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荒ぶる大火

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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 ●
 草木も眠る丑三つ時。
 長屋が並ぶこの地区は、常ならばぼんやりとした提灯の灯りがいくつか、頼りなさげに道を照らすのみであった。
 だが、今日は違った。周囲は真昼のように明るく、悲鳴や怒号が響き渡っている。
「火事だああああ!」「逃げろおおお!」「まだ逃げ遅れた人が!」

 逃げようとする人の波を追いかけるように、一気に燃え広がった炎は、街全体を赤く、熱く、明るく染め上げていく。

 燃える、燃える、燃える。

 大火の中心、激しく燃え盛る炎の中心に“ソレ”は鎮座していた。
 燃え盛る街並みを認識しながらも、“ソレ”は何の反応も見せない。
 「――――……」
 悪意もなく、害意すらない、ただ“ソレ”はそこにあっただけ。
 それだけだった。

 ●
「フハハハ!我、降臨!」
 グリモアベースに突如響いた高笑い。発生源たる猟兵、シャレム・アルカードの右手には、グリモア猟兵の証であるエネルギー体であるグリモアが浮かび、淡く輝きを放っている。宙に浮いた棺に乗って高所から猟兵達を見下ろしていたシャレムは、猟兵達の注目が十分集まったことに満足げに頷く。

「猟兵の皆よ!大!炎上である!フハハハ!」
 そのまま高所からよくわからないことを宣言したシャレムは、高笑いしながら棺から飛び降りて地面に着地した。

「あ、いやすまぬ。笑い事ではないのだ。つい癖がだな……こほん。」
 急に表情を真面目な物に変えたかと思ったら、言い訳を始めかけるシャレムだが、猟兵達の微妙な視線で、このままでは話が進まないと気づくと、咳払いを一つして、本題を話し始めた。

「サムライエンパイアのとある街で火災が発生した。皆には至急、現場に急行して貰い、事態の収拾に協力してもらいたい。」
 時刻は深夜、街の中心に近い長屋からの出火だ。予知から発生までの猶予がなかったため、事前に防ぐことは叶わず、既に街は大火事に見舞われてしまっている。また、正体は不明だが、恐らく火事の原因と思われるオブリビオンの存在が確認されており、遭遇した場合は撃破してほしいという。

「とはいえ、第一の目的は火事への対処だ。原因の排除も大事だが、民草の命を放り捨ててでも優先すべきものではない。」
 炎の中に取り残された人の救助や、混乱気味の住民のスムーズな避難誘導、猟兵の力を活かして消火活動を行うなど、やることは山積みだ。街の火消しや有志も動いてはいるが、手が足りない。それぞれの得意分野でいいので、猟兵が手伝ってくれれば他へ人手を回せるため、早期に収拾を付けられる可能性が高まる。

「我も消火くらいは手伝えれば良かったのだが、転移能力の維持で中々そういうわけにもいかなくてな。事態を収拾できるか否かはお前たち猟兵の頑張りに掛かっているというわけだ!早く終われば原因のオブリビオンを探して排除する余裕も出てくるであろうしな!というわけでよろしく頼むぞ!」
 シャレムは集まった猟兵達をぐるりと見回すと、その少年のような相貌に根拠のない自信に満ちた笑顔を浮かべる。
「まあこの我がバックについているのだ!万が一にも失敗はあり得ん!最強無敵な大船に乗ったつもりでいて良いぞ!フハハハ!」


いさぶろー
 初めまして、いさぶろーと申します。
 今回は第二作目のシナリオとなります。

 皆さんにはサムライエンパイアで起きた火災に対処していただきます。
 【POW】家屋や炎に取り残された人の救助活動をしたり、
 【SPD】混乱を治めて、避難誘導したり、
 【WIZ】ユーベルコードや技能を駆使して消火活動をしたり、
 高い能力値でなくても、プレイング次第で十分成果を出せますので、能力値に囚われずに自由に考えていただけると嬉しいです。

 現地の人は猟兵の邪魔にならないように救助やら消火やら誘導やらやっています。勝手に人手が足りなさそうな所で活動しますので、活動の偏りは気にしなくて構いません。
 指示を出せば一応従ってくれますが、一般人なので能力は高くありません。
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第1章 冒険 『夜中の大火』

POW   :    炎に取り残された人を救助する

SPD   :    人々の混乱を治め、避難誘導する

WIZ   :    ユーベルコード等を駆使し、消火活動

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ティアリス・レイン
たすけをもとめる声を相棒のユーちゃんといっしょにさがすよ。
「ねぇ、そこにいるの?」
または、がれきのまえで立ちすくむ人がいたら話しかけるよ。
「ねぇ、このなかにまだひとがいるの?」

フェアリー特有の小さな体を活かして、がれきの中にもぐりこむよ!
「たすけにきたよ!」
取り残されたひとたちを見つけたら【フェアリーランド】をつかって救助してまわるよ!
「ちからを抜いててね?」

ものが落ちてきたら【怪力】でうけとめたり、バトルアックスで叩き斬るよ!
「ティアにまかせて!」
相棒のユーちゃんに手伝ってもらうよ!
「ユーちゃん、ないす!」

あんぜんな場所に出れたら、壺からみんなを出すよ!
「おまたせ!もうだいじょーぶだよ♪」


ミーア・レギンレイヴ
【POW】
主よ、人々を死から遠ざけたまえ。
願わくば、我が身命が人々を救う道具とならんことを。

さて、頑丈ですからね、私は。
火事場からの要救助者確保を優先しましょう!
とは言えミイラ取りがミイラになっては他の皆さんにご迷惑となってしまいます。
んー……こういう時単独行動はNGですね。
私と同じくらい頑丈な人がいらっしゃったらツーマンセルで動きましょう。
いなかったら、あまり突出しないように気をつけます。

人の世とは、良くも悪くもシステムですからね。
戦場で只管に戦うならまだしも、人の住む地を守ろうというなら尚更です。

……と、主は仰ってましたよ? 多分!



