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帝都猟兵情報局

#サクラミラージュ #幻朧戦線 #グラッジ弾

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 帝都の端、小さな小さなカフェにて。店内に流れる音楽がふっと止まり、代わりに楽し気な人の声が始まる。
「さてさて、始まりました『イトリのラヂオ』! 本日もわたくしハギワライトリがお送りしまーっす!」
 そんな挨拶の後に、他愛もない話や近くの商店の広告、パーソナリティによる一問一答のコーナーが続く。カフェの客は食事や会話を楽しみながらも、時折手や声を止めてそのラジオに耳を傾けていた。



「……あァ、来たか」
 グリモアベースで一人、クランフタ・イェルドットが猟兵の到着に気づく。彼は招集した猟兵に軽く礼を述べると、早速モニターを取り出しその画面を光らせた。

 ぱっ、と映るのは黒髪黒目の青年と、『萩原伊取』の名前。そして下には小さな文字がみっしりと並び、彼の簡単なプロフィールや職業がラジオの司会者であることが表示されていた。
「今回はこの男と共に、ラジオを使って敵を誘き出し確保してもらいたい」
 クランフタはそう告げ、続いて詳細について語る。
「……まず、標的について。奴らは『グラッジ弾』という、殺傷力に加えて影朧を呼び寄せる力を持った兵器を帝都に持ち込み、それを用いた犯罪を起こそうとしている者達――『幻朧戦線』と名乗る集団だ」
 ぽんとモニターの映像が切り替わる。ずらりと画面上に並ぶのは、皆一様に血気盛んそうな顔をした人間の写真だった。
「奴等は帝都の様々な場所から金目の物を盗んだ上で、グラッジ弾を使って騒ぎを起こし逃走するつもりだ。今のままでは帝都にある商店が幾つも狙われ、広範囲に被害が及ぶことになる」

 そこで、とクランフタは更にモニターの映像を変える。大きく表示された建物には、『サクラ百貨店』の看板が掲げられていた。
「犯行が行われる日時に合わせ、ラジオを使ってこの百貨店に大量の金品が集まると注目を集め……集団を一網打尽にしようという作戦だ」
 勿論、一般人に危害が及ばぬよう話はつけてある、と彼は補足する。どうやら幻朧戦線の団員は必ず黒い鉄の首輪を付けており、現地の人間でも見分けは簡単につくそうだ。
 それを利用し、百貨店内には帝都から派遣された仕掛け人のエキストラと、黒い首輪を付けた幻朧戦線の団員のみを入店させる、という手筈らしい。

 そこまで語るとクランフタはモニターを閉じ、空いた手にグリモアを浮かべた。
「さて、この男のラジオが始まるまであと少し。準備が出来た猟兵から転送していくよ」
 ぼうっ、とグリモアが黒く光り出す。猟兵が肯定の返事を返せば、その身体は光に包まれ――サクラミラージュのラジオ局へと送られていくのであった。



 ラジオ局で猟兵を出迎えるのは、出発前にモニターで見た人物『萩原伊取』。彼は明るい笑顔でぺこりと一礼すると、早速猟兵をスタジオへと案内した。
「今日は宜しくお願いしますね。百貨店への誘導は僕がやりますので、皆さんは思い思いに番組を盛り上げて下さい。ラヂオっぽいことは大抵普段からやってますので、話でも歌でもお好きにしていただいて良いですよ」
 伊取はそう言って、スタッフへ合図を送る。スタジオの空気が少し緊張に包まれた直後、伊取がマイクに向かって声を発した。
「さてさて、始まりました『イトリのラヂオ』! 本日はわたくしハギワライトリに加え、ゲストの方々をお呼びしておりまーっす! それでは早速いきましょう、ゲストはこの方――」


みかろっと
 みなさまこんにちは、みかろっとと申します。
 今回はサクラミラージュにて、影朧兵器『グラッジ弾』を持ち込んだ集団『幻朧戦線』をラジオで誘き出し捕まえるシナリオです。

 第一章、帝都に流れるラジオで幻朧戦線にも情報が届くようトークや歌、特技などで盛り上げてください。百貨店に金目の物がある話(貴重な物が展示される等)はNPCが流しますが、猟兵の皆さんで話題として取り入れて頂いてもOKです。

 第二章では百貨店に乗り込み、幻朧戦線の団員を探して確保していただきます。団員は黒い首輪という分かりやすい特徴がありますので、難しい推理パートはありません。
 ただし団員はグラッジ弾入りの銃を持っていますので、いきなり追い詰めるのは危険です。出来るだけ自然に近づき、無力化して確保してください。

 第三章は集団戦となります。オープニングの通り百貨店内に事情を知らない一般人はいませんので、周囲を気にする必要はありません。但し屋内での戦闘となります。

 皆様のプレイングお待ちしております。よろしくお願いいたします!
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第1章 日常 『ラヂオの時間』

POW   :    好きなものや今までの冒険をとにかく喋りまくって楽しませる

SPD   :    歌を歌ったり楽器を演奏したり音楽で楽しませる

WIZ   :    巧みな小噺や朗読で楽しませる

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

栗花落・澪
持ち前のマイク越しでも笑顔が感じ取れるようなはきはきした声色で
萩原さんと適度に軽快トーク後【歌唱】

サクラミラージュならやっぱり和風が合いそうだよね
静か過ぎれば盛り上がりに欠けるし
激しすぎれば視聴者を選んでしまう
だからここはなるべく万人受けするように
お洒落でポップな和風ソングを

歌うだけじゃ芸が無いからね
要はこれ、標的も聞いてるって事でしょ?
一般の方達も例外じゃないから
引き付け過ぎて巻き込まないよう威力調整は必要だけど
標的がよりこの放送に引き込まれるように
「百貨店」の話題に食いつきやすくなるように
歌声にさり気無く【誘惑】の魔力を混ぜてみる

