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狂騒の森、その先に

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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「アックス&ウィザーズの世界に『狂騒の森』と呼ばれる場所があります」
 グリモアベースの一角で猟兵達にフェリクス・フォルクエイン(人間のパラディン・f00171)は語り始めた。
「違います、男ですから」
 その途中でわざわざ自身の性別に言及したのは、またどこかで誰かに女性と間違われたのだろうか。もっとも、それもいつものことなのでさらりと流すとして、問題はその森にオブビリオンが複数住み着いていることだろう。
「問題の森が『狂騒の森』と呼ばれる所以は、時折叫び声や歌声が聞こえてくるからだそうですが……」
 フェリクス曰く、この叫び声や歌声の元凶がそれぞれオブビリオンであるらしい。
「森の比較的入り口に近い場所にアルラウネが棲息しているようですから、たぶん叫び声の主はこのモンスターでしょうね」
 その叫び声は猟兵であっても脅威なのだが、叫び声を聞いたという森の名付け主はおそらく森の外から影響の無いぐらい弱くなった叫び声を耳にしたのだろう。
「歌声の方の主をどうにかするにしても、まずアルラウネを倒さないとどうしようもないと思います」
 森の入り口にいるのだ。中を探索して歌声の主を探すなら遭遇するのはまず避けられない。
「それに戦って倒せば、異変に気づいた歌声の主が様子を見に姿を現すかも知れませんから」
 歌声の主まで倒してしまえば森の脅威も消滅する。
「そうそう、今晩は明け方近くに沢山の流れ星を見ることが出来るそうです。ええと、流星群って言うんでしたっけ?」
 森を抜けた先に空を見上げるのに最適な高台が有るらしくてともフェリクスは言い。
「戦いが終わったら、星空を見上げるのも良いかもしれませんよね」
 微笑しつつ一つの提案をすると、お手数をかけますけどよろしくお願いしますねと君たちに頭を下げたのだった。


聖山 葵
 音、気になる時は気になりますよね。

 と言うわけで今回は狂騒をコンセプトに二種のオブビリオンを戦って倒して頂くお話となります。

 無事勝利した後、森を抜ければそこにはきっと満天の星空が。
 尚、プレイングなどでご希望がありましたら天体観測パートではフェリクスも顔を見せるかもしれません。逆に言うとどなたからの希望も無ければ描写外で転送要員として待機してると思われます。

 では、ご参加お待ちしておりますね。
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第1章 集団戦 『アルラウネ』

POW   :    ルナティック・クライ
【聞く者を狂わせるおぞましい叫び声 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    スクリーミング・レギオン
レベル×5体の、小型の戦闘用【マンドレイク(アルラウネの幼生) 】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ   :    リパルシブ・シャウト
対象のユーベルコードに対し【それを吹き飛ばす程の大音声 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ティアリス・レイン
相棒の小竜に【騎乗】しながら戦斧を振るうよ!
「ユーちゃん、いっくよー!」

