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砂塵招来

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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●拠点(ベース)まで物資を運べ!
「アポカリプスヘルで、皆さんの力が必要であります!」
 ピウ・アーヌストイト(ちんまい大家・f24841)は猟兵達へ呼びかける。

「皆さんには、私が指定した拠点まで多くの物資を運んで欲しいでありますよ」
 他世界とは違い、アポカリプスヘルでは常に、生きていく為に必要な物が不足している。
 そう、世界間のテレポートを活用すれば、他世界の豊かさをこの世界に分けることが可能だ。
「そこで、皆さんの出番であります!」
 ただし、他世界から多くの物資を運ぶだけで、猟兵の仕事は終わらない。
 なぜなら――。
「他世界から大量の物資を運ぶ事によって、『アレ』が発生してしまうから。であります」
 『アレ』とはすなわち、『オブリビオン・ストーム』の事である。
 『オブリビオン・ストーム』が発生する前提で、猟兵達が物資を運び――。
 必ず出現するであろう、大量のオブリビオンに猟兵達は臨機応変に対処する事が求められる。
 猟兵の仕事は多い。

「目的の拠点まで、運ぶ事までが仕事であります!運び終わった後は自由でありますよ。その拠点ではお守り作りがブームとか.......」

 まだまだ、話は続く。
「改めて、依頼の内容を説明するであります」
 ピウは、『オブリビオン・ストーム』が発生しても問題のない場所――『他世界からの物資を大量に、安全に置ける場所』について予知した内容を猟兵達に伝える。
「その場所は『冷凍刑務所』であります。人は住めませんし、食料の一時的な保存にもピッタリ!であります」

 『冷凍刑務所』とは――。
 かつては多くの罪人が放り込まれ、刑期が終わるまで冷凍保存されていたという、身も心も凍るような刑務所の事である。
 現在は、システムの故障により、見境なく全ての部屋と通路が死ぬほど凍りつき、警備用ロボットが様々な意味で、刑務所内を清潔に保っている。
「どうやら、罪人ごと冷凍保存装置はロボットに片付けられてしまったようであります」
 幸か不幸か、衝撃的な光景もオーバーテクノロジーも、その目で見る事はなさそうだ。
「実は……刑務所は地上ではなく、地下にあるようで――。とても寒いかと!そこにいきなり転移させます!ごめんなさい!頑張って欲しいであります!」

 まずは、猟兵達を『冷凍刑務所』内にテレポートさせるが、そこで身の安全、物資を一時的に保管する場所を同時に確保して欲しい。そういう事である。

「その後はきっと、『オブリビオン・ストーム』が発生するであります!ささっとオブリビオンを倒して、シュバッと地下に置いた物資を、地上の拠点まで運ぶでありますよ!」
 一度、地下に運んで、オブリビオンと戦って、地下に集めた物資を地上の拠点に運ぶのは重労働に違いない。
 しかし、アポカリプスヘルは求めている。飢えている。
「皆さんなら絶対、できるであります!」


蛙柳
 初めまして、蛙柳(ありゅう)と申します。
『注意』章の幕間を投稿してから、プレイングを受け付けます。
『第1章』
 物資の世界・種類・量・運び方と安全な場所を確保する方法をプレイングに書いてください。
 物資は食料でなくとも大丈夫です。凍った物は全て『第3章』でいい感じに解凍されたり、保存されたり。
 スタートは物資を運んだ状態で、寒い地下に転移した所から始まります。防寒対策はしてもしなくても大丈夫です。
 一言、「防寒対策する」だけでもOK!
 通路は広く、バイクや車も走れます。地上に出る時はみんなまとめてエレベーターに乗れますが、詳細は省きます。

『第2章』
 物資の安全は気にせず、オブリビオンの集団と戦ってください。

 以下、蛙柳のMSページから抜粋。
 ギリギリの戦闘を楽しみたい方は―。
 🔴⋯成功判定でも、スリルがありつつ成功した結果になります。
 苦戦描写が苦手な方は―。
 🔵⋯苦戦判定では、危険が少なくとも苦戦した結果になります。
 上記の記号をプレイングの文頭にお使いください。

『第3章』
 なんやかんや物資を地上の拠点に届けて、お守りを作ります。お守り以外にやりたい事があれば、どうぞ!
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第1章 冒険 『冷凍刑務所』

POW   :    人型警備ロボットに直接戦いを挑む。

SPD   :    囮となり、刑務所内を駆け回る。

WIZ   :    刑務所の防犯システムにハッキングを仕掛け無力化を試みる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●嵐の前の静けさ
 その場所に生きた人の姿はなく、決まった経路を無機質なロボットが徘徊する足音が響くのみ。
 天井の装置からは、異常な冷気が吐き出され、わずかな体温を奪っていく。意識が遠のく感覚に、何かしなければ、遅かれ早かれ永い眠りについてしまう事を予感するだろう。

 このままではいけない。
 体を激しく動かして、温めた方がいいかもしれない。
 いっそ、刑務所のシステムを乗っ取り、冷房の温度を操作してしまうのもアリかもしれない。

 一刻も早く、持ってきた物資を置ける場所を見つけなくては――。
箱庭・山岳
【WIZ】
持ち込むのはスペースシップワールド産の小型水分凝集機。
周辺大気中の水分を集め、飲用水の形でタンクに貯める。

【バウンドボディ】で触手を伸ばし「超柔軟テクノファイバー」で天井の冷房設備を「ハッキング」。最優先で行うのはこの部屋の温度管理で18℃に。

物資の保管と搬入・搬出に適した部屋を探し、現在地からその部屋に至るまでのルートと、その部屋から搬出のためのルート以外の通路を遠隔操作で可能な限り封鎖して、徘徊するロボットの増援が来ないように&猟兵達が迷わないようにする。

