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ブレイクスルー

#アポカリプスヘル #【Q】 #ストレイト・ロード

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#アポカリプスヘル
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#【Q】
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#ストレイト・ロード


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 アポカリプス・ヘル。
 オブリビオンストームに引き裂かれ続ける、崩壊間際の世界。
 そこに住まう人々の拠点(ベース)は、それぞれが孤立し分断されている。

「ゆえに、二つの拠点を繋ぐ『舗装道路』を敷設してほしい。それが今回の依頼である」
 グリモア猟兵、ムルヘルベル・アーキロギアはそう言った。
「といっても、オヌシらにやってもらうのは道路の舗装ではなくその前段階……。
 つまり、道路を敷くために様々な障害を取り除き、当面の安全を確保することだ。
 具体的に言えば、まず最初に荒野を切り開いていくつかの危険を排除してもらいたい」

 ムルヘルベルの背後、グリモアが現地の映像を投影する。
 オブリビオンストームの影響でクレーターまみれとなった凹凸の激しい荒野、
 あちこちに転がった巨大岩石、あるいは戦車をはじめとする大量の残骸、
 得体の知れないタールめいた液体が滞留する、人の踏み込めない死の沼地……。
 他にも巨大な裂け目や不発地雷が大量に埋没する危険地帯など、枚挙に暇がない。

「当然、こういった荒野にはオブリビオンも存在する。主要な群れの個体はこやつらだ」
 続けて映し出されたのは、恐竜めいた見た目の強靭な爬虫類オブリビオン。
『レッド・ラム』と呼称されるこの個体は、どうやら大量の群れをなしているらしい。
「さらに群れを統率しているのは、『ジャックレイヴン』という巨大な屍鴉(しあ)だ。
 オヌシらの荒野開拓作業が進めば、あちらのほうから群れをなして現れるであろう」
 目的の地域一体を縄張りとする群れの討伐なくして、今回の依頼の成功は見込めない。
 だが無事に完遂すれば、規模の大きなふたつの拠点を繋げるのだという。

「……といっても、残念ながらこの『舗装道路』がそのまま残る見込みは薄い。
 オブリビオンの数が膨大すぎる上、オブリビオン・ストームがあるからだ。
 ゆえに、ハイウェイやトンネルのような設備までは作れぬ。予め理解してほしい」
 最悪、せっかく敷設した道路が破壊されてしまうこともありえるかもしれない。
 しかしそれでも、諦めずに道を繋いでいけば、いずれ道は定着する……はず、なのだ。
「より強固で高度な交通網が復活できるかどうかは、こうした一つ一つの仕事次第だ。
 おろそかにすることなく、確実に危険要因を排除し、群れを退治してもらいたい」
 コンクリートやアスファルトも使えない以上、舗装は前時代的な砕石舗装となる。
 それですら、猟兵たちの力がなければ敷設出来ない。それがこの世界の現状なのだ。
「"千里の道も一歩から"、ありふれたことわざだが忘れてはならない初心であるな。
 ……オヌシらの行いは必ず意味をなす。ゆえに、ワガハイもオヌシらの健闘を祈る」
 そう言って、ムルヘルベルは持っていた本を閉じた。
 それが、転移の合図となった。


唐揚げ
 タンクローリーです。儀式魔術【Q】成功、おめでとうございます。
 プレイング採用は気が向いた時にササッとやっていこうかと。
 気楽にやっていきましょう。それではどうぞよろしくお願いします。
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第1章 冒険 『荒野を切り開け』

POW   :    道路を敷く為、荒れた地面の整地を行う

SPD   :    鋭い調査や直感によって、周囲の危険を避ける

WIZ   :    知恵や知識によって、最適な交通ルートを割り出す

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 荒野には様々な危険要因が存在する。
 ムルヘルベルからもたらされた舗装道路の敷設予定経路は非常に長大だ。
 グリモアが映し出した(つまりOPで提示された)モノ以外にも、障害は多い。
 猟兵たちは、それぞれの危険要因を手分けして処理することになる。
 自分がどのポイントに向かうか、ある程度考える必要があるだろう。
ロク・ザイオン
……先導と地均しは、得意。
(森番は、ひとと森のあわいに立つが故に
街道を切り拓く作業に立ち会うことも何度かあった。
風と土を読み、崩されにくいルートを【地形利用】
【野生の勘】で危険物を迂回、若しくは先んじて処理
「烙禍」で障害物を脆くし均してゆこう
そこを道に変えるのは、他のひとびとに任せたい)

歩きよい道は。皆が通る。
ひとも、獣も。
……道がいのちを呼び寄せて、いつか。
森になるといいな。


ジャガーノート・ジャック
(――ザザッ)
成る程、"道を切り拓く"か。
理解・了解した。

広い範囲の"整備(センメツ)"なら得意とするところだ。
其方の方向で協力しよう。
ミッションを開始する、オーヴァ。(ザザッ)

C.C.-"Craft: Bomb".
面制圧による地慣らしならば"クラスター弾"が良いか。
――63×63、凡そ4,000㎥分の爆弾を作成、爆発跡沿いに道を作るよう連なり発射。岩や戦車の残骸などを爆破解体しつつ、狙えるならば他の邪魔になりそうなものども狙ってしまおう。
(誘導弾×一斉発射×範囲攻撃×スナイパー)

――破壊兵器とて使い様だな。
さて、瓦礫の道を歩き易い様慣らせる者がいれば連携したい所だが。(ザザッ)



 アポカリプス・ヘルの空は、他の世界に比べても青々と澄み渡っている。
 夜になれば宝石箱をぶちまけたように、いくつもの星々が瞬く。
 遮るもの一つない荒野は、地平線の彼方まで見渡すことも容易だ。
 見事な景観。現代――特にUDCアースでは失われて久しい手つかずの自然。
 そう言えば聞こえはいい。だがそれは、人の営みが存在しないことを意味する。
 分断され孤立した拠点など、この無限めいた荒野では小さな虫のようなもの。
 だからこの世界の人々は誰も、空の青さを有難がったりはしない。
 夜の星空を、綺麗だと見上げてロマンチックな気分に浸ったりもしない。
 ただ地平線の彼方に渦巻く巨大な嵐を睨み、明日をどう生きるか考えるだけだ。

 そんな広々とした空から、いくつもの黒い点のようなものが落ちてきた。
 落下につれてぐんぐんと大きくなったそれらは、無数の爆弾だ。
 弾体からバラまかれたクラスター爆弾、総量おおよそ4000立方メートルぶん。
 有効射程は視界いっぱいのすべて。着弾――瓦礫が、残骸が、爆炎に呑まれた。
《――ポイントB、堆積物の焼却完了。オーヴァ》
 ジャガーノート・ジャックは、爆炎の残滓がちろちろと揺らめく荒野を見つめる。
 ユーベルコードによる破壊兵器の複製・模倣、そして残骸の爆破解体。
 手段としてはかなり強引だが、彼の計算上このあたりはこれが一番効率的だ。
 ただの岩石や隆起した地形はまだしも、厄介なのは機甲兵器の残骸である。
 これらの中には、まだ機能が生きていて誤作動を起こしているものも少なくない。
 近づいた瞬間、死んだと思っていた砲口がこちらを向き火を吹く……。
 そうしたトラブルは、先行したロク・ザイオンからの報告で実際に確認された。
 ゆえに、すべて吹き飛ばしてしまう。どのみち巻き添えの心配はない。
 当然、周囲の地形もめちゃくちゃになるのだが……もともとが荒野である。
 爆弾の雨を降らせたところで、見かけ上大した変化はなかった。

 一方、ジャガーノートの観測地点とは別方角。
 オブリビオン・ストームによって、岬のように斜めに隆起した丘の先端部。
 ロクは手でひさしを作り、爆弾が降り注いだ箇所の先を偵察していた。
 やはり半壊した機甲兵器の残骸が多い。もともとここは戦場だったのだろうか。
 すべてが滅びいのちが消え去った今、それを知る者はこの世界に誰もいない。
「ジャック。まだ、機械がいる。おれが見てくる」
《――了解した。本機は解体し損ねた残骸がないかチェックしつつ、そちらを追う》
「わかった。おーば」
 通信を終えたロクは、そのまま猫めいたしなやかさで丘の真下に着地した。
 そして、すん、と鼻を鳴らす。人の気配がないおかげで、風も匂いも感じやすい。
 狩人としては最適かつ最良の環境……それでも、眉根はわずかに曇る。
(ここには、いのちがない。ひとも、獣も、樹も)
 それは、森番としてのおのれにとってひどく寂しく、悲しいことだ。
 生命の存在が許されない領域、という意味では、宇宙空間も同じではある。
 だが、あの世界には彼女が守るべき"なわばり"がある。人々の息遣いがする。
 彼女は――もちろん相棒も――それを知っている。守ってきたのだから。
 この世界は……どうだろうか。ひとは生きている、世界に抗おうとしている。
 それでも。拭い去れない"滅び"の先触れが、風や大地に色濃く染み付いていた。
(……この世界のひとは、道を切り拓くことも出来ないのか)
 "ドライ・レイク"で目撃した光景。ダークセイヴァーとはまた異なる貧困。
 明日を迎えるための物資にすらも困窮した人々の、捨て鉢にも似た生存本能。
 こころはもやもやと形にならない雑念で埋め尽くされ、ロクは頭を振った。
 ちょうどその時、錆びた砲口がぎしりと動いた。ロクは大きく目を開く。
 蒼い双眸はネコ科動物めいて収縮し、直後姿が消える。――斬撃、爆発音。
 駆け抜けた地面と斬り裂いた残骸を烙印の焔がなぞり、炭を積み上げる。
 背後でまた爆音がした。ロクはそちらを振り返り、手を振った。

《――こうした作業は慣れているのだな、ロク》
 合流後の小休止中、なにげなくジャガーノートは言った。
 ロクによる先行偵察とルートの構築は理に適っており、作業もスムーズに進む。
 ジャガーノートの仕事は、もっぱら彼女の手に余る大量破壊である。
 そして爆発で荒廃した大地は、烙禍の焔が洗い流して均す。
「……何度か、やったことがある」
 おそらくはアックスアンドウィザーズにおける仕事のひとつだろう。
 あの世界の人々と街道を切り拓くロクの姿を、相棒は脳裏に思い描いた。
《――実際、本機は大いに助かっている。君がこの仕事に来てくれていてよかった》
「うん」
 相棒の言葉に素直に頷いて、ロクは地平線の彼方を見つめる。
 ジャガーノートは彼女の視線を追って、遥か遠くの竜巻を目視した。
《――こうした"整備(せんめつ)"は、本機の得意とするところだが》
「…………」
《――それも、一時しのぎに過ぎない。あの嵐が来ればすべて吹き飛ぶだろう》
「……それでも」
 ロクはぽつりと言った。
「歩きよい道は。みんなが通る。ひとも、獣も」
《――ああ。たゆまない繰り返しが、いつか環境を変化させるだろう》
 良きにつけ悪しきにつけ。それは人の営み、文明の本分である。
 それが、文明崩壊したこの世界の本当の意味での『再興』と言えよう。
《――本機の性能(ちから)がその一助になるのなら、働かねばならないな》
 相棒の言葉にロクはもう一度こくんと頷き、埃を拭いながら立ち上がった。
 作業はまだ多い。ただ、こころのわだかまりはもう、消えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
こういう時、想定される脅威は星の数ほどあるが…
最も優先して対処すべきは、『人』だ
他者から物資を奪う者、イカれたカルト信者、狂人…オブリビオン未満ではあるが、パンピーにとってはキツい脅威がいたって可笑しくは無い

こっちに合流して労働力を提供してくれたら言うことはないんだが…
そんな芽が無いなら、"消す"か

【忍び足】【目立たない】【闇に紛れる】【迷彩】【暗殺】でスニーキング&デストロイだ
殺さないならナイフの柄で脳を揺らし、殺すなら喉を裂く
一人、また一人と順番に、素早く、無力化する
せっかくだし物資も持っていって有効活用してやろう

悪いな、パンピーに手を出すならテメェらは害獣と同じだ
駆除の対象でしか無いよ



 どれだけ残虐な行為でも、"作業"にしてしまえば何も感じない。
 そこに"意義"を与えれば、人はむしろ進んで非道に手を染める。
 ヴィクティム・ウィンターミュートはそれを知っている。
 心をすり減らし、ついには人らしさを失ってしまったようなモノも、
 大義や名誉というありもしないものに酩酊し、堕落しきったモノも。
 どちらに偏ってもいけない。機械になっても、酔いしれてしまっても。
 だからヴィクティムはいつもおどける。道化師めいて皮肉を言ってみせる。
 生きるための術だ。生きるために"こういうこと"をしてきたのだから、
 自然と身についたのだろう。自分にとっては息をするのと同じ……。
「ここもクリア……っと。まあ全部片付いただろ」
 三つ目の"住処"を潰し終えたヴィクティムは、誰に言うともなくひとりごちた。
 足元には血溜まりといくつもの屍体。当然、彼の手には得物がひとつ。
 "奪還者"未満、オブリビオン未満の常人が相手ならば、この程度は朝飯前だ。
「さて、それじゃあ戦利品の御開帳といこうかね」
 そう言って、ヴィクティムは物資の保管庫へ向かった。湿った足音を立てて。

 ……この"住処"に居たのは、オブリビオンではない。人間だ。
 この世界に生きる人類。しかし、生きるために奪うことを選んだ連中である。
 レイダー。バンディット。表現は色々あるだろう、ようはろくでなしだ。
 自分と同じ――だから心は痛まない。そんな感傷覚えた試しもないが。
「なかなか溜め込んでるじゃねえか。有効活用させてもらうぜ」
 シートを被せられたコンテナをチェックし、輸送用のドローンを召喚。
 慣れた手つきだ。むしろ、こういうことこそヴィクティムの本業なのだから。
 ……彼とて、初めから殺すつもりでここへ来たわけではない。
 事前の調査と偵察、そして最初の連中には姿を見せて交渉もきちんとした。
 返ってきたのは弾丸の雨だ。だから、ヴィクティムは"プランB"を選んだ。

 身を潜め、殺す。

 音もなく影もなく、背後を取って首を一撫で。それで終わる。たやすい話だ。
 改心の余地があれば不殺も考慮に入れてはいた。が、現実はこの通り。
 彼らはもう手を汚していた。であれば、それは害虫と同じである。
 ヴィクティムは淡々と物資運搬の準備を終え……ぴたりと、手を止めた。
「――運がねえやつもいたもんだ」
 彼の強化サイバネ聴覚は、住処に戻ってきたレイダーの足音を聞きつけた。
 ステルス機構を起動(アクティベート)。滑るように部屋を出て入口へ向かう。
 倒れ伏したレイダーの屍体を前に震えていたのは……少年である。
 年頃は自分と同じ、いや1つ下か。若い。それに恐怖の表情を浮かべている。
 食い詰めてならず者になったはいいが、殺人者になるような度胸もなく、
 死と隣合わせの偵察任務を負わされていた……というところだろう。
「一つ聞くぜ」
「ひ……っ!?」
 突如背後からした冷ややかな声に、年若い食い詰め者は震えた。
 ヴィクティムはナイフを少年の喉元に突きつけたまま、淡々と問う。
「いいか、一度だけだ。一度だけ答えるチャンスをやるからよく考えろよ」
「…………!!」
「……"どんなことをしてでも、生き延びるつもりはあるか?"」
 沈黙。少年は震えながら答えを考えに考え、やがて絞り出すように言った。
「…………わ、わから、ない……わかんねえよ、そんなこと……!」
「――……そうか。"なら、生かしといてやる"」
 え、と少年が聞き返すより早く、ヴィクティムは彼の下顎を揺らしていた。
 脳にダメージを受け昏倒した少年を見下ろし、ハッカーは最後の操作を終える。
 召喚されたドローン群が、荷物と昏倒した少年の運搬のため飛んでいく。

 生きるためにはどんなこともしてきた。誰であろうと足蹴にしてきた。
 覚悟など物心ついた頃に決めた。いまさら己の半生を呪いはすまい。
 ただ、だからこそ。
「まだやりようがあるよ、テメェには」
 誰に言うともなく呟いて、ヴィクティムは姿を消した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

三咲・織愛
(ぶんぶんと腕を振り回しながら)
私、こういうの大得意ですから!

整地のためには岩など取り除かないといけませんよね
ばびっと鉢巻を巻いて気合を入れていきましょう
大きな岩を見つけたら片っ端から遠くに放り投げて行きます
もちろん舗装路から出来るだけ遠くにですよ!

わあー! 戦車もあるんですね!
これもちょっと邪魔ですね
投げておきましょう
ぼこぼこの地面は叩いて平らにしておきましょうか
ふふふ、なんだか楽しくなってきました
こんな大掛かりな工作、めったに出来ませんもんね!

邪魔なものをぽいぽいしきったら、少し休憩しましょう
まったりお茶を飲みながら空を見上げます
いい汗掻きましたねぇ


リリア・オルトラン
ふむふむ。舗装道路の敷設か。インフラを整えるのは大事よな!戦でも兵站が物を言うものだ。
任せろ!!腕がなるというものだ!

しかし人の手で出来ることは限られるよな。だからこその猟兵頼りか。人の理を外れた力でどうにかせよという事だな。
生憎私は魔法で岩を砕くくらしか出来んぞ。地道にやっていくしかないのだろうか。

むむ!不発地雷などもあるのか!それでは地雷の探知をしていこう。後発の猟兵達がやり易くなるだろう。
Irisを地に突き立て炎を使う!ふははははは!悉く爆発してしまえ!!
…………なんだか地面が荒れてしまったな。しかし地雷の恐怖は去った!後はいい感じに任せるのだ!


深鳥・そと
歩きやすい道大事!
どこに向かって道を作るのかよくわかんないけど
とりあえず整地……ってやつをすればいいんだよね?
邪魔なものたくさん壊すぞー!おー!

▼方向性
【怪力】を活かして
視界に入った障害物を移動したり壊したりして整地
最初は手あたり次第に取り掛かるけど
【学習力】で効率のいい整地方法見つけたらいいですね


狭筵・桜人
死の沼地とやらに行ってきまーす。

毒やら呪詛やらには耐性があるので適任かと思いましてね。
実はね~毒が効きにくい体質だったりするんですけど
毒が効かなければ薬も効かないなんてね。
頭痛の日にはモー最悪。

ま、効きにくいってだけなので飛び込めば死ぬかもですが
作業中のウッカリくらいは許されるでしょう。

沼といえば埋め立てですよね。
他の作業で大量に出るであろう瓦礫や土砂を貰って埋め立てます。
エレクトロレギオンに荷台を運ばせてー
埋めてーまた運んでー……
いい感じの砕石で被覆してー……

うるせー沼まるごと消滅させるド派手なユーベルコードなんかあるわけあるか!!!
絵面の地味さは私の美貌と愛らしさで補っておいてください!!



「……いやー、これは予想以上ですね」
 見渡す限りの巨大な黒いプールを前に、狭筵・桜人は途方に暮れていた。
 滞留している液体は、タールのような粘ついた危険物質である。
 体内に取り込むのはもちろん、触れるだけでも人体に有害な反応をもたらす。
 幸い揮発性はないようだが、こんなものが溜まっていていいことはない。
 ゆえに、毒や呪詛への耐性が高い桜人なりに、利点を生かして作業を……と、
 思っていたのだが。ご覧の通り、その規模は彼の予測を越えていた。
 一応多少の瓦礫は運んできた。が、これでは焼け石に水だろう。
「といっても、この量の沼地を埋め立てる瓦礫なんて、早々ないですよねえ」
 それこそ重機か何かを複数台用意しなければ、とても足りないだろう。
 しかも、それがうまいことここ投げ込まれるとか、そんな都合のいい話あるわけ、
「せいやー!」
「えーいっ!!」
「は?」
 突然の気合に驚く桜人、そして……ガッシャーーーーーーン!!
 呆然とする彼の目の前に落下してきた、巨大岩石✕2!
「あ、ごめんなさーい! 大丈夫ですかー!」
「なんか悲鳴みたいの聞こえた気がする! もしかして誰かいたー!?」
 てってって、とそこにそれぞれ別方角からやってきたのは、ふたりの少女だ。
 そのふたり……三咲・織愛と深鳥・そとは、互いに顔を見合わせて首を傾げる。
「……すみません、私です、私。くたばりかけたの私です」
 岩の陰から桜人がひらひら手を振る。突然のことに腰が抜けていた。
 幸い無事だったようで、織愛とそとはそんな彼を見てほっと胸をなでおろす。
「すみません! 出来るだけ遠くに投げようとしたらここに飛ばしちゃって……」
「ばかーん! ってやったらひゅーん! ってなっちゃった! ごめんなさい!」
 などと、拳を振りかぶるポーズをしながら説明するふたり。
 そこで桜人は気づいた。……このふたり、何の武器も持っていない。
「え、あの。まさかですけどあのデカさの岩石、おふたりとも素手で……?」
「「はい(うん)!!」」
 満面の笑みである。何を隠そうこのふたり、ともにパワーファイターであった。
 かたやエルフ、かたや羅刹。年齢は違えど、見た目は穏やかな少女なのだが……。
 桜人は軽くゾッとした。しかしここで、彼の頭にいいアイデアがひらめく
「……あの。よければちょっとお願いしたいことがあるんですが」
「「???」」
 織愛とそとは、首を傾げつつも彼の話を聞くのであった。

 ところ変わって、大量の地雷が埋没しているという不穏な荒野。
「それでここへ来たというわけか。うむ、タイミングがいいな!」
 三人よりも少し早くここに来ていた少女、リリア・オルトランは、
 尊大な調子でそう言うと、腕組してうんうんと頷いた。
 彼女も彼女で、このあたりのポイントを担当するつもりだったようだ。
「かくいう私もいま来たところでな。瓦礫を撤去してくれるというなら心強い!」
「はい、任せてください! ……でも、地雷があるんですよね。どうしましょう?」
 ぐっと握り拳を作って安請け合いしてから、織愛はきょとんと首を傾げた。
 色々タイミングがズレていた。まず地雷をなんとかしてから瓦礫が自然である。
「んー、わたしわかんない! 踏んだらドカン! なんだよね!」
「おふたりして私のほう見ないでくださいます? ないですよプランなんて……」
 そとと織愛の視線を受けた桜人は、肩をすくめながら頭を振った。
 ……桜人のプラン。それは、織愛とそとに瓦礫を除去してもらうというもの。
 大量の瓦礫で沼地を埋め立て、あの有害な液体を無力化しようというわけだ。
 現地まで力技で運んでしまえば、埋め立て作業自体は彼の機甲兵器群がこなせる。
 そこで、近くで一番瓦礫が残っているこの地雷原にやってきた。
「まあもちろん、そこは私に任せておけ。でなければこんな言い方はせんとも」
 リリアは胸を張って誇らしげに言うと、腰に佩いた細身の剣を鞘走らせた。
 日差しを浴びたその刀身は、プリズムめいた虹色にきらきらと輝く。
 リリアが刃を指でなぞると、それに合わせて刀身の色合いが鮮やかな赤に変化。
「あいにく私は、派手に壊すぐらいしか出来ん。が、それならこうすればよい!」
 そう言ってリリアは剣を逆手に構え、勢いよく地面に突き立てた。
 柄から流し込まれた魔力に呼応し、刀身の赤が色合いを増す。
 まばゆいほどの赤い輝きは一気に収束すると、亀裂めいて地面を駆け抜けた!
 直後……KA-BOOOOOOOOOM!!
 地雷が一気に爆発し、瓦礫もろとも地面の土を空に巻き上げたのである。
「うわ、いくらなんでも直接的すぎません!?」
「わあー、すごいですね! アクション映画みたいです!」
 降り注ぐ砂を払いながらドン引きの桜人、なぜか目をキラキラさせる織愛。
「どっかーん! きゃーかっこいー! あはははは!」
 そしてそとは、両手をあげてきゃっきゃと騒いでいた。テンションが高い。
「ふははははは! どうだ、なかなかだろう! もはや地雷の恐怖はない!」
「……それはいいんですけど、地面が無惨なことになってますよ?」
「あっ」
 桜人に言われて振り返ったリリアは、その惨状を見て声を漏らした。
 がらがらと降り注ぐ瓦礫と土の雨、爆発でクレーターのようにえぐれた地面。
 これでは道路どころか、行き来するだけでも大変だろう。
「…………うむ! まあ、あとは色々任せるのだ! 後続にな!!」
「いやあなたも働きましょうよ! こうなったら一蓮托生ですよ!」
 リリアはうぐ、と呻いたが、桜人の正論にはぐうの音も出ない。
「まあまあ、ひとりならともかく私たちが力を合わせればすぐに終わりますよ!」
「そうそう! それにね、わたしちょっとずつ"整地"ってやつわかってきたよ!」
 織愛はどこから取り出したのか鉢巻を締め、そともやる気である。
 体力に関しては申し分ない。が、そのぶん陣頭指揮などは必須だろう。
 そして、この中で一番そういう頭脳労働が得意そうなのは……。
「…………おかしいなこれ、私の仕事むしろ増えてないですか?」
 どうせなら、なんかこう派手に地形変えるユーベルコードとかあればよかった。
 桜人は天を仰ぎ、心からそう思った。ないものねだりは虚しいだけである。
「さあ、ここからが本番ですよ! 皆さん頑張りましょう、えいえいおー!」
「おー! いっぱい壊して投げちゃうぞー!!」
 肩を落とす桜人、意気投合してやる気の織愛とそと。
(人の理を外れた力を持つ者同士、連帯してこその道作り……か)
 リリアは感慨深げに頷いた。まあ、この惨状の原因は彼女なのだが。
 こうして、凸凹な荒野を舞台に、凸凹な四人が悪戦苦闘を強いられたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

テリブル・カトラリー
人々が行き交う交通路があれば、人間を狙うレイダー共も出てくるだろう。
今のうちに潰せる所は潰す。

『支援狙撃』発動。ドローンで広範囲を【情報収集】
レイダー拠点と思われるポイントをマーク。
荒事が私の専門だ。

道路予定経路近くにある、レイダーキャンプへ襲撃を掛ける。
見張りを【スナイパーライフルで狙撃、間髪いれず
主砲でテントを【吹き飛ばし】自動操縦の装甲車を突っ込ませる。

まだ襲撃予定地点はある。手早く終わらせよう。
装甲車へ注意を向けるレイダー達の後ろから強襲。
機関銃で【制圧射撃】をかけながら接近し
【怪力】ガントレットで殴りつけ大人しくさせる

……まだ、隠れている奴がいるな。



 気だるげにアサルトライフルを持つ見張りの脳天が、パカンと爆ぜた。
 隣にいたレイダーは、あくび混じりにそれを見て……直後、死んだ。
 何が起きたのかを理解するより先に、頭部に銃弾を受けたのである。
「おい、何があった! まさか敵襲……なっ!?」
 物音を聞きつけて飛び出してきた男が、倒れ伏す見張りを見て驚愕する。
 結論から言えば、彼はそんなことをしている暇があったら逃げるべきだったのだ。

 ――KRA-TOOOOOOOOOOOOM!!