相手の叫び声をかき消すように【怪力】と【捨て身の一撃】で【グラインドクラッシャー】を叩き付けるよ!
「あー!もう、うるさいよー!!」

ぶつり攻撃は、小柄な体型と身軽さを活かして回避するよ!
「ユーちゃん、よけて!」
敵の間を潜り抜けて同士討ちを誘うよ!
「そんなにふりまわすとあぶないよー?」

こうげきをよけられないときは【怪力】の【グランドクラッシャー】による【捨て身の一撃】で相殺を狙うよ!
「ユーちゃん、ちょっと我慢してね!」

猟兵のみんなとは積極的にきょーりょくしていくよ!
「ここはティアに任せて!」
「たすけてくれて、ありがとー!」


ドゥルール・ブラッドティアーズ
SPD判定。夜魔の衣を蝙蝠の翼に変えて【空中戦】
空から【衝撃波】による【2回攻撃】を放ち
召喚されたマンドレイクを一掃するわ。

聞く者を狂わせる叫び声?
私には聖歌隊のコーラスに聞こえるわ?【呪詛耐性】
アルラウネ達は可愛いし、お持ち帰りしたい……♪【誘惑】

「素敵な歌声をありがとう。
貴女達、私のモノにならない?
皆まとめて可愛がってあげるわ」


あら、怖がらないで?
そんな顔されたら、私……

殺してでも、貴女達が欲しくなっちゃう。

さぁ、良い子は お昼寝する時間よ。
【呪詛】の子守唄を聞かせてあげる。
苦しい? 大丈夫、すぐ楽になるわ。

アルラウネ達の胸に 悲愴の剣を突き刺して……
おやすみなさい。
これで貴女も私のモノ。



「ユーちゃん、いっくよー!」
 森の入り口、土の中から上半身のみをのぞかせたそれを見つけたティアリス・レイン(小竜に乗る妖精騎士・f12213)は跨る相棒の小竜に声をかけるなり突撃していった。
「ギャーッ」
 周囲の地形にすら影響を及ぼす重い一撃に跳ね飛ばされるようにして地面の上に引きずり出された人型の植物が反射的に悲鳴を上げる。
「あー! もう、うるさいよー!!」
 悲鳴を上げるということは、すなわちまだ息があるのだろう。おぞましい悲鳴に顔をしかめつつつもティアリスは身の丈にほぼ等しい戦斧を振りかぶると捨て身の覚悟で再接近を試みる。攻撃するということは悲鳴の発生源に最も近付くということと同意味なのだ。
「聞く者を狂わせる叫び声? 私には聖歌隊のコーラスに聞こえるわ」
 備えた耐性故にか、他の理由でかドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の姫君・f10671)は動じた様子も見せず、今まさにティアリスの攻撃にさらされようとしていたアルラウネを、否、その奥にいる他の個体も含めてのアルラウネたちを一瞥する。
「素敵な歌声をありがとう。貴女達、私のモノにならない? 皆まとめて可愛がってあげるわ」
「ヒッ」
 本能的な恐怖を覚えたのだろうか、見られた個体のうち一株が自ら根を引き抜いて後ずさる。
「たすけてくれて、ありがとー!」
「あら、そのつもりはなかったのだけれど……お礼は受け取っておくわ」
 結果からすると、ドゥルールの誘惑がティアリスに襲われた個体への助太刀を忘れさせた訳であり、何とか一株目を屠ったティアリスからの感謝に苦笑したドゥルールはすぐに後ずさりしたアルラウネへと向き直る。
「さて、お話の続きを――」
 そう言われてまともに応じるようなら後ずさりなどはなからしなかったであろう。アルラウネはむしろ、身構え。
「ふふ、怖がらないで? そんな顔されたら、私……殺してでも、貴女達が欲しくなっちゃう」
 安心させるようなモノだった笑顔をほとんどそのままに病んだモノへとドゥルールが変えた瞬間、なん株かのアルラウネ達が自身の頭ほどの大きさの幼生を無数に呼び出す。
「ここはティアに任せて!」
 多勢に無勢。先ほどの礼をする機会ともとったらしいティアリスは小竜を駆り、マンドレイクたちの中へと飛び込み。
「ユーちゃん、よけて!」
 襲いくるマンドレイクの攻撃を相棒の小竜へと声をかけてかわしてゆく。中には数が多いゆえに間違って味方を攻撃する個体も出現し。
「そんなにふりまわすとあぶないよー?」
 狙い通り同士討ちを起こさせつつも、敵を盾に出来たらもっとやっつけられたかなと思いながらマンドレイクの群れから飛出し。
「まずはこの子たち……かしら?」
 夜魔の衣を蝙蝠の翼に変え空に舞い上がったドゥルールの放つ衝撃波が混乱したマンドレイクたちを屠る。だが、ドゥルールにとっての本命は幼生ではない。
「さぁ、良い子は お昼寝する時間よ」
 自身を守る幼生たちの半減した今、ドゥルールを遮るのは不可能であり。そもそもドゥルールにのみ注意を払うわけにはいかなかった。
「ユーちゃん、ちょっと我慢してね!」
 まとわりつくマンドレイクたちをかわしきれないと踏んだティアリスが再び捨て身で突っ込んできたのだ。だが、少しでもそちらに気がそれてしまったのが悪かったのか。そのアルラウネが気が付けば、胸に諸刃の短剣が突きたてられており。
「おやすみなさい。これで貴女も私のモノ」
 力を失い崩れ落ちるアルラウネをドゥルールは嬉しそうに抱き留める。ただし、それで終わりではない。この地に生息していたらしきアルラウネはまだまだ居るのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ティアリス・レイン
「こんなに数が多いと、キリがないよ!」
近接がメインのティアにとって予想以上に消耗が激しかった。
「っ!?」
防衛本能により、攻撃を受けた瞬間に光に包まれ真の姿である10代後半の姿へ成長し人間サイズへ巨大化する。
「まさか、此処まで追いつめられるとはな」
相棒の竜をドラゴンランスへ変形させて【武器受け】します。
「もう加減は出来ないぞ」