サポート役なら任せて
ここからは貴方の仕事だよ、萩原さん



 伊取の紹介と音楽が流れた後、栗花落・澪がマイクに近づく。そして彼ははきはきとした明るい声色で、視聴者への挨拶を済ませた。
「――さて、本日は帝都の人気百貨店にて宝飾展があるそうですが……」
 そう言いながら澪の前に、伊取がひらりと一枚の紙を置く。小さな文字で百貨店の概要や偽のイベント内容が書かれたそれは、どうやらカンニングペーパーのようであった。
 澪はすぐに情報を呑み込むと、伊取の話題に合わせて言葉を繋ぐ。マイク越しでも笑顔が感じ取れるような声はまるであどけない少女のようで、聴く者の興味を惹くには十分そうであった。

 しばしの軽快なトークの後、澪はふとマイクから離れ立ち上がる。
「それじゃここで一曲、歌わせてもらうね」
 澪がそう微笑みかければ、伊取も少しマイクから離れて聴く姿勢をとる。少しの静寂を挟み、スタジオ内のスタッフが澪の合図で音楽を流し始めた。
 彼が選んだのはサクラミラージュの雰囲気に合う和風ソング。盛り上がりに欠けぬよう、しかし激しすぎて視聴者を置き去りにせぬよう、万人受けするお洒落でポップな曲調で。
 そんな楽し気なイントロの後に加わるのは、澪の軽やかな歌声だった。

「(歌うだけじゃ芸が無いからね)」
 そう心の中で呟くと澪は小さく誘惑の魔力を練り、さり気無く自分の歌声へとその力を混ぜる。
 ――このラジオの視聴者の中の『標的』、幻朧戦線が食いつくように。

 とはいえ、当然これは機器さえあれば帝都のどこでも、誰でも聴くことのできるラジオだ。一般人までもを惹き付け過ぎて巻き込んでしまわぬよう、澪は細心の注意を払って魔力の量や威力を調整していく。
 澪がちらりと伊取の方へと視線を動かすと、彼は静かに目を瞑り歌に聴き入っていた。

 歌い終えた澪は目を閉じたままの伊取に向かって、天使のような笑顔を浮かべながらマイクに入らぬ声量で囁く。
「ここからは貴方の仕事だよ、萩原さん」
 途端、わっと伊取が目を見開いて姿勢を正す。彼はついつい聞き惚れてしまいました、と頬を掻いて笑うと、澪への礼を述べながらラジオを再開していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュアン・シア
金目の物を盗んで、グラッジ弾を使って影朧を呼び寄せて、逃走?
幻朧戦線って、グラッジ弾を利用しているだけの何の主義主張もないただの犯罪集団なの? 揃って首輪を付けていると言うし、思想があってもよさそうなものだけど。

えぇと、ラジオ出演だったわね。よろしくね、イトリさん。
私は――そうね、ヒーリングチューナーで美しい音叉の音色をお届けするわ。
リスナーの皆さん、可愛いペットを飼われているなら、どうぞそのコと一緒に聴いて。体調のよくないコは特にね。きっと癒されるわ。
ラジオを通してしまうと多少効果は落ちると思うけど、それでも世間の話題にはなるでしょうし、このラジオが流す情報の信憑性も上がるんじゃないかしら。



「(金目の物を盗んで、グラッジ弾を使って影朧を呼び寄せて、逃走?)」
 そう心の中で疑問を抱くリュアン・シア。事前情報によれば、幻朧戦線のメンバーたちは揃って首輪を付ける程団結力と意志のある集団――のはずだが、リュアンにはどうも今回予知された事件にはっきりとした主義主張が感じ取れなかった。
 危険な兵器を持ち込んでまで起こす犯罪の、本当の目的。リュアンが暫く考え込んでいると、彼女の元へ一人のスタッフが歩いてくる。そろそろお願いします、という声に頷き、リュアンはマイクの前へ移動した。

「えぇと、ラジオ出演だったわね。よろしくね、イトリさん」
 そう言ってリュアンが腰掛ければ、伊取は笑顔で一礼して挨拶を返す。そしてリュアンの準備が整っていることを確認すると、彼は場を繋いでいたトークを切った。
「――それでは続いてのゲストです。よろしくお願いします!」

 リュアンは目の前のマイクに少し近づき、視聴者に向けて軽い挨拶と自己紹介を済ませる。さて何を披露しようかと少し考えた後、彼女はすっとヒーリングチューナーを取り出し机に置いた。
「音叉……ですか?」
 伊取の問いに、リュアンはこくりと頷き口を開く。
「リスナーの皆さん、可愛いペットを飼われているなら、どうぞそのコと一緒に聴いて。体調のよくないコは特にね。きっと癒されるわ」
 そう微笑んで、リュアンがひとつヒーリングチューナーを鳴らす。りぃん、と静かな音の波がスタジオに響けば、その場の全員が暫く耳を傾け黙り込んでいた。
 長い長い音叉の音色はマイクを通し、帝都中へと広がっていく。ラジオ電波に乗ったそれは生音に比べれば多少効果が落ちていたものの、人々の注目を集めるには十分であった。

 美しく癒しを与える音色がすうっと消えゆき、みるみるスタジオが静寂に包まれる。
 リュアンがそっとヒーリングチューナーを置くと、伊取がきらきらと目を輝かせてマイクに近づいた。
「……綺麗な音でしたね!」
 明るい表情で、伊取はぺらぺらと感想を述べ続ける。彼はリュアンに向けた賛辞と礼を言うと、また番組進行を続けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

御園・桜花
「実際にはサブリミナル効果よりもプラシーボ効果の方が高い数値を示しますし、サブリミナル効果も対象者に利する金銭獲得が絡んだ場合なら効果が出るという話もあります。つまり、襲撃を企み情報収集に努めている幻朧戦線のメンバーなら、ラジオに注力する可能性があがるのではないかと思います」

一般人の注意をあまり惹かずに幻朧戦線のメンバーの注意だけを惹くよう、ラジオ対談を損なわない程度の音量で、ラジオ放送終了までサクラ百貨店のCMソングをバックミュージック代わりにUD「魂の歌劇」で歌い続ける

