右手サムライブレイド(固定)+左手フライングシャドウor脇差(にしては大きすぎるバスタードソード)。
【スーパー変態人】【2】使用時は右手サムライブレイド+フライングシャドウ、左手バスタードソード+ヒーローソードの四刀流。
上記を装備していない場合は適当に。

で真っ向から行くだけなのだ。

ユーベルコードはMS様にお任せしたいが、決まらなければ下記参照

ネタ可なら
可能な限り【ネタキャラとしての矜持】
精神攻撃より直接ダメージが望ましければ【鬼殺し】【変態的衝動】
変化球なら【ギャグ世界の住人】【自爆スイッチ】【零距離鬼神フラッシュ】

ネタ不可なら【スーパー変態人】【2】
それもネタだというなら【剣刃一閃】




「強敵が現れたって聞きました。皆さん、一緒に頑張りましょう!」
 ぐっと拳を握って気合を入れて。
 新しく転送ゲートを通って助太刀に来たのはスフィア・レディアード(魔封騎士・f15947)。燃えるような赤橙の髪と瞳を持つ元気なミレナリィドールの女性である。あどけなさの残る顔立ちと天真爛漫な立ち居振る舞いは、少女と形容しても差し支えない愛らしさ。
 そんな彼女だが、ひとたび戦闘となれば剣と機械に加え魔術も操る才女でもある。その応用力を武器に、どんな相手でも助太刀に参ります♪ ……と、勇んで出撃してきたわけであるが。
「でも、今回は純粋な怪人退治ではないのですね」
 ユーベルコードをを用いてのバトルという点では変わらないが、此度の戦場はVR空間。競い合うのは敵を斬る代わりにノーツと呼ばれるオブジェクトを捌く『音ゲー』であり、奪い合うのは命ではなくスコアなのだという。
「それも面白いかも! 私、楽しいお祭りとか大好きなんです」
「へえ、お姉さんが今回の相手?」
 きゅるん★とあざといポーズの奥、油断ならない色違いの眸が新参者を見る。
「宜しくお願いします!」
 ぺこりと礼儀正しくお辞儀をするスフィア。戦いの火蓋が切られたと思われたその時!
「ちょーっと待つじょー!!」
 閉じかけた転送ゲートからズサァァッとスライディング気味に飛び込んできた者があった。三つ編みにジャージを羽織った和装(?)の剣豪である。
「なっ、何!?」
「ふー、危なかったのだ。もう少しで次元と次元の間に挟まって大変な事になるところだったのだ」
 額の汗を拭う大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)の後方では、今まさに転送ゲートが完全に閉じていくところだった。何故そんなスレスレを狙ったのか。
 答えは至極簡単。いついかなる時も、ネタキャラとは身体を張ってナンボだからである!
「音ゲーだか乙ゲーだかはわからないが、麗ちゃんに不可能はないじょ! きみなどわたしが刀の錆抜き中トロになってやるのだ!」
 えっへんと胸を張る麗刃。
「……あなたが、中トロに……?」
 きょとんと首を傾げるスフィア。その聲で同胞の存在に気づいた麗刃がおお、と振り向いた。
「きみも猟兵だな? わたしは大豪傑・麗刃。お気軽に麗ちゃんと呼んでくれて構わないぞ」
「はい、麗ちゃんですね。私はスフィア・レディアードです」
 赤髪のドールも素直に頷いて自己紹介。
「うむ。……ところできみも助太刀組と見た。ここは初参加同士、ダブルスで挑むというのはどうだろう?」
「それは良いですね! 一緒に頑張りましょう!」
「ふーん、どっちでもいいけどォ」
 意気投合するスフィア達を横目に、JK怪人がサイドの毛をいじりながら息を吐く。
「どっちでも、あたしの勝ちは決まってるしー?」
「負けませんよ!」
 VR空間へ突入する専用ゴーグルを装着するスフィアの聲は、心なしか弾んでいたという。
 オブリビオン退治は大切な仕事。だがそれ以上に、楽しいことが大好きなスフィアであるからして。


 VR空間に流れ出したのは軽快なエレクトリック・ラグタイム。この世界の時間軸では遥か昔に流行った音楽は、それを生んだ人類たちが滅んでもこうして受け継がれている。革新を愛するキマイラ達によってアレンジを施されながらも。
「一人対二人……私たちの方が有利かと思ったら、そうでもないみたいですね」
 シンセサイザーの音に合わせて迫るノーツを妖赤の憑依霊たちと協力して打ち払いながら、スフィアが零す。
 ボス怪人は一人。シングルVSダブルの特別ルールとして、こちらのみノーツが倍になる措置が取られている。勿論スコアの最大値やジャストゲージの上昇率も変わらない。
「ですが、二人にしか出来ない戦略があるはずです!」
 ね、麗ちゃん――そう同意を求めるスフィアだったが。
「おに~さん、あたしのファンサ受け取って~★」
「ぐなッ!!」
 麗刃はきゅるるん★とあざとい萌えポーズから放たれた怪人のウインクにハートを射抜かれていたところだった。
「麗ちゃーん!?!?」
 漫画のような鼻血スプラッシュと共に麗の身体がぐらりと傾ぐ。どっと観客席から笑いが起こる。そのまま斃れるように見えた身体が――踏みとどまった。
「なに?」
「くく、ふはは、仕込んでおいた甲斐があったじょ」
 種明かしとばかりに血糊のボトルを掲げ、麗刃がギザ歯見せて悪い笑顔を浮かべる。笑いを取るためならば隙も不利もなんのその。どころか衝動の前にそれを力としてみせる。ネタキャラとしての意地である。
「わ、わざわざそんな事――おにーさん、変わってるね」
「変人も変態も誉め言葉なのだ! パワーアップした麗ちゃんの真骨頂をとくとご覧あれーなのだ!」
 増大した身体能力でしゅばばばばばとノーツを捌いて捌いて捌きまくる麗。見た目こそ珍妙だが、その技巧は誰しも認めざるを得なかった。
「私も負けていられないですね! 行きますっ!」
 曲はラストスパート。盛り上がりに合わせて一気にノーツの密度が跳ね上がる。麗刃が切り拓いたスコア差をそのまま維持して逃げ切るように――スフィアが仕掛ける。
 スフィア自身が手にした魔剣でノーツを斬ると見せかけてからの、妖しい輝きを纏った赤き憑依霊が放つフェイントの弾き技。
 対戦相手に『攻撃』を仕掛ける事が出来る音楽ゲーム。その極意、ジャストシュート。
「ぴえん」
 美しい軌跡を描いて怪人にヒットしたそれが彼女の身体を痺れさせ、動きを止める。
『稼ぎどころ』を逃してしまった怪人は、大差をつけてスフィア・麗刃ペアに敗北する事となった。
「すごいすごい! 麗ちゃん、お疲れ様です!」
「きみこそ凄かったのだ。またどこかで逢ったらその時は宜しくなのだ」
 共闘を切り抜けた二人は、笑顔で勝利のハイタッチを交わしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

御剣・里佐
【マギアルツインズ】
ええ、それが不可能な点を除けば、ですわ
さぁブル―、最後まで楽しみつつ私達の全力を見せつけてやりましょう!

ゲームでこの魔法(UC)を使うのは気が引けますが…これも対等に戦う為
ですがこれを使う以上…難易度とギアを上げていきますわよ?ついてこれますかしら、ブルー!

赤き魔法の力を乗せて、マギアルレッド、ここに見参ですわっ!『マギアルヒーロー』!

ノーツを"見切り"、力強く叩きつつコンビネーションパフォーマンスで視線を"おびき寄せ"て"存在感"を示しますわ!
妨害なんていう小細工は無しですわ、ヒーローらしく真正面からこのゲームで勝って見せますわよ!