空を飛び、距離を取り【空中戦】から【怪力】で【投擲】【やり投げ】【突き刺し】【ドラゴニック・エンド】
「近づけないなら、遠距離から狙い撃つだけだ」

投げた後すぐに【2回攻撃】でエレメンタルロッドから雷【属性攻撃】の【全力魔法】【マヒ攻撃】で敵を【なぎ払い】ます。
「こんな風にな」



「っ、はぁ……はぁ、はぁ」
 戦いは続いていた。アルラウネの群れを突き抜け一時的に空に逃れたティアリスの視界には、打ち倒した幾株かの人型植物とそを超える数の生き残りの姿があり、仲間を屠った者への敵意が視線とともに自分に集まっているのを否応なく感じていた。
「こんなに数が多いと、キリがないよ!」
 数が数だ。不満が出るのも仕方なく、複数の敵に狙われ続けるという状況がティアリスを当人の想定以上に消耗させていた。もっとも、オブビリオンたちからすれば、敵の動きが精彩を欠き始めたのは好機以外の何物でもない。
「あ」
 ふいに頭上に影が差し、ティアリスが思わず顔を上げた。視界いっぱいに広がりつつあったのは、アルラウネが召喚する幼生のそれ。だが、空を飛んだというわけではない。視界の端には木の幹をよじ登るマンドレイクの姿も映っていた。同じように木を登ったその個体が飛び掛かって来たのだろう。
「っ!?」
 そのままであれば体当たりで相棒の上からふっとばされていたであろうティアリスだったが、目を瞑った瞬間、光に包まれ。
「まさか、此処まで追いつめられるとはな」
 真の姿を露わにしたティアリスは相棒の竜を変じさせた槍でマンドレイクの体当たりをいなすと、地面にマンドレイクの体が触れるより早く返す一撃で地に縫い留め、消滅させた。
「もう加減は出来ないぞ」
 10代の後半といったところだろうか。容姿を成長させ、体も普通の人間と同等の大きさへと変えたティアリスが槍をしごいて地を蹴る。だが、アルラウネ達に肉薄したのではない。後方に飛び、上空へと飛翔したのだ。
「近づけないなら、遠距離から狙い撃つだけだ」
 アルラウネたちにも叫び声という遠距離攻撃手段はあるが攻撃手段が自身の発する音という性質上、離れた相手には効果が落ちる。ただ、ほとんどのアルラウネはそもそも迎撃するという発想に至れなかった。敵が急に巨大化したのだ。驚き立ち尽くすだけの様は、槍を投げようとするティアリスからすれば良い的だ。
「ギッ」
 我に返る間すらない、胴に突き立ち背から穂先の飛び出た槍の勢いに引きずられ後方に吹っ飛び、召喚されたドラゴンが犠牲者にとどめを刺すより早く、エレメンタルロッドを向けたティアリスが他のアルラウネたち目掛け魔法を放つ。広範囲に雷が荒れ狂った。
「こんな風にな」
 こと切れなかったアルラウネも痺れて動けないのか、倒れ伏す人型植物たちが起き上がる様子はない。
「さてと、だいぶ数は減らしたが――」
 それでも殲滅には至らず、範囲攻撃を免れた人型植物たちが逃げ出す様子も皆無。敵意をあらわにしたまま幼生たちを召喚するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユウヤ・シュバルツ
・アドリブ歓迎だぜ!

ティアリスが依頼を受けるっていうんで、相棒の結華と一緒に手伝いに来たぜ!

戦場を見つけたら【先制攻撃】【暗殺】で先行して、両手の逆手持ちダガーで斬り裂きます。
「遅くなっちまったけど、助けに来たぜ!」

【見切り】【残像】【敵を盾にする】で素早く敵群に潜り込み【旋風刃】で一気に範囲ごと吹き飛ばす。
「さぁ、斬り刻んでやるぜ!」
【2回攻撃】で周囲に【投擲】用ダガーをばらまきながら、素早く【逃げ足】で結華たちのいる方向へ戻ります。
「おっと、悪いが反撃はさせねぇよ!」

味方が危ない時はダガーを投擲して妨害する。
「余所見は危ねぇぞ?」


御門・結華
・アドリブは歓迎します。

知り合いのティアリスが依頼に参加するというので、ご主人様のユウヤと一緒に参加しに来ました。
ユウヤを後ろから【ダッシュ】で追いかけます。
「マスター、無理は禁物ですよ」

