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時期外れの盆踊り

作者：虎河豚天

●恐るべき盆踊り
　うさぎたちは踊っていた。
　盆踊りを踊っていた。
　ずりずり、と巨大木槌を引きずりながら踊っていた。
　傍目から見れば可愛いだけの光景だ。
　うさぎたちは踊っていた。
　盆踊りを踊っていた。
　……何の儀式なんだこれ。
　誰かの疑問も知ったこっちゃねえよとうさぎたちは踊っていた。
　盆踊りを……踊っていた。

●時期外れ
「イエス、イェーガー、新たなる予知がなされました」
　アリシエル・フィフスガーディ（五天の守護機・f09139）はグリモアベースに集まった猟兵たちを無機質に見回して告げた。
「今回の予知はＵＤＣアースです」
　すわ邪神か、と身構えた猟兵たちを見てからアリシエル・フィフスガーディは告げる。
「うさぎが盆踊りを踊っています」
　一瞬時が静止した。何言ってんだこのポンコツと言う眼差しが集まる。
　その眼差しを受けてもなお、このポンコツは無機質なままであった。
「ゴーストタウンと化した住宅地の空き家において、うさぎたちが盆踊りを踊っているそうです」
　再び告げられた言葉。はて、おかしい要素しかないぞぉ？
　アリシエル・フィフスガーディに全く意味がわからんぞ、と告げても彼女はなお無機質なままであった。
「このうさぎたちは一応オブリビオンだと推定されます」
　だろうな、盆踊りするようなうさぎが普通のうさぎなら世界が無茶苦茶になるわ。
　猟兵たちは頷く。むしろオブリビオンであれ、と言う願望すらある。
「うさぎたちが盆踊りしている理由はわかりませんが、多分邪神復活の儀式なのでしょう」
　盆踊りで邪神が復活したら日本はすでに沈没してないか？
　そんな疑問げな視線もさらりとクールに受け流す。
「そうそうに見つけて殲滅してしまってください」
　淡々と無機質に語りながら、アリシエル・フィフスガーディは猟兵たちを見やる。
「イェーガーたちならば特にさしたる問題もなく殲滅可能な案件と判断します」
　そう告げながら彼女たちは君たちに向き直り、無機質な眼差しを送る。
「イェーガーたちならば問題なくこの予知の打破を完遂出来ると信じています。健闘と武運を祈ります」

第1章 冒険 『ゴーストタウンに潜む影』

POW   :    少しでも怪しいと思った家に片っ端から侵入して探す SPD   :    地域中歩き回って、予知などの情報に合致する家に目星をつける WIZ   :    ここまでの情報から推理したり、周辺施設の人などに話を聞く 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●警察官召喚
「こういう時に、あなたたちって本当に便利ね。同行しなさい」
　ウイシア・ジンジャーエール（探索者・f09322）は召喚した警察官を伴ってゴーストタウンを徘徊していた。
　国家権力があるが故にゴリ押しが出来ると言うもの。
　ウサギは可愛いし、もふもふしているから大好きなウイシア・ジンジャーエール。
　だがオブリビオンならば慈悲はない。死すべし。
　この苛烈さは探索方法にも現れると言うもの。
　虱潰しの住居探索である。なあに、そばには警察官がいるから法的には問題ない。
　ないと言ったらないのである。例えそれが召喚したものであっても。
　むしろ何故召喚で警察官がやってくるのか。それは謎である。
　ユーベルコードなのだから仕方ない。
「さて……と」
　そんな彼女が空き家に何をしているのか。
　ネズミ取りである。例の猫と鼠でよくあるアレである。
　チーズを仕掛ける古典的なもの。古典的であっても効果があればそれでよい。
　ばちん、と言う音が響きぢゅぅっ、と野太い声が響いた。
「ずいぶんと丸々としたのが引っかかったわね……」
　彼女の言葉の通り、丸々としてそしてふてぶてしい鼠が引っかかった。
「で、あなた、ウサギは見てないかしら？」
「ウサギかい、お嬢ちゃん。そいつらならば」
　声もダンディであった。やだ、イケボ。だがネズミである。
　ネズミたちの目撃証言からウサギどもの居場所の特定を試みよう。
「待ってなさい、ウサギさん」
　ウサギさん死すべし。慈悲はない。