※協力・アドリブ歓迎


武弓・祐里
【マギアルツインズ】
はいはい、わかりましたよレッド…やってやりましょう
この時間を最後まで楽しませてもらいますよ!

ま、ここで発動させる魔法(UC)はこれしかねーですよね…!
レッドこそ、腑抜けていると私がカメラを独り占めしやがりますからね…!

青き魔法の力を借りて、マギアルブルー、ただいま参上ですよ!『マギアルヒーロー』!

ノーツを"見切り"、素早く叩きつつコンビネーションパフォーマンスで視線を"おびき寄せ"て"存在感"を示しますよ!
全力全開、パーフェクトを目指すだけではなく、実際に戦っているような動きで派手に行きましょう!

※協力・アドリブ歓迎




「さぁブルー、最後まで楽しみつつ私達の全力を見せつけてやりましょう!」
「はいはい、わかりましたよレッド……ここまで来たらってやつでやがりますね」
 レッドこと御剣・里佐(マギアルツインズ☆マギアルレッド・f19561)が優雅に宣言すれば、ブルーこと武弓・祐里(マギアルツインズ☆マギアルブルー・f19562)がテンション低めに聲を返す。
 一見対照的に見える二人だが、ヒーローとして平和の為に活動する彼女達の心はひとつ。
「――やってやりましょう。この時間を最後まで楽しませてもらいますよ!」
「ふふ、そうこなくては!」
 視線を交わして頷き合い、挑むは此度の騒動を巻き起こした張本人。
「ヒーローだろうがなんだろうが、あたしの敵じゃないって感じー?」
 人工物めいた色合いと造形の髪を丁寧に整え、『映える』準備バツグンの怪人である。
「正々堂々叩きのめしてあ・げ・る」
「それはこちらのセリフです」
 それぞれにVRゴーグルを装着し、みたび降り立つバトルフィールド。
 怪人を意識したカラフルな電子空間に、二人のヒーローを意識したアメコミ風の重厚なロック・サウンドが鳴り響く。
「最高のステージに致しましょう!」
 自慢の縦ロールをくるんと揺らし、レッドが宣戦布告。
「望むところォ♪」
 イントロのノーツがない合間に、怪人がグロかわいい特製デコのスマホを掲げる。怪人と同じ二色の瞳が光るそれのインカメラで最高に映える写真を取れば、高揚感からいとも簡単に身体のリミットが解除される。
「んー、今日のあたしも最高にかわいい♪ さあさあ猟兵かかってきなさい!」
 一歩、踏み込んで身を躍らせる。彼女が舞うたびに色とりどりのツインテールとPUNKなうさみみがくるくる揺れて。
「めっっちゃかわいい」
「それにダンスも巧くね??」
「ファッションもかわいい。真似したい!」
 自分が最高にカワイイ瞬間を熟知している彼女のパフォーマンスに、キマイラ達の眼は釘付けだ。
「これは負けていられませんわね」
 レッドの口ぶりは焦りというよりも、好敵手を見つけたヒーローのそれであった。弾むこころを隠しもしない、好奇心に満ち溢れた少女のそれ。
「ま、ここで発動させる魔法といえばこれしかねーですよね……!」
 舞うような動きでノーツを弾きながら、ブルーが目配せする。
「ゲームでこの魔法を使うのは少々気が引けますが……これも戦う為、ですものね」
 ですが、とレッドは付け加えた。
「――ついてこれますかしら、ブルー?」
 既に難易度は最高設定。『ボス戦』に相応しいステージならば、二人の持つマギアルギアも回転速度を増してゆく。振り回されないようにしてくださいませねとレッドが笑めば。
「当然です」
 間髪入れずブルーのいらえ。
「レッドこそ、腑抜けていると私がカメラを独り占めしやがりますからね……!」
 言葉を交わす間も、ノーツを捌く動作に狂いはない。何よりもコンビネーションが優先される戦場を駆け抜けてきた彼女達だからこそ。
 そして曲が一瞬静寂するそのタイミングで。赤と青、ルビーとサファイア。ふたつのギアがますます激しく回転し、彼女達の力を引き出してゆく。
「なっ、何!?」
「赤き魔法の力を乗せて、マギアルレッド、ここに見参ですわっ!」
 レッドがひときわ高らかに名乗りを上げれば、彼女の後ろで赤い光が爆ぜる。
「青き魔法の力を借りて、マギアルブルー、ただいま参上ですよ!」
 ブルーが少女らしい声を張り上げれば、彼女の後ろで青い閃光がひらめく。
 ――そう、彼女達は。
「「『マギアルヒーロー』!!」
 二色の光が混ざり合ってはまたたいて、ヒーローの登場を観客に印象付ける。
「おお、あっちもすごい!」
「正反対の女の子ふたりのヒロインっていいよな……」
「お褒めに預かり光栄ですが」
 たん、とレッドが力強く地を蹴って。
「私たちは」
 とん、とブルーが軽やかに宙を舞って。
「ヒーローですわ!」「ヒーローです!」
 直後、戦場は彼女達のものとなった。力のレッドに技のブルー。好対照な二人が抜群のコンビネーションから繰り広げる技の数々に、観客は魅了され、熱狂的ないいねコールが起きる。
「――うっそでしょ、このあたしが圧倒されるなんて!?」
 1VS2の特別ルールとして、マギアルツインズ達の方のみノーツ数が二倍になっている。息を合わせなければ却って不利にもなる構成を、二人のヒーローは手を取り合って乗り越えていた。
「楽しいゲームイベントをむちゃくちゃにするという魂胆は頂けませんが、正々堂々と勝負をなさるあなたのこと、気に入りましたわ」
 畳みかけるような乱打を正確に弾きながら、レッドが不敵ともいえる笑みを浮かべた。
「ですから私達も、妨害なんていう小細工は致しません。ヒーローらしく真正面からこのゲームで勝ってみせますわよ!」
「勿論です」
 タイミングを崩させるトリッキーなリズムにも、ブルーは一切動揺を見せない。そのすべてを完璧なタイミングで射抜いてみせながら。
「これは紛れもなく、私達の戦い。――派手に行きましょう!」
 ほんの少し逸らしたブルー視線。現在のスコアは怪人もマギアルツインズもノーミス進行。ならば。
「このまま逃げ切りやがりますよ! 目指せパーフェクトです!」
 無数の雑魚を蹴散らすような動きでブルーが身を躍らせた。格闘めいた派手な動きがノーツを蹴散らす。
「今日の必殺技は一味違います「わ」「よ」!」
 息を合わせたジャストシュート。二色の光が猛烈な速さで怪人を襲う。
「うそでしょ~~~~~~!?!?!?」
 やってらんなァい、とどこか暢気な悲鳴と共に、怪人がその動きを止めたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天道・あや
全員。あたし達全員。マジで?…凄い自信だね!?よし!受けてたつ!youのその壁のように高い自信と実力、越えてみせる!!声よし!足よし!あたしよし!ミュージック、スタート!

ファイナルの選曲は【相手の選んだ曲】!相手と同じステージで勝負!!相手の方が地の理、有利かもだけど…それでもこれでいく!

相手が仕掛けてくるまでゲームに集中!【ダンス、パフォーマンス【そして、相手がUCで妨害してきたらこっちもUC発動!【歌唱】敵の攻撃を避けたり、掴んで相手に投げ飛ばす!【見切り、グラップル、手を繋ぐ】

そしてUCを使うというそとは少なからずゲームから目を離している筈…!そこを一気に…攻める!ジャスト…シュート…!




