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迷宮からいでしモノ

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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 かつては栄えた古代帝国の迷宮、その奥にソレは生まれた。
「ヒ、ヒヒヒ、ヒ……!」
 呪いの金の骨、それを被ったのはとある盗掘屋であった。財宝を求め、ここまでようやくたどり着いた――そのはずだった。しかし、そこに待っていたのは金銀財宝ではない、生命を懸けて与えられたのは、呪いによる変質である。

 呪飾獣カツィカ。呪いによって堕ちた、呪獣である。

「オウゴン、カネヲ……ザイホウ、ヲ……!」
 ここに、盗掘屋の求めているモノはなかった。ならば、外に求めるしかない。ゴゴゴゴ……と、地響きを立てて現れたのは、巨木のオブリビオン荒ぶる山神だ。

「ヒヒ、ヒヒヒヒ……オウゴンヲ、トミヲ、ワガテニ……! ヒハハハハハハハハハ!」

 何体もの荒ぶる山神が、歩き出す。呪飾獣カツィカは、それを狂った笑い声で、見送った。


「ミイラ取りがミイラに、という言葉があるらしいが、まさにそれじゃな」
 ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は、ため息混じりにそうこぼす。
「古代帝国の迷宮に入った質の悪い盗掘屋が、呪いの金の骨によって呪飾獣カツィカになってしまったようでな。金銀財宝を求めて、外を襲おうとしておるんじゃ」
 財宝を求めて迷宮に来たのに、本末転倒じゃな、とガングランは首を振った。
「迷宮の近くには、村がある。被害を出さぬよう、迷宮内で決着を着ける必要がある。まずは、迷宮攻略じゃな」
 迷宮を抜け、外に出ようとする荒ぶる山神達を撃破。そのまま、呪飾獣カツィカを倒すという流れだ。
「迷惑極まりないからの。キッチリと仕留めるとしよう。期待しておるぞ」


波多野志郎
ミイラ取りがミイラに、よくあるネタです。どうも、波多野志郎にございます。
今回は古代帝国の迷宮内でオブビリオン達と戦っていただきます。

まず、迷宮を突破。その後、集団戦からボス戦の流れになります。存分に、迷宮攻略と戦闘をお楽しみください。


それでは、皆様のプレイングを心よりお待ちいたしていおります。
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第1章 冒険 『古代帝国の迷宮』

POW   :    手当たり次第に力づくで攻略する。どんな障害だろうと、力任せに攻略してしまえば問題ない。

SPD   :    罠やモンスターに警戒して進む。危険を早期発見、罠を解除したりモンスターを速やかに排除せよ。

WIZ   :    迷宮を注意深く観察して進む。人の手による罠なら、予測できるはずだ。知識はどんな場面も有効活用できる。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ナナシ・ナナイ
SPD/わいも金銀財宝は欲しいけど呪いは嫌やなあ…人間真面目に働くのが一番やな。今回は慎重に慎重を期して全速力の匍匐前進で行くで!これならモンスターにも見つからず罠も見つけやすくて一石二鳥や!ガンガン進むで!


エルデラント・ズィーマ
むむ、古代迷宮ですか。なんだか未知の領域ってロマンがあってちょっとワクワクします
さてそれは置いておきまして注意するべきは罠でしょうか。早期発見、解除をメインとしましょう。暗視もありますし暗いところもバッチリです……多分。
もし他の猟兵の方がいらっしゃれば協力するのもありです。一人より二人、二人より四人、四人よりたーくさんの精神です


桜・吹雪
お金の魔力、いえ呪いというものでございましょうか
ご自身で集めた物でしたらお止め致しませんが、誰かから奪うと言うことであればお止めさせて頂きます

SPD白蛇を召喚して、迷宮に挑みますわ
白蛇と共に【忍び足】で迷宮を進みましょう
蛇のピット器官で熱(敵)や罠を事前に察知できないか試みますわ
自身も探索者としての知識がいかせれば罠がありそうな場所の予測を
事前に察知ができれば、鋼糸等で罠の解除や、敵であれば【暗殺】を試みましょう
他の猟兵の皆様の為、罠は極力作動か解除を行います
迷宮の道筋は【学習力】で周囲環境の確認、マッピングを行いますわ
扉があれば義眼で確認し、【鍵開け】を試みますわ

皆様ご無事だと宜しいのですが


ネラ・イッルジオーネ
WIZ
よく注意して進みますが、迷宮内が暗い場合は杖の宝石を光らせて明るくします。

「第六感」を頼りにある程度の罠が予測ついた時に、サイコキネシスで石や木の枝を動かして罠を発動させたり、罠本体にサイコキネシスで動かして不発にさせたりします。

罠が不発で終わらなくて、私自身に対して発動した罠の場合は【オーラ防御】などで衝撃軽減や矢などの飛び道具は捻じ曲げて防ぎます。

昔の人はこの様な罠を作るのですね。と興味深く今後の為の知識として、チェ・モンド・ディル・クアンド(過去に纏めた敵の情報や世界情勢を知る為の小型機器)に入力して覚えておきます。



●古代帝国の迷宮へ
 かつて、アックス&ウィザーズの世界で隆盛を誇っていた古代帝国。その迷宮は、各地に残されている。この迷宮も、その中の一つだった。
「むむ、古代迷宮ですか。なんだか未知の領域ってロマンがあってちょっとワクワクしますね」
 エルデラント・ズィーマ(ロストメモリーズ・f02581)は、サイバーアイで周囲を見回した。古ぼけた石壁、高い薄汚れた天井、傷の多い石畳と歳月を感じさせる迷宮だ。しかし、この迷宮は『生きて』いる――侵入者を拒む機能が残っている事は、見て取れた。
「わいも金銀財宝は欲しいけど呪いは嫌やなあ……人間真面目に働くのが一番やな」
 しみじみと、ナナシ・ナナイ(ナニワのマンハンター・f00913)が呟く。ナナシの言葉に、桜・吹雪(主を求めて三千世界・f09844)も同意した。
「お金の魔力、いえ呪いというものでございましょうか、ご自身で集めた物でしたらお止め致しませんが、誰かから奪うと言うことであればお止めしませんと」
 この迷宮の向こうから、こちらのオブビリオンの群れが向かっているのだ。この迷宮から少し離れた場所には、小さな村がある。この遺跡を探索する冒険者達が拠点とする村だ。
 ただ、猟兵ではない冒険者にオブビリオンに対抗する術はない。だからこそ、この迷宮からオブビリオン達を出す訳にはいかなかった。
「では、参りましょう」
 ネラ・イッルジオーネ(サンツィオーネ・ディ・アニマ・f06949)が、ラプソディ・デッラ・ルーナを掲げる。杖の先に付いた宝石を光らせて、迷宮を照らした。
「一人より二人、二人より四人の精神ですね」
 エルデラントは、そう告げると頼りになる仲間と共に迷宮の中へと踏み入った。