「聞き流しでも、耳に残る言葉はありますもの。催事と百貨店の組合せは、結び付けやすく耳に残りやすいと思います」



 スタジオ内――伊取のいる方ではなくスタッフの集まる部屋にて、御園・桜花が一つの提案をしていた。
「実際にはサブリミナル効果よりもプラシーボ効果の方が高い数値を示しますし、サブリミナル効果も対象者に利する金銭獲得が絡んだ場合なら効果が出るという話もあります」
 スタッフ達がふむふむと真面目な顔で頤に指を添え、桜花の話に耳を傾ける。
「聞き流しでも、耳に残る言葉はありますもの。催事と百貨店の組合せは、結び付けやすく耳に残りやすいと思います」

 つまりは伊取のトークに紛れる程度の音量でコマーシャルを流し、視聴者の潜在意識へと情報を刻みこむ作戦だ。
「襲撃を企み情報収集に努めている幻朧戦線のメンバーなら、ラジオに注力する可能性があがるのではないかと思います」
 そこまで語り、にこっと笑顔で返事を待つ桜花。スタッフ達が頷きやってみようと立ち上がれば、彼女は早速マイクのある方、伊取の元へと歩いていった。

 伊取は桜花の姿に気が付くと、繋ぎのトークを切ろうとして姿勢を正す。しかし桜花はいえいえと小さく手を振り、マイクの近くまでは近づかぬままユーベルコードを発動した。
「……響け魂の歌劇、この一瞬を永遠に」
 すっ、と桜花が息を吸い込む。
 伊取が不思議そうに視線を送りながらトークを続ける中、桜花は軽くリズムを取りながら歌い出した。

 ――おーいでおいで、おいでませ♪ 桜咲く咲く、サクラ百貨店♪

 なんともシンプルな、それでいて耳にこびりつく歌。それは伊取がイベント会場として紹介する百貨店の、昔ながらのコマーシャルソングであった。
 ユーベルコードの力が乗った歌はトークの後ろで何度も何度も繰り返される。背景音楽としては最適な音量であったが、最早それは一種の洗脳のようになり始めていた。

 そして、だんだんとスタッフまでもが口ずさみ始めた頃。
 伊取は桜花にぺこりと一礼しながら、元気な番組終わりの挨拶でラジオを締めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『窃盗犯を探せ』

POW   :    怪しい奴がいないか周囲を徘徊する

SPD   :    窃盗の瞬間を捉える為に盗まれそうな物を監視する

WIZ   :    店員の振りをして接客しながら警戒する

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
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 苦戦🔵🔴🔴
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 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――そして、収録後。

「それでは行きましょう!」
 猟兵達と伊取は打ち上げ――ではなく、イベント会場として情報を流した『サクラ百貨店』へ向かう。幻朧戦線の目印である首輪を付けていない一行は、百貨店に踏み入ろうとするや否や警備員から声を掛けられた。
「お客様、本日は――」
 しかし、伊取が何やら合図を送ると警備員は頷き引っ込んでいく。そして一行が猟兵であると気づくや否や、失礼、と頭を下げて帽子を一度取った。

 そして伊取は猟兵に道を開け、少し申し訳なさそうに口を開く。
「僕も一応事情を知っている者として入れますが……ユーベルコヲドも使えませんし正直、殆ど足手まといかと。皆さんは先に進んで、百貨店の中にいる幻朧戦線を確保してください」
 伊取はそう言って、ゆっくりと百貨店入口の扉を開けた。
「ご存知かと思いますが、敵はグラッジ弾という兵器を持っています。無理に追い詰めるのは危険ですので、自然に近づき捕らえて下さい」



 中に入れば、店内はごく普通の百貨店。どこもかしこも高級そうな革製品や宝飾品が並んでおり、最上階で大きな展示イベントを行っている旨の看板やビラが掲げられていた。
 行き交う人々はいつも通りのお買い物、といった様子だが、ここにいるのは全員今回の作戦を知るエキストラと『幻朧戦線』。猟兵が目を凝らせば、人混みの中にちらほらと黒い首輪を付けた人間が見えては紛れていった。
 ――そして、ひとつ。
 黒い首輪を付けた人間が、素早く目立たない動きで鞄に商品をねじ込み消えて行く。どうやら既に、彼等の犯行は始まっているようだ。
栗花落・澪
うーん…小道具有りかな
自分で言うのも悲しいけど…僕の容姿なら子供で通りそうだし

翼は今回収納して
アイスに夢中で思わずぶつかっちゃう子供、やります
あっ、できれば苺かリンゴのフレーバーで!

んー、ほのかな酸味が美味しい♪
勿体ないから出来る限り食べておきたい

怪しい動きをする人をマークし
万引きなど行動に出たら振り返り際を狙い体当たり
アイスが相手の服や荷物に付くように

わっ…ごっ、ごめんなさい!
どうしよう汚しちゃった…拭きますね!

可愛いハンカチで拭こうとする
多分大人しく触らせてはもらえないだろうけど
親切さを前面に出して慌てれば向こうも油断する筈

そこを狙って…恥ずかしいけどお詫びに【指定UC】
寝かせて安全に捕獲



 賑やかな百貨店の一角で、ふんわりと甘い香りが漂う。可愛らしく飾られたアイス店でにこにこと笑みを浮かべるのは一人の子供――ではなく、翼を収納したオラトリオ、栗花落・澪だった。
 店員はショーケースに並ぶアイスを指差し、澪に問いかける。
「いらっしゃいませ、どれに致しますか?」
 パステルカラーに彩られたショーケースの中、澪は視線をくるくると動かして苺かリンゴを、と悩む。
 少しして、彼が握りしめていた代金をカウンターに置くと、店員はコーンに薄紅色と黄色のアイスを盛って差し出した。
 店員は小声で、お母さんには内緒ですよ、と一言。
 ――案の定、と言って良いのだろうか。どうやら彼は子供として見られていたらしい。

