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奇跡の館

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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「アポカリプスヘルに、「奪還者」……ブリンガーいう仕事があるんは知っとるやろか」
 集まってくれてありがとなぁ、そう礼を述べた後、シャオロン・リー(Reckless Ride Riot・f16759)は話し始める。
 奪還者。安全な拠点から離れて、危険度の高い場所、人が廃棄した場所を探索し、そこにある食料や物資を見つけて拠点へと持ち帰る、アポカリプスヘルにおいては最も重要な役目の一つだ。
「奪還者の一団が、オブリビオンに占拠されとる場所に立ち入って皆殺しにされてまうのを予知してもうてん。今ならまだ間に合うやろけど、行ってくれるやろか」
 今からならば、まだ間に合う。その言葉を聞いて希望に目を輝かせたものたちに向き直り、シャオロンは再び説明を始めた。
「その場所は、今は『奇跡の館』て呼ばれとるらしいねん。何がなんでも生き延びようとした金持ちが作ったらしくてな、まぁけったいな迷宮みたいになっとんねん」
 主にゾンビと化した侵入者を撃退するための数々の罠が今も仕掛けられている。
 持ち主であった人物は結局、オブリビオンに殺されたか、オブリビオン・ストームに巻き込まれたかしたようで、この世のものではないようだ。
 しかし、その迷宮を少しずつでも攻略していけば、屋敷の持ち主が籠城しようと貯めこんでいた食料や物資を持ち帰ることが出来るのだが。
「とち狂ったカルト教団があんねんな。親しい相手を生贄にして生き延びる、死ぬまでの「時間」を伸ばせる。それも、親しければ親しいほど伸びる「命の時間」は長なるから……そんな話を本気で信じてもうとる」
 周囲の親しいものを全て生贄に捧げ終えれば、次に新しく後の生贄となる「親しいもの」を作る。勿論、そんなことをしたとて、全て妄想にすぎない。
 その狂った教団が『奇跡の館』に棲みついてしまっている。
「屋敷の中は迷宮になってもうとるから、フツーの……フツー言うたかて狂信者やねんけど、人間の信者は奥のほうには居られへんし、数も少ない。こいつらだけやったら奪還者だけでも何とかなんねんけどな」
 物資や食料が残されているであろうとされる中枢部には教団の敵を排除する『異端審問官』たちが潜んでいる。彼らはみなオブリビオンであり、奪還者たちを惨殺するのは彼らだ。
「今から行って屋敷を踏破して、オブリビオンを倒したったら、ちょうど『奇跡の館』に来る奪還者たちと鉢合う頃やろうな。仕事でも手伝ったったらええんちゃう?」
 異端審問官たちはオブリビオンであるから、物資には手を付けられていない。オブリビオンさえ撃破してしまえば、奪還者たちは彼らの仕事を全うできることだろう。
「ほな、間に合わんくなってまう前に行かなあかんな」
 準備できたら声かけてや、と、シャオロンはいつもよりいくらか落ち着いた声でそう言った。


遊津
 遊津です。アポカリプスヘルのシナリオをお送りします。
 こちらは第一章冒険、第二章集団戦、第三章日常といった運びになります。

 ・第一章では迷宮と化した館を探索していただくことになります。
 侵入者を撃退するための様々な罠が仕掛けられています。或いはカルト教団の一般信者と出会うことになるかもしれません。(或いは生贄が監禁されている可能性もあります)
 ※信者は狂った教義に冒されていますが、普通の人間です。殺してしまおうと考えるならば、実行に移すことは容易いでしょう。
 探索箇所は一人につき一部屋を想定しています。沢山の場所を移動する事は不可能と考えてください。
 その中で、どのような罠をどう撃破するのか、或いは出会った狂信者とどのようなことになるのかなどのプレイングをいただければと思います。

 ・第二章は「異端審問官」との集団戦となっております。

 ・一章のプレイングはオープニングが公開された後から募集を開始いたします。
 他、プレイングをくださる前にマスターページをご一読いただけると助かります。

 それでは、みなさまのプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『偏執狂の屋敷』

POW   :    虱潰しに全ての通路を探索し、確実に屋敷の全貌を明らかにする

SPD   :    罠や隠し扉、隠し通路などを発見し、罠の解除や鍵の解錠等を行う

WIZ   :    屋敷の地図を作成したり、収集した有益なアイテムを効果的に使用する

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

囁石灯・銀刃郎
【SPD】
こんだけ造って逝っちゃうなんてねぇ…

辺りを見つつオーラ(覇気)を広げて【第六感】。
罠や隠し通路、信者なんかを【見切り】探知。
大概オタカラとかは持ち出されないよう隠しとくのが定石よね?
生贄だったらどうしましょ?

発破は流石にマズイかなーと思い、物理的に【怪力】で破壊するか、
機械類なら人工知能【メカニック】の【ハッキング】で解除してもらうわ。

隠し先には何があるかしら?
オーラに引っ掛った信者は速攻【残像・早業】で【気絶攻撃】
別に死のうが生きようがどうでも良いけど、面倒なんで手足を着てる服
とかで適当に縛って放置。

生贄見つけちゃったら…仕方ないか。
場合によっては『治癒細胞』で治療しつつ粘体で運ぶ




 廃墟の中にひっそりと、隠れるようにその館はあった。
絡みついた、変色した蔦のような植物を引きちぎり、元は頑強に閉ざされていたであろう隙間をこじ開けて一歩中に足を踏み入れれば、意匠の凝らされた廊下が目に入る。
「こんだけ造って逝っちゃうなんてねぇ……」
 囁石灯・銀刃郎(ミュータントファントム・f24401)は廊下の壁をこん、と叩きながら呟いた。
(オタカラなんかは大概、持ち出されないように隠しとくのが定石よね……? 生贄だったらどうしましょ?)
 練り上げられた覇気が静かに彼女の体から立ち上る、達人は視覚に頼らずとも空気の流れで周囲の動きを感知できるというが、今の彼女がまさにそれ。
目に見えぬ罠のスイッチを的確に避け、銀刃郎は屋敷の中を歩いていった。

