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砂漠の強欲者

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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 その草原にはかつてその地を治めた王の墓が隠されている、という言い伝えがあった。
「へっへっへっ……高い金出してまで手に入れて良かったぜぇ!」
 握りしめた地図を振り上げる男の前には大量の宝石の原石が転がっていた。
 この原石を全て回収し、しかるべきところに売れば……それどころか加工までして売りさばくことが出来ればもう一生の暮らしは安泰となるだろう。
「ん? なんだあれ?」
 そんなことを考え、下衆な笑いを浮かべながら松明の光を原石に当たる男の視界の端に、一つ異質な物が映った。
 それは獣の骨の形をした金塊のように見えた。
 無加工な原石ばかりのこの部屋で唯一、人の手が入ったようにみえるそれに男の興味はかきたてられた。
 地図とここまで来るための準備のためにお金はすでに使い果たしている。宝石の原石とは違い、あれだけ高度な細工がされている金塊ならばすぐに売り手がつくだろう。そうすれば当座の生活費は確保できる。
 そう思い立った男は地面に無造作に置かれたそれに手を触れた。
 次の瞬間、金塊が突然命を宿したかのようにカタカタと音を立て始めた。

「緊急事態です」
 アックス&ウィザーズ世界に繋がる門の前でルウ・アイゼルネ(人狼の黒騎士・f11945)はそう告げた。
「アックス&ウィザーズ世界にあるとある草原で急激な砂漠化が発生しています。現時点ではまだ被害は元々の草原内にとどまっていますが、これが近隣の町にまで広がれば大災害待った無しの状況です」
 ルウが開いた携帯端末には現在進行形で砂漠と化す草原の様子がリアルタイムで映し出されていた。植物も鉱物も動物も関係なしに飲み込んでいくその勢いは現実の砂漠化とは比較にならないほど早い。
 しかし画面の端に表示されている現地の気温や湿度などはアックス&ウィザーズ世界では平均的な数字だった。
「この草原にはかつてこの一帯を支配していた王の墓がある、という言い伝えがあるそうです。近隣の町に派遣された猟兵からの情報では一緒に葬られたお宝があるのではないか、と盗掘屋のグループが活動していたそうで……上はこの異常現象にその盗掘屋達が関係しているのではないか、と睨んでいます」
 ルウは懐から紙束を取り出すと集まっている猟兵達に一枚一枚丁寧に配っていった。
「今回の任務は砂漠化している原因を突き止め、その侵食を食い止めることです。今渡した紙が現地で売られていた『王の墓の位置を示す地図』のコピーとなります。もし上の読み通りこの件に盗掘屋が関わっていた場合、確実にここにヒントがあるでしょう。ただ一部地形が変わってしまっている現状、参考資料程度にしかなりませんが……」
 門の向こう側の景色が変わる。どうやらこれ以上に話すことはないようだ。
「では、皆様の健闘をお祈りします。どうか最高の結果を持ち帰ってきてください」


平岡祐樹
 はじめましての方ははじめまして、平岡と申します。

 今回の任務は「『かつての王の墓がある』とされる草原の調査」でございます。

 突如として砂漠に変貌した草原の奥地で猟兵達を待ち受ける物とは……。

 第1章は変貌した草原(砂漠)の調査、第2章は調査の結果見つかったある物に関する調査、第3章は王の逆鱗に触れてしまった愚か者との対決となっております。

 調査に自信ありの傭兵達よ、いざ突撃!
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第1章 冒険 『変異した地形の調査』

POW   :    力業で活路を開く

SPD   :    地形の影響を受けにくいルートで移動する

WIZ   :    魔法やテクノロジーで一時的に地形の影響を沈静化させる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フローリア・ヤマト
「今時、地図って何よ。おじさんばっかりなのかしら。スマホのGPS使えば墓の場所なんて一発じゃない」
フローリアは買いたての
iPhane XS(Banana社製)
を意気揚々と取り出す。
「どれどれ…?」

(インターネットに接続していません)

「あっ…そうね…
こんな砂漠に電波なんて飛んでないわよね…」
地道に足で調べる事にしたフローリアだった。



「今時、地図って何よ。おじさんばっかりなのかしら。スマホのGPS使えば墓の場所なんて一発じゃない」
 草原につくや否や、地図の情報を確認する猟兵達を尻目にフローリアは買いたてのiPhaneを意気揚々と取り出し、マップアプリを起動させた。
「どれどれ……?」

(インターネットに接続していません)