「……全員」
 ぱちくりと天道・あや(未来照らす一番星!・f12190)が目を瞬かせる。そう、確かに今、怪人はそう云った。全員かかってこい、と。
「マジで? ……凄い自信だね!? よし! 受けて立つ!!」
 その大胆不敵、傲岸不遜といってもいい怪人を前にしても、あやは臆するどころか楽しげに笑ってみせた。だって実際楽しいのだ。あやの夢は只のアイドルや歌手ではない。誰かの一番星になれるような、そんなスタァなのだ。ならば、ハードルは高い方が楽しいというもの!
「youのその壁のように高い自信と実力、越えてみせる!!」
「へーぇ?」
 きゅるるんとあざとく小首を傾げながら、挑戦的な眼差しを向けてくる怪人。
「あたしに勝てると思ってるの?」
「もちろん! ……そうだなー、曲はyouが決めていいよ。何でもばっちりこなしちゃうし!」
「あんたこそ大した自信じゃん」
 面白い、と眼を細める怪人を見て、あやもまた笑みを深くしたのだった。
 相手の方が有利なステージになるのかも知れない。それでもこれで行きたいと思う、意地と矜持。
「声よし! 足よし!」
 ひとつひとつ確認するように聲をあげて、前を向く。紫の瞳のその奥に、希望の光が一番星のようにきらきらと輝く。
「……あたしよし! ミュージック、スタート!!」


 流れるのはミディアムなテンポのバブルガム・ダンス。ポップなユーロに澄んだ女性ヴォーカルが乗るキャッチーなナンバーだ。
 それそのものがつくりものじみた怪人の容姿は、電子音楽によく似合う。軽快なステップからくるんと身を翻せば、色とりどりの髪が電子空間に美しくきらめく。
「やっぱあの怪人かわいいよなぁ」
「ヒーローだって負けてないぞ!」
 対するあやは、艶やかな漆黒の髪がよく映えるステージ衣装でのパフォーマンス。彼女がちいさく跳ねるたびに、パニエたっぷりのスカートが愛らしく揺れる。
 両者、スコアもいいねも一歩も譲らない。少し気を抜けば置いて行かれる状況で、あやはひたすら自分のパフォーマンスに注力し続けた。
 怪人の方といえば、少し顔に焦りも生まれていただろうか。ゲームの腕前だけでなく、絶対の自信を持っていたパフォーマンスすら拮抗しているのだから。
(「――これは、仕掛けてきそうかな?」)
 彼女の纏う気配が微かに変わるのをあやは敏感に察知していた。
「おねーさんがここまでやれると思ってなかったよ」
 ひりついた笑みで怪人が手を上げる。その指先が、何かを操るようにゆらめいたのをあやは見過ごさなかった。
「でも、それもここまで! ラビちゃんに埋もれちゃえ!」
 パンクナイズドされたうさぬいが無数にあやへと降り注ぐ。待ってましたとばかりに、あやは曲中で何度も繰り返されてきた印象的なフレーズを口ずさむ。
 激しいダンスを交えてもぶれない芯のある歌声は、才能だけではありえない。彼女の惜しまぬ努力が伺えるその歌声に、会場のキマイラ達は熱狂的な声援を送る。歌を味方につけ自在に操るあやは、それによって増強された身体能力で無数のラビちゃんを曲に合わせて時に避け時に受け止め。
「おおっ、すごい!」
「いいぞいいぞー!!」
 こうなれば怪人の放った妨害策ですら、あやのパフォーマンスの一環である。まるで生きているかのように自在に飛び交うピンクのラビちゃん達が、時にぽぽぽいと投げられ、時にあやにぎゅむっと抱き留められる。
「く……っ!」
 怪人の顔から笑顔が消えていた。何せ無数のラビちゃんを動かす関係上、どうしてもゲームプレイの方は疎かになってしまう。それでいてあやの方には大した妨害になっていないのだから、たまったものではない。
 何とか打破を――焦れる怪人の顔面めがけて、ラビちゃんが猛烈な勢いで飛び込んできた。
「こんなもの!」
 身を翻して躱した怪人は、そこでようやくあやの狙いに気づく。ぎくっと身体が強張ったが、もう遅い。
 ラビちゃんを避けた怪人目掛けて、裂けられない速さでのジャストシュートが飛来していた。
「……越えてみせる、か……」
 やるじゃないの、と悔し気に絞り出して、動きを止める怪人。ラビちゃん達もぱらぱらと地に堕ちて動かなくなる。
 熱狂満ちる空間の中で、ノーツの濁流がスポットライトのようにあやを照らしていた。祝福してくれる観客席のキマイラ達の笑顔に、あやの胸も高鳴っていく。
 ――この笑顔のために、あたしは歌うんだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

高砂・オリフィス
POW判定*アドリブ歓迎

オブリビオンのパフォーマーさん!?
しょーじきこういうタイミングじゃなきゃお近づきになりたいような……いけないいけない! 真剣勝負だ! いっくぞー!

曲調を変えて、真の姿に早着替え!
テンポを上げてテンションアップ!
突き抜けるような意気で、戦場全体をさらに盛り上げムードの熱気に包み込むよ!
さあ、今この瞬間もすぐ過去になっていく、それなら今を楽しまなきゃソンでしょ!

戦い終わったら握手で締め! ナイスファイト!




「オブリビオンのパフォーマーさん!?」
 最高じゃん、と高砂・オリフィス(南の園のなんのその・f24667)は瞳をきらきら輝かせる。
「しょーじきこういうタイミングじゃなきゃお近づきになりたいような……」
 ――っていうか向こうが悪い事企ててなきゃお友達になれる気もするんだけどな。
 オリフィスの出身世界アポカリプスヘルでは、人々は今日を生き延びる事ですら精一杯な現状に置かれている。水や食料にすら事欠く状況では、生命に結びつかぬ芸術や娯楽はとかく軽視されがちだ。
 そしてオリフィスは。彼女もまた、他の世界を知ってからは日が浅い。ダンスの楽しさを語り合える友はまだまだ少ない。だからこそ、目の前の怪人にも惹かれるのであるが。
 だが残念ながら、オブリビオンの方はそうではないらしい。挑発的な笑顔の裏に敵意を隠し、オリフィスを待ち構えている。
「ねえ、まだァ? 待ちくたびれちゃったんだけど」
「いけないいけない! 真剣勝負だ! いっくぞー!」
 オリフィスがホルターネックの首元に手をかける。白い布がはらりと彼女の身体を離れて――その頃にはもう、オリフィスの姿が変わっていた。南国ダンサーらしい色鮮やかなユニフォームから、身体にぴたりと密着するサイバースーツに。彼女の動きを阻害しない、軽くて丈夫な決戦装備。腰部周りを浮遊するスラスターは、普段ならば敵を灼き払うビーム砲。
 だが此度の"決戦"は違う。武力が解決しない戦場ならば、オリフィスの身体能力を限界まで引き上げてくれるこの形態は純粋にダンスの為にある。
「さぁ、テンポもテンションもアゲてこーっ♪」
 オリフィスが掲げた拳と共に、先程よりもヒートアップした南国メロディが空間に鳴り響く。
「イェーーーー!!」
 会場を渦巻く熱気は、彼女や観客席の熱狂だけがもたらしたものではない。真の姿を解放した彼女の力が会場を包んでいるのだ。彼女のパフォーマンスが最も映える状況を自然に作り出すように。熱狂の中でオリフィスは動き始める。
 姿を変えても、彼女のスタイルは変わらない。近未来リゾートたるこの世界に、サイバースーツで南国のビートとソウルを刻みつける彼女のスタイルはとてもよくマッチしていた。増強された身体能力から繰り出される足技は重力さえ無視しているような印象を観客に与える。
「いいぞいいぞー!!」
 オリフィスが舞うたびに声援といいねが上がる。対する怪人も可憐なダンスで着実にスコアを伸ばしているが、会場を渦巻く熱気の中心にいるのはオリフィスの方だった。
「さあ、今この瞬間もすぐ過去になっていく。それなら今を楽しまなきゃソンでしょ!」
「ハン、『過去』から生まれるあたし達に喧嘩売ってんの?」
「違うよ! だってあなたが過去から蘇ってくれたから、こうしてぼくたちが逢えたんでしょ?」
 ぎろりと睨まれても、オリフィスは楽しそうに笑みを深めた。
「だったら怪人さんも一緒に楽しもうよ! 次いつ逢えるかわかんないし!」
「ふん……!」
 鼻を鳴らし、オリフィスから目を逸らす怪人。と思えば振り向きざまに蠱惑的な投げキッスを飛ばす。
「いいよ、相手したげようじゃない!」
 ウインクがもたらした誘惑はオリフィスの動きを封じる。一時的に開いた点差は、変則的な動きから繰り出されるオリフィスのジャストシュートが相殺した。
 二人のダンサーの"戦い"は巡ってゆく。最初は彼女達のスコアやいいね数に一喜一憂していた観客たちも、次第に彼女達のパフォーマンスそのものを固唾を呑んで見守っていくようになった。猟兵とオブリビオンの垣根を超えて、ただ素晴らしいパフォーマーに魅了されていった。