●記憶死すべし。慈悲はない。
　春霞・遙（子供のお医者さん・f09880）は自らの立場を利用して情報を収集していた。
　ウサギさんが盆踊りをしているのだ、そんな情報ならすぐに集まろう。
　幻想的で、夢のある光景だ。子供たちならば大喜びだろう。
「踊るうさぎの噂、聞いたことないですか？」
　にこにこ、と笑いながら雑談混じりに問いかけていく。
　ぽつぽつ、と関係ない噂、関係ある噂と情報を集めていく。
　確信めいた噂を知るご老人がいた。
　話を聞いて記憶消去銃！！　ピカー！！　記憶死すべし慈悲はない。
　危ないからね、仕方ないね。
　確信めいた噂を知る御婦人がいた。
　話を聞いて記憶消去銃！！　ピカー！！　記憶死すべし慈悲はない。
　相手はオブリビオンだからね、仕方ないね。
　確信めいた噂を知るお嬢さんがいた。
　話を聞いて記憶消去銃！！　ピカー！！　記憶死すべし慈悲はない。
　相手は邪神召喚の儀式をしているのだから、それもまた致し方なし。
　ましてやこの世界、こういうものは表立っては知られてはいないのだから。
　しかしこの小道具便利すぎやしませんかね？
「これがオブリビオン絡みじゃなければ夢があるんですけどね」
　可愛いウサギたちがもふもふしながら盆踊り。
　それはユニークで幻想的で可愛らしい光景なのに。

●うさぎは何見て跳ねる
　盆踊り、それは死者の供養のために行うもの。
　なのにウサギたちは木槌を持って跳ねていた。
　……その木槌、必要？　リーファ・レイウォール（Scarlet Crimson・f06465）は思った。
　考えれば考える程意味がわからなくなる。
　何故か。餅つきと思えば木槌と言うか杵は必要だろう。
　そして、そこから連想されるものと言えば月見である。
　月見は秋である。盆踊りは夏である。餅つきは正月である。
　春が揃えばコンプリートだな！！　時期はずれにも程がある。
　そんなわけでゴーストタウンに関してリーファ・レイウォールは情報を集めていく。
　ゴーストタウンになった理由とは一体。
　激辛料理を頬張りつつ、リーファ・レイウォールは情報を集め、思考を巡らせる。
　なんでも大規模な集団行方不明事件があったのだとか。
　それを怖れて人がいなくなり、今では空き家だらけなのだとか。
　大規模集団行方不明事件、この世界でならば間違いなく邪神絡みであろう。
　しかし、今はそれは関係ない。関係あるのはウサギである。
「……唄の通り月見て跳ねてるだけで、方法を間違ってたりして？」
　それならば愛らしいただのウサギであった。
　しかし彼ら（？）はオブリビオン、慈悲はない。死すべし。
　リーファ・レイウォールは情報を集め、ウサギたちの場所を突き止めようと奔走した。
　うさぎ、うさぎ何見て跳ねる。十五夜お月さま見て跳ねる。
　……だから時期が外れていると！！

●一緒に踊りたかった
　霧亡・ネリネ（リンガリングミストレス・f00213）はゴーストタウンを歩いていた。
　盆踊りをするならば、人数も場所もいるだろう？
　踊れるような、広くて片付いている空き家がきっとあるだろう？
　学校の体育館や、公民館とかならば盆踊りもできるだろう。
　もしかしたら運動場とかそういうところを利用しているかもしれない？
　そのような発想で、霧亡・ネリネはゴーストタウンを練り歩く。
　暗い所？　やだー！！　近づきたくありません。
　そんなわけで明るい所を探して幾星霜。
　うさぎさーん、うさぎさーん、話し合おうじゃなーいかー。
　怪しい儀式で踊ってるのでなければうさぎさんと一緒に踊りたかった……。
　音楽を紡ぎ、奏でる事こそが存在意義たる霧亡・ネリネにとってはうさぎさんとのダンスはすごく、すごく、すごーくしたかった。
　されど相手はオブリビオン。盆踊りしてようがフォークダンスしてようがオブリビオンなのである。
　すごく、すごく、すごーく残念なのだが一緒に踊る事はできない。
「……残念だ……」
　踊りたかったが仕方ない。すごく心惜しいが仕方ない。
　霧亡・ネリネは名残惜しさを押し込めてうさぎさんを探す。
　うさぎさーんうさぎさーん、出ておいてーでなーいと……。
　……これは黒い炭のおばけの唄ではないか？
「うさぎさーん、うさぎさーん」
　霧亡・ネリネは唄を口ずさみながら行く。うさぎさんどーこでーすかー？