大火に包まれる街、安全な場所を求めて逃げ惑う人々を脇に、一人の女性が燃え盛る家屋を前に必死な様子で叫んでいた。
「誰か、誰か助けてはいただけませんか!まだ中に子供が居るんです!」
 声に目を向ける人々もいたが、家屋を包む炎を目にすると、思わず躊躇し、振り切るように去っていく。皆、自分の命は惜しい、他人のために炎の中へ突っ込む勇気を持ち、人一人救い出せる自信のある人物などそうはいない。このまま助けてくれる者などいないのではないかと絶望しかけた女性だが、そこに一筋の光明となる声がかけられる。
「このなかにまだひとがいるんだね?」
「そのようですね。……主よ、人々を死から遠ざけたまえ。」

 ティアリス・レイン(小竜に乗る妖精騎士・f12213)とミーア・レギンレイヴ(世界に祈る少女・f04070)の二人は、素早く状況を確認すると早速燃え盛る家屋へ突入を開始した。
 武骨な金属塊『ジャスティスメイス』を構えたミーアを前に、小竜のユーちゃんを引き連れ、身の丈程の大きな斧を担いだティアリスが続く形だ。

「ジャスティクラッシュ!」
 ミーアのメイスによる豪快な一撃が燃える瓦礫や倒れた木材を粉砕し、道を切り開いて行く。ちなみにジャスティスじゃなくてジャスティなところがポイントである。
 ティアリスも生存者を探して周囲に声をかけながら、フェアリーの小さな身体から出ているとは想像もつかないパワフルな動きで、時折落ちてくる燃えた瓦礫をバトルアックスで弾き飛ばして対処している。

「だ、だれかいるのか……?」
 そうして進んでいると、聞こえてきた崩れきった瓦礫の向こうから弱々しい声の問いかけに、すぐさま瓦礫を取り除こうとしたミーアだったが、周囲の火の手は益々強まり、家屋を支える大黒柱に近いこともあって、力任せに取り除けば救助対象に危険が及びかねないため、実行することができなかった。
 だが、方法はそれだけではない。

「ティアにまかせて!」
 ティアリスは瓦礫を調べて、通り抜けられそうな隙間を見つけると、フェアリーの小さな身体を活かして瓦礫の中へ潜り込んだ。
「たすけにきたよ!」
 何とか瓦礫の中を進み、無事通り抜けた先には、足に怪我を負った少年と、ぐったりした様子で倒れた少年の妹と思しき少女が居た。

「本当に助けが……」
 信じられない、といった表情でしばし呆然としていた少年だったが、家屋が大きな音を立てて本格的に崩れ始めたことで、焦りと共に妹を指さしてティアリスに懇願する。
「こいつ、さっきからぐったりしてるんだ!まだ息はあるけど危ないかも、急いで助けてやってくれ!……おれは、置いてってくれ。足がこのざまだしついてけねえ。」
 覚悟を固めた様子の少年に、けれどもティアリスはにぱっと笑顔を浮かべて応える。
「せつめいしてるひまはないの!ちからを抜いててね!」
 ティアリスは【フェアリーランド】への入り口である不思議な壺を作り出すと、兄妹を壺に吸い込んだ。
「ちょっとだけがまんしててね。」

 すぐさま身を翻して再び瓦礫の通り道を通り抜けたティアリス。
「もう建物が持ちません、すぐさま脱出しましょう!」
 建物が崩れ、瓦礫の降り注ぐ中、二人と一匹は走る。

 出口が見えてきた所で、轟音が響いた。一際大きな燃え盛る木材が落下してきたのだ。
 ミーアはすかさず【無敵城塞】を発動、ティアリスとユーちゃんを身を挺して庇う、庇いきれない細かい瓦礫はユーちゃんが尻尾を器用に使って弾き飛ばし、壺を抱えていたため瓦礫に対処できないティアリスを守った。
「ユーちゃん、ないす!ミーアもありがとう!」
「なんの、頑丈ですからね、私は。」

 その後、無事に家屋が崩れ去る前に脱出に成功した二人は、兄妹と母親の再会を見届けると、再び燃える街へ駆け出した。助けを求める声に、応えるために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

空・ミナイ
【SPD】人々の混乱を治め、避難誘導する

冷静さを失くしたら全てが悪い方向へと進んでしまう気がするので
皆さんから注目が集まりそうな場所を選び
僕は目立ったり大声を張るのが苦手だけど勇気を出して
「み、皆さん、落ち着いて下さい!」と声を掛ける。
それから【楽器演奏】を使用し安らぎのある音を響かせ
行き戸惑う人々を一旦落ち着かせて、安全だと思う水辺か空き地へと誘導する様に心掛ける。

それでも歩行が不自由なお年寄りや子供を見掛けたら
ライオンライドで召喚したライオンを見せて
「この子は絶対暴れたりしませんから、こちらに乗って下さい。」
と安心させて騎乗してもらい安全な場所に連れていく。



 燃える街中、有志による消火活動の手が未だ及んでいないこの一角の火の手は勢いを強める一方であり、未だ人々は追い立てられるように逃げ惑っていた。
 逃げる先も皆一様にバラバラであり混乱が深まる中、未だ無事な家の屋根に登った空・ミナイ(求める物・f01988)は大きく深呼吸をしていた。

「大丈夫、冷静に、冷静に……」
 これから混乱を治めようとする者が混乱していては治めるどころかさらに状態が悪化してもおかしくはない。大声を出したり注目を浴びることが苦手な内気とも言える性格の空だが、この火事の中で自分のできることをやろうと、覚悟を決めて十分に気持ちを落ち着かせると、勇気を出して人々に呼び掛けた。
「み、皆さん!落ち着いてください!」
 空の精一杯の大声による呼びかけは燃え盛る炎の音と、人々の喧騒にかき消されて届かない。だが、これで終わりではない。空は用意していた獣奏器を構えると、演奏を始めた。聴く者の心を落ち着かせるような、安らぎに満ちた音色が人々に染み渡っていく。逃げ惑う人も、家をなくし呆然自失とする人も、この通りにいる全ての人が思わず音色のする方向へ顔を向ける。

「こ、ここから先、あちらの方向に大きな空き地があります。火消しも居る安全な場所なので、焦らずにそちらへ向かって下さい!」
 予想以上に大きな注目を集めてしまい、緊張でどもってしまいながらも、方向を指さしてしっかりと言い切った空。中には我先にと駆け出すものも居たが、いくらか落ち着いた様子で住民達は空き地へと向かい始める。

 その中に取り残されたように佇み、きょろきょろと辺りを見回す子供を見つけた空は、屋根から飛び降りて駆け寄ると、どうしたんだい?と努めて優しく声をかけた。
「あの、あのね?かかさまとはぐれちゃったの。」
 だから探さないと、と中々避難しようとしない子供に空は提案する。
「あちらの空き地にはたくさんの人が避難しています、お母さんもはぐれた君を探しに向こうに向かっているんじゃないかな。」
 無論、そうでない可能性もあるが、このままここに居るのは危険すぎる。それでも渋る子供に後で探してあげるから、と約束をして説得した空は、ライオンライドで召喚したライオンを見せる。
「この子は絶対暴れたりしませんから、こちらに乗って下さい。」
 ちょっと怖そうに、けれど興味深々な様子でライオンに騎乗した子供を空き地へと送りながら、空は心の中で願った。
「(願わくば、この子の母親が無事でありますように……)」

成功 🔵​🔵​🔴​

ティアリス・レイン
助けた人達のお礼を背に、また別な場所に救助に向かうよ!
「まだまだ、がんばらないとね!」
相棒の小竜と雷の精霊に声がけつつ助けを求める声をさがすよ!
「だいじょーぶ!ティアたちが、たすけにいくから!」