 轟音。砲声とともに大口径炸裂弾が着弾し、周囲数メートルをふっ飛ばした。
 瓦礫と人体の残骸と土塊とが、ミキサーにかけられたようにぶちまけられる。
 そこへ……KRAAAAASH!! 逃げる隙を与えぬ、装甲車の激烈なチャージ。
「なんだ!? 何が起きやがった……!」
「くそっ、どこの誰だこんな派手なこと仕掛けてきやがったのは!」
 爆煙の中からほうぼうの体で現れたレイダーどもが、殺気立った声で叫び合う。
 敵の注意は、突然突っ込んできた正体不明の装甲車に釘付けになっていた。
 警戒すべきはその背後である。テリブル・カトラリーは、すでにそこにいる。
「……」
 無言で超高熱機械刀を振るう。まず三人のレイダーの首を刎ねた。
 返り血がその身を汚すより早く、もう片方の手で機関銃をフルオート連射。
 BRATATATATATA……遅れて気づいたレイダー四人、腹部に弾丸を受け転倒。
「て、てめ――がッ!!」
 リーダー格と思しきレイダーの顔面に、吸い込まれるようなストレートパンチ。
 重金属ガントレットの拳槌は、鼻骨を砕いて顔面を陥没させる。
「……掃討完了」
 テリブルはうっそりとした声で言い、ガントレットの血を乱雑に拭った。
 網膜上に投影された周辺マップ上に、さらなる光点がいくつか浮かび上がる。
 ステルスドローンが収集した、付近のレイダー拠点の割り出しポイントだ。
「まるでアリだな。数が多い」
 吐き捨てるように言って、装甲車に飛び乗る。重たい駆動音。
 棺桶めいた暗いコクピットの中で、テリブルの表情はどこまでも厳しい。
(荒事が私の専門だ。戦うことに迷いはない。相手が誰であろうと……だが……)
 明日を迎えるにも事欠く世界では、悪に堕ちるのはあまりにたやすい。
 躊躇はない。しかし、それでもという想いは、その心に芽生えてしまう。
 彼女はけして、殺戮や闘争を楽しみはしない。常に陰鬱とした懊悩だけがある。
「……拠点はすべて潰す。それだけだ」
 眉間を揉みながらひとりごち、嘆息。心は重いが迷っている暇はない。
 戦うことが己の使命であり、唯一できることならば。そのために働くのだ。
 きっとその先に、人々が行き交う平和な道が繋がると信じて。

大成功 🔵​🔵​🔵​

露木・鬼燈
道路の敷設?
猟兵のお仕事って本当に多岐にわたるよね。
まぁ、専門外だけど何とかなるよね。
どんな力も使い方次第。
戦闘用の能力だって道路の敷設をやれる!
化身機装<火廣鐵>
機械神の力で障害物を排除するですよ。
主に巨石とかをね。
人間サイズだと厳しいサイズのものを戦槌形態の魔剣で粉砕。
舗装に使えないサイズのものを道路予定地の外に捨てる。
なんてゆー地味な作業を繰り返すのです。
この捨てる作業…スコップとか欲しいよね。
魔剣をスコップに変形は流石にムリか。
でも、オプションパーツを取り付ける形でなら…
スコップは武器にもなるし、イケルイケル!
想像から創造するっぽい!
作業の効率化のためにもがんばるのです。



 化身機装<火廣鐵>。
 全高八メートルを超える鋼の巨体は、あらゆる魔を退け邪を切り裂く。
 露木・鬼燈の戦闘経験に裏打ちされた、"想像されうる無敵の機械神"である。
 これまで数々の強敵を屠ってきた自慢の相棒。紛れもない鋼の巨神。
 ……そんな誉れ高き忍の矛にして鎧が、何をしているのかというと。
「よいしょっとーぉ!!」
 ぶおんっ、と振りかぶられた戦槌形態の魔剣が、巨大な岩石を叩き壊す。
 ぱらぱらと散らばる粉塵をかき分け、ハンマーがさらに二度、三度。
 ズン、ズシンッ!! 砕けたかけらも、きちんと粉微塵にしてしまった。
「ふー、やってみるとなかなか楽しいっぽい! さあて、次々~」
 草木も生えない荒野を、鋼の機械神が悠然と横断する。
 担ぐのは破城槌めいた魔剣。叩き潰すのは悪党……ではなく、障害物だ。
 猟兵の仕事が多岐にわたるのはいまさらだが、まさか道路のルート確保とは。
 聞けばこの仕事、もともとはグリモア猟兵たちが話し合いを行い、
 儀式魔術めいたやりとりを経て本格始動したという。
 誰かが乞うたのではない、皆がそうしようと決めた仕事である。
 よくも考えつくものだ、と鬼燈は思う。なるほど、面白いとも。
 地味な作業ではあるが、この世界の現在の文明レベルでは、
 こうした土木作業は不可能だろう。猟兵の力が必要なのも、さもありなん。
「……ほんと、よく生きてるよね、この世界の人たちって」
 ふと地平線を見つめる鬼燈。視線の彼方、巨大な嵐が渦を巻いていた。
 オブリビオンストーム。文明を崩壊させ、世界を破滅させる恐るべき災厄。
 家を、人々を、天と地すら引き裂かれてなお、人類は生きようとしている。
 その一助を担う。あっぱれな話ではないか。
 いかに悪鬼羅刹の如く戦うとて、鬼燈は根っからの鬼畜外道ではない。
 楽しく生を尽くす。その片手間に、こういう義侠も悪くはないものだ。
「化身機装のこんな使い方、里にバレたら怒られそうだけどね~♪」
 大して気にするふうもなく、鬼燈は新たに巨大スコップを創造した。
 ざしゅ、ざしゅと、乾ききった荒野をえぐり、土を外に運び出す。
 青空の下、厳しい鋼の巨体が地道な土木作業にひたすら従事する様は、
 きっとどんな世界でも見られない、不思議な風景になっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皐月・灯
荒れ果てた世界に、道を作る仕事……か。

まずは調査だな。オレは地面を調べるぞ。
ゴーレム製作とか、魔術でも土を扱うことはあるからな。……オレは専門じゃねーけど。

まあ、土の質や石の状態から、ある程度の強度とか、岩盤がどの程度地表の近くにあるのか……そーゆーことを推測すんのさ。

……いくら壊されるったって、わざわざ質の悪い場所に道路を敷くこともねーだろ。

多少回り道になろうが、辿り着けねーよりマシなはずだ。
そうだろ?


オレが道路作り……か。らしくねーぜ。
けど……意外と性には合ってるのかもな。
……土と話して、石を退けて、土を盛って、耕して。

……もう思い出せやしねーけど……そんなことを、前にもしてた気がする。



 この世界に来るのは初めてだ――初めて、の、はずだ。
 少なくとも、"皐月・灯"にとっては。
 だのに、馴染む。空気が、土の匂いが、空の青さが、何もかもが。
 何故かなど、考えるまでもない。この身に宿りし神をも喰らう飢えた力。
 喪失の牙――偽神細胞が、この世界そのものと同調しているのだ。
「……チッ」
 灯は落ちていた石ころを蹴り上げ掴み取ると、無造作に握りしめて砕いた。
 胸のむかつきは、怒りのせいかわだかまる無力感ゆえか。どちらでもいい。
 力がある。その由来もわかっている。それはおそらく喜ばしいことだ。
 だが、怒りとは理屈ではない。そして彼はまだ若い――残酷すぎるほどに。
 風が粉塵を洗い流す。この荒野に吹く風は、寂々と渇いていた。
 ダークセイヴァーの夜風は、むしろ湿っている。忌々しい肌触りだ。
 悪鬼どもの腐った性根と、そのもとに殺戮される人々の血と腐臭が混じった匂い。
 アポカリプス・ヘルのそれは、対極でありながら同じ性質を示していた。

 滅びだ。
 この世界そのものが"死んでいる"。灯には、それがよくわかる。
 土はそもそも生命を育む滋養を持たず、空から降るのは恵みではなく災厄。
 そして、視線の彼方――地平線に渦巻くあの嵐がすべてを引き裂く。
「……ここはダメだな。何も根付かねー」
 古今東西において、人々は様々な学問において地質の霊的な力を測ろうとした。
 その最たるは東洋における風水、あるいは地脈と呼ばれる概念であるが、
 こうしたオカルティックな力は科学的に結びついている。
 もう"死んだ"地には何も根付かない。花も、人も、営みも。……ここは不適切だ。
 灯は当て所なく歩く。踏みしめられた足跡は土風が消し去っていく。
「本当に、こんな世界に文明なんざ復興出来んのかよ……」
 捨て台詞めいた独り言が口を突いて出る。我ながら悲観的だと眉根を顰めた。
 出来るかどうかではない。"やる"のだ。やらねばならない。
 少なくとも、この世界の人々は。そして自分は、"出来ない"という言葉が嫌いだ。
 それが世界の、ましてや滅びをもたらす連中の押し付ける道理であるならば、
 叩き潰す。跳ね除ける。反骨心は蟠る怒りと混ざり、闘志という焔の薪となる。
 ただ、この仕事に従事する理由は……単純なハングリー精神だけではない。
「――……ここなら、さっきの場所よりはまだマシか」
 しゃがみこみ、黒ずんだ指先で地面をなぞる。刻印回路が仄かに紅く輝いた。
 弱りきった赤子の泣き声ほどにか細い。だがここにはまだ、いのちがある。
 このルートならば、あるいは。……どうあれ、利用は出来るだろう。
(らしくねーぜ、このオレが道路作りとは。……いや)
 心のなかでひとりごちて、ふと視線をあげた。埃っぽい風が吹く。
 誰もいないはずの荒野に、なぜか鍬を振るういくつもの人影が見えた。
 この地に刻まれた、在りし日の文明の名残が見せた幻か。
 あるいは、もう想起することも出来ない己の記憶が、蜃気楼めいて疼いたか。
「せいぜい使ってやるさ、力があるなら。今までも、これからも」
 嵐を喰らう力。己の身に与えられた唯一の縁(よすが)。
 鼓動に呼応して、偽神細胞が疼いた。……戦いの近来を告げるように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

祇条・結月
……人が、さ
火を囲むようになって。そこに、「家」を作るようになったみたいに
何回壊れても
何回失っても
行き交う道をつくる、ってことは絶対無駄じゃないんだ、って信じてる
絶対。絶対、って

道を付けれるような荒野
そういうところって要するに交通の要衝だったり、他の場所よりは道をつけるのにましな環境だったり、ってことだよね

……そういうのを狙ってるのって野生動物ばっかりじゃないでしょ
クサい場所はなんとなくわかる(【第六感】)
これは、悪意があって道具を使えるよう奴がしかけた罠だよね、って
レイダーの仕掛けを【罠使い】で解除していく

影の梟も放って少しでも見落としを避けて作業していくよ
小さな一歩だって
きっと
きっと、って



 残念なことに、この世界の人類すべてが前向きなわけではない。
 生き延びるために復興された禁断のオーバーテクノロジー。
 それは当然、悪しき方向にも用いることができる。
 すなわち、略奪。殺戮。支配。人道に反したような行いに。
 しかし、文明が崩壊したこの世界に、確たる法律は存在しない。
 であれば、生きるために行われるそんな行為を、間違っていると言えるだろうか?
 身を寄せ合って少ない食糧を分け合い、明日に怯えて暮らすのと、
 自分が生きるために誰かから何かを奪うことは、同じではないのだろうか?
 答えはない。ただ、ひとつだけたしかなことがある。
(……そういうの、よくないよね。やっぱり)
 ごく普通の家庭に生まれ、あるべき文明のもとで育った"平凡な"少年にとって、
 それは見過ごせないことであり、許されざることであったということだ。

 祇条・結月は、ため息をついた。
 これで何個目か。発見したのは巧妙に隠されたワイヤートラップである。
「こんなもの仕掛ける暇があるなら、もっとマシなことやればいいのに」
 などと仕掛けた本人――おそらくレイダーか、そのなりそこないだ――に言えば、
 きっとこんな風に言われるだろう。
 "ふざけるな。飯と飲み物に困ったこともねえくせに"だとか、
 "雨も風も凌げずに、毛布すらなしに眠ったことはあるのかよ"だとか。
 想像しただけで陰鬱な気分になる。紛らわすように、ワイヤーを手早く解除した。
 ワイヤーに触れるものがあれば、仕掛けられた爆薬が作動する仕組みである。
 抜き取った信管を踏み潰す。食糧はないのに、この手の資源は溢れているらしい。
「……はあ」
 嘆息。彼の狙い通り、道路の敷設候補地点には、いくつもの罠があった。
 オブリビオンか、あるいはそうではないものか。どちらであれ悪意ある罠だ。
 放っておけば、作業中に何人もの犠牲が出ていただろう。
 結月は瞼を閉じる。視界が切り替わり、空からの全景が見えた。
 影の梟と共有した五感による景色である。こうして見ると、荒廃がよく分かる。
 目につく建造物は崩れ果て、遮るもののない空はぞっとするほどに広い。
 子供が気まぐれにちぎった紙切れのように、大地はバラバラに引き裂かれていた。

 心にふと、当然のような疑念がよぎる。
 ――本当に、こんな世界で道を築くことなど出来るのか?
 あの嵐が何もかも破壊して、結局全部無駄になってしまうのではないか?
(いいや、違う)
 弱い己が囁く贅言を、実直に切り捨てる。
 何回壊れたとしても、
 何度失ったとしても、
 その都度直せばいい。同じようにまた作ればいい。
 人は火のもとに集い、やがて営みが生まれ、営みが家を、文明を創り上げた。
 アスファルトの下に眠るのは、遠い昔の誰かが裸足で踏みしめた大地だ。
 ならば、出来る。
 やってみせる。
 絶対に。
 ……きっと。その意志が重要なはずだ。
「諦められないよ。……諦めるわけには、いかないんだ」
 目を開き、新しく見えたポイントへ一歩一歩大地を踏みしめる。
 つま先に大地の感触があるうちは、まだ戦えるように思えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴宮・匡
いつか無に帰すかもしれないこんな営みを
昔なら、無駄だと思っただろう
……今だって、その意味をはかりかねてはいるけど

地雷の探知と撤去を行うことにしようか
さすがに今更、そんなものに引っ掛かるほど不慣れでもない

【無貌の輩】を召喚して周囲一帯へ向かわせ
地雷原全域を一斉に走査しよう
さすがに影に重量はないからな、踏んでも爆発しないだろ

目で見て判るものの位置と数をまず大まかに把握
音の反響や鋭敏化した嗅覚で地中に埋まっているものの位置・数も探知
撤去はさすがに人手を借りたいところだけど

この営みに意味があるのか
俺には、わからない
それでも、これが人の未来に繋がるなら
それを守るのは悪い事じゃないんだろう
……そう思いたい


ヌル・リリファ
アドリブ連携歓迎です

一回つなげられれば、そこがのこる確率はたかくなるけど。
猟兵がいないと、その一回もできないんだものね。

お仕事だもの。ちゃんとするよ。

基本はいわをはこんだり、残骸をどかすのをてつだうよ。わたし、みためよりはちからがあるもの。(【怪力】)

あとはあぶない場所……不発地雷とかがあるかもしれないんだよね。
いつもより地面を警戒して(【視力】)、それっぽいのがあったらひかりの武器を地面にぶつけて破壊する。
地雷なら爆破自体はそこまでおおきくないとはおもうけど、被害をおさえたほうがいいなら【アイギス】でおおってからこわすよ。


リア・ファル
SPD
アドリブ共闘歓迎

ヒトやモノは旅をして巡り、通った場所が道になる
何度だって

とはいえその為の助力は惜しまないさ

いよっし、まずは『イルダーナ』で上空から解析、
マッピングもしておこうかな
(空中浮遊、視力、情報収集)

大まかに敷設の方針が定まったら、整地だね

まずは倒木や瓦礫などは『ヌァザ』や
『グラビティアンカー』で除去しておいて……そう!

UC【我は満たす、ダグザの大釜】~!

今回ご紹介する商品は……そう!

ロードローラーだッ!!

キッチリ整地してくれる最新型だよ
間違ってもヒトにぶつけたり、あまつさえ圧殺しようとしちゃダメだからね?

……ダメだからね?



「ここと、ここ。あとはこのあたりだな」
「ふーむ……かなり多いね?」
 空中に投影された周辺地形の立体図を前に、鳴宮・匡とリア・ファルが話し合う。
 この3Dマップは、リアが上空から撮影・解析したものである。
 そして匡が示したポイントは、いずれも地雷原となっている場所だった。
 リアが投影図に手をかざすと、道路の敷設予定ルートがラインとなって浮かぶ。
 ライン上にない地雷原を除外しても、それでもまだ数が多い。
「残骸もどかさないと、いけないんだよね」
 横合いからヌル・リリファが顔を覗かせ、同じように手をかざした。
 ルート上にさらにいくつもの光点……どうやら作業は、山積みらしい。
「まあ、仕方ないだろ。それを撤去するのが俺たちの仕事なんだから」
「うん。お仕事だもの。ちゃんとするよ」
 匡の言葉にヌルは頷く。ふたりがそれ以上不平不満を漏らすことはない。
 任務であれば、どんなものであれこなす。ぼやいていても仕事は終わらないのだ。
「じゃあ、ヌルさんとボクが瓦礫の撤去。匡さんが詳しい埋没地点の探知だね」
「そっちが合流するまでに終わらせておくよ。撤去はさすがに手を借りたいし」
「わかった。それじゃあ、いこっか」
 三人は手分けして作業に取り掛かることにし、一旦その場で別れた。
 立体投影図が消失し、誰もいなくなった荒野に乾いた風が吹き抜ける――。

「……さて、ちゃんと仕事してくれよ?」
 匡が片手を差し出すと、指先からじわりと黒ずんだ液体がこぼれた。
 いや、液体ではない……タールのように揺らめくそれは、質量を持たない影だ。
 指先からこぼれ落ちたそれは人形大に凝り固まり、さらにいくつも分裂した。
 物理的なカタチを持たない影は、いかなるセンサーにも探知されない。
 直接的な戦闘力はないものの、こういった潜入や斥候には極めて役に立つ。
 影の五感は匡の五感でもある。地面に降りれば、土の肌触りを感じられる。
 68体の影が規則正しい動きで地雷原を走査し、判別しづらい地雷を探知するのだ。
 我々の世界において、地雷は世界中に約300種類超が存在するという。
 匡が知るものはそれよりも多い。一般に公開されていない兵器も多いためだ。
 このあたりに埋没しているのは、ほとんどが対戦車用の大型地雷だった。
(戦場だった場所に、今度は無に帰するかもしれない道を敷く……か)
 自身の五感も使って地雷の位置をマッピングしながら、匡は内心でひとりごちた。
 インフラの維持には人・物的にコストがかかる。この世界にはどちらも足りない。
 オブリビオンストームがあろうとなかろうと、敷設した道路は長く保つまい。
 使える資材は引っ剥がしてでも利用する、それが戦場の常なのだから。
 ……この営みに意味はあるのか? わざわざ猟兵が出張るほどの価値が?
 思索に耽りかけた匡の意識を引き戻したのは、遠くから聞こえる地響きだった。

 キュラキュラキュラ……と、重苦しい駆動音。
 見ればそこには、真新しい巨大なロードローラーがゆっくり走っていた。
 自動稼働しているらしき車体の上には、ちょこんとヌルが座っている。
「……なんだそれ」
「Dag's@Cauldron、今週のオススメ商品だよ!」
 イルダーナに騎乗したリアが、得意満面といった表情で降りてきた。
 呆れる匡の前でロードローラーが停止し、ヌルも降りてくる。
「残骸をどかしたら、整地もしないとダメだよねって、リアさんが」
「ヌルさんのパワーのおかげで、残骸のほうはなんとかなったからさ」
 どうやら、リアがいつものユーベルコードで引っ張り出してきたらしい。
 たびたび世話になっている立場で言うのもなんだが、よく用意するものだ。
 そんな風に匡は思いながら、地雷埋没地点の一覧データをふたりに送る。
「やることはやった。あとは頼むよ、ヌル」
「ん。まかせて」
 ヌルは瞼を閉じ、意識を額の水晶体へ集中させる。
 ティアドロップ型の宝石が淡く輝き、やがて光が彼女の体を包み込んだ。
「――いくよ」
 体を纏う光のヴェールがほどけ、空を覆わんばかりの無数の光の武器に変じる。
 ヌルはさらに、ブレスレットからビームシールドを展開、これを"蓋"にした。
 万が一の爆発に備えてのものだ。一斉に吹き飛べば彼らとて無事ではすまない。
 針のように細まった光の武器は、ヌルが手を掲げ下ろすとともに落下。
 見えない地雷の信管に狙いを定め、音もなく突き刺さる。……爆発はなし。
「今度はボクの番だ。グラビティアンカー、展開!」
 リアの背後に電子空間の間口が開き、そこから無数の錨が現れた。
 さながらイソギンチャクの触手めいた鎖は、じゃらじゃらと音を鳴らし殺到。
 "目印"――すなわち地雷に突き刺さったままの光の武器に絡みつくと、
 それごと地雷を引っ張り出す。当然、こんなことは普通の錨では不可能だ。
 空中高く放り上げられたいくつもの地雷が、花火のように爆散した。
 降り注ぐ粉塵は、傘のように展開されたビームシールドが受け止めてくれる。
 ロードローラーがぐぐぐ……と再稼働し、凸凹の地面を整地していく。

「これで、ひとだんらくだね。……匡さん?」
 ヌルはふと、匡が遠くを見ていることに気づいた。
 何か気になることでもあるのか、と視線を向ければ、匡はゆるく頭を振る。
「考えてたんだ。昔なら無駄だと思ってたこと、どうして今は、ってさ」
「仕事だから……っていうのはともかく、無駄ではないと思うよ?」
 イルダーナにひらりと飛び乗り、リアが言った。
「ヒトやモノは旅をして巡り、通った場所が道になる。何度だってね。
 たとえその道が途切れたとしても、また同じように切り拓けばいい」
「一回つなげられれば、そこがのこる確率はたかくなるよ。
 わたしたちの仕事は、みんなにできないその"一回"をすることだから」
「それは――……いや」
 その"一回"に、"また同じように切り拓く"ことに、意味はあるのか。
 それがわからないんだ、と言おうとして、匡は言葉を濁した。
 きっと、ふたりも確たる答えがあるわけじゃないのだろう。
 なら他の人々はどうだろうか。確固とした答えを口にしそうな者もいる。
 同じように疑念を呈しそうな者も、思い当たる。だが、それは詮無きことだ。
「少なくともボクは、"変に半歩下がることはもうしない"つもりだけどね?」
 リアはそう言っていたずらっぽく笑った。匡は頭をかく。
「……わたしも、昔よりずっと、いろんなことをかんがえるようになったよ」
 そしてふと、ヌルが呟く。
「わからないことも多いけれど。でも、こうしてはたらくことはできるから」
「……そうだな」
 行為の意義も、必要性も、理解は出来ない。ただ、知ってはいる。
 こうした行いが人の未来に繋がるなら、それは決して悪いことではない、と。
 ならばそれを守ることにも、意味はある――はずだ。
 信じるしかない。信じられると思うしか……いや、そう思いたい。
「悪い、余計な時間取ったな。次のポイント、行こうぜ」
 そう言って歩き出す匡が、同じ疑問を口にすることはもうなかった。
 答えを知らなくとも、理解できずとも、求めることは出来るのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雨宮・いつき
ははぁ、街道の整備ですか…
これほどまでに大荒れで危険も多いとなると、確かに現地の方達が行うには骨が折れそうです
よーし、それなら僕も不肖ながらお手伝いさせて頂きますよ
これも世のため人のため、です

地形が大きく凸凹してるのもあって、何だか岩山みたいになっちゃってますね…
それではまず、この岩石群を掃除して地ならしと行きましょうか
こういう土木作業であれば、彼がうってつけです
大太郎法師をお呼びして、その腕で岩をどかしてもらいましょう
ドカーンと派手にやっちゃって下さい!
一通り片付けたら、凸凹な地面を脚で踏みならして下さいね
本格的な整地は後でしますから、今は程々に
さあ、早く済ませて次の現場に行きますよ!