 しかしその画面に表示されていたのは無機質な宣告だった。
「あっ……そうね……。こんな砂漠に電波なんて飛んでないわよね……」
 フローリアはルウが「動画」ではなく「中継」を見せたことで完全に失念していた。グリモア世界の全てに電波が飛んでいるわけではない、ということに。
 というかもし電波が通っていたとしてもそもそも場所がわかっておらず、様々な内容の地図が近くの町では投げ売られている物がマップに登録されているわけがないのだが……それを指摘してくれる者はフローリアの周りには幸か不幸かいなかった。
 iPhone片手に固まっていたフローリアは一回咳を入れると大人しく周りの猟兵達と同じように地図を広げ始めるのであった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

フルム・サーブル
砂で埋もれているなら物理的に排除しよう
グラウンドクラッシャーは力加減が大変そうだけど、砂なら慣れれば大丈夫かな?
さすがに、地図を書き換えるレベルの破壊は僕には出来ないと思うし…

地形が変わっていても目的地の在処がワープするわけじゃないはずだから
あとは縮尺に気を付けてまっすぐ目的地を目指そう

しかし、花や生物まで砂で飲み込んでしまうのはいただけないね
もしそんな現場に居合わせたら、僕に助けられる範囲で戻しておこう
一年草ならともかく、樹齢の高い木々は非常に惜しい



 砂の重さに押され、大木がへし折られそうになっている。その根元でフルムは金槌を振りかぶった。
「よいしょ、っとぉ!」
 側から見れば小さな妖精が自分の背丈と同じくらいの金槌を砂に向かって振り下ろしてただけだったが……その結果凄まじい轟音と共に金槌が触れた面よりはるか多くの砂が空中に吹き飛んだ。
 最初は力加減を間違えた結果、降り注いだ砂に埋まってしまい偶然目撃していた別の猟兵に救助されたのだが……そんなことを何度も繰り返しているうちにフルムは砂を周りに吹き飛ばす力加減を習得していた。
「……しかし、この地図の縮尺が分からないからどこまで行けばいいのか分からないね……。せめて人間換算だといいんだけどなぁ……」
 そう言ってフルムは唸りながら地図を確認する。自分の読みが正しければこの大木のある地点から墓まではまだまだ距離がある。
「大人しく誰かの肩に乗っかっとけば良かったかなぁ」
 長い行程を覚悟しつつフルムは再び侵食しようと迫ってくる砂の波に向かって再び金槌を突きつけた。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

ンァルマ・カーンジャール
自然が破壊されるのは悲しいです、何としても食い止めていきましょうー!
状況開始です!

まずは現状調査です
土の精霊魔法で地面に振動を起こしながら返って来た振動を電脳魔法でソナーのように分析します
砂漠化が強い場所を探しましょう
盗掘屋の情報も出ていたのでついでに周囲に敵影が無いかも探知し注意していきますよ

土の精霊さんにお願いして砂漠化の浸食が止められそうなら土の精霊術で防波堤を生成します
これ以上の浸食はさせません!

電脳魔術で仲間と連絡を密に取り合いながら動きます
原因が判明したら取り急ぎ連絡です
合わせて周囲の状況確認をして得られる情報を集めていきましょう
土の中にあれば探知出来るかな?

土の上は落ちつきます♪



「精霊さん、私が歩くときにちょっとだけ地面を揺らしてもらうだけでいいんです! あとこの草原を囲むように土の壁を作ってください、お願いします!」
 そうンァルマが地面に向かってお願いしていると地面から黒い物体が頭を出し、手を挙げて戻っていった。
 その反応にンァルマは嬉しそうに頰を緩ませた。

 突如として小さな揺れが草原を襲う。揺れの中心ではンァルマが砂の上を飛び跳ねるように歩いていた。
 土の精霊の助けを得たンァルマは砂の量や揺れの跳ね返り方から砂漠化の現状を理解出来るようになっている。
 その結果、地図で墓があるとされる場所にて砂の密度が異常に高いことをわかった。しかし墓を中心として砂漠化が始まってるか否かまでの判断は被害が広範囲すぎて分からない状況になっていた。
「はぁ……土が恋しいです」
 そんなことを呟きながらンァルマは墓に向けて歩を進めていった。

 その一方草原を囲むように巨大な土壁が現れていた。いくら大木をなぎ倒す砂の波でも土の壁を倒すまでにはいかず、その下で少しずつ積み上がっていく。このまま放置していれば砂の波は土壁を越えて再び外へと侵食を進めていってしまうだろう。
 制限時間はほんの少し伸びただけだ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

サラ・ノアール
調査かぁ。とにかく砂漠化の原因を調べなきゃなのよね。
浸食を食い止めるのは難しいから何か足で探しにいきましょうか。

地図を確認しながらとにかく砂をかわしながらダッシュで駆け抜ける
捜査は足をつかうのが基本よ。
怪しげな物はもちろん、盗掘屋でも見つければ
蛇眼で動きを止めてから鎖で縛りつけて
手に入れた情報とか聞き出しておきたいな

途中、他の猟兵を見かけたらちゃんと情報共有しよう
私、コミュ力はちょっと自信があるのよねー!



