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この白いのは豆腐?

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●ルール分からない勢
 躯の海から奴が来る。キマイラフューチャーにおいて、既に何度か猟兵達と戦いを繰り返している、黒い大鎌を手にした『怪人』、パスト・フォーサイス。今回、彼は新たな部下と契約を結んでいた。
「行くぞ、雀牌戦闘員ども! ゲームの時間だ!!」
 パストの声に応え、スーツ姿の戦闘員達が雄叫びを上げて、昼下がりの公園に走り出した。
「うおおお! 七対子! 二盃口!! 四暗刻!!!」
「うわああ頭の四角い人達が襲ってくる~」
「何か絵合わせみたいできれい~」
 凄まじい勢いで隊列を変えながら迫ってくる一団に、キマイラフューチャーの住人達は悲痛な叫びを上げながら動画とかを撮り始めた。
 SNSにアップロード。わーい、♥がたくさんついたよ。
「ふふふ……恐ろしい部下達だ。しかしそろそろ猟兵達も現れる頃!」
 部下たちの働きに満足気に頷いた後、パストは彼等に警戒を促す。
「東西南北と中は俺様の周りを固めろ! 白いお前は……なにお前、かまぼこ? まぁいいやとにかくサポートに回れ!」
「ボス!」
「なんだ!?」
「先程から彼等にだけ指示がありません!」
「えっ」
「彼等にも指示を! 役割をやってください!!」
「……いや、でも、なぁ……?」
 言い募る部下達に、歯切れ悪く言いつつ、パストが目を逸らす。
 別に彼とて仲間外れを作りたいわけではないのだ。やむを得ない事情がそこにはあって。

 ……ただ、そう。『發』って何て読むの?

●言ったもの勝ち
「そう、今回の行き先はキマイラフューチャーだよ」
 グリモアベースを訪れた猟兵達に、黒いフードを被った男、オブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)が説明を始める。今回予知されたのは、パスト・フォーサイス、そして雀牌戦闘員による侵攻だ。
 怪人一人とやたらに数が多い戦闘員が、昼下がりの公園を恐怖のどん底に叩き込む、と彼は言う。
「放っておくわけにはいかないでしょう? 君達の手で、あの世界の住人達を救ってあげて欲しい」
 へらっと笑いながら、飽くまで内容だけは切実な言葉を並べる。
 説明によれば難しい事はない、ただ並み居る敵を蹴散らしていくだけの戦闘、ということになるだろうか。
「それで、この戦闘員達なんだけど、どうも連携して戦うのが得意らしいんだ」
 チームアップ前提の戦いをしてくるというこの戦闘員達は、組んだメンバーによって戦闘力が変わるらしい。なんでも、『役の高さ』に比例するのだとか。
「まーじゃんって知ってる? それの役に準拠するらしいんだけど……ごめんねー僕よくわからなくってさあ」
 人間として動き始めて日の浅いヤドリガミは、気まずそうにそう言って頬を掻いた。
 例えば役を崩すように動ければ、重要なメンバーから優先して倒せば、戦闘を有利に進める事ができるだろう。ルールに詳しい者はそれを活かすよう工夫を凝らすのも良い。
「ただ何て言うか、この戦闘員達は根っからの下っ端気質みたいでね、ある程度強く言えば押し切れるかもよ」
 そう、例えば、「同じのが四つ揃ったんだから消えろ」とか。
 要するに強引な『俺ルール』を押し付けるという手もある。
「戦い方は任せるよ。ただキマイラフューチャーの住人達は君達の戦いを見ているからね、かっこよく戦えると点数が高いよ」
 点数。
 ……何の?
「そりゃもう、君達の評価だよ。活躍次第では、いーっぱいサインをねだられちゃうかもね」
 僕も貰いに行こうかなぁ、ふふふ。そんな笑みを浮かべてから、オブシダンはテレポートの準備にかかった。


つじ
 どうも、つじです。
 今回はとにかく敵がたくさん出てくるので、片っ端から千切っては投げていく感じのシナリオになる予定です。
 かっこよくユーベルコードをかましても良いですし、頭脳戦を挑むのも強引にいくのも自由です。あなたらしい戦い方で挑んでください。


 MSと戦闘員達は麻雀のルールを把握しています。パストとキマイラフューチャー住人の大半、それからオブシダンはルールがいまいちわかっていません。


 第一章は麻雀牌型戦闘員との戦闘。
 第二章はオブリビオン『パスト・フォーサイス』と戦闘。彼は戦闘員を追加で呼び出したりしますので、麻雀牌型戦闘員も続投になります。
 そして第三章は救われた、そして途中から戦いを見ていたキマイラフューチャー住民多数を相手にしたサイン会になります。

 三章のみ、お声掛けがあればオブシダン・ソードも遊びに行きます。
 サインを貰う側になりたいようです。

 以上です。お気軽に、ご参加ください。
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第1章 集団戦 『雀牌戦闘員』

POW   :    国士無双
予め【異なる顔の戦闘員が14人揃う】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    三元牌
【3人同時攻撃】による素早い一撃を放つ。また、【鳴く】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    立直
【相手の行動を読み、作戦通りの攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【狙いすました一発】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アーサー・ツヴァイク
※協力アドリブ大歓迎
※麻雀知らない勢

また変な頭の奴が出てきやがったな!
向こうが戦闘員として来るなら、俺もヒーローとして迎え撃つ! ウェポン・アーカイブで片手剣を召喚して、敵陣に突撃だぜ!

…何? 14人揃わないと戦えないって?
バカ野郎! 戦場で選り好みする奴がいるかよ!
どんな場所でも、どんな状況でも果敢にヒーローに挑む! それが戦闘員ってもんだろうが!

…ああもう、ほらそこの奴! お前らがいれば数揃うだろ!?
…同じ頭だからダメ? うるせえ! もう14人いるからいいだろ!? ほら、行くぞ!

まあ、こんな感じで相手の力を出させないように戦うぜ!


三鷹・一成
鳴きの早さで勝負だぁ?
それならこっちは宇宙最速の麻雀を見せてやるっつーの

準備は簡単
白を1枚持ってって、『破片拾い』で14枚にコピー
これこそが天地創世とも称される究極の役よ

おら控えおろう控えおろう
鳴いて鳴いての安手が楯突こうなんざ、138億年遅いんだよ

とまぁ、テキトーに口先であしらいつつ、それでも向かってくるなら仕方ない
相手が白や筒子なら、銃で顔面の穴一つ増やして面子を崩せばどうとでもなるだろ(言いくるめ+クイックドロウ+スナイパー)

え、もしそれ以外の牌が来たら?

そら逃げの一択よ
なにも戦ってるのは俺だけじゃないし?

大丈夫大丈夫、ちゃんと後ろから援護はするから
適材適所適材適所(逃げ足+援護射撃)


セツナ・クラルス
娯楽の一つだということは知っているよ
同じ形や連番を揃えたりすると
役が成立するんだったかな
確か役名はユーリンチーとかショーロンポーとか…
うん?何か違うような気がするな…
(麻雀はPL・PC共に全くわかりません)

相手の出方を窺ってから対応する方が得意なのだが
ぼんやりしている間に徒党を組まれては厄介だ
今回は此方から積極的に攻めよう
それに、ゼロが攻撃手段がないと不安のはだと泣くからね
今回はきちんと準備したよ
まだ不馴れな様子で大鎌を素振り

牌を確認しながら
鎌の柄で突いたり、なぎ払ったりしつつ役が揃うのを阻害
麻雀はまだ不案内だが
個性豊かな彼らの顔(?)を見ているのは楽しいね

…ところで
「發」とは何と読むのかな?