シキ・ジルモント
◆POW
宇宙バイクを使って作業を行う
巨大岩石や残骸のあるポイントへ向かう
邪魔な岩石や残骸をバイクにワイヤーで繋ぎ、バイクの馬力を使って邪魔にならない場所まで引っ張る

あまりにも巨大過ぎるものはそう簡単には動かないだろう
だからそういう場合は、まず小さく砕いてしまう事にする
特注弾の入った弾倉に入れ替えたハンドガンを使い、ユーベルコードを発動
巨大岩石や戦車等の残骸を破壊し砕いてから、改めて移動を試みる

この世界でいくつかのベースを見てきたが、人も物資もまるで足りていなかった
ベースを道でつないで互いに補い合えば、そんな現状を打破できるかもしれない
少しずつでもできる事をと考え、道路の敷設への協力は惜しまない


ミリア・ペイン
…酷い有様ね、本当にこの地を人の住める状態に出来るのかしら
ううん、泣き言を言ってる場合じゃないわよね

【WIZ】《黒き怨恨の炎》
整地する傍から壊されたのではたまったもんじゃないわ
先ずは地雷や不発弾がないか調査
私はこれら取り除く作業に取り掛かりましょう

【第六感】で埋まっている場所を探知
不自然に盛り上がった地面や暗がりに隠された形跡がないか確認を【暗視】
剥き出しになっていたり動かせそうな物は【念動力】で慎重に取り出し除去
取り出せそうに無いモノはUCで遠くから破壊してしまいましょう
誘爆や周囲の安全確認、自身が被弾しない様注意を

一歩でも進めばそれは前進に違いないわ
…焦ってはダメね


フェルト・フィルファーデン
道!いいわね……!この広い世界で、繋がりが無いのは寂しいものね……

とはいえ、例え猟兵が障害を取り除き整備しても、ずっと見守れるわけじゃない。最後にこの道を維持するのはここに暮らす人々。
ええ、見捨てられてしまったら終わりなのよ。だからね、希望を見せてあげるの!
完成した綺麗な道を蝶の幻で作り出し、これから作る道に繋がる街の人達に見せて、【鼓舞】するわ!
「この道は今は幻。これから作る道も、いつ壊れてもおかしくない脆弱な物よ。でも、諦めないでほしいの!いつか、絶対こんな道が通る日が来るから。わたし達も頑張るから、それまで、これから作る道を途切れさせないで。お願い……!」

少しは希望を、繋げたかしら……?


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

あ―…そーよねぇ。いっぺん一切合切根こそぎ吹っ飛んだんだもの、そりゃ基礎から作り直さなきゃいけないわよねぇ。
さぁて、やることは文字通り山積みだけど。どこから手を付けたもんかしらねぇ。

相手が群れで統率者がいる、っていうのなら。谷底なり狭隘地なり、襲いやすいポイントでかかってくるはずよねぇ。なら、そういうとこを中心に偵察しようかしらぁ?●要殺で警戒してればそう簡単に奇襲はされないはず。
あたしこういう工事に使える技能とか大規模に地ならしできるような装備とか持ってないし。せめてこっち方面では役に立たないとねぇ。


高橋・湊
今のここじゃあ、作ってもすぐに壊れるのがオチだろうさ、殆どね
……とはいえ、一つでも無事に残るものがあれば大きな一歩になるのには違いない
できる限りはやって行こうか、真面目にね

まずは【戦車隊展開】
半数は先行させて、周囲を索敵
残りは敷設予定地で障害への対応といこう

大型の障害物は周囲の猟兵と協力しながら、砲撃で破壊
破片を予定地から退けていこう

戦車隊でルート嬢の地面をならしながら、地雷などのトラップを探索
この手のは下手に解除するより一度発動させてしまった方が早そうだ
戦車をわざとトラップにハマらせて、その後は砲撃で破壊

さぁ、この調子でどんどん行こうか

【アドリブ、連携関係】



「さあ皆様、こちらよ! ごらんくださいな!」
 フェアリーの少女、フェルト・フィルファーデンに連れられてきたのは、
 今回の道路敷設に参加することとなった、二つの拠点の住民たちである。
 グリモア猟兵が言っていた通り、猟兵らの仕事はあくまで危険要因の排除。
 実際に砕石塗装を行い、道路をメンテナンスするのは現地住民の仕事である。
 フェルトが見せたかったものは二つ。
 ひとつは……実際に除去作業に勤しむ、猟兵たちの姿だった。

「これが最後の一個ね……みんな、念のためもう少し後ろに下がっていて」
 銀髪の少女、ミリア・ペインが言うと、猟兵や住民らは大人しく一歩下がった。
 そんなミリアの周囲には、いくつもの黒い炎が人魂めいて揺らめいている。
 実際、それは人魂のようなもの……悪意を持つ霊の、邪なる魂の炎だ。
 ミリアが彼方を指差すと、無数の黒炎が音もなく空中を滑り、飛んでいく。
 目指す先には、倒壊した建物の瓦礫。だが、彼女の狙いは瓦礫ではない。
 よくよく見ればその影に、強力な炸薬地雷が仕掛けられている。
 炎は一斉に地雷めがけて殺到し――KRA-TOOOOOM!!
 地雷が爆発し、建物の瓦礫もろとも派手な爆煙を巻き上げた。
「あんなの踏んでたらと思うとぞっとしないわねぇ。取り出したのはどうするぅ?」
 ティオレンシア・シーディアが顎で示したのは、除去された地雷の山。
 すでにミリアの念動力によって、爆発の危険を取り除かれている。
 そうやって取り出せないものをユーベルコードの炎で誘爆していたというわけだ。
「もう信管は抜かれてるんだろ? なら、色々と使い道はあるさ。
 物騒な話だが、こんな世界じゃ火薬や爆薬のたぐいはいくらあっても損はない」
 高橋・湊がその場にしゃがみ込み、除去された地雷の状態を見つつ言った。
 もともとこの世界で生き抜いてきた彼――といっても屍人だが――にとって、
 こういった"残骸"から使えそうな資材を取り出すことは、朝飯前である。
「なら、ここからは瓦礫相手の力仕事だ。まずはめぼしい残骸を運搬したい」
「であれば、僕もお手伝いしましょう。いざ参りませ、大太郎法師!」
 シキ・ジルモントの言葉に応じた雨宮・いつきが召喚式を唱えると、
 彼の頭上に五芒星の陣が浮かび上がり、そこからずおっ、と巨腕が生えた。
 地雷原を抜けた先には、地雷で破壊された戦車をはじめ巨大な瓦礫が数多い。
 シキは愛機のカスタムバイク・レラにワイヤーでそれらを縛り付けることで、
 いつきは召喚した大太郎法師の腕にそれらを持たせることで、安全地帯へ運搬。
 使えそうなものであれば地雷同様に解体、そうでなくばまとめて破壊の流れだ。
 中には大太郎法師の巨掌でも難儀しそうな残骸……たとえば倒壊したビル、
 あるいはオブリビオン・ストームに巻き上げられた岩盤の一部などもあったが、
「これだけ派手だと慎ましくお仕事なんて言ってられないね。――撃て!」
 湊の召喚した不可視の戦車隊による一斉砲撃や、
「少々デカブツだが……これなら、どうだ?」
 シキがユーベルコードで生成した特注の炸裂弾によって、爆発四散させられる。
 飛び散った破片を手分けして運び、他の瓦礫とまとめて破壊し、また運び……。
 最後に残されたポイントだけあり、撤去作業は六人がかりでなお時間がかかった。

 当然、仕事は瓦礫撤去や地雷除去だけではない。
 障害物を排除すれば、次に顔を覗かせるのは荒廃し渇いた枯野だ。
 植物を生育する滋養すら存在しない荒野は、ひび割れあちこち裂けていた。
 大規模な爆発が繰り返し起きたことで、あちこちが凸凹と隆起してもいる。
「大太郎法師、今度は地ならしをお願いします。今はほどほどに」
 腕に代わって生えた巨大な足が、スレッジハンマーめいて地面を踏み歩く。
 地響きのたびに砂埃が舞い上がって、遮るもののない地平線を濁らせた。
「……ひどい有様ね。本当にこの地を人の住める状態に出来るのかしら」
「正直疑問だね。いまのこの世界じゃあ、作ってもすぐに壊れるのがオチだろうさ」
 ミリアの呟きに、湊は軽薄に聞こえる調子で返し、肩をすくめてみせた。
「……とはいえ、やってみなきゃ始まらないだろう? 出来る限りはやってくさ。
 これでも真面目に仕事してるつもりなんだよ。私にとっても他人事じゃないしね」
 そう続ける湊の召喚した戦車隊が、足踏みする大太郎法師のあとに続く。
 戦車隊にはシキが用意したワイヤー接続され、巨大なローラーが結ばれている。
 巨足が大雑把に凸凹を整え、戦車隊がローラーでそれを整地していくのだ。
 それでも整えきれない地形については、残りのメンバーで可能な限り対処する。
 ミリアの仕事は、万が一に備えての地雷の再探知と警戒であった。
「……焦ってはダメね。この手の作業は正直初めてだから、慣れないわ」
「俺だって得意じゃないさ。だが、俺はこの目でいくつかのベースを見てきた」
 ミリアの言葉に、今度はシキが口を開いた。
「人も物資もまるで足りないところばかり。孤立してるんだから当然だ。
 そいつを繋いで互いに補い合えば、いずれは現状を打破出来るかもしれない」
「いっぺん一切合切根こそぎ吹っ飛んだんだもの。基礎から作り直さないとよねぇ」
 ティオレンシアは相槌を打ちつつも、なにやら気になることがあるようだった。
「……あのへん、誰か潜んでそうで気になるわぁ。ちょっと偵察してくるわねぇ」
「おひとりでは何かあると大変ですし、僕の式を同行させます。いってらっしゃい」
 そう言ったいつきの霊符がちんまりとした小狐に変わった。
 ティオレンシアは軽く礼を述べ半透明の式神とともに先行偵察へ向かう。

 そんな猟兵たちの働きぶりを、拠点の人々は感嘆とともに受け止めた。
 何か手伝えることはないか、少しでも力になりたい、という声も出てきたが、
「いいえ、皆様のお仕事はこれからですもの。今はわたしたちに任せてほしいわ。
 わたしたちの意志に応えてくれる……その気持ちがあるだけで十分ですもの」
「その通りです。これも世のため人のため、そう思えば苦になりませんよ」
 いつきとフェルトは顔を見合わせ、こくりと頷き合う。
「残念ですが、僕らが出来るのはあくまで皆さんのために準備を整えることだけ。
 そこから先は、この世界に生きる皆さん次第ですから……」
(……やる気があるだけマシなもんだ。諦めきった奴らに比べれば)
 シキの脳裏によぎったのは、困窮の果てに狂気に呑まれた拠点の末路。
 少なからぬ人々が生存を諦め、あるいはオブリビオンストームに喰われた。
 現存している拠点は、それだけで貴重なのだ。彼はそれをよく知っている。
 そんな彼の横顔を一瞥し、湊はほんの一瞬だけ憂いの表情を浮かべた。
 この世界で生き延びるために"どんなこと"でもしてきた湊だからこそ、
 シキがあえて飲み込んだ言葉をなんとなしに察することが出来たのである。
 そして生前の己の行いを思い出せば、自然と表情は暗くなる。いい思い出がない。
 それは、黄泉帰ってからも同じだが……けれど、彼らは違う。
「仕事の最中に、あまり陰気になっても仕方ない。何か明るい話題はないかな?」
「それなら、こんなのはどうかしら?」
 場の空気を変えようとした湊に、フェルトが応えた。
 彼女がユーベルコードで生み出した電子の蝶が、わあっと羽ばたき、
 すでに整地された場所に幻影を浮かび上がらせる――在りし日の文明の姿を。
 あるいは、復興が相成った"いつか"の未来図。そう呼ぶべきものだ。
「この風景は、今は幻。これから作る道も、いつ壊れてもおかしくないものよ。
 でも、諦めないでほしいの。いつか絶対、こんな風景が蘇る日が来るから……」
 フェルトが人々に見せたかった、もう一つの風景。
 それこそがこの幻。この場に集まった誰もが思い描いた夢想の景色。
 けれどもいつかはたどり着けるはずの、ひとつの終着点を示したかったのだ。
「繋がるのは道だけではないわ。皆様の希望も、必ず繋がるものなのよ」
「……一歩でも進めば、それは前進に違いはない、か」
 蝶が見せる幻を眺めながら、ミリアはぽつりとひとりごちた。
 人々が発奮しようというときに、猟兵である己が弱音を吐いてはいられない。
 だからせめて、出来ることを。……誰もが、きっとそう思っていた。

 そうしていよいよ整地作業が佳境に差し掛かりつつあった頃。
「ただいまぁ。さっそくで悪いけれど、そろそろ住民は帰らせたほうがいいわぁ」
 気がつけば戻ってきたティオレンシアは、変わらぬ調子で言った。
 その言葉が意味することを察し、猟兵らは表情を渋くする。
 "いた"のだろう。予想されていた襲撃――オブリビオンの大群が。
「いくつか細工をしておいたから、こっちに気づくまで時間はあるはずよぉ。
 迎撃のための準備は十分出来ると思うわぁ。ただ数が、ちょっとねぇ……」
「なら、私の戦車隊を先行させよう。こいつらの光学迷彩なら見つかるまい」
「俺は他の猟兵たちに情報を伝えてくる。住民の避難は?」
「わたしが皆様を呼んだんだもの。責任をもって拠点へ送り届けるわ」
 湊、シキ、そしてフェルトはそれぞれの役割を任じ、早速行動を始めた。
「ちょっと嫌なこと考えたわ、私。……敵が来てくれたおかげですっきりするって」
「いいのではないでしょうか。倒すべき敵に変わりはありませんよ」
 ミリアは再び黒炎の群れを召喚し、いつきは新たな霊符を用意する。
 戦いの時に備え、否応なく緊張感が張り詰めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『レッド・ラム』

POW   :    ブランディッシュ・ラム
【角】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD   :    マルチロック・ラム
【角から追尾光線】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    イミテーション・ラム
【角】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、角から何度でも発動できる。

イラスト:あなQ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 道路の敷設予定ルートは、猟兵たちの働きで無事に確保された。
 しかしどうやら、"あちら"にとっては縄張りを侵されたようなものらしい。
 峡谷から、巣となった廃墟から、あるいは渦巻く竜巻の中から。
 次々に現れたのは無数の赤蜥蜴。節くれだった鱗は岩のように強靭である。
 "RED RUM(殺人鬼)"の名を持つ凶暴かつ残忍な野獣どもの目的は一つ。

 殺せ。

 縄張りを侵す外敵を殺せ。
 人間を殺せ。
 我らの天敵を殺せ。
 その血で喉を湿らせ、肉を喰らって骨を砕こう。
 大地を揺らすほどの遠吠えが音叉のように共鳴し、猟兵たちの胸を騒がせた。
 敵は無数。強靭な角は同種すらも容赦なく殺し獲物を求める。
 獣どもを駆逐せねば、人の営みが繋がることなどありえないだろう――。
ロク・ザイオン
★レグルス

(縄張りにぶつかれば敵対する。
いのちを賭した闘争を森の秩序はゆるしている。
だから。その咆哮が嬉しくすらあった。
叫ぶことは、生きることだから)

そう。
お前たちを糧にするものは。
天敵は、ここだ。

(その血で土を潤せ。肉を焚べて骨を蒔こう。
ジャックの放つ光線に紛れ【ダッシュ】
巨大な角の軌道を【野生の勘】で躱し【ジャンプ】
肥大化した背の角に守られた背中は見えづらいだろう
背後に滑り込み「燹咬」で【鎧を砕き】【焼却】する)

なあ。ジャック。
……角。立派なやつ。
ひとは便利に使わないだろうか。な。
(狩りの成果が褒められると森番はうれしい)


ジャガーノート・ジャック
★レグルス

(敵意の滲む咆哮が聞こえる。己の領域を侵すものに対する殺意の声。)
(――ザザッ)
怒るか。最もだろう。
お前達の領域を侵したのは我々に他ならないのだから。

――だがお前達とて過去に人のものだった地を侵したのだろう。
つまる話はシンプルだ。"強きものが最後までその地に立つ"。
それがこの世界の理でもあるのならば、来い。
その程度の殺意で本機達を仕留められると思うならば。

(ザザッ)
"Thunderbolt".
半径で100mに満たない程度の光線なら
範囲外から超高速の遠距離攻撃をするまで。
弾径は1×1㌅程度で充分。
残りを射程と弾数に充て、光速の雷光で敵を撃つ。(早業×誘導弾×一斉発射×狙撃)
(ザザッ)



 怒り。獣どもにはただ純粋なる怒りだけがあった。
 外敵への怒り。
 侵犯への怒り。
 生物として持って当然のもの――だが、それだけではない。
 人類が存在する、そのことへの怒り。
 この世界に"へばりつく"生き残りへの、オブリビオンとしての悪意である。
 ゆえに、その敵意を猟兵が見過ごすことは出来なかった。
 奴らはもはや、歪み劣化した過去の残骸なのだから。

 荒れ狂う巨獣の群れの真ん中を、キュンッ、と光が駆け抜けた。
 直後――KRA-TOOOOOOOM!! 半円状の爆発がすべてを飲み込み、膨らむ。
 瞬きよりも短い刹那。その閃光を目視できた個体はいなかっただろう。
 仮にいたとして、すべて爆炎に灼かれて滅び去ってしまった。
 何が起きた? 爆炎を逃れた群れは、姿なき敵を探して唸りあう。
 ……だが、居ない。獣どもが知覚できる範囲に、あるべき獲物はいなかった。
 どこだ。狩るべき敵は! 獣どもは、光が飛来した地平線を見据える。
 彼方を――その瞬間、再び光が、今度は無数に降り注いだ。横殴りの雨めいて。
 音もなく、熱もなく、あらゆるものを貫く光の雨。
 絶え間なく飛来する弾丸を、獣どもの知覚範囲外から放つのは……。
《――特殊破壊光線兵器"サンダーボルト"、第二射生成開始》
 獣めいてうずくまっていたジャガーノート・ジャックが、立ち上がる。
 赤いバイザーが不穏に輝き、黒いボディの周囲に新たな雷の精が生じた。
 否……それらは精霊などではない。物理的に模倣・生成された崩壊光である。
 超・超遠距離狙撃を可能とする稲妻の種。光の速度で飛来する滅びの炎。
 いかに獣どもが強靭にして強壮な怪物であり、人殺しの群れであれ、
 その知覚と戦闘行使範囲は(もちろん超常的ではあるが)限定される。
 ジャガーノートの狙撃距離は、それを容易に上回る。現にこのように。
《――怒るか。もっともだろう。お前達の領域を侵したのは我々に他ならない》
 キュンッ。再び光が虚空をつんざく。横殴りの雨が群れを貫く。
《――だが、お前達とて過去に人のものだった地を侵したのだろう》
 キュンッ。光は絶え間なく走る。自動めいた破滅が荒野を照らす。
《――つまる話はシンプルだ。すなわち――》
 キュンッ――光に紛れ、燃え盛る狩り手がひび割れた大地を蹴立て、進む。

 光の雨に浮足立った群れのど真ん中で、ラフレシアのように炎が燃えた。
 身を低くし光に紛れ、気配を消して潜んだロク・ザイオンの烙印の炎である。
 たてがみは風なくしても燃え上がり、揺らぎ、獲物を求めてざわめく。
 蒼天のような青い瞳は狩猟動物のごとく細められ、刃はなお鋭く奔った。
 まっすぐと振るわれる剣閃は流星のよう。それを浴びて耐えられる獣はいない。
 いわんや、人に仇なそうとする獣こそ、彼女が狩るべき病である。
 振り向いて角を突き刺すより先に、剣鉈は獣の巨体を両断せしめた。
「――"強きものが、最後までその地に立つ"。ただ、それだけだ」
 血を長瀬。汝らの血はひび割れた荒野に染み込み、土を潤す滋養となろう。
 毀れた肉と臓腑を苗床として、砕いた骨を蒔いて新たないのちを芽吹かそう。
 嵐の中より生まれし残骸どもよ、幸運にしてお前たちは未来の糧となる。
 我がそうする。この剣を以て。これこそ、この鋼こそ我が牙にして角なり。
 地面を薙ぎ払うような角を縦の跳躍で避け、巨獣の背に着地する。
 そのまま弓なりの背中を駆け抜け、飛び渡った瞬間に一閃。血が飛沫をあげる。
 獣どもが吠えた。
 怒り。
 敵対心。
 殺意。
 害意。
 ロクは目を細めた。あまりにも慣れ親しんでいる敵意である。
 酔いしれるべきでない不快な快楽が、心の内にわだかまる。炎にくべる。
 刈り取るという決意に。狩りは厳粛な儀式であり、そこに悦びはあってはならない。
 一度でも、その悦びに耽溺すればどうなるか――彼女は、彼らはそれを知っている。
 しかし、乗り越えた道程だ。ゆえにロクが害意に浸ることはない。
「そうだ」
 剣を振るう。びしゃりと血が大地を染める。その上にロクが着地した。
 血を弾きながら跳躍し、またひとつ断ち切る。すぐそばを光が駆け抜けた。
「お前たちを糧にするものは――天敵(おれたち)は、ここだ」
 斬る。
 狩る。
 抉る。
 刮ぐ。
 過去よ。ことごとく死ね。ことごとく生の糧となれ。
 お前達の害意が実を結ぶことは、何一つありはしない。
 もはや誰も殺すことはなく、
 誰かを傷つけることもなく、
 未来を奪い去ることもなく、
 血と肉と骨は大地を癒やす糧となる。
 それはオブリビオンにとって、もっとも皮肉で唾棄すべき最期であった。
 ゆえに獣どもは吠える。牙で、角で、ロクを引き裂こうとする。
 光が降り注ぐ。流星群のようだった。ロクはその隙間を踊るように舞う。
(――星空の中にいるみたいだ)
 ロクの心を満たすのは、ただ相棒への信頼と生死の輪廻への想いのみ。

 獣どもは強靭で恐るべき群れであった。
 されど、いかに強靭で強壮で、鋭き角を持っていたとして――。
 空に浮かぶ星々を、獣が翳らせることはない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

皐月・灯
……そうだな。考えてみりゃ当然だ。
世界ってのは人間だけのもんじゃねー。こいつらが荒れ狂うのもわかるさ。
だがそれだけだ。仕掛けてくるなら容赦しねーぞ。

連中、攻撃手段は色々あるが……起点は全部「角」だ。
あの角が攻撃の要で、同時に弱点だ。あれさえブチ砕きゃ、大したこたあねー。
オレは追尾光線の範囲攻撃を掻い潜って、連中をブッ飛ばすぞ。
範囲外から一気に距離を詰めて懐に飛び込むってわけだ。
光線を発動しようとしてるところに、【カウンター】を叩き込む。
「オーディーン」なら、十分やれる。

――とっておきをくれてやるぜ、蜥蜴ども!