「よっ、ほっ!」
 砂から辛うじて頭を出している岩に飛び移りながら走るサラの前方に、集会中に見なかった1人のくたびれた男の姿が見えた。
 変わり果てた草原の姿に混乱しているらしく、地図と前方を何度も見比べているためサラには気づいてないようだ。
「ねぇー、おじさーん」
「え?」
「私、遺跡を探してるんだけど何か知らない?」
 突然現れたサラに男は不審な目を向けた。
「知らねぇよ、ガキはこんなところにいないでとっとと……」
『ちょっとこっち見てくれる?刷り込んであげるわ』
「はっ⁉︎」
 蛇眼によって身震いした隙をつき、隠していた鎖で男の体を縛り上げる。
「もう一度聞くよ? おじさん、遺跡探してる人でしょ?」
「し、知らねぇよ!」
「え?」
 サラはにこやかな笑みを浮かべて手元で緩んでいた鎖を伸ばす。それだけで男は悲鳴をあげてからペラペラと話し始めた。
 男は確かに盗掘グループのメンバーの1人だった。
 最近、カツィカという同僚が「新しい地図を手に入れた」と言って出発してから消息が取れなくなってしまったという。
 男はカツィカを捜索し、もし無事ならそのまま連れ帰り、死体になっていたとしても持っていた道具を回収するべくこの草原を訪れていたそうだ。
 サラは男の持っていた地図を確認するとルウから渡された物とは別の場所に印がついていた。
 不思議に思ったサラは男に自分の地図も見せながら聞いた。
「おじさん、ここの地図って複数あるの?」
「あ、ああ。王の墓の伝承には複数の解釈があってな。その読み方によって地図も変わってくるんだ」
「へー。じゃあこれはその、カツィカさんが持っていた地図の写し?」
「いや、あの野郎俺達にその地図を見せずに出発しやがってんだ。だからあいつがどの地図を持っていて、今どこにいて何やってるのかまでは分からねぇ。……一応言っておくと嬢ちゃんが持ってる地図もあんまり出回ってねぇやつだ。ひょっとしたらカツィカの奴が買ったのと同じかもしれねぇな」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミサヲ・カリナ
*SPD
こんこんと湧き出る砂…、これは思った以上に侵食スピードが早いね。
まずは地図を広げて墓の位置と自分の位置、砂の進行方向と風の向きを確認。

途中で迷いそうになったら、小石砂の上へ投げてみてどの方向へ押し出されるか試してみる。

砂に飲まれて地形が変わっている場所ばかりだろうけど、
考え方を変えれば、見晴らしが良くて良い。気負わず行こう。



「えーっと、あれがあそこにあるから、僕の位置はここらへんか」
 転移されて早々、ミサヲは地図を開いて場所の確認をした。
 目下に見える草原を埋め尽くす砂は満遍なく広がっており、風は無風。よい調査日和である。
 しばらく進んでいると地図に描かれているはずの目標物がなかった。
 地図通りに進んでいたはずなのに、砂に足を取られているうちに徐々に道を逸れてしまったのか、それともとっくのとうに砂の中に目標物が沈んでしまったのか……。
 そんな中、別の猟兵から砂が出ている場所と墓の場所とされている位置が近い模様、という連絡が入った。
 ミサヲはとりあえず近くに埋もれていた小石を砂に向かって投げてみた。
 小石は砂の上に落ちるとミサヲのいる方へ流れてきた。
 別の猟兵の情報を信じれば今進んでいる方向へ行けば何かヒントが出てくるかもしれない。
 ミサヲは軽く息を吐き、今進んでいる道が地図通りであることを願いつつ再び歩を進めるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『宝探し』

POW   :    力を使って調べる

SPD   :    器用に調べる

WIZ   :    頭を使って調べる

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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 地図に描かれていた地点には小さな砂山がまるで間欠泉のように出たり引っ込んだりを繰り返していた。
 あまりに小さい砂山だったため遠目からは分からなかったが、近くに寄ればその異質さは明らかである。
 一回一回は小さくても短いスパンで何度も繰り返された結果、大量の砂が辺りを埋め尽くす事態に発展してしまったことを猟兵達は察した。
 猟兵達はこの砂の間欠泉を止めるべく、砂山が引っ込んだ時に出来た穴に向かって飛び込んだ。
 中は草原に比べれば全然マシだが……砂まみれの洞窟だった。ここが伝承の王の墓だろうか?
 猟兵達はしばらく中を調査したが洞窟内を砂が埋め尽くすことはなかった。
 ではあの砂の間欠泉はどのように生じているのか?
 猟兵達は様々な考えを思いつきつつ、行動を始めた。
 砂山を作っているのは物か、人か、現象か? ここからはもう地図は頼りにはならない。
柳生・友矩
これは怪しいですね。妖怪でもいるのでしょうか...?ともかく調べてみましょう。

