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刃の行く先

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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 刀、剣。争いに使われる武器。
 様々な人の手によって作られ、様々な人の手によって使われていく。
 誰かを守る為、目的を果たす為、力の形として存在していくもの。
 そしてここはそんな力の使い方を導き、その腕を磨く場所。
「だからこそ、あってはなりませんね」
 そんな冷たい声と共に、この地は無残に蹂躙される。

「と、いうのが簡単な予知ですよ」
 猟兵達を呼び出したウインドは一通り、これから起きる出来事を説明した。
「今度はサムライエンパイアのとある村落。これといった名前はないんですが、刀の道場があるのが特徴でしょうか」
 正しく武器を扱い、未来の平和のために力を振るう事を教える道場。これといった大きな名もあるわけではないが、その正しい教えの元に修行者は集い、新しく剣の道を志す者達も集まる修行の場として存在しているようだ。
「ただまぁ、それが気に食わなかったんですかね。落ち武者を始めとするオブリビオンの連中が時期に攻め込んできます」
 武器によって死に絶えた存在。当然そんなものを生み出す場所が恨めしいと言わんばかりに暴威を振るう。
「落ち武者にも勿論そういった妄念や執念はあったでしょうが、ここまで的確に狙ってくるという以上背後にはもちろん主導者がいます」
 オブリビオン『落武者』はオブリビオンとして復活しても主に仕えていたという生前の性か強力なオブリビオンに従い、部下として活動することも多い。
 今回はそれによって統制が取れた襲撃を行う予定だったのだろう。
「背後にいるのは『刻命』の阿頼耶識。今回は『刻命』と称しましょうか。首魁はそいつですね」
 『刻命』の阿頼耶識。元人間でありながら、全ての人類に憎悪を抱くオブリビオン。死者にかりそめの命を与える禁忌の力を用いるためか、それとも復讐かは分からない。
 しかし確かに、今その脅威がこの村に近づいているという事だ。
「あんまり猶予はありません。現地に向かったらこちらで避難誘導を行いますので、皆さんは落武者の対応を行ってもらった後、『刻命』の対応に回ってもらいます」
 平和な村を突如襲う脅威。止められるのは自分達猟兵だけだろう。
「終わった後は……ま、そうですね。せっかくのこの場所でも、傷跡がやっぱり残りますから、剣の道って奴を皆さんがケアしてあげるといいかもしれないですね」
 剣の道は剣で正すとでもいうべきことだろうか。と言ってもそれは少なくともあとの事、今やる事はオブリビオンを倒すことだ。
「と、いう事で行きますよ。転移したらすぐに戦闘、きっちり準備して向かってくださいね」
 ウインドは転移を行う。その後、猟兵達が現地へと召喚されれば、そこにはもう無数の落武者たちが迫っている姿が見えた。


トビカゼ
 正しく武器を使う、とても難しい事ですよね。トビカゼです。
 今回はサムライエンパイアにての戦闘が主となります。落武者との複数戦ののちにボス戦となります。
 相手は特に連携を取ったりしてはいないので、正面戦闘で叩き伏せてしまいましょう。

 戦闘終了後は、この土地で自由に行動できる期間となります。
 剣や刀の修行の地として適した場所でもあるので修行をするもよし、知り合いと模擬戦をするもよし、NPCと模擬戦するもよし(弱いです)。もしくはこの地の人々に再び剣というものを語っても構いません。

 ともあれ、それをするためにはまず目の前の脅威を対処することからになるでしょう。
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第1章 集団戦 『落武者』

POW   :    無情なる無念
自身に【すでに倒された他の落武者達の怨念】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    欠落の決意
【武器や肉弾戦】による素早い一撃を放つ。また、【首や四肢が欠落する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    妄執の猛撃
【持っている武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

雪深・舞織
武器によって、命を散らせて死に絶えた存在……。己の命を散らせたものを許せないのはわかる……。でも、だからといって無関係の人々を襲っていい理由にはならない。彼の地のように武器を正しく扱い……正しく振るう事……それを教える場所は大切……。

まずは、「羅刹旋風」で武器を振り回すことでこちらに注意を引きつけて、避難誘導の時間を稼ぎつつ、戦闘力の増強に努める。
攻撃は当たればいいけれど、己を再び殺しうる存在がいると思わせるのが目的だからそれが達成できるなら外れてもいい。
「数多の人々を殺めた……傭兵一族の者があなたがたを再度……殺します……」
……加減を間違えて、地面がめちゃくちゃにならないようにしないと


リグ・アシュリーズ
開幕と同時に、敵の数をさっと目で確認。
「ささ、行くよ!こういう時は『であえー!』だっけ?」
無骨な剣を振り回してニッと笑い、砂利を踏みしめ敵陣ダッシュ!

黒風鎧装を纏って、黒剣で敵とがっちり斬り結ぶ。
前線には出るけど、足並み揃えて突出しないよう立ち回るよ!

私にとって剣は剣、戦いの道具。
無念なのはわかるけど、死んでからもこだわる理由はちょっとわかんないや。
だいたい、直接自分を襲った相手でもないのにね?

だから、する事は一つ。
全力で打ち合って、綺麗さっぱり消えてもらうよ!

相手の構えを崩すように横からガシィン!と派手に打ちつけ、
トドメの時は大上段から一気に斬り下げる!
気は済んだ?じゃ、今度こそおやすみっ!


御狐・稲見之守
さて、申し訳ないが剣技自慢の落ち武者諸君。悪いんじゃが、汝らはワシに近付くことさえ叶わず骸の海へと還って行くのじゃよ。

[WIZ]荒魂顕現、【属性攻撃】【範囲攻撃】はワシの十八番よ。我成す一切万事此れ神事也。大地の荒波に揉まれ、貴様ら皆文字通り地の海に沈むが良い。地に足を付けている限り、波打つ地の上で剣技もなにもあるまい。さてこの中で伝承に名高き八艘飛びを見せるぐらいの剛者はおらんかの?