 やがて会場に流れていた音楽が消え、最終スコアが発表される。
「ナイスファイト♪」
 僅差で勝利をものにしたオリフィスが手を伸ばす。
「調子に乗るんじゃないよ。まだあんたたちの勝ちが決まったわけじゃないし」
 睨みつけながらも、怪人はその手を取ったのだった。
 すぐに手は離されてしまい、怪人は次の対戦相手を求めて踵を返したが、オリフィスはその後ろ姿をずっと見送っていた。
 ――握手したら、皆友達だよ、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

日埜・晴翔
アドリブ、連携可

曲もダンスもアレンジでプレイしたし…次は何して遊ぼうか/UC

観客が合いの手を入れやすい曲で、DJを意識して盛り上げる
自分のパフォーマンスを見せるだけじゃなく、会場と一体感。これがライブであり大会の醍醐味だろ。
ゲームをしながら自分も声出して、全員が揃ってできそうなフリをやって。一緒に作って盛り上げる。

それは敵も同じく。対バンで煽るのも、そこに信頼があって1つのライブを盛り上げた方が楽しいじゃん?
自分の人気だけを考えるヤツに、客はノッてこねぇ…って通じず相手のUCを食らうなら、拳だけでも盛り上げる


魅了してぶっ倒せばアンコールはできねぇ
最後に次のステージを望まれるのはどっちだろうな?




「曲もダンスもアレンジでプレイしたしな……」
 次は何して遊ぼうかと日埜・晴翔(嘘つき×快楽主義・f19194)は想いを巡らせる。指輪型のコントローラーをこっそり操作すれば、それだけで彼の力『気保養』が発動する。
 その気になればいつでも行動の成功に繋げられる技を、晴翔はきっちり怪人相手のみに使用していた。ゲームにはルールがある。破っていいのは、それを護らない者が相手の場合のみ。
「どうせなら観てる側も面白えやつがいいよな……おっ」
 これなんか良さそうじゃん、と。スマートグラスの奥で藍色の瞳が捉えたのは軽快なヒップホップ。ライブの臨場感を表現した音源は、その"醍醐味"もしっかり再現されているらしい。
「いいじゃん。会場そのものをゲームのステージにしてやろうぜ」
「面白そうな事考えるね、おにーさん」
 きゅるるんとあざといスマイルで怪人が笑みを向けてきた。
「ま、あたしの方がうまくやってみせるけど?」
「へえ。そりゃ楽しみにしてるぜ」
 自信満々の怪人に、晴翔は軽い調子で応じてみせた。


「お、おい、あれ……」
「えっ、わざと?」
 曲が中盤に差し掛かった頃。観客達がざわついたのは、晴翔がノーツを一部しか拾わなくなったからだ。ゲームについていけなくなる程疲弊しているようには見えず、意図的に『音を減らしている』ようにしか思えない。
 スコアの面で不利になるというのに、何故そのような事を。ざわめきをつんざいたのは、他ならぬ晴翔の聲だった。
「ようお前ら、ノってるか? 折角の頂上決戦、楽しんでいこうじゃねぇか」
 観客達に順に目配せしながら、軽く握った手をマイクに見立てて晴翔は聲を張り上げる。
「俺達と怪人の『対バン』だ、皆で盛り上げていこうぜ――やってくれるよな? 『コール&レスポンス』をな」
 ――うおおおおおお!
 ――観客も参加するなんて、そんなんあり?
 一度静まり返っていた会場が再び熱狂に包まれる。
「行くぜ! Everybody say ho!」
「Ho!」
「Say ho ho!」
「Ho! Ho!」
「うそ、何これかっちょいい。でもちょっとあたしピンチかも?」
 パフォーマーと観客が一体となって作り上げていく空間。彼らが晴翔に釘付けなことに焦りながらも、自分自身もどうしようもなく高揚していくのを怪人は感じていた。
「Say ho ho ho!」
「Ho ho ho!」
「Now...scream!」
「「「イェーーーーー!!!!」」」
 まるでクライマックスに巻き起こる紙吹雪のように、無数のいいねエフェクトが空間を飛び交っていく。これを際立たせる為に晴翔は音を減らしていたのだ。
「く……っ」
「おっと、魅了するってんなら好きにしな。でもそれじゃあんたはオレにも、誰にも勝てないぜ」
 ウインクを仕掛ける事を見透かした晴翔の言葉。どうして、と怪人は身体を強張らせる。
「自分の人気だけを考えるヤツに、客はノッてこねぇ。魅了して俺をブッ倒すのは簡単だろうが、それじゃアンコールはできねぇ」
「……説教のつもり? えっらそーに」
「言っただろ? オレは折角の頂上決戦を楽しみたいだけだ」
 色違いの双眸が晴翔を睨みつける。真正面から受け止める晴翔の双眸は、やはり笑ってはいなかったけれど。
「――いいよ。その喧嘩買った」
 ぐっと拳を握りしめた怪人も、ハイトーンヴォイスを張り上げる。
「Hey皆! まさかこの程度で満足してるんじゃないでしょうね!? ホントの熱狂ってやつを教えてあげる! しっかりついて来なさいよ!」
「「「イェーーーーー!!!!!」」」
 晴翔のそれと同じくらい、ひょっとするともっと大きな熱が空間を満たしたのだった。
 晴翔の言葉は晴翔自身を不利にしたのかもしれない。それでも彼の口元は笑っていた。
 ――折角のライブだ。信頼があって、皆で盛り上げていくのが楽しいじゃん?

 終わってみれば、最初の流れを作り出した晴翔のいいねが上回る形になっていたのだけれども。
 それすら、晴翔にとっては些細な出来事だったのかも知れない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

早乙女・翼
鏡(f15406)と

ケバっ(率直な感想)
あーいうギャル系は好みじゃないんだよな俺。
顔洗ったらノッペラ坊になる奴じゃん、あいつ。
こっちの日本伝統衣装のお姉さんを見習――いや、生き方は見習うな。

無線でアンプに接続したギター片手に、曲に合わせて弾きながらプレイ。
V系バンドで鳴らした腕の見せ所。ノーツは重力無視で浮遊しつつ足で捉える。
鏡も慣れてきたようだし可愛いの喚んだみたいだし。
基本は任せて届かないとこ補助しつつ魅せるパフォーマンスに注力。

向こうが手数で行くなら妨害するに限るかねぇ。
ギターネック上げて掻き鳴らすと同時に投げつけて結界発動。
羽根と花片で敵のお嬢とウサぬいの視界も聴覚も塞いでやるさよ。


四辻・鏡
翼(f15830)と

あ、翼なんか言った?人の生き方が何だって?
…そこは後でゆっくり説明して貰うとして

御膳立て通りってのは、私も好きじゃねぇんだわ
最後までどう転ぶかなんてわからない、それが真剣勝負の醍醐味だろ?ゲームだって同じさ
だからそういう舐め腐って余裕ぶっこいた態度、気に食わねんだよなァ?