炎を纏う大剣を抜刀し、髪や瞳の色が赤く染まる。
「マスター、援護します」
火の精霊を呼び出し【火精の息吹】による炎【属性攻撃】による援護を行います。
「我が敵を焼き払え、サラマンダー!」

敵の攻撃は炎の【オーラ防御】や大剣による【武器受け】します。
「植物には炎が有効と思いましたが、正解のようですね」



「ギ」
 喚び出されたばかりのマンドレイクが悲鳴の欠片を残して両断される。
「遅くなっちまったけど、助けに来たぜ!」
 先制攻撃で一番近くにいた敵を倒したユウヤ・シュバルツ(人間のシーフ・f01546)は駆けつけた勢いでさらに数歩進むと逆手持ちした両手のダガーをそのままに振り返る。ユウヤがこの地に降り立った理由は、知り合いが依頼を受けたから、ただそれだけ。だからこそ知人の無事な顔を見たかったのであろう。
「マスター、無理は禁物ですよ」
 ただ、振り返った先にいたのは別の人物であったが。ご主人様の後を走ってついてきていた御門・結華(色褪せた精霊人形・f01731)が主の横を通り過ぎ。
「わかってるって!」
 だが庇われるつもりはないと言うかのように抜き返したユウヤが姿勢を引くして飛び掛かってきたマンドレイクの下をくぐりぬける。
「ギッ」
 標的を見失ったアルラウネの幼生はそれでも着地するなり方向転換しユウヤの背目掛けて体当たりを敢行しようとするが、これは見切られていた。
「よっと」
 残像を残してユウヤが進行方向を変えると残像の向こうにあったのは、別のマンドレイク。盾にされた仲間とその幼生は正面衝突し。
「マスター、援護します」
 直後に知覚したのは、炎を纏う大剣を抜刀した少女の、ミレナリィドールの声。
「我が敵を焼き払え、サラマンダー!」
 髪や瞳の色を赤に染めた結華に喚び出された精霊が命に従い放つ球状の炎が視界いっぱいに広がるのを最後にマンドレイクたちの意識は永遠に途絶え。
「さぁ、斬り刻んでやるぜ! これが俺の――」
 護衛のマンドレイク達を撒かれ焼かれたアルラウネのすぐそこに、気づけばもう手の届く位置でユウヤが地を蹴り回りだす。
「俺の全力だ!」
 込められた魔力が竜巻すら生み出す中、回転斬りに薙ぎ払われたアルラウネたちが両断されあるいは吹き飛ばされて宙を舞う。
「ギ」
「おっと、悪いが反撃はさせねぇよ!」
「グ」
 かろうじて生き延びた個体が叫び声を上げようとするも、ユウヤは投擲用ダガーをばらまきながら後方に飛び、一瞬ひるんだアルラウネへ今度は精霊の炎が降り注ぐ。
「ナイスタイミング、助かったぜ」
「植物には炎が有効と思いましたが、正解のようですね」
 炎に焼かれた生き残りのアルラウネは力尽きて崩れ落ち、猟兵達の活躍によってかなりの数が居たはずのアルラウネもずいぶん数を減じていた。
「余所見は危ねぇぞ?」
「ギャアッ」
 流石に戦ってはまずい相手だと遅まきながら察したか、逃げ道を探すように猟兵たちから視線を外したアルラウネをユウヤの投げたダガーが仕留め。
「あらかた倒したか逃げ出したようですね、マスター」
「おう、後は――」
 本命を探すだけだぜとでも言おうとしたのだろうか。言葉を途中でとめたユウヤが顔を上げる。木々の枝がところどころ隠す森の空からそれは、ユウヤ達を見下ろしていた。どうやら探すまでもなく戦闘の物音を聞きつけて様子を見に来たらしい。探す手間が省けたともいえるだろう。
「降りてくる、か」
 森を自分の領域に踏み込んで荒らした猟兵たちをそのままにしておく気はなかったらしく、半人半鳥のオブビリオンは徐々に高度を下げ始めたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ハーピー』

POW   :    エキドナブラッド
【伝説に語られる『魔獣の母』の血】に覚醒して【怒りと食欲をあらわにした怪物の形相】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    ハーピーシャウト
【金切り声と羽ばたきに乗せて衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ハーピーズソング
【ハーピーの歌声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ティアリス・レイン
ハーピーから目をそらさず、ユウヤと結華にお礼を言う。
「二人とも助けに来てくれたのか。礼を言うぞ」
大人形態でニヤリと微笑み
「わたし達も負けていられないな。いくぞ!」
【竜装天鎧】ドラゴンランスとエレメンタルロッドの形状が変化し、竜の力を宿す鎧と雷の精霊の魔力を纏うドレスに変化する。