●牌との闘い
 キマイラフューチャーを覆う闇を払うべく、夜明けの光が公園に差し込む。
 真昼間の麗らかな日差しを背に、現れたのはアーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)だ。
「また変な頭の奴が出てきやがったな! 【Select…CALL ACTION!】今日はこいつで相手してやるぜ!」
 眩い輝きを放つ片手剣を召喚、それを手に、彼は先頭を切って敵陣に走る。
「うわっ、何かもう来たぞ!」
「落ち着け、一旦引いて隊列を整えろ!」
「バカ野郎! 戦場で選り好みする奴がいるかよ!」
 バタついている敵達を一喝し、突撃したアーサーは剣を一閃、前衛に立つ二体を同時に切り裂いた。
「どんな場所でも、どんな状況でも果敢にヒーローに挑む! それが戦闘員ってもんだろうが!」
 戦闘員の在り方を説きながら攻める彼に、若干おぼつかない足取りでセツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)が続く。
「まぁ、そんなに責めないでやってくれないか。流儀はそれぞれにあるんだよ」
 窘めるような言葉と共に、大鎌が揺れる。いつもはカウンター重視、相手の出方を窺う戦法を取る彼だが、今回はまた事情が違うのだ。
「徒党を組むと強化されるんだろう? ならばそれを狙うのは自然なことさ」
「しょうがねぇなぁ……ああもう、ほらそこの奴! お前らがいれば数揃うだろ!? さっさと来い!」
 焦れたようなアーサーの言葉に困ったような笑みを浮かべながら、セツナは巨大な刃で一体を餌食にする。
「まあ、待ってあげる義理もないんだがね」
「それじゃちっとも揃わないんだが……」
「それでいいと思うんだがね、私は」
 張り合いの無さに憤るアーサーと、慣れぬ大鎌の相手に丁度良いと刃を振るうセツナ。だが主張は違えど狙いは同じ、二人は体勢の整い切らない敵陣を深くへと切り込んでいった。
「おっと、君が混ざるのは良くない」
 絵合わせの要領で相手を観察し、柄で突くようにして一体を押し出す。そこをすかさずアーサーの剣が追い打ちをかけ、仕留める。
「法則がわかるのか?」
「いや、勘だよ。君はいつも通りやってくれたまえ、私が合わせてみる」
「わかったよ、まぁこんな徒党を組まなきゃやる気が出ない奴等なんざ、目じゃないけどな!」
 鋭い片手剣の軌跡に、ゆらりと揺れる大鎌の刃が続いた。
 14人特定の者が揃わなければ真価を発揮しない、そこを突いた彼等の戦い方は確かに有効だったが、やがて対抗する者が現れる。
「おっと……?」
 振るわれた鎌を後方に避けたところで、別の一体が脇から蹴りを放つ、さらに裏からもう一人。素早い連撃にセツナが一時押され始める。
「素早い、なかなかやるね。……何て読むのか分からないが」
 前に出た三人組は緑の文字、『發』の銘を刻まれた、所謂三元牌だ。さらにアクロバティックな振りで現れた四人目が、セツナを跳び越えアーサーへと襲い掛かる!
「カン!」
 ルールが分からない人には完全に謎の呪文と共に、戦闘員四人は見事な連携で二人を翻弄し始めた。
「なんだ、14人揃わなくても良いのか?」
「役が成立すれば何でも良いのかも知れないね」
 ならばどこから切り崩すか、そう模索する二人に、三鷹・一成(ギャンブルフィーバー・f06451)が援護の手を伸ばす。
「早上がりは良いが、鳴いて鳴いての安手なんざ怖くねぇな」
 動きは速いが一撃は軽い、そんな敵の手を揶揄して、彼は勝負師の笑みを浮かべた。
「ほう、ならどうするのかね」
「宇宙最速の麻雀を見せてやるんだよ……!」
 セツナの問いに答え、掌に握り込んでいた『白』の牌を、盤面へと叩き付ける。発動するはユーベルコード、『破片拾い』。瞬時に生じた複製品が13枚、綺麗に一列に並び、面を表にぱたりと倒れた。
「何だと、それは――!?」
「――これこそが、天地創世とも称される究極の役よ」
 衝撃の一手に雀牌戦闘員達がどよめく。気圧されるように、一歩下がって――。
「ボス、どうしましょう敵う気がしません!!」
「いや普通に麻雀やってるわけじゃねーから! うろたえるな!!」
 敵後方からのパストの声に、一成は速攻で踵を返した。
「あー、やっぱダメかね」
 押し切れそうになったが、惜しい。ちなみに普通に麻雀やってたらこんな役は出てこないぞ気を付けろ。
「……で、どうすんだよ?」
「大丈夫大丈夫、ちゃんと後ろから援護はするから」
 言ってる傍から一成の拳銃が火を噴いた。
「残念、お前は今日から六筒じゃなくて七筒な」
 敵の一体に風穴で模様を増やしてやりながら、彼は軽いステップで二人の後方に退いた。
 適材適所、適材適所。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アメリア・イアハッター
「役とか文字の読み方はわからなくても、私でもわかることがあるわ
それは…役は表になって初めて完成するということ!
つまり裏から攻撃されたら無力も無力
貴方達全部、タダの板かまぼこよ!」
と自信満々の表情で敵に言い切る

その直後優しい笑顔を見せて
「安心して。裏を見せない、いい手があるわ。ほら、卓上と同じよ。表を上にして、仰向けに寝ればいいのよ」

敵が仰向けに寝たらその上を【Air Heart】で無慈悲に轢いていきます
仰向けにならない敵がいたら積極的に裏をとろうと地や空を動き回り、挑発して翻弄している間に味方に倒して貰う
「裏を見せたら貴方はかまぼこ。ただのかまぼこ…!」
言い続けて刷り込んでみる

共闘アドリブ歓迎


キアン・ウロパラクト
なんだこいつら、豆腐怪人か…?
それにしちゃ変な模様みたいなの付いてるが、落書きでもされたのか。
それにしちゃ数体だけ何も書いてない奴がいて逆に気になるね、
この白いのから狙ってみるかな。
あー、とりあえず片っ端からテーブルナイフで刺して黒焦げにしていくよ。
焦げちまえばみんな仲良く同じ色だし、
柄が分からなけりゃ役?とやらも判別できないだろ。

…しかしホントに豆腐じゃないのかい?焼き豆腐でもなく?
こんだけいたらこっそり齧ってもバレないだろうし、
醤油とかかけつつ隅っこでガリッとかバキッとかいわせてるよ。


アキカ・シュテルア
まーじゃん……と言うのです?
私も詳しいルールは分かりませんけど……。

役?が揃うことで強くなるなら逆に崩せば弱くも出来るよね?