だがまぁ特別だ、こっちも映えってやつ意識してやるよ
UCで瓜二つの童女を呼び匕首を持たせ
こちらは変わらず名無を構え、鏡合わせの動きを意識してノーツを斬り裂き

足りない手数はこっちで受けてやるから、翼は存分に演奏をキめてくれ
舞い踊る羽根と彼岸花に、二振りの剣舞…結構映えるだろ

…あ、やべ、後から恥ずかしくなってきた




 きゅるるん★とあざとカワイイアピールの怪人。それを見た早乙女・翼(彼岸の柘榴・f15830)の貌がうっと強張る。
「ケバっ」
 感想を述べたというよりも、思わず心の聲が漏れてしまったというような、そんな呟きであった。
「あーいうギャル系は好みじゃないんだよな俺。顔洗ったらノッペラ坊になる奴じゃん」
「きーこえてるわよー?」
 だァれがノッペラ坊ですって、と青筋立てる怪人ではあるが、連戦でもびくともしないアイメイクは確かに化粧というよりももはや鉄鎧の域である。
(「努力は認めるけど、全部落としたら目の大きさ半分くらいになりそう」)
 今度は口に出さなかった。代わりに此度の戦いを潜り抜けてきた相棒を振り返る。
「こっちの日本伝統衣装のお姉さんを見習――」
「いくらでも見習ってくれて構わないぞ」
 日本伝統衣装のお姉さんこそ四辻・鏡(ウツセミ・f15406)が胸を張る。確かに彼女は慎ましやかな美しさを讃えている。その名の通り鏡のような淡い銀の髪も眸も、ヤドリガミという種族ゆえか年齢の伺えぬ容姿も、すべてが彼女が彼女であるがままに美しい。の、だが。
「――いや、生き方は見習うな」
「あ? 翼なんか言った?」
 人の生き方がなんだって? ちょっと括りがでかすぎやしないか?
 思わず詰め寄りたくなってしまうところではあるが、そこは試合とは無関係。あとでゆーっくりじーっくり聞かせてもらうとして。
「まぁ確かにな。私も好きじゃねぇんだわ」
「厚化粧が?」
「違うって。お膳立て通りってのがだよ。最後までどう転ぶかなんてわからない、それが真剣勝負の醍醐味だろ?」
 それが文字通り『真剣』構えた勝負でも、ゲームでも同じことだと鏡は笑う。
「だからああいう舐め腐って余裕ぶっこいた態度、気に食わねんだよなァ?」
「揃いも揃ってひどくなーい? あたし泣いちゃう」
 両手で貌を覆って見せる怪人の、その眼差しが冷酷に二人を見据えていた。
「だがまぁ特別だ、こっちも映えってやつ意識してやるよ」
 なぁ、と翼を振り返る。赤髪に黒衣のオラトリオは、彼自身を象徴するような色合いのエレキギターを携えていた。
「頼むぜ、ギタリストさん」
「勿論。V系バンドで鳴らした腕の見せ所さね」
 軽く"ひと撫で"してやれば、堕天使と名付けられた相棒も主人に共感するように吼える。
「翼が思う存分暴れられるような曲、選んでやるよ」
 そう云って鏡が選んだのは、V系に明るくない人でも知っているような有名バンドの代表曲。


「ほんとに演奏しながら音ゲーってのも、なかなか新しいだろ?」
 印象的なギターリフを爪弾きつつも、浮遊した翼の脚は自在にノーツを捉えている。
「あのおにーさん脚ながっ。うらやましいんだけど」
 厚底ブーツからスニーカーに履き替えた足元の頼りなさに、怪人が思わず零してしまう。
「ああ、いいな。足りない手数はこっちで受けてやるよ」
 ――だから安心して存分に演奏をキめてくれ。
 おいで、と。慈しむように鏡が両の手を虚空へ差し伸べると、その手を取るように彼女と瓜二つの童女が現れていた。癒しの力を持つ童女の手に、鏡は己の本体たる匕首を握らせる。
「愛しき輩(ともがら)よ。共に往こう」
 自身は無銘の太刀を携えて、先程の試合と同じように舞うような要領でノーツを切り裂いてゆく。真の姿を模した童女がそれに倣うように匕首を揮う。鏡合わせのように動く二人の鏡がふとその動きをややずらせば、十六分の畳みかけを二人で器用に分担して捌いていく。
「随分慣れてきたみたいさね」
 なんか可愛いの喚んだみたいだし。クスリと笑みながら、翼もギターを高く掲げて激しく掻き鳴らす。ノーツを取りに行く動作すら結び付けて魅せるパフォーマンスと成す翼の下、二人の鏡が美しく舞って和と洋の饗宴を織りなしている。
「む、そっちがその気ならこっちもお友達召喚しちゃうもんね」
 いっけーラビちゃん! びしっと指差す怪人の指揮に従うように、無数のパンキッシュうさぬいが現れる。半分はスコアの要となる鏡に飛び掛かり、半分は怪人の側に留まってノーツを取っていく。
「甘いな」
 だが前者は二人の剣豪に斬り捨てられ、後者の方といえば。
「向こうが手数で行くなら妨害するに限るかねぇ」
 ギターネックを振り上げて掻き鳴らすと同時、なんと翼がそれを放り投げた。
「な!?」
 すぐにそれは真紅の羽根と曼殊沙華の花弁に姿を変え、吹雪となってうさぎたちと怪人に襲い掛かる。
「くうっ、何も見えないんだけど!」
 腹立つー、と歯噛みする怪人。あれどうにかしなさいよ! とうさぎに喝を飛ばすものの、わたわた戸惑ううさぎ達の耳には届いていないようだ。
「風がうるさくて曲もよく聞こえないしっ!」
「うんうん。これはいいな」
 対する鏡といえば、花嵐が轟音をあげようと大した問題にはなっていない。何せ音楽に乗るだけでなく、『敵』を斬るように刀を振るっていた彼女達だ。音を頼りに出来ないのならば、より実戦的な感覚でそれを捉えればよいだけのこと。
 きんと薙いだ刃がノーツの濁流をばらばらに吹き飛ばした。破片が嵐に紛れきらきらと輝く。
「舞い踊る羽根と彼岸花に、二振りの剣舞……結構映えるだろ」
「いいぞー姉ちゃん!」
「映える映えるー!!」
 キメ顔と共に低く呟いた筈の言葉は、びっしりばっちり会場のモニターとマイクが拾っていて。すぐさま返ってきた声援に、鏡は我に返って白い貌を赤らめた。
「……やべ、後から恥ずかしくなってきた。まって今のなし」
「いいじゃん今の。格好いいし俺は好きさね」
「なしなし! ほら最後まで気ぃ抜かずに行くぞ!」
 からかいやがってと鏡が目を逸らせば、本当の事なんだけどなぁと追撃が入る。
 けれどもノーツを捌く動作と花翼の勢いは衰えず、そのまま三人は勝利をもぎ取ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

玉ノ井・狐狛
一体多。つまりはレイドバトル。
結構結構。オーディエンスがアタシら側につきやすくて助からァ。
とはいえ、そっちも小細工は得意かい? そういうのはキライじゃないぜ、さあ遊ぼうか。