落ちてくる瓦礫はユーちゃんとミーちゃんに任せて【フェアリーランド】を使っての救助に専念するよ!
「たすけにきたよ!みんな、この壺に入っててね!」

脱出後に壺からだすよ!
「おまたせ!もう、だいじょーぶだよ♪」

救出が一段落したら、精霊をエレメンタルロッドに変形させて水の【属性攻撃】を応用した【全力魔法】で鎮火させていくよ!
「ミーちゃん!残ってる炎、いっきにけしちゃって!!」



 燃える街中を三つの小さな影が駆ける。戦斧を担いだ小さな妖精――ティアリス・レイン、彼女の乗騎である小竜の『ユーちゃん』、黒猫の姿をした雷の精霊『ミーちゃん』だ。

「まだまだ、がんばらないとね!」
 ティアリスの声かけに任せろと短く鳴いて答える二匹。ティアリス達は炎の中に取り残された者、怪我をして動けなくなった者等、数多くいる助けを求める人々を次々と助け出していた。
 戦斧を振るい道を切り開き、小さな身体を活かして瓦礫の隙間に潜り込んでは、フェアリーランドに救助対象を吸い込んで脱出する。
 障害物の排除は最低限に抑え、降ってくる瓦礫はユーちゃんの尻尾や、ミーちゃんの放つ雷撃によって悉く撃ち落とすことで、ハイペースでの救助が可能となり、恐れずに炎の中へ飛び込むティアリスの姿に触発された有志の努力の甲斐もあって、救助活動は終息の兆しを見せ始めていた。

 だが、原因である火事は未だおさまっていない。ティアリスは救助活動が一段落したと判断すると、ミーちゃん――精霊をエレメンタルロッドへと変化させ炎の前に躍り出た。
「ミーちゃん!残ってる炎、いっきにけしちゃって!」
 放たれた全力の水魔法は雨雲を作り出し、限定的に雨を降らせることで、大火に包まれた街を癒していく。

「おお、恵みの雨じゃ……!」
 感極まった様子の老人を始め、住民達も喜びの表情で空を見上げる。
 出火元と思われる中心部は未だ炎に包まれているものの、街全体に広がっていた炎は当初よりも勢いを弱めており、事態が収束するのも時間の問題だろう。
 そう判断し、救助に鎮火と八面六臂の活躍をした働き者の妖精は、しばしの休息を取ることにした。
「ユーちゃん、ミーちゃんもおつかれさま!」

成功 🔵​🔵​🔴​

御剣・刀也
POW行動

雨か。ありがてぇ。救出がはかどる
声を張り上げて逃げ遅れた者がいないか確かめる
「誰か、助けが必要な奴、逃げ遅れたやつはいないか!!」
助けを求める声が聞こえたらそこへ駆けつけ、状態を確認し、歩けるようなら避難方向を指さし、そっちに行くように言う
足がおれていたり、倒木に挟まれていたら背負うか、倒木を持ち上げて隙間を作るかしてから背負って運ぶ
「安心しろ。ここまでくれば大丈夫だ」
と避難所の人間に任せたら自分は何度も逃げ遅れた者がいないか村と避難所の間を往復する


白斑・物九郎
●WIZ
【獣撃身・黒】!
デカい猫に変化
消火活動に手ェ貸してやりますわ

どう手伝うって?
延焼を防ぐ為に燃え広がりそうなトコをこの地形破壊級のパワーでブチ壊してやるんスよ!

サムライエンパイアの火消しが持ち歩いてる鳶口とかって、そーゆー「木造建築をブチ壊す用途」で持ち歩いてるモンなんですよな?

基本的にゃ土地勘のある現地の人らの指示に従って動いてやりますわ
猫の手を貸して欲しそうなトコへ適宜ゴー
そのヘン練り歩くついでですわ、運んで欲しい水桶がありゃ俺めの体に括り付けなさいや

【野生の勘】ON
まだ見付かってなさゲな要救助者の察知にも協力しときまさ


しかしこの世界でこの技使うと、化け猫・火車にでもなった気分っスね



 ●
「まるで化け猫・火車にでもなった気分っスね。」
 白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)が呟いた通り、その身を大きな化け猫へと変化させ、括り付けられた荷車を引くその姿はまるで火車のようだ。荷車は燃えてないどころか、運んでいる物は火車とは正反対とも言える桶いっぱいの水だが。
「この辺りならいいか……先生、お願いしやす!」
 未だ燃える家々からは少し離れた場所、地元の火消しが合図を送ると物九郎は荷車を引くのを止め、のっそりとした動きでまだ燃えていない建物の前に立つ。

「一応確認しときまさ、やっちまっていいんですよな?」
「へえ、もちろんでさあ。」
「オケ。なら遠慮なく、ブチ壊してやりまさァ。」
 何をしようというのか。確認を終えた物九郎は右前足をぷらぷらとさせると、唐突に建物へ向けて猫パンチを繰り出した。
 瞬間、爆発したかのような音と共に建物の根元が吹き飛び、支えを失った建物が崩壊する。続けて二発、三発と次々と繰り出される破壊的威力の猫パンチにより地形ごと粉砕されていく建物。
 このような行為を行うのは決して自棄になったからではない。これはこれ以上の延焼を防ぐ為、事前に燃え広がりそうな建物を潰しておく歴とした消火活動なのだ。

「こんなモンっスか。」
 かつて建物だった瓦礫の山と、月面の小さなクレーターめいて抉れた地面、この光景を作り出した物九郎は、さして気にした様子もなく踵を返す。
まだまだ延焼を防ぐべきポイントは多数ある。物九郎は再び荷車を引いて、次なる破壊の嵐を巻き起こしに向かった。
「さて、もう一仕事してやるとしまさ」

 ●
 猟兵の活躍により雨で消火された地域、そこで御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は地道な救助活動を行っていた。
「誰か、助けが必要な奴、逃げ遅れたやつはいないか!!」
 声を張り上げ、声が聞こえればそこへ駆けつけ、助け出す。歩けるものには場所を教え、動けないものは背負って運び、少し離れた場所に設営された簡易の避難所へ誘導していく。

「聞こえていたら返事をしてくれ!」
 何度も避難所と燃え跡を往復した甲斐もあり、もう張り上げた声に反応する者も見当たらない。粗方の救助は終わったと判断しかけた刀也に、丁度近くを通りかかった、荷車を引いた黒毛に白斑の大きな化け猫が唐突に声をかけてくる。
「――ン。そこの崩れて山になってるトコ、そこに誰かいまさ。気ィ失ってるんじゃないスか。」
「本当か!?」
 言われた通りの場所を探すと、倒木となった家の柱や屋根に足を挟まれ、気を失って倒れている男を見つけ出すことができた。屋根や柱は複雑に重なり、安易に動かせば崩れてしまいそうだったが、周囲の者に手伝って貰うことで救助は滞りなく終わった。

「安心しろ。もう安全な場所に向かってる。」
 足の治療のため避難所へ急行する途中、意識を取り戻した男を力強い言葉で安心させつつ、無事に送り届けた刀也は、落ち着く暇もなく次なる救助のために駆け出していった。