 辿り着いた先には聳える壁。完璧な袋小路のようにも思えるが、銀刃郎は確かにその先に確かに何かがあることを感じ取っていた。
「発破するわけにもいかないし……ねっ!」
 通常の建物よりもずっと強靭につくられていたのであろう分厚い壁に、彼女の拳が叩きつけられたところから大穴が開く。
はじめに見えたのはこちらに背を向け、刃物を掲げた女の背中。その刃が狙っているのであろう、ぐったりとした男の腕。
ガラリと崩れた瓦礫を一息で越えて、銀刃郎は刃を持つ女――狂信者の延髄に手刀を叩き込む。
ばったりと部屋の中に倒れた女の手から刃物を奪い取り、気絶しているのを確かめると後ろ手に縛り上げた。
(まあ、別に死のうと生きようとどうでもいいんだけど……殺すのも面倒だし、適当に放置でいいか)
 うぅ、と呻き声が聞こえる。
柱に縛り付けられていた、恐らくはこの狂信者の女の「生贄」であったのだろう男が目を覚まし、縛り上げられた女と銀刃郎を目にして状況を把握したのだろう、がっくりと項垂れていた。
「くそ、騙された……だが、助かった……あんたは奪還者か……?」
「そんなところかしらね? 傷はどう、立てるの?」
「ああ、なんとか……」
 荒い息をつきながら立ち上がろうとした男をちょっと待って、と制し、銀刃郎は【治癒細胞】を呼び出して男の傷に纏わせた。
「何から何まで、すまないな」
 傷が癒えれば、男は自らの足で歩くのに不自由しない身体となった。
銀刃郎が教えたとおり、彼女がこの屋敷に入るのにやってきた入口――男にとっては出口へと向かって歩いていく。
その背中を見送って、銀刃郎はこの部屋の正規の入口であった扉を睨む。
此処から先に進むのならば、この扉を抜けていくのが最良だろう。
ドアノブを回し、鍵がかかっているのを確かめると、再び彼女は大きく息を吸い込み――叩き込んだ拳で、道を拓いたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

月隠・三日月
物資や食料はこの世界のヒトにとって必要なものだよね。奪還者の方々がお役目を完遂できるよう、私も協力するよ

私は館にある罠の解除を行おう。罠の作成や設置は多少嗜むから(【罠使い】)、その知識も少しは生かせるかな
対侵入者用の罠の作動条件で思いつくのは……床が重みを感知するとか、扉の開閉に反応するとか。あとはトラバサミや落とし穴とかの単純な罠かな
床や天井や壁を観察しつつ(【視力】【情報収集】)、慎重に進もう。怪しい箇所があったら、罠があるか確かめて解除できそうなら解除、解除が難しそうなら他の方が罠に近づかないよう印を付けておこう
扉は普通に開けない方がいい気がするから、【紅椿一輪】で扉を斬って進もうか




 長い廊下を進むと、足首の高さに細い鋼の糸が張られている。
鋼糸に何者かが足をかけたならば、それを起点として罠が作動し、頭上からスパイクを幾つも生やした吊り天井が落ちてくる仕掛けだ。
 月隠・三日月(黄昏の猟兵・f01960)は正確な手つきで鋼糸から吊り天井まで繋がるトラップの導線を解除していく。
忍の一族に生まれた三日月には罠を作って仕掛けるまでの知識や経験がある。
 物資や食料はこの世界に暮らす人々にとってとても貴重なもの。
それらが眠るというこの屋敷に訪れる筈の奪還者たちが役目を果たせるよう。
たとえ生家の一族から期待されていないとしても、三日月の持つ経験と知識は今ここで活きるものであった。
(対侵入者用の罠の作動条件で思いつくのは……)
 床、天井、壁。あらゆる場所を冷静に観察しながら、三日月は進んでゆく。
トラバサミや落とし穴のような単純な罠は既に幾つか解除を済ませてあった。
埃の積もった絨毯の下でぎしりと鳴った不自然な音を効きつけ、絨緞を切り裂いてその下の床を外せば、そこにも罠の作動スイッチがある。
体重をかければ作動する仕組みであっただろうそのスイッチを破壊して、近寄ることが出来ないようにし、間違っても踏み込んではいけないと大きく印をつける。
「さて……」
 行く先には一つの扉。
鍵がかかっているかどうかはわからない。掛かっていたとしてもいなかったとしても罠があるかどうかは確かめねばならないが。
三日月は腰のものを抜いた。月隠に伝わる無名の刀――認識に応じて姿を変じる妖刀。
一閃、扉であった木片がばらばらと崩れ落ちた。
木片から滲み出す異色の液体。やはり罠が仕掛けてあったのだと悟り、三日月は液体が後から来る者に害を為さぬよう処理をする。
ふと顔を上げた先には、また扉。直感と経験則に頼れば、それを抜けた先にももう一枚ほど扉がありそうだ。
どうやらまだまだ、携えた刀の出番は終わることはなさそうだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルナスル・アミューレンス
常人であれ狂人であれ、過ごしているなら物資があると思うんだよねぇ。
探し回って、拝借していきましょうかねぇ。

何処にどんな物資や生存者がいて、どこに誰が潜んでいるかもわからないからねぇ。
一先ずは忍び足で、でも速足で、部屋を片っ端から見ていくとしますよー。
鍵は……怪力でどうにかなるかなぁ。

罠が仕掛けられているのかぁ。
これでも戦闘知識あるから、そこからどこに罠があるか見切れないかなぁ?
接触で起動するなら、その辺の瓦礫とか投げつけて発動させちゃおうか。

狂信者と鉢合わせちゃったら……
まあ、気付かれたり騒がれる前に「処刑(終わり)」にしちゃいましょうかねぇ。
唯のヒトなら、首折るなり心臓穿てば終わるでしょ。




 そこは既に持ち主亡き廃墟だ。
かつてここで籠城しようと考えた誰かしらは、既にもう生きてはいない――とはいえ。
「常人であれ狂人であれ、過ごしているなら物資があると思うんだよねぇ」
 そう、狂信者たちといえども、一般信者は人間だ。
既に亡き誰かが蓄えた分だけでなく、彼らの分も食料も物資も拝借していきましょうかねぇ、と、アルナスル・アミューレンス(ナイトシーカー・f24596)はガスマスクの下でそう呟く。
閉ざされた扉は蹴破って、或いは鍵穴を破壊して、部屋の中にまだ使えそうな物資があるならば序でに回収する。
物音の一切を立てることなく、アルナスルは迷宮と化した屋敷の部屋一つ一つを片端から迅速に見回っていった。