何が阻もうが、この道は繋げてやる。
ああ、そうさ。
……できねーって言葉は、嫌いなんでな。



 ――KRASH!!
 真正面から拳と打ち合った岩のような拳が、あっさりと破裂粉砕した。
 己の凶器が競り負けるなどと露ほども思っていなかったレッドラムは、
 痛みと驚愕に咆哮をあげ、もんどり打つ。喉が晒され、腹部ががら空きだ。
「そんなヤワな角なんかじゃ、オレの拳には傷ひとつつけらんねー……よッ!」
 SMASH!! 皐月・灯は腰を落とし、真一文字のストレートを放った。
 全体重をスピードに乗算して叩き込まれた拳が、胴体に激突。
 レッドラムは吐瀉物を撒き散らし、砲弾めいて吹き飛んだ!
 同胞のピンチを察知した群れの別個体が、灯を真後ろから襲おうとする。
 だが、もう遅い。敵が吹き飛んだ瞬間には、灯はもうそこにいない。
 ではどこに――裏の裏だ。己を背後から襲おうとした獣の、さらに背後!
「見え見えだぜ、テメーらのやることなんざよ」
 鞭めいた尾を仁王のように踏みしめ、柔の要領で敵の重心を崩す。
 ぐらりと揺らいだ巨体の懐に潜り込み、全身のバネを使ったアッパーカット!
 裂け目から噴き出すマグマじみた一撃が、今度は獣を上空に吹き飛ばす。
 打撃は重く、そして疾い。ハンマーの威力と韋駄天の速度を併せ持つ。
 灯の体躯はわずか160cm、鍛えられてはいるがその体つきはいささか華奢だ。
 けして格闘に秀でた体格ではない。そのハンデを魔力が埋める。
 全身の魔力回路を活力が駆け抜けるたび、偽神細胞が脈動する。
 心臓がひとつ拍を刻むたび、新たな力が湧き上がり、いのちは燃える。
 それがわかる。彼は己の持つ牙の在り方を認識したがゆえに。
 未来を糧にいまを燃やしているのを感じる。喪失の恐怖が心で疼く。
(――いまさら、なんだってんだ。オレは止めねー。容赦もしねー)
 敵がいるならば斃す。
 人を害するのならば、その前に殺す。
 やることはシンプルだ。その結果が何をもたらすにせよ。
 灯の視界の端、複数の個体が角を白熱させ身構えるのが見えた。
 光線によって彼を足止めし、チャージをしかけて貫く二段構えの攻撃か。
 灯は魔力回路を励起させる。己のいのちを糧として。
 血中から生まれた魔力が膨れ上がり、爆発寸前の緊張をもたらす。
 その死中に活がある。制御を誤れば彼の五体は四散するだろう。
 それでいい。ここでくたばるつもりなどない。この力を使いこなしてみせよう。
 血走ったことで赤らむ視界の中、灯は向かうべき先――敵を見据えた。
「――とっておきをくれてやるぜ、蜥蜴どもッ!」
 光線が放たれるコンマゼロ秒前に、灯は地を蹴った。空気が破裂する。
 白熱した角をめがけ、神速の打撃。ひとつ、ふたつみっつよっつ――KRASH!!
 光線として放たれようとしていたエネルギーが爆発し、蜥蜴が燃える。
「遠慮するなよ、最期までくれてやる――灰燼と、化しやがれッ!!」
 ひねった体を逆向きへ。破城槌のごときレバーブロー!
 音速を超えた拳はプラズマ熱を纏い、空気を薙ぎ払う焔の帳となった。
 ごおうっ!! と大気を焦がす轟音とともに、群れをまるごとに焼き払う。

 ……敵が消え、僅かな静寂。そしていくつもの遠吠え。
 めまいを覚えた灯は、ふらついた体を意志力で支え、頭で振った。
「何が阻もうが、この道は繋げてやる」
 拠点の人々に特別な思い入れがあるわけではない。
 この世界にも、格別の慚愧があるわけではない。
 ただ、世界が――オブリビオンどもが、当然のように滅びをもたらすならば。
「できね―って言葉は、嫌いなんでな……!」
 己はこの意地(エゴ)を以て、ありきたりな滅びを否定してくれよう。

成功 🔵​🔵​🔴​

テリブル・カトラリー
縄張りを刺激したのは申し訳ないが、
どの道この獰猛さでは共生は難しいだろう。
オブリビオンなら尚更だ。

アームドフォートを起動し浮遊。
【スナイパーライフルで先頭を走る数体を狙って狙撃。【部位破壊】
足を潰し転倒、後方の獣たちの動きを鈍らせ
【範囲攻撃】アームドフォートで砲撃。スナイパーライフルでの狙撃も継続

敵が銃撃を突破してきたら
ブースターで自身を【吹き飛ばし、上空に飛んで角を回避。
『換装・戦争腕』発動。アンカー内蔵腕に換装
背後へ飛びながら敵の背にアンカーを撃ち込み、固定。
鎖に繋がれるのは嫌か?なら…行ってこい。

【怪力】着地と同時にアンカーを引き回転。
獣を鉄球代わり勢いを付けて【投擲】敵に叩きつける



 BLAM! BLAMN!!
 爆薬が炸裂するような銃声とともに、先頭の敵個体がどうと斃れた。
 勢いよく転がった屍体に巻き込まれ、後続のレッドラムがさらに転倒。
 そこに降り注ぐのは、二度と起きることを許さない無慈悲な砲撃。
 BRATATATATATATA……意志なき鉄の砲塔、アームドフォートに容赦はない。
「チッ」
 しかし、テリブル・カトラリーが舌打ちし、鬱陶しげに眉根を顰めた。
 本来ならば、いまの先制狙撃で敵集団の勢いを完全に削ぐプランだった。
 しかし仕留められたのは群れの2~3割ほど。残りはいまだ生存している。
 アームドフォートの自動操縦による迎撃を継続しながら、テリブルは機を探る。
 スナイパーライフルでの精密な狙撃のために、自身は移動できない。
 車両を使って引き撃ちしたところで、敵の突進速度に追いつかれるだろう。
 つまり、あの恐るべき角によるチャージを回避するには、タイミングが肝要。
 ブースターによる瞬時の加速で回避するほかない。損なえば――。
(オブリビオンなどと共生するするつもりはない。来るなら来い、全滅させる)
 意志を介在させぬ指先でトリガを引きながら、テリブルは淡々と思った。
 忌々しいことに、こうしている瞬間が一番冷静に、フラットな精神で居られる。
 戦闘機械として製造された己の、捨てされぬアイデンティティを否応なく意識。
 ――それでも構わない。この世界の人類の明日を切り開けるならば。

「AAAAARRRGH!!」
 敵集団が眼前に到達。同時に、テリブルは脳内トリガを起動。
 ブースターがシュゴウッ!!と大気を焼き、巨体を上空へ飛ばした。
 彼女の鋼のボディすらも貫通させるだろう角が、あっけなく大地を抉る。
 ガギュン――右腕が巨大なアンカー内臓腕に換装。同時に錨を射出。
 眼下の個体背面にアンカーを突き刺し、さらに腰部ブースターで後方へ推進。
 暴れ牛めいてレッドラムが悶える。200cm強の巨体が振り回される!
「鎖に繋がれるのは厭か? なら――行ってこい」
 ズシン! 土煙とともに着地したテリブルが、一気にアンカーを引いた。
 攻守交代。振り回すのが彼女で、ハンマーが敵だ。同種を薙ぎ払う勢いで回転!
 悲鳴を上げるレッドラムに群れ個体を巻き込み……KRAAAAASH!!
 全膂力を込めて叩きつけられた衝撃が、地面という金床に敵を見舞った。
 断末魔とともに骨肉がぶちまけられ、荒野をまだらに染める。
「力任せの猛獣どもには、力任せがちょうどいい」
 次弾装填しながら、テリブルはうっそりとした声で呟いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

深鳥・そと
うわっ、整地してたのに!じゃまー
結構平らになったのに、またボコボコになっちゃうじゃん

ほらー!早速だよ!?ボコって……!
さっきみんなで平らにしたところ……ボコって!穴!!

もーー!自分で開けた穴はその身体で責任とってよね!
ついでにまだ終わってないところもお願いします!

おっきな身体が地面にずざざーってなったら平らになるはず
視界に入った敵は全部ロードローラーだ!もしくはタイヤ!
『まるちゃん』で【怪力】を込めて殴って【吹き飛ばし】ます



 レッドラムの群れが、強靭な脚でもって荒野を踏みにじる。
 ひび割れた大地はさらに砕け、爪が土を抉りぐちゃぐちゃにかき混ぜてしまう。
 まるで蝗害だ。何も生み出さない災厄という点では、ある意味同じか。
 こういう形で、この世界の大地は少しずつ死んでいくのだ。
「あーもー、じゃまー! けっこう平らになったのにー!」
 深鳥・そとは無垢な怒りを剥き出しにして、己に迫りくる敵を睨んだ。
 大剣のように角を振り回す敵の頭をぐわしと掴み、そのままひねる。
 ベキベキベキベキ……! 嫌な音と手応えとともに、レッドラムは"捻れた"。
 馬鹿げたレベルの怪力だ。羅刹であるがゆえの力任せの闘法。
 だが、敵は数が多い。群れがそとを包囲し、圧殺しようとする。
「だーかーらー! そこ、さっきみんなで平らにしたばっかりなのー!」
 二体目がチャージを仕掛ける。ひらりと跳躍して躱し、空中で身を捻った。
 回転とともに繰り出されたのは、飴玉めいた虹色のメイスである。
 可愛らしい色合いと裏腹の速度と質量を得たそれは、横殴りに獣を叩く。
 頭部がひしゃげ、獣は吹き飛んだ。そとは死骸の上に着地し、群れを睥睨する。
 ――レッドラムは萎縮した。本能的に、この少女の威力を理解したのだ。
 だがもう遅い。そとはとっくにご立腹である!
「もー許さないんだからねっ! 自分で開けた穴はその身体で責任とって!
 ついでに――まだ終わってないところも、おねがいしまーすっ!!」
 たんっ! と跳躍したそとを、レッドラムが角で串刺しにしようとする。
 そとはむしろその角を足場として二段飛びし、今度は縦に回転した。
 毬めいて丸められた身体からの打擲、頭蓋骨が陥没したレッドラムが吐血死。
 その勢いで屍体を蹴り飛ばし、地面を滑らす。地ならしのつもりか。
 さらに3体が殺到。一体を素手で掴み、一体をメイスで撲殺し、残る一は……。
「わたしたちが頑張ってるのにじゃまするの、めっ!!」
 圧殺した敵の死骸をメイスの代わりに叩きつけ、吹き飛ばした。
 もうもうと土煙が立ち込め、レッドラムの群れからそとを覆い隠す。
 直後――そこから、少女の姿をした死神が弾丸のように飛び出した。
「逃さないよ。ぜーいん、責任とってもらうんだから、ねっ!!」
 無邪気な少女の姿をした暴君は、一度敵対した獣の生存を決して許さない。

成功 🔵​🔵​🔴​

露木・鬼燈
赤蜥蜴ね。
数だけは多いので見つからないように狩るのは至難。
だけどそこは腕の見せ所。
鍛え上げた忍の業を見せてあげるですよ。
忍体術で気配を殺し、死角から死角へ移動。
自重を消して尻尾から駆け上がり頭部へ。
生体装甲を変形させた刃で眼から脳まで貫き、破壊する。
物事はスマートにね。
んっ?死体になんか集まってきてるんだけど!
あー、共食いで喰い荒らされてるっぽい。
でもこれはチャンスかも!
喰うために前傾姿勢で頭が下がってる。
戦槌形態の魔剣を足に向かってフルスイング。
足を破壊されて倒れたところを仕留めるのです。
先ほど同様に脳を破壊してもいいし、心臓を貫いてもいい。
雑に腹を斬り裂くだけでも同族に喰われ死ぬかもね。


雨宮・いつき
仲間すらも打ち倒しながらこちらへ向かってくる…まるで闘争本能の塊です
せっかく形になりそうな街道を、こんなにも早く元の木阿弥にされては敵いません

冷撃符で敵の手足を凍らせて【時間稼ぎ】をし、雷撃符の【マヒ攻撃】で痺れさせて身体の自由を奪います
【範囲攻撃】で多くの敵を標的にして行動の妨害をする事で、
他の猟兵の方達の援護を行いましょう
複数体が潜り抜けて攻撃を仕掛けてくるようであれば、すぐさま多重結界の展開を
皆さんをお守りして、敵同士だけが同士討ちで被害を受けるように仕向けます

生憎ですが、ここは未だ今生の人々の縄張り
骸の海より出でし者が我が物顔で闊歩するべき場所ではありません
どうかお引き取りを


高橋・湊
さて、これからは荒っぽい仕事の時間、とだ
やれやれ……何度見ても凶暴そうな奴らだね、彼らは

敵も味方も気にせず周りをなぎ払う、なんてのは今の手札じゃ苦手もいいところだ
………彼女が居た時ならばともかく、と無い物ねだりをしてもしょうがない
さっきと同じさ、やれることはやっていこうか

まずは敵を逃がさないためにも包囲するように戦車隊を展開
角の被害を減らすために、砲の射程ギリギリに配置
展開完了後、速やかに砲撃開始
砲撃に気付かれたら一部の迷彩を解除し、囮に
その間に陣形を組み替えて、再包囲完了後、砲撃再開
これを繰り返していこうか

接近戦をするお仲間が居れば、邪魔にならぬよう援護しようか


【アドリブ、連携歓迎】



 オブリビオン化した猛獣どもに、敵味方の概念は存在しない。
 怒りと害意に染まった低能な蜥蜴どもは、目に見えるすべてを圧殺する。
 それが群れの同種であろうが、人類であろうが、大した違いはない。
 どのみち奴らはすでに滅びたモノ。骸の海から蘇った残骸である。
 ここで滅んだところで、奴らの本質的な終わりには程遠いのだ。
「AAAAARRRRGH!!」
 丸太じみて巨大化した角が、地面を抉り味方ごと戦場を蹂躙、薙ぎ払う。
 並の使い手ならば、近づいただけでバラバラに引き裂かれて即死するだろう。
 推定半径およそ120メートルオーバー――戦車砲の射程距離に比すれば短い。
 あらかじめ展開された戦車隊が、光学迷彩を解除し一気に姿を現した。
「さて、砲撃開始だ。お掃除といこう」
 高橋・湊が指を鳴らした瞬間――KA-BOOOM!! DOOOOOOM!!
 鼓膜を破裂させるような砲声が矢継ぎ早に響き、大気を震わせた。
 音は空にすら届き、わだかまる白雲を押しのけるほどである。
 背信者に投げつけられる石のように、砲撃が弓なりに群れを襲い、炸裂。
 殺戮に飢えた獣の群れを、一方的に蹂躙する。そこに容赦はない。
「第一分隊は前に。敵を引きつけてくれよ、こっちに来られたらぞっとしない」
 迷彩を解除したまま、一部の戦車隊が前進。その身を囮とした。
 飢えた獣どもは鋼を引き裂きひしゃげ、そして砲撃によって灼かれる。
 湊の目に、自身が召喚したそれらを捨て石とすることへの感慨は存在しない。
 彼はもっとずっと前に、何よりも大切なものを失っているのだから。
「AAAAARRGH!!」
 レッドラムの群れの一部が、包囲網を指揮する湊の存在に気づいた。
 無作為な攻撃から一転、敵は鏃のように隊列を組み彼へと猛突進する。
 戦車隊で壁を――いやそれでは遅い。包囲を崩しては元も子もないだろう。

 しかし、湊の思案はそれ以上必要なかった。
「――ほう、これはこれは」
 レッドラムの群れの足元が極低温によって凍りついたからだ。
 ひび割れた大地を冷気が覆い、霜は大気を巻き込んで爪を凍りつかせる。
 明らかに尋常の仕業ではないだろう。なんらかの魔術によるものか。
 湊の推測は正しい。これは、雨宮・いつきが施した符呪による冷撃だ。
「足元を凍りつかせた程度では止められませんか……雷撃符、勅っ!」
 続けてなげうたれた符は空中で稲妻に変じ、幾重にも別れて敵を打ち据えた。
 熱を持つ光の鞭が骨身にまで作用し、レッドラムどもを苦悶させる。
 しかし、このマヒ攻撃も効いて数秒。砲撃がさらに降り注ぐが火力が足りない。
 巨大化した角が、攻撃だけでなく遠距離攻撃を防ぐ盾の役割を果たしてしまい、
 湊が召喚した戦車隊の砲撃を減衰しているのだ。なかなかに理に適っている。
(例の屍鴉相手に、符が保つか心配ですが……そうも言っていられませんね)
 新たな符を投擲しながら、いつきは沈思黙考した。
 あの闘争本能の塊、人類を滅殺しようとする群れを相手に、手加減は不可能だ。
 手を抜けば此方が狩られる。これではまるで野獣になったような気持ちである。
 ――いや、実際そうなのだろう。なにせこの世界に人類文明は存在しない。
 荒野を、そして世界を支配するのは、弱肉強食のシンプルな摂理なのだ。
「……だからといって、せっかく形になりそうな道を……いいえ!
 人々の縄張りを侵させはしません。骸の海へお引取りなさいっ!」
 氷の束縛を脱した獣どもが、今度はいつきに狙いを定めて突進を仕掛けた。
 その間に割り込んだのは、迷彩を解除した戦車隊である。
「猟兵は持ちつ持たれつ、だろう? もう少しの辛抱だ、力を借りるよ」
「……はい!」
 湊に頷き、いつきは方陣を展開。霊力結界によりレッドラムの群れを抑える。
 何か突破口があるはず――直感めいたその考えは、実際正鵠を射っていた。
 結界を破ろうともがいていた個体の頭蓋が、ぞぶりと死角から貫かれたからだ。
「いくら人間が憎いからって、ちょっとよそ見しすぎっぽい~?」
 はたしていつから潜んでいたのか。露木・鬼燈がそこにいた。
 魔剣を引き抜いた鬼燈は、重さを感じさせない軽やかさで屍体を蹴立て、
 別の個体を真上から串刺しに。そしてさらに次、また次と剣の錆にしていく。
 砲撃と符呪の嵐を隠れ蓑に、群れの中で機会を探っていたのである。
 凍りついた脚を戦鎚形態の魔剣でスイング破壊し、斃れたところを斬首。
 一瞬たりとも足を止めることなく、確実に、スムーズに、敵を仕留めていく。
 疾い。その手際の良さに、いつきは結界を維持しつつも舌を巻いた。
 熟練の忍である鬼燈からすれば、そっぽを向いた獣など木人にも劣ろう。
 群れに潜んだ天敵を狩ろうと暴れれば、愚かな同士討ちが発生するだけだ。
 脳、あるいは心臓というクリティカルな部位を狙った暗殺攻撃は、精密である。
「そのまま包囲の意地、よろしくです! 中のは僕が仕留めるっぽい!」
「頼りになる台詞だ。ではせいぜい、援護を務めさせてもらうとしようか」
 鬼燈の言葉を涼やかに受け止め、湊は戦車隊を再編成、包囲を強化した。
 ……符と砲撃による包囲は、もはや二度と解かれることはないだろう。
 群れのすべてが死に絶え、獣が大地の滋養と成り果てるまでは。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フェルト・フィルファーデン
ふふっ、上手くいってよかったわ……!やっぱりいいものね!こんな世界でも諦めない、人々の強さや明るさ、生きる活力って!わたしも元気をいただけるもの!………だからね、希望を断ち切るアナタ達の、好きにさせるわけにはいかないのよ。

悪いけど、速攻で片付けさせてもらうわ。
わたしの絡繰の騎士よ。この命を糧に全ての敵を葬りなさい!
人はもちろん、道に傷一つ付けないし付けさせないわ。【早業+先制攻撃】で敵の攻撃前に終わらせる……!

そのまま敵を引き付け集め道から引き離しつつ、片っ端から片付けましょう。
……こんなのが1匹でもいたら、もうそれは安全な道ではないものね。

希望を見せた以上、それを裏切る真似は絶対にしないわ。



 ――がしゃんっ!!
 陣形を組んだ騎士たちの大盾が、獣どもの突進(チャージ)を受け止めた。
 身の丈の差は倍どころの話ではない。だが、留めている。
 群れは雄叫びをあげ、力任せにこの守りを突破しようとする。
 だが、もはや無駄だ。なぜならば彼らは、誇り高きフィルファーデンの騎士。
 たとえその身が傀儡に過ぎずども、騎士として鋳造されたならば。
 麗しき姫君――フェルト・フィルファーデンの命を遂行することこそ騎士の誉れ。
 電子の懸糸でつながった姫と騎士たちは、いのちを共有する。
 文字通りに"拝命"した騎士団は、濁流とて押し流すことは出来まい。
「……怒り、敵意、飢え……アナタたちを突き動かすものは、よく分かるわ」
 拮抗する騎士たちの背後で、フェルトは目を伏せた。
 思うところはある。それは生物として至極当然の感情だからだ。
 文明が、人の法が死に絶えた世界では、道理を唱えるほうがむしろ異端。
 だから――オブリビオンと猟兵である以前に――自分と彼らは相容れない。
 わかっているとも。ゆえにこそ……ここで退くことは、出来ない。
「わたしは見たの。この世界で生きる人々にも確かに宿る、希望の輝きを。
 その光はいつか、失われたものをこの世界に蘇らせるでしょう。だから!」
 アーマーリングがまばゆく輝く。
 それは、少女のいのちを喰らって燃え上がる灯火だ。
「希望の灯火を消させはしない、道は必ず繋いでみせる……っ!」
 幻を真実とするために。少女はいのちを燃やし、騎士たちに命を下す。
「わたしの絡繰の騎士たちよ!」
 大地を踏みしめた騎士たちが、一斉に獣の群れを押し返した。
「このいのちを糧に――すべての敵を、葬りなさい!」
 角が白熱する。致命的な光線が放たれる予兆。遅い!
 大盾の内から飛び出したのは剣、槍、そして鏃。獲物を貫く鉾の群れ。
 はたして狙い過たず、騎士たちの切っ先は獣どもの腹を、喉を貫いた。
 大地を侵させること罷りならず。もはや一秒たりとて生存は赦さぬ。
 たとえそのために、己の未来が失われるとしても。
「――わたしは、わたしが見せた希望(みらい)を裏切ったりはしない」
 その言葉は、呪いではなく前へ進むための誓いだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳴宮・匡
殺人鬼――ね
人は殺せても、死神は殺せやしないだろ

十分に距離を取って、狙撃で応戦
出来れば、相手の攻撃が届かない位置がいいな

まずは先頭集団の足を砕く
踏ん張りが効かなければ角での攻撃は脅威度が下がる
角が巨大化すればその分重量も増えるだろうし、体勢を崩させやすいはず
相手の姿勢を崩せれば、味方の回避や防御の助けになるだろう

続けて、重みで体勢を崩した敵から順に追撃
今度はしっかり頭を狙うぜ
蜥蜴だ、ってんだから頭を潰せば死ぬだろう
さすがにこれを外すほど、目が悪いつもりもないしな

周囲の味方の戦法次第で
足回りの破壊を重視するか、数減らしを重視するかは考えるよ
協力者がいるなら、役割はきっちり分担したほうが合理的だ


祇条・結月
作業が始まるところには人間がいる
狩場がある、ってこと?
なかなか賢いよね
なんにしても、できることを……するよ

レイダーの真似をするわけじゃないけど、敷設ルートの外に敵を足止めするように【罠使い】で銀糸のトラップを張っといて、一度に全部の敵がなだれ込めないようにするよ

戦闘になったら【敵を盾にする】ように動いて袋叩きを避けて、
敵の攻撃を【見切り】ながらかき回す様に立ち回る
その大きさじゃ簡単には方向転換できないだろうし、尻尾なんかで攻撃で来てもお互いが邪魔になるでしょ

……角からビーム……!?
怪獣映画みたいになってきたな!
≪鍵ノ悪魔≫を降ろして他のレッド・ラムの体を透過して避けていって、同士討ちを誘うよ



 タン、タンと規則的な銃声――極めて無音化されている――が響く。
 そのたびに、数百メートル以上先のレッドラムが頭部を撃ち抜かれて斃れた。
 鳴宮・匡の狙撃は極めて正確。すべて同じ箇所を貫いている。
 なにせ、相手は獣だ。膂力と蛮性の代わりに、知性を放棄した連中である。
 避ける心配はない。外す心配もない。であれば、殺すのはあまりにたやすい。
 敵の射程外、意識外からの一方的な狙撃。勝負は明白――なのだが。
(あの罠を仕掛けたのは、誰だ?)
 匡の思考は、レッドラムを足止めするトラップに注がれていた。
 はじめ、彼はまず敵の脚を狙撃し、体勢を崩してから頭部を貫くつもりでいた。
 誰かが仕掛けたトラップで、敵が足止めされていることで、
 その手間は省けたわけだが……問題は"誰が仕掛けたのか"、である。
 味方なのは間違いない。が、あの数と敵が引っかかっている精度からして、
 仕掛けた当人は群れのすぐ近く……最悪ど真ん中にいておかしくない。
 匡は、意識を敵の狙撃から味方の捜索に切り替え、視点を運んだ。
 鷹の目じみた瞳が、群れの中で立ち回る"彼"を見つけたのはすぐのことだ。
「……仕方ないな」
 匡はスナイパーライフルを背部に回し、得物をアサルトライフルに切り替えた。
 そして、影のようにしなやかに、荒野を駆けたのである。

 群れの最中。
「こいつら、本当に敵も味方もないんだな……!」
 祇条・結月は、たったひとりでレッドラムの群れを相手にしていた。
 彼の仕掛けたトラップにより、敵は分断を余儀なくされている。
 何者かによる狙撃が敵の数を減らしてくれているおかげで、被弾はない。
 が、気が抜ける状況ではない。なにせ一撃一撃が致命傷に繋がるのだ。
 しかも相手は同族の存在を厭わず、敵もろとも殺すことを躊躇しない。
 それを凌げているのは、結月のたぐいまれな身体能力と動体視力の賜物か。
 一秒たりとて足を止められない、アクロバティックな大立ち回り。
 スタミナの消耗が激しい。徐々に肺が悲鳴を上げ始めた。
(でも、だからって――出来ることをやらないでいるのは、厭だ)
 闘う力が、己にはある。人よりも優れた、常人には存在しない力が。
 義憤や使命感のような大それたものは、自分のような人間には相応しくない。
 彼を突き動かすのは、どこか強迫観念めいた意志力である。
 鞭めいて振り回された尻尾を足場に跳躍し、敵の頭の上に着地。
 トラップとして張り巡らせた銀糸を引き絞り、そのままレッドラムを拘束。
 糸でバラバラに引き裂きながら、別の個体による角の振り下ろしを避ける。
 大地がえぐれる。その身で喰らえばどうなるかは想像に難くない。
 直後――向けられた角が白熱し、まばゆい閃光が、殺意とともに放たれた。
「……角からビーム……!? 怪獣映画みたいになってきたな!」
 空中で身をひねり回避。呻く。脇腹を浅く灼かれたか。
 痛みが着地姿勢をわずかに揺るがせる。コンマゼロ秒のロスが生まれる。
 さらに角が三つ、結月に狙いを定め――BRATATATATATA!
「!」
「数はこっちで減らす。陽動、頼むぜ」
 聞き慣れた男の声がした。しかし、彼の姿を拝む暇はない。
 結月は半ば無意識に体を突き動かし、頭を撃ち抜かれた屍体の影に滑り込む。
 かちり――"鍵"をかけた瞬間、己でない何かがその身に降りた。
 視界が切り替わる。意識がスイッチする。痛みが遠のき感覚が消える。
 両眼から溢れた血の涙を拭い、地面を蹴った。迅風が土煙を鋭く切り裂く。
 巨大化した角による薙ぎ払い――無駄だ。今の結月を捉えることは不可能。
 透過した拍子に敵の矛先を誘導し、同士討ちを誘発する。
 どうん! と大地がえぐれ、レッドラムの視界を覆い隠した。
 煙幕めいた土煙を切り裂くのは、駆けつけた匡の放つ無数の弾丸である……。

 荒野に、力尽きた獣の血がしとどに溢れる。
 "殺人"の名を冠された蜥蜴どもは、己の血でその異名を贖ったわけだ。
「トラップ、助かったぜ。けど少し無茶だったかもな」
 最期の一体にとどめを刺した匡が、淡々と結月に言った。
 疲れ果て、力尽きたレッドラムを椅子代わりに座っていた結月は、頬を掻く。
「……あの道、壊されたくなかったから、さ。これが最適だと思って」
「まあ、そうだな。おかげでルートの被害はゼロだ。よくやったよ」
「まだまだ、全部の群れが駆逐されたわけじゃないけどね……」
 立ち上がろうとした結月に、一足早く匡の手が差し出された。
「役割分担するほうが合理的だろ。俺も、そのほうが楽なんだ」
「――わかった。持ちつ持たれつ、だね」
 結月は苦笑し、彼の手を取って立ち上がった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リリア・オルトラン
ふん!なんとも凶悪な姿態をしているな。うろちょろとテリトリー主張なぞするとは、鬱陶しいぞ!
知性の欠片も無い蜥蜴は地べたを這うのがお似合いだ。四肢を切り刻み、這いずらせてやろう!