まあ、たまにはイキってみるのも悪かないな。地揺れ起こして村が大丈夫かって話もあるが、うんきっと大丈夫。多分。



 村を目がけてわらわらと向かってくる落武者達。
「おー、いるいる。結構な大軍だね」
 リグ・アシュリーズ(人狼の黒騎士・f10093)はそんな様子をざっと確認して、数十はゆうに超える存在が群れていることを確認する。
「ささ、行くよ! こういう時は『であえー!』だっけ?」
 並び立つ猟兵達を鼓舞するように剣を落武者達に突きつけて笑みを浮かべると同時に、リグは勢いよく戦場へと飛び出した。
「少々違うがまあよかろう」
 突撃していくリグを見送りながら御狐・稲見之守(お稲見さん・f00307)はくすくすと笑う。
 突出しているようにもみえながらきちんと仲間と足並みをそろえているあたり抜け目ないというものだ。
「武器によって、命を散らせて死に絶えた存在……」
 戦場で武器によって自らの命を絶たれた者達。その恨みというものを武器に向ける、武器が許せないという理由は確かにわかる。
 だがしかし、それでこの地を、関係のない人々を襲っていい理由にはならない。雪深・舞織(戦乙女見習い・f12039)はリグと足並みをそろえて突撃しながら巨大な斧を振り回す。
 敵陣に踏み込み、無作為に振り回される斧は嫌でも注意を引く。落武者達の意識は舞織に向き、逃げ遅れていた人々も安全に逃げられるというもの。
「っとぉー!」
 一斉に舞織に攻撃が向かう事も避ける目的もあり、リグは正面から振り下ろされた刀を黒剣でがっちりと受け止め、切り結ぶ。
「剣は剣、戦いの道具さ。無念だっていうのはわかるけども、死んでからもこだわる理由は……!」
 力任せに刀を弾き、ねじ込むように体ごと踏み込み、下段から切り上げるように薙ぎ払う。
「ちょーっとわかんないや。襲った相手でもないのにね?」
 リグが一人切り伏せたと同時に、意識が彼女に向く。真の姿を解放しようかとも思うが、使うほどの相手でもなさそうだ。そのまま続けて剣で受け止める。
「……リグさん」
「おっと!」
 後方から斧を振り回しながら直進してくる舞織を確認したリグは、再び打ち合った剣を全力で弾き飛ばし、剣を振り付ける前に一足に距離を開ける。
「数多の人々を殺めた……傭兵一族の者があなたがたを再度……殺します……」
 強引、豪快に叩きつけられた斧が落武者を一撃のもとに叩き潰し、その衝撃波が後方の落武者を吹き飛ばす。
「うむうむ、実にいい一撃じゃゾ」
 舞織の一撃を見て満足そうに稲見之守は戦場を歩く。そんな隙だらけの彼女を見て、落武者達は意識を彼女に向ける。
「我成す一切万事此れ神事也」
 しかし、彼女に向かうよりも早く、ぐらぐらと大地が揺れる。
「大地の荒波に揉まれ、貴様ら皆文字通り地の海に沈むが良い」
 荒魂顕現。彼女の引き起こした神事。即ち大地震が大地を揺らせば、地に足をつけた剣術を彼らは一切合切振るう事が許されない。「申し訳ないが剣技自慢の落ち武者諸君。悪いんじゃが、汝らはワシに近付くことさえ叶わず骸の海へと還って行くのじゃよ」
 余程の強者でなければ稲見之守に近づくことなどできはしない。だが、そんな中でも倒された落武者達の怨念を纏った一撃を衝撃波として放つ者がいた。
「……おぉ、居るではないか」
 その感嘆の声は敵ではなく、かばうように割り込んだ舞織とリグに向けられていた。
 二人は一撃を弾き飛ばすと同時に大地を飛び、舞織の一撃が落武者の腕を切り落とし、続くリグの横薙ぎが相手の体制を切り崩し、続く大上段の袈裟切りで完全に両断される。
「気は済んだ? じゃ、今度こそおやすみっ!」
 完全に消えていった落武者を見送ってリグと舞織はそれぞれの武器を構えなおす。
 相手はまだまだ、しかし完全に満足させて打ち倒してしまおうではないか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花盛・乙女
剣の道の凶事に立たねば花盛の名が廃るというものだ。
民兵ならいざ知らず、武者であり斬られ死んだことを未熟と嘆くならまだ良いが、報復とは門違いだな。
よろしい。彼奴らに意思があるかはさておき、この花盛乙女が直々に稽古をつけてやろう。

黒椿を手に敵と相対する。
剣の道は礼儀も肝要、正座の挨拶からだ。
礼も返さず襲いかかる無作法者がいれば座したまま一太刀にて切り捨てる。
その後は花盛の剣の訓示をくれてやろう。
【鬼吹雪】を使い上段、籠手、突き、胴。
この程度で散るような腑抜けでは困るがな。

他愛ない。剣の道を阻むとはこの花盛乙女を斬り伏せるのと同じ事。
貴様らは単純な稽古不足だ。鍛えてやるから休まずかかってくるがいい!


ベルベナ・ラウンドディー
息白し 刀語るは 敵なり
語らぬ亡者 巡る戦場


家光殿の振るう柳生の刀はたしか活人剣
私の殺人刀と本来は相容れぬところですが
…説くべき者を失うわけにはいかない点は同じですね


では、柳生新陰流に代わり常州陰之流がお相手します!