 真っ直ぐに続く廊下を歩いていた彼はふと立ち止まる。
一見しただけでは特におかしなところは見えない。けれど奪還者として様々な場所を巡って磨かれたアルナスルの勘が其処に何かがあることを告げている。
これは、罠だと。そう確信した上で注意深く観察すれば、床材が不自然に途切れて溝が出来ていることがわかる。
(落とし穴かなぁ。この溝の位置なら両端は辛うじて通れなくもないけれど――それも、罠だねぇ)
 ここ、と思った場所に調度品を投げつけると、道の両端に細い針山が立ち並ぶ。
(多分、毒かなにか仕込んであるねぇ)
 更にわざと瓦礫を置いて落とし穴の罠を作動させ、その道が通れないことを後から来るものの為に示してから、アルナスルは横の壁を見る。
再び注意して見れば壁にも継ぎ目があり――用心しながら仕掛けを作動させると、新しい道が現れる。
そこを更に進んでいったアルナスルの目に、扉と、そしてその下から染み出るまだ乾いていない血が映った。
これ以上この道を進むにはその扉の向こうに進むしかない。
用心して扉に耳をつける。聞こえてくるのは男の声だった。
「やった、やったぞ、これで俺はまた生きられる……ああ感謝するよ、お前たちの命に感謝しよう……!」
 ブツブツと早口で聞こえる声に男が狂信者であることを確信し、一気に扉を蹴り開ける。
「なッ、なんだお前ッ、……!」
 床の血の海に倒れるもう生きてはいないとわかる母子らしき二人と、その血の海を生み出したのだろう血に濡れた刃物を手にした男。
突如現れたアルナスルに驚愕の声をあげた男は、次の句を告ぐ暇も与えられないまま心臓を突き穿たれて自らも血の海に沈んだ。
母子の遺体は嬲り殺されたかのような傷をつけられ、二人の胸には魔法陣じみた悪趣味な紋様が刻まれ、それと同じものが床に描かれている。
恐怖と苦しみに見開かれた被害者の目を閉じさせる。
(見たところ物資も食料も無い……いや、無くて逆に良かったというべきかねぇ、こんな悪趣味な場所からはさ)
 そうしてアルナスルは部屋を通り抜け、更に屋敷の奥へと進むのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ゴリラ・シャーク
ゴリラ「後々、人間さんが使うはずうほ!地図を作っていくんだな!」
シャーク『……おい!狂信者はオレが喰っていいか?』
ゴリラ「……さすがに辞めとくんだな。狂ってるとはいえ一応人間さんうほ。今回は無力化に留めるうほよ。」

UCは使わず【WIZ】で判定
地図を作りながら進みます。
敵対してくる人間はできるだけ怪力で捻って無力化。
生贄だと思われる人物は助けて、地図を見せながら外へ誘導します。




 屋敷の中を、のしのしと移動する影があった。
「どうやら崩れているみたいうほね、罠ではないみたいうほ」
『こいつは移動できそうにねぇなぁ!袋小路になっちまったかぁ?』
「そうでもないうほ。さっきの部屋になら橋代わりになりそうなものもある筈うほよ」
 手元の地図に大きく印をつけると、来た道を戻ってゆく。
彼らの名はゴリラ・シャーク(森の賢者×海の支配者・f24959)。
その名の通りに叡智を得た小さなゴリラと、そしてその腹から突き出した大気の中を泳ぐサメ型UDCであるシャークのバディであった。
沢山のガラクタが積み上げられた物置のような部屋に入り込むと、ゴリラはガラクタの山の中から鉄梯子を引き抜き、先ほど見つけた床の穴へと引きずっていく。
ゆっくりと橋をかけ、進めることを確認すると、地図にまた書き足していく。
「これなら人間さんも通れるうほね」
 新たな道を進んでいけば、角を曲がった先に扉があった。
注意深く進んでいくと、部屋の中からガタンと何かが倒れる音がする。
「……!……!!」
「暴れちゃダメよ、死ぬときまで苦しみたくはないでしょう? ああ、あなたの命に感謝するわ……これでお母さんはまた生きることができるのだもの……!」
 その優しげな、しかし狂気に満ちた言葉と、くぐもった呻き声を聞いたゴリラは扉をぶち破らん勢いで開けていた。
部屋の中で大きなナイフを手にしていた女は声を上げる間もなく、その腹にぶち当たったシャークによってその場に崩れ落ちた。
『おい!こいつは喰っちまってもいいか?』
「……さすがに辞めとくんだな。狂ってるとはいえ一応人間さんうほ。そのまま無力化させておくにとどめるうほよ」
『ちっ、しょうがねぇなぁ!』
 気絶した女からナイフを取り上げ、カーテンを引きちぎった布で拘束すると、ゴリラは急いで口枷をされて縛り上げられていた少年を自由にする。
「大丈夫だったうほか?」
「う……っく……お母さんと呼んでいいって……言っていたのに……」
 嗚咽を零す少年にシャークが皮肉げに言う。
『おめぇは騙されてたのさ。生きていくのが嫌になったんならオレが喰ってやるぞ?』
「嫌だ!……僕は、まだ生きていたい……!……死にたく、ない……」
「……これから人間さんたちがやってくるうほ。この館の地図を書き写すから、それを見ながら外に出て待っているといいうほ。きっと、なんとかなるはずだうほ」
「……本当に?」
 一度騙された少年は涙の溜まった両目でゴリラを見上げたが、ゴリラの真摯な眼差しを信用する気になったのだろう、おずおずと頷いた。
「……ありがとう」
 地図の写しを渡せば、少年は頼りなげな、しかししっかりとした足取りで、ゆっくり、ゆっくりと出口へ向かって歩いていった。
「さて、おいらたちも先に進むうほよ」
『だがよぉ、この部屋どうやらここで行き止まりみてーだぜ?』
「仕掛けかまわり道を探すさなきゃならないうほか……」
 シャークが笑い、ゴリラが困ったように眉を寄せる。
無事に奥へ進む仕掛けを見つけてそれを発動させるまで、二頭のバディにはまだ僅かこの部屋にとどまる時間が必要となるのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

スターリィ・ゲイジー(サポート)
あちこち旅をしてるので様々な知識がある。
それら知識、搦め手を活用するタイプじゃ。ただし熟練じゃないのでガバる事もそれなりじゃがな。
普段は落ち着きがある方じゃが、知識外や予想外の物には驚いたり慌てたりもするのじゃ。
また知識欲を満たせるものやお宝、綺麗なものには目の色を変える事も多い(特に星関係)
料理は作るのも食べるのも好きかのう。

戦闘では魔導書による魔術UCや、それ以外にも炎の魔法弾を飛ばせるので援護は任せろー。。近接戦は好まないので離れるのじゃ。
冒険ではWIZ系の解決策を好むのじゃ。
日常はエンジョイ。

コメディリリーフはokですがエログロ系はNGです。
ソロも絡み(NPC含む)もokです。




 簡素な手錠を壊して布の口枷を外してやると、少女は幾度も頭を下げながら屋敷の外へと出ていった。
「ふむ、それにしてもこの館、一体どれだけ狂信者がおるのか……」
 スターリィ・ゲイジー(ほしをみあげるスターリィ・f06804)は、進む先で生贄となった人々を助けて回っていた。
偶然であろうが、スターリィが入り込んだ入り口から続くルートは人間の狂信者たちにも簡単に来ることのできる場所であったらしい。
ここに来るまで、彼女は幾つかの部屋に閉じ込められた生贄を助けてきた。
幸い狂信者たちに鉢合わせることはなく、荒事を起こさずに彼らを開放する事ができている。
「しかし、このままでは屋敷の内側には潜っていけぬようだのう。どこかに隠し通路でもあるのか、あるいは……」
 一度外に出て、新たな入り口を探してみるべきか、と言いかけた舌が動きを止める。
錆びた鉄のような匂いが、スターリィの鼻をついた。
血の匂いだ――それも、半端な量ではない。
漂ってくるのは廊下の奥の扉の向こうから。耳を澄ましてみても、物音はない。
意を決して扉を開けて。覚悟はしていた、けれど目に飛び込んできた光景に、彼女は自らの口を覆った。
「うっ……」
 間に合わなかった。助けられなかった。
絨毯を色濃く染めた血で描かれた、奇妙な魔法陣の上に横たわる若い女と、傍らに寝かされた幼い二人の子供。
おびただしく流れ出した血の赤と体についた傷跡が、もはや彼らがこの世のものではないと語っていた。
ぎりりとスターリィは奥歯を噛みしめる。
他人を殺した分だけ、自分の命を永らえる事ができる……そんなのはデタラメだ。真っ赤な嘘だ。
それを信じこんでしまった者によって、ここにいる三人の命は奪われた。
彼女の中で増すのは、この狂った教団で、信者たちにこのような行為をさせているオブリビオンへの怒りだ。
「すまぬの、今はこの程度しかしてやることができぬ……許せ」
 三人の顔を安らかに整え、血を拭き取って、スターリィは遺体の傍らから立ち上がる。
もっと、もっと。早く奥にたどり着かなければ。
その先に、彼女たちのような悲しき犠牲者を生み出した元凶どもがいるのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