体力とは違うが、長期戦は苦手ってワケでもない。
身体能力は霊力でブースト。むしろこれまでより盛っていこう。
▻ドーピング▻継戦能力

さて、人形のフォロワーか。賑やかなのは悪くねぇ。
人形がこっちにやってくるなら、札を使って式神化。いくつか制御を奪って、むしろ▻パフォーマンスに利用させてもらおう。
◈UC▻おびき寄せ▻盗み

はっは、自分の手札で▻カウンターされてちゃ世話ねぇなァ。
お願いするなら、返してやってもいいぜ?
▻挑発




「一体多。つまりはレイドバトルということだな」
 見た目に反した現代的な表現。結構結構、と不敵に笑むのは玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)だ。
「オーディエンスがアタシら側につきやすくて助からァ。見た目も悪くないな、何せ――『巫狐』VS兎だ」
 そう名乗る狐狛は、実の所由緒正しき血筋を引く。呪いのせいで追放されたといっても、その身に宿る神秘の力は健在。生まれ持った霊感に術者として培った洞察力、それらを幅広く応用し活用する戦法を、彼女は『現代陰陽術』と呼ぶ。その霊力を以て持久力を大幅に引き上げながらも。何てことはない、ちょっとした『小細工』のようなものさ――そう彼女は嘯く。
「そっちも小細工は得意かい? いいねェ、ますますいい。そういうのはキライじゃないぜ」
 狐狛が視線を投げる先にいるのはうさみみフードの怪人。小脇に抱えていたうさぬいが放り出されると、どこからかそっくり同じ造形のそれが無数に精製される。
「妨害もスコア稼ぎも自由自在ってね♪ 兎を舐めると痛い目みるよ、狐のおねーさん♪」
「舐めてかかっちゃいないさ、賑やかなのは悪くねぇなって思ってたところだ」
 試合が開始され、既に一つ目の『山場』は抜けている。幻想的なピアノトランスの濁流がひと段落して、普通ならば次の山場へ向けて息を整えるタイミング。
「なら、そっちも賑やかにしてあげる! 行っておいで、ラビちゃん!」
 怪人の聲を皮切りに、パンクナイズドされたうさぬいたちが狐狛へと飛び掛かる。殺傷力という点では文字通り『兎も角』といったところだが、無数のもふもふはライバルの動きを止める点では大いに役立つ。桃色の濁流を見ても狐狛の余裕は揺るがなかった。つ、と伸ばした指の先、幾枚かの術符が飛んでうさぬいの頭にキョンシーよろしく張り付いた。
「――怪談奇譚しめて百選、語り紡ぐは書翰箋」
 紡ぐ符術は無機物さえも式神に変える佰器夜行。仮初の命を操る主導権が怪人から狐狛に移れば、残るうさぬいから彼女を護るように身を挺してもふもふっとバリケードを組んだ。
 迫るうさぬいはうさぬいバリケードに弾かれてすってんころりん。
「……かわいい」
「かわいいな」
 突如開催されたほのぼのバトルに観客の頬が緩む。
「……かわいいじゃん」
 これにはうさぎ怪人も思わず呟いてしまったとか。
「じゃなかった、あたしのラビちゃん返しなさいよ!」
「はっは、自分の手札でカウンターされてちゃ世話ねぇなァ」
 無事に主人を守り抜いた式神うさぬいたちが、狐狛の足元でぴょんぴょこ跳ねてはダンスを踊る。狐狛のしなやかな動きを真似する様に手足を動かしては、たまにその尺が足りなくてつんのめる。狐狛の長い髪や尻尾にじゃれつくように跳ねていたり、あまりスコアの役に立っているとは言い難いが、観客の目はその愛らしさに釘付けだ。
 飛び交ういいねを見上げてうさ式神たちはますます大喜び。ふふん、と狐狛が肩を揺らした。
「返して欲しいか? お願いするなら返してやってもいいぜ?」
「誰がよ! 負けないんだからー!!」
 地団太を踏む怪人。わちゃわちゃバトルは大盛況のうちに終了した。
 怪人の能力をうまく逆手に取った狐狛が華麗な勝利を収めたのはいうまでもない。うさぬい達もきっちり返却されたというが、その愛らしさを名残惜しむ観客も多かったとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

亜儀流野・珠
音ゲー用に靴を用意している者はだいたい強者だ。
これは油断できんな。まあもとより油断などせんがな!

んん、そのウサギ増やして操れるのか?
ならば……「千珠魂」、俺たち、召喚だ!
そのウサギを試合に使うなら俺も「俺たち」と協力プレイ、そうでないなら応援に回そう。
どちらでもいいが「俺たち」は手強いぞ? 俺だからな!

曲は……最高難度帯から適当に選ぶか!
一瞬も気を抜けない激しい戦いをしようじゃないか!

方針は「ノーツに集中」だ。ひたすらに蹴り、突く。
いいね狙いで舞ったりする暇は無いだろうがその分スコアと密集狙いシュートで差を付けてやる!
アピールの間が無いのはあちらも同じだろうしな。
さあお前の地力、見せて貰うぞ!




 同じことを何度も明記する形になってしまうが、亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)はダンスゲームで怪人を打破した事もある実力派である。
 そんな彼女だからこそ知っている。
 ――音ゲー用に靴を用意している者はだいたい強者だ。
 案外必要経費が嵩む趣味なのだ。クレジットや課金以外にも投資している次点で、自ずと層が限られてくるというものなのである。
「これは油断できんな。まあもとより油断などせんがな!」
 曲は……最高難度帯から適当に選ぶか! 目を通した珠は、どうせなら相手に合わせてウサギの曲でも選んでやるかと曲を選び取る。
 うさみみつけた可愛い音ゲー廃人が歌う(という設定の)、電波な萌えソングである。
「彼女が本当に実在していたら、この大会だって優勝していたかも知れないよな」
「なら、あたしがそのウサギちゃんになっちゃうんだから」
 思わず呟いた珠に、自信満々に怪人が胸を張るのだった。


「さーラビちゃん、れっつごー!」
 怪人の号令と共に、無数のパンキッシュうさぬいがどこからともなく湧いて出てきた。
「んん、そのウサギ増やして操れるのか?」
 なかなかやるな、と素直に感心する珠。
「ふっふーん、『手』が多い方が有利っしょ♪」
「甘いな、その理屈でいくと脚が四本あったらダンスゲームで無敵になってしまうぞ」
 結局は本人の制度次第だろう、と珠は笑う。だが、そうだ。ならば例えば、経験者である珠が増えたとしたら、怪人以上のアドバンテージを手にすることが出来るのではないか?
「そういう事だ。行くぞ、俺たち!」
 ――千珠魂。ちいさな珠の分身を呼び寄せる。その数、なんと350体!
「呼び過ぎじゃない!?」
 なんかみっちりしてるんですけど! 怪人が驚愕している間にも、ちび珠たちは飛んで跳ねてノーツを取りに向かっている。もとより、耐久性には欠ける彼女たちだ。真正面からノーツを受けた者は一撃で消えてしまうようだったが、それでも単純計算で350ノーツ。これが『ほぼオート』になると思えば、悪くない選択である。
「『俺たち』は手強いぞ? 何せ、俺だからな! わはは!」
 自信満々に笑いつつ、珠自身もノーツを捌く手は止まらない。
「むー、あたしのラビちゃんたちだって負けてらんないもんね!」
 数そのものはちび珠たちに劣るものの、こちらは曲を終えるまで数を減らす事がない。
 うむ、と珠は満足げに頷いた。ここから先は一瞬も気を抜くことは許されない。激しい戦いになるだろう。――なんて楽しいことか!
 遠いところのノーツは、彼女と同じ思考力を持つちび達に任せて。珠はひたすら眼前のノーツに集中し続けた。ひたすらに蹴り、突く。
 密集地帯を的確に見定めてのジャストシュート。相手からの攻撃はどちらへ避けるべきか。音ゲーマーとしての経験、猟兵としての経験、そのどちらもを研ぎ澄ませて、珠は堅実なプレイをし続けた。
 一部をちび珠やうさぬい達に委ねて尚、最高難度の過密さは熾烈を極めている。いいね狙いの隙もない、それはひたすら音ゲーとしての試合であった。
 そう、ここに来て、である。猟兵と怪人が技を揮う派手さに観客の眼が慣れてきてからの、ひたすら地力を競い合う原点回帰。
 皆、息をひそめて行く末を見守っていた。
 曲はサビの盛り上がりを残したまま終わり、二人のスコアが表示される。
 ――軍配は珠にあがっていた。無数のちび珠たちを全て解き放ち、辛うじてつかんだ勝利であった。だが、怪人の使役するうさぬい達も最早動けないと地にへばっていた。最後は純然たる彼女達同士の試合であった。
「ああ――……」
 満足そうに、珠が零した。
 ――やはり、音ゲーというものは楽しいな。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パウル・ブラフマン
はわっ…女の子!(赤面)
ツーショ撮る?せーの、C~♪
(触手でセルフィー持ちつつ)