●戦術:各個撃破

【殺気・恐怖を与える】で怯ませ
【串刺し・吹き飛ばし】を狙い、一対一で持ち込んで確実に仕留めていく
躰が吹き飛んでも攻め手はあるようですし反撃は常に警戒…残心という奴です
【聞き耳】を立て、死角の不意打ちに注意
許した場合は【見切り・残像】の回避から【カウンター】で対処


素早い一撃に自信はあっても
機能的に脚部を破壊してしまえばどうでしょうね!?
ユーベルコードはそこを狙います



 次々と落武者達を対処する猟兵達。そんな空間に似つかわしくない人物が一人。
「……さて」
 剣の道は礼儀も肝要、たとえどのような相手であろうとも正座の挨拶は欠かさない。花盛・乙女(誇り咲き舞う乙女花・f00399)は刀を持つ落武者達に対し、戦場であっても正座での礼を向ける。
 だが、そんな礼など落武者達には残っていない。獲物と完全に見た彼らは乙女へと殺到する。が、その体はふと気が付けば二つに分かれ、地に落ちる。
「無作法者共め、剣の道を一から叩き直してくれよう」
 座したままの居合による一太刀。その一閃が落武者の身体を切り捨てていた。それでも恐れることなく向かってくるのは亡者が故か。
「鬼の吹雪で乱れ散れ!」
 瞬時に乙女が落武者達の間を駆け抜け、刀を納刀する。その僅か数秒、その遅れと共に数人の落武者達の胴が、籠手が、鋭い突きと斬撃に次々と見舞われ、バタバタと倒れていく。
「他愛ない。剣の道を阻むとはこの花盛乙女を斬り伏せるのと同じ事。貴様らは単純な稽古不足だ。鍛えてやるから休まずかかってくるがいい!」
 雄々しく落武者達に宣言すれば、彼らは一瞬のたじろぎを見せる。
「あれが彼女の剣か、実に美しい物ですね」
 乙女の剣によって倒れ伏す落武者を見てベルベナ・ラウンドディー(ドラゴニアンのバイク乗り・f07708)の口からは素直に感嘆の言葉が漏れていた。
 彼の言葉に妙な警戒を見せながらも、彼女は再び切り込んでいく。
「おや……さて、彼女の剣程とは言えませんが、私の殺人刀もまたこの場に振るわれるべき物」
 活人剣とは異なる殺人剣。しかし、その活人剣を説くべき物を失うわけにはいかぬ点は何も変わらない。
「常州陰之流がお相手します!」
 刀を構え、敵を見据えると同時に一気に殺気を解き放つ。活人剣とは違う確実に人を殺すべき刃を携えた殺気は落武者達を圧し、動きを止める。
 そのわずかなスキがあれば、ベルべナの剣には十分だ。一足で踏み込んだ鋭い刺突が落武者を穿つ。
「……おっと」
 しかし、死者である以上完全に動かなくなるまでは時間もかかる。攻撃後も残心を残した彼にはその粗雑な反撃はううようせず、即座に閃く剣により一閃、両断される。
「貴方がたは少々音を潜めるべきですよ」
 後方から迫る落武者もまた、音に意識し不意打ちに注意していた彼の一閃により足を両断される。完全に動けなくなった落武者を見下ろし、刀を突き立てて消滅させる。
「全く、いくらでもいるのだけは厄介ですね」
 気が付けば、ベルベナは周囲を落武者に囲まれている。だが、一切の不安はない。
「……まぁ、そちらもずいぶんやるようだその剣の腕は認めよう」
 背後には乙女の姿。相変わらず異性に対して異様に警戒心を出してしまうのは彼女の性か。
 だが、剣の腕は確かに認めてくれたようで、この状況を切り抜けるには頼もしい仲間だ。
「ええ、では互いの剣を彼らに教授するとしましょうか!」
 一瞬の背中合わせから、目の前の敵に飲み意識を集中して二人は敵陣へと切り込んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

飾磨・霜琳
俺とて元が簪だ、こんなむさくるしい「使い方」するもんじゃねえ。
……戦はそれこそ御刀様とか武具連中に任せておきたいところだが。
道具は正しく。あァまったくその通りだ。モノに宿った者として、正しい使い方の指南をする場は守りてぇところだな。

【援護射撃】と併用して【留刺簪】
何体かずつでも敵の動きを止めることでその場にいる猟兵に協力するぜ。
攻撃を食らいそうになったらSPDと【逃げ足】で躱そう。
絡みやあどりぶは歓迎だ。

お飾りと思って舐めてもらっちゃ困るぜ
まァ俺はお飾りなんだがよ!
――さしてとめるはお手の物、さァ食らいな。


看門・結
誰かの為、未来の為の剣……そんな素敵な物を、人を、踏みにじるだなんて許せない!
私達の力でこの集落の人達だって救ってみせる!
この集落にはきっと、未来の可能性を担う子供達だって沢山居るはずだから……!