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

第2章 集団戦 『月の兎』

POW   :    満月 【透明化】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【殺戮捕食態】に変化させ、殺傷力を増す。 SPD   :    新月 自身と自身の装備、【騎乗している浮遊岩石】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。 WIZ   :    朔望 【油断や庇護欲】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【仲間】から、高命中力の【装備武器による一撃】を飛ばす。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●ウサギの盆踊りをする攻撃
　果たして猟兵達はウサギさんを見つけ出すことに成功した。
　それは放棄された豪邸、ダンスホールがあるところであった。
　君たちが見たのは無数のウサギさん。うわ、可愛い。もふもふ。
　しかし、忘れてはならない。彼ら（？）はオブリビオンなのである。
　彼ら（？）は君たちを見つけるとうさうさしながら君たちを取り囲む。
　そしてその木槌を大きく掲げ、君たちを中心に盆踊りをし始めた。
　だから、時期外れだと言うのに。
　踊って踊って踊りまくって、気が済んだのか。
　ぶんぶん木槌を振って殺到してくるのである。
　結局殴るんかーい、猟兵たちの心は一つになった。








●殺到するうさぎたち
　豪邸のダンスホール。
　猟兵たちは囲まれていた。
　うさぎたちは盆踊りを踊っていた。
　猟兵たちを囲みながら踊っていた。
　この状況から一足先に抜け出したのはウイシア・ジンジャーエール（探索者・f09322）であった。
　一足先に翼を広げて天井に滞空。
　見上げるうさぎたち。
「ねえ、盆踊りは儀式か何か？」
　問いかければうさぎたちはおもむろに……月っぽい浮遊岩石を持ち上げて投げてくるではないか。
「ちょ、まって、やめて」
　花の盾を広げ、それを防ぐ。しかし、ぽいぽいしまくるうさぎたち。
「……ここまで目の当たりにしても訳のわからない予知もそうないわよね」
　ぽいぽいされる岩石、取り囲まれた状況を見てつぶやくはリーファ・レイウォール（Scarlet Crimson・f06465）。
　おもむろに魔力をのせて現出するは紫蒼のほむらが舞い踊る炎の吹雪。
　めらめらと燃えさかるそれが命中し、尻尾に火がついてわーぎゃー走り回るうさぎ多数。
「そういえば、ウサギのお肉って美味しいのよね？」
　ひぃ、こいつ食うつもりだ。待ってお客さん、彼らはオブリビオン。食べられるかどうかはわからないわ！！
　そんな様子を傍らに春霞・遙（子供のお医者さん・f09880）はうさぎをもふもふしていた。
　もふもふ、もふもふ。ふふふ、可愛いねー、写真撮ろうぜーと写真におさめる。
　刹那、飛びかかったうさぎが木槌を振り下ろす。
　だが、これはすべて春霞・遙の策略。この海のウサギの目をもってしても見抜けなんだ。
　ひょい、と避けられ、？とばかりに首を傾げたウサギに殺到するのは触手の群れ。
　うねうねくねくね触手の群れ。むしゃり。ばくん、もぐもぐもぐ。げふー。
「ああ！！　私が食べようと思ってたのに！？」
　リーファ・レイウォールが叫んだ。待って。だからそれ人が食べられるかわからない奴。