余裕ができれば冷凍刑務所全体の気温を18℃前後になるように設定変更。
保管場所の設定は冷蔵庫並みの4℃で良いだろうか。




「我なら……届く高さだ」
 ゆらゆらと天井に触手を伸ばしているのは箱庭・山岳(ブラックタールのウィザード・f02412)だ。

 天井の冷房設備を目指して、触手は伸び続ける。装置に近づくにつれて、強くなった冷気を浴びて、触手の動きもぎこちなくなってくる……頃には――。
「よし、このシステムの問題を解いてやる」
 緻密で繊細な侵入者は、招かれた客人のようにセキュリティの扉を揚々と解放していく。
 これが、自慢の武器による山岳のハッキングだ。
 周辺を警戒するが、警備用ロボットが駆けつけてくる様子もない。
「これなら、やれるな」

 刑務所のシステムは大人しく、山岳からのハッキングを受け入れている。暖かい光を待ち構えているかのように。氷が溶けていくかのように――じわじわと侵食し、システムを読み解いていく。
 ――時は満ちた。

「まずは、ここの部屋の温度を18℃に設定するのが最優先だな」
 山岳の思考に冷凍刑務所のシステムは応える。現在、彼は冷凍刑務所の仮の主だ。
 天井で冷気を吐き出していた装置は、段々と勢いが落ちていく。強烈に吹きつけていた吹雪の如き、轟音が嘘のよう。

 次は、山岳が持ってきた小型水分凝集機を置く場所を探さなくてはいけない。
 コレが置ける場所とは……。悩む山岳に冷凍刑務所のシステムは、そこまでの道筋を指し示した。
 異次元の電脳空間を介し、冷凍刑務所の地図が平面的なマップとして、目の前に出力される。
「我がいるのは地下1階という事だな。と、なると……」
 明確なイメージが冷凍刑務所の開閉装置を突き動かす。突如、閉まった扉に激突するロボットもいたが、何事もなかったかのように、袋小路でパトロールを再開する。
 ロボットがどの経路を辿っているのか、色付きの光の点でロボットの居場所が明らかになっていた。
 山岳はパズルのように刑務所のシステムを操作して、物資の保管・搬入・搬出に適した安全なルートを作りだした。

 後からやって来る猟兵の事も忘れてはいない。ある程度のロボットを部屋に閉じ込め、シンプルな道ができあがっている事だろう。

「この水分凝集機があれば、水に困る事も少なくなるはずだ」
 『スペースシップ』からやって来た、小型の水分凝集機は周辺大気中の水分をタンクに集めて、飲み水にする事ができる優れ物だ。
「全ての部屋と通路の冷気が弱くなるまで、まだまだ時間がかかりそうだな……」

 『冷凍刑務所』は広い。まだまだ手付かずの部分もあるだろう。

 山岳は4℃に調節した保管場所に小型水分凝集機を置き、最初の一仕事を終えたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

カナヅ・シモア
【SPD】
空っ風に砂埃、喉はカラカラで娯楽もナシとくりゃ、必要なのはやっぱ酒だろ!ってことで運ぶのは口に入れると酒になる、スペースシップワールド産のアルコール・ドロップ!固形だからケースに詰めて、100リットルくらい持っていくか。

まずはド派手に暴れて安全確保……いや、配線や管でも壊すとマズいか。
おし、ここは【バウンドボディ】で伸ばした体の一部を何かに引っ掛けーの、後ずさりーの、一気に縮んでカッ飛ぶ!んで、ロボットを弾き飛ばしながら進む!
あちこちに跳ね返されるだろうから、俺自身もどう動くかは分かんねえ。荷物だけはなるべく守るようにしっかり掴んどいて、手頃な場所に着くまで根気勝負だな。




「持つべき物は酒!今持っていくからなあ、待ってろよぉ!」
 ロボットの目に飛び込んできたのは謎の侵入者X。
 カナヅ・シモア(ブラックタールのバーバリアン・f09773)の残像であった。

 時は少し遡る――。

 寒さに負けじと、丈夫なケースを片腕でブンブンと振り回す男がいた。
 カナヅが持ってきたケースは、少し乱暴に扱った所で傷一つなく、中身が錯乱する事もない。
 その中身は――。

 『スペースシップワールド』では、ポピュラーに嗜まれている嗜好品。
 アルコール・ドロップ。

 普段は飴として持ち運べるが、子供の食べる物ではない。
 その名の通り、口の中でジュワッと溶けて――喉にカアッとくる、大人の嗜好品。酒である。

 見た目は子供。中身は大人。とはまさにこの事だ。他にも、永い宇宙船生活で飽きないよう、工夫がされている。
「色んな味があるんだよな〜」
 ウンウン、とカナヅは同じ世界から持ってきたケースを見て、唸るように頷く。

「絶対喜ぶぞ……!」
 思い浮かべるのはアポカリプスヘル――空っ風に砂埃、喉はカラカラで娯楽もナシとくりゃ、必要なのは――。
「やっぱり酒だろ!」
 このケースを持っているだけで、まだ見ぬ住人や旅人達の笑顔が、驚く顔が容易に想像できた。

 上機嫌なカナヅに、水を差すモノが視界に映る。
 人型の――警備ロボットだ。こんな『冷凍刑務所』に守る物なんて、あるのだろうか?