ううぅぅ…一人で戦場に立つのは、緊張するものだな!
だが退かぬ!負けんぞ!気持ちで負けては体の動きもままならなくなるからな!己を鼓舞し、腹の底から気合いを入れるのだ!

でかい一撃は力不足で狙えんな。早く動いて攻撃を重ねて行くぞ!風の魔法を使い、己の速度を高めながら、敵の体幹を崩してやろう。角の攻撃は風に乗って受け流す。
風嵐をとくと喰らうがいい!

何度破壊を招かれようと、補給路はいずれ成るだろう。
人の想いが不滅である限りな!



(……震えているとは、情けない!)
 戦場にひとり、リリア・オルトランは己の惰弱を笑った。
 こうして孤独に戦うのは、猟兵となってからは初めてと言っていい。
 恐怖――いや、これは緊張だ。己に、そうであると言い聞かせる。
 常のように肩肘を張らなくていいのは楽だ。認めるのも業腹ではあるが。
 暴虐に飢える獣を前に、意気で負けていたら命を落とす。己を心で鼓舞した。
「だが退かぬ。負けんぞ! 気持ちでまけては体の動きもままならん……!」
 迫りくる群れを、眦を決して睨んだ。手袋の下、指先が白くなるまで拳を握る。
「AAAARRGH!!」
「吠えたところでもはや怯えはせん! テリトリー主張なんぞしおって!
 知性の欠片もない蜥蜴は、地べたを這うのがお似合いだ……鬱陶しいぞ!!」
 リリアは、駆けた。少女なりに精一杯の力強さで。
 速度が風を生み、風は魔力を浴びてリリアの背中を押す。
 たなびく金の髪が、背後で生み出された小さな竜巻に煽られ揺らめいた。
 一歩ごとにスピードが増す。風の魔力による速度強化だ。
「AAAAARRGH!!」
 獣が到達する。レッドラムは角を膨張拡大し、槌めいて振るった。
 リリアは反射的に地を蹴り、跳躍。大地を薙ぎ払う横からの一撃を回避する。
 着地点は角そのものだ。レールめいた角をそのままのスピードで疾走。
 レッドラムは、己の体にまとわりつく外敵を払おうと、鬱陶しげに首を振る。
 がくんと足場が揺れた。風がリリアの体幹維持を手助けする。
(一撃の威力ではとても仕留めきれん。倒れるまで攻撃を重ねるしかない――!)
 こんな強靭な獣を一撃でのせるほど、リリアの力は強くない。
 ならば連撃を以て御するべし。風がカミソリめいて鋭く渦巻いた!
「風よ、嵐よ! さあ、踊れ!!」
 収束した風が、口訣とともに膨れ上がって爆ぜた。
 見えない爆弾となった颶風が、周囲の獣をずたずたに切り裂くミキサーと化す。
 角を膨らませた群れは、予想だにしない攻撃におびえ、怯んだ!
「この程度では済まさんぞ、四肢を切り刻み這いずらせてやる!」
 風の刃が鱗を切り裂く。だが浅い、ゆえにリリアはさらなる風を呼ばう。
 角を蹴立て敵の頭上に着地、踊るように舞いながらルーンソードを振るった。
 鋭い斬撃は新たな風を生み、魔力を孕んだ風は矛にして盾となる。
 立ち上る嵐が、頭上の雲を吹き飛ばした。重ねられた烈風によって!
 それはすなわち、何度でも道を繋げようという人類の意地に他ならぬ……!
「人の想いは不滅。お前達ごときに断たせはせん……!」
 決意とともに、風をまとった刃が――とどめの一撃が、振り下ろされた!

成功 🔵​🔵​🔴​

シキ・ジルモント
◆SPD
確かに油断できない数だが、道路工事よりこちらの方が慣れている
ここが縄張りというなら力尽くで奪い取らせてもらう

宇宙バイクに乗りユーベルコードを発動
『運転』技術と増強した移動速度で追尾光線に当たらない距離を保って走る
そのまま誘導して敵の影に滑り込み、敵の体を盾にする事で光線の回避を試みる

光線を躱したら反撃に移る
盾にした敵の目や口内をハンドガンで狙い撃つ(『スナイパー』)
頑丈な鱗でも、あの光線が当たれば怯ませる事くらいはできるだろう
その隙に鱗の無い急所を攻撃して大きなダメージを与え、手早く片付ける

道路を作る為に確保したルートを荒らされては困る
あまり暴れられる前に片付けて周辺への被害を防ぎたい



 レッドラムの角が白熱し、恐るべき破壊光線が放たれた。
 狙い定めた獲物をどこまでも追いかけ、焼滅せしめる破壊の一撃!
 シキ・ジルモントは愛機のエンジンをフルスロットルにし、駆けた。
 ドルルルルル……ギャリリリリッ!! 悲鳴のようなエグゾースト。
 砂埃を巻き上げながらタイヤが焦げ付くほどに回転し、風がシキを迎えた。
 少しでもスピードを落とせば、破滅の光はたちまちシキを飲み込もうだろう。
 だが。愛機を駆る彼の表情に、焦りや恐怖の色は一切見当たらなかった。
「縄張りを奪われるのが厭なのか、それとも俺達の存在が厭わしいのか――」
 ハンドルを捻る。回り込み、正面で待ち伏せしていた光線を回避。
 大気を焼き焦がしながら迫る光線を後ろに、スピードを増す。
「どちらであれ、縄張りを力づくで奪い取らせてもらう……ッ!」
 ギャルルルルッ!! 荒野にバーンナウトを刻み、急カーブをかけた。
 向かう先は――レッドラムの群れ、そのど真ん中!
 当然のように爪が、尾が彼を出迎える。だがシキは――翔んだ!
 重厚な鋼の躯体が空を舞い、そして着地。ズシンッ!! 埃が巻き上がる。
 その砂埃が、レッドラムどもの視界を覆い隠す煙幕となり……KBAM!!
「AAAARRRGH!?」
「自慢の攻撃なんだ、なにより効くだろう?」
 見よ。シキを灼き尽くそうと放たれた光線は、レッドラムを焼いていた。
 敵の影に滑り込んでのミスディレクション。神業的なドライビングテクである。
 シキの片手には愛銃。体を灼かれ斃れたレッドラムの口蓋に銃口をねじ込む。
 BLAM! BLAMBLAM!! 弾丸が、脳天を突き抜けて血を撒き散らした。
 倒れ伏す屍を前輪で轢殺し、シキは疾走。群れが浮足立つ今が好機だ!
「これ以上、暴れ回らせはせんよ――」
 バイクがゴコン、と重い駆動音を立て、さらに強靭なフォルムへ変形した。
 破城槌じみた形状に変じたマシンが、猛スピードで群れを中央突破する!

 ――KRAAAAASH!!
 二度目の光線など放たせない。その前にマシンは獲物をバラバラに引き裂いた。
 屍が飛び散る荒野に、悪魔じみたマシンの影法師が長く伸びる。
「……我ながら、こちらのほうが慣れているというのはいい気分じゃないな」
 うっそりとした声音で言い、鋼を駆る獣は次の獲物を狙いに定まる。

成功 🔵​🔵​🔴​

狭筵・桜人
おおヤダヤダ。いっぱい来ましたねえ。
エレクトロレギオンで【運搬】作業します。
今は戦闘?知ってます知ってます。

先ほど埋め立てを頑張ったばかりの
死の沼地に滞留してた毒々しい液体をですね。
荷車バケツまあ容器なら何でも使って
レギオンに空からえっちらおっちら運ばせるワケですよ。

で、敵が群れてるところを目掛けて降らせてやりましょう。
開いた大口から体内に入ればよりグッドですね。
或いは目の粘膜を浸食して目潰しになれば幸いです。

うーん、これぞ資源を無駄にしないエコ戦闘!
私はもちろん安全な場所にいます!
ない?こっち来たら逃げます。

ところであの蜥蜴のお肉は食糧になったりしません?
何の肉か言わなきゃバレませんって~。


ミリア・ペイン
やっと来たわね、やっぱり私にはこっちの方が性に合ってるみたい
さて…此処から先は通行止めよ、纏めて灰にしてあげるわ

【WIZ】《黒き怨恨の炎》
可能な限り舗装が進んだ箇所から引き離す様誘導を
無理のない範囲で数匹に炎を当て注意を引きましょう【先制攻撃】

包囲されない様位置取りに注意
攻撃に巻き込まれない様自衛も【第六感・オーラ防御】

固い皮膚がご自慢みたいだけれど、この炎の連撃に耐えられるかしら【鎧無視攻撃】
序にその悪さをする角もへし折ってあげる【部位破壊】
隙を見て炎を合体強化しつつ確実に屠っていきましょう

呆れた、敵味方の区別もつかないの?
破壊しか取り柄の無い馬鹿共にこの土地はやれないわね
…とっとと失せろ!


三咲・織愛
さあ、参りましょうか
人と人を繋ぐ道、その一歩から挫かれる訳にはいきませんから
大暴れさせていただきますからね

愛槍を手に駆けましょうか
見切り、武器受けで回避をしながらありったけの力を籠めて串刺します!
岩のような鱗だろうと、砕けない岩なんてないんですよ!
串刺して足を止められたら、【打ち砕く拳】で殴打しましょう
それはもうちからいっぱいに!攻撃力重視です!

自慢の角をへし折ってやるんですからね!
大きければ殴り甲斐もありますもん!

殺気を纏えば向かってきてくれるでしょうか
より多くの個体を惹き付け、殴り飛ばしましょう
この拳が砕けるまで、決して立ち止まりはしませんよ



 龍槍ノクティスと、巨大化したレッドラムの角ががちんっ!! と打ち合う。
 膂力は拮抗……否、体格差のぶんあちらのほうが上か。
 三咲・織愛は顔をしかめながら踏みとどまり、敷設ルートへの道を阻む。
「人と人を繋ぐ道、その一歩を挫かれるわけには……いきま、せんっ!!」
 ぎゃりんっ、と槍をしならせ角を弾き、レッドラムの腹部を蹴りつけた。
 弾丸じみた鋭いサイドキックを受け、レッドラムは嘔吐しながら後ずさる。
 内臓へのダメージは重いはずだ。だが想像以上に鱗が硬く、厄介。
(確実にとどめを刺すには、やはりノクティスで串刺しにするしか……)
 真正面から刺突を繰り出したところで、あれを貫くことは出来るのか?
 一瞬の不安を覚悟と決意で洗い流し、織愛はどっしりと腰を深く落とした。
 だが見よ、群れからさらに新手のレッドラムが数体こちらへ近づいてくる!
「わざわざ舗装ルートを狙いたがるなんて、たちの悪い害獣どもね」
 そこへ駆けつけたのは、黒い悪霊の魂火を従えたミリア・ペインであった。
 彼女の周囲に鬼火めいて滞空するそれらが、一斉にレッドラムへ飛びかかる。
 悪しき霊の魂を薪として燃える呪いの炎は、触れるだけで呪詛をもたらす。
 硬い鱗を焼けただれさせ、腐らすそれこそ、織愛にとっては起死回生の一手。
「足止めと殿はこっちで務めるわ。とどめはよろしく」
「――わかりました! この拳で、どんなものでも砕いてみせますっ!」
 織愛が仕掛けた。黒ずみ腐敗したポイントを狙い、ノクティスを繰り出す。
 先程よりもずっと柔く、あっさりと鱗は砕け、穂先が肉を貫いた。
 レッドラムが悲鳴じみて吠える。躊躇せず織愛は肉を貫き、穂先を地面へ!
「AAAAARRRGH!!」
「あなたたちに、人の営みを邪魔させたりはしませんっ!!」
 SMAAASH!! 金剛石めいて握りしめられた織愛の拳が怪物の頭蓋を砕く!
 受け流すことも出来ずに、超怪力の拳を受けたレッドラムは、一撃で絶命。
 倒れ伏す死神からノクティスを引き抜き、織愛は裂帛の気合とともに踏み込む。
 その周囲をいくつもの黒炎が守り、次々に殺到して敵を怯ませるのだ。
「……やっぱり私にはこっちのほうが性に合ってるみたいね……やれやれ」
 我ながら、なんとも因果なものだと、ミリアは嘆息し頭を振った。
 だが、この力で敵を滅ぼせるならば、嘆くような暇も意味もない。
 もはや獣はこの先に通さぬ。その意を受け、さらに強く猛々しく炎は燃える。
 光をも喰らうような黒い炎は、過去の残骸すらも腐食し滅ぼすのだ……。

 しかし、レッドラムの群れは数が多い。
 次々と現れ咆哮する獣を前に、ふたりの防衛戦は劣勢を余儀なくされる。
 が、救いの手は一つではない。新たに飛来してきたのは無数の機甲兵器!
「いやー、間に合ってよかったですよ。いやサボってたわけじゃないんですよ?」
 などとひょうきんに言いつつ、術者である狭筵・桜人が姿を見せた。
 彼が召喚したエレクトロレギオンの機甲兵器部隊は、何かを運搬している。
 吊り下げられたバケツを満たしているのは……タールめいた液体、だろうか?
「! それ、もしかしてあの沼地の!」
「そういうことです。毒性あるなら利用しないと損ですよねえ」
 桜人はぱちんと指を鳴らした。直後、機甲兵器部隊がバケツを落下させる!
 タールめいた液体――すなわちオブリビオンストームの破壊で生まれた、
 極めて強力な毒素を持つ"死の沼地"の黒液が、群れの頭上で四散した。
 レッドラムの群れは……苦しげに呻いた。しゅうしゅうと立ち上る煙!
 突っ込みかけた織愛は口元を抑え、その毒素の吸引を避けた。
 いかに過去の残骸が生み出したものでも、獣はやはり毒には抗いがたいか。
 タールめいた液体がもたらす腐食と破壊は、レッドラムにも効くのだ!
「うーん、これぞ資源を無駄にしないエコ戦闘! 経済的ですねえ」
「ってあなた、戦うならもっと前に出さないよ」
「ええ? 嫌ですよ危ないじゃないですか。私は襲われたら逃げますんで」
 ミリアの辛辣な眼差しに対しても、桜人はひょうきんな態度を崩さない。
 ひらひらと手を振り、「あとはおまかせします」とふたりに言う始末。
 はたして本当にさぼりたいだけなのか、あれも一種の敵に対する挑発なのか。
 本心を悟らせぬ少年の笑みからでは、同じ猟兵でも察するのは難しい。
「――まあいいわ。やることはやってるんだし、おこぼれに預かるわよ」
 ミリアは辛辣に言いつつも、合体させた巨大な炎を群れの中に投げ込んだ。
 ボウッ!! と炸裂した炎は黒い液体に引火し、炎上。怪物を燃え上がらせる!
 悲鳴じみた咆哮が音叉のように響き合う。仕留めるに今をおいて他にナシ!
「さあ、大暴れの時間ですよっ!!」
 織愛は両腕にあらん限りの力を込めて、手近な敵から次々殴り飛ばした。
 華奢な少女らしい見た目にそぐわぬ、羅刹じみた馬鹿力である。
「うわ、スイカみたいに弾け飛んでますよ敵の頭。怖いなあ、おっかない」
 ミンチメーカーめいた撲殺の光景を見て、桜人はわざとらしく身を震わせた。
 しかし、その力が味方であるならば、心強いのは言うまでもないことだ……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

リア・ファル
POW
アドリブ共闘歓迎

来たね、オブビリオン
大人しく過去にお帰り願おうか

敵の行動を観察、演算把握し対応を策定
(情報収集、視力、時間稼ぎ)

……どうやら角が起点となる攻撃器官のようだ

「ヌァザ、君の出番だ!」
UC【銀閃・次元斬】発動!
『グラビティアンカー』で捕縛し、『イルダーナ』で上空から一気に接近し、ヌァザで角を切り落とす!
(ロープワーク、空中浮遊、操縦、追跡、部位破壊、鎧無視攻撃)

角を落としたら、攻撃出来るのかな?
……制限があれば儲けモノ、なくてもそのままボクが囮になろうか
(逃げ足)
トドメは、おあつらえ向きの相手がいるはず
他の猟兵に任せ、数を捌いていこう

「例え一時だとてこの道は、必ず繋げるよ!」


ヌル・リリファ
アドリブ連携歓迎です

コピーするためにはつのでうける必要があるってことは。つのにあてなければいいんでしょう?
はえてないばしょなんていくらでもあるもの。そのくらいの制御、簡単だよ。

……もしかしたら、わたしたちのことを侵入者みたいにおもってるのかもしれないけど。
そもそもいまに、過去のものたちのための場所はないから。退去するべきなのは貴方達。
貴方達のいるべき場所は、この世界のそと。骸の海だよ。
ここは、いまをいきるひとがつかいたいっておもってる場所だから。きっと、貴方達のいていい場所じゃない。

……まあ、オブリビオンがそういわれて素直にさるわけがないから。もといた場所にたたきかえす。


ヴィクティム・ウィンターミュート
おーおーなんだ?フリークスのお出ましってか
オイオイ、こちとらマンハントを終えたばかりだぜ?
ちったぁ休ませてくれてもいいのにな
退く気は?無いよな、だと思った
では、駆除を始めようか

ほう、『角』にかなり自信があると見える
中々賢いことができるじゃねえか…コピーするとはね
だったら違うプランで勝負してやるまでさ
どうあがいても一度受けなきゃいけねえのならよ…
『一発で終わりにすりゃいい』のさ

そーら、お眠りフリークス
『Nighty night』
はい、そんじゃあ…眠ってる相手を一方的に殺す作業の時間だ
いいか?まず角を破壊しろ。そのあと急所を壊せ
一匹ずつ堅実に、確実に、抵抗の余地を残さずに仕留めろ
静かなもんだろ?



 KRAAAAASH!!
 長大化したレッドラムの角が、ひび割れた荒野を文字通り引き裂いた。
 まともに喰らえば死ぬ。かといって、そのリーチは人智を超えている。
 リア・ファルは愛機イルダーナを操作し、上空からヌル・リリファを援護。
 この敵を叩くための最適なプランを演算し、最善手を求めていた。
「ヌルさん、大丈夫!? もし大変そうならボクが――」
「だいじょうぶ。こんな攻撃にあたるほど、わたしは遅くないよ」
 ぶん、ぶおんっ、と大地を横薙ぎに削ぎ落とすような角の振り回しを、
 ヌルは風に舞う絹のように軽やかに避ける。言葉は増上慢ではなかった。
 攻撃は単調だ。どれだけリーチがあろうと、所詮は獣の攻撃である。
 見切るのはたやすい。避けるのも問題はない。
「……ただ、数がちょっとめんどうかも。なんとかできそう?」
「角を叩くのが最適っていうのはわかってるんだけど、なかなかね……!」
 問題は群れの数だ。集結したレッドラムの個体数は、おそらく数十以上。
 殺戮に飢えた獣は、味方を巻き込むことすら厭わず突進を仕掛ける。
 加えて彼女たちは、舗装道路の敷設予定ルートを守らなければならない。
 この三つの要因こそが、ヌルに回避行動を強い続ける理由になっていた。
(つので受けたユーベルコードをコピーするなら、そこ以外を狙えばいい、けど)
 制御は簡単だ。だがこれだけの群れを一度に貫くことが"確実に"出来るか。
 そこがネックなのである。ある意味それは、少女が戦闘人形であるがゆえ。
 ヌルは不確定性を嫌う。彼女のユーベルコードは大量攻撃に利しているが、
 これだけの数を一度のチャンスで貫けるかはいささかの不確定要素が混ざる。
 ゆえに、ヌルはリアの最善手を待っていた。機さえ掴めば、こちらのものだ。
「――オーケー、見えた! ヌルさん、ボクに合わせて!」
「了解。つづけてしかけるね」
 上空のリアは頷き、次元干渉魔剣"ヌァザ"を鞘走らせた。
 イルダーナが眼下を向き、急滑降すると同時に重力錨を多重射出。
 ヌルに襲いかかろうとしたレッドラムの手足を貫き、捕縛――そして!
「頭上注意、ってね! もらったぁ!」
 ざんっ!! と、魔剣の斬撃が群れ先頭の角を一気に切り落とした。
 同時にヌルの水晶体が輝き、周囲に無数の光――サイキックの刃が生まれる。
「いって。どこを貫いてももんだいないよ」
 指し示された方角――群れの先頭めがけ、光の武器が雨となった。
 角を失った獣は、いわば棒立ちの的も同然。あとは脳なり心臓なり貫けばいい。
 形持たぬ光の刃は、鋼めいた鱗をバターのようにたやすく切り裂く。
 槍衾のように串刺し刑を受けた獣は、血を吐いてそのままどう、と斃れた。
「次、来るよ! ヌルさんはそのまま攻撃をお願い、今度はボクが囮になる!」
「わかった。きをつけてね」
 攻守交代。リアはイルダーナの速度を増し、あえて群れの真ん中を突破。
 レッドラムの狙いがリアに集中する。ヌルに背中を晒した格好だ。
(――あなたたちのいるべき場所は、この世界のそと。ここじゃないよ)
 心のなかで言って、ヌルは新たな光の雨を招来、解き放つ。
 そこに慈悲や躊躇はない。もともと彼女はそうした干渉を持たないが……。
「ここは、いまをいきるひとがつかいたいとおもってる場所。
 あなたたちのものじゃない。だから、あなたたちがいていい場所じゃない」
 空色の瞳に煌めいたものは、未来を切り開こうとする人類への憧憬か。
 あるいは羨望? もしくは護りたいという欲求か。答えは彼女にもわかるまい。
 その光が涙となってこぼれ落ちたかのように、無数の武器は虚空に生じる。
 道理も通じぬ仇敵、オブリビオンを貫き四散せしめるために。

「おとなしく過去に帰ってくれると楽なんだけど、なあっ!!」
 四方八方から向けられる角の猛威をきりきり舞いで避けながら、リアは言った。
 彼女の演算能力とイルダーナの機動性能をもってすれば、やはり回避は容易。
 しかしここでも数がネックとなる。戦いはここで終わりではないのだ。
 加えてリアは、別の群れが敷設ルートに進行していることに気づいた。
「! ヌルさん、あっちのポイントカバーに向かえる? 突破されそうなんだ!」
「ううん、その必要はなさそう」
「え? それって――これは!」
 リアは空中投影された映像を見て目を見開いた。
 ……敷設ルートを蹂躙しようとしていた群れが、眠っていたからだ。
 眠っている? ……そう、眠っている。一匹残らず、すやすやと。
 怒涛の勢いで進軍していた群れの起こした砂煙が、徐々に晴れていく。
 そこに立つ見慣れた姿の少年を見たとき、少女たちはその理由を理解した。
「別の群れを囮にして本丸を攻めようなんざ、フリークスのくせに小賢しいぜ。
 そういう脚本は求めちゃいない。だから――"おやすみ"フリークス。永遠にな」
 道化師めいて大きく両手を開き、ヴィクティム・ウィンターミュートが言った。
 その言葉に応じる者はいない。獣どもはみな、眠りについているからだ。
 彼自身が発動した電脳魔術、"微睡みの海へ(ナイティ・ナイト)"によって。
「ようヌル、リア。事態は察知しちゃいたんだがな、少し遅れた」
 彼はその理由――レイダーどもの"狩り"であることにまでは触れなかった。
 オブリビオンですらない、野盗に身をやつした人間を殺して回っていたなどと、
 バカ正直に口にするほど彼はお人好しではない。
 誰かの前に姿を表すとき、ハッカーはおどけた皮肉屋の端役であるべきだから。
 そうあれかしと彼が己に任じた。だから、ヴィクティムはそれを演じる。
(ジャックの野郎を笑えねえ。だがまあ、それが俺なりのスタイルさ)
 心のなかでアイロニカルな笑みを浮かべ、無造作にナイフを振るった。
 角を切り落とし、眠ったままの獣の喉笛を一撃で〆る。悲鳴すらない。
「こっちは俺が"処理"しておく。そっちの応援はいるかい?」
「……大丈夫。ボクらで十分だよ」
 リアはそう言ってから、ヌルのほうを見て頷いた。人形少女も首肯する。
「そいつは楽でありがたいね。――まったく楽で手軽で、面倒がない」
 声音は人当たりがいいようで、抑揚は少なかった。
 悲鳴も呻き声もない静謐のなかで、淡々とヴィクティムはナイフを振るう。
 殺すのが獣であれ人間であれ、それ以外のなにかであれ。
 彼は躊躇しない。容赦もしない。憐憫も慈悲も何も抱かない。
 それは、冷酷無比な悪党と言うにはずいぶんと半端で生ぬるく、
 義憤に燃える正義の味方としては、あまりにも虚無的でドライな光景だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

いると思ってはいたけれど。…この数はちょぉっと想定より多いわねぇ…
○地形の利用して○罠とか○破壊工作とか多少の小細工はしたけれど…どこまで効果あるかしらねぇ?