 澪は少しだけ複雑そうな表情を浮かべつつ、手元のアイスに目を動かす。そして上段の薄紅色を一口頬張れば、彼は思わず表情を明るくして頬に手を添えた。
「んー、ほのかな酸味が美味しい♪」
 爽やかな苺のフレーバーを楽しみながら澪は周囲を見渡す。
 あくまでも目的は幻朧戦線の確保。人混みの中に怪しい人物が紛れていないか目を凝らせば、こちらへ向かってくる首輪の男がすっ、と一つのネックレスをポケットに捩じ込むのが見えた。

 アイスを片手に澪がその男の方へ向かう。彼は下段のリンゴのフレーバーももぐもぐと口に運び、アイスに夢中な子供を装って男に近づいた。
 そしてしめしめと男が振り返ろうとした瞬間、彼はすぐ後ろにいた澪と衝突する。
「ってぇな……前見て歩け!」
 男はそう怒鳴るが、澪をしつこく責めることなくすぐにその場を離れようとする。しかしその腹部には、べっちょりと澪が手にしていたアイスが付着していた。
「わっ……ごっ、ごめんなさい! どうしよう汚しちゃった……拭きますね!」
 澪は申し訳なさそうにぺこぺこと頭を下げ、可愛らしいハンカチを取り出してアイスを拭き取ろうとする。だがその瞬間、男は触られたくないのかぱんっ、と澪の手を軽く払った。

 男がさっさとどこかへ歩き出そうとすると、澪はハンカチをきゅっと握って瞳を潤ませる。幻朧戦線といえど子供の善意を無下にした罪悪感に苛まれたか、男は思わず立ち止まって慌て出した。
「い、いいから次気を付けろ。服くらい後で……」
 そう男が澪の顔を覗き込もうとした、その時。

 澪は少し恥ずかしそうに目を閉じると、柔らかな唇をそっと男の口元へ近づけた。
「ごめんね。少しの間大人しくしてて」
 ふっ、と澪はユーベルコード『夢に誘う眠り姫』の魔力を吹き込む。油断した男はそのまま甘い香りを呑み込むと、かくりと気を失ってその場に倒れてしまった。

 男は救護スタッフを装ったエキストラに回収され、フロアの奥へと運ばれていく。
 それを見送りながら、澪は頬をほんのりと紅く染めて唇に手を添えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュアン・シア
私は宝飾展の展示会場でスタッフとして接客を。
宝飾展のことはイトリさんがラジオで宣伝していたし、宝石や時計って換金しやすいから幻朧戦線に次々狙われそう。
『稀少品をお求めの方はスタッフにお声がけください』と書いたプレートを会場に立てておけば、向こうから声をかけてくるんじゃないかしら。その場で盗むかどうかは別としても、品物の確認はしたいでしょうし。
黒い首輪の誰かさんに声をかけられたら、「かしこまりました。どうぞこちらへ」と物腰柔らかに少し奥まった通路に誘い込んで、微笑みかけ。【ひとときの誘惑】で命令を。
「眼を閉じて、私が起きろと言うまで眠ってなさい」
これを繰り返せばそれなりに確保できそうじゃない?



 百貨店の最上階、伊取がラジオでも宣伝していた宝飾展のイベント会場にて。リュアン・シアは『稀少品をお求めの方はスタッフにお声がけください』と書いたプレートを立て、その隣でイベントのスタッフに扮していた。

 会場でも目立つ位置には一際大きな宝石が飾られ、照明の光を受けてきらきらと輝いている。エキストラだらけのこの会場でその輝きに惹かれる人間といえば当然――、
「ちょっといいか」
 リュアンが声の方を振り向けば、そこには深めの帽子と上着で肌を隠した怪しげな男の姿。その首元にはしっかりと黒い首輪が着けられており、彼が幻朧戦線のメンバーであることが伺えた。
 リュアンは微笑みを貼り付けたまま接客を続ける。
「はい、如何されましたか?」
「そこの宝石は見本か? それとも本物か?」
 男が指さした方、大きな宝石の展示されているガラスケースにちらと目を遣り、リュアンは少し声を小さくして本物は別の部屋に保管してあるのだと答える。
 すると男は一瞬考えるように腕を組んだ後、にやりと笑って口を開いた。
「……なら、そこへ案内しろ」
「かしこまりました。どうぞこちらへ」
 リュアンは物腰柔らかな笑みで男を会場の端へと誘う。人混みから外れ奥まった通路に着けば、彼女の足はぴたりと一つの扉の前で止まった。

 この奥にあのデカい宝石が、と男は思わず口元を緩ませる。
 ――しかし、リュアンは扉に手を伸ばさない。
 男が痺れを切らし眉を顰めると同時、リュアンが突如くるりと振り向きユーベルコード『ひとときの誘惑』を発動した。
「何だ!?」
 男は目を見開き、その視界にリュアンの微笑をはっきりと捉える。くらりとよろけた男に近づき、彼女はそっと耳元で囁き命じた。
「眼を閉じて、私が起きろと言うまで眠ってなさい」

 途端に男は言われた通りに目を瞑り、がくりと膝をつく。
 そしてかちゃ、と目の前の扉が開くと、そこには救護スタッフに扮したエキストラが待ち構えていた。
 彼等の後ろには猿轡を噛まされて眠る、既に確保された幻朧戦線のメンバー達。エキストラの面々はやや手慣れた様子で担架を持つと、リュアンの足元から素早く首輪の男を運んでいった。

 リュアンは彼等に幻朧戦線メンバーの捕縛を任せ、再び営業スマイルを貼り付けて会場へと戻っていく。そして同じように宝石に惹かれた首輪の男を奥へ誘い、可能な限り標的の確保を繰り返すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白紙・謡
書店でひと芝居打ってみる事に致しましょう
『影朧幻想絵巻』と記された桐箱入りの巻物を手に

……何故、此れが販売されているのです
その独特な表現と詳細過ぎる程の内容と併せ
どれだけの黄金を積んでもという好事家もおられるとか
過去のユーベルコヲド使いが遺したと言われる伝説の書
行方知れずとされておりましたが……

良いのですか?
本当にその値段で売ってしまわれても

聞こえよがしに騒いだ後
書店のカウンターに巻物を残したまま店員さんに目を離して頂き
幻朧戦線の者が引っかかったなら
UCで呼び出した掌サイズのお爺さんを連れ声を掛けます

相手が振り向きざま、眠りの砂を放って
ええ、此方ザントマンという妖精さんです
可愛らしいでしょう?