●慎重に、確実に
「七重に巻かれて一廻り。巻かれ絡み融け合い、一つになりましょう」
 吹雪の梵鐘喰らう五尋の白蛇(ツカマエテ・ハナサナイ)に応え、巨大な白蛇が召喚される。這って先行する白蛇の横を、ナナシも匍匐前進で進んでいった。
「しかし、あれやな。冒険者が潜る遺跡なんやなぁ」
「どういう事ですか?」
 ナナシの呟きに、エルデラントが問いかける。ナナシは匍匐前進を続けたまま、その疑問に答えた。
「簡単な話や。解除されたトラップがあるんや」
 例えば、壁。壁と壁の隙間に、古ぼけた布が押し込められていた跡があった。これは、ガスの類のトラップを外に漏らさないように対処した跡だ。
「残っている物もあるようですが――」
「そちらは私が」
 エルデラントが少し浮いた石畳を義眼で見つけると、ネラが買って出る。サイコキネシスでその石畳を押した瞬間、ガゴン! と天井の一部が落下した。
 もしもそこを無警戒で踏んでいたら、天井によって圧殺されていただろう。すぐにカラカラカラ……、と天井は鎖仕掛けによって元の位置に戻っていった。
「エグいもんやな……」
「ちょっとお待ちいただけます?」
 不意に、吹雪が小声で仲間を制する。白蛇が、道の奥からこちらへやって来るモンスター――ゴブリンを察知したからだ。おそらく、トラップが作動した音を聞いて、確認に来たのだろう。
「先手必勝、です」
 すかさず、ノヴァブラスターを抜いたエルデラントが抜き打ちで熱光線を撃ち放った。「ギギ!?」
 先頭のゴブリンが胸を撃ち抜かれ、グラリと倒れる。後ろのゴブリンが、状況を把握するより早く、吹雪が指先で紫綬羽衣を操り、ゴブリン達の足を絡め取った。
 ゴブリン達が、逡巡する。前に出るべきか、後ろに逃げるべきか――その迷いが、致命的なロスとなった。
「有効利用しますわよ」
「それはええな」
 ナナシのアサルトウェポンの攻撃が、ゴブリン達の太ももを撃ち抜く。踏ん張りが効かなくなったゴブリン達を、吹雪が紫綬羽衣で手繰り寄せた。
「ギギ、ギ!」
 この迷宮に住み着いていたゴブリン達は、顔色を変える。何故なら、猟兵達の意図に気付いてしまったからだ。
「では――」
 ネラのサイコキネシスがカチリ、と石畳を押した瞬間、落ちてきた天井がゴブリン達を押し潰した。
「先を急ぎましょう」
 ネラは、顔色一つ変えず提案する。手早くゴブリンを処理し、猟兵達は迷宮を進んでいった……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

メンカル・プルモーサ
……ん、迷宮探索……と、黄金が狙いのオブリビオン……
迷宮に居るうちにどうにかしないと……

まずはマッピング…かな。
その後は……素直に罠を見つけて解除しつつ、奥を目指す…
セキュリティの類には注意して……罠のや守護者配置の「癖」は早めに見切りたい…隠し扉とかも、注意しないと…ね。
途中の鍵とか封印とかは…任せて
(ハッキング・世界知識・情報収集・鍵開け・封印を解く)

以前に入った迷宮とは…違いがどうなんだろう……
そこの辺りも…記録取ろう。時代が違うなら様式も違いそうだし……
古代帝国を知る手がかりになるかも…


ンァルマ・カーンジャール
迷宮の探索ですかー、何だかワクワクしますねー
村に被害が出ないように迷宮内でしっかり片を付けていきましょう

念の為光源や携帯食料など備えはしっかりして臨みますよ
電脳魔術や電脳端末、現地住民の話などで遺跡や考えられる罠の情報も集めておきましょう
現地に到着したら状況開始です!

ソナーの要領で、土の精霊術で微震を発生させ返ってきた振動を電脳魔術で分析します
明確に探知が出来たら後続の仲間を考えて土の精霊術を使用し解除を試みます
難しそうならペイントボールなどで印だけでも付けておきたいですね

簡単に出来て面白そうな罠なら今度お店に来るお客様に試してみようかな?
それにしても、土の中は落ち付きます♪

お宝も無いかな~?


ヒビキ・イーンヴァル
金に目が眩んで、ってやつか
どの世界でもそういう欲ってのは怖いもんだわな

さて、迷宮だな
迷宮見学でもするつもりで行ってみようか
見学というより、観察だがな
注意しながら進もう
罠にかかったりしないよう、慎重に歩みを進めていく
『第六感』で少しでも気になる箇所があれば罠を疑い、調査だ
回避できそうならそのまま避ける
解除できそうなら解除を
破壊できそうなら、ウィザード・ミサイルでぶっ壊しながら進もうか
うっかり罠にかかったら、慌てず『見切り』で避けたいところ

敵には遭いたくないが、遭っちまったら応戦だな


鬼灯・こころ
迷宮、か。話には聞いてたけどなかなかこういう雰囲気は悪くないんじゃない?
故郷の吸血鬼どもの居城よりはずっと趣味がいい。
観光気分ってわけじゃないし、警戒を怠らずに進むけど、さ。

灯りは持たずに【暗視】頼りで進む。
モンスターは灯りなんてなくてもこっちが見えてるだろうし、なら灯りなんて持ったら余計に目立つだろうしな。
迷宮内は≪侍るもの≫を先行させて先の観察と情報収集を怠らずに先へ進む。もし同じルートを行く猟兵がいるなら情報は逐一、共有しとく。

戦闘になるようなら前に立って【オーラ防御】でダメージ削減して【吸血】【生命力吸収】で体力を回復しながら応戦する。使えそうなら≪収奪する者≫も積極使用していこう。


ネラ・イッルジオーネ
奥が長い迷宮なのでしょうか。

よく周囲を気をつけながら探索しますが、大きな岩が転がってくるや、刃物が複数飛んでくるなど、危なそうな罠があった時はユーベルコード「ラ・リヴォルツィオーネ・デェラ・グローリア」で、岩を壊したり飛んで来たものを撃ち落とす事にします。

後は『第六感』で隠し通路かまだ通ってない道が見つかると良さそうですが、基本は通路や地図情報は端末機に記憶させます。もしもの時の同じ道を通っていないかの確認ですね。



●古代帝国の痕跡を
「迷宮、か。話には聞いてたけどなかなかこういう雰囲気は悪くないんじゃない? 故郷の吸血鬼どもの居城よりはずっと趣味がいい」
 鬼灯・こころ(鬼灯・f01226)は、迷宮を見回して呟いた。そこにあるのは、確かな歳月の積み重ねだ。ンァルマ・カーンジャール(大地と共に・f07553)も興味深げに、文様の刻まれた壁を見た。
「迷宮の探索ですかー、何だかワクワクしますねー。村に被害が出ないように迷宮内でしっかり片を付けていきましょう」
「……ん、迷宮探索……と、黄金が狙いのオブリビオン……。迷宮に居るうちにどうにかしないと……」
 こくん、とうなずいたのはメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)だ。メンカルは、アルゴスの眼に迷宮のマップを表示する。
「奥が長い迷宮なのでしょうか」
「少なくても、広さはそこそこありそうだ」
 ネラ・イッルジオーネ(サンツィオーネ・ディ・アニマ・f06949)の言葉に、ヒビキ・イーンヴァル(蒼焔の紡ぎ手・f02482)は答える。ヒビキは、気負わずに言った。
「さ、迷宮見学を行こうか」