頑丈な連中がこれだけの数いるんなら、端から削るにしてもちょっと効率悪いわねぇ…
UCをコピーされても面倒だし。
…それじゃ、空爆しましょうか。
●轢殺で強化したミッドナイトレースで空中を駆け回りながらグレネードを〇投擲。○鎧無視の○範囲攻撃をバラまくわぁ。
角にしろ光線にしろ、空中のほうが避けやすいでしょ。○見切って纏めてブッちぎって○蹂躙してやるわぁ。


アルナスル・アミューレンス
おーおー、湧いてきたねぇ。
一体どれだけいるんだろうねぇ。
ほんと、数だけは豊富なんだから。

でも、ごめんね。
悪いとは微塵も思ってないけど、「除去(ドイテ)」もらうよ。

相手の動きを見切り、タイミングよく角にグラップルして掴まってみようか。
仕掛けた当人の視界からは消えられるけど、他の個体からは見えるから、同士討ち狙うのにもってこいだよねぇ。
どんどん突っかかってくる奴らの上をジャンプとかで移動して撹乱したり、掴んで叩きつけたりしましょうか。

ある程度集ったら、纏めて「侵食(キエテ)」もらおうかなぁ。
偽神細胞によって形を変えた僕の肉体は、意思のある底なし沼さ。
敵を捕らえ、貪り、跡形もなく捕食し尽くすよ。



 BLAMBLAM! BRATATATATATATA!!
 ティオレンシア・シーディア、そしてアルナスル・アミューレンスのふたりは、
 峡谷に築かれたレッドラムどもの"巣"を強襲していた。
 他の猟兵たちが相手している連中を含め、ここが最後の群れのはず。
 そのぶん、レッドラムどもの反撃も、死物狂いのものである。
 ふたりはそれぞれの銃でありったけの弾丸をぶっ放しているが、
 まるで無限に湧いて出てくるかのように、獣どもの数は尽きない。
「おーおー、まだまだ湧いてくる。ずいぶん蔓延ったもんだねぇ」
「感心するのはいいけどぉ、この数はちょーっと困るのよねぇ……」
 ティオレンシアは嘆息した。アルナスルと違い、彼女の得物はリボルバーだ。
 弾丸にはルーンなどによる加工が施されているが、破壊力は偽神兵器に劣る。
 一網打尽にするためには、また別のプランが必要そうだ……。
「ああ、僕が前衛、務めようか?」
「……心配なさそうねぇ。じゃ、お願いするわぁ」
 了解、とあっさり言い、アルナスルは無造作に群れに飛び込んだ。
 咆哮する濁流のような数のレッドラムが、アルナスルを引き裂こうとする。
 だがアルナスルは、肥大化した角の刺突をわかっていたかのように回避。
 勢いがなくなった角を掴むと、それを支点にぐるりと宙返りを打った。
 向かう先は獣の背後。当然、他の群れはアルナスルを狙って角を振り回す。
 ――そして彼は、それを地に伏せて避ける。代わりに串刺しになるのは……。
「AAAAARRGH!?」
「おお、怖い怖い。百舌の早贄みたいになるのは勘弁だなあ」
 そう、最初にアルナスルを襲ったレッドラムである。
 串刺しにされたレッドラムは、同種の力によってバラバラに引き裂かれた。
 飛び散る血肉を隠れ蓑に、アルナスルは猛り狂う群れの真下をスライディング。
 さらにほぼ垂直に跳躍し、今度は堂々と姿を表す。曲芸的な動きだ。
「残念だけど、当たってはやれないんだよねぇ」
「AAAARRRGH!!」
「ワオ、猛ってるね。――でも、僕の相手だけしてて、いいのかな?」
 アルナスルは皮肉めいた仕草で肩をすくめてみせた。
 するとその瞬間、彼の頭上から飛来する無数の――グレネード!
「ほうら、一斉駆除の時間だよッ!」
 アルナスルはバックステップを踏み、グレネードの爆炎範囲から逃れる。
 直後、空中に移動していたティオレンシアの投擲したグレネードが、
 レッドラムの群れをまるごと包み込み、一気に連鎖爆発! KRA-TOOOOM!!
「足止め役がいるとこういうとき助かるわぁ。一方的な蹂躙って最高よねぇ」
「固まってくれたほうが、手間がかからなくていいからね。同意見だよ」
 言いつつ、アルナスルは片腕に力を込めた。
 すると膨張した肩から先が、どろりとスライムめいて黒く粘体化する。
 爆炎のカーテンを引き裂き現れた、レッドラムどもを飲み込む沼となって。
「君たちの巣に足を踏み入れたのは――まあ、悪いとは微塵も思ってないけど。
 とにかく邪魔だからさ、今日限りで、この世界から"除去(どい)"てもらうよ」
 ぞわり、と黒く変色した粘体……変質した偽神細胞の塊が、広がった。
 ネットのように飛散したそれは、まんまと飛び込んだレッドラムの群れを捕獲。
 そして急速に収束する。ベキ、バキバキ、という耳障りな破砕音とともに。
 自慢の角も、鱗も、骨も爪も肉も何もかもをミンチのように混ぜ合わせ、
 神すらも喰らう細胞がオブリビオンを塵一つ遺さず捕食する。
「……おっかないわねぇ。肉を無駄にしないエコっていうべきかしらぁ?」
 上空からバイクめいたマシンにまたがりその様子を見下ろすティオレンシア。
 手向けのように、生き残りのレッドラムどもに新たなグレネードを投擲。
 それをリボルバーで撃ち抜く――BLAMN、KA-BOOOOOM!!
「残念だけどぉ、ここに巣なんか作ったのが運の尽きねぇ」
 めらめらと燃える炎に照らされ、ティオレンシアの笑みめいた顔が逆光に染まる。
 もはや、飢えた獣は一匹たりとてこの地に遺ることは赦されない。

 ――否。
「おっと。本命のご登場かな?」
 遠くから響くけたたましい怪鳥音に、ふたりは顔を上げた。
 馬鹿げたほどの翼長を持つフォルムが、こちらへ近づきつつある。
 今回の仕事の、総仕上げとなるべきオブリビオンが。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ジャックレイヴン』

POW   :    トキシックフェザー
【両翼】から【血液で汚れた無数の羽根】を放ち、【血液に含まれる神経毒】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    オールモストデッド
【腐食、腐敗を促進させる毒ガス】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    デッドレイヴン
自身が【敵意】を感じると、レベル×1体の【屍鴉】が召喚される。屍鴉は敵意を与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:龍烏こう

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鈴・月華です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ゲーッ!!」
 マスクに覆われたくちばしから、ぞっとするような怪鳥音が響いた。
 恐竜じみた翼長を持つ屍鴉の体からは、ぼたぼたと腐ったはらわたがこぼれ落ちる。
 雨のように降り注ぐ血液は、それ自体が毒であり生者をおびやかす。
 散っていく腐った羽根が、同じ姿をした無数の分身となって猟兵に襲いかかる。
 あれこそが群れの長。この一体を脅かす強大なオブリビオンだ。
 死した翼を引きちぎり、大地に引きずり下ろして慈悲をくれてやるとしよう。
 この世界でなおも生きようとする、人類の底意地に代わって。
●業務連絡
 プレイング受付中です。お気軽にどうぞ。
皐月・灯
この世界は人間だけのもんじゃねーと言ったがよ、例外はあるよな。
たとえば……今を生きようと足掻くヤツを邪魔する、ゾンビ鴉とかよ。

ふん、敵意読めるんだったな。トリ頭、まだ新鮮らしい。
――来いよ、こっちだ。てめーの敵はここにいるぜ。

さて、空中にいるヤツをどう引きずりおろすかだな。
オレは遠距離戦が苦手だ。対抗手段が……いや、あるぞ。

オレを追跡してくる屍鴉だ。
【見切り】で直撃を避け、【カウンター】で《轟ク雷眼》を叩き込む。
そして、撃墜する傍から、あのゾンビ鴉にぶん投げるんだ。

術式の発動を遅らせれば、《雷眼》の轟雷が空中で炸裂することになる。
要するに雷撃爆弾だ。
……一撃当てれば、あとは地上で料理してやる!



 があ、があ、があ。

 ――古来より、鴉は不吉の凶兆とされてきた。
 主な理由としては、何よりも特徴的な黒い体色が挙げられる。
 もうひとつはその食性――腐肉食が死者の先触れを連想させたのだという。

 があ、があ、があ。

 空を覆うほどの黒い巨鳥。響き渡る不気味な鳴き声。
 古びた革マスクの下から聞こえるくぐもった怪鳥音は、奇怪の一語に尽きる。
「この世界は人間だけのもんじゃねーと言ったがよ……」
 皐月・灯は、持っていた小石をばきりと握りつぶした。
 睨む先は言わずもがな、黒に染まるかの如き空――屍鴉の群れ。
「何事も、例外はあるよな」
 たとえば、今を生きる人々を邪魔し、貶めようとする死にぞこないであるとか。
 追い詰められてなお、猟兵を高きから見下ろす不遜なる畜生だとか。
 灯の双眸が燃えるように、あるいは凍るように煌めいた。
 ――怒りである。まごうことなき、世界の敵に対する純然たる敵対心。
 屍鴉の群れが、一気に眼下を向いた。そう、灯を見つめたのだ。
 マスクの奥、腐った目玉と灯の眼差しがかちあい、空気がどろりと濁る。
『……ゲーッ!!』
「そうだ。来いよ。こっちだ――てめーの敵は、ここにいるぜ」
 言葉に応じるように、無数の屍鴉どもが地面めがけて急速落下する!
 数は無数。ペストマスクめいた嘴は、おそらく刃物よりも鋭いだろう。
 喰らえば串刺しだ。灯……逃げない? なぜだ!
「アザレア・プロトコル、3番――」
 ばち、ばちり。
 握りしめた術式回路が励起し、波打つように青い稲妻が起き上がった。
 プラズマ熱に煽られ、砂埃が巻き上がる――まるで灯を目においた竜巻だ。
 屍鴉は恐れを知らぬ。ゆえに、渦巻く暴威の只中へとミサイルめいて飛び込んだ。
 速度は音に匹敵するか否か――灯は大きく眼を見開いた!
「《轟ク雷眼(トラロック・ドライブ)》ッ!!」
 ――バチィッ!!
『ゲェエエエエッ!?』
 一瞬の交錯。
 秒数で言えばおそらくゼロコンマ以下の一瞬、その間隙を灯は勝ち取った。
 臓物を引きずり出そうという嘴を、肌一枚のところでスウェーし、
 逆に屍鴉の脳天に激烈なアッパーカットを叩き込んだのである。
 そしてバチバチと痺れ狂う屍鴉を――砲丸めいて、頭上に勢いよく投擲!
「アザレア・プロトコルにゃ、こういう使い方もあるんだぜ」
 ――バリバリバリバリッ!!
『『『ゲェエエーッ!!』』』
 今度の悲鳴は、群れ全体があげたものだった。
 見よ。手榴弾めいて投げ込まれた屍鴉が爆裂し、稲妻が瀑布のように飛散し、
 以て群れを一網打尽。術式発動遅延による、極めて特異な範囲攻撃だ!
「逃さねー!」
 制御を喪った群れを飛び石めいて蹴り渡り、灯は空中へ飛翔した。
 感電したジャックレイブンの腐った瞳と、灯のそれが再び交錯する。
 敵が浮かべた感情は――恐怖!
「味わっとけよ、地面に叩き落される気分をなッ!!」
 KRASH!! 全体重と勢いを乗せたジャンプパンチが、本体の脳天を捉える!
 もんどり打ち地上へ落下するそれは、もはや群れのリーダーなどではない。
 翼をもがれ屈辱に塗れた、卑小なオブリビオンに過ぎぬ……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジャガーノート・ジャック
★レグルス

(――ザザッ)
では、本日最後の"殲滅(ソウジ)"をしよう。

目標地点を捕捉。ルートを策定。
後は真っ直ぐ飛ぶとしようか、ロク。
準備はいいか?

いい返事だ。
では――"レグルス"、此れより発進する。

(ザザッ)
(【"小さき王"の御使】。
友軍の座標を元にして、随伴する兵器群とともに上空からのを仕掛ける。【誘導弾】と熱線を【早業】で【狙撃】し座標にいる友軍を【援護射撃】。そのまま全ての兵器を【一斉射撃】し地表へと着弾させ【範囲攻撃】を敢行。
獅子座の流星群、その猛威を味わうがいい。)

屍翼で羽搏く程度で空を支配した気になられては困る。

――チーム・レグルス、救援に駆けつけた。オーヴァ。
(ザザッ)


ロク・ザイオン
★レグルス
※他連携歓迎

(古い、ふるい、記憶にすらない
けれど身体は覚えている
己は確かに、この奇跡を識っている)

(星を呼ぶひとの声を、いつか、この耳で。)

うん。
おれはできてるよ。ジャック。

――――きこえた。

(増えた病鴉どもが空を覆おうが、その遥か高みから
火球で灼き落とし雷鎚で撃ち砕こう
朽ちた翼で、天蓋の高さに届くものか)
(仲間の、ひとの、呼び声目掛けて
"LEONIDS"、星を降らせ!)

レグルス。
……キミたちを、助けに来た。
おーば。


リア・ファル
POW
アドリブ共闘歓迎

「沈め、オブビリオン。ヒトの歩みが止まらぬように。今を生きる誰かの明日の為に!」

『イルダーナ』で空中戦を敢行、
相手を地に下ろす、または攻撃の隙を作るのを主眼に行こう
(追跡、時間稼ぎ、操縦、空中戦)

『ライブラリデッキ』から風属性弾および重力弾を精製
『セブンカラーズ』で射撃

外れても当たっても構わない
風力を得にくく、重力方向も乱して、飛ぶのは困難に追い込もう
(属性攻撃、制圧射撃、罠使い)

敵の羽攻撃を防ぐ意味もある
毒素自体にも対応し、必要なら味方も援護

UC【召喚詠唱・白炎の不死鳥】で戦線を支える
(援護射撃、毒耐性、医術、鼓舞)

何度でも、明日に向かって手を伸ばす!


シキ・ジルモント
◆POW
宇宙バイクを走らせ敵に真っ直ぐ向かっていく
羽を飛ばして来たらユーベルコードを発動、羽の軌道を『見切り』飛翔能力を得たバイクで急上昇する事で回避を試みる
加速しながら急上昇を続け、空中という『地形を利用』し敵を飛び越えてその頭上へ
空は相手の得意な戦場だろうが、不意を突いて混乱させこちらのペースに持ち込みたい

上を取ったら銃で翼を撃って、羽を放てないよう牽制しつつ急降下
エンジンを全開にしたバイクで体当たりを仕掛け、叩き落とす
普段は空から地上を狙うばかりだろう、上を取られる気分はどうだ?

分身まで一体残らず追い立て殲滅する
これから道を作り維持する者達を鼓舞する為にも、この仕事は完璧に達成してみせる


フェルト・フィルファーデン
……ふう、流石に群れを治める者となれば、一筋縄ではいかないかしら。とはいえ、やる事は変わらない。今のため、そして未来のために、過去には消えてもらうわ。

わたしも【空中戦】でお相手するわね。【フェイント】をかけつつ飛び回り翻弄して隙を作るわ。敵が飛行能力に長けている以上、下手に手傷を負わせて距離を取られると厄介だもの。確実に一瞬で、速度を奪う……!
双剣の騎士人形よ。その輝きをもって片翼を切り刻みなさい!双剣による【2回攻撃】と光速の【早業】からなる圧倒的手数で、たとえ一撃は浅くとも深い痛手を負わせてあげるわ!

ええ、所詮かつての騎士の見様見真似。でもね、絡繰だからこそ、出来ることもあるのよ?



『ゲェエエエーッ!!』
 激烈な一撃により地面に叩きつけられたジャックレイブンは、怒り狂った。
 新たな群れを生み出しながら羽根を撒き散らし、再び空へ舞わんとする。
「させるか……! このまま地上に釘付けになってもらうよ!」
 機を見るに敏、リア・ファルは愛機イルダーナを駆り羽根嵐の中に飛び込む。
 そして重力アンカー射出と同時に、愛銃により風の属性弾を連射。
 なんとしてでもジャックレイブンの飛翔を食い止めんという捨て身の攻撃だ。
 だがまずい。血液を纏った羽根攻撃は、想像以上に範囲が大きい!
 いかなイルダーナとて、隙間なきミキサーめいた暴威が相手では……!
「悪あがきはよせ。もう、あんたを助ける群れの仲間もいないんだよ」
 BLAMBLAMBLAM! そこへ飛び込んだのは、シキ・ジルモントの放った銃弾だ。
 的確に狙いを定めた弾丸は、リアを切り裂こうとした羽根弾を見事に相殺。
 彼自身も宇宙バイク全体を防護用ビームシールドで覆い、チャージを仕掛ける。
 ガガガガガガ……!
 分厚いビームシールドを切り裂く羽根の嵐。保って十数秒といったところか!?
『ゲエエエエエッ!!』
 ジャックレイブンは、死物狂いで制空権を得ようと足掻き続ける。
 撒き散らす血液は、あまりの量と毒素の濃さに霧のように充満した。
 あらゆるものを腐らせる危険な毒ガスだ。ふたりの弾丸すらも腐食し四散!
「――わたしの絡繰の騎士たちよ!」
 嵐とともにすさまじい勢いで広がろうとしたガスの霧が、ばっさりと裂けた。
 見ればそこには、フェルト・フィルファーデンと彼女の絡繰騎士たち。
 たかが人形と侮るなかれ。それはフェルト自身の命を浴びて輝く勲である。
 無数の剣閃が鋭く空気を裂いたことで層を生み、ガスを阻む壁となったのだ!
 さらに騎士人形たちは盾を構え、なおも荒れ狂う羽根嵐の中に吶喊!
「あの羽根はわたしの騎士たちが抑えるわ。あれらの翼を!」
「了解! 風力と重力を乱してやれば、そう簡単には飛べないはずさ!」
「上を取られる気分を味わわせてやるとしよう。これで効けばいいがな」
 リアとシキ、ふたりのライダーの機影が矢のように鋭く交錯した。
 リアの放った重力アンカーと弾丸が、周囲の大気と重力を擬似的に撹乱し、
 頭上アドバンテージを得たシキの弾丸は、屍鴉の分厚い翼を撃ち抜く。
 しかし、シキは数発を叩き込んだところで顔をしかめ、舌打ちした。
 ギャリリリリッ!! 騎士たちの背後でドリフト着地し、リロードする。
「……弾丸を叩き込んだ程度じゃ焼け石に水だな。質量が足りん」
「あの血の毒素が面倒だね、おかげでろくに接近出来ないよ!」
 ふたりは確信していた。
 彼奴を完全に大地に突き落とすには、射撃攻撃では威力が足りないのだ。
 激烈な勢いを乗せたライドファイト――すなわち、機体による直接攻撃が最善。
 しかしそれを叩きつけるには、まずあの羽根嵐を突破しなければならない。
 加えて絶え間なく渦巻く毒ガスの猛威が、心身と機体を蝕んでしまう。
 フェルトの騎士人形たちの奮戦により、嵐の勢い自体は抑え込めているが、
 ジャックレイブン本体に近づけば、それだけ嵐が激しさを増すのも必然である。
 己の身を省みぬ特攻を仕掛けたとて、仕留められなければ意味はない……。
「この仕事は"完璧に"達成するのが重要だ」
 シキは渦巻く血の嵐をにらみながら、ひとりごちるように言った。
「俺たちの姿は、これから道を作り維持していく者たちにも映っているだろう。
 ……犠牲の上での勝利では、意味がない。それはこの世界の現状と、同じだ」
 シキは実際にアポカリプスヘルを旅し、様々な拠点を見てきた。
 だから、わかっているのだ。この世界の未来を取り戻すことの重さを。
 誰かの犠牲、何かを切り捨てることで得られる勝利では、意味はない。
 人々は今も多くを諦め、切り詰めることで生きているのだから。
 絶望の瀬戸際で踏みとどまる人々にとって、真に鼓舞となりえるのは、
 "いま"を変えられるかもしれないという希望――すなわち、完全なる勝利。
「同意見だわ。わたしたちは誰も脱落することなく、確実に勝たねばならないの」
「難しい条件だね。けど、そういうほうが燃えてくるよ!」
 希望を護るために戦うと誓ったフェルトも、
 人々の狭間に立って背中を押すことを使命とするリアも、
 シキの言葉に異論はなかった。彼が言わなければ彼女らが唱えただろう。
 ……問題は、どのようにしてそれを達成するか、である。
 重力アンカーにがんじがらめにされたジャックレイブンは、上昇しつつある。
 このまま手をこまねいていれば、再び彼奴は制空権を得るだろう。
 現状を切り拓く突破口。おとぎ話めいた、会心の一撃さえあれば――!