【WIZ】
【塗料】を巨大化させた筆(ペイントブキ)でオブリビオン達へ【塗りつぶ】そうとすることで攻撃する。
絵柄を変化させることで役を意味の無いものへ変化させ、弱体化させることが主な狙い。
その後は弱体化させることが出来たかに関わらずもう一度【塗料】を撒いて陣営強化をしようとする。



●やり方は色々
 トランプなどと同じように、麻雀牌には様々な模様がある。数字を示す役割のものが大半だが、それぞれのマークの並び方は多彩であり、漢字や鳥などを混ぜたモザイク模様が目を楽しませてくれる。
「まぁでも裏向いたらタダの板かまぼこよね」
「板かまぼこ怪人かぁ」
 アメリア・イアハッター(想空流・f01896)の感想に、キアン・ウロパラクト(フーディアン・f01189)が首を傾げる。
「それにしちゃ変な模様みたいなの付いてるが、落書きでもされたのか?」
「練り物アートとか、ああいうのじゃない?」
「なるほど、アートですか……」
 面白半分で適当な受け答えをするアメリアに、筆型のブキを手にしたアキカ・シュテルア(グリッタークラフター・f09473)が、納得したように頷いた。
「数体だけ何も書いてない奴も居るんだよな、あいつだけ豆腐味だったりとか、しないかな?」
 キアンの言葉を受けて、戦闘員の一体を踏み台に高く跳んだアメリアが、10m程先を指差す。
「あそこに居るけど、試してみる?」
「よっし、行ってくるわ」
 アメリアの踏みつけた相手をテーブルナイフで突き刺し、キアンはそちらに踏み込んでいった。
 彼女に突き刺された相手は熱く燃え上がり、描かれた図も分からないほど黒焦げにされている。
「こうやって真っ黒になっちゃったら、役も何もないわよねぇ」
「アメリアさん、頭下げてもらえますか?」
 感心したように頷くアメリアに続いて、アキカは巨大な絵筆を確認するように一度回す。旋回する動きで勢いをつけて、もう一度。
「これで――!」
 薙刀のように大きく振るわれた絵筆から、辺りを塗りつぶすような大量の塗料が撒き散らされる。ペイントブキにぶっ飛ばされて戦闘不能に陥った者が数体、そしてその二倍以上の数の戦闘員が、塗料を浴びて『上書き』された。
「すごいじゃない、あっきーちゃん!」
「今の内に、倒してしまいましょう」
 黒焦げと色まみれ、もはや役作りどころではなくなった戦闘員に、アメリアの黒いブーツが叩き込まれた。

「追い付いたぜ豆腐! アタシから逃げられると思うなよ!」
「と、豆腐じゃありませんー」
 切実な悲鳴を上げる『白』を、キアンがフォークで串刺しにする。
「ホントに豆腐じゃないのかい? 焼き豆腐でもなく? じゃあお前も板かまぼこ?」
 まぁいいやとりあえず焼いてみよう。丸焼きが得意なキアンのいつもの一手で、戦闘員は炎に包まれた。
 とりあえず醤油を垂らしてみたところで、後方から追い付いてきたアキカの塗料が、キアンの周りの敵を染め上げ、牽制する。
「おいおい彩り鮮やかなのは良いけど、食べ物で遊ぶなよー」
「キアンさんこそ、キャンバスは食べるものではありませんよ?」
「実際は、どっちも違うんじゃないかしら。絵柄とか文字はよくわからないけど、揃うと役になるんだからトランプみたいなものでしょ?」
 さおんな二人のやり取りに、改めてアメリア認識を正そうとする。セツナもまたそれに手を貸したが……。
「そうだね、その手の娯楽の一つだ。確か役名はユーリンチーとかショーロンポーとか言ったかな?」
「やっぱり食い物じゃないか!」
 悪化した。
「……あなた達も大変ねぇ」
 敵の攻撃を捌きながら、アメリアは同情したように敵達に話しかける。
「食べ物に、キャンバスだって。そうじゃないって、ちゃんと自己主張した方が良くない?」
 完全に悪企みしてる時の顔で言った彼女は、戦闘員が言葉に詰まるのを予想していたように続きを舌に乗せた。
「良い事を教えてあげる。麻雀牌らしく、自分を表せば良いのよ」
「そ、そうか……」
「アガった手配のように自己主張すれば、奴等も口は挟めないだろ!」
 そう、例えば盤上の牌のように、絵柄を主張するべく『仰向けに寝転ぶ』とか。そんな囁きに納得したように、戦闘員の一部がそれに従う。
 一列に並んで寝転ぶ姿は、まるで一つの道のようで。
「よくできました! 素敵! それじゃ行くわよエアハート!!」
 黒い燕のようなシルエットを持つ宇宙バイクは、召喚された直後にアメリアを乗せて、その戦闘員の顔面で出来た『道』を駆け抜けていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

赤城・傀
狐山・冥夜とともに行動します。

まずは、敵の数も多いので、ユーベルコード「錬成カミヤドリ」を使用し、雀牌をレベル分なので13個呼び出そう。それを操って、雀牌戦闘員にアタックしていくよ。
空中を縦横無尽に動き回る雀牌は回避するのも難しいはず。勢いを思い切りつけて急所にぶち当てて行けば、怪人といえどもたまらないのではないかな。
そして、13個の雀牌を誇示しながら、
「多牌はチョンボだ。消え去るが良い!」
と宣言してやろうではないか。


狐山・冥夜
※赤城・傀との共闘

ほほう、雀牌の怪人とは面白いのが来たのう。
「坊主お主發(ハツ)も読めんのか……やれやれじゃ」
「さて、博打関連なら、わしらエスポワールにお任せじゃ!……わしは団長じゃないがの」
そんなことを言いつつ、怪人どもを蹴散らしていくのじゃ わしの蹴りはかなり重いぞぉ?
赤城殿の飛ばした13個の「錬成カミヤドリ」目掛けて、怪人どもをグラウンドクラッシャーで蹴り飛ばしていくのじゃ。
赤城殿なら蹴り飛ばした怪人の急所をぶち抜くくらいできるはずじゃ、まあでも一応急所を狙いやすいように角度を調整して…
「そら、とんでけじゃ!!」
「赤城殿、トドメは任せたのじゃ!!」

アドリブ歓迎です。


月詠・色葉
初仕事なので、様子見を兼ねて他PLの援護をするように立ち回る。
それでも気合は全開。熱意も全開。

「んふふ~、今、立直しようとしたのだ? そうはさせないのだっ!」
立直をしようとした戦闘員を狙って護符を放ち、役が高めになるのを防ぐ。
「麻雀は精神と精神、時には命すら懸けた真剣勝負なのだ! 一度心が押し負けた者は、もう二度と強気の攻めはできなのだ!!」
勢いで押し切って、次々と戦闘員達の攻撃手段を封じたり、こちらの手の内を読めなくする。