●迷宮流の歓迎
 罠にかかったりしないよう、慎重に歩みを進めていく――ヒビキはそのつもりだった。いや、むしろその心がけがあったからこそ『マシ』だったのだろう。
「あの辺り、怪しいな」
「……癖を考えると、ありそう……」
 ヒビキの指摘に、メンカルも同意する。罠や守護者配置の「癖」を手早く見切りたい、そう思ったからこそ注意を払ってきた。だからこそ、メンカルは一つの結論にたどり着いていた。
「……この迷宮を造った人……意地が、悪い……」
「ああ、それはわかりますねー」
 ンァルマもうなずきながら、思い出す。例えば、先程一つの像があった。唐突に置かれた、明らかに怪しい像だ。もちろん、その像を警戒する――そうしたら、その像を避けて通る場所にトラップが仕掛けられていたのだ。
「観光気分ってわけじゃなかったが……」
 こころの口調に呆れが交じるのは、その頻度だ。意識をそらした先に罠があるかもしれない、そう思えば神経を使う。その上でそこに罠が仕掛けられていなければ、安堵よりも疲労を感じるようになるのだ。拍子抜けと言うべきか、神経が緩みそうになるのを引き締めても引き締めなくても罠を仕掛けた側には利点になるのである。
 なるほど、意地が悪いというのは正しい表現だとネラは思った。

「――待て」

 ふと、こころが仲間を止める。こころは赤い瞳を凝らし、通路の奥を見つめる。
「ゴブリンか」
「数は?」
「三体だね」
 ヒビキの問いかけに、こころは短く答える。向こうはこちらに気付いていない、それだけの距離があっても気付いたのは、こころの暗視があればこそだ。
「おいで、眷属。狩りのはじまりだ」
 こころの体から漏れた不可視の霧が、蝙蝠へと変化する。不可視の蝙蝠は天井高くへと飛び、ゴブリンの動きを観察した。

「まだ――まだ――まだ――」

 ゴブリンが、こちらへ歩いてくる。まだ確実な射程範囲ではない、動きを見切りながらこころは呟き、ある一線を越えた時に告げた。

「――今だよ」

 こころが告げた瞬間、ネラがラプソディ・デッラ・ルーナをゴブリンへと向け、唱えた。
「天翔ける奇蹟。集いて満ちるは栄光の槍。邪悪な魂に渾沌の審判を。ラ・リヴォルツィオーネ・デェラ・グローリア」
 ヒュガガガガガガ! と光、闇、炎、氷、風、地、念、時、無――さまざまな属性の力を宿した槍が、ゴブリンへと降り注いだ。
「ギギ!?」
 ネラのラ・リヴォルツィオーネ・デェラ・グローリアによる不意打ちに貫かれたゴブリン達は、即座に退こうとする。攻撃が来た方向から逃げようとするのは正しい判断だ、ただ遅かった。
「逃がすかよ」
 追撃したのはヒビキが放つ炎属性の魔法の矢、ウィザード・ミサイルだ。逃亡不能な位置まで引き寄せたのだ、逃がすつもりは一切無かった。
 着弾と爆発、三体のゴブリンはなす術もなく炎に飲まれて崩れ落ちていった。

●隠された道
「それにしても、土の中は落ち付きます♪」
 土の精霊術で微震を発生させていたンァルマは、笑みと共に呟いた。ソナー代わりの微震で落とし穴を解除しながら、興味深げに穴を覗き込む。
「今度お店に来るお客様に試してみますかねー」
 仕掛けとしては簡単だ、どこかに連動して落とし穴が開くようになっている、それだけである。
「んー、でもこれ、どこに連動してるのでしょうー」
「……あ」
 ンァルマは、小さな声を上げたメンカルを振り返った。
「どうしましたー?」
「……ここ、調べてもらっていい……?」
「お安い御用ですよ―」
 ンァルマもメンカルがわからないのではなく、確認したいのだろうと理解する。だから、土の精霊術で微震でメンカルが言う壁を調べてみて――同じ結論に達した。
「隠し扉ですねー」
「……開けてみる……多分、これ……」
 一つうなずき、メンカルは丁寧に壁を調べていく。
(「以前入った迷宮と似てる……文様も、様式も……」)
 カチリ、とメンカルが隠し扉の鍵を解除すると、ゆっくりと壁が下へとスライドしていった。カチカチ、と作動しない落とし穴の方で音がする。どうやら、ここに繋がっていたらしい。
「おいおい、これは――」
「隠し階段だね」
 ヒビキは感心し、こころも興味深そうに隠し階段を覗き込んだ。
「音がしますね」
 ネラが指摘するように、階段の奥からズン……と時折音が響く。何か重いものが移動しているような、そんな音だ。その音が何か悟ったメンカルは、呟いた。

「……これを使えば、荒ぶる山神に奇襲できるかも……」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『荒ぶる山神』

POW   :    握り潰す
【人ひとり覆い隠すほどの掌】が命中した対象に対し、高威力高命中の【握り潰し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    踏み潰す
単純で重い【地団駄】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ   :    叩き潰す
【大きく振りかぶった拳】から【地震】を放ち、【その振動】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●巨木が行く

 ――ズシン、と巨木の群れが進軍する。

 巨木のオブリビオン荒ぶる山神達が、迷宮の外を目指して進んでいく。罠もモンスターも、構わずに踏み砕いていく。それだけの力がある群れだった。
 だが、だからこその制限が彼らにはあった。その大きすぎる体ゆえに、進軍するルートが限られているのである。
 荒ぶる山神達が進むのは、比較的広い通路だ。本来なら罠も多いはずだが、荒ぶる山神達は歯牙にもかけず進んでいく。これを真っ向から迎え撃つしか無い――そのはずだった。
 しかし、猟兵達は隠し階段を発見した。この階段を使えば、真っ向から行かず不意を打つ事も可能だろう。それは大きなアドバンテージだ。

 荒ぶる山神達を、放置しては村に損害が出かねない。そうなる前に、確実に処理しなくてはならない……。
ナナシ・ナナイ
SPD/ほんまデカすぎやろ!?わいはユーベルコードで足を破壊して動きを鈍らすで。骨がおれるわ。(【ダッシュ】,【スライディング】,【逃げ足】) /アドリブ歓迎