魔剣を抜刀し、雷撃を纏わせた刃で【属性攻撃】【マヒ攻撃】【気絶攻撃】【目潰し】で攻撃する。
「邪魔だ」
敵の攻撃は【見切り】【残像】【空中戦】で回避、または【武器受け】する。
「遅いぞ」

ユウヤが敵の動きを止まらせたら、結華と一緒に攻撃する。
「雷の精霊よ。我が敵を薙ぎ払え!」
【全力魔法】による雷刃で【薙ぎ払う】
「轟雷一閃!」


御門・結華
ユウヤとティアと一緒に戦う。アドリブ歓迎です。

「マスター。油断は禁物です」
ティアが雷の精霊を纏うのを見て、無表情の中に対抗意識が覗かせ
「こちらも全力でいきましょう。サラマンダー」
真の姿で火の精霊を完全に憑依させ、炎の【オーラ防御】を纏う。
武器や防具が真紅に変わり炎の意匠が施される。

【火精の息吹】による炎【属性攻撃】で味方を援護します。
「機動力に自信があるようですが、この数は避けきれますか?」

敵の攻撃は大剣で【武器受け】します。
「この程度で怯みません」

ユウヤが敵を拘束したら、ティアに合わせて攻撃を行います。
「火の精霊よ。我が敵を焼き払え!」
全ての火球を大剣に纏わせた紅蓮の刃を放つ。
「劫火一閃!」


ユウヤ・シュバルツ
結華とティアと一緒に参加!アドリブも歓迎!

両手に持ったダガーを回して、ニヤリと笑い
「さて、後はあのハーピーをぶっ飛ばすだけだな?」
ティアに対して
「気にすんなって。それにしても、本気モードになってるなら手助けは要らなそうだな」
結華に対して
「わかってるって、冗談だよ」

真の姿で契約してる風の精霊を憑依させる。
「よし、こっちもいくぜ。シルフ!」
敵の攻撃は【見切り】【残像】で回避しつつ【旋風刃】を放つ。
「スピードなら、こっちだって負けねぇぞ!」
シャウトを【旋風刃】で打ち消した後【2回攻撃】で再び竜巻を生み出し敵を動きを封じる。
「よし、二人とも今だ!」