【武器受け】、【鎧砕き】を使って堅実に数を減らしていくよ!
私自身はまだまだ駆け出しで頼りないかも知れないけど、それでも何もしないだなんて出来ないから!
突破されそうなら【ブレイズフレイム】を放つよ!当たらなくっても牽制になればいい!
それでも突破されそうならもう私の身体を使ってだって止めてみせるよ!戦ってるのは、私だけじゃないから!
「通さない……絶対に!未来を奪う権利は、誰にだってありはしないんだから!」



「許せない……!」
 次々とやってくる落武者達。誰かの為、未来の為の剣を摘み取る為に、踏みにじる為にこの地へ向かってくるそれらを見て、看門・結(いえーがぁ・f12316)は静かに怒りの炎を燃やしていた。
 炎は彼女の怒りに連動するように燃え上がり、その力を増大させていく。
「私達の力でこの集落の人達だって救ってみせる!」
 勢いよく飛び込み、叩きつける様に振り下ろされた結の剣が落武者の鎧を砕き、その体に強烈な一撃を叩き込む。
 まずは一つ、目の前の落武者を叩き潰すことに成功した結の周囲には、次々と落武者の姿が見え始める。
「っ……! でも!」
 まだまだ自分が駆けだしだという事は分かっていた。それでも何もしない、という事はできない。
 だからこそ、と自分の心を後押しさせるように、剣を構えて落武者の攻撃を受け止める。
「おいおい、頑張りすぎさァ。ちょっと伏せるといい」
 ふと、結の後ろから聞こえた声に合わせて、彼女が身を伏せると同時に後方から鉄簪が舞う。簪は次々と落武者達を貫き、その足を地面に縫い留めていく。
「お飾りと思って舐めてもらっちゃ困るぜ。まァ俺はお飾りなんだがよ!」
 くるくると簪を指で操りながら飾磨・霜琳(飾磨屋・f03493)は結へと笑みを向けた。
「助かります!」
 同時に、結の傷から炎が吹き上がる。
 この集落には未来の可能性を担う子供達もたくさんいる。だからこそ落武者の一人もここを突破させるわけにはいかないのだ。
「通さない……絶対に! 未来を奪う権利は、誰にだってありはしないんだから!」
 地獄の炎が戦場を焼く。炎に飲まれた落武者達は紅蓮に焼かれ、尽きることのない炎に焼き尽くされていく。
「むさくるしい『使い方』をするもんじゃねぇと思っていたが、存外いい飾りにはなれてんじゃねぇかな?」
 ヤドリガミ。元々簪であった霜琳はこの戦場で武器として簪を使う事を良しと思わず、それこそ刀や武具連中に任せようと思っていた。
 しかし存外、猛々しく走る炎と美しく舞う簪による組み合わせは、足止めと火力を兼ね備え、戦場において強烈で美しい力となっていた。
「ま、道具は正しくってのは全く持ってその通り。モノに宿った者として、言葉はしっかりと守らせてもらうぜ?」
 戦場を彩る簪は、飾りながらも侮れない。その力は次々と落武者達を射止めていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『刻命』の阿頼耶識』

POW   :    私は今、『禁忌の果て』に至る
対象の攻撃を軽減する【半人半獣の戦闘形態】に変身しつつ、【蒼炎を纏った矢】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    『刻命』よ、力の一端を開放しなさい
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【仮初の命を与えた絶対服従の傀儡】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
WIZ   :    では…切り札といきましょう
自身が戦闘で瀕死になると【自身と全く同じ姿をした2体の分身】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はセリオン・アーヴニルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「……やってくれますね」
 落武者達はそのほとんどが猟兵達により一掃された。わずかに残るそれらも、他の猟兵達によってすぐに討伐されることだろう。
 そんな戦場へとようやく姿を現した『刻命』の阿頼耶識は猟兵達を見て明確に敵意を向けた。
「おかげで予定は大狂いです。私の復讐の道、邪魔をしないでいただきたいものです」
 復讐。そんな言葉を並べるが、その程度の理由でここを譲る者達はいない。
「邪魔をするなら貴方達も殺すだけ……ええ、最初から全ては私の復讐相手に変わりないのです。消えてもらいますよ」
 『刻命』の周囲で、倒したはずの落武者達がぼろぼろと崩れた身体で起き上がり始める。
 あれが奴の力の一端。この地の人々があの力の毒牙にさらされてはならない。
 猟兵達は各々の思いと武器と力を携え、『刻命』に立ち向かう。
看門・結
貴方の復讐を否定する権利は、私には無い…けど!
死者に鞭打つ行為を!誰かの未来を奪う行為を!医者として!猟兵として!
許す訳には行かない!行くよ『刻命』!

私がやる事、それは【武器受け】【鎧砕き】を駆使してまず復活した落武者を減らす事!
単純だけれど、工程が多くない分隙も少なく動ける筈!
ある程度落武者を減らしたら『刻命』を少しでも、ううん
私が倒す位の気持ちで対峙しないと!
【武器受け】【鎧砕き】で応戦、私がどうなってでも集落の人は守ってみせる!
【億万回之一撃】を放って攻撃!一回一回の積み重ねが、未来を作る道となる!
当たれば痛い、避ければ味方の攻撃の為の隙にもなる!
之が今、私に出来る最善だよ、『刻名』!!


飾磨・霜琳
仇討ちやら復讐やらってなァ、手前を陥れた当人だけにするもんだと思ってたが、違うのかね。全人類たァまたでけぇ風呂敷広げたもんだ。
何があったか知らねぇが、その大風呂敷もここで仕舞いにしとくんな。

【援護射撃】と併用で【留刺簪】
蘇っちまってる手下ども中心に狙って、親玉狙いの猟兵を邪魔させねぇように足止めするぜ。
刻命の足止めまでできれば上出来ってとこかね。
自分が狙われるようなら装備【大簪】でいなしつつ【逃げ足】活用して躱す。
絡みやあどりぶは歓迎だ。

こちとら簪、さしてとめるはお手の物。奴さんの足は止めてやらァ!
今のうちに仕置きを頼むぜ!