調べる(物理)。【POW】俺のユーベルコード【剣刃一閃】で砂山を切ってみますね。何事も行動が大事だと思うんです。

他に良い案があればそれをお手伝いするのですが...。



 何の手がかりもないまま洞窟内を歩き回っていても埒があかないと判断した友矩は岩場の出っ張りをよじ登り、なんとか地上に戻った。
 猟兵達がまだ何人も洞窟の中にいるにもかかわらず、砂山は相変わらずこんこんと吹き出していた。
 穴から這い出てきた時に口に入ってしまった砂を水筒の水でゆすいだ友矩は一息つくと腰に挿していた刀の柄に手をかけた。
「『剣刃一閃』!」
 目で追えないほどの速さで刀身が抜かれ、目の前に積もっていた砂山が飛散する。
 チン、という音と共に刀身を鞘に戻した友矩の目には砂山が洞窟から湧いているのではなく、洞窟の穴を塞ぐように展開された魔法陣から生じていたのを見逃しはしなかった。
 しかしその魔法陣を操っている物がどこで、どうやっているのかまでは砂山が飛散したわずかな時間で見破ることは出来なかった。
「んー、これでは原因が洞窟の中か外か判断することが出来ませんね……」
 その後も何度か同じことを繰り返すもその度に魔法陣の形や砂の量が微妙に変わっていること以外の情報を読み取ることは出来なかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

サラ・ノアール
うーん、おじさんの話では私達の地図が一番それっぽいらしいから
この砂の洞窟自体はビンゴなんだけど・・・

外は砂で覆いつくそうとしてるのに洞窟が砂に埋もれないって事は
空間が必要なのかな?
内部で砂を吹き出す以外の動きをしている部分を探してみよう

何か変化がありそうな部分は第六感で
試しにレプリカクラフトで作ったジェル状ボンドで固めてみても面白いかも。足止め用の罠なんだけどね。
何でもやってみましょう!



 サラは砂を吐き出す魔法陣以外の動きがないかどうか、時折サラサラと砂が落ちてくる縦穴を中心に洞窟内を動いている物がないか探していた。
 しかし見つかるのはもぐらや虫、コウモリと言った動物達ばかりで魔法陣を作っている原因っぽい物は見つからなかった。
「うーん……ここまで探していて見つからない、ってことは相手も一緒に動いてるのかな」
 そう考えたサラはレプリカクラフトで接着剤を作ると、もし術者が侵入してきた猟兵達に見つからないように移動していたら通るであろう人一人が何とか倒れそうな道にそれをぶちまけた。
 もし予想が正しければ、サラがしばらくしてから戻ってきた時にGホイホイのごとく術者が引っかかっていることだろう。
「よし、この調子でどんどんやりますか!」
 そしてサラはアリの巣のように無駄に入り組んでいる洞窟の物陰という物陰に接着剤を撒きまくったが、残念ながら引っかかったのは今回の事件とは関係ない不幸な動物たちだけであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フルム・サーブル
洞窟の入口はあまりヒントが無いのかな?
奥の方を見に行ってみよう

狭い隙間に入れるのを活かして
あまり遠くへは行き過ぎないつもりだよ
羽ばたくスペースがあれば飛ぶこともできるしね

魔法陣を発生させていそうな装置があれば目星をつけておいて
危険な罠なら……正面突破だ
こういうのは八割ぐらいは壊せば何となかるのさ

一応、生きている生け花を召喚しておいて
合体はさせずに活用
帰り道を見失わないよう固定しておいたり
危険なときの足場にしたり、多数の物が降る系の罠に対応させたりしよう
今回はイメージ的にサボテン系の花…月下美人にしよう



 複数の猟兵達が入口の穴の周りであーでもないこーでもないと頭をひねる中、フルムは誰かが罠として蒔いたのであろう大量の接着剤を飛んで避けつつ、洞窟の奥へと進んでいた。
『花は野にあるように』
 全く日光が通らない洞窟の中にもかかわらず、凄まじい勢いで地面から芽が生え、成長していく。
 そして白い花が開くと、辺りは良い匂いに包まれた。
「……しかし、ここまで何もないと逆に拍子抜けしてしまうな」
 歩ける所には猟兵が絶えず巡回し、隠れられそうな所には大量の接着剤がぶちまかれ、危険な罠は設置されてもない。ここまで大規模な災害が起こしているオブリビオンの割にはあまりにも情報がなさすぎた。……もしくはそれだけの動きをしていても自身の存在を隠しきれるほどの実力の持ち主が相手なのだろう。
「そういえばこの地をかつて治めていた王の墓……だったっけ。これは一筋縄ではいかなさそうだね」
 たどり着いてしまった洞窟の一番奥の壁を見つつ、フルムは深いため息をついた。