 百貨店のフロアの隅、静かな静かな書店にて。
 仕掛け人である筈のエキストラ達が立ち読みに耽る中、白紙・謡がひとつの棚の前でごくりと息を呑んでいた。
「……何故、此れが販売されているのです」
 彼女はそっと置かれていた桐箱の蓋を開け、『影朧幻想絵巻』と記された巻物を手に取る。そして店員が立つ会計用のカウンターへとそれを置けば、謡の反応に対してかなりお手頃な値段が伝えられた。
 店員はその値段をさも当然といった様子で購買の意志を問う。しかし謡は巻物を神妙な顔で見つめたまま、大袈裟な声量と仕草で聞こえよがしに語り出した。
「……その独特な表現と詳細過ぎる程の内容と併せ、どれだけの黄金を積んでもという好事家もおられるとか。過去のユーベルコヲド使いが遺したと言われる伝説の書……行方知れずとされておりましたが……」
 きょとんとする店員に、謡は更に緊迫した声で。
「良いのですか? 本当にその値段で売ってしまわれても」
 その言葉に店員は一度桐箱を見つめ、うーんと唸って腕を組む。そんなに価値がある物なのか、ならば値段を改めないといけないなどとぶつぶつ呟いた後、彼は上の者と相談して来ると言ってカウンターを離れていってしまった。

 ――と、ここまで彼女の台本通りである。
 しかしその真剣な語りと書店員の慌て具合――彼も当然仕掛け人だが――に、近くにいた一人の男が反応していた。
 カウンターに近づいてくる気配に謡がさり気なく視線を動かす。案の定、男の首元にはしっかりと幻朧戦線の証である首輪が着けられていた。

 謡は男と入れ違いになるように、巻物の置かれたカウンターを後にする。にやりと笑い巻物に触れる男の背後で、彼女はそっとユーベルコード『招』を発動した。
 謡の小さな声は眠らぬ子供を寝かし付けるように、優しくも恐ろしい物語の一節を紡ぐ。
「――おいで、おいで」

 ころんと掌に小人を乗せて、謡は男に声を掛ける。男が面倒臭そうにあぁ? と粗く返事をして振り向いた瞬間、小人の手からばさっと大量の砂が放たれた。
「うがっ!? め、目に……っ! 目がぁぁ!!」
 男は一頻り目を押さえ騒いだ後、がくりと床に崩れ落ちてしまう。だらしなく床で眠りこける男を覗き込み、謡は微笑んで掌の上の小人を撫でた。
「此方、ザントマンという妖精さんです。可愛らしいでしょう?」
 しかし返事は当然無い。失神したように深く眠るこの男が意識を取り戻すには、かなり時間が掛かりそうであることが伺えた。

 そして小人が男の頬をぺちぺちと叩いていると、救護スタッフを演じるエキストラが謡の元に到着する。彼等は素早く担架に男を乗せると、謡にぺこりと一礼して百貨店の奥へと向かっていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「首元を隠した方を全て眠らせ、身体検査させていただく位でも良さそうな気がしますけれど…駄目ですの?」首傾げ

首元を隠した人物の行動を少し離れて注視
その人やそれを追う自分を更に注視する人がいないかもこっそり確認
該当者を発見したらUC「桜の癒し」使用
範囲内の首元を隠した人をまとめて眠らせる
「グラッジ弾はそれなりに稀少なのでしょう?なら、単独で無作為に運用することは少ないかと思いましたの。私なら、他に何人も囮を放った上で、失敗した時はグラッジ弾を回収できるようチームを組みますもの。今日は一般人がほぼ居ないのでしょう?全員首元を確認して、実行者だけでなく連絡員も逃がさず押さえた方が良いかと思いますの」



「首元を隠した方を全て眠らせ、身体検査させていただく位でも良さそうな気がしますけれど……駄目ですの?」
 そう首を傾げる御園・桜花に、捕らえた幻朧戦線を見張る偽スタッフが口を開く。
「確かにそれは手っ取り早いですが……事件を起こそうとした幻朧戦線全員を捕らえ、兵器の被害を広げない為なんです」
 そして更にスタッフは続ける。
 入店時に首輪を確認してその場で捕らえたり、入れるフロアを制限したりしてしまえば、全員が中に入り切る前に警戒されてしまうかもしれない。かといって全フロアの首輪を付けている人間を全て一瞬で眠らせるような術を持つ者は、少なくとも帝都にそう多くいるものではない。私達が考えられる限りではこれが最善の策だった――と。
 そうぺこりと頭を下げるスタッフに頷いて笑みを返し、桜花は人の集まるフロアへと赴く。彼女は人混みの中をすいすいと歩きながら、周囲の人間の首元に注目していた。

 暫く観察を続ければ、桜花は視界にひとり怪しげな人物を捉える。暖房の効いた店内であるにも関わらずしっかりと厚めのコートを着こみ、首元を隠した人間だ。
 そちらへ桜花が早足で歩き出した、その時。
「だな。……は撤退……か?」
「……仲間が捕まってい……だぞ!」
 途切れ途切れ、そんな声が耳に届く。桜花がさり気なく声のした方に視線を送れば、そこにはひそひそと顔を近づけ話す二人の男が立ち止まっていた。
 男たちは明らかに桜花を見つめ、そして何かを迷い、焦っている。そしてその首元は大きめの立襟で隠され、ちらりと黒い首輪が覗いていた。
 桜花がよくよく耳を澄ませば、更にひそひそとした話し声が幾つか聞こえる。このフロアにある程度の幻朧戦線が居ると確信した彼女は、ぐるりと周囲を見渡しながらユーベルコード『桜の癒し』を発動した。