朝霞・蓮(サポート)
●キャラ
人間の竜騎士 × 探索者 17歳 男
口調:(僕、呼び捨て、だ、だね、だろう、だよね?)

●戦い方
至近:アイテム『百膳』を使用して切り結んだり、竜言語で身体強化して格闘したり
近中:槍投げしたり銃で射撃。その時に機動力を求められるなら竜に騎乗
遠:攻撃手段がないので接近

●その他できること
錬金術でいろいろ

●長所
探索者として狂気に免疫があるので逆境に強く、恐怖と威圧に動じない

●短所
詰めが甘く、天然

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用
多少の怪我は厭わず積極的に行動
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




 角を曲がった先の壁には、また同じ百合のレリーフが飾られていた。
これで何度目だろうか、朝霞・蓮(運命に敗れた竜・f18369)は壁と手にした地図に印をつける。
右に曲がり、右に曲がり、右に曲がり、右に曲がる。
同じ場所をぐるぐると回っているような気がしてくるが、歩数と歩幅をしっかりと割り出した上での計算では間違いなく中枢へと近づいてくる。
だからこれは、訪れた者に「間違った道を進んでいる」という気にさせる罠だ。
進む道が正しいのだと惑わされずに進んでいれば、必ず目的地に辿り着ける。そう信じて歩みを進める。
「ゾンビ対策用に作り出した迷宮屋敷だと聞いていましたが……それだけの為の罠だけではないようですね」
 今蓮が進んでいる道は知性なきゾンビ用のものではなく、明らかに生きて思考する人を標的としたものだ。
だとすれば、今は亡きこの館を作り出した主は、生き残った人々がこうして食料や物資を求めてやってくることをも計算に入れた上で、なおかつそれらを排して――自分だけが生き残るためにこの館を建てたとも考えられるのだが。
「まぁ、故人が何を考えていたのかなど、詮索しても無意味なものでございましょうか。……と、おや」
 延々と歩み続けて辿り着いたのは行き止まり、ここに来るまでに何度も見た百合のレリーフが飾られた袋小路だった。
蓮は冷静に壁をこつこつと叩いていく。壁に何もなければ今度は床だ。絨毯を切り裂いて剥がしていけば、床材にくっきりと不自然な溝が出来ているのを発見した。
床の溝は、百合のレリーフの真下に繋がっていた。
「やはり、間違いはなかったようです」
 幾度かの試行錯誤の後、急にレリーフが壁へとすんなり押し込まれる手応え。
それと同時に、重い音を響かせながら真横の壁がスライドし、扉が現れる。
地図に照らし合わせれば、その扉の先は館の更に奥へと続いているはずだった。
「ここからが、正念場といったところでしょうか……」
 ごくりと喉を鳴らし、蓮は扉に手を掛けた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『異端審問官』

POW   :    邪教徒は祝福の爪で切り裂きます
【強化筋肉化した右手に装備した超合金製の爪】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    邪教徒は聖なる炎で燃やします
【機械化した左手に内蔵の火炎放射器の炎】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    邪教徒に相応しい末路でしょう?
自身が【邪教徒に対する狂った憎しみ】を感じると、レベル×1体の【今まで殺した戦闘能力の高い異教徒】が召喚される。今まで殺した戦闘能力の高い異教徒は邪教徒に対する狂った憎しみを与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:純志

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『貴様たちか、先程から我々の邪魔をして回っていた者たちは』
 辿り着いた中枢は、血で汚された絨毯が敷かれた地下礼拝堂だった。
体の至るところを機械に置き換えた男たちが、赤く光るレンズの瞳で猟兵たちを睥睨する。
彼らの背後には頑丈な鉄扉が聳え。おそらくはその先に奪還者たちが求める物資が納められているのだろう。
『幾人もの贄の逃亡を幇助したとの報告、既に我々の耳にも届いているぞ』
『これでは信者たちが本日分の祭事を執り行うことが出来ない、命を永らえることが出来なくなってしまう』
『よって、我らは貴様たちを只今より邪教徒と見做して排除することを決定した、一切の異論の申し立ては許可されない』
 異端審問官たちはそう冷酷に言い放つと、それぞれに武装を開放する。
『異教徒たちには遍く、尽く、無残なる死を』 
 ノイズ混じりの声が、戦いの始まりを告げた。
========================================
・『異端審問官』が出現しました。
戦闘フィールドは地下礼拝堂であり、教信者や生贄に捧げられた人々は入ってくることが出来ません。
地下礼拝堂内に戦闘の障害になるものは存在しませんが、同時に戦闘に利用できるものも存在しません。
既に館の内部を探索していた猟兵だけでなく、第二章より新たに参加される猟兵も含めて
地下礼拝堂に入ったところから戦闘が開始されることとなります(礼拝堂にたどり着くまでのプレイングは不要です)
戦場そのものを破壊しすぎるなどすると、後からやってくる奪還者が物資を手に入れることが難しくなる可能性は存在しています。
囁石灯・銀刃郎
私は無宗教なんだけど…
ああいや、無宗教も宗教っていうなら異教徒なのかしら。
なんて、益体のない事よねぇ。
等と考えながら【オーラ防御】広げたオーラの中で異端審問官の攻撃を感知。【第六感】で敵の動きを見切り、懐に入り込んで
【先制攻撃】『銀光一閃』胴をなぎ払い】切断。
【吹き飛ばし】念の為に倒れた敵の頭に散弾一発撃ち込んでおく。

狂信者の考えなんて理解できないだろうし、
仮に理解できたとしてだからなんだっていうね。うん。
【制圧射撃】向かってくる敵に向けて残りの散弾一発を叩き込んで隙を作り
【残像ダッシュ】近付いて抜刀。今度は二撃、腕を斬り落とし、
返す刀で頭から一刀両断にする