ベルベナ・ラウンドディー
攻撃を【見切り、残像】で誘い【カウンター】で【串刺し】にして【吹き飛ばし】…
間合いを即座に【ダッシュ】で詰めてはその繰り返し、この展開で臨みます
雑兵相手に見せたのは殺意全開で先手必勝の殺人刀でしたが
…"一番"得意なのは活人剣、敵の動きを活かして放つ反撃主体の剣術です
…ここからは手抜かりなしで行きます


敵ユーベルコードには【鏡技】で対応
1人で戦うわけでもなし、相殺で構わない。攻め手は任せる
貴方も刻命の使い手だったのか?と【挑発】さながら嘘のハッタリで動揺も狙う
そんな奇術も兵法のうち


私の道理で言うならば貴方の道理は罷りならない
剣術使いには剣の道は解りませんが、それだけは言っておきます 


御狐・稲見之守
ほほん、こういうすかしっ面の輩は是非とも面の皮を剥がしたくなるというもの。さあさ意地の張り合い、力比べと参ろうか。貴様の力で復讐とやらの道理をこじ開けてみるがいい。

[WIZ]と、イキったところでやっこさんボスじゃしなー。こっちは真の姿になれるわけでもなし。力負けしそうじゃのー……で、あるならばこっちも切り札。荒魂顕現……ただし暴走上等、制御する気まったくなし! わはははは、轟け稲妻神鳴れ怒鎚、天裂き地割る荒魂の神業畏み畏み平伏すべし! 雷の雨嵐による【範囲攻撃】で一切合切消し炭にしてやろうぞ! あ、うん。みんな避けてね。

※とどめじゃなくていいです。


花盛・乙女
貴様が首魁か。『刻名』と言ったか。
貴様が何ゆえ刀を憎んでいるかは興味もない。
だが刀なき世が正しいと思うなら、落武者の亡霊に刀を振り回させては筋が立たんとは思わんか?
その絵に描いたような二枚舌、花盛乙女が閻魔に代わって落としてくれよう。

黒椿と乙女の二振りを構え戦闘に臨む。
二度までも死者を愚弄する傀儡遊び、不快だな。
その行為にも、このような雑魚で払えると思われている私にも腹が立つ。
この後に戦力にならぬよう落武者共の足の健を絶ち、『刻名』に斬りかかり万感の怒りを込めた【雀蜂】を放つ。

刀の要らぬ治世、これを泰平と呼ぶ。万民の求める理想だろう。
貴様がそれを目指すなら、拳一つで勝負せんか!馬鹿者が!!


リグ・アシュリーズ
うっわー……倒れた部下も休憩なしとか。
もしかして貴方んとこ、ブラック?
軽口を叩いて武器を旋回させ、敵の攻撃をいなす。

狙うは早期決着。消耗する前に畳み掛けてテンポを握るよ!
他の猟兵さんと目配せでタイミングを合わせたり、刻命を挟み撃ちにするよう立ち回る。
時々生命力吸収の攻撃も織り交ぜるけど、基本は威力・命中重視。

頭回りそーな敵だけど。
こういう奴にはね、考えても追っつかないくらい矢継ぎ早に浴びせんの!
ここぞって時に黒風鎧装を纏って、いかにも強烈なの浴びせますよって顔で黒剣を振りかぶり……叩きつける!
「ふーん。これが真打だっていつ思ったの?」
ニヤリと笑い。そのままガードをこじ開け、味方に活路を開く!


雪深・舞織
今回の首謀者の登場……。彼の戦闘力も要注意……でも能力のほうも油断ならない……。
油断してやられたら私達も使役されかねない……。他の方との連携を心掛けないと……。

起き上がった落ち武者たちは既にボロボロだけど、数だけはいる……数で押されればこちらが不利……出来る限り私のほうに注意を向けさせて、他の方の負担を減らしたい……。

主目標は落ち武者たち、余裕があれば阿頼耶識を狙う形。

まずは、斧で「羅刹旋風」をして注意を引き付けを狙いつつ、戦闘力増幅に務める。
乱戦になったら大振りな斧は不利……脇差・雪華と「雪深流組討術」で超接近戦に持ち込む。相手の懐に潜り込めれば、数の優位を活かしにくくなるはず……。