 こうして、猟兵達の活躍により、街を包んだ炎は、出火元を除いて鎮火され、数多くの失われるはずだった命が救われることとなった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『飛べ!遮光器土偶』

POW   :    土偶を叩き割る

SPD   :    罠や地形を利用して捕獲を試みる

WIZ   :    アイテムやユーベルコードを上手く活用

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 街を包んでいた火事は大方鎮火され、静寂を取り戻しかけていた街に更なる災厄が忍び寄る。
 火事に見舞われ、燃え尽きた蔵からわらわらと現れた浮遊するモノ。
あれはなんだと住民たちは訝しむ。羽虫か?鳥か?それともフェアリーか?いいや――
「ど、土偶だーーーッ!」
 火事によりいい感じに焼けた遮光器土偶の群れは叫びに呼応するように目に光を灯す。なんかビコーンとか効果音ついてそうな感じで。
「うわあああ!た、助けてくれええ!」
 そして更に目から光線を乱射し人々を襲い出す浮遊する遮光器土偶の群れ。
 何だかわからないがこのままじゃ人々が危ない!猟兵の出番だ!
白斑・物九郎
●POW
土偶て
何事ですかよマジで
ココは何時代なんですよ、ええおいサムライエンパイア?

しっかし、空飛ぶ上にビームまで出すんスか
こちとら近接戦闘担当ですってに、やり辛い相手ですわな

まあイイですわ
どいつもこいつも片ッ端からブチ割ってやりまさァ(L95式サイドアーム装備!)

……ァ?「ソレはなんだ」って?
あー、ちっちゃくて連発出来て弾込めもすぐ出来る火縄銃みたいなモンっスよ(一般人に軽く説明)

【喧嘩極意(攻撃回数重視)】で、目に付くヤツをひたすら撃つ撃つ撃つ
【野生の勘】で照準補正しつつ予測射撃
一体につき【2回攻撃】(ダブル・タップ)
直接近付いて来るヤツが居たら、肘でも膝でもブチ込んで叩き割ってやりまさァ



「土偶て。」
 空を飛び、光線をまき散らす奇怪な遮光器土偶を見てそう漏らしたのは白斑・物九郎だ。先ほどまでこの時代ではごく一般的な破壊的消火活動を行っていた物九郎は、目の前の時代錯誤な存在に心の中で突っ込まずにはいられなかった。
「しっかし、空飛ぶ上にビームまで出すんスか。」
 旅団ワイルドハントの猟団長であり、その近接戦闘担当を称する物九郎としてはこういった遠距離の手合いはやり辛い。
「まあイイですわ。」
 やり辛いが、やろうと思えばいくらでもやりようはある。左手で甚平の懐から拳銃――L95式サイドアームを取り出した物九郎は、手近な土偶へ銃口を向ける。
「コレでどいつもこいつも片ッ端からブチ割ってやりまさァ。」
 狩りの始まりを告げる銃声。放たれた弾丸は土偶の右目を貫き、衝撃でバランスを崩した土偶を続けざまにもう一発が襲う。胴体を吹っ飛ばされ地面へと落下し、粉々に砕け散った土偶を見て物九郎を敵と見なしたのか、住民達を襲うのをやめ、一斉に襲い掛かってくる土偶達。
 始まる銃弾と光線の撃ち合い、物九郎は敵の来そうな所へ銃撃を置いていき、確実に一体一体を仕留めていく。恐るべき野生の勘で僅かな照準のズレを補正し、背後からこちらを狙う攻撃は見もせずに回避、近づいてくる土偶は叩き割る。
 多勢を相手に踊るように戦い、撃ち合いを制した物九郎だが、その姿には傷一つない。その一方的な蹂躙劇に遠巻きに見ていた住民達からは歓声が上がる。
「獲物としては下の下もいいとこですわな。血も出ませんですしよ。」
 歓声もどこ吹く風、グールドライバーとしての不満点を吐き出す物九郎。
「……ァ?「ソレはなんだ」って?あー、ちっちゃくて連発出来て弾込めもすぐ出来る火縄銃みたいなモンっスよ。」
 駆け寄ってきた住民達に取り囲まれ、称賛だったり異世界の武器への興味だったり、次々と言葉を投げかけられる物九郎は、キマイラフューチャーでよく行われている無限握手会を想起し、ちょっぴりげんなりとするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御剣・刀也
たく、今度は空飛ぶ土偶かよ
とは言え困った。俺は射撃が苦手なんだ
遮蔽物とかをうまく使って下に誘導して砕くしかないな

村人を襲おうと高度を下げて確実に当てようとしてきたものから砕く
こっちが邪魔だと判断して此方に向きを変えてきたら逃げる
とにかく逃げる。が、途中で反転して攻撃に集中するあまり高度を落としすぎた物を砕く
そしてまた逃げて、反転しての繰り返し。途中崩れかけの民家を見つけたらその下を通って支えてる柱に蹴りかサムライブレイドを斬りつけてバランスを崩して倒壊させて一気に数を減らす
「単純な連中だな。標的を追うか殺すことしか頭にないんだな」



 御剣・刀也は全力疾走していた。遮光器土偶から逃げているのである。
「よっ、ほっ、お…らぁ!」
 無論、ただ逃げているだけではない。崩れた家屋、倒れた柱、燃え尽きて骨組みだけになった建物、そういった天然の遮蔽物を利用しながら、土偶の光線を何とか躱し、防ぎ、高度を落とした所を粉砕して撃破しながらだ。
「たく、火事の次は空飛ぶ土偶かよ!」
 先ほどまでは救助活動に勤しんでいた刀也だったが、住民の叫び声を聞いて現場に駆け付けた所、光線を乱射する土偶を発見、咄嗟に叩き割ると、どう察知したのかどこからともなくわらわらと沸いてきた土偶に敵と見なされ、今に至っているのである。
「だーっ!キリがねえ!」
 ちらりと後ろを見た刀也は、減るどころかむしろ増えている土偶に思わず叫ぶ。このまま闇雲に逃げ続けていては、じりじりと状況は悪くなって行くのは確実だ。
「……お!あそこは!」
 とある建物を見つけ、思わず声をあげる刀也。救助活動中に見つけたその建物は、大部分が燃え尽きている物の、大黒柱が丈夫だったのかかろうじて原形を留めていた。だが、逆に言えば――
「柱がなけりゃ、崩れるってことだな!」
 大量の土偶を引き連れ、建物に滑り込んだ刀也は、目的の柱を見つけると、すれ違いざまに刀で斬りつけた。御剣・刀也の振るう天武古砕流の神髄は一撃必殺の剛剣、であれば、いかに丈夫であろうと柱一つ斬って崩すのはわけもない。
 全力で駆け抜け、脱出した刀也に続いて入ってきた土偶達は、哀れ建物の倒壊に巻き込まれ一網打尽にされることとなった。
「ふー、ちょっとひやっとしたが、振り返ってみれば、標的を追うか殺すことしか頭にない、単純な連中だったな。」
 大きく数を減らし、やっと落ち着くことのできた刀也は、倒壊から逃れた残りの土偶を全て叩き割るべく踵を返した。