「私は、無宗教なんだけどね……」
 口をついて出た言葉に、けれどもなんの効果もないことなどはじめから知っていた。
(無宗教も宗教って言うなら確かに異教徒ってことになるのかしら……なんて、益体のない事ね)
 精神を研ぎ澄ませる。銀刃郎の知覚が、礼拝堂の全域に広がってゆく。
冷たい敵意と殺意に肌が散りつく中、銀刃郎は床を蹴る。
磨き抜かれた超合金製の爪が振り翳されるよりも、彼女がその懐に潜り込む方がずっと疾かった。
カタナを抜いたのは駆け出したときか、それとも懐に飛び込んだときだっただろうか?
抜き放たれた刃はまっ直ぐに胴を薙ぎ払い、そしてそのまま一刀のもとに両断する。
地下礼拝堂の天井を噴き出した熱い血の飛沫の赤が染めるよりも先に、倒れた男の後頭部に散弾が浴びせかけられた。
(狂信者の考えなんて理解できないだろうし、仮に理解できたとしてなんだっていうね)
 はじめに動いた彼女へと群がってくる鋼鉄の駆動音を立てる異端審問官たちの目前で二発目の散弾が爆ぜる。
それで足が鈍った者は既に彼女の良い的だった。
『がっ……ああああああぁぁ!!』
翻った刃は金属の爪をへし折り、男の腕を斬り落とす。噴き出す血の音よりも速く、痛みに絶叫した男がまだ喉から音を吐き出しきる前に、返す刀が脳天に叩き落される。
縦一文字に斬られた、改造された鋼鉄の躯体からあちこちでバチバチと火花が散る。
仲間の二人が脳漿と腸を撒き散らしながら絶命してなお、異端審問官たちは冷たい殺気を銀刃郎たちに向けている。
まだまだ、斬らねばならない相手は多そうだと、彼女は嘆息し、火花を散らす死体に背を向けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルナスル・アミューレンス
……今更な疑問かもしれないけどさぁ?
君らって、何を信じているのかなぁ?
こんな、神も仏も死んだような世界で。

いやまあ、神はいるにはいるんだけどさぁ。
例えば……お兄さんの中とか、ね。

お陰様で、ヒトなんだかカミなんだかバケモノなんだか……(けらけら)
ああ。君らには他所のカミサマ殺すようなものだし、丁度いいんじゃない?
尤も――


――遠慮なく「氾濫(オソウ)」僕を、殺し切れたらの話だけどね。


拘束制御、限定解除。
黒い不定形の、影の様な水の様な異形に体の一部を変え、広げ、襲い掛かるよ。
津波の様に嵐の様に、怪力で捉え、その中へと捕食していくよ。
その爪程度なら激痛耐性で気にしないし、斬ったそばから治るかなぁ。




 殺気を感じて半歩後ろに下がれば、銀色に光る爪がアルナスルの喉元を掠めていった。
再び振りかざされるその光に臆することもなく、彼はガスマスクの舌からくぐもった声で告げる。
「……今更な疑問かもしれないけどさぁ? 君らって――なにを、信じているのかなぁ?」
 こんな、神も仏も死んだような世界で、ねぇ?
『背教者めが』
『神は、御座(おわ)す。この世の有様こそが神の下した審判であり、神の与え給うた試練なり』
『神は御座す。それを否定する者、すなわち汝は異端なり』
 狂った呟きと殺意が口々にアルナスルに突き刺さる。しかし実体を伴わないそれが、彼を傷つけるはずもない。
「はは。いやまぁ、僕だっていないとはいっていないし、思ってもいないよ? 神はいるにはいるよ……例えば、お兄さんの中とかに、ね」
 ごぱり。
黒い影のような、不定形の水のカタマリ――そうとしか言い表せないものが、アルナスルを中心に溢れ出した。
それはアルナスルから溢れる、彼の体の一部「そのもの」だ。
彼の中に施されていた拘束制御、それは今解かれ、奔流となって異端審問官たちに襲いかかる。
「お陰様でヒトなんだかカミなんだかバケモノなんだか」
 ケラケラと笑いながら、武器を握ることも出来なくなったその手の先が渦を巻く。
「ま、君らにとっちゃ余所のカミサマ殺すのと同じようなもんだしね、丁度いいんじゃない?」
 尤も――
ガスマスクの下の瞳が、にんまりと細められる。
      オソウ  
「遠慮なく『氾濫する』僕を、殺しきることが出来たら、の話だけどね」
影であり水流のような異形は異端審問官を飲み込み、硬い爪ごとごぼりごぼりと飲み込んでいく。審問官たちが必死に振るう爪は水流を切り裂きはするが、それはナイフで水の流れを斬るに等しく、後から後から修復される。
これでもまだアルナスルにとっては、制御の一部を限定的に解除したに過ぎない。
地下礼拝堂を自らそのもので満たしながら、己の中で溺れ、濁流に飲まれる木の葉のごとく飲まれていく審問官たちが力尽きていくのを見て、アルナスルはマスクの下で、そのさまを嗤っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

月隠・三日月
邪教徒か……話の通じなさそうな相手だね。何にしてもオブリビオンは倒すしかないから、邪教徒扱いでも構わないのだけれどね。

恥ずかしながら、戦闘はあまり得意ではないのだけれど……まあ、できるだけのことはするよ。戦うこと自体は嫌いではないしね。
まずは相手を【挑発】してみようか。向こうから仕掛けてきてもらった方が、まだ動きを読みやすいからね
敵は教義を信じ込んでいるようだし、それを否定するといいかな「贄だの祭事だの、無意味だよねえ。そんなことで『命の時間』が伸びるわけないじゃないか」とかね。