 『刻命』によって次々と黄泉帰らされていく落武者達。看門・結(いえーがぁ・f12316)はその光景に我慢できず、まっすぐ突撃する。
「貴方の復讐を否定する権利は、私には無い……けど!」
 踏み込むと同時に振り下ろされた剣が、蘇生されたばかりの落武者を斬り飛ばす。
「許す訳には行かない!」
 死者に鞭打つ行為を、誰かの未来を奪う行為を、医者を志す者としても、猟兵としても決して許すことができない。
 『刻命』の操る落武者達が結に向けて一斉にけしかけられるが、単純な剣戟ののちにすぐに態勢を立て直した結は剣で刀を受け止める。
「数は変わらないけど……!」
 その力は歴然と落ちている。だからこそ、複数体の一撃を一人で受け止めることができた。
「はっ!」
 豪快に振り下ろされた雪深・舞織(戦乙女見習い・f12039)の斧による一撃と衝撃が、結の抑える落武者達を吹き飛ばす。
「油断はできない……」
 斧を振り回しながら、舞織は意識を『刻命』から離さずに周囲の落武者に斧を振るう。豪快に振るわれる斧は落武者達の意識を確かに引くが、油断して倒されるわけにはいかない。
 あの『刻命』の力による服従の能力。それだけはこちらに付与されるわけにはいかないからだ。
「二人のおかげですね。相手になってもらいましょうか、『刻命』」
 結と舞織が落武者達の意識を引き付けている間に、ベルベナ・ラウンドディー(ドラゴニアンのバイク乗り・f07708)が『刻命』の前へと躍り出る。
「殺人刀の使い手か」
「えぇ、よく確認している」
 先ほどの落武者との戦い、その一連の戦いを確認していたのだろう。即座に『刻命』は弓を構え、ベルベナへと撃ち放つ。
 一射、二射を見切り、第三射が直撃したかと思えば、ベルベナの姿がぶれ、消える。
「……残像!? それに、この動きは……!」
 ええ、と『刻命』の問いに答える様に踏み込んだベルベナは構えた矢を直接振るう『刻命』の動きに合わせて鋭い刺突を放つ。
「私が"一番"得意なのは活人剣、敵の動きを活かして放つ反撃主体の剣術ですよ」
「なんだと……!?」
 『刻命』は先の戦いで完全にベルベナの動きを見誤っていた。
 突きを穿ったベルベナが『刻命』をそのまま当身を喰らわせて吹き飛ばす。
「くっ……ですが、分かってしまえば……っが!?」
 再び弓を構えなおそうとした『刻命』の背後から黒剣が腹部を貫いた。
「倒れた部下も休憩なし、ブラックな貴方に容赦する理由もないよね」
 背後にはリグ・アシュリーズ(人狼の黒騎士・f10093)、ベルベナと動きを合わせ回り込んでいた彼女の剣が『刻命』を貫いていた。
「くっ……引き剥がしなさい!」
 自身も矢を振るいながら、周囲の落武者に命令を下せば、それらが一斉にリグへ襲い掛かる。
「っと!」
 剣を引き抜き、距離を取りながら武器を振るいながら周囲の落武者を斬りつける。
 そのままベルベナと動きを合わせ、『刻命』の退路を塞いでいく。
「ほほん、ああいうすかしっ面が化かされているのを見るのは気持ちがいいものじゃ。わしも一つ面の皮剥がしに行こうかの」
 御狐・稲見之守(お稲見さん・f00307)はけらけらと『刻命』を笑いながらゆっくりと戦場に歩み出る。
 とはいえ、相手の実力は非常に高い。不意打ち、孤立させていることで確実に流れは掴んでいるが、全力の出し合いでは少々不利な点はあるであろう。
「実際まだまだ切り札きっておらんしのー……お、そうじゃ」
 よし、と何か閃いた稲見之守は霊符を片手にニヤリと笑う。
「―――我成す一切神事也、天裂け地割る神業畏み畏み奉願祈るべし」
「またそれですか……でした―――っ!?」
 荒魂顕現、自然現象を利用した彼女のユーベルコード、正面から同じだけの力をぶつけて力押しをしようと考えた『刻命』はその考えの一切を放棄する。
「わはははは、制御なぞ全くせんゾ! 轟け稲妻神鳴れ怒鎚、天裂き地割る荒魂の神業畏み畏み平伏すべし!」
 轟雷が轟き、大地は揺れ、雷が穿った場所から地は割れ、吹き上がる岩塊は落武者達を吹き飛ばし、その渦中にいた『刻命』さえも追い込んでいく。
「あ、うん。制御してないからみんな避けてね」
 先に言え、と猟兵達から一斉に不満が漏れる。幸い渦中にいたのは敵であり、一気に距離を取った猟兵達に被害はない。
「……やってくれますね」
 今の一撃で、『刻命』の周囲の落武者は完全に消滅した。残るは『刻命』本人のみ。
「仕切り直しになった、『刻名』」
 完全に距離が開いた状態で、花盛・乙女(誇り咲き舞う乙女花・f00399)が一歩前へと進み出る。
「何ゆえ刀を憎んでいるかは興味もない。だが刀なき世が正しいと思うなら、落武者の亡霊に刀を振り回させては筋が立たんとは思わんか?」
「……ふ、力を滅ぼすのに力がいる。君達が今やっていることと同じだろう?」
 弓を構えなおした『刻名』は不敵に笑う。その言葉がどこから出てくるのか、全くと言わんばかりに乙女は二振りの刀を構える。
「その絵に描いたような二枚舌、花盛乙女が閻魔に代わって落としてくれよう!」
 彼女を阻む落武者の姿はない。放たれる矢を振るう刀で弾き落としながら距離を詰め、矢を構えるよりも早く踏み込んだ乙女の二刀が『刻名』へと叩きつけられる。
「……まさかここまでとは思いませんでしたよ」
「っ!?」
 刀は振り抜けない。『刻名』が身をかばうように間に割り込ませた腕に食い込んだまま、そこで止まっている。
「私は今、『禁忌の果て』に至る……」
 ざわざわと彼の身体が半人半獣の姿へと変わっていくと同時に、矢に蒼い炎が宿る。
「終わりです!」
 腕を払い、乙女を弾き飛ばし、体勢を崩した彼女へと蒼炎を纏った矢を放つ。
「―――っ!?」
「そうは問屋が卸さねぇってなァ?」
 放つはずだった矢は僅かに射線がブレ、乙女のいる場所からそれた場所に放たれた。
「仇討ちやら復讐やら、何があったか知らねぇが、その大風呂敷もここで仕舞いにしとくんな」
 『刻名』の身体に突き刺さる鉄簪。飾磨・霜琳(飾磨屋・f03493)の放った簪が、地面に縫い付ける様に突き刺さり彼の動きを阻害し、攻撃の射線をずらさせたのだ。
「おのれ……この程度のもので!」
 自身を縫い付けた簪を弾き飛ばすと、再び地に沈んだ落武者を操り、動かし始める。
「懲りねぇこって。だがな、こちとら簪、さして止めるはお手の物ってなァ!」
 地から立ち上がろうとする落武者達へ、次々と刺さる簪が立ち上がる事を許さず、地に伏せたままにさせていく。
「さァさ、ちょいとおとなしくしてもらおうかィ」
 くい、と指を『刻名』へと向ければ、自在に動く簪が相手の足を、腕を狙って迫っていく。
 一度受けた攻撃である以上、そう簡単に直撃はしてくれないものだが、相手はこの攻撃を躱さざるを得ない。
「足は止まらなくっても、動きを制するのはできらァってな! 今のうちに仕置きを頼むぜ!」
 霜琳によって追い込まれていく『刻名』へベルベナが距離を詰めていく。
「ここからは手抜かりなし……!」
 同じように矢を避け、距離を詰め、突きを穿つ。
「見謝っていた……だが、切り札はまだ残っている」
 だが突如として『刻命』の姿が歪んだかと思うと、その姿が3人へと別れ、ベルベナを取り囲み矢を番えるが、ベルベナは動じずに笑みを浮かべる。
「生憎ながら、私も同様の力を持つのですよ」
 次の瞬間、ベルベナの姿が『刻命』と同様に3人へと別れ、分身した相手へ一斉に切りかかる。
「何ッ!?」
 まさか、目の前で全く同じ力を使うとは思わなかった。だとすれば、彼もまた刻命を用い、落武者達を操るのでは。そんな思考の迷いが彼に大きな隙を生む。
「はぁっ!」
 振りかぶった斧が分身の一つに向けて叩きつけられる。咄嗟に反応してぎりぎりで身を躱した『刻命』の視界に舞織の姿が入る。
「隙を見せましたね……!」
 獲物の斧は今の一撃で完全に地面に突き刺さっている。ああもなればこちらの反撃に対処はできない。
「いいや」
 矢を構えた『刻命』が動くよりも早く、舞織は斧から手を放す。
「油断したら……痛い目にあいますよ……」
 即座に引き抜いた脇差が矢を切り落とし、更に超至近距離に踏み込んだ舞織の掌底が分身を撃ち抜いた。
「……もう、聞こえませんでしょうけど」
 その強烈な一撃は分身を一撃で破壊し、消滅させる。
「分身もあと一体、下手に動く前に決めさせてもらうよ!」
 リグの身体に、黒い風を伴った鎧が纏われ、振りかぶった黒剣を構えて分身へと直進する。
 全力で振るわれる渾身の一撃。だが、『刻命』それを正面から受け止めた。獣化した状態だから出来る荒業で、反撃に矢を構えようとするが、リグに焦りは一切ない。
「ふーん。これが真打だっていつ思ったの?」
「何……?」
 ニヤリと笑みを浮かべた彼女は、剣から力を抜いたかと思えば腕をそのまま蹴り飛ばし、ガードをこじ開けて側面へと退避する。
「私の仲間が作ってくれた。何度も何度もの積み重ねが……今、未来を作る道となる!」
 リグの背後には、剣を構えた結の姿。愚直で単純で、まっすぐな突撃。
 だが、その一撃は自身に数億と重なる可能性を集約した一撃。
「可能性の一撃……ビリオン・ブレイク……ッ!!」
 防御を完全に崩された分身にそれを回避する術も受け止める術も残っていない。
 正面から叩き込まれた、数億の剣戟が分身を完全に消し飛ばす。
「愚かだな、『刻名』よ」
 落武者達を封じられ、分身さえも消し飛ばされた『刻名』へ再び乙女が迫る。
「刀の要らぬ治世、これを泰平と呼ぶ。万民の求める理想だろう……それを目指すのは悪くはない」
 だが、と乙女の両手の刀が『刻名』へ迫るが、彼は両手を壁にするようにしてその一撃を防ぐ。
「だから刀を、それを用いる者達を消す……!」
「ふん、よく回る舌だが。結局貴様の目指すものは決定的な勘違いがある」
 何、と乙女の言葉に『刻名』が一瞬動きを止める。それと同時に、乙女は刀から手を放す。
「貴様がそれを目指すなら、拳一つで勝負せんか! 馬鹿者がっ!!」
 万感の怒りを込めたの拳が、『刻名』の顔面を撃ち抜いた。凄まじい衝撃と打撃音が響くと同時に、国名は大きく後方へ吹き飛び、大地に叩きつけられる。
「……が、は。間違っていた……? 私は……」
 何かを言い残すよりも先に、彼の身体は消えていく。
 それと同時に、後方から歓声が上がる。無事に村が守られたことに、村人たちが一斉に喜びの声を上げたのだ。
 戦いは終わった、猟兵達によって無事にこの街は守られたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『目指せ剣豪!木刀勝負!』