成功 🔵​🔵​🔴​

リンネ・ロート
(人格・口調:リンネ)
【WIZ】
王様のお墓……宝物……それに不思議な洞窟……
まるで見つけてくれと言わんばかりの条件……
この場所自体がまるで罠みたいな気もするけど……

時間はあまりなさそうだけど、慌てずにゆっくり手掛かりを探しましょう
他の方からの情報を基に怪しそうな場所の候補を割り出します

候補に挙がった場所の壁や床を銃床で叩いてみます
建物とかで異常がある場所って叩いたときに音が違うらしいですよね
耳のいい方がいれば一緒に来てもらってもいいですか?
素人の私じゃ分からないでしょうし

音が違う場所があればそこへ向かってUCを放ちます
他の方は下がっててくださいね、虚数領域に飲み込まれちゃうといけないから


ンァルマ・カーンジャール
お次は洞窟内部の調査ですねっ!
・・・それにしてもここで一体何が起こっているのでしょうねー

引き続きソナーのように土の精霊魔法で振動を発生させつつ、
返ってきた振動を電脳魔術で分析し調査します

洞窟内に存在する精霊さんがいらっしゃったら、
最近何か変わった事などなかったか?お聞きしてみますよー
ここを元の自然な状態に戻してあげたいのです



「精霊さん精霊さん、最近何か変わった事などありませんでしたか?お聞きしますよー」
 地上から引き続きソナーのように土の精霊魔法で振動を発生させつつ、返ってきた振動を電脳魔術で分析し調査しているンァルマだったが、どこをどう歩いても同じ反応、とその成果は芳しくなかった。
 そこでンァルマは歩くのをやめ、そこら辺にうろついている精霊達に片っ端から話しかける方向へ転換していた。
「ふんふん? 最近変な音がした? それ、詳しく聞かせて下さい!」
 そんな話しかけたうちの一体の精霊によると、つい先日大きな地響きがあったらしい。
 ひょっとしたら壁が崩れたのかも、と精霊は音のした方を見に行ったものの何も変わってなかったので気のせいか、と思って立ち去ったのだという。
 その話を聞いたンァルマは、とりあえず見てみたい、と頼み込み問題の場所まで案内してもらった。
「うーん、見た目も振動の反応も全く同じ壁ですねぇ」
「何をされているのですか……?」
 ンァルマが訝しげに壁を睨みつけていると、通りかかったリンネ・ロート(多重人格者のサイキッカー・f00364)が恐る恐る尋ねてきた。
「あ、リンネさん。この子からこの辺で大きな地響きを聞いた、ってお話を受けまして」
「地響き?」
 リンネはンァルマの指差した先にある壁をわりと強めに銃床で何度も叩いてみた。
 サラサラと少しだけ抉れた後、すぐに元の形に戻った壁を見つめたリンネは横にいるンァルマを見た。
「ンァルマさん、少し離れていてもらえますか? あと、誰かが近くに来たらこっちに来ないように伝えてください」
「え、あ、はい」
 目をキョトンとしつつも素直に小走りで離れていったのを見送ったリンネは目をつぶり、軽く息を吐いた。
 そして目を開けた瞬間、目の前の壁が突然砂塵に変貌した。
「あわわ、コッチニ来チャダメデスー!!」
 突然洞窟内に蔓延した砂埃にただならぬ気配を感じ、猟兵達が慌てて駆けつけてきたが、ンァルマは同じように驚きながらも言いつけ通りにその行く手を阻む。
 砂塵が舞い上がる通路を前に通す通さないの問答が繰り広げられる中、砂塵の中から涙目のリンネが現れ、こう小声で言った。
「あの、皆さん……。お騒がせしましたが……見つけた、みたいです……」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『呪飾獣カツィカ』

POW   :    呪獣の一撃
単純で重い【呪詛を纏った爪 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    呪飾解放
自身に【金山羊の呪詛 】をまとい、高速移動と【呪いの咆哮】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    カツィカ・カタラ
【両掌 】から【呪詛】を放ち、【呪縛】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナミル・タグイールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 崩れ落ちた壁の向こうから現れた通路を砂を踏みしめながら進んで行くと奥から「ガリッ、ガリッ」と何かを齧るような音がしてきた。
 その不気味な音に、猟兵達は警戒心を露わにする。
 それぞれ武器を構えながら歩を進めていくと、開けたところで所々に結晶が見える大きな岩石の前で座っている人の後ろ姿が一つ見えた。
 毛皮を纏い、金色の骨を頭に被った男は後ろから来た猟兵達を気にせず、一心不乱に岩に齧り付き続ける。
 その手足は不自然なほど肥大し、顔もまるで獣のような形に変貌していた。
 これが盗掘屋の成れの果てか? と思わず顔を見合わせながら思い思いにその部屋の探索を始めようとする。
 すると男は突然振り返り、自らの血で汚れた顔で雄叫びをあげて襲いかかってきた。
ンァルマ・カーンジャール
お食事中すみません・・・!
あなたが今回の原因です?
それともまたあたなたも被害者なのでしょうか?