　吐き出しなさいよ、と触手をぐわし、ぶんがぶんが。
　無理でっせ姐さんとばかりに首を振る触手。
　もふもふしてる春霞・遙を羨ましそうに見ていたのは霧亡・ネリネ（リンガリングミストレス・f00213）であった。
「……もふもふいいな……羨ましいぞ」
　名残惜しさ満点である。霧亡・ネリネは純粋にもふりたく、そして愛でたく思っていた。
　食欲の具現であるリーファ・レイウォールとは別の目線で鋭く見据えていた。
「名残惜しいが……オブリビオンなら仕方ない」
　ホルン"朝顔"を構え吹き鳴らす。
　なんとあら不思議、電撃びりびり猫さんが飛び出す。
　こっちも可愛いぞ、もふもふで可愛いぞ！！
　もふもふともふもふが絡み合い、静電気が迸る。びりびりびりびり。
　感電して動けなくなってしまったウサギさん。
「……可愛い」
　もふもふともふもふが絡み合う様は可愛い。思わず霧亡・ネリネはつぶやく。
　お嬢さん、実際はそんな生易しい状況ではない。
「お肉は加熱が基本よね」
　そこを横合いから吹き荒れる紫焔。こんがり。
「ああ！？」
　霧亡・ネリネが悲惨な状況に思わず嘆いた。
　だがリーファ・レイウォールには関係なかった。
　お肉食べられないだろうけど加熱は基本だからである。
「散って！」
　ぷすぷすと煙をあげる所に白木蓮の花びらが突き刺さりとどめを差していく。
「ああー！？」
　霧亡・ネリネが悲惨な状況にさらに悲鳴をあげた。
　ウサギさんたちは次々と葬られていき、あたりには静けさが戻る。
「…………ところで邪神は？」
　春霞・遙が呟くと同時、ゴゴゴゴゴゴと場が鳴動する。
　そう、この儀式は達成されてしまったのだ、と言わんばかりに。
　場に紫紺の光が満ちて、魔法陣が形成されていく。
　光の粒子が立ち上り、影が形つくられていく。
　ウサギたちの盆踊りパワー、そして、ウサギたちの血肉を犠牲に。
　今ここに邪神が顕現しようと言うのだ……！！
「盆踊りの意味は一体」
　それを知るのはウサギたちのみであったが彼らはすでにもの言わぬもふもふとなっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

第3章 ボス戦 『邪神マグロ』

POW   :    大地を穿てマグロ 単純で重い【突進 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。 SPD   :    回遊魚の本気 【マグロ本気で泳ぎますモード 】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。 WIZ   :    突撃する同胞達 レベル×5体の、小型の戦闘用【空を泳ぐマグロ 】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●邪神降臨
「我こそは邪神……」
　そして顕現するは悪しき邪神、その姿が現出する。
　現れたるは……マグロ。
「我こそは邪神マーグロである！！」
　何故ウサギたちからこんなマグロが出てくるのか。
　わけがわからない。盆踊りの意味とは一体。
　何故マグロなのか。わからない。これがわからない。
「よくも我が同胞たちをけちょんけちょんにしてくれたな」
　ウサギ同胞だったの！？　どういう繋がりで？！
「よって貴様たちに我が直々に沙汰を下す……！！」
　ちょっと話を聞いてください、君とウサギの関係は何？
「判決！！　死刑！！」
　話を聞いてー！？　そんな猟兵たちの無言の叫びを後に、マグロは突撃してきた。