敵を引き付けられたら、【紅椿一輪】で攻撃しよう。先は扉を斬ったけれど、やはりこの刃は敵の首に向けるのがしっくりくるよ




 超合金製の爪を妖刀の刃が受け止めて、そして弾く。
キィンと甲高い音がして、三日月に襲いかかってきた異端審問官は一度後ろへ飛んだ。
(邪教徒、邪教徒か……)
 まったく話の通じなさそうな相手だと、三日月は妖刀を一度握り直した。
(何にしても、オブリビオンは倒すしか他にないのだから、話が通じなかろうと邪教と扱いだろうと構わないのだけれど、ね)
 さて、どうしたものか。
三日月は自分を「戦闘はあまり得意ではない」と思っている。
戦場において、戦いが得意でないものがどう立ち回ればいいか、これまでの経験の中からその答えは幾通りか知っている。
つまりは頭を使って逃げ延びながら生き残るか、或いは――。
三日月は審問官を見て、そうして、『彼らを心底馬鹿にしたような顔をした』。
「まったく、贄だの、祭事だの。なんて無意味なんだろうねぇ。……そんな事で『命の時間』なんて、伸びるわけがないじゃないか。ねぇ?」
 爪の一振りが飛んできたのはすぐさまであった。ろくに狙いが定まってもいない大振りな一撃。躱すのは容易く、がら空きの背中が晒される。それを見逃す三日月ではない。
審問官の腹から銀色の刃が生える。一呼吸も置かぬうちに、かれは身を真っ二つにされて礼拝堂の床に血と臓物とをぶちまけながら倒れこむ。
その体に埋め込まれていた機械が壊れ、電流を放ちながら血塗れの床を跳ねた。
――忍びには、五車の術というものがある。
喜、怒、哀、楽、恐、五つの感情に相手を飲み込ませ、人を操る術のことだ。
三日月が使ったのは怒車の術――人を怒らせて心の平衡を失わせて意のままに操る術。
「さぁ、まだまだ。この妖刀の錆になりたい奴はどいつかな、君らの言う神の身許とやらに送ってやろうじゃないか」
 適当な挑発の文句であろうとも、忍の術を身に着けた三日月が使えば、その効果は格別だ。平静を欠いた審問官が怒りに任せて彼へと突進し、次々と紅染の妖刀の餌食となっていく。
審問官の屍を積み上げながら、三日月は微笑んで見せる、横柄に、生意気に、そうすればするほど彼の用いる術は効果を増すのだ。
(さあ――落ちろ)
 この術に落ちろ、そしてその首を落とせ。
やはりこの妖刀の刃は扉よりも、首を落とすほうがしっくり来ると、返り血を浴びながら三日月は思うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

姫神・咲夜(サポート)
 桜の精の死霊術士×悪魔召喚士、女性です。
 普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 片思いの人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

清楚で女流階級風の口調で、お淑やかな性格です。
基本的に平和的な解決を望みますが
戦わざるを得ない時は果敢に戦いに向かう勇敢さを持っています。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




『おのれ、背教者どもが……!!』
 仲間たちが次々と尽き果てていく様に、審問官が呪いの言葉を吐いた。
『許せぬ、赦せぬ、祭事を邪魔してきただけでなく、執行者たる我らに対して刃を向けるその所業、断じて見過ごせるものに非ず!』
『最早貴様らに一切の慈悲はなし、贄の死に様を羨みながら惨たらしく絶えるが良い!』
 審問官たちの目が赤く光る――無機質な機械の瞳に灯る、禍々しく狂った憎悪の赤。
床にぶちまけられた血の海にさざ波が立つ。微塵に刻まれた審問官の肉片がそれぞれにぶるぶると震え、どぶり、ごぼりと音を立てる。
そこから起き上がるのは、厳重な拘束衣で縛り付けられた大小様々な影。
ある者は両目が抉り出され、ある者は頭の至るところに釘が打ち付けられ、ある者は別のある者と杭で結合されている。
様々な姿かたちをした彼らに共通しているのは、目を背けたくなるような傷跡が執拗な拷問の跡であることと、そして手に手に禍々しい凶器が縫い付けられていること、そして、彼らの殺気が確かに猟兵へと向けられているということだ。
『異教徒どもよ、殺し合うがいい。一切等しく絶滅せよ!!』
『オオオオオ、オオオ……!!』
 苦悶に満ちた咆哮を上げる、呼び出された“異教徒”らの姿に、姫神・咲夜(静桜・f24808)が眉を顰めた。
「……なんて、惨い……」
 彼女の枝からはらりと散った桜の花びらが、床の血溜まりに落ちて紅に染まる。
咲夜は手にしたダイモンデバイスを掲げた。起動――空中に白い光で魔法陣が描かれる。
地下礼拝堂の空気が、空間が歪み、そしてまた元に戻った時、そこに降り立っていたのは獄炎の大悪魔、アスモデウスだ。
『我を呼んだか、契約者よ』
「ええ、どうか、どうか。死後も弄ばれる哀れな彼らに、永遠の眠りを」
『……承知した、灰も残さず焼き尽くしてくれようぞ』
 アスモデウスが飛翔する。悪魔が両の手に宿した紫色の炎が床の血溜まりを蒸発させ、異教徒たちを飲み込んでいく。
『グゥゥオ、オオオオオ!!』
 巨体の異教徒が燃え上がり身を捩りながらも斧剣をアスモデウスの体にぶつける。
悪魔は哄笑し、燃える床から咲夜を掬うように抱き上げた。
『温い。その程度の破壊が我に通じると思うな――破壊とは、こういうものだ』
 小爆発を繰り返す炎の弾が連なり、礼拝堂を炎の海に沈める。
異教徒が、そして異端審問官もが獄炎の中で藻掻き、悪魔の宣言通り灰となってゆく。
その地獄の如き光景から、咲夜は決して目を逸らしはしなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

サジー・パルザン(サポート)
『いつか、命果てるまで。』
 人間のバーバリアン×ブレイズキャリバー、27歳の男です。
 普段の口調は「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」、戦闘中は「粗暴(俺、てめぇ、だ、だぜ、だな、だよな?)」です。

勇猛なヴァイキングであり、死を恐れず自身の信念の為に戦います。
敵が攻撃するタイミングで相打ちを狙うことすらある程で、防御より攻撃を。やられるならやり返すといった直情的な人物です。煽りに弱く、自身の筋肉と武器を信じて正面から戦うことを好みます。

敵の数が多ければユーベルコードのヴァイキングの行進を。
強敵であれば巡り合わせに感謝しつつヴァルハラ・アウェイツを行います。




 ダン、ダン、ダン、ダン!!
 地下礼拝堂に重い足音が響く。それは、サジー・パルザン(ヴァイキングの生き様・f12550)の呼び出したヴァイキング達のものだった。
手に手に大斧を、剣を、戦盾を掲げたヴァイキング達の前で、サジーは叫ぶ。
「さあ、手前たち用意は良いか!!……俺達の戦い方を、この性根の腐った野郎どもに覚えてもらう時だ!全員、出ろ!!」
「「「オオオオオオオ……!!」」」
 吠えるヴァイキングたち。サジーの手の中にも、また片刃斧が握られている。それは大きく重く、彼の怪力をしてようやく片手で振り回すことが出来る代物だ。
すぅと息を吸い込み、サジーはひときわ大きな声で高らかに吠えた。
「今こそ!!!蹂躙の、時だァッ!!!」
「「「ウオオオオオオ!!!」」」
 ヴァイキングたちが残った異端審問官たちに突進していく。大きく重く勢いのある集団が武器を振り回し、審問官たちを轢き潰しながら突き進む。
床に、壁に、天井に、再び異端審問官達の血がしぶき、肉片が弾ぜた。
『お……のれ、我らが崇高なる教義も理解できぬ低俗な野蛮人共が……!!』
 審問官達の腕の擬態モードが解かれ、内蔵された火炎放射器の火口が露わになる。放たれる劫火を前にして、サジーは構えもせず、むしろ炎の前へと身を晒す!
「教義だかなんだか知らねぇが、てめぇらに感謝は要らねえ!!俺たちが直々に食らい尽くしてやろうじゃねぇか!」
 勇猛なるヴァイキングは、この程度の炎で怖気づくものか!!
デーンアックスが一人の審問官の首を刎ねた。鮮紅の血飛沫が天井にまで跳ね上がる。
床の上でのたうち回るが腕――火炎放射器ごと踏み潰し、サジーはさらに浴びせかけられる炎へ進んでいく。その顔に死への恐れなど一片もない。
既に彼の信念は、死という原初の恐怖を凌駕しているが故に。
火炎を浴びせ続けてくる審問官たちの首と胴とを泣き別れにし、腹から真っ二つに断ち切り、そして最後に残った審問官の肩に、サジーの斧が食い込んだ。
「おぉォォらァァァッッ!!」
 上から下まで縦に引き裂かれた異端審問官の体が床に崩れ落ち、そして血の海に飲まれて消えてゆく――骸の海へと、還ってゆく。
 ヴァイキングたちは戦いを終えて消え、地下礼拝堂に残っているのは頭から足の先まで紅に身を染めたサジーのみとなった。
 猟兵たちは、この戦いに勝利したのである。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『暁に弔う』