 こちらに背中を向けているとはいえ。
 堂々と目の前を歩いていけば、見つかってしまうだろう。だからって、コソコソするなんて――性に合わねえ。

 ここは、思いっきり――。
 ド派手に行こうぜ。

 人型ロボットの背後に忍び寄る者がいた。にゅっと伸びたナニカが胴体に巻き付く。気づいても、もう遅い。
「おらああっ!!」
 ロボットの頭が床に叩きつけられ、めり込む。決まったのは――ジャーマンスープレックス。
 カナヅの柔軟なボディにできぬ技はないだろう。

 騒ぎを聞きつけて、わらわらと人型の警備ロボットが集まってきた。
 その群れはまるで。自分の酒を求めて列を成す人々のようにも見えてくる。
「そんなに欲しいかっ!俺の酒が!」

 このまま暴れ回りたいが――、あちこち壊して最悪、停電になるのはマズイ。酒だって不味くなる。
「よーし、待ってろ……」
 通路のド真ん中――めり込んだ『Y』のようなロボットの両足。どこまでも伸びる、伸縮自在な己自身。

 2つを『パチンコ(スリングショット)』と『紐付きの弾』に見立てて、名状しがたい腕を伸ばし――弾となった自分をぐぐぐ……と後ろに引く。精一杯引く……!

「待たせたな。でも、残念。お前らの物、じゃ、ねえ」
 喋る余裕もなくなるくらい、グイグイと引いていく――。
「その代わりと言っちゃなんだが、お前らにはとびっきりのを――」
 一気に縮んで……カッ飛ぶ!
「くれてやらぁ!!」

 カナヅに当たって吹っ飛んだロボットに当たり、更にロボットが吹っ飛ぶ。負の連鎖をお見舞いしてやった。
 ここまでが、カナヅが思い出せる一部始終である。

「ふぅ〜、一件落着……」
 ずっと掴んでいたケースの無事を確認し、一息つく。

 あの中には……100リットル程のアルコール・ドロップが入っている。
「一粒くらい……いや、駄目か」

 味を思い浮かべると、さっきの騒ぎまで思い出してしまう。飲むまでもなく、満面の笑みが輝いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

セシル・ローズキャット(サポート)
『神様なんていないわ』
『あなたみたいな人、嫌いよ。だからここで終わらせるの』

 ヴァンパイアの父と修道女の母に大切に育てられた、ダンピールの少女です。
 母が同じ人間に迫害されてきたため神を信じず人間嫌いな性格ですが、猟兵としての仕事には真剣に臨みます。
 普段の口調はやや大人びた感じですが、親しみを覚えた仲間に対しては「ね、よ、なの、なの?」といった子供らしい口調で話します。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、依頼の成功を目指して積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはマスターさんにおまかせします!


キア・レイス(サポート)
大得意 隠密・潜入・暗殺・遠距離攻撃・籠絡
得意 偵察・探索・支援・制圧・集団戦・時間稼ぎ
不得意 目立つ・コミュニケーション・ボディタッチ・格闘戦
特技(アイテム装備時)ピアノ演奏・歌唱・二輪車操縦

幼い頃から吸血鬼に飼われていた奴隷
吸血鬼の魔力を少量ながら持ち一部UCはそれを元に発動している
現代火器による戦闘と斥候・諜報・盗賊行為が得意な他、色香を使った誘惑が得意技
反面普通の人と関わったことが少なく踏み込んだ会話が苦手、他に不用意に身体を触られると不快感を覚え一瞬身体が動かなくなる

アドリブ歓迎
UCや装備品の説明文は読んで頂くと書きやすいと思います
また一部UC使用時の口調は覚醒時を使用してください




「あなたもダンピール?」
「ああ……そうだ」
 妙な親近感を覚え、セシル・ローズキャット(ダンピールの人形遣い・f09510)は目を瞬かせる。
 興味という感情を感じ取り、キア・レイス(所有者から逃げだしたお人形・f02604)は『待て』と手で制した。
「あまり近づかないでくれ……頼む」
 ああ、このコもきっと……。
「そう、分かったわ」
 仄暗い想像にセシルの瞳は闇を抱く。どこまでも澄んだ青い瞳は神を知らない。信じない。
「セシル?どうした」
「いいえ、なんでもないわ」
 どうやったら、子供がこんな目をできるのか……。いや、今ここに集う瞳は――みな、同じ目をしているのかもしれない。

「私は『ダークセイヴァー』から、干し肉を持ってきたわ。あなたは?」
「同じ世界から――ろうそくを持ってきた」
「それもいいわね」
 火事を起こさなければいいのだが。とキアは呟く。
 例え、ボロでもライターが使えれば、アポカリプスヘルの夜を照らす灯火となるだろう。
「さて、この『冷凍刑務所』でどう動くべきか……。セシルはどう思う?」
「そうね。ここにダンピールが2人もいるんだもの。鬼ごっこはどうかしら?」
「鬼ごっこ……?」
 セシルからの思いもよらない提案に、キアは目を見開いた。

「こっちよ」
 ぬいぐるみを抱えた少女が、ロボット達の前に躍り出る。
 標的となる事も厭わず、彼女は淡々と告げる。当然、人型のロボットは彼女を捕らえようと駆け寄っていく。
 ダン!無機質な床を蹴る音が響いた。
「こっちだ」
 ロボット達の背後に現れたのは、眼帯と首輪を着けた女性だ。銃を構えてはいるが、撃つ事もせず背を向けて走り去っていく。
 どちらを追いかければいいのか……。ロボットが迷っている間には――すでに、セシルの姿はない。
 何体かのロボットは新手の侵入者に目もくれず、少女を追いかけてはいたが、どうやら撒かれてしまったようだ。
 残りのロボットは愚直にキアの後ろ姿を追いかけていく――。