成功 🔵​🔵​🔴​

エル・クーゴー
『サムライエンパイアに現着』
『援護を開始します』


●SPD
敵機、順調に減少中の戦況を確認
本ケースの解明・解決の為、別角度よりのアプローチを開始します

コール、ウイングキャット『マネギ』
召喚上限95体を順次召喚
敵機の捕獲を試みます
(羽の生えたデブ猫がモリモリ出て来てフワフワ飛んで行く)

・土偶ビーム相手に体を張る一体
・その背後に続き、回避される前提で突っ込む一体
・回避された先で包囲する布陣の複数体
・包囲したら伸し掛かる複数体
周到に数を頼み包囲・拘束を試みます

土偶の捕獲成功時は【武器改造】により意図的に破砕力を低減させた弾体を装填した拳銃で目部分を毀損させておきます
この処置はビームを封じる意図を持ちます



猟兵達の活躍により、遮光器土偶は順調にその数を減らしていた。しかし、それも全体からすれば2割にも満たない数だ。空を飛び、散開するおびただしい数の土偶を全て割り尽くしたころには、住民にも少なくない数の犠牲が出てしまうことは必至であった。
『サムライエンパイアに現着』
到着早々淡々と状況を把握したエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)は、この現状を打破するための判断を下した。
『本ケースの解明・解決の為、別角度よりのアプローチを開始します』
別アプローチとは即ち、敵の捕獲・解析である。
『友軍を展開します』
 手ごろな土偶を見つけたエルは、小型の戦闘用機械兵器であるウイングキャット『マネギ』を召喚。羽の生えたデブ猫がモリモリ現れ、綿毛のようにフワフワと飛んでいく、それに反応し土偶がわらわらと集まり始める。
 そして始まる空飛ぶデブ猫VS空飛ぶ遮光器土偶。開戦と同時に光線を連射し弾幕を張る土偶に対し、マネギ達は連携行動で対抗する。光線に対し身体を張って囮となる一体、その背後に続いて、回避される前提で突っ込む一体によって敵の弾幕を一時中止させ、エルがアームドフォートでの援護攻撃で土偶の数を減らしていく。
 その繰り返しにより残りわずかとなった土偶は、再度突っ込んできた一体のマネギを避けた先で、複数体のマネギに取り囲まれる。次々と伸し掛かってくるやたらと重い毛玉に動きを封じられた土偶、苦し紛れに放とうとした光線も、残りの土偶を全て片付けてきたエルの拳銃で目を撃ち抜かれたことで放てなくなった。
『――解析完了。該当個体は土偶と判明。』
 システムメッセージめいた無機質なボイスで見ればわかることを言うエル。だが、これが重要な手がかりであった。今まで倒していたのはただの土偶、空を飛ぶ力も、光線を放つ力も持ってはいない。
『個体へ動力の供給を行う統率個体が存在すると予想されます。』
 この推定統率個体を撃破することができれば、ただの土偶は力を失うだろう。犠牲を減らすための重要な情報、エルはこれを他の猟兵と共有するべく、行動を開始するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミーア・レギンレイヴ
あれがかの有名な――埴輪!?……どぐう? そう、ですか(しょんぼり)。

飛行能力があるというのは、オラトリオの私が言うのもなんですが脅威ですね。散会されると収拾がつかなくなります。

自分の身体を使わない攻守の手段はあまり得意ではないのですが……遠距離攻撃、レギンレイヴビーム(ジャッジメント・クルセイドのことらしい)で対応するしかないですね。

飛行(オラトリオって飛んでいいんですよね?)しながら、ビームです。
ビームで相手を攻撃するのです。

レギンレイヴゥゥッ、ビ痛っ!? ちょっと!?技名は言わせてください! 礼儀ですよ!? いいですか!? いいですね!? よし!

レギンレイヴゥゥッ ンビィィィッムッ!!!



 ミーア・レギンレイヴは、空飛ぶ遮光器土偶を前に、衝撃を受けていた。
「あれがかの有名な――埴輪!?」
 違います。
「え?違う?……どぐう?そう、ですか」
 しょんぼりするミーア。そんなに埴輪が良かったのか、土偶じゃダメなんですか?
「しかし、飛行能力があるというのは脅威ですね……。」
 沈んだ状態から気持ちを切り替えたミーアは、空を飛び光線を乱射する土偶を見て呟いた。ミーアはオラトリオ、自身も飛行能力を持つ者であり、空を飛ぶ敵の厄介さは重々理解できる。その上、敵は無数に居る、闇雲に飛んで接近したところで撃ち落とされて終わりだろうと予想できた。
「ここは、遠距離攻撃で対応するしかないですね。」
 方針を決め、後は実行に移すだけ。ミーアはユーベルコード、ジャッジメント・クルセイドを放つべく、翼を広げて空へ飛びあがり――。
「レギンレイヴゥゥッ、ビ――っていったぁっ!?」
 いざ撃たんとしたところで、動きに反応した土偶達の光線をモロに食らった。
「ちょっと!?技名は言わせてください! 礼儀ですよ!?」
 飛んでくる光線を避けながら、知性があるのかすらわからない土偶へぷんすかと怒るミーア。尚も光線は止まらない。
「いいですか!?」
 ミーアの念押しに、えー、でも敵だし。とでも言いそうな動きで顔を見合わせる土偶達。
「いいですね!?よし!」
 怒り続けるミーアについに面倒くさくなったのか、攻撃の手を止める土偶達。これでいいと満足げに頷いたミーアは、再度ユーベルコードを放つ体勢へと移る。
「レギンレイヴゥゥッ ンビィィィッムッ!!!」
 いやに気合の入った叫びと共に放たれるジャッジメント・クルセイド改めレギンレイヴビーム(自称)。律儀に攻撃を止めて待っていた土偶達は、予想以上に規模の大きかった天からの光に、あわれにも反応すら出来ずに消し飛んでいく。
「正義の――勝利です!」