 ぶわり。賑やかな百貨店内に、突如桜花弁を乗せた風が吹き抜ける。桜花の目が捉えた数人の男はその風に巻き込まれるや否や、ふっと意識を失ったようにその場に倒れ込んでしまった。
 エキストラまでもがざわつき不思議そうに男達を見つめる中、桜花は笑みを浮かべたままゆっくりと近づく。
「グラッジ弾はそれなりに稀少なのでしょう? なら、単独で無作為に運用することは少ないかと思いましたの。私なら、他に何人も囮を放った上で、失敗した時はグラッジ弾を回収できるようチームを組みますもの」
 そう言って幻朧戦線の懐からひとつ銃を取り出し、ちら、と桜花は野次馬の中の一点に目を遣る。先程は居なかった人間――目の前で倒れる者達と同じように、微かに首輪を煌めかせる悪人面の男。グラッジ弾を回収しにきたのであろう、幻朧戦線の一員だ。
 桜花はふわりと手を掲げ、再び桜吹雪を大きく舞わせる。花弁は逃げ出そうとした男を一瞬で呑み込み、そして深い眠りへと誘ってしまうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『くろがらすさま』

POW   :    雑霊召喚・陰
レベル×5体の、小型の戦闘用【雑霊】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
SPD   :    おねむりなさい
【ふわふわの羽毛】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
WIZ   :    みちしるべ
【勾玉】から【光】を放ち、【視界を奪うこと】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:橡こりす

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵が確保した幻朧戦線はエキストラ達の手によってひとつの部屋へと集められる。完全に気絶している者やぐうぐうと呑気に眠る者が大半で、それ故にひとり、鬼のような形相でじたばたと暴れる男の姿が目立っていた。
 グラッジ弾の入った銃は既に回収済みであり、男がいくら抵抗しようと脅威はない――筈なのだが。
「どうせ……どうせ牢屋送りにするんだろ」
 ぎろり、と男が近くのスタッフを睨みつける。そして男は縛られた足を大きく振り上げると、苛立ちを露わにして大きく息を吸った。
「……こんなボケた街、戦でも起こらねェとつまんねえんだよ! そんで折角滅びるなら、世界を変えてやった俺達が何もかも奪って良い暮らしを得る! それでいいだろォが!!」
 狂ったようにそう叫んだ男は、ガン! と足を床に叩きつける。そしてそれと同時、男の靴の中でブツッ、という嫌な音がした。
「――ほら、これで影朧のお出ましだ」
 男は苦痛に顔を歪めながら笑う。床に垂れる赤はしゅうしゅうと煙を上げ――そして、たくさんの黒い塊を出現させた。
「……かぁーーーーーーっ!!」

「……は?」
 呼び出されたもふもふの塊、もとい影朧『くろがらすさま』は部屋をばさばさと飛び回る。男が足の痛みも忘れてきょとんとそれを見つめる中、くろがらすさまは大きく羽を広げ――猟兵と幻朧戦線、そしてその場にいたスタッフ達目がけて突進を始めた。
栗花落・澪
はわぁ〜!もふもふ可愛いよぉ…!
敵の姿にときめきつつ

まぁ、なんでも思い通りにいくと思ったら大間違いって事だね
平和ボケ上等じゃない
むしろそれが間違いと感じた経緯は?
本当にただつまらないだけ?それとも事情が?

翼の【空中戦】の低空飛行で屋内を素早く動き回り

僕に光は効かないよ
目を閉じたまま【催眠歌唱】を響かせくろがらすさまの鈍化狙い
同時に【聞き耳】で音の反響を聞き位置や動きを把握
軽くいなしつつ幻朧戦線さんの話を聞きたいね

ところでこのもふもふさん…出来れば転生させたいよね
というわけで【優しい祈り】を混ぜつつ【指定UC】
他の猟兵が導きやすいよう催眠で心を沈めさせ
花弁の【破魔】で心の悪い部分を浄化してあげる



 現れた影朧はわさぁっと散らばり、勾玉の光を煌々と輝かせながら飛び回る。それは間違いなく『影朧が人間を襲撃している』光景――であるはずなのだが、ここに居る人間がただ蹂躙されるような素人ばかりではないこと、そして影朧がとってもふわふわもふもふの体をしていることもあり、そこは見方を変えれば少々獰猛な動物とのふれあいコーナーのようであった。
 そして、それを見た栗花落・澪は思わずくろがらすさまにときめきつつ声を高くする。
「はわぁ〜! もふもふ可愛いよぉ……!」
 澪はそう呟きながら、びゅーんと飛んできたくろがらすさまを軽く躱す。もふっと床に激突したくろがらすさまが悔しそうに鳴いて立ち上がれば、澪はそれに向き直りながら緩む顔を引き締めた。
 いくらもふもふで可愛いとはいえ、目の前にいるのは影朧なのである。
「まぁ、なんでも思い通りにいくと思ったら大間違いって事だね」

 くろがらすさまから幻朧戦線の男に視線を移し、澪は凛とした表情で言い放つ。
「平和ボケ上等じゃない。むしろそれが間違いと感じた経緯は?」
「……ッ」
 男は向かってきたくろがらすさまをぐいぐいと押し返しながら、口をぐっと結んで澪を睨みつける。答えを返さない男に向かって、澪は更に問いかけ続けた。
「本当にただつまらないだけ? それとも事情が?」
 しかし男は答えない。お前には関係ない、と言ったような表情でただ黙り込んだまま、彼はくろがらすさまを掴み遠くへと投げ放っていた。
 話の通じなさそうな男にふぅとため息を漏らし、澪は自分に飛びかかってきたくろがらすさまの方を向く。いつの間にかくろがらすさまはもっふりと数を増やし、澪を囲むように並んで胸の勾玉を構えていた。
「「かぁーーーー!!!」」
 一斉に鳴いたくろがらすさまから距離を取るように、澪はふわりと翼を広げて宙に浮かぶ。天井にぶつからない高度で彼が滑空すれば、くろがらすさま達は勾玉を強く輝かせて澪を追い始めた。
 ばさばさばさっ!! と複数の羽音が澪を囲む。くろがらすさま達はその胸の光で澪の視界を奪おうとする――が、しかし。
「僕に光は効かないよ」
 澪はその瞼を閉じ、勾玉の光ごと視界を暗転させる。くろがらすさまはカァとひとつ鳴いて翼を動かすと、もらったと言わんばかりの勢いで澪に突進した。
 だがそれは当たらない。澪はくろがらすさまの羽音や空気の揺れを読み取り、向かってくるもふもふをいなしながらすぅと息を吸い込む。
 その小さな口から穏やかな旋律が紡がれ始めれば、くろがらすさま達は翼の動きを鈍らせてよろめき始めてしまっていた。