「ここが行き止まりのようだな」
 突き当たりの壁に追い詰められたキアに逃げ場はない。
 観念しろ――といわんばかりに、ロボット達はじりじりと距離を詰め寄る。
「だが、諦めた訳ではないぞ?」
「ええ、そうよ。キア――私がやるわ」
 壁のように並んだロボット達の向こうから可憐な声が聞こえる。またまた、背後を取ったのは――セシルだ。
「優しさがなければ、守りたい者はできない。でも、力がなければ守れない……私は闘うわ」
 守りたいモノを守る為に――。決意したセシルの対の瞳が妖しく、紅く光る。
「ああ……なんて綺麗な瞳……」
 踊るようにロボットと死闘を演じる小柄なヴァンパイアの姿に、キアは恍惚とした溜め息を漏らす。
 あの小さな体に、凶暴性を秘めている。それがとても……。
「いや、違うな。私も戦わなくてはならんな」
 夢から、現へと目を覚ましたキアはこちらも――と人型の警備ロボットを喚び出す。
 盾と短機関銃を持ったキアの警備ロボットと比べて、『冷凍刑務所』の警備ロボットは警棒だけだ。装備で押し負ける事はない。
 更に、セシルとキアの挟み撃ちにより、一方的な戦いは苛烈を極める。

 最後の1体が、銃の集中砲火により足を潰され、その隙を逃さずセシルが一撃を喰らわせた。
 壁にぶつかったロボットは、不快な機械音――雑音をあげ、機能を停止する。
 快勝だったにも関わらず、セシルの息遣いは荒い。まだまだ、少女には消耗が激しかったようだ。
「セシル!大丈夫か!」
「ええ……私は、だい、じょうぶよ……」
 人との接触を避けているキアに体を支えて貰う訳にはいかないと、セシルはぬいぐるみをぎゅっと抱きしめ、力を振り絞る。
 その気遣いに痛ましいとキアは眉尻を下げる。
「すまない……。先に行く」
 不器用ながらも、セシルの代わりに物資を置く場所、休められる場所を探しに行くようだ。
 キアの警備ロボットは、セシルを守るように囲んでいる。
「ありがとね……キア」

 情報収集に長けた彼女ならば、すぐによい場所を見つけられる事だろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鈴木・志乃
UDCアースから冷凍した烏骨鶏の卵をトランク一杯に詰め込んで、自前のヒーローカーに詰めるだけ積む。他に乗る人もいないし、助手席も後部座席もパンパンにしちゃう。
伝説の霊鳥が生む完全栄養食品舐めんな(真顔)

通路広くて車走れるんでしょ? いやほんと良かったよ!
このヒーローカー水陸空ぜーんぶ走れるんでね、当然防寒対策も完備(アド連歓迎。あらかじめ防寒用に武器改造済。)
と言ってもコキュートス並に冷えるだろうから、高速詠唱でオーラ防御も展開して、と。さぁ一気に駆け抜けるよ!

UC発動。多少ぶっ壊れてもヒーローズアースに帰ってから補修すればいい!
卵は念の為衝撃吸収材埋め込んでるから気にしない!
かっ飛ばすぞ!!


暮陽・黎明(サポート)
アドリブ連携歓迎
不自由を嫌う少女。気の赴くままに自由にマイペースに過ごす。結構楽観的

必要に応じて第六感、情報収集、世界知識、変装、迷彩、パフォーマンス、目立たない、礼儀作法など、技能をフル活用。
必要ならxPhoneによる調べ物なども。
所謂冒険者とかちょっと力のある人でも倒せるような雑魚相手にはなるべくUCは使わず妖刀『魔魂餐』か薙刀『天之必多棍』で技能を駆使して撃破。
ただしUCを使う必要がある場合は躊躇わない。

三貴神召喚は最後の手段。神頼りだと疲労とか凄いことになるので後のことを考えて。
太陽(熱や炎、光)や月(魔術的なものや闇)、海(水が関連するもの)に置いては使うことも厭わない。




「いやー、道が広くて良かった、良かった!」
 寒々しい通路をヒーローカーが走る。その運転手は鈴木・志乃(ブラック・f12101)だ。
 車の窓が霜に覆われそうになるが、一瞬でクリアな視界を取り戻した。
 寒さなんて関係ないと言わんばかりの志乃の笑顔と、快適な車内を圧迫するトランクがあらわになる。トランクの中には『UDCアース』から持ち込まれた烏骨鶏の卵が、衝撃吸収剤と共に大量に詰め込まれていた。
 それを持ち込んだ理由とは。
「伝説の霊鳥が産む完全栄養食品舐めんな……」
 真剣な顔で志乃は呟く。そのまっすぐな瞳には、冷めきった心を溶かすような熱意が込められている。気がした。

 所々、戦闘の痕跡や足跡はあるものの。タイヤ痕はなかなか見つからない。
「まあ、普通の車じゃ走れないから仕方ないね……。でも、このヒーローカーならね」
 水陸空全て走れるだけでなく、防寒対策も完璧である。志乃にとって、自慢のヒーローカー。
 その名にふさわしく、志乃というヒーローが乗っており、ヒーローカーはこの依頼では主役級の存在だ。
「でも、外は本当に寒そ……。コキュートス並に冷えるなら、マズイかも……」
 しかし、そこで止まる志乃ではない。
 一度、息を吸うと志乃の軽やかに弾む声により、紡ぎ出された鉄壁の守りの力が志乃が乗るヒーローカーを包み込む。
「……さぁ! 一気に駆け抜けるよ!」
 凍結した道を無理矢理突き進む事で、氷とタイヤの甲高い摩擦音が響く。
「あれ? 悲鳴……じゃなくて、氷の音だよね? 気にしない、気にしない」
 何か違和感を感じたようだが、志乃のヒーローカーの前に立ちはだかる警備ロボットの群れの手前、すぐに気持ちを切り替えた。
 より強く、より深くアクセルを踏む為に、志乃は更に足に力を入れる。
「かっ飛ばすぞ!! ――」