成功 🔵​🔵​🔴​

ティアリス・レイン
村人達をかばい、光線を【武器受け】
「この火事をおこしたのは、アナタたちなの!?」
罪なき人達を襲う姿を見て怒り、真の姿になるよ。

体が光に包まれ10代後半の姿へと変化し、身長が人間と同サイズに巨大化する。
「容赦しないぞ」
相棒の竜をドラゴンランスへと変形させて構えます。

敵の攻撃は【見切り】【残像】で回避。
「遅いな」
囲まれたら、槍で【なぎ払い】ながら華麗な【空中戦】で切り抜ける。
「スピード勝負といこうか?」

【槍投げ】【投擲】で【串刺し】【ドラゴニック・エンド】でドラゴンブレス
「目障りだ」

槍を手放した後エレメンタルロッドで【全力魔法】の雷【属性攻撃】【気絶攻撃】【マヒ攻撃】で捕獲する。
「逃がさないぞ」



 他の猟兵から、遮光器土偶を統率する個体が居るかもしれないとの情報を得たティアリス・レインは、空を飛びながら辺りを見回していた。
「あれは……!」
 するとティアリスの視界に、例によって住民を襲う遮光器土偶の姿が映る。だが、その動きはティアリスが今まで見てきた土偶とは違った。ひたすらに追いかけて光線を撃つだけだった今までとは異なり、住民を追い詰め回り込むように動き、じわじわとなぶって遊ぶように光線を掠らせ、一息で殺さないようにしている、明確な悪意を持った動きだ。
「っあぶない!」
 掠らせていた光線が、ついとどめを刺すつもりで放たれる。間一髪の所で間に割り込み妖精の戦斧で防いだティアリスが、その小さな身体を怒りで震わせると、身体が光に包まれ、小さな身体は人間と同サイズに、武器も合わせて巨大化し、10代後半程度の見た目に変化する。
 その真の姿を露わにしたティアリスは土偶達を睨み付け、相棒たる小竜をドラゴンランスへと変化させ構える。
「容赦しないぞ」
 始まる蹂躙劇、ティアリスは残像を残すほどの素早い動きで土偶達を翻弄し、次々と撃破していく。突撃し、囲まれればなぎ払いで返り討ちにし、光線は確実に見切って避けていく。
 もはや土偶達に勝ち目がないことは明白、それでも向かってくる土偶達だったが、しかしその中で一つだけ違う動きをする個体がいた。ただの土器である土偶達を操り、力を与えていた妖怪・空飛ぶ遮光器土偶の本体である。こそこそと隠れるように戦場を離脱しようとする本体の動きを、しかしティアリスは見逃していなかった。
「逃がさないぞ」
 言葉と共に放たれる投槍、豪速で迫るそれに足を吹き飛ばされた本体だが、遮光器土偶は体の一部を無くすことなどよくあること、大したダメージにはなっておらず、そのまま逃げ去ろうとする。だが、本命は槍ではない。
 GRrrrrrraaaaAAAAA!!!
 街に響き渡る咆哮、ティアリスのドラゴニックエンドによって召喚されたドラゴンは逃げる本体に狙いを定めると、高熱のドラゴンブレスを吐き出した。特別な力を持っていても、所詮元は土偶である本体がそれに耐えられるはずもない。許容できる熱量を越えドロドロに溶かされた本体は、あっけなく地へと還ることとなった。

 本体が倒された瞬間、今まで街を元気に飛び回っていた土偶達は、一斉に力を失い、地面へと落下。ぱりんぱりんと断続的に聞こえる音に、猟兵達はこの突発的な事態の収束を確信するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『荒霊マガツヤマツミ』

POW   :    天焦神火
【周囲一帯を巻き込む大噴火】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    業炎地獄
【火口から放たれる溶岩弾】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を焼き尽くして溶岩地帯へと変化させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    熔熱変生
自身の肉体を【超高熱で流動するマグマの塊】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ツェリスカ・ディートリッヒです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 突発的に現れた空飛ぶ遮光器土偶を見事撃破した猟兵達。
 後はこのまま残る炎を完全に鎮火させるのみなのだが、何か火消したちの様子がおかしい。話を聞くと、火元である街の中央地区が一向に鎮火できないらしい。水をかけても火は消えず、逆に勢いを増して今や近づくことすら難しい熱さとなっているようだ、また、既に燃える物すらなくなっているのに一向に消える気配がない。
 オブリビオンの存在の予感に、猟兵達が現場へと向かうと、ソレはまるで待っていたと言わんばかりに炎の中から姿を現した。
 ――荒霊マガツヤマツミ。それは神話の時代に名を残した火山の化身であり、荒ぶる自然の顕現である。ソレは善悪を持たず、ただそこにあるだけで被害をもたらし、自然の威を示す存在だ。
 オブリビオンとなった今もそれは変わらない。火事を起こしたのも、そこに顕現したから、炎により良い感じに焼いて、妖怪・空飛ぶ遮光器土偶を目覚めさせたのも、本当に偶然である。
 荒霊マガツヤマツミは、元来その意思を示すことはそうない、しかしオブリビオンとなったが故、今や猟兵達を明確に敵と認識している。戦いを挑めば苛烈に反撃されるのは確実だろう。しかしこの敵を倒さねばこの街は永遠に炎に包まれ続けることになる。
 この街の未来は、猟兵達に託されたのだ。
エル・クーゴー
『これより、敵性の完全沈黙まで――』
『――ワイルドハントを開始します』


●SPD
L95式アンチマテリアルライフル、展開
【ロングレンジ・ファイアワークス・ドライブ】、セット

【空中戦】用飛行ユニット展開
半径400m以内で射線確保可能なレンジをキープしつつ、溶岩弾に対し回避マニューバを実行します

ワイルドハント遠距離戦闘担当、エル・クーゴー
狙撃モードに移行します――ファイア
溶岩弾の空中相殺も試みつつ、絶え間ない狙撃による攻勢を掛けます(【スナイパー・誘導弾】)

時には敵足元付近を狙い発砲
敵が当機の狙撃を意に介して位置取りを変える様子が確認出来た際は、敵を敵の有利な立場から遠ざける企図を含んだ発砲も交えます



 立ち昇る炎を背に、地より浮かんだマガツヤマツミは、その山の麓、まるで植物の根のように枝分かれした部位を揺らめかせながら、悠然と佇んでいた。
『ロングレンジ・ファイアワークス・ドライブ、セット』
 L95式バトルスーツの飛行ユニットを展開し、離れた位置よりマガツヤマツミを見つめるのはエル・クーゴー。エルはその表情の伺えないバイザーの裏側で、電脳魔術を行使して周辺地形・環境情報の解析を行っていた。
『――解析完了。』
『これより、敵性の完全沈黙まで――』
『――ワイルドハントを開始します』
周辺情報と対象の判明している情報から総合的に判断し、エルはL95式アームドフォートの数ある追随武装の中から、アンチマテリアルライフルを選ぶ。
『ワイルドハント遠距離戦闘担当、エル・クーゴー』
『狙撃モードに移行します――ファイア』
 互いに動かず、均衡を保っていた状態を打ち破る長距離狙撃。砲声と共に放たれた大口径弾がマガツヤマツミの身体を抉り貫く。
 攻撃を行った瞬間、エルはマガツヤマツミの視線――目はないが。が自身へ向いたのを感じた。その場で総身を震わせたマガツヤマツミは、火口を大砲に見立て、煮え滾る溶岩の弾を放つ。
『回避マニューバを実行――攻勢を継続します』
 マガツヤマツミを中心に円を描くように、左右へ小刻みにバーニアを吹かし、時に空中でロールし、距離を保ちながら溶岩弾を回避していくエル。その間にも狙撃の手を緩めることはない。麓の根が攻撃の前兆のために揺らめけば、的確に撃ち落とし阻止し、そして確実に敵の身体を削り取っていく。
「――……」
 溶岩弾は避けられ、根は動かすことさえ満足にできない。己が不利な状況に居ることを理解し、場を変えようと動き始めるマガツヤマツミ。
『対象の移動を確認、誘導を試みます。』
 周囲には回避した溶岩弾により小規模な溶岩地帯がいくつも出来ている。敵にとって有利なフィールドとなるそこへ足を踏み入れさせないよう、エルは再び攻勢をかけるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミーア・レギンレイヴ
【POW】良いでしょう、我が大楯の一撃で――……いえ。いいえ。
私は、人を、街を守ることに注力します。

悪を滅することがジャスティス? 否です。
人々の生活を守ることこそが我がジャスティス!
オブリビオンを仕留める、華々しき栄誉は他の方にお任せします!