POW   :    墓穴を掘り墓標を立てる

SPD   :    周辺の手入れをする

WIZ   :    祈りをささげる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「なかなかに激しくやったようだなぁ」
 新しく地下礼拝堂の扉を開けて現れたのは、武装した奪還者たちの一団だった。
はじめのうち物資を先に確保されるのではと猟兵たちのことを警戒していた奪還者たちだったが、猟兵たちに物資の取り分を主張するつもりがないのだと知ると、純粋な感謝の意を示した。
奪還者たちは礼拝堂の先の鉄扉奥に収集されていた食料と物資を自分たちが乗ってきたジープへと手際よく積み込んでいく。
そんな中、一人の奪還者が猟兵たちに声をかけた。
「あんたたちにこれ以上の頼み事をするのも何だが、手を貸しちゃあくれないか」
 ――仲間の、そしてこの館で生贄として殺された人々を、埋めるのを手伝ってほしい。
ジープには一人分の席が余っていた。同じ奪還者としてやってきた仲間が一人、前の仕事で負った怪我が元で命の灯を絶やしてしまったのだと言う。
 この近くに、彼らの拠点を見守ることが出来る良い場所がある。そこはとても朝日が綺麗にみえるのだと、奪還者の男は言った。
「ここに来るまでに俺たちも見てきたよ、例のおかしな宗教の狂信者と、そいつらの生贄になった人々を。生かして助けることの出来たやつもいるが、殺されてしまったやつもいる。あの迷宮屋敷からじゃあ全部ってわけにもいかないだろうが、せめて探し出せた分だけでも弔ってやりたいのさ。……俺達が、あのトチ狂った奴らとは違うと言う証明がしたいだけかもしれないがな」
 男はそう言って、ふぅと息を吐き出した。
========================================
・異端審問官の排除に成功し、奪還者たちが無事館にたどり着くことが出来ました。
奪還者たちは、猟兵たちに埋葬の手伝いをしてほしいと願い出ています。
館の中には狂信者たちによって殺害されてしまった生贄の遺体がまだ残っています。
猟兵の中には第一章の探索中に遺体を発見してしまった方もいるでしょう。
また、既にこの場には息絶えてしまった一人の奪還者の遺体が存在します。
遺体を収める穴を掘る、花を摘んできて供える、見つけた遺品をともに埋めるなど、彼らの遺体を丘へと埋葬する手伝いをしてはいただけないでしょうか。
なお、第三章で狂信者に出会う事はありません。
また、第一章で遺体を発見していない(生きた生贄を逃がすことが出きた)場合でも、館のどこかには生贄とされてしまった者の遺体を第三章で新たに見つけることが可能です。
 それでは、奇跡の館での最後のタスクをよろしくお願いいたします。
========================================
アルナスル・アミューレンス
これも生き残ったモノの役目だよねぇ。
ちゃんと休んでもらわないとねぇ。

さぁて、奪還者――運び屋のお仕事と行きましょうか。
探索中に見つけたあの子達の様子からすると、大分眠ってそうだねぇ……。
さぁ、怪力を生かして、亡骸を運搬しましょうか。
数もありそうだし、ジープでピストンしてくれると良いんだけどなぁ。
あー、もし生存者もいたなら、そちらも救助活動を行いましょうかねぇ。

狂った宗教も増えたけど、昔ながらのもちゃんとしていきたいねぇ。
適当な柱を適当に切って十字に組み合わせて、丘に突き立てて……と。

――Amen.



あー……
運ぶのは本業だけど、こういうのを運ぶことが、無いようにしたいねぇ。
ちゃんと、生きないとね。




「さぁて、奪還者――運び屋の、お仕事と行きましょうか」
 アルナスルはこの迷宮屋敷の内で狂信者に殺された生贄を目にしていた。
自らの血で描かれた奇怪な魔法陣に横たわる既に命なき彼らの様子、そして狂信者の様子を思い出せば、それよりもずっと多くの遺体が犠牲者が此処に眠っている事も想像がつく。
(……これも、生き残ったモノの役目だよねぇ。ちゃんと、休んでもらわないと。ねぇ)
 運搬にジープの力を借りられないかと頼んでみれば、彼らも仲間を埋葬する目的があるからか、色良い返事が返ってきた。
自らの辿ってきた道を戻り、その中で見つけた遺体を回収していく。尋常ならざる怪力は、既に亡き人の遺体を運ぶことにもじゅうぶんに役立った。
審問官たちを倒した影響か、狂信者達はここから去った。奪還者たちがここから物資を持ち去り終えれば、この館はそのまま危険な罠だけが残る迷宮屋敷になるだろう。
――恐らくはもう、生者は誰も近寄らない場所となるに違いない。ここは妄執が作り出した館。人が生きていられる場所では、元よりなかったのだ。
 迷宮に新たな道を拓いていく中で、アルナスルは一つの奇跡を見つけた。
「……おや」
 洋服箪笥の中に、まだ息をしている少年がいた。逃げ出せないように支柱と身体を縄で繋がれていたところを見ると、生贄として命を奪われる直前だったのだろう。支柱を破壊し、縄を切り、気絶したままの子供を背負って、アルナスルは埋葬の丘へと戻る。
奪還者たちは少年を自らの拠点で引き取ると申し出てくれた。この過酷な世界でも健やかに育つことが出来たならば、彼もまた未来の奪還者の一人として生きるのかもしれない。

 何度目かの往復を終え、回収した亡骸を僅かな遺品とともに墓穴へ納めていく。
(狂った宗教も増えたけどさぁ……昔ながらのも、ちゃんとしていきたいねぇ)
 適当な柱を適当に切って組み合わせただけの簡素な墓標。それでも、館の中で朽ちていくことに比べればどんなに人の心の通った優しいものだろうか。
「――Amen.」
 静かな祈りは荒野の風に煽られることもなく、その場に満ちる。
しばしの沈黙の後、アルナスルは黙って丘を降りた。
「あー……」
 ジープに物資を積み直していく奪還者たちを遠くに見る。猟兵でないアルナスルもまた、彼らと同じこの世界の奪還者だ。
(運ぶのは、僕たちの本業だけど。こういうのを運ぶことが、無いようにしたいねぇ)
「……ちゃんと、生きないとね」
 ガスマスクの下で、彼は小さく、そう呟いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