ネラ・イッルジオーネ
山神……これが神と言えるものなのでしょうか。

相手は巨大な木の様な感じなので、他の猟兵が奇襲と攻撃しやすいように動きを止める事にします。

使える技能を全て活用して、ユーベルコード『プニツィオーネ・ディ・ディオ』を唱えて、迷宮外から壁を貫通して巨大な敵達に審判を下します。
長く拘束が出来れば、他の方への被害を減らせたり、進行を止めて時間稼ぎなどが出来ると考えてます。

余裕がありましたら他のユーベルコードで攻撃や支援などもします。


エルデラント・ズィーマ
デカい……力押しだと負けちゃいそうですね。
ここは一つ足止めに徹して他の方に頑張ってもらいましょう
重点的に狙うは足です。足を集中攻撃します。進軍が止められればそれでよし、ワタシを踏み潰そうとするなら軸足をクイックドロウで反撃して転倒を狙いましょう。ドミノ倒しの要領で巻き込めれば一石横丁……でしたっけ?忘れましたけどどうでもいいことですね


桜・吹雪
あれが迷宮の外にでては困りますわね
仲間の皆様が仕留めやすいよう、わたくしは足止めに尽力致しましょう

【罠使い】
罠を踏み潰すのでしたら、その足を絡め取りましょう
レプリカクラフトで山神の足より大きな落とし穴を仕掛けますわ
相手の大きさを【学習力】確認し、大きさは決定しますわ
W1.5m*D1.5m*H3mを二つほど(18㎥迄で深さ優先で調整)
相手は巨体。限りのある通路で最前列の数体の足をとめられれば、後続の進軍を鈍らせられますでしょうか

隠し階段より【忍び足】で近づき、鋼糸で罠にかかった山神と進む山神を繋ぐように試みますわ
わたしの腕力では止められずとも、巨木の枷でしたら足も鈍りましょう


メンカル・プルモーサ
……隠し階段は……幸運。これなら不意を打てる……
…動きはそこまで早くないし…賢いわけでもないけど……その力強さは単純に脅威……まともにあたるのは危険だった…

……山神達が隠れている場所の近くまで来たら…【支え能わぬ絆の手】を山神達の足元の床に使用して、転倒を狙う……

うまく転倒したら仲間に合図、仲間が転ばないように【支え能わぬ絆の手】を解除してそのまま攻めにかかる……
スチームエンジンで威力を上げたウィザード・ミサイルで転倒した山神達へ追い打ち……
起き上がる前に、ある程度数を減らしたい……(属性攻撃・高速詠唱)


ヒビキ・イーンヴァル
この階段から、あの木どもに奇襲を仕掛けられるって訳か
真正面から行くより良さそうだな

まずは敵さんの視界に入らないようにして、
『高速詠唱』からの『蒼き焔よ躍れ、嵐の如く』で攻撃
炎はバラバラのままで色々な角度から攻める
他の猟兵たちともタイミングを合わせて
何てったって木だからな、良く燃えてくれよ?

敵がこちらに気付いたら、炎で攻撃しつつ前へ出ようか
木からの攻撃は『武器受け』、剣を使って受けていこう
そのまま剣で叩っ斬るのも悪くない

……接近戦は嫌いだが、できない訳じゃないんで
剣はちゃんと使えるんで
必要とあれば身体は張る


ンァルマ・カーンジャール
隠し扉が発見出来たので不意を付けそうですね!
・・・それにしてもこれだけお体が大きい皆様がこぞってズシンズシン進軍される様子は凄い迫力ですねー・・・

土の精霊魔法で防御用に盾を生成しておきます
攻撃は大地の剣を放ちしますよー
まずはアッチコッチ攻撃をしながら攻撃が通りやすそうな所を電脳魔術で分析ですっ

攻めるべきポイントが分かったらUC《[複合接続]【電磁気学制御】大地の剣》で一気に畳掛けます!

先頭の巨木さんの足を土魔法で引っかけて倒せれば
ドミノ倒しみたいな感じで纏めて倒せないかな?
そうすればみんなで集中砲火出来るかな?
可能そうなら試してみたいですね~

さて、この先には一体何が待っているのでしょうかー?


茲乃摘・七曜
心情
巨大な相手というのはそれだけでも脅威ですよね

指針
隠し階段から攻撃をかける仲間と挟撃になるように正面から攻撃を仕掛ける
「遅参した分、しっかりと働きましょう

戦闘
巨体であり木であることから火【属性攻撃】【範囲攻撃】(火炎の散弾)で足を狙い焼くように攻撃
敵の侵攻が早い場合や動きが素早い場合、風【属性攻撃】【範囲攻撃】(突風)を上半身に吹き付け風の抵抗で動きの阻害を狙う

仲間が大技を仕掛ける場合などには『流転』で援護
(しっかり、支援しなければですね…

警戒
「握りつぶされないようにある程度、距離を取り続けたいですね
「それと、揺らされて転んだりしないように足が持ち上げられた時には重心を低めにして備えましょう


鬼灯・こころ
でかいな……質量はそのまま力だ。
けど……その大きさは連携の邪魔にもなる、だろ?

隠し通路から≪侍る者≫を送り込んで奇襲に適したタイミングを探る。
近くに味方の猟兵がいるんなら、情報共有も怠りなく。

後はタイミングを見計らって山神たちを奇襲。
僕は基本的には「ヘルシング」で銃撃しながら絶えず動き回って山神たちを攪乱する戦法で対処する。
山神たちには豆鉄砲かもしれないけど、目のあたりを狙って撃っておけば怒らせるには充分だろ?
あとは、その隙を狙ってくれよ。僕が潰されちゃう前に、さ……

もちろん、自殺願望はないから生きてる限りは走り回ってやるけど、ね



●巨木の行進
 ズン……、と真っ直ぐに地響きを立てて荒ぶる山神達が進んでいく。それは、まるで森一つが移動しているような光景だ。
「デカい……力押しだと負けちゃいそうですね」
 荒ぶる山神達を見て、エルデラント・ズィーマ(ロストメモリーズ・f02581)が呟く。「山神……これが神と言えるものなのでしょうか」」
 ネラ・イッルジオーネ(サンツィオーネ・ディ・アニマ・f06949)が、そうこぼした。あの群れが迷宮の外で暴れれば、どれだけの被害が出るだろうか? 考えただけで背筋が凍る。ネラの言う通り、神と名に付いていてもアレ等は災害と呼ぶにふさわしい。
「遅参した分、しっかりと働きましょう」
 茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)が二丁のPride of foolsを構え、引き金を引いた。ドドン! 七曜の火属性の散弾が先頭を歩いていた荒ぶる山神の足元に着弾、グラリと巨体が傾く。
 しかし、それは全体の進軍速度をわずかに遅らせたのみだ。
「ほんまデカすぎやろ!?」
 ナナシ・ナナイ(ナニワのマンハンター・f00913)が素早く疾走、ガシャンと突撃銃を構えて動きが止まった先頭の足に銃弾を撃ち込んだ。一丁で足りなければ二丁、二丁で足りなければ四丁、念動力によって浮かべた突撃銃で集中砲火する!
 バキリ、と荒ぶる山神の右足に、亀裂が走った。その亀裂に、七曜が放った炎が染み込むように内部へ――そして、内側から破裂するように右足が砕け散った。
「もう一本も――です」
 エルデラントが、ノヴァブラスターを素早く引き抜く。エルデラントが狙ったのは、左だ。熱光線がドドン! と巨木の左足に穴を穿った。
 ドスン、と荒ぶる山神が地面に倒れ込む。その瞬間に、ナナシが叫んだ。
「今や!」
 ∪ターンしてこちらに走ってくるナナシに応えたのは、ネラだ。両手を広げ、ネラは朗と唱える!
「時を刻む古の歯車。狭間より再来しは神の万雷。放たれし閃光は汝に戒めの時を与えん。プニツィオーネ・ディ・ディオ」
 迷宮の天井に現れたのは、巨大な時空の門だ。轟く轟音と凄まじい閃光が、迷宮内を震撼させた。物体を貫通し、無数に墜ちる神の審判――雷の雨が、荒ぶる山神達へと降り注いだ。
「これで、どう……や……!?」
 走って距離を上げながら振り返ったナナシが、思わず息を飲む。七曜も、その光景に呟いた。