例え私の一撃が相手の根幹を揺らがすことが出来ようとも!
それ以上に、火に焼け落ちる人々の生活を守ることを放棄する理由にはなりません!

……すいません、共に戦ってくださる皆さま。
私は、恐らく皆さまのご迷惑となってしまうやもしれません。
戦力にならない猟兵に、如何ほどの価値がありましょうや……
さりとて、心根を曲げた猟兵もまたこの場にそぐわぬと、我が魂が猛るゆえに!



 ミーア・レギンレイヴは一人、戦場から離れていた。その背には火の手から逃れ、無事なまま残った地区が広がっている。ミーアはマガツヤマツミとの戦闘を他の猟兵に任せ、街の人々の生活を守る選択をしたのだ。
やや遠くから断続的に響く銃声は、荒霊マガツヤマツミと猟兵の戦いが始まった証である。
「(叶うなら、我が大楯の一撃で――……いえ。いいえ。)」
 ミーアは自身も加勢に行きたい気持ちをぐっと抑え、その場でどっしりと盾を構える。
「私は、人を、街を守るのです。」
 悪を滅することが彼女にとっての正義≪ジャスティス≫か?否。彼女にとっては人々の生活を守ることこそが正義≪ジャスティス≫であり、悪を滅することはその手段でしかないのである。
 遠くの空からこちらへ放物線を描き迫る赤く煮え滾る溶岩弾を、構えた盾で受け止め、身を挺して防ぐミーア。仮にミーアがここにいなければ、今の一発だけでも更なる火の手が上がり、鎮火するまでに数棟の建物が焼け、犠牲者も出ていたかもしれない。
「……すいません、共に戦ってくださる皆さま。私は、恐らく皆さまのご迷惑となってしまっているやもしれません。戦力にならない猟兵に、如何ほどの価値がありましょうや……。」
 倒さねばならないオブリビオンから離れ、独断で行う街の防衛行為に、俯き今もマガツヤマツミと戦っている猟兵達へ漏れる謝罪。
「さりとて、心根を曲げた猟兵もまたこの場にそぐわぬと、我が魂が猛るゆえに!」
 叫ぶと共に顔を上げ、溶岩弾や噴石などの流れ弾を見据えたミーアの瞳には、もはや迷いなどなかった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ティアリス・レイン
大人モードのまま、荒神を見据え【勇気】【空中戦】を挑む。
「オブリビオンに堕ちた神よ。我らが猟兵が討伐させていただく」

敵の攻撃は【視力】【聞き耳】で【見切り】高速移動による【残像】や【目立たない】ように気配を消すことで回避し攪乱させる。
「悪いが、当たるつもりはない!」
回避できない時や味方を庇った時は【怪力】で【武器受け】【捨て身の攻撃】で【なぎ払う】
「いま助けるぞ!」

エレメンタルロッドで【全力魔法】による雷【属性攻撃】【マヒ攻撃】【気絶攻撃】【目潰し】で【時間稼ぐ】
「隙を作らなければ」「雷の精霊よ!」

即座に【2回攻撃】で【やり投げ】【投擲】【串刺し】【ドラゴニック・エンド】
「これでどうだ!」


御剣・刀也
ふふふ。ついてるね
また偽物とは言え、神様と斬り合えるんだからな
さて、神様を斬りに行きますか

天焦神火は威力が高く広範囲なので使われそうになって逃げる事が出来るなら逃げる。逃げれないなら突っ込んで発動前に潰す
業炎地獄は火山弾が当たりそうなら斬り捨てるか避けるかして突っ込む。自分に当たらないなら気にしない
熔熱変生で移動しようとしたら行く方向を先読みしてそっちに移動して実体化したら攻撃する
「戦場じゃ俺は死人だ。死人は死を怖がらねぇ。逃げるんじゃねぇぞ?神様よぉ!!


中御門・千歳
荒霊マガツヤマツミねぇ…荒ぶる霊とはまた、随分物騒だねぇ
まっ、あたしぁ、唯々祓うだけさ

仲間の猟兵たちの突撃に合わせ、『式神召喚・具足』を使用するよ
いきな侘助っ、そのやたら迷惑なもんを、ぶった切るんだよっ!

あたしの侘助は野太刀を扱う荒武者さ
真向から敵を切り捨てるよ

敵が攻撃を飛ばしてきたって、わたしゃ動かないよ
良い女ってのは、焦らないものさ

よぉーし錆丸、いい子だ
攻撃をくらっちゃあ、あたしの術も切れちまう
その攻撃を庇ってくれた錆丸は、大百足さ
不気味だって?慣れりゃぁ可愛いもんだよ

*アドリブ絡み歓迎です


白斑・物九郎
只在るだけの自然
コイツが今回の騒ぎの現況っスか

マジでそーゆーヤツだったってんなら、崇めて敬って奉って鎮める方法も現地人的にゃあったのかもですけども――

ソレがオブリビオンなら
ワイルドハントの狩りの獲物ですわ


●WIZ
【野生の勘】を張って敵に相対
向こうの射程攻撃が「どんだけ伸びて・どう飛んで来るか」、余さず気取ってやりますわ

ザ・レフトハンド【属性攻撃】ON
デッドリーナイン、【アイシクルドライブ】!
敵の身体部位が伸び掛かって来たら、この氷属性の左腕で捉えて極める【グラップル】を試みまさ

狙いは凍らせてガッチガチ
なんならマグマも固めてガッチガチに
極めたら体重を掛けて姿勢ごと倒してヘシ折りに行く【2回攻撃】



 ●
「荒霊マガツヤマツミねぇ…荒ぶる霊とはまた、随分物騒だねぇ。」
 中御門・千歳(死際の死霊術士・f12285)の視線の先には、移動を続けながらも溶岩弾をまき散らし続ける火山の化身の姿。
「ふふふ。ついてるね、また偽物とは言え、神様と斬り合えるんだからな。」
不敵な笑みを浮かべる御剣・刀也は、己の得物である日本刀『獅子吼』を構える。
「まっ、あたしぁ、唯々祓うだけさ。」
 千歳は『式神召喚・具足』により召喚された己の式神、髑髏顔の鎧武者・侘助を前へと。
「オブリビオンに堕ちた神よ。我らが猟兵が討伐させていただく。」
 真の姿を晒したティアリス・レインが先頭に立つ。
 平時と変わらぬ者、喜ぶ者、気高く振舞う者、火山の化身たる荒霊マガツヤマツミに対し、それぞれ三者三葉の反応を見せるが、その目的は同じだ。一気に距離を詰めての接近戦――即ち、突貫である。
 ティアリスは空から、刀也と侘助は地上から、三人(内一人は式神だが)はマガツヤマツミを狙い、駆け出した。