「さて、後はあのハーピーをぶっ飛ばすだけだな?」
 両手に持ったダガーを弄ぶように回転させるとユウヤは口の端をつり上げた。
「二人とも助けに来てくれたのか。礼を言うぞ」
「いえ」
 視線を上空のオブビリオンからそらさず礼を言うティアリスへ短く答えて結華は言外に礼には及ばぬとし。
「気にすんなって。それにしても、本気モードになってるなら手助けは要らなそうだな」
「マスター。油断は禁物です」
 同じ礼の言葉に軽口混じりで応じた主はしっかり窘めた。
「わかってるって、冗談だよ」
 頭上を飛ぶ半人半鳥のオブビリオンはユウヤたちを好ましからざる者と見て降りてきているのだから。
「来るぞっ!」
 警告の声が上がる中、半人半鳥は一気に高度を下げる。
「遅いぞ」
 鋭い爪のある足の指を広げ掴みかかるようにして降ってきたオブビリオンをティアリスは紙一重で避けて見せ、残像だけを虚しく引き裂いた半人半鳥が憎々しげに鳴きながら羽ばたいて空へと戻ろうとする。
「半人半鳥、所謂ハーピーですね」
 本来金切り声による無差別攻撃を得意とするにもかかわらず、直接爪で襲ってきたのは、小手調べのつもりだったのか。
「よし、こっちもいくぜ。シルフ!」
 仲間が一方的に攻撃されてそのまま手をこまねいているつもりなどユウヤにはない。真の姿に変じると自身の契約する風の精霊を憑依させるが早いか木の幹を蹴って飛び。
「わたし達も負けていられないな。いくぞ! 我が竜よ、一つと為れ! 我が精霊よ、力を示せ!」
 竜の鎧と精霊の衣で自身を覆うことによりドレスの上から鎧を纏った様な出で立ちに変じたティアリスも自前の羽根によって空へ逃れようとするハーピーを追いすがる。
「こちらも全力でいきましょう。サラマンダー」
 結華が火の精霊に呼びかけたのは、ティアリスの姿に対抗意識を覚えでもしたのか。表情は変わらねど、真の姿に変じた所を見れば明らかであり。武器や防具を真紅に染めた結華は上にずらした視界の中、空中戦を繰り広げる仲間達を見た。
「キャアアッ」
「邪魔だ」
 あがる悲鳴と白いむき出しの肌へ赤く走る直線の傷。白や緑の羽根を散らしバランスを崩すオブビリオンへ魔剣を抜刀したティアリスが今まさに斬りかかるところだった。
「なっ」
 だが、ハーピーは羽ばたくのを止めて落下することで刃が鼻先をかすめるにとどめ、そこから落下の勢いを速さに変え風を両翼で地面に叩き付けるようにして上空への復帰を果たそうとする。意表をつかれて一太刀目は許しても、二撃目は許さないと言うことか、ただ。
「機動力に自信があるようですが、この数は避けきれますか?」
 三人目、結華の援護射撃まで計算には入っていなかったのだろう。二十を数える球状の炎が一斉にハーピーへと殺到する。
「ピギャァァァッ」
 羽根に火が燃え移り、火の鳥となったオブビリオンが不格好な踊りを宙で躍った。それでも力尽きることはなく、燃えながらも羽ばたいて体制を立て直し、結華と着地したユウヤを睨み、大きく息を吸う。
「バラバラだったら全部避けられてたか? でもな、スピードなら、こっちだって負けねぇぞ! これで――」
 放たれる衝撃波を弾くようにユウヤは回転し。
「この程度で怯みません」
 結華は大剣を盾に衝撃波をいなす。
「もう一度っ!」
「キュオッ?!」
 一方で、さらにユウヤが回転したことで生じた竜巻に巻き込まれた半人半鳥は空中で大きくバランスを崩し。
「よし、二人とも今だ!」
「ああ」
 短く応じたティアリスは、魔剣の刀身にもう一方の手を添える。
「雷の精霊よ。我が敵を薙ぎ払え!」
「火の精霊よ。我が敵を焼き払え!」
 掛け値無しに全力で魔法を放とうとするティアリスと結華の声が重なった。
「轟雷一閃!」
「劫火一閃!」
 雷と炎二つの刃はまるで挟むようにオブビリオンへ襲いかかり。
「ギャアアアアアッ」
 絶叫が森に響き渡る。
「決まったな、だが」
 それが致命傷でないこともティアリスにはわかっていた。
「グルルルルルル……」
 ティアリスの見解を肯定するよう、地に落ちたそれは起きあがる。あちこち焼けただれ、怪物の形相を露わにして唸る姿で。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