「……なんて、おぞましいのでしょうか」

 ミシミシミシ……! と迷宮内に、軋み潰れる音が響き渡る。足が折られた荒ぶる山神が、後からやって来る仲間に踏み潰されていく音だった。そこに、仲間への感情など見られない――いや、実際に何も無いのだろう。ただただ進むのに邪魔だから踏み潰した、
「――あんなもの、神とは認めません」
 だからこそ、ネラは荒ぶる山神を否定した。あんなモノを、神と呼んではならない。もはや災害でさえない、ただの破壊衝動そのものだ。
「通しませ――」
 エルデラントが言いかけ、言葉を止めた。不意に、荒ぶる山神達の一部が大きく音を立てて倒れたからだ。しかも、先頭がではない。集団の半ばあたりでだ。
「来たようですね」
 その音の正体を知る七曜が、そう帽子から覗く口元に笑みをこぼした。

●隠し階段の先へ
「あれが迷宮の外にでては困りますわね」
 ユーベルコードレプリカクラフトで作成した落とし穴で荒ぶる山神を倒し、桜・吹雪(主を求めて三千世界・f09844)が呟いた。
「……それにしてもあれだけお体が大きい皆様がこぞってズシンズシン進軍される様子は凄い迫力ですねー」
 ンァルマ・カーンジャール(大地と共に・f07553)が、しみじみと荒ぶる山神達を『見下ろして』いた。ンァルマ達がいたのは、迷宮の中層だ。この迷宮の階層は、壁が天井まで届いておらず、あの隠し階段を使うと壁を通路のように通れる場所にたどり着けたのだ。
「……隠し階段は……幸運。不意を打てた……」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、そう呟く。壁の上から倒れた荒ぶる山神へと、大量の炎の矢を降り注がせた。背中にウィザード・ミサイルを受けた荒ぶる山神は、立ち上がろうとするがうまく起き上がれない。上からの攻撃など、想定していなかったのだろう、荒ぶる山神はまったくメンカルの攻撃に対処できていなかった。
「でかいな……質量はそのまま力だ。けど……その大きさは連携の邪魔にもなる、だろ?」
 不可視の霧で編まれた蝙蝠を従え、鬼灯・こころ(鬼灯・f01226)はヘルシングの銃撃を戸惑う荒ぶる山神達へと撃ち込んでいく。数がいたからこそ、仲間を踏み砕けだのだ。分断された後方にいた荒ぶる山神だけでは、踏み潰していくのにも時間がかかる。
「山神たちには豆鉄砲かもしれないけど、目のあたりを狙って撃っておけば怒らせるには充分だろ?」
 一体の荒ぶる山神が、こころに気付いた。その木の腕を真っ直ぐにこころへと伸ばそうとして――!

「複合接続(マルチアクセス)! 電磁気学制御!強磁界(ローレンツフィールド)展開! ──母なる大地の御剣よ!仇なす者に凄惨なる斬撃を!」

 ズドン! と電脳魔術の電磁誘導で超加速させた大地の剣によって、木の腕が半ばから断ち切られた――ンァルマの、[複合接続]【電磁気学制御】大地の剣(マルチアクセス・ローレンツ・グランドソード)だ。
「其は荒れ狂う蒼き焔、我が意により燃え尽くせ」
 そして、蒼世の魔書を片手で開いたヒビキ・イーンヴァル(蒼焔の紡ぎ手・f02482)が放つ恒星の如き蒼の炎が、降り注いだ。
「何てったって木だからな、良く燃えてくれよ?」
 蒼き焔よ躍れ、嵐の如く(ワイルドハント・ブレイザー)によって燃え崩れた荒ぶる山神を見下ろして、ヒビキは言い捨てる。そして、ヒビキは聞く――荒ぶる山神達の先頭で起こる戦闘音を。
「これで挟み撃ち成功だぜ」
 真正面から行くより良かったな、とヒビキはニヤリと笑う。もちろん、こちらの不意打ちが上手くいったのは、正面で食い止めて隙を作ってもらえたからこそだ――正面と遊撃、そのどちらもいなければ、この状況は作れなかった。

 だからこそ、この好機を逃してはならない。猟兵達は、荒ぶる山神達へと全力を振るった。

●それは、刈り取るがごとく――
 戦場は、大きく二つに分かれていた。一つは通路、一つは壁の上。荒ぶる山神達に、高い知能はない。だからこそ、どこの誰を攻撃するべきか? 判断が出来ずに混乱していた。
(「しっかり、支援しなければですね」)
 だからこそ、と七曜は二丁のPride of foolsを上に向けて引き金を引いた。
「万物流転。有限が作り出す無限の円環……幽玄たる時間の監獄へようこそ」
 浮遊する魔導弾が、七曜を象徴する杭へと――七曜の封印術式『流転』(フウインジュツシキ・メグルシチヨウ)が荒ぶる山神達を、一箇所へと押し込めていく!
 そして、バチン! と放電光が、天井と石畳両方に走った。

「時を刻む古の歯車。狭間より再来しは神の万雷――」
「複合接続(マルチアクセス)!電磁気学制御!強磁界(ローレンツフィールド)展開――!」

 ネラがラプソディ・デッラ・ルーナを掲げ、ンァルマが剣に返信した大地の精霊さんの切っ先を地へと向ける。お互いに、既に相手のユーベルコードを見ている――ならばこそ、タイミングを合わせる事も難しくはない!