 時にぶつかり、押し合い、轢き潰す。まるで、ヒーローカーと警備ロボットの力を試すような機械的でバイオレンスな戦いが続いた。
 スクラップとなり、四肢がバラバラになった人型警備ロボット達が無惨に転がっているが、志乃のヒーローカーも無傷ではない。
 正面にかすり傷がついている部分もあれば、大きくへこんでいる部分もあった。
 やりきった気持ちと、あちゃ〜という気持ちが混同し、苦笑いを浮かべる志乃に声をかける者がいた。
「派手にやったなー。おーい、大丈夫かー? ベッコベコじゃねーのー」
 ヒーローカーの上から三対の翼を広げ、華麗に舞い降りた暮陽・黎明(瑠璃色に染まる空の果へ・f00383)がヒーローカーの窓を叩き、志乃に声をかけてきた。
「えっ! な、なんで!?」
 マイペースに登場した黎明に志乃は驚く。すかさず、志乃は窓を開放した。鋭い冷気を顔に浴びて眉を顰める。
「なんでって、今まで上に乗ってたからさ。こんな所で飛び続けたら翼が凍っちまいそうだろー?」
 やって見なきゃ分からないけど。と黎明は一言を付け足した。
「へ、へぇー」
「歩かなくて楽だったのに。急にスピード出すからさー。びっくりしたけど。ま、世話になったし、体が温まってきた気がするから、そろそろやるかー」
「そうか、あれは気のせいじゃなかったんだ……」
 志乃は確かにあの時悲鳴らしき声が聞こえたと思い返していた。
「後は私に任せていいぜー」
「じゃあ、任せちゃおうかな」
 突如、現れ意気揚々としだす黎明に呆れながらも、その身から溢れる戦意を信じた志乃は、手を振り黎明を送り出す。
 黎明は薙刀を手に警備ロボットの生き残りへ、駆け抜けるかと思いきや……。
 足を止め、背後へ振り返る。
「私の勇姿を見といてくれよなー」
「はいはい」
 ちぐはぐながらも、反発し合う事のない二人であった。

「そーれっ! 遅すぎる、んだぜっ!!」
 上空からの攻撃に警備ロボットは手も足も出ず、地に伏した。頭を踏みつけては飛翔する。黎明が空を舞う度に警備ロボットの体は宙を舞い、硬い音を立てて転がっていく。
「この調子なら、問題はなさそうだね」
「おおっ! その通りだぜ! ガンガンいくぞー」
 見るからに楽勝であり、黎明にとっては余裕であった。戦いの最中、二人が会話を始める事はそう遅くはなかった。
「ねえ、何を持ってきたの?」
「それは、ヒミツ。だなー」
 話しながらも黎明の薙刀さばきは止まらず、冴えている。
「なんなんだよ、それ! 気になるね」
「てやっ! まー、見てからのお楽しみってヤツだぜー」
 片手間に志乃をからかい、多節棍化した薙刀を器用に操り、黎明を囲む警備ロボット薙ぎ払って吹き飛ばした。
「障害物は……なくなったみたいだね」
 志乃の声に応えるように、高く長い薙刀で地面を突く。
「いよっ! これでおしまいだぜ! 空が恋しいなー」
「地下、だからね」
「この薙刀で天井を突き破っちゃダメかねー」
「いや、さすがにやら……ないよね?」
 実際にやるかどうかはともかく、黎明の薙刀の先は天高く、空があるべき方へと向いていた。刃のように、志乃のヒーローカーの傷跡が煌めいた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『走るゾンビの群れ』

POW   :    ブルゾンビ
自身が戦闘で瀕死になると【屈強な走るゾンビ】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    群がるゾンビ
自身が【食欲や飢餓感】を感じると、レベル×1体の【走るゾンビ】が召喚される。走るゾンビは食欲や飢餓感を与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ   :    獰猛なゾンビ
【噛みつき】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 冷凍刑務所を攻略した猟兵達一行。地上ではたちまち現れた『オブリビオン・ストーム』が大暴れをしていた。その様を現在、地下にいる猟兵達が目撃する事はない。
 しかし、異変は地下にも伝わっていた。天井がにわかに騒がしくなり、張り巡らされた配管が震える。
 途端に配管は、逆くの字に折り曲がった! 朽ちた天井から吐き出されたのは冷気ではなく、腐ったゾンビの群れ。にちゃにちゃと生々しい音を立てて落ちてきたゾンビはゆっくりと立ち上がり、こちらを見ている。
 オブリビオンの襲撃だ! 火の粉を払う為に戦え、猟兵!
カナヅ・シモア
許さねえ。
ここはな、この世界の奴らの為のモンだ。てめえらが荒らしていい所じゃねえ。
……いや、それよりも、だ。

わざわざ壊さねぇよう気い使ったってのに台無しじゃねえか!!
おまけにオレより派手な登場しやがって!万死に値するぜ、何度死んだか知らねえがな!