 やがてぽふぽふとくろがらすさまが床に墜落していくと、澪は歌声を止めてふわりと舞い降りる。彼等も影朧、出来ることなら転生させてあげたい――そんな祈りを込めて、彼はユーベルコード『誘幻の楽園』を発動した。
 澪が再び柔らかな声で歌い出せば部屋の中を無数の花弁が舞い出し、床一面に美しい花畑を出現させる。
「かー……」
 くろがらすさまは澪の花弁に呑み込まれ、浄化の力を受けて眠るように鎮められていく。澪は離れた位置の影朧にも届くよう、祈りながらその歌を続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュアン・シア
あら可愛い。
え、このもふもふしたコ達……影朧?
影朧って随分と不安定な存在で、魂を鎮めることで転生の余地が生まれるって聞くけど、このコ達は転生できないのかしら?
とりあえず影朧とは言えカラスっぽいから、ヒーリングチューナーを鳴らして彼らの不安定さを祓って慰めてみましょう。それはつまり影朧としての力を弱めることにならないかしら。意思疎通までできれば何よりだけど。
どうしても戦わないといけないなら【執着解放】。高速で死角から影朧に接近して憐花切で勾玉の連珠を切り落とし、衝撃波でふわふわの羽毛ごと彼らを吹き飛ばすわ。ごめんなさいね。

影朧を喚んだそこのボケた男はおとなしく寝てなさい(ヒールで踏みつけ)



「あら可愛い」
 ふわっふわの羽で飛び回るくろがらすさまを見て、リュアン・シアは思わずそんな言葉を漏らす。しかし近くにいたスタッフがいやいやと首を振った直後、リュアンの横を一羽のくろがらすさまが勢いをつけて通り抜けた。
「かぁー……!!」
 振り返り、こちらを睨んでくる鳥にリュアンは首を傾げて。
「え、このもふもふしたコ達……影朧?」
 うんうんと激しく頷くスタッフを見て、リュアンは軽く表情を引き締める。なんとも可愛らしい羽毛の塊だが、目の前のそれは間違いなく世界を滅ぼすものなのだ。
 このコ達は転生できないのかしら、と彼女は少し思考を巡らせる。影朧は不安定な存在だが、魂を鎮めることで彼等に転生の余地が生まれる――そんな話を思い出し、リュアンは徐にヒーリングチューナーを取り出してくろがらすさまに向き直った。

 くろがらすさまが飛び上がると同時、リュアンはひとつ癒やしの音を響かせる。その羽ばたきがぴたりと止まることは無かったが、くろがらすさまは狙いを外しながらぱちくりとその目を瞬いていた。
「意思疎通まで出来れば何よりだけど……」
 リュアンはそう呟きつつ、くろがらすさまの突進を躱してヒーリングチューナーを鳴らし続ける。澄んだ音がひとつふたつと響いていけば、やがてくろがらすさまは一度羽を畳んでもっふりとリュアンの前に留まった。
「……かー」
 くろがらすさまは何か言いたそうにリュアンを見つめ、首を傾げる。まさか思いが通じたのだろうか――リュアンがそんな希望を抱いた、その時であった。
「かぁっ!!」
 突如くろがらすさまは飛び上がり、ばさばさと翼を動かして黒い羽毛を舞わせる。不意を打ったつもりなのか、その表情は僅かにしたり顔のようにも見えた。
 リュアンは心なしか残念そうに、ユーベルコード『執着解放』を発動する。ふわりと風を纏った彼女は憐花切を携えて、細く息を吸い込んだ。

 一瞬にしてくろがらすさまの後方に回り込み、一閃。白菊の刃はくろがらすさまの勾玉の連珠をばらりと切り落とすと、周囲を舞っていたふわふわの黒い羽毛を吹き飛ばす。その衝撃波は強く空気を震わせ、羽毛を舞わせていたくろがらすさまの身までもを巻き込んで遠くの壁へと叩きつけてしまった。
「ごめんなさいね」
 リュアンは更に部屋を駆け抜け、羽を散らすくろがらすさまを殲滅していく。そして衝撃波で吹き飛ばされた羽を一点に集中させれば、そこにいた幻朧戦線の男が目を丸くして声を荒げた。
「うぐッ!? な、何すんだこのッ――」
 しかし声は途切れ、男は羽に包まれて意識を失う。リュアンは刀を収めながらその男に近づきヒールで踏みつけて、おとなしく寝てなさい、と言い放つのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハルピュイア・フォスター(サポート)
絶望を与えるのがわたしの仕事…。
無表情で口調は事実を淡々と告げます

【暗殺】が得意
また【迷彩】【目立たない】【闇に紛れる】【地形の利用】など使用して隠密にまた撹乱しながら行動

Lost memory…敵のユーベルコードの矛盾や弱点を指摘しUC封じ込む

回避は【残像】で、怪我は厭わず積極的に行動

武器;首にマフラーの様に巻いてある武器『零刀(未完)』は基本は両手ナイフだが鞭や大鎌など距離や状況に合わせて形を変貌させ使用

他猟兵に迷惑をかける行為はしませんが、御飯やデザートは別問題…奪います。
公序良俗に反する行動は無し

後はおまかせでよろしくおねがいします



 身を隠したつもりか隅にいた幻朧戦線の団員達は、あっさりと影朧に群がられてひぃひぃと喚く。
「何で俺達までこんな目に――」
 かぁっ、と一羽のくろがらすさまが飛びかかったその時。突如そのもふもふは何かに弾かれ、真横の壁へと叩きつけられていく。
 男がおそるおそる顔を上げれば、そこには猟兵ハルピュイア・フォスターの姿があった。
 ハルピュイアは眉一つ動かさず男の方を振り向くと、先程の言葉に答えを返すように淡々と口を開く。
「因果応報、だよね」
「ッ……」
 男は言い返せず、拘束されて手も出せず、ただハルピュイアを睨んで黙り込む。自分達の意思で兵器の使用と私利私欲の窃盗を企て、自分達の意思で呼び出した影朧に襲われているのだから、この状況は彼女の言う通り因果応報以外の何物でもないのだ。
 そうしている内に、壁で潰れていたくろがらすさまが体勢を整えこちらへ向かってくる。逃げ出そうとする男に目を細めつつ、ハルピュイアは自らの首元に手を伸ばした。