 ……その時である。
 三人のうち誰ともなく、ふと空を見上げた。
「――何か来るぞ」
 シキが呟いた。空に渦巻くのは、鳥葬めいた屍鴉どもの群れ。
 だが見よ。
 空を黒く染めるようなおぞましい群れが、徐々に数を減らしている。
 何が起きている? あの超大量の群れを、何が撃ち落としているというのか。
 それは――遥か頭上に視点を移してみれば、おのずと明らかになる。

 病巣めいたおびただしい屍鴉の群れ、そのさらに上空。
 嫌味なほど青々とした空を切り裂くのは、白熱した電光と赤熱した焔である。
 ぽつぽつと生まれたそれらは、DNA螺旋めいて渦を巻きながら混ざり合い、
 やがて弓弦から放たれた矢の如き速度でまっすぐに飛来する。

 ……流星だ。
 雨のごとく降り注ぐ雷焔の流星。
《――目標地点を捕捉。ルート策定完了。これより降下を開始する》
「……うん。おれもきこえたよ、ジャック。いこう」
 流星を生み出すのは、アンバランスなふたりだった。
 かたやスマートなフォルムながら、豹めいた鋼の躯体を持つ戦士。
 かたや燃えるような髪と青い瞳の、獣めいた雰囲気の女。
 ジャガーノート・ジャック。
 ロク・ザイオン。
 鋼の豹が生成した雷は青空を切り裂くまっすぐとした光となり、
 森番の燃やした焔が大気を灼き、星を雨となし降らせる軌跡を描く。
 雷霆と火球。千の――否、万に匹敵するであろう流星の雨。
『『『ゲェエエエエ……!!』』』
《――断末魔すらなく滅びていけ。一斉射撃、開始!》
「みつけた――堕ちろ、朽ちた翼の病!」
 ふたりは肩を並べ空中を蹴り、流星の雨とともに自らも垂直落下した。
 光に匹敵するであろう速度の滑空(グライド)。交錯は一瞬だ。
 直後……KRA-TOOOOOOOOOOOM!!
 屍鴉から屍鴉へ、
 一体から二体へ、
 群れから無数へ、
 無数から空へ!
 伝搬し燃え上がり迸り輝き瞬いた光が、黒に染まった空を蒼く染めた。
 三人の猟兵はそれを見た。
 そして、地上をも覆い尽くすほどの星の輝きを見た。
 一条の光芒と化したふたりの落下地点は、すなわちジャックレイブン!
 流星を伴としたフルファイアが、あがく屍鴉を神の槌めいて打ちのめしたのだ!
『ガァアアアアア……!?』
 KRAAAAAAAAAASH!!
 羽根も毒血もガスも物ともしない超・超高速落下攻撃。
 面を制圧し点を貫く必滅の術式は、嵐をも貫いて本体を打ちのめした!
「――今だな」
 シキの鋭い双眸がぎらりと輝いた。
 彼は瞬時にバイクをフルスロットルし、あとに続くようにチャージを敢行。
 ギャルルルルルル……!! ギロチンめいた前輪が翼を引き裂く!
「地を這いつくばる気分はどうだ? 遠慮はいらん、たんと味わえ……!」
 鬼神の如き形相。裂帛の気合を籠めた轢殺車輪が屍肉を削ぎ落とす。
 拷問じみた苦痛を逃れようと、ジャックレイブンは負傷を厭わずもがき、
 半ば翼を断たれながらも大地をのたうち回って、暴威から逃れた。
『ケェエエエエーッ!!』
 断面からほとばしる血は新たな毒素を孕み、今度こそ猟兵を捉えようと――否。
「哀れね。死してなお群れの長を気取り、人々の邪魔をして空に君臨する。
 ――アナタはもう、空の王でもなんでもない。ただの過去の残骸なのよ」
 ジャックレイブンは、違和感を覚えた。
 ありったけの毒素を籠めた血の奔流が、なぜか発動していない。
 なぜだ? そしてこの、巨体を支えきれぬ喪失感は一体?
 ……引きちぎれかけた片翼を完全に切断されていると気づいたのは、直後のこと。
 冷たい瞳で見下ろすフェルトのそばには、双剣の騎士人形が侍る!
「わたしの騎士人形は――その双なる刃は、光の速さでわたしの敵を切り裂くの。
 わたしの命の光を以て輝くこの剣を、そんな穢れた血で防げると思わないで!」
 然り。双剣騎士の斬撃、それは極めて短距離ながら高速に達する。
 寿命を代価とした斬撃は、一の間に千に届くほど放たれていたのだ。
 撒き散らされた血を分子サイズで霧散させ、翼を叩き落とすほどに!
「覚えておきなよ。ヒトは、何度でも明日に向かって手を伸ばすんだ。
 キミたちオブリビオンなんかに、世界の一つだって滅ぼさせてなるものか!」
 そして降り注ぐ、滝のような破魔の白炎!
 リアが電脳魔術によって召喚した不死鳥の輝きは、悪を灼き善を蘇らす。
 もはや流れる血の毒も何もかも、猟兵を害することはありはしない。
 傷口から、腐り落ちた体に沁み込んだ炎は、屍鴉の存在そのものを燃やす。
 内側から燃やされる苦痛に、ジャックレイブンは悶え苦しんだ!
「新手か。どうやら事前に群れを召喚し待機させていたようだな」
 新たに頭上から聞こえてきた分身体の群れの怪鳥音に、シキが呟いた。
 上空を睨みつけたシキは、やや眼差しを柔らかくしふたりのほうを見やる。
 すなわち――星の雨によって活路を切り開いた、鋼の豹と森番を。
「それで? 実際助かったが、あんたらは何者だ?」
「……レグルス」
 ロクはひび割れた声で、端的に応えた。
 それはふたりの異名。獅子座の流星を意味する輝きの名。
《――友軍の救援に駆けつけた。これより本機らは共に闘おう》
 誰が彼らを呼んだのか。
 活路を求めた猟兵の心の声か?
 はたまた希望を求める人々か?
 どちらも正しく、どちらも異なっている。
 ふたりだけではない。猟兵とは、"だからこそ"オブリビオンを斃すのだ。

 滅びを拒み、未来を求める――世界そのものの声を耳にして、戦うのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

露木・鬼燈
血の匂いにでも誘われたのかな?
道路を整備しても利用者が襲われては困る。
面倒ではあるけどタイミング的には悪くない。
今なら戦力は十分。
ここで骸の海に沈めておくっぽい!
空中戦闘は機動力重視の<黑鐵>で。
纏った呪炎で毒を焼き払いながら戦うですよ。
連結刃形態の魔剣を空中戦闘機動で操るのです。
速度を乗せた斬撃で削ぎ落しながら呪詛で冒す。
暴喰之呪法が喰い荒らせば飛行に支障も出るよね。
例え効果が薄くても重ねていけばいいのです。
敵の攻撃は呪炎を利用したフレアで回避。
出力次第で撃ち出された羽根くらいなら燃やせるかもね。
撃ち出すときは太陽のルーンも乗せておかないとね。
頭部にぶつければ感覚器官にダメージが入るかも。



 片翼を奪われたジャックレイブンは、血の沼にのたうち回っていた。
 だが……見よ。
 毒性を持つ血は、まるで意志を持つスライムのようにのそりと蠕動し……!
『ゲェエエエーッ!!』
 怪鳥音をあげ、ジャックレイブンは片翼を無理矢理に再生させた。
 より正確に言うならば、血を操ることで擬似的な翼を作り出したのだ。
 傷ついたジャックレイブンは再び空に羽ばたき、怒りの眼差しで猟兵を睨む。
 対して最初に空中へ飛び出したのは――露木・鬼燈だ!
「活きがいいのです! ならお相手してあげるっぽい!」
 異形の化身鎧装を纏い、呪炎を推進剤として空を舞う。
 迎え撃つジャックレイブンは、血の翼を分裂させ無数の羽根弾を放った。
 毒素を孕んだ危険な羽根弾の嵐。回避する隙はない!
「そんなの目くらましにもならないのですよ、こーやって燃やしちゃえばね!」
 しゅごう、ごごうっ!
 肘や腕先の噴射器官から呪炎がエグゾーストし、羽根弾を焼き払った。
 霧散した血は毒素を保っているためそれだけでも危険なのだが、
 外骨格によって生身を守っていること、
 そして鬼燈は忍びとして毒物への耐性を持つゆえに、害は一切なし。
 赤く染まった空を切り裂いて、連結刃形態に変化した魔剣が振るわれた!
『ゲェーッ!!』
 屍鴉は慌てて急上昇し、かろうじて魔剣の刃を躱した。
 しかし、その回避行動すらも鬼燈の思惑通りである。
 なぜなら彼は――ジャックレイブンの背後をすでに取っている!
『!!』
「毒で侵すことが出来るのはキミだけじゃないのですよ?」
 回避をさせることによって意識を反らし、その間に死角に回り込む。
 忍びらしい天才的なミスディレクションに、敵はかけられてしまったのだ。
 無防備な背中めがけ、本命の斬撃が振るわれ……命中!
『ゲェエエ……!』
 裡なる呪いと斬撃の苦しみが、悶えるジャックレイブンを蝕む。
 龍をも屠るいにしえの呪詛、たかが屍鴉ごときに耐えられるものではない……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

テリブル・カトラリー
あんな物が上空を飛んでいては、
道路施設どころではないな。

装甲車に搭乗【操縦】
【武器改造】機関銃を装甲車に取り付け、車の装甲で羽根から身を守りつつ
【ダッシュ】常に走行しつつAIに機関銃を操作させて【制圧射撃】
屍烏を落とした所で、群れの長を落とさねば意味がないか

方針転換、操縦をAIに任せ、装甲車の上に立って『ガトリングアーム』
後方は銃座に任せ、ジャックレイブンのいる前方集団を纏めて【範囲攻撃】
見えたぞ、レイブン。
大砲でジャックレイブンを狙い撃ち【スナイパー】
榴弾で爆破、大地に落とし、【踏みつけ】装甲車で轢き潰す。
…そんな姿になっても、まだ活動するか、オブリビオン。



 ――ガガガガガガッ!!
 荒野を爆走する装甲車の車体に、刃めいた血の羽根が次々に突き刺さる。
 猟兵の連携攻撃によって片翼をもがれたジャックレイブンは、
 己の毒血を操ってかりそめの翼を作り出し、血そのものを射出しているのだ。
 堅牢な装甲車をしてすら、突き刺さった部分は急速に腐食し崩壊していく。
 少しでも速度を落とせば、羽根弾は装甲車を貫き爆散せしめるだろう。
「あれを放置していては、道路の維持どころではないな。鴉め」
 テリブル・カトラリーは舌打ちし、アクセルペダルを踏み抜いた。
 エンジンが焼け付くほどに回転し、粉塵が視界を妨げた。
 装甲車に備え付けられた機銃はAI自律操縦のため、迎撃に問題はない。
 いっそ装甲車そのものもAIに任せるべきか……? テリブルは思案した。
 車体は絶え間ない攻撃に揺れ、騒音めいた衝撃が小刻みに続く。
 頭上を取られている以上、スピードで振り切るのは難しいだろう。
 加えてこのままでは、敵は群れを召喚しアドバンテージを得るはずだ……。

 ガコン、という重々しい音を立て、装甲車上部のハッチが開かれた。
 しかめ面のテリブルはのそりと巨体を覗かせ、上空を睨む。
 予想通り、ジャックレイブンは群れを召喚し体勢を整えつつあった。
 顔のすぐ隣で、銃身が焼け付くほどに機関砲が火を噴いている。
 しかし弾丸は上空まで届いていない――血の羽根弾が弾幕となっているのだ。
「空から大地を見下ろし、好き放題に蹂躙するか。いかにも畜生らしい」
 厳かに言い、テリブルは両腕をすがりつくように空へと伸ばした。
 見よ――両腕がユーベルコードの力により、巨大ガトリング砲に変異!
「だが、見えたぞレイブン。たとえどれだけ羽根をばらまこうが――!!」
 BRATATATATATATA! BRRRRRRRRRTTTTTTTT!!
 視界内のすべてを薙ぎ払う大量の弾丸が無数の群れを撃墜!
 有り余る弾雨――否、この場合は弾嵐とでも言うべきか――は、
 悠々と空から見下ろすジャックレイブン本体をも捉え、貫いた!
『ゲェエエエ……ッ!!』
 鋭い弾丸を浴び、ジャックレイブンはたまらずバランスを崩した。
 その時にはすでに、テリブルは異形化を解除しAMRアームドフォートを展開。
 大口径の砲塔が、落下する屍鴉を狙い定め――BOOOM!!
 狙い撃ちだ。続けざまの榴弾投擲! 爆炎に飲まれ屍鴉は絶叫した!
「死にぞこないめ。そんな姿になっても、まだ活動するか、オブリビオン。
 ならば再生すらも出来なくなるまで、徹底的に轢き潰してやる……!!」
 ギャルルルルッ!!
 落下地点めがけ、装甲車が一気に加速した。
 轢殺車輪が、腐り爛れた巨体を――めちゃくちゃに、引き裂く!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミリア・ペイン
まあ、醜悪な外見だ事こと…反吐が出そうだわ
その血まみれの嘴でどれほどの命を奪って来たのかしらね?…悪い子だわ
害獣はキチンと駆除してあげないとね!

【WIZ】《闇き煉獄の底》
アハハ!増えても全部潰せばいいだけでしょ?
【オーラ防御】で防御しつつ可愛い死霊達と一緒に特攻を仕掛けて暴れ回ってやるわ【先制攻撃】
ちょろちょろと鬱陶しいわね…【念動力】で動きを制限しつつ邪魔な翼を引き裂いてあげちゃお【部位破壊】
地面に落ちた哀れな子達から死霊の餌にしちゃうからね
ゴミは残しちゃダメよね【呪詛】で跡形もなく溶かしておきましょ

フフ…人がこれから頑張っていこうって時にお前等みたいなのがいると皆迷惑するのよ
消えてくれる?



 弾丸で撃ち抜かれ、灼かれ、地に落ち再び轢殺車輪で引き裂かれ……。
 無残なるざまになってなお、ジャックレイブンは戦いをやめようとしない。
 血の一滴まで毒素で満たし、屍の醜悪な見た目を晒して、なお。
 オブリビオンとは"そういうもの"だ。
 存在そのものが世界と敵対し、未来を滅ぼすために顕現した残骸。
「まあ、醜悪でみじめだこと――反吐が出そうだわ」
 ぞっとするような凄絶な笑みを浮かべ、ミリア・ペインは吐き捨てた。
 なんと無様で、おぞましく、そして浅ましいことか。
 果たしてあの屍鴉は、あの血や嘴でどれだけの命を奪ってきた?
 この血にも、生き延びた人類の拠点はあったはずだ。
 誰がそれを滅ぼした。
 誰が群れを蔓延らせた。
 あれほどの獣どもの殺戮欲求は、どうやって満たしていたというのだ。
「……悪い子だわ」
 憎悪と怒りに双眸をぎらつかせ、ミリアは怖気が立つ声音で呟く。
 その敵意に反応し、ジャックレイブンがびくりとミリアの方を見据えた。
「――害獣は、キチンと駆除してあげないとねッ!」
『ゲェエエエーッ!!』
 群れが来る! 空を埋め尽くすほどの、腐り果てた屍鴉どもが!
 だが見よ。ミリアの足元から湧き上がったのは竜巻――否!
「アハハ! いいわよ、いくらでも雑魚を呼んでごらんなさいな。
 いくら増えても全部潰してやるわ。ミンチみたいに跡形もなくねぇ!」
 立ち上るのは悪意。ミリアの足元に侍るのは、怨念の霊であった。
 ミリアはけたたましく笑いながら駆け出し、まず死霊の群れを解き放った。
 ミサイルめいて急速落下する群れと死霊がぶつかり合い、相殺!
 哀れ、翼をもがれた屍鴉どもは、地面を覆うほどの死霊に引き裂かれ食われる。
 空を覆う黒、
 地を染める怨念、
 どちらも邪悪だ。間違いなくこの世界の理に反する存在だ。
 その悪意と暴威の只中、ミリアは嵐を切り裂き――本体に到達!
『ゲェエッ!!』
「ぎゃあぎゃあやかましいッ!!」
 うごめく血の翼を引き裂き、さらに一撃。
「フフ――人がこれから頑張っていこうってときに!」
 さらに一撃! ジャックレイブンが怯む!
「お前らみたいなのがいると! みんな! 迷惑するのよ!!」
 一撃! 一撃! 一撃……腐肉が飛び散る!
「――消えなさい。消えろ! この世界から!!」
 一方的であった。
 ジャックレイブンは引き裂かれ打ち据えられ呪われ、ただ悶えるばかり。
 空を覆う屍鴉よりも――鬼神じみた少女のほうが、よほど恐ろしい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

祇条・結月
道を作る
道を守る
それが小さなもので……もしかしたらすぐ壊れてしまうかもしれないとしても

無駄じゃないって信じたいのは
僕自身に重ねてるだけなのかな
……行こっか

飛べる敵は厄介だな
苦無じゃ射程に不安があるし、おまけに毒ガス撒き放題って?
範囲を【見切り】まともに喰らって、吸わないようにとは思うけど……限界はあるよね
なら

【覚悟】をきめてあえて受ける

痛いのも
苦しいのも、
自分が、腐り落ちそうな感覚も

怖いし
キツいし
……けど、もっと怖いものが、あるから(【激痛耐性、毒耐性】)

分析して
それに対処できる錠を錬成して、保護
共闘してる猟兵がいればその人へも
あとは銀の弓で反撃

忘れるな
足を止めることだけは、許さないって
絶対に



 "塵も積もれば山となる"。
 ……ありきたりな言葉だが、忘れてはならないことでもある。
 どんなことであれ、積み重ねれば必ず結果が出る――そのはずだ。
 たとえ、こんな文明が滅びた、終末間際の世界であろうとも。
 確信があるわけではない。おおっぴらに言い張るつもりもない。
 己は――祇条・結月は、この世界のすべてを知ったわけではない。
 この世界で今日まで生き延びてきた人々に比べれば、
 自分はよっぽど幸福で平凡で、比べ物にならない日常を過ごしてきたのだから。
 "だからどうか、どんな辛く苦しいことがあろうとも"だなんて、
 口が裂けても言えない――言うつもりも、ない。

 ただ。
「それでも、無駄じゃない――無駄じゃないって、僕は信じたいんだ」
 言葉は誰に向けたものでもなく、結月自身に言い聞かせるようで。
 荒れ狂う血の嵐に飛び込む寸前、彼は一時目を閉じて、そう呟いた。
 本当は、もう何をしても意味はないのかもしれない。
 猟兵の戦いも、
 この道を築く仕事も、
 何もかも――結局は嵐に呑まれて消えてしまうのかもしれない。
 それが現実であるならば、せめて己はこの意志を以て"否"と叫ぼう。
 この覚悟を以て。
 ……結月は、あろうことか、毒嵐の中に自ら飛び込んだのである。
 毒を退けるような方策はない。
 彼が持つ毒耐性も、飛び抜けて高いわけでは、ない。
 猟兵というのは世界の軛を離れた超常の存在ではあるが、
 ユーベルコードを使えることが、イコール猟兵を超人たらしめるわけではない。
 身体能力や特殊能力というものは、あとからついてくるものだ。
 その点において、彼は所詮ただの人間に過ぎない。
 肺を腐らせる毒素が体内に入り込み、臓腑を、骨肉を急激に腐らせる。
 目と口から血をこぼしながら、それでも結月は怯まなかった。
 怖い。
 痛い。
 苦しい。
 ……けれども。
「けど――こんなことより、もっと怖いことが……僕には、あるから」

 ……かちり。

 音を立てて錠が降りた。
 結月の胸元、ペンダントめいて浮かび上がるのは、神秘の錠前だ。
『ギ……!?』
「効かないよ。そんな毒なんて」
 一切の悪影響は絶たれた。ありえないことに、傷ついた屍鴉は目を見開く。
 結月は嵐のなか、ブレることなく銀の弓を構えた。
 駆け抜ける。一時たりとも足を止めはしない。
 そんなことは、己には赦されない――だから。
「人々が作る道を、君に邪魔させはしない……!」
 まっすぐに敵を見据え、矢を放つ。
 鏃はその視線をなぞるように――ぞぶりと、腐れた肉体を貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

狭筵・桜人
毒を降らせば毒降らされる。
うーん、立場が逆転しましたねえ。

迷惑カラスにはコレです。
『怪異具現』。『鷹』のUDCを召喚。
鷹匠が鷹を飛ばしてカラスを追い払うのを市街地で見ました。
翌日には普通にカラス居ましたけど。

この数を一匹で追い払うのは無理があるでしょうし
的を一匹に絞ってハントさせましょう。
タカなだけにタカられる前になるべくタカいとこに
捕獲したカラスを連れてって貰ってですね。
ふざけてないです。

こうして腐れカラスの生命を脅かし……これゾンビですか?
まあいいや、ストレスを与えてですね。
地上へ届かない高さで毒ガスを撒かせて
仲間もろとも自滅して頂こうって作戦です。
UDC?一緒に死にますね。必要経費です。


リリア・オルトラン
あいつが群れの長か。異形は長々と見ていたいものではないな!
…というか痛くないのか?!血みどろだぞ!私はちょっと見ているだけでも痛いのだが?!
う、うおほん。まあいい。痛覚など元より無いのかもしれないしな。…厄介なやつめ!

さあ、気合を入れていくぞ!先の戦闘で体があたたまったところだ。イーリスを握る手にも力が入る。刀身を紅蓮と変えて、炎と共に前へ行く!

最初から全力だ!【怨焔】で屍鴉の悉くを燃やしてやろう。目標は
ジャックレイヴン。であれば屍鴉に構う時間が惜しい。最低限の道を切り開ける範囲で怨焔を燃やし、後は駆ける。
逃げるなよ怪鳥!翼に狙いを定め早業で剣を突き立ててくれよう!そのまま焔も味わうがいい


雨宮・いつき
現れましたね、大鴉の化生…!
安寧を取り戻すための第一歩…人々の希望を失わせない為にも、倒させて頂きます!

雷撃符に冷撃符は粗方使ってしまいましたが、まだ得物は残っています
起爆符を放って爆発で攻撃する事で、敵の意識をこちらへ向けましょう
敵意に応じて群れを使役するとの事ですが…それを利用させてもらいます

現れた群れに魂縛符をありったけ放って吸い寄せ、
その魂縛符を彼岸花の花弁に変えて鴉の群れへ浴びせます(【範囲攻撃】)
妖狐に操れるのは人心のみに非ず
【誘惑】に魅了に幻惑…花弁の効果で群れの鴉達の心を操り手懐け、大鴉と戦わせます
さあ、今一時は僕が貴方達の主
主に、人の世に仇成す怪異の悉くを打ち滅ぼし給え!



 ……KA-BOOOOOM!!
「わああっ!?」
 突然の爆発音、そして巨大な爆炎に、リリア・オルトランは驚いた。
 そしてすぐに頭を振り、気を取り直したようにこほんと咳払いする。
「う、うおほん! 誰だか知らんがよくやった! 群れが減ったぞ!」
「ありがとう……と言いたいところですが、焼け石に水ですね」
 符呪によって爆発攻撃を行った当人、雨宮・いつきは顰め面で言った。
 然り……爆炎の中から現れたのは、さらに大量の群れである!
「な、何ぃ!? なんで攻撃したのに前より増えているんだ!?」
「それだけあの大鴉の化生も、追い詰められているということです!」
『『『ゲェエエーッ!!』』』
 ふたりは左右に翔んだ。そこへ遅れて飛来する無数の屍鴉の群れ!
 刃物めいて鋭い嘴を伸ばし、ミサイルのように自爆特攻を仕掛けてきたのだ。
 もしもふたりの反応が一瞬でも遅ければ、見るも無惨な有様になっていたろう。
「ええい、群れに任せて長は高みの見物か……忌々しい」
 ゴロゴロと地面を転がりながら、リリアは空を舞うジャックレイブンを睨んだ。
 猟兵たちの攻撃で大きな傷を受けたためか、本体の攻撃はあまり激しくない。
 どうやら召喚した群れに猟兵の対処を任せ、回復に励むつもりらしい。
「あの傷ついた異形は見ているだけでも痛々しいが、可哀想とは思えん。
 おまけに血で欠損を補うとは……まったく厄介なやつめ! どうしたものか」
「……群れのことですが、僕にひとつ策があります」
 言いながら、いつきは懐からなんらかの符束を取り出した。
 それが秘めた強い霊力に、マジックナイトであるリリアは眉根を顰めた。
「なんだ? それは……とびきり強い力を感じるぞ」
「魂縛符と云います。名の通り、魂を縛り引きつける効力を持つ符です」
「それを一体どう活用すると?」
 いつきは真剣な面持ちで、こう説明する。
「僕の符で群れをありったけ引きつけ、ユーベルコードを発動します。
 この術式なら、引きつけた獣を幻惑し、一時的に味方に出来るんです」
「……そうか! それで群れに本体を襲わせる、というわけだな!」
 少年陰陽師はこくりと頷いた。たしかに一石二鳥の効果的な攻撃だ。
 しかし、問題があるらしい。いつきは続けた。
「……ですがあの群れは数が多すぎる。効果範囲に収めきれません。
 加えて、あの敵意の剥き出しよう。幻惑が効かない可能性もありえます……」
「どうにかして群れを混乱させ、数を減らさないとならないか」
 リリアは、己が行使出来るユーベルコードの規模を脳内で計算した。
 "怨焔(フォティア)"の術式を使えば、約50個の紅蓮の炎を制御できる。
 ひとつ一体……いや二、三体は仕留められるとしても、わずかに足りない。
 あとひとり。あとひとり、助けとなる猟兵がいれば、あるいは……。
「あ、もしかして私、けっこうベストタイミングで駆けつけられました?」
「「!!」」
 岩陰に隠れていたふたりは、突然の声に驚いて振り返る。
 そこにはいつのまにか、狭筵・桜人が屈んでいたのである。
「いやいや、そんな驚かないでくださいよ。同じ猟兵じゃないですか」
「す、すみません。突然だったので、つい……一体、いつの間に?」
「……まあ、企業秘密ということで」
 いつきの質問に、桜人は意味深な表情で誤魔化した。
 レッドラムの群れを片付けたあと、サボるつもりで隠れていたとは言えない。
 彼は隙あらば仕事をサボりたがる、少々不真面目な猟兵なのである。
「それはともかくですよ。群れを混乱させて数を減らせばいいんでしょう?」
「うむ。もしや、なにかいいアイデアが?」
「うーん。あまり期待されても困るんですが……ないこともないです」
 そう言って桜人は、鷹匠のように片腕を掲げてみせた。
 その腕の上に虚無めいた暗黒が凝り――一体のUDCが召喚されたのだ。
「鷹匠が鷹を飛ばして、カラスを追い払うのを市街地で見たことがありまして」
「は、はあ」
「まあ翌日には普通にカラスいましたけど。普通にゴミ荒らしてましたね」
「そ、そうか」
「つまりですよ」
 桜人はにこりと笑った。悪いことを考えたときの顔である。
「迷惑カラスにはこういうのが一番、ってことです」
 リリアといつきは顔を見合わせる。はたして……?