つっても、直接殴るには数が多いからな。ここは広い場所まで誘導してから、思いっきり斧を振り回して薙ぎ払う!
狙いはつけにくいが、出来るだけ上半身を狙う。運がよけりゃそれで終い、違ってもナメクジみてえに這いずるしかできねえって訳だ。

増えようが増えまいが関係ねえ!速くて重いオレの大斧で丸ごとゾンビミンチにしてやるぜ!




「許さねえ……」
 それはまさしく「冷気」。カナヅ・シモア(ブラックタールのバーバリアン・f09773)の低く這う声が響く。
 視覚も聴覚もあるのかすら分からないゾンビ達の視線を独り占めにしたカナヅは言葉を続ける――ゾンビ達が居る方向へと指を指す。
「ここはな、この世界の奴らの為のモンだ。てめえらが荒らしていい所じゃねえ」
 パラパラと落ちてきた土と塵がカナヅとゾンビ達の間に積もっていた。一本線を描く塵埃は、まるで生者と死者の境界線のようでもある。
「……いや、それよりも、だ」
 カナヅの話も聞かず、動き始めるゾンビ達にカナヅの怒りは頂点に達した。
「わざわざ壊さねぇよう気ぃ使ったってのに台無しじゃねえか!! おまけにオレより派手な登場しやがって! 万死に値するぜ」
 両手をオーバーに高く振り上げ、廃れた刑務所内がビリビリする程に大声でまくし立てる。
 やっと冷静になってきたのか、近づいてくるボロボロなゾンビ達を一瞥した。
 もちろん、服は全員ボロボロで白目を剥き、至る所に乾いた血がこびりついている。散々な死に方をしたのは明らかではあるし、世の中にはどんな死に方があるのか。知るのには丁度いい見本だ。
 更に、躍動感溢れる活きのいい貴重な資料である。
 一度、冷静になった頭で考えたカナヅは、ヤケクソ気味に戦いが始まる合図を告げた。
「何度死んだか知らねえがな!」

 一方的なカナヅの蹂躙が始まると思いきや、自身に有利なフィールドへ誘導する為――走るゾンビ達に背を向け、カナヅは巨大な斧を担ぎながら走る。
 ゾンビ達に地の利などという概念が分かるはずもなく、疑う事なくカナヅを追いかける。飢えたゾンビ達には走る事しか能がない。
「よしよし、来てる、来てるな!」
 カナヅの策に嵌りつつあるゾンビ達に、充足感を感じるカナヅ。だが、この程度で満足する器ではない。
 もっと派手に。もっとド派手に!
 お互いどんな見た目だろうが、逃げるカナヅよりも大勢で迫り来るゾンビ達の方が派手で気に食わない。
 自身の軽快な足音と比べて、騒がしく――ぐちょぐちょだのドタバタだのベタベタ……盛大で豊富な足音すらも不愉快。
 だって、自分よりも目立って派手だから!
「オレよりも、目立つな――っての! オラァ!!」
 巨大な斧を手に、背後へと振り返った勢いを利用してスイングし、ゾンビの上半身を切り飛ばした。
 ゾンビの腰あたりに斧は当たり、ゾンビの下半身はくずおれるが上半身はしぶとく生き残り、手で地面を引っ掻いてでもカナヅの元へと引き摺り這って行く。
 ゾンビ達がいくら増えようが増えまいが関係ない。
 なぜなら――。
「オレの方が速い!オレの方がド派手だからだ! オレの重い一撃を受けてみやがれ! その腐った体。ド派手にぶち飛ばしてやるぜ!」
 一振り、一振りに渾身の力が込められ、空気に逆らい切り裂き腐った臭気と冷気を一瞬にして掻き混ぜる。その威力は壁に強く叩きつけらた以上であり、ギロチンのようにゾンビ達の体を切断し、叩き潰し、解体していく。
 乾いた血肉が地面を埋め尽くした。
「やっぱ、オレが一番派手だ!」
 赤茶けた血がその男を更に更にと彩っていく。カオスの渦中で、まだまだ満足できないと笑いながら斧を振る、一人の男が居た。

大成功 🔵​🔵​🔵​


※トミーウォーカーからのお知らせ
 ここからはトミーウォーカーの「猫目みなも」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
ルディア・ディアマンテ(サポート)
助けが必要なようね。助太刀いたしますわ!

サポートでの参加なので人々の避難や救出、敵の陽動のような支援になるような事を中心にこなしますわ。
事情がわからないまま行動すると事態を悪化させる恐れがあるので、その辺りは気をつけないとね。
指示をしてくれる仲間がいれば素直に従いますわ。

支援中心とはいえ戦闘は避けられないもの
その時は武器は白銀のバルバードを使いその遠心力と、UC金色の風で強化された速度を利用し一撃離脱戦法で戦いますわ!その姿はまさに金色の風の如し!

騎士の誇りを胸に、堂々と恥じない行動を!