秋津洲・瑞穂
なんか騒がしいなぁ。昼寝もさせてくれないのね。

ていうか何事? 焼き鳥さんがぢたばたしてるけど。
まいいや、長引かせても可哀想だし、楽にしてあげよっか。

「新当流太刀術、秋津洲瑞穂。参ります」

地面にいるなら剣刃一閃。
【鎧無視攻撃10・2回攻撃10】を乗せよう。

空に浮いたらフォックスファイア。
数で攻めたら避けきれないでしょ。

衝撃波を撃って来るなら衝撃波で返すよ。
普段使わないけど、巫覡載霊の舞もあるのよね。

【残像10・ダッシュ9】で避けるもよし。
【勇気7・オーラ防御10】で耐えるもよし。
やり合っていれば、余力のないあちらが倒れるでしょ。

倒れなかったらどうするって? 倒すのよ。



「なんか騒がしいなぁ。昼寝もさせてくれないのね」
 不満を口にしつつ現地に降り立った秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)は、ていうか何事と思わず尋ねる事となる。火傷を負い、羽毛はあちこちが抜け落ち凄まじい形相をしたオブビリオンがそこにいたのだ。
「焼き鳥さんがぢたばたしてるけど」
 で済ませる瑞穂も凄いが、ハーピーはジタバタして終わらせる気はなかった。
「グルガァァァァッ」
 ボロボロの半人半鳥は傷つけられた怒りと露わになった食欲に突き動かされ、健在な両脚で地を蹴ると瑞穂へ向かって駆け出し。
「まいいや」
 長引かせても可哀想だしと瑞穂も神獣刀へ手をかける。
「新当流太刀術、秋津洲瑞穂。参ります」
 飛べないのか、飛ばないのか、飛ぶことさえ考えられないのか。不明ではあるものの、刃の届く範囲に自らやって来てくれるなら、瑞穂にとっても話は早かった。名乗りは済ませ、数秒も待たずして怪物は間合いに入る。
「ガアアッ」
「っ、あ」
 咆吼と共に繰り出された足爪の一撃が瑞穂の斬撃とぶつかり、力負けしたのは、瑞穂の方だった。寿命すら犠牲にし高めた戦闘能力にモノを言わせたのだ、ただ。
「ギャァァァッ!」
 食欲のまま瑞穂の身体に食らい付くことも能わなかった。瑞穂の斬撃はもう一つあったのだ。抜けずに残った羽毛も変身によって強化された肌の硬さもモノともせず神獣刀は深々とハーピーの身体を斬り裂き。
「逃げるつもり?」
 とっさに羽ばたき空に逃れようとするが、ボロボロになっている上に深手を負った身だ。
「数で攻めたら避けきれないでしょ」
 瑞穂の声をオブビリオンが知覚した時、まだその身体は瑞穂の間合いから抜け出せていなかった。
「ウギャァァァァッ!」
 絶叫と共に羽根が散る。半人半鳥の身体は空にあがるどころか地に叩き付けられるとそれっきり起きあがって来ることはなく。
「何とかなったようね」
 神獣刀を鞘に収めた瑞穂はほうと息を吐いた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『天落つる星々』

POW   :    見つけた流れ星の数を数える

SPD   :    流れ星に願いごとをする

WIZ   :    空を見上げ物想う

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●星空を見上げて
 無事半人半鳥を討伐し、猟兵たちが森を抜けるとその先はなだらかな傾斜が続いていた。視線をその先にやれば傾斜は高台に続いており、グリモア猟兵の少年が言及していた場所だと猟兵たちは理解する。ならば、明け方にまたこの場所へと転送して貰えばいい。
「そろそろ頃合いね」
 と口にしたのは誰だったか。
「わぁ」
 グリモア猟兵の少年に再び転送された猟兵たちが空を仰げば、星々がまたたき、視界の中で一筋白い光が流れる。流星群の到来であった。
秋津洲・瑞穂
フェリクスもおいでー。お茶もあるよ。

情報提供ありがとね。
猟兵を戦地に送り出して、自分は行けないのは辛くない?
損な役回りを押し付けてごめんね。
そのぶんの借りは、結果で返すよ。これからも。

……でもさ。何もしていない相手を成敗するのも、
なんだか釈然としないよね……。
そこにいるだけで世界が破滅に向かうっていうんじゃ、
どうしようもないのも解るし、祓いもするけど。

ただ。
ただ私は、助けてあげたかった。
手当をして、抱きしめて、もう大丈夫と言ってあげたかった。
並の獣なら、それで良かったのに。

出来ないものは仕方ない。終わらせてあげるしかない。
だから私はそうした。間違ってはいない。
ただ。
ただ、釈然としないだけよ。



「フェリクスもおいでー。お茶もあるよ」
 瑞穂が呼びかければ、グリモア猟兵の少年はありがとうございますと礼を口にして現れた。その頭上を星が過ぎって行く。
「ううん。こっちこそ、情報提供ありがとね」
 頭を振った瑞穂はカップにお茶を注ぐと一呼吸置いて、問う。
「猟兵を戦地に送り出して、自分は行けないのは辛くない?」
 そして、答えるより早く損な役回りを押し付けてごめんねと頭を下げる瑞穂へ、グリモア猟兵の少年は曖昧な笑みを浮かべ、星空を仰ぐ。
「『いいえ』と言うべきか、少し迷いました……正直に言うなら、歯がゆく思うことはあります。ですけど、それが僕達の役目ですからね」
 みんなが「ただいま」を言う為にもその一線は踏み越えられないのがグリモア猟兵だ。
「気にしないで下さい。他のグリモア猟兵の方が協力を募ってる時は僕だって力になれますし」
「だとしても――そのぶんの借りは、結果で返すよ。これからも」
 いつも待つだけというわけでもないという少年に宣言した瑞穂が夜空に視線を投げる。星がまた流れた。
「……でもさ。何もしていない相手を成敗するのも、なんだか釈然としないよね……」
 星空に投影するのは、戦いの記憶か。星空から視線を外さぬままで、独言のように瑞穂は続けた。
「そこにいるだけで世界が破滅に向かうっていうんじゃ、どうしようもないのも解るし、祓いもするけど」
 お茶から立ち上る湯気の向こうで星が瞬く。
「ただ」
 カップの取っ手を少しだけ強く握って口を開くと、カップの中の星空が乱れる。
「ただ私は、助けてあげたかった。手当をして、抱きしめて、もう大丈夫と言ってあげたかった。並の獣なら、それで良かったのに」
 それが能わぬのがオブビリオンだ。行ってしまうことは容易い、だが。
「出来ないものは仕方ない。終わらせてあげるしかない。だから私はそうした。間違ってはいない」
 瑞穂とてわかっているのだ。
「瑞穂さん……」
「間違ってはいない……ただ」
 かける言葉に迷っている様子のフェリクスを前に、視線をカップへ落とす。
「ただ、釈然としないだけよ」
 揺れて乱れた名残を残す星空に一筋の光が流れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