「放たれし閃光は汝に戒めの時を与えん。プニツィオーネ・ディ・ディオ」
「──母なる大地の御剣よ!仇なす者に凄惨なる斬撃を!」

 天から雷の雨が、大地から電磁加速を得た大地の剣が、上下から荒ぶる山神達を貫いた。轟音と轟音のユニゾン、突風が迷宮の通路を吹き抜け、振動が揺るがす。その中を、エルデラントが駆け込んでいく。
「――――!」
 荒ぶる山神の一体が、エルデラントを踏み潰そうと足を上げる。それを見切ったエルデラントは、クイックドロウ。ブラスターの熱線が、荒ぶる山神の軸足を穿った。体勢を崩しながら、壁に手をついて堪らえようとする荒ぶる山神――しかし、その腕が上がらない。吹雪のレプリカクラフトで生み出したトラップワイヤーが、倒れて残骸と化した荒ぶる山神とその腕を繋いでいたのだ。
「わたしの腕力では止められずとも、巨木の枷でしたら足も鈍りましょう」
 ズン……! と荒ぶる山神が、体勢を立て直せずに倒れた。それに巻き込まれ、三体の荒ぶる山神も転倒した。
「一石横丁……でしたっけ?忘れましたけどどうでもいいことですね」
 正確には一石二鳥だが、それを訂正する者はいなかった。エルデラントは即座に、後退した。何故? ――当然、巻き込まれないためだ。
「……起き上がる前に……」
「燃やしつくそうか」
 上から放たれるのは炎属性の魔法の矢と、恒星の如き蒼の炎。メンカルのウィザード・ミサイルとヒビキの蒼き焔よ躍れ、嵐の如く(ワイルドハント・ブレイザー)が雨あられと倒れた荒ぶる山神達へと撃ち込まれ、ドォ! と一斉にその巨木へと着火した。
「残るは一体や!」
 ナナシの孤独な傭兵団(ワンマンアーミー)による一斉掃射が、最後の荒ぶる山神を蜂の巣にする。巨体が崩れ落ちながらも、なお叩き潰そうと腕を伸ばした荒ぶる山神が、不意に動きを止めた。
「終わりだ」
 荒ぶる山神の頭上、跳躍したこころが撃ち放った銀の銃弾が撃ち抜き――内側から爆ぜさせた。

 こうして、荒ぶる山神達が駆逐された。真っ向からの勝負であったなら、こうはならなかっただろう。しかし、分断され、翻弄されてしまえばいかに巨木の群れと言えど倒せぬ相手ではない。
 猟兵達は、更なる迷宮の奥へ――元凶である、呪飾獣カツィカの元へと向かった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『呪飾獣カツィカ』

POW   :    呪獣の一撃
単純で重い【呪詛を纏った爪 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    呪飾解放
自身に【金山羊の呪詛 】をまとい、高速移動と【呪いの咆哮】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    カツィカ・カタラ
【両掌 】から【呪詛】を放ち、【呪縛】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナミル・タグイールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●呪飾獣カツィカ

「オウゴン……オウゴンヲ……」

 呪飾獣カツィカは、知らない。己が放ったオブリビオン達が、駆逐された事実を。迷宮の奥、財宝など何もない閉じられた部屋で、一人その成果を待っていた。
 しかし、呪飾獣カツィカとていつかは気づく。気づけば、再び強欲を満たすために、オブリビオンを放つ事だろう。
 この呪われし強欲の存在がいる限り、終わりはない。だからこそ、終わらせ無くてはならない。この呪われた存在を討ち倒す事で……。
ナナシ・ナナイ
SPD/呪いにかかったんはご愁傷様やけど、倒させてもらうで。ユーべルコードで複製した拷問具で拘束してアサルトウェポンでハチの巣や!これぞわいの必勝法!(【傷口を開く】、【2回攻撃】)けどな~それはそれとしてな~やっぱり金銀財宝ほしいよなぁ~。…いや、何も言ってへんでわいは。


エルデラント・ズィーマ
金、金、金……うるさいですね。その薄暗い部屋でとっとと眠っててください
とは言うものの、爪の一撃は痛そうなので警戒しましょう。義眼を使って行動を予測、回避。
初めは距離もあるのでブラスターで攻めます。他の猟兵との合わせもありますし少しでもダメージが蓄積出来れば御の字です。
距離が詰まってきたらユーベルコードを使用します。相手の顔か、爪のどちらかを狙いましょう。呪詛耐性もあるので少しくらいなら大丈夫……だと良いんですけど


ネラ・イッルジオーネ
これが財宝に目が眩む事で成り果てた姿……哀れですね。(可愛そうと思わず、冷静沈着に言う)

元は人とはいえ堕落した者、呪いを解いて救出するのはほぼ現在は不可能。それなら私達で地獄に送って、罪を償って頂きましょう。

敵の呪詛は『オーラ防御』で私に触れさせない様にしながら、『全力魔法』でユーベルコード『ラ・ルーチェ・ディラ・フィーネ』で神聖な剣を無数に放ち、呪われし者を串刺しにします。

貴方が向かう先は這い上がる事が出来ない常世の闇……


ルキウス・ミューオニウム
【POW】
「下らない。目的の為に宝を求めるのではなく、宝を求める為に宝を求めるとは。本末転倒にも程がある。その強欲。ここで断ち切ります」

 あえて大ぶりであろう呪獣の一撃を誘い、その攻撃の瞬間に拘束効果のある紋章を【誘導弾】として、念のため【2回攻撃】で放ち、その動きを拘束します。
 拘束した相手に向かって【全力魔法】で高めた魔力を曙光【属性魔法】に変換して右足裏に収束。大きく飛び上がって天井を左足で蹴り、一直線に飛び蹴りを放ちます。
 狙うのは頭部の呪いの金の骨。これを破壊するなり吹き飛ばすなりすれば相手の力を大きく削げるのではないでしょうか。


メンカル・プルモーサ
……ん……オブリビオンは……迷宮の奥で待ってる…かな?
じゃあ…【愚者の黄金】で…適当に装飾品を黄金製に模造して…投げ込めばそれに気を取られるかも……
…引っかかるかどうかだけど…正面から乗り込むよりは…ましかな……

戦闘になったら……【現実を侵せし狩猟団】でガジェットを呼び出して援護…
情報を集めて【崩壊せし邪悪なる符号】で●呪飾解放と●カツィカ・カタラの解除を狙っていく……
優先順位は●カツィカ・カタラの方が上……(情報収集・時間稼ぎ・援護射撃)

……後は【愚者の黄金】で作成限界の大きさの「天井の模造品」を敵の頭上に作り出して…プレス。
……黄金が好きなようだから……いいものをあげる……とても沢山。


ヒビキ・イーンヴァル
人間だろうが獣だろうが、欲に塗れた奴は碌な死に方しねぇんだぜ
……オブリビオンだろうとな
きっちり片付けさせてもらおうか

ここまで来たら、小細工も必要ねぇだろ
俺は真正面から挑ませて貰う
『高速詠唱』からの『全力魔法』で、『蒼き焔よ躍れ、嵐の如く』だ
炎は二つに纏めて、一つは前から、もう一つは奴の後ろから当てて行こう
両方当たればラッキーだが、本命は後方の炎だな
隙は与えない
すぐ二撃目の準備に入る
敵に近付かれちまったら仕方がない、剣で対処
『武器受け』で攻撃を防ぎつつ、そのまま斬りにいくか

金銀財宝ってのは、古今東西、本当に厄介なもんだよな


ンァルマ・カーンジャール
遂に見つけましたよー!あなたが今回の犯人ですねっ!
もう逃げられません!大人しく投降してください!
・・・そう言って聞いてくれる方でしたら有難いのですが

金の骨の呪いにより変わってしまったと思えば、この方も被害者なのでしょうか?
ただ戻し方も不明ですと、やはり退治する他ないのでしょうか・・・

まずは土の精霊魔法で盾を生成し攻撃に備えます
こちらからは土の剣を飛ばし攻撃ですっ

敵さんの行動パターンを電脳魔術で分析です
先々の行動を予測しながら立ち回りますよー

大ぶりの攻撃などチャンスを見つけたら急所を狙いUC《[複合接続]【運動係数制御】大地の腕》を発動です!
目を覚ましなさーいっ!