京奈院・伏籠(サポート)
UDC組織に所属する魔術師で、左腕を機械化したサイボーグ。
猟兵の活動を『仕事』と公言する生粋のエージェントだが、その実、温厚篤実な情の人。オブリビオンの処理に私情を挟まない一方で、一般人や犠牲者には基本優しい。

魔術師としては、所有するアイテムを消費して魔術を発動させるというバリバリのリソース消耗型。
攻撃・支援・転移等々、使用魔術のバリエーションが多い一方、消費したアイテムは同シナリオ中は使用不可になる(という設定)。
拳銃やナイフ、ワイヤーで攪乱しつつ『魔術の使いどころ』を見極めるのが基本戦法。

「と、基本データはこんなところだね。それじゃ、お仕事を始めるとしようか」


クラリス・スカイラーク(サポート)
 好奇心旺盛かつ天真爛漫で、誰に対しても友好的な人物です。娯楽と新しい発見に目がなく、どの世界でも様々な出来事に興奮します。
 また、面白いと感じた、特に詩の題材となるものを日記帳に記す癖があります。

 多少の怪我は厭わず積極的に行動し、指定したユーベルコードは全て使います。
 各世界のルールは守り、他の猟兵や一般人に危害は加えません。

 得意技は音楽による精霊4体の召喚と使役です。精霊はそれぞれ火・風・水・土の力を持ち、任意の精霊を呼び出せます。
 精霊の描写(容姿や攻撃手段など)はマスターの皆さまにお任せします。

  口調や細かい設定はプロフィールをご確認ください。以上、よろしくお願いします。


風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携歓迎

約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも調べる伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。

戦闘は剣士の動きだ。
フェイントを多用する。相手が格上や多数の場合は挑発をして隙を作ることもある。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。



「既にお出ましだったようだね。それじゃ、手早く片付けるとしようか」
 穏やかな表情を崩さぬまま、そう言って京奈院・伏籠(K9.2960・f03707)は拳銃を抜く。流れるように自然なその所作にひとつ頷いて、ルディア・ディアマンテ(金色の風・f18851)もまた白銀に煌くハルバードを構えた。
「物資を待つ人々の為にも、ここで足踏みなどしてはいられませんわね!」
 冷え切った固い床を蹴る音が、たんと天井に反響する。粘り気のある足音を立てて迫り来るゾンビの群れに一分も怯まず、ルディアは得物の長柄を繰り出した。そのまま弧を描いて振り抜かれた斧槍の刃はゾンビの朽ちた腹肉を次々と捉え、切り裂いて、その進撃を食い止める。
「良し」
 足止めされたゾンビの群れの横合いに回り込みながら、風雷堂・顕吉(ヴァンパイアハンター・f03119)は微かに呟いた。地下まで敵自らなだれ込んできてくれると言うのは、顕吉にとってはむしろ都合のいい状況だ。何せ、日光を気にすることなく持てる力を出し切れる。
 踏み込んでくる新たな生者の気配に反応し、存外素早い動きでゾンビの一体が振り向いた。言葉にならない声を上げ、腕を振りかぶるゾンビの咽頭を突くかのように見せかけた切っ先は、けれど命中する寸前にその軌道を変えて、ゾンビの脇腹に突き刺さる。続けざまに顕吉の放った鋭い足払いに吹き飛ばされたゾンビはべちゃりと音を立てて床に転がり、猟兵たちを喰らわんと走り来る後続のゾンビたちをものの見事に躓かせた。
 折り重なって床に転がり、呻くゾンビたちを興味深そうに見つめながら、クラリス・スカイラーク(微笑む春風・f08606)は白い息を吐く。朽ちた肉体のまま闊歩する死者とは聞いていたが、まさかこんなにも機敏に動くやつらがいるなんて!
 ――とは言えその歪な生は、ここで終わらせてやるべきだ。この地に生きる人々の為にも、とうに死した彼らの為にも。確かめるように小さく頷いて、クラリスは青い鳥を象る竪琴に指を添えた。
「走る死者がいるのなら、踊る死者だっていてもいいよね?」
 誘うように奏でるのは、春の風を思わせるあたたかで陽気な詩歌。柔らかな歌声と竪琴の音が紡ぐ彼女のユーベルコードは、心など持たない筈のゾンビたちにすら働きかけ、その動きを止めさせ、あるいは踊りじみた足踏みに変えさせる。
「ヴ……?」
 戸惑うように首を傾げた個体に向け、隙ありとばかりに顕吉が刀を振るい、その胴と首とを別れさせる。かと思えば彼の背中に向けて一直線に走り来るゾンビを、ルディアの振り抜いたハルバードが弾き飛ばし、宙に浮いたその肉体を伏籠の弾丸が打ち砕く。即席の、けれど着実な連携で、猟兵たちは走るゾンビの集団を的確に切り崩していき、そして。
 指を折って数えられるほどまで減った最後のゾンビたちが、それでも愚直に走って来る。その足首から先が不意に宙に浮き、スローモーションのように傾いた。僅かに指だけを動かした体勢のまま、伏籠がほんの少しだけ口の端を上げた。その指先には――敵の進路にかかるように張り巡らせていた、細いワイヤーの先端。
「あまり慌てるとろくなことがないよ」
「奴らに言って理解できるものだろうか」
「さあね」
 さらりと返されれば顕吉もそれ以上は言及せず、そんなものだろうという表情で利き手とは逆の手の甲に己の刃を走らせた。たちまち噴き出る地獄の炎を刃に纏わせ、一閃。死者だったものの輪郭がまたひとつ、紅蓮の炎に抱かれて塵と化した。
「おいで。みんながボクたちの助けを待ってるんだ」
 クラリスの指先が弦を爪弾き、旋律を紡げば、湧き立つようなその響きに呼ばれて火の精霊が彼女の眼前に舞い降りる。頷きひとつで呼び手の意思を汲んだように、朱色に揺らめく精霊は足首を断たれたゾンビの群れへとその腕を伸ばした。機動力を奪われ、なおも獲物を喰らわんと唸り声を上げるゾンビの衣服が、皮膚が、撫でるような炎に焼かれていく。そうして炎がおさまり、精霊が去った後、そこに残ったのは静寂と――そして、猟兵たちの持ち込んだ物資の山だけだった。
 安堵した風に息をつき、ルディアはそれらの物資を振り返る。まだまだ、仕事はこれからだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『お守りに願いを込めて』