秋津洲・瑞穂
ところで。フェリクスも剣士だよねー?(にや

そんじゃ、いってみよー!(抜刀

冗談よ。まさか抜き身は使わないって。
その辺に適当な樹があるから、適当に枝を叩き切って(剣刃一閃
……こんなものかな(小枝を払いつつ
ほら木剣。あなたの剣より少し長いけど、そのぶん重さは近いはずよ。
こっちのは私。ちょっと短いぶん不利になっちゃうな。

ごちゃごちゃ言わない。照れ隠しなんだから付き合いなさい。
それに、あんなプレ打ったら次の人が入りづらくなって(メタ

木剣でも怪我するから寸止めね。負けた方がお団子奢る。いい?
……面白いからなるべく長引かせよう(ぽそっ

「新当流太刀術、秋津洲瑞穂。参ります」



「ところで」
 だが、流星の下での沈黙はそれ程長くは続かなかった。
「フェリクスも剣士だよねー?」
「え? あ、そうですけ」
 振り返るなり、口元を吊り上げにやっと笑う瑞穂の手がいつの間にか神獣刀へと伸びており。
「そんじゃ、いってみよー!」
「うわっ」
 流星以外の白い光が鯉口から走る。抜刀にグリモア猟兵の少年が驚きの声を上げ。
「冗談よ。まさか抜き身は使わないって」
 瑞穂はいたずらっぽい笑みを苦笑に変えれば抜き身の刃で生えていた木の枝を切り落とす。
「……こんなものかな」
 そのまま小枝を払えば、即席の木剣だ。
「ほら。あなたの剣より少し長いけど、そのぶん重さは近いはずよ」
「あ、えっと、どうも?」
 反射的に受け取りながらもまだ若干混乱しているフェリクスにこっちのは私ともう一本作成した木剣を掲げて見せ。
「ちょっと短いぶん不利になっちゃうな」
「ええと、でしたら立ち会いは止めて、このまま星を」
 作成した木剣に唸った瑞穂へ漸くだいたい飲み込めた様子でグリモア猟兵の少年が提案しようとするも、最後まで言わせない。
「ごちゃごちゃ言わない。照れ隠しなんだから付き合いなさい」
「あ、はい」
「よろしい。それに、あんな……」
 どことなく頬の赤い自身へあっさり降参した少年を見て、瑞穂は満足げに頷くと視線を逸らし何事か呟く。続く言葉は夜風がかき消し草木を揺らして吹き抜けて行き。
「こほん、木剣でも怪我するから寸止めね。負けた方がお団子奢る。いい?」
「え、お団……わかりました」
 誤魔化すように咳払いしてから瑞穂が提示したルールに一瞬目を白黒させたもののフェリクスは承諾すると、お手柔らかにお願いしますねと言いつつ木剣を構える。
「新当流太刀術、秋津洲瑞穂。参ります」
「我流、フェリクス・フォルクエイン。お相手します」
「へぇ、我流なんだ」
 名乗りに合わせて少年が返してきた返事に瑞穂が意外そうな顔をすれば、フェリクスは苦笑しつつ二刀流に転向してから以前の流派を名乗るのは不誠実な気がしましてと補足し。
「じゃ、改めて」
「はい」
 どちらとも無く、地を蹴って星が降る下で木剣同士がぶつかり合う。
「っ」
「ほらほら、次はこっちからいくよー」
 猟兵の力量を考えたなら、勝敗は明らかだ。
「……面白いからなるべく長引かせよう」
 だが、だからこそ防戦に必死なフェリクスには、ボソッともらした不穏で小さな瑞穂の呟きは、おそらく聞こえていない。
「はい、ここまでね」
「あり……がとう、ござい、ました」
 結局の所、首元へ木剣を突きつけられた少年が息を乱しつつへたり込んだのはそれから暫し後のこと。決着のついた二人の頭上ではまだ星が流れていた。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月29日


挿絵イラスト