更生できるといいのですが・・・


茲乃摘・七曜
心情
今回の元凶ですか…気を引き締めて参りましょう

指針
相手の操る呪詛や呪縛、呪いを軽減するように行動
「ふむ、呪われてまで…いえ、呪われたからこそ欲にとらわれたままなのでしょうか?

行動
自身の【呪詛耐性】と【呪詛】に対する知識を活用し
相手の【呪いの咆哮】を【聞き耳】、両手や爪に纏った【呪詛】は【視力】や【暗視】で見取り
Angels Bitsと自身による三重の【歌唱】によるミレナリオ・リフレクションで再現し打消し合わせる
「呪詛には呪詛を、蟲毒のように喰い合い潰しあいましょう
「解放などと高尚なことは言いませんとも、未来の為に過去に沈んでいただきます

自衛
カツィカから距離をとり、後は仲間を信じ援護に集中する


桜・吹雪
ドールであるわたくしには黄金の魅力はわかりませんが
誰かの命に勝るものでない事は確かですわね
簒奪はここで止めさせて頂きますわ

SPDユーベルコードと真の姿の片鱗で桜吹雪を纏い、妖刀と共に高速で接近致しますわ
行動を観測し【見切り】【学習力】し、回避をしながら1秒でも早く接近し、1秒でも長く自分と相手の命を削り続けますわ
価値なき身、怪我も寿命も厭いません
咆哮にあわせ、花吹雪で相手の口元を塞ぎ、拡散を防ぐよう試みます
攻撃の合間に不可視の鋼糸を巡らせ、腕等の一時拘束を試みます
隙ができれば【忍び足】で死角にもぐり【暗殺】を狙いましょう

手に余る華は腐らせるだけですわ
見合ったお金と共に骸の海へお帰り下さいませ



●欲望の迷宮
 古代帝国の遺跡、その迷宮を猟兵達は進んでいく。
「……ん……オブリビオンは……迷宮の奥で待ってる……かな?」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、その門を見上げて呟いた。門は、かなり大きい。あの巨木のオブリビオン達も、ここから出ていったのだろう――少なくとも、人間サイズが使うには大きすぎる門だった。
「人間だろうが獣だろうが、欲に塗れた奴は碌な死に方しねぇんだぜ……オブリビオンだろうとな。きっちり片付けさせてもらおうか」
 ヒビキ・イーンヴァル(蒼焔の紡ぎ手・f02482)は、そう言い捨てると門を開いた。さほど重くはない――ギィ……と軋んだ音をさせて開いた門の先に、ソレはいた。

「オウゴン……カネヲ……」

 その黄金に染まった山羊の頭蓋骨を被った男は、虚ろな声でそう呟き続けていた。その姿に、ンァルマ・カーンジャール(大地と共に・f07553)が声をかける。
「遂に見つけましたよー! あなたが今回の犯人ですねっ! もう逃げられません! 大人しく投降してください!」
 そう言って聞いてくれる方でしたら有難いのですが、そう思いながらもかけた声だ。しかし、ンァルマの声にジロリと睨みつけるだけで、男は動かない。
「……もしかして……」
 ふと思いついて、メンカルは愚者の黄金(ミーダス・タッチ)で生み出した黄金の装飾品を、部屋の中へ投げ入れた。
「――! オウゴン! オウゴン!」
 呪飾獣カツィカへと堕ちた男は、装飾品の方へ駆け出した。拾い、手で撫でて、頬ずりする。金切り声のような歓喜の声を上げる呪飾獣カツィカに、ネラ・イッルジオーネ(サンツィオーネ・ディ・アニマ・f06949)はボソリとこぼす。
「これが財宝に目が眩む事で成り果てた姿……哀れですね」
「ふむ、呪われてまで……いえ、呪われたからこそ欲にとらわれたままなのでしょうか?」
 可愛そうとも思わず冷静沈着に言ったネラに、七曜も疑問を口にした。不意に、頬ずりを止めて呪飾獣カツィカは振り返る。そこにあったのは、間違いなく感情だ。欲望、そう呼ぶしかない感情と呪われた視線と共に、呪飾獣カツィカは叫んだ。
「モット、モットダッ! スベテ、ヨコセ! オレノ、オレノ! オレノオレノオレノオレノオレノオレノオレノオレノオレノオレノオレノオレノ――!」
「金、金、金……うるさいですね。その薄暗い部屋でとっとと眠っててください」
 金山羊の呪詛を身にまといはじめた呪飾獣カツィカに、エルデラント・ズィーマ(ロストメモリーズ・f02581)が言い捨てる。
 呪飾獣カツィカが、床を蹴った瞬間、その姿が掻き消えた。消えた、そう思える程の高速機動だ。
「今回の元凶ですか……気を引き締めて参りましょう」
 茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)がそう告げた瞬間、ソレは起きた。

●欲望の代償
 ――メンカルは愚者の黄金(ミーダス・タッチ)で装飾品を投げ込んだ時点で、戦いは既に始まっていた。
「ヨコ――」
 呪飾獣カツィカが呪いの咆哮を放とうとした刹那、桜の花弁が視界の隅にかすめる。
「二度咲き、夢咲き、狂い咲き。泡沫に乱れ咲き、共に散りましょう」
 桜吹雪-散華-(イノチミジカシクルイザケオトメ)――桜・吹雪(主を求めて三千世界・f09844)は、桜吹雪を身にまとい桜吹雪の意匠が拵えられた鍔無しの短刀を引き抜いた。
 呪飾獣カツィカが装飾品に気に取られていた間、死角へと忍び足で回り込んでいた吹雪は、短刀の一閃で呪飾獣カツィカの胴を薙ぐ!
「――ゼェ!?」
「ドールであるわたくしには黄金の魅力はわかりませんが、誰かの命に勝るものでない事は確かですわね――簒奪はここで止めさせて頂きますわ」
 吹雪が駆け抜け、呪飾獣カツィカへと大量の拘束具が降り注ぐ――ナナシ・ナナイ(ナニワのマンハンター・f00913)だ。
「呪いにかかったんはご愁傷様やけど、倒させてもらうで」
 ガシャン! と両手を鎖で拘束された呪飾獣カツィカが、口から泡を吹きながらがなる。
「ジャマ、スルナァ! オウゴン、オウゴンヲォ!!」
「下らない」
 そう一言で呪飾獣カツィカを否定したのは、ルキウス・ミューオニウム(夜明けの賛歌・f00023)だ。
「目的の為に宝を求めるのではなく、宝を求める為に宝を求めるとは。本末転倒にも程がある。その強欲。ここで断ち切ります」
 言い切るルキウスへと、呪飾獣カツィカが強引に駆ける。拘束されようと構わない、自らの血を撒き散らしながら、強欲のままに襲いかかった。
「其は荒れ狂う蒼き焔、我が意により燃え尽くせ」
 その強襲を阻むのは、恒星の如き蒼の炎による嵐――ヒビキの蒼き焔よ躍れ、嵐の如く(ワイルドハント・ブレイザー)だ。