対話で解決できれば一番ですが取り合っては・・・くれませんよね
元に戻してあげられればいいのですが・・・
まずは沈静化さないといけないようですね

初手は土の精霊魔法で盾を生成して敵さんの攻撃に備えます!
同時に土の剣を放ち攻撃です!

敵さんの動きを観察し電脳魔術で分析しつつ立ち回ります
先々の行動を予測演算で予想しつつ対応しますよー

大振りの攻撃などチャンスを見つけUC《[複合接続]【電磁気学制御】大地の剣》で一気に削ります!

・・・まだまだお元気そうでしょうかね?



「あわわ、お食事中すみません……!」
 謝りながらもンァルマはすぐに謎の獣から距離を取る。
 獣は自分に近づく者がいないと悟ったのか、自分の手に大量の砂を巻き起こし始めた。
「砂……。あなたが今回の原因ですか?」
 ンァルマは獣に向かって問いかけるが当然答えは返ってこない。
 獣が砂を投げると、まるで風に乗っているかのように布のように一列になって舞い、猟兵達に襲いかかる。
 ンァルマはとっさに自分の前に土の壁を生やしてもらい、その攻撃を受け止めようとした。
 しかし砂はまるで意志があるかのように土の壁を避けてンァルマの足に巻きついた。
「あ、あれ⁉︎」
 砂から逃げようと足を動かそうとするが、まるで重しのついた鎖をつけられたかのように足が動かない。
 しかし周りで必死に精霊達が解こうと頑張ってくれているおかげでンァルマ自身にそれほど痛みは無かった。
 獣はその場で手のみを動かし続けている。どうやら砂を動かすには自身も動けなくなるのか、集中しすぎているらしい。
「ならば、『複合接続!電磁気学制御!強磁界展開!──母なる大地の御剣よ!仇なす者に凄惨なる斬撃を!』」
 ンァルマがそう唱えた瞬間、地面から巨大な岩の剣が何本も突き出し、獣の体を抉る。
 獣は血の代わりに砂を体から流し、雄叫びを上げた。

成功 🔵​🔵​🔴​

フルム・サーブル
君は……何をしていたんだろう
岩なんて食べても美味しくないと思うよ?
さ、花の蜜とかもっと甘いものを食べよう

うーん……話しても無駄かな
どうやら拳と拳で語り合わねばならない時が来たようだね
それじゃあ、襲ってくるタイミングを狙って力溜めをしておいて
気合いと怪力をありったけ籠めた捨て身の一撃で妖精さんパンチをお見舞いしよう
間合いの短い僕だけれど、殴られるときは殴るチャンスなのさ
カウンターは得意な方でね
特に、当たると信じて疑わない一撃を返せたときは爽快さ


サラ・ノアール
うーん。カツィカって人かしら?
本物なら人族だし抜け駆けした上にお仕置きに心配かけてるからなんとか助けてあげたいところだけど…。
なんにせよ動きを止めないとね。

砂だらけだから剥がした方がいいかしら?
またジェル状ボンド作って砂を固めてからアサルトメイスで砕きましょ。
「2回攻撃」「鎧砕き」「気絶攻撃」「衝撃波」あたりかしら。
砂の攻撃はチェーンウィップで「なぎ払い」もしくは「ダッシュ」「見切り」「逃げ足」て逃げるか「ロープワーク」を駆使して飛び越えとか。