援護をするといいつつも基本的に目立ちたがり屋なので、ついついキマイラフューチャーの住民達に『ドヤッ』という表情を見せて裏方に徹しきれない。

アドリブ大歓迎。



●牌の乱舞
「麻雀牌型の怪人、か」
「赤城殿のご同輩かのう?」
「そう言えなくもないが……心外だな」
 面白がるような狐山・冥夜(冥獄壊界王・f11888)の言葉に、赤城・傀(人鬼・f02857)が苦笑する。傀もまた麻雀と縁が深い、牌のヤドリガミだ。
「博打関連なら、わしらエスポワールにお任せ、といきたいところじゃが?」
「良いだろう。私も自分の『手牌』で相手をする」
 錬成カミヤドリ。彼女の周りに、丁度ゲーム中の手牌と同じく、13の牌が浮かぶ。
 綺麗に一列に整列した後、それらは傀の意思に従い、それぞれ彼女等を包囲する戦闘員へと狙いを定めた。
「そちらも分かっているはず……多牌はチョンボだ。消え去るが良い!」
 多勢の相手にそう宣言すると同時に、麻雀牌は弾き出された弾丸のように飛翔、前列の敵を貫いていく。
「なるほど、頼もしい限りじゃな。それではこちらも――」
 牌が飛び回るのを横目に、冥夜が背後に忍び寄っていた戦闘員を裏拳で転がす。そして挟撃のつもりか、正面から突っかかってきた一体に蹴りを加えた。
 麗しの美脚に秘められた鋼の筋肉が、戦闘員の腹部に重い音を生じさせる。悶絶、という言葉が近いか、数メートル吹き飛んだ戦闘員は、がくがくと震えながら倒れ伏した。
「わしの蹴りはかなり重いぞぉ、耐えきれるかのう?」
 悠然と笑って、冥夜は敵陣へと踏み出していく。当然彼女を囲むように戦闘員は動く、が。そこを狙った浮遊する麻雀牌が、戦闘員三体を一度に貫いた。
「ふむ、ではこういうのはどうじゃろう――赤城殿!」
 信頼する仲間に一声かけて、踏み込む。
「そら、とんで行くがよい!!」
 途端、軸足が大地に根差すように突き刺さり、地面に一斉にひび割れが生じる。そのまま振り抜かれた彼女の回し蹴りによって、複数の戦闘員が同時に宙を舞った。そこに。
「トドメは任せたのじゃ」
「――ああ」
 その程度は容易い、とでも言うように傀が頷く。同時に縦横無尽に飛び回っていた麻雀牌の一部が取って返し、吹き飛ばされた戦闘員達の急所を貫いていった。
「大した相手ではないな」
「ふむ、ではどんどん参ろうか」
 連携には何ら問題はない、そう察した二人は、同様の戦法で次々に戦闘員を葬っていった。
 が、いかに強力な技と言えど、同じ手段はやがて対策される。狙いは振り切られた足技の直後。吹っ飛ばされる仲間達を涙を呑んで見送り、その隙を逃すまいと戦闘員達が冥夜に迫る。
 狙い澄ました一撃。立直一発。
「んふふ~、そうはさせないのだっ!」
 冥夜に代わってもう一人のエスポワール所属者、妖狐の月詠・色葉(ロリ系焦熱妖狐のアーチャー・f03028)がその灰色の瞳を細める。
 投げ放たれた符は、冥夜に迫る戦闘員達に命中、その動きを一時的に封じてしまう。
「一発消し、ってとこかな?」
「お見事、じゃ」
 不敵に笑う色葉に同調するように、口の端を上げた冥夜の返しの蹴りが、動きの止まった一団を薙ぎ払った。
 空に投げ出された彼等を待つのは、当然傀が飛翔させた麻雀牌。
 そうして決まった連携攻撃に、残りの戦闘員達がじわりと後退る。
「ははーん、退いちゃった?」
 それを見た色葉は、やはり楽しむように言葉を重ねた。
「麻雀は精神と精神、時には命すら懸けた真剣勝負なのだ! 一度心が押し負けた者は、もう二度と強気の攻めはできないのだ!!」 決まった。
 完全に周囲のキマイラ達を意識したポーズ。撮影のシャッター音やら何やらが一際強く鳴り響く。アピールは完璧。
 そして見事なアピールはまた敵の士気を下げ、尻込みさせるのに十分な効果を発揮する。
「――ええい、仕方のない奴等め! お前達はサポートに回れ、俺様が直々に相手をしてやる!!」
 機を窺うように間合いを取る戦闘員達の後方から、焦れたような声が響いた。
 ことの首謀者の登場である。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『パスト・フォーサイス』

POW   :    来い!俺様の手下どもっ!!質より量で押し潰せ!!
【相手している猟兵の10倍の数の雑魚キャラ】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD   :    おりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃ!!!
【武器を使った怒涛の連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    俺様は逃げるから、後は任せたぞ!俺様ちゃん人形!
自身が戦闘で瀕死になると【逃げる時間稼ぎ用の巨大パスト君ぬいぐるみ】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は百目鬼・明日多です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●豆腐地獄
「さーて、やってくれたな猟兵ども!」
 年若い少年にしか見えない彼――パスト・フォーサイスが錨に似た得物を一度、大きく振るう。
 風切り音と、その圧力から、この者が油断ならない実力者であることが読み取れる。
「發(ハツ)も読めん坊主が、何を偉そうに」
「はあ!? ハツだろハツ! あの緑の文字の奴な! 最初から知ってたわ!!!」
 冥夜の言葉にうろたえるパスト。まぁ猟兵側も何人か気まずげに目を逸らしたが、それはそれとして。
「……まぁいい! 俺様は最初から理解していたわけだが――お前たちの戦いを見て一つ学んだ!!」
 どっちだよ、と言うようなセリフと共に、パストは掲げた指を鳴らす。ユーベルコード発動、その場にずらりと並んだのは、召喚された戦闘員だ。
 その顔は皆、一様に白い。
「天地創世! 要するに! この豆腐みたいな奴だけ召喚すれば無敵ってことだろ!!」
「うおおおお字一色・四暗刻・四槓子・嶺上開花・白白白白!!!!!」
 主の声に応えるように、めちゃくちゃにテンションの上がった白(ハク)達が雄叫びを上げた。一応戦闘力もかなり上がっているようだが。

「めんどくさい真似しやがって、丸ぱくりとか恥ずかしくねぇのか?」
「な、なんだと!?」
 銃声。一成の放った弾丸が一体の顔面に風穴を開け、白を一筒に変える。この一手だけで役の効果が激減しているのを見て取れる。このように、戦闘員への対処はここまで使った手段がまだ有効だろう。
 それを踏まえ、効率よく邪魔な戦闘員達を退け、ボス格であるパストを倒す必要がある。
 やるべきことは多い。だが、ここで負けるわけにはいかない。キマイラ達の悲痛な叫びが、猟兵達の背を押した。

「すごいねー、豆腐が列を作ってるよー?」
「こわ~い」
「今夜は湯豆腐がいいなー」
アーサー・ツヴァイク
※引き続き協力アドリブ大歓迎

ぉぉぅ…同じ豆腐…じゃねえ、白い四角頭がすげーいるぜ…こいつは真面目にやらねえとな!
雑魚散らしは任せろ! 俺のレイシューターで【一斉発射】の大砲撃だぜ! ついでに【騎乗】も使って、ライドランで駆け巡る! とにかくあの豆腐野郎どもは一ヶ所にまとめすぎると良くないんだろ? 固まって行動させないように暴れまわってやるぜ!
あのチビッ子は手が回らないが…他に任せるぜ!


三鷹・一成
……
いや普通に麻雀やってるわけじゃねーから(真顔)
つーか10人呼ぶか20人呼ぶか知らんけど、麻雀だとしても少牌多牌でアウトだろ

それともあれか? 余計なやつハブいて数合わせちゃうか?
仲間同士で「はい二人組作ってー」的トラウマを作っちゃいますかァ?
ちなみにその時真っ先にハブられるのは、そこのガキんちょ(パスト)だけどな!
一人だけ青いから! ケツが!