月隠・三日月
奪還者の方々が物資を回収できて何よりだよ。この世界の人々が生きるための一助になれたのなら幸いだ
さて、最後にもう一仕事、だね

私は遺体を収める穴を掘ることで、埋葬のお手伝いをしよう。種族柄力はあるからね(【怪力】)、力仕事は受け持とう
あいにくとこの世界での死者の弔い方は存じ上げないから、墓標の立て方などは奪還者の方々にお任せするよ

『あのトチ狂った奴らとは違うと言う証明』か。あの狂った宗教を信じてしまう人がいるくらいに、過酷な世界だものね。正気を失わないためには、死者を悼む心を忘れないようにする必要があるのかもしれない
死者の弔うのは生者のためか……なんて、余所者の私が考えるのも烏滸がましいことだね




(さて、最後にもう一仕事、だね)
 三日月は奪還者からシャベルを借り受けると、地面にさくりと突き立てた。
ざくり、ざくり。ざくり。土を掘り、遺体を納めるための墓穴を掘る。
羅刹である三日月の秀でた膂力はその作業を進めるのに一役買った。
 ――奪還者の人々が物資を回収できて、何よりだ。
 ――この世界の人々が、生きるための一助になれたのなら、幸いだ。
三日月は館の中で死者を見てはいない。それが幸いなのかどうかはわからないが、異端審問官以外の狂信者にも生贄にも出会うことはなかった。彼らが言う「祭事」がどのようなものだったのか、だから三日月は正しくは知らない。
おそらくもう一度館に赴けば、それを自分の目で見つけることも可能かもしれない。
けれど。三日月はそれを選ばなかった。ただただ穴を掘ることに集中した。
奪還者たちによって、彼らが発見した生贄の亡骸が運ばれてくる。三日月の掘った穴の中に、奪還者の亡骸が納められていく。
ざくり――十分な大きさの穴が、もう一つ出来上がる。
「どうやら兄妹みたいでな。こいつを見た時、放しちまうのも酷だと思っちまったんだ」
 奪還者達の言葉に従って、兄妹の亡骸は共に埋められた。
三日月はこの世界の死者の弔い方を知らない。ざくり、シャベルが土に突き刺さる。
木の柱を折って、十字になるように結ばれた簡素な墓標。奪還者の男が、仲間が眠っているその場所に刺さった墓標に小瓶の中の液体を掛ける。アルコールの匂いが三日月の鼻にも漂ってきた。
きっとそこに眠る彼は、酒が好きだったのだろう。このモノの少ない世界で、仲間たちと僅かな嗜好品を分け合っていたのだろう。
最初に手助けを求めてきた奪還者の男が言った言葉を思い出す。
(『あのトチ狂った奴らとは違うと言う証明』――か。あの狂った宗教を信じてしまう人がいるくらいに、過酷な世界だものね)
 正気を失わないためには、死者を悼む心を忘れないようにする必要があるのかもしれない。
(死者を弔うのは生者のためか……なんて、余所者の私が考えるのも烏滸がましいことかな)
 ざくり、ざくり、ざくり……ただシャベルが土を掻く音だけを繰り返して。
三日月は何も言わずに土を掘り続けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

佐倉・理仁(サポート)
死霊使い、手ェ貸しに来たぜ……ところでココはドコだ?

んで俺自身、トクベツ出来る事っつったら死霊召喚【呪詛】くらいだ。亡霊や死の記憶、気配の感知や情報収集。
戦闘でもUCとして呼び出す死者達に頼る。火力がある方じゃねぇが、奴らは過去のモノ、滅びざる者共。ロクでもねぇ術だが戦いの役には立つ。【第六感】
機械部位もこの『機械喉』【高速詠唱】だけだし、飛んで跳ねて切った張ってなんてのも他に任せて後ろからサポートするよ。
手数を増やす役くらいにゃなるべ。

ま、なんの偶然かわからんが、事件に紛れ込んだからには出来る限りの事はしていくぜ。




「よぉ、……手ェ貸しに来たぜ」
 佐倉・理仁(死霊使い・f14517)は館の一室に横たわる男の亡骸へそう告げた。
迷宮屋敷の中に取り残された生贄の骸たち。そこには彼らの無念が共に残されていて――その場所を理仁が呼び出す死者の念が教えてくれる。
「こんな息の詰まる場所からはよ、もう出たいだろ。だから、迎えに来たぜ」
 亡骸の周りには何もなかった。男がどこの誰なのかを示すものも、何も。
土を掘って出来た穴の中に男を横たえる。せめてと男に最期に与えられたのは、白い野の花だった。その花の名は、理仁にはわからなかったが。
土を掛けられて男の姿が消えていく。それでも彼が此処に眠っていると言う証に、木を折って作った墓標が立っている。
 館から幾人もの亡骸が運ばれてくる。理仁も何度もそれに手を貸した。
男、女、老人、幼子、兄弟、姉妹、親子……見つけられる限りの生贄が集められ、そして土の中に埋まっていく。それは、あの人が住めるような場所でない館の中に打ち捨てられているのに比べれば、ずっと安らかな眠りだろう。
猟兵たちは彼らを救う事は出来なかった。生きたまま保護することは出来なかった。
もともと、どんなにベストを尽くしても生贄たちを全員救う事は最初から無理だった。
グリモア猟兵が予知を行った時点で、既に多くの生贄が狂信者達によって命を奪われていた、奪われ続けてきていた。この屋敷は、そんな場所だったのだから。
猟兵たちは「オブリビオンが奪還者たちを襲撃する前に撃破する」その役目を全うし。
教信者がこの館に近づく理由もなくなった。オブリビオンが居なくなった以上、この屋敷はもう生きている誰にとっても害になる場所だ。やがて朽ちていく本当の廃墟になるのだ。
だからこれが、その屋敷に取り残さないという、犠牲者たちへの最大限の救いなのだ。
奪還者たちにだってそれはわかっているし、何よりこれは「ついでの依頼」だった。彼らの仲間を弔うついでの。
それでも――苦いものも、遣る瀬無いものも、感じるだろう。
だけどここはそんな世界なのだと、立ち並ぶ墓標は理仁に、そして猟兵たちに語りかけているようだった。

 全ての埋葬が終わった。その頃には、夜明けになっていた。真っ赤な陽が上る。
ここに辿り着いた時点ですでに事切れていた奪還者の仲間の男は、どうか自分をこの場所に葬ってほしいと請うたのだという。
今この場所に立って、理仁には初めてその願いの理由を本当に理解できる気がした。

 ――ここから見える朝焼けは、ひどく、ひどく……美しかったのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年03月19日


挿絵イラスト