POW   :    とにかく気合いだ!勢いと筋力でブチのめせ!

SPD   :    剣の威力はすなわち速さ。素早く切れるようにカラクリ燕に挑む

WIZ   :    剣の道は心の修練が大事。心静かに瞑想に励む

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 『刻命』による襲撃が未然に防がれた町。
 その傷跡は少なからず残ってしまっているが、この地にいる人々は猟兵達の活躍によって、無事に守られた。
 彼らもまた不幸を嘆くことはなく、これからの事を目指して活動を再開している。
「とぉー!」
「やぁーっ!」
 村の至る所で、子供達が猟兵達の活躍を真似たチャンバラごっこをしている。
 また、至る所で彼らによって守られた修行施設で、今度は自分達で身を守れるようにと鍛錬に励む者たちがいる。
 もちろん、互いにその剣を高めようと剣を打ち合う者達もいる。
 戦いが終わった後、君達はどう過ごすだろうか。
ベルベナ・ラウンドディー
徳川も色々あるでしょうが新陰流は得てして剣禅一味をよく説きます
それが世に望まれる剣の在り方かもしれません
…が、戦場に普段は殺人刀で臨む私に座る姿は似合いません


(道場の扉ばーん)
…なので
民の皆さんと一緒に素振り2万回から始めましょう!
大丈夫、腕が死んでからが本番です
余計な力を入れずに斬るのが一番速い斬り方です
そのうち心も死んで無心で剣を振るえてオマケで瞑想も兼ねます
バッチリ!