オレ、音ゲー自体やるのハジメテだったんだけど
リズレク収録曲は…スキでけっこー聴いてたんだ♪
そろそろ本気出してこっ☆
マイク握り締めUC発動―Bring the beat!

選択曲はヒップホップとロックの混合ジャンル。
ノーツはハンドサインをしながら総て拾うよ!
反応速度が互角なら
間奏時にカマすリリックで魅せちゃうぞ☆

革新・確信・発進してくシーンは未来へ
過去のGeneはお呼びじゃねぇぜ
Sliding door 渡す引導 !

蓄積ダメで曲中にボスちゃんが消えそうになったら
対戦側に飛び入り
彼女がラストまで遊べるように手伝いたいな♪




(「はわっ……女の子!」)
 思わず茹でだこになりかけた頬を抑えて深呼吸。パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)は実の所、女性への免疫がない。とてもない。
 けれど相手は女性である以前に怪人で、そして音ゲーマーだ。アガってしまう体質はどうしようもないけれど、可能な限り普通に接したいと思える相手だから。
 テンション高めるべく自撮りに勤しむ彼女へと、意を決して歩み寄った。
「ね、良かったらツーショ撮らない?」
 記念記念、と青い触手でセルフィースティック持ち上げるパウルに、怪人も思わずへえと声をあげた。
「おにーさん、器用だね」
 対戦相手と仲良くしようとするなんてちょっと暢気すぎるけど、なんて悪態はつきつつ。
「いいよ♪惨敗してクツジョクの一枚になんないといいね」
 余裕見せながら栄養ドリンクの名前を口にする。
「「C~♪」」
 二人分の笑顔が切り取られた。


「オレ、音ゲー自体やるのハジメテだったんだけど、リズレク収録曲はスキでけっこー聴いてたんだ♪」
 VR世界に流れる曲はヒップホップとロックを掛け合わせた重厚なサウンド。音楽を、特にその二つを愛してやまないパウルにとっては、このジャンルのゲームを知ってからずっと気になっていた曲だった。
「実際にプレイ出来るとか楽しみすぎだよね! そろそろ本気出してこっ☆」
 握り締めたマイクは心の在処。揺れるピアスは命の鼓動。
 魂揺さぶるHeat Up――"Bring the beat"!
 牢破り/RAW破りの再来を告げるかのようなプレイスタイル。伸ばした腕がハンドサインをかたどれば、彼の胸部から生える触手もくにっと曲がって何かを訴えかける。
 命削って食らいつく怪人と互角の反応速度。ならば、とパウルは間奏地帯でマイクを振り上げる。
「革新・確信・発進してくシーンは未来へ! 過去のGeneはお呼びじゃねぇぜ――Sliding door 渡す引導!」
 リズレクのキャッチフレーズも取り入れた即興RAP。止まれない? 止まる必要なんてない。沸き立つギャラリー。飛び交ういいねの中心に、嘗てマイクひとつでのし上がった男がいた。
「くっ、まだまだ……!」
 差を埋めるべく、更に自撮りを繰り返す怪人の笑顔が引き攣っている。もとより不安定な命であるオブリビオンに、寿命を削る代償が重くのしかかっているのか。荒い息。ぐらりと倒れそうになる身体。――それを、冷たく柔らかいものが支えた。
 怪人が貌を上げる。彼女を支えていたのは、いつの間にか怪人の陣地に立っていたパウルの触手だった。
「――はぁ? あんた、何やってんのよ」
「あっ、ごめんね、びっくりさせちゃったよね」
「そうじゃなくてさぁ……」
 飛び去ってゆくパウルのノーツ。停滞するスコア。それを、彼は意に介していないようだった。
「勝敗も大事だけど、折角ならキミがラストまで遊べるように手伝いたいなって♪」
 片目を覆い隠す眼帯のいかつさも感じさせない、朗らかな笑み。はぁ、と怪人が聲を零した。
「変わってるね、おにーさん。後悔しても知らないよ」
「それはだいじょーぶ。オレが敗けても、他につよーい猟兵さんがいっぱいいるもん☆」
 だから遠慮はナシナシ! にぱっと笑うパウルの触手が彼女を支える中、曲はラストスパートに差し掛かっていた。

 ――結局、いいねブーストを鑑みてもパウルは僅差で怪人に届かなかった。
 けれど立場を超えてプレイヤーを尊重したパウルは、惜しみない拍手と称賛で見送られたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​

未不二・蛟羽
了さん(f00664)と

ぷはっ…
体力的にキマキュアモードは1ゲームが限界っぽいっすねぇ
でも友情パワーはまだまだ十分、負けないっす

っても、もうダンスは無理っす…から次は了さんの番っすね!(期待の目

大丈夫、今度は俺が了さんを助ける番っす
だから、と両手を差し出して【きらきら∞】を発動
きらきらパワーを了さんに託し、俺は【ひなたぼっこ】で小虎に

俺と契約して、魔法少女になって欲しいっす!
蛇ちゃんと一緒に可愛く誘惑ウィンク✨

どんな了さんもきらきらっすから、俺はそれを全力で助けるっす!
了さんの足元や肩で元気よく跳ね回りノーツを拾うことでコンボのサポート
🐰ちゃんが襲ってきたらがうーとがじがじ。弱肉強食っす!


萬場・了
蛟羽(fp4322)と
って…こんな姿になっちまって
わ、わかった!そんな目で見るなよ

相手が油断しているようなら曲選は譲ってもらうぜ
さっきよりもアガる「アレンジ」だ
皆様のご期待に応えまして衣装チェンジでプリティステージオンッ!
キモい?飽きた?踊れない奴の方?お前ら言いやがって
原作の振り付けを残しつつキレッキレのターン増し増しで見せてやる
さっきガチ勢に懇切丁寧に教わったなんて口が裂けても言えねえが
さあ踊れるヤツは踊れ!見てるてめえらみんな魔法少女(仲間)だろ!

正々堂々、向こうが妨害を初めてからがこちらも見せ場
🐰を打ち消すために召喚したUDCの裏にシュートを仕込む
やるからには妨害も全力でなァ!