「コミュ力」使って他の猟兵さんに援護してもらいましょ。
死んじゃわないようにね。



「岩なんて食べても美味しくないと思うよ? さ、花の蜜とかもっと甘いものを食べよう」
 と言いつつも実際にその物は出さず、フルムはのらりくらりと獣が振るう腕を避ける。
 苛立ってきたのか、獲物が腕を振り上げたのを見てフルムは今まで使ってこなかった羽を使って宙に舞った。
 空振った腕は勢いよく地面に叩きつけられるとその周囲を派手に凹ませた。
「うーん……これは話しても無駄かな」
「フルム、こっちに!」
 手を振って叫ぶサラの元に降りたのと入れ替わるようにサラが半透明の液体を獣に向かってぶちまける。
 獣の体に貼り付いた液体はみるみる白く変わっていき、獣は煩わしそうにその液体を剥がそうと身じろぎ始めた。
「心配せずとも、私が剥がしてあげるよ!」
 一気に走り込むサラはメイスを握り直すと思いっきり獣の巨大な腕にそれを打ち込む。すると白い液体で固められた、砂で出来た腕に特大のヒビが入った。
 その隙間から流れ始めた砂がサラの体に巻きつこうとするが振り回される鎖の風圧に吹き飛ばされてしまう。
「それもう一丁!」
 再びメイスが振るわれるとヒビがさらに大きくなり、カケラがバサリと地面に落ちた。
 隙間が出来てしまった体を塞ごうと断面から砂が膨れ上がるが、その片隅に乾燥して皺だらけになった人間の体のような物がうつった。
 まだ壊れていない方の腕の振り回しをロープワークで飛び越えたサラは宙返りをするとその場で何かの構えを取っていたフルムのそばに着地した。
「うーん。やっぱりこいつカツィカって人かしら?」
「カツィカ?」
「うん、盗掘屋の人でここに抜け駆けしに行って行方不明になってるそうなの。本物なら人族だし、お仲間に心配かけてるからなんとか助けてあげたいところだけど……」
「ふーん……」
 フルムが少し考え事を巡らせているとサラを追いかけて獣が全速力で走り込んできた。
「サラ君、ちょっと離れていてくれ」
「え、でもフルムは」
「僕なら大丈夫。それよりもあっちで動けなくなっているンァルマ君を助けてやってくれ。君のさっき投げた液体ならンァルマ君に巻きついてる砂を壊せるようになるだろう?」
 フルムが顎で差した先を見たサラは鎖を伸ばしてンァルマの元へ飛ぶ。
 フルムは大きく息を吐くと獣にその視点を移した。
 全く逃げる様子が見えないフルムに獣は全体重を乗せた発勁を叩きつける。
 しかしフルムはわずかに体を屈ませるとその発勁と獣の体の隙間に潜り込んでユーベルコードをまとった一撃必殺の拳を無防備な鳩尾に叩き込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ホーラ・アイアンアーム
二人のリプレイを見てちょこっと修正なのだ

【POW使用】【ハルモニアで参加】【アドリブ、絡み歓迎】
遅れてごめんだけど、その分頑張るのだ!

地上は二人に任せて、ホーラは空から攻めるのだ。
【防具改造】で【空中戦】モードに変形するのだ。
【ジャンプ】と【ダッシュ】を駆使して相手を翻弄して、
【グラップル】と【鎧無視攻撃】で選択UCを打ち込むのだ。
相手の攻撃は【戦闘知識】と【見切り】で捌くのだ。

もうそろそろ、限界なのだ?


ヨー・リドット
自然が砂漠に飲まれてると聞いちゃあ、自然にゆかりのある存在としちゃ放っておけないな! 大人しくなってもらうとするぜ!

【POW使用】【ハルモニアで参加】【アドリブ、絡み歓迎】
地上にいる仲間はどこにいようが【ダッシュ】で駆けつけて、【かばう】ぜ!
かばうときは、自然の力を纏った【オーラ防御】で敵の攻撃をガードしつつ、大剣の【カウンター】に【生命力吸収】を絡めて、しぶとく殴り合ってやるさ!
もし仲間が敵に隙を作ってくれたら、そのときはUC【グラウンドクラッシャー】でドデカイ一撃をお見舞いするぜ!

ただし、俺は【かばう】主体で攻撃は二の次だ。
自然のことも大事だが、仲間の無事のほうがもっと大事だからな!


サフィ・ヴェルク
同じく参戦致します。
こちらもリプレイを見て連携いたします。
持ってるUC的に世界観の相性がよくないですし得意そうな人にお任せしましょう
【ハルモニアで参加】【アドリブ歓迎連携歓迎】

「足元がお留守ですよ……!」
後続組なのでバックアップに努め、UC【アイシクルバーグ・ゼロ】で凍結などを行い、威圧&行動阻害
動きを止められるなら同じく止めてやりましょう

多重人格者キャラですが闘ってる時はロゼというテンション高い敬語キャラ
サフィもロゼも丁寧敬語口調なのに皮肉とか言ったりしますしお互い同士にも言います
【WIZ使用】サイキックで氷の【属性攻撃5】で攻撃しつつ【催眠術2】【目潰し1】で敵の妨害行動に出ます