「ガ、アアア、ア!! オウゴンヲ、カネヲォ!!」

 炎を受けながら、呪飾獣カツィカが吼えた。

●欲望の結末
 ズサァ! と靴底を鳴らして、呪飾獣カツィカが駆ける。呪飾解放による高速移動を可能とした呪飾獣カツィカに追いつけるのは、同じ速度領域に踏み込んだ吹雪だけだ。

「ヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセヨコセ――!」

 縦横無尽に放たれる爪を、吹雪は短刀の桜吹雪で受け流していく。散る火花と舞う桜の花弁、さながら暴風の中でも咲き誇る桜の如く、吹雪は一歩たりとも退かなかった。
「追いつけなくても――予測はできます」
 そこへ迷わず踏み込んだのは、エルデラントだ。義眼を使って行動予測、エルデラントが右ストレートをそこへ『置いた』。
「対象を爆砕します」
 この速度を確実に見切れる者には、呪飾獣カツィカが己の左爪をエルデラントの右拳に差し出したように見えただろう。もちろん、これは正しくない。呪飾獣カツィカがその時、そこへ爪を持ってくる事を義眼を用いた演算で、エルデラントが計算し切ったのだ。
 ドォ! と呪飾獣カツィカの左爪がエルデラントのレッドホットイクスプロージョンに粉砕される! 大きく体勢を崩した呪飾獣カツィカは右爪で反撃しようとするが――動かない。吹雪の紫綬羽衣が、右腕を拘束していたのだ。
「手に余る華は腐らせるだけですわ。見合ったお金と共に骸の海へお帰り下さいませ」
「オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
 呪飾獣カツィカが怒りと共に、両掌から呪詛を放とうとした。しかし、呪飾獣カツィカのカツィカ・カタラは、不意に掻き消された。

「呪詛には呪詛を、蟲毒のように喰い合い潰しあいましょう――解放などと高尚なことは言いませんとも、未来の為に過去に沈んでいただきます」

 七曜のミレナリオ・リフレクションだ。七曜の言うように、互いの呪詛が打ち消し合い、掻き消されたのだ。
「これぞわいの必勝法や!」
 ナナシのアサルトウェポンによる射撃が、呪飾獣カツィカを捉えた。たまらず、呪飾獣カツィカは後退。だが、その背中を灼熱が襲った――ヒビキの蒼き焔よ躍れ、嵐の如く(ワイルドハント・ブレイザー)が背後からぶつけられたのだ。
「もう一つ!」
 そして、二つに分かれたれていた蒼い炎が今度は正面から呪飾獣カツィカを飲み込んだ。
「貴方が向かう先は這い上がる事が出来ない常世の闇……」
 ネラが、ラプソディ・デッラ・ルーナを掲げ、唱えた。
「神々の魂。古の時より蘇り。我の杖に光となり集う。天を舞う無数の剣。神光を纏い堕落せし魂を貫く。ラ・ルーチェ・ディラ・フィーネ」
 装飾の月が振り下ろされた瞬間、ネラに召喚された無数の神聖な剣が呪飾獣カツィカへと放たれた。逃げる場所も、死角も存在しない。四方八方、三百六十度から降り注いだネラのラ・ルーチェ・ディラ・フィーネが、呪飾獣カツィカを串刺しにしていく!
「ガ、ガアア、ア!!」
 苦痛に悶絶する呪飾獣カツィカに向かって、ルキウスは走り出した。
「拘束術式起動(そこをうごくな)――」
 ルキウスは拘束効果のある紋章を誘導弾として放ち、呪飾獣カツィカを拘束――右足裏に魔力を収束し、上へと跳んだ。
「――脚部魔力集中(てかげんしない)」
 天井を左足で蹴り、ルキウスは渾身の飛び蹴りを呪飾獣カツィカへと放った。より正確には、黄金の山羊の頭蓋骨へと――ルキウスの極・無限光(エクス・アイン・ソフ・オウル)が、黄金の頭蓋骨を蹴り砕いた。
「ガ、アア、ア……オウ、ゴン、オウゴン、ヲ……」
 それでも、呪詛は解けない。これはもう、『違う』のだ。オブリビオン呪飾獣カツィカなのだ。
 だから、メンカルとンァルマは止まらなかった。
「……黄金が好きなようだから……いいものをあげる……とても沢山」
「複合接続(マルチアクセス)! 運動係数制御! 運動加速(ラグランジュブースト)! ──大地を守護する精霊よ! 万象崩壊の拳を打て!」
 頭上に生み出された黄金の天井、メンカルの愚者の黄金(ミーダス・タッチ)と電脳魔術で運動係数を書換えた大地の腕によるンァルマの[複合接続]【運動係数制御】大地の腕(マルチアクセス・ラグランジュ・グランドアーム)が、上下から呪飾獣カツィカを襲った。

「オウゴン……オウゴ――ガハ!?」

 呪飾獣カツィカは下から大地の腕に殴り飛ばされ、自分から抱きしめるように黄金の天井に押し潰されていった。最期の最期まで、己の欲望に殺されたのだった……。

 戦いが終わり、ナナシはボソリと呟いた。
「けどな~それはそれとしてな~やっぱり金銀財宝ほしいよなぁ~」
 強欲が身を滅ぼしたとしても、ナナシには取り憑かれた男の気持ちは理解できた。だがしかし、周囲からの視線を受けて首を左右に振った。
「……いや、何も言ってへんでわいは」
「金銀財宝ってのは、古今東西、本当に厄介なもんだよな」
 ヒビキは、そうこぼす。理解できるからこそ、危ういのだ。そう、誰もが一歩間違えれば、呪飾獣カツィカへと堕ちかねない。
 それでも、欲望に負けないのも心ある者の正しい姿の一つだ。呪飾獣カツィカから多くの人々を守り、猟兵達は己のあるべき場所へと帰還するのだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月22日


挿絵イラスト