 ところで、力を使い果たした魔法使いがヒトの姿を保てず別の何かに変貌するという展開はお約束だと思われる。それは魔法少女も例外ではなく。
「ぷはっ……体力的にキマキュアモードは1ゲームが限界っぽいっすねぇ」
 そう言葉を零す『彼』には、蛇の尾が生えている。それは紛れもなく未不二・蛟羽(花散らで・f04322)のものだった。だがその尾を辿った先に、いつもの蛟羽の姿はない。
 それは翼を持つちいさな虎だった。普段の蛟羽よりも心なしく高くなった聲のところどころにがおーと可愛い鳴き声が混ざる。本人は虎なので威勢よく吼えているつもりなのかも知れない。
「こんな姿になっちまって……」
 力を使い果たした――実の所、使い果たしたという演出の為に蛟羽が自分の意思で変身しているのであるが――と入れ替わるように人の姿を取り戻した萬場・了(トラッカーズハイ・f00664)が子虎をいだく。虎はぱたぱたと翼をはためかせるが、どうやら飛行能力はないらしい。
「でも友情パワーはまだまだ十分、負けないっす! ……でも、もうダンスは無理っす……」
 今の体格的にも、それ以前に体力的にも。魔法少女として戦い抜いた代償は重かった。
「だから次は了さんの番っすね!」
「え!?」
 俺が? と慌てふためき自分を指さす了。ちいさくなった蛟羽が、その瞳に零れんばかりの期待を込めて了を見つめ返した。
「……わ、わかった! そんな目で見るなよ」
「やったぁ! 大丈夫、今度は俺が了さんを助ける番っす。目いっぱい盛り上げるっすよ!」
 ぴょこんと可愛く了の腕の中で前脚を持ち上げる子虎に、ピンク髪の青年は仕方ねえなあとため息を漏らすのだった。
 ――何だかんだ、求める演出の為ならば巻き込まれてしまう了なのである。


「曲は俺が選んでいいんだろ? 皆様のご期待に応えてやるぜ!」
 了が曲を選び取れば、キラキラ可愛いサウンドが空間を満たす。その音に観客が歓声を上げた。
「キマキュア二期のOPだ!」
「追加戦士のキュアコンコンがめっちゃかわいいやつだ!」
「キュアコンコン……?」
「なんだよキュアコンコンって」
 首を傾げる記憶喪失キマイラとUDC育ち。
「知らないの? キュアコンコンはキュアコンコンよ! ピンクの髪が可愛い彼女はね、コンコンの力で戦うの!」
 何故かやたら熱を入れて解説する怪人。
「キマフューらしいといえばらしいっすね!」
「ならなってやろうじゃねえか、キュアコンコンとやらに!」
「俺のきらきらパワー、ぜんぶ了さんに託すっす!」
 だいすきなみんながきらきらになりますよーに! ぱちりウィンクと共に超強化の光を放つマスコットキャラ、もとい蛟羽。
「俺と契約して、魔法少女になって欲しいっす!」
 子虎にあわせて尻尾の蛇ちゃんもかわいくウインク。
「それ応じて大丈夫なやつか……? まあいいや、衣装チェンジでプリティステージオンッ!!」
 きらきらが了の全身を包み、その衣装を変えてゆく。動画で見たピンク髪のヒロイン。パニエたっぷりでふわりと広がるスカートが愛らしい彼女へと。
「さあどうだお前達、俺の魔法少女姿は」
 くるっとターンからの決めポーズまで完璧であったのに。
「え、キモい」
「さっきの可愛くて踊れる子の方が良かった」
 観客の反応は散々であった。こんなに身を削ったのに。
「ピンク髪しか共通点ないんですけど」
 最後のは怪人のコメントだった。
「お前ら……好き勝手言いやがって」
 というか蛟羽がやったのも大差ねえだろ、どういう言い草なんだ。だん、とぷりちーなブーツが地面を力強く踏みしめた。
「果たして俺のパフォーマンスを見てもそう云えるかなァ!?」
 ここぞとばかり、キレッキレの動きを披露する了。原作の振り付けを完璧にこなし、要所要所でターンましましの神アドリブを挟み込む。ドレスが翻るたび、キラキラも宙を舞う。
「どうだ見たか!」
「あんた何なのよ! キュアコンコンの名前も知らなかった奴に敗けたくないんですけど!」
 何故かやたらリキ入れてこちらもキレッキレの動きで応戦してくる怪人。
「すっげえ……だんだんあの二人が本物に見えてきた」
 唸る観客。
「怪人さんもコンコンさんが大好きなんすね!」
 にこにこスマイルのマスコット。
「ばっ違うし……単ににわかに負けたくないだけなの!」
 照れる怪人。
「つーか何でそんなに完璧なのよ!?」
「魔法少女に不可能はねえんだよ」
 ハスキーな低音ヴォイスで魔法少女が言葉を返す。本当はさっきガチ勢に懇切丁寧に教わったのであるが、それは秘密なのである。サンキューガチ勢。
「さあ踊れるヤツは踊れ! 見てるてめえらみんな魔法少女(仲間)だろ!」
「了さん、かっこいいっす……! 俺のきらきら以上にきらきらしてるっす!」
 かくいう蛟羽も、魔法少女の足元や肩でぴょこぴょこ跳ねてノーツを拾ってコンボを繋いでいる。最近の魔法少女ものはマスコットキャラだって護られているだけでは務まらないのだ!
「あーもう、二人纏めてやっつけてやるー!!」
 やっちゃえラビちゃんー!! 怪人の指揮で現れる無数のマスコット……もというさぬい。
「そうはさせないっす! キマキュアは俺が護るっす! この世は弱肉強食っす!」
 小さくても虎は虎。鋭い牙でがじがじしてうさぬいたちを振り払う。
「卑怯な手なんか使ってたらキマキュアにゃなれねえぜ」
「だから~っ、なりたいわけじゃないっつーの!!」
 何故かやたら頬を赤らめ声を張り上げる怪人。
「だがそっちがその気ならこっちも全力ってなァ!」
 了の召喚したUDCの群れがうさぬいを食い破っていく。
「かっこいー! けど魔法少女にしちゃちょっとおどろおどろしすぎないっすか?」
「そりゃこいつらに云ってくれ」
 見た目までは俺じゃどうしようもねえよ、と黒い呪詛纏う彼らを使役しつつ、その背後から紛れ込ませるようにシュートを仕込む。
「ぎゃんっっ」
 それが直撃したのが、勝負の分かれ目だった。


「あーーーーん、惨敗かぁ」
 猟兵達と繰り広げてきたバトルの結果を振り返り、怪人が肩を落とす。
「でも、なんだかんだ楽しかったなぁ。それにあたしらの名を売り込むって点じゃ、結構成功したかもだし?」
 何せ大々的に動画サイトで全国配信されたのだ。カワイイと褒めてくれる観客達だっていた。
「これは次に『復活』した時はわかんないよね! そん時は見てなさいよ、猟兵!」
 ひらひらと手を振って、うさぎはあるべき場所へ帰っていったのだった。

 ――こうして無事に災厄は阻止され、大会は再会される。
 さて、『あなた』が猟兵として怪人を倒し事件を防ぐ事が目的だったのならば、このまま帰路についてもいいだろう。
 それとも、それだけが目的ではなかったのならば。このまま大会トーナメントに参加して、歴戦のつわもの達と優勝争いを繰り広げてもいいだろう。
 ユーベルコード抜きの戦いを勝ち抜いてきた強豪たちだ。いかに猟兵といえど、戦いは熾烈を極めるに違いない。
 いずれにせよ、この世界のキマイラ達はますます猟兵というヒーローに信頼を寄せる事となっただろう。だがいかにヒーローといえど、対戦相手となれば遠慮なしに迎え撃つのが彼らの流儀。

 ――さあ、次の試合が始まる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年03月20日


挿絵イラスト