そんな感じで盛大に煽り入れつつ、攻撃回数重視で雑魚に風穴開けて無力化
正直、数の暴力は厄介なんで、パストへの道開くのに専念

むしろ、頭に血ぃ上ってこっちに数割いてくれれば儲けもん
もし余裕あれば、パストに牽制入れて妨害も(言いくるめ+クイックドロウ+援護射撃)


セツナ・クラルス
ふむ、天地創世
つまり、我々は国づくりを目の当たりにするということかな
…なんと素晴らしい
身に余る光栄だ

無駄に感激し(てる演技をし)ながら敵の前へ
だが、気を付けなさい
純白であることは穢れやすいということでもあるのだから
隙を見て鎌で牌に傷をつける
…おや
「白」ではなくなってしまったね
穢れを受けた罪人は楽園から去るものではないのかな

等と
適当なことを言って
敵の戦意を削ぎつつ戦闘員を薙ぎ払う

牌たちは私が可能な限り引き受けよう
ゼロはパストの動向を確認してくれ
何かあったら知らせておくれ
一人でどうにかしようとしてはいけないよ
我々はふたつでひとつだ
それに、頼れる仲間も大勢いるのだからね


アメリア・イアハッター
ところで役って何個板カマボコが揃えば成立するの?
10個くらい?
ふーん、相手になんないわね
だって私は……同じのを大体100個くらい揃えられるからね!
多い方が、強い!

【マジック・ミサイル・ダンス】使用
ずらっと約100個のミサイルを並べ超凄い役が揃ったかの如くドヤ顔
これぞ百花繚乱!

最初の狙いは戦闘員
豆腐顔にぶち込んで、倒せずとも痕を残して白じゃないようにしちゃおう
また、役は完成したら宣言することで完成する筈
その役の宣言を爆発の爆音で消すことを狙う

戦闘員がいなければボス狙い
同じくミサイルを約100個出してドヤ顔する
これぞ百人一首!
役の意味?それは……
100個のミサイルが貴方一人の首を狙うってことよ!


アキカ・シュテルア
….…あれはキャンバスではなくて豆腐なんです?もしかして食べ物でもない?
え、駒?……少し恥ずかしいです。

さっきと同じでは警戒されてしまいそうですし、駒でしたら燃やしましょうか。

その反応……絶対知りませんでしたよね?まぁ、私もなの
ですけど。

ウィザードロッドを所持して魔力を高め(属性攻撃)、【炎】属性の【魔法の矢】を自分の背後に生成、発射する。
3分の2程度を戦闘員へ、残りの3分の1程度をパストへ分散。

2陣目以降を射つ場合は臨機応変に割合と場所を調整。

絡み・アドリブ歓迎です。



●白地に彩
「来い! 俺様の手下どもっ!!」
 オブリビオン、パスト・フォーサイスの呼び声がキマイラフューチャーの公園にこだまする。うじゃっと出てきた白い顔の一団は、最初こそ互いの顔を見合わせるような態度を取っていたが、勢いに流されることに決めたのか、一斉に隊列を組み始めた。
「ぉぉぅ……同じ豆腐……じゃねえ、白い四角頭がすげーいるぜ」
「これが白む地平線……夜明けの光景ということかな」
 呆れたようなアーサーとは対照的に、セツナは何やら感じ入ったように頷く。綺麗並んだ白い牌が陽光を反射している。そういう見方もできなくはないだろう。
「……あれはキャンバスではなくて豆腐なんです?」
「いやー……豆腐でもねーんじゃねーかな」
「ところで役って何個板カマボコが揃えば成立するの?」
「14枚だ。普通に麻雀やってるわけじゃねーから、一概には言えないけどな」
 アキカとアメリアの問いに、一成が答える。気が付けば、ルールを知ってる猟兵の方が少数派になってしまった。
「あれ50人くらい居ない?」
「だよなぁ。多牌でアウトだし、同じ牌は4枚しかいないはずだろ。そこんとこどうなんだお前等?」
 多牌。規定よりも多く手牌を持っていたら反則、という基本的なルールだ。要するに、この白だらけの光景は通常ありえないわけだが。
「我々もこんなに同じ顔が並ぶのは初めてですが!」
「主の意向なので!!」
 ばっ、と並んでポーズを取りながら戦闘員達が言い放つ。揃ってしまったものは仕方ない、という精神のようだ。
「麻雀牌の誇りとかねーのな……良いけどよ」
「流されやすそうだもんねぇ」
 溜息を吐きながらリボルバーのグリップを握る一成と、後方から仕掛けるタイミングを計るアメリア。そしてその前に、アーサー……もといドーンブレイカーが、レイシューターを手に進み出る。
「これだけの数だ、そろそろ真面目にやらねえとな!」
 夜明けの光景と呼ぶのなら、こちらも決して負けてはいない。陽光を集めた銃が敵を撃ち抜き、光の帯が空を奔る。しかし。
「今の我々にはその程度!!」
 効かぬ、と言わんばかりに麻雀牌達は猟兵へと襲い掛かった。
「行けッ! 質も量も兼ね備えた俺様の手下どもよー!!」
 パストの号令に応えるように跳び上がり、列を為した『白』が降ってくる。ばちんばちんと打牌の音が響く中をバックステップで後退するアーサーに代わり、セツナが大鎌を一つ振るった。
「なるほど、見事なものだ。けれど気を付けなさい、白とは汚れやすいものだから」
 恐らく強化されているのであろう戦闘員は、その一太刀では倒れない。だが『傷一つ無い』とまではいかなかった。
 つまり。
「おや、白ではなくなってしまったね?」
 鎌の爪痕による『二索』が生まれ、役が崩れる。
「方針としては今までと似たようなものね」
「では、こちらもこれで行きましょうか」
 アメリアの言葉に頷いて、絵筆からウィザードロッドへと持ち替えたアキカが、練り上げた魔力で炎の矢を生じさせる。
「燃やしてあげます」
 一度上方に伸びあがった炎の矢は、襲い来る戦闘員達に降り注ぐ。焦がして牌の柄を潰してしまうのはこれまでの戦いと同様だ。
「同じものをたくさん揃えた方が強いなら――!」
 対抗心を燃やすのもありだろう、結構な戦闘経験を積んできたアメリアの放つ爆発属性の魔法矢は、実に100近い数にのぼる。
「踊れ、百花繚乱!!!」
 なんかめっちゃ凄い役が揃った雰囲気を醸し出した宣言と共に、ミサイルが四方八方に飛び回った。狙うはそれぞれの個体の豆腐顔。アキカに続く『上書き』、に、多数の戦闘員が右往左往とし始める。
「あとは、小分けにしてやれば良いんだろ?」
 そして呼び出した竜を象ったバイクに跨り、アーサーは敵陣を断ち切るように突っ込んだ。揃えるだけで強化が発生するのなら、移動と攪乱で分断してしまえばいい。
「共に歩もう、ゼロ。君はあのパストの動向に注目していてくれ」
 共存共栄、セツナの中の『もう一人』が声を上げる。
「見てるだけで良いのか?」
「無理は禁物だよ、一人で何もかも受け持つ必要はないんだ」
 飽くまで姿を隠していた一成も、そこでこちらの指定通り、余裕の笑みを浮かべた。
 そうして彼等に手を貸すように、指先で敵の居城を指し示す。
「だったら、こういうのはどうよ?」
 花束を差しだすように、伸ばされた指。彼の言わんとするところも、極めてシンプルなものだった。
「数が多いばかりで、上手く揃わなくなっちまったなぁ」
 そして、煽りもまたシンプル。
「綺麗に割り切れる事ばかりじゃないんだ、三人組だか十四人組だか、アンタ等に並べられるかな?」
 ざわ、と残った戦闘員達の間に緊張が走る。
「戯言を! 惑わされるなよ雑魚どもっ!」
「――ああ、まぁその時に真っ先にハブられるのは、そこのガキんちょだろうけどな!」
「なっ……俺様だと!?」
 突然飛んできた一成の言葉が、安全圏に居たつもりのパストに刺さる。
「何しろ一人だけ青いから! ケツが!」
「あァ!?」
「何でケツの青さで笑われてんのかも分かってねーだろ? そういうとこだよ」
「うるせええええ全部わかっとるわ!!!!」
「その反応は……絶対分かってませんでしたよね?」
 アキカの反応がまた火に油を注ぐ。怒り狂ったパストは、得物を手に自ら一成等を追って走り始めた。
「おー、きたきた。今の内にうまいことやってくれよ?」
 そんな形で敵を釣ることに成功した一成に、ゼロが苦笑を浮かべる。
「良い性格してるなぁアンタも」
 もはや連携も何もなくなってきた敵陣に、猟兵達からの攻撃が向けられる。