●マグロとウサギの因果関係の証明式に関して
「……？」
　ウイシア・ジンジャーエール（探索者・f09322）は首を傾げていた。
　とりあえず撮影する。そりゃあマグロが空を泳げば撮影の一つや二つするだろう？
「どうした、このマーグロ様を怖れたか！！」
　マグロが叫ぶ。いいえ。怖れていません。意味がわからないだけです。
　びたんびたんする巨体を見据える。
「……びったんびったんしてる……」
　マグロですからびたんびたんぐらいするってもんですよ、ええ。回遊魚ですから。
「……ウサギとツナの関係性とは一体……」
　春霞・遙（子供のお医者さん・f09880）も悩んでいた。
　ウサギたちは何故盆踊りをしていたのか、何故襲いかかってきたのか。
　いや、襲いかかってきたのはオブリビオンだからである。
　そして、召喚されたのがマグロ。何故マグロなのか？
　因果関係の証明式を提示して頂きたく思う。
「朋弥さん、手伝って」
　黒き狼が咆哮し、そして瞬時にかき消える。
　ウイシア・ジンジャーエールの朋弥さんである。彼は見えない黒き狼である。
　がぶりっちょ。びたんびたん。
「成程……」
　リーファ・レイウォール（Scarlet Crimson・f06465）はその様を見て察した。
　今回の連中は訳も意味もわからない。わからないが分かる事は一つ。
「同胞って言うのは美味しいって意味ね？」
　マグロもウサギも美味しい。さらに今回の月ウサギたちはおもちもつく。
　おもちもまた美味しいものである。なればきっと美味しい物繋がりに違いない。
「我らを飯と扱うか小娘！！」
「それ以外に思いつかないわよ」
　紫青の焔が黒き狼に噛みつかれているマグロに降り注ぐ。
　こんがりめらめら。マグロのタタキにしてくれる。
「うわーん、ウサギさぁーん！！　そして唐突のマグロさぁーん！！」
　霧亡・ネリネ（リンガリングミストレス・f00213）は嘆く。
　可愛いもふもふさんがこんがりウサギになったのを嘆いたのである。
　そして、やはり、霧亡・ネリネにもマグロな理由は分かりかねた。
　この場にいる人間のほとんどがマグロとウサギの関係性を見いだせていない。
　唯一、リーファ・レイウォールのみが美味しいもの繋がりと察していた。
　だがしかし、このカオスな状況下、美味しいもの繋がりすら本当にそうなのか怪しい。
「唐突のマグロアタック！！」
　マグロが叫び、大量のマグロを放つが、霧亡・ネリネもそれに対抗して子猫のポルカを吹き鳴らす。
　電撃を纏った猫たちが次々とマグロに飛びかかっていく。いつにも増して殺意ましましの様子。
　……魚か？！　魚だからか？！　はい、そうです。猫はお魚大好き。
「ぬおおおおおお、我が眷属ぅーッ！？」
　マグロが叫ぶ。眷属が電撃猫さんにむしゃむしゃされていく様を見て叫ぶ。
　それを見て本体、渾身の突進。だがその速度は遅かった。
　よくマグロ８０ｋｍなどと言われるが実際の彼らの巡航速度は時速２ｋｍ程度でしかないのだ。これ魚豆知識。
　だが、あの巨体でえいやっさーとぶつかってくるのだからその威力はお察しください。
「うわわわ！？」
　思わず春霞・遙が木の杖をバットのように振りかぶって殴打する。
　メゴシャ、と良い音が響き、巨体がかっ飛ぶ。これはホームランルートですね。
　ウイシア・ジンジャーエールの方に吹っ飛ぶも、おもむろに彼女は花の盾を広げ殴打。
　地面に叩き落とされびったんびったんするマグロ目掛けて霧亡・ネリネの放った子猫のポルカが殺到する。
　電撃びりびり猫さんびーりびり。むしろ食いついてる。ツナだけに。
「丁寧にこんがりと焼きあげてあげるわ」
　マグロに逆巻くように襲いかかる紫焔のカマイタチ。
　こんがりと焼ける匂いを漂わせ、遂に絶命する邪神マグロ・マーグロ。
「…………美味しそうだけど、オブリビオンって食べられるのかな……体に悪そうだけど……」
　食べないでください。こいつはマグロと言えど邪神です。邪神分類なのです。
　こうして猟兵たちは遂に邪神マグロを葬り去ることに成功したのである。
　だが、これが第二、第三のマグロとは思えない……またいずれマグロは現れるであろう。
　そんなことを考えながら帰り道、マグロの漬け丼と仔ウサギのリゾットを食べながら猟兵たちは思うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年01月16日 宿敵 『邪神マグロ』 を撃破！