 腹に巨大な穴が空いたにもかかわらず、獣はなおも腕を振るう。しかし腕を突き出した体勢のフルムを庇うように1人の少年が間に入った。
「その程度じゃ、俺の防御は破れないぞ化け物!」
 ヨー・リドット(深緑の化身・f13812)は自分の背丈ほどある大剣で獣の爪を弾き飛ばす。
 すると左腕を修復しようとしていた砂の塊が形を崩し、地面に落ちた。
「お、効いてる効いてる!」
「ヨー君、腕が痺れてきたらすぐに言うんだよ?」
「この程度なら余裕!」
 体勢を整えたフルムからの呼びかけにヨーは剣を盾のように構えながら答える。体の修復で手一杯なのかンァルマのように砂で動きを封じにかからないため、力任せの攻撃は簡単にいなすことが出来た。
 ヨーが殴られた衝撃を使って距離をわざと取ったところで天井の近くで眺めていたホーラ・アイアンアーム(失ったからこそ得られる力・f13693)は天井を蹴った後一気にジェットパックの火力を上げ、獣に向かって突撃をかける。
「足元ばかりに気を取られてちゃダメなのだー!」
 ホーラの勢いのついた一撃は無防備となっていた金色の頭蓋骨にクリーンヒットする。人によっては確実に脳震盪を起こす威力に頭蓋骨の全体にヒビが入り、左の角は根元から折れて地面に落ちて転がった。
 それを見てしまった獣は怒り狂ったように叫ぶと空をヒラヒラと飛び回るホーラに向かって砂を撒き散らしながら腕を振り回す。
「ふふっ、今度は足元がお留守ですよ……!」
 サフィ・ヴェルク(氷使いの不安定多重人格者・f14072)が冷気を纏った両手を振りかざす。すると獣の足を巻き込むように地面に氷柱が生えた。
『アハハッ、永久に凍り付け! 楽になりますよ!!』
 ボンドとは違い砂を内側から押し上げても割れない拘束に獣は視線を下に落とし、自分の手を氷柱にぶつけるが未練がましく、空のホーラに視線を向ける。
「どうするフルム、ご希望なら鎖で腕の動きを封じるけど」
「いや、鎖よりもさっきのボンドの方がいいかな? カウンターの方が威力出るし」
「ヨーさんの戦っていた所を見てると砂を上手く流動させて衝撃を外に逃がしてましたから、ボンドの方が私もいいと思います!」
「え、砂が落ちてたのって生命力を吸収してたからじゃないのか⁉︎」
「それもあるかもしれませんが、砂の精霊さん達が言っているので多分本当です!」
「それなら準備しとくよ」
「そうだ、空飛んでる子にかからない場所に逃げとくように合図できるかい? サラ君のボンドが間違ってかかったら可哀想だ」
「もちろんです! ホーラ、もう一発いくぞ!」
「了解!」
 ヨーから声をかけられたホーラが再び天井に向かう。
「皆さん、目を閉じてください! 『存分に怖がってください これは僕の 僕だから僕は 僕となりて 嗚呼、発狂してしまいそうだ その前に凍て付かせて差し上げますから』」
 全員が目を閉じるとほぼ同時にサフィが念唱すると彼の体の周りに白い蛆のようなシルエットが湧き上がる。
 獣の脳裏に、自分を守って死んだ親の死骸にへばりついた大量の蛆の姿が思い出されると同時にシルエットは眩い光に変貌する。
 その光に視界を塞がれると全身にまた冷たい液体が浴びせかけられる。
 どこから何が来るか分からない恐怖に、獣は半狂乱になりながら腕を振り回す。
 しかしその腕は何にも当たることなく、4方向からもたらされた一撃によって獣の意識は反転した。

 金色の頭蓋骨が崩壊すると同時に毛皮や体の形が崩れ、砂へと変わる。
 その中から干からびた見た目の人間の体が現れ、慌てて伸ばされたサラの鎖の中に沈んだ。
「息は⁉︎」
「……まだかろうじてある!」
「ホーラが運ぶよ、どいてどいてー!」
 こうして一人の盗掘屋をめぐる草原の砂漠化は終結した。
 出てきた人間……カツィカは懸命の治療で何とか息を吹き返し、同僚がいつ退院するかと手ぐすねを引いてる様を見てベッドの隅で丸くなっていた。
 草原を埋め尽くす砂も洞窟から大量に出てきた宝石の原石を売り払ったお金で雇った現地の傭兵や業者によって運び出された。砂によって死んだ動物や折られた植物も時間が経てば次第に戻っていくだろう。
 そんな中、フルムは街の図書館でとある生物の本を読んでいた。
 その生物は自分の角を大きく育てるために主食とは別に鉱石を食べていた。
 さらに宝石の原石などを食べることによって角は色鮮やかな物へと変わり、その異様な美しさからその生物の群れのリーダーは「草原の王」と呼ばれていたという。
「死んでもなお、自分の美しさに固執していたということか。……そういう美しさは好きではないな」
 そう鼻で笑うと、フルムは借りることなく本を元の位置へ戻した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月14日


挿絵イラスト