「おりゃおりゃおりゃおりゃおりゃぁ!!」
 全身を使ったパストの連撃。旋回する巨大な刃が、荒れ狂う竜巻と化して戦場を駆ける。
「おーおー、こっちだこっち」
 だが、それも外れてしまえば無駄な大振りに過ぎない。さらに言うなら途中で止まることが出来ない分だけ隙も大きい。
「さーて、ど・れ・に・し・よ・う・か・な、っと」
 出たら目勝負。歌うような言葉の流れに乗せて放たれた銃弾が、複数体の戦闘員の額を射抜いていく。
「おやおや、穢れを受けた罪人は楽園から去るものではないのかな?」
 ひらひらと、敵の攻撃の合間を身軽に立ち回っていたセツナも、その援護射撃を契機に大鎌で周りの戦闘員を引き裂いた。
 血風と共に、スペースが空く。そこに走り込んだのはバイクが二台、竜と燕が急制動し、それに跨っていた二人がそれぞれに反対側を指し示す。
「雑魚の相手もこの辺で終いにするか!」
 アーサーの手中、レイシューターが唸りを上げて、反対側ではアメリアがまた百のミサイルで列を為す。
「【Select…BURST ACTION!】フルパワーで…ぶちかますぜ!!」
「えーと、百、百のー……あ、『百鬼夜行』とかどう!?」
 そんな役はないけれど。ミサイルがまた絡み合うような軌跡で発射され、レイシューターが溜め込んでいた力を解き放ち、白光が敵陣を薙ぎ払った。
「何だ、今のは……!?」
「盤上が見えてねーからこういうことになるんだよ、さぁどうする?」
 斬撃をいくらか当て、一成を追い詰めていたつもりのパストは、ここでようやく戦場の様子に気付いたようだ。
 残り僅かになった戦闘員達を集結させ、役の力をその身に。と、そこで。
「行くぞ、字一色――」
 ずがががが、どかーん、みたいな音色が全ての言葉を奪い去っていく。
「――ごめんなさい! よく聞こえなかったわ!!」
 ユーベルコードの爆音で周辺を吹っ飛ばしたアメリアは、堂々とそう言い放った。
 ほら、ええと、あれだよ。アガったらちゃんと発声しないと駄目だから。そんな強引な手法で敵の強化を無効化した彼女の横で、アキカが巨大な筆を振り抜いた。
「そろそろ、終わりにしましょうね」
 広範囲を薙ぐ塗料は、複数の敵を呑み込んだ上に、味方を強化する領域を形作る。
 その上で、何度目かになるミサイルが展開された。
「どうかしら、これぞ『百人一首』!!」
 何度も言うがドヤ顔されてもそんな役は無い。だがあえてその意味を問うならば。
「――100個のミサイルが貴方一人の首を狙うってことよ!!」
 物騒極まりないセリフに、パストは覚悟を決めた。逃げる方の。
「うおおおお後は任せたぞ身代わりの俺様ちゃん人形!」
 彼が瀕死の時にだけ使える、奥の手。パストによく似た巨大な人形が召喚され、代わりに――。
「はいはい」
 げしっ、と音を立てて、ここまで様子を見ていたゼロの前蹴りがパストの背を押した。
 巨大な人形の影から、完全に逃げる体勢に入っていたパストが転び出る。
「……あっ」
 慌てる彼と目が合って、アメリアは満面の笑みを浮かべた。

 百のミサイルが殺到。
 覚えてろ、みたいなセリフは、爆発音の中へ溶けていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『サインください!』

POW   :    パワフルなサインをする

SPD   :    テクニカルなサインをする

WIZ   :    インテリなサインをする

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●決着!
 盛大な爆発の余韻が、怪人と共に消え去っていく。公園に残されたものは炎に弾丸、そして塗料と言った戦いの痕、そして、キマイラフューチャーの住人と猟兵達だ。
 日々面白おかしく、騒ぎながら暮らしているこの世界の住人からすれば、今回の戦闘痕など物の数ではないようで。
「やった~、猟兵がお豆腐達をやっつけたよ」
「めちゃめちゃカッコよかった~」
「見て見て~、こっち見てるとこの写真撮っちゃった」
 ここからは見えないが、ネット上ではすごい勢いで♥が飛び交っているらしい。
「よくわからん相手だったが、これで一件落着だな」
 ライドランから降りて、レイシューターを収納する、そんなアーサーの一挙手一投足にも視線が、集まる。
「……ねえ、何か」
「増えてますよね、だんだん」
 そちらに目を向けたアメリアの言葉に、アキカが頷く。何かきらきらとした、憧れの眼は――。
「サイン欲しいなぁ、頼んでみようよ」
「握手とかお願いできる?」
「写真は? 一緒に映ったりしてくれないかなあ」
 じわじわと、距離を詰めてくる。

 何をしているのか、転送担当のグリモア猟兵はまだ来る気配がない。
 しばらくは――もしくは、このキマイラ達が満足するまで、相手をする必要があるようだ。
 一見すると子供が多いか。純粋な目で走り寄ってきた彼等は言う。

「サインください!!」
小日向・いすゞ
ええー!
猟兵がお豆腐をやっつけたっスか!
すごいいいねっス!

さいんと握手してもらえるっスか?
ワーイ!
嬉しいっス!
あっしの家宝にするっスよー!
……えっ、何っスか、あっしも猟兵じゃないかって?
戦闘に間に合わなかった猟兵なんてもうほぼきまいらっスよ

皆格好良いっスよー!
きゃーさいん下さいっスー!
さっきの動きなんて最高にくーるだったっスよー!

戦闘に間に合わなかったので
戦闘に参加していた猟兵の周りでウザ絡み……ではなくて
あこがれの目で見て、戦闘方法などを華やかに褒めながらぱわふるなさいん等を求めるっス
決してやることがなくなったからウザ絡みしてる訳じゃないっスからね


アーサー・ツヴァイク
※最後まで協力アドリブ大歓迎

おっと…子供達の期待には応えないといけないな!
よしよし、俺なんかのでいいならサイン書いてやるぞ。ほら、みんなの分も書くから…順番守ってね! …あ、ごめんねマフラーは引っ張らないでね? …握手? いいよ、俺なんかのでいいな…だからごめんねマフラー引っ張らないでね。…写真!? オッケーオッケー、その位なら構わ…だからマフラーは引っ張らないでって。な、何だかこれはヒーローというよりオモチャのような…って、だからマフラー引っ張んなって! …ええと、オブシダンはまだ来ないの…ってなんで君そっちにい…あーもうさっきからマフラー引っ張ってるの誰ー!? あ、【POW】判定です!