『!!』
 屍鴉の群れの視線が、岩陰から飛び出したなにかの影に集中した。
 陰から飛び出したのは……桜人が召喚した、鷹の姿をしたUDC!
『ゲェーッ!』
『『『ゲゲ、ギィイイ……!!』』』
 ――殺せ。
 オリジナルの命令に応じ、屍鴉どもは嘴の切っ先を鷹のUDCに向ける。
 所詮たった一匹のUDCだ、殺すのはあまりにもたやすい。
 しかし。屍鴉どもの攻撃を、UDCは曲芸的飛行で躱すではないか。
 そして目星を突けた屍鴉にまとわりつき、喉元を引き裂き爪で捕獲した!
『ゲッ、ギギィ……!』
『――!!』
 鷹のUDCはこの世ならぬ声で鳴き、鷲掴みにしたままさらに上を目指す。
 オリジナルを襲うつもりか? 群れはほぼ反射的に鷹へと集中した。
 しかし、あれの狙いはそこではない――その時である!
『ゲェエエエーッ!!』
 喉元を掴まれた屍鴉が暴れはじめ、毒ガスを撒き散らしたのだ!
 極度のストレスと怒りを与えられたことで、悪あがきを始めたのである。
 広範囲に作用する毒ガス――それを、あろうことか群れのど真ん中で!
『ゲッ!? ギ、ギャアア!』
「ま、タカがカラスですからこのとおりですね。タカだけに」
「ふざけている場合かッ! 頼むぞ、いつき殿!」
「はいっ!」
 さらに岩陰から飛び出す三人(桜人は手でひさしを作って見物している)
 リリアはそんな彼を叱りつけながらも、紅蓮の炎を伴に跳躍した。
 後ろに続くいつきは、毒ガスで足並みを乱した群れに符を投擲!
「狐の沙汰も艶次第――化生飲むれよ、いま一時は僕があなたたちの主です!」
『『『!!!』』』
 彼岸花の花びらへと変じた符の魔力により、屍鴉の目の色が変わった。
 狙い定めるのは猟兵――否。我らの敵は、人の世に仇なす怪異、その棟梁!
『ゲ、ギイイイイッ!?』
 群れがオリジナルに殺到する! ジャックレイブンは突然のことに混乱した!
 一方でリリアは、その機に乗じて群れを飛び石に空を駆けるのだ!
「逃げるなよ怪鳥! 人の道を阻むその悪行、焔を以て償うがいい!!」
『ギ――ガァアアアアッ!!』
 針の穴を縫うような飛翔、紅蓮の焔をともにした鋭い刺突!
 魔法剣の刀身が深紅に輝き、翼を貫いて燃え上がり、屍肉を灼くのだ!
「いやー、いいところを他人に任せて見物って、最高ですねえ」
 手駒であるUDCを当然のように自爆要員として支払った桜人は、淡々と言った。
 彼にとって、オブリビオンの悪意など前髪の状態よりもどうでもいい。
 より楽に、より手軽に、仕事を済ませられればそれでいいのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヌル・リリファ
アドリブ連携歓迎です

身体はともかく(【毒耐性】)、生体部品にはききそうかな。(左眼が完全に機能しなくなるのは避けたい。ソピアーも直接受けたりはするなと警告を出している。)

シールド展開。
あれはあくまでも毒が攻撃のメインで、単純な威力は極端にたかくはなさそうだし。ふせげるとおもう。

あとはねんのためUCで身体を魔力でおおって保険をかけたら、そらをかけてルーンソードではねを攻撃する。
そらは、相手の得意な場所だろうし、きっととんでるとたおしにくいから。

もうしんでるんだから、いまにこだわる必要はないでしょう?骸の海にかえりなよ。
まあ、いやだっていってたとしてもたたきかえすんだけどね。


鳴宮・匡
最近、考えることがある
もし全てをなくしたあの時、これ以外に選べる道があったら
俺はどうしていたんだろう、って

別に、この生き方を後悔しているわけじゃない
悪いと思っているわけでもない

ただ、そうだったなら
この未来への営みにも何かを思うことができたんだろうな、と
そんな風には思う

真の姿を開放
羽根の軌道を見切って回避/撃ち落しつつ
合間に射撃で足回りを牽制
着地のタイミングを狙い体勢を崩させる

崩れたところへ【死神の咢】を叩き込む
狙いは翼の付け根
片翼でも欠けば機動力を大幅に削げるはず
追撃が叶うならそのまま頭を狙う

まだこの道行きに、何も思えないけど
“わからない”で終わりにはしたくないから
今は、それを守るために戦うよ


ヴィクティム・ウィンターミュート
───来たか、小汚ねぇカラスが
屍肉漁りには飽きたのかい?
餌なんてここには無いぜ…餓死しちまった方が楽に逝けたと思うがな
ま、どうでもいいか…害獣駆除を始めようぜ

さて、毒ガスなんて小賢しい真似は看過できねぇ
大気汚染なんてされちゃ環境に悪いじゃないか…なんてな
『Mercy Hand』
暴虐はここまでだ…全ては慈悲の手に染まる
ンッンー、清浄な空気だ…お前もそう思うだろ?クソガラス
そう怒るなって───どうせこの後死ぬんだしさ

左腕の仕込みワイヤーアンカーをカラスに向けて打ち込む
カムフラージュにクロスボウの射撃に紛れさせる
撃ち込めたら高速巻取りでカラスを引っ張り、地に落とす
さぁボーナスタイムだ!やっちまえ!



 毒の血。
 羽根に纏えば腐食をもたらす致命的な弾丸に変わり、
 霧状に撒き散らせばあらゆるものの生存を許さないガスとなる。
 脅威的なことに、ジャックレイブンは引きちぎられた翼を血の塊で補い、
 いまだに飛行を保っていた――猟兵の刃に貫かれ、灼かれてなお。
 次々と生み出される群れは狂乱して毒ガスを撒き散らし、主を護ろうとする。
 ばらまかれる血の羽根弾。おびただしく大気を穢す毒素。
 もはや荒野は、青空は、動脈血めいた赤黒に穢れ染まりつつあった。
 これでは仮に敵を倒したとて、道路を敷設するなど夢のまた夢ではないか。
 この土地は、植物どころかあらゆる生物が存在できない魔境となってしまうのか。
「――おいおい、そんなありきたりなバッドエンドは、看過できねぇな」
 ヴィクティム・ウィンターミュートは、赤黒い霧の中で肩をすくめた。
 傷ついたジャックレイブンとその眷属は、ありえない光景に目を見開く。
 なぜだ? なぜこの致命的な毒霧のなかで、あの人間は平然としている?
 足りぬのか。ならばさらに血をばらまき、毒をもたらして土を腐らせよう。
 人間が育つことなど赦さぬ。
 文明が復興するなど赦さぬ。
 滅びろ。
 滅びろ、滅びろ、滅びろ――。
 世界とともに滅べ、人間よ。我らはそのために還ってきたのだ……。
「なんてのが、テメェらオブリビオンの考えてるコトだろ? ハッ、笑えねぇ。
 深刻だからじゃあないぜ――どいつもこいつも、変わり映えがしねぇのさ」
 ただあるがままに邪悪であり続ける過去の残骸。
 悪党としては、これ以上にないぐらい気持ちのいいやられ役だ。
 しかし、悪とは正義に打ち倒されるものでなくてはならない。
 影はいずれ、日に払われるからこそ意味があるのだ。
 ヴィクティムはそう考える――彼が悪党であることを踏まえた上で。
 自分は日陰者だ。けして日の暖かさに甘えてはならない、そういうモノだ。
「お前らだってそうだろ? オブリビオン。……だがな」
 ヴィクティムは皮肉めいた笑みを浮かべ、左腕を掲げた。
 見よ。毒素を払うかのように、神々しく輝くその腕を。
 影を駆ける悪党には似合わぬ、清廉で美しい朝日のようだった。
「悪党が好き放題やって勝ち逃げする――そんな脚本は、願い下げなんだよ」
 そして光を中心として、赤黒い穢れが洗われ、消えていく。
 なんだ、何が起きた? 獣どもは知性を働かせ理解しようとする。
 そしてさらに毒素を撒き散らし、土地を、人を、世界を穢そうとする。
 不可思議なことに、そうすればそうするほど……すべては浄められていくのだ。
「おぉ、なんと慈悲深き御方! まさに太陽の化身!」
 突然、ヴィクティムは言った。
「血を以て世界を癒やし、毒を濯ぐ。なんと寛大な御心! 噫、まさしく――」
 輝きが逆光となり、ヴィクティムの顔を影で隠した。
 あらわになった口元だけが、小憎たらしい笑みに歪んだまま。
「間抜けな野郎(スクィッシー)、だな」

 我らのユーベルコードが、外部から書き換えられている。
 屍鴉どもは、本能的に"それ"を理解した。
 然り……これはヴィクティムが持つ反転の電脳コードによるもの。
 害は護りに変わり、刃は盾となり、呪いは祝福となる。
 皮肉めいた慈悲の御心。輝く御手は敵の行い一切を無力化……いや、反転する。
 敵は当然、術者であるヴィクティムを殺そうと一気に滑降した。
 嘴をもって貫き、群れが何体犠牲になろうとやつを殺せばいいのだ。
 自爆特攻めいて降り注ぐ群れの雨――立ちはだかったのは、ヌル・リリファ。
 片手をかざし念じれば、分厚い光の盾が宙空に生まれ悪意を阻んだ。
「させないよ。毒がなかったら、あなたたちなんてなんの脅威でもない」
 ヌルは淡々とい言い、顕現させた盾を魔力に変え、自らの体に収束させた。
 不可視でありながら極限まで高められたそれは、彼女を護る魔法のヴェールだ。
 空色の瞳をした少女の姿が、消える――直後、無数の剣閃。
 二度目の突撃を仕掛けようとした愚かな屍鴉は、ことごとくが両断され絶えた。
「匡さん」
「――ああ」
 そして鳴宮・匡は、すでに銃を構えていた。
 狙うのは群れ……否、その後方で指揮を執る、ジャックレイブン本体。
 射線を遮り迎撃の羽根弾を放つ群れの動きも、放たれた羽根弾の弾道も、
 深い蒼に染まった彼の双眸は一瞬一瞬を切り取れるほどに捉えていた。
 回避、撃墜。最小限で、最大の効率をもたらす身のこなし。
 たとえ超人めいた腕力がなかろうと、
 韋駄天のごとき俊足がなかろうと、
 当たるはずのものを回避し、食らう前に撃ち落としてしまえばいい。
 星の核を砕く神の鉄槌であろうと、当たらなければ意味はないのだ。
 匡はそれを識っている――そして、神の雷をも撃ち落とす魔弾を持つ。
 特別な弾頭だとか、悪魔の恩寵を受けた魔力があるわけではない。
 影を纏わずとも未来を読まずとも、把握した情報をもとに弾丸を放てばいい。
 前衛はヌルが担当する。ルーンソードの斬撃がこれ以上の自爆特攻を阻む。
 匡の狙いは本体だ。撃ち落とすための弾丸の合間合間にスナイプ。
 届かない、当たらない。だが弾丸は"敵の余剰空間を削り取る"。
 つまり敵は、匡が意図した方向へ回避せざるを得ない。招かれるように。
「よおクソカラス! いい空気だぜ、お前も味わっていきなァ!」
 それに応じるように、ヴィクティムがクロスボウのボルトを放った。
 ジャックレイブンは苛立つ。ヤツもおびき寄せられていることを理解している。
 ならば、殺してしまえ、群れで出来ぬならば己でやればいい。
 空中を蹴り渡り接近したヌルの斬撃を、血で形成したかりそめの翼で受け、滑空。
 狙いは匡――だがそれは、ふたりの男にとっては狙い通りだった。

 輝く左腕から放たれたワイヤーアンカーが、腐った肉体に絡みついていた。
 ギャギャギャギャ――! ギアが巻き戻り、急速にその巨体を引き寄せる。
 すなわち、地面へ――KRAAAAAAAASH!!
『ギィイイイッ!!』
「ヌル。左頼む」
「ん。わかった」
 少女と男の言葉は最小限のものだ。彼ら彼女らはそれでいい。
 互いに狙いは翼の根本。刃が、そして死神の鎌めいた弾丸が……命中!
『ゲェエエエッ!!』
 悲鳴。匡はリロードしさらに弾丸をひとつ、ふたつ、みっつ。
 同じ傷を正確に狙ったワンホールショット。非貫通弾頭が体内に炸裂。
 一方ヌルは、半ばまで食い込んだ刃をさらにえぐりこみ……血が飛沫をあげた。
 文字に尽くせぬ悲鳴。大鴉は両翼をもがれ、無様に大地をのたうつ。
『ギイィイイッ!! ゲッ、ゲェ……ガァアアア……』
「もうしんでるんだから、いまにこだわる必要はないでしょう?
 ……いつまでも死に損なっていないで、骸の海にかえりなよ」
 悶えるジャックレイブンの巨体に、ヌルはさらにルーンソードを振り下ろす。
 さらに頭部へ匡の弾丸が命中。片目を貫き、腐った脳を粉砕した。
「ボーナスタイムの始まり――ってアナウンスはちと遅いか」
 ふたりの容赦の無さに肩をすくめつつ、ヴィクティムは匡を見やった。
「真(そ)の姿まで使うとは、珍しく気合入ってるじゃねえか。え?」
「別に。仕事だからな」
 いつも通りの声音で言ってから、やや間をおいて匡が言った。
「……"わからない"で終わりにはしたくない。それだけだよ」
「あ?」
「いや、なんでもない」
 匡は二度同じことを言おうとはしなかった。
 気恥ずかしい――というより、彼には意味がない気がしたのだ。
 きっとハッカーは、あの不思議な洞察力で何かを識っているだろうから。

 匡は、この人類事業に思うところはない。
 義憤も、
 使命感も、
 敵意も、
 希望も。
 仕事だからこなす。そこは結局、何も変わらない。
(――ただもしも、"あの時"に俺に選べる道があったなら)
 何もない荒野に、壊れることが分かっている道を敷設するように。
 殺すことで生き延び、心をすり減らして銃を握る以外に。
 選ぶ道があったなら。
 ……道を作り出すことのできる力が、機会が、可能性があったなら。
 己は、どうしていたのだろうか。
「……」
 わずかな思索に耽る匡の姿を、ヌルはガラスめいた瞳で見つめていた。
 彼女がもしも、彼の懊悩を識ったとて、言葉をかけることは出来なかろう。
 人形少女はヒトではない。己を兵器と規定しそうあるモノだ。
 ただ、それでも――ヒトを善く思い、守りたいと思う心はあった。
 あるいはそれは、何も感じられない匡よりはマシなのだろうか?
 ……余人には解らない。そもそも当人らにすら、断言は出来ないのだ。
 優劣をつけるようなことでも、あるまい。

「王道ってのはよ」
「ん?」
 出し抜けにヴィクティムは言った。
「手垢まみれでありきたりだが……それが一番いいから、そうなってんのさ」
「また台本の話か?」
「人生訓だよ。ありがたく聞いとけ」
「頭の片隅には入れておくよ」
 笑いもせずに匡は言った。
 ただ、彼はこうも思う。
 "わからない"のだとしても――それで終わりにしないならば。
 人々が、これから何度も道を繋ぎ、保ち、また敷き詰めるように。
 いつかきっと。それは別の可能性に、己にはありえないはずの結末に――。
 繋がることも、あるのかもしれないと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

わぁおグロテスク。ようやっと親玉のお出ましねぇ。
…にしても毒かぁ。あんまり長々相手したい手合いじゃないわねぇ。

ミッドナイトレースに○騎乗して突撃。○轢殺で機動戦かけるわぁ。
毒の羽はラグ(浄化)とエオロー(結界)で○毒耐性の○オーラ防御を展開して防御。突撃するときの軌道に気をつければ動きが封じられても多少はリカバリー効くでしょ。
刻むルーンはラグ・アンサズ・ユル。「浄化」の「聖言」によって「輪廻」へ還す。そんな状態でいつまでも現世にしがみついてないで、さっさと冥府に落ちなさいな。

あの道路、どこまで長持ちするかしらねぇ。
…まぁ、何度でも敷き直すんだけど。


深鳥・そと
ぜーったい倒して道完成させるんだから!

毒っていいよね!でもわたしも【毒を使う】から面倒なところも知ってるよ
口から、目から、肌から、傷口から……
空気中に毒をまいてもどうしたってその毒が相手に触れないといけないんだよねー
毒につよつよな敵だったらもっと大変!

わたしはまだ毒につよつよじゃないから
【オーラ防御】を張って屍鴉が集まってきたところに【全力魔法】

本体のボスが手薄になったら【空中浮遊】して
【怪力】をこめて地面に向かって【吹き飛ばす】よ


高橋・湊
やれやれ、トカゲの親玉が鳥とはね……いや、食物連鎖的には正しいのかなっと
流石に軽口を叩いている暇はないかな
こんな荒れ果てた世界とはいえ、汚いものをばら撒かれるのも気分が悪い
早々にご退場願いたいものだね

とはいえ、今の私の手札ではこれくらいが関の山なわけだが
戦車隊ならばあの羽根の毒は効果なし
となれば心配するのは遠隔操縦している私というわけだ
今更毒くらいじゃ死にはしないだろうが……動けなくなったら流石に操縦できないしね
戦車隊の殆どは空中に砲弾をばら撒き、空を飛べる猟兵たちの援護を

残りは私の護衛
私は岩陰か何か、上に対して遮蔽物となる物で身を隠しつつ、降ってきた羽根は護衛の戦車の砲撃で散らさせるよ



 翼をもがれた哀れで無様な屍鴉が、血だまりの中でのたうつ。
『ゲ……ゲ、ギ、ギギ……』
「死にかけでなお、汚い血をばらまくとは。まったく気分が悪いな」
 毒の血を溢れさせる瀕死のジャックレイブンを見て、高橋・湊が言った。
 彼の周囲にはすでに、不可視の戦車隊が展開し砲塔を屍鴉に向けている。
 ……まだ、終わりではない。
 この世界で生き、そして死に、けれども死にきれずに蘇った男は確信していた。
(ある意味では、私もあれと同じ死にぞこないだ――)
 デッドマンとしての在り方が、ヤツの敵意を感じ取っていたのだ。

『ゲ――ギャアアアアアッ!!』
 そして湊の予感は……というよりも確実な予測……は、実際当たっていた。
 ジャックレイブンが喉を引き裂くほどの悲鳴をあげれば、
 彼奴の体から溢れ出した血がぞわぞわと濁り、蠢き、新たな群れに変わる。
 なんとおぞましい風景か。戦車隊は即座に砲撃を開始!
「これは……毒の羽根か!」
 しかしジャックレイブンとその群れは、もはやなりふり構わない。
 血そのものを毒の羽根弾へと変え、己を削り取る勢いで放射したのだ。
 砲撃を相殺し、さらに己らの姿を覆い隠す弾幕として!
「慌てないで! 毒って強いけど、面倒なところもいっぱいあるんだから!」
 そんな彼の前に立ち、オーラ防御を展開した深鳥・そとが言った。
 多少なりとも毒を扱う羅刹として、長短を心得ているというわけか。
 血の弾幕をオーラで防ぎ、反撃の瞬間を伺う――だが弾幕はあまりに厚い。
「感謝するよ。私は遠隔操縦役なのでね――切り込み役は任せようか」
「うん! わたし、やっちゃうんだから!」
「はいはぁい、どいてどいてぇ? 一気に突っ切るわよぉ!」
 ガオオオオオオン、ギャリリリリリリッ!!
 ふたりの頭上を飛び越え、巨大なバイク型UFOが大地を削り着地した。
 乗り手のティオレンシア・シーディアは、そのまま血の嵐のなかへと突撃する。
 巻き上がる粉塵は煙幕めいて撤退する湊の姿を覆い隠し、
 そとは一瞬で状況判断を行い、後部座席にタンデムして共に突撃したのだ。
「しつれーしますっ!」
「ご乗車ありがとうございます、ってとこかしらぁ? ――行くわよ」
 BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!!
 そとがオーラ防御を、ティオレンシアが銃撃によって羽根弾を迎撃。
 弾丸に刻み込まれたルーンの魔力がオーラを強化し、毒素をはねのけた。
 その奥からさらに飛び出してきたのは、自爆特攻を厭わぬ群れの突撃だ!
「――残念だが、その戦術は想定済みだ」
 安全圏に離脱した湊が、遠く後方で言った。
 戦車隊の砲塔は上空を向き、急速落下する群れを砲撃で迎え撃つ。
 DOOOOOM!! 大気を震わせる轟音と爆炎、真正面から砲弾を受け群れは爆散!
 屍肉と血と羽根と毒が飛び散る地獄めいた荒野を、女ふたりが駆け抜ける。
 無論、狙う先は一つ――血で翼を形成し飛ぼうとしているジャックレイブンだ!
『ゲェエエエエーッ!!』
「のがさないよ! ぜーったい倒して、道完成させるんだから!」
「こっちも長々相手したい手合いじゃないのよねぇ、死んどきなさぁい?」
 BLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!! "浄化"の"聖言"を刻み込まれた弾丸が矢の如く奔った。
 急所を狙い定めたティオレンシアの片手マズルフラッシュ。
 UFOバイクの速度を乗算した弾丸は、かりそめの血の翼をぶちまけさせ、
 無理矢理に飛び立とうとしていたジャックレイブンの姿勢を崩させる。
 ここだ。そとはタンデムシートを蹴り、それこそ砲弾めいて斜めに跳んだ。
 空中で姿勢を崩したジャックレイブンの腐った眼と、少女の視線が噛み合う。

 そこでそとは、言葉知らぬ屍鴉の悪意を識ったような気がした。
 人類への敵意。殺意。悪意。害意。
 あらゆる文明の存在を赦さず、すべて滅ぼそうとするオブリビオンの悪意を。
「……もう、あなたの居場所はどこにもないよ。きえてっ!」
 羅刹の少女は逡巡を持たぬ。ただ、死にぞこないを骸の海へ叩き返すべし。
 満身の怪力を片腕に籠め、オーラを防御から攻撃へと転化。
 この一撃。
 ただ一撃にすべてを込める。
 防御を厭わぬ捨て身の突撃――そして、全身を使ったハンマーめいた振り下ろし!

 SMAAAAAAAAAAAASH!!
『ゲェエエエエ……!!』
 脳天を完全に砕かれたジャックレイブンは、そのまま全身が砕けた。
 飛び散った血と脳漿は、すべてルーンの魔力が洗い流し、消していく。
 空に展開した群れも、苦しみながら砲撃に狩られ、やがて霧散した。
「……このレベルの群れはもうそうそういないでしょうけどぉ、
 これから先、ここに道路が出来てからもこういうことがありえるのよねぇ」
 キキッ、とドリフト停車したティオレンシアが、消えゆく血の残滓を見て呟いた。
「うん、そうかもね。……でも、だいじょーぶだよ!」
 着地しわずかに瞑目していたそとは、振り返りにこりと笑った。
「あら、なにか確信でもあるのかしらぁ?」
「だってだーって、わたしたちがこれだけ頑張ったんだもん!
 この世界のひとたちだって、きっときーっとがんばってくれる! ……はず!」
 幼い少女らしい無垢で前向きな物言いに、ティオレンシアは苦笑した。
(――そうであればいい……いや、この場合は違うか)
 風に乗ってきた少女の声に、立ち上がった湊はこころの中で思った。
 空を見上げる。
 黒が消えて失せた空は、相変わらず忌々しいほどに蒼く澄み渡っていた。
「そうであってほしい、だな。――死にぞこないの私に出来ることはあまりないが。
 まだ生きている人々なら、きっと出来るだろうさ……こんな荒れ果てた世界でも」
 何度でも道を繋、そしてやがて人々の営みを復活させる。
 その第一歩は、猟兵たちの手によってついに動き出したのだ。
 何度でも。
 人は必ず、どんな障害をも突破(ブレイクスルー)してみせるだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年02月11日


挿絵イラスト