 ●
「――……」
 新たな猟兵の登場に、マガツヤマツミが反応する。
「悪いが、当たるつもりはない!」
 三人の内、空を行くティアリスは飛んでくる溶岩弾の軌道を的確に見切り、危なげなく避けながらも、エレメンタルロッドから迸る雷を放つ。だが、ティアリスにとって全力の魔法と言えど、相手は火山の化身である。山に雷が落ちようと、山にとっては大したダメージにはならないように、魔法は行動を妨害し鈍くする程度の効力しかない。しかし、この場ではそれで充分だった。
 「戦場じゃ俺は死人だ!俺たち死人は死を怖がらねぇ。逃げるんじゃねぇぞ?神様よぉ!!」
 続いて飛び出してきた刀也と侘助は、溶岩弾に当たることを恐れず、スレスレで避けながら、最短コースでマガツヤマツミへと突撃する。
 迎撃として、マガツヤマツミが根のような部位で近づく猟兵を串刺しにせんと繰り出してくるが、ティアリスの雷魔法によりその動きは鈍く、命中には至らない。
「ォォォオオオッ!」
 野太刀を上段に構えた侘助が、唸り、雄たけびを上げ、力任せに振り下ろす。山体を強引に削り飛ばされ怯んだような動きを見せたマガツヤマツミに、刀也の剛剣が、ティアリスの槍が、ドラゴンブレスが次々と襲い掛かった。

 削られ、穿たれ、ボロボロになったマガツヤマツミが総身をぶるぶると震わせる。
「まずい、逃げろ!」
 刀也が叫んで身を翻した直後、マガツヤマツミは、火山の化身は、その火口を爆発させた。吹き出すマグマ、降りかかる無数の噴石、大噴火により巻き起こる自然の暴威が、周囲一帯を巻き込み侵食していく。
「よぉーし錆丸、いい子だ。」
 術に集中するため飛んできた噴石に対して、無防備だった千歳を『式神召喚・具足』第二の式神、鋼の大百足・錆助がその身を挺して守り、すんでの所でその怪力で以て侘助を回収し、回避に成功していたティアリスと刀也が戻る。
「しっかし、振り出しに戻っちまったねぇ。……いや、ちょいと厳しいかね。」
 千歳がぼやいた通り、状況は接近からやり直しと、最初に戻っていた。だが、たった今の噴火によりマガツヤマツミの周囲はマグマに満ちており、接近するのは以前より厳しくなってしまっている。
 どうしたものかと頭を悩ませる暇を、しかしマガツヤマツミは与えてくれない。自身の身体を流動するマグマに変化させたマガツヤマツミは、体を無数の槍のような形状に変え、自身に有利なフィールドから一方的に攻撃してくる。まさに荒ぶる自然の面目躍如、その攻撃の苛烈さは凄まじく、凌ぐのが精一杯な猟兵達。

「おー、コイツが今回の騒ぎの元凶っスか。マジで神様とか、そーゆーヤツだったってんなら、崇めて敬って奉って鎮める方法も現地人的にゃあったのかもですけども――」
 そんな中、遅れて戦場へと到着した白斑・物九郎が言う通り、神話の中のマガツヤマツミは崇め、敬い、奉られ、様々な方法で鎮めようと試みられてきた。どれも確実ではなく、信頼性に欠けるとはいえ、もしかしたら戦わずに鎮めることもできたかもしれない。だが――
「ソレがオブリビオンなら」
 猟兵が倒すべきモノであり、何よりも。
「嵐の王(ワイルドハント)の狩りの獲物ですわ。」
言うと同時に、左腕の刻印が蠢く。
「ザ・レフトハンド【属性攻撃】ON」
「デッドリーナイン、【アイシクルドライブ】!」
 拡大する刻印は次第に冷気を纏い、やがて触れる物を凍らせる魔の手へと変貌を遂げる。準備が整ったとばかりに、間髪入れずマグマの槍の中へ飛び込む物九郎、その尖りに尖らせた野生の勘は短期的な未来予知じみた能力を発揮し、変幻自在の伸縮性に緩急入り混じった速度で繰り出される攻撃の雨の中を、まるで散歩に行くかのような気楽さで歩いて行く。

「そいつァ甘いってもんですわ。」
 中々当たらないことに業を煮やしたのか、他の猟兵への攻撃の手を緩め、複数の槍を同時に突き出すマガツヤマツミの攻撃を、しかし物九郎は軽くあしらい、さらには左手で掴んだマグマの槍を中心に、突き出された槍を纏めて凍らせる。
「お、こいつは今の状況にはおあつらえ向きって奴じゃねーですかよ?」
 物九郎としては勘で適当に掴んだ槍だったが、周りを巻き込んで凍った槍は橋のような形状になり、マガツヤマツミへの道を作り出していた。
「おたくらも使いなさいや、渋滞は勘弁ですがよ。」
「助かったぜ。今度こそ、神様を斬りに行くとしようか。」
 手頃な凍った槍に体重をかけ、へし折って武器とした物九郎に続いて、刀也と侘助がマガツヤマツミへと続く氷の橋を駆けていく。当然妨害として残った槍が襲い来るも、空を飛ぶティアリスがドラゴンランスで打ち払い、打ち漏らしは先頭を進む物九郎が手当たり次第に凍らせていくことで突破、最後の抵抗として放たれた溶岩弾は侘助が野太刀で弾き飛ばし、ガラ空きの本体に、刀也の渾身の剛剣が振り下ろされ――
「こいつで――終いだっ!」

 ●
「ヒィッヒッヒ、こりゃそろそろ終いかねぇ。」
 戦闘開始時から一歩も動かず、術に集中していた千歳が終わりを確信して笑い、顔を上げる。そこにはもう、聳え立つ火山も、マグマの海も、凍った槍もない。
 荒ぶる自然の顕現、火山の化身たる荒霊マガツヤマツミは、見事討滅されたのだ。

 こうして街を襲ったオブリビオンによる大火は消え、平穏を取り戻した。
 多くの燃えて失った物を取り戻すまで、人々にとって苦しい生活が続くことになる。
 しかし、きっと彼らは最後まで復興をやり遂げるだろう。
 その脳裏には、懸命に自分達を救ってくれた猟兵達の雄姿が焼き付いているのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月28日


挿絵イラスト