セツナ・クラルス
ふふ、皆の期待に応えるのも救い主の務めだからね
精々励むとしよう

にこやかにサインや握手に応じていたが
あまりにも純粋過ぎる好意に
徐々に落ち着かなくなってきた
…!
そうだ、ゼロ、おいで
共に歩もう…というか役割分担しよう
え、イヤだ?なぜ?…恥ずかしいから?
…ふ、困ったね…ふふふ
表面上は(自分なりに精一杯)落ち着いて対応しているが
内心はいっぱいいっぱい

オブシダンの姿を見かけたら
救世主を見たかのような顔で駆け寄り
彼が我々をここに遣わせたんだ
つまり、彼こそが真の功労者なのだよ
オブシダンを生贄にして注目を反らすことを試みる

いやあ、なかなかに大変だったね…
私が救い主になるにはまだまだ修行が足りないようだ


三鷹・一成
三鷹一成はクールに去るぜ



……といきたいとこだが、せっかくなんで麻雀の布教でもしとこうかね

「アレ」を正しい麻雀と思われるのは、現代地球人としちゃさすがになぁ
卓は無理でも牌なら余裕でコピーできるし、半荘くらいならどうにかなる……か?

でまぁ、ただ打つだけじゃつまらんし、俺から満貫直撃取るかツモるかでサイン(と事務所の名刺)進呈ってことで

……いやサインとか柄じゃないし、目標ある方が飲み込みも早いだろ

ま、そんなわけで、俺のサインが欲しけりゃ掛かってきなさいガキんちょども
ダメでも残念賞に名刺はやるよ

報酬次第で猫探しから怪人退治、悩み事ならよろず引き受け解決します
困った時は、三鷹探偵事務所まで、ってな


キアン・ウロパラクト
はぁ、サイン!?そうは言われてもね…
アタシは字書くの得意じゃないしなぁ。
サイン…印…、そうだ。インクとか塗料なんか無いかね?
手の肉球にインク付けてスタンプよろしく押してってやるよ。
これならサインになるだろうさ。

子供に何かせがまれるようならしゃがんで目線合わせるよ。
握手ってんなら空いてる方の手で、まぁキマイラ同士だと上手く組めないか。
ある意味ハイタッチかなこりゃ。

周りうろつくのは構わないけど武器とか尻尾はつついてくれるなよ?


アメリア・イアハッター
ふふ、そんな眼で見られたらこっちも嬉しくなっちゃうね
よーし、渾身のファンサービス、しちゃいましょう!

写真撮影を求められれば快く応じ、色んなポーズで一緒に撮影
子供達であれば頭に手を置いて撮影したり

サインは手慣れた様子でサラサラと
ふふん、練習したからね!
相手の名前を聞いて即席であだ名を作り宛名にそれを書く

最後は応援ありがとうと感謝の気持ちを込めて握手を忘れずに

オブシダンの姿が見えればキマイラさん達に「ちょっとごめんね」と一言謝り【スカイステッパー】で包囲から抜けオブシダンの元へ
黒いブーツをタタンと鳴らして着地すれば、やっほ、等と声をかわして
「今回もありがとね!」
サインを書いて渡す
宛名は「ダンダン」



●サインください!!!!
「ええー! 猟兵がお豆腐をやっつけたっスか! すごいいいねっス!」
 どこか遠巻きに、写真とか動画とかを撮っていたキマイラ達の中から、どこで聞いたような声が響く。
「さいんと握手してもらえるっスか? ワーイ!」
 そんな言葉を皮切りに、キマイラ達はこの場を救ったヒーロー……猟兵達に向かって走り出した。
「すごい、ファンがいっぱいねー」
 アメリアの言葉通り、迫り来るキマイラ達の人数と圧力は結構なもの。
 ふ、と一成がニヒルな笑みを浮かべて踵を返しかけるが。
「もう一仕事していこうぜ?」
「ここまで来たんだ、皆の期待に応えていこうじゃないか」
 即座にアーサーとセツナに引き留められた。
「……いやサインとか柄じゃないし?」
「アタシも字書くの得意じゃないしなぁ」
 遠慮がちに言う一成と同じく、キアンもペンを持つには向かない自分の手に視線を落とす。が、彼等はそんなものは気にしない。
「サインください!!」
 キマイラフューチャーの皆さん特有の、興味津々できらきらした眼が、一同を取り囲んだ。
「ふふ、そんな眼で見られたらこっちも嬉しくなっちゃうね」
 アイドル活動に慣れのあるアメリアが率先して動き、握手に、写真撮影にとファンサービスを始める。
「最後の一撃おみごとでしたー」
「エアハートの前でポーズ取ってくれませんかー?」
「はいはーい、応援ありがとう!」
 もともと期待に応えたがる方なのだろう、そつなくこなしていく彼女と同様、セツナもこの手の活動には抵抗がないようで。
「救い主を務めるならば、これくらいはね」
「はいはい」
 適当な返しをする別人格を他所に、セツナは駆け寄ってきたキマイラ達に笑顔を送る。サイン自体には苦戦が見られるが、談笑や握手などはお手の物。
「大鎌カッコイイー!」
「ゼロさんも一緒に映ってもらえませんかー?」
「ええ、オレはいいよ……」
 若干引き気味の『片割れ』を微笑ましく見つめつつ、セツナはキマイラ達の求めに応じていった。
 スムーズに事を進めていく彼等だが、当然、そういう活動に慣れてない者もいる。
「よしよし、俺なんかのでいいならサイン書いてやるぞ」
 少々ぎこちないながらも、アーサーは集まった子供達の相手をしていた。年若い者が多く集ったのも無理はない、ドーンブレイカーだもの。
「わーいこっちもサインちょうだいー!」
「あ、ごめんねマフラーは引っ張らないでね? ほら、みんなの分も書くから……順番守ってね!」
 キマイラ×子供というエネルギーの塊のような存在を前に、振り回され気味の彼だったが、自らの役割についてはきちんと理解している。
「ボクとも握手してー」
「いいよ、俺なんかのでいいな……だからごめんねマフラー引っ張らないでねー……、あれ、今引っ張ったのって」
「あっしじゃないっスよー?」
「あれ、おっかしいなぁ……?」
 耳をぴこぴこさせて答える少女に、アーサーは頬を掻いた。
「それよりセンセ、大活躍だったそうじゃないっスか! さすが正統派は違うっスねえ」
「ははは、そうかな?」
 照れ笑いを浮かべる彼に、また別の男の子が駆け寄っていく。
「戦ってるとこすごい恰好良かった!」
「あの銃の奴もっかいやってー!」
「いやあれは危ないから……しょうがないなー1回だけだぞ?」
 そして眩い光が、天に向かって放たれた。