徳川も(たぶん)そう首肯するでしょうし
責任も将軍が(たぶん)取るから問題ありません
私は責任取るつもりありませんが!



…あれ、全員気絶している…!?
おのれ刻命の新手か!隠れたつもりでも逃がさんぜええええ!(ダッシュ)



 戦いが終わり、至る所で剣の修業を始める人々。
 ベルベナ・ラウンドディー(ドラゴニアンのバイク乗り・f07708)はそんな様子を見て回りながら、普段戦場に身を置く自分を思いだしていた。
 殺人刀で戦場に臨み、敵を討ち果たす自分。そんな自分が座して剣を説くなどという事は思い浮かばない。
「……ええ、やはりこちらでしょう」
 ばぁん、と勢いよく。ベルベナは一角の道場の扉を開く。突然の来訪者に何事かと驚く人々ではあったが、『刻命』と戦っていたベルベナだとわかると、喜んで彼を受け入れてくれた。
「さて、皆さん。早速ですが、まずは一緒に素振り2万回から始めましょう!」
 堂々としたベルベナの宣言。彼に剣を習いたいという人々は少なからずおり、突然のとんでもない内容に呆気にとられる道場。
「大丈夫、腕が死んでからが本番です。余計な力を入れずに斬るのが一番速い斬り方です」
 なるほど、確かに。自然体で剣を振る為にまずは腕の余計な力を素振りで殺す。という事なのだろう。
「そのうち心も死んで無心で剣を振るえてオマケで瞑想も兼ねます。ばっちりですよ!」
 その言葉で民たちはそれぞれに納得し始め、素振りを始めていく。時は刻一刻と流れ、気が付けば日も沈み始めていく。

 剣の道。今の世を治める徳川もこの修業は肯定するだろうし、何か問題があっても責任は将軍がとってくれる。
 まぁ、どちらも多分という言葉が頭につき、ベルベナ本人が責任を取るつもりは毛頭もないが。
「あれ?」
 ふと、周りを見回すと、刀を振るっていた人々がみな倒れている。
 無論ベルベナの修行に耐え切れずの結末なのだが、そんな事を思う彼でもなく。
「お、おのれ、『刻命』の新手か!? 討ち果たしたと思わせてとは卑怯者め! 隠れていても逃がさんぜええええ!!」
 ばぁんと扉を叩き開け、町の外へと飛び出していく。これからしばらく走り回る事になるが、そんな姿も併せて村人たちは微笑ましく彼を見守ってくれるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

看門・結
なんとか無事に……終わった、のかな。
この町の未来は、この町の人達が切り開いていくべきもの
私がこの町の人達に出来ることは……うーん。
子供達と、一緒に遊ぼうかな。
【コミュ力】を使えばちょっと浮いちゃってる格好でも、多少、怖がられ、ないと、いいなぁ……!
サムライエンパイアの子供の遊びってなんだろ、蹴鞠……?
チャンバラごっこ以外で、色々と遊んだり、ねだられたなら色んなお話もしてあげたいかな。
私が守りたかったのは、君達の笑顔と、未来なんだよ。
なんていうのは、ちょっとクサいかもしれないけど、ね。
……未来のない、私の代わりにとは言わないけど。
どうか、この子達の未来が明るいものでありますように。



「何とか無事に……終わった、のかなぁ……?」
 戦いが終わった後、未だに無事に終わったという自覚を得られない看門・結(星屑の守護者・f12316)は町をぶらぶらとうろついていた。
 自分達猟兵がオブリビオンを倒したからこそ、滅びの予知から守られたこの町。後はこの町の人達が自分自身の手で未来を切り開いていく。
「うーん……」
 だからこそ、彼女は今、この町の人達にできる事を悩んでいた。
 そんな結の目の前に木刀を片手に走りまわる子供達の姿が見える。どうやら猟兵達の戦い方を真似して、『刻命』を倒すというごっこ遊びをしているようだ。
「びりおーん・ぶれーーいく!!」
 もちろん、その中には結の真似をしている子供もおり、それを見ているとちょっと恥ずかしさすら浮かぶ。
 そんな様子を見ていると、子供達は結の姿に気づき、わらわらと集まってくる。遊ぼう、剣を教えてなど色々と要求される中、自分の事を全く怖がらない彼らには無尽蔵のたくましさすら感じる。
「あはは……そうだね、それじゃあ遊ぼう。えーっと、蹴鞠とか?」
 一部の子供達からは少々ブーイングが沸いたが、チャンバラごっこは怪我も増えてしまう。であればと思い提案した遊びは、久しぶりという事もあって子供達には存外評判もよく。不満を見せていた子供達も最終的には遊びに参加し、気が付けばもう日が暮れていた。
「はぁー……うん、よく遊んだな」
「ねぇ、お姉ちゃんはなんで戦うの?」
 ふと、子供の一人が素朴な疑問を向けてきた。純粋で無邪気に、ただ聞きたいから聞いたのだろう。
「私は……」
 結が守りたかったのは、この子供たちの笑顔。そして、彼らの未来。
 力を使えば使うほど、自らの死が近づく運命にある彼女にとっては、かけがえなく守りたいもの。
「……私はね、皆の未来と笑顔を守りたくて戦ってるんだ」
 へへ、と笑顔を浮かべる。子供達はその言葉にかっこいいといった純粋な感想を浮かべて、自分達もそうなりたいとそれぞれが話し始める。
 ようやく、この子達を守り切れた。そんな実感がわいてきた。

 ―――どうか、この子たちの未来が明るい物でありますように。

 祈るように、言葉には出さずに結は一人思っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月17日


挿絵イラスト