「かああ!!」
 くろがらすさまが飛び上がり、ばさばさと羽を羽ばたかせて胸の勾玉を光らせる。それが視界を奪う程の光量へ変わる前に、ハルピュイアはユーベルコード『Lost memory』を発動させながらそっと目を閉じた。
「光は見なければ意味がない。そしてこのまま攻撃すれば……」
 そこで言葉が切れ、ハルピュイアの手がひゅんと閃く。首に巻いていたマフラー――ではなく彼女の武器『零刀(未完)』が鞭となって大きくしなると、それは勾玉を光らせたくろがらすさまの体を捉えて薙ぎ払った。
「かぁぁっ!?」
 同時に、くろがらすさまが放つ光が消える。ハルピュイアが目を開ければ、そこには彼女のユーベルコードによって現れた人影がくろがらすさまの前に立っているのが見えた。

 神主のような姿をしたそれは、くろがらすさまに何かを言い聞かせるように口を動かす。人影がどこかへ去ってもきゅうと丸まったままのくろがらすさまに、ハルピュイアはゆっくりと近づいていった。
「……さようなら」
 彼女は表情を変えぬままそう告げて、動かないくろがらすさまに深く刃を突き立てる。
 そしてくろがらすさまは悲鳴ひとつ上げぬまま、穏やかそうな表情でその身を散らしていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

御園・桜花
「ご自分も痛いでしょうに…でも貴方の心はもっと痛いのでしょうね。それを聞きもせず曲げてしまうのは、本当は良いことではないかもしれませんけど」

他の猟兵と共闘し幻朧戦線や他の人を守る
攻撃は見切りや第六感で避けカウンター出来そうな攻撃はカウンターからのシールドバッシュで撥ね飛ばす
UC「強制改心盆」は幻朧戦線の起きている人から優先に
幻朧戦線メンバー終了後まだ敵が残っていればそちらにもUC「強制改心盆」使用

「言葉が通じない方より言葉が通じる方を優先するべきかと思いましたの」
「貴方は奪われてばかりだったかもしれないけど、そうでない記憶もあったと思いますから。それを思い出していただければと思いましたの」



 影朧を呼び出した男はぐったりと床に突っ伏して眠りこけたまま。しかしその足からは変わらず血が流れており、見ているだけでも痛みを感じるようであった。
 そうまでして影朧を呼び出し、帝都を戦乱の世へ変えようとした理由。他の猟兵が問いかけても答えずひた隠しにしていたそれは、果たして何だったのか。
 御園・桜花は目も口も開かぬその男に視線を送りながら、くろがらすさまのいる方へと向かっていく。
「ご自分も痛いでしょうに……でも貴方の心はもっと痛いのでしょうね。それを聞きもせず曲げてしまうのは、本当は良いことではないかもしれませんけど」
 そう言って彼女は銀盆を手に、かぁかぁと突進してくるくろがらすさまを視線で捉える。背後で寝転ぶ幻朧戦線を守るようにひとつ、近くで奮闘するスタッフ達を援護するようにひとつ、もふもふの塊を次々に打ち返して。
「かぁぁぁー!!?」
 くろがらすさま達は野球ボールのように飛んで遠くの壁に叩きつけられ、きゅうと気を失って動かなくなってしまう。そうしてくろがらすさまを大方退けた彼女は、くるりと幻朧戦線の方を振り向いた。

「……な、何だよ」
 眠っていない男が、拘束された体でぐっと身構え桜花を睨みつける。桜花はその手の銀盆に霊力を込めながら、ユーベルコード『強制改心盆』を発動させた。
「その性根、正させていただきます!」
「は!?」
 男はぎょっと目を丸くして声を裏返す。彼が状況を理解する前に、桜花は盆を大きく振り上げ――男の頬に叩き込んだ。
「へぶッ!!!」
 そんな悲鳴のような何かを漏らし、男が思わず顔を顰める。しかし不思議とその頬に痛みはなかったようで、男は首を傾げて桜花を二度見した。
 桜花は続いて、次々に幻朧戦線のメンバー達へと盆の一撃を叩き込んでいく。眠っていた男にも容赦なく盆を振り抜けば、彼はその衝撃で目を覚ましてびくりと体を震わせていた。
「何で俺達まで叩くんだよ!?」
「言葉が通じない方より、言葉が通じる方を優先するべきかと思いましたの」
 桜花は声を荒げる男達とくろがらすさまを交互に見てそう告げる。彼女が銀盆を構えるのを止めれば、男達は何やら一瞬意識が虚ろになったのかくらりとよろめいた。
 すぐに意識を戻す彼等に、桜花は諭すように言葉を続ける。
「貴方は奪われてばかりだったかもしれないけど、そうでない記憶もあったと思いますから。それを思い出していただければと思いましたの」
 そう微笑む桜花の言葉に、男達は複雑そうな表情を浮かべて。

 やがて、静かになった部屋に少し屈強そうなスタッフ達が到着する。彼等は拘束されていた幻朧戦線達に改めて手錠をかけると、猟兵たちに深く頭を下げて外へと連れ出していった。
 あれだけ反抗的な態度を取っていた男達だったが、不思議と何やら少し反省したように大人しく連行されていく。桜花は小さく微笑みながら、そんな彼等の背を見送るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年01月26日


挿絵イラスト