「おねーさん、これ!」
「おっ、差し入れか?」
 小さな子から裾を引かれたキアンは、まずはしゃがみ込んで視線を合わせた。
「おかあさんと作ったの! 食べてください!」
「ありがとなー。でもアタシいまこういう状態だからさ、半分こしようぜ」
 塗料で染まった右手を見せて、少女が手に持つ色紙に肉球のハンコをぺたりと一つ。サインが苦手ならこうすればいい。彼女と同種族であるキマイラ達にもこれは好評だった。
「握手してもらえますかー?」
「あー、はいはい。それじゃこれで良いか?」
 キマイラ同士ならよくある事。獣の形をした腕を掲げる相手と、キアンは肉球を打ち合わせた。いえーい、ハイタッチ。上げられた写真も中々の反響だ。
「焼けたお豆腐、美味しかった?」
「いやー、豆腐にしてはガリガリして固かったな、アレは」
「わたしも食べてみたーい」
「ははは、ほらやめとけやめとけ」
 走り出そうとした少女を、抱きしめるようにして抑える。この少女が向かおうとしていた先では……。
「こらこら、これは食べ物じゃねーんだって」
 一成が、即席の麻雀教室を開いていた。卓を囲むのは彼と、比較的オトナなキマイラ達だ。
「まさかコンコンするだけで全自動卓が出てくるとはなぁ」
 この場所は元は何だったのか、そんな事をしみじみと考えながら一成が牌を切る。サインの求めに困ったついでに、彼は『満貫直撃、もしくはツモアガリでサイン進呈』というルールを設け、賭け好きのキマイラ達を釣っていた。
「ま、アレが正しい麻雀だと思われても困るしな」
 これもまた布教活動の一環だ、そんな理由付け。
「素早い銃撃も見事なモンだったらしいっスけど、器用なんスね、一成センセは」
 ギャラリーからの声に、一成が苦笑する。その気になれば、そう、握り込んだ牌を複製するとかいう技も使えるのだが。
「――ま、使うまでもねーな。そいつだ」
「あーっ!?」
 脇のキマイラが切った牌を指摘して、一成の手牌がパタリと倒された。
「ほれ、こいつは残念賞だ」
 サインの代わりに、名刺が一枚差し出される。
 ――報酬次第で猫探しから怪人退治、悩み事ならよろず引き受け解決します。
「困った時は、三鷹探偵事務所まで、ってな」


 わいわいとキマイラ達でにぎわう公園。サインに写真にと、色んなものがアップロードされていくこの場所だが……気が付けば、結構な時間が経過していた。
「おいおい、武器とか尻尾はつついてくれるなよ?」
 ぺたぺたと肉球スタンプを子供達の額に量産。そんなタフなキアンはともかく、もみくちゃにされているアーサーの方がその辺り顕著に出ている。
「何だかこれはヒーローというよりオモチャのような……マフラー離してくれる?」
 それでも笑顔で写真撮影に応じる姿勢は見事なもの、というべきか。
 一方、笑顔で一連のファンサービスをこなしていたセツナは、別の方向でピンチを迎えていた。
「敵を切り裂いてからの一言、決まってました~」
「二人揃って立つと絵になりますよね!」
「い、いやあ、ありがとう、ふふ……」
 きらっきらした眼から放たれる純粋な好意。別に後ろ暗い思いはなくとも、照れやらなんやらで徐々にいたたまれなくなってくるものだ。
「そ、そうだゼロ、君もこっちにおいで」
 共に歩む、いや、役割分担をしよう、といういつもより弱気な態度を、別人格は読み取ったのか定かでないが。
「え、ヤだって言ってるだろー?」
「恥ずかしがることはないだろう? ふ、困ったね……ふふふ」
 途方に暮れたようなセツナとそしてアーサーが軽く天を仰ぐ。
「皆格好良いっスよー! きゃーさいん下さいっスー!」
「……ええと、オブシダンはまだ来ないの……?」
「いや、居るけど? 僕にもサイン頂戴よ二人とも」
「あっしにも! 是非戦いのコツとか教えて欲しいっスー!」
 よく見ればもう一人、キマイラではなく妖狐……小日向・いすゞ(妖狐の陰陽師・f09058)もぴょんぴょん跳ねている。
「えっなんで君達そっちに。あーもうさっきからマフラー引っ張ってるの誰ー!?」
「いすゞ君……いつからそこに?」
「えーっと、サイン会には何とか間に合ったんスよね。まあ今日のあっしはほぼきまいらっスから、気にしないで欲しいっスよせつなセンセ」
「ああ、分かったからとりあえず写真撮るのやめてくれるかな?」
 つまり、彼女が居たのはこの章の最初から。
「いやーさっきの動きなんて最高にくーるだったっスよー! 見てないっスけど!」
 良い笑顔で周りを煽る狐に、セツナが心なしか固い笑顔で応じる。
「諸君! 彼等こそが我々をここに遣わせたグリモア猟兵! つまり真の功労者なのだよ!」
「えっ、あっしは違う」
「ちょっと相棒、まさかこっちに……!」
 生贄を二人追加し、お祭り騒ぎはまだしばし続いた。

「何だか一層賑やかになったみたいだけど……まあ、良い事よね!」
 一緒に記念撮影をした子供達の頭を撫でて見送り、アメリアはまた別のキマイラのサインに応じる。
「サインいただけますかー?」
「もちろん! それじゃ、あなたの名前は?」
 キマイラフューチャーの住人は変わった名前をしているな、とかそんな事を考えつつ、アメリアは考え付いたあだ名をサインの最後に添えた。それが彼女のやり方なわけだが。
「あ、ちょっとごめんね」
 サインが一段落したところで、そう断った彼女は空中に跳び上がる。空気を踏んでステップ。おお、という軽い歓声に追われながら、幾人かの頭上を跳び越えて、最終的に黒いブーツが地面を叩いた。
「――それで、あなたの名前は?」
「オブシダンだよ、赤い帽子のアメリア。僕にもサインもらえる?」
 冗談めかした言葉に「もちろん」と返して、アメリアは色紙にサラサラとペンを走らせていく。
「今回もありがとね、グリモア猟兵さん!」
「こちらこそ、協力ありがとう……敵を笹かまぼこだと言い含めるのは、中々良いアイデアだった」
「本気で言ってる?」
 苦笑しながらもそう言って、色紙を公開。
「勿論だとも。……このダンダンってのは僕の事かい?」
「そうよ?」
「なるほど。そんな風に呼ばれるのは初めてだよ、面白い」
 礼を言ってそれを受け取ったオブシダンに代わり、今度はいすゞが挙手する。
「あめりあセンセ! 次はあっしも!」
「いすゞちゃんは……いーちゃん? すずっち? 何が良いかなー?」
「ワーイ、家宝にするっスよー!」
 コツコツと鳴るブーツの足音を、ぽっくり下駄がこんこんと追いかけていった。

●戻る日常
「皆、おつかれさま!」
 キマイラ達が満足した頃には、公園にかかる日も、とっくに傾いていた。
「なかなかの強敵だったぜ……」
「私も、救い主になるにはまだまだ修行が足りないようだ……」
 アーサーとセツナが揃ってため息を吐く。
「尻尾かじる暇もなかったな」
「こっちはもう1半荘くらいはやりたかったけどな」
 キアンと一成の合流も確認し、オブシダンが転送の準備に移る。
 公園を照らす西日。ネットも含めて大きく騒いで、結局何事もなかったかのように、面白おかしく暮らすキマイラ達。
 それこそが、猟兵達の勝ち取ったものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月22日


挿絵イラスト