POW   :    自身の願いを強く込める

SPD   :    込めるは自分ではなく他者の為

WIZ   :    現地の人に教えてもらいながら効力を高める

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 水に酒、食料に灯り。猟兵の持ち込んだ様々な物資を無事に運び込まれた拠点では、にわかに喜びの声が上がっていた。
 拠点を仕切っているらしい男が猟兵たちの手を握り、しかと礼を述べた後、よければ、と前置きして奥の作業場に顎をしゃくった。
「あんた達も、あいつらと一緒にお守りを作っていかないかい? ま、ご利益なんかはない気休めの品だがな」
 それでも手を動かしている間は世界の厳しさを忘れられるし――何より、何かを自分の手で、自分の思いを込めて作り出すってのは面白い。
 そんな風に笑って、男は誰かの手作りらしい素朴なお守りを自身の目の前にぶら下げてみせた。
サブリナ・カッツェン
よっこらせっと、こいつで最後だな
はぁー、運んだ運んだ
クルマが軽くなって帰りがラクになったぜ
『おい、サブ。あそこに人が集まってるぜ』
何々…おっ、ホントだ
やるじゃねぇか、ポンコツタマロイド
じゃ、帰る前に寄ってみるか

ふぅーん…手作りのお守りね
面白そうじゃん
あたしにも作り方教えてくんなよ
『なぁ…サブ。お前、こいつで一儲けしてやろうじゃん!って、思ってないだろうな?』
ギクッ
お、おい相棒…幾らあたしでもそう考えてはねーって
『ならいい。ついこの間も下手な商売をしようとして大損こいたからなぁ?』
けっ、あん時は運が悪かったんだよ…よし、出来た
うんうん、良く出来てるな
『(自画自賛も良いとこだな、こりゃ)』



「はぁー、運んだ運んだ」
 しこたま運び込んだ物資の山を満足げに見やって、サブリナ・カッツェン(アンサーヒューマンの冒険商人・f30248)はぐるぐると肩を回す。車も身軽になったことだしさて帰ろうかと伸びをした彼女に、ふと『相棒』が呼びかけた。
『おい、サブ。あそこに人が集まってるぜ』
「何々……おっ、ホントだ」
 やるじゃねぇかとタマロイドを労いつつ、それなら少しばかり覗いてみようかと、サブリナは軽い足取りでそちらへ向かってみる。見れば物資を運び込んだ拠点の住人たちが、作業台を囲んで思い思いの素材と細工でお守りを作っているようだった。
「ふぅーん……手作りのお守りね。面白そうじゃん、あたしにも作り方教えてくんなよ」
「おう、勿論」
 物資の礼と言うにはささやかだけど、と笑う壮年の男に、そんなのはいいってことよとサブリナも笑いを返す。さっぱりと気のいい受け答えに、けれど冷静なツッコミを入れるものがひとり、と言うか一台。
『お前、こいつで一儲けしてやろうじゃん!って、思ってないだろうな?』
 ぎく、とサブリナの尻尾が震えたのに、拠点の住人たちは気付いていないようだった。そのことにそっと胸のうちで安堵し、相棒にああだこうだと言い返しつつ、やがてサブリナは獣の牙と組み紐で仕上げた小さなお守りを淡い灯りの下で掲げて。
「うんうん、良く出来てるな」
『……自画自賛も良いとこだな、こりゃ』
 タマロイドのぼやきは、周囲の賑やかな喧騒に紛れて消えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎

■行動
成程、楽しそうですねぇ。
お邪魔させていただきますぅ。

それでは、作り方を教えていただいても宜しいでしょうかぁ?
まず最初は『流れ』と『基本の作り方』を教わり、作っている内に解らないところが出ましたら、続けてお尋ねしますぅ。
良い品が出来ると有難いですねぇ。

そして、色々と『食料』を回収出来たみたいですし、『お守り作り』のお礼に『保存食の調理』をお手伝いしたり、『美味しい調理法』をお伝えしましょう。
【豊饒現界】で[料理]を強化、回収済みの『食料』を見た上で『丁度良いレシピ』を検討しますねぇ。
『調味料』等も貴重でしょうから、出来るだけ消費の少ない物が良さそうですが。



「成程、このようにして整えるのですねぇ。……いかがでしょうか?」
 乳白色に艶めく石を紐製の籠に閉じ込めたお守りの出来栄えに、上々だよと隣についてくれていた女が頷く。その反応に嬉しげに微笑んで、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は完成したお守りを丁寧にしまい込んだ。
「分かりやすく教えて頂けたので、とってもやりやすかったですぅ。そうだ、このお礼もさせてください」
「お礼なんて、いいんだよお嬢ちゃん。お前さんたちがあの物資を持ってきてくれたんだろ?」
「……では、もう少し一緒に楽しませていただく、ということではぁ?」
 そんな風にして住人たちを説き伏せ、るこるは拠点内の調理スペースへと入っていく。運び込まれた物資の中から保存食に向きそうな食材を吟味し、豊饒の女神の助けも得て次々と手際よく日持ちのする料理を作っていく彼女の姿を、拠点の住人たちは驚嘆したように、或いは見惚れるように眺めていた。そんな彼らを振り返り、るこるは笑う。
「よければご一緒に作りましょう? これ、簡単な上にしっかりお腹にたまるんですよぉ」
 そうして、広すぎる空へと吸い込まれるように再び炊煙が上がり始めた。さながら、人の営みが未だ止まらぬことを証すように。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月09日


挿絵イラスト